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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068958
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】美顔器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240514BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179664
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】507039187
【氏名又は名称】株式会社ニコリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】宍田 光紀
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB31
4C053JJ14
4C053JJ15
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】美顔効果の高い美顔器を提供する。本発明の別の目的は、装着感が高い美顔器を提供する。さらに本発明の別の目的は、使用しやすい美顔器を提供することにある。
【解決手段】美顔器において、一対の頬あて部は使用者の左右の頬にあてられる。アーム部は各頬あて部をつなぐ。咥え部はアーム部の中間位置に設けられる。頬あて部は使用者の肌に電気的に作用する作用部を有する。咥え部は着脱可能のマウスピースを備える。咥え部は異なった種類のマウスピースを交換可能に備える。コントローラは作用部の作用を調節する。コントローラは美顔器本体に着脱可能である。作用部は使用者の肌にあたる側に着脱可能なパッドを有する。頬あて部は使用者の頬の形状に合わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の左右の頬にあてられる一対の頬あて部と、
前記頬あて部をつなぐアーム部と、
アーム部の中間位置に設けられる咥え部と、
を備え、
前記頬あて部は使用者の肌に電気的に作用する作用部を有する美顔器。
【請求項2】
前記咥え部は着脱可能なマウスピースを備えることを特徴とする請求項1に記載の美顔器。
【請求項3】
前記咥え部は異なった種類のマウスピースを交換可能に備えることを特徴とする請求項1に記載の美顔器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人の顔に作用する美顔器に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴う顔のたるみは、顔の筋肉の衰えが一因と言われる。リガメントもしくは腱鞘と呼ばれる、顔の筋肉と骨をつなぐ繊維組織の緩みも別の一因である。リガメントは顔の片面で主に8箇所あり、半分以上が頬とその周辺に位置している。リガメントへの血流が悪くなるとリガメントの弾力が減り、硬くなる。すると顔の筋肉を引き上げる力が弱くなり、たるみが生じる。これを防ぐには顔の筋肉の鍛錬やリガメントを指でマッサージするなどの血行促進が効果的である。
【0003】
顔の筋肉に着目した以下の装置が知られている。まず、使用者の顔面に装着され、顔面の筋肉に電気的な刺激を与えるEMS(Electrical Muscle Stimulation)による美顔器具がある(特許文献1参照)。この器具は、使用者の頬とその周辺を被覆するパッドに電圧を印加する。
【0004】
口に咥えて顔面の口輪筋その他様々な表情筋に効率よく負荷を与え、ほうれい線等のしわを減らすフェイシャルエクササイズ装置もある(特許文献2参照)。また、口輪筋等の顔面筋を鍛錬する顔面筋鍛錬具もある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/012754
【特許文献2】特開2020-011059号公報
【特許文献3】特開2021-052815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は特許文献1ないし3の技術の実現にあたり以下の課題を認識した。特許文献1の技術では、使用者の頭部を覆うように湾曲するヘッドバンドの両端にEMSが作用するパッドを取り付け、頬にパッドがあたるようにヘッドバンドを装着する。パッドのあたる頬は扁平なため外れやすい。外れないようにヘッドバンドの締め付けを強くすると使用者の装着感を下げる可能性がある。使用者の装着感を下げずに作用部分が外れにくい美顔器がさらに望まれる。
【0007】
特許文献2および3の技術では口周辺の筋肉を鍛えるには効果的だが、頬と頬の周辺にあるリガメントへの効果は小さい可能性がある。リガメントに近い位置を刺激した方が効果を期待できる。リガメントの血行促進に効果的な美顔器がさらに望まれる。
【0008】
本発明はこうした課題に鑑みてなされた。その目的は美顔効果の高い美顔器を提供することにある。本発明の別の目的は、装着感の高い美顔器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するには、本発明の美顔器は、使用者の左右の頬にあてられる一対の頬あて部と、各頬あて部をつなぐアーム部と、アーム部の中間位置に設けられる咥え部とを備え、頬あて部は使用者の肌に電気的に作用する作用部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前述の目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例にかかる美顔器の使用状態を示す斜視図である。
図2】実施例にかかる美顔器を模式的に示す平面図である。
図3】実施例にかかる美顔器の分解図である。
図4】使用者の顔面のリガメントの位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各図面で同一または同等の構成要素、部材には同一の符号を付し、適宜重複する説明は省略する。各図面で実施例を説明するのに重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
(実施例)
図1は実施例にかかる美顔器100の使用状態を示す斜視図である。図2は実施例にかかる美顔器100を模式的に示す平面図である。図3は実施例にかかる美顔器の分解図である。
【0014】
美顔器100は頬あて部2と、アーム部4と、咥え部6と、コントローラ8と、を有する。
【0015】
頬あて部2は使用者の左右の頬にあてられる。頬あて部2は使用者の肌に電気的に作用する作用部22を有する。作用部22は使用者の肌にあたる側にパッド24を有する。作用部22はパッド24を通じて使用者の肌に電気的な作用を及ぼす。具体的には、作用部22はEMSによる施術を肌に対して実行する。なお、EMSによる施術の動作原理は既知であるので詳細は省く。頬あて部2は作用する部位を変更調節できるように上下左右に動くようにしてもよい。
【0016】
作用部22は電気を供給する二次電池28と、電気を制御する電気制御部30と、電気制御部30に接続する電極26と、を有する。二次電池28は非接触充電を可能とする専用の充電器(図示せず)を設けて充電される。美顔器100のいずれかの場所に設けられた充電口(図示せず)から外部のアダプタ(図示せず)を通じて充電してもよい。二次電池28は2時間以内に満充電が可能で、満充電の状態から連続40分の施術が可能なものを採用するものとする。電気制御部30は、後述するコントローラ8から無線で送信された情報に基づいて印加などの電気制御を行う。電気制御部30はコントローラ8と通信を行う通信部(図示せず)を有する。
【0017】
パッド24は銀繊維を織り込んだ導電性の生地である。パッド24は水で洗浄できる。パッド24は繰り返し洗浄可能な耐久性を有する。パッド24は他の金属繊維を織り込んだ導電性の生地でもよいし、金属やカーボンブラックなど導電性のある物質を含有する生地でもよい。電極26は陽電極と陰電極を有し、パッド24に接する側に設けられる。電極26からパッド24は通電し、使用者の肌に作用する。作用部22は電極26とパッド24とを点ファスナーで着脱する機構を有する。磁力によって着脱する機構でもよい。
【0018】
アーム部4は第1の頬あて部2aと第2の頬あて部2bをつなぐ。アーム部4はアーチ状に形成され、各端部に第1の頬あて部2aと第2の頬あて部2bとが接合される。アーム部4は弾性を有し、接合した頬あて部2が使用者の頬を外から抑えて頬あて部2の位置を固定する。つまり、第1の頬あて部2aと第2の頬あて部2bの間の直線距離が使用者の両頬の幅よりもやや狭くなるようにアーム部4が設けられる。アーム部4は芯として板バネを含む。アーム部4は弾性を有するその他の材料が用いられてもよい。アーム部4は弾性を有する合成樹脂材を有してもよい。アーム部4の弧の長さは120mm~180mmが望ましい。アーム部4の一方の端縁からもう一方の端縁までの直線距離は40mm~70mmが望ましい。以下に述べる数値範囲についても実験により使い勝手の良さが確かめられている範囲である。
【0019】
咥え部6はアーム部4の中間位置に設けられる。咥え部6はマウスピース62と嵌合突起部68を有する。嵌合突起部68はアーム部4の中間位置に接合され、マウスピース62は嵌合突起部68に嵌合される。マウスピース62は嵌合突起部68より軟質に形成される。マウスピース62は着脱可能に取り付けられる。マウスピース62は水で洗浄できる。
【0020】
マウスピース62は第1の咥え溝64と第2の咥え溝66を有する。第1の咥え溝64は、備え付けられたときにアーム部4から近い方に設けられ、第2の咥え溝66はアーム部4から遠い方に設けられる。第1の咥え溝64と第2の咥え溝66は、咥えたときに噛みやすいように前歯にあたる位置が窪んでいる。第1の咥え溝64と第2の咥え溝66は外周全体を窪ませて形成してもよいし、前歯にあたる位置にのみ形成してもよい。マウスピース62は外形寸法、形状の異なった複数種が用意され、さらにEVA、ポリオレフィン、ポリウタレンといった材質の異なった複数種が用意される。使用者は口の大きさ、形、好みに応じたマウスピース62を選択できる。
【0021】
コントローラ8はアーム部4に着脱可能に取り付けられる。コントローラ8とアーム部4との着脱には、磁力で取り付ける機構を設けてもよいし、嵌合して取り付ける機構を設けてもよい。コントローラ8は電源ボタン82と操作ボタン84を有する。電源ボタン82の押下により作用部22の起動、停止ができる。操作ボタン84の押下により作用部22の作用の強弱を調節できる。ボタンの押下による操作を受け付け、操作情報を作用部22に無線で送信する。
【0022】
以上の構成により美顔器100は以下のように使用される。
使用者は、咥え部6のマウスピース62を口に挿入し、第1の咥え溝64もしくは第2の咥え溝66を前歯で噛む。たとえば、第1の咥え溝64を噛み、咥え部6を深く咥える。使用者の口が小さい、または、使用に不慣れで深く咥えるのが苦しい場合、第2の咥え溝66を噛み浅く咥える。使用者は口の大きさの相違、咥え心地の好み、噛む力の強度に応じて、外形寸法、材質、硬度、形状が異なった複数種のマウスピース62を選択し、備え付け、交換できる。
【0023】
マウスピース62を噛む動作で使用者の口輪筋及びその口輪筋と繋がる頬筋、笑筋、大頬骨筋、小頬骨筋などの口周辺の筋肉が鍛錬される。
【0024】
頬あて部2は左右の頬にあてられる。頬あて部2の位置を上下左右に調節する。使用者はコントローラ8をアーム部4から取り外し、電源ボタン82を押下し作用部22を起動させる。パッド24が通電しEMSの施術が肌に対して実行される。使用者はコントローラ8の操作ボタン84で作用の強弱を調節する。
【0025】
作用部22の作用により使用者の肌と顔の筋肉に微弱な電気が流れ刺激が与えられる。図4は使用者の顔面のリガメントの場所、リガメントポイントを示す説明図である。リガメントは顔の片面に主に8箇所ある。ティアトラフのリガメントL1、上咬筋皮膚のリガメントL2、眼輪筋のリガメントL3、頬骨皮膚のリガメントL4、咬筋皮膚のリガメントL5、下顎皮膚のリガメントL6である。上記作用により、頬骨皮膚のリガメントL4、上咬筋皮膚のリガメントL2、3つの咬筋皮膚のリガメントL5にEMSの作用がおよび、血行が促進される。
【0026】
以上の構成により、以下の効果を有する。
美顔器100はEMSの作用で顔の筋肉を刺激、鍛錬する。美顔器100は作用部22が頬と頬周辺に位置しているリガメントを刺激、鍛錬する。作用部22がリガメントに近く効果的にEMSの作用が及び、リガメントとその周辺の血行を促せる。
【0027】
使用者がマウスピース62を噛む動作で口周辺の顔の筋肉を鍛えられる。作用部22の作用で口周辺の顔の筋肉における血行も促進され、相乗的に鍛錬の効果が得られる。
【0028】
使用者は咥え部6を咥える動作で美顔器100を簡単に装着できる。マウスピース62を噛んで美顔器100を固定するため、使用時に外れにくい。
【0029】
マウスピース62は水で洗浄可能なので、美顔器100は清潔に使用できる。マウスピース62は交換可能なので、複数人が1つの美顔器100を共同で使用する場合、各個人用のマウスピース62を使用すれば清潔に使用できる。また、マウスピース62は外形寸法、形状の異なった複数種のものに交換可能なので、個々人の顔の寸法、形状にあったマウスピース62を選択、使用できる。マウスピース62は大きいほど噛む力を要する。たとえば、鍛錬度を高めたい場合や使用に慣れている場合には大きいマウスピース62を使用し、使用に不慣れで鍛錬度の低い施術を望む場合、小さいマウスピース62を使用する。各使用者の要求に応じた施術を行える。咥えて前歯にあてる箇所を第1の咥え溝64もしくは第2の咥え溝66にすると噛む負荷が変わるので、同様の効果が得られる。
【0030】
パッド24は水で洗浄可能なので美顔器100は清潔に使用できる。複数人が1つの美顔器100を共同で使用する場合、各個人用のパッド24を使用すれば清潔に使用できる。パッド24は生地なので肌触りがよい。
【0031】
成年の若い女性の耳珠間鼻下弧長、両耳間の鼻下を通過する弧の長さ、は平均が260mm~270mmと言われており、成年高齢男性のそれは310mm~330mmと言われている。アーム部4の弧の長さは120mm~180mmであり、作用部22がちょうど頬の位置にあてられる。さらに、頬あて部2の位置を上下左右に調節できる。美顔器100は、個々人の顔の寸法、形状に合わせて作用部22をリガメントにあてられるので施術の効果を高める。
【0032】
コントローラ8は着脱可能なので操作しやすい。操作後に簡単に本体に取り付けられるのでコントローラ8を紛失する可能性が低い。
【0033】
以上、前提技術の実施例を説明した。実施例は例示であり、さまざまな変形例が可能で、そうした変形例も前提技術に含まれるのは当業者に理解される。
【0034】
(変形例1)
頬あて部2は使用者の頬の形状に合わせて形成してもよい。本変形例では装着感が高まり、使用時に外れにくくなる。パッド24がリガメントに適切にあたるように頬あて部2を形成すれば、作用の効果が高まる。
【0035】
(変形例2)
マウスピース62を低反発性で噛みやすいようにしてもよい。本変形例では、マウスピース62のどの位置でも噛めるのでより咥える位置の調整が容易になる。
【0036】
(変形例3)
咥え部6に振動する機構を設けてもよい。本変形例では、使用者が噛む運動の強度が高まるので、顔の筋肉を鍛える効果が高まる。
【0037】
(変形例4)
実施例のアーム部4を伸縮可能としてもよい。本変形例では、より作用部22の位置を調整しやすくなる。
【0038】
(変形例5)
頬あて部2の外側やアーム部4の外側など美顔器100のいずれかの場所に電源ボタン82と操作ボタン84を設けてもよい。タッチセンサーを利用して美顔器100のいずれかの場所へのタッチだけで作用部22を操作できるようにしてもよい。本変形例では、美顔器100の重量を軽くでき、コントローラ8を紛失するおそれがなくなる。
【符号の説明】
【0039】
2 頬あて部、 4 アーム部、 6 咥え部、8 コントローラ、 22 作用部、 24 パッド、 62 マウスピース、 100 美顔器。
図1
図2
図3
図4