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  • 特開-水底堆積土砂の吸引装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069006
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】水底堆積土砂の吸引装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/92 20060101AFI20240514BHJP
   E02F 3/88 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
E02F3/92 B
E02F3/88 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179753
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 謙
(72)【発明者】
【氏名】浅野 均
(72)【発明者】
【氏名】神野 兼次
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 太三
(72)【発明者】
【氏名】大橋 英紀
(57)【要約】
【課題】大がかりな設備を必要とせず、水底の土砂を選択的に吸引でき、吸引の際の詰まりを防止する。
【解決手段】本発明に係る吸引装置1は、水底の堆積土砂の表面から上方に離隔して配置される中空殻体構造からなるカバー体2と、前記カバー体2の内部に吹出口3aが位置し、堆積土砂に向けて高圧水を噴射することにより堆積土砂を舞い上げる高圧水ホース3と、前記カバー体2の内部に吸込口4aが位置し、舞い上がった堆積土砂を吸い上げる吸引ホース4とを備え、前記カバー体2の下板2aに多数の開口5が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底の堆積土砂の表面から上方に離隔して配置される中空殻体構造からなるカバー体と、前記カバー体の内部に吹出口が位置し、堆積土砂に向けて高圧水を噴射することにより堆積土砂を舞い上げる高圧水ホースと、前記カバー体の内部に吸込口が位置し、舞い上がった堆積土砂を吸い上げる吸引ホースとを備え、
前記カバー体の下板に多数の開口が形成されていることを特徴とする水底堆積土砂の吸引装置。
【請求項2】
前記カバー体の側板に多数の開口が形成され、前記開口が形成された側板の下部に側方に突出する突出板が設けられている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置。
【請求項3】
前記開口が仕切部を介して多数列設された細長いスリットによって形成され、
前記仕切部の断面形状が前記カバー体の外側に向けて鋭利な刃状に形成されている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置。
【請求項4】
前記カバー体に、水底との距離を一定に保持するとともに、横方向の障害物を検知するためのレーダー装置が設けられている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置。
【請求項5】
前記開口の目詰まりを解消するため、前記高圧水ホースの吹出口が前後左右上下の各方向に移動できるように構成されている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置。
【請求項6】
前記吸引ホースの目詰まりを解消するため、前記高圧水ホースの高圧水を前記吸引ホースに逆噴射させる機構が備えられている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム底、湖沼底、海底などの水底に堆積した土砂を吸引する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダムは通常100年分の堆砂容量を見込んで計画されているが、想定以上に土砂の堆積が進むダムもあるため、堆砂対策が必要である。
【0003】
水底堆積土砂の浚渫方法としては、例えば次の方法が従来より知られている。第1の方法は、陸上に設置した油圧ショベルなどの重機によって掘削する方法である。第2の方法は、例えば特許文献1などに開示されるように、台船上のクレーンの先端に取り付けられた浚渫用バケットを用いて浚渫する方法である。第3の方法は、例えば特許文献2などに開示されるように、加圧水が吸込管内に供給されることで当該管内に負圧を生成し吸引力を生ぜしめて吸込口からの揚砂を可能とするエジェクターを用いた方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-64338号公報
【特許文献2】特開2010-36151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、重機によって掘削する上述の第1の方法では、重機が移動可能な範囲しか浚渫することができず、ダムの中央部など、重機が入れない場所は対応できない。また、事前にダムの水位を下げるなどの準備や対応が必要となる。
【0006】
浚渫用バケットを備えた浚渫船によって浚渫する第2の方法では、設備及びコストが大きくなるとともに、台船やクレーン等の組立てや進水が可能なヤードが必要となり、設備が大がかりなものとなる。
【0007】
また、エジェクターによって吸引する第3の方法では、配管の径にもよるが、土砂とともに水底の大きなゴミや礫、沈木等も吸引してしまう可能性があるとともに、これらの吸引物により配管が詰まるおそれがある。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、大がかりな設備を必要とせず、水底の土砂を選択的に吸引でき、吸引の際の詰まりを防止した水底堆積土砂の吸引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、水底の堆積土砂の表面から上方に離隔して配置される中空殻体構造からなるカバー体と、前記カバー体の内部に吹出口が位置し、堆積土砂に向けて高圧水を噴射することにより堆積土砂を舞い上げる高圧水ホースと、前記カバー体の内部に吸込口が位置し、舞い上がった堆積土砂を吸い上げる吸引ホースとを備え、
前記カバー体の下板に多数の開口が形成されていることを特徴とする水底堆積土砂の吸引装置が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明では、水底の堆積土砂の表面から上方に離隔して配置される中空殻体構造からなるカバー体の内部に、高圧水ホースの吹出口及び吸引ホースの吸込口が設けられており、カバー体の下板に多数の開口が形成されているため、高圧水ホースの吹出口から噴射された高圧水がカバー体の下板の開口を通って堆積土砂に向けて噴出し、堆積土砂を攪拌させ水中に舞い上げるとともに、舞い上がった堆積土砂がカバー体に設けられた開口を通ってカバー体の内部に進入し、吸引ホースの吸込口から吸い込まれる。吸引ホースで吸い上げられた堆積土砂が混じった泥水は、その後、別途設けられた泥水処理施設で固液分離される。
【0011】
このように、本発明に係る吸引装置は、堆積土砂に高圧水を噴射して舞い上がった堆積土砂を吸引するので、台船や重機など大がかりな設備を必要とせず、コンパクトな装置によって堆積土砂の吸引が可能となる。また、礫や沈木等の大きな堆積物は吸引せず、高圧水によって舞い上げられた比較的細かな粒子の堆積土砂のみが選択的に吸引できるため、吸引ホースの詰まりが防止できる。
【0012】
請求項2に係る本発明として、前記カバー体の側板に多数の開口が形成され、前記開口が形成された側板の下部に側方に突出する突出板が設けられている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置が提供される。
【0013】
上記請求項2記載の発明では、カバー体の下板に形成された開口からの吸引だけでは、小径の礫が舞い上げられて下板の開口に目詰まりし、吸引が困難になる場合があるため、カバー体の側板にも多数の開口を設けて吸引できるようにするとともに、小径の礫が直接カバー体の側板に形成された開口に誘引されないように前記突出板を設け、この突出板を回り込んで舞い上げられた比較的細かな粒子の堆積土砂のみを吸引できるようにして、吸引の際における側板の開口の目詰まりを防止している。
【0014】
請求項3に係る本発明として、前記開口が仕切部を介して多数列設された細長いスリットによって形成され、
前記仕切部の断面形状が前記カバー体の外側に向けて鋭利な刃状に形成されている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置が提供される。
【0015】
上記請求項3記載の発明では、前記開口が仕切部を介して多数列設された細長いスリットによって形成され、前記仕切部の断面形状がカバー体の外側に向けて鋭利な刃状に形成されているため、吸引時に団粒状の堆積土砂や礫などが刃状の仕切部に衝突して破砕され、細粒化されることにより、吸引時における開口の目詰まりを防止している。
【0016】
請求項4に係る本発明として、前記カバー体に、水底との距離を一定に保持するとともに、横方向の障害物を検知するためのレーダー装置が設けられている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置が提供される。
【0017】
上記請求項4記載の発明では、レーダーを利用した測距装置を設けることにより、舞い上げられた土砂によって水が濁っても、水底との距離を一定に保ち、横方向の障害物が検知できるようにしている。
【0018】
請求項5に係る本発明として、前記開口の目詰まりを解消するため、前記高圧水ホースの吹出口が前後左右上下の各方向に移動できるように構成されている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置が提供される。
【0019】
上記請求項5記載の発明では、開口に目詰まりが生じたとき、高圧水ホースの吹出口を前後左右上下の各方向に移動させて、高圧水を開口に向けて噴射することにより、開口の目詰まりが解消できるようにしている。
【0020】
請求項6に係る本発明として、前記吸引ホースの目詰まりを解消するため、前記高圧水ホースの高圧水を前記吸引ホースに逆噴射させる機構が備えられている請求項1記載の水底堆積土砂の吸引装置が提供される。
【0021】
上記請求項6記載の発明では、前記吸引ホースに目詰まりが生じたとき、これを解消するため、高圧水ホースの高圧水を吸引ホースに導入して逆噴射させる機構を備えている。
【発明の効果】
【0022】
以上詳説のとおり本発明によれば、大がかりな設備が必要なく、水底の土砂を選択的に吸引でき、吸引の際の詰まりが防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る吸引装置1を用いた泥水処理システムの全体図である。
図2】吸引装置1の正面側断面図である。
図3】吸引装置1の側面側断面図である。
図4】カバー体2の下板2aの断面斜視図である。
図5図4のV-V線矢視図である。
図6】変形例に係る吸引装置1の断面図である。
図7】変形例に係る吸引装置1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0025】
本発明に係る水底堆積土砂の吸引装置1は、図1に示されるように、水底の堆積土砂の表面から上方に離隔して配置される中空殻体構造からなるカバー体2と、前記カバー体2の内部に吹出口3aが位置し、堆積土砂に向けて高圧水を噴射することにより堆積土砂を舞い上げる高圧水ホース3と、前記カバー体2の内部に吸込口4aが位置し、舞い上がった堆積土砂を吸い上げる吸引ホース4とを備え、前記カバー体2の下板2aに多数の開口5、5…が形成されて構成されるものである。
【0026】
前記高圧水ホース3の吹出口3aから吹き出た高圧水は、開口5を通ってカバー体2の下板2aより下方に噴出し、堆積土砂を攪拌させ水中に舞い上げる。舞い上がった堆積土砂は、カバー体2に設けられた開口5を通ってカバー体2の内部に進入し、カバー体2の内部に設けられた吸引ホース4の吸込口4aから水とともに泥水として吸い込まれる。
【0027】
このように、本発明に係る吸引装置1では、堆積土砂に高圧水を噴射して、舞い上がった堆積土砂を吸引しているので、台船や重機などの大がかりな設備を必要とせず、コンパクトな装置によって堆積土砂の吸引が可能となる。また、礫や沈木等の大きな堆積物は吸引せず、高圧水によって舞い上げられた比較的細かな粒子の堆積土砂のみが選択的に吸引できるため、吸引ホース4の詰まりやカバー体2に設けられた開口5の目詰まりが防止できる。
【0028】
前記吸引ホース4で吸い上げられた堆積土砂混じりの泥水は、図1に示されるように、泥水処理施設30に送られ、固液分離される。はじめに、この泥水処理施設30について簡単に説明すると、泥水処理施設30では、まず最初に、吸引ホース4で吸い上げられた泥水が、レシーバタンク31に一時貯留され、このタンク内の空気が真空発生装置32によって吸気され、消音器33を通って排気される。なお、34は空気中の塵埃を除去するフィルタータンクである。
【0029】
前記レシーバタンク31内の泥水は、一次処理機35に送られ、一次処理が行われる。一次処理機35では、振動篩によって、比較的大型の礫や砂などの一次処理固形分36が除去される。除去された一次処理固形分36は、コンクリートの骨材等に利用することができる。
【0030】
前記一次処理機35によって処理された泥水は、その後余剰泥水槽37に送られ、内蔵された攪拌機付き泥水槽によって濃度が均一になるように攪拌された上で、スラリー槽38に貯留される。その途中で、必要に応じて凝集剤タンク39から送られた凝集剤が添加される。
【0031】
スラリー槽38内の泥水は、打込みポンプ40によって二次処理機41に圧送される。二次処理機41では、フィルタープレスによって固形分が除去される。除去された二次処理固形分42は、シルトや粘土が主体であり、有機質に富むため農業用肥料等の有価物として有効利用することができる。
【0032】
前記二次処理機41によって分離された水分は、ろ水として、三次処理機43に送られる。三次処理機43では、濁水処理機によってpH調整や水質調整が行われ、自然水域に放流可能な放流水として排出する。
【0033】
三次処理機43で排出された水は、一部が前記真空発生装置32の冷却水として利用されるとともに、一部が高圧水発生装置44によって前記高圧水ホース3に圧送される高圧水として利用され、残りが水域に放流される。
【0034】
次に、前記吸引装置1について詳細に説明すると、前記カバー体2は、図2及び図3に示されるように、下板2a、側板2b、上板2cがそれぞれステンレスやアルミ、樹脂などからなる平板で構成された略直方体状の中空殻体構造からなり、上板2cの中央部に前記高圧水ホース3及び吸引ホース4が挿通されるホース挿通孔が設けられている。なお、図示例では、上板の周縁に外側に行くに従って下方に傾斜する傾斜部が形成されている。
【0035】
前記カバー体2は、図4及び図5に示されるように、少なくとも下板2aに多数の開口5、5…が形成されており、これらの開口5を通って水や土砂の流出入ができるようになっている。
【0036】
前記開口5は、仕切部6を介して多数列設された細長いスリットによって形成されている。前記開口5の幅W(カバー体2の内面における幅)は、吸引する土砂の粒径によって任意に設定することができ、小さすぎると開口5での目詰まりが生じやすく、大きすぎると吸引ホース4での目詰まりが生じやすくなる。前記幅Wとしては、例えば、20~80mm、好ましくは30~50mmとすることができる。前記開口5の長さは、あまり長くし過ぎると、仕切部6の変形によって開口5の幅Wが大きくなる場合があるため、途中に所定の間隔で横桟7が設けられている。
【0037】
前記仕切部6の断面形状は、図5に示されるように、カバー体2の外側に向けて鋭利な刃状に形成されている。つまり、カバー体2の外側に行くに従って徐々に仕切部6の断面幅が小さくなるように形成されている。これによって、吸引時に団粒状の堆積土砂や礫などが刃先に衝突して破砕され、細粒化されるため、吸引時のスリット状の開口5や吸引ホース4の目詰まりを防止することができる。なお、仕切部6の断面幅がカバー体2の外側に行くに従って徐々に小さくなることにより、開口5の幅は、外側に行くに従って徐々に幅広となる形状で形成されている。
【0038】
前記開口5は、カバー体2の下板2aだけに形成してもよいが、図2に示されるように、カバー体2の側板2bにも形成するのが好ましい。側板2bにも開口5を形成することにより、カバー体2の側板2bからも土砂の吸引が可能になる。開口5を形成する側板2bは、カバー体2の四方の側板2bの全部としてもよいし、図示例のように対向する一対の側板2bのみとし、他の一対の側板2bには開口5を形成しないようにしてもよい。
【0039】
また、前記開口5が形成された側板2bの下部には、側方に突出する突出板8が設けられている。前記突出板8は、舞い上げられた土砂のうち、特に開口5を通過できないような粒径の大きな土砂が直接側板2bの開口5に到達しないように、突出板8を回り込んで側板2bに到達する比較的粒径の小さな土砂のみが開口5から吸引できるようにすることを目的として設けられるものである。
【0040】
前記突出板8は、カバー体2の側板2bに対してほぼ垂直方向に延びる下端延出板8aのみで形成してもよいが、図示例のように、この下端延出板8aの先端から上方に延びるとともに、カバー体2の側板2bとほぼ平行して延びる起立板8bを設けることにより、断面略L形に形成するのが好ましい。これにより、起立板8bの上端を回り込んで側板2bに到達した粒径の小さな土砂のみを側板2bの開口5から吸引できるようになるため、開口5の目詰まりが更に確実に防止できる。前記起立板8bの起立高さは、カバー体2の側板2bの高さより低く形成されている。
【0041】
前記カバー体2は、水底との距離を一定に保持するとともに、横方向の障害物を検知するため、図3に示されるように、レーダー装置9が設けられている。測距システムとしてレーダー装置を用いることにより、堆積土砂が舞い上げられて懸濁した水中でも確実に水底や障害物の検知ができる。レーダー装置9によって水底との距離が一定に保持されるため、高圧水ホース3からの高圧水が堆積土砂に一定の水圧で噴射され、堆積土砂の適度な拡散状態が維持でき、吸引性能の低下が生じない。前記レーダー装置9は、開口5が設けられた側板2bの下部には上述の突出板8が設けられており、この突出板8が邪魔になって下方の距離計測ができないおそれがあるため、図3に示されるように開口5が設けられない側板2bに設けるか、図示しないが突出板8の外面に設けるのが好ましい。
【0042】
前記開口5に目詰まりが生じると堆積土砂の吸引能力が低下するので、これを解消するため、図6に示されるように、高圧水ホース3の吹出口3aが前後左右上下の各方向に移動できるようになっている。吹出口3aを移動させて高圧水を噴射することにより、開口5に目詰まりした土砂が吹き飛ばされて取り除かれ、開口5の目詰まりが解消できる。また、高圧水ホース3の先端を回転させて、側板2bに設けられた開口5の目詰まりも解消できるようにしてもよい。
【0043】
前記高圧水ホース3は、上述の泥水処理施設30の高圧水発生装置44から圧送された高圧水が流通する管路であり、前記カバー体2の内部に設けられた吹出口3aから下方に向けて高圧水を噴射する。前記吹出口3aは、カバー体2の下板2aの近傍に位置している。下方に向けて噴出された高圧水によって水底の堆積土砂が舞い上がり、周囲に拡散する。前記高圧水ホース3の内径は任意に設定することができ、例えば直径25~50mm程度とすることができる。
【0044】
前記吸引ホース4は、カバー体2の内部に設けられた吸込口4aから、図示しない吸引ポンプによってカバー体2内部の堆積土砂混じりの泥水を吸引する管路である。前記吸込口4aはカバー体2の上板2cの近傍に位置している。前記吸引ホース4の内径は任意に設定することができ、例えば直径100~150mm程度とすることができる。
【0045】
前記吸引ホース4の目詰まりを解消するため、図7に示されるように、高圧水ホース3の高圧水を吸引ホース4に逆噴射させる機構が備えられている。具体的には、吸引ホース4の上部に、高圧水ホース3の高圧水を吸引ホース4に引き込むバイパス10が備えられ、適所に設けられたバルブの開閉操作により、このバイパス10に高圧水ホース3の高圧水が導入できるようになっている。
【符号の説明】
【0046】
1…吸引装置、2…カバー体、3…高圧水ホース、4…吸引ホース、5…開口、6…仕切部、7…横桟、8…突出板、9…レーダー装置、10…バイパス、30…泥水処理施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7