(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068966
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】貯留装置
(51)【国際特許分類】
F01P 11/00 20060101AFI20240514BHJP
B01J 39/04 20170101ALI20240514BHJP
B01J 39/18 20170101ALI20240514BHJP
B01J 41/04 20170101ALI20240514BHJP
B01J 41/12 20170101ALI20240514BHJP
B01J 47/024 20170101ALI20240514BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F01P11/00 C
B01J39/04
B01J39/18
B01J41/04
B01J41/12
B01J47/024
B65D81/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179678
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木野 等
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB41
3E067AB49
3E067AB99
3E067BA02A
3E067BC07A
3E067EA18
3E067EA32
3E067EB27
3E067EC11
3E067EE28
3E067EE59
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA23
(57)【要約】
【課題】連通部を介して、収容部の内部にイオン交換部を挿入し、また、取り出すことができる貯留装置の提供。
【解決手段】対象物と熱交換する熱交換液を貯留する貯留装置であって、熱交換液を内部に収容する収容部と、収容部の内部と外部とを連通させる連通部と、連通部を塞ぐ蓋部と、を備えるタンクと、収容部の内部に着脱することが可能なように固定され、熱交換液中のイオンとイオン交換を行うイオン交換部と、を備え、イオン交換部は、蓋部が連通部を塞いでいないときに、連通部を介して、収容部の内部に挿入することが可能であって、かつ、収容部の内部から取り出すことが可能なように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物と熱交換する熱交換液を貯留する貯留装置であって、
前記熱交換液を内部に収容する収容部と、前記収容部の内部と外部とを連通させる連通部と、前記連通部を塞ぐ蓋部と、を備えるタンクと、
前記収容部の内部に着脱することが可能なように固定され、前記熱交換液中のイオンとイオン交換を行うイオン交換部と、
を備え、
前記イオン交換部は、前記蓋部が前記連通部を塞いでいないときに、前記連通部を介して、前記収容部の内部に挿入することが可能であって、かつ、前記収容部の内部から取り出すことが可能なように構成されている、貯留装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貯留装置であって、
前記収容部は、前記連通部に向かって突出する凸部を備え、
前記イオン交換部は、前記凸部が通される穴部を備える、貯留装置。
【請求項3】
請求項1に記載の貯留装置であって、
前記イオン交換部は、前記収容部に固定されているときに、前記連通部に向かって伸びるタブを備える、貯留装置。
【請求項4】
請求項2に記載の貯留装置であって、
前記イオン交換部は、
イオン交換樹脂を収容する交換樹脂収容部であって、前記熱交換液が内部と外部とを流通することが可能である流通孔が形成されている交換樹脂収容部と、
前記交換樹脂収容部に対し着脱することが可能な着脱部と、一方の端部が前記着脱部と連結する延出部であって、前記着脱部から遠ざかる方向に延びる延出部と、を備える樹脂固定部と、を備え、
前記延出部には、前記穴部が形成されている、貯留装置。
【請求項5】
請求項4に記載の貯留装置であって、
前記収容部は、さらに、前記凸部が突出する突出用部位を備え、
前記蓋部は、前記凸部の中心を通る直線に沿って見たときに、前記凸部を包含する外形を有する蓋側突出部を備え、
前記蓋側突出部は、前記蓋部が前記連通部を塞いでいるときに、前記凸部の鉛直方向の最も上側の部位よりも下側の位置において、前記延出部の一部と前記突出用部位の一部とを接触させる、貯留装置。
【請求項6】
請求項4に記載の貯留装置であって、
前記着脱部は可撓性を有し、
前記交換樹脂収容部は、それぞれイオン交換樹脂を収容する複数の個別収容部であって、前記イオン交換部が前記連通部に挿入される方向に垂直な方向に並ぶ個別収容部を備え、
前記イオン交換部は、
前記イオン交換部が前記収容部の内部に挿入され、または前記収容部の内部から取り出されるときに、前記複数の個別収容部の間で折り曲げられるように構成されている、貯留装置。
【請求項7】
請求項6に記載の貯留装置であって、
前記着脱部は、前記交換樹脂収容部を前記着脱部に取り付けるための複数のフック部を備え、
前記交換樹脂収容部は、前記フック部が通される孔である交換樹脂収容部孔を備え、
前記交換樹脂収容部に前記着脱部が取り付けられているときに、前記複数のフック部のうち、2つのフック部の組み合わせが、並んでいる前記個別収容部を挟んだ両側に配されている、貯留装置。
【請求項8】
請求項6に記載の貯留装置であって、
前記複数の個別収容部は、
陽イオン交換樹脂が収容され、陰イオン交換樹脂が収容されない陽イオン側収容部と、
前記陰イオン交換樹脂が収容され、前記陽イオン交換樹脂が収容されない陰イオン側収容部と、を備え、
前記陽イオン側収容部は、前記陽イオン交換樹脂を収容および取り出し可能であり、前記陰イオン側収容部は、前記陰イオン交換樹脂を収容および取り出し可能であるように構成されている、貯留装置。
【請求項9】
請求項4に記載の貯留装置であって、
前記タンクは、さらに前記収容部に前記熱交換液を流入するための流入口であって、前記収容部の内部と外部とを連通させる流入口を備え、
前記交換樹脂収容部は、外力を受けない状態において板状の外形を有しており、前記着脱部に対し取り付けられている状態において、前記流入口と向かい合うように配されている、貯留装置。
【請求項10】
請求項1に記載の貯留装置であって、
前記収容部は、前記収容部の内部を複数の室に区画する隔壁を備え、
前記隔壁は、鉛直方向の上端部から、下に向かって形成されるスリットであって、隣り合う前記室を連通させるスリットを備える、貯留装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の貯留装置であって、
前記連通部は、前記貯留装置の使用状態において鉛直方向の上側に開口しており、前記熱交換液を受け入れることができる、貯留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物と熱交換する熱交換液を貯留する貯留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両のエンジンや、電池パック等を冷却するための冷却水を循環させる冷却システムが設けられることがある。冷却システムは、冷却水を車両の各部に循環させる配管と、冷却水を貯留するタンクを備えている。冷却システムにおいて、経年劣化によって、エンジンや、電池パックや、配管等に含まれる金属イオンが、冷却水に溶出することがある。車両に対し、外部から衝撃が加わることにより、冷却システム等が破損した場合、配管から冷却水が漏れる可能性がある。その場合、漏れた冷却水が、エンジンや電池パック等の通電部分に付着するおそれがある。特許文献1において、イオン交換樹脂によるイオン交換を通じて、冷却液からイオンを取り除くイオン交換部がリザーブタンク内に設けられている冷却装置が開示されている。イオンが取り除かれている冷却水がエンジンや電池パック等の通電部分に付着した場合に、発火する可能性は低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却水中のイオンと、イオン交換樹脂との間で、イオン交換が繰り返されると、イオン交換樹脂が飽和し、イオン交換器がイオンを交換することができなくなる。そのため、イオン交換樹脂をリザーブタンク内から取り出し、交換または再生することが望まれる。特許文献1に記載された冷却装置においては、イオン交換部を交換するためには、ユーザが、リザーブタンクの、溶着された上部と下部を分離し、中のイオン交換部を取り出す必要があると推測される。この場合、ユーザの作業の負担が大きいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、貯留装置が提供される。この貯留装置は、対象物と熱交換する熱交換液を貯留する貯留装置であって、前記熱交換液を内部に収容する収容部と、前記収容部の内部と外部とを連通させる連通部と、前記連通部を塞ぐ蓋部と、を備えるタンクと、前記収容部の内部に着脱することが可能なように固定され、前記熱交換液中のイオンとイオン交換を行うイオン交換部と、を備え、前記イオン交換部は、前記蓋部が前記連通部を塞いでいないときに、前記連通部を介して、前記収容部の内部に挿入することが可能であって、かつ、前記収容部の内部から取り出すことが可能なように構成されている。
このような態様においては、ユーザは、連通部を介して、収容部の内部にイオン交換部を挿入し、また、取り出すことができる。イオン交換部が挿入かつ取り出し可能ではない態様と比較して、容易にイオン交換部を交換することができる。そのため、ユーザの負担を低減することができる。
(2)上記形態の貯留装置において、前記収容部は、前記連通部に向かって突出する凸部を備え、前記イオン交換部は、前記凸部が通される穴部を備えていてもよい。
このような態様においては、ユーザは、穴部に凸部を通すことで、イオン交換部を着脱することが可能なように、収容部の内部に固定することができる。
(3)上記形態の貯留装置において、前記イオン交換部は、前記収容部に固定されているときに、前記連通部に向かって伸びるタブを備えていてもよい。
このような態様においては、ユーザが、タブを手で、または治具を用いて把持することで、連通部を通したイオン交換部の挿入および取り出しが容易となる。
(4)上記形態の貯留装置において、前記イオン交換部は、イオン交換樹脂を収容する交換樹脂収容部であって、前記熱交換液が内部と外部とを流通することが可能である流通孔が形成されている交換樹脂収容部と、前記交換樹脂収容部に対し着脱することが可能な着脱部と、一方の端部が前記着脱部と連結する延出部であって、前記着脱部から遠ざかる方向に延びる延出部と、を備える樹脂固定部と、を備え、前記延出部には、前記穴部が形成されていてもよい。
このような態様においては、着脱部が、交換樹脂収容部から着脱することができるため、ユーザがイオン交換樹脂を交換または再生させた後に、交換樹脂収容部を着脱部に取り付ける際に、着脱部を再利用することができる。
(5)上記形態の貯留装置において、前記収容部は、さらに、前記凸部が突出する突出用部位を備え、前記蓋部は、前記凸部の中心を通る直線に沿って見たときに、前記凸部を包含する外形を有する蓋側突出部を備え、前記蓋側突出部は、前記蓋部が前記連通部を塞いでいるときに、前記凸部の鉛直方向の最も上側の部位よりも下側の位置において、前記延出部の一部と前記突出用部位の一部とを接触させてもよい。
このような態様においては、蓋部が連通部を塞いでいるときには、連通部を塞いでいる蓋部の蓋側突出部の一部であって、凸部を包含する蓋側突出部と、延出部の一部とが、互いに接触している。その結果、イオン交換部は、蓋部が連通部を塞いでいるときには、凸部から取り外されることがない。そして、蓋部が連通部から取り外されたときには、イオン交換部は、凸部からはずされることができる。
(6)上記形態の貯留装置において、前記着脱部は可撓性を有し、前記交換樹脂収容部は、それぞれイオン交換樹脂を収容する複数の個別収容部であって、前記イオン交換部が前記連通部に挿入される方向に垂直な方向に並ぶ個別収容部を備え、前記イオン交換部は、前記イオン交換部が前記収容部の内部に挿入され、または前記収容部の内部から取り出されるときに、前記複数の個別収容部の間で折り曲げられるように構成されていてもよい。
このような態様においては、イオン交換部が、個別収容部の間で折り曲がっていない状態においては連通部を通り抜けることができない大きさの態様においても、イオン交換部が折り曲がることで、連通部を通り抜けることができる。
(7)上記形態の貯留装置において、前記着脱部は、前記交換樹脂収容部を前記着脱部に取り付けるための複数のフック部を備え、前記交換樹脂収容部は、前記フック部が通される孔である交換樹脂収容部孔を備え、前記交換樹脂収容部に前記着脱部が取り付けられているときに、前記複数のフック部のうち、2つのフック部の組み合わせが、並んでいる前記個別収容部を挟んだ両側に配されていてもよい。
このような態様においては、フック部が交換樹脂収容部孔に通されることで、交換樹脂収容部が着脱部に固定される。また、2つのフック部が個別収容部を挟んだ両側に配されているため、個別収容部の間でフック部の影響を受けることなく折り曲げられることが可能である。
(8)上記形態の貯留装置において、前記複数の個別収容部は、陽イオン交換樹脂が収容され、陰イオン交換樹脂が収容されない陽イオン側収容部と、前記陰イオン交換樹脂が収容され、前記陽イオン交換樹脂が収容されない陰イオン側収容部と、を備え、前記陽イオン側収容部は、前記陽イオン交換樹脂を収容および取り出し可能であり、前記陰イオン側収容部は、前記陰イオン交換樹脂を収容および取り出し可能であるように構成されていてもよい。
このような態様においては、ユーザが、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹を、それぞれ別に取り外すことができる。陽イオン交換樹脂と、陰イオン交換樹脂とが、同じ個別収容部に収容されている態様と比較して、ユーザは容易に陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を再生、または新たな陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂と交換することができる。
(9)上記形態の貯留装置において、前記タンクは、さらに前記収容部に前記熱交換液を流入するための流入口であって、前記収容部の内部と外部とを連通させる流入口を備え、前記交換樹脂収容部は、外力を受けない状態において板状の外形を有しており、前記着脱部に対し取り付けられている状態において、前記流入口と向かい合うように配されていてもよい。
このような態様においては、例えば交換樹脂収容部が流入口と向かい合わない態様と比較して、流入口から流入した熱交換液が、交換樹脂収容部と効率よく接触する。貯留装置から流出した熱交換液が通る配管や部品が破損した際に漏れ出た熱交換液が通電部分に付着した場合に、発火する可能性をより低くすることができる。
(10)上記形態の貯留装置において、前記収容部は、前記収容部の内部を複数の室に区画する隔壁を備え、前記隔壁は、鉛直方向の上端部から、下に向かって形成されるスリットであって、隣り合う前記室を連通させるスリットを備えていてもよい。
このような態様においては、タンクが隔壁とスリットを備えない態様と比較して、熱交換液がタンク内を循環しやすくなる。これにより、熱交換液中の気泡が熱交換液中を上昇し、液面に到達して消滅しやすくなる。
(11)上記形態の貯留装置において、前記連通部は、前記貯留装置の使用状態において鉛直方向の上側に開口しており、前記熱交換液を受け入れることができてもよい。
このような態様においては、収容部への熱交換液の受け入れと、イオン交換部の出し入れが、収容部の内外を連通させる異なる構成において行われる態様と比較して、貯留装置の構造を簡略なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】イオン交換部が収容部に固定されている状態を説明する図。
【
図6】交換樹脂収容部が着脱部に取り付けられている状態を説明する図。
【
図9】第2実施形態の交換樹脂収容部孔を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.第1実施形態の構成:
図1は、本実施形態の貯留装置1を説明する図である。
図1において、貯留装置1の内部の構成を説明するために、貯留装置1を構成する部品をそれぞれ分離して表しているが、貯留装置1の使用状態において、貯留装置1を構成する部品はそれぞれ互いに溶着や固定等されている。
図1におけるY軸方向は、鉛直方向の上方向である。X軸とZ軸は、Y軸と垂直な軸である。
【0009】
貯留装置1は、対象物と熱交換する熱交換液を貯留する。本実施形態における対象物とは、電気自動車の電池パックや、電気自動車のインバーターや、電気自動車の制御用コンピュータや、電気自動車の車室の温度を制御するためのヒータ等の、電気自動車車の部品である。貯留装置1は、これらの部品と熱交換器との間で熱交換液を循環させることで、各部品の温度を適切な範囲に保つ。なお、
図1において、熱交換液の図示を省略している。後述する
図2においても同様である。貯留装置1は、循環する熱交換液の液量が、漏れや蒸発によって少なくなった場合に、流路に供給するための熱交換液を貯留する。また、貯留装置1は、熱交換液中のイオンとの間でイオン交換を行う。貯留装置1は、タンク10と、イオン交換部20と、を備える。
【0010】
A2.タンクの説明:
タンク10は、貯留装置1の外部から熱交換液を受け入れ、熱交換液を貯留する。タンク10は、貯留した熱交換液を、貯留装置1の外部へと流出させる。
図1に示すように、本実施形態において、タンク10は、略直方の形状を有している。タンク10は、ポリプロピレンで構成される。タンク10は、収容部11と、収容上部12と、蓋部13と、流入口14と、流出口15と、を備える。
図1に示すように、収容部11の、Y軸方向の上側に収容上部12と蓋部13が位置している状態が、貯留装置1の使用状態である。
【0011】
図2は、収容部11の内部を説明する図である。
図2は、
図1のイオン交換部20が収容部11の内部に固定された状態を表している。収容部11は、熱交換液を内部に収容する。本実施形態において、収容部11は、1つの面が開口した略直方の形状を有している。収容部11は、壁部110と、第1隔壁111と、第2隔壁112と、第3隔壁113と、第4隔壁114と、突出用部位115と、を備えている。第1隔壁111ないし第4隔壁114を区別しない場合は、「隔壁BW」という。
【0012】
壁部110は、収容部11の外殻を構成する。
図1および
図2に示すように、壁部110は、側面を構成する第1側壁110a、第2側壁110b、第3側壁110c、第4側壁110dと、底面を構成する底壁110eと、から構成される。隔壁BWは、収容部11の内部を第1室11aと、第2室11bと、第3室11cと、第4室11dと、の4つの室に区画する。第1隔壁111ないし第4隔壁114は、それぞれ4つの側壁110aないし110dのそれぞれの中央から、収容部11の中心CN1に向かって伸びている。第1隔壁111ないし第4隔壁114は、収容部11の中心CN1において互いに接続している。図示はしていないが、隔壁BWの鉛直方向の下側の端部は、底壁110eと接続している。第1隔壁111は第1スリット111aを、第2隔壁112は第2スリット112aを、第3隔壁113は第3スリット113aを、第4隔壁114は第4スリット114aを、備えている。第1スリットないし第4スリットを区別しない場合は、「スリットSL」という。
【0013】
図1に示すように、スリットSLは、隣り合う室を連通させる。スリットSLは、隔壁BWの鉛直方向の上端部から、鉛直方向の下端部に向かって形成されている。
図2に示すように、第1スリット111aの両側の、第1隔壁111の鉛直方向の最も上側の部分BWa、BWb同士が、所定の距離D1を開けて隣り合っている。第2スリット112aないし第4スリット114aについても同様である。収容部11に流入した熱交換液は、スリットSLを通って隣の室に流入する。熱交換液の流れに関しては後述する。
【0014】
図3は、
図2のIII―III断面図である。
図3は、収容上部12が収容部11と溶着され、蓋部13が後述する連通部121を塞いでいる状態における断面を表している。突出用部位115は、収容部11の底面を構成する底壁110eが鉛直方向の上に向かって凹んだ部位である。
図2に示すように、突出用部位115は、第1スリット111aとX軸方向において並ぶように形成されている。なお、
図2において、後述する延出部222の鉛直方向の下側に位置する突出用部位115を、点線で表している。突出用部位115は、第1隔壁111と接続している。本実施形態において、突出用部位115は、収容部11の内側から見たときに、略円柱の形状を有している。突出用部位115は、凸部115aを備えている。
【0015】
図4は、イオン交換部20が収容部11に固定されている状態を説明する図である。
図4は、
図3の破線枠内の拡大図である。
図4を用いて、凸部115aについて説明する。凸部115aは、イオン交換部20が収容部11に配されるときに、後述するイオン交換部20の穴部222aに通される部位である。凸部115aは、突出用部位115の、鉛直方向の上側の端部から、連通部121に向かって突出する。なお、
図4において連通部121の図示を省略している。凸部115aは、凸部狭小部115abを有している。
図2および
図4に示すように、凸部狭小部115abは、Y軸の上側から下側に向かって見たときに、凸部115aのX軸方向およびZ軸方向における寸法が小さくなる部分である。
【0016】
図3に示すように、収容上部12は、収容部11の開口を塞ぐ。貯留装置1が車両に配されている状態において、収容上部12は、収容部11と溶着されている。収容上部12は、収容部11と溶着されている状態において、収容部11との間に空間SPを有するように形成されている。後述する気泡が熱交換液の液面に達したときに、収容上部12と収容部11との間の空間SPに気泡が抜け出て消失する。収容上部12は、連通部121を備えている。
【0017】
図1に示す連通部121は、収容部11の内部と外部とを連通させる。連通部121は、イオン交換部20が収容部11に挿入され、または収容部11の内部から取り出される際に通る部位である。連通部121は鉛直方向の上側に開口している。これにより、ユーザによって熱交換液が交換される際に、連通部121が熱交換液を受け入れ、または取り出すことができる。本実施形態において、収容部11への熱交換液の受け入れと、イオン交換部20の出し入れが、収容部11の内外を連通させる異なる構成において行われる態様と比較して、貯留装置1の構造を簡略なものにできる。連通部121は、内面にネジ穴が形成されている。連通部121には、蓋部13が挿入される。
【0018】
図3に示すように、蓋部13は、連通部121を塞ぐ。蓋部13は、上蓋部131と、蓋側突出部132と、を備えている。なお、
図1において上蓋部131と蓋側突出部132とを分離して表している。上蓋部131は、蓋部13が連通部121から取り外される際に、ユーザによって把持される部位である。上蓋部131には、連通部121のネジ穴と螺合するためのネジが形成されている。
図4に示すように、蓋側突出部132は、蓋部13が連通部121を塞いでいるときに、凸部115aの鉛直方向の最も上側の部位115aaよりも鉛直方向の下側の位置において、延出部222の一部と突出用部位115の一部とを接触させる。
図1に示すように、蓋側突出部132は、凸部115aの中心CN2を通る直線に沿って見たときに、凸部115aを包含する外形を有している。
【0019】
図3および
図4に示すように、蓋部13が連通部121を塞いでいるときには、連通部121を塞いでいる蓋部13の蓋側突出部132の一部であって、凸部115aを包含する蓋側突出部132と、延出部222の一部とが、互いに接触している。その結果、イオン交換部20は、蓋部13が連通部121を塞いでいるときには、凸部115aからはずれることがない。そして、蓋部13が連通部121から取り外されたときには、イオン交換部20は、凸部115aから取り外されることができる。
【0020】
図2に示す流入口14は、収容部11に熱交換液を流入させる。流入口14は、収容部11の内部と外部とを連通させている。流入口14は、第1側壁110aに接続している。流出口15は、収容部11の内部の熱交換液を流出する。流出口15は、収容部11の内部と外部とを連通させている。流出口15は、第3側壁110cと接続している。
【0021】
A3.イオン交換部20の説明:
図5は、
図1に示すイオン交換部20の拡大図である。イオン交換部20は、熱交換液中のイオンとイオン交換を行う。イオン交換部20は、ユーザによって、タンク10の収容部11の内部に着脱することが可能なように固定される。イオン交換部20がどのようにして収容部11の内部に着脱することができるのかは、後述する。イオン交換部20は、ユーザによって、収容部11に、鉛直方向に沿って挿入され、また、収容部11から取り出される。イオン交換部20の挿入および取り出しの詳細については後述する。
図5に示すように、イオン交換部20は、交換樹脂収容部21と、樹脂固定部22と、を備える。
【0022】
交換樹脂収容部21は、イオン交換樹脂を収容する。交換樹脂収容部21は、外力を受けない状態において、板状の外形を有している。本実施形態において、交換樹脂収容部21の素材として、ポリプロピレンが使用されている。なお、交換樹脂収容部21の素材として、ポリエステルや、ナイロン等の他の素材が用いられてもよい。交換樹脂収容部21の素材として、多数の孔を形成することができる、軟質の樹脂が選択される。本明細書における軟質とは、人の手によって容易に変形することが可能な性質をいう。交換樹脂収容部21は、2つの個別収容部210と、4つの交換樹脂収容部孔220と、を備える。
【0023】
2つの個別収容部210は、それぞれイオン交換樹脂を収容する。図示はしていないが、個別収容部210には、熱交換液が内部と外部とを流通することが可能である複数の流通孔が形成されている。熱交換液が、流通孔を通って個別収容部210に流入し、熱交換液中のイオンが、イオン交換樹脂によって交換される。そして、イオン交換された熱交換液が、流通孔を通って、個別収容部210から出ていく。これにより、熱交換液中に溶出したイオンが、熱交換液中から除去される。
【0024】
図2に示すように、イオン交換部20が収容部11に配されている状態において、2つの個別収容部210は、Y軸に垂直な方向であるX軸方向に並んでいる。2つの個別収容部210は、2つの個別収容部210の間で、外力によって折り曲げられるように構成されている。上述したように交換樹脂収容部21は軟質であるため、2つの個別収容部210の間で折り曲げられることが可能である。2つの個別収容部210を区別するときは、一方の個別収容部210を「陽イオン側収容部211」とよび、他方の個別収容部210を「陰イオン側収容部212」とよぶ。
【0025】
図6は、交換樹脂収容部21が着脱部221に取り付けられている状態を説明する図である。
図7は、
図6のVII-VII断面図である。
図7に示す陽イオン側収容部211は、陽イオン交換樹脂CERを収容および取り出し可能である。陽イオン側収容部211には、陰イオン交換樹脂AERは収容されない。本実施形態において、陽イオン交換樹脂CERとして、強酸性陽イオン交換樹脂が使用される。陰イオン側収容部212は、陰イオン交換樹脂AERを収容および取り出し可能である。陰イオン側収容部212には、陽イオン交換樹脂CERは収容されない。本実施形態において、陰イオン交換樹脂AERとして、強塩基性陰イオン交換樹脂が使用される。
【0026】
陽イオン交換樹脂CERと陰イオン交換樹脂AERは、ユーザによってそれぞれ別に取り外すされることができる。具体的には、個別収容部210がユーザによって裂かれることにより、個別収容部210の内部のイオン交換樹脂が取り出される。例えば陽イオン交換樹脂CERと、陰イオン交換樹脂AERとが、同じ個別収容部210に収容されている態様と比較して、ユーザは容易に陽イオン交換樹脂CERと陰イオン交換樹を再生、または新たな陽イオン交換樹脂CERと陰イオン交換樹脂AERと交換することができる。個別収容部210への収容は、図示しない個別収容部210の入口から、ユーザによって、個別収容部210にイオン交換樹脂が収容される。その後、ユーザによって、接着剤を用いて入口が塞がれる。
【0027】
イオン交換樹脂は、予め定められた走行距離を車両が走行する期間を経過したときに、交換される。期間は、10年や15年等、メーカーによって定められる。イオン交換部20には、期間の間、イオン交換の機能が確保できる量のイオン交換樹脂が収容される。
【0028】
図6に示す交換樹脂収容部孔220は、後述するフック部HPが通される孔である。交換樹脂収容部孔220は、交換樹脂収容部21の、個別収容部210が形成されていない部分に形成されている。具体的には、交換樹脂収容部孔220は、交換樹脂収容部21の短辺の周辺に、それぞれ2つずつ形成されている。2つの交換樹脂収容部孔220の組み合わせが、並んでいる2つの個別収容部210を挟んだ両側に配されている。交換樹脂収容部孔220の2つの組み合わせのうち、一方の組み合わせ220C1が、交換樹脂収容部21の2つの短辺のうち、一方の短辺に近い側に配されている。交換樹脂収容部21の他の組み合わせ220C2が、一方の短辺に対し、他方の短辺に近い側に配されている。
【0029】
図4に示すように、樹脂固定部22は、イオン交換部20を収容部11に固定する。また、
図6に示すように、樹脂固定部22は、交換樹脂収容部21を固定する。樹脂固定部22は、可撓性を有し、外力によって変形可能なように構成されている。樹脂固定部は可撓性を有するため、2つの個別収容部210の間が折り曲げられるときに、個別収容部210の間を通る直線L1において折り曲げられることが可能である。なお、
図6において直線L1を点線で表している。樹脂固定部22の素材として、ポリプロピレンが使用されている。樹脂固定部22の厚さは1mmである。
図5に示すように、樹脂固定部22は、着脱部221と、延出部222と、タブ223と、を備える。
【0030】
着脱部221は、交換樹脂収容部21を固定する。着脱部221は、第1着脱部221aと、第2着脱部221bと、第3着脱部221cと、を備える。第1着脱部221aと第2着脱部221bは、それぞれ交換樹脂収容部21の2つの長辺に沿う板状の部材である。第3着脱部221cは、交換樹脂収容部21の1つの短辺に沿う、板状の部材である。第1着脱部221aと第3着脱部221cが接続し、第3着脱部221cと第2着脱部221bが接続している。着脱部221は、4つのフック部HPを備える。
【0031】
図8は、
図6のVIII-VIII断面図である。なお、
図8において交換樹脂収容部21の一部の図示を省略している。
図6に示すように、フック部HPは、交換樹脂収容部21を着脱部221に取り付ける。
図8に示すように、フック部HPは、着脱部221の一方の面から突出し、先端が屈曲した形状を有する。
図5に示すように、2つのフック部HPが、第3着脱部221cに形成されている。残り2つのフック部HPが、第1着脱部221aと第2着脱部221bの、第3着脱部221cと接続する端部とは逆側の端部に、それぞれ形成されている。
図6に示すように、フック部HPは、交換樹脂収容部21が着脱部221に取付けられているときに、2つのフック部HPの組み合わせが、並んでいる個別収容部210を挟んだ両側に配されるように形成されている。
【0032】
交換樹脂収容部21がユーザによって着脱部221に取り付けられるときに、交換樹脂収容部孔220に、フック部HPが通されることで、交換樹脂収容部21が着脱部221に固定される。また、フック部HPが交換樹脂収容部孔220から外されることで、交換樹脂主要部が着脱部221から取り外される。このように、フック部HPによって、着脱部221が、交換樹脂収容部21に対し着脱することが可能である。着脱部221が、交換樹脂収容部21から着脱することができるため、ユーザがイオン交換樹脂を交換または再生させた後に、交換樹脂収容部21を着脱部221に取り付ける際に、着脱部221を再利用することができる。
【0033】
図5に示す延出部222は、イオン交換部20が収容部11に固定される際に用いられる部分である。延出部222は、一方の端部が第3着脱部221cと連結している。延出部222は、第1着脱部221aおよび第2着脱部221bから遠ざかる方向に延び、延出部222の中間で湾曲して、第3着脱部221cから遠ざかる方向に延びる形状を有している。第3着脱部221cから遠ざかる方向に延びている部分を、凸部固定部222Aとよぶ。凸部固定部222Aには、穴部222aが形成されている。穴部222aは、イオン交換部20が収容部11に固定されるときに、凸部115aが通される部分である。
【0034】
タブ223は、ユーザがイオン交換部20を収容部11から出し入れする際に、把持することができる部位である。タブ223は、延出部222の、第3着脱部221cと連結していない端部と連結している。
図3に示すように、タブ223は、イオン交換部20が収容部11に固定されているときに、連通部121に向かって伸びている。
【0035】
A4.熱交換液の流れの説明:
図2に示すように、流入口14を通った熱交換液は、まず第1室11aに流入する(
図2の矢印A参照)。次に、第1室11aに流入した熱交換液は、一部がイオン交換部20の交換樹脂収容部21に到達する。上述したように交換樹脂収容部21には交換樹脂収容部孔220が形成されているため、熱交換液は交換樹脂収容部孔220から交換樹脂収容部21の内部に流入し、イオン交換樹脂とイオンの交換を行う。
【0036】
交換樹脂収容部21が着脱部221に取り付けられ、イオン交換部20が収容部11に固定されている状態において、
図2に示すように、交換樹脂収容部21が流入口14と向かい合うように配されている。例えば交換樹脂収容部21が流入口14と向かい合わない態様と比較して、流入口14から流入した熱交換液が、交換樹脂収容部21と効率よく接触する。貯留装置1から流出した熱交換液が通る配管や部品が破損した際に漏れ出た熱交換液が通電部分に付着した場合に、発火する可能性をより低くすることができる。
【0037】
そして、再び交換樹脂収容部孔220から、交換樹脂収容部21の外部に流出する。第1室11aに流入した熱交換液は、第1スリット111aまたは第2スリット112aを通過する。第2スリット112aを通過した熱交換液は第2室11bに流入する。第1スリット111aを通過した熱交換液は、第3室11cに流入する。第2室11bに流入した熱交換液は、第4スリット114aを通って、第4室11dに流入する。第3室11cに流入した熱交換液は、第3スリット113aを通って第4室11dに流入する。そして、流出口15から、熱交換液が流出する。
【0038】
本実施形態においては、隔壁BWとスリットSLを備えない態様と比較して、熱交換液がタンク10内を循環しやすくなる。これにより、熱交換液中の気泡が熱交換液中を上昇し、液面に到達して消滅しやすくなる。
【0039】
A5.イオン交換部20の、収容部11に対する挿入および取り出しの説明:
イオン交換部20の挿入について説明する。蓋部13が連通部121を塞いでいないときに、連通部121を介して、ユーザによってイオン交換部20の内部にイオン交換部20が挿入される。
図2に示すように、交換樹脂収容部21と、樹脂固定部22の着脱部221のX軸方向における寸法D2は、連通部121のX軸方向の寸法D3よりも大きい。ここで、上述したように、交換樹脂収容部21と樹脂固定部22は外力によって変形することが可能なように構成されている。そのため、ユーザが連通部121にイオン交換部20を挿入する際に、交換樹脂収容部21と樹脂固定部22が変形することで、イオン交換部20が連通部121を通過することができる。なお、交換樹脂収容部21と樹脂固定部22は、連通部121を通過後に、折り曲げられる前の状態に戻る。
【0040】
本実施形態においては、上述したように交換樹脂収容部21と、樹脂固定部22が、個別収容部210の間で外力によって折り曲げられることが可能である。ユーザによってイオン交換部20が収容部11の内部に挿入される際に、2つの個別収容部210の間で折り曲げられながら、イオン交換部20が連通部121を通される。イオン交換部20が、個別収容部210の間で折り曲がっていない状態においては連通部121を通り抜けることができない大きさの態様においても、イオン交換部20が折り曲がることで、連通部121を通り抜けることができる。また、2つのフック部HPが個別収容部210を挟んだ両側に配されているため、個別収容部210の間でフック部HPの影響を受けることなく折り曲げられることが可能である。
【0041】
この際に、ユーザは、イオン交換部20のタブ223を把持することで、タブ223がない態様と比較して、連通部121を通したイオン交換部20の挿入を容易に行うことができる。なお、ユーザは治具を用いてタブ223を把持することも可能である。次に、ユーザによって、凸部115aが穴部222aに通され、ユーザによって連通部121に蓋部13が配される。
図4に示すように、凸部狭小部115abが穴部222aに通されることで、Y軸方向におけるイオン交換部20の移動が制限される。これにより、蓋側突出部132によってイオン交換部20が収容部11に固定される前に、凸部115aから穴部222aが抜けることを防止することができる。このようにして、イオン交換部20が収容部11に収容される。
【0042】
イオン交換部20の取り出しについて説明する。まず、蓋部13がユーザによって連通部121から取り外される。ユーザが、タブ223を把持してイオン交換部20を収容部11から取り出す。この際に、収容部11の内部への挿入と同様に、2つの個別収容部210の間が折り曲げられながら、イオン交換部20が連通部121を通される。このように、イオン交換部20は、収容部11の内部に挿入および、収容部11の内部から取り出すことが可能である。その後のイオン交換樹脂の交換については、上述している。
【0043】
本実施形態において、ユーザは、連通部121を介して、収容部11の内部にイオン交換部20を挿入し、また、取り出すことができる。イオン交換部20が挿入かつ取り出し可能ではない態様と比較して、容易にイオン交換部20を交換することができる。そのため、ユーザの負担を低減することができる。
【0044】
また、ユーザは、穴部222aに凸部115aを通すことで、イオン交換部20を着脱することが可能なように、収容部11の内部に固定することができる。さらに、イオン交換部20を収容部11に固定する際に、連通部121側に突出する凸部115aを目標にイオン交換部20を収容部11内に挿入することで、容易にイオン交換部20を装着することができる。
【0045】
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態の交換樹脂収容部孔220Bを説明する図である。
図10は、第2実施形態の穴部222aBを説明する図である。第2実施形態は、交換樹脂収容部孔220Bと、延出部222Bの形状が第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、詳細を省略する。
【0046】
図9に示すように、第2実施形態の交換樹脂収容部孔220Bは、幅広孔部220Baと、狭小孔部220Bbと、を備える。幅広孔部220Baは、着脱部221のフック部HPが取り付けられる部位である。幅広孔部220Baは、略正方の形状を有する。狭小孔部220Bbは、フック部HPが幅広孔部220Baから取り出されやすくする機能を有する。狭小孔部220Bbは、略直方の形状を有する。狭小孔部220Bbは、幅広孔部220Baと接続している。
【0047】
幅広孔部220Baの長さの寸法D4は、
図6に示す第1実施形態の交換樹脂収容部孔220の長さの寸法D5よりも小さい。そのため、フック部HPが外れる可能性を低減することができる。交換樹脂収容部孔220の長さの寸法とは、交換樹脂収容部21の短辺の中点同士を結ぶ直線上における寸法をいう。また、上述したように、交換樹脂収容部21は軟質を有するため、ユーザがフック部HPを幅広孔部220Baから取り出す際に、狭小孔部220Bbを広げてフック部HPを狭小孔部220Bbまで移動させることで、容易にフック部HPを取り出すことができる。
【0048】
図10に示すように、第2実施形態の延出部222Bは、穴部222aBの形状が第1実施形態と異なる。第2実施形態の穴部222aBは、略円の形状を有している。穴部222aBは、ユーザによって穴部222aBに凸部115aが通される際には、凸部115aが通ることができ、かつ凸部115aが容易に穴部222aを抜けることができない外周の形状を有している。第2実施形態の延出部222Bは、穴スリット部222bを備える。穴スリット部222bは、穴部222aBから遠ざかる方向に形成されている。上述したように、樹脂固定部22は外力によって変形することが可能であるため、穴部222aBと穴スリット部222bが変形することが可能である。ユーザが凸部115aを穴部222aBから外そうとするときに、穴スリット部222bを広げて通すことで、容易に凸部115aを穴部222aBから取り外すことができる。
【0049】
C.他の実施形態:
(C1)他の実施形態1:
(1)上記実施形態において、対象物は、電気自動車の部品である。なお、対象物は、例えば燃料電池車両や、飛行機や船舶等の部品であってもよい。
【0050】
(2)上記実施形態において、タンク10は、ポリプロピレンで構成される。なお、タンクはプピエチレンやナイロンやポリエステル等、ポリプロピレン以外の素材で構成されていてもよい。また、タンクは、略直方の形状を有している。タンクは、略円柱であってもよく、略直方以外の形状であってよい。
【0051】
(3)上記実施形態において、収容上部12と収容部11は溶着によって構成されている。なお、収容部と収容上部とを構成する部分が、タンクの成型時に一体となるように成型されてもよい。
【0052】
(C2)他の実施形態2:
(1)上記実施形態において、収容部11は、凸部115aを備え、イオン交換部20は、穴部222aを備えていた。例えば収容部が穴部を備え、イオン交換部が凸部を備えていてもよい。収容部とイオン交換部のどちらか一方がフックを備え、他方が、フックが通される孔を備えていてもよい。
【0053】
(C3)他の実施形態3:
(1)上記実施形態において、イオン交換部20はタブ223を備えていた。なお、例えばユーザが延出部を把持してイオン交換部を収容部に挿入し、または取り出しする態様において、タブを備えていなくてもよい。
【0054】
(2)上記実施形態において、タブ223は、延出部222の、第3着脱部221cと連結していない端部と連結している。なお、例えばタブは、交換樹脂収容部と接続していてもよい。
【0055】
(C4)他の実施形態4:
(1)上記実施形態において、イオン交換部20は交換樹脂収容部21と樹脂固定部22とを備えており、着脱部221は交換樹脂収容部21に対し着脱することが可能である。なお、例えば樹脂固定部と、イオン交換樹脂を収容する袋とが接着されている態様において、収容する袋と樹脂固定部とが分離されなくてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態において、延出部222には、穴部222aが形成されている。なお、例えば穴部は交換樹脂収容部に形成されていてもよい。
【0057】
(3)上記実施形態において、樹脂固定部22の素材として、ポリプロピレンが使用されており、樹脂固定部22の厚さは1mmである。なお、樹脂固定部は、プピエチレンやナイロンやポリエステル等、ポリプロピレン以外の素材で構成されていてもよい。また、樹脂固定部の厚さは、0.5mmや2mmなど、1mm以外であってもよい。
【0058】
(C5)他の実施形態5:
(1)上記実施形態において、収容部11は突出用部位115を備えいていた。なお、例えば側壁に凸部が形成されている態様において、収容部は突出用部位を備えていなくてもよい。
【0059】
(2)上記実施形態において、蓋部13が連通部121を塞いでいるときに、蓋側突出部132が、延出部222の一部と突出用部位115の一部とを接触させる。これにより、穴部から凸部が抜けることを防止することができる。なお、例えばイオン交換部と収容部とが、フックと孔によって固定されている態様において、蓋側突出部を備えていなくてもよい。
【0060】
(3)蓋側突出部は、凸部の一部であって、穴部を通って収容部に対して突出用部位とは逆の側に位置する一部と接触していてもよい。蓋部が連通部を塞いでいるときに、凸部と接触するように、蓋部に形成されていてもよい。蓋部が連通部を塞いでいるときには、連通部を塞いでいる蓋部の蓋側突出部と、連通部に向かって突出する凸部とが、互いに接触している。その結果、穴部を凸部によって通過されているイオン交換部は、蓋部が連通部を塞いでいるときには、凸部からはずれることがない。そして、蓋部が連通部からはずされたときには、イオン交換部は、凸部からはずされることができる。
【0061】
(C6)他の実施形態6:
(1)上記実施形態において、着脱部221は可撓性を有していた。なお、例えば連通孔がイオン交換部の大きさに対して、イオン交換部を変形させなくてもイオン交換部が通過することができる態様において、着脱部が可撓性を有していなくてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態において、交換樹脂収容部21は、2つの個別収容部210を備えていた。なお、例えばイオン交換部の交換の際に、イオン交換樹脂を取り換える場合、交換樹脂収容部は1つの個別収容部を備えていてもよい。
【0063】
(3)上記実施形態において、交換樹脂収容部21は、板状の外形を有している。なお、例えば交換樹脂収容部は、球形状を有していてもよい。板状の外形に限られない。
【0064】
(4)上記実施形態において、第1着脱部221aと第2着脱部221bは、それぞれ交換樹脂収容部21の2つの長辺に沿う板状の部材である。第3着脱部221cは、交換樹脂収容部21の1つの短辺に沿う、板状の部材である。なお、例えば交換樹脂収容部が球形状を有している態様において、着脱部が、交換樹脂収容部の外周に沿う形状を有していても良い。
【0065】
(5)上記実施形態において、延出部222は、第1着脱部221aおよび第2着脱部221bから遠ざかる方向に延び、延出部222の中間で湾曲して、第3着脱部221cから遠ざかる方向に延びる形状を有している。なお、例えば延出部は、湾曲せずに、第3着脱部と接続する端部から、第3着脱部と遠ざかる方向に延びる形状を有していても良い。
【0066】
(6)上記実施形態において、個別収容部210がユーザによって裂かれることにより、個別収容部210の内部のイオン交換樹脂が取り出される。なお、例えば個別収容部の入口を、入口を塞ぐ部品が塞いでいる態様において、ユーザが部品を取ることによりイオン交換樹脂が取り出されてもよい。
【0067】
(7)上記実施形態において、ユーザによって、接着剤を用いて個別収容部210の入口が塞がれる。なお、例えば入口がユーザによって縫われることで、個別収容部の入口が塞がれてもよい。
【0068】
(C7)他の実施形態7:
(1)上記実施形態において、着脱部221は4つのフック部HPを備えていた。なお、例えば着脱部は2つや5つのフック部を備えていてもよい。また、交換樹脂収容部は、4つの交換樹脂収容部孔を備えていた。なお、例えば交換樹脂収容部は、2つや5つの交換樹脂収容部孔を備えていてもよい。
【0069】
(2)上記実施形態において、2つのフック部HPの組み合わせが、並んでいる個別収容部210を挟んだ両側に配されている。なお、フック部は、並んでいる個別収容部を挟んだ両側に配されなくてもよい。例えば交換樹脂収容部孔が並んでいる個別収容部の間に配され、フック部も、並んでいる個別収容部の間に配されていてもよい。
【0070】
(C8)他の実施形態8:
(1)上記実施形態において、2つの個別収容部210を備えていた。なお、例えば3つや4つの個別収容部を備えていてもよい。
【0071】
(C9)他の実施形態9:
(1)上記実施形態において、交換樹脂収容部21は、流入口14と向かい合うように配されている。なお、交換樹脂収容部は、流入口と向かい合うように配されていなくてもよい。
【0072】
(C10)他の実施形態10:
(1)上記実施形態において、収容部11は、隔壁BWを備えていた。なお、収容部は隔壁を備えていなくてもよい。収容部が隔壁を備え、隔壁がスリットではなく、熱交換液が通り抜ける孔を形成していてもよい。また、収容部11は、4つの隔壁BWを備えていた。隔壁は2つや5つであってもよく、4つに限定されない。
【0073】
(C11)他の実施形態11:
(1)上記実施形態において、連通部121は、貯留装置1の使用状態において鉛直方向の上側に開口しており、熱交換液を受け入れることができる。なお、例えば熱交換液を受け入れる入口が貯留装置の他の部分に形成されている態様において、連通部が貯留装置の使用状態において鉛直方向の上側に開口していなくてもよい。例えば、貯留装置の使用状態において鉛直方向と垂直な方向に開口していてもよい。
【0074】
(2)熱交換液を受け入れる入口が貯留装置の他の部分に形成されている態様において、収容上部に熱交換液を受け入れる入口が形成され、連通部が収容部の側壁に形成されていてもよい。
【0075】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…貯留装置、10…タンク、11…収容部、11a…第1室、11b…第2室、11c…第3室、11d…第4室、12…収容上部、13…蓋部、14…流入口、15…流出口、20…イオン交換部、21…交換樹脂収容部、22…樹脂固定部、110…壁部、110a…第1側壁、110b…第2側壁、110c…第3側壁、110d…第4側壁、110e…底壁、111…第1隔壁、111a…第1スリット、112…第2隔壁、112a…第2スリット、113…第3隔壁、113a…第3スリット、114…第4隔壁、114a…第4スリット、115…突出用部位、115a…凸部、115aa…凸部の部位、115ab…凸部狭小部、121…連通部、131…上蓋部、132…蓋側突出部、210…個別収容部、211…陽イオン側収容部、212…陰イオン側収容部、220、220B…交換樹脂収容部孔、220Ba…幅広孔部、220Bb…狭小孔部、221…着脱部、221a…第1着脱部、221b…第2着脱部、221c…第3着脱部、222、222B…延出部、222A…凸部固定部、222a、222aB…穴部、222b…穴スリット部、223…タブ、AER…陰イオン交換樹脂、CER…陽イオン交換樹脂、BW…隔壁、BWa、BWb…第1隔壁の部分、HP…フック部、SL…スリット、SP…空間