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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068998
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】炭酸ガス溶解装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240514BHJP
   C12N 1/12 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
C12M1/00 E
C12M1/00 H
C12N1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179730
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】598123138
【氏名又は名称】学校法人 創価大学
(74)【代理人】
【識別番号】100175075
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康子
(72)【発明者】
【氏名】李 洪武
(72)【発明者】
【氏名】戸田 龍樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 佳樹
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA02
4B029BB01
4B029BB04
4B065AA83X
4B065AC09
4B065BC07
(57)【要約】
【課題】より効率的に液体内に炭酸ガスを溶解させることができる炭酸ガス溶解装置を提供する。
【解決手段】炭酸ガス溶解装置1は炭酸ガスを液体に溶解させるための培養槽20と、培養槽20に供給する液体を貯留する液体供給槽10と、液体供給槽10と培養槽20とを連通する気液供給路40と、気液供給路40を介して培養槽20に液体供給槽10内の液体を吐出するポンプ14と、炭酸ガスを含む気体を気液供給路40内に供給する気体供給部30と、培養槽20内で発生した余剰気体を気液供給路40内に還流する第1気体還流路60と、備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガスを液体に溶解させるための処理槽と、
前記処理槽に供給する前記液体を貯留する液体供給槽と、
前記液体供給槽と前記処理槽とを連通する気液供給路と、
前記気液供給路を介して前記処理槽に前記液体供給槽内の前記液体を吐出するポンプと、
炭酸ガスを含む気体を前記気液供給路内に供給する気体供給部と、
前記処理槽内で発生した余剰気体を前記気液供給路内に還流する第1気体還流路と、
を備える炭酸ガス溶解装置。
【請求項2】
さらに、前記液体供給槽内で発生した余剰気体を前記気液供給路内に供給する第2気体還流路を備える、請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項3】
さらに、前記処理槽の余剰液体を前記液体供給槽に還流する液体還流路を備える、請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項4】
前記気液供給路は、前記処理槽の下部に接続されている、請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項5】
前記気体供給部は、前記第1気体還流路よりも前記気液供給路内の液体流れ方向上流側で前記気体を供給する請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項6】
前記気体供給部は、前記第2気体還流路よりも前記液体供給路内の液体流れ方向上流側で前記気体を供給する請求項2に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項7】
前記気体供給部から前記液体供給路内に供給する前記気体の供給量を調整可能な気体制御部と、
前記処理槽に供給される炭酸ガス量に相関する状態値を検出可能な炭酸ガス状態検出部と、を備え、
前記気体制御部は、前記炭酸ガス状態検出部により検出された前記炭酸ガス量に相関する状態値に応じて前記気体の供給量を調整する、請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項8】
前記処理槽と前記液体供給槽との間では液体及び気体が密閉された中で循環する請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項9】
前記処理槽には、藻類が懸濁された培養液が貯留されている、請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項10】
さらに、前記処理槽の余剰液体を前記液体供給槽に還流する液体還流路を備え、
前記処理槽は、前記藻類と前記培養液とを分離する分離膜により区画されており、
前記分離膜により前記藻類が分離された培養液が前記液体供給槽に還流される、請求項9に記載の炭酸ガス溶解装置。
【請求項11】
前記処理槽には、水が貯留されており、
前記気体供給部は、前記気体として、メタンガスと前記炭酸ガスとを含むバイオガスを、前記気液供給路内に供給する請求項1に記載の炭酸ガス溶解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば微細藻類の培養やバイオガスの精製に適用可能な炭酸ガス溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー、食品、化粧品等の様々な分野において微細藻類の利用が注目されている。微細藻類の培養は、微細藻類を含む培養液が貯留された培養槽に炭酸ガス(二酸化炭素:CO)を含む気体を供給することで行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、畜糞、生ゴミ、廃水等の有機性廃棄物等のバイオマスをメタン発酵させて生じたバイオガスの利用も注目されている。バイオガスは一般的にメタンガス(CH)が6割程度、炭酸ガスが4割程度からなり、このメタンガスと炭酸ガスを分離(バイオガス精製)することで、それぞれに適した用途で使用することが可能となる。
【0004】
微細藻類の培養やバイオガス精製のいずれの場合においても、液体内に無駄なく炭酸ガスを溶解させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-65992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より効率的に液体内に炭酸ガスを溶解させることができる炭酸ガス溶解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、本発明は、炭酸ガスを液体に溶解させるための処理槽と、前記処理槽に供給する前記液体を貯留する液体供給槽と、前記液体供給槽と前記処理槽とを連通する気液供給路と、前記気液供給路を介して前記処理槽に前記液体供給槽内の前記液体を吐出するポンプと、炭酸ガスを含む気体を前記気液供給路内に供給する気体供給部と、前記処理槽内で発生した余剰気体を前記気液供給路内に還流する第1気体還流路と、を備える炭酸ガス溶解装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、より効率的に液体内に炭酸ガスを溶解させることができる炭酸ガス溶解装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る炭酸ガス溶解装置の全体構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る培養槽の詳細図である。
図3】気液供給路の詳細図である。
図4】本実施形態の炭酸ガス溶解装置を使用した場合の溶解炭酸ガス濃度とpH値の時間推移を示すグラフである。
図5】本発明の第2実施形態に係る炭酸ガス溶解装置の全体構成図である。
図6】培養槽の第1変形例を示す構成図である。
図7】培養槽の第2変形例を示す構成図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る炭酸ガス溶解装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る炭酸ガス溶解装置の全体構成図であり、図2は培養槽の詳細図であり、図3は気液供給路の詳細図である。以下、これらの図に沿って第1実施形態について説明する。
【0012】
第1実施形態における炭酸ガス溶解装置1は、具体的には微細藻類の培養装置である。図1に示すように炭酸ガス溶解装置1は、主に液体供給槽10、培養槽20、気体供給部30を有している。なお、培養槽20は説明の簡略化のため第1培養槽20a及び第2培養槽20bの2つのみを例に説明するが、3つ以上の培養槽を有していてもよい。
【0013】
微細藻類とは、光合成により炭酸ガス(二酸化炭素:CO)から酸素を生成可能な微生物(主に植物プランクトン)であり、1個体が1μm~数十μm程度の大きさである。微細藻類の種類は特に限定されないが、例えば、緑藻類、灰色藻類、紅色藻類、クロララクニオン藻類、ユーグレナ類、クリプト藻類、褐藻類、ハプト藻類、不等毛藻類、渦鞭毛藻類、クロメラ藻類、藍藻類、等がある。
【0014】
液体供給槽10は、培養液を貯留する容器である。液体供給槽10の形状は、立方体でも、円筒状であってもよいが、密閉状態を形成できる容器である。培養液は、水と微細藻類の栄養分となる栄養塩とが含まれる培地に、微細藻類が懸濁されたものである。栄養塩には、例えば窒素、リン、硫黄、無機金属イオン(K、Mg2+、Fe2+、Mn2+等)が含まれる。
【0015】
液体供給槽10には、上面が閉じた円筒状の中央管11が上下方向に延びており、上部には後述する液体還流路50の一端が接続されている。また、液体供給槽10の培養液内にはCOセンサ12と、pHセンサ13が設けられている。COセンサ12は液体供給槽10内の培養液の炭酸ガス濃度を検出可能であり、pHセンサ13は培養液のpH値を検出可能である。炭酸ガス濃度及びpH値はいずれも培養槽20に供給される炭酸ガス量に相関する状態値である。
【0016】
液体供給槽10の側壁下部には、気液供給路40の一端が接続されている。気液供給路40の他端は第1培養槽20aの側壁下部と接続されており、気液供給路40は液体供給槽10と第1培養槽20aと第2培養槽20bを連通している。
【0017】
液体供給槽10には、気液供給路40を介して第1培養槽20aと第2培養槽20bに液体供給槽10内の培養液を吐出するポンプ14が設けられている。
【0018】
第1培養槽20a及び第2培養槽20bは、微細藻類を培養するための容器であって、気液供給路40から培養液と共に供給される炭酸ガスを培養液内に溶解させて、二酸化炭素を微細藻類に供給する処理槽でもある。
【0019】
具体的には図2に示すように、本実施形態の第1培養槽20a及び第2培養槽20bは、いわゆるフラットパネルリアクターであり、幅の狭い中空の直方体容器である。第1培養槽20aと第2培養槽20bとは互いの影に入らないよう所定の間隔をあけて立設されている。第1培養槽20aと第2培養槽20bとは互いの側壁上部間が連結路21により接続されて連通されている。第1培養槽20aにて余剰となった培養液は、連結路21を介して第2培養槽20bに供給される。
【0020】
第2培養槽20bには、側壁上部に液体還流路50の他端が接続されており、液体還流路50を介して上述の液体供給槽10の中央管11と連通されている。第2培養槽20bにて余剰となった培養液は、液体還流路50を介して中央管11、すなわち液体供給槽10に還流される。
【0021】
また、第2培養槽20b(端末培養槽)の上壁には、第1気体還流路60が接続されている。なお、第1培養槽20aの上壁から第1気体還流路60と連通する接続路が延びていてもよい。第1気体還流路60の一端は気液供給路40に接続されている。第1気体還流路60には、余剰気体の逆流(還流とは逆向きの流れ)を防ぐ逆止弁61が設けられている。第1培養槽20a及び第2培養槽20bにて余剰となった気体(酸素や炭酸ガス)は、この第1気体還流路60を介して気液供給路40に還流される。
【0022】
気体供給部30は、主に炭酸ガスボンベ31と、当該炭酸ガスボンベ31と気液供給路40とを接続する気体供給路32と、を有している。
【0023】
炭酸ガスボンベ31は、気液供給路40への炭酸ガスの供給源であり、加圧された炭酸ガスが貯留されている。炭酸ガスボンベ31には、炭素ガスの供給量を調整可能な流量調整弁33と、炭素ガスの供給量を検出可能な流量計34が設けられている。
【0024】
気体供給路32は、一端が流量調整弁33を介して炭酸ガスボンベ31と接続されており、他端が気液供給路40と接続されている。気体供給路32には炭酸ガスボンベ31からの気体の逆流を防ぐ逆止弁35が設けられている。流量調整弁33にて調整された供給量にて炭酸ガスが気液供給路40に供給される。
【0025】
気液供給路40は、上述の通り液体供給槽10と第1培養槽20a及び第2培養槽20bとを連通しており、且つ気体供給路32、第1気体還流路60、第2気体還流路70が接続されている。第2気体還流路70は、液体供給槽10の中央管11上部と接続されている。第2気体還流路70には、余剰気体の逆流(還流とは逆向きの流れ)を防ぐ逆止弁71が設けられている。液体供給槽10にて余剰となった気体(酸素や炭酸ガス)は、この第2気体還流路70を介して気液供給路40に還流される。
【0026】
気液供給路40は、例えば5~10m、内径10~20mmの可撓性のあるチューブ部材である。具体的には気液供給路40は、図3に示すように、ポンプ14から第1培養槽20aへの培養液の流れに対して、気体供給路32、第2気体還流路70、第1気体還流路60の順に接続されている。つまり、気体供給路32は、第1気体還流路60及び第2気体還流路70よりも、気液供給路40内の培養液の流れ方向上流側で、炭酸ガスを含む気体が供給される構成となっている。
【0027】
また、これら気体供給路32、第2気体還流路70、第1気体還流路60と、気液供給路40とは、それぞれY字接手41、42、43を介して接続されている。つまり、気体供給路32から供給される気体、第1気体還流路60及び第2気体還流路70から還流される気体は、ポンプ14から吐出される培養液の流れを妨げず、効率よく混入される。気液供給路40は、上流側のY字接手41から中央のY字接手42までが気液供給路全体の長さの半分以上を占める長さであり(本実施形態では5m)中央のY字接手42から第1培養槽20aとの接続部までの長さはそれよりも短い(例えば2~3m)。そして、第1培養槽20a及び第2培養槽20b内に位置する気液供給路40には周面に複数の孔40aが形成されている。この各孔40aから培養液が流出することで、第1培養槽20a及び第2培養槽20b内に培養液が供給される。
【0028】
また、炭酸ガス溶解装置1は、炭酸ガス溶解装置1における各種制御を実行する制御ユニット80(気体制御部)を有している。制御ユニット80は、CPU等の演算処置部、メモリ、ハードディスク等の記憶部を含み、プログラムに従った演算処理を行うコンピュータ端末である。制御ユニット80は、専用のマイコンであってもよいし、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の汎用の情報端末を用いてもよい。
【0029】
制御ユニット80には、上述のCOセンサ12、pHセンサ13、流量調整弁33、流量計34等がそれぞれ電気的に接続されている。制御ユニット80は、COセンサ12及びpHセンサ13により、液体供給槽10内の培養液の炭酸ガス濃度及びpH値を監視し、炭酸ガス濃度及びpH値に応じて流量調整弁33を制御して、気液供給路40を介して第1培養槽20aと第2培養槽20bに供給する炭酸ガスの量を制御可能である。図4に示すように、本実施形態の炭酸ガス溶解装置1を使用していくと、溶解炭酸ガス濃度が上昇し、pH値は低くなる傾向となる。
【0030】
例えば、COセンサ12により検出される炭酸ガス濃度が培養液内で飽和状態に相当する濃度となるよう流量調整弁33をフィードバック制御する。具体的には、制御ユニット80は、検出される炭酸ガス濃度が所定の濃度以上にある場合は流量調整弁33を閉じ、所定の濃度以下となった場合には流量調整弁33を開く。流量調整弁33を開く場合、制御ユニット80は検出される炭酸ガス濃度と所定の濃度との差分が大きくなるほど、炭酸ガスボンベ31から供給される炭酸ガス量を多くするよう流量調整弁33を開いていくのが好ましい。
【0031】
また、pHセンサ13に基づく流量調整弁33の制御は、培養槽20にて培養される微細藻類に応じて適した所定のpH値が制御ユニット80に設定されており、当該所定のpH値となるように流量調整弁33をフィードバック制御する。なお、制御ユニット80は、COセンサ12に基づく制御と、pHセンサ13に基づく制御を同時並行で行ってもよいし、どちらか一方のみを行ってもよい。
【0032】
本実施形態の炭酸ガス溶解装置1では、通常時において、培養槽20と液体供給槽10との間で液体及び気体が密閉された中で循環するように構成されている。図示しないが、液体供給槽10の少なくとも1か所に内圧が所定圧以上になった場合に開弁して内圧を下げるための排気弁が設けられてる。なお、排気弁は第1培養槽20a、第2培養槽20bのいずれか又は両方に設けられてもよい。例えば本実施形態では、第2培養槽20bの上壁に排気弁63が設けられている。排気弁が開弁する圧力は、炭酸ガスの溶解効率を高めるため、大気圧より高い値であることが好ましい。
【0033】
以上のように構成された炭酸ガス溶解装置1は、液体供給槽10内のポンプ14が駆動することで、液体供給槽10内の培養液が気液供給路40を介して第1培養槽20aと第2培養槽20bに供給される。
【0034】
気液供給路40では、培養液に加えて、気体供給路32から供給される炭酸ガスを含む気体、第2気体還流路70から液体供給槽10で余剰となった気体、第1気体還流路60から第2培養槽20b(端末培養槽)で余剰となった気体、のいずれか又は全てが混入された溶存無機炭素混入液の状態溶存二酸化炭素と非溶存二酸化炭素(マイクロバブル状態)を含む)で、第1培養槽20aと第2培養槽20bに吐出される。なお、気体供給部30からの炭酸ガスを含む気体の供給がなく、液体供給槽10で余剰の気体がなく、第2培養槽20bで余剰の気体がない場合は、液体供給槽10内の培養液がそのまま第1培養槽20aと第2培養槽20bに供給される。
【0035】
気液供給路40から第1培養槽20aと第2培養槽20bに供給された培養液は、内部に含まれる炭酸ガスが第1培養槽20aと第2培養槽20b内にて溶解されていく。第1培養槽20a内で炭酸ガスが溶解した培養液は連結路21を介して第2培養槽20bに供給される。さらに、第2培養槽20bにて余剰となった培養液は、液体還流路50を介して液体供給槽10に還流される。
【0036】
また、第1培養槽20a及び第2培養槽20bにおいて培養液に溶解した炭酸ガスは、微細藻類の光合成により一部消費されて酸素が生成され、消費されずに余った炭酸ガスと、生成された酸素とを含む余剰気体は第1気体還流路60を介して、気液供給路40に還流される。
【0037】
さらに、液体供給槽10においても、液体供給源としての培養液や第2培養槽20bから還流された培養液にそれぞれ含まれ余剰となった炭酸ガスが第2気体還流路70を介して気液供給路40に還流される。
【0038】
このように本実施形態の炭酸ガス溶解装置1は、液体供給槽10から培養槽20に培養液を供給する気液供給路40において、気体供給部30からの炭酸ガスに加えて、第1気体還流路60から培養槽20で発生した余剰空気が還流される構成をなしている。このように培養槽20にて消費されなかった炭酸ガスを気液供給路40に戻して培養槽20に循環させることで、気体供給部30から供給した炭酸ガスを無駄なく効率的に溶解させることができる。
【0039】
さらに、液体供給槽10内で発生した余剰気体も第2気体還流路70を介して気液供給路40内に供給することで、さらに効率よく炭酸ガスを培養槽20にて溶解させることができる。
【0040】
また、培養槽20の余剰液体を、液体還流路50を介して液体供給槽10に還流することで、培養液を循環させて再度利用することができる。
【0041】
気液供給路40は、第1培養槽20aと第2培養槽20bの下部に連通されていることで、第1培養槽20aと第2培養槽20bにおける水面までの高さが最大限確保される。これにより、第1培養槽20aと第2培養槽20b内で比較的高い水圧がかかる中で、且つ高さ方向に広い範囲で炭酸ガスを溶解させることができ、炭酸ガスを溶解する効率をさらに高めることができる。
【0042】
また、気液供給路40において、気体供給部30の気体供給路32が第1気体還流路60及び第2気体還流路70よりも、培養液の流れ方向上流側に接続されていることで、純度の高い炭酸ガスほど溶解する距離をより多く確保することができる。
【0043】
さらに、制御ユニット80により、液体供給槽10における培養液の炭酸ガス濃度やpH値に基づいて流量調整弁33をフィードバック制御することで、必要最小限の炭酸ガス供給量で適切な炭酸ガス濃度やpH値を維持することができる。
【0044】
また、通常時において液体供給槽10と培養槽20との間で液体及び気体を密閉された中で循環させることで、炭酸ガスの大気への放出を抑えることができる。また、培養槽20の内圧を高めることができ、大気圧状態よりも炭酸ガスの溶解効率を向上させることができる。
【0045】
以上のように、本実施形態の炭酸ガス溶解装置1によれば、より効率的に培養槽20の培養液内に炭酸ガスを溶解させることができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に本発明の炭酸ガス溶解装置の第2実施形態について説明する。図5は本発明の第2実施形態に係る炭酸ガス溶解装置の全体構成図である。
【0047】
第2実施形態における炭酸ガス溶解装置2は、第1実施形態と同様に微細藻類の培養装置であり、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付し詳しい説明を省略する。
【0048】
第2実施形態の炭酸ガス溶解装置2は、培養槽23の第1培養槽23a及び第2培養槽23bのそれぞれが、微細藻類と培養液とを分離する第1分離膜24a、第2分離膜24bにより区画されている。第1分離膜24a及び第2分離膜24bは、特に限定されるものではなく、微細藻類を分離できるものであれば既知のものでよい。
【0049】
連結路21は、第1培養槽23aにおいて、第1分離膜24aよりも下流側に接続されている。つまり、連結路21は第1分離膜24aにより微細藻類が分離された培養液を第2培養槽23bに供給する。
【0050】
液体還流路50は第2培養槽23bにおいて、第2分離膜24bよりも下流側に接続されている。つまり、液体還流路50は第2分離膜24bにより微細藻類が分離された培養液を液体供給槽10に還流する。
【0051】
このように構成された第2実施形態の炭酸ガス溶解装置2では、第1実施形態の炭酸ガス溶解装置1と同様の効果を奏することができる。また、培養槽20ごとに微細藻類が分離されて培養液が循環することから、連結路21、液体還流路50、液体供給槽10のメンテナンスが容易となる。また、培養槽23ごとに異なる微細藻類を培養することも可能となる。
【0052】
<培養槽の変形例>
第1実施形態及び第2実施形態における培養槽20、23は、図2に示したフラットパネルリアクターを例に説明したが、培養槽の構成はこれに限られるものではない。図6には培養槽の第1変形例が、図7には培養槽の第2変形例が、がそれぞれ示されているおり、以下これらの図に基づき培養槽の変形例について説明する。
【0053】
図6に示す第1変形例の培養槽25は、いわゆるバブルカラムリアクターであり、円筒状の容器からなる第1培養槽25a及び第2培養槽25bからなる。一方の第1培養槽25aの側壁下部に気液供給路40が接続され、第1培養槽25aと第2培養槽25bとは側壁上部にて互いに連結路21を介して接続されている。また、第2培養槽25bには液体還流路50が接続されている。第1培養槽25a及び第2培養槽25bの上面には第1気体還流路60が接続されている。
【0054】
また図示しないが培養槽は、いわゆるチューブラーリアクターであってもよい。例えば、チューブラーリアクターは縦方向に蛇行した循環路を形成する管状の容器からなる。一側(上流側)の管状部の側壁下部には気液供給路が接続され、下流側の管状部の側壁上部には液体還流路が接続される。また、各管状部の上面には第1気体還流路が接続される。
【0055】
図7に示す第2変形例の培養槽27は、いわゆる垂直型のバッグリアクターであり、可撓性の軟質樹脂からなる袋を縦に配置した第1培養槽27a及び第2培養槽27bからなる。一方の第1培養槽27aの側壁下部に気液供給路40が接続され、第1培養槽27aと第2培養槽27bとは側壁上部にて互いに連結路21を介して接続されている。また、第2培養槽27bには液体還流路50が接続されている。第1培養槽27a及び第2培養槽27bの上面には第1気体還流路60が接続されている。
【0056】
また図示しないが、培養槽は、いわゆる水平型のバッグリアクターであってもよい。その場合、可撓性の軟質樹脂からなる袋を横に寝かした状態で配置した第1培養槽及び第2培養槽からなる。
【0057】
<第3実施形態>
次に本発明の炭酸ガス溶解装置の第3実施形態について説明する。図8は本発明の第3実施形態に係る炭酸ガス溶解装置の全体構成図である。
【0058】
第3実施形態における炭酸ガス溶解装置3は、具体的にはバイオガスの精製装置である。図8に示すように炭酸ガス溶解装置3は、主に液体供給槽110、処理槽120、気体供給部130を有している。なお、処理槽120は説明の簡略化のため第1処理槽120a及び第2処理槽120bの2つのみを例に説明するが、3つ以上の処理槽を有していてもよい。
【0059】
バイオガスとは、畜糞、生ゴミ、廃水等の有機性廃棄物等のバイオマスをメタン発酵させて生じる気体であり、精製前はメタンガス(CH)が6割程度、炭酸ガスが4割程度からなる。本実施形態の炭酸ガス溶解装置3による精製後の高純度のメタンガスは例えばバイオ燃料として使用され、炭酸ガスが溶解した酸性の処理液はアルカリ中和剤として使用される。
【0060】
液体供給槽110は、処理液を貯留する容器である。液体供給槽110の形状は、立方体でも、円筒状であってもよいが、密閉状態を形成できる容器である。処理液は、主に水である。
【0061】
液体供給槽110には、上面が閉じた円筒状の中央管111が上下方向に延びており、上部には後述する液体還流路150の一端が接続されている。また、液体供給槽110の処理液内にはCOセンサ112と、pHセンサ113が設けられている。COセンサ112は液体供給槽110内の処理液の炭酸ガス濃度を検出可能であり、pHセンサ113は処理液のpH値を検出可能である。炭酸ガス濃度及びpH値はいずれも処理槽120に供給される炭酸ガス量に相関する状態値である。
【0062】
液体供給槽110の側壁下部には、気液供給路140の一端が接続されている。気液供給路140の他端は第1処理槽120aの側壁下部と接続されており、気液供給路140は液体供給槽110と第1処理槽120aと第2処理槽120bを連通している。
【0063】
液体供給槽110には、気液供給路140を介して第1処理槽120aと第2処理槽120bに液体供給槽110内の培養液を吐出するポンプ114が設けられている。
【0064】
第1処理槽120a及び第2処理槽120bは、バイオガスを精製するための容器であって、気液供給路140から処理液と共に供給されるバイオガスに含まれる炭酸ガスを処理液内に溶解させるための容器である。
【0065】
具体的には第1実施形態と同様に図2に示したフラットパネルリアクターでよい。第1処理槽120aと第2処理槽120bとは互いの側壁上部間が連結路121により接続されて連通されている。第1処理槽120aにて余剰となった処理液は、連結路121を介して第2処理槽120bに供給される。
【0066】
第2処理槽120bには、側壁上部に液体還流路150の他端が接続されており、液体還流路150を介して上述の液体供給槽110の中央管111と連通されている。第2処理槽120bにて余剰となった処理液は、液体還流路150を介して中央管111、すなわち液体供給槽110に還流される。
【0067】
また、第2処理槽120b(端末処理槽)の上壁には、第1気体還流路160が接続されている。なお、第1培養槽20aの上壁から第1気体還流路60と連通する接続路が延びていてもよい。第1気体還流路160の一端は気液供給路140に接続されている。第1気体還流路160には、第1処理槽120aと第2処理槽120bとの間、第1処理槽120aと気液供給路140との間には、余剰気体の逆流(還流とは逆向きの流れ)を防ぐ逆止弁161、162が設けられている。第1処理槽120a及び第2処理槽120bにて余剰となった気体(メタンガスや炭酸ガス)は、この第1気体還流路160を介して気液供給路140に還流される。
【0068】
気体供給部130は、主にメタン発酵槽131と、当該メタン発酵槽131と気液供給路140とを接続する気体供給路132と、を有している。
【0069】
メタン発酵槽131は、気液供給路140への炭酸ガスを含むバイオガスの供給源である。具体的には、メタン発酵槽131では、畜糞、生ゴミ等の有機性廃棄物や食品加工廃水、浸出液等の有機性廃水を基質として、嫌気性菌によりメタン発酵が行われる。嫌気性菌としては、例えば、下水汚泥を処理対象としたメタン発酵処理施設から入手した嫌気性消化汚泥を用いてもよい。メタン発酵槽131には、バイオガスの供給量を調整可能な流量調整弁133と、バイオガスの供給量を検出可能な流量計134が設けられている。
【0070】
気体供給路132は、一端が流量調整弁133を介してメタン発酵槽131と接続されており、他端が気液供給路140と接続されている。気体供給路132にはメタン発酵槽131からの気体の逆流を防ぐ逆止弁135が設けられている。流量調整弁133にて調整された供給量にて炭酸ガスが気液供給路140に供給される。
【0071】
気液供給路140は、上述の通り液体供給槽110と第1処理槽120aとを接続しており、且つ気体供給路132、第1気体還流路160、第2気体還流路170が接続されている。第2気体還流路170は、液体供給槽110の中央管111上部と接続されている。第2気体還流路170には、余剰気体の逆流(還流とは逆向きの流れ)を防ぐ逆止弁171が設けられている。液体供給槽110にて余剰となった気体(メタンガスや炭酸ガス)は、この第2気体還流路170を介して気液供給路140に還流される。
【0072】
気液供給路140は、例えば5~10m、内径10~20mmの可撓性のあるチューブ部材である。具体的には気液供給路140は、第1実施形態と同様に、ポンプ114から第1処理槽120aへの処理液の流れに対して、気体供給路132、第2気体還流路170、第1気体還流路160の順に接続されている。つまり、気体供給路132は、第1気体還流路160及び第2気体還流路170よりも、気液供給路140内の処理液の流れ方向上流側で、バイオガスが供給される構成となっている。
【0073】
また、これら気体供給路132、第2気体還流路170、第1気体還流路160と、気液供給路140とは、第1実施形態と同様にそれぞれY字接手を介して接続されている。つまり、気体供給路132から供給される気体、第1気体還流路160及び第2気体還流路170から還流される気体は、ポンプ114から吐出される処理液の流れを妨げず、効率よく混入される。気液供給路40は、上流側のY字接手から中央のY字接手の接続部までが気液供給路全体の長さの半分以上を占める長さである(本実施形態では5m)。中央のY字接手から第1処理槽120aとの接続部までの長さはそれよりも短い(例えば2~3m)。そして、第1処理槽120a及び第2処理槽120b内に位置する気液供給路140には周面に複数の孔(図示せず)が形成されている。この各孔から処理液が流出することで、第1処理槽120a及び第2処理槽120b内に処理液が供給される。
【0074】
また、炭酸ガス溶解装置3は、炭酸ガス溶解装置3における各種制御を実行する制御ユニット180(気体制御部)を有している。制御ユニット180は、CPU等の演算処置部、メモリ、ハードディスク等の記憶部を含み、プログラムに従った演算処理を行うコンピュータ端末である。制御ユニット180は、専用のマイコンであってもよいし、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の汎用の情報端末を用いてもよい。
【0075】
制御ユニット180には、上述のCOセンサ112、pHセンサ113、流量調整弁133、流量計134等がそれぞれ電気的に接続されている。制御ユニット180は、COセンサ112及びpHセンサ113により、液体供給槽110内の処理液の炭酸ガス濃度及びpH値を監視し、炭酸ガス濃度及びpH値に応じて流量調整弁133を制御して、気液供給路140を介して第1処理槽120aと第2処理槽120bに供給するバイオガスの量を制御可能である。
【0076】
例えば、COセンサ112により検出される炭酸ガス濃度が処理液内で所定の濃度となるよう流量調整弁133をフィードバック制御する。具体的には、制御ユニット180は、検出される炭酸ガス濃度が所定の濃度以上にある場合は流量調整弁133を閉じ、所定の濃度以下となった場合には流量調整弁133を開く。流量調整弁133を開く場合、制御ユニット180は検出される炭酸ガス濃度と所定の濃度との差分が大きくなるほど、メタン発酵槽131から供給されるバイオガス量を多くするよう流量調整弁133を開いていくのが好ましい。
【0077】
また、pHセンサ113に基づく流量調整弁133の制御は、処理液の用途(例えば化粧品等)に応じて適した所定のpH値が制御ユニット180に設定されており、当該所定のpH値となるように流量調整弁133をフィードバック制御する。なお、制御ユニット180は、COセンサ112に基づく制御と、pHセンサ113に基づく制御を同時並行で行ってもよいし、どちらか一方のみを行ってもよい。
【0078】
本実施形態の炭酸ガス溶解装置3では、通常時において、処理槽120と液体供給槽110との間で液体及び気体が密閉された中で循環するように構成されている。図示しないが、液体供給槽110の少なくとも1か所に内圧が所定圧以上になった場合に開弁して内圧を下げるための排気弁が設けられてる。なお、排気弁は第1処理槽120a、第2処理槽120bのいずれか又は両方に設けられてもよい。例えば本実施形態では、第2処理槽120bの上壁に排気弁163が設けられている。排気弁が開弁する圧力は、炭酸ガスの溶解効率を高めるため、大気圧より高い値であることが好ましい。
【0079】
以上のように構成された炭酸ガス溶解装置3は、液体供給槽110内のポンプ114が駆動することで、液体供給槽110内の処理液が気液供給路140を介して第1処理槽120aと第2処理槽120bに供給される。
【0080】
気液供給路140では、処理液に加えて、気体供給路32から供給されるバイオガス(炭酸ガスを含む気体)、第2気体還流路170から液体供給槽110で余剰となった気体、第1気体還流路160から第2処理槽120b(端末処理槽)で余剰となった気体、のいずれか又は全てが混入された溶存無機炭素混入液の状態(溶存二酸化炭素と非溶存二酸化炭素(いわゆるマイクロバブル状態)を含む)で、第1処理槽120aに吐出される。なお、気体供給部130からのバイオガスの供給がなく、液体供給槽110で余剰の気体がなく、且つ第1処理槽120a及び第2処理槽120bで余剰の気体がない場合は、液体供給槽110内の処理液がそのまま第1処理槽120aと第2処理槽120bに供給される。
【0081】
気液供給路140から第1処理槽120aと第2処理槽120bに供給された処理液は、バイオガス内の炭酸ガスが第1処理槽120aと第2処理槽120b内にて溶解されていく。第1処理槽120a内で炭酸ガスが溶解した処理液は連結路121を介して第2処理槽120bに供給される。さらに、第2処理槽120bにて余剰となった処理液は、液体還流路150を介して液体供給槽110に還流される。
【0082】
また、第1処理槽120a及び第2処理槽120bにおいて処理液に溶解されずに余った炭酸ガスと、メタンガスとを含む余剰気体は第1気体還流路160を介して、気液供給路140に還流される。
【0083】
さらに、液体供給槽110においても、液体供給源としての処理液や第2処理槽120bから還流された処理液にそれぞれ含まれ余剰となった炭酸ガスやメタンガスが第2気体還流路170を介して気液供給路140に還流される。
【0084】
このように本実施形態の炭酸ガス溶解装置3は、液体供給槽110から処理槽120に処理液を供給する気液供給路140において、気体供給部130からのバイオガスに加えて、第1気体還流路160から処理槽120で発生した余剰空気が還流される構成をなしている。このように処理槽120にて溶解されなかった炭酸ガスを気液供給路140に戻して処理槽120に循環させることで、気体供給部130から供給したバイオガスから無駄なく効率的に炭酸ガスを溶解させることができる。
【0085】
さらに、液体供給槽110内で発生した余剰気体も第2気体還流路170を介して気液供給路140内に供給することで、さらに効率よく炭酸ガスを処理槽120にて溶解させることができる。
【0086】
また、処理槽120の余剰液体を、液体還流路150を介して液体供給槽110に還流することで、処理液を循環させて再度利用することができる。
【0087】
気液供給路140は、第1処理槽120aと第2処理槽120bの下部に連通されていることで、第1処理槽120aと第2処理槽120bにおける水面までの高さが最大限確保される。これにより、第1処理槽120aと第2処理槽120b内で比較的高い水圧がかかる中で、且つ高さ方向に広い範囲で炭酸ガスを溶解させることができ、炭酸ガスを溶解する効率をさらに高めることができる。
【0088】
また、気液供給路140において、気体供給部130の気体供給路132が第1気体還流路160及び第2気体還流路170よりも、処理液の流れ方向上流側に接続されていることで、純度の高いバイオガスほど炭酸ガスが溶解する距離をより多く確保することができる。
【0089】
さらに、制御ユニット180により、液体供給槽110における処理液の炭酸ガス濃度やpH値に基づいて流量調整弁133をフィードバック制御することで、必要最小限の炭酸ガス供給量で適切な炭酸ガス濃度やpH値を維持することができる。
【0090】
また、通常時において液体供給槽110と処理槽120との間で液体及び気体を密閉された中で循環させることで、炭酸ガスの大気への放出を抑えることができる。また、処理槽120の内圧を高めることができ、大気圧状態よりも炭酸ガスの溶解効率を向上させることができる。
【0091】
以上のように、本実施形態の炭酸ガス溶解装置3によれば、より効率的に処理槽120の処理液内に炭酸ガスを溶解させることができる。つまり、より効率的なバイオガス精製を実現できる。
【0092】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0093】
例えば、上記実施形態では、CO2センサ、pHセンサを用いて炭酸ガス量に相関する状態値を検出しているが、当該炭酸ガス濃度に相関する状態値を検出する手段はこれに限られるものではない。例えば、処理槽(培養槽)をカメラ等で撮影し、気液供給路から処理槽(培養槽)に生じる気泡の量、又は大きさ等を画像認識することで炭酸ガス濃度に相関する状態値を検出してもよい。気泡が発生し、気泡が多い又は大きいほど処理槽内の炭酸ガス濃度が高い状態を示している。
【0094】
また上記実施形態は制御ユニットにより流量制御弁を制御しているが、流量調整弁を手動で制御してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1、2、3 炭酸ガス溶解装置
10 :液体供給槽
11 :中央管
12 :COセンサ
13 :pHセンサ
14 :ポンプ
20 :培養槽
20a :第1培養槽
20b :第2培養槽
21 :連結路
23、25、27 培養槽
23a、25a、27a 第1培養槽
23b、25b、27b 第2培養槽
24a :第1分離膜
24b :第2分離膜
30 :気体供給部
31 :炭酸ガスボンベ
32 :気体供給路
33 :流量調整弁
34 :流量計
40 :気液供給路
40a :孔
41、42、43 :Y字接手
50 :液体還流路
60 :第1気体還流路
70 :第2気体還流路
80 :制御ユニット
110 :液体供給槽
111 :中央管
112 :COセンサ
113 :pHセンサ
115 :ポンプ
120 :処理槽
120a :第1処理槽
120b :第2処理槽
121 :連結路
130 :気体供給部
131 :メタン発酵槽
132 :気体供給路
133 :流量調整弁
134 :流量計
140 :気液供給路
150 :液体還流路
160 :第1気体還流路
163 :排気弁
170 :第2気体還流路
180 :制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8