(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068926
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20240514BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G02F1/1335 505
G02F1/1335 510
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179613
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】荒井 則博
(72)【発明者】
【氏名】大沢 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 歩
(72)【発明者】
【氏名】山口 稔
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
【Fターム(参考)】
2H291FA02X
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA24Z
2H291FA42Z
2H291FA85Z
2H291FD08
2H291FD09
2H291GA08
2H291GA19
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA21
2H291NA05
2H391AA03
2H391AA13
2H391AB04
2H391AB06
2H391AB34
2H391AB40
2H391AC25
2H391AC32
2H391EA02
2H391EA14
2H391EA26
(57)【要約】
【課題】 透過表示の色再現性と反射表示の明るさとを両立することが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置は、光を発光するバックライト3と、バックライト3からの光を受けるように配置され、赤フィルタ、緑フィルタ、及び青フィルタを備えたカラーフィルタを含む液晶パネル2とを具備する。バックライト3は、分光輝度が赤、緑、及び青のそれぞれでピークを持つように構成される。XYZ表色系における明度に関する情報をY値とすると、赤フィルタ、緑フィルタ、及び青フィルタを用いた白表示のY値は、33以上である。液晶パネル2は、バックライト3の光を用いた透過表示と、外光がバックライト3で反射された光を用いた反射表示とが可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光するバックライトと、
前記バックライトからの光を受けるように配置され、赤フィルタ、緑フィルタ、及び青フィルタを備えたカラーフィルタを含む液晶パネルと、
を具備し、
前記バックライトは、分光輝度が赤、緑、及び青のそれぞれでピークを持つように構成され、
XYZ表色系における明度に関する情報をY値とすると、前記赤フィルタ、前記緑フィルタ、及び前記青フィルタを用いた白表示のY値は、33以上であり、
前記液晶パネルは、前記バックライトの光を用いた透過表示と、外光が前記バックライトで反射された光を用いた反射表示とが可能である
液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶パネルの前記バックライト側にこの順に配置された偏光板、拡散部材、及び反射偏光板をさらに具備し、
前記反射偏光板の透過軸は、前記偏光板の透過軸と平行である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記赤フィルタのY値は、21以上であり、前記緑フィルタのY値は、58以上であり、前記青フィルタのY値は、15以上である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記カラーフィルタの白色度(x,y)におけるx値は、0.290以上0.320以下の範囲に設定され、y値は、0.280以上0.350以下の範囲に設定される
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記拡散部材のヘイズ値は、40%以上90%以下である
請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記バックライトの光源は、青色LEDと、緑色蛍光体と、赤色蛍光体とを含む
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記バックライトの光源は、赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとを含む
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記バックライトの光源は、青色LEDを含み、
前記バックライトは、前記青色LEDからの青色光を透過するように配置され、前記青色光を緑色光及び赤色光に変換する量子ドットシートを含む
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶パネルの画素は、透過表示を行う領域と反射表示を行う領域とに区分けされていない
請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
暗所では液晶パネルの後方に配置されたバックライトからの照明光を用いた透過表示を行い、明所では液晶パネルの前方から入射された外光を用いた反射表示を行う透過/反射型液晶表示装置が開発されている。透過/反射型液晶表示装置としては、各画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けし、画素の反射表示領域に反射膜を設けるものがある(特許文献1)。また、各画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けすることなく、バックライトが発光する光を用いる透過表示と外光がバックライト上で反射した光を用いる反射表示との両方を可能にしているものがある(特許文献2)。
【0003】
画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けする場合、透過表示と反射表示とがトレードオフの関係になる。透過表示領域を広くして透過率を高くすると反射率が低下してしまい、反射表示領域を広くして反射率を高くすると透過率が低下してしまうため、透過表示と反射表示との両方で良好な表示を得ることが困難である。
【0004】
画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けしない場合は、透過表示と反射表示とで同一のカラーフィルタを用いることになり、カラーフィルタの色純度を高くすると透過表示の色再現性は高くできるが、反射表示が暗くなってしまう(反射率が大きく低下してしまう)。また、カラーフィルタの色純度を下げると反射率は高くできるが、透過表示の色再現性が大きく低下してしまう。よって、透過表示の色再現性と反射表示の明るさとを両立するのが困難である。また、反射表示は外光をバックライト上で反射させた光を表示として見るが、バックライト上で効率よく外光を反射させることが難しく、反射率が低くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-4494号公報
【特許文献2】特開2011-100051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、透過表示の色再現性と反射表示の明るさとを両立することが可能な液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によると、光を発光するバックライトと、前記バックライトからの光を受けるように配置され、赤フィルタ、緑フィルタ、及び青フィルタを備えたカラーフィルタを含む液晶パネルとを具備し、前記バックライトは、分光輝度が赤、緑、及び青のそれぞれでピークを持つように構成され、XYZ表色系における明度に関する情報をY値とすると、前記赤フィルタ、前記緑フィルタ、及び前記青フィルタを用いた白表示のY値は、33以上であり、前記液晶パネルは、前記バックライトの光を用いた透過表示と、外光が前記バックライトで反射された光を用いた反射表示とが可能である、液晶表示装置が提供される。
【0008】
本発明の第2態様によると、前記液晶パネルの前記バックライト側にこの順に配置された偏光板、拡散部材、及び反射偏光板をさらに具備し、前記反射偏光板の透過軸は、前記偏光板の透過軸と平行である、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第3態様によると、前記赤フィルタのY値は、21以上であり、前記緑フィルタのY値は、58以上であり、前記青フィルタのY値は、15以上である、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第4態様によると、前記カラーフィルタの白色度(x,y)におけるx値は、0.290以上0.320以下の範囲に設定され、y値は、0.280以上0.350以下の範囲に設定される、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第5態様によると、前記拡散部材のヘイズ値は、40%以上90%以下である、第2態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第6態様によると、前記バックライトの光源は、青色LEDと、緑色蛍光体と、赤色蛍光体とを含む、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0013】
本発明の第7態様によると、前記バックライトの光源は、赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとを含む、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0014】
本発明の第8態様によると、前記バックライトの光源は、青色LEDを含み、前記バックライトは、前記青色LEDからの青色光を透過するように配置され、前記青色光を緑色光及び赤色光に変換する量子ドットシートを含む、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0015】
本発明の第9態様によると、前記液晶パネルの画素は、透過表示を行う領域と反射表示を行う領域とに区分けされていない、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、透過表示の色再現性と反射表示の明るさとを両立することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置のブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施例に係るバックライトの斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施例に係る発光素子の断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施例に係る発光素子の断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施例に係るバックライトの斜視図である。
【
図9】
図9は、第3実施例に係る発光素子の断面図である。
【
図10】
図10は、液晶表示装置の表示動作を説明する図である。
【
図11】
図11は、第1実施例に係るバックライトの分光を説明する図である。
【
図12】
図12は、第2実施例に係るバックライトの分光を説明する図である。
【
図13】
図13は、第3実施例に係るバックライトの分光を説明する図である。
【
図14】
図14は、カラーフィルタの分光を説明する図である。
【
図15】
図15は、カラーフィルタの色度を説明する図である。
【
図16】
図16は、白表示のY値と反射率との関係を説明する図である。
【
図17】
図17は、カラーフィルタ及び透過表示における白色度を説明する図である。
【
図19】
図19は、液晶表示装置における反射特性及び透過特性を説明する図である。
【
図20】
図20は、本発明の第2実施形態に係る液晶パネルの断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の第3実施形態に係る液晶パネルの断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第4実施形態に係る液晶パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
[1] 第1実施形態
[1-1] 液晶表示装置1の全体構成
本実施形態に係る液晶表示装置1は、外光を用いた反射表示と、バックライトを用いた透過表示とが可能な透過/反射型液晶表示装置(半透過型液晶表示装置ともいう)である。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1のブロック図である。液晶表示装置1は、液晶パネル2、バックライト(照明装置ともいう)3、走査線駆動回路4、信号線駆動回路5、共通電極駆動回路6、電圧生成回路7、及び制御回路8を備える。
【0021】
液晶パネル2は、マトリクス状に配置された複数の画素PXを備える。液晶パネル2には、それぞれがロウ方向に延びる複数の走査線GL1~GLmと、それぞれがカラム方向に延びる複数の信号線SL1~SLnとが配設される。“m”及び“n”はそれぞれ、2以上の整数である。走査線GLと信号線SLとの交差領域には、画素PXが配置される。
【0022】
バックライト3は、液晶パネル2の背面に光を照射する面光源である。バックライト3としては、例えば、直下型又はサイドライト型(エッジライト型)のLEDバックライトが用いられる。バックライト3は、白色光を発光する。バックライト3の具体的な構成については後述する。
【0023】
走査線駆動回路4は、複数の走査線GLに接続される。走査線駆動回路4は、制御回路8から送られる制御信号に基づいて、画素PXに含まれるスイッチング素子をオン/オフするための走査信号を液晶パネル2に送る。走査線駆動回路4は、複数の走査線GLを順に走査するためのシフトレジスタ回路を備える。シフトレジスタ回路は、1フレーム期間ごとに、複数の走査線に対して順に走査信号をシフトさせる。
【0024】
信号線駆動回路5は、複数の信号線SLに電気的に接続される。信号線駆動回路5は、制御回路8から制御信号、及び表示データを受ける。信号線駆動回路5は、制御信号に基づいて、表示データに対応する複数の階調信号(駆動電圧)を液晶パネル2に送る。
【0025】
共通電極駆動回路6は、共通電圧Vcomを生成し、これを液晶パネル2内の共通電極に供給する。電圧生成回路7は、液晶表示装置1の動作に必要な各種電圧を生成し、これら電圧を対応する回路に供給する。
【0026】
制御回路8は、液晶表示装置1の動作を統括的に制御する。制御回路8は、外部から画像データDT及び制御信号CNTを受ける。制御回路8は、画像データDTに基づいて、各種制御信号を生成し、これら制御信号を対応する回路に送る。
【0027】
図2は、
図1に示した液晶パネル2の回路図である。
図2のX方向は、走査線が延びるロウ方向であり、Y方向は、信号線が延びるカラム方向である。
【0028】
液晶パネル2には、複数の走査線GL1~GLm、及び複数の信号線SL1~SLnが配設される。
【0029】
画素PXは、スイッチング素子(アクティブ素子)9、液晶容量(液晶素子)Clc、及び蓄積容量Csを備える。スイッチング素子9としては、例えばTFT(Thin Film Transistor)が用いられ、またnチャネルTFTが用いられる。なお、トランジスタのソース及びドレインは、トランジスタに流れる電流の向きによって変化するが、以下の説明では、トランジスタの接続状態の一例を説明する。しかし、ソース及びドレインが名称通りに固定されるものでないことは勿論である。
【0030】
TFT9のドレインは、信号線SLに接続され、そのゲートは、走査線GLに接続され、そのソースは、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。液晶素子としての液晶容量Clcは、画素電極、共通電極、及び液晶層により構成される。液晶容量Clcの他方の電極には、共通電極駆動回路6により共通電圧Vcomが印加される。
【0031】
蓄積容量Csの一方の電極は、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。蓄積容量Csの他方の電極には、共通電極駆動回路6により共通電圧Vcomが印加される。蓄積容量Csは、画素電極に生じる電位変動を抑制するとともに、画素電極に印加された駆動電圧を次の信号に対応する駆動電圧が印加されるまでの間保持する機能を有する。蓄積容量Csは、画素電極と、蓄積容量線と、これらに挟まれた絶縁層とにより構成される。蓄積容量Csの他方の電極(蓄積容量線)には、共通電圧Vcomと異なる蓄積容量電圧を印加してもよい。
【0032】
[1-2] 液晶パネル2の構成
次に、液晶パネル2の構成について説明する。本実施形態に係る液晶パネル2は、FFS(fringe field switching)型の液晶表示装置である。FFSは、ホモジニアス配向させた液晶をフリンジ電界でスイッチングする方式である。
【0033】
図3は、液晶パネル2の断面図である。
図3は、3個の画素PXに対応する断面図である。
図4は、液晶パネル2の平面図である。
図4は、2個の画素PXに対応する平面図である。
【0034】
液晶パネル2の表示画面と反対側には、液晶パネル2と所定の間隔を開けてバックライト3が配置される。バックライト3は、発光素子30を備える。
【0035】
液晶パネル2は、スイッチング素子及び画素電極などが形成されるTFT基板10と、TFT基板10に対向配置されかつカラーフィルタなどが形成されるカラーフィルタ基板(CF基板という)11と、TFT基板10及びCF基板11間に挟持及び充填された液晶層12とを備える。TFT基板10及びCF基板11の各々は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。
【0036】
液晶層12は、TFT基板10、CF基板11、及びシール材(図示せず)によって包囲された表示領域内に封入される。シール材は、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFT基板10又はCF基板11に塗布された後、紫外線照射、又は加熱等により硬化させられる。
【0037】
液晶層12を構成する液晶材料は、印加された電界に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。本実施形態では、液晶層12としては、正の誘電率異方性を有するポジ型(P型)のネマティック液晶が用いられる。液晶層12は、初期状態において、水平配向(ホモジニアス配向)される。液晶分子の長軸は、水平配向、かつ一方向に揃えられる。液晶分子は、無電圧(無電界)時には基板の主面に対してほぼ水平に配向する。電圧印加(電界印加)時には、液晶分子の長軸が電界方向に向かって旋回する。液晶層12は、ポジ型に限定されず、ネガ型(N型)を用いてもよい。
【0038】
まず、TFT基板10側の構成について説明する。TFT基板10の液晶層12側には、画素ごとに、TFT9が設けられる。
図3では、TFT9を概略的に示している。TFT9は、走査線として機能するゲート電極と、ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層と、半導体層上に互いに離間して設けられたソース電極及びドレイン電極とを備える。例えば、TFT9は、画素のY方向における端部に配置される。
【0039】
TFT基板10には、画素電極13が設けられる。画素電極13は、Y方向に延びるとともに、画素領域のおおよそ全体に設けられる。画素電極13は、TFT9のソース電極に電気的に接続される。なお、図示は省略するが、画素電極13の下方には、絶縁層を介して、画素電極13に部分的に重なる蓄積容量電極が設けられる。蓄積容量電極は、X方向に並ぶ複数の画素に共通に設けられる。
【0040】
画素電極13上には、絶縁層14が設けられる。
【0041】
絶縁層14上には、共通電極15が設けられる。共通電極15は、全ての画素に共通に設けられる。共通電極15は、画素ごとに複数のスリット16を有する。本実施形態では、画素ごとに4個のスリット16が設けられる例を示している。スリット16の数は、1個でもよいし、4個以外の複数個であってもよい。複数のスリット16は、画素電極13の上方に配置され、平面視において画素電極13に重なるように配置される。複数のスリット16は、等間隔に配置される。スリット16は、画素電極13と同様に、Y方向に延び、長方形を有する。スリット16は、直線状に構成してもよいし、画素の中央部で折れ曲がったくの字形状に構成してもよい。スリット16のY方向の長さは、画素電極13のY方向の長さより若干短く設定される。
【0042】
共通電極15上には、液晶層12の配向を制御する配向膜17が設けられる。配向膜17は、液晶層12の初期配向において、液晶分子を水平配向させるようにラビング処理される。
【0043】
次に、CF基板11側の構成について説明する。CF基板11の液晶層12側には、カラーフィルタが設けられる。カラーフィルタは、赤フィルタ21R、緑フィルタ21G、及び青フィルタ21Bを備える。一般的なカラーフィルタは、光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)で構成される。隣接したR、G、Bの三色のセットが表示の単位(画素)となっており、1つの画素中のR、G、Bのいずれか単色の部分はサブピクセル(サブ画素)と呼ばれる最小駆動単位である。TFT9及び画素電極13は、サブ画素ごとに設けられる。本明細書の説明では、画素とサブ画素との区別が特に必要な場合を除き、サブ画素を画素と呼ぶものとする。本明細書では、赤フィルタ21R、緑フィルタ21G、及び青フィルタ21Bを特に区別する必要がない場合は、これらをカラーフィルタと称する。
【0044】
CF基板11の液晶層12側には、遮光層(ブラックマトリクス、ブラックマスクともいう)22が設けられる。ブラックマトリクス22は、画素の境界に配置される。ブラックマトリクス22は、例えば、画素を囲むようにして網目状に形成される。ブラックマトリクス22は、画素の境界で発生する不要な光を遮光し、コントラストを向上させる機能を有する。
【0045】
カラーフィルタ、及びブラックマトリクス22上には、オーバーコート層23が設けられる。オーバーコート層23は、カラーフィルタ及びブラックマトリクス22の上面を平坦化する機能を有する。オーバーコート層23は、例えば透明な樹脂で構成される。
【0046】
オーバーコート層23上には、液晶層12の配向を制御する配向膜24が設けられる。配向膜24は、液晶層12の初期配向において、液晶分子を水平配向させるようにラビング処理される。また、配向膜17と配向膜24とは、ラビング処理の方向が反平行になるように対向配置される。
【0047】
TFT基板10の液晶層12と反対側には、偏光板18、拡散部材19、及び反射偏光板20がこの順に積層される。
【0048】
偏光板(直線偏光子ともいう)18は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。偏光板18は、ランダムな方向の振動面を有する光のうち、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を透過し、吸収軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を吸収する。
【0049】
拡散部材19は、透過光をランダムな方向に拡散(散乱)することで、透過光の輝度を均一化する機能を有する。拡散部材19は、拡散粘着材、拡散フィルム、又は拡散板などで構成される。拡散部材19を用いることで、視野角を向上させることができる。拡散部材19のヘイズ値は、40%以上90%以下に設定される。
【0050】
反射偏光板20は、面内において、互いに直交する透過軸及び反射軸を有する。反射偏光板20は、ランダムな方向の振動面を有する光のうち、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を透過し、反射軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を反射する。反射偏光板20の透過軸は、偏光板18の透過軸と平行に設定される。反射偏光板20は、反射表示において、外光を反射する機能を有する。
【0051】
CF基板11の液晶層12と反対側には、透明導電層25、及び偏光板26がこの順に積層される。
【0052】
透明導電層25は、CF基板11の全面に設けられる。透明導電層25は、グランドGNDに接続され、静電気を含む不要な電荷を放電する機能を有する。
【0053】
偏光板26は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。偏光板26は、ランダムな方向の振動面を有する光のうち、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を透過し、吸収軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を吸収する。
【0054】
偏光板18及び偏光板26の透過軸の関係は、液晶表示装置1の表示モード(ノーマリーブラックモード又はノーマリーホワイトモード)に応じて適宜設定される。偏光板18及び偏光板26は、例えば、互いの透過軸が直交するように、すなわち直交ニコル状態で配置される。
【0055】
(材料の例示)
ゲート電極(走査線)GL、ソース電極、ドレイン電極、及び信号線SLとしては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等が用いられる。
【0056】
画素電極13、共通電極15、透明導電層25、及び蓄積容量電極は、透明電極で構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。
【0057】
ゲート絶縁膜、及び絶縁層14としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えばシリコン窒化物(SiN)が用いられる。
【0058】
なお、FFSモードの液晶表示装置としては、
図3の構成に限定されず、共通電極が下側、画素電極が上側に配置され、共通電極が平面状に構成され、画素電極が複数のスリットを有するように構成してもよい。
【0059】
[1-3] バックライト3の構成
次に、バックライト3の構成について説明する。本実施形態では、バックライト3は、高演色バックライトで構成される。光源が色の見え方に及ぼす性質を演色性といい、色の見え方が自然光(太陽光)で見た場合に近いほど、その光源は演色性が良いという。高演色バックライトとして、以下に、3つの実施例(第1乃至第3実施例)について説明する。
【0060】
(第1実施例)
第1実施例は、青色LED(light-emitting diode)、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体を用いて、発光素子(光源)を構成している。
【0061】
図5は、第1実施例に係るバックライト3の斜視図である。
図5のZ方向は、XY面に直交する方向である。
図5では、複数の構成部材を間隔を空けて図示しているが、実際には、複数の構成部材は積層される。
【0062】
バックライト3は、複数の発光素子30、反射シート31、導光板32、拡散シート33、第1プリズムシート34、及び第2プリズムシート35を備える。反射シート31、導光板32、拡散シート33、第1プリズムシート34、及び第2プリズムシート35は、この順に積層される。
【0063】
複数の発光素子30の各々は、白色光を発光する。発光素子30は、例えばLEDで構成される。本実施形態では、3個の発光素子30を一例として示しているが、発光素子30の数は、任意に設定可能である。発光素子30の具体的な構成については後述する。複数の発光素子30は、導光板32の一側面に向き合うように配置され、導光板32の側面に向けて光を射出する。
【0064】
導光板32は、発光素子30から出射された光を液晶パネル2の面内に均一に照射するための光学部材である。導光板32は、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの透光性材料で構成される。
【0065】
反射シート31は、導光板32の下部から漏れた光を再度、導光板32に向けて反射する。
【0066】
拡散シート33は、透過光をランダムな方向に拡散(散乱)することで、透過光の輝度を均一化する機能を有する。
【0067】
第1プリズムシート34及び第2プリズムシート35は、正面方向(液晶パネル2に向かう方向)に光を集光し、正面の輝度を向上させる機能を有する。第1プリズムシート34は、それぞれがX方向に延び、Y方向に並んだ複数のプリズムを備える。第2プリズムシート35は、それぞれがY方向に延び、X方向に並んだ複数のプリズムを備える。複数のプリズムの各々は、三角柱で構成される。第1プリズムシート34と第2プリズムシート35とは、互いのプリズムの延在方向が直交するように配置される。
【0068】
図6は、第1実施例に係る発光素子30の断面図である。
【0069】
発光素子30は、基板40、青色LEDチップ41B、緑色蛍光体42、赤色蛍光体43、リフレクタ44、及び封止樹脂45を備える。
【0070】
基板40は、樹脂などで構成される絶縁基板と、絶縁基板の上面及び/又は内部に設けられた配線層とを備える。基板40は、放熱性に優れた金属ベース基板であってもよい。金属ベース基板は、金属基板、絶縁層、及び配線層が順に積層されて構成される。
【0071】
基板40の中央には、青色LEDチップ41Bが実装される。青色LEDチップ41Bは、青色光を発光する。
【0072】
基板40の周縁部には、青色LEDチップ41Bを囲むように、リフレクタ44が設けられる。リフレクタ44は、光を反射する機能を有する。
【0073】
青色LEDチップ41Bの上方には、緑色蛍光体42、及び赤色蛍光体43が配置される。青色LEDチップ41B、緑色蛍光体42、及び赤色蛍光体43は、封止樹脂45によって封止される。緑色蛍光体42は、青色光を緑色光に変換する。赤色蛍光体43は、青色光を赤色光に変換する。
【0074】
(第2実施例)
第2実施例は、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを用いて、発光素子を構成している。バックライト3における発光素子30以外の構成は、
図5と同じである。
図7は、第2実施例に係る発光素子30の断面図である。
【0075】
発光素子30は、基板40、赤色LEDチップ41R、緑色LEDチップ41G、青色LEDチップ41B、リフレクタ44、及び封止樹脂45を備える。
【0076】
基板40の中央には、赤色LEDチップ41R、緑色LEDチップ41G、及び青色LEDチップ41Bが実装される。赤色LEDチップ41Rは、赤色光を発光する。緑色LEDチップ41Gは、緑色光を発光する。青色LEDチップ41Bは、青色光を発光する。赤色LEDチップ41R、緑色LEDチップ41G、及び青色LEDチップ41Bは、封止樹脂45によって封止される。
【0077】
(第3実施例)
第3実施例は、青色LED、及び量子ドットシートを用いて、バックライトを構成している。
図8は、第3実施例に係るバックライト3の斜視図である。
【0078】
バックライト3は、複数の発光素子30、反射シート31、導光板32、量子ドットシート36、第1プリズムシート34、及び第2プリズムシート35を備える。反射シート31、導光板32、量子ドットシート36、第1プリズムシート34、及び第2プリズムシート35は、この順に積層される。反射シート31、導光板32、第1プリズムシート34、及び第2プリズムシート35の構成は、第1実施例と同じである。
【0079】
複数の発光素子30は、青色光を発光する。
【0080】
量子ドットシート36は、青色光を赤色光及び緑色光に変換する機能を有する。量子ドットシート36は、複数の量子ドットを含むように構成される。量子ドットは、半導体で構成される。量子ドットシート36は、青色光を赤色光に変換可能な第1量子ドット(例えば粒径が約7nm)と、青色光を緑色光に変換可能な第2量子ドット(例えば粒径が約3nm)とを含むように構成される。
【0081】
図9は、第3実施例に係る発光素子30の断面図である。発光素子30は、基板40、青色LEDチップ41B、リフレクタ44、及び封止樹脂45を備える。
【0082】
基板40の中央には、青色LEDチップ41Bが実装される。青色LEDチップ41Bは、青色光を発光する。青色LEDチップ41Bは、封止樹脂45によって封止される。
【0083】
[1-4] 動作
次に、上記のように構成された液晶表示装置1の動作について説明する。
【0084】
まず、液晶表示装置1の表示動作について説明する。
図10は、液晶表示装置1の表示動作を説明する図である。
【0085】
オフ状態とは、液晶層12に電界が印加されない状態であり、共通電極15には、共通電圧Vcomが印加され、画素電極13には、共通電極15と同じ共通電圧Vcomが印加される。オン状態とは、液晶層12に電界が印加された状態であり、共通電極15には、共通電圧Vcomが印加され、画素電極13には、共通電圧Vcomとは異なる正電圧が印加される。なお、実際には、画素電極13及び共通電極15間の電界の極性を所定周期で反転させる反転駆動(交流駆動)が行われる。反転駆動を行うことで、液晶の劣化などを抑制できる。反転駆動の周期は任意に設定可能である。
【0086】
オフ状態において、液晶分子は、初期状態に配向され、すなわち、液晶分子の長軸は、水平、かつ例えばY方向に向いている。Y方向は、配向膜のラビング方向と同じである。オフ状態では、液晶表示装置1は、例えば黒を表示する。
【0087】
オン状態において、液晶層12には、共通電極15と画素電極13との電位差に応じた電界が印加される。平面視において、液晶分子は、Y方向に対して斜め方向に旋回する。これにより、液晶表示装置1は、入射光の透過量を制御することができる。すなわち、液晶表示装置1の透過率を変化させることができる。オン状態では、液晶表示装置1は、例えばカラー表示を行う。
【0088】
液晶表示装置1は、透過表示と反射表示とを行うことが可能である。透過表示では、バックライト3から照明光が射出される。バックライト3からの照明光は、液晶パネル2を透過し、観察者に視認される。透過表示における表示光を透過表示光と称する。
【0089】
反射表示では、太陽光を含む外光が液晶パネル2の表示面側から液晶パネル2に入射する。外光は、バックライト3の構成部材(反射シート31、導光板32、拡散シート33、第1プリズムシート34、及び第2プリズムシート35)によって反射される。バックライト3によって反射された反射光は、液晶パネル2に入射する。また、外光は、液晶パネル2の反射偏光板20によって反射される。反射光は、液晶パネル2を透過し、観察者に視認される。反射表示における表示光を反射表示光と称する。反射表示において、バックライト3はオフであってもよし、オンであってもよい。
【0090】
(バックライト3の特性)
次に、バックライト3の特性について説明する。
【0091】
図11は、第1実施例に係るバックライト3の分光(BL分光)を説明する図である。
図11の横軸は、波長(nm)、縦軸は、相対分光輝度を表している。一般的には、可視光線は、435~480nmの波長範囲で青と認識され、500~560nmの波長範囲で緑と認識され、610~750nmの波長範囲で赤と認識される。
【0092】
図11には、比較例におけるバックライトの分光も示している。比較例は、一般的に用いられているバックライトである。比較例におけるバックライトは、いわゆる擬似白色LEDを用いたバックライトである。擬似白色LEDは、青色LEDと黄色蛍光体とを用いて構成される。比較例におけるバックライトの分光輝度は、波長450nm付近で第1ピークとなり、波長560nm付近で第2ピークとなる。
【0093】
第1実施例では、バックライト3の分光輝度は、波長450nm付近で第1ピークとなり、波長530nm付近で第2ピークとなり、波長630nm付近で第3ピークとなる。第1実施例に係るバックライト3は、赤色光、緑色光、及び青色光が混ざって白色光を生成できる。第1実施例に係るバックライト3は、高い演色性を有している。
【0094】
図12は、第2実施例に係るバックライト3の分光を説明する図である。第2実施例では、バックライト3の分光輝度は、波長460nm付近で第1ピークとなり、波長520nm付近で第2ピークとなり、波長640nm付近で第3ピークとなる。第2実施例に係るバックライト3は、赤色光、緑色光、及び青色光が混ざって白色光を生成できる。第2実施例に係るバックライト3は、高い演色性を有している。
【0095】
図13は、第3実施例に係るバックライト3の分光を説明する図である。第3実施例では、バックライト3の分光輝度は、波長450nm付近で第1ピークとなり、波長530nm付近で第2ピークとなり、波長630nm付近で第3ピークとなる。第3実施例に係るバックライト3は、赤色光、緑色光、及び青色光が混ざって白色光を生成できる。第3実施例に係るバックライト3は、高い演色性を有している。
【0096】
(カラーフィルタの特性)
次に、カラーフィルタの特性について説明する。
【0097】
図14は、カラーフィルタの分光(CF分光)を説明する図である。
図14の横軸は、波長(nm)、縦軸は、透過率(%)を表している。
図14において、「R:実施形態」は、実施形態に係る赤フィルタ21Rの分光、「G:実施形態」は、実施形態に係る緑フィルタ21Gの分光、「B:実施形態」は、実施形態に係る青フィルタ21Bの分光を表している。
【0098】
図15は、カラーフィルタの色度(CF色度)を説明する図である。
図15において、“赤”は、赤フィルタ21Rの色度、“緑”は、緑フィルタ21Gの色度、“青”は、青フィルタ21Bの色度を表している。
図15の“白”は、赤フィルタ21R、緑フィルタ21G、及び青フィルタ21Bの混色で生成された白表示の色度を表している。測定用光源は、C光源(CIEが規定した標準光源)を用いている。色度は、測定の便宜上、透明電極としてのITO(膜厚1200Å)を含む数値である。
【0099】
図14及び
図15には、比較例におけるカラーフィルタの分光も示している。比較例は、一般的に用いられているカラーフィルタである。
【0100】
図15において、“x”及び“y”は、xy色度図の値である。xy色度図は、色(色相と彩度)を(x,y)の平面座標で表したものである。xy色度図には、明度の情報は含まれない。“Y”は、XYZ表色系のY値である。XYZ表色系のY値は、三刺激値X、Y、Zのうちの1つであり、明度に関する情報である。XYZ表色系は、三刺激値X、Y、Zを用いて色を表す体系である。Yxyの三要素で明度、色相、及び彩度の情報を表すことができる。色相、彩度、及び明度は、色の三属性と呼ばれる。
【0101】
図15では、カラーフィルタをNTSC比で評価している。NTSC比(単位は%)とは、アメリカテレビジョン標準化委員会(National Television Standards Committee)によりXYZ表色系の色度(x,y)にて定められた標準方式の3原色、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)を結ぶ三角形を基準として、画像表示装置の赤、緑、及び青の単色の色度を結んで得られる三角形を比較した面積比である。この面積比が即ち色再現範囲として定義され、その比率が高いほど色再現性が高いと判定される。
【0102】
図14に示すように、青フィルタ21Bの透過率のピークは、85%以上であり、比較例に比べて高い。緑フィルタ21Gの透過率のピークは、85%以上であり、比較例に比べて高い。赤フィルタ21Rの透過率のピークは、85%以上であり、比較例と同等の透過率が得られる。
【0103】
赤フィルタ21RのY値を“R-Y値”、緑フィルタ21GのY値を“G-Y値”、青フィルタ21BのY値を“B-Y値”、白表示のY値を“W-Y値”と称する。W-Y値は、R-Y値、G-Y値、及びB-Y値の平均で算出される。本実施形態では、W-Y値は、33以上に設定される。ただし、W-Y値が44以上になるとバックライトによる演色性(透過表示の色再現性)を向上させる効果が軽減してしまうため、44以下が望ましい。すなわち、W-Y値は、33以上44以下に設定される。また、W-Y値は、38以上であることが望ましく、40以上であることがさらに望ましい。
【0104】
Y値の条件については、高演色BLで色純度を向上させやすいRとGは相対的に高いY値(すなわち、相対的に低い色純度)、高演色BLで色純度の上がらないBは相対的に低いY値(すなわち、相対的に高い色純度)に設定される。RGBそれぞれのY値は、R-Y値≧21、G-Y値≧58、B-Y値≧15を満たすように調整することが望ましい。また、RGBそれぞれのY値は、R-Y値≧25、G-Y値≧65、B-Y値≧18を満たすように調整することがさらに望ましい。
【0105】
図16は、白表示のY値(W-Y値)と反射率との関係を説明する図である。
図16の横軸は、W-Y値を表し、縦軸は、反射率(%)を表している。反射率は、液晶表示装置1の反射表示における反射率である。
図16の実施例は、FFSモード、精細度150ppi相当の液晶パネルを用いている。
【0106】
反射表示における視認性を良好にするには、反射率を1%以上にすることが望ましい。
図16から、反射率を1%以上にするには、W-Y値を33以上に設定する必要がある。本実施形態では、W-Y値を33以上に設定しているため、液晶表示装置1における反射表示の視認性を良好にすることができる。
【0107】
図17は、カラーフィルタ及び透過表示における白色度(白色の色度)を説明する図である。
図17の横軸は、xy色度のx値(x軸)、縦軸は、xy色度のy値(y軸)である。
図17において、実線の四角は、カラーフィルタの白色度の範囲(CF白色度範囲)、破線の四角は、透過表示の白色度の範囲(透過表示白色度範囲)を表している。
図17の四角の内側が白表示が良好になる範囲である。破線と実線の四角のずれは、液晶の波長分散および偏光板の色相に起因する。
【0108】
透過表示の白色度は、
図17の破線の範囲に収めることが望ましく、この条件を満たすためには、CFの白色度を
図17の実線の範囲に収める必要がある。すなわち、カラーフィルタの白色度におけるx値は、0.290以上0.320以下の範囲に設定され、y値は、0.280以上0.350以下の範囲に設定される。
【0109】
(拡散部材19の特性)
図18は、拡散部材19の特性を説明する図である。
図18の横軸は、拡散部材19のヘイズ値(%)を表し、縦軸は、反射率(%)を表している。反射率は、液晶表示装置1の反射表示における反射率である。
図18の実施例は、FFSモード、精細度150ppi相当の液晶パネルを用いている。
【0110】
反射表示における視認性を良好にするには、反射率を1%以上にすることが望ましい。
図18から、反射率を1%以上にするには、拡散部材19のヘイズ値を40%以上に設定することが望ましい。これにより、液晶表示装置1における反射表示の視認性を良好にすることができる。ただし、ヘイズ値が90%以上になると透過率が大きく低下してしまうため、90%以下が望ましい。すなわち、拡散部材19のヘイズ値は、40%以上90%以下に設定される。
【0111】
[1-5] 第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、色純度が低くかつ明度が高いカラーフィルタを用いることにより、反射表示の明るさ(反射率)を向上させることができる。同時に、高演色のバックライト3を用いることにより、透過表示の色再現性を向上させることができる。すなわち、透過表示の色再現性と反射表示の明るさとを両立することが可能な液晶表示装置1を実現できる。
【0112】
また、液晶パネル2の背面側に、拡散部材19、及び反射偏光板20を配置している。これにより、液晶表示装置1の反射率を向上させることができる。具体的には、拡散部材及び反射偏光板を配置しないものに比較して、反射率を4割以上向上する効果がある。結果として、反射表示の明るさをより向上できる。
【0113】
また、画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けすることなく、透過表示と反射表示とを行うことが可能な液晶表示装置1を実現できる。
【0114】
図19は、液晶表示装置1における反射特性及び透過特性を説明する図である。
図19には、サンプルとして比較例、第1乃至第3実施例の特性を示している。比較例は、バックライトとして、擬似白色LEDを用いた従来品を用いており、カラーフィルタとして
図15の比較例を用いている。第1実施例は、バックライトとして、
図5及び
図6の第1実施例(青色LED+緑色蛍光体/赤色蛍光体)を用いており、カラーフィルタとして
図15の実施形態を用いている。第2実施例は、バックライトとして、
図5及び
図7の第2実施例(赤色LED+緑色LED+青色LED)を用いており、カラーフィルタとして
図15の実施形態を用いている。第3実施例は、バックライトとして、
図8及び
図9の第3実施例(青色LED+量子ドットシート)を用いており、カラーフィルタとして
図15の実施形態を用いている。反射率及び透過率は、比較例を基準にしている。
【0115】
第1実施例は、比較例と比べて、反射率が20%アップ、透過率が25%アップする。透過表示のNTSC比は50%であり、比較例と同等である。
【0116】
第2実施例は、比較例と比べて、反射率が20%アップ、透過率が25%アップする。透過表示のNTSC比は55%であり、比較例より向上する。
【0117】
第3実施例は、比較例と比べて、反射率が20%アップ、透過率が25%アップする。透過表示のNTSC比は50%であり、比較例と同等である。
【0118】
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、液晶パネル2の他の構成例である。
【0119】
図20は、本発明の第2実施形態に係る液晶パネル2の断面図である。
【0120】
液晶パネル2は、垂直配向(VA:Vertical Alignment)型液晶を用いたVAモードである。液晶層12としては、負の誘電率異方性を有するネガ型(N型)のネマティック液晶が用いられる。液晶層12は、初期状態において、垂直配向となる。液晶分子は、無電圧(無電界)時には基板の主面に対してほぼ垂直に配向する。電圧印加(電界印加)時には、液晶分子の長軸が水平方向(基板の主面に平行な方向)に向かって傾く。
【0121】
TFT基板10には、画素電極13が設けられる。画素電極13は、Y方向に延びるとともに、画素領域のおおよそ全体に設けられる。
【0122】
画素電極13上には、液晶層12の配向を制御する配向膜17が設けられる。配向膜17は、液晶層12の初期配向において、液晶分子を垂直配向させる。
【0123】
カラーフィルタ(赤フィルタ21R、緑フィルタ21G、及び青フィルタ21Bを含む)上には、共通電極15が設けられる。共通電極15は、表示領域全面に平面状に形成される。
【0124】
共通電極15上には、液晶層12の配向を制御する配向膜24が設けられる。配向膜24は、液晶層12の初期配向において、液晶分子を垂直配向させる。
【0125】
TFT基板10の液晶層12と反対側には、位相差板27、偏光板18、拡散部材19、及び反射偏光板20がこの順に積層される。
【0126】
位相差板27は、屈折率異方性を有しており、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する遅相軸及び進相軸を有する。位相差板27は、遅相軸と進相軸とをそれぞれ透過する所定波長の光の間に所定のリタデーション(λを光の波長としたとき、λ/4の位相差)を与える機能を有する。すなわち、位相差板27は、1/4波長板(λ/4板)で構成される。位相差板27の遅相軸は、偏光板18の透過軸に対して概略45°の角度をなすように設定される。
【0127】
CF基板11の液晶層12と反対側には、位相差板28、及び偏光板26がこの順に積層される。
【0128】
位相差板28は、1/4波長板(λ/4板)で構成される。位相差板28の遅相軸は、偏光板26の透過軸に対して概略45°の角度をなすように設定される。
【0129】
偏光板18及び偏光板26の透過軸の関係は、液晶表示装置1の表示モード(ノーマリーブラックモード又はノーマリーホワイトモード)に応じて適宜設定される。偏光板18及び偏光板26は、例えば、互いの透過軸が直交するように、すなわち直交ニコル状態で配置される。
【0130】
なお、前述した偏光板及び位相差板を規定する角度は、所望の動作を実現可能な誤差、及び製造工程に起因する誤差を含むものとする。例えば、前述した概略45°は、45°±5°の範囲を含むものとする。例えば、前述した直交は、90°±5°の範囲を含むものとする。
【0131】
第2実施形態においても、第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0132】
[3] 第3実施形態
第3実施形態は、液晶パネル2の他の構成例である。
【0133】
図21は、本発明の第3実施形態に係る液晶パネル2の断面図である。
【0134】
液晶パネル2は、TN(twisted nematic)型液晶を用いたTNモードである。液晶層12としては、正の誘電率異方性を有するポジ型(P型)のネマティック液晶が用いられる。初期状態において、液晶分子は、水平配向、かつ液晶層12の厚さ方向に沿って90度ねじれた配向となる。液晶分子は、無電圧(無電界)時には、初期状態になる。電圧印加(電界印加)時には、液晶分子の長軸が垂直方向(基板の主面に垂直な方向)に向かって傾く。
【0135】
TFT基板10には、画素電極13が設けられる。画素電極13は、Y方向に延びるとともに、画素領域のおおよそ全体に設けられる。
【0136】
画素電極13上には、液晶層12の配向を制御する配向膜17が設けられる。配向膜17は、液晶層12の初期配向において、液晶分子の長軸が一方向に向くようにして水平配向させる。
【0137】
カラーフィルタ(赤フィルタ21R、緑フィルタ21G、及び青フィルタ21Bを含む)上には、共通電極15が設けられる。共通電極15は、表示領域全面に平面状に形成される。
【0138】
共通電極15上には、液晶層12の配向を制御する配向膜24が設けられる。配向膜24は、液晶層12の初期配向において、液晶分子の長軸が一方向に向くようにして水平配向させる。配向膜24の配向方向は、配向膜17の配向方向と直交する。
【0139】
TFT基板10の液晶層12と反対側には、偏光板18、拡散部材19、及び反射偏光板20がこの順に積層される。
【0140】
CF基板11の液晶層12と反対側には、偏光板26が設けられる。
【0141】
偏光板18及び偏光板26の透過軸の関係は、液晶表示装置1の表示モード(ノーマリーブラックモード又はノーマリーホワイトモード)に応じて適宜設定される。偏光板18及び偏光板26は、例えば、互いの透過軸が直交するように、すなわち直交ニコル状態で配置される。
【0142】
第3実施形態においても、第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0143】
[4] 第4実施形態
第4実施形態は、反射表示に用いられる反射偏光板をバックライト3に組み込むようにしている。
【0144】
図22は、本発明の第4実施形態に係る液晶パネル2の断面図である。TFT基板10の液晶層12と反対側には、偏光板18のみが設けられる。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0145】
図23は、
図22に示したバックライト3の斜視図である。
図23では、複数の構成部材を間隔を空けて図示しているが、実際には、複数の構成部材は積層される。
【0146】
第2プリズムシート35上には、反射偏光板20が設けられる。反射偏光板20の透過軸は、偏光板18の透過軸と平行に設定される。反射偏光板20は、反射表示において、外光を反射する機能を有する。
【0147】
反射偏光板20上には、拡散部材19が設けられる。拡散部材19のヘイズ値は、40%以上90%以下に設定される。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0148】
第4実施形態においても、第1実施形態と同じ効果を得ることができる。第4実施形態は、第2及び第3実施形態に適用することも可能である。
【0149】
なお、本明細書において、板やフィルムは、その部材を例示した表現であり、その構成に限定されるものではない。例えば、位相差板は、板状の部材に限定されるものではなく、明細書で記載した機能を有するフィルムやその他の部材であっても良い。偏光板は、板状の部材に限定されるものではなく、明細書で記載した機能を有するフィルムやその他の部材であっても良い。
【0150】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0151】
1…液晶表示装置、2…液晶パネル、3…バックライト、4…走査線駆動回路、5…信号線駆動回路、6…共通電極駆動回路、7…電圧生成回路、8…制御回路、9…スイッチング素子、10…TFT基板、11…CF基板、12…液晶層、13…画素電極、14…絶縁層、15…共通電極、16…スリット、17…配向膜、18…偏光板、19…拡散部材、20…反射偏光板、21R…赤フィルタ、21G…緑フィルタ、21B…青フィルタ、22…ブラックマトリクス、23…オーバーコート層、24…配向膜、25…透明導電層、26…偏光板、27…位相差板、28…位相差板、30…発光素子、31…反射シート、32…導光板、33…拡散シート、34…第1プリズムシート、35…第2プリズムシート、36…量子ドットシート、40…基板、41B…青色LEDチップ、41G…緑色LEDチップ、41R…赤色LEDチップ、42…緑色蛍光体、43…赤色蛍光体、44…リフレクタ、45…封止樹脂。