(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006893
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】薄葉紙収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20240110BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20240110BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K10/20 Z
A47K10/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189363
(22)【出願日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2022105872
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 麟太郎
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LA09
(57)【要約】
【課題】廃棄時の窓フィルムの剥がし易さと、製品製造時の窓フィルムの剥がれ難さとを両立させる。
【解決手段】本開示にかかる薄葉紙収納箱は、第1方向に長く第2方向に短い天面部と、天面部に形成される開口部14とを有し、薄葉紙を収納する収納空間を内部に区画する箱本体と、第1方向に延びるスリット12aを有し、箱本体の天面部に対して糊付けされ、天面部の開口部14を収納空間側から覆う窓フィルム12を備え、天面部に対する窓フィルム12の糊付け部20は、開口部14の第1方向の両側に配置されて第2方向に沿って延びる1対の短手糊付け部21a,21bと、開口部14の第2方向の両側に配置されて第1方向に沿って延びる1対の長手糊付け部22a,22bとを有し、1対の短手糊付け部21a,21bの両端と1対の長手糊付け部22a,22bの両端とは、互いに離間している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長く第2方向に短い天面部と、前記天面部に形成される開口部とを有し、薄葉紙を収納する収納空間を内部に区画する箱本体と、
前記第1方向に延びるスリットを有し、前記箱本体の前記天面部に対して糊付けされ、前記天面部の前記開口部を前記収納空間側から覆う窓フィルムを備え、
前記天面部に対する前記窓フィルムの糊付け部は、前記開口部の前記第1方向の両側に配置されて前記第2方向に沿って延びる1対の短手糊付け部と、前記開口部の前記第2方向の両側に配置されて前記第1方向に沿って延びる1対の長手糊付け部とを有し、
前記1対の短手糊付け部の両端と前記1対の長手糊付け部の両端とは、互いに離間している
ことを特徴とする薄葉紙収納箱。
【請求項2】
前記1対の短手糊付け部は、前記第2方向の中間部分に配置される第1細幅部と、前記第1細幅部よりも太幅であり前記第1細幅部の前記第2方向の両端から連続して前記第2方向の外側へ延びる1対の第1太幅部によってそれぞれ構成され、
前記第1細幅部の幅は、0.4mm以上5.0mm以下であり、
前記1対の第1太幅部の幅は、1.5mm以上7.0mm以下であり、
前記第1細幅部の前記第2方向の長さは、2.3mm以上39.0mm以下であり、
前記1対の第1太幅部の長さは、6.6mm以上25.0mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項3】
前記1対の長手糊付け部は、前記第1方向の中間部分に配置される第2細幅部と、前記第2細幅部よりも太幅であり前記第2細幅部の前記第1方向の両端から連続して前記第1方向の外側へ延びる1対の第2太幅部によってそれぞれ構成され、
前記第2細幅部の幅は、0.6mm以上6.0mm以下であり、
前記1対の第2太幅部の幅は、2.0mm以上8.5mm以下であり、
前記第2細幅部の前記第1方向の長さは、50.0mm以上100.0mm以下であり、
前記1対の第2太幅部の長さは、10.0mm以上65.0mm以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項4】
前記1対の短手糊付け部の前記第1方向の外側の端縁は、前記第2方向に直線状に延びる
ことを特徴とする請求項2に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項5】
前記窓フィルムの引張強度は、8.5N/15mm以上23.5N/15mm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項6】
前記窓フィルムの剥離強度は、2.9N以上27.5N以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項7】
前記窓フィルムの厚みは、15μm以上60μm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【請求項8】
下記式(1)で表される前記箱本体の高さに対する前記収納空間に収納される薄葉紙の積層体の高さの割合r(%)は、75%以上103%以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄葉紙収納箱。
r(%)=薄葉紙の組数×薄葉紙の紙厚(μm)×2/1000×2/箱本体の高さ(mm)×100・・・(1)
【請求項9】
前記箱本体の坪量は、200g/m2以上450g/m2以下であり、
前記箱本体の高さは、33mm以上83mm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄葉紙収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薄葉紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生薄葉紙を収納する収納箱には、衛生薄葉紙の取り出し部分の開口を被覆するように、ポリプロピレン製やポリエチレン製のフィルムが貼着されている。このフィルムは、一般的に窓フィルムと呼ばれ、中央部分に直線上のスリットを有している。この窓フィルムを設けることによって、衛生薄葉紙をスリットで挟むことができるので、衛生薄葉紙のドロップバックを防止することができる。また、窓フィルムを設けない場合に比べて、衛生薄葉紙を引き出す際の摩擦を小さくすることができるので、衛生薄葉紙の破れを防止することができる。また、窓フィルムによって衛生薄葉紙の取り出し部分の開口を覆うので、開口から収納箱内へのごみの混入を防止することができる。
【0003】
ところで、昨今、リサイクルへの意識が高まっている中、収納箱の廃棄時に、紙製の箱本体と樹脂製の窓フィルムとの分別を求められることがある。しかし、窓フィルムは、収納箱に対して糊で接着されているので、窓フィルムを収納箱から剥がす際に手間がかかり、作業が煩雑になる可能性がある。このような問題に対し、特許文献1、2のように糊版の形状を変更させることで、窓フィルムを収納箱から剥がし易くすることが考えられる。
【0004】
特許文献1には、衛生薄葉紙収納箱が開示されている。この衛生薄葉紙収納箱のフィルムシートの接着糊の糊付けパターンは、箱の長辺及び短辺に沿って裂開用ミシン目線で囲まれる範囲を包囲するように接着糊が配され、かつ、その長辺に沿って配される部分が連続線上に所定間隔で連続線の幅より幅広のドット部を有するパターンである。フィルムシートを引き剥がす際には、糊付けパターンの連続線上に存在するドット部に沿って、フィルムシートが剥がれる仕組みになっている。
【0005】
特許文献2には、衛生用紙収納用カートンが開示されている。この衛生用紙収納用カートンの窓フィルムの接着部は、取出口を包囲する環状に配置されるとともに、窓フィルムのスリットの形成方向に沿って配置された部分の少なくとも一部が破断され、不連続部が形成されている。すなわち、特許文献2では、長手方向の糊が間欠に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6039200号公報
【特許文献2】特許第4836600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の衛生薄葉紙の収納箱(薄葉紙収納箱)では、長手方向の糊と短手方向の糊とが窓フィルムの4つの角部で連続しているので、窓フィルムを剥がす際に、窓フィルムの長手方向の端部を掴み難く、また剥がし始めに強い力が必要となる。このため、窓フィルムを収納箱から剥がす際に手間がかかり、作業が煩雑になる可能性がある。また、糊付けパターンの形状が複雑であるので、窓フィルムの貼り付け時に、窓フィルムに皺が入り易い。このため、製品製造時に薄葉紙の積層体を薄葉紙収納箱に挿入する際に、窓フィルムの皺が発生している箇所に薄葉紙の積層体が引っ掛かり、窓フィルムが意図せず剥がれてしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本開示は、廃棄時の窓フィルムの剥がし易さと、製品製造時の窓フィルムの剥がれ難さとを両立させることが可能な薄葉紙用収納箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の薄葉紙収納箱は、第1方向に長く第2方向に短い天面部と、前記天面部に形成される開口部とを有し、薄葉紙を収納する収納空間を内部に区画する箱本体と、前記第1方向に延びるスリットを有し、前記箱本体の前記天面部に対して糊付けされ、前記天面部の前記開口部を前記収納空間側から覆う窓フィルムを備え、前記天面部に対する前記窓フィルムの糊付け部は、前記開口部の前記第1方向の両側に配置されて前記第2方向に沿って延びる1対の短手糊付け部と、前記開口部の前記第2方向の両側に配置されて前記第1方向に沿って延びる1対の長手糊付け部とを有し、前記1対の短手糊付け部の両端と前記1対の長手糊付け部の両端とは、互いに離間している。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の薄葉紙収納箱であって、前記1対の短手糊付け部は、前記第2方向の中間部分に配置される第1細幅部と、前記第1細幅部よりも太幅であり前記第1細幅部の前記第2方向の両端から連続して前記第2方向の外側へ延びる1対の第1太幅部によってそれぞれ構成され、前記第1細幅部の幅は、0.4mm以上5.0mm以下であり、前記1対の第1太幅部の幅は、1.5mm以上7.0mm以下であり、前記第1細幅部の前記第2方向の長さは、2.3mm以上39.0mm以下であり、前記1対の第1太幅部の長さは、6.6mm以上25.0mm以下である。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様の薄葉紙収納箱であって、前記1対の長手糊付け部は、前記第1方向の中間部分に配置される第2細幅部と、前記第2細幅部よりも太幅であり前記第2細幅部の前記第1方向の両端から連続して前記第1方向の外側へ延びる1対の第2太幅部によってそれぞれ構成され、前記第2細幅部の幅は、0.6mm以上6.0mm以下であり、前記1対の第2太幅部の幅は、2.0mm以上8.5mm以下であり、前記第2細幅部の前記第1方向の長さは、50.0mm以上100.0mm以下であり、前記1対の第2太幅部の長さは、10.0mm以上65.0mm以下である。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第2の態様の薄葉紙収納箱であって、前記1対の短手糊付け部の前記第1方向の外側の端縁は、前記第2方向に直線状に延びる。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの薄葉紙収納箱であって、前記窓フィルムの引張強度は、8.5N以上23.5N以下である。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの薄葉紙収納箱であって、前記窓フィルムの剥離強度は、2.9N以上27.5N以下である。
【0015】
本発明の第7の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの薄葉紙収納箱であって、前記窓フィルムの厚みは、15μm以上60μm以下である。
【0016】
本発明の第8の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの薄葉紙収納箱であって、下記式(1)で表される前記箱本体の高さに対する前記収納空間に収納される薄葉紙の積層体の高さの割合r(%)は、75%以上103%以下である。
r(%)=薄葉紙の組数×薄葉紙の紙厚(μm)×2/1000×2/箱本体の高さ(mm)×100・・・(1)
【0017】
本発明の第9の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの薄葉紙収納箱であって、前記箱本体の坪量は、200g/m2以上450g/m2以下であり、前記箱本体の高さは、33mm以上83mm以下である。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、廃棄時の窓フィルムの剥がし易さと、製品製造時の窓フィルムの剥がれ難さとを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薄葉紙収納箱の外観斜視図である。
【
図4】窓フィルムの剥離強度の測定方法の説明図であって、(a)は天面部に窓フィルムを接着した状態を、(b)は窓フィルムを引き上げている状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0021】
また、本明細書の説明において、薄葉紙収納箱の天面部の長手方向は、第1方向に対応し、図中、矢印Xに沿った方向を示す。薄葉紙収納箱の天面部の短手方向(長手方向と直交する方向)は、第2方向に対応し、図中、矢印Yに沿った方向を示す。薄葉紙収納箱の高さ方向は、第1方向及び第2方向の双方と直交する方向であり、図中、矢印Zに沿った方向を示す。また、以下の説明において、特に説明のない限り、「長手方向」は「第1方向」を意味し、「短手方向」は「第2方向」を意味する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る薄葉紙収納箱の外観斜視図である。
図2は、
図1のII-II矢視断面図である。
図3は、窓フィルムの糊付け部の説明図である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る薄葉紙収納箱10は、積層された薄葉紙1をポップアップ式に取り出し可能に収納する薄葉紙収納箱10である。薄葉紙収納箱10は、箱本体11と、箱本体11に糊付けされた窓フィルム12と、箱本体11の内部に収納された薄葉紙1とを備える。
【0024】
[箱本体]
箱本体11は、カートンブランクスと呼ばれる1枚の板紙(板状体)を折り曲げて形成される紙製の直方体状の箱であって、薄葉紙1を収納する収納空間13を内部に区画する。箱本体11の基材となる板紙は、多層抄き装置によって製造される多層構造の抄き合わせ紙であることが好ましい。箱本体11は、収納空間13の上方を区画する天面部11aと、収納空間13の下方を区画する底面部11bと、収納空間13の長手方向の両側を区画する第1側面部11c及び第2側面部11dと、収納空間13の短手方向の両側を区画する第3側面部11e及び第4側面部11fとを有する。なお、箱本体11を、カートンと称する場合がある。
【0025】
(坪量)
箱本体11の坪量(基材となる板紙の坪量)は、下限値200g/m2以上であることが好ましく、上限値450g/m2以下であることが好ましい。箱本体11の坪量を上記範囲に設定することにより、カートン11の強度が適切になるため、窓フィルム12の剥がし易さが良好となる。なお、箱本体11の坪量の下限値は、240g/m2以上であることがより好ましく、300g/m2以上であることが更に好ましい。また、箱本体11の坪量の上限値は、400g/m2以下であることがより好ましく、370g/m2以下であることが更に好ましい。箱本体11の坪量は、JIS P 8124に基づいて測定される値である。
【0026】
(収納箱のサイズ)
本実施形態に係る箱本体11の高さHc(Z方向の長さ)は、下限値33mm以上であることが好ましく、上限値83mm以下であることが好ましい。箱本体11の高さHcを上記範囲に設定することにより、窓フィルム12の意図しない剥がれを抑制することができる。なお、箱本体11の高さHcの下限値は、50mm以上であることがより好ましく、55mm以上であることが更に好ましい。また、箱本体11の高さHcの上限値は、78mm以下であることがより好ましく、75mm以下であることが更に好ましい。
【0027】
また、箱本体11の長手方向の長さLc(X方向の長さ)の下限値は、220mm以上であることが好ましく、225mm以上であることがより好ましく、230mm以上であることが更に好ましい。また、箱本体11の長手方向の長さLcの上限値は、254mm以下であることが好ましく、246mm以下であることがより好ましく、243mm以下であることが更に好ましい。
【0028】
また、箱本体11の短手方向の長さWc(Y方向の長さ)の下限値は、95mm以上であることが好ましく、100mm以上であることがより好ましく、105mm以上であることが更に好ましい。また、箱本体11の短手方向の長さWcの上限値は、123mm以下であることが好ましく、120mm以下であることがより好ましく、115mm以下であることが更に好ましい。
【0029】
箱本体11を上記範囲のサイズにすることにより、窓フィルム12のサイズが適切になり、糊版の面積が適切になり、窓フィルム12を剥がし易くなる。
【0030】
(開口部)
図1に示すように、箱本体11の天面部11aは、互いに平行に長手方向に延びる1対の辺と、互いに平行に短手方向に延びる1対の辺とによって囲まれる長方形状の面部であって、薄葉紙1を引き出すための開口部14を有する。すなわち、天面部11aは、第1方向に長く第2方向に短く形成される。本実施形態の開口部14は、未使用時には、内側の空間が蓋部15によって塞がれた閉止状態となっており、使用時には、蓋部15の外周縁のミシン目に沿って蓋部15を天面部11aから取り外すことによって開放された開放状態となる。開口部14は、長手方向に延びる長孔状に形成される。開口部14は、天面部11aの長手方向の中央、かつ短手方向の中央に配置される。なお、本実施形態では、未使用時には閉止状態となっている開口部14としたが、これに限定されるものではなく、未使用時に予め開放状態となっている開口部14であってもよい。
【0031】
(窓フィルム)
図1~
図3に示すように、窓フィルム12は、天面部11aの開口部14を覆い、薄葉紙1を引き出し可能に支持する樹脂製のフィルムであって、長手方向に延びるスリット12aを有する。窓フィルム12は、ポリエチレン製フィルムであることが好ましい。窓フィルム12は、箱本体11の天面部11aに対して糊付けされ、天面部11aの開口部14を収納空間13側から覆う。本実施形態の窓フィルム12は、天面部11aよりも小さく、開口部14よりも大きな長方形状に形成される。スリット12aは、窓フィルム12を天面部11aの所定の位置に接着した際に、開口部14の内側に位置するように配置される。スリット12aは、薄葉紙1の挿通を許容する長さに形成される。
【0032】
(窓フィルムの厚み)
窓フィルム12の厚みは、下限値15μm以上であることが好ましく、上限値60μm以下であることが好ましい。窓フィルム12の厚みが15μmより低い場合、窓フィルム12自身が意図せず破れ易くなってしまう。一方、窓フィルム12の厚みが60μmより厚いと、薄葉紙1の積層体1Aを箱本体11へ挿入する際に、積層体1Aが窓フィルム12に引っ掛かり易くなり、窓フィルム12が剥がれ易くなってしまう。なお、窓フィルム12の厚みの下限値は、20μm以上であることがより好ましく、27μm以上であることが更に好ましい。また、窓フィルム12の厚みの上限値は、52μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることが更に好ましい。
【0033】
窓フィルム12の厚みは、JIS K7130に基づいて測定した値とする。
【0034】
(窓フィルムの引張強度)
窓フィルム12の引張強度は、下限値8.5N/15mm以上であることが好ましく、上限値23.5N/15mm以下であることが好ましい。窓フィルム12の引張強度を上記範囲とすることで、窓フィルム12自身の破れを防止するとともに、剥がし易さを向上することができる。なお、窓フィルム12の引張強度の下限値は、10.3N/15mm以上であることがより好ましく、12.1N/15mm以上であることが更に好ましい。また、窓フィルム12の引張強度の上限値は、21.6N/15mm以下であることがより好ましく、20.2N/15mm以下であることが更に好ましい。
【0035】
窓フィルム12の引張強度は、JIS P8113に準拠した方法で測定される。窓フィルム12の引張強度は、窓フィルム12の短手方向の長さ(試験片の幅)を15mmに設定した試験片を作成して測定する。短手方向の長さ(試験片の幅)が15mmを確保できない場合、任意の寸法で複数回測定し(本実施形態では4回)、この複数回測定した値の平均値から計算によって、15mmで測定した数値に換算する。試験片の長手方向の両端を引張試験機のつかみ具に固定し、つかみ具とつかみ具との間の距離(冶具間距離)を100mmとし、試験片を引張速度300mm/minの条件で引っ張って、最大荷重を測定する。長手方向の長さ等によって、つかみ具とつかみ具との間の距離100mmを確保できない場合、たるみが生じず、かつ、試験片に大きな応力がかからないように固定できる距離で実施する。このような測定を複数回(本実施形態では4回)繰り返して行い、この複数回測定した値の平均値を窓フィルム12の引張強度とする。なお、試験は、所定の温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行う。
【0036】
(窓フィルムの糊付け部)
図1及び
図3に示すように、窓フィルム12は、接着糊を使用して、箱本体11の天面部11aに糊付けされている。この使用している接着剤の主成分(含有率:51%以上)は、酢酸ビニル-アクリル樹脂であることが好ましい。また、接着剤の主成分の含有率は、51%以上80%以下であることがより好ましく、51%以上60%以下であることが更に好ましい。箱本体11の天面部11aに対する窓フィルム12の糊付け部20は、天面部11aの開口部14の長手方向(第1方向)の両側に配置されて天面部11aの短手方向(第2方向)に沿って延びる1対の短手糊付け部21a,21bと、開口部14の短手方向(第2方向)の両側に配置されて天面部11aの長手方向(第1方向)に沿って延びる1対の長手糊付け部22a,22bとを有する。天面部11aの長手方向の一側に位置する短手糊付け部21aの延設方向(第2方向)の両端は、1対の長手糊付け部22a,22bの長手方向の一端(一側の端)から長手方向の外側(一側)へ離間している。また、天面部11aの長手方向の他側に位置する短手糊付け部21bの延設方向(第2方向)の両端は、1対の長手糊付け部22a,22bの長手方向の一端(一側の端)から長手方向の外側(一側)へ離間している。すなわち、1対の短手糊付け部21a,21bの両端と1対の長手糊付け部22a,22bの両端とは、互いに離間している。このように、窓フィルム12は、各糊付け部21a,21b,22a,22bの4箇所の角部側に糊付け部20を設けない状態で、天面部11aに対して接着される。なお、1対の短手糊付け部21a,21bは、天面部11aの長手方向に対称的に設けられ、略同じ構成を有する。また、1対の長手糊付け部22a,22bは、天面部11aの短手方向に対称的に設けられ、略同じ構成を有する。
【0037】
このように、窓フィルム12の糊付け部20の角部が連続していないので、窓フィルム12を天面部11aから剥がす際に、窓フィルム12の長手方向の端部の糊付け部20が連続していない部分を掴み易く、また、剥がし始めに必要な力を抑えることができる。また、4箇所の角部以外には、糊付け部20が設けられているので、窓フィルム12の意図しない剥がれを抑えることができる。これにより、窓フィルム12の剥がし易さと、製品製造時の窓フィルム12の剥がれ難さとを両立させることができる。
【0038】
(短手糊付け部)
窓フィルム12の糊付け部20の1対の短手糊付け部21a,21bは、窓フィルム12の長手方向の両側を天面部11aに対して接着する糊付け部であって、天面部11aの短手方向(第2方向)に沿って延びる。1対の短手糊付け部21a,21bの延設方向(第2方向)の長さは、開口部14の短手方向の長さよりも長い。
【0039】
1対の短手糊付け部21a,21bのそれぞれの塗布面積の下限値は、40mm2以上であることが好ましく、63mm2以上であることがより好ましく、97mm2以上であることが更に好ましい。また、1対の短手糊付け部21a,21bのそれぞれの塗布面積の上限値は、340mm2以下であることが好ましく、250mm2以下であることがより好ましく、187mm2以下であることが更に好ましい。1対の短手糊付け部21a,21bのそれぞれの塗布面積を上記範囲に設定することによって、窓フィルム12が剥がし易くなり、また意図せず窓フィルム12が剥がれることを防止できる。
【0040】
1対の短手糊付け部21a,21bは、その延設方向(第2方向)の中間部分に配置される第1細幅部23と、第1細幅部23の延設方向の両端から連続して延設方向の外側(延設方向の中央から離間する方向)へ延びる1対の第1太幅部24a,24bとによってそれぞれ構成される。1対の第1太幅部24a,24bの幅a1は、第1細幅部23の幅a2よりも太幅である。なお、短手糊付け部21a,21bの幅とは、短手糊付け部21a,21bの延設方向(第2方向)と交叉する方向(第1方向)の長さを意味する。1対の短手糊付け部21a,21bの幅方向の両側の端縁のうち、天面部11aの長手方向の外側に位置する端縁25は、天面部11aの短手方向に直線状に延びる。すなわち、1対の短手糊付け部21a,21bの第1方向の外側の端縁25は、天面部11aの短手方向に直線状に延びる。1対の第1太幅部24a,24bは、第1細幅部23よりも天面部11aの長手方向の内側へ突出している。このように、1対の短手糊付け部21a,21bのうち天面部11aの長手方向(第1方向)の外側に位置する端縁25が、天面部11aの短手方向に直線状に延びるので、窓フィルム12の長手方向の外側の皺の発生を抑えることができる。このため、製品製造時に薄葉紙1の積層体1A(
図2参照)を、箱本体11の収納空間13に対して長手方向の一側から挿入する際に、薄葉紙1の積層体1Aが窓フィルム12の長手方向の外側に引っ掛かり難いので、窓フィルム12が意図せず剥がれてしまうことを抑えることができる。さらに、1対の短手糊付け部21a,21bを上記形状にすることによって、窓フィルム12を剥がし易くなる。
【0041】
1対の第1太幅部24a,24bの幅a1は、下限値1.5mm以上であることが好ましく、上限値7.0mm以下であることが好ましい。また、1対の第1太幅部24a,24bの延設方向(第2方向)の長さb1は、下限値6.6mm以上であることが好ましく、上限値25.0mm以下であることが好ましい。1対の第1太幅部24a,24bの幅a1及び長さb1を上記範囲に設定することによって、窓フィルム12の意図しない剥がれを抑えることができ、また窓フィルム12を剥がし易くすることができる。なお、1対の第1太幅部24a,24bの幅a1の下限値は、3.7mm以上であることがより好ましく、4.0mm以上であることが更に好ましい。また、1対の第1太幅部24a,24bの幅a1の上限値は、5.8mm以下であることがより好ましく、4.4mm以下であることが更に好ましい。また、1対の第1太幅部24a,24bの延設方向の長さb1の下限値は、7.8mm以上であることがより好ましく、9.5mm以上であることが更に好ましい。また、1対の第1太幅部24a,24bの延設方向の長さb1の上限値は、18.0mm以下であることがより好ましく、15.0mm以下であることが更に好ましい。
【0042】
第1細幅部23の幅a2は、下限値0.4mm以上であることが好ましく、上限値5.0mm以下であることが好ましい。また、第1細幅部23の延設方向(第2方向)の長さb2は、下限値2.3mm以上であることが好ましく、上限値39.0mm以下であることが好ましい。第1細幅部23の幅a2及び長さb2を上記範囲に設定することによって、窓フィルム12の意図しない剥がれを抑えることができ、また窓フィルム12を剥がし易くすることができる。なお、第1細幅部23の幅a2の下限値は、1.0mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることが更に好ましい。また、第1細幅部23の幅a2の上限値は、2.6mm以下であることがより好ましく、2.2mm以下であることが更に好ましい。また、第1細幅部23の延設方向の長さb2の下限値は、5.5mm以上であることがより好ましく、14.0mm以上であることが更に好ましい。また、第1細幅部23の延設方向の長さb2の上限値は、32.0mm以下であることがより好ましく、25.0mm以下であることが更に好ましい。
【0043】
(長手糊付け部)
窓フィルム12の糊付け部20の1対の長手糊付け部22a,22bは、窓フィルム12の短手方向の両側を天面部11aに対して接着する糊付け部であって、天面部11aの長手方向に沿って延びる。1対の長手糊付け部22a,22bの延設方向(第1方向)の長さは、開口部14の長手方向の長さと略同じ長さである。
【0044】
1対の長手糊付け部22a,22bのそれぞれの塗布面積の下限値は、230mm2以上であることが好ましく、250mm2以上であることがより好ましく、343mm2以上であることが更に好ましい。また、1対の長手糊付け部22a,22bのそれぞれの塗布面積の上限値は、1130mm2以下であることが好ましく、1000mm2以下であることがより好ましく、763mm2以下であることが更に好ましい。
【0045】
1対の長手糊付け部22a,22bは、その延設方向(第1方向)の中間部分に配置される第2細幅部26と、第2細幅部26の延設方向の両端から連続して延設方向の外側(延設方向の中央から離間する方向)へ延びる1対の第2太幅部27a,27bとによってそれぞれ構成される。1対の第2太幅部27a,27bの幅c1は、第2細幅部26の幅c2よりも太幅である。なお、長手糊付け部22a,22bの幅とは、長手糊付け部22a,22bの延設方向(第1方向)と交叉する方向(第2方向)の長さを意味する。1対の長手糊付け部22a,22bの幅方向の両側の端縁のうち、天面部11aの短手方向の外側に位置する端縁28は、天面部11aの長手方向に直線状に延びる。すなわち、1対の長手糊付け部22a,22bの第2方向の外側の端縁28は、天面部11aの長手方向に直線状に延びる。1対の第2太幅部27a,27bは、第2細幅部26よりも天面部11aの短手方向の内側へ突出している。このように、1対の長手糊付け部22a,22bのうち天面部11aの短手方向(第2方向)の外側に位置する端縁28が、天面部11aの長手方向に直線状に延びるので、窓フィルム12の短手方向の外側の皺の発生を抑えることができる。このため、製品製造時に薄葉紙1の積層体1A(
図2参照)を、箱本体11の収納空間13に挿入する際に、薄葉紙1の積層体1Aが窓フィルム12の短手方向の外側に引っ掛かり難いので、窓フィルム12が意図せず剥がれてしまうことを抑えることができる。さらに、1対の長手糊付け部22a,22bを上記形状にすることによって、窓フィルム12を剥がし易くなる。また、第2太幅部27a,27bと第2細幅部26とからなる長手糊付け部22a,22bの一対の片側/もしくは両側の一部に、切り抜きを設けてもよい。この切り抜きの長さは、長手糊付け部22a,22bの全長に対し10%以内の長さに設定される。なお、切り抜きの長さは、長手糊付け部22a,22bの全長の長さに対し8%以下であることがより好ましく、6%以下であることが更に好ましい。この切り抜きを設けても長手糊付け部22a,22bの連続性が失われることはない。
【0046】
1対の第2太幅部27a,27bの幅c1は、下限値2.0mm以上であることが好ましく、上限値8.5mm以下であることが好ましい。また、1対の第2太幅部27a,27bの延設方向(第1方向)の長さd1は、下限値10.0mm以上であることが好ましく、上限値65.0mm以下であることが好ましい。1対の第2太幅部27a,27bの幅c1及び長さd1を上記範囲に設定することによって、窓フィルム12の意図しない剥がれを抑えることができ、また窓フィルム12を剥がし易くすることができる。なお、1対の第2太幅部27a,27bの幅c1の下限値は、3.0mm以上であることがより好ましく、4.0mm以上であることが更に好ましい。また、1対の第2太幅部27a,27bの幅c1の上限値は、7.0mm以下であることがより好ましく、5.6mm以下であることが更に好ましい。また、1対の第2太幅部27a,27bの延設方向の長さd1の下限値は、20.0mm以上であることがより好ましく、25.0mm以上であることが更に好ましい。また、1対の第2太幅部27a,27bの延設方向の長さd1の上限値は、50.0mm以下であることがより好ましく、40.0mm以下であることが更に好ましい。
【0047】
第2細幅部26の幅c2は、下限値0.6mm以上であることが好ましく、上限値6.0mm以下であることが好ましい。また、第2細幅部26の延設方向(第1方向)の長さd2は、下限値50.0mm以上であることが好ましく、上限値100.0mm以下であることが好ましい。第2細幅部26の幅c2及び長さd2を上記範囲に設定することによって、窓フィルム12の意図しない剥がれを抑えることができ、また窓フィルム12を剥がし易くすることができる。なお、第2細幅部26の幅c2の下限値は、1.2mm以上であることがより好ましく、1.9mm以上であることが更に好ましい。また、第2細幅部26の幅c2の上限値は、5.0mm以下であることがより好ましく、3.5mm以下であることが更に好ましい。また、第2細幅部26の延設方向の長さd2の下限値は、60.0mm以上であることがより好ましく、75.0mm以上であることが更に好ましい。また、第2細幅部26の延設方向の長さd2の上限値は、80.0mm以下であることがより好ましく、90.0mm以下であることが更に好ましい。
【0048】
(窓フィルムの剥離強度)
窓フィルム12の剥離強度は、下限値2.9N以上であることが好ましく、上限値27.5N以下であることが好ましい。窓フィルム12の剥離強度が2.9Nよりも低くなると、製品製造時等に窓フィルム12が意図せず剥がれ易くなり、27.5Nよりも高くなると、廃棄時に窓フィルム12を剥がし難くなる。なお、窓フィルム12の剥離強度の下限値は、5.0N以上であることがより好ましく、7.7N以上であることが更に好ましい。また、窓フィルム12の剥離強度の上限値は、21.1N以下であることがより好ましく、14.8N以下であることが更に好ましい。
【0049】
図4は、窓フィルム12の剥離強度の測定方法の説明図であって、(a)は天面部11aに窓フィルム12を接着した状態を、(b)は窓フィルム12を引き上げている状態をそれぞれ示す。
【0050】
図4に示すように、窓フィルム12の剥離強度は、以下のようにして測定する。先ず、窓フィルム12を貼り付けた天面部11aを切り取り、この縁回りを(
図4(a)参照)、試料台30にテープを用いて完全に動かないように固定する。そして、窓フィルム12の長手方向の一端部12bを引張試験機の冶具(図示省略)に奥行10mm、全幅をつかんで固定する。このとき、奥行10mmをつかんで固定できない場合、引張試験機の治具でつかんで固定できる最小の長さまで窓フィルム12を剥がしてよい。一方で、奥行10mmよりも短い長さでつかんで固定できる場合、その奥行の長さで試験を実施してよい。また、冶具は、試験片の全幅をつかめるものを使用する。そして、窓フィルム12を引張速度300mm/minの条件で垂直方向(
図4に白抜き矢印で示す方向)に引き上げ、最大荷重を測定する。測定時に窓フィルム12が破れた場合、破れた時点での荷重の最大値をその窓フィルム12の最大荷重とする。このような測定を複数回繰り返して行い(本実施形態では3回)、この複数回測定した値の平均値を窓フィルム12の剥離強度とする。なお、試験は、所定の温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行う。
【0051】
[衛生薄葉紙]
図2に示すように、薄葉紙1は、積層された積層体1Aとして、箱本体11の収納空間13に収納される。薄葉紙1は、1組2プライであり、箱本体11の長手方向から視て、V字折りにされ、互いに交互に挟む状態でポップアップ可能に積層される。薄葉紙1の引出し方向は、CD(Cross Direction)方向であることが好ましい。薄葉紙1の積層体1Aは、箱本体11の長手方向の一側(第1側面部11c又は第2側面部11d側)から収納空間13に挿入される。
【0052】
本発明における薄葉紙1には、例えば、トイレットペーパー、ペーパータオル、テーブルナプキン、キッチンペーパー、キッチンタオル等の衛生薄葉紙、及び紙製又は不織布製のワイパーが含まれ、最も好ましいのはティシュペーパーである。薄葉紙1としては、紙、天然繊維、合成繊維等、特に問わないが、メルトブロー不織布、スパンレース不織布、スパンレース不織布等の不織布や、これらを積層した複合不織布などであってもよい。
【0053】
(組数)
箱本体11に収納される薄葉紙1の組数は、下限値120組以上であることが好ましく、上限値260組以下であることが好ましい。薄葉紙1の組数を上記範囲に設定することによって、窓フィルム12の意図しない剥がれを防ぐことができる。なお、箱本体11に収納される薄葉紙1の組数の下限値は、140組以上であることがより好ましく、170組以上であることが更に好ましい。また、箱本体11に収納される薄葉紙1の組数の上限値は、250組以下であることがより好ましく、210組以下であることが更に好ましい。
【0054】
(紙厚)
薄葉紙1の紙厚(1プライ当たりの紙厚)の下限値は、60μm以上であることが好ましく、65μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることが更に好ましい。また、薄葉紙1の紙厚(1プライ当たりの紙厚)の上限値は、100μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、83μm以下であることが更に好ましい。また、衛生薄葉紙は、1組2プライであることが好ましい。
【0055】
薄葉紙1の紙厚は、以下の方法で測定した値とする。
【0056】
装置は、シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いる。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。1回の測定は1プライのシートを10枚(2プライのシートを5組)重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均し、その後、値を1/10にして、1プライ当たりの値にする。
【0057】
(坪量)
薄葉紙1の坪量(1プライ当たりの坪量)の下限値は、10.2g/m2以上であることが好ましく、11.0g/m2以上であることがより好ましく、12.5g/m2以上であることが更に好ましい。また、薄葉紙1の坪量(1プライ当たりの坪量)の上限値は、17.5g/m2以下であることが好ましく、15.5g/m2以下であることがより好ましく、13.5g/m2以下であることが更に好ましい。坪量は、JIS P 8124に基づき測定される値である。
【0058】
薄葉紙1の紙厚及びシート1プライ当たりの坪量を上記の範囲内にすることにより、薄葉紙1を箱本体11から取り出す際に薄葉紙1が破れ難く、薄葉紙1を取り出し易くなる。さらに、柔らかさとボリューム感がより生まれる。なお、上記の坪量及び紙厚は、薄葉紙1に含まれる薬液の有無に関わらず、最終製品の状態の値である。
【0059】
(引出し方向に直交する方向の強度(DMDT))
薄葉紙1の引き出し方向と直交する方向の引張強度の下限値は、2.8N/25mm以上であることが好ましく、3.4N/25mm以上であることがより好ましく、3.9N/25mm以上であることが更に好ましい。また、薄葉紙1の引き出し方向と直交する方向の引張強度の上限値は、6.0N/25mm以上であることが好ましく、5.5N/25mm以上であることがより好ましく、4.9N/25mm以上であることが更に好ましい。なお、薄葉紙1の引き出し方向と直交する方向の引張強度は、JIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さ(2プライ、引張り速度300mm/分で測定)DMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)である。
【0060】
(引出し方向の強度(DCDT))
薄葉紙1の引き出し方向の引張強度の下限値は、0.7N/25mm以上であることが好ましく、0.9N/25mm以上であることがより好ましく、1.1N/25mm以上であることが更に好ましい。また、薄葉紙1の引き出し方向の引張強度の上限値は、2.5N/25mm以上であることが好ましく、2.1N/25mm以上であることがより好ましく、1.7N/25mm以上であることが更に好ましい。なお、薄葉紙1の引き出し方向の引張強度は、JIS P 8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さ(2プライ、引張り速度300mm/分で測定)DCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)である。
【0061】
薄葉紙1の引張強度を上記範囲に設定することによって、取り出し時に、破れにくく取り出し易くなり、使いやすさが良好になる。
【0062】
(引出し方向の長さ)
薄葉紙1の引き出し方向の長さの下限値は、150mm以上であることが好ましく、170mm以上であることがより好ましく、190mm以上であることが更に好ましい。また、薄葉紙1の引き出し方向の長さの上限値は、240mm以下であることが好ましく、230mm以下であることがより好ましく、210mm以下であることが更に好ましい。
【0063】
(引出し方向に直交する方向の長さ)
薄葉紙1の引き出し方向に直交する方向の長さの下限値は、160mm以上であることが好ましく、180mm以上であることがより好ましく、190mm以上であることが更に好ましい。また、薄葉紙1の引き出し方向に直交する方向の長さの上限値は、260mm以下であることが好ましく、240mm以下であることがより好ましく、220mm以下であることが更に好ましい。
【0064】
薄葉紙1のサイズを上記範囲に設定することによって、取り出し易くなり、使いやすさが良好になる。
【0065】
(クリップの重量)
箱本体11に収納される薄葉紙1の積層体1A(以下、「クリップ」という場合もある。)の質量は、下限値105g以上であることが好ましく、上限値289g以下であることが好ましい。クリップの質量を上記範囲に設定することによって、窓フィルム12の意図しない剥がれを防ぐことができる。なお、クリップの質量の下限値は、115g以上であることがより好ましく、128g以上であることが更に好ましい。また、クリップの質量の上限値は、278g以下であることがより好ましく、262g以下であることが更に好ましい。
【0066】
(箱本体の高さに対する薄葉紙の積層体の高さの割合)
箱本体11の高さHcに対する薄葉紙1の積層体1Aの高さHpの割合r(%)は、下記式(1)で表され、75%以上103%以下であることが好ましい。なお、薄葉紙の紙厚(μm)は、1プライ当たりの紙厚を示す。また、薄葉紙1の積層体1Aの高さHpは、未使用時の薄葉紙1の積層体1Aの高さHpを意味する。
【0067】
r(%)=薄葉紙の組数×薄葉紙の紙厚(μm)×2/1000×2/箱本体の高さ(mm)×100・・・(1)
【0068】
箱本体11の高さHcに対する薄葉紙1の積層体1Aの高さHpの割合r(%)を示す上記式(1)で求められる値rを上記範囲に設定することによって、窓フィルム12の意図しない剥がれを防止することができる。なお、箱本体11の高さHcに対する薄葉紙1の積層体1Aの高さHpの割合r(%)の下限値は、80%以上であることがより好ましく、87%以上であることが更に好ましい。また、箱本体11の高さHcに対する薄葉紙1の積層体1Aの高さHpの割合r(%)の上限値は、98%以下であることがより好ましく、93%以下であることが更に好ましい。
【0069】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【実施例0070】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0071】
実施例1~27及び比較例1~14の薄葉紙収納箱を作成した。このとき、実施例1~27及び比較例1~14の窓フィルムには、ポリエチレン製フィルムを使用した。また、薄葉紙は、ポップアップ式に取り出し可能にV字状に折り畳んだ1組2プライのティシュペーパーを用いた。そして、実施例1~27及び比較例1~14の間で、以下の3つの項目(長手方向への窓フィルムの剥がし易さ、短手方向への窓フィルムの剥がし易さ、製造時の窓フィルムの剥がれ難さ)の評価を行った。
【0072】
「長手方向への窓フィルムの剥がし易さ」の評価は、30人のモニターの中で窓フィルムの長手方向(第1方向)の一端部を把持して長手方向に沿って剥がした際に「剥がし易い」と評価したモニターの数によって4段階の官能評価をした。評価基準は以下のとおりである。
◎ :「剥がし易い」と感じたモニターが、28名以上
○ :「剥がし易い」と感じたモニターが、24名~27名
△ :「剥がし易い」と感じたモニターが、18名~23名
× :「剥がし易い」と感じたモニターが、17名以下
【0073】
「短手方向への窓フィルムの剥がし易さ」の評価は、30人のモニターの中で窓フィルムの短手方向(第2方向)の一端部を把持して短手方向に沿って剥がした際に「剥がし易い」と評価したモニターの数によって4段階の官能評価をした。評価基準は以下のとおりである。
◎ :「剥がし易い」と感じたモニターが、28名以上
○ :「剥がし易い」と感じたモニターが、24名~27
△ :「剥がし易い」と感じたモニターが、18名~23
× :「剥がし易い」と感じたモニターが、17名以下
【0074】
「製造時の窓フィルムの剥がれ難さ」の評価は、薄葉紙の積層体(「クリップ」ともいう)をカートン(箱本体)の収納空間に対して長手方向の一側から挿入する試験を100回行い、そのうち窓フィルムが剥がれなかった回数によって4段階の評価をした。評価基準は以下のとおりである。
◎ :窓フィルムが剥がれなかった回数が、95回以上
○ :窓フィルムが剥がれなかった回数が、90回~94回
△ :窓フィルムが剥がれなかった回数が、80回~89回
× :窓フィルムが剥がれなかった回数が、79回以下のとき
【0075】
得られた結果を表1~3に示す。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
以上より、本発明の薄葉紙収納箱によれば、廃棄時の窓フィルムの剥がし易さと、製品製造時の窓フィルムの剥がれ難さとを両立可能であることが確認された。