(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068996
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】収集装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/60 20180101AFI20240514BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20240514BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20240514BHJP
【FI】
G06F8/60
H04W24/08
H04W72/04 131
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179728
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(72)【発明者】
【氏名】中野 健治
(72)【発明者】
【氏名】米山 清二郎
【テーマコード(参考)】
5B376
5K067
【Fターム(参考)】
5B376AB01
5B376AB11
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】配信対象の通信端末の通信状態を判定してソフトウェアを配信する収集装置およびプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態の収集装置は、複数の通信端末と通信経路を介して通信する通信部と、前記通信端末のそれぞれについて通信状態を判定する通信状態判定部と、前記通信状態判定部により通信可と判定された通信端末に対して前記通信部からソフトウェアを配信させるソフトウェア配信制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末と通信経路を介して通信する通信部と、
前記通信端末のそれぞれについて通信状態を判定する通信状態判定部と、
前記通信状態判定部により通信可と判定された通信端末に対して前記通信部からソフトウェアを配信させるソフトウェア配信制御部と、
を備える収集装置。
【請求項2】
前記通信状態判定部は、前記通信端末および前記収集装置が通信した最終通信日時と現在日時との差に基づいて前記通信状態の判定をするとともに、前記差が小さい通信端末ほど上位になるように前記通信端末の順位付けを行い、
前記ソフトウェア配信制御部は、前記順位が上位から下位の順に前記通信端末に対して前記通信部から前記ソフトウェアを配信させる請求項1に記載の収集装置。
【請求項3】
前記通信状態判定部は、前記通信端末の設置場所情報と、前記収集装置、前記通信端末、および前記通信経路のうち少なくとも1つのメンテナンス予定とに基づいて前記通信状態を判定する請求項1または2に記載の収集装置。
【請求項4】
前記通信状態判定部は、前記収集装置、前記通信端末、および前記通信経路のうち少なくとも1つのメンテナンス予定と前記ソフトウェアの配信予定日時とに基づいて前記通信状態を判定する請求項1または2に記載の収集装置。
【請求項5】
前記通信状態判定部は、前記収集装置と前記通信端末との通信を契機に前記通信状態を判定する請求項1または2に記載の収集装置。
【請求項6】
前記通信端末および前記収集装置が通信した通信日時に基づいて、前記通信端末が通信可となる通信可時刻を算出する通信可時刻算出部をさらに備え、
前記ソフトウェア配信制御部は、前記通信端末に対して前記通信部から前記ソフトウェアを前記通信可時刻に配信させる請求項1に記載の収集装置。
【請求項7】
前記通信状態判定部は、記収集装置、前記通信端末、前記通信経路のうち少なくとも1つのメンテナンス予定および前記通信可時刻が重なる場合は、前記通信状態を通信不可と判定する請求項6に記載の収集装置。
【請求項8】
前記通信状態判定部は、記収集装置、前記通信端末、前記通信経路のうち少なくとも1つのメンテナンス予定および前記通信可時刻が重なる場合は、その時刻を前記通信可時刻から除外する請求項6に記載の収集装置。
【請求項9】
前記通信状態判定部は、前記通信日時および前記通信可時刻が所定の回数重ならない場合に前記通信状態を通信不可と判定する請求項6に記載の収集装置。
【請求項10】
コンピュータに、
通信端末の通信状態を判定する手段と、
前記通信状態が通信可と判定された通信端末に対して通信部からソフトウェアを配信させる手段と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、収集装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介して上位の収集装置が下位の通信端末と接続する通信システムが普及している。このような通信システムにおいて、収集装置から通信端末に対してソフトウェアを配信する場合、収集装置は、通信端末に存在確認や接続確立のためのパケットを送信し、通信端末からの応答を受信してからソフトウェアを配信する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信端末は、消費電力を抑えるための通信状態の自律制御、または通信システムの運営管理者による通信端末の撤去・電源オフ制御等に起因して通信不可状態にある場合がある。したがって、収集装置がソフトウェアを配信する際には通信端末からの応答を所定時間が満了するまで待機する必要があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、配信対象の通信端末の通信状態を判定してソフトウェアを配信する収集装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態の収集装置は、複数の通信端末と通信経路を介して通信する通信部と、前記通信端末のそれぞれについて通信状態を判定する通信状態判定部と、前記通信状態判定部により通信可と判定された通信端末に対して前記通信部からソフトウェアを配信させるソフトウェア配信制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る通信端末情報の例を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る収集装置の処理例を示すフローチャート。
【
図4】第2実施形態に係る通信システムの構成の例を示すブロック図。
【
図5】第2実施形態に係る収集装置の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成の例を示すブロック図である。通信システム1は、収集装置10と、通信端末30とを備える。収集装置10は、通信部11と、記憶部12と、通信端末情報管理部13と、ソフトウェアダウンロード部14とを備える。収集装置10と通信端末30とは、例えば、920MHz帯マルチホップ無線、PLC(Power Line Communication)、および4G(4th Generation)/LTE(Long Term Evolution)無線等のうち少なくとも1つからなる通信経路50を介して互いに通信する。
【0010】
通信端末30は、例えば通信機能付きの電力メーターやガスメーター等(スマートメーター等)であり、例えば設置場所における電力メーターに無線通信手段を付与し、無線通信が可能に構成されている。1台の収集装置10に対して複数の通信端末30が接続されている。通信端末30は、定常通信として、電力量等の検針結果と、後述する通信端末情報13Aとを含む通信パケットを、所定の期間ごとに収集装置10に送信する。所定の期間は、例えば30分間であるが、それに限らない。
【0011】
以下の説明では、通信端末30は複数の通信端末を含んだものとする。また、通信端末30のうち一部の通信端末を意味することもある。例えば、個別の通信端末30と記載した場合には1台の通信端末を意味し、配信対象の通信端末30と記載した場合には、通信端末30のうち配信対象である通信端末を意味する。
【0012】
収集装置10は、通信端末30を管理・制御、または通信端末30に配信する情報を管理する装置である。配信する情報は、例えばファームウェア等のソフトウェアの他、画像、動画、制御コマンド、暗号鍵、または認証鍵等でもよい。収集装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成されるマイクロコンピュータを備える。
【0013】
通信部11は、通信経路50を介して通信端末30と通信するための通信インターフェースである。通信部11は、通信端末30からの通信パケットを受信したり、通信端末30へソフトウェア等の情報を配信したりする。
【0014】
記憶部12は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク等により実現される。この記憶部12は、後述する各種の情報および収集装置10が実行する各種の処理プログラムを記録する。
【0015】
通信端末情報管理部13は、通信部11が通信端末30から通信パケットを受信したときに、通信パケットに含まれる個別の通信端末30それぞれの識別情報、通信状態情報、設置場所情報、ソフトウェアバージョン情報、または最終通信日時等を含む通信端末情報13Aを取得する。取得した通信端末情報13Aは、記憶部12に記録または更新される。
図2は、通信端末情報管理部13が取得する通信端末情報13Aの例を示している。なお、通信端末情報13Aは、収集装置10と通信端末30との最終通信日時だけでなく、最終通信日時よりも古い過去の通信日時を含んでも良い。
【0016】
識別情報は、個別の通信端末30を識別する固有の情報であり、例えば製造番号等である。通信状態情報は、個別の通信端末30の通信状態を示す情報であり、個別の通信端末30から通信パケットを受信した最終通信日時と現在日時との差の大きさに基づいて、例えば差が所定未満の場合は通信可状態、差が所定以上の場合は通信不可状態、または長期通信不可状態等に区別する。また、個別の通信端末30を倉庫等に保管している保管状態を付与してもよい。設置場所情報は、個別の通信端末30が設置されている位置情報または管轄している営業所情報等であり、個別の通信端末30に具備した位置情報システムまたは設置記録等から取得する。ソフトウェアバージョン情報は、個別の通信端末30に適用されているソフトウェアのバージョンを示す情報である。最終通信日時は、収集装置10と通信端末30とが最後に通信した最新の日時を示す情報である。最終通信日時は、収集装置10および通信端末30のうち少なくとも一方の送受信を基準に決定しても良い。なお、通信端末情報管理部13は、これらの通信端末情報13Aを運営管理者の手入力によって取得してもよい。
【0017】
ソフトウェアダウンロード部14は、ソフトウェア登録部15と、同時配信判定部16と、配信対象作成部17と、通信状態判定部18と、ソフトウェア配信制御部19とを備える。例えば、ハードウェアで構成する場合は、これらソフトウェア登録部15と、同時配信判定部16と、配信対象作成部17と、通信状態判定部18と、ソフトウェア配信制御部19とは、有線通信または無線通信等により相互に各種の情報等を通信可能となっている。
【0018】
ソフトウェア登録部15は、通信端末30に配信するソフトウェアを登録し、登録したソフトウェアを記憶部12に記録する。ソフトウェア登録部15には、運営管理者によって入力されるインターフェース等を介してソフトウェアを登録してもよいし、ネットワーク等を介してソフトウェアを登録してもよい。
【0019】
同時配信判定部16は、複数の通信端末30に対して同時にソフトウェアを配信できる通信端末30の数量である同時配信数量を判定し、記憶部12に記録する。収集装置10および通信端末30が互いに通信する通信経路50には、通信可能な処理能力であるスループットが決められている。したがって、ソフトウェアを配信する場合には、ソフトウェアを配信可能なサイズに分割し、かつスループットに適した通信端末30の数量だけ同時に配信する。
【0020】
ここで、同時配信判定部16の判定について、ソフトウェアが10MB(メガバイト)、スループットが10Mbps(メガビット毎秒)であるときを例に説明する。ここでは、ソフトウェアを2KB(キロバイト)に分割し、500ms(ミリ秒)の送信間隔で通信端末30に配信し、通信端末30の定常通信に影響を与えないようにスループットの50%を使用することとする。このとき、使用できるスループットが5Mbps、配信するソフトウェアが4KB/s(32Kbps)なので、同時配信判定部16は約156台の通信端末30にソフトウェアを同時配信できると判定する。
【0021】
なお、同時配信判定部16は、運営管理者からの入力に基づいて同時配信数量を記憶部12に記録しても良い。
【0022】
配信対象作成部17は、通信端末情報管理部13が取得した通信端末情報13Aに基づいて、ソフトウェアを配信する対象となる通信端末30のリストである配信対象リストを作成し記憶部12に記録する。
【0023】
例えば、通信端末30に適用されているソフトウェアのバージョン情報と、配信するソフトウェアのバージョン情報とを比較し、配信するソフトウェアとは異なるバージョンのソフトウェアが適用されている通信端末30を配信対象として選択する。または、適用されているソフトウェアのバージョン情報が複数の通信端末30間で異なる場合には、不具合がある等の優先度が高いバージョンのソフトウェアが適用されている通信端末30を配信対象として選択する。
【0024】
また、通信端末30の設置場所情報に基づいて配信対象となる通信端末30を選択してもよい。例えば、所定の地域に設置された通信端末30にソフトウェアを配信することで、最新のソフトウェアを小規模にテスト導入し、不具合があるか等を確かめることができる。つまり、不具合等があった場合の影響を限定的にすることができる。また、ソフトウェアが配信された通信端末30が近くに設置されていることで、テスト導入の結果収集やテスト導入後の対応を効率的に行うことができる。
【0025】
なお、配信対象作成部17は、通信端末情報13Aのうちソフトウェアバージョン情報、設置場所情報、および通信状態情報のうち1つに関する条件を満たすように(条件に基づいて)配信対象リストを作成してもよいし、これらを組み合わせて複数の条件を満たすように配信対象リストを作成してもよい。
【0026】
なお、配信対象作成部17は、配信予定日時や配信期間などのパラメータを設けてもよい。例えば、配信対象の通信端末30に対して所定の日時にソフトウェアを配信してもよく、配信対象リストを作成してから所定の配信期間内にソフトウェアを配信してもよい。その結果として、所定の期間におけるソフトウェアの配信にかかる通信量を制御したり、所定の日時において通信端末30に適用されているソフトウェアのバージョンを管理したりすることができる。
【0027】
また、配信対象作成部17は、所定の期間が終了したり、全ての配信対象の通信端末30にソフトウェアを配信したりした場合に、新しい配信対象リストを作成してもよい。所定の期間は例えば1か月であるが、それに限らない。
【0028】
なお、配信対象作成部17は、管理者の入力によって任意の配信対象リストを作成してもよい。
【0029】
通信状態判定部18は、配信対象の通信端末30の通信状態を判定し、通信端末30を収集装置10との通信が成功する可能性が高い順に順位付けをして配信対象リストを並べ替える。この通信状態判定部18が順位付けをした情報は通信状態情報に含むものとする。
【0030】
例えば、収集装置10と通信端末30との通信における、現在日時と最終通信日時との差が所定の時間以下である場合は通信可と判定し、所定の時間以上の場合は通信不可または長期通信不可と判定する。一例として、現在日時と最終通信日時との差が30分間以下の場合は通信可と判定し、30分間超24時間未満の場合は通信不可と判定し、24時間以上の場合は長期通信不可と判定する。そして、この判定結果を通信端末情報管理部13に送信して通信端末情報13Aを更新する。
【0031】
なお、通信状態判定部18は、配信対象の通信端末30の設置場所情報に基づいて、通信端末30の通信状態を判定しても良い。例えば、所定の地域に設置された通信端末30に関するメンテナンス予定が既知である場合、その期間は該当する通信端末30を通信不可と判定する。このメンテナンスは、通信端末30の交換・メンテナンスだけでなく、所定の地域に向かう通信経路50のメンテナンス等も含む。
【0032】
また、通信状態判定部18は、ソフトウェアの配信予定日時・期間に基づいて、通信端末30の通信状態を判定しても良い。例えば、ソフトウェアの配信予定日時・期間にメンテナンスが予定されている通信端末30、またはメンテナンスが予定されている通信経路50を介して収集装置10と通信する通信端末30を通信不可と判定する。
【0033】
なお、上記メンテナンスは、収集装置10のメンテナンスも含んでも良い。
【0034】
次に、通信状態判定部18は、配信対象の通信端末30を例えば通信可、通信不可、長期通信不可、保管状態の順のように通信が成功する可能性が高い順に順位付け、さらにそれぞれの通信状態毎に収集装置10と通信端末30との最終通信日時が現在日時に近い順に配信対象の通信端末30を順位付ける。つまり、通信可であり最終通信日時が最新の通信端末30が配信対象リストの最上位に、保管状態であり最終通信日時が最古の通信端末30が配信対象リストの最下位に順位付けられる。そして、通信状態判定部18は、配信対象リストを通信端末30の順位に従って並べ替える。
【0035】
上述のように、通信状態判定部18が設置場所情報またはソフトウェアの配信予定日時・期間およびメンテナンス予定に基づいて通信端末30の通信状態を判定することにより、メンテナンスに起因してソフトウェアを受信できない通信端末30にソフトウェアの配信を試みる不要な作業を削減できる。
【0036】
なお、通信状態判定部18は、通信不可、長期通信不可、または保管状態の通信端末30を配信対象リストから除外しても良い。これにより、収集装置10と通信できない通信端末30に対してソフトウェアの配信を試みる不要な作業を削減できる。
【0037】
なお、通信状態判定部18は、配信対象リストを実際に並べ替えなくても良く、上記のように通信が成功する可能性が高い順に通信端末30を順位付けすれば良い。
【0038】
なお、通信状態判定部18は、任意のタイミングで上記のような処理をして良いし、通信端末30からの受信を契機に処理を開始しても良い。
【0039】
なお、通信状態判定部18は、配信対象の通信端末30だけでなく、任意の通信端末30について上記のような処理をしても良い。
【0040】
ソフトウェア配信制御部19は、配信対象作成部17において作成し、通信状態判定部18において並べ替えた配信対象リストに基づき、配信対象リストの上位から下位に向かって順に、通信部11を介して配信対象の通信端末30にソフトウェアを配信する。また、ソフトウェア配信制御部19は、同時配信判定部16において判定した同時配信数量に基づき、通信部11を介してソフトウェアを配信対象の通信端末30に同時配信する。
【0041】
例えば、同時配信数量が156台の場合は、まず配信対象の通信端末30のうち配信対象リストの上位156台にソフトウェアを同時配信し、配信が完了した後に次の156台にソフトウェアを配信する。このようにソフトウェアの同時配信を繰り返し、すべての配信対象の通信端末30にソフトウェアを配信する。
【0042】
なお、ソフトウェア配信制御部19は、配信対象リストのうち通信可の通信端末30に対してのみ通信部11を介してソフトウェアを配信しても良い。この場合、通信不可、長期通信不可、または保管状態の通信端末30は配信対象リストに残し、通信状態が更新されて通信可と判定された場合にその通信端末30に対して上記ソフトウェアの配信をしても良い。
【0043】
次に、本実施形態に係る収集装置10がソフトウェアを配信する処理例について
図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、処理の開始に先立ち、通信端末情報管理部13は、通信端末30からの定常通信により通信端末情報13Aを取得しているものとする。
【0044】
まず、運営管理者が、ソフトウェア登録部15に最新のソフトウェアを登録する(ステップS100)。このとき、運営管理者は、入力するインターフェース等を介して登録してもよいし、インターネット等を介して登録してもよい。
【0045】
次に、同時配信判定部16が、同時配信可能な通信端末30の数量を判定する(ステップS101)。このとき、同時配信判定部16は、ソフトウェアの分割数、ソフトウェアの送信間隔、または通信経路50のスループット等に基づいて同時配信可能な通信端末30の数量を判定する。
【0046】
次に、配信対象作成部17が、ソフトウェアを配信する対象の通信端末30のリストである配信対象リストを作成する(ステップS102)。このとき、配信対象作成部17は、通信端末情報13Aに基づいて、例えば優先度の高いソフトウェアバージョン情報の通信端末30、所定の設置場所情報の通信端末30、または通信可状態の通信端末30等を配信対象として選択し、配信対象リストを作成する。
【0047】
次に、通信状態判定部18が、配信対象リストの通信端末30を、収集装置10との通信が成功する可能性が高い順に順位付けて並べ替える(ステップS103)。このとき、通信状態判定部18は、通信端末30の通信状態を判定し、通信可、通信不可、長期通信不可、保管状態の順に上位から順位付ける。そして、それぞれの通信状態毎に収集装置10との最終通信日時が新しい順に通信端末30を順位付ける。
【0048】
次に、ソフトウェア配信制御部19が、通信部11を介して記憶部に記録されているソフトウェアを配信対象の通信端末30に配信する(ステップS104)。このとき、ステップS101において判定した同時配信数量に基づいて、ステップS102において選択された配信対象の通信端末30に対してソフトウェアを同時配信する。また、ステップS103において並べ替えた配信対象リストの上位の通信端末30から順にソフトウェアを配信する。そして、全ての配信対象の通信端末30に対してソフトウェアを配信した場合、処理を終了する。
【0049】
上述のように、本実施形態に係る収集装置10は、配信対象リストの通信端末30を、例えば収集装置10との最終通信日時が新しい順に並べ替えることで、ソフトウェアを配信する際の通信が成功しやすい通信端末30に優先的にソフトウェアを配信する。
【0050】
これにより、ソフトウェアを配信する前に収集装置10が通信端末30からの応答を待機する必要がなくなり、ソフトウェアの配信を早く開始することができるので、最新のバージョンのソフトウェアをより早く適用させることができる。また、収集装置10と通信端末30との事前の通信を省略することに加え、ソフトウェア配信の成功率を向上できるので、不必要な通信量を削減でき、所定期間における通信量の制御が容易になる。したがって、効率的にソフトウェアを配信することができる。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図4および5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態と第1実施形態との主な相違点は、収集装置10が、通信端末30が通信可になると予想される日時である通信可時刻を算出する通信可時刻算出部20を備える点である。
【0052】
ここで、通信端末30の定常通信について説明する。通信端末30は、例えば30分間等の所定の期間ごと、または毎月1日正午等の所定の日時に定常通信を収集装置10に送信しており、定常通信を送信しない時間は消費電力削減のために通信等の機能を停止することもある。また、収集装置10や通信経路50の負荷を低減するために、通信端末30は定常通信を送信する時刻を分散している。
【0053】
例えば、30分ごとに通信端末30が定常通信を送信するシステムにおいて、収集装置10がある通信端末30Aから12時34分56秒に定常通信を受信した場合、収集装置10はその通信端末30Aからの次の定常通信を13時4分56秒に受信する。収集装置10が他の通信端末30Bから定常通信を12時43分50秒に受信した場合は、その通信端末30Bの次の定常通信を13時13分50秒に受信する。
【0054】
このとき、通信可時刻算出部20は、通信端末30Aの通信可時刻を毎時34分56秒および毎時4分56秒と算出し、通信端末30Bの通信可時刻を毎時43分50秒および毎時13分50秒と算出する。また、収集装置10が別の通信端末30Cからの定常通信を毎月1日の9時3分25秒に受信している場合は、毎月1日の9時3分25秒を通信端末30Cの通信可時刻として算出する。通信可時刻算出部20は、このように算出した通信可時刻を通信端末情報管理部13に送信し、通信端末情報13Aとして記憶部に記録する。
【0055】
通信状態判定部18は、第1実施形態と同様な方法の他、通信可時刻算出部20が算出した通信可時刻および通信日時に基づいて、通信端末30の通信状態を判定しても良い。通信可時刻は、収集装置が通信端末30から定常通信を受信すると予想される時刻である。したがって、前回の通信可時刻に通信端末30から定常通信を受信しておらず通信可時刻および通信日時が重ならない場合は、その通信端末30を通信不可と判定しても良い。また、直近の通信可時刻のうち所定の回数以上に収集装置20が通信端末30から定常通信を受信していない場合は、その通信端末30を長期通信不可と判定しても良い。例えば、所定の回数を4回と設定したとき、直近4回の通信可時刻に収集装置20が通信端末30から定常通信を受信していない場合は、その通信端末30を長期通信不可と判定しても良い。
【0056】
また、通信状態判定部18は、次回の通信可時刻が現在日時と近い通信端末30が上位となるように通信端末30を順位付けしても良い。
【0057】
なお、通信状態判定部18は、通信可時刻と各種メンテナンスの予定に基づいて、第1実施形態と同様に通信端末30の通信状態を判定しても良い。つまり、ある通信端末30の通信可時刻とメンテナンス予定日時が重なる場合は、通信状態判定部18は、その日時は通信端末30を通信不可と判定しても良い。また同様に、通信可時刻算出部20は、その日時を通信可時刻から除外しても良い。
【0058】
なお、通信状態判定部18は、上記の条件を任意に組み合わせて通信端末30の通信状態を判定しても良い。
【0059】
ソフトウェア配信制御部19は、配信対象作成部17において作成し、通信状態判定部18において並べ替えた配信対象リストに基づいて、配信対象リストの最上位から下位に向かって順に、かつその通信端末30に対応する通信可時刻に、通信部11を介して配信対象の通信端末30にソフトウェアを配信する。また、ソフトウェア配信制御部は、同じ通信可時刻に対応する通信端末30が複数ある場合、同時配信判定部16において判定した同時配信数量に基づき、通信部11を介してソフトウェアを配信対象の通信端末30に同時配信する。
【0060】
次に、本実施形態に係る収集装置10がソフトウェアを配信する処理例について
図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、処理の開始に先立ち、通信端末情報管理部13は、通信端末30からの定常通信により通信端末情報13Aを取得しているものとする。なお、ステップS100からS102に対応するステップS200からS202は第1実施形態と同様で良いため、詳細な説明を省略する。
【0061】
ステップS202の後、通信可時刻算出部20が、配信対象の通信端末30の通信可時刻を算出する(ステップS203)。このとき、通信可時刻算出部20は、収集装置10が通信端末30から定常通信を受信する所定の期間または所定の日時等に基づいて、その通信端末30の通信可時刻を算出して通信端末情報管理部13に送信することで、通信端末情報13Aとして記録する。
【0062】
次に、通信状態判定部18が、配信対象リストの通信端末30を順位付けして並べ替える(ステップS204)。このとき、通信状態判定部18は、第1実施形態と同様に通信状態を判定しても良いし、ステップS203で算出した通信可時刻に基づいて通信状態を判定しても良い。そして、通信状態判定部18は、配信対象リストの通信端末30を通信可、通信不可、長期通信不可、保管状態の順に上位から順位付ける。そして、それぞれの通信状態毎に次回の通信可時刻が現在日時に近い順に通信端末30を順位付ける。
【0063】
次に、ソフトウェア配信制御部19が、通信部11を介して記憶部に記録されているソフトウェアを配信対象の通信端末30に配信する(ステップS205)。このとき、ステップS203において算出した通信可時刻に、ステップS204において順位付けた上位の通信端末30から順にソフトウェアを配信する。また、通信可時刻が同じ通信端末30が複数ある場合は、ステップS201において判定した同時配信数量に基づいて、配信対象の通信端末30に対してソフトウェアを同時配信する。そして、全ての配信対象の通信端末30に対してソフトウェアを配信した場合、処理を終了する。
【0064】
上述のように、本実施形態に係る収集装置10は、通信端末30の通信可時刻を算出することで、ソフトウェアを配信する際の通信が成功しやすいタイミングにソフトウェアを配信する。また、節電等のために定常通信を送信する時間以外は通信不可に制御する通信端末30に対しても、通信可になるタイミングでソフトウェアを配信できる。
【0065】
これにより、第1実施形態と同様の効果に加えて、ソフトウェア配信の成功率をより向上できるので、不必要な通信量を削減でき、所定期間における通信量の制御が容易になる。したがって、効率的にソフトウェアを配信することができる。
【0066】
なお、各実施形態において、例えば通信量、期間、日時等の基準値(閾値)を用いた任意の値の判定は、「任意の値が基準値以上か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値を超えているか否か」の判定でも良い。或いは、「任意の値が基準値以下か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値未満か否か」の判定でも良い。また、基準値が固定されるものでなく、変化するものであっても良い。従って、基準値の代わりに所定範囲の値を用い、任意の値が所定範囲に収まるか否かの判定を行っても良い。また、予め装置に生じる誤差を解析し、基準値を中心として誤差範囲を含めた所定範囲を判定に用いても良い。
【0067】
なお、各実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0068】
上述した各実施形態で説明した収集装置10の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、収集装置10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク部やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0069】
また、収集装置10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…通信システム、10…収集装置、11…通信部、12…記憶部、13…通信端末情報管理部、13A…通信端末情報、14…ソフトウェアダウンロード部、15…ソフトウェア登録部、16…同時配信判定部、17…配信対象作成部、18…通信状態判定部、19…ソフトウェア配信制御部、20…通信可時刻算出部、30…通信端末、50…通信経路。