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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068892
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】タイヤ製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/20 20060101AFI20240514BHJP
   B29D 30/72 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B29D30/20
B29D30/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179541
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】福井 早紀
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VD09
4F215VK02
4F215VL11
4F215VP11
4F215VP20
4F501TA02
4F501TC09
4F501TD03
4F501TE10
4F501TL10
4F501TL19
4F501TV15
(57)【要約】
【課題】タイヤの骨格部品へのサイドウォールの圧着をより高品質に行うことができるタイヤ製造装置を提供する。
【解決手段】タイヤ製造装置は、円筒状のドラム20と、ドラム20の軸線方向の端部20aに配置され、タイヤの骨格部品15に重ねてドラム20に巻き付けられたサイドウォール16に押し当てられる第1ローラ50と、ドラム20の軸線方向の縁部20cに配置され、サイドウォール16のうち骨格部品15よりも軸線方向の外側にはみ出した部分16cを骨格部品15に押し当てる第2ローラ60と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のドラムと、
前記ドラムの軸線方向の端部に配置され、タイヤの骨格部品に重ねて前記ドラムに巻き付けられたサイドウォールに押し当てられる第1ローラと、
前記ドラムの軸線方向の縁部に配置され、前記サイドウォールのうち前記骨格部品よりも前記軸線方向の外側にはみ出した部分を前記骨格部品に押し当てる第2ローラと、を備えた、
タイヤ製造装置。
【請求項2】
前記ドラムを軸線周りに回転させる駆動部をさらに備え、
前記第2ローラは、前記ドラムの周方向に関して前記第1ローラとは異なる位置に配置されており、前記第1ローラによって押さえられた後に前記ドラムの回転によって移動された前記サイドウォールを押す、
請求項1に記載のタイヤ製造装置。
【請求項3】
前記第2ローラは、
前記ドラムの径方向に延びる回転軸と、
前記回転軸周りに回転するように構成され、前記サイドウォールの前記外側にはみ出した部分に当接するローラ本体と、を備えている、
請求項1に記載のタイヤ製造装置。
【請求項4】
前記ローラ本体は、
前記ドラムの縁部よりも前記軸線方向の外側に設けられ、前記サイドウォールの前記外側にはみ出した部分に当接する第1部分と、
前記第1部分よりも前記ドラムの径方向の外側に設けられるとともに、前記第1部分よりも前記軸線方向の内側に延び、前記サイドウォールの前記外側にはみ出した部分と前記ドラムの端部に巻き付けられた部分との境界部に当接する第2部分と、を備えている、
請求項3に記載のタイヤ製造装置。
【請求項5】
前記第1部分は、前記回転軸周りの直径が均一な円筒形状を有し、前記ドラムの径方向に関して、前記ローラ本体の中央部および内方側の端部を構成している、
請求項4に記載のタイヤ製造装置。
【請求項6】
前記第2部分のうち前記境界部に当接する面は、断面円弧状に形成されている、
請求項4に記載のタイヤ製造装置。
【請求項7】
前記ドラムの軸線方向の内側に向かって前記第2ローラを押すアクチュエータをさらに備えている、
請求項1に記載のタイヤ製造装置。
【請求項8】
前記ドラムの軸線方向に揺動可能なように前記第2ローラを支持する揺動機構をさらに備えている、
請求項7に記載のタイヤ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、円筒状の成形用フォーマーの外周面に巻き付けられたタイヤの骨格部品(特許文献1では、1stカバーと呼ばれている)にサイドウォールを圧着するタイヤ成形用押さえ装置が開示されている。特許文献1に記載の装置は、サイドウォールのビード側端部を湾曲させながら押圧するSW下端押さえローラと、サイドウォールのトレッド側端部を押圧するSW上端押さえローラと、を備えている。SW下端押さえローラは、サイドウォールのうち成形フォーマーの軸線方向の端部上の部分とビード側端部とを押圧できるように、成形フォーマー外周面の軸線方向の隅に隣接して配置され、凹曲面状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-183088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願では、骨格部品へのサイドウォールの圧着をより高品質に行うことができるタイヤ製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに開示するタイヤ製造装置は、円筒状のドラムと、前記ドラムの軸線方向の端部に配置され、タイヤの骨格部品に重ねて前記ドラムに巻き付けられたサイドウォールに押し当てられる第1ローラと、前記ドラムの軸線方向の縁部に配置され、前記サイドウォールのうち前記骨格部品よりも前記軸線方向の外側にはみ出した部分を前記骨格部品に押し当てる第2ローラと、を備える。
【0006】
上記タイヤ製造装置によれば、サイドウォールのうちドラムの軸線方向の端部上の部分は第1ローラによって骨格部品に圧着され、骨格部品よりも軸線方向の外側にはみ出した部分は第2ローラによって骨格部品に圧着される。上記タイヤ製造装置によれば、第2ローラを備えることにより、サイドウォールのうち骨格部品よりも軸線方向の外側にはみ出した部分の圧着がより安定して行えるようになる。そのため、骨格部品へのサイドウォールの圧着をより高品質に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】タイヤ製造装置の構成を示す模式図である。
図2】サイドウォール圧着装置の一部破断正面図である。
図3】サイドウォール圧着装置の側面図である。
図4】サイドウォール圧着工程の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係るタイヤ製造装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
[タイヤ製造装置の構成]
図1は、一実施形態に係るタイヤ製造装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ製造装置1は、混錬装置2と、押出装置3と、トッピング装置4と、裁断装置5と、ビード製造装置6と、1st成形装置7と、サイドウォール圧着装置8と、2nd成形装置9と、加硫装置10と、を備えている。なお、本実施形態に係るタイヤ製造装置1の構成は例示に過ぎず、タイヤ製造装置の構成はこれに限定されない。また、一部の部品を製造する装置は、ここでは、説明および図示を省略する。
【0010】
混錬装置2では、タイヤのゴム材料が混合され、混錬される。混錬装置2で混錬されたゴム材料は、押出装置3によって帯状に成形され、予め定められた長さに切断される。押出装置3は、例えば、トレッドやサイドウォール等、タイヤの複数の部位となるゴムシートを形成してもよい。または、タイヤ製造装置1は、タイヤの所定の部位となるゴムシートを形成する複数の押出装置3を備えていてもよい。
【0011】
トッピング装置4では、網目状のタイヤコードにゴムフィルムを被せ、圧着する。トッピング装置4は、さらに、ゴムフィルムが圧着されたタイヤコードを巻き上げてロールを形成する。裁断装置5は、ゴムフィルムが圧着されたタイヤコードをロールから繰り出して所定の長さに切断し、タイヤの骨格となるプライを形成する。
【0012】
ビード製造装置6は、ビードワイヤーにゴムをコーティングし、それを所定の直径に所定の回数だけ巻いて、ビードを製造する。ビード製造装置6は、ここでは、硬質のゴムからなるエイペックスをビードに貼付してビードに剛性を付与する。
【0013】
1st成形装置7は、インナーライナー(製造工程については説明略)と、プライと、ビードとを組み合わせて成形し、1stカバー15(図2参照)を成形する。1stカバー15は、タイヤの骨格部品の一例である。ただし、タイヤの骨格部品は、インナーライナーとプライとビードとからなる1stカバー15には限定されず、これら以外の部品を含んでいてもよい。また、インナーライナーやプライの数量は1つに限定されず、複数であってもよい。1st成形装置7は、インナーライナーとプライとが巻き付けられる円筒状のドラムを備えている。1st成形装置7では、ドラムを回転させることにより、インナーライナーとプライとが円筒状に成形され、周方向の両端部が貼り合わされる。さらに、ビードを包むようにインナーライナーとプライとが巻き上げられる。これにより、1stカバー15が成形される。
【0014】
サイドウォール圧着装置8は、1stカバー15にサイドウォール16(図2参照)を圧着する。ここでは、サイドウォール圧着装置8は1st成形装置7とは別の装置であるが、1stカバー15へのサイドウォール16の圧着は、1st成形装置7によって行われてもよい。その場合、サイドウォール圧着装置8の構成要素は、1st成形装置7に設けられていてもよい。または、サイドウォール圧着装置8は、2nd成形装置9に組み込まれていてもよい。サイドウォール圧着装置8の構成およびサイドウォール圧着工程の詳細については後述する。
【0015】
2nd成形装置9は、サイドウォール16が圧着された1stカバー15にブレーカとトレッドとを圧着し、ローカバー(生タイヤ)を成形する。2nd成形装置9では、ブレーカとトレッドとを円筒状のドラムに巻き付けて円筒状に成形する。2nd成形装置9は、これに1stカバー15を挿入し、1stカバー15をブラダーで膨張させる。これにより、1stカバー15にブレーカとトレッドとが圧着され、ローカバーが成形される。
【0016】
加硫装置10は、ローカバーに熱と圧力とを掛け、加硫成形されたタイヤを形成する。加硫装置10は、タイヤの形状を形成する金型と、ローカバーに圧力を掛けて成形するとともにローカバーに熱を掛けるブラダーと、を備えている。この後、検査工程等を経て、タイヤが完成する。
【0017】
[サイドウォール圧着装置の構成]
以下では、サイドウォール圧着装置8の構成について詳しく説明する。図2は、サイドウォール圧着装置8の一部破断正面図である。図3は、サイドウォール圧着装置8の側面図である。図2および図3に示すように、サイドウォール圧着装置8は、円筒状のドラム20と、ドラム20を軸線周りに回転させる駆動部30と、サイドウォール16を圧着するための中央ローラ40、中間ローラ45、端部ローラ50、および縁部ローラ60と、を備えている。サイドウォール圧着装置8は、さらに、それぞれ中央ローラ40、中間ローラ45、端部ローラ50、および縁部ローラ60をサイドウォール16に押し当てる中央押圧装置70と、中間押圧装置75と、端部押圧装置80と、縁部押圧装置90と、を備えている。ここでは、ドラム20の軸線方向を左右方向とし、サイドウォール圧着装置8の正面に立った作業者から見た前方を前方とする。図面のF、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ、前、後、左、右、上、下を表す。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、サイドウォール圧着装置8の設置態様を限定するものではない。
【0018】
図2の破断部分に示すように、ドラム20には、1stカバー15が巻き付けられ、1stカバー15に重ねてサイドウォール16が巻き付けられる。図2に示すように、サイドウォール16は、エイペックス17が貼付されたものであってもよい。エイペックス17が貼付されることにより、サイドウォール16の剛性および耐久性が強化される。これにより、サイドウォール16を薄くすることが可能となり、タイヤの軽量化およびコスト低減を図ることもできる。ただし、サイドウォール16の剛性が強化されることにより、サイドウォール16が曲がりにくくなり、1stカバー15にサイドウォール16を押し当てて圧着させる工程の難易度が高くなる。
【0019】
サイドウォール16は、ドラム20の軸線方向の端部20a上から端部20aよりも中央寄りの部分20b上にかけて、1stカバー15に重ねて巻き付けられる。ドラム20の端部20aとは、ここでは、ドラム20の円筒状の外周部21のうち軸線方向の端の部分のことを指す。1stカバー15は、ドラム20の軸線方向の全幅にわたって、場合により若干ドラム20の外側にはみ出すように、ドラム20に巻き付けられる。サイドウォール16は、一部が1stカバー15よりもドラム20の軸線方向の外側にはみ出すように1stカバー15に重ねられている。以下、ドラム20の外周部21と側面22との境界部およびその近傍を、ドラム20の縁部20cとも呼ぶ。サイドウォール16のうち1stカバー15よりも軸線方向の外側にはみ出した部分16c(以下、トリム部分16cとも呼ぶ)は、ドラム20の縁部20cに被さっている。
【0020】
駆動部30は、ドラム20を軸線周りに回転させる。駆動部30は、ここでは、後方(図2の矢印方向)に向かってドラム20を回転させる。ただし、ドラム20の回転方向は特に限定されない。
【0021】
中央ローラ40は、1stカバー15に重ねてドラム20に巻き付けられたサイドウォール16に押し当てられる。詳しくは、中央ローラ40は、1stカバー15に重ねられたサイドウォール16のうち、ドラム20の軸線方向の中央寄りの部分16bを押圧する。図2に示すように、ここでは、中央ローラ40は、ドラム20の中央寄り部分20bの上方に配置されている。ただし、中央ローラ40の位置は、ドラム20の中央寄り部分20bよりもドラム20の径方向の外方であれば、ドラム20の上方には限定されない。図2に示すように、中央ローラ40は、ドラム20の軸線方向に延びる回転軸41と、回転軸41周りに回転するローラ本体42と、を備えている。ローラ本体42は、サイドウォール16に押し当てられると、ドラム20の回転に応じて従動的に回転する。
【0022】
中央押圧装置70は、ドラム20の径方向の内方(ここでは下方)に向かって中央ローラ40を押すように構成されている。中央押圧装置70は、ここでは、エアシリンダ71を備えている。エアシリンダ71は、上下方向に伸縮するロッド71aを備えている。ロッド71aは、中央ローラ40に接続されている。ロッド71aが延びると、中央ローラ40がドラム20に接近し、ドラム20に巻き付けられたサイドウォール16を押圧する。これにより、サイドウォール16のうち、ドラム20の中央寄り部分20b上に巻き付けられた部分16bが1stカバー15に圧着される。
【0023】
端部ローラ50は、ドラム20の軸線方向の端部20aに配置されている。端部ローラ50は、1stカバー15に重ねてドラム20に巻き付けられたサイドウォール16に押し当てられる。端部ローラ50は、サイドウォール16のうち、ドラム20の端部20a上に巻き付けられた部分16aを押圧する。端部ローラ50は、ここでは、ドラム20の端部20aの上方に配置されている。ただし、端部ローラ50の位置は、ドラム20の端部20aよりもドラム20の径方向の外方であれば、端部20aの上方に限定されない。
【0024】
図2に示すように、端部ローラ50は、ドラム20の軸線方向に延びる回転軸51と、回転軸51周りに回転するローラ本体52と、を備えている。ローラ本体52は、サイドウォール16に押し当てられると、ドラム20の回転に応じて従動的に回転する。ローラ本体52は、ドラムの20の外周部21よりもドラム20の径方向の外側に設けられた円筒状の押圧部52aと、押圧部52aよりも軸線方向の外側に設けられた鍔部52bと、を備えている。鍔部52bの直径は、押圧部52aの直径よりも大きい。鍔部52bは、ドラム20の縁部20cよりもドラム20の軸線方向の外側に設けられている。押圧部52aは、サイドウォール16のうち、ドラム20の端部20a上の部分16aを押す。鍔部52bは、サイドウォール16のトリム部分16cに、ドラム20の軸線方向の外側から当接し、トリム部分16cを成形する。
【0025】
端部押圧装置80は、ドラム20の径方向の内方(ここでは下方)に向かって端部ローラ50を押すように構成されている。端部押圧装置80は、ここでは、エアシリンダ81を備えている。エアシリンダ81は、上下方向に伸縮するロッド81aを備えている。ロッド81aは、端部ローラ50に接続されている。ロッド81aが延びると、端部ローラ50がドラム20に接近し、ドラム20に巻き付けられたサイドウォール16を押圧する。これにより、サイドウォール16のうち、ドラム20の端部20a上に巻き付けられた部分16bが1stカバー15に圧着される。
【0026】
中間ローラ45は、1stカバー15に重ねられたサイドウォール16のうち、中央ローラ40によって押圧される部分16bと端部ローラ50によって押圧される部分16aとの中間部分16dを押圧する。図2に示すように、ここでは、中間ローラ45は、ドラム20の中間部分20dの上方に配置されている。ただし、中間ローラ45の位置は、ドラム20の中間部分20dよりもドラム20の径方向の外方であれば、ドラム20の上方には限定されない。図2に示すように、中間ローラ45は、ドラム20の軸線方向に延びる回転軸46と、回転軸46周りに回転するローラ本体47と、を備えている。ローラ本体47は、サイドウォール16に押し当てられると、ドラム20の回転に応じて従動的に回転する。
【0027】
中間押圧装置75は、ドラム20の径方向の内方(ここでは下方)に向かって中間ローラ45を押すように構成されている。中間押圧装置75は、エアシリンダ76を備えている。エアシリンダ76は、上下方向に伸縮するロッド76aを備えている。ロッド76aは、中間ローラ45に接続されている。ロッド76aが延びると、中間ローラ45がドラム20に接近し、ドラム20に巻き付けられたサイドウォール16を押圧する。これにより、サイドウォール16のうち、中央ローラ40によって押圧される部分16bと端部ローラ50によって押圧される部分16aとの中間部分16dが1stカバー15に圧着される。
【0028】
縁部ローラ60は、ドラム20の軸線方向の縁部20cに配置されている。縁部ローラ60は、サイドウォール16のうち1stカバー15よりもドラム20の軸線方向の外側にはみ出した部分(トリム部分)16cを1stカバー15に押し当てる。すなわち、縁部ローラ60は、サイドウォール16のトリム部分16cを、ドラム20の軸線方向の内側に向かって押す。これにより、トリム部分16cを1stカバー15に圧着する。
【0029】
図3に示すように、縁部ローラ60は、ドラム20の周方向に関して、端部ローラ50とは異なる位置に配置されている。端部ローラ50の位置を始点とし、ドラム20の軸線周りの1回転以内で考えた場合、縁部ローラ60は、端部ローラ50よりもドラム20の回転方向の下流に配置されている。縁部ローラ60は、端部ローラ50によってドラム20の端部20a上の部分が押さえられた後にドラム20の回転によって移動されたサイドウォール16を押すように構成されている。
【0030】
図3に示すように、縁部ローラ60は、ドラム20の径方向に延びる回転軸61と、回転軸61周りに回転するローラ本体62と、を備えている。回転軸61は、ここでは、前方に向かって下降傾斜するような斜め上下方向に延びている。縁部ローラ60の回転方向は、中央ローラ40および端部ローラ50とは異なっている。ローラ本体62は、サイドウォール16に押し当てられると、ドラム20の回転に応じて従動的に回転する。ローラ本体62は、ここでは、樹脂によって形成されている。ローラ本体62の材料は、金属ほど硬くなく、ゴムよりは硬い材料が好ましい。ローラ本体62が金属のように硬いと、サイドウォール16を押し過ぎ、サイドウォール16に皺を発生させるおそれがある。そのため、ローラ本体62の材料としては、樹脂が好適である。ただし、ローラ本体62の材料は、特に限定されない。
【0031】
図2および図3に示すように、ローラ本体62は、ドラム20の縁部20cよりも軸線方向の外側に設けられた押圧部62aと、押圧部62aよりもドラム20の径方向の外側に設けられるとともに押圧部62aよりも軸線方向の内側に延びた鍔部62bと、を備えている。押圧部62aは、回転軸61周りの直径が均一な円筒形状を有している。押圧部62aは、サイドウォール16のトリム部分16cに当接する。押圧部62aは、サイドウォール16のトリム部分16cをドラム20の軸線方向の内側に向かって押圧する。これにより、サイドウォール16のトリム部分16cが1stカバー15に圧着される。
【0032】
鍔部62bは、サイドウォール16のトリム部分16cと、ドラム20の端部20aに巻き付けられた部分16aとの境界部16eに当接する。図3に示すように、鍔部62bのうち、境界部16eに当接する面(ここでは、鍔部62bの下面)62b1は、断面円弧状に形成されている。鍔部62bの上端部の直径は、押圧部62aの直径よりも大きい。境界部16e(径方向内向きに湾曲されたサイドウォール16の湾曲部の外法)は、鍔部62bによって成形される。
【0033】
なお、鍔部62bの下面62b1を円弧形状に形成せず、略直角形状に形成すると、タイヤのサイズによるサイドウォール16の厚みの違いや、サイドウォール16の厚さのばらつきに縁部ローラ60が対応しにくくなり、例えば、サイドウォール16に傷をつける等の問題が懸念される。鍔部62bの下面62b1を円弧形状に形成することにより、タイヤのサイズによるサイドウォール16の厚みの違いや、サイドウォール16の厚さのばらつきに縁部ローラ60が対応できるようになり、成形の品質が向上する。
【0034】
押圧部62aは、ドラム20の径方向に関して、ローラ本体62の中央部および内方側の端部を構成している。ローラ本体62の鍔部62bが形成されているのとは逆側の端部には、鍔部62bのような押圧部62aとは直径が異なる部分が形成されていない。鍔部62bよりもドラム20の径方向内方では、ローラ本体62は、ストレートな円筒形状を有している。
【0035】
縁部押圧装置90は、ドラム20の軸線方向の内側に向かって縁部ローラ60を押すように構成されている。縁部押圧装置90は、ここでは、エアシリンダ91と、揺動機構92と、を備えている。エアシリンダ91は、ドラム20の軸線方向の内側に向かって縁部ローラ60を押すアクチュエータの一例である。エアシリンダ91は、ドラム20の軸線方向に伸縮するロッド91aを備えている。ロッド91aは、揺動機構92を介して縁部ローラ60に接続されている。ロッド91aが延びると、縁部ローラ60がドラム20に接近し、サイドウォール16のトリム部分16cをドラム20の軸線方向の内側に向かって押圧する。これにより、サイドウォール16のトリム部分16cが1stカバー15に圧着される。本実施形態では、ドラム20の軸線方向の内側に向かって縁部ローラ60を押すアクチュエータはエアシリンダ91であるが、アクチュエータはエアシリンダには限定されない。アクチュエータは、例えば、油圧シリンダや電動モータ等を含んでいてもよい。なお、中央押圧装置70、中間押圧装置75、および端部押圧装置80のアクチュエータについても同様である。
【0036】
揺動機構92は、ドラム20の軸線方向に揺動可能なように縁部ローラ60を支持している。揺動機構92は、いわゆる「首振り」が可能なように、縁部ローラ60を支持する。縁部ローラ60がエアシリンダ91によって押され、かつ、押圧方向に揺動することにより、サイドウォール16の軸線方向の厚さのばらつきや、境界部16eの位置のばらつきの影響が緩和される。すなわち、サイドウォール16の軸線方向の厚さのばらつきや、境界部16eの位置のばらつきによって、場所により押し過ぎが発生したり、押圧不足が発生したりすることが抑制される。縁部ローラ60が揺動してサイドウォール16の形状に倣わなければ、上記したサイドウォール16の厚さのばらつきの影響が表れやすい。さらに、揺動機構92によれば、ある程度の範囲内であれば、寸法の異なる複数種類のタイヤにおけるサイドウォール16の圧着を、縁部ローラ60の交換や位置調整なしに行うことも可能である。
【0037】
揺動機構92は、ドラム20の外周部21の接線方向に平行な方向に延びる揺動軸92aを備えている。縁部ローラ60は、揺動軸92a周りに、ドラム20の軸線方向に揺動可能である。揺動機構92は、縁部ローラ60の可動域を規制するように構成されている。縁部ローラ60は、可動域の両端でそれ以上揺動不能となり、エアシリンダ91の押圧力を受けて、サイドウォール16を押圧する。ただし、揺動機構92の構成はこれに限定されない。揺動機構92は、例えば、弾性体を有し、弾性体の弾性力によってサイドウォール16に密着するように構成されていてもよい。
【0038】
図3に示すように、本実施形態では、縁部押圧装置90は、エアシリンダ95によって上下方向に移動される。1stカバー15およびサイドウォール16がドラム20に装着される前には、縁部押圧装置90は上方に退避されている。サイドウォール16の圧着時には、縁部押圧装置90は、エアシリンダ95によって所定の高さまで下降される。エアシリンダ95は、ここでは、予め定められた位置に縁部押圧装置90を位置付けるためのものである。ただし、エアシリンダ95を含む縁部押圧装置90の移動装置は、縁部ローラ60がサイドウォール16に当て付けられるまで縁部押圧装置90を移動させ、縁部ローラ60を上からサイドウォール16に押し当てるように構成されていてもよい。
【0039】
[サイドウォール圧着工程]
以下では、本実施形態に係るサイドウォール圧着装置8によるサイドウォール16の圧着工程について説明する。図4は、サイドウォール16の圧着工程の工程図である。図4に示すように、サイドウォール16の圧着工程では、ステップS01において、ドラム20に1stカバー15が被せられる。ステップS02では、左右一対のサイドウォール16が1stカバー15に重ねられる。ステップS03では、中央ローラ40、中間ローラ45、および端部ローラ50が下方に移動されてサイドウォール16に当接されるとともに、縁部ローラ60がドラム20の軸線方向の内方に移動されてサイドウォール16に当接される。
【0040】
続くステップS04では、ドラム20が軸線周りに回転される。これにより、サイドウォール16が1stカバー15に圧着される。中央ローラ40、中間ローラ45、および端部ローラ50は、それぞれ、サイドウォール16の押圧している部分を1stカバー15に圧着する。サイドウォール16のうち、端部ローラ50の鍔部52bによって成形されたトリム部分16cおよび境界部16eは、ドラム20の回転によって縁部ローラ60の側方に移動し、縁部ローラ60によって押圧される。これにより、トリム部分16cおよび境界部16eが1stカバー15に圧着される。ステップS03とS04とは順番が逆でもよく、同時に開始されてもよい。
【0041】
ステップS04においてドラム20が予め設定された回転数(回転角)だけ回転し終わると、ステップS05においてドラム20の回転が停止される。ステップS06では、中央ローラ40および端部ローラ50が上方に移動されてサイドウォール16から離間されるとともに、縁部ローラ60がドラム20の軸線方向の外方に移動されてサイドウォール16から離間される。ステップS05とS06とは順番が逆でもよく、同時に行われてもよい。
【0042】
[実施例]
以下では、実施例およびその評価結果について説明する。表1は、実施例および比較例の製作方法および評価結果を示す表である。
【表1】
【0043】
実施例1~3のタイヤは、縁部ローラを追加したサイドウォール圧着装置でサイドウォールの圧着を行った以外は比較例と同じ条件で製作した。比較例のタイヤは、縁部ローラを備えない従来のサイドウォール圧着装置でサイドウォールの圧着を行った。サイドウォールは、エイペックスを貼付したものを使用した。実施例1では、高さが40mmの縁部ローラを使用した。実施例2では、高さが35mmの縁部ローラを使用した。実施例3では、高さが45mmの縁部ローラを使用した。実施例1~3では、縁部ローラの上端には鍔部を設け、鍔部の下面には、R30(mm)の円弧形状を形成した。縁部ローラの下端はストレート形状とした。縁部ローラの上端直径(鍔部の最大径)は40mm、下端直径(ストレート部分の直径)は27mmとした。
【0044】
比較例および実施例1~3に対し、ローカバーのトリム部分の浮きの有無、ローカバーのトリム部分の皺の有無、加硫後のタイヤのGゲージの厚みのばらつき、加硫後のタイヤの外観不良率(B/BD発生率:ベア/バルジ・デフェクトの発生率)を評価した。Gゲージの厚みは、サイドウォールのうち、ビードの側方に位置する部分の厚みである。Gゲージの厚みはタイヤの周上で6箇所測定し、最大と最小の差(mm)を求めた。Gゲージの厚みのばらつきは、サイドウォールの寸法安定性を示している。ローカバーのトリム部分の浮きおよび皺はないことが好ましく、Gゲージの厚みのばらつきおよびB/BD発生率は、小さい方が好ましい。
【0045】
表1に示すように、サイドウォール圧着装置に縁部ローラを設け、縁部ローラでサイドウォールのトリム部分を押圧する(実施例1~3)と、縁部ローラを使用しない(比較例)場合よりも、ローカバーのトリム部分の浮きが抑制される。トリム部分の皺に関しては、実施例1~3と比較例との間で差が見られず、いずれもOKであった。Gゲージの厚みのばらつきは、実施例1および2において、実施例3および比較例よりも小さかった。Gゲージの厚みのばらつきは、実施例3の方が比較例よりも小さかった。上記より、サイドウォール圧着装置に縁部ローラを設け、縁部ローラでサイドウォールのトリム部分を押圧することにより、ローカバーのトリム部分の浮きが抑制されることが分かる。また、縁部ローラでサイドウォールのトリム部分を押圧することにより、サイドウォールの厚み寸法が安定することが分かる。実施例1および2と実施例3との比較から分かるように、縁部ローラの高さ寸法が大きくなり過ぎると、サイドウォールの寸法安定性は悪くなる。これは、縁部ローラの高さ寸法が大き過ぎると、縁部ローラがサイドウォールを押す力の場所によるばらつきが大きくなるためであると考えられる。
【0046】
加硫後のタイヤの外観不良率は、トリム部分の浮きが抑制され、かつ、サイドウォールの厚みの寸法安定性が高い実施例1および2において、実施例3および比較例よりも小さい。実施例3では、サイドウォールの厚みの寸法安定性が実施例1および2よりも良くないため、それが外観不良率に影響したと考えられる。比較例では、トリム部分の浮きと寸法安定性が良くないこととが外観不良率に影響したと考えられる。
【0047】
[実施形態の作用効果]
以下に、本実施形態に係るタイヤ製造装置1が奏することのできる作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態に係るタイヤ製造装置1は、円筒状のドラム20と、ドラム20の軸線方向の端部20aに配置され、1stカバー15に重ねてドラム20に巻き付けられたサイドウォール16に押し当てられる端部ローラ50と、ドラム20の軸線方向の縁部20cに配置され、サイドウォール16のうち1stカバー15よりも軸線方向の外側にはみ出した部分(トリム部分)16cを1stカバー15に押し当てる縁部ローラ60と、を備えている。かかるタイヤ製造装置1によれば、サイドウォール16のうちドラム20の軸線方向の端部20a上の部分16aは端部ローラ50によって1stカバー15に圧着され、1stカバー15よりも軸線方向の外側にはみ出したトリム部分16cは縁部ローラ60によって1stカバー15に圧着される。本実施形態に係るタイヤ製造装置1によれば、縁部ローラ60を備えることにより、サイドウォール16のトリム部分16cの圧着がより安定して行えるようになる。そのため、1stカバー15へのサイドウォール16の圧着をより高品質に行うことができるようになる。
【0049】
例えば、実施例において示したように、サイドウォール16にエイペックス17を貼付して剛性を強化した場合には、縁部ローラ60を使用しない場合に比べて、トリム部分16cの浮きが抑制される。また、Gゲージの厚みのばらつきも減少する、すなわち、トリム部分16cの寸法が安定する。これにより、加硫後のタイヤの外観品質も向上する。サイドウォール16にエイペックス17を貼付して剛性を強化すると、縁部ローラ60を備えない従来のサイドウォール圧着装置では、サイドウォール16の剛性に抗してトリム部分16cを1stカバー15に強く押し当てることが難しくなる。そのため、トリム部分16cの浮きが発生しやすくなる。また、トリム部分16cの寸法安定性も低下する。そうなると、加硫後のタイヤにおいて外観品質が良くないものが増加する。なお、エイペックス17を貼付していないサイドウォール16に本実施形態に係るタイヤ製造装置1を適用した場合でも、完成後のタイヤの外観品質が向上することが確認されている。
【0050】
本実施形態では、タイヤ製造装置1は、ドラム20を軸線周りに回転させる駆動部30をさらに備えており、縁部ローラ60は、ドラム20の周方向に関して端部ローラ50とは異なる位置に配置されている。縁部ローラ60は、端部ローラ50によって押さえられた後にドラム20の回転によって移動されたサイドウォール16を押すように構成されている。かかる構成によれば、端部ローラ50によってある程度成形された後のサイドウォール16を縁部ローラ60によって圧着する。そのため、縁部ローラ60によるサイドウォール16の圧着を安定して行うことができる。なお、縁部ローラ60は、ドラム20の周方向に関して端部ローラ50と同じ位置に配置されていてはいけないわけではない。
【0051】
本実施形態では、縁部ローラ60は、ドラム20の径方向に延びる回転軸61と、回転軸61周りに回転するように構成されサイドウォール16のトリム部分16cに当接するローラ本体62と、を備えている。かかる構成によれば、縁部ローラ60のローラ本体62は、ドラム20の回転によるトリム部分16cの移動に追随するように回転する。よって、ローラ本体62を滑らかに回転させることができるとともに、ローラ本体62を安定してトリム部分16cに当接させることができる。
【0052】
本実施形態では、ローラ本体62は、ドラム20の縁部20cよりも軸線方向の外側に設けられサイドウォール16のトリム部分16cに当接する押圧部62aと、押圧部62aよりもドラム20の径方向の外側に設けられるとともに押圧部62aよりも軸線方向の内側に延び、サイドウォール16のトリム部分16cとドラム20の端部20aに巻き付けられた部分16aとの境界部16eに当接する鍔部62bと、を備えている。かかる構成によれば、鍔部62bにより、サイドウォール16の境界部16eを成形することができる。
【0053】
本実施形態では、押圧部62aは、回転軸61周りの直径が均一な円筒形状を有し、ドラム20の径方向に関して、ローラ本体62の中央部および内方側の端部を構成している。すなわち、ローラ本体62は、ドラム20の径方向の中央部および内方側の端部にかけてストレートな円筒形状に形成されている。ローラ本体62の両端部に鍔部62bを設けると、両鍔部62bが同時にサイドウォール16に当接することがあり得、これにより、縁部ローラ60によってトリム部分16cに加えられる圧力が不安定となることがあり得る。その結果、トリム部分16cに皺が発生しやすくなるおそれがある(実施例3において、Gゲージの厚みのばらつきが実施例1および2よりも増加したことも参照)。本実施形態によれば、ドラム20の径方向外方の端部にだけ設けられた鍔部62bにより、サイドウォール16の境界部16eを成形することができるとともに、トリム部分16cの皺を抑制することができる。
【0054】
本実施形態では、鍔部62bのうちサイドウォール16の境界部16eに当接する面62b1は、断面円弧状に形成されている。かかる構成によれば、サイドウォール16の境界部16eを断面円弧形状に成形できるとともに、タイヤのサイズによるサイドウォール16の厚みの違いや、サイドウォール16の厚さのばらつきに縁部ローラ60が対応できるようになり、成形の品質を向上させることができる。
【0055】
本実施形態に係るタイヤ製造装置1は、ドラム20の軸線方向の内側に向かって縁部ローラ60を押すアクチュエータとしてエアシリンダ91を備えている。かかる構成によれば、アクチュエータとしてのエアシリンダ91の力によって、縁部ローラ60をサイドウォール16のトリム部分16cに押し当てることができる。
【0056】
本実施形態に係るタイヤ製造装置1は、ドラム20の軸線方向に揺動可能なように縁部ローラ60を支持する揺動機構92を備えている。かかる構成によれば、前述した理由により、サイドウォール16の軸線方向の厚さや境界部16eの位置のばらつきの圧着品質への影響を抑制することができる。また、ある程度の範囲内であれば、寸法の異なるタイヤに対するサイドウォール16の圧着を、縁部ローラ60の交換や調整なしに行うことも可能である。
【0057】
以上、一実施形態に係るタイヤ製造装置について、種々説明した。しかし、本発明のタイヤの製造装置は、特に言及されない限り、上述した実施形態に限定されない。例えば、タイヤ製造装置は、端部ローラと縁部ローラとを備えていればよく、他のローラ(例えば、中央ローラや中間ローラ)を備えるかどうかは任意である。例えば、端部ローラの軸線方向の長さを長くすることにより、端部ローラ、中央ローラ、および中間ローラを共通化してもよい。また、タイヤの製造装置には、他のローラが追加されてもよい。
【0058】
縁部ローラの形状は特に限定されない。実施形態において例示した縁部ローラの形状は好適な一例であり、縁部ローラの形状はこれに限定されない。例えば、縁部ローラは、鍔部を備えないストレートな円筒形状であってもよい。または、縁部ローラは、両端に縁部を備えるI形の形状を有していてもよい。縁部ローラの回転軸は、上記実施形態では、正面視において上下方向に延びていたが、正面視において左右方向に傾いた角度に延びていてもよい。
【0059】
種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。本明細書は以下の発明を含んでおり、以下の発明は、上記した実施形態には限定されない。
【0060】
本発明(1)は、円筒状のドラムと、ドラムの軸線方向の端部に配置され、タイヤの骨格部品に重ねてドラムに巻き付けられたサイドウォールに押し当てられる第1ローラと、ドラムの軸線方向の縁部に配置され、サイドウォールのうち骨格部品よりも軸線方向の外側にはみ出した部分を骨格部品に押し当てる第2ローラと、を備えたタイヤ製造装置である。
【0061】
本発明(2)は、本発明(1)に記載のタイヤ製造装置であり、ドラムを軸線周りに回転させる駆動部をさらに備えている。本発明(2)では、第2ローラは、ドラムの周方向に関して第1ローラとは異なる位置に配置されており、第1ローラによって押さえられた後にドラムの回転によって移動されたサイドウォールを押す。
【0062】
本発明(3)は、本発明(1)または(2)に記載のタイヤ製造装置であり、第2ローラは、ドラムの径方向に延びる回転軸と、回転軸周りに回転するように構成され、サイドウォールの外側にはみ出した部分に当接するローラ本体と、を備えている。
【0063】
本発明(4)は、本発明(3)に記載のタイヤ製造装置であり、ローラ本体は、ドラムの縁部よりも軸線方向の外側に設けられ、サイドウォールの外側にはみ出した部分に当接する第1部分と、第1部分よりもドラムの径方向の外側に設けられるとともに、第1部分よりも軸線方向の内側に延び、サイドウォールの外側にはみ出した部分とドラムの端部に巻き付けられた部分との境界部に当接する第2部分と、を備えている。
【0064】
本発明(5)は、本発明(4)に記載のタイヤ製造装置であり、第1部分は、回転軸周りの直径が均一な円筒形状を有し、ドラムの径方向に関して、ローラ本体の中央部および内方側の端部を構成している。
【0065】
本発明(6)は、本発明(4)または(5)に記載のタイヤ製造装置であり、第2部分のうち境界部に当接する面は、断面円弧状に形成されている。
【0066】
本発明(7)は、本発明(1)~(6)のいずれか一つに記載のタイヤ製造装置であり、ドラムの軸線方向の内側に向かって第2ローラを押すアクチュエータをさらに備えている。
【0067】
本発明(8)は、本発明(7)に記載のタイヤ製造装置であり、ドラムの軸線方向に揺動可能なように第2ローラを支持する揺動機構をさらに備えている。
【符号の説明】
【0068】
1 タイヤ製造装置
8 サイドウォール圧着装置
15 1stカバー(骨格部品)
16 サイドウォール
16a 端部
16c トリム部分(はみ出した部分)
16e 境界部
17 エイペックス
20 ドラム
20a 端部
20c 縁部
30 駆動部
50 端部ローラ(第1ローラ)
60 縁部ローラ(第2ローラ)
61 回転軸
62 ローラ本体
62a 押圧部(第1部分)
62b 鍔部(第2部分)
90 縁部押圧装置
91 エアシリンダ(アクチュエータ)
92 揺動機構
図1
図2
図3
図4