(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068910
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240514BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240514BHJP
【FI】
B66F9/24 L
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179590
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 圭亮
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333FA11
3F333FA20
3F333FA29
3F333FD07
3F333FD11
3F333FE05
5H301AA01
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG09
5H301GG12
(57)【要約】
【課題】物体の検出結果を基に、産業車両の車速制限や通知を行いつつ作業効率の低下を抑制すること。
【解決手段】産業車両は、物体検出部と、第1制御装置と、を備える。第1制御装置は、第1走行モードが設定されている場合、物体検出部の検出結果に応じて車速制限を行う。第1走行モードは、物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動可能な走行モードである。第1制御装置は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、車速制限における車速上限値の変更を行わないように制御する。第2走行モードは、物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動しない走行モードである。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体検出部と、
前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動可能な第1走行モードと前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動しない第2走行モードとを切り替える切替部と、
前記物体検出部の検出結果に応じて車速上限値を設定することによって車速制限を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1走行モードが設定されている場合、前記物体検出部の検出結果に応じて前記車速制限を行い、
前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた場合、前記車速制限における前記車速上限値の変更を行わないように制御する、産業車両。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた後、更に前記産業車両が停止状態に遷移したと判断した場合に、前記車速上限値を変更するように制御する、請求項1に記載の産業車両。
【請求項3】
物体検出部と、
前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動可能な第1走行モードと前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動しない第2走行モードとを切り替える切替部と、
通知部と、
前記物体検出部の検出結果に応じて前記通知部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1走行モードが設定されている場合、前記物体検出部の検出結果に応じて前記通知部による通知を行い、
前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた場合、前記通知部による前記通知の内容を変更しないように制御する、産業車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた後、更に予め定められた所定行為が実行された場合に、前記通知部を作動させないように制御する、請求項3に記載の産業車両。
【請求項5】
前記第1走行モードは、前記産業車両が直進している状態で前記産業車両の前輪が前後方向を向く状態を含み、
前記第2走行モードは、前記産業車両が直進している状態で前記産業車両の前輪が左右方向を向く状態、及び前記産業車両の前輪の向きと前記産業車両の後輪の向きとが一致する状態の少なくとも1つを含む、請求項1又は請求項3に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の産業車両は、物体検出部と、制御部と、通知部と、を備える。物体検出部は、産業車両と物体との相対位置を検出する。制御部は、物体検出部の検出結果に応じて車速制限を行う。制御部は、物体検出部の検出結果に応じて通知部による通知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業車両の中には、例えば、全ての車輪が操舵可能となっているモデルがあり、複数の走行モードを備えている場合がある。この場合、走行モードによっては、物体検出部の検出結果と産業車両の移動方向が一致しない場合がある。物体検出部の検出結果に応じて車速制限を行うと、作業効率の低下を招くおそれがある。同様に、走行モードによっては、物体検出部の検出結果に応じて通知部による通知を行うと、作業効率の低下を招くおそれがある。作業効率の低下を抑制するため、一部の走行モードに対して、車速制限や通知を無効にすることも一案だが、例えば車速制限が行われている時に、車速制限や通知を無効にする走行モードへ切り替わると、車速制限が解除され、アクセル操作に従った走行をしてしまう。そのため、物体検出部による物体の検出結果を基に、作業効率の低下の抑制と車速制限や通知を両立することが求められた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する産業車両は、物体検出部と、前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動可能な第1走行モードと前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動しない第2走行モードとを切り替える切替部と、前記物体検出部の検出結果に応じて車速上限値を設定することによって車速制限を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1走行モードが設定されている場合、前記物体検出部の検出結果に応じて前記車速制限を行い、前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた場合、前記車速制限における前記車速上限値の変更を行わないように制御する。
【0006】
第2走行モードでは、産業車両が物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動しないため、検出範囲に存在する物体と産業車両とが接触する可能性が低い。車速制限は検出範囲に存在する物体と産業車両との接触を抑制するために行われる。仮に、第2走行モードで車速制限を行う場合、検出範囲に存在する物体と産業車両とが接触する可能性が低いにも関わらず車速制限が行われることになるため、作業効率の低下を招く。第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、車速上限値の変更を行わないように制御を行うことで、作業効率の低下の抑制と車速制限の両立を図ることができる。
【0007】
上記産業車両について、前記制御部は、前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた後、更に前記産業車両が停止状態に遷移したと判断した場合に、前記車速上限値を変更するように制御してもよい。
【0008】
上記課題を解決する産業車両は、物体検出部と、前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動可能な第1走行モードと前記物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動しない第2走行モードとを切り替える切替部と、通知部と、前記物体検出部の検出結果に応じて前記通知部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1走行モードが設定されている場合、前記物体検出部の検出結果に応じて前記通知部による通知を行い、前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた場合、前記通知部による前記通知の内容を変更しないように制御する。
【0009】
第2走行モードでは、産業車両が物体検出部の検出範囲を含む方向へ移動しないため、検出範囲に存在する物体と産業車両とが接触する可能性が低い。通知部による通知は検出範囲に存在する物体と産業車両との接触を抑制するために行われる。仮に、第2走行モードで通知部による通知を行う場合、検出範囲に存在する物体と産業車両とが接触する可能性が低いにも関わらず通知が行われることになるため、作業効率の低下を招く。第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、通知部による通知の内容を変更しないように制御を行うことで、作業効率の低下の抑制と通知の両立を図ることができる。
【0010】
上記産業車両について、前記制御部は、前記第1走行モードで走行中に、前記第2走行モードへの切り替えが行われた後、更に予め定められた所定行為が実行された場合に、前記通知部を作動させないように制御してもよい。
【0011】
上記産業車両について、前記第1走行モードは、前記産業車両が直進している状態で前記産業車両の前輪が前後方向を向く状態を含み、前記第2走行モードは、前記産業車両が直進している状態で前記産業車両の前輪が左右方向を向く状態、及び前記産業車両の前輪の向きと前記産業車両の後輪の向きとが一致する状態の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物体の検出結果を基に、産業車両の車速制限や通知を行いつつ作業効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】
図1の産業車両の走行モードが通常モードに設定されている場合の前輪及び後輪の向きを示す図である。
【
図5】
図1の産業車両の走行モードが直角小回りモードに設定されている場合の前輪及び後輪の向きを示す図である。
【
図6】
図1の産業車両の走行モードがその場旋回モードに設定されている場合の前輪及び後輪の向きを示す図である。
【
図7】
図1の産業車両の走行モードが横移動モードに設定されている場合の前輪及び後輪の向きを示す図である。
【
図8】
図1の産業車両の走行モードが平行移動モードに設定されている場合の前輪及び後輪の向きを示す図である。
【
図9】
図3の第1制御装置が実行する車速制限切替制御を示すフローチャートである。
【
図10】
図3の第1制御装置が実行する通知切替制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
産業車両の第1実施形態について説明する。
<産業車両>
図1に示すように、産業車両10は、リーチ式のフォークリフトである。産業車両10は、手動で動作する。産業車両10は、自動での動作と手動での動作とを切り替え可能に構成されていてもよい。以下の説明において、前後左右は、産業車両10を基準とした場合の前後左右である。
【0015】
産業車両10は、車体11を備える。産業車両10は、リーチレグ12を備える。リーチレグ12は、左右方向に互いに離間して2つ設けられている。リーチレグ12は、車体11から前方に延びている。
【0016】
産業車両10は、前輪13を備える。前輪13は、各リーチレグ12に1つずつ設けられている。産業車両10は、後輪14を備える。後輪14は、車体11に設けられている。
【0017】
産業車両10は、荷役装置21を備える。荷役装置21は、車体11の前方に設けられている。荷役装置21は、フォーク22を備える。
図2に示すように、産業車両10は、ディレクション操作部31を備える。ディレクション操作部31は、例えば、レバーである。ディレクション操作部31は、中立位置から前傾又は後傾する。ディレクション操作部31は、産業車両10を走行させる際に操作される。ディレクション操作部31の操作方向によって産業車両10の移動方向を決定することができる。ディレクション操作部31の操作量によって産業車両10の速度を調整可能である。
【0018】
産業車両10は、荷役操作部32を備える。荷役操作部32は、例えば、レバーである。荷役操作部32は、荷役装置21を動作させる際に操作される。荷役操作部32は、荷役装置21が行う動作に対応して複数設けられている。本実施形態では、リーチ動作、リフト動作、及びティルト操作に対応して3つの荷役操作部32が設けられている。リーチ動作は、フォーク22を前後方向に移動させる動作である。リフト動作は、フォーク22を昇降させる動作である。ティルト動作は、フォーク22を前後方向に傾動させる動作である。
【0019】
図3に示すように、産業車両10は、第1制御装置51を備える。第1制御装置51は、プロセッサ52と、記憶部53と、を備える。プロセッサ52としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部53は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部53には、産業車両10を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部53は、処理をプロセッサ52に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部53、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。第1制御装置51は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である第1制御装置51は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。第1制御装置51は、制御部である。
【0020】
産業車両10は、ディレクションセンサ54を備える。ディレクションセンサ54は、ディレクション操作部31の操作量を検出する。ディレクションセンサ54は、ディレクション操作部31の操作量に応じた電気信号を第1制御装置51に出力する。第1制御装置51は、ディレクション操作部31の操作方向、及びディレクション操作部31の操作量を認識する。
【0021】
産業車両10は、タイヤ角センサ55を備える。タイヤ角センサ55は、後輪14の操舵角を検出する。タイヤ角センサ55は、操舵角に応じた電気信号を第1制御装置51に出力する。第1制御装置51は、後輪14の操舵角を認識する。
【0022】
産業車両10は、走行用モータ56を備える。走行用モータ56は、産業車両10を走行させる。走行用モータ56の駆動により、後輪14が回転することで産業車両10は走行する。
【0023】
回転数センサ57は、走行用モータ56の回転数を検出する。回転数センサ57としては、例えば、ロータリエンコーダを用いることができる。回転数センサ57は、走行用モータ56の回転数に応じた電気信号を出力する。
【0024】
走行制御装置58は、走行用モータ56の回転数を制御するモータドライバである。走行制御装置58は、回転数センサ57の出力する電気信号から、走行用モータ56の回転数、及び回転方向を認識可能である。
【0025】
産業車両10は、物体検出部61を備える。物体検出部61は、物体の位置を検出する。物体検出部61は、ステレオカメラ62と、検出装置63と、通知部66と、を備える。ステレオカメラ62は、2つのカメラを備え、2つのカメラによって撮像を行う。本実施形態のステレオカメラ62は、産業車両10の後方を撮像する。従って、物体検出部61で検出される物体は、産業車両10の後方の物体となる。物体検出部61の検出範囲は、後方に拡がっている。
【0026】
検出装置63は、例えば、第1制御装置51と同様のハードウェア構成を備える。検出装置63は、例えば、プロセッサ64と、記憶部65と、を備える。検出装置63は、ステレオカメラ62から画像データを取得する。検出装置63は、画像データから検出範囲に存在する物体の検出を行う。検出装置63は、産業車両10と物体との相対位置を表す座標系での物体の座標を算出する。検出範囲は、ステレオカメラ62の画角によって定まる。水平方向に対する検出範囲の広さは、例えば、左右方向に対して130°の範囲である。
【0027】
通知部66は、産業車両10の搭乗者に対して通知を行う装置である。通知部66は、音による通知を行うブザー67と、光による通知を行うランプ68と、を含む。
産業車両10は、切替装置71を備える。切替装置71は、産業車両10の搭乗者が操作可能な位置に設けられている。切替装置71は、2つの位置に切り替え可能に設けられたスイッチである。切替装置71は、産業車両10の走行モードを切り替えるためのスイッチである。走行モードは、通常モードと、オールウェイモードと、を含む。通常モードは、通常の状況で用いられる走行モードである。通常モードは、最も使用頻度が高いと想定される走行モードである。オールウェイモードは、特定の状況で用いられる走行モードである。オールウェイモードは、直角小回りモードと、その場旋回モードと、横移動モードと、平行移動モードと、を含む。
【0028】
産業車両10は、第2制御装置72を備える。第2制御装置72は、例えば、第1制御装置51と同様のハードウェア構成を備える。第2制御装置72は、例えば、プロセッサ73と、記憶部74と、を備える。第2制御装置72は、切替装置71の操作状態を認識可能である。第2制御装置72は、切替装置71の操作状態から走行モードとして通常モードが選択されているか、オールウェイモードが選択されているかを認識可能である。
【0029】
産業車両10は、表示ユニット81を備える。表示ユニット81は、表示部82と、表示制御装置83と、複数の選択スイッチ86,87,88,89と、を備える。
表示部82は、産業車両10の搭乗者が視認可能な位置に設けられている。表示部82は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
【0030】
選択スイッチ86,87,88,89は、産業車両10の搭乗者が操作可能な位置に設けられている。選択スイッチ86,87,88,89は、例えば、産業車両10の搭乗者の押下操作により操作されるスイッチである。選択スイッチ86,87,88,89は、例えば、レバー、又はハンドルであってもよい。表示部82がタッチパネルを備えている場合、選択スイッチ86,87,88,89は、表示部82に表示されるシンボルであってもよい。選択スイッチ86,87,88,89は、複数のオールウェイモードから1つを選択するためのスイッチである。選択スイッチ86,87,88,89は、オールウェイモードの数に対応している。本実施形態では、直角小回りモードに対応する選択スイッチ86、その場旋回モードに対応する選択スイッチ87、横移動モードに対応する選択スイッチ88、及び平行移動モードに対応する選択スイッチ89が設けられている。
【0031】
表示制御装置83は、例えば、第1制御装置51と同様のハードウェア構成を備える。表示制御装置83は、例えば、プロセッサ84と、記憶部85と、を備える。表示制御装置83は、表示ユニット81の制御を行う。表示制御装置83は、例えば、表示部82の表示内容の更新を行う。表示制御装置83は、選択スイッチ86,87,88,89の操作状態からいずれのオールウェイモードが選択されているかを認識可能である。
【0032】
第1制御装置51、検出装置63、第2制御装置72、及び表示制御装置83は、車両用の通信プロトコルに従った通信を行うことで、互いに情報を取得する。車両用の通信プロトコルとしては、例えば、CAN(Controller Area Network)、又はLIN(Local Interconnect Network)が用いられる。
【0033】
第2制御装置72は、走行モードを設定する。第2制御装置72は、切替装置71からの入力と、表示制御装置83から取得する選択スイッチ86,87,88,89の操作状態とに応じて走行モードを設定する。第2制御装置72は、切替装置71によって通常モードが選択されている場合、走行モードとして通常モードを選択する。第2制御装置72は、切替装置71によってオールウェイモードが選択されている場合、選択スイッチ86,87,88,89によって選択された1つのオールウェイモードを設定する。切替装置71により通常モードから切り替えを行った際に設定されるオールウェイモードは、任意に設定することができる。例えば、切替装置71により通常モードへ切り替えを行った際に設定されるオールウェイモードは、その場旋回モードであってもよい。切替装置71及び選択スイッチ86,87,88,89は、切替部である。
【0034】
図4に示すように、通常モードは、後輪14のみを操舵輪とする走行モードである。通常モードでは、産業車両10が直進している状態で、前輪13が前後方向を向く。物体検出部61の検出範囲は後方に拡がっており、通常モードでは後方への移動が可能である。通常モードは、物体検出部61の検出範囲を含む方向へ移動可能な第1走行モードである。物体検出部61の検出範囲を含む方向とは、当該検出範囲の範囲内となる方向である。例えば、物体検出部61から産業車両10の後方に向かう方向を0°とし、0°から左右方向に65°ずつ拡がる範囲を検出範囲とする。この場合、0°から左右65°の方向は、検出範囲を含む方向である。0°から左右65°の方向とは異なる方向は、検出範囲を含まない方向である。
【0035】
図5に示すように、直角小回りモードは、2つの前輪13及び後輪14を操舵輪とする走行モードである。直角小回りモードは、直角の曲がり角などの曲がりにくい場所を曲がる際に用いられる走行モードである。直角小回りモードは、通常モードに比べて旋回中心が産業車両10に近くなる。直角小回りモードは、物体検出部61の検出範囲を含む方向へ移動可能な第1走行モードである。
【0036】
図6に示すように、その場旋回モードとは、2つの前輪13及び後輪14を操舵輪とする走行モードである。その場旋回モードでは、旋回中心を産業車両10の中心位置とすることで、その場での旋回が行われる。その場旋回モードは、物体検出部61の検出範囲を含む方向へ移動可能な第1走行モードである。
【0037】
図7に示すように、横移動モードとは、1つの前輪13及び後輪14を操舵輪とする走行モードである。横移動モードは、移動方向を左右方向とする走行モードである。横移動モードでは、産業車両10が直進している状態で、前輪13が左右方向を向く。横移動モードでの産業車両10の走行時には、移動方向が左右方向となるため前後方向は死角になる。横移動モードは、物体検出部61の検出範囲を含む方向へ移動しない第2走行モードである。
【0038】
図8に示すように、平行移動モードとは、2つの前輪13及び後輪14を操舵輪とする走行モードである。平行移動モードでは、車体11の向きが変わらない状態で走行が行われる。平行移動モードでは、2つの前輪13の向きと後輪14の向きとが一致する。平行移動モードでの産業車両10の走行時には、移動方向が左右方向となるように産業車両10の運用が行われる。平行移動モードは、物体検出部61の検出範囲を含む方向へ移動しない第2走行モードである。
【0039】
なお、本実施形態では、各走行モードに対して、第1走行モードと第2走行モードを具体的に割り当てたが、物体検出部61の検出範囲に応じて、適宜変更可能である。
産業車両10は、物体検出機能を備える。物体検出機能は、物体検出部61による物体の検出結果に応じて車速制限、通知、又はその両方を行う機能である。第1制御装置51は、物体の位置に応じて車速制限を行う。第1制御装置51は、例えば、産業車両10から所定範囲内に物体が存在する場合、車速上限値を設定することによって車速制限を行う。所定範囲は、任意に設定可能である。所定範囲は、産業車両10の車速に応じて変化する範囲であってもよい。例えば、産業車両10の車速が高いほど所定範囲は広くなってもよい。所定範囲は、操舵角に応じて変化する範囲であってもよい。例えば、所定範囲は、操舵角の方向に向けて延びる範囲であってもよい。第1制御装置51は、産業車両10の車速が車速上限値を上回らないように制御を行うことで車速制限を行う。車速上限値は、一定値であってもよいし、産業車両10と物体との位置関係に応じて変化する変動値であってもよい。例えば、産業車両10と物体との距離が短いほど車速上限値を低い値にしてもよい。
【0040】
第1制御装置51は、物体の位置に応じて通知部66による通知を行う。第1制御装置51は、物体検出部61に通知指令を送信することで通知部66を作動させる。第1制御装置51は、例えば、産業車両10から所定範囲内に物体が存在する場合、通知部66による通知を行ってもよい。通知部66による通知は、例えば、産業車両10の搭乗者に、所定範囲に物体が存在することを通知するために行われる。所定範囲は、産業車両10の車速に応じて変化する範囲であってもよいし、操舵角に応じて変化する範囲であってもよい。車速制限に用いられる所定範囲と通知に用いられる所定範囲とは、同一の範囲であってもよいし、異なる範囲であってもよい。通知部66による通知は、ブザー67による通知、ランプ68による通知、又は、その両方による通知を含む。第1制御装置51は、物体の位置に応じて、ブザー67による通知、ランプ68による通知、又は、その両方による通知のいずれを行うかを切り替えてもよい。第1制御装置51は、物体の種類に応じて、ブザー67による通知、ランプ68による通知、又は、その両方による通知のいずれを行うかを切り替えてもよい。
【0041】
<車速制限切替制御>
第1制御装置51は、走行モードに応じて物体検出機能のオンとオフとを切り替える。本実施形態において、第1制御装置51は、車速制限のオンとオフとを切り替える車速制限切替制御を実行する。車速制限のオンとは、物体検出部61の検出結果に応じて産業車両10の車速制限を行うことである。車速制限のオフとは、物体検出部61の検出結果に関わらず産業車両10の車速制限を行わないことである。車速制限切替制御は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0042】
図9に示すように、ステップS1において、第1制御装置51は、走行モードが第2走行モードか否かを判定する。ステップS1の判定結果が否定の場合、第1制御装置51は、ステップS2の処理を行う。ステップS1の判定結果が肯定の場合、第1制御装置51は、ステップS3の処理を行う。
【0043】
ステップS2において、第1制御装置51は、物体検出部61の検出範囲を含む方向へ移動可能なため、車速制限をオンにする。ステップS1の判定結果が否定の場合、第1制御装置51は、走行モードとして第1走行モードを設定している。従って、第1制御装置51は、第1走行モードが設定されている場合、物体検出部61の検出結果に応じて車速上限値を設定することによって車速制限を行う。ステップS2の処理を終えると、第1制御装置51は、車速制限切替制御を終了する。
【0044】
ステップS3において、第1制御装置51は、産業車両10の車速が閾値未満の状態を所定時間以上継続したか否かを判定する。ステップS3の判定は、産業車両10が停止しているか否かの判定である。産業車両10の車速は、走行用モータ56の回転数及び回転方向、ギヤ比、及び後輪14の外径などを用いることで導出可能である。閾値は、産業車両10が停止しているとみなせる値に設定される。閾値は、例えば、0[km/h]~3.0[km/h]から任意の値を設定することができる。所定時間は、産業車両10の車速が閾値未満にも関わらず、外乱によって産業車両10の車速が閾値以上になった場合に産業車両10が停止していないと判定されることを抑止するために設定されている。所定時間は、例えば、0.5[sec]~2.0[sec]から任意の値を設定することができる。ステップS3の判定結果が否定の場合、第1制御装置51は、車速制限切替制御を終了する。ステップS3の判定結果が否定の場合、車速制限のオンとオフとの切り替えは行われない。ステップS3の判定結果が否定の場合、産業車両10が第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われたといえる。従って、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへと切り替えられても、車速上限値が変更されず、車速制限が維持される。ステップS3の判定結果が肯定の場合、第1制御装置51は、ステップS4の処理を行う。
【0045】
ステップS4において、第1制御装置51は、車速制限をオフにする。ステップS3の判定結果が肯定になる場合、ステップS1で第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、ステップS3で産業車両10が停止状態に遷移したと判断した場合である。第1制御装置51は、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、産業車両10が停止している場合に、車速制限を行わないように制御を行う。車速制限がオフすることによって、車速上限値は設定されなくなる。車速上限値が設定されている状態から車速上限値が設定されなくなることも車速上限値の変更に含まれる。車速制限がオフされた場合、第1制御装置51は、産業車両10が到達し得る最高速度より高い車速上限値を設定することによって、実質的に機能しない車速上限値を設定してもよい。ステップS4の処理を終えると、第1制御装置51は、車速制限切替制御を終了する。
【0046】
第1走行モードから第2走行モードへの切り替えは、切替装置71による切り替え及び選択スイッチ86,87,88,89による切り替えを含む。例えば、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えは、切替装置71による通常モードから平行移動モードへの切り替えを含む。例えば、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えは、選択スイッチ86,87,88,89によるその場旋回モードから横移動モードへの切り替えを含む。
【0047】
[第1実施形態の作用]
第1制御装置51は、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、産業車両10が停止状態に遷移したと判断した場合、車速制限をオフする。物体検出部61は、検出範囲の物体を検出する。第2走行モードでは、検出範囲に向けた産業車両10の移動が行われない。このため、物体検出部61が検出範囲に存在する物体を検出したとしても、産業車両10は検出範囲に存在する物体に向けた移動を行わない場合が多い。車速制限は、産業車両10と物体との接触を抑制するために行われている。産業車両10が検出範囲に存在する物体に向けた移動を行わないにも関わらず車速制限を行うと、産業車両10と物体とが接触する可能性が低いにも関わらず車速制限が行われることになるため、作業効率の低下を招く。第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、産業車両10が停止状態に遷移したと判断した場合に車速制限をオフすることで、産業車両10と物体とが接触しにくい状況で車速制限が行われることを抑制している。従って、作業効率の低下を抑制できる。
【0048】
[第1実施形態の効果]
(1-1)第1制御装置51は、産業車両10が第1走行モードで走行中に第2走行モードへの切り替えが行われた場合、車速上限値を変更しない。これにより、物体の検出結果を基に、産業車両10の車速制限を行いつつ作業効率の低下を抑制できる。
【0049】
(1-2)第1制御装置51は、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、産業車両10が停止状態に遷移したと判断した場合に、車速制限を行わないように制御を行う。仮に、産業車両10が第1走行モードで走行中に第2走行モードへの切り替えが行われたとする。第1走行モードで車速制限が行われていた場合、第2走行モードへの切り替えによって車速制限が解除されることによって産業車両10が加速するおそれがある。産業車両10が加速すると、物体との接触や荷崩れの原因となるおそれがある。産業車両10が停止していることを条件に車速制限が行われないようにすることで、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えによって産業車両10が加速することを抑制できる。
【0050】
[第2実施形態]
産業車両の第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様な箇所については説明を省略する。
【0051】
<通知切替制御>
第1制御装置51は、通知のオンとオフとを切り替える通知切替制御を実行する。通知のオンとは、物体検出部61の検出結果に応じて通知部66による通知を行うことである。通知のオフとは、物体検出部61の検出結果に関わらず通知部66による通知を行わないことである。通知切替制御は、所定の制御周期で繰り返し実行される。第1制御装置51は、車速制限切替制御に加えて通知切替制御を行ってもよい。第1制御装置51は、車速制限切替制御に代えて通知切替制御を行ってもよい。
【0052】
図10に示すように、ステップS11において、第1制御装置51は、走行モードが第2走行モードか否かを判定する。ステップS11の判定結果が否定の場合、第1制御装置51は、ステップS12の処理を行う。ステップS11の判定結果が肯定の場合、第1制御装置51は、ステップS13の処理を行う。
【0053】
ステップS12において、第1制御装置51は、通知をオンにする。ステップS11の判定結果が否定の場合、第1制御装置51は、走行モードとして第1走行モードを設定している。従って、第1制御装置51は、第1走行モードが設定されている場合、物体検出部61の検出結果に応じて通知部66による通知を行う。ステップS12の処理を終えると、第1制御装置51は、通知切替制御を終了する。
【0054】
ステップS13において、第1制御装置51は、産業車両10の車速が閾値未満か否かを判定する。ステップS13の閾値は、ステップS3の閾値と同様の値である。即ち、ステップS13の閾値は、産業車両10が走行しているか停止しているかを判定するための閾値である。産業車両10の車速が閾値未満の場合、産業車両10は停止している。産業車両10の車速が閾値以上の場合、産業車両10は走行している。ステップS13の判定結果が肯定の場合、第1制御装置51は、ステップS15の処理を行う。ステップS13の判定結果が否定の場合、第1制御装置51は、ステップS14の処理を行う。
【0055】
ステップS14において、第1制御装置51は、所定行為が実行されたか否かを判定する。所定行為は、産業車両10の搭乗者が産業車両10を停止させる意思を有した状態で行うと想定される行為である。所定行為は、例えば、ディレクションセンサ54によって検出されるディレクション操作部31の操作量を0にする行為などの産業車両10を減速させる行為が挙げられる。ステップS14の判定結果が否定の場合、第1制御装置51は、通知切替制御を終了する。ステップS14の判定結果が否定の場合、通知のオンとオフとの切り替えは行われない。ステップS14の判定結果が否定になる場合としては、産業車両10が第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた後に、予め定められた所定行為が実行されなかった場合が挙げられる。従って、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへと切り替えられても、所定行為が実行されなければ、通知のオンとオフとの切り替えは行われず、通知の内容は変更されない。ステップS14の判定結果が肯定の場合、第1制御装置51は、ステップS15の処理を行う。
【0056】
ステップS15において、第1制御装置51は、通知をオフにする。ステップS14の判定結果が肯定になる場合、ステップS11で第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、ステップS14で所定行為が実行された場合である。第1制御装置51は、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、所定行為が実行された場合に、通知部66による通知を行わないように制御を行う。ステップS15の処理を終えると、第1制御装置51は、通知切替制御を終了する。
【0057】
[第2実施形態の作用]
第1制御装置51は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、通知部66による通知の内容を変更しないように制御を行う。物体検出部61は、検出範囲の物体を検出する。第2走行モードでは、検出範囲に向けた産業車両10の移動が行われない。このため、物体検出部61が検出範囲に存在する物体を検出したとしても、産業車両10は検出範囲に存在する物体に向けた移動を行わない場合が多い。通知部66による通知は、産業車両10と物体との接触を抑制するために行われている。産業車両10が検出範囲に存在する物体に向けた移動を行わないにも関わらず通知部66による通知を行うと、産業車両10と物体とが接触する可能性が低いにも関わらず通知が行われることになるため、作業効率の低下を招く。例えば、産業車両10の搭乗者が、通知部66による通知によって産業車両10と物体とが接触するおそれがあると認識すると、産業車両10を減速させるおそれがある。第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた後に、予め定められた所定行為が実行された場合に、通知をオフすることで、産業車両10と物体とが接触しにくい状況で通知部66による通知が行われることを抑制している。
【0058】
[第2実施形態の効果]
(2-1)第1制御装置51は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、通知部66の通知の内容を変更しないように制御を行う。これにより、物体の検出結果を基に、通知を行いつつ作業効率の低下を抑制できる。
【0059】
(2-2)第1制御装置51は、第1走行モードから第2走行モードへの切り替えが行われた後、所定行為が実行された場合に、通知部66による通知を行わないように制御を行う。仮に、産業車両10が第1走行モードで走行中に第2走行モードへの切り替えが行われたとする。第1走行モードで通知部66による通知が行われていた場合、第2走行モードへの切り替えによって通知部66による通知が停止されることによって、産業車両10の搭乗者が産業車両10と物体とが接触するおそれがないと認識する場合がある。この場合、産業車両10と物体とが接触するおそれがあるにも関わらず、産業車両10の搭乗者が産業車両10の走行を継続するおそれがある。所定行為が実行されることを条件に通知が行われないようにすることで、産業車両10と物体とが接触するおそれがあるにも関わらず、産業車両10の搭乗者が産業車両10の走行を継続することを抑制できる。
【0060】
[変更例]
各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
○第1実施形態において、第1制御装置51は、ステップS3で、ディレクション操作部31の操作量が0の状態を所定時間以上継続したか否かを判定してもよい。第1制御装置51は、ステップS3の判定結果が肯定の場合、ステップS4の処理を行う。第1制御装置51は、ステップS3の判定結果が否定の場合、車速制限切替制御を終了する。
【0062】
第1実施形態において、第1制御装置51は、ステップS3で、ディレクション操作部31の操作量が0であり、かつ、産業車両10の車速が閾値未満の状態を所定時間以上継続したか否かを判定してもよい。
【0063】
○第1実施形態において、第1制御装置51は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、第1走行モードから第2走行モードへの変更を行わなくてもよい。この場合、第1走行モードが維持されるため、車速制限における車速上限値の変更を行わないように制御が行われる。第1制御装置51は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた後、更に産業車両10が停止状態に遷移したと判断した場合に、第2走行モードへの変更を行ってもよい。
【0064】
○第2実施形態において、第1制御装置51は、ステップS13の判定結果が否定の場合、通知切替制御を終了してもよい。即ち、通知切替制御は、ステップS14の処理を含んでいなくてもよい。この場合、第1制御装置51は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、通知部66の通知の内容を変更しないように制御を行う。
【0065】
○第2実施形態において、第1制御装置51は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた場合、第1走行モードから第2走行モードへの変更を行わなくてもよい。この場合、第1走行モードが維持されるため、通知部66による通知の内容を変更しないように制御が行われる。第1制御装置51は、第1走行モードで走行中に、第2走行モードへの切り替えが行われた後、更に予め定められた所定行為が実行された場合に、第2走行モードへの変更を行ってもよい。
【0066】
○第2実施形態において、検出装置63が制御部であってもよい。この場合、第1制御装置51から通知指令を受けた場合であっても、検出装置63が通知部66を作動させないようにすればよい。
【0067】
○各実施形態において、表示部82を通知部として用いてもよい。例えば、第1制御装置51は、物体が産業車両10の近くに存在することの表示を行うことによって通知を行ってもよい。
【0068】
○各実施形態において、物体検出部61の検出範囲の拡がる方向は、任意に変更してもよい。例えば、検出範囲は、産業車両10の前方に拡がる範囲であってもよい。検出範囲は、産業車両10の左右方向に拡がる範囲であってもよい。この場合、通常モードを第2走行モードとし、直角小回りモード、その場旋回モード、横移動モード、及び平行移動モードを第1走行モードとしてもよい。
【0069】
○各実施形態において、産業車両10は、少なくとも1つの第1走行モードと、少なくとも1つの第2走行モードとを備えていればよい。本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0070】
○各実施形態において、オールウェイモードが1つであれば、産業車両10は、選択スイッチ86,87,88,89を備えていなくてもよい。
○各実施形態において、産業車両10は、トーイングトラクタであってもよい。
【0071】
○各実施形態において、産業車両10は、カウンタ式のフォークリフトであってもよい。この場合、第1実施形態において、第1制御装置51は、ステップS3で、アクセルペダルの操作量が0の状態を所定時間以上継続したか否かを判定してもよい。また、第1制御装置51は、ステップS3で、アクセルペダルの操作量が0であり、かつ、産業車両10の車速が閾値未満の状態を所定時間以上継続したか否かを判定してもよい。第1制御装置51は、ステップS3の判定結果が肯定の場合、ステップS4の処理を行う。第1制御装置51は、ステップS3の判定結果が否定の場合、車速制限切替制御を終了する。
【0072】
○各実施形態において、物体検出部61は、ステレオカメラ62に代えて距離センサを備えていてもよい。距離センサとしては、物体の座標を検出できるものが用いられる。距離センサとしては、例えば、レーザー距離計、又はミリ波レーダーが用いられる。
【0073】
○各実施形態において、通知部66はブザー67及びランプ68の一方のみを備えていてもよい。
○各実施形態において、産業車両10は、自動で動作してもよい。この場合、第1制御装置51又は第2制御装置72によって第1走行モードと第2走行モードとの切り替えが行われてもよい。第1制御装置51又は第2制御装置72は、切替部である。
【符号の説明】
【0074】
10…産業車両、51…制御部である第1制御装置、61…物体検出部、66…通知部、71…切替部である切替装置、86,87,88,89…切替部である選択スイッチ。