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特開2024-6902活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インキ、および印刷物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006902
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インキ、および印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/06 20060101AFI20240110BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20240110BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20240110BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20240110BHJP
   B41M 3/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C08F265/06
C09D11/101
C08F290/00
B41M1/30 D
B41M3/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205298
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2022104228
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】辻 祐一
(72)【発明者】
【氏名】定国 広宣
(72)【発明者】
【氏名】的場 由恵
(72)【発明者】
【氏名】井上 武治郎
【テーマコード(参考)】
2H113
4J026
4J039
4J127
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA03
2H113BA00
2H113BA01
2H113BA03
2H113BA05
2H113BA09
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB22
2H113BC10
2H113DA03
2H113DA04
2H113DA14
2H113DA33
2H113DA35
2H113DA47
2H113DA49
2H113DA52
2H113DA53
2H113DA57
2H113DA58
2H113DA63
2H113EA02
2H113EA09
2H113EA13
2H113EA19
2H113FA04
2H113FA23
2H113FA29
2H113FA42
2H113FA43
2H113FA45
4J026AA45
4J026AA47
4J026AA48
4J026AA76
4J026AC23
4J026AC33
4J026BA28
4J026BB03
4J026BB04
4J026BB10
4J026CA02
4J026DB06
4J026DB11
4J026DB24
4J026DB25
4J026DB36
4J026FA05
4J026FA09
4J026GA07
4J039AD09
4J039AD21
4J039BC19
4J039BC33
4J039BE01
4J039EA04
4J127AA03
4J127BA041
4J127BA061
4J127BB011
4J127BB061
4J127BB151
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC031
4J127BC051
4J127BC131
4J127BD061
4J127CB281
4J127CB341
4J127CB371
4J127CC021
4J127CC121
4J127CC131
4J127DA24
4J127DA25
4J127EA13
4J127FA11
(57)【要約】
【課題】 硬化性に優れ、易接着層を有しないフィルムに対しても、十分な密着性を発現することができる、活性エネルギー線硬化型組成物を提供する。
【解決手段】 共役酸のpKaが6.0以下である1級または2級のアミン(A)、アミノ基を有しない多官能(メタ)アクリレート(B)、および重量平均分子量が3000以上100000以下のカルボキシル基を有する化合物(C)を含む、活性エネルギー線硬化型組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役酸のpKaが6.0以下である1級または2級のアミン(A)、アミノ基を有しない多官能(メタ)アクリレート(B)、および重量平均分子量が3000以上100000以下のカルボキシル基を有する化合物(C)を含む、活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項2】
前記アミン(A)が芳香族アミンである、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項3】
前記アミンが1H―ベンゾトリアゾール誘導体、1H―ベンズイミダゾール誘導体から選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項4】
前記アミン(A)が25℃、1気圧において固体である、請求項1~3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項5】
前記化合物(C)に由来するカルボキシル基のmol数n(C)と前記アミン(A)に由来するアミノ基のmol数n(A)との比n(C)/n(A)が0.01以上0.50以下である、請求項1~4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
前記化合物(C)がメタ(アクリロイル)基またはビニル基を有する、請求項1~5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項7】
前記アミン(A)、前記(メタ)アクリレート(B)、前記化合物(C)、以外に含まれる成分が、酸性基を有しない、請求項1~6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物がさらに顔料を含んでなる、活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物または請求項8に記載の活性エネルギー線硬化型インキをフィルムに転写する転写工程、活性エネルギー線の照射により前記活性エネルギー線硬化型組成物または前記活性エネルギー線硬化型インキを硬化させる照射工程、前記フィルム、および前記活性エネルギー線硬化型組成物または前記活性エネルギー線硬化型インキの硬化物を加熱する加熱工程をこの順に含む、印刷物の製造方法。
【請求項10】
前記フィルムの表面がコロナ処理されている、請求項9に記載の印刷物の製造方法。
【請求項11】
前記加熱工程において、加熱温度が40℃~120℃で、加熱時間が2時間以上である、請求項9または10に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インキ、および印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な人口増加に伴い、食品、生活用品主体の包装に用いられる軟包装は、今後も需要の拡大が見込まれる。現在、軟包装印刷で主流となっているグラビア印刷によれば、見た目が鮮やかな印刷物が得られる。一方、グラビア印刷は、溶剤を大量に含むインキを使用することから、インキ溶剤の乾燥や排気処理に多量のエネルギーが必要となり、環境負荷が大きい。また近年では、環境問題、カーボンニュートラルへの対応からインキに含まれる揮発成分の低減要求がある。
【0003】
このため、揮発成分を含まず、活性エネルギー線の照射により瞬間硬化する、活性エネルギー線硬化型方式の活用が、オフセット印刷、フレキソ印刷、およびこれら印刷に関連する、インラインアンカーコートやオーバーコートにおいて進められている(特許文献1および2)。軟包装印刷ではロールトゥロールで印刷するため、インキの速乾性が重要であり、活性エネルギー線硬化型方式は、環境面での利点に加えて、熱エネルギーを使用せずに乾燥工程を短縮するため、省エネかつ高い生産性を有するものである。
【0004】
しかしながら、一般に活性エネルギー線硬化型組成物の主原料はアクリレート類であるために、これがラジカル重合してなる硬化物、すなわちポリ(メタ)アクリレートは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)といった主要フィルムに対する密着性が低い。そのため、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化膜は、後加工での剥がれや製品の強度不足などの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-104180号公報
【特許文献2】特開2019-198970号公報
【特許文献3】特開2021-98773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、特許文献3のようにフィルム側に易接着層を設けることで、フィルムへの密着性を向上させる検討がなされているが、コストは必然的に上昇し、使用できるフィルムも限定されるため、汎用性に劣るという欠点がある。
【0007】
そこで、本発明は、硬化性に優れ、易接着層を有しないフィルムに対しても、十分な密着性を発現することができる、活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、共役酸のpKaが6.0以下である1級または2級のアミン(A)、アミノ基を有しない多官能(メタ)アクリレート(B)、および重量平均分子量が3000以上100000以下のカルボキシル基を有する化合物(C)を含む、活性エネルギー線硬化型組成物である。
【0009】
また本発明は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がさらに顔料を含んでなる、活性エネルギー線硬化型インキである。
【0010】
また本発明は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物または本発明の活性エネルギー線硬化型インキをフィルムに転写する転写工程、活性エネルギー線の照射により前記活性エネルギー線硬化型組成物または前記活性エネルギー線硬化型インキを硬化させる照射工程、前記フィルム、および前記活性エネルギー線硬化型組成物または前記活性エネルギー線硬化型インキの硬化物を加熱する加熱工程をこの順に含む、印刷物の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る活性エネルギー線硬化型組成物により、硬化性に優れかつ、易接着層を有しないフィルムに対しても十分な密着性を発現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明において「以上」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも大きいことを意味する。また、「以下」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも小さいことを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを含む総称、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を含む総称である。
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、共役酸のpKaが6.0以下である1級または2級アミンを含む。以下、当該アミンをアミン(A)とも呼ぶ。前記アミン(A)は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と混合、加熱することで、マイケル付加反応が進行しうる。この反応は、(メタ)アクリロイル基がα-β不飽和カルボニル化合物であるため、1級または2級アミン類が、1,4共役付加して、3-アミノプロピオネート構造となる。さらに反応後の構造におけるアミノ基が2級の場合、さらにもう一度反応して3級アミンにまで変換される可能性もある。また、この反応は求核反応であるため、求核性が高いほど温和な条件で進行する。
【0014】
前記アミン(A)は、求核性が低いために、常温での(メタ)アクリロイル基を有する化合物との混合では反応はほとんど進行しない。しかしながら、反応が進行しないために、(メタ)アクリロイル基を消費せず、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性を低下させることがない。加えて、アミンの種類によっては、反応の進行による増粘が抑制され、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の塗工性が良好を保たれるとともに、貯蔵時の保存安定性が向上する。
【0015】
一方で、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を、活性エネルギー線により硬化させた後には、組成物硬化物中に未反応の(メタ)アクリロイル基が残存することとなる。そのため、組成物硬化物を加熱すると、前記アミン(A)とラジカル重合体の(メタ)アクリロイル残基とのマイケル付加反応が進行し、3-アミノプロピオネート構造を有するラジカル重合体が得られる。前記重合体のアミノ基がフィルム表面のヒドロキシル基などの極性基、特にカルボキシル基と強く相互作用することにより、活性エネルギー線硬化型組成物硬化膜のフィルムに対する密着性を向上する。
【0016】
これは前記アミノ基と(メタ)アクリレートのラジカル重合体が共有結合により同一化合物中に有することで初めて密着性向上効果が発現するものである。例えば、アミン類と(メタ)アクリレート重合体を単に混合した場合は、両化合物が共有結合でつながっていないため、硬化膜中の(メタ)アクリレート類架橋物とフィルム表面の相互作用は強くならず、密着性は向上しない。
【0017】
前記アミン(A)としては、芳香族アミンが好ましい。具体的には例えば、アニリンおよび、その1~5位を置換した誘導体、アニリン誘導体のN位1置換体、イソキノリン、1,8-ナフチリジン、アクリジンや、1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンズイミダゾール、1H-イミダゾール、1H-ピラゾールなどの1H-アゾール類および、これらの1H以外を置換した誘導体が挙げられる。特に、1H-ベンゾトリアゾール誘導体、1H-ベンズイミダゾール誘導体が、密着性向上の効果が大きく好ましい。
【0018】
前記アミン(A)としては、活性エネルギー線硬化型組成物にした際の臭気を抑制する観点から、揮発性が低いことが好ましく、具体的には25℃、1気圧において固体であるものが好ましい。
【0019】
前記アミン(A)としては、モノアミン類だけでなく、共役酸のpKaが6.0以下の構造を複数有するポリアミン類を用いることができる。
【0020】
前記アミン(A)は複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、前記アミン(A)は、活性エネルギー線硬化型組成物中に5質量%以上30質量%以下含まれることが好ましい。前記アミン(A)の含有量が5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であることで、フィルム密着性がより向上する。また、前記アミン(A)の含有量が30質量%以下、より好ましくは20質量%以下であることで、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性がより向上する。
【0022】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、アミノ基を含有しない多官能(メタ)アクリレートを含む。以下、当該多官能(メタ)アクリレートを(メタ)アクリレート(B)とも呼ぶ。前記(メタ)アクリレート(B)は活性エネルギー線の照射により硬化し、膜形成するもので、硬化性の観点から、反応性の高いものが好ましい。また前記アミン(A)との加熱によるマイケル付加反応の原料となるため、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリレートを用いる。単官能(メタ)アクリレートは硬化性が一般に低く、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化膜において未硬化成分として残ると硬化膜から遊離しうる成分となるため、不適である。
【0023】
また前記(メタ)アクリレート(B)は、安全・環境の観点から、揮発性が低いことが好ましい。揮発性が低いとは、アメリカ環境保護庁(EPA)のMethod24で定義される、110℃で1時間加熱した際の重量減少率が1重量%以下であることを指す。
【0024】
2官能の(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートや、これらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、テトラエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
【0025】
3官能の(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートや、これらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、テトラエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
【0026】
4官能の(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。
【0027】
5官能以上の(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートや、これらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。
【0028】
特に4官能以上の(メタ)アクリレートを用いる場合、2官能以上をアミン類と反応するような当量比に設定することが好ましい。
【0029】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重量平均分子量が3000以上100000以下のカルボキシル基を有する化合物を含む。以下、当該化合物を化合物(C)とも呼ぶ。前記アミン(A)のアミノ基と、前記化合物(C)のカルボキシル基が相互作用し、活性エネルギー線硬化型組成物硬化膜の成膜性・膜強度を向上させる。また、前記化合物(C)は、カルボキシル基により前記アミン(A)と前記(メタ)アクリレート(B)とのマイケル付加反応の触媒作用を示す。前記化合物(C)の存在下、前記アミン(A)を用いて加熱することで、初めて反応進行が可能となる。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、前記化合物(C)に由来するカルボキシル基のmol数n(C)と前記アミン(A)に由来するアミノ基のmol数n(A)との比n(C)/n(A)が0.01以上0.50以下であることが好ましい。n(B)/n(A)が0.01以上であることで、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化膜の成膜性・膜強度の向上を効果的に得ることができる。また、n(B)/n(A)が0.50以下、より好ましくは0.30以下、さらに好ましくは0.15以下であることで、アミノ基とフィルム表面の極性基との相互作用による密着性の向上を効果的に得ることができる。
【0031】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、前記化合物(C)は(メタ)アクリロイル基またはビニル基を有することが好ましい。前記化合物(C)が(メタ)アクリロイル基またはビニル基のような感光性基を有することで、前記(メタ)アクリレート(B)など、他の(メタ)アクリレート類とラジカル共重合体を形成でき、活性エネルギー線に対する硬化性が向上して硬化膜強度、密着性も向上する。
【0032】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物においては、前記アミン(A)、前記多官能(メタ)アクリレート(B)、および前記化合物(C)以外に後述の成分を含んでもよい。ただし、その他の成分は酸性基を有しないことが好ましい。これは酸性基が前記アミン(A)と相互作用し、密着性向上を阻害するおそれがあるためである。
【0033】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有色の顔料を含むことが好ましい。そうすることで、活性エネルギー線硬化型インキとして用いることができる。
【0034】
前記有色の顔料としては例えば、フタロシアニン系顔料、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、レーキ顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベンガラ、カドミウムレッド、黄鉛、亜鉛黄、紺青、群青、酸化物被覆ガラス粉末、酸化物被覆雲母、酸化物被覆金属粒子、アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、亜鉛粉、ステンレス粉、ニッケル粉、有機ベントナイト、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
【0035】
また前記顔料としては、無色の体質顔料である、マイカ(含水ケイ酸アルミニウムカリウム)やタルク(ケイ酸マグネシウム塩)なども用いることができ、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物をニスやアンカーコート剤として用いることもできる。
【0036】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線源に応じて、光重合開始剤を含んでも良い。前記光重合開始剤としては例えば、α-アミノアルキルフェノン類、チオキサントン類、ベンジルケタール類、アシルホスフィンオキシド類を用いることができる。
【0037】
また本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、その他の成分として、ワックス、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤を使用することが可能である。
【0038】
また粘度調整のために、溶剤を用いても良いが、溶剤を含むことにより、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の活性エネルギー線に対する硬化性は低下する。
【0039】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、フィルムに転写されその上に活性エネルギー線硬化型インキを転写する、アンカーコート剤として用いることもできるし、フィルムに活性エネルギー線硬化型インキをパターン状に転写した後にフィルムに転写する、オーバーコート剤として用いることもできる。
【0040】
また本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有色顔料を含む、活性エネルギー線硬化型インキとして用いることもできる。すなわち本発明の活性エネルギー線硬化型インキは、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がさらに顔料を含んでなる。
【0041】
次に、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を製造する方法を述べる。
【0042】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、前記アミン(A)、前記多官能(メタ)アクリレート(B)、および前記化合物(C)、さらに必要に応じて光重合開始剤などのその他の成分を、室温~80℃で混合することにより得ることができる。
【0043】
混合後、もしくは混合の過程において、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。
【0044】
また有色顔料を添加してインキとする場合、前記混合の際に顔料も加えて、その後、粘度に応じて、アトライター、ボールミル、サンドミル、三本ロールミル等で分散、混練することも好ましい。
【0045】
本発明の印刷物の製造方法は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物または本発明の活性エネルギー線硬化型インキをフィルムに転写する転写工程、活性エネルギー線の照射により前記活性エネルギー線硬化型組成物または前記活性エネルギー線硬化型インキを硬化させる照射工程、前記フィルム、および前記活性エネルギー線硬化型組成物または前記活性エネルギー線硬化型インキの硬化物を加熱する加熱工程をこの順に含む。以下、「活性エネルギー線硬化型組成物」を、活性エネルギー線硬化型組成物および活性エネルギー線硬化型インキの総称として用いることもある。
【0046】
本発明において用いられるフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリαメチルスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0047】
またこれらのフィルムがさらにアルミナなどの金属または金属化合物からなる蒸着薄膜層を有するものも用いられる。
【0048】
前記フィルムは、フィルム表面の極性官能基が増加し、活性エネルギー線硬化型組成物、または活性エネルギー線硬化型インキとの密着性が向上するため、その表面がコロナ処理されていることが好ましい。
【0049】
表面がコロナ処理されたフィルムとしては、既製品でも構わないし、活性エネルギー線硬化型組成物、または活性エネルギー線硬化型インキをフィルムに転写する前に、前記フィルムに対してインラインコロナ処理を実施したものでもよい。
【0050】
前記フィルムが易接着コーティング層を有していても構わないが、コストが高くなる。本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、易接着層を有しないフィルムに対しても十分な密着性を発現することができるため好適である。
【0051】
前記フィルムの形状としては、枚葉、ロールフィルムのいずれも用いることが可能である。軟包装用の薄膜フィルムを用いる場合は、ロールフィルムを用い、ロールトゥロールで塗工・印刷することが好ましい。
【0052】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物または活性エネルギー線硬化型インキをフィルムに転写する方法としては、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ニスコーター、バーコーター等が挙げられる。転写方法は、活性エネルギー線硬化型組成物の粘度、およびパターニング必要の有無によって選択される。
【0053】
具体的には、パターニングが必要であれば、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷方式が好ましい。全面塗布であれば、ニスコーターやバーコーターを用いることが好ましい。また粘度の点からは、5Pa・s以上200Pa・s以下の高粘度であれば、オフセット印刷やスクリーン印刷が好ましく、0.1Pa・s~5Pa・sであれば、フレキソ印刷が好ましく、0.1Pa・s以下であればグラビア印刷やインクジェット印刷が好ましい。前記粘度範囲の中であれば、一般的には低粘度である方がレベリング性が良く、塗工物の外観が良好になるため好ましい。
【0054】
前記照射工程において用いられる活性エネルギー線源としては、紫外線、電子線、ガンマ線などが挙げられる。活性エネルギー線照射により、(メタ)アクリロイル基が反応し、共有結合で架橋することで、活性エネルギー線硬化型組成物が瞬時に硬化される。
【0055】
紫外線であれば、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)等の紫外線照射装置が好ましく用いられる。中でも、省電力でオゾンの発生の少ないLEDランプが好ましい。LEDの波長としては、350~420nmの輝線が、省電力・低コスト化の点から好ましい。
【0056】
電子線であれば、(メタ)アクリロイル基を直接ラジカル励起し、活性エネルギー線硬化型組成物中でラジカル重合が進み、皮膜となる。また、電子線は透過性が高く、フィルムにも作用しうる。フィルムがポリオレフィン類の場合、ラジカルが生成しやすく、分子間の架橋や分解などの反応を起こし、ラジカル重合が活性エネルギー線硬化型組成物/フィルム間において進行することにより、活性エネルギー線硬化型組成物/フィルム間に共有結合が形成され、より高い密着性を発現することができる。特に、利用時の特別な資格が不要で取り扱いが容易なことから、低加速電圧による電子線が好ましい。電子線は、加速電圧により透過深度が決まるため、加速電圧は、十分な透過性とフィルムへのダメージの観点から、50kV~300kVが好ましい。また電子線の照射線量は、対象物質中でラジカル種の発生量が増える一方で、フィルムのダメージも大きくなるため、10kGy以上100kGy以下が好ましい。
【0057】
前記加熱工程は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物硬化物に含まれる、前記アミン(A)と、前記多官能(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリロイル残基とのマイケル付加反応を進行させ、活性エネルギー線硬化型組成物硬化物とフィルムとの密着性を向上させる。前記化合物(C)のカルボキシル基が触媒として作用することで、40℃以上の加熱で反応が進行するようになる。転写工程よりも本工程を後に設けることで、マイケル付加反応の進行による増粘での塗工性低下や、(メタ)アクリロイル基の消費による硬化性の低下を抑制することが可能となる。そのため、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性、塗工性、および保存安定性が向上する。
【0058】
前記加熱工程においては、加熱温度が40℃~120℃で、加熱時間が2時間以上であることが好ましい。
【0059】
加熱温度は、マイケル付加反応の進行速度が上昇するため、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。またフィルムに対する熱ダメージを抑制するため、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
【0060】
加熱時間としては、反応を完了させるため、2時間以上であることが好ましく、4時間以上がより好ましく、6時間以上がさらに好ましい。またフィルムに対する熱ダメージを抑制するため、24時間以下であることが好ましく、12時間以下がより好ましく、8時間以下がさらに好ましい。
【0061】
また加熱工程は、活性エネルギー線照射による硬化後であれば、ラミネート等の後加工の前に実施しても、後に実施しても構わない。
【実施例0062】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0063】
[測定・評価方法]
(1)粘度
B型粘度計(ブルックフィールド(BROOKFIELD)社製DV-II)にシリンダースピンドルNo4を装着し、各活性エネルギー線硬化型組成物の、25℃、0.5rpmにおける粘度を測定した。塗工性・印刷性の観点から粘度は100Pa・s以下が好ましく、50Pa・s以下がさらに好ましい。
【0064】
(2)硬化性
フィルム1に対して、活性エネルギー線硬化型組成物1~10および12~15をそれぞれRIテスターで転写させたのち、電子線照射装置(岩崎電気(株)製EC250/30/90LS)を用いて、加速電圧90kVで、照射線量を10~30kGyで5kGyごとに変えて電子線照射を行った。硬化物に対して、セロハン粘着テープ(“セロテープ”(登録商標)No.405)を接着させて剥離しても、硬化物の剥がれが無い最低照射線量を求めた。最低照射線量が25~30kGyであると硬化性は良好であり、最低照射線量が10~20kGyであると硬化性は極めて良好である。
【0065】
(3)塗膜外観
各実施例・比較例の塗工工程で得た活性エネルギー線硬化型組成物の塗工物外観について、目視にて下記の評価を行った。
A:凹凸が小さく、素抜け等が見られず、良好な外観である。
B:多少の素抜け等が散見された。
C:凹凸が大きく、全体的に素抜け等が見られた。
【0066】
(4)剥離強度
各実施例・比較例の塗工工程で得た活性エネルギー線硬化型組成物の塗工物に、混合ラミネート接着剤(三井化学(株)製タケラックA626/タケネートA50)を、塗工量3.0g/mとなるように塗工し、厚み60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)(東レフィルム加工(株)製ZK-207)によりラミネートした。その後、40℃で3日間エージングし、ラミネートサンプルを得た。得られたラミネートサンプル中の活性エネルギー線硬化型組成物の塗工部分を15mm幅で短冊状にカットし、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製RTG-1210)を用いて剥離試験を行い、300mm/分で90°剥離した際の剥離強度を測定した。
【0067】
剥離強度が1.5N/15mm未満であると密着性が不十分であり、1.5N/15mm以上2.0N/15mm未満であると密着性が良好であり、2.0N/15mm以上3.0N/15mm未満であると密着性がかなり良好であり、3.0N/15mm以上であると密着性が極めて良好と判断した。
【0068】
(5)破壊モード
上記(4)の剥離試験において、剥離時の様子(破壊モード)の観察も併せて行った。多層構造であるラミネートサンプルのうち、剥離時に破壊が起こる層間が最も密着性が弱い箇所に相当する。破壊モードは、下記のA~Cにて評価した。
A:フィルムが破断した。
B:活性エネルギー線硬化型組成物層が凝集破壊した。
C:フィルム/活性エネルギー線硬化型組成物の層間で剥離した。
ここで、「活性エネルギー線硬化型組成物層」とは、活性エネルギー線硬化型組成物またはインキを硬化させてなる層をいう。
上記Aが最も好ましく、上記Bが次に好ましく、上記Cは好ましくない。
【0069】
[アミン(A)またはその代替物]
(A)-1:インドリン(和研薬(株)製)、2級アミン、共役酸のpKa:4.9。25℃、1気圧において液体。
(A)-2:アニリン(和研薬(株)製)、1級アミン、共役酸のpKa:4.6。25℃、1気圧において液体。
(a)-3:オクタデシルアミン(TCI(株)製)、1級アミン、共役酸のpKa:10.8。25℃、1気圧において固体。
(A)-4:1H-ベンゾトリアゾール(和研薬(株)製)、1級アミン、共役酸のpKa:1.2。25℃、1気圧において固体。
【0070】
[(メタ)アクリレート(B)]
(B)-1:EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製“Miramer”(登録商標)M3190)
(B)-2:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(MIWON社製“Miramer”(登録商標)M410)
(B)-3:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルオルネクス社製“EBECRYL”(登録商標)130)。
【0071】
[化合物(C)またはその代替物]
(C)-1:感光性基、およびカルボン酸を有するアクリル樹脂、(東レ(株)製TWR-1001)、分子量:30000、酸価105mgKOH/g。
(C)-2:カルボン酸を有するアクリル樹脂、(東レ(株)製TWR-3001)、分子量:27000、酸価200mgKOH/g。
(c)-3:アジピン酸(和研薬(株)製)、分子量:146。
【0072】
[その他の添加成分]
顔料:酸化チタン(石原産業(株)製“タイペーク”(登録商標)CR58-2)
界面活性剤1:(日本エマルジョン社製“EMALEX”(登録商標)503)
界面活性剤2:(ビックケミー社製“Disperbyk”(登録商標)111)
光重合開始剤:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシド(BASF社製“イルガキュア”(登録商標)819)。
【0073】
[活性エネルギー線硬化型組成物または活性エネルギー線硬化型インキ]
表1に示す組成で、各材料を秤量し、ハイブリッドミキサー((株)シンキー製)を用いて、溶解・分散をおこなった。顔料を含まない場合(活性エネルギー線硬化型組成物7)、そのまま活性エネルギー線硬化型組成物として使用した。
【0074】
活性エネルギー線硬化型組成物が顔料を含む場合(活性エネルギー線硬化型インキ1~6,9~15)、三本ロールミル“EXAKT”(登録商標)M-80S(EXAKT社製)による混合・分散を実施し、低粘度の場合(活性エネルギー線硬化型インキ8)は、バッチ式サンドミル((株)林商店製)による混合・分散を実施した。
【0075】
【表1】
[フィルム]
フィルム1:厚み12μmのPETフィルム(東洋紡(株)製E5102)、コロナ処理層あり。
フィルム2:厚み12μmのPETフィルム(フタムラ化学(株)製FS2000)、表面処理なし。
フィルム3:厚み15μmのポリアミドフィルム(ユニチカ(株)製ON)、コロナ処理層あり。
フィルム4:厚み12μmの、バリアフィルム/PETフィルム積層体(東レフィルム加工(株)製1011HG SBR2)、コロナ処理層なし。
フィルム5:厚み20μmのOPPフィルム(東洋紡(株)製P2111)、コロナ処理層あり。
フィルム6:厚み12μmのPETフィルム(東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)S10)、表面処理なし。
【0076】
[塗工物の作製方法1]
各種フィルムに対して、各種活性エネルギー線硬化型組成物または活性エネルギー線硬化型インキを転写させた。転写方法は、顔料を含まない活性エネルギー線硬化型組成物の場合はバーコーターの5番を用い、顔料を含む活性エネルギー線硬化型インキの場合は、RIテスターを用いた。そして、電子線照射装置(岩崎電気(株)製EC250/30/90LS)を用いて、加速電圧110kV、照射線量40kGyの電子線照射により硬化させた。その後、80℃で12時間加熱した。
【0077】
[塗工物の作製方法2]
各種フィルムに対して、各種活性エネルギー線硬化型インキを転写させた。転写方法は、RIテスターを用いた。そして、発光ダイオード紫外線照射装置(パナソニックデバイスSUNX(株)製UD90)を用いて、照射強度8W/cm、照射波長385nmのLED-UV照射により硬化させた。その後、80℃で12時間加熱した。
【0078】
[塗工物の作製方法3]
各種フィルムに対して、コロナ処理装置(春日電機(株)製TEC-4AX)を用い、放電量Eが200W・分/mの条件でコロナ処理した後、各種活性エネルギー線硬化型インキを転写させた。転写方法は、RIテスターを用いた。そして、電子線照射装置(岩崎電気(株)製EC250/30/90LS)を用いて、加速電圧110kV、照射線量40kGyの電子線照射により硬化させた。その後、80℃で12時間加熱した。
【0079】
[実施例1]
活性エネルギー線硬化型インキとして活性エネルギー線硬化型インキ1、およびフィルムとしてフィルム1を用いて、塗工物の作製方法1により塗工物を作製した。剥離強度は3.7N/15mmと極めて良好であり、線量20kGyで剥がれがなく、硬化性も良好であり、破壊モードも良好(A)で、塗工物の外観も良好であった。結果を表2に示す。
【0080】
[実施例2~10、および比較例1~4]
活性エネルギー線硬化型組成物として表2に記載の対応のとおり活性エネルギー線硬化型組成物7、および活性エネルギー線硬化型インキ2~6,8~10,12~15、およびフィルムとしてフィルム1を用いて、塗工物の作製方法1により塗工物を作製した。実施例2~10において、剥離強度はいずれも良好以上であったが、アミン量が好ましい範囲にある、実施例2、5、7、8、9、および10が外観および密着性ともに極めて良好であった。比較例1~3は剥離強度、および破壊モード双方が不十分であった。比較例4は良好な密着性を示したが、常温でマイケル付加反応が進行して、粘度が高く、またアクリロイル基が消費され硬化性に劣っていた。結果を表2に示す。
【0081】
[実施例11~15]
活性エネルギー線硬化型インキとして活性エネルギー線硬化型インキ1、およびフィルムとして表3に記載の対応のとおりフィルム2~6を用いて、塗工物の作製方法1により塗工物を作製した。いずれのフィルムに対しても剥離強度は良好以上であり、特にコロナ処理されたフィルムにおいて極めて良好であった。結果を表3に示す。
【0082】
[実施例16および17]
活性エネルギー線硬化型インキとして活性エネルギー線硬化型インキ11、およびフィルムとして表3に記載の対応のとおりフィルム1,2を用いて、塗工物の作製方法2によりUV硬化にて、塗工物を作製した。どちらのフィルムに対しても剥離強度は良好以上であり、特にコロナ処理されたフィルム1において極めて良好であった。
【0083】
[実施例18および19]
活性エネルギー線硬化型インキとして活性エネルギー線硬化型インキ1、およびフィルムとして表3に記載の対応のとおりフィルム2,4を用いて、塗工物の作製方法3により塗工物を作製した。コロナ処理されることで、どちらのフィルムに対しても剥離強度は極めて良好な結果となった。結果を表3に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】