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特開2024-68946古紙パルプ原料の製造方法及び製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068946
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】古紙パルプ原料の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   D21C 5/02 20060101AFI20240514BHJP
   D21D 5/00 20060101ALI20240514BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20240514BHJP
   B07B 1/32 20060101ALI20240514BHJP
   B07B 1/34 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
D21C5/02
D21D5/00
B07B1/00 B
B07B1/32
B07B1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179645
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松樹 伸明
(72)【発明者】
【氏名】上田 大輔
【テーマコード(参考)】
4D021
4L055
【Fターム(参考)】
4D021AA03
4D021AB01
4D021AB02
4D021CA06
4D021CA07
4D021EA06
4D021EB01
4L055AA11
4L055AC09
4L055BB03
4L055BB04
4L055EA04
4L055EA15
4L055EA32
4L055EA40
4L055FA30
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする主たる課題は、圧縮古紙を解砕し、得られた解砕物のうち、相対的に比重の小さなビニール等の異物を分散させて分離して、残分から古紙を回収して資源の有効利用を図ることにある。
【解決手段】圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置20により分離し、この分離装置20における残分を古紙パルプ製造工程に供給する原料とする製造方法であって、前記分離装置20は、前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、搬送方向へ篩板271が配されて搬送面27が形成され、前記搬送面27は、水平面に対して下方に傾斜しており、前記搬送面27が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、分離対象物を搬送する過程で、分離対象物の一部を、前記篩板の目272から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造方法及び製造装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給する原料とする製造方法であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
搬送方向へ篩板が配されて搬送面が形成され、
前記搬送面は、水平面に対して下方に傾斜しており、
前記搬送面が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、
前記解砕物を搬送する過程で、前記解砕物中の分離対象物の一部を、前記篩板の目から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項2】
前記分離装置は、
搬送方向を長手方向とする前記篩板を、短手方向に複数配し、
前記篩板は、それぞれ上下動によって高さが底点から頂点に変化し、その後頂点から再度底点に変化する一巡の動作を繰り返す上下動を行う、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項3】
前記篩板各々は、短手方向の両端縁が厚みを有する側縁部となっており、
前記側縁部の厚みが、前記上下動における底点から頂点までの距離以上となっており、
隣接する前記篩板である第1篩板と第2篩板において、
前記第1篩板の上下動の位相と前記第2篩板の上下動の位相が異なる、
請求項2に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項4】
前記分離装置は、
前記搬送面の傾斜角度が1~20度である、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項5】
前記分離装置は、
前記篩板の目の大きさが10~1000mmとなるものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項6】
前記分離装置は、
前記篩板が、上下動によって高さが底点から頂点に変化し、その後頂点から再度底点に変化する一巡の動作を繰り返し、
底点の高さと頂点の高さの差が10~100mmであり、前記一巡の動作を1分間当たり10~200回繰り返すものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項7】
前記解砕物は、解砕装置で解砕されて得られるものであり、
前記解砕装置は、
軸心回りに回転する実質的に平行な少なくとも2本の第1支持軸及び第2支持軸を有し、
前記各支持軸に、径方向外側に突出する解砕部材が前記軸心方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記解砕部材は、少なくとも外周部に解砕棒を有し、かつ、前記軸心方向に沿う解砕部材群の解砕棒の位置が軸心回り方向に相違しているものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項8】
前記圧縮古紙が紙ビニール複合古紙を1~100質量%有するものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項9】
圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給するのに使用する原料の製造装置であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
搬送方向へ篩板が配されて搬送面が形成され、
前記搬送面は、水平面に対して下方に傾斜しており、
前記搬送面が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、
前記解砕物を搬送する過程で、前記解砕物中の分離対象物の一部を、前記篩板の目から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮古紙(例えば古紙梱包品や袋詰め圧縮古紙)から古紙パルプ原料を製造する製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の多様化に伴って、例えばラミネート紙などの禁忌品やシュレッダー等で破砕された紙の小片が混在する傾向が高まり、市中で回収する古紙の中には、再生古紙としての原料に不向きないわゆる難処理性古紙が混入する。古紙の回収企業では、古紙の中から難処理性古紙を分離し、例えば新聞用紙に再生できる第1の古紙と、例えば段ボール原紙に再生できる第2の古紙とに分別し、それぞれ古紙の種別ごとに(圧縮)梱包し、古紙ベールの状態や、フレコンバックに圧縮して詰められた状態で製紙工場に納入している。
【0003】
製紙工場では、市中から回収された古紙が、再生処理設備で古紙パルプ化された後、再び抄紙され新聞用紙に代表されるリサイクル再生紙として利用されている。しかしながら、難処理性古紙は製紙過程での種々の品質低下要因となるので、その受け入れをすることができないでいた。また、古紙の回収企業にとっては、古紙の回収後に古紙の分別を行うことなく、混在状態で製紙工場に販売できることが望ましいが、製紙工場では、前述のように、難処理性古紙は製紙過程での種々の品質低下要因となるので、混在古紙の受け入れはできない。もちろん、混在古紙を受け入れて焼却処分する方法も考えられるが、焼却によるエネルギー回収量は高くなく、古紙を有用資源として考えた場合には、焼却は避けるべきである。
【0004】
古紙の回収業者は禁忌品や紙の小片を含む難処理性古紙の分離を主に人手により行っているが、人件費に係るコストが嵩み、古紙回収の費用対効果は低いものであった。具体的には、古紙の回収段階で、難処理性古紙を選別除去する手間、前述の第1の古紙と第2の古紙とに分別する手間が大きく、人手に頼る部分が大きい。この古紙の回収に係る人件費コストが、製紙工場にとっては受け入れ古紙のコストの高騰につながっている。また、作業環境からも見直す必要性が高い。
【0005】
一方で、古紙の回収業者は、コストの低減化のため人件費の安価な海外市場にこの難処理性古紙の輸出販売を行っていた。ところが、海外では昨今この難処理性古紙に対して輸入制限を課す動きがあり、この動きにより日本国内において輸出販売量の減少を招くに至った。これにより、国内では、この難処理性古紙は消費量が低減し、供給過多の状態となっている。このような現状の下、国内においてこの難処理性古紙の有効利用、安価な古紙の回収技術の確立が望まれている。
【0006】
現在、難処理性古紙の選別分離には多くの技術的課題が残されている。例えば、古紙の回収業者はやむなく人海戦術による分離を行っている状況にあり、労働コストの増大につながっている。人海戦術による分離の負担を減らすべく、圧縮古紙の分離作業を機械装置等によって行うことも検討されているが、圧縮古紙は、文字通り、難処理性古紙を含む所定量の古紙をベーラーによって圧縮して梱包されたものや、古紙をフレコンバックに圧縮して詰め込まれたものであり、一度圧縮されたものを単に解砕したとしても塊状物が散見され分散性に乏しい。分散性に乏しいと、古紙パルプ原料と不要物が混在して弁別工程に供給されてしまい、機械装置等による弁別が困難となり、結果として純度の高い古紙パルプ原料が得にくい。特に、圧縮古紙の中でも紙ビニール複合古紙は、ビニールが紙と一体となっているので古紙パルプ原料として不向きであり、古紙パルプ原料の製造段階でできる限り取り除いておくことが望ましい。そうすることで、上記紙ビニール複合古紙の原料である強度の高いパルプ(未晒クラフトパルプ)を古紙パルプ原料とすることができる。
【0007】
ところで、古紙の選別手段としては、風力、比重、磁力、対象物の大きさ等を選別基準とすることが知られ、この種の選別は異物除去には有効であるが、禁忌品の禁忌物質が紙と一体となっている難処理性古紙の分離除去には有効ではない。
【0008】
古紙の回収に関する従来技術としては次の先行技術を例示することができる。特許文献1は、雑誌古紙を含む古紙原料から古紙パルプを回収するものである。古紙パルプ化の困難な雑誌古紙からの古紙パルプの回収を目的としたものであり、雑誌古紙の粘着異物を除去する技術に関するものである。具体的には、適当な離解温度下での中濃度パルパーの利用、フラクショネーターによる繊維の分級、クリーナーによる異物除去、粗選スクリーン・精選スクリーンによる異物の分離を行い古紙パルプを回収するものである。
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術は、予め大まかな古紙の分別がなされた雑誌古紙を、出発物として行う古紙パルプ原料の製造方法であり、前述の圧縮古紙を解砕して得られた解砕物のうち特にビニール等を分散性良く分離することについては何ら解決するものではない。
【0010】
特許文献2は、家庭等から排出される各種混合廃棄物等を選別する揺動選別機に関するものである。各種混合廃棄物等の大きさ及び重量の異なる被選別物を揺動可能な篩孔を通過する細粒物(小径物)と篩上に残留して分けられる重量物と軽量物とに選別する揺動選別機である。
【0011】
しかしながら、特許文献2に係る技術は、短冊状の篩部材の左右縁部に沿って一対の鋸歯部材が設けられており、この鋸歯部材があるがゆえに、被選別物が分散しにくくなっており、例えば、相対的に大サイズの被選別物の上に小サイズの被選別物が載っている場合、選別されるべき小サイズの被選別物が篩部材から落下しにくいため選別されずに、大サイズの被選別物と共に次工程に供給されてしまうという不具合が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2018-9263号公報
【特許文献2】特開2014-155928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする主たる課題は、圧縮古紙を解砕し、得られた解砕物のうち、相対的に比重の小さなビニール等の異物を分散させて分離して、残分から古紙を回収して資源の有効利用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決した本発明の態様は、次に掲げるものである。
(第1の態様)
圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給する原料とする製造方法であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
搬送方向へ篩板が配されて搬送面が形成され、
前記搬送面は、水平面に対して下方に傾斜しており、
前記搬送面が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、
前記解砕物を搬送する過程で、前記解砕物中の分離対象物の一部を前記篩板の目から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造方法。
【0015】
前記態様は、大きさ基準で分離するものであり、搬送方向へ篩板が配されて搬送面が形成されているので、解砕物が大きさ基準で篩に掛けられながら搬送され、相対的に大きな解砕物(すなわち、オーバーサイズPO)が搬送面の下流端に到達する。そして、前記搬送面は、水平面に対して下方に傾斜しており、前記搬送面が上下動をする構成となっているので、搬送面上流端に例えば山盛りに供給された解砕物が徐々に下流側及び(搬送方向に対して)左右側にその山を崩しながら分散する。このとき、上下動による慣性力や篩を下から上に透過するエアーによって解砕物は搬送面で飛び跳ねる(上方に舞う)ので、解砕物の分散化が促進される。さらに、篩板が上下動をする際、下方向に移動するときには篩目が上から下に透過するエアーによって、小さな解砕物を篩目に効率よく分離できる。特に、ビニール等の異物は、相対的に軽いのでより一層搬送面全体に分散されやすい。さらに、分離対象物を搬送する過程で、分離対象物の一部を、前記篩板の目から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである構成となっているので、分散された相対的に小さな解砕物(すなわち、アンダーサイズPU)が篩板の目から落下し、オーバーサイズPOとアンダーサイズPUの分離がなされる。また、分離対象物を篩板の方向に均等に分散できるため、後述の測色カメラ及びハイパースペクトルカメラでの識別効率が向上することもできる。
【0016】
他方、特許文献2に記載の技術は、短冊状の篩部材の左右縁部に沿って一対の鋸歯部材が設けられているので、解砕物の左右方向への分散が促進されず、アンダーサイズPUの多くが篩部材を透過しないまま篩部材の下流端に到達してしまう懸念がある。
【0017】
(第2の態様)
前記分離装置は、
搬送方向を長手方向とする前記篩板を、短手方向に複数配し、
前記篩板は、それぞれ上下動によって高さが底点から頂点に変化し、その後頂点から再度底点に変化する一巡の動作を繰り返す上下動を行う、
第1の態様に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【0018】
(第3の態様)
前記篩板各々は、短手方向の両端縁が厚みを有する側縁部となっており、
前記側縁部の厚みが、前記上下動における底点から頂点までの距離以上となっており、
隣接する前記篩板である第1篩板と第2篩板において、
前記第1篩板の上下動の位相と前記第2篩板の上下動の位相が異なる、
第2の態様に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【0019】
(第4の態様)
前記分離装置は、
前記搬送面の傾斜角度が1~20度である、
第1の態様に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【0020】
(第5の態様)
前記分離装置は、
前記篩板の目の大きさが50~1000mmとなるものである、
第1の態様に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【0021】
(第6の態様)
前記分離装置は、
前記篩板が、上下動によって高さが底点から頂点に変化し、その後頂点から再度底点に変化する一巡の動作を繰り返し、
底点の高さと頂点の高さの差が10~100mmであり、前記一巡の動作を1分間当たり10~200回繰り返すものである、
第1の態様に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【0022】
(第7の態様)
前記解砕物は、解砕装置で解砕されて得られるものであり、
前記解砕装置は、
軸心回りに回転する実質的に平行な少なくとも2本の第1支持軸及び第2支持軸を有し、
前記各支持軸に、径方向外側に突出する解砕部材が前記軸心方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記解砕部材は、少なくとも外周部に解砕棒を有し、かつ、前記軸心方向に沿う解砕部材群の解砕棒の位置が軸心回り方向に相違しているものである、
第1の態様に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【0023】
(第8の態様)
前記圧縮古紙が紙ビニール複合古紙を1~100%有するものである、
第1の態様に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【0024】
(第9の態様)
圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給するのに使用する原料の製造装置であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
搬送方向へ篩板が配されて搬送面が形成され、
前記搬送面は、水平面に対して下方に傾斜しており、
前記搬送面が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、
前記解砕物を搬送する過程で、前記解砕物中の分離対象物の一部を、前記篩板の目から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、圧縮古紙を解砕し、得られた解砕物のうち、相対的に比重の小さなビニール等の異物を分散させて分離して、残分から古紙を回収して資源の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】分離装置の側面図である。
図2】分離装置の正面図である。
図3】分離装置の平面図である。
図4】分離装置の側面図である。
図5】分離装置のクランクシャフトの模式図である。
図6】コの字型篩板が上下動するときの概念図である。
図7】偏心円板カムの概念図である。
図8】偏心円板カムの概念図である。
図9】解砕装置の斜視図である。
図10】解砕装置の側面図である。
図11】解砕装置の正面図である。
図12】解砕部材の実施形態である。
図13】解砕部材の実施形態である。
図14】解砕装置の平面図である。
図15】圧縮古紙の解砕工程を説明した図である。
図16】圧縮古紙の処理の概要フロー図である。
図17】弁別(分別)工程の説明図である。
図18】有色古紙の製造工程の説明図である。
図19】白色古紙の製造工程の説明図である。
図20】分離装置の支持軸の別の実施形態の概念図である。
図21】吸収スペクトル分布図である。
図22】吸収スペクトル分布図である。
図23】吸収スペクトル分布図である。
図24】吸収スペクトル分布図である。
図25】吸収スペクトル分布図である。
図26】吸収スペクトル分布図である。
図27図2のZ-Z矢視図であり、篩板の断面の具体的態様を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例に過ぎない。
【0028】
本発明の圧縮古紙の処理例を図16に示してある。この図16に従って処理の概要を予め説明する。圧縮古紙、例えばいわゆる古紙ベールと称せられる圧縮梱包品1は、例えばフォークリスト2によって、投入コンベア3に搬送され、投入コンベア3からホッパー4を介して搬送コンベア5により、解砕装置10に供給される。圧縮梱包品1は、例えば番線で結束されているので、解砕装置10に至る前の適宜の時点で、あるいは解砕装置10内で番線6などの結束具を除去できる。後に説明する実施の形態の解砕装置10では番線6を破断しながら解砕を行うことができる。なお、解砕装置10の解砕部材の形状によっては、予め結束具を除去して、解砕装置10に供給する。他方、圧縮古紙が結束具で梱包されていない形態(例えばフレコンバック等の袋に詰まった状態)であれば、そのまま、解砕装置10に投入してもよいし、袋から出した状態にして投入してもよい。
【0029】
(圧縮梱包品)
圧縮梱包品1は、所定量の古紙をベーラー(圧縮梱包機)により120~150kg/cm程度の圧力で加圧、固形化されて番線6等で梱包して形成される。重量は約1000~1500Kgであり、体積は高さ1~2m×幅1~2m×縦1~2m程度である。本実施形態では、圧縮古紙である圧縮梱包品1が、紙ビニール複合古紙を1~100質量%含むものであっても、効率よく分離できるメリットがある。紙ビニール複合古紙としては、例えば紙にビニールがコーテイングされた紙ビニール複合紙、重包装用紙袋、クラフト重袋、ポリ重袋等の古紙を挙げることができる。当該紙ビニール複合紙を、紙を外側にしてビニールを内側になるように袋状に加工したものは、例えば米袋や飼料袋として市中に広く流通している。
【0030】
(解砕装置)
解砕装置10は、軸心回りに回転する実質的に平行な少なくとも2本の第1支持軸10A1及び第2支持軸10A2を有し、前記各支持軸10Aに、径方向外側に突出する解砕部材10Bが前記軸心方向に間隔を空けて複数設けられ、前記解砕部材10Bは、少なくとも外周部に解砕棒10Cを有し、かつ、前記軸心方向に沿う解砕部材群の解砕棒10Cの位置が軸心回り方向に相違している形態を例示できる。
【0031】
解砕棒10Cについては、解砕棒10Cのうちの、回転によって圧縮梱包品1に接触する側の縁部に解砕刃10Dを設けることができるが、設けていなくてもよい。解砕刃10Dが備わっている場合は、解砕装置10で解砕処理して排出された解砕物の多くが切断されてしまうので、結果として古紙パルプ製造方法に供給する原料である紙片群は、小さいサイズが支配的になってしまう。他方、大きいサイズを相対的に多く含む紙片群を、古紙パルプ製造方法に供給する原料としたい場合には、解砕刃10Dが備わっていない解砕棒10Cを有する解砕装置10で解砕処理をするとよい。
【0032】
解砕棒10Cの形状としては、図12,13に示すように円柱や角柱のような柱形状、鉤状を挙げることができる。特に鉤状の解砕棒10Cとしては、鉤部が1つあり、解砕部材10Bにおける支持軸10Aの回転方向に当該鉤部が湾曲する鉤状解砕棒10Cや、1本の解砕棒10Cが二手に分岐して鉤部が2つ形成され、解砕部材10Bにおける支持軸10Aの順回転方向に第1鉤部が湾曲するとともに、支持軸10Aの逆回転方向に第2鉤部が湾曲する二手鉤状解砕棒10Cを例示できる。各支持軸の回転は、それぞれ独立して順回転方向又は逆回転方向に回転可能である。具体的には図9を参照しつつ、y軸方向に見て、時計回り方向を順回転方向、反時計回り方向を逆回転方向とし、二本配置される支持軸10Aのうち右側を第1支持軸10A1、左側を第2支持軸10A2とすると、第1支持軸10A1を逆回転方向に、第2支持軸10A2を順回転方向に回転させた場合、上部から解砕装置10に供給された圧縮梱包品1が各解砕棒10Cの回転に巻き込まれて解砕され、両支持軸の間を透過して下方へ排出される。もちろん、第1支持軸10A1を順回転方向に、第2支持軸10A2を逆回転方向に回転させて圧縮梱包品1を解砕してもよい。解砕棒10Cが鉤状であると、解砕棒10Cの回転により、圧縮梱包品1に当該鉤状部が接触し、続く回転の力によって、鉤状部の先端が圧縮梱包品1の内部へ食い込み、解砕が容易になされる。
【0033】
解砕部材10Bは、少なくとも外周部に解砕棒10Cを有し、かつ、支持軸10Aの軸心方向に沿う解砕部材10B群の解砕棒10Cの位置が軸心回り方向に相違している形態は好ましい。例えば、解砕部材10B群におけるそれぞれの解砕棒10Cの位置が支持軸10Aの軸心方向に向かうにつれ、段階的に30~180度、好ましくは60度だけ、順回転方向と逆回転方向のいずれか一方の方向に相違している形態が好適である。具体的には、解砕部材10Bが支持軸10Aの軸心方向に間隔を空けて6つの解砕棒(第1~第6解砕棒)が設けられている場合は、第1解砕棒10Cの位置とそれに隣接する第2解砕棒10Cの位置が順回転方向(又は逆回転方向)に60度相違し、当該第2解砕棒10Cの位置とそれに隣接する第3解砕棒10Cの位置が順回転方向(又は逆回転方向)に60度相違し(すなわち、第1解砕棒10Cの位置と第3解砕棒10Cの位置は、都合120度だけ順回転方向(又は逆回転方向)に相違することになる)、以降第3解砕棒10Cから第6解砕棒10Cに至るまで各解砕棒の位置が段階的に60度相違する形態が好適である。このような形態であれば、解砕装置10の上方に供給された圧縮梱包品1が一箇所に留まりづらくなり、支持軸10Aの軸心方向に転がるので、解砕が効率よくなされる。
【0034】
解砕装置10に供給された圧縮梱包品1は、解砕処理の最中に、装置内に詰まる場合がある。各支持軸10Aの回転方向を独立して選択できるようにすると、例えば第1支持軸10A及び第2支持軸10Aを順回転方向に回転させたり、一定時間回転を停止させたり、逆回転方向に回転させたりする動作を実行することで、圧縮梱包品1の詰まりを解消することができる。詰まった場合にも前記動作を実行することができる。また、支持軸10Aの回転方向を適宜変えることで、圧縮梱包品1を詰まらせないようにすることもできる。
【0035】
解砕装置10にはケーシング101は設けてもよく、設けなくてもよい。ケーシング101を設ける場合は、ケーシング101内に各支持軸10Aを配置することができる。また、ケーシング101を解砕装置10の上方に筒状となるように突出させてホッパー部が形成された形態も好ましい。この形態であれば、圧縮梱包品1を複数一度に、解砕装置10に供給することができる。ケーシング101の下部は、解砕処理された解砕物が解砕装置10の下方に排出されるように、閉じずに解放された形態とするとよい。
【0036】
解砕装置10の支持軸10Aは、例えば2本備わり、第1支持軸10A1及び第2支持軸10A2相互は、実質的に平行に設けることができる。支持軸10Aの本数を2本とすると、解砕装置10は必要以上に大型化せずコンパクトであり、設置に場所を採らない。しかしながら、支持軸の本数は2本に限らず3本以上であってもよい。
【0037】
支持軸10Aの回転に伴う解砕棒10Cも回転するが、その際に第1支持軸10A1に設けられた解砕棒10Cと第2支持軸10A2に設けられた解砕棒10Cとは互いに接触しないように間隔を空けて設置することが望ましい。この場合、第1支持軸10A1に設けられた解砕棒10C先端の回転軌跡と、第2支持軸10A2に設けられた解砕棒10C先端の回転軌跡とが交わらないことになる。例えば、第1支持軸10A1の軸心から、当該第1支持軸10A1に設けられる解砕棒10Cの先端までの支持軸半径方向の距離R1と、第2支持軸10A2の軸心から、当該第2支持軸10A2に設けられる解砕棒10Cの先端までの支持軸半径方向の距離R2との合計距離(R1+R2)が、第1支持軸10A1の軸心と第2支持軸10A2の軸心間の距離10Lよりも小である形態が好適である。しかしながら、圧縮梱包品1の一部が十分に解砕されず大きな塊のまま解砕装置10を通過しないように、あるいは、圧縮梱包品1が適度な大きさの解砕物に解砕されるまで、解砕装置10内に留まるように、距離10Lと距離(R1+R2)の差は30~100mmを超えないことが望ましい。
【0038】
第1支持軸10A1に設けられた解砕部材各々の軸心方向の位置と、第2支持軸10A2に設けられた解砕部材各々の軸心方向の位置とは軸心方向に相互に相違して配置される形態が望ましい。このような形態であれば、解砕装置10が稼働していれば、圧縮梱包品1が解砕装置10内で自由に転がりながら徐々に解砕されていくことになる。
【0039】
また、第1支持軸10A1に設けられた解砕部材群のうちの一つの解砕部材10Bの解砕棒10Cと、この解砕部材10Bに最も近接する位置にある、第2支持軸10A2に設けられた解砕部材10B´の解砕棒10C´とが圧縮梱包品1を挟み込むようにすると好ましい。換言すると、第1支持軸10A1を逆回転方向に回転させるとともに、第2支持軸10A2を順回転方向に回転させ、各々の支持軸の回転周期を同一に設定して、前記解砕棒10Cが第1支持軸10A1と第2支持軸10A2の間を通過するときに、前記解砕棒10C´も第1支持軸10A1と第2支持軸10A2の間を通過するように回転させる態様は好ましい。この態様であれば、圧縮梱包品1が支持軸間に詰まったとしても解砕棒10Cと解砕棒10C´の接触によって圧縮梱包品1が両側から解砕され、また掻き出されるので、詰まりが解消される。
【0040】
また、第1支持軸10A1に備わる隣接する解砕部材10Bの間、かつ第2支持軸10A2に備わる隣接する解砕部材10Bの間で、当該支持軸群の下方に、軸心方向に対して直交する方向に支持部材104を設けることができる。当該支持部材104を設けることにより、圧縮梱包品1の一部が十分に解砕されず大きな塊のまま解砕装置10を通過するのを防止することができる。
【0041】
解砕部材10Bに鉤状部が1つ設けられた実施形態を次に示す。この支持軸10Aの実施形態は、特定の支持軸10Aに備わる解砕部材10B群の鉤状部10Eの先端の向きが、順回転方向に向いているものと逆回転方向に向いているものが混在するものとなっている。図20に示す例では、解砕部材(10B1、10B2、10B3、10B4、10B5、10B6、10B7)は順回転方向である。また、解砕部材(10B2´、10B3´、10B4´、10B5´、10B6´)は逆回転方向である。このように配置しておくと、支持軸10Aをどちら側に回転させても、圧縮梱包品1に鉤状部10Eが接触するので、解砕がスムーズに行われる。
【0042】
(分離装置)
解砕装置10により解砕され細分化された紙類(解砕物)は、分離装置20に供給することができる。解砕装置10と分離装置20が離れている場合は、間に搬送コンベア11を設けて解砕装置10で得られた解砕物を分離装置20に搬送するようにしてもよい。解砕物である分離対象物は分離装置20で分散しつつ分離されて、搬送面27上を搬送されて行き、搬送面27の下流端部(終端部)に達した残分のみが放出されて、次工程に供給される。この残分は弁別手段に供給される、あるいは、弁別手段を省略して古紙パルプ製造工程に供給されてもよい。
【0043】
分離装置20としては、解砕物を大きさ基準で分離するものであり、搬送方向へ篩板271(「スクリーン」ともいう。)が配されて搬送面27が形成され、搬送面27は、水平面に対して下方に傾斜しており、搬送面27が上下動をすることで解砕物を搬送し、分離対象物を搬送する過程で、分離対象物の一部を、篩板271の目272から重力で透過させ、透過しないものを残分とするものを好適に用いることができる。分離装置20は、解砕物である分離対象物をアンダーサイズPUとオーバーサイズPOに分離するものであり、アンダーサイズPUとは、篩板271の目272を透過可能なものであり、例えば紙ビニール複合古紙から剥がれたビニール、柔らかめの紙や細切れの紙、プラスチック製やゴム製の小片等を挙げることができる。オーバーサイズPOとは、篩板271の目272を透過できないものであり、例えば相対的に大面積である紙を挙げることができる。搬送面27の上流端部(始端部)に供給された分離対象物は、解砕処理がなされているものの、部分的に塊状のままのものがあるが、分離装置20の分散作用によって、分離対象物が搬送面27全体に散らばり、好ましい分離がなされる。一方、分離対象物が十分に分散されていない場合、例えば、アンダーサイズPUが塊状物のままである場合や、アンダーサイズPUのビニールがオーバーサイズPO上に載っている場合には、アンダーサイズPUが篩板271の目272を透過せずに、搬送面27の下流端部にまで到達してしまうことになる。なお、搬送方向とは分離装置20の前後方向のうちの前方向をいう。
【0044】
篩板271は、1枚又は複数枚で構成することができ、例えば、1~10枚が好ましく、特に1~6枚が好適である。篩板271は、特に限定されないが、長尺板状のものを好適に用いることができる。篩板271としては、網状のもの、貫通孔が複数、パンチングされた(開けられた)板状のもの等を挙げることができ、特に限定されなく用いることができる。篩板271の目272は、円孔、角孔等特に限定されず、目272の大きさは10~1000mmであれば、アンダーサイズPUが透過し易く、オーバーサイズPOが透過しにくいので好ましい。
【0045】
篩板271が複数枚で構成される場合は、前後方向を長手方向とする篩板271を、短手方向に複数配するとよい。この場合、篩板271は、アンダーサイズPUが落下しない程度に接近させて配されているのが望ましい。
【0046】
篩板271は、それぞれ上下動によって高さが底点から頂点に変化し、その後頂点から再度底点に変化する一巡の動作を繰り返すものであるのが好ましい。ここで、底点とは上下動する篩板271の高さが最も低くなる位置をいい、頂点とは篩板271の高さが最も高くなる位置をいう。また、上下動とは、例えば、篩板271が上下に振動する動きや上下に揺動する動き、底点から頂点までの距離を直径として、上下前後の円を描いて回転を繰り返す動き等を挙げることができる。図6は、篩板271の上下動を説明するために、篩板271のみの動きを図示したものであり、符号(a)の下矢印は頂点から底点への篩板271の動きを表し、符号(b)の上矢印は底点から頂点への篩板271の動きを表し、頂点に位置する篩板271を実線で、底点に位置する篩板271を二点鎖線で表している。なお、図7,8において、頂点の高さを符号271bと、底点の高さを符号271c、円板21bの軌跡を符号21dと表す。
【0047】
篩板271の上下動は、例えば次のように設計することができる。篩板271の下方には、篩板271の幅方向を軸心方向とするクランクシャフト21が設けられている。クランクシャフト21は、例えば篩板271の搬送方向の下流端部の下方と、篩板271の搬送方向の上流端部の下方に1本ずつ設けることができるが、篩板271の前後方向の中央部の下方に1本設けてもよい。
【0048】
クランクシャフト21は、軸心を中心に回転駆動する駆動軸211と前記軸心に対して所定距離偏心した位置を軸心とする偏心軸212を有する。偏心軸212の本数は篩板271の枚数と対応し、例えば篩板271が1枚であれば偏心軸212が1本であり、篩板271が5枚であれば偏心軸212が5本であればよい。
【0049】
クランクシャフト21を図5に例示する。駆動軸211には両端に円形のフランジ部211a,211aが備わり、偏心軸212にも両端に円形のフランジ部212a,212aが備わっている。駆動軸211のフランジ部211aと偏心軸212のフランジ部212aが連結されて、駆動軸211と偏心軸212が所定の偏心距離を保ったものとなっている。フランジ部211aとフランジ部212aは、駆動軸211における中心と、当該軸心方向に一致する中心を有する連結円板で連結されているのが、偏心回転する上で望ましい。また、前記中心から所定の偏心距離となる位置に偏心軸212の軸心が配置されるようにするとよい。このような形態であれば、各偏心軸212は駆動軸211のフランジ部211aの縁よりも外方へ大きく偏心して回転することはない。なお、図5では、篩板271の目を透過して自由落下する分離対象物が偏心円板カム部に巻き込まれるのを防止するためのカバーが偏心円板カム部の上方を覆うように設けられている。
【0050】
偏心軸212には、軸心方向に直角な方向を面とする円板21bが回転可能に備わっている。また、円板21bの動きを篩板271に伝えるための連接部材21cが篩板271に連結されており、円板21bと連接部材21cが接して偏心円板カムが形成され、クランクシャフト21の回転(特に駆動軸211の回転)によって円板21bが円を描いて動くのに連動して、連接部材21c及び篩板271が上下動する。図7,8は偏心円板カムの動きを表す図であり、例えば図7(a)の位置にある円板41bが円板21bの軌跡21dに沿って、図7(b)の位置、図8(c)の位置、図8(d)の位置を経由して図7(b)の位置に戻る動作を繰り返す。なお、篩板271の上下動は、篩板全体が平行移動するものであって、篩板271のある点を支点とし、篩板271における連接部材21cの接続部を力点として、当該支点を中心(固定点)として上下前後平面上を回転するものではない。なお、クランクシャフト21は、モーター21MとVベルト等で繋ぎ、回転させることができる。
【0051】
篩板271が上下動すると、例えば篩板271が底点から頂点に到達したときに、篩板271で搬送される分離対象物が上方への慣性力によって、篩板271から上方へ跳ね上がる。また、篩板271が頂点から底点に下降するときに、周囲のエアーが篩板の目272を下から上方へ透過して、篩板271上の分離対象物を跳ね上げる。このように分離対象物は、跳ね上がることによって、篩板271の前後方向及び幅方向への分散が促進される。特にアンダーサイズPUのうちのビニールは、紙類よりも比重が小さいので、容易に跳ね上がり分散が促進される。したがって、篩板の目272から自由落下したアンダーサイズPUには、ビニールが相対的に多く含まれている。
【0052】
篩板271が複数備わっている場合には、篩板各々は、短手方向の両端縁が厚みを有する側縁部271aとなる形態とするとよい。側縁部271aの形態は特に限定されないが、図27に示すように、篩板271の断面が長方形となる形態(図27(a))や、搬送面27を構成する篩板各々の面における短手方向の両側が下方に折れ曲がり、当該両側が下方に突出して側縁部271aが形成されて、断面がコの字である形態(図27(b))、篩板271の短手方向の両側縁に継ぎ足し部材271bを各々設けて側縁部271aとする形態(図27(c))を例示することができる。側縁部271aは、搬送面27を形成する面に対して下方向に厚くなるように形成するとよい。
【0053】
側縁部271aの厚み(すなわち、篩板271における搬送面27を構成する面に対して下方へ延びる長さ)は、上下動における篩板271の底点の高さから頂点の高さまでの距離L以上となる形態とするとよい。側縁部271aは、篩板271における短手方向の両端側に、長手方向の上流端から下流端まで延在する形態であると、複数からなる篩板271が上下動したとしても、分離対象物が隣接する篩板271間から落下することがなく好ましい。
【0054】
また、例えば隣接する篩板271である第1篩板と第2篩板において、第1篩板が頂点に位置するときに、第2篩板が頂点に位置しない形態であれば、第1篩板と第2篩板が、ある特定の単位時間において、同一の周期かつ同一の変位で上下動しない(又は第1篩板の上下動の位相と第2篩板の上下動の位相が異なる)ので、分離装置20の幅方向に分離対象物の分散がより促され、好適である。なお、分離装置20の幅方向とは、分離装置20における分離対象物の搬送方向(すなわち、篩板271で形成される搬送面27の前方向)に直角の方向である。なお、ここでいう変位とは、篩板271が上下動する際の、ある瞬間(又は局面)における当該篩板271の高さから底点の高さまでの距離をいう。
【0055】
例えば、第1篩板の上下動の位相と第2篩板の上下動の位相が逆位相の関係にある形態が好ましい。具体的には、ある瞬間に隣接する第1篩板が底点にあって、かつ第2篩板が頂点にあり、その後第1篩板が頂点に到達すると同時に第2篩板が底点に到達し、その後第1が再度底点に到達すると同時に第2篩板が頂点に再度到達する動きが繰り返される形態が好ましい。この形態であれば、第1篩板の高さと第2篩板の高さの差が最大になる瞬間があるので、分離対象物が頂点から底点に落下する等してより一層幅方向へ分散し易くなる。
【0056】
特に、篩板271が幅方向に複数連なっている場合、例えば図2に示すように紙面右から左に向けて第1篩板,第2篩板,・・・,第6篩板が幅方向に連なっている場合には、ある瞬間において奇数番目の篩板271である第1篩板,第3篩板,第5篩板が底点の高さにあり、偶数番目の篩板271である第2篩板,第4篩板,第6篩板が頂点の高さにある形態、すなわち奇数番目の篩板群における上下動の位相と、偶数番目の篩板群における上下動の位相とが逆位相である形態が好適である。
【0057】
篩板271の底点の高さと頂点の高さの差が10mm以上、好ましくは10~100mm、より好ましくは20~50mmであり、前記一巡の動作が1分間あたり10~200回、好ましくは100~180回繰り返す形態は好ましい。前記高さの差と前記1分間あたりの繰り返し回数は密接な関係にあり、前記高さの差が10mm未満だと幅方向への分離対象物の分散効果が乏しい。他方、前記高さの差の上限は厳密には設けなくてもよいが100mmを超えるように設計しても更なる分散効果は期待できないし、隣接する篩板271の間に分離対象物が嵌りやすくなってしまいメンテナンスに多くの手間がかかる。ただし、前記高さの差が10mm以上であっても前記1分間当たりの繰り返し回数が上記範囲を外れると、例えば1分間当たりの繰り返し回数が10回未満のときには上下動の動きが遅く、篩板271上の分離対象物の跳ね上がりが乏しいし、例えば1分間当たりの繰り返し回数が200回超のときにはアンダーサイズPUが頻繁に跳ね上がってしまい篩板271の目を透過しづらくなり、分離能が乏しくなる。
【0058】
篩板271で形成される搬送面27の下方への傾斜角度は、好ましくは1~20度、より好ましくは3~10度である。当該傾斜角度が1度よりも小さいと分離対象物の搬送速度が小さく、分離が促進される一方で運転効率が悪い。他方当該傾斜角度が20度よりも大きいと分離対象物のうちアンダーサイズPUの分離効率が良くない。
【0059】
分離対象物が分離装置20に供給されてから、その残分が分離装置20から排出されるまでに要する時間(すなわち分離装置20における分離対象物の滞留時間)は、圧縮古紙の種類や、供給される分離対象物に含まれるアンダーサイズPUの含有率にもよるが、好ましくは1~10秒、より好ましくは2~5秒である。前記滞留時間が1秒よりも短いと、分離対象物の分散が十分になされず、またアンダーサイズPUとして分離されにくくなるので古紙パルプ原料の質が低下する。他方、前記滞留時間が10秒よりも長いと、全体として古紙パルプ原料の製造効率が良くない。
【0060】
分離対象物である搬送材料は、アンダーサイズPUが除かれ、搬送面27の下流端に順次流れる。下流端から排出される搬送材料(オーバーサイズPO)は主に相対的に面積の大きな紙からなり、次に続く弁別工程に導かれる。
【0061】
圧縮古紙から白色古紙、有色古紙を製造する工程では、白色古紙又は有色古紙の原料とそれ以外のものとに選別する処理工程を設けるとよい。分離装置20で分離がなされた残分であっても、古紙パルプ原料としての価値に乏しいスクラップや軟らかめの紙、細切れの紙等(例えば、数センチ四方の古紙)が僅かながらオーバーサイズPOに混在する。これら古紙パルプ原料としての価値に乏しいものは、優良な白色古紙や有色古紙の製造の妨げとなる。
【0062】
解砕装置10により適度なサイズに解砕された紙類の中には、解砕が十分になされず、大きな塊のまま排出されるものや、複数の紙が密着して一体化したままの状態のものも混在する場合がある。このような塊状物又は一体化物であっても分離装置20で跳ね上がったり分散したりしながら搬送されることで、紙の塊が崩れ、密着が解けて分散化が促進される。
【0063】
分離装置20を稼働して、分離対象物を分離する際に発生する粉塵等の飛散防止のために、分離装置20に粉塵飛散防止手段を設けることができる。粉塵飛散防止手段の例として、分離装置20の上方に換気用フードを設け、分離対象物が分離される過程で発生する粉塵等を換気手段により吸引することで粉塵の飛散を防止できる。換気手段としては、具体的には、分離装置20の上方全体を覆うフードとフードに連結されたダクト、そしてダクトの先にフィルターを介して換気装置を設置して、発生する粉塵等を吸引するとよい。分離対象物から発生する粉塵等はフードに吸い込まれ、ダクトを流れ、フィルターに集塵される。なおフィルターを備える位置はフートとダクトの連結部に設けることもできる。
【0064】
分離装置20で分離された残分であるオーバーサイズPOは、次工程である弁別(分別)装置40に供給される。弁別(分別)装置40は、前記残分を幅方向全体に分散させた状態で搬送コンベア41に送る供給フィーダー30を上流側に設けてもよい。また、供給フィーダー30は、オーバーサイズPOの重なりを解消するために搬送面を幅方向に振動させるものであってもよい。弁別(分別)装置40は、もちろん、供給フィーダー30を設けない態様であってもよい。なお、分離装置20と弁別(分別)装置40が近接している場合は、分離装置20で得られたオーバーサイズPOを直接弁別(分別)装置40に供給することができるが、離れている場合は、搬送コンベア12を介する等してオーバーサイズPOを搬送して供給フィーダー30に供給してもよい。
【0065】
(弁別(分別)装置)
弁別(分別)装置40は、例えば、前記残分を測色手段に搬送する搬送コンベア41と、測色カメラ42を使用して測色する測色手段と、ハイパースペクトルカメラ43により材料を測定する材料測定手段とを有するのが望ましい。また、個々の搬送物について、測色手段による測色値の白色度が高いか否かを判断する第1の弁別手段44と、個々の搬送物について、材料測定手段により測光した吸光度スペクトルに基づきセルロース成分が支配的であるか否かを判断する第2の弁別手段45とを有するのが望ましい。測色カメラ42とハイパースペクトルカメラ43は、搬送コンベア41の幅方向に並列して設けても、搬送コンベア41の流れ方向に並べて設けても良いが、好ましくは、後工程におけるエアーによる吹き飛ばし仕分けとの連携動作精度を高め得る効果から、搬送コンベア41の幅方向に並列して設けることが好ましい。
【0066】
かかる第1の弁別手段44及び第2の弁別手段45による弁別により、測色値の白色度が高く、かつ、セルロース成分が支配的である場合には、白色古紙である、他方で、測色値の白色度が低く、かつ、セルロース成分が支配的である場合には、有色古紙であるとして弁別し、その弁別信号に基づいて仕分けを行うことができる。なお、解砕装置10に供給される圧縮古紙が、そもそも白色古紙を支配的に含むものであったり、又は有色古紙を支配的に含むものであったりする場合には、測色手段を設けずに、材料測定手段のみを設けてもよい。
【0067】
弁別(分別)装置40による仕分け工程において、さらに、セルロース成分が支配的でない場合には、古紙処理品以外のものとして処理することができる。
【0068】
例えばビニールと紙などを分別するためには、材料(材質)測定が必要となる。そこで、ハイパースペクトルカメラ43により材料(材質)を測定する。ハイパースペクトルカメラ43は、可視光から短波赤外領域(SWIR)までの広い波長領域を細かい波長域で区分けし、それぞれの波長域での光強度(波長スペクトル)を取得することができる。例えば、近赤外線(750~1700nm近傍)領域も撮影可能である。符号46は可視光から近赤外領域までの波長をもつ光源である。
【0069】
物質を構成している分子は、様々な運動をしており、運動している分子に光をあてると、運動状態に合わせて特定の波長の光のみが吸収される。吸収される赤外線領域の波長は、分子を構成する原子間距離と振動方向によって決まった値になり、分子の種類を的確に表す特徴的な波長分布になる。反射・吸収された波長分布(吸収スペクトル)を調べることによって、測定対象物がどのような分子を含んでいるかを知ることが可能である。かかる原理によって、材料(材質)を測定することができる。
【0070】
図21図26に吸収スペクトル分布例を示す。セルロースとプラスチック類とは吸収スペクトル波長分布が明確に異なるので、禁忌品と例えば新聞古紙パルプ用の古紙、段ボールパルプ用の古紙、又は茶模造紙パルプ用の古紙等とに弁別が容易となる。ちなみに、セルロース成分が支配的である、すなわち新聞古紙パルプ用の古紙、段ボールパルプ用の古紙、又は茶模造紙パルプ用の古紙である蓋然性が高い場合、近遠赤外線の反射波の強度波形が1440~1490nmの範囲に深い谷を有する波形として明確に現れる。これに対し、他のプラスチックでは、波形谷が1670nm近辺、1730nm近辺に現れ、しかも、谷部の波形も材質特有なものを示す。したがって、プラスチック間でも材料(材質)の弁別が可能である。
【0071】
他方で、測色カメラ42を使用した測色手段により測色する。測色カメラとしては、一般のCCDカメラを使用できる。可視光領域をカラーフィルター等で、赤・緑・青に分光し、それぞれを取得することで、画像を得る。この場合、測色手段による測色値について白色度が高いか否かを基準として判断する。そして、白色度が高い場合には白色古紙であると判断し、新聞古紙パルプ用として弁別し、白色度が高くない場合には、有色古紙であり、新聞古紙パルプ用としては使用できないものとして分別できる。また、段ボールパルプ用の古紙又は茶模造紙パルプ用の古紙として使用する場合には、白色度が高いとする選定基準を下げて測色することもできる。この場合、強度の強い茶系色のクラフト紙が弁別されるので段ボールパルプ用に用いることができ好ましい。また、白色古紙と有色古紙を同じ設定としても構わない。
【0072】
CCDカメラでは、撮像範囲の所定面積範囲を搬送方向の幅方向に走査し、測色情報を得る。測色値の白色度が高いか否かを判断するに際し、HSV色空間で判断するのが望ましい。HSV色空間で判断することは人間の視感との対応関係が高いからである。なお、本発明は、他のRGB色空間などの使用を排除するものではない。
【0073】
HSV色空間としては、次記表1のような設定範囲とすることができる。この設定範囲は、変えることができる。設定範囲の理由としては白色度は、色相の偏りが無いので、Hは全領域を指定、色味(再度)が無いので、Sは小さい値(0~20)を指定、明るいので、Vは大きい値を指定したものである。
【表1】
【表2】
表1の設定範囲の下で、各色要素が表2の範囲(最小値と最大値との間の範囲)内である条件がアンドで成立する場合に、「白色」であると判断し、それ以外のものは、「有色」と判断することができる。さらに具体的には、搬送物全体のピクセルのうち、白のピクセル数の方が多い、例えば50%超である場合には、対象物が白いと判定し、それ以外の場合を有色と判定することができる。この例では50%を分岐基準としたが、他の割合での基準設定も可能である。
【0074】
弁別(分別)装置40により弁別(分別)を行った搬送物について、搬送コンベア41の搬送速度との関係で、当該搬送物が、例えば搬送コンベア41から落下する過程で仕分け装置50を作動させる。仕分けには人手により行うこともできるが、自動化手段を使用するのが望ましい。実施の形態では、エアコンプレッサー(図示せず)からのエアーによる吹き飛ばし仕分けを行うようにしてある。
【0075】
すなわち、白色古紙が搬送コンベア41の下流端に到達した場合には、第1エアノズル51を作動させ、第1回収容器53に回収し、有色古紙が搬送コンベア41の下流端に到達した場合には、第2エアノズル52を作動させ、第2回収容器54に回収する。白色古紙でなく、有色古紙でもないものは、例えばエアノズルを作動させることなくそのまま搬送コンベア41の下流端から落下させ第3回収容器55に回収できる。
【0076】
ここで、搬送コンベア41の幅が広い場合には、幅方向に複数の搬送物が搬送されることになるので、上記エアノズルは幅方向に複数配置することができる。また、回収の方向を図示例のように搬送方向に区分するほか、搬送コンベア41の下流部で幅方向外側に向けてエアーによる吹き飛ばしを行い仕分け及び回収を行うこともできる。また、エアーによる吹き飛ばしを搬送コンベア41上で行うようにしてもよい。
【0077】
白色古紙は、新聞古紙パルプ用等の材料とし、有色古紙は段ボール古紙パルプ用等の材料とすることができる。材料の一例として、図16に白色古紙7及び有色古紙8をベーラー9により梱包し、後に利用に供する形態を図示してある。ここで、ベーラーによる梱包は任意であり、そのまま材料をパルプ化工程に移送することもできる。
【0078】
上記のように回収された白色古紙は、新聞古紙パルプ(NDIP)用材料とするか雑誌古紙パルプ(MDIP)用材料とし、新聞用紙や再生PPC用紙等として再生できる。有色古紙については、段ボール古紙パルプ(WP)用材料とすることができる。雑誌古紙パルプ(MDIP)は、新聞古紙パルプ(NDIP)と同じパルプ製造設備(フロー)で製造できる。各種古紙パルプを製造する場合、既存の又は公知のパルプ製造設備で製造できるが、以下の実施の形態で製造するのが最適である。
【0079】
回収された有色古紙により段ボール古紙パルプ(WP)を製造する一例を図18に示した。この実施の形態を要すれば次のとおりである。
(1)回収された有色古紙の乾式の解砕工程
(2)高濃度パルパーによる離解工程
(3)リフラー型スクリーンによるスラッシング工程を含む粗選工程
(4)前段クリーナー、ホールスクリーン、スリットスクリーン、後段クリーナーの順の第2粗選工程
(5)脱水工程
(6)精選工程でのホールスクリーンリジェクトは、ローターと丸穴円筒バスケットからなる離解分散と、スリットスクリーン及び又はドラムスクリーンの精選リジェクト回収工程
【0080】
具体例を説明すると、回収された有色古紙(ベール)8は必要に応じ乾式で解砕機61により解砕される。例えば35mm幅に裁断された解砕物は、高濃度パルパー62により好ましくは連続高濃度パルパー、より好ましくは蒸気を得ながら離解される。重量異物は、分離機78により分離される一方で、タンク63に一旦貯蔵される。続いて、第1粗選工程を実施ためのフラッシュソーター(リフラー型スクリーン)からなる分別機64により異物分離を行い、タンク65に貯蔵される。その後、タンク67に送る。続いて、前段クリーナー68により重量異物を除去し、ホールスクリーン69に送り、ラミネートなどの大きなゴミ、金銀ラミネートを分離し、タンク72に貯蔵する。その後、スリットスクリーン73により細かな異物除去を行ない、タンク74に貯蔵する。続いて、後段クリーナー75により、細かな異物除去を行い、フィルター76、例えばドラム式パルプレスフィルターにより脱水を図り、古紙パルプとしてタンク77に仮貯蔵する。他方で、第1粗選工程でのホールスクリーン69のリジェクト分は、ローターと丸穴円筒バスケットからなる、離解と分別の両方の機能を有する離解分散機(コンビソーター)71に供給し、金銀ラミネート中の繊維分を回収する。
【0081】
回収された白色古紙により新聞古紙パルプ(NDIP)を製造する一例を図19に示した。白色古紙7は、パルパー80により離解され、ターボセパレーター81、高濃度クリーナー82及び粗選スクリーン83により粗選される、続いて、プレフローテーター84により脱墨された後、クリーナー85、スクリーン86により精選され、脱水機87により脱水される。その後、ホットディスパーザー88により異物分散を行い、過酸化水素タワー89にて漂白処理され、ポストフローテーター90により脱墨された後、脱水機91により脱水され、高濃度ポンプ92により高濃度タワー93から抄紙機(図示せず)へ送給される。
【0082】
また、回収された白色古紙により新聞古紙パルプ(NDIP)を製造する製造方法としては、前記段ボール古紙パルプの製造例に加え、浮遊選別工程(フローテーター)等の脱墨処理工程を組み合わせて新聞古紙パルプを製造することができる。
【0083】
回収された白色古紙は、段ボールパルプ用の古紙又は茶模造紙パルプ用の古紙として使用することもできる。例えば、先ず白色古紙をパルパーで離解した後スクリ-ンにより繊維分と異物とを分離する。次に分離されたパルプ繊維を脱水機によって濃縮脱水した後、再度パルパーで離解し、スクリーン・クリーナー・脱水機を経て、原料として使用する。
【0084】
公益社団法人古紙再生促進センターでは、「禁忌品」とは、「製紙原料にならない異物」と定義している。
その紙類例として、粘着物の付いた封筒、裏カーボン紙、ノーカーボン紙(宅配便の複写伝票など)、防水加工された紙(紙コップ、紙皿、紙製のカップ麺容器、紙製のヨーグルト容器、油紙、ロウ紙など)、圧着はがき(親展はがき)、感熱紙(ファックス用紙、レシートなど)、印画紙の写真、インクジェット写真プリント用紙、感光紙(青焼きコピー紙)、ビニール、プラスチックフィルムやアルミ箔などを貼り合わせた複合素材の紙、金・銀などの金属が箔押しされた紙、においの付いた紙(石鹸の個別包装紙、紙製の洗剤容器、線香の紙箱など)、捺染紙(昇華転写紙、おもに絵柄などを布地に加熱してプリントする際に使われる紙、感熱性発泡紙(おもに点字関係で使用されているもので、熱を加えたところが盛り上がる紙)がある。また、「紙類以外」のものとして、粘着テープ類、ワッペン類、ファイルの金具、金属クリップ類、フィルム類、セロハン、発泡スチロールがある。この禁忌品の例示のように、「紙類以外」のものは禁忌品であり、古紙に分類できないので古紙処理系から除外する必要がある。他方で、「紙類」の中でも例えばプラスチックフィルムやアルミ箔などの貼り合わせ程度が高いものなども、古紙処理系から除外することができる。ただし、禁忌品の定義は、時代によって変遷するので、それに応じて選別基準を変更できる。
【0085】
本発明の圧縮古紙の処理方法の実施にあたり、上記の装置を使用することに限定されず、また、一部の工程を人力又は機器の併用による半自動で行うことができる。圧縮古紙は圧縮梱包品やフレコンバック等の袋に詰め込まれた古紙に限定されず、紐で縛った古紙、収集車で配送される回収古紙を含んでいてもよい。さらに回収古紙の利用先、及び廃棄先は適宜選定でき、上記例に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
各種古紙を回収して資源の有効利用及び環境保全に役立たせることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 圧縮梱包品
7 白色古紙
8 有色古紙
10 解砕装置
10A 支持軸
10A1 第1支持軸
10A2 第2支持軸
10B 解砕部材
10C 解砕棒
10D 解砕刃
101 ケーシング
20 分離装置
21 クランクシャフト
21b 円板
21c 連接部材
21d 円板の軌跡
21M モーター
211 駆動軸
211a 駆動軸のフランジ部
212 偏心軸
212a 偏心軸のフランジ部
27 搬送面
271 篩板
271a 側縁部
272 篩板の目
271b 頂点の高さ
271c 底点の高さ
30 供給フィーダー
40 弁別(分別)装置
50 仕分け装置
L 篩板側縁部の下方向の長さ
PU アンダーサイズ
PO オーバーサイズ
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