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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068867
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 33/02 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A01D33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179493
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】小倉 尚勝
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA01
2B072AA10
2B072CB08
(57)【要約】
【課題】夾雑物が混在した作物の搬送時に夾雑物を効率的に除去する。
【解決手段】収穫機1は、搬入コンベア40と、排出ローラ60と、載置部70とを備える。搬入コンベア40は、搬送面41を有し、搬送面41上に載置された作物2を搬送する。排出ローラ60は、搬入コンベア40に間隔をあけて配置されている。載置部70は、載置面71を有し、排出ローラ60に間隔をあけて配置され、作物2を載置面71に載置可能である。搬入コンベア40と排出ローラ60と載置部70は、搬送方向においてこの順で並んで配置されている。排出ローラ60の上端部61は、搬入コンベア40の下流側の最上端部42より低い位置に位置している。排出ローラ60は、回転駆動されることによって、搬入コンベア40とともに搬入コンベア40と排出ローラ60との間から夾雑物5を掻き出すように排出可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面を有し、該搬送面上に載置された作物を搬送する搬入コンベアと、
前記搬入コンベアに間隔をあけて配置された排出ローラと、
載置面を有し、前記排出ローラに間隔をあけて配置され、前記作物を前記載置面に載置可能な載置部とを備え、
前記搬入コンベアと前記排出ローラと前記載置部は、搬送方向においてこの順で並んで配置されており、
前記排出ローラの上端部は、前記搬入コンベアの下流側の最上端部より低い位置に位置しており、
前記排出ローラは、回転駆動されることによって、前記搬入コンベアとともに前記搬入コンベアと前記排出ローラとの間から夾雑物を掻き出すように排出可能である、収穫機。
【請求項2】
前記載置部は、前記排出ローラの前記上端部より低い位置に配置されている、請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記搬送方向における前記搬入コンベアと前記排出ローラとの間隔、および、前記搬送方向における前記排出ローラと前記載置部との間隔の各々は、前記搬送面の前記最上端部から前記排出ローラの前記上端部までの鉛直距離より短い、請求項1または請求項2に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物の収穫装置の構成を開示した先行技術文献として、特開2021-40624号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された農作物の収穫装置は、ピックアップ手段と、搬送手段と、収容容器とを備える。ピックアップ手段は、農作物を所定のピックアップエリアにおいてピックアップする。ピックアップされた農作物は、搬送手段により搬送され、収容容器に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-40624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された農作物の収穫装置においては、作物の搬送時に茎葉または雑草などの夾雑物が作物に混在する場合がある。この場合、作業者が夾雑物を除去することもできるが、搬送される作物または夾雑物の量が多くなると効率的に夾雑物を除去することができない。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、夾雑物が混在した作物の搬送時に夾雑物を効率的に除去することができる、収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく収穫機は、搬入コンベアと、排出ローラと、載置部とを備える。搬入コンベアは、搬送面を有し、搬送面上に載置された作物を搬送する。排出ローラは、搬入コンベアに間隔をあけて配置されている。載置部は、載置面を有し、排出ローラに間隔をあけて配置され、作物を載置面に載置可能である。搬入コンベアと排出ローラと載置部は、搬送方向においてこの順で並んで配置されている。排出ローラの上端部は、搬入コンベアの下流側の最上端部より低い位置に位置している。排出ローラは、回転駆動されることによって、搬入コンベアとともに搬入コンベアと排出ローラとの間から夾雑物を掻き出すように排出可能である。
【0007】
本発明の一形態においては、載置部は、排出ローラの上端部より低い位置に配置されている。
【0008】
本発明の一形態においては、上記搬送方向における搬入コンベアと排出ローラとの間隔、および、上記搬送方向における排出ローラと載置部との間隔の各々は、搬送面の最上端部から排出ローラの上端部までの鉛直距離より短い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬入コンベアと載置台との間に配置した排出ローラを回転駆動させることによって、搬入コンベアとともに搬入コンベアと排出ローラとの間から夾雑物を掻き出すように排出することができるため、夾雑物が混在した作物の搬送時に夾雑物を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る収穫機の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る収穫機が備える排出ローラ周辺の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る収穫機が備える排出ローラ周辺の構成を示す側面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る排出ローラの構成を示す断面図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る排出ローラによって夾雑物が除去される状態を示す側面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る収穫機が備える排出ローラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施の形態に係る収穫機について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0012】
なお、図面においては、収穫機の進行方向をX方向、収穫機の進行方向に対して水平に直交する方向をY方向、収穫機の進行方向に対して鉛直に直交する方向をZ方向とする。また、図面においては、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」および「右」とは、収穫機の運転席に着座したオペレータを基準とする用語である。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る収穫機の構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係る収穫機1は、圃場Fの作物2を収穫する車両である。
【0014】
作物2は、たとえば南瓜である。なお、作物2は、南瓜に限定されない。作物2は、たとえばじゃがいもまたはスイカなどであってもよい。
【0015】
収穫機1は、走行機体10と、機体フレーム20と、ピックアップ部30と、搬入コンベア40と、ロッドコンベア50と、排出ローラ60と、第1移送コンベア70と、第2移送コンベア80とを備える。
【0016】
走行機体10は、圃場Fを走行可能な左右一対のクローラで構成されている。走行機体10上には、機体フレーム20が配置されている。
【0017】
機体フレーム20には、運転席21と、作業席22と、収容部23とが設けられている。運転席21は、収穫機1のX方向における機体フレーム20の右側前方部に配置されている。作業席22は、運転席21の後方に設けられている。作業席22に乗車した作業者3は、作物2の選別などを行なう。収容部23は、機体フレーム20の後部に設けられている。収容部23は、作物2を収容可能である。機体フレーム20には、図示しないエンジンや燃料タンクなども搭載されている。
【0018】
ピックアップ部30は、機体フレーム20の前方に設けられている。ピックアップ部30は、圃場Fから作物2を拾い上げるとともに、搬入コンベア40に作物2を搬送する。ピックアップ部30は、掻き寄せ部31と、ピックアップコンベア32と、挟持部33とを含む。
【0019】
掻き寄せ部31は、収穫機1の進行方向(X方向)に対して傾斜して配置されている。収穫機1の前方への走行とともに、作物2が掻き寄せ部31に沿いながらピックアップコンベア32に向かって転がる。ピックアップコンベア32は、作物2をその下方から支持しながら搬入コンベア40に向けて搬送する。挟持部33は、作物2をY方向の両側から挟持しながらピックアップコンベア32とともに搬入コンベア40に送る。ピックアップコンベア32および挟持部33は、搬入コンベア40に近づくにしたがって圃場Fから離間するように傾斜している。
【0020】
搬入コンベア40は、ピックアップ部30から搬送される作物2を収穫機1の後方に搬送する。搬入コンベア40は、収穫機1の後方に向かうにしたがって圃場Fから離間するように傾斜している。これにより、作物2は、搬入コンベア40の下流側において上方に持ち上がる。
【0021】
ロッドコンベア50は、搬入コンベア40とともに作物2を搬送する。具体的には、ロッドコンベア50は、作物2が搬入コンベア40上を搬送される方向の後方(図1中のX方向の前方側)から作物2を支持しつつ、搬入コンベア40とともに作物2を搬送する。
【0022】
排出ローラ60は、X方向において搬入コンベア40に間隔をあけて配置されている。排出ローラ60の詳細については後述する。
【0023】
載置部としての第1移送コンベア70は、搬入コンベア40から搬送された作物2が載置される部材である。第1移送コンベア70は、X方向において排出ローラ60に間隔をあけて配置されている。第1移送コンベア70上に載置された作物2は、搬入コンベア40の搬送方向に交差した方向(Y方向)に搬送される。
【0024】
搬入コンベア40と排出ローラ60と第1移送コンベア70は、搬送方向(X方向)においてこの順で並んで配置されている。搬送方向は、搬入コンベア40から排出ローラ60を経由して第1移送コンベア70まで作物2が搬送される方向である。なお、本実施の形態における上記搬送方向は、X方向と一致しているが、これに限定されない。上記搬送方向は、X方向に対して水平に交差していてもよいし、Y方向に一致していてもよい。
【0025】
第2移送コンベア80は、第1移送コンベア70の下流側(図1中のY方向の右側)に設けられている。第2移送コンベア80は、作業席22に沿ってX方向に延在している。第2移送コンベア80上を搬送される作物2は、作業席22の作業者3によって選別などがされる。その後、作物2は、収容部23に収容される。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態1に係る収穫機が備える排出ローラ周辺の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る収穫機が備える排出ローラ周辺の構成を示す側面図である。なお、図2においては、発明の理解を容易にするため、ロッドコンベアを省略している。
【0027】
図2および図3に示すように、搬入コンベア40は、搬入コンベア用ローラ110と、搬入コンベア用ベルト120とを含む。
【0028】
搬入コンベア用ローラ110は、Y方向に延在している。搬入コンベア用ローラ110は、軸方向(Y方向)を中心としてR1方向に回転する。搬入コンベア用ベルト120は、搬入コンベア用ローラ110にかけ回されて、搬入コンベア用ローラ110の駆動とともに動作する。
【0029】
搬入コンベア40は、搬入コンベア用ベルト120上に搬送面41を有する。搬入コンベア40は、搬送面41上に載置された作物2を搬送する。図3に示すように、搬入コンベア40は、後方に近づくにしたがって圃場Fから離間するように傾斜しているため、下流側において最上端部42を有している。
【0030】
ロッドコンベア50は、ロッドコンベア用ローラ130と、ロッドコンベア用ベルト140と、複数のロッド150とを含む。
【0031】
ロッドコンベア用ローラ130は、Y方向に延在している。ロッドコンベア用ローラ130は、軸方向(Y方向)を中心としてR2方向に回転する。ロッドコンベア用ベルト140は、ロッドコンベア用ローラ130にかけ回されて、ロッドコンベア用ローラ130の駆動とともに動作する。複数のロッド150は、互いに間隔をあけて対向するようにロッドコンベア用ベルト140に接続されている。複数のロッド150は、搬入コンベア40、排出ローラ60および第1移送コンベア70の上方を通過するように配置されている。
【0032】
複数のロッド150のうちの隣り合うロッド同士の間隔L3は、作物2より大きい。これにより、複数のロッド150の各々の間に作物2が位置した状態で搬入コンベア40上を作物2が搬送される。また、隣り合うロッド150同士の間隔L3は、後述する搬入コンベア40から排出ローラ60を経由して第1移送コンベア70まで作物2が搬送される搬送方向(X方向)における搬入コンベア40と排出ローラ60との間隔L1より広い。
【0033】
図2および図3に示すように、排出ローラ60は、Y方向に延在している。排出ローラ60は、Y方向を中心としてR3方向に回転する。すなわち、排出ローラ60は、搬入コンベア40の回転方向に対して逆方向に回転する。
【0034】
第1移送コンベア70は、移送コンベア用ローラ180と、移送コンベア用ベルト190とを含む。
【0035】
移送コンベア用ローラ180は、X方向に延在している。移送コンベア用ローラ180は、軸方向(X方向)を中心としてR4方向に回転する。移送コンベア用ベルト190は、移送コンベア用ローラ180にかけ回されている。
【0036】
第1移送コンベア70は、移送コンベア用ベルト190上に載置面71を有する。第1移送コンベア70は、作物2を載置面71に載置可能である。本実施の形態においては、載置面71に作物2が載置されつつ、移送コンベア用ローラ180の駆動によってY方向に作物2が搬送される。
【0037】
図3に示すように、排出ローラ60は、搬入コンベア40とX方向において間隔L1を有して配置されている。間隔L1は、X方向における搬入コンベア40の下流側の後端と排出ローラ60の搬入コンベア40に最も近い部分との距離である。間隔L1は、搬入コンベア40と排出ローラ60との間において、作物2が滞留せず、かつ、夾雑物が詰まらない程度の間隔に設定される。
【0038】
また、排出ローラ60は、第1移送コンベア70とX方向において間隔L2を有して配置されている。間隔L2は、X方向における排出ローラ60の第1移送コンベア70に最も近い部分と移送コンベア用ベルト190の前端との距離である。間隔L2は、排出ローラ60と移送コンベア用ベルト190との間において、作物2が滞留しない間隔に設定される。
【0039】
排出ローラ60の上端部61は、搬入コンベア40の下流側の最上端部42より低い位置に位置している。
【0040】
載置部としての第1移送コンベア70は、排出ローラ60の上端部61より低い位置に配置されている。すなわち、排出ローラ60の上端部61は、第1移送コンベア70の載置面71より高い位置に配置されている。
【0041】
排出ローラ60のZ方向における位置は、収穫する作物の種類等に応じて、排出ローラ60の上端部61が、搬入コンベア40の下流側の最上端部42より低く、かつ第1移送コンベア70の載置面71より高い位置を満たす範囲内で変えることができる。本実施の形態においては、搬送面41の最上端部42から排出ローラ60の上端部61までの鉛直距離H1は、排出ローラ60の上端部61から第1移送コンベア70の載置面71における排出ローラ60に最も接近している端部までの鉛直距離H2より長くなるように設定されている。なお、鉛直距離H1は、鉛直距離H2より短くてもよい。
【0042】
搬入コンベア40から排出ローラ60を経由して第1移送コンベア70まで作物2が搬送される搬送方向(X方向)における搬入コンベア40と排出ローラ60との間隔L1、および、上記搬送方向(X方向)における排出ローラ60と第1移送コンベア70との間隔L2の各々は、搬送面41の最上端部42から排出ローラ60の上端部61までの鉛直距離H1より短い。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態1に係る排出ローラの構成を示す断面図である。図4に示すように、本実施の形態に係る排出ローラ60は、軸部160と、外周部170とを有する。
【0044】
軸部160は、Y方向に延在している。軸部160は、たとえばアルミニウムまたは鋼などの金属により構成されている。
【0045】
外周部170は、軸部160の周面に配置されている。外周部170は、たとえばウレタンなどの樹脂により構成されている。これにより、作物2が外周部170に接触した場合にその衝撃を吸収しやすいため、作物2に傷が入ることを抑制することができる。
【0046】
外周部170には、周方向に互いに間隔を開けて複数の凸部171が突出している。複数の凸部171は、Y方向に沿って延在している。このように、外周部170は、歯車状の形状を有しているため、複数の凸部171の間の空間に夾雑物が引っ掛かりやすい。
【0047】
凸部171には、面取り部Cが設けられている。これにより、作物2が凸部171に接触した場合、作物2が凸部171に面接触しやすくなるため、作物2に傷が入ることを抑制することができる。
【0048】
なお、本実施の形態における排出ローラ60は、搬入コンベア40および第1移送コンベア70との間に1つ配置されているが、数量は1つに限定されない。排出ローラ60が複数配置される場合、排出ローラの軸方向(Y方向)に直列に配置してもよいし、並列に配置してもよい。複数の排出ローラが排出ローラの軸方向(Y方向)に並列に配置される場合、排出ローラの上端部の高さは搬入コンベア側に配置される排出ローラが高い方が望ましい。これにより、各構成の高さが搬入コンベア40から第1移送コンベア70へ向かって段階的に低くなるため、作物2が搬送されやすい。
【0049】
また、本実施の形態における外周部170には、複数の凸部171が形成されているが、これに限定されない。外周部170には、複数の凸部171が形成されていなくてもよい。
【0050】
ここで、排出ローラ60周辺における作物2の搬送方法および夾雑物の除去方法について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る排出ローラによって夾雑物が除去される状態を示す側面図である。
【0051】
図5に示すように、搬送面41上の作物2は、ロッドコンベア50における複数のロッド150の各々の間に位置しつつ、複数のロッド150に支持されて搬送される。作物2は、最上端部42を超えると、搬入コンベア40による搬送の勢いのままA1方向へ転がる。搬入コンベア40から転がった作物2は、排出ローラ60を超えて第1移送コンベア70まで転がる。載置面71上に載置された作物2は、第1移送コンベア70の駆動によってY方向に搬送される。
【0052】
上述した作物2の搬送時に、茎葉または雑草などの夾雑物が作物2に混在する場合がある。夾雑物は、比較的大きな夾雑物4および比較的小さな夾雑物5に区分される。
【0053】
比較的大きな夾雑物4は、ロッドコンベア50に引っ掛かる。具体的には、比較的大きな夾雑物4は、搬入コンベア40の上流側において複数のロッド150に引っ掛かる。比較的大きな夾雑物4は、複数のロッド150に引っ掛かりながら第1移送コンベア70の上方を通過し、後方へ搬送される。
【0054】
これにより、比較的大きな夾雑物4は、ロッドコンベア50によって作物2の搬送経路から除去される。比較的大きな夾雑物4をロッドコンベア50で除去し、比較的小さな夾雑物5のみを排出ローラ60により排出可能にすることができるため、排出ローラ60における夾雑物の詰まりを抑制することができる。
【0055】
比較的小さな夾雑物5は、作物2とともに搬送面41上を搬送される。排出ローラ60は、R3方向に回転駆動されることによって、搬入コンベア40とともに搬入コンベア40と排出ローラ60との間から比較的小さな夾雑物5を掻き出すように排出可能である。これにより、比較的小さな夾雑物5は、排出ローラ60によってA2方向へ排出され、作物2の搬送経路から除去される。
【0056】
仮に、排出ローラ60の上端部61と、第1移送コンベア70の載置面71とが同じ高さである場合、作物2は排出ローラ60と第1移送コンベア70との間に挟まりやすくなる。実際に、上端部と載置面とが同じ高さで作物を搬送させて試験すると、排出ローラと第1移送コンベアとの間に作物の引っ掛かりが発生し、作物が滞留した。
【0057】
一方、本実施の形態において、載置面71より上端部61が高い状態で作物を搬送させて試験すると、排出ローラ60と第1移送コンベア70との間に作物の引っ掛かりは発生せず、作物は滞留しなかった。本試験結果に加えて、本実施の形態においては、排出ローラに対する夾雑物の巻き付き、作物の傷も発生しなかった。
【0058】
図3に示すように、鉛直距離H2を設けることによって、鉛直距離H2を設けない場合と比較して、夾雑物は搬入コンベア40と排出ローラ60との間に入り込みやすくなるため、夾雑物の除去が効率化した。さらに、搬入コンベア40と排出ローラ60との間隔L1に作物2が入りにくく、夾雑物は通りやすい間隔であるため、夾雑物の巻き付きが少なくなった。
【0059】
また、搬入コンベア40、排出ローラ60および第1移送コンベア70に挟み込まれることによって発生する作物2の傷が無くなった。さらに、搬入コンベア40、排出ローラ60および第1移送コンベア70の各々の間に作物2が入り込みにくくなったため、搬送中の作物2の滞留が抑制された。
【0060】
本発明の実施の形態1に係る収穫機1においては、搬入コンベア40と載置台としての第1移送コンベア70との間に配置した排出ローラ60を回転駆動させることによって、搬入コンベア40とともに搬入コンベア40と排出ローラ60との間から夾雑物を掻き出すように排出することができる。これにより、夾雑物が混在した作物2の搬送時に夾雑物を効率的に除去することができる。
【0061】
本発明の実施の形態1に係る収穫機1においては、搬入コンベア40と排出ローラ60との間から夾雑物を掻き出すように排出することによって、夾雑物が混在した作物2の搬送時に夾雑物を効率的に除去することができるため、搬入コンベア40を流れる作物2または夾雑物の量が多くなった場合でも作業者が夾雑物の除去に時間を割くことなく、作物2の選別をすることができる。ひいては、収穫機1の走行の中断または収容部23への夾雑物の混入を抑制し、作物2の選別精度を向上させることができる。
【0062】
本発明の実施の形態1に係る収穫機1においては、載置部としての第1移送コンベア70が排出ローラ60の上端部61より低い位置に配置されていることによって、排出ローラ60と第1移送コンベア70との間において作物2が入り込む空間を狭くすることができるため、排出ローラ60と第1移送コンベア70との間で作物2を引っ掛かりにくくすることができる。
【0063】
本発明の実施の形態1に係る収穫機1においては、排出ローラ60のZ方向における位置を、排出ローラ60の上端部61が搬入コンベア40の下流側の最上端部42より低く、かつ第1移送コンベア70の載置面71より高い位置を満たす範囲内で変えることによって、収穫する作物の種類等に対応することができる。
【0064】
本発明の実施の形態1に係る収穫機1においては、搬入コンベア40から排出ローラ60を経由して第1移送コンベア70まで作物2が搬送される搬送方向(X方向)における搬入コンベア40と排出ローラ60との間隔L1、および、上記搬送方向(X方向)における排出ローラ60と載置部である第1移送コンベア70との間隔L2の各々が、搬送面41の最上端部42から排出ローラ60の上端部61までの鉛直距離H1より短いことによって、搬入コンベア40と排出ローラ60との間、または排出ローラ60と第1移送コンベア70との間に作物2が引っ掛かりにくく、かつ、夾雑物が排出されやすい構成にすることができる。
【0065】
本発明の実施の形態1に係る収穫機1においては、搬入コンベア用ローラ110の回転方向に対して、逆回転させた排出ローラ60を作物2の搬送経路の間に配置して、夾雑物を除去することができるため、複数の排出ローラを搬送経路に沿って並列に並べて夾雑物を除去する場合と比較して、収穫機1の大型化を抑制しつつ、効率的に夾雑物を除去することができる。
【0066】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る収穫機について説明する。本発明の実施の形態2に係る収穫機は、排出ローラの構成が本発明の実施の形態1に係る収穫機1と異なるため、本発明の実施の形態1に係る収穫機1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0067】
図6は、本発明の実施の形態2に係る収穫機が備える排出ローラの構成を示す斜視図である。図6に示すように、本実施の形態に係る収穫機1Aは、排出ローラ60Aを備える。排出ローラ60Aは、らせん状に巻かれた凸部171Aが外周部170Aから突出している。
【0068】
排出ローラ60Aは、R3方向に回転駆動されることによって、搬入コンベア40とともに搬入コンベア40と排出ローラ60Aとの間から夾雑物を掻き出すように排出可能である。凸部171Aは、らせん形状における軸方向(Y方向)の形状間の隙間から夾雑物が通りやすい。
【0069】
本発明の実施の形態2に係る収穫機1Aにおいては、排出ローラ60Aにらせん状の凸部171Aを設けることによって、排出ローラが歯車形状の場合と比較して、軸方向(Y方向)において搬入コンベア40と排出ローラ60Aの隙間を変化させることができる。これにより、比較的大きな夾雑物を搬入コンベア40と排出ローラ60Aの隙間から排出する場合、比較的大きな夾雑物が搬入コンベア40と排出ローラ60Aとの間において詰まりにくくすることができる。
【0070】
なお、各実施の形態における載置部は、第1移送コンベアであるが、この構成に限定されない。載置部は、作物が載置される板状部材であってもよい。載置部が板状部材で構成される場合、作物の搬送を考慮して、板状部材は作物が搬送される方向の下流に向かって下方に傾斜していることが望ましい。
【0071】
また、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1,1A 収穫機、2 作物、3 作業者、4 比較的大きな夾雑物、5 比較的小さな夾雑物、10 走行機体、20 機体フレーム、21 運転席、22 作業席、23 収容部、30 ピックアップ部、31 掻き寄せ部、32 ピックアップコンベア、33 挟持部、40 搬入コンベア、41 搬送面、42 最上端部、50 ロッドコンベア、60,60A 排出ローラ、61 上端部、70 第1移送コンベア(載置部)、71 載置面、80 第2移送コンベア、110 搬入コンベア用ローラ、120 搬入コンベア用ベルト、130 ロッドコンベア用ローラ、140 ロッドコンベア用ベルト、150 複数のロッド、160 軸部、170,170A 外周部、171,171A 凸部、180 移送コンベア用ローラ、190 移送コンベア用ベルト、C 面取り部、F 圃場。
図1
図2
図3
図4
図5
図6