(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069021
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H02K5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179776
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】千田 博之
(72)【発明者】
【氏名】板橋 楽
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕
(72)【発明者】
【氏名】小島 功介
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC09
5H605EA18
5H605GG01
(57)【要約】
【課題】2つのアクチュエータの位置決めを容易化する。
【解決手段】駆動装置1は、ケース3と、ケース3に収納されるモータ2と、モータに取り付けられるホルダ10と、を備え、ホルダには、モータに接続される配線の位置決めをおこなう配線保持部17aが設けられる、ことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに収納されるモータと、
前記モータに取り付けられるホルダと、
を備え、
前記ホルダには、前記モータに接続される配線を所定の位置に引き回して保持する配線保持部が設けられる、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記配線保持部が、前記ホルダの一面に配置される、
ことを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ホルダには、前記モータが複数取り付けられて、
前記ホルダは、複数の前記モータの相対位置を決める、
ことを特徴とする請求項2記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、作動駆動力を発生させるアクチュエータとしてモータを備えることが知られている。この例におけるモータを、1つのギアに2個並列に組付けることがある。
また、ある部品に2つのモータ等のアクチュエータを並列に組み付ける場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータ等のアクチュエータを組み付けて、位置あわせをおこないネジ等で固定する場合に、モータのターミナルに給電線となる配線(リード線)をハンダ付けすることが必要となる。
このような装置において、モータ等のアクチュエータをケースに位置決め固定していない状態では、リード線の位置決めができず、ハンダ付けをおこなうことができない。しかし、モータを固定する位置でハンダ付けをおこなうと、ハンダ屑が飛散した場合、このハンダ屑が摺動部やギアに入り込んでしまうと、動作不良を起こす原因となるという問題があった。
また、リード線を保持した状態でないと、ハンダ付けの際に作業性が低下するという問題があった。さらに、モータがケースに固定されていると、ハンダ屑を除去するエアブロー等の処理をおこなってもハンダ屑が除去できない場合があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、アクチュエータの位置決めに際して、配線のハンダ付け作業における作業効率を向上可能とするという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様にかかる駆動装置は、
ケースと、
前記ケースに収納されるモータと、
前記モータに取り付けられるホルダと、
を備え、
前記ホルダには、前記モータに接続される配線を所定の位置に引き回して保持する配線保持部が設けられる、
ことにより上記課題を解決した。
(2)本発明の駆動装置は、上記(1)において、
前記配線保持部が、前記ホルダの一面に配置される、
ことができる。
(3)本発明の駆動装置は、上記(2)において、
前記ホルダには、前記モータが複数取り付けられて、
前記ホルダは、複数の前記モータの相対位置を決める、
ことができる。
【0007】
(1)本発明の一態様の駆動装置は、上記(1)の構成を有することにより、ホルダにモータを取り付けて配線保持部に配線(リード線)を固定するだけで、モータおよび配線(リード線)をケースの内部に組み付けることなく、ケースの外方で、モータの給電端子に対するリード線(配線、ハーネス)のハンダ付けなどの組み付け作業を取り回しよくおこなうことができる。また、ケースの内部にモータを収納しないで配線(リード線)の位置決めおよびハンダ付け作業をおこなうことができるので、ケースの外方で、ハンダ付けの終了したモータとホルダに対してエアブロー等の処理をおこなうことが容易となる。
これにより、ケース内にハンダ屑がはいってしまうことを防止できる。また、摺動部や、モータおよびモータの駆動軸に取り付けられたギアなどにハンダ屑が噛み込まれてしまうことを防止できる。したがって、駆動装置の動作信頼性を低減することがなく、モータへの配線(リード線)の接続に関する作業時間を短縮して作業性を向上し、製造コストを削減することが可能となる。
【0008】
(2)本発明の駆動装置は、上記(1)において、上記(2)の構成を有することにより、配線(リード線)をホルダの一面に沿うように這わせ、これを配線保持部に保持するだけで、モータとともに配線をケースに収納する状態に位置決めすることが可能となる。しかも、このようにホルダとモータとの位置決めが既におこなわれた状態で、配線(リード線)のハンダ付けをおこなうことが容易に可能となる。
【0009】
(3)本発明の駆動装置は、上記(2)において、上記(3)の構成を有することにより、ホルダに2つのモータを挿入するだけで、2つのモータをケースに組み付けることなく、ケースの外方において、モータとホルダとだけで、2つのモータの相対位置を規定して、2つのモータの位置決めをおこなうことが可能となる。したがって、ケースおよびピンなどの専用の治具を用いることなく、2つのモータの位置決めを容易におこなうことが可能となる。さらに、ホルダにより位置決めされた状態で2つのモータをケースに挿入することができる。しかも、あらかじめ相対位置決めをおこなった2つのモータを、そのままホルダとともにケースに挿入してネジ止め等の作業をおこなうことができるので、モータの組み付けに関する作業時間を短縮して作業性を向上し、製造コストを削減することが可能となる。
このとき、ホルダがケースに固定されないので、ネジ止めによるモータの固定時に、ケースに対するモータの位置決めに対してホルダが干渉してしまうことがない。
さらに、ホルダに2つのモータを挿入するだけで、2つのモータをケースの内部に組み付けなることなく、ケースの外方で、2つのモータの給電端子に対するリード線(配線、ハーネス)のハンダ付けなどの組み付け作業を取り回しよくおこなうことができる。また、ケースの内部に2つのモータを収納しないで位置決めおよびハンダ付け作業を終了できるので、ケースの外方で、ハンダ付けの終了した2つのモータとホルダとに対してエアブロー等の処理をおこなうことが容易となる。
これにより、ケース内にハンダ屑がはいってしまうことや、2つのモータおよびこれらのモータの駆動軸に取り付けられたギアなどにハンダ屑が噛み込まれてしまうことを防止できる。したがって、作業時間を短縮して作業性を向上し、製造コストを削減することが可能となる。
【0010】
(4)本発明の駆動装置は、上記(3)において、
前記ホルダは、ベース部と、複数の前記モータにそれぞれ対応するように前記ベース部に設けられた複数の嵌合部と、を備え、
前記嵌合部は、前記モータに設けられる位置決め嵌合部と嵌合する、
ことができる。
【0011】
(4)本発明の駆動装置は、上記(4)の構成を有することにより、嵌合部にそれぞれ複数のモータの位置決め嵌合を差し込んで嵌合することだけで、ベース部に形成された嵌合部の相対位置に対応した相対位置および相対姿勢となるように、複数のモータの位置決めをおこなうことが容易に可能となる。
したがって、あらかじめ、ベース部における複数の嵌合部を、ケースに収納する複数のモータの収納位置に合わせて形成することで、複数のモータの位置決めをおこなうことが容易に可能となる。また、複数のモータをケースの内部に組み付けることなく、ケースに収納した状態である複数のモータの相対位置に、ケースの外方で位置決めをおこなうことができる。しかも、あらかじめケースの外方で相対位置決めをおこなった複数のモータを、そのままホルダとともにケースに挿入してネジ止め等の作業をおこなうことができる。
【0012】
(5)本発明の駆動装置は、上記(4)において、
前記位置決め嵌合部は、前記モータに設けられた位置決め凸部であって、
前記嵌合部は、前記モータの位置決め凸部が内周面に嵌められる嵌合孔を有する、
ことができる。
【0013】
(5)本発明の駆動装置は、上記(4)において、上記(5)の構成を有することにより、位置決め凸部を嵌合孔に嵌合することで、複数のモータの位置決めをおこなうことが容易に可能となる。したがって、ケース外方で、あらかじめ複数のモータの位置決めをおこなうことが容易に可能となる。ケース外方で位置決めした複数のモータを、ホルダとともに、ケースの内部に組み付けることで、組み付け作業の作業性を向上することができる。
【0014】
(6)本発明の駆動装置は、上記(5)において、
前記ホルダにおいて、
複数の前記嵌合部のうちの少なくとも1つの第1嵌合部は、前記嵌合孔の内周面の少なくとも3箇所に径方向内向きに突出し、複数の前記モータのうちの第1モータの第1位置決め凸部が圧入される第1圧入部を有し、
複数の前記嵌合部のうちの前記第1嵌合部とは異なる第2嵌合部は、前記嵌合孔の内周面の2箇所に径方向内向きに突出し、複数の前記モータのうちの第2モータの第2位置決め凸部が圧入される第2圧入部を有する、
ことができる。
【0015】
(6)本発明の駆動装置は、上記(5)において、上記(6)の構成を有することにより、第1圧入部を有する第1嵌合部に圧入される第1モータの位置を基準として、第2圧入部を有する第2嵌合部に圧入される第2モータの位置を精度よく位置決めすることが可能となる。しかも、これらのモータの高精度の位置決めを、モータをケースの内部に組み付けていない状態であるケースの外方で、ケースに収納した状態のモータどうしの相対位置に位置決めすることができる。しかも、あらかじめ相対位置決めをおこなったこれらのモータを、そのままホルダとともにケースに挿入してネジ止め等の作業をおこなうことで、第1圧入部を有する第1嵌合部に圧入される第1モータをケースにネジ止めし、その後、第2圧入部を有する第2嵌合部に圧入される第2モータの位置調整をおこなうことが容易に可能となる。
さらに、第2圧入部を有する第2嵌合部に圧入される第2モータは、第2圧入部が2箇所に形成されているため、モータの圧入姿勢の微調整を可能とすることができる。このため、後でネジ止めする第2モータでは、ケースに対するモータの位置決めにおける調整方向を一方向のみとして、作業性を向上することができる。
【0016】
(7)本発明の駆動装置は、上記(6)において、
前記ホルダにおいて、
前記第1圧入部は、前記第1嵌合部の周方向に等間隔に配置され、
前記第2圧入部は、前記第2嵌合部の周方向に等間隔に配置される、
ことができる。
【0017】
(7)本発明の駆動装置は、上記(6)において、上記(7)の構成を有することにより、等間隔で3箇所以上に配置された第1圧入部を有する第1嵌合部に圧入される第1モータの位置を基準として、2箇所の第2圧入部を有する第2嵌合部に圧入される第2モータの位置を精度よく位置決めすることが可能となる。しかも、これらのモータの高精度の位置決めを、モータをケースの内部に組み付けていない状態であるケースの外方で、ケースに収納した状態のモータどうしの相対位置に位置決めすることができる。しかも、あらかじめ相対位置決めをおこなったこれらのモータを、そのままホルダとともにケースに挿入してネジ止め等の作業をおこなうことで、第1圧入部を有する第1嵌合部に圧入される第1モータをケースにネジ止めし、その後、第2圧入部を有する第2嵌合部に圧入される第2モータの位置調整をおこなうことが容易に可能となる。
【0018】
(8)本発明の駆動装置は、上記(7)において、
前記ホルダにおいて、
前記第1圧入部は、前記第1嵌合部から前記第2嵌合部に向かう方向に対向する2箇所およびこの2箇所に交差する方向の2箇所に配置され、
前記第2圧入部は、前記第1嵌合部から前記第2嵌合部に向かう方向と交差する方向に対向する2箇所に配置される、
ことができる。
【0019】
(8)本発明の駆動装置は、上記(7)において、上記(8)の構成を有することにより、第1圧入部(四方圧入部)を有する第1嵌合部に圧入される第1モータの位置を基準として、第2圧入部(二方圧入部)を有する第2嵌合部に圧入される第2モータの位置を精度よく位置決めすることが可能となる。しかも、この2つのモータの高精度の位置決めを、2つのモータをケースの内部に組み付けていない状態であるケースの外方で、ケースに収納した状態の2つのモータの相対位置に位置決めすることができる。しかも、あらかじめ相対位置決めをおこなった2つのモータを、そのままホルダとともにケースに挿入してネジ止め等の作業をおこなうことで、四方圧入部を有する一方の嵌合部に圧入されるモータをケースにネジ止めし、その後、二方圧入部を有する他方の嵌合部に圧入されるモータの位置調整をおこなうことが容易に可能となる。このため、後でネジ止めするモータでは、ケースに対するモータの位置決めにおける調整方向を軸間方向の一方向として、作業性を向上することができる。したがって、ケースおよびピンなどの専用の治具を用いることなく、使用する治具を簡素化し、2つのモータの軸線方向を平行にして、軸間距離を高精度に位置決めすることが容易に可能となる。
さらに、二方圧入部を有する他方の嵌合部に圧入されるモータは、二方圧入部が対向する方向と交差する方向で、モータの圧入姿勢の微調整を可能とすることができる。このため、後でネジ止めするモータでは、ケースに対するモータの位置決めにおける調整方向を一方向のみとして、作業性を向上することができる。
【0020】
(9)本発明の駆動装置は、上記(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記ホルダは、前記ホルダから前記モータが脱落することを防止する複数の抜け止め部を備える、
ことができる。
【0021】
(9)本発明の駆動装置は、上記(1)から(3)のいずれかにおいて、上記(9)の構成を有することにより、抜け止め部によって複数のモータがホルダから抜けてしまうことを各々で防止できる。これにより、ケースの外方で、あらかじめ相対位置決めをおこなった複数のモータを、ホルダから抜けることなく、そのままホルダとともにケースに挿入してネジ止め等の作業をおこなうことができる。
【0022】
(10)本発明の駆動装置は、上記(9)において、
前記ホルダにおいて、
前記抜け止め部は、前記モータと係合する弾性変形可能な係合片である、
ことができる。
【0023】
(10)本発明の駆動装置は、上記(9)において、上記(10)の構成を有することにより、抜け止め部によって複数のモータがホルダから抜けてしまうことを各々で防止できる。これにより、ケースの外方で、あらかじめ相対位置決めをおこなった複数のモータを、ホルダから抜けることなく、そのままホルダとともにケースに挿入してネジ止め等の作業をおこなうことができる。また、抜け止め部によって、ホルダに形成された各嵌合部における各圧入部によるモータの位置決めが干渉されることがない。これにより、モータの軸線が並ぶ方向への調整が抜け止め部によって困難になることがなく、同時に、モータの軸線間距離の調整が抜け止め部によって困難になることがない。
【0024】
(11)本発明の駆動装置は、上記(4)において、
前記モータの前記位置決め凸部は、軸受ホルダである、
ことができる。
【0025】
(11)本発明の駆動装置は、上記(4)において、上記(11)の構成を有することにより、モータに位置決め凸部として軸受ホルダ以外の構成を設けることなく、ホルダに対する位置決めを容易におこなうことが可能となる。これにより、部品点数が増加することを防止し、また、モータの製造作業工程が増加することを防止し、製造コストが増加することを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、2つのアクチュエータを精度よく位置決め可能とすることができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る駆動装置の実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る駆動装置の実施形態を示す上面図である。
【
図3】本発明に係る駆動装置の実施形態におけるホルダおよびリード線を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る駆動装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における駆動装置を示す断面図である。
図2は、本実施形態における駆動装置を示す上面図である。図において、符号1は、駆動装置である。
【0029】
本実施形態に係る駆動装置1は、パワーユニットを有する。パワーユニットは、その前側に位置するエンジン(原動機)と、後側に位置する変速機と、を一体に有している。パワーユニットは、後輪と、例えばチェーン式伝動機構を介して連係されている。
【0030】
変速機は、有段式のトランスミッションである。変速機は、メインシャフトおよびカウンタシャフトならびに両シャフトに跨る変速ギア群を有する。カウンタシャフトは、変速機ひいてはパワーユニットの出力軸を構成している。カウンタシャフトの左端部は、変速機ケースの後部左側に突出し、チェーン式伝動機構を介して後輪に連結されている。
変速機のメインシャフトには、動力伝断装置が同軸配置されている。動力伝断装置は、エンジンのクランクシャフトと、変速機のメインシャフトと、の間の動力伝達を断接させる。動力伝断装置は、乗員による操作子(例えばレバー)の操作、および後に詳述するアクチュエータの作動、の少なくとも一方により断接作動する。
【0031】
動力伝断装置は、例えば湿式多板機構であり、いわゆるノーマルクローズ機構である。クランクシャフトの回転動力は、動力伝断装置を介してメインシャフトに伝達され、メインシャフトから変速ギア群の任意のギア対を介してカウンタシャフトに伝達される。カウンタシャフトにおけるクランクケースには、チェーン式伝動機構のドライブスプロケットが取り付けられている。
変速機ケース内で変速機の近傍には、変速ギア群のギア対を切り替えるチェンジ機構が収容されている。チェンジ機構は、変速ギア群における両シャフト間の動力伝達に用いるギア対を切り替える。
【0032】
ここで、車両は、変速機の変速操作を運転者が行い、動力伝断装置の断接操作はシフトペダルの操作に応じて電気制御により自動で行う。すなわち、車両は、いわゆるセミオートマチックの変速システムを採用している。
【0033】
上記変速システムは、アクチュエータ、ECU(Electronic Control Unit、制御部)、各種センサ、各種装置を備えている。
ECUは、点火装置および燃料噴射装置を作動制御するとともに、アクチュエータを作動制御する。
【0034】
アクチュエータは、動力伝断装置を断接するために、レリーズシャフトに付与する作動トルクを制御する。アクチュエータは、駆動源としての電気モータ2(以下、単にモータ2という。)と、モータ2の駆動力をレリーズシャフトに伝達する減速機構8と、を備えている。減速機構8は、第一リダクション軸および第二リダクション軸を備えている。
【0035】
ECUは、予め設定された演算プログラムに基づいて、以下の電流値を演算する。その電流値は、動力伝断装置を断接するためにモータ2に供給する電流の値である。モータ2への供給電流は、モータ2に出力させるトルクとの相関から求められる。モータ2の目標トルクは、レリーズシャフトに付与する作動トルクに比例する。モータ2に供給する電流値は、ECUに含む電流センサで検出される。この検出値の変化に応じて、アクチュエータが作動制御される。
【0036】
本実施形態に係る駆動装置1は、アクチュエータとされる。
【0037】
本実施形態に係る駆動装置1は、
図1,
図2に示すように、モータ2と、減速機構8と、ケース3と、ホルダ10と、を備えている。
モータ2は、例えばDCモータであり、例えばレリーズシャフトと軸方向を平行にして配置されている。モータ2は、駆動軸21を上方に突出させるように配置されている。減速機構8は、モータ2の駆動力をレリーズシャフトに伝達する。
【0038】
減速機構8は、モータ2から出力される回転動力を減速してレリーズシャフトに伝達する。減速機構8は、例えばレリーズシャフトと軸方向を平行にしたギア列を備えている。減速機構8は、駆動ギア21aと、リダクションギア7と、を備えている。リダクションギア7のリダクション軸7aは、ケース3に回転可能に支持されている。図中線C1は、リダクション軸7aの中心軸線を示す。
駆動ギア21aは、各モータ2の駆動軸21に一体に設けられる。リダクションギア7は、各駆動ギア21aが噛み合う。ケース3は、減速機構8、モータ2を収容する。ケース3は、グロメットが装着されて、モータ2に接続されるリード線R1~R4をケース3外に導出する導出部3aを有する。
【0039】
モータ2とレリーズシャフトとは、減速機構8を介して常時連動可能である。これにより、アクチュエータで直接的に動力伝断装置を断接させるシステムが構成されている。モータ2の駆動力は、減速機構8により減速されてレリーズシャフトに伝達される。
【0040】
本実施形態に係る駆動装置1では、単一のアクチュエータに対し、複数(二つ)のモータ2Aとモータ2Bとを備えている。
以下、アクチュエータの前方側に位置するモータ2を第一モータ2A、第一モータ2Aに対して後方側かつ幅方向内側に位置するモータ2を第二モータ2B、と称することがある。図中線C01と線C02は、それぞれモータ2Aとモータ2Bの中心軸線(駆動軸線)を示す。説明都合上、モータ2Aとモータ2Bとをモータ2と総称することがある。また、軸線C01と軸線C02とを軸線C0と総称することがある。
【0041】
モータ2Aとモータ2Bとは、軸線C01と軸線C02とが平行となるようにケース3に収納される。モータ2Aとモータ2Bとは、互いに離間する。モータ2Aとモータ2Bとが平行に並んで離間する方向、つまり、軸線C01と軸線C02とが並ぶ方向をX方向とする。モータ2Aとモータ2Bとは、駆動軸2A1と駆動軸2B1とが同じ方向に向かって配置される。駆動軸2A1と駆動軸2B1とが向かう方向をZ方向とする。X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とする。
【0042】
モータ2Aとモータ2Bとは、略同一の円筒形状であるヨーク2aを有する。モータ2は、円筒形状であるヨーク2aの軸線方向における一端から駆動軸21がZ方向に突出する。ヨーク2aは金属製とされる。
駆動軸21の周囲となるヨーク2aの一端には、フランジ部25が形成されている。フランジ部25は、ヨーク2aの一端からX方向およびY方向に向かう平面に沿って拡径されている。フランジ部25は、軸線C0に沿ったZ方向に平行な固定ネジ53および固定ネジ54によりケース3にネジ止めされる。モータ2Aのフランジ部2A5とモータ2Bのフランジ部2B5とは、ケース3に収納された際に略面一に配置される。
【0043】
ヨーク2aの一端は、駆動軸21の周囲にベアリングボス(軸受ホルダ)22が形成されている。軸受ホルダ22は、Z方向視して略円形の輪郭を有する。軸受ホルダ22は、Z方向視してヨーク2aよりも縮径された輪郭を有する。軸受ホルダ22は、後述する固定凸部である。駆動軸21に近接するヨーク2aの一端には、駆動軸21の両側に2つのターミナル(給電端子)23およびターミナル(給電端子)24がZ方向に突出している。ターミナル23およびターミナル24は、軸受ホルダ22からX方向にそれぞれ離間して配置される。ヨーク2aの他端は、ケース3の底部に当接する。
【0044】
モータ2Aとモータ2Bとは、固定ネジ5A3、ターミナル2A3、軸受ホルダ(第1位置決め凸部)2A2、ターミナル2A4、ターミナル2B4、軸受ホルダ(第2位置決め凸部)2B2、ターミナル2B3、固定ネジ5B3、がX方向に沿って並ぶように配置される。
【0045】
図3は、本実施形態の駆動装置におけるホルダおよびリード線を示す斜視図である。
ホルダ10は、
図1~
図3に示すように、モータ2Aとモータ2Bとの相対位置を規定する。ホルダ10は、モータ2Aとモータ2Bとのみが取り付けられている。ホルダ10は、ケース3には接続されていない。
ホルダ10は、ベース部11と、ベース部11に設けられた2つの嵌合部12と嵌合部13とを有する。ベース部11と嵌合部12と嵌合部13とは、一体として形成される。ホルダ10は、樹脂製とされる。
【0046】
ベース部11は略板状とされる。ベース部11は、モータ2がケース3に収納された際に、ケース3に対してX方向およびY方向に向かう平面に沿うように配置される。ベース部11は、モータ2Aのフランジ部2A5とモータ2Bのフランジ部2B5とに沿って位置する。モータ2がケース3に収納された際に、モータ2Aのフランジ部2A5とモータ2Bのフランジ部2B5とがベース部11のZ方向裏面に接触する。
ベース部11は、略矩形の輪郭を有する。ベース部11には、その輪郭のうちY方向に延びる辺のうち一方の辺の中央に、切欠14aが形成される。ベース部11には、その輪郭のうちX方向に延びる両辺の中央に、それぞれ、切欠14bと貫通孔14cとが形成される。貫通孔14cは、切欠14bに対応した切欠とすることもできる。
【0047】
ベース部11には、切欠14aの形成された辺と貫通孔14cの形成された辺との隅には、これら2辺に対して傾斜した辺が形成される。ベース部11には、切欠14aの形成された辺と切欠14bの形成された辺との隅には、これら2辺に対して傾斜した辺が形成される。切欠14aの形成された辺と貫通孔14cの形成された辺との隅で傾斜した辺には、フランジ部2B5の輪郭端部を覆うように、Z方向に折り返される折り返し部16が形成される。折り返し部16は、グロメットが装着されて、リード線R1~R4をケース3外に導出する導出部3aの近傍に位置する。折り返し部16は、モータ2に接続されるリード線R1~R4がフランジ部2B5の輪郭端部に接触しないように形成される。
【0048】
ベース部11に対して、嵌合部12と嵌合部13とは、Z方向で同じ側の表面に突出する。嵌合部12と嵌合部13とは、Z方向でフランジ部25が接触するベース部11の裏面とは、逆側となる表面に突出して形成される。嵌合部12と嵌合部13とは、ベース部11の裏面からはZ方向に突出していない。
嵌合部12と嵌合部13とは、それぞれZ方向にベース部11を貫通する貫通孔12h,13hを有する。嵌合部12と嵌合部13とは、Z方向視した内周輪郭がほぼ円形である。嵌合部12と嵌合部13とは、貫通孔12hと貫通孔13hとの周囲にそれぞれ円筒状に形成される。嵌合部12と嵌合部13とは、X方向に離間してベース部11に配置される。嵌合部12と嵌合部13とは、X方向およびY方向でベース部11の輪郭から離間している。
【0049】
嵌合部12と嵌合部13とは、円筒の軸線がZ方向を向いている。嵌合部12と嵌合部13とは、円筒の軸線が平行である。特に、嵌合部12のZ方向の寸法と嵌合部13のZ方向の寸法とは、等しい。円筒形の嵌合部12の内周面の中心軸線と、円筒形の嵌合部13の内周面の中心軸線とは、互いに平行である。
【0050】
嵌合部12には、モータ2Aが嵌合される。嵌合部12は、Z方向視した内周輪郭が、Z方向視した軸受ホルダ2A2の輪郭とほぼ等しい。嵌合部12のZ方向の寸法、つまり、ベース部11の裏面から、表面から突出した嵌合部12のZ方向端部までの寸法は、軸受ホルダ2A2のZ方向寸法と等しいか、軸受ホルダ2A2のZ方向寸法よりも若干小さい。
嵌合部13には、モータ2Bが嵌合される。嵌合部13は、Z方向視した内周輪郭が、Z方向視した軸受ホルダ2B2の輪郭とほぼ等しい。嵌合部13のZ方向の寸法、つまり、ベース部11の裏面から、表面から突出した嵌合部13のZ方向端部までの寸法は、軸受ホルダ2B2のZ方向寸法と等しいか、軸受ホルダ2A2のZ方向寸法よりも若干小さい。
【0051】
嵌合部12は、内周面に四方圧入部12aおよび四方圧入部12bを有する。四方圧入部12aおよび四方圧入部12bは、嵌合部12の内周面の4箇所に形成される。四方圧入部12aおよび四方圧入部12bは、いずれも嵌合部12の内周面から径方向内向きに突出する。四方圧入部12aおよび四方圧入部12bは、モータ2Aの位置決め凸部である軸受ホルダ2A2が圧入される。
【0052】
四方圧入部12aは、嵌合部12の内周面の2箇所に一対が形成される。四方圧入部12aは、嵌合部12の内周面のうち、X方向の両端となる位置に形成される。対となる四方圧入部12aは、互いに対向している。四方圧入部12aは、円筒面である嵌合部12の内周面に対して、周方向に所定寸法を有する平面として形成される。
平面である四方圧入部12aは、Y方向およびZ方向に沿った平面と略平行に形成される。X方向に対向する一対の四方圧入部12aは、互いに平行である。一対の四方圧入部12aが互いにX方向に離間する距離は、嵌合部12の内周面の径寸法よりも若干短い。
四方圧入部12aでは、嵌合部12の径方向厚みが増加する。これにより、一対の四方圧入部12aは、嵌合部12に軸受ホルダ2A2を挿入した際に、互いに対向するX方向に軸受ホルダ2A2の外周を押圧する。
【0053】
平面である四方圧入部12aは、円筒面である嵌合部12の内周面の中心軸からの径方向離間距離が、円筒面である嵌合部12の内周面が当該中心軸から径方向に離間する距離よりも小さい。すなわち、四方圧入部12aは、円筒面である嵌合部12の内周面よりも径方向で内方に突出している。四方圧入部12aが嵌合部12の内周面から突出する寸法は、極めて僅かであり、金属製である軸受ホルダ2A2を嵌合部12に挿入した際に、樹脂製である四方圧入部12aが僅かに変形する程度である。
【0054】
四方圧入部12bは、嵌合部12の内周面の2箇所に一対が形成される。四方圧入部12bは、嵌合部12の内周面のうち、Y方向の両端となる位置に形成される。対となる四方圧入部12bは、互いに対向している。四方圧入部12bは、円筒面である嵌合部12の内周面に対して、周方向に所定寸法を有する平面として形成される。
平面である四方圧入部12bは、X方向およびZ方向に沿った平面と略平行に形成される。Y方向に対向する一対の四方圧入部12bは、互いに平行である。一対の四方圧入部12bが互いにY方向に離間する距離は、嵌合部12の内周面の径寸法よりも若干短い。
四方圧入部12bでは、嵌合部12の径方向厚みが増加する。これにより、一対の四方圧入部12bは、嵌合部12に軸受ホルダ2A2を挿入した際に、互いに対向するY方向に軸受ホルダ2A2の外周を押圧する。
【0055】
平面である四方圧入部12bは、円筒面である嵌合部12の内周面の中心軸からの径方向離間距離が、円筒面である嵌合部12の内周面が当該中心軸から径方向に離間する距離よりも小さい。すなわち、四方圧入部12bは、円筒面である嵌合部12の内周面よりも径方向で内方に突出している。四方圧入部12bが嵌合部12の内周面から突出する寸法は、極めて僅かであり、金属製である軸受ホルダ2A2を嵌合部12に挿入した際に、樹脂製である四方圧入部12bが僅かに変形する程度である。
【0056】
一対の四方圧入部12aと、一対の四方圧入部12bとは、互いに直交する位置に配置される。平面である四方圧入部12aと四方圧入部12bとは、互いに直交する。
嵌合部12に軸受ホルダ2A2を挿入した際に、一対の四方圧入部12aがX方向に軸受ホルダ2A2の外周を押圧し、同時に、一対の四方圧入部12bがY方向に軸受ホルダ2A2の外周を押圧する。これにより、ホルダ10に対して、モータ2Aの位置決めがおこなわれる。嵌合部12では、互いに直交する方向に対となる四方圧入部12aと四方圧入部12bとによって、ホルダ10に対して直交するX方向およびY方向にモータ2Aの位置決めをおこなうことができる。
【0057】
嵌合部13は、内周面に二方圧入部13bを有する。二方圧入部13bは、嵌合部13の内周面の2箇所に形成される。二方圧入部13bは、いずれも嵌合部13の内周面から径方向内向きに突出する。二方圧入部13bは、モータ2Bの位置決め凸部である軸受ホルダ2B2が圧入される。
【0058】
二方圧入部13bは、嵌合部13の内周面の2箇所に一対が形成される。二方圧入部13bは、嵌合部13の内周面のうち、Y方向の両端となる位置に形成される。対となる二方圧入部13bは、互いに対向している。二方圧入部13bは、円筒面である嵌合部13の内周面に対して、周方向に所定寸法を有する平面として形成される。
平面である二方圧入部13bは、X方向およびZ方向に沿った平面と略平行に形成される。Y方向に対向する一対の二方圧入部13bは、互いに平行である。一対の二方圧入部13bが互いにY方向に離間する距離は、嵌合部13の内周面の径寸法よりも若干短い。
二方圧入部13bでは、嵌合部13の径方向厚みが増加する。これにより、一対の二方圧入部13bは、嵌合部13に軸受ホルダ2B2を挿入した際に、互いに対向するY方向に軸受ホルダ2B2の外周を押圧する。
【0059】
平面である二方圧入部13bは、円筒面である嵌合部13の内周面の中心軸からの径方向離間距離が、円筒面である嵌合部13の内周面が当該中心軸から径方向に離間する距離よりも小さい。すなわち、二方圧入部13bは、円筒面である嵌合部13の内周面よりも径方向で内方に突出している。二方圧入部13bが嵌合部13の内周面から突出する寸法は、極めて僅かであり、金属製である軸受ホルダ2B2を嵌合部13に挿入した際に、樹脂製である二方圧入部13bが僅かに変形する程度である。
【0060】
一対の二方圧入部13bは、嵌合部12の四方圧入部12bに対応する位置に配置される。平面である二方圧入部13bと四方圧入部12bとは、互いに平行である。
嵌合部13に軸受ホルダ2B2を挿入した際に、一対の二方圧入部13bがY方向に軸受ホルダ2B2の外周を押圧する。これにより、ホルダ10に対して、モータ2Bの位置決めがおこなわれる。嵌合部13では、嵌合部12とは異なり対となる二方圧入部13bのみによって、ホルダ10に対してY方向にモータ2Bの位置決めをおこなうことができる。嵌合部13では、X方向に関しては、嵌合部13の内周面による軸受ホルダ2B2への位置規制のみがおこなわれる。つまり、嵌合部13に軸受ホルダ2B2を挿入した際に、ホルダ10に対してモータ2Bが若干移動できる。
【0061】
嵌合部12と嵌合部13との間となるベース部11には、貫通孔15aと貫通孔15bとが形成される。貫通孔15aは、嵌合部12に近接して形成される。貫通孔15bは、嵌合部13に近接して形成される。X方向で嵌合部12に対して嵌合部13とは反対側となるとなるベース部11には、切欠15cが形成される。切欠15cは、嵌合部12に近接して形成される。切欠15cは、貫通孔とすることもできる。
切欠15c、嵌合部12、貫通孔15b、貫通孔15a、嵌合部13、切欠14aは、X方向に並んでいる。切欠15c、嵌合部12、貫通孔15b、貫通孔15a、嵌合部13、切欠14aは、いずれもY方向でベース部11の中央に位置する。
【0062】
切欠15cは、嵌合部12にモータ2Aの軸受ホルダ2A2が挿入された際に、ターミナル2A3が貫通可能な位置に形成される。貫通孔15bは、嵌合部12にモータ2Aの軸受ホルダ2A2が挿入された際に、ターミナル2A4が貫通可能な位置に形成される。貫通孔15aは、嵌合部13にモータ2Bの軸受ホルダ2B2が挿入された際に、ターミナル2B4が貫通可能な位置に形成される。切欠14aは、嵌合部13にモータ2Bの軸受ホルダ2B2が挿入された際に、ターミナル2B4が貫通可能な位置に形成される。
【0063】
嵌合部12にモータ2Aの軸受ホルダ2A2が挿入された際に、ターミナル2A3およびターミナル2A4はベース部11を貫通して表面から突出する。嵌合部13にモータ2Bの軸受ホルダ2B2が挿入された際に、ターミナル2B3およびターミナル2B4はベース部11を貫通して表面から突出する。
切欠15c、貫通孔15b、貫通孔15a、切欠14aは、いずれもターミナル2A3、ターミナル2A4、ターミナル2B3、ターミナル2B4が貫通可能な輪郭形状とされる。
【0064】
切欠14aは、X方向で嵌合部13に対してターミナル2B3よりも外方で、固定ネジ5B3によってフランジ部2B5をケース3に固定する際に、固定ネジ5B3がベース部11に干渉しないように形成される。
切欠14bは、固定ネジ5B4によってフランジ部2B5をケース3に固定する際に、固定ネジ5B4がベース部11に干渉しないように形成される。切欠14bは、固定ネジ5A4によってフランジ部2A5をケース3に固定する際に、固定ネジ5A4がベース部11に干渉しないように形成される。
【0065】
貫通孔14cは、固定ネジ5B4によってフランジ部2B5をケース3に固定する際に、固定ネジ5B4がベース部11に干渉しないように形成される。貫通孔14cは、固定ネジ5A4によってフランジ部2A5をケース3に固定する際に、固定ネジ5A4がベース部11に干渉しないように形成される。
なお、固定ネジ5A3によってフランジ部2A5をケース3に固定する際には、固定ネジ5A3が、Z方向視してベース部11の輪郭よりも外側にあるので干渉しない。
【0066】
ベース部11には、その輪郭のうちX方向に延びる両辺に、X方向で切欠14bと貫通孔14cとの外方となる位置に、抜け止め部18a、抜け止め部18b、抜け止め部19a、抜け止め部19bが形成される。抜け止め部18a、抜け止め部18b、抜け止め部19a、抜け止め部19bは、いずれも、スナップフィットの爪として形成される。抜け止め部18a、抜け止め部18b、抜け止め部19a、抜け止め部19bは、いずれも、ベース部11の裏面からZ方向に延在する。
【0067】
抜け止め部18aおよび抜け止め部18bは、互いにY方向に対向して突出するスナップフィットの爪として形成される。抜け止め部18aおよび抜け止め部18bは、いずれも、Y方向で嵌合部13に対して近接するベース部11の輪郭縁部付近に形成される。抜け止め部18aおよび抜け止め部18bは、X方向にほぼ同じ幅寸法を有するように形成される。
抜け止め部18aおよび抜け止め部18bは、嵌合部13にモータ2Bの軸受ホルダ2B2が挿入された際に、フランジ部2B5に係止可能である。
【0068】
抜け止め部18aおよび抜け止め部18bは、嵌合部13にモータ2Bの軸受ホルダ2B2が挿入された際に、フランジ部2B5に対して若干の余裕を持った寸法で係止可能である。
抜け止め部18a、嵌合部13の中心、抜け止め部18bは、Y方向に並んでいるが、一直線上に位置していなくてもよい。これは、抜け止め部18aおよび抜け止め部18bは、あくまで、ホルダ10からモータ2Bが外れてしまわないようにするだけで、位置決めをおこなうほど強固に固定するものではないからである。
【0069】
抜け止め部19aおよび抜け止め部19bは、互いにY方向に対向して突出するスナップフィットの爪として形成される。抜け止め部19および抜け止め部19bは、いずれも、Y方向で嵌合部12に対して近接するベース部11の輪郭縁部付近に形成される。抜け止め部19aおよび抜け止め部19bは、X方向にほぼ同じ幅寸法を有するように形成される。
抜け止め部19aおよび抜け止め部19bは、嵌合部12にモータ2Aの軸受ホルダ2A2が挿入された際に、フランジ部2A5に係止可能である。
【0070】
抜け止め部19aおよび抜け止め部19bは、嵌合部12にモータ2Aの軸受ホルダ2A2が挿入された際に、フランジ部2A5に対して若干の余裕を持った寸法で係止可能である。
抜け止め部19a、嵌合部12の中心、抜け止め部19bは、Y方向に並んでいるが、一直線上に位置していなくてもよい。これは、抜け止め部19aおよび抜け止め部19bは、あくまで、ホルダ10からモータ2Aが外れてしまわないようにするだけで、位置決めをおこなうほど強固に固定するものではないからである。
【0071】
ベース部11には、複数の配線保持部(フック)17a~17hが形成される。配線保持部17a~17hは、いずれもベース部11の表面からZ方向に突出して形成される。配線保持部17a~17hは、いずれもターミナル23およびターミナル24に接続するリード線(ハーネス、配線)R1~R4を、折り返し部16の近傍からベース部11の表面に這わせて取り回す位置を固定する。これは、ケース3には、折り返し部16の近傍にグロメットが装着されて、リード線R1~R4をケース3外に導出する導出部3aがあるためである。
配線保持部17a~17hは、いずれも、ベース部11に対してZ方向で、抜け止め部18a、抜け止め部18b、抜け止め部19a、抜け止め部19bとは逆向きに突出する。
【0072】
配線保持部17aは、折り返し部16の近傍で、かつ、嵌合部13の近傍に形成される。配線保持部17aは、貫通孔15aのターミナル2B4、および、切欠14aのターミナル2B3に接続する2本のリード線R1およびリード線R2を固定する。
配線保持部17bは、折り返し部16の近傍で、かつ、嵌合部13の近傍に形成される。配線保持部17bは、貫通孔15bのターミナル2A4、および、切欠15cのターミナル2A3に接続する2本のリード線R3およびリード線R4を固定する。
【0073】
配線保持部17cは、嵌合部13の近傍で、かつ、貫通孔14cの近傍に形成される。配線保持部17cは、貫通孔15bのターミナル2A4、および、切欠15cのターミナル2A3に接続する2本のリード線R3およびリード線R4を固定する。
配線保持部17dは、嵌合部13と嵌合部12との間で、かつ、貫通孔14cと切欠14bとの間に形成される。配線保持部17dは、貫通孔15bのターミナル2A4、および、切欠15cのターミナル2A3に接続する2本のリード線R3およびリード線R4を固定する。
【0074】
配線保持部17eは、嵌合部12の近傍で、かつ、貫通孔14cの近傍に形成される。配線保持部17eは、切欠15cのターミナル2A3に接続するリード線R4を固定する。
配線保持部17fは、嵌合部12の近傍で、かつ、切欠15cの近傍に形成される。配線保持部17fは、切欠15cのターミナル2A3に接続するリード線R4を固定する。
【0075】
配線保持部17gは、嵌合部13の近傍で、かつ、切欠14aの近傍に形成される。配線保持部17gは、貫通孔15aのターミナル2B4に接続するリード線R2を固定する。
配線保持部17hは、嵌合部13の近傍で、かつ、切欠14bの近傍に形成される。配線保持部17hは、貫通孔15aのターミナル2B4に接続するリード線R2を固定する。
なお、配線保持部17a~17hは、このような位置、個数に限定されない。
【0076】
本実施形態における駆動装置1では、モータ2Aおよびモータ2Bをケース3に収納する際に、あらかじめ、ホルダ10にモータ2Aおよびモータ2Bを取り付けた状態としておく。その後、ホルダ10に取り付けたモータ2Aおよびモータ2Bをケース3に収納する。
【0077】
まず、ケース3の外方において、ホルダ10にモータ2Aを取り付ける。嵌合部12にモータ2Aの軸受ホルダ2A2を挿入する。同時に、切欠15cにターミナル2A3を位置させ、貫通孔15bにターミナル2A4を貫通させる。
同時に、抜け止め部19aおよび抜け止め部19bが、フランジ部2A5に対して若干の余裕を持った状態で係止される。
【0078】
このとき、嵌合部12では、軸受ホルダ2A2の外周が、一対の四方圧入部12aによってX方向で内向きに押圧され、同時に、一対の四方圧入部12bによってY方向で内向きに押圧される。また、円筒状の嵌合部12の内周面によって、軸線C01の向きを設定する。これにより、ホルダ10に対して、モータ2Aの位置決めがおこなわれる。嵌合部12では、互いに直交する方向に対となる四方圧入部12aと四方圧入部12bとによって、ホルダ10に対して、互いに直交するX方向およびY方向にモータ2Aの位置決めをおこなう。
【0079】
これにより、ホルダ10へのモータ2Bの位置決めにおける基準として、モータ2Aのホルダ10に対する位置決めがなされる。
同時に、抜け止め部19aおよび抜け止め部19bによって、ホルダ10からモータ2Aが外れてしまわないようになる。
【0080】
次いで、ケース3の外方において、ホルダ10にモータ2Bを取り付ける。嵌合部13にモータ2Bの軸受ホルダ2B2を挿入する。同時に、貫通孔15aにターミナル2B4を貫通させ、切欠14aにターミナル2B3を位置させる。
同時に、抜け止め部18aおよび抜け止め部18bが、フランジ部2B5に対して若干の余裕を持った状態で係止される。
【0081】
このとき、嵌合部13では、軸受ホルダ2B2の外周が、一対の二方圧入部13bによってY方向で内向きに押圧される。また、円筒状の嵌合部13の内周面によって、軸線C02の向きを設定する。これにより、ホルダ10に対して、モータ2Bの位置決めがおこなわれる。嵌合部13では、Y方向に対向して対となる二方圧入部13bによって、ホルダ10に対して一方向であるY方向にモータ2Bの位置決めをおこなう。この状態で、モータ2Bは、ホルダ10に対してX方向に若干移動すること、あるいは、ホルダ10への姿勢を変化させることができる。
【0082】
これにより、モータ2Aの位置を基準として、モータ2Bのホルダ10に対する位置決めを精密におこなうことが可能となる。
同時に、抜け止め部18aおよび抜け止め部18bによって、ホルダ10からモータ2Bが外れてしまわないようになる。
【0083】
次いで、ケース3の外方において、配線保持部17a~17hに対して、ターミナル23およびターミナル24に接続するリード線(ハーネス、配線)R1~R4を、折り返し部16の近傍からベース部11の表面に沿うように固定する。
なお、モータ2Aおよびモータ2Bのホルダ10への取り付けと、リード線R1~R4のホルダ10への取り付けとは、その順番はどちらを先におこなってもよい。
図3には、リード線R1~R4をモータ2よりも先にホルダ10へ取り付けた状態を示している。
【0084】
このとき、ターミナル2B3に接続するリード線R1は、折り返し部16から配線保持部17aを介して切欠14aまで引き回される。
同様に、ターミナル2B4に接続するリード線R2は、折り返し部16から配線保持部17a、配線保持部17g、配線保持部17hを介して貫通孔15aまで引き回される。
同様に、ターミナル2A4に接続するリード線R3は、折り返し部16から配線保持部17b、配線保持部17c、配線保持部17dを介して貫通孔15bまで引き回される。
同様に、ターミナル2A3に接続するリード線R4は、折り返し部16から配線保持部17b、配線保持部17c、配線保持部17d、配線保持部17e、配線保持部17fを介して貫通孔15bまで引き回される。
【0085】
次いで、ケース3の外方において、それぞれのリード線R1~R4をターミナル23およびターミナル24にハンダ付けして接続する。リード線R1をターミナル2B3にハンダ付けして接続する。リード線R2をターミナル2B4にハンダ付けして接続する。リード線R3をターミナル2A4にハンダ付けして接続する。リード線R4をターミナル2A3にハンダ付けして接続する。
ハンダ付けの作業が終了したら、ケース3の外方において、ハンダ屑を除去するエアブロー等の作業をおこなう。これにより、ケース3の内部にハンダ屑等が侵入してしまうことがない。
【0086】
この状態で、ホルダ10に取り付けられたモータ2A、モータ2B、リード線R1~R4を、ケース3に収納する。
【0087】
このとき、抜け止め部18a~19bによって、モータ2A、モータ2B、ホルダ10が外れてしまわない状態を維持可能なようになっているので、モータ2A、モータ2B、ホルダ10の取り回しが容易になり、これらを同時にケース3に収納する作業の作業性が向上する。
同時に、リード線R1~R4がホルダ10に固定されて、モータ2A、モータ2B、ホルダ10とともに外れてしまわない状態を維持可能なようになっているので取り回しが容易になり、これらを同時にケース3に収納する作業の作業性が向上する。
しかも、折り返し部16がフランジ部2B5の縁部を覆うように設けられているため、フランジ部2B5の縁部によってリード線R1~R4を破損してしまうことがなく、リード線R1~R4の取り回しをさらに容易にすることができる。
【0088】
次いで、まず、基準となるモータ2Aを1本の固定ネジ5A3および2本の固定ネジ5A4によって、ケース3固定する。このとき、ホルダ10およびモータ2Bは、ケースに固定しない。
これにより、モータ2Aの位置を基準として、モータ2Bのケース3に対する位置決めを精密におこなうことが可能となる。また、モータ2Aの固定に際して、リード線R1~R4がいずれも配線保持部17a~17hによって固定されているため、ネジ止め作業の邪魔になることがなく、作業性を向上することができる。
【0089】
次いで、所定の治具によって、モータ2Bの精密な位置決めをおこなう。このとき、モータ2Bは、ホルダ10によって、モータ2Aに対して、大まかな位置および姿勢が規制されているので、駆動軸2B1の向きをX方向にのみ調整することが可能な程度の治具でよく、特別な形状の治具を用意する必要がない。しかも、モータ2Bの位置設定における自由度が一方向であるX方向のみで有り、軸間距離の微調整のみで済むので、作業時間を短縮し、作業性を向上することができる。
【0090】
ケース3に固定されたモータ2Aに対して、モータ2Bとの位置決めが終了したら、モータ2Bを1本の固定ネジ5B3および2本の固定ネジ5B4によって、ケース3固定する。このとき、ホルダ10は、ケースに固定しない。
これにより、モータ2Aの位置を基準として、モータ2Bをケース3に対して精密に位置決めした状態で固定することが容易に可能となる。
また、リード線R1~R4がいずれも配線保持部17a~17hによってホルダ10に固定されているため、ケース3の内部でリード線R1~R4が動いてしまうことを防止できる。これにより、駆動装置1の動作信頼性を向上することができる。
【0091】
本実施形態においては、基準側のモータ2Aに対する嵌合部12には、モータ2Aの中心出しをするため、その内周面に90度4等配となる四方圧入部12aおよび四方圧入部12bを設け、従属側のモータ2Bに対する嵌合部13には、駆動ギア21a、リダクションギア7の噛合い中心線の水平成分に対し、対向する2個の二方圧入部13bを設けて、固定ネジ53および固定ネジ54でケース3にモータ2を固定する際は、最初に基準側のモータ2Aをネジ締めする。
従属側のモータ2Bは、2個の二方圧入部13bがY方向に対向しているため、駆動ギア21a、リダクションギア7の噛合い中心線の水平成分方向のみに動きが規制されているため、従属側のモータ2Bは治具での固定の体に、ギアの噛合い中心線の水平成分方向のみを調整すればよいので2方向で位置を規制する必要がないため、治具の簡素化が可能となる。
【0092】
つまり、2個のモータ2を、固定ネジ53および固定ネジ54でケース3に固定する際、ネジ固定する前にホルダ10に基準側となるモータ2Aを圧入していき規制できる嵌合部12を設け、従属側のモータ2Bのネジ固定する際の位置調整をギアの噛合い中心線の水平成分のみとすることで、ギア噛合い距離の設定を精度よくおこなえるとともに、治具の簡素化を可能とすることができる。
【0093】
モータ2のフランジ部25の縁部が、かなりエッジが効いていた場合でも、折り返し部16によって、フランジ部25の縁部を覆うことができるので、導出部3aにおいて、グロメットのつけ外しに伴ってリード線がZ方向に移動した場合でも、リード線がフランジ部25の縁部と接触することを防止して、リード線の被膜が破損することを防止できる。
【0094】
これにより、作業効率が向上することから生産活動における作業ロスを低減することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」及び目標8「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」に貢献することが可能となる。
【0095】
なお、上記の実施形態では、モータ2を2相モータとして説明したが3相モータとすることもできる。この場合、リード線の本数および貫通孔の設置箇所が増える。
【符号の説明】
【0096】
1…駆動装置(アクチュエータ)
2,2A,2B…モータ
3…ケース
7…リダクションギア
8…減速機構
10…ホルダ
11…ベース部
12…嵌合部(第1嵌合部)
12a,12b…四方圧入部(第1圧入部)
13…嵌合部(第2嵌合部)
13b…二方圧入部(第2圧入部)
12h,13h…嵌合孔
14a,14b,15c…切欠
15a,15b,14c…貫通孔
16…折り返し部
17a~17h…配線保持部(フック)
18a~19b…抜け止め部
21,2A1,2B1…駆動軸
22,2A2,2B2…軸受ホルダ(ベアリングボス)
23,2A3,2B3,24,2A4,2B4…ターミナル(給電端子)
25,2A5,2B5…フランジ部
53,5A3,5B3,54,5A4,5B4…固定ネジ
21a…駆動ギア
C0,C01,C02…軸線
R1~R4…リード線(配線)