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特開2024-689パターン形成方法、半導体装置の製造方法、及びテンプレート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000689
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】パターン形成方法、半導体装置の製造方法、及びテンプレート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099537
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ オヌポン
【テーマコード(参考)】
5F146
【Fターム(参考)】
5F146AA31
(57)【要約】
【課題】レジストパターンの形成不良を抑制すること。
【解決手段】実施形態のパターン形成方法は、被加工膜の上に樹脂材を配置し、基準面から突出する複数のパターンを備えるテンプレートを樹脂材に押し当てて、基準面との接触面に沿う第1の方向に離れて配置される第1及び第2のパターンと、第1及び第2のパターンの間に配置される第3のパターンと、を有する第1の樹脂膜を形成し、第1の樹脂膜を覆う第2の樹脂膜を形成し、第2の樹脂膜を露光現像して、第1及び第2のパターンを露出させ、第1及び第2の樹脂膜を介して被加工膜を加工して、第1及び第2のパターンを被加工膜に転写する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜の上に樹脂材を配置し、
基準面から突出する複数のパターンを備えるテンプレートを前記樹脂材に押し当てて、前記基準面との接触面に沿う第1の方向に離れて配置される第1及び第2のパターンと、前記第1及び第2のパターンの間に配置される第3のパターンと、を有する第1の樹脂膜を形成し、
前記第1の樹脂膜を覆う第2の樹脂膜を形成し、
前記第2の樹脂膜を露光現像して、前記第1及び第2のパターンを露出させ、
前樹第1及び第2の樹脂膜を介して前記被加工膜を加工して、前記第1及び第2のパターンを前記被加工膜に転写する、
パターン形成方法。
【請求項2】
前記第2の樹脂膜を露光現像するときは、
前記第1及び第2のパターンを露出させるとともに、前記第3のパターン内に配置される前記第2の樹脂膜に第4のパターンを形成し、
前樹第1及び第2の樹脂膜を介して前記被加工膜を加工するときは、
前記第1及び第2のパターンとともに、前記第4のパターンを前記被加工膜に転写する、
請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記被加工膜の上に前記樹脂材を配置するときは、前記被加工膜上に前記樹脂材の液滴を滴下する、
請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記被加工膜上に前記液滴を滴下するときは、
前記第1乃至第3のパターンを形成する位置に、前記第1乃至第3のパターンのそれぞれの体積に応じた数の前記液滴を滴下する、
請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記被加工膜上に前記液滴を滴下するときは、
前記第1乃至第3のパターンのいずれかを形成する位置に、第1の樹脂材の液滴を滴下し、
前記第1乃至第3のパターンの他のいずれかを形成する位置に、前記第1の樹脂材とは種類が異なる第2の樹脂材の液滴を滴下する、
請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第3のパターンは、ダミーパターンを含む、
請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
被加工膜の上に樹脂材を配置し、
基準面から突出する複数のパターンを備えるテンプレートを前記樹脂材に押し当てて、前記基準面との接触面に沿う第1の方向に離れて配置される第1及び第2のパターンと、前記第1及び第2のパターンの間に配置される第3のパターンと、を有する第1の樹脂膜を形成し、
前記第1の樹脂膜を覆う第2の樹脂膜を形成し、
前記第2の樹脂膜を露光現像して、前記第1及び第2のパターンを露出させ、
前樹第1及び第2の樹脂膜を介して前記被加工膜を加工して、前記第1及び第2のパターンが前記被加工膜に転写された第1及び第2の凹部を形成し、
前記第1及び前記第2の凹部内に金属層を形成する、
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第3のパターンは、ダミーパターンを含む、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基準面と、
前記基準面から突出する第1のパターンと、
前記基準面から突出し、前記基準面に沿う第1の方向で前記第1のパターンを挟む第2及び第3のパターンと、を備える、
テンプレート。
【請求項10】
前記第1のパターンは、ダミーパターンを含む、
請求項9に記載のテンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パターン形成方法、半導体装置の製造方法、及びテンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、テンプレートのパターンを被加工膜上のレジスト膜に転写して、被加工膜に所望のパターンを形成するインプリント処理が行われることがある。しかしながら、パターン転写領域内の被覆率が異なる場合、パターンの疎らな領域でレジスト膜に気泡等が混入し、レジストパターンの形成不良が発生してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-011431号公報
【特許文献2】特開2014-160754号公報
【特許文献3】特開2008-244259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、レジストパターンの形成不良を抑制することが可能なパターン形成方法、半導体装置の製造方法、及びテンプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のパターン形成方法は、被加工膜の上に樹脂材を配置し、基準面から突出する複数のパターンを備えるテンプレートを前記樹脂材に押し当てて、前記基準面との接触面に沿う第1の方向に離れて配置される第1及び第2のパターンと、前記第1及び第2のパターンの間に配置される第3のパターンと、を有する第1の樹脂膜を形成し、前記第1の樹脂膜を覆う第2の樹脂膜を形成し、前記第2の樹脂膜を露光現像して、前記第1及び第2のパターンを露出させ、前樹第1及び第2の樹脂膜を介して前記被加工膜を加工して、前記第1及び第2のパターンを前記被加工膜に転写する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図2】実施形態1にかかるインプリント装置の構成例を示す図。
図3】実施形態1にかかるテンプレートの構成の一例を示す模式図。
図4】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図5】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図6】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図7】実施形態1にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図8】実施形態1にかかるテンプレートの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図9】実施形態1にかかるテンプレートの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図10】実施形態1にかかるテンプレートの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図11】比較例にかかるテンプレートを用いたインプリント処理の手順の一部を例示する断面図。
図12】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図13】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図14】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図15】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図16】実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図17】実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図18】実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図19】実施形態2にかかるインプリント装置の構成例を示す図。
図20】実施形態2にかかるインプリント装置におけるインプリント処理の手順の一部を例示する断面図。
図21】実施形態2の変形例1にかかるテンプレートを用いたインプリント処理の手順の一部を例示する断面図。
図22】実施形態2の変形例2にかかるインプリント処理の手順の一部を例示する上面図。
図23】実施形態2の変形例3にかかるインプリント処理の手順の一部を例示する断面図。
図24】実施形態2の変形例4にかかるテンプレートを用いたインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
図25】実施形態2の変形例4にかかるテンプレートを用いたインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(半導体装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体装置MDVの構成の一例を示す断面図である。図1(a)は半導体装置MDVの概略構成を示す断面図であり、図1(b)は半導体装置MDVが備えるピラーPLの拡大断面図である。なお、図1(a)においては、図面の視認性を高めるためハッチングが省略されている。
【0010】
図1(a)に示すように、半導体装置MDVは、シリコン基板等の基板SB上に、周辺回路CUA、ソース線SL、及び積層体LMをこの順に備える。周辺回路CUAは、基板SB上に形成されたトランジスタTR等を備え、後述するメモリセルの電気的な動作に寄与する。周辺回路CUAは、シリコン酸化膜等の絶縁膜51で覆われている。絶縁膜51上には、導電性のポリシリコン層等であるソース線SLが形成されている。
【0011】
ソース線SL上の積層体LMは、複数のワード線WLが積層された構成を有している。ワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。ワード線WLの積層数は、例えば数十~百程度である。図1(a)においては図示を省略しているが、複数のワード線WL間には、それぞれ酸化シリコン層等の絶縁層OL(図1(b)参照)が介在されている。
【0012】
積層体LMは、メモリ領域MR、コンタクト領域PR、及び貫通コンタクト領域TPを備え、それぞれの領域には、複数のピラーPL、及び複数のコンタクトCC,C4が設けられている。積層体LMは全体が、シリコン酸化膜等の絶縁膜52で覆われている。
【0013】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LMを貫通してソース線SLに到達している。ピラーPLの詳細の構成を図1(b)に示す。
【0014】
図1(b)に示すように、ピラーPLは、ピラーPLの外周から順にメモリ層ME、及びチャネル層CNを備え、チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。メモリ層MEは、ピラーPLの外周から順にブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNが積層された多層構造を有する。なお、ピラーPLの下端部にはメモリ層MEは配置されておらず、その内側のチャネル層CNがソース線SLと接続されている。
【0015】
チャネル層CNは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。コア層CR、トンネル絶縁層TN、及びブロック絶縁層BKは、例えば酸化シリコン層等である。電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。
【0016】
このような構成により、ピラーPLとワード線WLとの交差部には、高さ方向に並ぶ複数のメモリセルMCが形成される。ワード線WLから同じ高さ位置のメモリセルMCに所定の電圧を印加することで、メモリセルMCの電荷蓄積層CTに電荷を蓄積し、あるいは電荷蓄積層CTから電荷を引き出して、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。メモリセルMCから読み出されたデータは、ピラーPL情報のプラグ及び上層配線等を介して図示しないセンスアンプに伝達される。
【0017】
複数のコンタクトCCのそれぞれは、積層体LMに含まれる複数のワード線WLのうち、いずれかのワード線WLの深さ位置にまで到達し、そのワード線WLに接続されている。また、複数のコンタクトCCのそれぞれは、上層配線およびプラグを介して複数のコンタクトC4に接続されている。
【0018】
複数のコンタクトC4は、積層体LM及びソース線SLを貫通し、積層体LM下方の絶縁膜51に到達している。絶縁膜51中で、複数のコンタクトC4のそれぞれの下端部は、下層配線、ビア、及びコンタクト等を介して周辺回路CUAのトランジスタTRに接続されている。
【0019】
このような構成により、周辺回路CUAから、コンタクトC4,CCを介してそれぞれのメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを電気的に動作させることができる。
【0020】
上記構成を備える半導体装置MDVにおいて、高度の3次元構造を有する立体的な形状を有する構成については、例えばテンプレートを用いたインプリント処理によって簡便に形成することができる。高度の3次元構造を有する構成としては、例えばコンタクトC4と周辺回路CUAとを電気的に接続するビアと配線とが一括形成されたデュアルダマシン構造DD、及び積層体LMの異なる深さのワード線WLにそれぞれ到達する複数のコンタクトCC等がある。
【0021】
(インプリント装置の構成例)
次に、図2を用いて、上述の半導体装置MDVの製造工程で用いられるインプリント装置1の構成例について説明する。
【0022】
図2は、実施形態1にかかるインプリント装置1の構成例を示す図である。図2に示すように、インプリント装置1は、テンプレートステージ81、ウェハステージ82、アライメントスコープ83、スプレッドスコープ84、基準マーク85、アライメント部86、ステージベース88、光源89、及び制御部90を備えている。
【0023】
また、インプリント装置1には、ウェハ30上のレジストにパターンを転写するテンプレート10がインストールされている。テンプレート10は、石英等の透明部材で構成されており、ウェハ30が載置されるウェハステージ82側に転写パターンを向けて配置される。ウェハ30は、例えば円盤状のシリコン基板等であって、後にチップに切り出されて、上述の半導体装置MDVの基板SBとなる。
【0024】
ウェハステージ82は、ウェハチャック82b及び本体82aを備える。ウェハチャック82bは、ウェハ30を本体82a上の所定位置に固定する。ウェハステージ82上には、基準マーク85が設けられている。基準マーク85は、ウェハ30をウェハステージ82上にロードする際の位置合わせに用いられる。
【0025】
ウェハステージ82は、ウェハ30を載置するとともに、載置したウェハ30と平行な平面内(水平面内)を移動する。ウェハステージ82は、ウェハ30への転写処理を行う際、ウェハ30をテンプレート10の下方側に移動させる。
【0026】
ステージベース88は、テンプレートステージ81によってテンプレート10を支持するとともに、上下方向(鉛直方向)に移動することにより、テンプレート10の転写パターンをウェハ30上のレジストに押し当てる。
【0027】
ステージベース88上には、アライメント部86が設けられている。アライメント部86は、ウェハ30及びテンプレート10にそれぞれ設けられたアライメントマーク等に基づき、ウェハ30の位置検出やテンプレート10の位置検出を行う。
【0028】
アライメント部86は、検出系86a及び照明系86bを備える。照明系86bは、ウェハ30及びテンプレート10に光を照射する。検出系86aは、アライメントスコープ83により、ウェハ30及びテンプレート10のアライメントマークの画像を検出し、その検出結果に基づきウェハ30とテンプレート10との位置合わせを行う。また、検出系86aは、スプレッドスコープ84により、ウェハ30のレジストにテンプレート10が押し当てられた際、テンプレート10の転写パターンにレジストが充填されたか否かを検出する。
【0029】
検出系86a及び照明系86bは、結像部として機能するダイクロイックミラー等のミラー86x,86yをそれぞれ備える。ミラー86x,86yは、照明系86bからの光によってウェハ30及びテンプレート10からの画像を結像させる。
【0030】
具体的には、照明系86bからの光Lbは、ミラー86yによりテンプレート10及びウェハ30が配置される下方へと反射される。ウェハ30及びテンプレート10からの光Laは、ミラー86xにより検出系86a側へと反射され、スプレッドスコープ84へと進行する。ウェハ30及びテンプレート10からの光Lcは、ミラー86x,86yを透過して、上方のアライメントスコープ83へと進行する。
【0031】
光源89は、レジストを硬化することが可能な紫外光等の光を照射する装置であり、ステージベース88の上方に設けられている。光源89は、テンプレート10がレジストに押し当てられた状態で、テンプレート10上から光を照射する。ただし、レジストを硬化することが可能であれば、光源89が照射する光は、紫外光以外の赤外光、可視光、または電磁波等であってもよい。
【0032】
制御部90は、インプリント装置1を制御するための各種処理を行う情報処理装置である。制御部90は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備え、プログラムにしたがって所定の演算処理および制御処理を行うコンピュータを含んで構成される。
【0033】
制御部90は、アライメントスコープ83及びスプレッドスコープ84等により取得された観測画像に基づいて、テンプレートステージ81、ウェハステージ82、ステージベース88、及び光源89等を制御する。
【0034】
(テンプレートの構成例)
次に、図3を用いて、上述のインプリント装置1によるインプリント処理に用いられるテンプレート10の構成例について説明する。ここでは、高度の3次元構造を有する構成の一例として、積層体LMの異なる深さのワード線WLにそれぞれ到達する複数のコンタクトCCを形成するためのテンプレート10の例について説明する。
【0035】
図3は、実施形態1にかかるテンプレート10の構成の一例を示す模式図である。図3(a)はテンプレート10の実パターンAC及びダミーパターンDMの拡大断面図であり、図3(b)はテンプレート10の全体構成を示す断面図である。
【0036】
図3(b)に示すように、実施形態1のテンプレート10は、例えば石英等の透明基板BAを備える。透明基板BAは、透明基板BAの一方の面である表面側に突出するメサ部MSを備える。透明基板BAの裏面側にはザグリCNが形成されている。これにより、透明基板BAの裏面中央部は窪んでいる。
【0037】
メサ部MSには、複数の実パターンAC及びダミーパターンDMが設けられている。複数の実パターンACは、後述する被加工膜に転写されて、半導体装置MDVの一部構成となるパターンである。ダミーパターンDMは、後述する被加工膜に転写されることなく消失するダミーのパターンである。
【0038】
図3(a)に示すように、複数の実パターンAC及びダミーパターンDMは、メサ部MSの基準面RPから突出している。複数の実パターンACは、例えばメサ部MSの基準面RPに沿う方向に離れて配置されている。複数のダミーパターンDMは、複数の実パターンAC間、及びメサ部MSの外縁部側に配置される。
【0039】
実パターンACのそれぞれは、基準面RPからの突出高さが異なる複数の柱状パターンCLを含む。図3(a)の例では、これらの柱状パターンCLは、一方方向に向かって順次、高くなっていく。ただし、複数の柱状パターンCLの配置および並び順は、図3(a)の例に限らず任意である。
【0040】
図3(a)の例において、隣接する柱状パターンCL同士の高さの差は、例えば数nm~数百nm程度である。これらの柱状パターンCLは、例えば基準面RPに占める面積が略等しく、高さが異なる四角柱となっている。これらの柱状パターンCLの数は例えば数十~百程度である。
【0041】
複数の実パターンACの一方方向両側には、それぞれの実パターンACを一方方向両側から挟み込む1対のダミーパターンDMが配置されている。また、複数の実パターンACの間には、それぞれ複数のダミーパターンDMが配置されている。ダミーパターンDMのそれぞれは、凸状の形状を有する凸パターンとなっており、互いに所定間隔を空けて、実パターンACの配置位置を除く、メサ部MSの全面に亘って配置されている。
【0042】
(半導体装置の製造方法)
次に、図4図6を用いて、上述のインプリント装置1におけるインプリント処理を含む半導体装置MDVの製造方法の例について説明する。
【0043】
図4図6は、実施形態1にかかる半導体装置MDVの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。図4図6に示す処理は、上述のテンプレート10を用いたインプリント処理を含むパターン形成方法でもある。
【0044】
図4(a)に示すように、下地膜UF上に被加工膜PFを形成する。下地膜UFは、上述の半導体装置MDVにおける周辺回路CUAを覆う絶縁膜51、及び絶縁膜51上に形成されるソース線SL等である。被加工膜PFは、例えば窒化層と酸化層とが複数交互に積層された多層膜である。被加工膜PFは、後に窒化層がタングステン層等に置き換えられて、上述の半導体装置MDVの積層体LMとなる。
【0045】
被加工膜PF上にはレジスト膜91を形成する。レジスト膜91は、例えば光硬化型樹脂膜等であって、例えばスピンコート法等を用いて、被加工膜PF上にレジスト材を塗布することで形成される。
【0046】
このとき、レジスト膜91は、例えばテンプレート10のメサ部MS内の実パターンAC及びダミーパターンDMが転写される被加工膜PF上の領域全体を覆うように形成される。レジスト膜91は、この段階では未硬化の状態となっている。
【0047】
レジスト膜91の上記のような形成処理は、例えばインプリント装置1にウェハ30を搬入する前に、薬液塗布装置等の別の装置で実施されてよい。
【0048】
このレジスト膜91に、テンプレート10の複数の柱状パターンCLを転写するため、柱状パターンCLが形成された面を被加工膜PF側に向けて、テンプレート10をレジスト膜91に対向させる。
【0049】
図4(b)に示すように、テンプレート10の柱状パターンCLを被加工膜PF上のレジスト膜91に押し当てる。このとき、テンプレート10のメサ部MSが被加工膜PFに接触しないよう、突出量の最も大きい柱状パターンCL及び被加工膜PF間に若干の隙間を設ける。
【0050】
この状態を所定時間維持することで、レジスト膜91がテンプレート10の複数の柱状パターンCLの間、及び複数のダミーパターンDMの間に浸透していく。レジスト膜91が、これらの柱状パターンCL間およびダミーパターンDM間に行き渡ったら、テンプレート10をレジスト膜91に押し当てたまま、テンプレート10を透過させて紫外光等の光をレジスト膜91に照射する。これにより、レジスト膜91が硬化する。
【0051】
図4(c)に示すように、テンプレート10を離型すると、テンプレート10の基準面RPとの接触面を上面とするレジストパターン91pが形成される。レジストパターン91pの接触面には、複数のコンタクトパターンPP、及び複数の凹パターンDPが形成されている。
【0052】
複数のコンタクトパターンPPは、テンプレート10の実パターンACが転写されたパターンである。複数のコンタクトパターンPPは互いに離れて配置され、それぞれが、テンプレート10の柱状パターンCLが転写された複数のホールパターンCPを有する。
【0053】
複数の凹パターンDPは、ダミーパターンDMが転写されたパターンであり、それぞれが凹状の形状を有する。複数の凹パターンDPは、複数のコンタクトパターンPPのそれぞれを挟み込むとともに、複数のコンタクトパターンPPの間に配置される。
【0054】
なお、上述のように、テンプレート10と被加工膜PFとの間に隙間を設けた状態でレジスト膜91を硬化させているので、レジストパターン91pは、ホールパターンCPのうち最も深穴のホールパターンCPの底部にレジスト残膜91rを有している。同様に、レジストパターン91pは、それぞれの凹パターンDPの底部にレジスト残膜91rを有している。
【0055】
ここで、フォトリソグラフィ技術では、レジストパターン91pのように、レジスト膜中の到達深さが異なる複数のパターンを有するレジストパターンを一括形成することは困難である。このため、例えばレジスト膜の形成、露光現像、及び被加工膜の加工を複数回に亘って繰り返す処理が必要となる。
【0056】
上記のように、テンプレート10を用いた技術によれば、レジスト膜91中の到達深さの異なる複数のパターンが、1回のインプリント処理でレジスト膜91に形成される。
【0057】
図5(a)に示すように、レジストパターン91pを覆うレジスト膜92を形成する。レジスト膜92は、フォトリソグラフィ等で用いられる感光性のポジ型レジスト膜等であって、例えばスピンコート法等を用いて、レジストパターン91p上にポジ型のレジスト材を塗布することで形成される。
【0058】
レジスト膜92もまた、薬液塗布装置等のインプリント装置1とは別の装置で実施されてよい。この場合、レジストパターン91pが形成されたウェハ30を一旦、インプリント装置1から搬出し、薬液塗布装置にてレジスト膜92を形成した後、光露光装置に搬入することができる。また、レジスト層92を形成する前に、レジストパターン91p表面の真空紫外光(VUV:Vacuum Ultra Violet)処理等の表面処理を行ってもよい。
【0059】
図5(b)に示すように、レジスト膜92の一部を露光するため、フォトマスク40をレジスト膜92に対向させて配置する。フォトマスク40は、透明基板41と、遮光膜パターン42pとを備えている。
【0060】
遮光膜パターン42pは複数の開口部42opを有する。複数の開口部42opは、被加工膜PF上のレジストパターン91pに形成された複数のコンタクトパターンPPと上下に重なる位置に配置されている。複数の開口部42opは、複数のコンタクトパターンPPが形成された領域よりも大きく形成されており、個々のコンタクトパターンPPの全体が、開口部42opの下方位置に収まるように配置される。
【0061】
フォトマスク40をレジスト膜92に対向させた状態で、フォトマスク40の開口部42opを透過させて紫外光等の露光光をレジスト膜92に照射する。これにより、レジストパターン91pを覆うレジスト膜92のうち、複数のコンタクトパターンPPを覆う部分が露光される。
【0062】
図5(c)に示すように、一部を露光したレジスト膜92を現像することで、レジストパターン91pのコンタクトパターンPPと重なる位置に開口部92opを有するレジストパターン92pが形成される。これにより、レジスト膜92で覆われていたレジストパターン91pのうちコンタクトパターンPPが、レジストパターン92pの開口部92opから露出する。
【0063】
図6(a)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、最も深穴のホールパターンCP底部のレジスト残膜91rを除去する。これにより、最も深穴のホールパターンCP底部に被加工膜PFの上面が露出する。また、レジストパターン91p,92pの膜厚が全体的に減少する。
【0064】
図6(b)に示すように、レジストパターン91p,92pを介して被加工膜PFを加工する。これにより、レジストパターン91pから露出した被加工膜PFが除去されて、最も深穴のホールパターンCPが転写されたコンタクトホールCHが形成される。
【0065】
また、酸素プラズマ等を用いてレジストパターン91pの膜厚を減少させて、最も深穴のホールパターンCPに隣接するホールパターンCP底部のレジスト残膜91rを除去し、新たに被加工膜PFを露出させる。このとき、レジストパターン92pも膜厚も、レジストパターン91pとともに減少する。
【0066】
図6(c)に示すように、レジストパターン91p,92pを介した被加工膜PFの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン91pから新たに露出した被加工膜PFの上面が除去されて、新たなコンタクトホールCHが形成される。被加工膜PFにおける既存のコンタクトホールCHの到達深さは更に増す。
【0067】
また、酸素プラズマ等を用いてレジストパターン91pの膜厚を減少させて、新たに形成されたコンタクトホールCHに隣接するホールパターンCP底部から新たに被加工膜PFを露出させる。
【0068】
図6(d)に示すように、レジストパターン91p,92pを介した被加工膜PFの加工と、酸素プラズマ等によるレジストパターン91p,92pの減膜とを更に継続する。これにより、レジストパターン91pから新たに露出した被加工膜PFの上面が除去されて、新たなコンタクトホールCHが形成される。被加工膜PFにおける複数のコンタクトホールCHの到達深さが更に増していく。
【0069】
図6(e)に示すように、レジストパターン91p,92pを介した被加工膜PFの加工と、酸素プラズマ等によるレジストパターン91p,92pの減膜とを更に継続する。これにより、被加工膜PFにおける複数のコンタクトホールCHの到達深さが更に増していくとともに、テンプレート10により転写されたホールパターンCPの深さが深い順に、ホールパターンCP底部から新たに被加工膜PFが露出していき、新たなコンタクトホールCHが形成されていく。
【0070】
図6(f)に示すように、上記のような加工を継続することにより、被加工膜PFにおける到達深さが異なる複数のコンタクトホールCHが被加工膜PFに形成される。一方で、複数の凹パターンDPは被加工膜PFには転写されない。
【0071】
このように、複数のコンタクトホールCHが形成された領域は、上述の半導体装置MDVにおけるコンタクト領域PR(図1参照)となる。その後、残ったレジストパターン91p,92pが除去される。
【0072】
以上により、テンプレート10を用いたパターン形成処理が終了する。
【0073】
なお、上記のインプリント処理に際し、例えばテンプレート10が有する角型の柱状パターンCLは、レジスト膜91に転写される際に、角部が丸みを帯びた形状に転写されてもよい。また、レジストパターン91pを用いて、被加工膜PFに複数のコンタクトホールCHを形成する際、コンタクトホールCHの角部が更に丸みを帯びた形状に加工されてもよい。
【0074】
また、上記の図6の例では、被加工膜PFに対する加工処理中のレジストパターン91p,92pの除去レートが略等しいこととした。しかし、複数のコンタクトホールCHが完成するまでの間、レジストパターン91p,92pの両方が残っていれば、これらの除去レートは等しくなくともよい。つまり、例えば複数のコンタクトホールCHの形成後、レジストパターン91p,92pのいずれかの残膜が他方の残膜より薄くなっていてもよい。
【0075】
その後、被加工膜PFに形成された複数のコンタクト領域PR間に、メモリセルMCを形成させるピラーPL(図1参照)を形成する。また、多層構造を有する被加工膜PFの窒化シリコン層をタングステン層等のワード線WLに置き換えるリプレース処理を行って、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが交互に積層される積層体LMを形成する。
【0076】
また、テンプレート10を用いて形成した複数のコンタクトホールCHの側壁を絶縁層で覆い、絶縁層の内側を金属層で充填することで、深さの異なるワード線WLにそれぞれ接続される複数のコンタクトCCが形成される。
【0077】
上述のように、積層体LMに形成されるコンタクトホールCHは、図4図6に示す処理を通じて、例えば角部が丸みを帯びた形状となっている。このため、コンタクトホールCH内に金属層を埋め込んで、コンタクトCCとして機能させた場合、コンタクトCCが鋭角部分を有することによる電力集中等を抑制することができる。
【0078】
以上により、実施形態1の半導体装置MDVが製造される。
【0079】
(テンプレートの製造方法)
次に、図7図10を用いて、上述のテンプレート10、及びテンプレート10の製造に用いるマスタテンプレート10mの製造方法について説明する。
【0080】
上記のように、テンプレート10の製造に際しては、まず、テンプレート10の原版となるマスタテンプレート10mを製造する。1つのマスタテンプレート10mからは、同じ構成を有する複数のテンプレート10を製造することができる。
【0081】
図7は、実施形態1にかかるマスタテンプレート10mの製造方法の手順の一部を例示する断面図である。図7には、製造途中のマスタテンプレート10mのメサ部の一部拡大断面図を示す。
【0082】
図7(a)に示すように、マスタテンプレート10mの透明基板の表面に突出するメサ部に複数の凸パターンCVXを形成する。また、複数の凸パターンCVXのうち、互いに離れた位置にある凸パターンCVXの上面をクロム膜等のマスク膜で覆い、複数のホールパターン71hを有するマスクパターン71pを形成する。またこのとき、他の凸パターンCVXを含めたメサ部または透明基板の上面全体を、図示しないクロム膜等のマスク膜で覆ってもよい。
【0083】
透明基板のメサ部は、例えば透明基板を機械加工により研削することで形成される。メサ部の凸パターンCVXは、レーザ加工またはマスク膜等を用いたエッチング加工等で形成される。複数のホールパターン71hは、例えば電子ビーム等を用いた電子描画技術でマスク膜を加工することで形成される。
【0084】
図7(b)に示すように、マスクパターン71pの一部を覆うレジストパターン101pを、複数の凸パターンCVXの一部を覆うように形成する。レジストパターン101pは、例えば感光性の有機膜等であるレジスト膜を透明基板上に塗布して一部を感光させることで形成される。
【0085】
このとき、これらの凸パターンCVXのうち、マスクパターン71pが形成された凸パターンCVXの互いから離れた側の端部を露出させる。
【0086】
つまり、図7(b)においては、マスクパターン71pが形成された凸パターンCVXの紙面左側に離れた位置に、マスクパターン71pが形成されたもう1つの凸パターンCVXが位置している。また、図7(b)のマスクパターン71pが形成された凸パターンCVXの紙面右側端部が、レジストパターン101pから露出した状態となっている。
【0087】
レジストパターン101pから露出したマスクパターン71pを介して、凸パターンCVXを加工し、凸パターンCVXの所定深さに到達するホールパターンHLを形成する。
【0088】
図7(c)に示すように、レジストパターン101pを酸素プラズマ等によってスリミングする。これにより、マスクパターン71p上のレジストパターン101pの端部が後退し、凸パターンCVX上のマスクパターン71pが更に露出する。
【0089】
また、レジストパターン101pから露出したマスクパターン71pを介して凸パターンCVXを加工して、凸パターンCVXの所定深さに到達するホールパターンHLを新たに形成する。またこのとき、既に形成済みのホールパターンHLがより深く加工される。これにより、凸パターンCVXにおける到達深さが異なる複数のホールパターンHLが形成される。
【0090】
図7(d)に示すように、レジストパターン101pを酸素プラズマ等でスリミングし、レジストパターン101pの端部を更に後退させて、マスクパターン71pを更に露出させる。
【0091】
また、レジストパターン101pから露出したマスクパターン71pを介して凸パターンCVXを加工して、凸パターンCVXの所定深さに到達するホールパターンHLを新たに形成する。またこのとき、既に形成済みの複数のホールパターンHLがより深く加工され、凸パターンCVXにおける到達深さが順に増していく複数のホールパターンHLが形成される。
【0092】
図7(e)に示すように、レジストパターン101pのスリミングと、凸パターンCVXの加工とを繰り返し、凸パターンCVXにおける到達深さが順に増していく複数のホールパターンHLを形成する。これにより、マスタテンプレート10mが製造される。その後、残ったレジストパターン101p及びマスクパターン71pは除去される。
【0093】
このように製造されたマスタテンプレート10mを用いて、以下に述べるインプリント処理を行うことで、実施形態のテンプレート10が製造される。
【0094】
なお、上記の説明では、スリミングによりレジストパターン101pの端部を後退させていき、マスクパターン71pのホールパターン71hを順次露出させることとした。しかし、ホールパターン71hを1つ露出させて新たなホールパターンHLを形成するたびごとに、レジストパターン101pを一旦アッシング除去し、次のホールパターン71hが露出する位置まで端部が後退した新たなレジストパターン101pを露光現像してもよい。
【0095】
スリミングによって精度の高いレジストパターン101pの加工が困難である場合には、スリミングに替えて、レジストパターン101pの露光現像を繰り返すことで、高精度にホールパターンHLを形成することができる。
【0096】
図8図10は、実施形態1にかかるテンプレート10の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。図8図10には、製造途中のテンプレート10のメサ部MSの一部拡大断面図を示す。
【0097】
図8(a)に示すように、テンプレート10の透明基板BA(図3(b)参照)の表面に突出するメサ部MSを形成し、メサ部MSの上面をレジスト膜102で覆う。またこのとき、メサ部MSを除く透明基板BAの上面全体を、図示しないクロム膜等のマスク膜で覆ってもよい。
【0098】
透明基板BAのメサ部MSは、上述のマスタテンプレート10mの場合と同様、例えば透明基板BAを機械加工により研削することで形成される。レジスト膜102は、例えば紫外線等を照射することで硬化する光硬化型樹脂膜等であり、スピンコート等によるレジスト材の塗布、または、インクジェット方式によるレジスト材の滴下等によって形成される。この時点で、レジスト膜102は未硬化の状態である。
【0099】
このレジスト膜102に、マスタテンプレート10mの凸パターンCVX及びホールパターンHLを転写するため、凸パターンCVX及びホールパターンHLが形成された面をテンプレート10側に向け、マスタテンプレート10mをレジスト膜102に対向させる。
【0100】
図8(b)に示すように、マスタテンプレート10mのホールパターンHLをメサ部MS上のレジスト膜102に押し当てる。このとき、マスタテンプレート10mのメサ部がテンプレート10のメサ部MSに接触しないよう、これらのメサ部間に若干の隙間を設ける。
【0101】
これにより、レジスト膜102の一部が、マスタテンプレート10mの凸パターンCVX間およびホールパターンHL内に充填される。この状態で、マスタテンプレート10mをレジスト膜102に押し当てたまま、マスタテンプレート10mを透過させた紫外光等の光をレジスト膜102に照射すると、レジスト膜102が硬化する。
【0102】
図9(a)に示すように、マスタテンプレート10mを離型すると、マスタテンプレート10mの凸パターンCVX及びホールパターンHLが転写されたレジストパターン102pが形成される。上述のように、マスタテンプレート10mのメサ部とテンプレート10のメサ部MSとの間に隙間を設けた状態でレジスト膜102を硬化させているので、レジストパターン102pは、転写された各パターンの底部を接続するレジスト残膜102rを有している。
【0103】
図9(b)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、各パターン底部のレジスト残膜102rを除去する。また、レジストパターン102pを介してメサ部MSを加工する。これにより、レジストパターン102pの膜厚が減少していくとともに、レジストパターン102pから露出したメサ部MSの上面が除去されて、レジストパターン102pが転写された複数のダミーパターンDM及び複数の柱状パターンCLが形成される。
【0104】
図9(c)に示すように、レジストパターン102pを介したメサ部MSの加工を更に継続すると、柱状パターンCL上の最も膜厚の薄かったレジストパターン102pが消失し、露出した柱状パターンCLの上端部が除去される。これにより、レジストパターン102pが消失した柱状パターンCLのメサ部MS上面からの突出量が、他の柱状パターンCLよりも減少する。
【0105】
その後も、レジストパターン102pを介したメサ部MSの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン102pから露出したメサ部MS上面が更に除去されていき、複数のダミーパターンDM及び複数の柱状パターンCLのメサ部MS上面からの突出量が相対的に増す。また、複数の柱状パターンCLb上のレジストパターン102pのうち、次に膜厚の薄かったレジストパターン102pが消失する。
【0106】
一方、最初にレジストパターン102pが消失した柱状パターンCLでは、上端部が更に除去されて、他の柱状パターンCLよりもメサ部MS上面からの突出量が更に小さくなる。
【0107】
図10(a)に示すように、レジストパターン102pを介したメサ部MSの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン102pから露出したメサ部MS上面が更に除去されていき、複数のダミーパターンDM及び複数の柱状パターンCLのメサ部MS上面からの突出量が相対的に増していく。また、複数の柱状パターンCLb上のレジストパターン102pのうち、次に膜厚の薄かったレジストパターン102pが消失する。
【0108】
一方、レジストパターン102pが消失し既に露出していた柱状パターンCLは、上端部が更に除去されて、他の柱状パターンCLよりもメサ部MS上面からの突出量が更に小さくなる。
【0109】
図10(b)に示すように、レジストパターン102pを介したメサ部MSの加工を更に継続する。これにより、複数のダミーパターンDM及び複数の柱状パターンCLのメサ部MS上面からの突出量が相対的に増すとともに、膜厚が薄かった順に、柱状パターンCL上のレジストパターン102pが消失していき、複数の柱状パターンCLが順次、露出し、また除去されていく。
【0110】
図10(c)に示すように、上記のような加工を継続することにより、メサ部MS上面から突出する複数のダミーパターンDM及び複数の実パターンACが形成される。複数の実パターンACのそれぞれには、メサ部MS上面からの突出量が順次増していく複数の柱状パターンCLが形成される。また、このとき露出しているメサ部MSの上面が、上述の基準面RPに相当することとなる。
【0111】
以上により、実施形態1のテンプレート10が製造される。
【0112】
なお、上述のテンプレート10の製造方法は、あくまでも一例であって、実施形態1のテンプレート10は、上記以外の方法で製造されてもよい。例えば上述の例によらず、マスタテンプレート10mを用いることなく、テンプレート10を製造してもよい。
【0113】
この場合、例えば透明基板BAのメサ部MS上面に、電子ビーム等によって直接、複数のダミーパターンDM及び複数の柱状パターンCLを描画してもよい。あるいは、クロム膜等を用いたマスクパターンと、レジスト膜等を用いたレジストパターンとを用いて、複数のダミーパターンDM及び複数の柱状パターンCLをエッチングにより形成してもよい。
【0114】
(比較例)
半導体装置の製造工程において、被加工膜における到達深さの異なる複数のコンタクトホール、または、ビアと配線とを一括形成するデュアルダマシン構造等が形成される場合がある。これらの構造を例えばフォトリソグラフィ技術を用いて形成しようとすると、レジスト膜の露光現像を複数回繰り返すなどして、製造工程が煩雑で高コストとなってしまう場合がある。
【0115】
一方、例えばテンプレートを用いたインプリント処理によれば、上記のような深さの異なるコンタクトホール、及びデュアルダマシン構造等が、一回のインプリント処理で容易に形成できる。
【0116】
しかしながら、インプリント処理にも幾つかの課題がある。以下、図11を用いて、比較例のテンプレート10xを用いたインプリント処理の例について説明する。図11は、比較例にかかるテンプレート10xを用いたインプリント処理の手順の一部を例示する断面図である。
【0117】
図11(a)に示すように、比較例のテンプレート10xは、メサ部MSxから突出する複数の実パターンACxを備える。複数の実パターンACxは、それぞれ複数の柱状パターンを有している。複数の実パターンACxの間には、他のパターンは配置されない。
【0118】
このように、比較例のテンプレート10xは、複数の実パターンACxが配置された密な領域と、パターンが配置されない疎な領域との差、つまり、粗密差が大きい構成を有している。
【0119】
図11(b)に示すように、比較例のテンプレート10xをレジスト膜91に押し当てると、複数の実パターンACxの間の疎な領域にレジスト膜91が浸透するまでには長時間を要する。また、テンプレート10xの疎な領域に接触するレジスト膜91に、気泡がトラップされてしまう場合もある。
【0120】
なお、インプリント処理においては、レジスト膜91に替えて、インクジェット方式で被加工膜PF上にレジスト材の液滴が配置されることがある。このようなインクジェット方式を用いたインプリント処理では、気泡がよりトラップされやすくなってしまう。
【0121】
図11(c)に示すように、テンプレート10xの疎な領域に気泡がトラップされたままレジスト膜91が硬化されると、複数の実パターンACxが転写された領域間にボイドVDを含むレジストパターン91xが形成されてしまう。
【0122】
このように、パターンの粗密差が大きいテンプレート10xを用いたインプリント処理では、レジスト膜91の充填に時間を要し、インプリント処理の効率が低下してしまう場合がある。また、レジストパターン91xの形成不良が生じてしまうことがある。また、パターンの粗密差が大きいテンプレート10xでは、メサ部MSxから突出した実パターンACxが破損しやすいという欠点もある。
【0123】
実施形態1のパターン形成方法によれば、レジスト膜91のテンプレート10の基準面RPとの接触面に沿う方向に離れて配置される複数のコンタクトパターンPPと、複数のコンタクトパターンPPの間に配置される凹パターンDPと、を有するレジストパターン91pを形成し、レジストパターン91pを覆うレジスト膜92を形成し、レジスト膜92を露光現像して、複数のコンタクトパターンPPを露出させ、レジストパターン91p,92pを介して被加工膜PFを加工して、複数のコンタクトパターンPPを被加工膜PFに転写する。
【0124】
このように、複数のコンタクトパターンPPの間に凹パターンDPが形成されることで、テンプレート10のパターン疎密差が低減される。これにより、テンプレート10の実パターンAC間へのレジスト膜91の充填時間が短縮されて、インプリント処理の効率を高めることができる。また、複数のコンタクトパターンPP間の領域にボイド等が生じることが抑制されて、レジストパターン91pの形成不良を抑制することができる。
【0125】
一方で、半導体装置MDVの構成に寄与しない凹パターンDPをレジストパターン92pで覆うことで、被加工膜PFに転写されることなく凹パターンDPを消失させることができる。
【0126】
実施形態1のテンプレート10によれば、基準面RPと、基準面RPから突出する実パターンACと、基準面RPから突出し、基準面RPに沿う方向で実パターンACを挟む複数のダミーパターンDMと、を備える。
【0127】
これにより、基準面RPから突出する実パターンACをダミーパターンDMによって保護することができ、実パターンACの破損を抑制することができる。よって、テンプレート10の寿命を延ばして、半導体装置MDVの製造コストを削減することができる。
【0128】
なお、上述の実施形態1では、高度の3次元構造を有する構成の一例として、積層体LMの異なる深さのワード線WLにそれぞれ到達する複数のコンタクトCCを半導体装置MDVに形成する例について説明した。
【0129】
しかし、例えばコンタクトC4と周辺回路CUAとを電気的に接続するビアと配線とが一括形成されたデュアルダマシン構造DD等のように、複数のコンタクトCC以外にも高度の3次元構造を有する構成に、上述の実施形態1の手法を適用することが可能である。
【0130】
例えばコンタクトC4と周辺回路CUAとを電気的に接続するビアと配線とが一括形成されたデュアルダマシン構造DDをインプリント処理により形成する場合、図1の絶縁層51を被加工膜として上述の各種処理を行うことができる。
【0131】
(変形例1)
上述の実施形態1では、レジストパターン91pを形成した後、レジストパターン91pをポジ型のレジスト膜92で覆うこととした。しかし、ポジ型のレジスト膜92に替えて、ネガ型のレジスト膜を用いることも可能である。図12に、ネガ型レジスト膜を用いる例を示す。
【0132】
図12は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。なお、図12においては、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0133】
図12(a)に示すように、変形例1の半導体装置の製造方法においても、上述の実施形態1の図4の処理と同様に、レジストパターン91pが形成される。
【0134】
また、変形例1の半導体装置の製造方法では、レジストパターン91pを覆うネガ型のレジスト膜94が形成される。レジスト膜94は、フォトリソグラフィ等で用いられる感光性のネガ型レジスト膜等であって、例えばスピンコート法等を用いて、レジストパターン91p上にネガ型のレジスト材を塗布することで形成される。
【0135】
図12(b)に示すように、レジスト膜94の一部を露光するため、フォトマスク40aをレジスト膜94に対向させて配置する。フォトマスク40aは、透明基板41と、遮光膜パターン43pとを備えている。遮光膜パターン43pは、被加工膜PF上のレジストパターン91pに形成された複数のコンタクトパターンPPと上下に重なる位置に配置されている。
【0136】
フォトマスク40aをレジスト膜94に対向させた状態で、遮光膜パターン43pで複数のコンタクトパターンPP上を遮光しつつ、フォトマスク40aの他の部分を透過させて紫外光等の露光光をレジスト膜94に照射する。これにより、レジストパターン91pを覆うレジスト膜94のうち、複数のコンタクトパターンPPを覆う部分以外が露光される。
【0137】
図12(c)に示すように、上記のように露光したレジスト膜94を現像することで、レジストパターン91pのコンタクトパターンPPと重なる位置に開口部94opを有するレジストパターン94pが形成される。これにより、レジスト膜94で覆われていたレジストパターン91pのうち、コンタクトパターンPPが露出する。
【0138】
以降、例えば上述の実施形態1の図6以降の処理が行われることにより、変形例1の半導体装置の製造方法が終了する。
【0139】
変形例1のパターン形成方法によれば、ネガ型のレジスト膜94を露光現像して、レジストパターン91pの複数のコンタクトパターンPPを露出させる。このとき、ネガ型のレジスト膜94においては露光されなかった部分が除去される。このため、例えば深穴のホールパターンCPの底部にまで進入したレジスト膜94を露光することなく除去することができる。つまり、ホールパターンCPの底部に露光光が到達しないリスクを回避して、レジスト膜94の露光現像をより容易に、また、より確実に行うことができる。
【0140】
変形例1のパターン形成方法によれば、その他、上述の実施形態1と同様の効果を奏する。
【0141】
(変形例2)
次に、図13図15を用いて、実施形態1の変形例2の半導体装置の製造方法について説明する。変形例2の半導体装置の製造方法では、被加工膜PFの複数のコンタクト領域PRの間にもパターンを転写する点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0142】
図13図15は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。図13図15に示す処理は、以下に述べる変形例2のテンプレート11を用いたインプリント処理を含むパターン形成方法でもある。
【0143】
なお、図13図15においては、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。また、変形例2においても、上述の実施形態1の図1に示す半導体装置MDVを製造することとする。
【0144】
図13(a)に示すように、変形例2のテンプレート11は、複数の実パターンACと、複数のダミーパターンDMと、複数の実パターンACの間に配置される1つのダミーパターンDMbと、を備える。
【0145】
ダミーパターンDMbは、凸状の形状を有する凸パターンとなっており、複数のダミーパターンDMよりもテンプレート11の基準面RP上に占める面積が大きい。これにより、ダミーパターンDMbは、複数の実パターンAC間の領域に跨って配置されている。
【0146】
図13(b)に示すように、テンプレート11の実パターンAC及びダミーパターンDM,DMbを被加工膜PF上のレジスト膜91に押し当てる。この状態を所定時間維持し、これらの実パターンAC及びダミーパターンDM,DMb間にレジスト膜91が行き渡ったら、テンプレート11を透過させて紫外光等の光をレジスト膜91に照射して硬化させる。
【0147】
図13(c)に示すように、テンプレート11を離型すると、複数のコンタクトパターンPP、複数の凹パターンDP、及び凹パターンDPbを有するレジストパターン191pが形成される。また、レジストパターン191pは、各パターン底部にレジスト残膜191rを有している。
【0148】
凹パターンDPbは、ダミーパターンDMbが転写された凹状のパターンであり、複数のコンタクトパターンPP間に配置されている。これにより、複数のコンタクトパターンPPのそれぞれは、凹パターンDP,DPbに挟み込まれるように配置される。
【0149】
図14(a)に示すように、レジストパターン191pを覆うレジスト膜92を形成する。
【0150】
図14(b)に示すように、フォトマスク40bをレジスト膜92に対向させて配置する。フォトマスク40bは、透明基板41と、遮光膜パターン44pとを備えている。
【0151】
遮光膜パターン44pは、上述の遮光膜パターン42pと同様、複数のコンタクトパターンPPと上下に重なる位置に、複数のコンタクトパターンPPよりも大きい複数の開口部42opを有する。また、遮光膜パターン44pは、凹パターンDPbと上下に重なる位置に、複数の開口部44opを有する。複数の開口部44opは、例えば凹パターンDPbと重なる領域内からはみ出すことなく配置されている。
【0152】
フォトマスク40bをレジスト膜92に対向させた状態で、フォトマスク40bの開口部42op,44opを透過させて紫外光等の露光光をレジスト膜92に照射する。これにより、レジストパターン191pを覆うレジスト膜92のうち、複数のコンタクトパターンPPを覆う部分、及び凹パターンDPb内の一部のレジスト膜92が露光される。
【0153】
図14(c)に示すように、一部を露光したレジスト膜92を現像することで、レジストパターン191pのコンタクトパターンPPと重なる位置に開口部192opを有し、凹パターンDPb内にメモリパターンMPを有するレジストパターン192pが形成される。メモリパターンMPは、複数のメモリホールパターンHPを有する。
【0154】
図15(a)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、最も深穴のホールパターンCP及び複数のメモリホールパターンHPの底部のレジスト残膜191rをそれぞれ除去する。これにより、最も深穴のホールパターンCP及び複数のメモリホールパターンHPの底部に被加工膜PFの上面が露出する。また、レジストパターン191p,192pの膜厚が全体的に減ずる。
【0155】
図15(b)に示すように、レジストパターン191p,192pを介して被加工膜PFを加工し、被加工膜PFに順次、コンタクトホールCHを形成していくとともに、複数のメモリホールMHを形成する。被加工膜PFの加工を継続することで、被加工膜PFにおける複数のコンタクトホールCH及び複数のメモリホールMHの到達深さが増していく。
【0156】
図15(c)に示すように、上記のような加工を継続することにより、被加工膜PFにおける到達深さが異なる複数のコンタクトホールCH、及び被加工膜PFにおける到達深さが略等しい複数のメモリホールMHが被加工膜PFに形成される。
【0157】
このように、複数のメモリホールMHが形成された領域は、上述の半導体装置MDVにおけるメモリ領域MR(図1参照)となる。また、複数の凹パターンDPと同様、凹パターンDPbは被加工膜PFには転写されない。その後、残ったレジストパターン191p,192pが除去される。
【0158】
以上により、変形例2のテンプレート11を用いたパターン形成処理が終了する。
【0159】
その後、複数のメモリホールMH内に上述のチャネル層CNを含む多層構造を積層して、メモリセルMCを形成させるピラーPL(図1参照)を形成する。また、被加工膜PFのリプレース処理を行って、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが交互に積層された積層体LMを形成する。また、複数のコンタクトホールCHの側壁を絶縁層で覆い、絶縁層の内側を金属層で充填して複数のコンタクトCCを形成する。
【0160】
以上により、変形例2の半導体装置の製造方法が終了する。
【0161】
変形例2のパターン形成方法によれば、レジスト膜92を露光現像するときは、レジストパターン191pのコンタクトパターンPPを露出させるとともに、凹パターンDPb内に配置されるレジスト膜92にメモリパターンMPを形成し、レジストパターン191p,192pを介して被加工膜PFを加工するときは、コンタクトパターンPPとともに、メモリパターンMPを被加工膜PFに転写する。
【0162】
これにより、被加工膜PFにおける到達深さが異なる複数のコンタクトホールCHと、被加工膜PFにおける到達深さが略等しい複数のメモリホールMHとを一括して形成することができる。このような手法を採ることで、半導体装置MDVを製造する際の工数およびコストを削減することができる。
【0163】
変形例2のパターン形成方法によれば、その他、上述の実施形態1と同様の効果を奏する。
【0164】
なお、上述の変形例2では、レジストパターン191pをポジ型のレジスト膜92で覆うこととしたが、上述の変形例1と同様、ネガ型のレジスト膜94で覆ってもよい。この場合、その後のレジスト膜94の露光は、レジスト膜92の露光領域を反転させた領域に対して行われる。
【0165】
(変形例3)
次に、図16図18を用いて、実施形態1の変形例3の半導体装置の製造方法について説明する。変形例3の半導体装置の製造方法では、被加工膜PFの複数のコンタクト領域PRの間に深さの異なるホールを形成する点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0166】
図16図18は、実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。図16図18に示す処理は、以下に述べる変形例3のテンプレート12を用いたインプリント処理を含むパターン形成方法でもある。
【0167】
なお、図16図18においては、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0168】
図16(a)に示すように、変形例3のテンプレート12は、複数の実パターンACと、複数のダミーパターンDMと、複数の実パターンACの間に配置されるダミーパターンDMd,DMsと、を備える。
【0169】
ダミーパターンDMd,DMsは、それぞれが凸状の形状を有する凸パターンとなっている。また、ダミーパターンDMsは、複数の実パターンAC間に、これらの実パターンACにそれぞれ隣接して配置され、ダミーパターンDMとともに、実パターンACを挟み込む。ダミーパターンDMdは、複数の実パターンACにそれぞれ隣接するダミーパターンDMsの間に配置される。
【0170】
図16(b)に示すように、テンプレート12の実パターンAC及びダミーパターンDM,DMd,DMsを被加工膜PF上のレジスト膜91に押し当てる。この状態を所定時間維持し、レこれらの実パターンAC及びダミーパターンDM,DMd,DMs間にレジスト膜91が行き渡ったら、テンプレート12を透過させて紫外光等の光をレジスト膜91に照射して硬化させる。
【0171】
図16(c)に示すように、テンプレート12を離型すると、複数のコンタクトパターンPP、複数の凹パターンDP,DPd,DPsを有するレジストパターン291pが形成される。また、レジストパターン291pは、は、各パターン底部にレジスト残膜291rを有している。
【0172】
凹パターンDPsは、ダミーパターンDMsが転写された凹状のパターンであり、複数のコンタクトパターンPP間に、これらのコンタクトパターンPPに隣接して配置されている。これにより、複数のコンタクトパターンPPのそれぞれは、凹パターンDP,DPsに挟み込まれるように配置される。
【0173】
凹パターンDPdは、ダミーパターンDMdが転写された凹状のパターンであり、複数のコンタクトパターンPPにそれぞれ隣接する凹パターンDPsの間に配置される。
【0174】
図17(a)に示すように、レジストパターン291pを覆うレジスト膜92を形成する。
【0175】
図17(b)に示すように、フォトマスク40cをレジスト膜92に対向させて配置する。フォトマスク40cは、透明基板41と、遮光膜パターン45pとを備えている。
【0176】
遮光膜パターン45pは、上述の遮光膜パターン42pと同様、複数のコンタクトパターンPPと上下に重なる位置に、複数のコンタクトパターンPPよりも大きい複数の開口部42opを有する。
【0177】
また、遮光膜パターン45pは、凹パターンDPdと上下に重なる位置に、複数の開口部45opを有する。複数の開口部45opは、凹パターンDPdと重なる領域内に配置されている。
【0178】
また、遮光膜パターン45pは、凹パターンDPd,DPsの間の、これらの凹パターンDPd,DPsから外れた位置に、複数の開口部46opを有する。つまり、複数の開口部46opは、凹パターンDPd,DPsの間のレジストパターン291pのテンプレート12との接触面上に配置される。
【0179】
フォトマスク40cをレジスト膜92に対向させた状態で、フォトマスク40cの開口部42op,45op,46opを透過させて紫外光等の露光光をレジスト膜92に照射する。これにより、レジストパターン291pを覆うレジスト膜92のうち、複数のコンタクトパターンPPを覆う部分、凹パターンDPd内の一部、及び凹パターンDPd,DPsから外れた部分のレジスト膜92が露光される。
【0180】
図17(c)に示すように、一部を露光したレジスト膜92を現像することで、レジストパターン291pのコンタクトパターンPPと重なる位置に開口部292opを有し、少なくとも凹パターンDPd内にホールパターンLPを有し、更に凹パターンDPd,DPsから外れた位置にホールパターンSPを有するレジストパターン292pが形成される。
【0181】
図18(a)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、最も深穴のホールパターンCP及び複数のホールパターンLPの底部のレジスト残膜291rをそれぞれ除去する。
【0182】
これにより、最も深穴のホールパターンCP及び複数のホールパターンLPの底部に被加工膜PFの上面が露出する。また、複数のホールパターンSPが、レジストパターン291pの接触面に転写される。また、レジストパターン291p,292pの膜厚が全体的に減少する。
【0183】
図18(b)に示すように、レジストパターン291p,292pを介して被加工膜PFを加工し、被加工膜PFに順次、コンタクトホールCHを形成していくとともに、複数のホールLHを形成する。被加工膜PFの加工を継続することで、被加工膜PFにおける複数のコンタクトホールCH及び複数のホールLHの到達深さが増していく。
【0184】
図18(c)に示すように、上記のような加工を継続することにより、被加工膜PFにおける複数のコンタクトホールCH及び複数のホールLHの到達深さが更に増していく。また、複数のホールパターンSPの底部に露出していたレジストパターン191pが除去されて、ホールパターンSPが被加工膜PFに転写され、複数のホールSHが形成されていく。
【0185】
これにより、被加工膜PFにおける到達深さが異なる複数のコンタクトホールCH、被加工膜PFにおける到達深さが略等しい複数のホールLH、及び複数のホールLHよりも到達深さが浅く、被加工膜PFにおける到達深さが略等しい複数のホールSHが被加工膜PFに形成される。
【0186】
以上により、テンプレート12を用いたパターン形成処理が終了する。
【0187】
その後、複数のコンタクト領域PR間にピラーPL(図1参照)を形成し、被加工膜PFをリプレースして積層体LMを形成し、また、複数のコンタクトホールCHに金属層等を埋め込んでコンタクトCCを形成する。また、複数のホールLH,SHに、適宜、所定の材料を埋め込んで、深さの異なる所望の構成を形成することができる。
【0188】
以上により、変形例3の半導体装置の製造方法が終了する。
【0189】
変形例3のパターン形成方法によれば、レジスト膜92を露光現像するときは、複数の凹パターンDPd内に配置されるレジスト膜92にホールパターンLPを形成し、複数の凹パターンDPd,DPsから外れた位置に配置されるレジスト膜92にホールパターンSPを形成して複数の凹パターンDPd,DPsの間にレジストパターン291pの接触面の一部を露出させ、ホールパターンLPを被加工膜PFに転写し、ホールパターンSPをホールパターンLPよりも浅く被加工膜PFに転写する。
【0190】
これにより、レジスト膜92の1回の露光現像で、被加工膜PFにおける到達深さの異なるホールLH,SHを一括して形成することができる。このような手法を採ることで、積層体LMにおける到達深さが様々に異なる種々の構成を有する半導体装置を効率的に製造することができ、製造時の工数およびコストをいっそう削減することができる。
【0191】
変形例3のパターン形成方法によれば、その他、上述の実施形態1と同様の効果を奏する。
【0192】
なお、上述の変形例3では、レジストパターン291pをポジ型のレジスト膜92で覆うこととしたが、上述の変形例1と同様、ネガ型のレジスト膜94で覆ってもよい。この場合、その後のレジスト膜94の露光は、レジスト膜92の露光領域を反転させた領域に対して行われる。
【0193】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2の構成においては、インクジェット方式でレジスト材を被加工膜上に配置してインプリント処理を行う点が、上述の実施形態1とは異なる。なお、以下では、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0194】
(インプリント装置の構成例)
図19は、実施形態2にかかるインプリント装置2の構成例を示す図である。図19に示すように、インプリント装置2は、上述の実施形態1のインプリント装置1の構成に加えて、液滴下装置87を備える。また、インプリント装置2は、上述の実施形態1のインプリント装置1の制御部90に替えて、制御部290を備える。
【0195】
液滴下装置87は、インクジェット方式によってウェハ30上にレジスト材を滴下する装置である。液滴下装置87が備えるインクジェットヘッドは、レジスト材の液滴を噴出する複数の微細孔を有しており、レジスト材の液滴をウェハ30上に配置する。
【0196】
制御部290は、液滴下装置87を含めたインプリント装置2の各部を制御する。また、制御部290は、ウェハステージ82を制御して、ウェハ30にレジスト材を滴下する際にはウェハ30を液滴下装置87の下方側に移動させ、ウェハ30への転写処理を行う際にはウェハ30をテンプレート10の下方側に移動させる。
【0197】
(半導体装置の製造方法)
次に、図20を用いて、上述のインプリント装置2におけるインプリント処理の例について説明する。
【0198】
図20は、実施形態2にかかるインプリント装置2におけるインプリント処理の手順の一部を例示する断面図である。図20に示す処理は、上述の図4の処理に相当しており、上述の実施形態1の半導体装置MDVの製造方法の一環として実施されてよく、また、テンプレート10を用いたインプリント処理を含むパターン形成方法の一部でもある。
【0199】
図20(a)に示すように、被加工膜PF上には、上述のインプリント装置2の液滴下装置87によって、レジスト材93が滴下される。これによって、複数の液滴が被加工膜PF上に配置される。レジスト材93の液滴は、例えばテンプレート10のメサ部MS内の実パターンAC及びダミーパターンDMが転写される被加工膜PF上の領域全体を覆うように配置される。レジスト材93は、上述のレジスト膜91と同様、例えば未硬化の光硬化型樹脂等である。
【0200】
このようにレジスト材93の液滴が配置された被加工膜PF側に、柱状パターンCLが形成された面を向けてテンプレート10を対向させる。
【0201】
図20(b)に示すように、テンプレート10の柱状パターンCLをレジスト材93の液滴に押し当てる。このとき、テンプレート10のメサ部MSが被加工膜PFに接触しないよう、突出量の最も大きい柱状パターンCL及び被加工膜PF間に若干の隙間を設ける。
【0202】
この状態を所定時間維持することで、レジスト材93の液滴が、被加工膜PFの表面に膜状に濡れ広がっていくとともに、テンプレート10の複数の柱状パターンCLの間、及び複数のダミーパターンDMの間に浸透していく。
【0203】
テンプレート10の柱状パターンCL及びダミーパターンDMの間にレジスト材93が充填されたら、テンプレート10を押し当てたまま、紫外光等の光をレジスト材93に照射して硬化させる。
【0204】
図20(c)に示すように、テンプレート10を離型すると、テンプレート10の基準面RPとの接触面を上面とするレジストパターン93pが形成される。レジストパターン93pの接触面には、複数のコンタクトパターンPP、及び複数の凹パターンDPが形成されている。レジストパターン93pもまた、ホールパターンCPのうち最も深穴のホールパターンCPの底部にレジスト残膜93rを有している。
【0205】
これ以降、上述の図5及び図6の処理が行われ、上述の実施形態1と同様、到達深さの異なる複数のホールCHが被加工膜PFに形成される。また、これらのホールCHからコンタクトCCを形成するなどして、例えば上述の半導体装置MDVを製造することができる。
【0206】
なお、上述の図5及び図6の処理において、ポジ型のレジスト膜92に替えて、上述の実施形態1の変形例1の場合と同様、ネガ型のレジスト膜94を用いてもよい。
【0207】
(概説)
実施形態2のパターン形成方法によれば、被加工膜上に前記樹脂材の液滴を滴下して、テンプレート10の柱状パターンCL及びダミーパターンDMが転写されたレジストパターン93pを形成する。
【0208】
上述のように、インクジェット方式を用いたインプリント処理では、パターンが疎らな領域において気泡がよりトラップされやすい。しかし、インクジェット方式を用いた場合であっても、上述の実施形態1の場合と同様、気泡のトラップを抑制して、レジストパターン93pの形成不良を抑制することができる。
【0209】
実施形態2のパターン形成方法によれば、この他、上述の実施形態1と同様の効果を奏する。
【0210】
(変形例1)
次に、図21を用いて、実施形態2の変形例1について説明する。変形例1の構成においては、レジストパターンの形成に必要な分量に応じて、レジスト材の液滴が被加工膜上に配置される点が、上述の実施形態2とは異なる。
【0211】
図21は、実施形態2の変形例1にかかるテンプレート20を用いたインプリント処理の手順の一部を例示する断面図である。なお、図21においては、上述の実施形態2と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0212】
図21(a)に示すように、変形例1のテンプレート20は全体的に、例えば上述の実施形態1のテンプレート10等よりも少ないパターンを有する。より具体的には、テンプレート20は、上述の実施形態1のテンプレート10と同様の複数の実パターンACを備えるとともに、複数のダミーパターンDMp,DMtを備える。
【0213】
複数のダミーパターンDMpは、複数の実パターンACのそれぞれを挟み込むように、テンプレート20のメサ部MS上に配置される。これらのダミーパターンDMpにより、複数の実パターンACが保護されて、実パターンACの損傷等が抑制される。
【0214】
複数のダミーパターンDMtは、メサ部MSの端部、及び複数の実パターンACの間に配置される。これらのダミーパターンDMtにより、テンプレート20を被加工膜PF上のレジスト材93に押し当てた際に、テンプレート20が撓んで、メサ部MSの端部および中央部が被加工膜PFに接触してしまうことが抑制される。
【0215】
このように、変形例1のテンプレート20においては、例えば必要最小限のダミーパターンDMp,DMtが配置されていることが望ましい。
【0216】
被加工膜PF上には、複数のレジスト材93の液滴が配置される。ただし、レジスト材93の液滴は、被加工膜PFの全体に亘って配置されるのではなく、テンプレート20の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtのそれぞれと上下に重なる位置に配置される。また、被加工膜PF上のそれぞれの位置に配置されるレジスト材93の液滴の数は、実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtがそれぞれ有するサイズ及び凹凸等の形状に応じて調整されている。
【0217】
つまり、例えば実パターンAC等、所定のパターンのサイズが等しければ、そのパターンに形成される凹凸の数が増すほど、そのパターンを転写するのに必要なレジスト材93の分量は増していく傾向にあると言える。換言すれば、所定のパターンが転写された後のレジストパターンの体積が増すほど、そのパターンを転写するのに必要なレジスト材93の分量は増していく傾向にある。
【0218】
ここで、例えば1つの実パターンACと、これに近接する複数のダミーパターンDMpとを転写するのに必要なレジスト材93の分量は、レジスト材93の最少の滴下量である液滴の2つ分の分量であるとする。この場合、1つの実パターンACと、これに近接する複数のダミーパターンDMpとに対応する被加工膜PF上の位置には、2つの液滴が配置される。
【0219】
また例えば、1つのダミーパターンDMtを転写するのに必要なレジスト材93の分量は、レジスト材93の液滴の1つ分の分量であるとする。この場合、1つのダミーパターンDMtに対応する被加工膜PF上の位置には1つの液滴が配置される。
【0220】
なお、被加工膜PF上の所定位置に配置されるレジスト材93の分量は、液滴の数を調整することでしか調整できず、調整可能な分量は飛び飛びの値となる。このため、その飛び飛びとなる分量が、パターンの転写に必要なレジスト材93の分量と略等しくなるよう、ダミーパターンDMp,DMtのサイズ及び凹凸等の形状が調整されていることが望ましい。
【0221】
図21(b)に示すように、実パターンACの最も突出量の大きい柱状パターンCL及び被加工膜PF間に若干の隙間を空けて、テンプレート20の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtをレジスト材93の液滴に押し当てる。
【0222】
この状態を所定時間維持することで、レジスト材93の液滴が、実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtと重なる位置の被加工膜PF上に膜状に濡れ広がっていく。また、実パターンAC及びダミーパターンDMpに対応するレジスト材93の液滴が、実パターンAC内、及びダミーパターンDMp内に浸透していく。また、ダミーパターンDMtに対応するレジスト材93の液滴が、ダミーパターンDMt内に浸透していく。
【0223】
テンプレート20の実パターンAC内、及びダミーパターンDMp,DMt内にレジスト材93が充填されたら、テンプレート20を押し当てたまま、紫外光等の光をレジスト材93に照射して硬化させる。
【0224】
図21(c)に示すように、テンプレート20を離型すると、実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtがそれぞれ転写されたレジストパターン193pが形成される。
【0225】
レジストパターン193pにおいて、実パターンAC及びダミーパターンDMpが転写された部分と、ダミーパターンDM5が転写された部分とは、それぞれが互いに離間して被加工膜PF上に配置される。また、レジストパターン193pのこれらの部分は、いずれも底面にレジスト残膜193rを有する。
【0226】
これ以降、上述の図5及び図6の処理が行われ、上述の実施形態1と同様、到達深さの異なる複数のホールCHが被加工膜PFに形成される。また、これらのホールCHからコンタクトCCを形成するなどして、例えば上述の半導体装置MDVを製造することができる。
【0227】
なお、上述の図5及び図6の処理において、ポジ型のレジスト膜92に替えて、上述の実施形態1の変形例1の場合と同様、ネガ型のレジスト膜94を用いてもよい。
【0228】
変形例1のパターン形成方法によれば、ダミーパターンDMp,DMtの数を極力減らしたテンプレート20を用いてインプリント処理を行う。
【0229】
このようにテンプレート20を構成することにより、テンプレート20を製造する際の工程数を削減して、短期間で安価にテンプレート20を製造することができる。また、テンプレート20全体におけるパターン数が減少することで、これらのパターンが破損するリスクを低減し、テンプレート20を長寿命化することができる。
【0230】
変形例1のパターン形成方法によれば、実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtに上下方向に重なる位置にレジスト材93の液滴を配置する。
【0231】
この場合、例えば実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtの全体に亘って液滴を配置する場合と比較して、レジスト材93の使用量を減らして、インプリント処理のコストを削減することができる。
【0232】
また、実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtと対応する領域に絞ってレジスト材93の液滴を配置し、レジストパターン193pを形成するので、気泡がトラップされるのをいっそう抑制することができる。
【0233】
ここで、インプリント処理においては、レジスト材にテンプレートを押し付けたときに、テンプレートのパターンの形成領域からレジスト材がはみ出してしまい、レジストパターンの形成不良が発生しやすいという課題がある。
【0234】
上述のように、例えばダミーパターンDMp,DMtの数を極力減らしたテンプレート20では、レジスト材のはみ出しがいっそう起こりやすいことが懸念される。
【0235】
変形例1のパターン形成方法によれば、被加工膜PF上にレジスト材93の液滴を滴下するときは、実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtが転写された後のレジストパターン193pの体積に応じた数の液滴を滴下する。これにより、レジスト材93のはみ出しを抑制して、レジストパターン193pの形成不良を抑制することができる。
【0236】
変形例1のパターン形成方法によれば、この他、上述の実施形態2と同様の効果を奏する。
【0237】
(変形例2)
次に、図22を用いて、実施形態2の変形例2について説明する。変形例2の構成においては、被加工膜PF上のレジスト形成領域RRの形状および配置が調整されている点が、上述の変形例1とは異なる。
【0238】
図22は、実施形態2の変形例2にかかるインプリント処理の手順の一部を例示する上面図である。図22においても、上述の変形例1のテンプレート20を用いてインプリント処理を行うものとする。
【0239】
図22に示すショット領域STRは、被加工膜PF上面の領域であって、テンプレート20を1回押し当てたときに、パターンが転写される領域である。
【0240】
図22(a)に示すように、被加工膜PFのショット領域STR内には、複数のレジスト形成領域RRが設定されている。レジスト形成領域RRは、例えば上述の図21のインプリント処理において、レジストパターン193pが形成される予定の領域である。
【0241】
それぞれのレジスト形成領域RRのサイズ、形状、及び配置は、レジスト形成領域RR間におけるレジストパターン193p同士が接続されてしまったり、レジスト形成領域RRからレジストパターン193pがはみ出してしまったりすることを抑制するように調整されている。
【0242】
このようなレジスト形成領域RRにレジストパターン193pを形成するため、例えばテンプレート20におけるダミーパターンDMp,DMtのサイズ、並びに基準面上における形状および配置等もまた、レジスト形成領域RRのサイズ、形状、及び配置に合わせて調整することができる。
【0243】
図22(b)に示すように、これらのレジスト形成領域RRにレジストパターン193pを形成するため、レジスト材93の液滴が滴下される。このとき、レジスト材93の液滴が、それぞれのレジスト形成領域RR内に収まるように配置される。
【0244】
つまり、それぞれのレジスト形成領域RR内のレジスト材93の液滴は、他のレジスト形成領域RR内の液滴から離間して配置される。ただし、同じレジスト形成領域RR内に配置される複数の液滴は、互いに接触していても接触していなくともよい。
【0245】
また、上述の変形例1の場合と同様、それぞれのジスト形成領域RRにおけるレジスト材93の液滴数は、そのジスト形成領域RRに転写されるテンプレート20のパターンが有するサイズ及び凹凸等の形状に応じて調整されている。これにより、レジストパターン193pのはみ出し、及びレジスト形成領域RR間での接触がいっそう抑制される。
【0246】
このように、図22(b)に示す処理は、上述の図21(a)に示すレジスト材93の液滴を被加工膜PF上に配置する処理に相当する。
【0247】
図22(c)に示すように、被加工膜PF上に滴下されたレジスト材93の液滴にテンプレート20の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtが転写されると、それぞれのジスト形成領域RRに、レジストパターン193pが形成される。
【0248】
このように、図22(c)に示す処理は、テンプレート20をレジスト材93に押し当てて、被加工膜PF上にレジストパターン193pを形成する上述の図21(b)(c)に示す処理に相当する。
【0249】
上述のように、レジスト形成領域RRのサイズ、形状、及び配置が調整されているので、それぞれのレジスト形成領域RRにおけるレジストパターン193pと、他のレジスト形成領域RRのレジストパターン193pとの接触が抑制される。さらに、図22(c)に示す例では、レジスト形成領域RRからはみ出すことなく、レジストパターン193pが形成されている。
【0250】
変形例2のパターン形成方法によれば、被加工膜PF上におけるレジスト形成領域RRのサイズ、形状、及び配置を適正化する。これにより、レジスト材93のはみ出しを抑制して、レジストパターン193pの形成不良を抑制することができる。したがって、レジスト形成領域RRのそれぞれに形成されたレジストパターン193p同士が接続されてしまうことが抑制される。
【0251】
変形例2のパターン形成方法によれば、この他、上述の実施形態2と同様の効果を奏する。
【0252】
(変形例3)
次に、図23を用いて、実施形態2の変形例3について説明する。変形例3の構成においては、被加工膜PF上に複数種類のレジスト材93,95を配置する点が、上述の変形例1とは異なる。
【0253】
図23は、実施形態2の変形例3にかかるインプリント処理の手順の一部を例示する断面図である。図23においても、上述の変形例1のテンプレート20を用いてインプリント処理を行うものとする。
【0254】
図23(a)に示すように、被加工膜PF上には、テンプレート20の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtのそれぞれと上下に重なる位置に、複数のレジスト材93,95の液滴がそれぞれ配置される。レジスト材95は、レジスト材93と同様、例えば未硬化の光硬化型樹脂等である。
【0255】
ただし、これらのレジスト材93,95は、材質または配合等がそれぞれ任意に選択された、種類の異なるレジスト材である。レジスト材93,95の材質としては、一方をシリコン系材料とし、他方を非シリコン系材料とすること等ができる。レジスト材93,95の配合としては、溶媒との配合比率、添加剤等を異ならせることができる。レジスト材93,95の配合を異ならせることで、例えばこれらのレジスト材93,95の粘度を異ならせることができる。
【0256】
このようなレジスト材93,95の種類は、例えばテンプレート20が有する実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtのサイズ及び凹凸等の形状に応じて選択することができる。例えばサイズの大きいパターンに対しては、濡れ広がりやすい種類のレジスト材を選択し、微細な形状のパターンに対しては、パターン内に浸透しやすい種類のレジスト材を選択することなどができる。
【0257】
上記のレジスト材93,95のうち、レジスト材93は、例えば実パターンAC及びダミーパターンDMpに対して適正な種類のレジスト材であるものとする。この場合、レジスト材93の液滴を実パターンAC及びダミーパターンDMpに対応する位置に配置することができる。
【0258】
上記のレジスト材93,95のうち、レジスト材95は、例えばダミーパターンDMtに対して適正な種類のレジスト材であるものとする。この場合、レジスト材95の液滴をダミーパターンDMtに対応する位置に配置することができる。
【0259】
このとき、複数種類のレジスト材93,95は、例えば複数の液滴下装置87(図19参照)を備えるインプリント装置により、被加工膜PF上に配置することができる。つまり、それぞれのレジスト材93,95に対応する液滴下装置87から、レジスト材93,95をそれぞれ被加工膜PFに滴下する。
【0260】
また、上述の変形例1の場合と同様、レジスト材93,95の液滴数は、テンプレート20の対応するパターンのサイズ及び凹凸等の形状に応じて調整されていてよい。
【0261】
図23(b)に示すように、実パターンACの最も突出量の大きい柱状パターンCL及び被加工膜PF間に若干の隙間を空けて、テンプレート20の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtをレジスト材93,95の液滴に押し当てる。
【0262】
この状態を所定時間維持することで、レジスト材93,95の液滴が、被加工膜PF上に膜状に濡れ広がり、また、実パターンAC内、及びダミーパターンDMp,DMt内に浸透していく。
【0263】
テンプレート20の実パターンAC内、及びダミーパターンDMp,DMt内にレジスト材93,95が充填されたら、テンプレート20を押し当てたまま、紫外光等の光をレジスト材93,95に照射して硬化させる。
【0264】
図23(c)に示すように、テンプレート20を離型すると、レジストパターン193p,95pを含むレジストパターンが形成される。レジストパターン193pは、実パターンAC及びダミーパターンDMp転写されたレジストパターンである。レジストパターン95pは、ダミーパターンDMtが転写されたレジストパターンである。
【0265】
レジストパターン193pと、レジストパターン95pとは、それぞれが互いに離間して被加工膜PF上に配置される。また、レジストパターン193pは底面にレジスト残膜193rを有し、レジストパターン95pは底面にレジスト残膜95rを有する。
【0266】
これ以降、上述の図5及び図6の処理が行われ、上述の実施形態1と同様、到達深さの異なる複数のホールCHが被加工膜PFに形成される。また、これらのホールCHからコンタクトCCを形成するなどして、例えば上述の半導体装置MDVを製造することができる。
【0267】
なお、上述の図5及び図6の処理において、ポジ型のレジスト膜92に替えて、上述の実施形態1の変形例1の場合と同様、ネガ型のレジスト膜94を用いてもよい。
【0268】
変形例3のパターン形成方法によれば、実パターンAC及びダミーパターンDMpと対応する位置にレジスト材93の液滴を滴下し、ダミーパターンDMtと対応する位置にレジスト材93とは種類が異なるレジスト材95の液滴を滴下する。
【0269】
これにより、テンプレート20の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtのそれぞれに対して適正な種類のレジスト材93,95を用いることができる。よって、レジストパターン193p,95pの形成不良をいっそう抑制することができる。
【0270】
変形例3のパターン形成方法によれば、この他、上述の実施形態2と同様の効果を奏する。
【0271】
(変形例4)
次に、図24及び図25を用いて、実施形態2の変形例4について説明する。変形例4の構成においては、被加工膜PF上のレジスト材93,95に対して、複数回の転写処理を行う点が、上述の変形例2,3とは異なる。
【0272】
図24及び図25は、実施形態2の変形例4にかかるテンプレート21を用いたインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図である。なお、図24及び図25においても、複数種類のレジスト材93,95を用いることとし、また、上述の変形例3と同様の構成に同様の符号を付してその説明を省略する。
【0273】
図24(a)に示すように、変形例4のテンプレート21は、例えばテンプレート21のメサ部MSの略中央に配置される1つの実パターンACと、実パターンACを挟み込む複数のダミーパターンDMpと、メサ部MSの端部に配置される複数のダミーパターンDMtと、を備える。
【0274】
上述の変形例1のテンプレート20の場合と同様、ダミーパターンDMpは複数の実パターンACを保護する。また、ダミーパターンDMtは、テンプレート21を被加工膜PF上のレジスト材93,95に押し当てた際に、テンプレート21が撓んで、メサ部MSの端部が被加工膜PFに接触してしまうことを抑制する。
【0275】
なお、図24(a)の例では、ダミーパターンDMtはメサ部MS中央に配置されなくともよい。テンプレート21においては、テンプレート21が撓んだ場合でも、メサ部MSの中央付近に配置される実パターンAC及びダミーパターンDMpによって、メサ部MSの中央部が被加工膜PFに接触してしまうことが抑制されるからである。
【0276】
被加工膜PF上には、実パターンAC及びダミーパターンDMpと上下方向に重なる位置に複数のレジスト材93の液滴が配置される。また、ダミーパターンDMtと上下方向に重なる位置に複数のレジスト材95の液滴が配置される。
【0277】
また、変形例4においても、上述の変形例1の場合と同様、レジスト材93,95の液滴数は、テンプレート21の対応するパターンのサイズ及び凹凸等の形状に応じて調整されていてよい。
【0278】
図24(b)に示すように、実パターンACの最も突出量の大きい柱状パターンCL及び被加工膜PF間に若干の隙間を空けて、テンプレート21の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtをレジスト材93,95の液滴に押し当てる。
【0279】
テンプレート21の実パターンAC内、及びダミーパターンDMp,DMt内にレジスト材93,95が充填されたら、テンプレート21を押し当てたまま、紫外光等の光をレジスト材93,95に照射して硬化させる。
【0280】
図24(c)に示すように、テンプレート21を離型すると、レジストパターン193p,95pが形成される。
【0281】
図25(a)に示すように、図24(a)の処理で被加工膜PF上に配置された複数のレジスト材93,95と同じ順番および間隔で、既に形成済みのレジストパターン193p,95pとは、被加工膜PFに沿う一方方向に所定距離ずれた位置に、新たに複数のレジスト材93,95を配置する。
【0282】
また、新たに配置されたレジスト材93,95の液滴と、実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtのそれぞれが上下方向に重なるように、テンプレート21と被加工膜PFとの相対位置を移動させる。
【0283】
図25(b)に示すように、実パターンACの最も突出量の大きい柱状パターンCL及び被加工膜PF間に若干の隙間を空けて、テンプレート21の実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtを、新たなレジスト材93,95の液滴に押し当てる。
【0284】
テンプレート21の実パターンAC内、及びダミーパターンDMp,DMt内にレジスト材93,95が充填されたら、テンプレート21を押し当てたまま、紫外光等の光をレジスト材93,95に照射して硬化させる。
【0285】
図25(c)に示すように、テンプレート21を離型すると、新たなレジスト材93,95の液滴に実パターンAC及びダミーパターンDMp,DMtのそれぞれが転写されたレジストパターン193p,95pが形成される。
【0286】
これにより、1回目の転写処理で形成されたレジストパターン193p,95pと、2回目の転写処理で形成されたレジストパターン193p,95pと、を含むレジストパターンが形成される。
【0287】
これ以降、上述の図5及び図6の処理が行われ、上述の実施形態1と同様、到達深さの異なる複数のホールCHが被加工膜PFに形成される。また、これらのホールCHからコンタクトCCを形成するなどして、例えば上述の半導体装置MDVを製造することができる。
【0288】
なお、上述の図5及び図6の処理において、ポジ型のレジスト膜92に替えて、上述の実施形態1の変形例1の場合と同様、ネガ型のレジスト膜94を用いてもよい。
【0289】
また、変形例4の2回の転写処理を行うパターン形成方法においては、複数種類のレジスト材93,95に替えて、1種類のレジスト材を用いて転写処理を行ってもよい。
【0290】
変形例4のパターン形成方法によれば、被加工膜PF上に配置されたレジスト材93の1つ以上の液滴にテンプレート21を押し当てて、実パターンAC及びダミーパターンDMpが転写されたレジストパターン193pを形成し、被加工膜PF上に配置されたレジスト材93の1つ以上の液滴、及び被加工膜PF上に配置されたレジスト材95の1つ以上の液滴にテンプレート21を押し当てて、それぞれ、実パターンAC及びダミーパターンDMpが転写されたレジストパターン193pと、ダミーパターンDMtが転写されたレジストパターン95pと、を形成する。
【0291】
このように、レジストパターン193p,95pを含むレジストパターンを分割して形成することにより、いっそう気泡がトラップされ難くなり、レジストパターンの形成不良をいっそう抑制することができる。
【0292】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、複数の実施形態および複数の変形例のうちの幾つかを任意の組み合わせで組み合わせてもよく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0293】
1,2…インプリント装置、10,11,12,20,21…テンプレート、40,40a,40b…フォトマスク、91,92,94…レジスト膜、91p~95p,191p~193p,291p,292p…レジストパターン、AC…実パターン、CL…柱状パターン、CP…ホールパターン、DM,DMb,DMd,DMp,DMs,DMt…ダミーパターン、DP,DPb,DPd,DPs…凹パターン、HP…メモリホールパターン、MDV…半導体装置、MP…メモリパターン、PF…被加工膜、PP…コンタクトパターン。
図1
図2
図3
図4
図5
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