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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068881
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】板金結合構造及び板金の結合方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/04 20060101AFI20240514BHJP
   F16B 4/00 20060101ALI20240514BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20240514BHJP
   E04B 1/61 20060101ALI20240514BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F16B5/04 C
F16B4/00 N
H02B1/30 B
E04B1/61 501
H05K5/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179524
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽子
【テーマコード(参考)】
2E125
3J001
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
2E125AA70
2E125AD06
2E125AE13
2E125AE14
2E125AG08
2E125AG12
2E125AG51
2E125BB08
2E125BD02
2E125BE05
2E125BF01
2E125CA95
3J001FA02
3J001GA02
3J001GA03
3J001GB01
3J001HA02
3J001JD04
3J001JD07
3J001KA08
3J001KA09
4E360AB18
4E360ED28
4E360GA07
4E360GA52
5G016AA03
5G016CA11
(57)【要約】
【課題】結合される板金周りのスペースの制約を緩和できるようにすること。
【解決手段】第1壁体(20A)及び第2壁体(20B)を厚さ方向に部分的に重ね合わせた状態で結合する構造である。2体の壁体の重ね合わせ領域(21)にて、該2体の壁体を連続して貫通する孔(23)と、2体の壁体それぞれにて孔の内周面を部分的に外方に凹ませた形状に設けられる第1受容部(23b)及び第2受容部(23c)と、孔に2体の壁体を重ね合わせた厚さに収まって貫通され、第1受容部及び第2受容部に係合する結合材(24)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2体の板金を厚さ方向に部分的に重ね合わせた状態で結合される板金結合構造であって、
前記2体の板金の重ね合わせ領域にて、該2体の板金を連続して貫通する孔と、
前記2体の板金それぞれにて前記孔の内周面を部分的に外方に凹ませた形状に設けられる受容部と、
前記孔に前記2体の板金を重ね合わせた厚さに収まって貫通され、前記受容部に係合する結合材と、を有することを特徴とする板金結合構造。
【請求項2】
前記結合材は、前記孔の内部に前記2体の板金を重ね合わせた厚さより突出して設けられ、押圧されて塑性変形することによって前記受容部に係合することを特徴とする請求項1に記載の板金結合構造。
【請求項3】
前記結合材は前記板金よりも硬度が低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の板金結合構造。
【請求項4】
前記受容部は、前記板金の形成面を陥没させた形状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の板金結合構造。
【請求項5】
前記受容部は、前記板金の形成面をすり鉢形状に陥没させた形状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の板金結合構造。
【請求項6】
前記受容部は、前記板金の厚さ方向中間部に形成される環状溝によって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の板金結合構造。
【請求項7】
2体の板金を厚さ方向に部分的に重ね合わせて結合する板金の結合方法であって、
前記2体の板金の重ね合わせ領域にて、該2体の板金を連続して貫通する孔の内部に軸状の結合材を挿入し、
前記結合材を押圧によって塑性変形し、前記2体の板金それぞれにて前記孔の内周面を部分的に外方に凹ませた形状に設けられる受容部に前記結合材を流入して係合するとともに、前記結合材の両端部を前記板金の形成面と同一面または凹んだ位置に形成することを特徴とする板金の結合方法。
【請求項8】
前記軸状の結合材は、前記孔の内部空間の容積と同一または小さい体積になるよう形成することを特徴とする請求項7に記載の板金の結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の板金を重ねた状態で結合する板金結合構造及び板金の結合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な装置の筐体や部品の一部として板金が利用され、かかる板金を2枚並べて結合した構成とする場合がある。かかる結合にあってはリベット(例えば、特許文献1参照)が広く採用されている。
【0003】
リベットにあっては、円柱または円筒状をなす胴部の一端に頭部を備え、2枚重ねた板金を貫通する穴にリベットの胴部を挿入した後、胴部の他端側を所定の工具によってかしめることで、2枚の板金を並べた状態で結合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-056020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リベットによる結合では、胴部における他端側のかしめた部分が板金の形成面から突出した状態となる。このため、かかる突出した状態によって板金の近傍に他の部品等が配置できなくなる等、スペース利用上の制約を受ける、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、結合される板金周りのスペースの制約を緩和できる板金結合構造及び板金の結合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における一態様の板金結合構造は、2体の板金を厚さ方向に部分的に重ね合わせた状態で結合される板金結合構造であって、前記2体の板金の重ね合わせ領域にて、該2体の板金を連続して貫通する孔と、前記2体の板金それぞれにて前記孔の内周面を部分的に外方に凹ませた形状に設けられる受容部と、前記孔に前記2体の板金を重ね合わせた厚さに収まって貫通され、前記受容部に係合する結合材と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明における一態様の板金の結合方法は、2体の板金を厚さ方向に部分的に重ね合わせて結合する板金の結合方法であって、前記2体の板金の重ね合わせ領域にて、該2体の板金を連続して貫通する孔の内部に軸状の結合材を挿入し、前記結合材を押圧によって塑性変形し、前記2体の板金それぞれにて前記孔の内周面を部分的に外方に凹ませた形状に設けられる受容部に前記結合材を流入して係合するとともに、前記結合材の両端部を前記板金の形成面と同一面または凹んだ位置に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受容部への結合材の係合によって、従来のリベットのように板金の形成面から突出しない構成を採用でき、板金周りのスペースの制約を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る板金結合構造が適用される筐体の概略斜視図である。
図2】第1の実施の形態にて隣接する側方壁体の結合部分における説明用横断面図である。
図3図3Aは、結合材を省略した図2と同様の断面図であり、図3Bは、図3Aを後方から見た図である。
図4図4Aは、2体の側方壁体を結合する中途段階を示す図2と同様の断面図であり、図4Bは、結合材の概略斜視図である。
図5図5Aは、第2の実施の形態の結合構造における図2と同様の断面図であり、図5Bは、第2の実施の形態の結合構造における図4Aと同様の断面図である。
図6図6Aは、第3の実施の形態の結合構造における図2と同様の断面図であり、図6Bは、第3の実施の形態の結合構造における図3Aと同様の断面図であり、図6Cは、第3の実施の形態の結合構造における図4Aと同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る板金結合構造が適用される筐体について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る板金結合構造が適用される筐体の概略斜視図である。図1に示す筐体10は、内部に所定の収容空間を備え、例えば、図示省略した配電盤や制御盤、遮断器等の所定の電気機器を収容空間内に収容する。筐体10は、板状の金属材料となる板金により構成される複数の壁体を備え、かかる複数の壁体を連結した構造に設けられる。更に述べると、筐体10は、上部壁体11と、下部壁体12と、上部壁体11及び下部壁体12の間に設けられる複数の側方壁体20とを備えている。本実施の形態において、側方壁体20は、上部壁体11及び下部壁体12の前後両側において、左右に並んで複数(図1では4体)設けられる。
【0013】
なお、各壁体11、12、20を構成する金属材料としては、鉄鋼(軟鋼板や表面処理鋼板、ステンレス鋼板等を含む)の他、非鉄金属材料(例えば、アルミニウム板、銅合金板等を含む)を用いることが例示できる。
【0014】
続いて、左右方向に隣接する2体の側方壁体20の結合構造について説明する。ここでは、代表例として、図1にて符号20A、20Bで示される2体の側方壁体20の結合構造について説明する。以下、符号20Aで示されて相対的に左側に位置する側方壁体20を第1壁体20A、符号20Bで示されて相対的に右側に位置する側方壁体20を第2壁体20Bと称する。
【0015】
図2は、第1の実施の形態にて左右方向に隣接する側方壁体の結合部分における説明用横断面図である。第1壁体20A及び第2壁体20Bは、厚さ方向が前後方向と平行に向けられ、厚さ方向に部分的に重ね合わされた状態で結合される。
【0016】
本実施の形態の第1壁体20A及び第2壁体20Bは、第1壁体20Aの右端部と第2壁体20Bの左端部とが重ね合わされ、かかる重ね合わせ領域21に、第1壁体20A及び第2壁体20Bを厚さ方向に連続して貫通する孔23を備えている。また、第1壁体20A及び第2壁体20Bの結合構造にあっては、孔23の内部に挿入されて設けられる結合材24を備えている。孔23及び結合材24は、本実施の形態では各壁体20A、20Bの厚さ方向に平行な前後方向に延出して設けられているが、該厚さ方向に対して所定角度傾斜する方向に延出して設けられるようにしてもよい。
【0017】
図3Aは、結合材を省略した図2と同様の断面図であり、図3Bは、図3Aを後方から見た図である。図3A及び図3Bにも示すように、孔23は、延出方向にて均一な径寸法の丸穴状をなし、第1壁体20A及び第2壁体20Bに亘って形成される主部23aを備えている。また、孔23は、主部23aにおける第1壁体20Aの前面側を陥没させた形状に設けられる第1受容部(受容部)23bと、主部23aにおける第2壁体20Bの後面側を陥没させた形状に設けられる第2受容部(受容部)23cを備えている。第1受容部23bは、第1壁体20Aにおける第2壁体20Bとの接触面とは反対側の面に形成され、第2受容部23cは、第2壁体20Bにおける第1壁体20Aとの接触面とは反対側の面に形成される。
【0018】
第1受容部23b及び第2受容部23cは、前後方向から見て、主部23aと同一中心となる円形に設けられ、主部23aより大きい径寸法に形成されている(図3B参照)。よって、第1受容部23b及び第2受容部23cは、主部23aの内周面を部分的に外方(主部23aの中心軸から離れる方向)に凹ませた形状に設けられる。これにより、孔23の中心軸に直交する方向に断面視した場合、第1受容部23b及び第2受容部23cの方が主部23aに比べて断面積が大きくなる。
【0019】
第1受容部23b及び第2受容部23cは、図2及び図3Aの断面視(孔23の中心軸に平行な断面視)にて、矩形形状に形成される。
【0020】
結合材24は、孔23の概ね全ての内部空間に流入して充填するように形成される。よって、結合材24は、内周面形状に沿う形状に設けられる。結合材24は、円柱状に形成される主軸部24aと、主軸部24aの軸方向両側に連なる一対のフランジ状部24b、24cとを備えた形状に設けられる。結合材24にて、フランジ状部24bは第1受容部23bに係合し、フランジ状部24cは第2受容部23cに係合する。
【0021】
第1受容部23bに受容された状態となるフランジ状部24bの表出面(前面)は、第1壁体20Aの形成面となる前面と同一面または該前面より後方に凹んだ位置に形成される。第2受容部23cに受容された状態となるフランジ状部24cの表出面(後面)は、第2壁体20Bの形成面となる後面と同一面または該後面より前方に凹んだ位置に形成される。よって、結合材24の両端部は、第1壁体20A及び第2壁体20Bが相互に接触する面と反対側の形成面から突出しないように形成される。言い換えると、結合材24は、孔23に対し、第1壁体20A及び第2壁体20Bを重ね合わせた厚さに収まって貫通している。
【0022】
続いて、第1壁体20A及び第2壁体20Bの結合方法について、図2及び図3に加え、図4を参照して以下に説明する。図4Aは、2体の側方壁体を結合する中途段階を示す図2と同様の断面図であり、図4Bは、結合材の概略斜視図である。
【0023】
ここで、各壁体20A、20Bの結合前においては、図4A及び図4Bに示すように、円柱形状となる軸状の結合材24を用意する。この結合材24は、孔23の主部23aの内径寸法と同一または若干小さい外径寸法に形成され、また、孔23の内部空間の容積(主部23a及び各受容部23b、23cの総和となる内部空間の容積)と同一または若干小さい体積に形成される。図4A及び図4Bに示す状態にて、結合材24の軸方向長さは、孔23の延出方向長さ(各壁体20A、20Bの厚さの総和)より長く形成される。
【0024】
結合材24は、各壁体20A、20Bより硬度が低い材料により構成され、例えば、各壁体20A、20Bを鋼板とした場合、結合材24にアルミニウム合金を用いることが例示できる。
【0025】
各壁体20A、20Bの結合は、先ず、図3Aに示すように、第1壁体20Aの右端部と第2壁体20Bの左端部とを重ね合わせる。そして、それらの重ね合わせ領域21にて、各壁体20A、20Bに形成される孔23が前後方向に貫通するよう位置合わせする。かかる位置合わせ後、軸状の結合材24を孔23の内部に挿入し、図4Aに示す状態とする。この状態で、結合材24が孔23の内部にて第1壁体20A及び第2壁体20Bを重ね合わせた厚さより突出して設けられる。
【0026】
その後、治具や所定の加圧装置(不図示)を用い、結合材24を延出方向にて短縮する方向(図4Aの白矢印参照)に押圧力を加える。かかる押圧力により、結合材24が塑性変形する。具体的には、結合材24の延出方向両端側が外側に広がって第1受容部23b及び第2受容部23cの内部に流入するように塑性変形される。これにより、図2に示すように、各受容部23b、23cに係合するよう結合材24の両端にフランジ状部24b、24cが形成されるので、結合材24によって各壁体20A、20Bが厚さ方向(前後方向)に離間することを規制でき、結合した状態を維持することができる。
【0027】
ここで、結合材24は、各壁体20A、20Bより硬度が低いので、孔23の内周形状の変形を抑制しつつ結合材24を塑性変形することができる。
【0028】
結合材24に押圧力を加えることで、孔23の主部23aの内側にて結合材24の径寸法が拡大するよう塑性変形し、主部23aの内面に結合材24が密着または圧接するようになる。かかる密着や圧接によって、各壁体20A、20Bが上下方向及び左右方向に相対変位することを規制した結合状態とすることができる。
【0029】
結合材24の塑性変形では、フランジ状部24b、24cが形成されることで、結合材24全体としての軸方向長さが短縮する。上述のように孔23の内部空間の容積に対し結合材24の体積が同一または若干小さくなるので、結合材24の短縮によって、フランジ状部24b、24cの表面が第1壁体20Aの前面及び第2壁体20Bの後面と面一または凹んだ位置に形成される(図2参照)。よって、各壁体20A、20Bが結合した状態にて、結合材24の両端部が第1壁体20Aの前面及び第2壁体20Bの後面から突出しないよう形成できる。
【0030】
上記第1の実施の形態によれば、結合材24が各壁体20A、20Bの厚さ方向に突出しない構造となり、各壁体20A、20B周りのスペースの制約を緩和することができる。例を挙げると、筐体10内部の収容スペースを拡大でき、各壁体20A、20Bに接近又は接触するように各種装置や収容物を配置できるようにしたり、筐体10の外部への突出がなくなる分、筐体10の設置位置の自由度を高めることができる。また、結合材24を押圧して塑性変形することで各受容部23b、23cの内部に流入させて係合するので、各壁体20A、20Bの結合強度を良好に確保することができる。
【0031】
ここで、金属材の塑性変形を用いた結合構造としては、軸部材を孔に固定する際に採用される場合があるが、本実施の形態では、2体の壁体20A、20Bを良好に結合しつつ結合部分での突出部分をなくしてスペースの制約を緩和する、という新たな課題を解決している。よって、本実施の形態は、新たな課題に着目して案出された新規な構成であり、且つ、異質で優れた効果を有する有用な発明であると言える。
【0032】
次に、本発明の前記以外の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、説明する実施の形態より前に記載された実施の形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いる場合があり、説明を省略若しくは簡略にする場合がある。
【0033】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態について図5を参照して説明する。図5Aは、第2の実施の形態の結合構造における図2と同様の断面図であり、図5Bは、第2の実施の形態の結合構造における図4Aと同様の断面図である。図5A及び図5Bに示すように、第2の実施の形態では、第1の実施の形態に対し、孔23の第1受容部23b及び第2受容部23cをすり鉢形状に陥没させた形状に変更している。
【0034】
第2の実施の形態における第1受容部23b及び第2受容部23cは、例えば、孔23の主部23aを形成後、第1壁体20Aの前面及び第2壁体20Bの後面を皿モミ加工することにより形成される。よって、図5Bに示すように、円柱形状となる軸状の結合材24を孔23の内部に挿入し、結合材24を軸方向両側から押圧すると、第1受容部23b及び第2受容部23cの内部に流入して形成されるフランジ状部24b、24cが円錐台形状に設けられる。
【0035】
第2の実施の形態によっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる他、第1受容部23b及び第2受容部23cの内部に流入する結合材24の塑性変形を行い易くして結合時に加える押圧力を小さくすることができる。
【0036】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態について図6を参照して説明する。図6Aは、第3の実施の形態の結合構造における図2と同様の断面図であり、図6Bは、第3の実施の形態の結合構造における図3Aと同様の断面図であり、図6Cは、第3の実施の形態の結合構造における図4Aと同様の断面図である。図6Aから図6Cに示すように、第3の実施の形態では、第1の実施の形態の第1受容部23b及び第2受容部23cに代え、孔23の内周面における第1壁体20A及びを第2壁体20Bそれぞれの厚さ方向中間部に第1受容部23d及び第2受容部23eを形成している。
【0037】
第3の実施の形態における第1受容部23d及び第2受容部23eは、断面形状が三角形状となる環状溝によって形成される。よって、図6Cに示すように、円柱形状となる軸状の結合材24を孔23の内部に挿入し、結合材24を軸方向両側から押圧すると、第1受容部23b及び第2受容部23cの内部に流入して結合材24の軸方向中間2箇所にフランジ状部24d、24eが形成される。かかるフランジ状部24d、24eは、断面が三角形状の環状溝となる第1受容部23d及び第2受容部23eに応じ、主軸部24aから三角形状に突出する断面形状に形成される。第3の実施の形態において、結合材24におけるフランジ状部24dは第1受容部23dに係合し、フランジ状部24eは第2受容部23eに係合する。
【0038】
第3の実施の形態によっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる他、第1受容部23d及び第2受容部23eの内部に流入する結合材24の塑性変形を行い易くして結合時に加える押圧力を小さくすることができる。更に、第1壁体20Aの前面及び第2壁体20Bの後面に表出する結合材24の面積を小さくして目立ち難くすることができる。
【0039】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、向きなどについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0040】
上記実施の形態では、塑性変形させる前の結合材24を円柱状としたが、これに限られるものでなく、軸状に延びる方向に直交する断面形状を三角形や四角形等の多角形や楕円にする等、適宜変更してもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、板金により構成される各壁体20A、20Bの厚さ方向は前後方向と略平行であり、厚さ方向に貫通する孔23が形成されると定義したが、2体の板金の重ね合せ領域にて連続して貫通する孔が形成されていればよく、例えば厚さ方向は前後方向に対して所定角度傾けた斜め方向であっても良い。
【0042】
また、第1の実施の形態における第1受容部23b及び第2受容部23cの形状は、図3Aの断面視でコーナー部分を面取りしたり円弧状に形成したりした形状に変更してもよい。
【0043】
更に、第3の実施の形態にて、第1受容部23d及び第2受容部23eの形成数は、一体の壁体20A、20Bに対して2つ以上としてもよく、これに応じてフランジ状部24d、24eも増設される。
【0044】
また、上述した結合構造で結合される壁体は、隣接する壁体であればよく、側方壁体20と上部壁体11や下部壁体12としてもよい。この場合、壁体11、12、20における一部が折れ曲がった形状や円弧に沿って湾曲した形状となったりする。
【0045】
更に、上記実施の形態の結合構造は、筐体10を構成する2体の壁体11、12、20だけでなく、筐体10以外の各種構造における2体の板金を結合する構造に採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 :筐体
11 :上部壁体(壁体)
12 :下部壁体(壁体)
20 :側方壁体(壁体)
20A :第1壁体(壁体)
20B :第2壁体(壁体)
21 :重ね合わせ領域
23 :孔
23b :第1受容部(受容部)
23c :第2受容部(受容部)
23d :第1受容部(受容部)
23e :第2受容部(受容部)
24 :結合材
図1
図2
図3
図4
図5
図6