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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068975
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】簡易式ガイド装置及び車両検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G01M17/007 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179695
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000117467
【氏名又は名称】安全自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浮津 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】早野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 忠司
(72)【発明者】
【氏名】平井 恭兵
(57)【要約】
【課題】検査実施中の車両のふらつきを抑制する効果を高め、かつ取付け及び取外しが容易で、使い勝手が良い着脱式のガイド装置を実現する。
【解決手段】本開示に係る簡易式ガイド装置の一態様は、床面に沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラと、一対の計測用ローラの間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタと、を備えた車両検査装置に用いられる簡易式ガイド装置であって、基部と、基部の下面側に設けられ、リフタの上面に開口する孔に嵌合可能な少なくとも1つの突部と、基部の上面側に固着された軸部に回動可能に支持されたガイドローラと、を備え、突部が孔に嵌合して基部がリフタの上面に配置されたとき、ガイドローラが一対の計測用ローラに支持された車輪の外周側側面に対向して配置されるように構成される。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラと、該一対の計測用ローラの間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタと、を備えた車両検査装置に用いられる簡易式ガイド装置であって、
基部と、
前記基部の下面側に設けられ、前記リフタの上面に開口する孔に嵌合可能な少なくとも1つの突部と、
前記基部の上面側に固着された軸部に回動可能に支持されたガイドローラと、
を備え、
前記突部が前記孔に嵌合して前記基部が前記リフタの上面に配置されたとき、前記ガイドローラが前記一対の計測用ローラに支持された車輪の外周側側面に対向して配置されるように構成された簡易式ガイド装置。
【請求項2】
前記基部は、
下面に前記突部が接続された第1板部と、
前記第1板部に対して傾斜して延在する第2板部であって、上面に前記軸部が固着された第2板部と、を有する
請求項1に記載の簡易式ガイド装置。
【請求項3】
前記基部は、
前記第1板部を有する第1基板と、
前記第2板部、及び下面が前記第1板部の上面に結合された第3板部を有する第2基板と、を含む
請求項2に記載の簡易式ガイド装置。
【請求項4】
前記基部は、前記第1板部、前記第2板部、及び前記第1板部と前記第2板部とを接続する第4板部、を有する第3基板を含む
請求項2に記載の簡易式ガイド装置。
【請求項5】
前記ガイドローラの外周面は、前記基部に近い側が大径となる円錐形状を有する請求項1に記載の簡易式ガイド装置。
【請求項6】
前記突部の外周面のうち前記車輪に対向する側と反対側の外周面に形成された第1凹凸部と、前記リフタ側に前記第1凹凸部と対向して配置され、前記第1凹凸部に嵌合可能な第2凹凸部が設けられている
請求項1に記載の簡易式ガイド装置。
【請求項7】
床面に沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラと、
該一対の計測用ローラの間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタと、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の簡易式ガイド装置と、
を備える車両検査装置。
【請求項8】
前記一対の計測用ローラ及び前記リフタが収納され、前記床面に形成されたピットに設置された箱形の枠体をさらに備え、
前記枠体の上縁部であって、前記一対の計測用ローラの軸線方向と交差する方向に延在する上縁部のうち、前記一対の計測用ローラの間に位置する上縁部の内縁を含む内縁側部位に切欠部が形成され、該切欠部に前記簡易式ガイド装置を収納可能な収納部を形成すると共に、
前記簡易式ガイド装置が前記切欠部に収納されたとき、前記ガイドローラが前記一対の計測用ローラに乗り上げた車輪の外周側側面に対向して配置されるように構成された請求項7に記載の車両検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の検査時に用いられる簡易式ガイド装置及び該簡易式ガイド装置を備える車両検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の整備工場などでは、車検などの際に、床面に沿って設けられた計測用ローラを用い、該計測用ローラに車輪を載せて車両の検査を行っている。例えば、車両のブレーキ制動力及び速度メータを検査する場合、床面に形成されたピットに、車両のブレーキ制動力を計測するためのブレーキローラと、速度を計測するためのスピードローラとが互いに並列に配置され、車輪をこれら2本の計測用ローラに乗せた状態で計測が行われる。ブレーキ制動力を計測する場合は、車両のシフトレバーをN(ニュートラル)レンジにし、2本の計測用ローラをモータなどで回転させ、ブレーキを踏むことでその時発生する制動力を検出している。
【0003】
速度メータを検査する場合は、1つの方法として、車両のシフトレバーをD(ドライブ)レンジにした状態で車両を自走させ、例えば40km/hの時における検査機器の指示値と車両に設けられた速度メータの値とを比べ、車両に設けられた速度メータの誤差を確認している。別な方法としては、電気モータで2本の計測用ローラを回転させて車輪を回転させ、検査機器の指示値と車両に設けられた速度メータの値とを比べるようにしている。
【0004】
上記検査では、特に、前輪駆動車(FF車)や4輪駆動車(4WD車)の前輪を検査する場合、ステアリング操作を誤ると車両が左右にふらつき、計測用ローラから脱輪するおそれがある。そのため、車両の幅方向において計測用ローラの外側に固定式のガイドローラを設け、計測用ローラからの脱輪を防ぐようにしている。しかし、車両によってトレッド幅や計測用ローラへの乗り込み位置が異なるため、車輪とガイドローラとの間が離れてしまう場合があり、その場合、車両の左右へのふらつきを抑止できない場合がある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の検査装置は、支持板に2個のガイドローラが取り付けられた脱輪防止装置を用い、該支持板を計測用ローラの上方で計測用ローラの軸線方向と直交する方向に掛け渡すことで、2個のガイドローラが車輪の近くに配置できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-014480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の脱輪防止装置は、ガイドローラが取り付けられた支持板の両端部を計測用ローラが収納された枠体に取り付けるようにしているが、枠体への取付け及び検査後の取外しに時間がかかる。また、支持板は2個の計測用ローラを跨いで掛け渡すために必要な長さ及び重量を有し、そのため、持ち運びが簡単ではなく、使い勝手が良いとは言えない。また、不使用時に収納場所を確保する必要があるという課題がある。
【0008】
本開示は、上述する事情に鑑みてなされたもので、検査実施中の車両のふらつきを抑制する効果を高めることができ、かつ取付け及び取外しが容易で、使い勝手が良い着脱式のガイド装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示に係る簡易式ガイド装置の一態様は、床面に沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラと、該一対の計測用ローラの間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタと、を備えた車両検査装置に用いられる簡易式ガイド装置であって、基部と、前記基部の下面側に設けられ、前記リフタの上面に開口する孔に嵌合可能な少なくとも1つの突部と、前記基部の上面側に固着された軸部に回動可能に支持されたガイドローラと、を備え、前記突部が前記孔に嵌合して前記基部が前記リフタの上面に配置されたとき、前記ガイドローラが前記一対の計測用ローラに支持された車輪の外周側側面に対向して配置されるように構成される。
【0010】
また、本開示に係る車両検査装置の一態様は、床面に沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラと、該一対の計測用ローラの間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタと、上述の簡易式ガイド装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る簡易式ガイド装置及び車両検査装置の一態様によれば、簡易式ガイド装置をリフタ上面に固定することで車輪の近くに配置できるため、検査中、計測用ローラに支持された車両に左右へのふらつきが発生しても、ガイドローラによってふらつきが拡大するのを未然に抑止できる。また、簡易式ガイド装置は、リフタ上面への取付け及び取外しが簡単にでき、かつ軽量化及び小型化できるため、持ち運びを含め使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る車両検査装置の平面図である。
図2図1中のA-A線に沿う模式的断面図である。
図3】一実施形態に係る簡易式ガイド装置の正面図である。
図4】別な実施形態に係る簡易式ガイド装置の正面図である。
図5】車輪とガイドローラとが接触したときの位置関係を示す説明図である。
図6】さらに別な実施形態に係る簡易式ガイド装置の正面図である。
図7図6中のB方向から視認した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0014】
図1は、一実施形態に係る車両検査装置10の平面図であり、図2は、図1中のA-A線に沿う模式的断面図である。
図1及び図2に示されるように、車両検査装置10は、車両の整備工場などの床面Fに形成されたピットPに、床面Fに沿って互いに並列に、即ち、軸線方向がほぼ同じ方向に向くように配置された一対の計測用ローラ14及び16を備えている。計測用ローラ14及び16は、これらの軸線が床面Fに沿うように間隔を置いて配置され、これらロールの間に上下に平行移動可能なリフタ18が設けられている。
図2に例示されている実施形態では、計測用ローラ14及び16の外周面の上端が床面Fの高さとほぼ同じレベルに配置されている。
【0015】
図2に示されるように、リフタ18は、床面Fにほぼ平行な上面20を有し、上面20がこの姿勢のままリフタ18は駆動部(不図示)によって上下に摺動可能に構成されている。リフタ上面20には少なくとも1個、通常は複数の孔22が開口している。簡易式ガイド装置40は、検査時にリフタ18の上面20に配置される。
【0016】
車両の検査に際し、まず、リフタ18は上昇位置に配置され、車両が車両検査装置10に向かって進入し、車輪100がリフタ18に乗り上げる。その後リフタ18が下降し、車輪100は一対の計測用ローラ14及び16に載置される。この状態で、車輪100を自走させ又は計測用ローラ14及び16を回転させることにより検査を行う。
【0017】
図3及び図4は、幾つかの実施形態に係る簡易式ガイド装置40A及び40Bを示す正面図である。
図3及び図4において、簡易式ガイド装置40は基部42を有し、基部42の下面側に孔22に嵌合可能な少なくとも1つの突部46が設けられている。また、基部42の上面側に軸部48が固着され、ガイドローラ44が軸部48に回動可能に支持されている。
図3及び図4に例示される実施形態では、ガイドローラ44の中心軸線上に軸孔44bが形成され、軸部48に軸孔44bが遊嵌されることで、ガイドローラ44は軸部48に対して回動可能に支持される。
【0018】
検査実施時に、簡易式ガイド装置40は、突部46が孔22に嵌合されて基部42がリフタ18の上面20に固定される。基部42がリフタ18の上面20に固定された状態で、ガイドローラ44が一対の計測用ローラ14及び16に支持された車輪100の外周側側面に対向して配置されるように構成されている。
【0019】
本実施形態によれば、計測用ローラ14及び16に支持された車輪100を回転させて検査を行う間に、計測用ローラ14及び16の軸線方向(以下「ローラ軸線方向」とも言う。)に車両のふらつきが発生しても、簡易式ガイド装置40がリフタ上面20に固定され、ローラ軸線方向において車輪100に接近して配置されているため、ローラ軸線方向の車両の一定以上のふらつきをガイドローラ44によって抑止できる。これによって、車両のふらつきが拡大するのを未然に抑止できる。
【0020】
また、簡易式ガイド装置40のリフタ上面20への着脱は、突部46を孔22へ挿入し、検査後孔22から取り出すことによって容易に行うことができる。また、簡易式ガイド装置40は、基本的に基部42及びガイドローラ44のみで構成されているため、軽量化及び小型化が可能であり、そのため、持ち運びを含め使い勝手が良い。さらに、リフタ上面20の適宜位置に複数の孔22を分散して形成することで、検査対象となる車両のトレッド幅及びローラ軸線方向における車輪100の乗り上げ位置に応じて、簡易式ガイド装置40のローラ軸線方向の設置位置を変えることができる。これによって、車両の機種が変わっても、簡易式ガイド装置40を計測用ローラ14及び16上に配置された車輪100の近くに配置できるため、ローラ軸線方向で車両のふらつきが発生しても、ガイドローラ44がふらつきの拡大を抑止できる。
【0021】
図1に例示されている車両検査装置10は、車両のブレーキ制動力及び速度メータをテストするための検査装置である。床面Fに形成されたピットPに箱形の枠体12が埋設され、枠体12の上縁部12aは床面Fとほぼ同じ高さとなっている。この車両検査装置10は検査部10a及び10bを備え、例えば、4輪車を検査する場合に、4輪車の前輪又は後輪の左右の車輪100a及び100bが夫々検査部10a及び10bで検査される。図中、矢印aは車両の進入方向を示している。車両は、矢印a方向に進入し、左側の車輪100aが検査部10aに進入して停車し、右側の車輪100bが検査部10bに進入して停車する。
【0022】
ローラ14(14a、14b)は速度メータを計測するためのローラであり、ローラ16(16a、16b)はブレーキ制動力を計測するためのローラである。スピードローラ14はブレーキローラ16より車両の進入方向下流側に配置されている。ブレーキ制動力を計測する場合は、車両のシフトレバーをN(ニュートラル)レンジにし、スピードローラ14及びブレーキローラ16をモータなどで回転させて車両のブレーキを踏み、その時ブレーキローラ16に発生する制動力を検出している。
【0023】
速度メータを検査する場合は、1つの方法として、車両のシフトレバーをD(ドライブ)レンジにした状態で車両を自走させ、例えば40km/hの時における検査機器の指示値と車両に設けられた速度メータの値とを比べて、車両の速度メータの誤差を確認している。別な方法としては、電気モータで2本の計測用ローラを回転させて車輪を回転させ、検査機器の指示値と車両に設けられた速度メータの値とを比べて、車両の速度メータの誤差を確認するようにしている。
【0024】
図1に例示されている実施形態では、検査部10a及び10bの間に閉じ蓋26を有する収納部24が設けられている。収納部34の内部には、スピードローラ14及びブレーキローラ16を回転するためのモータ及び減速機等の駆動機器、及び制動力を検出するためのロードセル、計測用ローラ14及び16の回転数を検出するためのロータリエンコーダ等の検査機器が収納されている。リフタ18は、床面Fと平行に配置された板状体28と、上下方向に沿って延在し、一端側が板状体28の下面に接続され、他端側がリフタ18を昇降させる駆動部(不図示)に接続された支持部材30と、を有している。
【0025】
図3及び図4に示されるように、幾つかの実施形態に係る簡易式ガイド装置40(40A、40B)を構成する基部42は、第1板部50(50a、50b)と、第2板部52(52a、52b)とを有している。第1板部50は、その下面54に少なくとも1つの突部46が形成されている。第2板部52は、第1板部50に対して傾斜して延在し、第2板部52の上面56に軸部48が固着されている。第1板部50に対する第2板部52の傾斜角θは鋭角となるように形成されている。また、軸部48は第2板部52の上面56に対してほぼ直交する方向に向けて立設されている。
【0026】
第2板部52が第1板部50に対して傾斜しているため、突部46が孔22に嵌合し、第1板部50の下面54がリフタ上面20に重ね合わされて、基部42がリフタ上面20に固定されたとき、第1板部50は、リフタ18の上面20と同様にほぼ水平方向に沿って配置される。
図2に示されるように、計測用ローラ14及び16上に配置された車輪100と計測用ローラ14又は16との接触点Pcと、車輪100の回転中心Oとを結ぶ直線をLとしたとき、第2板部52は第1板部50に対して傾斜角θを有しているため、軸部48及び直線Lの鉛直方向に対する傾きを近似させることができる。言い換えれば、第2板部52の傾斜角θは、接触点Pcを通る車輪100の外周面の接線Tの水平方向に対する傾斜角に近似する。
【0027】
これによって、車輪100の外周側側面102とガイドローラ44の外周面44aとは、両者の回転軸線の傾きが近似することになる。そのため、両者が接触したとき両者間の摩擦が抑えられる。従って、ガイドローラ44によって車輪100を円滑にガイドできる。
【0028】
そして、第2板部52は第1板部50の一方側に配置され、第1板部50に対して傾斜して延在するため、突部46が孔22に嵌合して基部42がリフタ上面20に固定されたとき、即ち、第2板部52の延在方向がローラ軸線方向と直交するように簡易式ガイド装置40がリフタ上面20に固定されたとき、ガイドローラ44を接触点Pcの近傍に配置することができる。接触点Pcは車輪100の直径が異なっていても常にほぼ同じ位置にあるため、ガイドローラ44を接触点Pcの近傍に配置することで、異なる直径の車輪に対して、ガイドローラ44を常にガイド可能な車輪100の外周側側面102に対向する位置に配置できる。
【0029】
図2に例示された実施形態では、ガイドローラ44は、スピードローラ14側の接触点Pcに近い側に配置されているが、簡易式ガイド装置40の向きを逆向きにして、ガイドローラ44がブレーキローラ16側の接触点Pcに近い位置に配置されるようにしてもよい。
なお、通常、ブレーキ制動力及び速度メータの検査においては、図2に示されるように、車両が矢印a側、即ち、車両の前方側へ走行するように、計測用ローラ14及び16の回転方向b及び車輪100の回転方向cが設定される。そのため、車両の荷重は主にスピードローラ14側に付加されるため、ガイドローラ44はスピードローラ14側の接触点Pcの近くに配置されたほうが、車両に対するふらつき抑制効果を向上できる。
【0030】
図3は、一実施形態に係る簡易式ガイド装置40Aを示す正面図である。
図3において、簡易式ガイド装置40Aの基部42Aは、第1板部50aを有する第1基板58と、第2板部52a及び第3板部62を有する第2基板60とで構成されている。第2板部52aは第3板部62に対して傾斜角θを有して傾斜している。第3板部62の下面62aは第1板部50aの上面64に結合されている。
【0031】
このように、基部42Aは、突部46が形成された第1板部50aを有する第1基板58と、軸部48が固着された第2板部52aを有する第2基板60とが別々に構成されているため、第1基板58及び第2基板60の各々の加工は容易である。従って、基部42Aは、第1基板58と第2基板60とを結合することで容易に形成できる。
【0032】
図3に例示された実施形態では、第1基板58は平坦な板状体で構成されている。また、第2基板60を構成する第2板部52a及び第3板部62は共に平坦な板状体で構成され、第2板部52aは第3板部62に対して鋭角の傾斜角θを有して一体に形成されている。従って、第1基板58及び第2基板60の各々の加工は容易である。また、第1基板58と第2基板60とは、第1基板58の上面64と第3板部62の下面62aとが当接した状態で、ボルト65で着脱可能に結合されている。
【0033】
また、軸部48は第2板部52aの上面56にほぼ垂直に立設され、第2板部52aは第3板部62に対して傾斜角θを有して傾斜しているため、基部42Aがリフタ上面20に配置されたとき、軸部48の向きを直線Lとほぼ平行に近い向きとすることができる。これによって、車輪100とガイドローラ44とは回転軸線の傾きが近似しているため、車輪100の外周側側面102とガイドローラ44の外周面44aとが接触したとき、これらの間の摩擦が抑えられるため、ガイドローラ44によって車輪100を円滑にガイドできる。
【0034】
さらに、図3に例示された簡易式ガイド装置40Aは、ガイドローラ44が基部42Aの長手方向(図3で紙面の左右方向)で一方側に配置されているため、基部42Aがリフタ上面20に配置されたとき、ガイドローラ44をリフタ18の幅方向(図1中のw方向)の一方側に配置できる。加えて、第2板部52aは第3板部62に対して傾斜角θを有して傾斜しているため、ガイドローラ44を計測用ローラ14又は16の接触点Pcの近傍に配置できる。これによって、異なる直径の車輪に対して、ガイドローラ44を常にガイド可能な車輪100の外周側側面102に対向する位置に配置できる。
【0035】
図4は、別な実施形態に係る簡易式ガイド装置40Bの正面図である。
図4において、簡易式ガイド装置40Bの基部42Bは、第1板部50bと、第2板部52bと、第1板部50bと第2板部52bとを接続する第4板部68と、を有する第3基板66を含んでいる。
基部42Bは、上記構成を有するため、1個の平坦な板状体を用い、これを曲げ加工することによって容易に製造できるため、コンパクト化が可能であり、低コストで製造できる。
【0036】
図4に例示された実施形態では、第1板部50b、第2板部52b及び第4板部68が一体に形成され、第2板部52bは第1板部50bに対して鋭角の傾斜角θをもって配置され、第4板部68は第1板部50bに対して直交する方向に延在している。従って、第4板部68に対する第2板部52bの傾きは、(90度-θ)となる。また、軸部48は第2板部52bの上面56に対してほぼ垂直に立設されている。そのため、基部42Bがリフタ上面20に配置されたとき、軸部48の向きを直線Lとほぼ平行に近い向きとすることができる。これによって、車輪100とガイドローラ44とは回転軸線の傾きが近似しているため、車輪100の外周側側面102とガイドローラ44の外周面44aとが接触したとき、これらの間の摩擦が抑えられるため、ガイドローラ44によって車輪100を円滑にガイドできる。
【0037】
さらに、ガイドローラ44が基部42Bの長手方向(図4で紙面の左右方向)で一方側に配置されているため、基部42Bがリフタ上面20に配置されたとき、ガイドローラ44をリフタ18の幅方向(図1中のw方向)の一方側に配置できる。加えて、第2板部52bは第1板部50bに対して傾斜角θを有して傾斜しているため、ガイドローラ44を計測用ローラ14又は16の接触点Pcの近傍に配置できる。これによって、異なる直径の車輪に対して、ガイドローラ44を常にガイド可能な車輪100の外周側側面102に対向する位置に配置できる。
【0038】
図3及び図4に図示される実施形態では、軸部48の頭部48aは、ガイドローラ44の中心軸線上に形成された軸孔44bより大きな径を有している。これによって、ガイドローラ44は軸部48から外れずに回動できる。
【0039】
また、図3及び図4に図示される実施形態では、第1板部50a又は50bの下面54の長手方向両端部に1つずつ突部46が形成されている。他方、図1に示されるように、リフタ18の上面20には、リフタ18の長手方向(即ち、計測用ローラ14及び16の軸線方向)に沿って2辺の長辺の近くに複数の孔22が2列に形成されている。第1板部50a又は50bの下面54に形成された2つの突部46が、リフタ18の長手方向で同じ位置に形成された2つの孔22に嵌合される。これによって、簡易式ガイド装置40A及び40Bは、図1に示されるように、長手方向が、ローラ軸線方向に対して直交する向き(即ち、ガイドローラ44がスピードローラ14又はブレーキローラ16に近い位置に配置される向き)に配置される。また、複数の孔22がリフタ上面20の長手方向に沿って配置されているため、簡易式ガイド装置40A及び40Bは、リフタ18の長手方向の適宜位置を選択して配置されることができる。
【0040】
また、2つの突部46が第1板部50a又は50bの下面54の長手方向両端部に設けられているため、2つの突部46間の距離を大きく取ることができる。これによって、簡易式ガイド装置40A又は40Bをリフタ18の上面20に安定して固定できる。
【0041】
一実施形態では、図3及び図4に示されるように、ガイドローラ44の外周面44aは、基部42に近い側が大径となる円錐形状を有している。
図5は、車輪100と本実施形態に係るガイドローラ44とが接触したときの両者の位置関係を示す説明図であり、ローラ軸線方向と直交する方向から視認した図である。
【0042】
図5に示されるように、ガイドローラ44の外周面44aは、基部42に近い側、即ち、車輪100の下方側で車輪100に近くなるように傾斜している。そのため、車輪100の外周側側面102がガイドローラ44の外周面44aに接触した時、接触点Pcでガイドローラ44が車輪100から受ける力fは斜め下方側へ働くため、水平方向に働く水平分力fhと下方向に働く垂直分力fvとに分けられる。このように、ガイドローラ44に対して下方向の垂直分力fvが働くため、下方向の垂直分力fvによって、リフタ18に形成された孔22から突部46が抜けるのを抑制できる。そのため、簡易式ガイド装置40をリフタ18の上面20に安定して固定できる。
【0043】
さらに、車輪100が扁平タイヤを装備している場合でも、ガイドローラ44の外周面44aが車輪100の下方側で車輪100に近くなるように傾斜しているため、接触点Pcは扁平タイヤの外周側側面102の外周縁側に位置する。そのため、ガイドローラ44が扁平タイヤのホイルに接触してホイルを傷付けるおそれはない。
【0044】
図6は、一実施形態に係る簡易式ガイド装置40Cの正面図であり、計測用ローラ14及び16上に配置された車輪100の反対側から視認した図である。また、図7は、図6中のB方向から視認した側面図であり、即ち、図1において、スピードローラ14側から簡易式ガイド装置40を視認した図である。図7において、車輪100は紙面に向かって簡易式ガイド装置40Cの右側に位置している。
【0045】
図6及び図7に示される簡易式ガイド装置40Cは、突部46の外周面のうち、計測用ローラ14及び16上に配置された車輪100に対向する側と反対側の外周面に凹部70が形成されている。他方、リフタ18側に凹部70と対向して抜け止め部72が配置され、抜け止め部72は凹部70に挿入可能に構成されている。検査実施中、車輪100の外周側側面102がガイドローラ44の外周面44aに接触して車輪100からガイドローラ44に力fが加わると、ガイドローラ44は、図7に示される位置から矢印d方向に移動するため、抜け止め部72が凹部70に進入し、凹部70に嵌合する。抜け止め部72は突部46が孔22から抜け出るのを防ぐストッパとなるため、簡易式ガイド装置40Cをリフタ上面20に安定して固定できる。
【0046】
図6及び図7に例示される実施形態では、突部46は、円形を有する孔22に遊嵌しやすくするために、円形の横断面を有している。そのため、凹部70の底面70aは、矢印d方向に対して直交する平面形状を有している。
なお、凹部70は図6及び図7に示される形状とは別な形状を有していてもよい。また、図6及び図7に示される抜け止め部72は、孔22を形成するリフタ18の壁部で形成されているが、リフタ18とは別の部材で構成されていてもよい。
【0047】
別な実施形態では、突部46の外周面に凸部が形成され、リフタ18側の該凸部と対向する位置に該凸部が進入可能な凹部が形成され、ガイドローラ44が矢印d方向に移動したとき、これらの凸部と凹部とが互いに嵌合するように構成されていてもよい。
【0048】
一実施形態に係る車両検査装置10は、上述のように、床面Fに沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラ14及び16と、一対の計測用ローラ14及び16の間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタ18と、上述の構成を備える簡易式ガイド装置40と、を備えている。簡易式ガイド装置40は、リフタ上面20に配置されることで、計測用ローラ14及び16の軸線方向で車輪100の近くに配置できるため、ガイドローラ44によって計測用ローラ14及び16の軸線方向の車両のふらつきが拡大するのを未然に抑止できる。また、簡易式ガイド装置40は、リフタ上面20からの着脱が容易であり、かつ基本的に、基部42及びガイドローラ44のみで構成されているため、軽量化及び小型化が可能であり、そのため、持ち運びを含め使い勝手が良いという利点がある。
【0049】
図1に示されるように、一実施形態に係る車両検査装置10は、床面Fに形成されたピットPに箱形の枠体12が設置され、枠体12の内部に計測用ローラ14、16及びリフタ18が収納されている。枠体12の上縁部12aのうち、計測用ローラ14及び16の軸線方向と交差する方向に延在する上縁部12aにおいて、計測用ローラ14及び16の間に位置する上縁部12aの内縁を含む内縁側部位12a1に切欠部32が形成されている。そして、切欠部32に簡易式ガイド装置40を収納可能な収納部34が形成されている。簡易式ガイド装置40が収納部34に収納されたとき、ガイドローラ44は、検査時に計測用ローラ14及び16に支持された車輪100の外周側側面102に対向して配置されるように構成されている。
【0050】
本実施形態によれば、非検査時には、簡易式ガイド装置40を枠体12の上縁部12aに形成した収納部34に収納すればよいため、別に収納場所を確保する必要がない。また、検査実施時において、簡易式ガイド装置40をリフタ上面20に設置する必要がない場合には、収納部34に簡易式ガイド装置40を収納すればよいが、収納部34に収納した状態であっても、ガイドローラ44が計測用ローラ14及び16に支持された車輪100の外周側側面102に対向して配置されるため、ガイドローラ44によって、ローラ軸線方向の車輪100のふらつきが拡大するのを抑止できる。
【0051】
図1に例示される実施形態では、切欠部32に形成される収納部34は底壁36を有し、底壁36には底壁36の上面に開口する1つ以上の孔38が形成されている。基部42に形成された突部46が孔38に着脱可能に嵌合された状態で、簡易式ガイド装置40は収納部34に収納される。1つ以上の孔38は、基部42に形成された1つ以上の突部46が孔38に嵌合されるように、1つ以上の突部46の配置位置に合わせて配置される。
【0052】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0053】
1)一態様に係る簡易式ガイド装置は、床面(F)に沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラ(14、16)と、該一対の計測用ローラ(14、16)の間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタ(18)と、を備えた車両検査装置(10)に用いられる簡易式ガイド装置(40)であって、基部(42)と、前記基部(42)の下面側に設けられ、前記リフタ(18)の上面(20)に開口する孔(22)に嵌合可能な少なくとも1つの突部(46)と、前記基部(42)の上面側に固着された軸部(48)に回動可能に支持されたガイドローラ(44)と、を備え、前記突部(46)が前記孔(22)に嵌合して前記基部(42)が前記リフタ(18)の上面(20)に配置されたとき、前記ガイドローラ(44)が前記一対の計測用ローラ(14、16)に支持された車輪(100)の外周側側面(102)に対向して配置されるように構成される。
【0054】
このような構成によれば、車両の幅方向において、簡易式ガイド装置(40)をリフタ上面(20)の車輪(100)に近い位置に配置できるため、一対の計測用ローラ(14、16)に支持された車輪(100)を回転させて検査を行う際に、計測用ローラ(14、16)の軸線方向に車両のふらつきが発生しても、ガイドローラ(44)によってふらつきが拡大するのを抑止できる。
【0055】
また、簡易式ガイド装置(40)は、上記基部(42)に設けられた突部(46)がリフタ上面(20)に開口する孔(22)に嵌合して固定されるため、リフタ(18)からの着脱は容易である。また、簡易式ガイド装置(40)は、基本的に、基部(42)及びガイドローラ(44)のみで構成されるため、軽量化及び小型化が可能であり、そのため、持ち運びを含め使い勝手を良くすることができる。さらに、リフタ上面(20)に開口する孔(22)を複数形成し、リフタ上面(20)の適宜位置に配置することで、検査対象となる車両のトレッド幅及び計測用ローラ(14、16)上の車輪(100)の位置に応じて、リフタ上面(20)における簡易式ガイド装置(40)の配置位置を変えることができる。これによって、車両の機種が変わっても常に車輪(100)の近くに配置できるため、異なる車種に対して車両のふらつき抑制効果を発揮できる。
【0056】
2)別な態様に係る簡易式ガイド装置は、1)に記載の簡易式ガイド装置において、前記基部(42)は、下面(54)に前記突部(46)が接続された第1板部(50)と、前記第1板部(50)に対して傾斜して延在する第2板部(52)であって、上面(56)に前記軸部(48)が固着された第2板部(52)と、を有する。
【0057】
このような構成によれば、ガイドローラ(44)が支持される軸部(48)が固着された第2板部(52)が第1板部(50)に対して傾斜して延在するため、基部(42)がリフタ上面(20)に配置されたとき、軸部(48)の傾きは、車輪(100)の回転中心(O)と、計測用ローラ(14、16)に支持された車輪(100)と計測用ローラ(14、16)との接触点(Pc)とを結ぶ直線(L)の傾きと近似する。そして、ガイドローラ(44)を該接触点(Pc)の近傍に配置することで、車輪(100)とガイドローラ(44)とは、両者の回転軸線の傾きが近似しているため、車輪(100)の外周側側面(102)とガイドローラ(44)の外周面(44a)とが接触したとき、両者間の摩擦が抑えられ、これによって、ガイドローラ(44)によって車輪(100)を円滑にガイドできる。
【0058】
また、上記接触点(Pc)の位置は車輪(100)の直径が異なる場合でも常にほぼ同じ位置にあるため、ガイドローラ(44)を上記接触点(Pc)の近傍に配置することで、異なる直径の車輪(100)に対して、ガイドローラ(44)を常にガイド可能な車輪(100)の外周側側面(102)に対向する位置に配置できる。
【0059】
3)さらに別な態様に係る簡易式ガイド装置は、2)に記載の簡易式ガイド装置において、前記基部(42A)は、前記第1板部(50a)を有する第1基板(58)と、前記第2板部(52a)、及び下面(62a)が前記第1板部(50a)の上面(64)に結合された第3板部(62)を有する第2基板(60)と、を含む。
【0060】
このような構成によれば、基部(42A)は、突部(46)を有する第1板部(50a)を含む第1基部(58)と、軸部(48)を有する第2板部(52a)を含む第2基部(60)とが別々に構成されるため、第1基板(58)及び第2基板(60)の各々の加工は容易である。従って、基部(42A)は、第1板部(50a)の上面(64)と第3板部(62)の下面(62a)とが結合されて形成されるため、基部(42A)の形成も容易である。
【0061】
4)さらに別な態様に係る簡易式ガイド装置は、2)に記載の簡易式ガイド装置において、前記基部(42B)は、前記第1板部(50b)、前記第2板部(52b)、及び前記第1板部(50b)と前記第2板部(52b)とを接続する第4板部(68)、を有する第3基板(66)を含む。
【0062】
このような構成によれば、基部(42B)は、1個の板状体を曲げ加工することによって製造することができるため、基部(42B)の製造が容易であり、かつ基部(42B)をコンパクト化できる。
【0063】
5)さらに別な態様に係る簡易式ガイド装置は、1)乃至4)のいずれかに記載の簡易式ガイド装置において、前記ガイドローラ(44)の外周面(44a)は、前記基部(42)に近い側が大径となる円錐形状を有する。
【0064】
このような構成によれば、ガイドローラ(44)の外周面(44a)は、車輪(100)の外周側側面(102)に対して上方側が車輪から離れる方向に傾斜して配置される。そのため、検査中、車輪(100)がガイドローラ(44)に接触した時、車輪(100)からガイドローラ(44)に加わる荷重(f)は、ガイドローラ(44)に対して斜め下方へ加わるため、該荷重(f)は水平方向に働く分力(fh)と下方向へ働く分力(fv)とに分けられる。このように、ガイドローラ(44)に対して下方向の分力(fv)が働くため、リフタ(18)に形成された孔(22)から突部(46)が抜けるのを抑制でき、簡易式ガイド装置(40)をリフタ上面(20)に安定して固定できる。また、ガイドローラ(44)の外周面(44a)が上記形状を有するため、車輪(100)の外周側側面(102)に対するガイドローラ(44)の接触点(Pc)を車輪(100)の外周縁側に設定できる。これによって、ガイドローラ(44)がタイヤの内側に位置する車輪(100)のホイルに接触してホイルを傷付けるおそれはなくなる。
【0065】
6)さらに別な態様に係る簡易式ガイド装置は、1)乃至5)のいずれかに記載の簡易式ガイド装置において、前記突部(46)の外周面のうち前記車輪(100)に対向する側と反対側の外周面に形成された第1凹凸部(70)と、前記リフタ(18)側に前記凹凸部(70)と対向して配置され、前記第1凹凸部(70)に嵌合可能な第2凹凸部(72)が設けられている。
【0066】
このような構成によれば、上記第1凹凸部(70)及び上記第2凹凸部(72)が設けられているため、検査中、車輪(100)がガイドローラ(44)に接触したとき、上記第1凹凸部(70)を上記第2凹凸部(72)側へ移動させる力が加わる。そして、第1凹凸部(70)と第2凹凸部(72)とが嵌合することで、突部(46)がリフタ上面(20)に形成された孔(22)から抜け出るのを防ぐことができるため、簡易式ガイド装置(40)をリフタ上面(20)に安定して固定できる。
【0067】
7)一態様に係る車両検査装置は、床面(F)に沿って互いに並列に配置された一対の計測用ローラ(14、16)と、該一対の計測用ローラ(14、16)の間に設けられ、上下に移動可能な車輪昇降用のリフタ(18)と、1)乃至6)のいずれかに記載の簡易式ガイド装置(40)と、を備える。
【0068】
このような構成によれば、車両検査装置(10)は、上述の簡易式ガイド装置(40)を備えるため、一対の計測用ローラ(14、16)上に配置された車輪(100)を回転させて検査を行う際に、車両の幅方向において、簡易式ガイド装置(40)をリフタ上面(20)の車輪(100)に近い位置に配置できるため、車両のふらつきが発生しても、ふらつきが拡大するのを未然に抑制できる。また、簡易式ガイド装置(40)は、リフタ上面(20)からの着脱が容易であり、かつ軽量化及び小型化が可能であるため、持ち運びを含め使い勝手が良いという利点がある。
【0069】
8)別な態様に係る車両検査装置は、7)に記載の車両検査装置において、前記一対の計測用ローラ(14、16)及び前記リフタ(18)が収納され、前記床面(F)に形成されたピット(P)に設置された箱形の枠体(12)をさらに備え、前記枠体(12)の上縁部(12a)であって、前記一対の計測用ローラ(14、16)の軸線方向と交差する方向に延在する上縁部(12a)のうち、前記一対の計測用ローラ(14、16)の間に位置する上縁部(12a)の内縁を含む内縁側部位(12a1)に切欠部(32)が形成され、該切欠部(32)に前記簡易式ガイド装置(40)を収納可能な収納部(34)を形成すると共に、前記簡易式ガイド装置(40)が前記切欠部(32)に収納されたとき、前記ガイドローラ(44)が前記一対の計測用ローラ(14、16)上に配置された車輪(100)の外周側側面(102)に対向して配置されるように構成される。
【0070】
このような構成によれば、非検査時には簡易式ガイド装置(40)を枠体(12)の上縁部(12a)に形成した上記収納部(34)に収納すればよく、従って、別に簡易式ガイド装置(40)の収納場所を確保する必要がない。また、検査実施時には、簡易式ガイド装置(40)を上記収納部(34)から取り出してリフタ上面(20)に配置することができる。簡易式ガイド装置(40)をリフタ上面(20)に配置する必要がない検査時においては、簡易式ガイド装置(40)を上記収納部(34)に収納した状態で、ガイドローラ(44)が一対の計測用ローラ(14、16)上に配置された車輪(100)の外周側側面(102)に対向して配置されるため、該ガイドローラ(44)によって車両のふらつきが拡大するのを抑止できる。
【符号の説明】
【0071】
10 車両検査装置
10a、10b 検査部
12 枠体
12a 上縁部
12a1 内縁側部位
14、16 計測用ローラ
14(14a、14b) スピードローラ
16(16a、16b) ブレーキローラ
18 リフタ
20 上面
22、38 孔
24、34 収納部
26 閉じ蓋
28 板状体
30 支持部材
32 切欠部
36 底壁
40(40A、40B、40C) 簡易式ガイド装置
42(42A、42B) 基部
44 ガイドローラ
44a 外周面
44b 軸孔
46 突部
48 軸部
48a 頭部
50(50a、50b) 第1板部
52(52a、52b) 第2板部
54 下面
56、64 上面
58 第1基板
60 第2基板
62 第3板部
62a 下面
65 ボルト
66 第3基板
68 第4板部
70 凹部(第1凹凸部)
70a 底面
72 抜け止め部(第2凹凸部)
100(100a、100b) 車輪
102 外周側側面
F 床面
L 直線
O 回転中心
P ピット
Pc 接触点
T 接線
f 力
fh 水平分力
fv 垂直分力
w 幅方向
θ 傾斜角

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7