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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068882
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】多機能建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240514BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20240514BHJP
   E06B 9/04 20060101ALI20240514BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20240514BHJP
   E06B 5/20 20060101ALI20240514BHJP
   E06B 3/32 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
E06B5/00 B
E06B7/28 Z
E06B5/00 A
E06B9/04 J
E06B9/24 E
E06B5/20
E06B3/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179525
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】522438873
【氏名又は名称】株式会社サン製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100142136
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】成田 淳彦
(72)【発明者】
【氏名】成田 留維
【テーマコード(参考)】
2E014
2E020
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014CB03
2E014CD09
2E020HA01
2E020HA02
2E239AA03
2E239AB03
(57)【要約】
【課題】既存のガラス窓に様々な機能を容易に付加することができる多機能建具を提供すること。
【解決手段】本発明に係る多機能建具10は、建物Bに設けられたガラス窓Gに対して室内側及び室外側の双方に配され、遮熱機能、断熱機能、蓄熱機能、調光機能、紫外線遮蔽機能、又は遮音機能の少なくとも一つを付加する機能窓11と、機能窓11をガラス窓Gに対して着脱可能に配置する外側支持部12及び内側支持部13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられたガラス窓に対して室内側又は室外側の少なくとも一方に配され、遮熱機能、断熱機能、蓄熱機能、調光機能、紫外線遮蔽機能、又は遮音機能の少なくとも一つを付加する機能窓と、
該機能窓を前記ガラス窓に対して着脱可能に配置する支持部と、
を備える多機能建具。
【請求項2】
前記ガラス窓を覆わない位置に配されて前記機能窓を収納する格納部を備える請求項1に記載の多機能建具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能建具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の温暖化による気候変動において過去からの自然環境が大きく変りつつある中、温暖化原因のひとつとされる二酸化炭素の排出量削減がビルや住宅レベルで求められている。各建物における二酸化炭素の排出量削減にはエネルギー消費量の削減が効果的であり、そのためには窓や壁の構造を見直す必要がある。
【0003】
ただし、暮らしやすさを満足させるためには、例えば、春や秋、冬には太陽光を室内に採り入れて暖めることを必要とする一方、夏には太陽光の熱による室内の温度上昇を抑えることが要求される。また、春や秋には窓を開けて外の空気を入れることにより暮らしやすさを向上できるようにする必要がある。
【0004】
ただし、一般的なガラス窓のみでは、室内環境に対するすべての要求を満たすことができない。そこで、例えば、夏冬通して室内温度を一定にするために、ガラス窓の室内側に移動可能に設けられた断熱材を有する断熱戸と内部に蓄熱材を有する蓄熱戸とが、ガラス窓に重なるように配置されてガラス窓を覆う閉じ位置と、ガラス窓に重ならないように配置されてガラス窓を覆わない開き位置との間で互いに独立して移動可能にした多機能建具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-89166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の多機能建具は、断熱戸と蓄熱戸とでガラス窓を覆う場合と覆わない場合とを入れ替え可能であるものの、建具枠に予め組み込まれているためガラス窓に対する付加機能が限定される。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、既存のガラス窓に様々な機能を容易に付加することができる多機能建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る多機能建具は、建物に設けられたガラス窓に対して室内側又は室外側の少なくとも一方に配され、遮熱機能、断熱機能、蓄熱機能、調光機能、紫外線遮蔽機能、又は遮音機能の少なくとも一つを付加する機能窓と、該機能窓を前記ガラス窓に対して着脱可能に配置する支持部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係る多機能建具は、前記ガラス窓を覆わない位置に配されて前記機能窓を収納する格納部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、既存のガラス窓に様々な機能を容易に付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一の実施形態に係る多機能建具を示す側面断面図である。
図2】本発明の一の実施形態に係る多機能建具を示す(a)平面図(b)II-II矢視図である。
図3】本発明の一の実施形態に係る機能窓を示す平面図である。
図4】本発明の一の実施形態に係る多機能建具を示す斜視図である。
図5】本発明の別の実施形態に係る多機能建具を示す側面断面図である。
図6】本発明の一の実施形態に係る他の機能窓を示す側面図である。
図7】本発明の一の実施形態に係る他の機能窓を示す(a)平面図(b)側面図である。
図8】本発明の一の実施形態に係る他の機能窓を示す側面図である。
図9】本発明の一の実施形態に係る他の機能窓を示す(a)平面図(b)側面図である。
図10】本発明の一の実施形態に係る他の機能窓を示す平面図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る多機能建具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
本実施形態に係る多機能建具10は、図1及び図2に示すように、建物Bに設けられたガラス窓Gに対して所定の機能を付加するための機能窓11と、機能窓11をガラス窓Gの室外側で支持する外側支持部(支持部)12と、機能窓11をガラス窓Gの室内側で支持する内側支持部(支持部)13と、ガラス窓G近傍に配されて機能窓11を着脱可能に収納する格納部15と、を備える。
【0012】
機能窓11は、図3に示すように、平面状の窓本体16と、窓本体16の周囲に配されて支持部12,13と係合される枠部17と、を備える。機能窓11は、図4に示すように、ガラス窓Gの大きさと略同一となっている。
【0013】
外側支持部12及び内側支持部13は略同一の構成となっている。以下、外側支持部12について説明する。外側支持部12はガラス窓Gの上部近傍の壁面に配された上側支持部18と、ガラス窓Gの下部近傍の壁面に上側支持部18と対向して配された下側支持部20と、を備える。
【0014】
上側支持部18及び下側支持部20には、枠部17がガラス窓Gに対して着脱かつ移動可能に係合される係合溝18A,20Aがそれぞれ配されている。機能窓11がガラス窓Gと重なった状態で枠部17と係合溝18A,20Aとが係合されることによって、又は、別の位置で係合されてから係合溝18A,20A上を移動されることによって、機能窓11がガラス窓Gと重なりガラス窓Gが機能窓11によって覆われる状態となる。一方、機能窓11がガラス窓Gを覆わない位置まで係合溝18A,20A上を移動されることによって、又は係合溝18A,20Aから機能窓11が取り外されることによって、ガラス窓Gが機能窓11によって覆われない状態に切換可能となっている。
【0015】
ガラス窓Gに加えて雨戸Sがすでに配されている場合には、図5に示すように、雨戸S用のレールRの内側とガラス窓Gの外側との間に係合溝18A,20Aが配される。なお、係合溝18A,20Aは一列に限らず、複数の機能窓を重ねて配するために複数の係合溝18A,20Aが平行に配されていても構わない。
【0016】
窓本体16は付加する機能に応じた所定の構成となっている。例えば、夏などの高温期には外気温からの遮熱が必要となることからガラス窓Gに遮熱機能を付加する場合、図6に示すように、窓本体16はガラスや樹脂等からなる基材21と、基材21の表面に貼付された熱線遮蔽膜22と、を備える。熱線遮蔽膜22は、遮熱係数の高い公知の素材を含む樹脂製シートであればよい。また、基材そのもののが遮蔽係数の高い公知の素材からなるものでも構わない。
【0017】
ガラス窓Gに断熱機能を付加する場合、窓本体23は、図7に示すように、ガラスや樹脂等からなる透明基材の内部に複数の気泡23Aが配された断熱基材25を備える。なお、図8に示すように、気泡23Aの代わりに空気層26を形成するよう複数の透明基材27が重ねられた窓本体28や、図9に示すように、透明基材30の内部に空洞31Aが配された窓本体31でもよい。さらに、ガラス窓Gとの間の気密性を高めるために、図10に示すように、シリコーンゴム等による封止部32が窓本体23,28,31の端部表面に配された窓本体33でもよい。
【0018】
ガラス窓Gに蓄熱機能を付加する場合、窓本体は、熱線遮蔽膜22の代わりに潜熱蓄熱性の高い公知の素材を含む蓄熱膜を備える。蓄熱膜は、樹脂製シートであればよい。
【0019】
ガラス窓Gに調光機能を付加する場合、窓本体は、熱線遮蔽膜22の代わりに所定の偏光度に調整された、又は、調整可能な公知の素材を含む偏光膜を備える。
【0020】
ガラス窓Gに紫外線遮蔽機能を付加する場合、窓本体は、熱線遮蔽膜22の代わりに所定の紫外線遮蔽率に調整された、又は、調整可能な公知の素材を含む紫外線遮蔽膜を備える。
【0021】
ガラス窓Gに遮音機能を付加する場合、窓本体は、熱線遮蔽膜22の代わりに所定の音の透過率に調整された、又は、調整可能な公知の素材を含む遮音膜を備える。
【0022】
格納部15は、機能窓11が通過可能な開口部15Aが配されるとともに、内部に複数の機能窓が挿入可能な箱状に形成されている。また、格納部15は、外側支持部12が配される場合には、外側支持部12が内部に挿通された不図示の外側格納部と、内側支持部13が配される場合には、内側支持部13が内部に挿通された不図示の内側格納部と、を備える。
【0023】
開口部15Aは、複数の機能窓が収納されている場合、選択した機能窓を出し入れ可能な大きさに形成されている。
【0024】
次に、本実施形態に係る多機能建具10の作用について説明する。
通常のガラス窓Gに新たな機能として遮熱機能を付加したい場合、外側格納部35から遮熱機能を有する機能窓11を選択する。そして、選択した機能窓11を係合溝18A,20Aに沿って開口部15Aからガラス窓G側に引き出す。
【0025】
この際、機能窓11はガラス窓Gと略同一の大きさに形成されているので、機能窓11によってガラス窓Gの全面を覆う。こうして、太陽の熱を遮熱する。
【0026】
別の機能に変更する際には、使用中の機能窓11を元の外側格納部35に収納するとともに、外側格納部35或いは内側格納部36、又は、両方から適切な機能窓を選択する。以降は、上述と同様の方法にて機能窓を使用する。
【0027】
この多機能建具10によれば、既存のガラス窓Gを覆うように機能窓11を着脱することによって、ガラス窓Gに遮熱などの新たな機能を付加することができる。また、格納部15を備えることによって、必要な機能を迅速に付加することができるとともに、異なる機能を持つ複数の機能窓を収容することによって異なる機能を付加及び交換することができる。
【0028】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態に係る多機能建具10がガラス窓Gの近傍に格納部15を備えるとしているが、格納部15の取付位置は図2に示す位置に限らず、図11に示すように、複数備えたり、ガラス窓Gの下方向や反対方向に配されていたりしても構わない。また格納部がガラス窓Gから離れた場所に配されていても構わない。この場合、格納部と支持部とが直接接続されないため、機能窓11は格納部から運ばれて係合溝18A,20Aに着脱される。
【0029】
また、窓本体16は平面状とされているが、平面状に限らず曲面形状や立体形状、フィルム状やルーバー状に形成されていてもよい。この場合、格納部は箱状に限定される必要はなく、機能窓の形状に合わせた形状であればよい。
【0030】
さらに、格納部15は、外側支持部12又は内側支持部13が内部に挿通されているとしているが、機能窓11を開口部15Aから出し入れする際に、枠部17を各支持部18,20の係合溝18A,20Aに係合可能に形成されていればこれに限定されない。
【0031】
また、多機能建具10が外側支持部12及び内側支持部13を備えるとしているが、両方備える必要はなく、どちらか一方のみであっても構わない。また、機能窓がガラス窓Gを覆う位置とガラス窓Gを覆わない位置との間で切換可能及び/又はガラス窓Gに対して着脱可能であれば、係合溝18A,20Aが配された構成に限定されない。
【符号の説明】
【0032】
10 多機能建具
11 機能窓
12 外側支持部(支持部)
13 内側支持部(支持部)
15 格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11