(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069036
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】戸閉装置
(51)【国際特許分類】
B61D 19/02 20060101AFI20240514BHJP
E05F 15/635 20150101ALI20240514BHJP
【FI】
B61D19/02 D
E05F15/635
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179802
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】城間 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】北端 篤史
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA08
2E052DB08
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA03
2E052GB13
2E052GC03
2E052GC07
(57)【要約】
【課題】互いに異なる2つの戸体の各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を抑制することが可能な戸閉装置を提供する。
【解決手段】この戸閉装置100は、戸体11に接続され、戸体11の閉方向に延びるラック部21と、戸体12に接続され、戸体12の閉方向に延びるラック部22と、ラック部21と噛み合いながら回転するピニオン部23と、ラック部22と噛み合いながら回転するピニオン部24と、戸体11を開閉させるようにピニオン部23を回転させるモータ部31と、モータ部31とは別個に設けられ、戸体12を開閉させるようにピニオン部24を回転させるモータ部32と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近接および離間する方向である開閉方向にスライド移動することによって開閉する第1戸体および第2戸体のうちの前記第1戸体に接続され、前記第1戸体の閉方向に延びる第1ラック部と、
前記第2戸体に接続され、前記第2戸体の閉方向に延びる第2ラック部と、
前記第1ラック部と噛み合いながら回転する第1ピニオン部と、
前記第2ラック部と噛み合いながら回転する第2ピニオン部と、
前記第1ラック部に接続された前記第1戸体を開閉させるように前記第1ピニオン部を回転させる第1回転式モータ部と、
前記第1回転式モータ部とは別個に設けられ、前記第2ラック部に接続された前記第2戸体を開閉させるように前記第2ピニオン部を回転させる第2回転式モータ部と、を備える、戸閉装置。
【請求項2】
前記第1ラック部は、前記開閉方向に沿って一部が前記第2ラック部にオーバーラップするように配置されている、請求項1に記載の戸閉装置。
【請求項3】
前記第1ラック部は、前記第1戸体および前記第2戸体の上部において、前記第1戸体および前記第2戸体の前記開閉方向に沿って前記第1戸体から前記第2戸体に向かって延びるように配置されており、
前記第2ラック部は、前記第1戸体および前記第2戸体の上部において、前記開閉方向に沿って前記第2戸体から前記第1戸体に向かって延びるように配置されている、請求項1または2に記載の戸閉装置。
【請求項4】
前記第1回転式モータ部は、前記第1戸体の上方において、前記第1戸体の前記開閉方向における中心位置より閉方向側に配置されており、
前記第2回転式モータ部は、前記第2戸体の上方において、前記第2戸体の前記開閉方向における中心位置より閉方向側に配置されている、請求項1または2に記載の戸閉装置。
【請求項5】
前記第1ラック部および前記第2ラック部は、互いに対向するように前記開閉方向に沿って延びるように配置されており、
前記第1ピニオン部および前記第2ピニオン部は、前記第1ラック部および前記第2ラック部の間において、上下方向、または、前記開閉方向および前記上下方向に直交する前後方向に、互いに位置がずれた状態で配置されている、請求項1または2に記載の戸閉装置。
【請求項6】
前記第1回転式モータ部の駆動を制御する第1制御部と、
前記第1制御部とは別個に設けられ、前記第2回転式モータ部の駆動を制御する第2制御部と、をさらに備える、請求項1または2に記載の戸閉装置。
【請求項7】
前記第1戸体の開閉状態を検知するために前記第1ラック部の位置を検知するとともに、前記第1戸体の開閉状態を示す信号を前記第1制御部に出力する第1戸体検知部と、
前記第1戸体検知部とは別個に設けられ、前記第2戸体の開閉状態を検知するために前記第2ラック部の位置を検知するとともに、前記第2戸体の開閉状態を示す信号を前記第2制御部に出力する第2戸体検知部と、をさらに備える、請求項6に記載の戸閉装置。
【請求項8】
前記第1戸体の開方向への移動を規制するために前記第1ラック部の移動を規制する第1施錠部と、
前記第1施錠部とは別個に設けられ、前記第2戸体の開方向への移動を規制するために前記第2ラック部の移動を規制する第2施錠部と、をさらに備える、請求項1または2に記載の戸閉装置。
【請求項9】
前記第1施錠部によって前記第1ラック部の移動が規制されていることを検知する第1施錠検知部と、
前記第2施錠部によって前記第2ラック部の移動が規制されていることを検知する第2施錠検知部と、をさらに備える、請求項8に記載の戸閉装置。
【請求項10】
前記第1ラック部は、鉄道車両に設けられた前記第1戸体に接続され、前記第1戸体の閉方向に延びるように配置されており、
前記第2ラック部は、鉄道車両に設けられた前記第2戸体に接続され、前記第2戸体の閉方向に延びるように配置されている、請求項1または2に記載の戸閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、戸閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸閉装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電車用ドアの開閉装置(戸閉装置)が記載されている。この電車用ドアの開閉装置は、リニアモータによりドアを開閉する。リニアモータは、固定子コイルと可動子とを有する。リニアモータの可動子は、駆動アームおよび継ぎ手を介してドアに取り付けられている。上記特許文献1に記載の電車用ドアの開閉装置では、固定子コイルおよび可動子に流す電流を制御することによって、可動子が固定子コイルに対して平行移動し、ドアが開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電車用ドアの開閉装置(戸閉装置)のように、リニアモータを用いて1つの戸体(ドア)を移動させる場合には、戸体の移動距離分だけ、固定子コイルを配置する必要がある。また、上記特許文献1には記載されていないが、固定子に永久磁石を用いる場合も同様に戸体の移動距離分だけ永久磁石を配置する必要がある。そのため、リニアモータの重量が大きくなるために戸閉装置の重量がその分大きくなる。そのため、互いに異なる2つの戸体の各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、互いに異なる2つの戸体の各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を抑制することが可能な戸閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による戸閉装置は、互いに近接および離間する方向である開閉方向にスライド移動することによって開閉する第1戸体および第2戸体のうちの第1戸体に接続され、第1戸体の閉方向に延びる第1ラック部と、第2戸体に接続され、第2戸体の閉方向に延びる第2ラック部と、第1ラック部と噛み合いながら回転する第1ピニオン部と、第2ラック部と噛み合いながら回転する第2ピニオン部と、第1ラック部に接続された第1戸体を開閉させるように第1ピニオン部を回転させる第1回転式モータ部と、第1回転式モータ部とは別個に設けられ、第2ラック部に接続された第2戸体を開閉させるように第2ピニオン部を回転させる第2回転式モータ部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による戸閉装置は、上記のように、第1ラック部に接続された第1戸体を開閉させるように第1ピニオン部を回転させる第1回転式モータ部と、第1回転式モータ部とは別個に設けられ、第2ラック部に接続された第2戸体を開閉させるように第2ピニオン部を回転させる第2回転式モータ部と、を備える。これにより、回転式のモータに用いられる永久磁石の個数はリニアモータに比べて少ないため、第1戸体および第2戸体の各々を開閉させるためにリニアモータを用いる場合に比べて、第1回転式モータ部および第2回転式モータ部を用いることによって、装置全体の重量を小さくすることができる。その結果、互いに異なる2つの戸体の各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による戸閉装置において、好ましくは、第1ラック部は、開閉方向に沿って一部が第2ラック部にオーバーラップするように配置されている。このように構成すれば、第1ラック部および第2ラック部が互いにオーバーラップする量の分だけ開閉方向における長さを短縮することができる。
【0010】
上記一の局面による戸閉装置において、好ましくは、第1ラック部は、第1戸体および第2戸体の上部において、第1戸体および第2戸体の開閉方向に沿って第1戸体から第2戸体に向かって延びるように配置されており、第2ラック部は、第1戸体および第2戸体の上部において、開閉方向に沿って第2戸体から第1戸体に向かって延びるように配置されている。このように構成すれば、第1ラック部および第2ラック部の各々が第1戸体および第2戸体の上部に配置されているため、第1戸体および第2戸体の上部である欄間部分の空間を有効に利用することができる。また、第1ラック部が開閉方向に沿って第1戸体から第2戸体に向かって延びるように配置されているとともに、第2ラック部が開閉方向に沿って第2戸体から第1戸体に向かって延びるように配置されているため、第1戸体および第2戸体の上部である欄間部分の空間において、開閉方向における長さを効果的に短縮することができる。
【0011】
上記一の局面による戸閉装置において、好ましくは、第1回転式モータ部は、第1戸体の上方において、第1戸体の開閉方向における中心位置より閉方向側に配置されており、第2回転式モータ部は、第2戸体の上方において、第2戸体の開閉方向における中心位置より閉方向側に配置されている。このように構成すれば、第1回転式モータ部が第1戸体の開閉方向における中心位置より開方向側に配置されているとともに、第2回転式モータ部が第2戸体の開閉方向における中心位置よりも開方向側に配置されている場合に比べて、第1ラック部および第2ラック部が互いにオーバーラップする量を大きくすることができるので、第1ラック部および第2ラック部の開閉方向における長さを小さくすることができる。その結果、開閉方向における長さをより短縮することができる。
【0012】
上記一の局面による戸閉装置において、好ましくは、第1ラック部および第2ラック部は、互いに対向するように開閉方向に沿って延びるように配置されており、第1ピニオン部および第2ピニオン部は、第1ラック部および第2ラック部の間において、上下方向、または、開閉方向および上下方向に直交する前後方向に、互いに位置がずれた状態で配置されている。このように構成すれば、第1ピニオン部および第2ピニオン部が上下方向または前後方向に互いに位置がずれた状態で配置されているので、第1ラック部と噛み合いながら回転する第1ピニオン部が第2ラック部と干渉することを抑制することができるとともに、第2ラック部と噛み合いながら回転する第2ピニオン部が第1ラック部と干渉することを抑制することができる。そのため、第1ラック部および第2ラック部の間に、第1ピニオン部と第2ピニオン部とを開閉方向に並べて配置する場合にも、互いに異なる2つの戸体の各々を別個に開閉することができる。その結果、第1ラック部と第2ラック部との間に第1ピニオン部および第2ピニオン部を開閉方向に並べて配置することによって、第1ラック部と第2ラック部との対向する方向における長さが増大することを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による戸閉装置において、好ましくは、第1回転式モータ部の駆動を制御する第1制御部と、第1制御部とは別個に設けられ、第2回転式モータ部の駆動を制御する第2制御部と、をさらに備える。このように構成すれば、互いに異なる第1制御部および第2制御部のいずれか一方に異常が生じた場合にも、異常の生じていない他方による制御を行うことができるので、第1戸体および第2戸体のいずれか他方側の開閉動作を行うことができる。そのため、第1回転式モータ部の駆動と第2回転式モータ部の駆動とを共通の制御部により制御する場合と異なり、1つの制御部に異常が生じた場合に、第1戸体と第2戸体との両方の開閉が行えなくなることを抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第1戸体の開閉状態を検知するために第1ラック部の位置を検知するとともに、第1戸体の開閉状態を示す信号を第1制御部に出力する第1戸体検知部と、第1戸体検知部とは別個に設けられ、第2戸体の開閉状態を検知するために第2ラック部の位置を検知するとともに、第2戸体の開閉状態を示す信号を第2制御部に出力する第2戸体検知部と、をさらに備える。このように構成すれば、第1戸体検知部からの信号に基づいて第1制御部による第1戸体の開閉動作の制御が正常に行われているか否かを判断することができるとともに、第2戸体検知部からの信号に基づいて第2制御部による第2戸体の開閉動作の制御が正常に行われているか否かを判断することができる。そのため、第1制御部による制御と第2制御部による制御との各々が正常に行われているか否かを別個に判断することができるので、第1制御部および第2制御部のいずれか一方の制御処理に異常が生じている場合にも、異常が生じていないいずれか他方の制御処理によって、第1戸体または第2戸体の開閉動作を行うことができる。
【0015】
上記一の局面による戸閉装置において、好ましくは、第1戸体の開方向への移動を規制するために第1ラック部の移動を規制する第1施錠部と、第1施錠部とは別個に設けられ、第2戸体の開方向への移動を規制するために第2ラック部の移動を規制する第2施錠部と、をさらに備える。このように構成すれば、第1ラック部と第2ラック部との移動を別個に規制することによって、第1戸体の移動と第2戸体の移動とを別個に規制することができる。そのため、第1戸体を移動させる第1回転式モータ部と、第2戸体を移動させる第2回転式モータ部とのいずれか一方に異常が生じた場合に、第1戸体と第2戸体のうちの異常が生じている側の移動を第1施錠部または第2施錠部により規制したまま、異常が生じていない側の移動の規制を解除することができるので、異常が生じていない側の戸体の開閉動作を行うことができる。
【0016】
この場合、好ましくは、第1施錠部によって第1ラック部の移動が規制されていることを検知する第1施錠検知部と、第2施錠部によって第2ラック部の移動が規制されていることを検知する第2施錠検知部と、をさらに備える。このように構成すれば、第1施錠部による移動の規制が正常に行われているか否かと、第2施錠部による移動の規制が正常に行われているか否かとを、別個に検知することができる。そのため、第1戸体および第2戸体の各々の移動の規制が正常に行われていない状態が維持されることを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による戸閉装置において、好ましくは、第1ラック部は、鉄道車両に設けられた第1戸体に接続され、第1戸体の閉方向に延びるように配置されており、第2ラック部は、鉄道車両に設けられた第2戸体に接続され、第2戸体の閉方向に延びるように配置されている。このように構成すれば、鉄道車両には積載重量および積載領域に制限があるため、鉄道車両に設けられた第1戸体と第2戸体との各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を効果的に抑制することができるとともに、開閉方向における長さを効果的に短縮することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、互いに異なる2つの戸体の各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を抑制することができるとともに、開閉方向における長さを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態による戸閉装置が設けられた鉄道車両を示した模式図である。
【
図3】モータ部の構成を説明するための分解斜視図である。
【
図4】ラック部とピニオン部の動作を説明するための図である。
【
図7】戸閉検知スイッチおよび施錠部を説明するための模式図である。
【
図8】戸開検知スイッチを説明するための模式図である。
【
図9】比較例による戸閉装置と一実施形態による戸閉装置との比較を説明するための図であって、(A)は、比較例による戸閉装置を示した図であり、(B)は、一実施形態による戸閉装置を示した図である。
【
図10】一実施形態の第1変形例による戸閉装置を示した図であって、(A)は、正面図であり、(B)は、側面図である。
【
図11】一実施形態の第2変形例による戸閉装置を示した図であって、(A)は、正面図であり、(B)は、側面図である。
【
図12】一実施形態の第3変形例による戸閉装置を示した図であって、(A)は、正面図であり、(B)は、側面図である。
【
図13】一実施形態の第4変形例による戸閉装置を示した図であって、(A)は、正面図であり、(B)は、側面図である。
【
図14】一実施形態の第5変形例による戸閉装置を示した図であって、(A)は、正面図であり、(B)は、側面図である。
【
図15】一実施形態の第6変形例による戸閉装置を示した図であって、(A)は、正面図であり、(B)は、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1~
図9を参照して、本実施形態による戸閉装置100の構成について説明する。
【0022】
(戸閉装置の構成)
図1に示すように、戸閉装置100は、鉄道車両101に搭載されている。戸閉装置100は、鉄道車両101に設けられた戸体11および戸体12の各々を開閉させる電動の装置である。戸体11および戸体12は、互いに近接および離間する方向である開閉方向(X方向)にスライド移動することによって開閉する引き戸である。戸閉装置100は、鉄道車両101において、戸体11および戸体12の上部の欄間部分に配置されている。なお、戸体11および戸体12は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1戸体」および「第2戸体」の一例である。
【0023】
なお、以下の説明において、戸体11および戸体12の開閉方向をX方向とし、X方向のうちの一方の戸体11側をX1方向とし、X方向のうち他方の戸体12側をX2方向とする。すなわち、戸体11の開方向はX1方向であって、戸体11の閉方向はX2方向である。また、戸体12の開方向はX2方向であって、戸体12の閉方向はX1方向である。また、上下方向(鉛直方向)をZ方向とし、Z方向のうち一方である鉛直上方向をZ1方向とし、Z方向のうち他方である鉛直下方向をZ2方向とする。そして、開閉方向(X方向)および上下方向(Z方向)に直交する方向である前後方向をY方向とし、Y方向のうちの一方である車内側方向をY1方向とし、Y方向のうちの他方である車外側方向をY2方向とする。また、戸体11および戸体12を閉方向に移動させて閉めた状態を閉状態(
図5参照)とし、戸体11および戸体12を開方向に移動させて開いた状態を開状態(
図6参照)とする。
【0024】
図2に示すように、戸閉装置100は、ラック部21、ラック部22、ピニオン部23、ピニオン部24、接続部25、接続部26、モータ部31、モータ部32、制御部41、および、制御部42を備えている。戸閉装置100において、ラック部21、ラック部22、ピニオン部23、ピニオン部24、接続部25、接続部26、モータ部31、モータ部32、制御部41、および、制御部42は、X方向に延びる細長い箱状の筐体の内部に収納されている。
図2では、戸閉装置100を車内側から見た図を示している。なお、ラック部21およびラック部22は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1ラック部」および「第2ラック部」の一例である。また、ピニオン部23およびピニオン部24は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1ピニオン部」および「第2ピニオン部」の一例である。また、モータ部31およびモータ部32は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1回転式モータ部」および「第2回転式モータ部」の一例である。また、制御部41および制御部42は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1制御部」および「第2制御部」の一例である。
【0025】
ラック部21は、戸体11の閉方向であるX2方向に延びるように配置されている。ラック部22は、戸体12の閉方向であるX1方向側に延びるように配置されている。具体的には、ラック部21は、戸体11および戸体12の上部(Z1方向側)においてX方向に沿って戸体11から戸体12に向かってX2方向側に延びるように配置されている。ラック部22は、戸体11および戸体12の上部(Z1方向側)においてX方向に沿って戸体12から戸体11に向かってX1方向側に延びるように配置されている。
【0026】
また、ラック部21およびラック部22は、Z方向に沿って互いに対向するように、X方向に沿って延びるように配置されている。すなわち、ラック部21は、開閉方向(X方向)に沿って一部がラック部22にオーバーラップするように配置されている。具体的には、ラック部21は、上下方向(Z方向)から見て、ラック部22に対して一部がオーバーラップするように配置されている。すなわち、X方向に沿って延びるラック部21およびラック部22は、Z方向から見て互いに一部がオーバーラップするように配置されている。また、ラック部21は、ラック部22よりもZ1方向側に配置されている。また、ラック部21およびラック部22は、Y方向において略同一平面上に配置されている。すなわち、ラック部21およびラック部22は、XZ平面上において水平方向であるX方向に沿って互いに平行に延びるように配置されている。
【0027】
ラック部21は、接続部25を介して戸体11に接続されている。また、ラック部22は、接続部26を介して戸体12に接続されている。すなわち、ラック部21および戸体11は、X方向に沿って一体的に移動する。また、ラック部22および戸体12は、X方向に沿って一体的に移動する。接続部25は、たとえば、戸体11を吊り下げる板状の部材である。接続部26は、たとえば、戸体12を吊り下げる板状の部材である。接続部25は、Z方向に沿って延びるとともに、Y方向の一方側からラック部21と戸体11とに対して接続されている。接続部26は、Z方向に沿って延びるとともに、Y方向の一方側からラック部22と戸体12とに対して接続されている。
【0028】
ピニオン部23およびピニオン部24は、ピニオンギヤである。具体的には、ピニオン部23は、モータ部31の駆動によりラック部21と噛み合いながら回転する。ピニオン部24は、モータ部32の駆動によりラック部22と噛み合いながら回転する。すなわち、ラック部21およびピニオン部23の組と、ラック部22およびピニオン部24の組との各々の組によって、互いに別個のラックアンドピニオン構造が構成されている。
【0029】
モータ部31およびモータ部32は、回転式の電動モータである。モータ部31およびモータ部32は、たとえば、ブラシレスDCモータである。モータ部31およびモータ部32は、それぞれ、戸体11および戸体12を開閉させるための駆動力を発生するように構成されている。具体的には、モータ部31は、ラック部21に接続された戸体11を開閉させるように、ピニオン部23を回転させる。また、モータ部32は、ラック部22に接続された戸体12を開閉させるようにピニオン部24を回転させる。モータ部31およびモータ部32は、互いに別個に設けられている。
【0030】
図3に示すように、モータ部31は、出力軸31a、ロータ31b、ステータ31c、巻線部31d、および、エンコーダ31eを有する。出力軸31aは、ロータ31bに接続されている。ロータ31bは、ステータ31cに対して回転可能に構成されており、永久磁石が表面に固定されている。ステータ31cには、巻線部31dが設けられている。モータ部31では、巻線部31dに制御部41からの駆動電流が流されることにより、ステータ31cにロータ31bを回転させるための力が生じる。そして、ロータ31bが回転することによって、ロータ31bに接続されている出力軸31aがロータ31bと一体的に回転する。出力軸31aには、ピニオン部23が固定されている。モータ部31は、出力軸31aをY方向に沿った方向に延びる回転中心軸線回りに回転することによって、ピニオン部23を回転させる。エンコーダ31eは、ロータ31bの回転角を示す信号を制御部41に出力する。また、モータ部32の構造は、モータ部31と同様である。モータ部32は、モータ部31と同様に、ピニオン部24が固定されている出力軸32a(
図4参照)をY方向に沿った方向に延びる回転中心軸線回りに回転することによって、ピニオン部24を回転させる。そして、モータ部32の図示しないエンコーダから制御部42に対して、モータ部32の回転角を示す信号が出力される。
【0031】
図2に示すように、モータ部31およびモータ部32は、戸体11および戸体12の上方において、開閉方向(X方向)に沿って並んで配置されている。モータ部31は、戸体11側(X1方向側)に配置されている。モータ部32は、戸体12側(X2方向側)に配置されている。具体的には、モータ部31は、戸体11の上方において、戸体11の開閉方向(X方向)における中心位置より閉方向側(X2方向側)に配置されている。また、モータ部31は、Y方向において、ピニオン部23よりも車内側(Y1方向側)に出力軸31a以外の部分が配置されている。モータ部32は、戸体12の上方において、戸体12の開閉方向(X方向)における中心位置より閉方向側(X1方向側)に配置されている。また、モータ部32は、モータ部31と同様に、Y方向において、ピニオン部24よりも車内側(Y1方向側)に出力軸32a以外の部分が配置されている。
【0032】
図4に示すように、ラック部21およびラック部22は、それぞれ、歯部21aおよび歯部22aを有している。歯部21aは、ラック部21の下方側(Z2方向側)において、X方向に沿って並ぶように複数設けられている。歯部22aは、ラック部22の上方側(Z1方向側)において、X方向に沿って並ぶように複数設けられている。また、ピニオン部23およびピニオン部24は、それぞれ、歯部23aおよび歯部24aを有している。ピニオン部23は、ラック部21の下方側(Z2方向側)からラック部21の歯部21aに歯部23aが噛み合うように配置されている。また、ピニオン部24は、ラック部22の上方側(Z1方向側)からラック部22の歯部22aに歯部24aが噛み合うように配置されている。
【0033】
また、ピニオン部23およびピニオン部24は、ラック部21およびラック部22の間において、上下方向(Z方向)に互いに位置がずれた状態で配置されている。具体的には、ピニオン部23は、ピニオン部24よりも上下方向において上方側(Z1方向側)に配置されている。なお、ピニオン部23およびピニオン部24は、Y方向において互いに略等しい位置となるように配置されている。したがって、ピニオン部23は、ラック部21と噛み合いながら、ラック部22とは離間した状態で配置されている。ピニオン部24は、ラック部22と噛み合いながら、ラック部21とは離間した状態で配置されている。
【0034】
図5および
図6に示すように、モータ部31によりピニオン部23が回転することによって、ラック部21が、開閉方向(X方向)に移動する。また、モータ部32によりピニオン部24が回転することによって、ラック部22が、開閉方向(X方向)に移動する。そして、ラック部21が開閉方向に移動することによって、戸体11が移動する。また、ラック部22が開閉方向に移動することによって、戸体12が移動する。たとえば、ピニオン部23が
図4の時計回りに回転することによって、ラック部21は、図示しないガイドレールに沿って閉方向であるX2方向に移動する。また、ピニオン部24が
図4の時計回りに回転することによって、ラック部22は、図示しないガイドレールに沿って閉方向であるX1方向に移動する。
【0035】
図2に示すように、制御部41および制御部42は、ラック部21およびラック部22の上方に配置されている。制御部41は、モータ部31に対して駆動電流を出力することによって、モータ部31の駆動を制御する。また、制御部42は、モータ部32に対して駆動電流を出力することによって、モータ部32の駆動を制御する。制御部42は、制御部41と別個に設けられている。制御部41および制御部42の各々は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含むマイコン(マイクロコントローラ)を含む。また、制御部41および制御部42の各々は、図示しない車両制御装置と通信可能に構成されている。制御部41および制御部42は、それぞれ、車両制御装置からの入力信号に基づいて、戸体11および戸体12を開閉させる。制御部41および制御部42による制御処理の詳細は後述する。
【0036】
図2に示すように、戸閉装置100は、戸体検知部51および戸体検知部52を備える。戸体検知部51および戸体検知部52は、互いに別個に設けられている。戸体検知部51は、戸閉検知スイッチ51aと、戸開検知スイッチ51bとを含む。また、戸体検知部52は、戸閉検知スイッチ52aと、戸開検知スイッチ52bとを含む。なお、戸体検知部51および戸体検知部52は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1戸体検知部」および「第2戸体検知部」の一例である。
【0037】
図7に示すように、戸閉検知スイッチ51aは、接続部25を検知することによって、ラック部22が閉状態の位置に配置されていることを検知する。たとえば、戸閉検知スイッチ51aは、リミットスイッチを含む。具体的には、戸閉検知スイッチ51aは、可動部51cを有している。戸体11が閉位置に配置された場合に、接続部25に設けられた押下部25aにより可動部51cがX2方向に向かって押下されることによって、戸閉検知スイッチ51aは、戸体11が閉位置に配置されている状態(閉状態)であることを検知する。
【0038】
図8に示すように、戸開検知スイッチ51bは、接続部25を検知することによって、ラック部22が開状態の位置に配置されていることを検知する。たとえば、戸開検知スイッチ51bは、戸閉検知スイッチ51aと同様に、リミットスイッチを含む。戸開検知スイッチ51bは、可動部51dを有している。戸体11が開位置に配置された場合に、接続部25に設けられた押下部25bにより可動部51dがX1方向に向かって押下されることによって、戸開検知スイッチ51bは、戸体11が開位置に配置されている状態(閉状態)であることを検知する。
【0039】
このように、戸閉検知スイッチ51aおよび戸開検知スイッチ51b(戸体検知部51)は、戸体11の開閉状態を検知するために接続部25を検知することによってラック部21の位置を検知する。また、戸体検知部51の戸閉検知スイッチ51aおよび戸開検知スイッチ51bの各々は、制御部41と電気的に接続されている。戸閉検知スイッチ51aおよび戸開検知スイッチ51bの各々は、ラック部21を検知した場合に、ラック部21が検知されたことを示す信号を制御部42に対して出力する。すなわち、戸閉検知スイッチ51aおよび戸開検知スイッチ51b(戸体検知部51)は、戸体11の開閉状態を示す信号を制御部41に対して出力する。
【0040】
また、戸体検知部52は、戸体検知部51と同様である。すなわち、戸閉検知スイッチ52aおよび戸開検知スイッチ52bは、それぞれ、戸閉検知スイッチ51aおよび戸開検知スイッチ51bと同様に、接続部26を検知することによって、ラック部22が閉状態の位置に配置されていることと開状態の位置に配置されていることとを検知する。すなわち、戸閉検知スイッチ52aおよび戸開検知スイッチ52b(戸体検知部52)は、戸体12の開閉状態を検知するために接続部26を検知することによってラック部22の位置を検知する。また、戸体検知部52の戸閉検知スイッチ52aおよび戸開検知スイッチ52bの各々は、ラック部22を検知した場合に、ラック部22が検知されたことを示す信号を、戸体12の開閉状態を示す信号として制御部42に出力する。
【0041】
また、
図2に示すように、戸閉装置100は、施錠部61および施錠部62を備えている。施錠部61は、閉状態における戸体11の開方向(X1方向)への移動を規制するためにラック部21の移動を規制する。また、施錠部62は、閉状態における戸体12の開方向(X2方向)への移動を規制するためにラック部22の移動を規制する。施錠部61と施錠部62とは互いに別個に設けられている。なお、施錠部61および施錠部62は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1施錠部」および「第2施錠部」の一例である。
【0042】
図7に示すように、具体的には、施錠部61は、ソレノイドコイル61a、および、可動部61b、を有する。ソレノイドコイル61aは、通電されることによって可動部61bを上下方向(Z方向)に移動させる。可動部61bは、Z方向に沿って延びる棒状の部材である。可動部61bは、ソレノイドコイル61aにより下方側(Z2方向側)に移動することによって、ラック部21に設けられた係合部21bと係合する。これにより、可動部61bは、係合部21bと係合することによって、ラック部21のX方向における移動を規制する。係合部21bは、戸体11が閉状態の位置に配置されている場合に、可動部61bと係合可能な配置となるようにラック部21に固定されている。
【0043】
また、施錠部61は、施錠検知部61cを有している。施錠検知部61cは、施錠部61によって戸体11の開方向への移動が規制されていることを検知する。すなわち、施錠検知部61cは、施錠部61によってラック部21の移動が規制されていることを検知することによって、戸体11の移動が規制されていることを検知する。施錠検知部61cは、たとえば、リミットスイッチを含む。施錠検知部61cは、可動部61bがソレノイドコイル61aにより移動することによってスイッチが押下される。すなわち、施錠検知部61cは、可動部61bが、ソレノイドコイル61aにより移動することによって、係合部21bと係合した状態にあることを検知する。また、施錠検知部61cは、制御部41に対して、戸体11の移動が規制されていることを示す信号を出力する。なお、施錠検知部61cは、特許請求の範囲における「第1施錠検知部」の一例である。
【0044】
なお、施錠部62の構成は、施錠部61と同様である。施錠部62には、施錠部61と同様に施錠検知部62c(
図2参照)が設けられている。施錠検知部62cは、施錠検知部61cと同様に、施錠部62によってラック部22の移動が規制されていることを検知することによって、戸体12の開方向への移動が規制されていることを検知する。また、施錠検知部62cは、制御部42に対して、戸体12の移動が規制されていることを示す信号を出力する。なお、施錠検知部62cは、特許請求の範囲における「第2施錠検知部」の一例である。
【0045】
(制御部による開閉の制御処理)
制御部41は、図示しない車両制御装置からの信号に基づいて、戸体11を開閉させる。具体的には、制御部41は、戸体11が閉状態の場合において、車両制御装置から戸体11を開状態とすることを示す開指令信号が取得された場合に、戸体11を閉状態から開状態へと移動させる制御を行う。この場合には、まず、制御部41は、施錠部61に対して戸体11の移動が規制された状態を解除するための信号を出力する。この時に、制御部41は、施錠検知部61cから戸体11の移動が規制された状態が解除されたことを示す信号を取得する。戸体11の移動が規制された状態が解除されたことを示す信号が取得されない場合には、制御部41は、車両制御装置に対してエラー信号を出力する。
【0046】
そして、制御部41は、モータ部31に対して、戸体11を開状態における配置位置まで移動させるための駆動信号を出力する。具体的には、施錠部61は、予め設定された移動距離分だけ戸体11が移動するように、所定の回転角だけモータ部31を回転させるようにモータ部31の巻線部31dに対して駆動電流を出力する。なお、制御部41は、エンコーダ31eからの信号に基づいて、モータ部31の回転角をフィードバック制御により制御することによって、開状態の配置位置まで戸体11を移動させる。また、開状態の配置位置まで戸体11を移動させた後に、制御部41は、戸開検知スイッチ52bから戸体11が開状態の位置に配置されていることを示す信号を取得する。開状態の位置に配置されていることを示す信号が取得されない場合には、制御部41は、車両制御装置に対してエラー信号を出力する。
【0047】
また、制御部41は、戸体11が開状態の場合において、車両制御装置から戸体11を閉状態とすることを示す閉指令信号が取得された場合に、戸体11を開状態から閉状態へと移動させる制御を行う。具体的には、開状態へと移動させる場合と同様に、モータ部31に対するフィードバック制御によって、制御部41は、戸体11を閉状態において配置される位置まで移動させる。また、閉状態の配置位置まで戸体11を移動させた後に、開状態への移動と同様に、制御部41は、戸閉検知スイッチ52aから戸体11が閉状態の位置に配置されていることを示す信号を取得する。閉状態の位置に配置されていることを示す信号が取得されない場合には、制御部41は、車両制御装置に対してエラー信号を出力する。
【0048】
また、閉状態において、制御部41は、戸体11の移動を規制する制御を行う。具体的には、制御部41は、戸閉検知スイッチ51aから戸体11が閉状態の位置に配置されていることを示す信号が取得された場合に、施錠部61に対して戸体11の移動を規制させる信号を出力する。施錠部61は、制御部41からの信号に基づいて戸体11の移動を規制する。また、この時に、制御部41は、施錠検知部61cから戸体11の移動が規制されていることを示す信号を取得する。戸体11の移動が規制されていることを示す信号が取得されない場合には、制御部41は、車両制御装置に対してエラー信号を出力する。
【0049】
なお、制御部42による戸体12の移動の制御は、制御部41による制御と同様であるため、説明を省略する。すなわち、制御部42は、車両制御装置からの信号と、戸体検知部52(戸閉検知スイッチ52aおよび戸開検知スイッチ52b)からの信号と、施錠検知部62cからの信号とに基づいて、制御部41とは別個にモータ部32の駆動を制御することによって、戸体12を開閉させる。したがって、制御部41によって、モータ部31のフィードバック制御が行われるとともに、制御部42によって、モータ部32のフィードバック制御が行われる。
【0050】
(比較例との比較)
次に、
図9を参照して、比較例による戸閉装置と、本発明の一実施形態による戸閉装置100との比較について説明する。
【0051】
図9(A)に示すように、比較例による戸閉装置では、回転式のモータではなく、戸体11および戸体12の各々に対して1つずつのリニアモータが設けられている。比較例による戸閉装置のリニアモータでは、可動子の大きさによらず少なくとも開閉方向における大きさL1分だけコイルまたは永久磁石を並べて配置する必要がある。これに対して、
図9(B)に示すように、本実施形態による戸閉装置100の回転式のモータ(モータ部31およびモータ部32)では、複数回の回転で移動距離L1分ドアを移動できればよいので、ロータ31bの円周の2倍分(2台分)だけ永久磁石を並べて配置すればよい。そのため、本発明の一実施形態による戸閉装置100は、リニアモータに比べて磁石またはコイルの使用量を抑制できるので、比較例による戸閉装置に比べて小型、軽量化できる。たとえば、比較例のリニアモータと本実施形態の回転式のモータとにおいて、用いられる永久磁石の密度、高さ、および、厚みが互いに等しく、本実施形態の回転式のモータにおけるロータの直径が、戸体11および戸体12の内の1つ分の移動距離に対して約0.2倍であるとすると、比較例のリニアモータに比べて、本実施形態の回転式のモータにおける永久磁石の重量は約17%の大きさとなる。
【0052】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0053】
本実施形態では、上記のように、戸閉装置100は、ラック部21(第1ラック部)に接続された戸体11(第1戸体)を開閉させるようにピニオン部23(第1ピニオン部)を回転させるモータ部31(第1回転式モータ部)と、モータ部31(第1回転式モータ部)とは別個に設けられ、ラック部22(第2ラック部)に接続された戸体12を開閉させるようにピニオン部24(第2ピニオン部)を回転させるモータ部32(第2回転式モータ部)と、を備える。これにより、回転式のモータに用いられる永久磁石の個数はリニアモータに比べて少ないため、戸体11および戸体12の各々を開閉させるためにリニアモータを用いる場合に比べて、モータ部31およびモータ部32を用いることによって、装置全体の重量を小さくすることができる。その結果、互いに異なる2つの戸体11および12の各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、ラック部21(第1ラック部)は、開閉方向(X方向)に沿って一部がラック部22(第2ラック部)にオーバーラップするように配置されている。これにより、ラック部21およびラック部22が互いにオーバーラップする量の分だけ開閉方向における長さを短縮することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、ラック部21(第1ラック部)は、戸体11(第1戸体)および戸体12(第2戸体)の上部において、戸体11および戸体12の開閉方向(X方向)に沿って戸体11から戸体12に向かって延びるように配置されており、ラック部22(第2ラック部)は、戸体11および戸体12の上部において、開閉方向に沿って戸体12から戸体11に向かって延びるように配置されている。これにより、ラック部21およびラック部22の各々が戸体11および戸体12の上部に配置されているため、戸体11および戸体12の上部である欄間部分の空間を有効に利用することができる。また、ラック部21が開閉方向に沿って戸体11から戸体12に向かって延びるように配置されているとともに、ラック部22が開閉方向に沿って戸体12から戸体11に向かって延びるように配置されているため、戸体11および戸体12の上部である欄間部分の空間において、開閉方向における長さを効果的に短縮することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、モータ部31(第1回転式モータ部)は、戸体11(第1戸体)の上方において、戸体11の開閉方向(X方向)における中心位置より閉方向側(X2方向側)に配置されており、モータ部32(第2回転式モータ部)は、戸体12(第2戸体)の上方において、戸体12の開閉方向における中心位置より閉方向側(X1方向側)に配置されている。これにより、モータ部31が戸体11の開閉方向における中心位置より開方向側(X1方向側)に配置されているとともに、モータ部32が戸体12の開閉方向における中心位置よりも開方向側(X2方向側)に配置されている場合に比べて、ラック部21(第1ラック部)およびラック部22(第2ラック部)が互いにオーバーラップする量を大きくすることができるので、ラック部21およびラック部22の開閉方向における長さを小さくすることができる。その結果、開閉方向における長さをより短縮することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、ラック部21(第1ラック部)およびラック部22(第2ラック部)は、互いに対向するように開閉方向(X方向)に沿って延びるように配置されており、ピニオン部23(第1ピニオン部)およびピニオン部24(第2ピニオン部)は、ラック部21およびラック部22の間において、開閉方向および上下方向(Z方向)に直交する前後方向(Y方向)に、互いに位置がずれた状態で配置されている。これにより、ピニオン部23およびピニオン部24が上下方向または前後方向に互いに位置がずれた状態で配置されているので、ラック部21と噛み合いながら回転するピニオン部23がラック部22と干渉することを抑制することができるとともに、ラック部22と噛み合いながら回転するピニオン部24がラック部21と干渉することを抑制することができる。そのため、ラック部21およびラック部22の間に、ピニオン部23とピニオン部24とを開閉方向に並べて配置する場合にも、互いに異なる2つの戸体の各々を別個に開閉することができる。その結果、ラック部21とラック部22との間にピニオン部23およびピニオン部24を開閉方向に並べて配置することによって、ラック部21とラック部22との対向する方向における長さが増大することを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、戸閉装置100は、モータ部31(第1回転式モータ部)の駆動を制御する制御部41(第1制御部)と、制御部41とは別個に設けられ、モータ部32(第2回転式モータ部)の駆動を制御する制御部42(第2制御部)と、を備える。これにより、互いに異なる制御部41および制御部42のいずれか一方に異常が生じた場合にも、異常の生じていない他方による制御を行うことができるので、戸体11(第1戸体)および戸体12(第2戸体)のいずれか他方側の開閉動作を行うことができる。そのため、モータ部31の駆動とモータ部32の駆動とを共通の制御部により制御する場合と異なり、1つの制御部に異常が生じた場合に、戸体11と戸体12との両方の開閉が行えなくなることを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、戸閉装置100は、戸体11(第1戸体)の開閉状態を検知するためにラック部21(第1ラック部)の位置を検知するとともに、戸体11の開閉状態を示す信号を制御部41(第1制御部)に出力する戸体検知部51(第1戸体検知部)と、戸体検知部51とは別個に設けられ、戸体12(第2戸体)の開閉状態を検知するためにラック部22(第2ラック部)の位置を検知するとともに、戸体12の開閉状態を示す信号を制御部42(第2制御部)に出力する戸体検知部52(第2戸体検知部)と、を備える。これにより、戸体検知部51からの信号に基づいて制御部41による戸体11の開閉動作の制御が正常に行われているか否かを判断することができるとともに、戸体検知部52からの信号に基づいて制御部42による戸体12の開閉動作の制御が正常に行われているか否かを判断することができる。そのため、制御部41による制御と制御部42による制御との各々が正常に行われているか否かを別個に判断することができるので、制御部41および制御部42のいずれか一方の制御処理に異常が生じている場合にも、異常が生じていないいずれか他方の制御処理によって、戸体11または戸体12の開閉動作を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、戸閉装置100は、戸体11(第1戸体)の開方向(X1方向)への移動を規制するためにラック部21(第1ラック部)の移動を規制する施錠部61(第1施錠部)と、施錠部61とは別個に設けられ、戸体12(第2戸体)の開方向(X2方向)への移動を規制するためにラック部22(第2ラック部)の移動を規制する施錠部62(第2施錠部)と、を備える。これにより、ラック部21(第1ラック部)とラック部22(第2ラック部)との移動を別個に規制することによって、戸体11の移動と戸体12の移動とを別個に規制することができる。そのため、戸体11を移動させるモータ部31(第1回転式モータ部)と、戸体12を移動させるモータ部32(第2回転式モータ部)とのいずれか一方に異常が生じた場合に、戸体11と戸体12のうちの異常が生じている側の移動を施錠部61または施錠部62により規制したまま、異常が生じていない側の移動の規制を解除することができるので、異常が生じていない側の戸体の開閉動作を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、戸閉装置100は、施錠部61(第1施錠部)によってラック部21(第1ラック部)の移動が規制されていることを検知する施錠検知部61c(第1施錠検知部)と、施錠部62(第2施錠部)によってラック部22(第2ラック部)の移動が規制されていることを検知する施錠検知部62c(第2施錠検知部)と、を備える。これにより、施錠部61による移動の規制が正常に行われているか否かと、施錠部62による移動の規制が正常に行われているか否かとを、別個に検知することができる。そのため、戸体11(第1戸体)および戸体12(第2戸体)の各々の移動の規制が正常に行われていない状態が維持されることを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、ラック部21(第1ラック部)は、鉄道車両101に設けられた戸体11(第1戸体)に接続され、戸体11の閉方向(X2方向)に延びるように配置されており、ラック部22(第2ラック部)は、鉄道車両101に設けられた戸体12(第1戸体)に接続され、戸体12の閉方向(X1方向)に延びるように配置されている。これにより、鉄道車両101には積載重量および積載領域に制限があるため、鉄道車両101に設けられた戸体11と戸体12との各々を別個に開閉する場合に、重量の増加を効果的に抑制することができるとともに、開閉方向(X方向)における長さを効果的に短縮することができる。
【0063】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0064】
たとえば、上記実施形態では、ピニオン部23(第1ピニオン部)およびピニオン部24(第2ピニオン部)を上下方向(Z方向)に互いに位置がずれた状態で配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1ピニオン部および第2ピニオン部を前後方向に互いに位置がずれた状態で配置するようにしてもよい。
【0065】
〈第1変形例〉
また、
図10に示す本実施形態の第1変形例による戸閉装置のように、開閉方向(X方向)から見て、ピニオン部223(第1ピニオン部)およびピニオン部224(第2ピニオン部)が上下方向(Z方向)にずれた状態で一部が互いに重なり合うようにしてもよい。この場合に、ピニオン部223は、モータ部231(第1回転式モータ部)の駆動により、戸体11に接続されているラック部221(第1ラック部)とZ1方向側において噛み合いながら回転する。また、ピニオン部224は、モータ部232(第1回転式モータ部)の駆動により、戸体12に接続されているラック部222(第2ラック部)とZ2方向側において噛み合いながら回転する。これにより、戸閉装置における上下方向の大きさをより小さくすることができる。
【0066】
〈第2変形例〉
また、
図11に示す本実施形態の第2変形例による戸閉装置のように、ピニオン部323(第1ピニオン部)およびピニオン部324(第2ピニオン部)が前後方向(Y方向)から見て開閉方向(X方向)に沿って並んで配置されていてもよい。すなわち、ピニオン部323およびピニオン部324は、上下方向(Z方向)において互いに等しい高さ位置に配置されていてもよい。この場合に、ピニオン部323は、モータ部331(第1回転式モータ部)の駆動により、戸体11に接続されているラック部321(第1ラック部)とZ1方向側において噛み合いながら回転する。また、ピニオン部324は、モータ部332(第2回転式モータ部)の駆動により、戸体12に接続されているラック部322(第2ラック部)とZ2方向側において噛み合いながら回転する。そして、モータ部331およびモータ部332は、前後方向(Y方向)から見て、開閉方向(X方向)に沿って並んで配置されており、前後方向における位置が略等しくなるように配置されている。これに対して、ピニオン部323およびピニオン部324は、前後方向(Y方向)における位置が互いに異なるように配置されている。具体的には、ピニオン部324の方が、ピニオン部323に比べてY1方向側に突出した状態で、モータ部332に接続されている。ピニオン部323およびピニオン部324の位置に合わせて、ラック部321およびラック部322も、前後方向における位置が互いに異なる。これにより、ラック部321およびラック部322が前後方向において互いにずれた状態で配置されているので、2つのモータを用いる場合にも、戸体装置の上下方向における大きさを1つ分と同じ大きさにすることができる。そのため、戸体装置の上下方向における大きさをより一層小さくすることができる。なお、ラック部321のピニオン部323に対する配置、および、ラック部322のピニオン部324に対する配置の各々は、Z1方向側およびZ2方向側のいずれであってもよい。ラック部321およびラック部322の両方をZ2方向側に配置した場合は、ラック部の分だけZ1方向側の空間を削減することができるので、戸閉装置の大きさをより一層小さくすることができる。
【0067】
〈第3変形例〉
また、
図12に示す本実施形態の第3変形例による戸閉装置のように、ピニオン部423(第1ピニオン部)を駆動するモータ部431(第1回転式モータ部)と、ピニオン部424(第2ピニオン部)を駆動するモータ部432(第2回転式モータ部)とを背面合わせとなるように配置するようにしてもよい。すなわち、モータ部431およびモータ部432同士は、前後方向(Y方向)において互いに外側を向くように異なる方向を向いた状態で、前後方向(Y方向)から見て重なり合うように配置されるようにしてもよい。したがって、ピニオン部423とピニオン部424とは、モータ部431およびモータ部432と同様に、前後方向(Y方向)から見て、重なり合うように配置されている。この場合に、ピニオン部423は、モータ部431の駆動により、戸体11に接続されているラック部421(第1ラック部)とZ1方向側において噛み合いながら回転する。また、ピニオン部424は、モータ部432の駆動により、戸体12に接続されているラック部422(第2ラック部)とZ2方向側において噛み合いながら回転する。これにより、第2変形例による戸閉装置と同様に、戸体装置の上下方向における大きさをより一層小さくすることができる。なお、ラック部421のピニオン部423に対する配置、および、ラック部422のピニオン部424に対する配置の各々は、Z1方向側およびZ2方向側のいずれであってもよい。ラック部421およびラック部422の両方をZ2方向側に配置した場合は、ラック部の分だけZ1方向側の空間を削減することができるので、戸閉装置の大きさをより一層小さくすることができる。
【0068】
〈第4変形例〉
また、
図13に示す本実施形態の第4変形例による戸閉装置のように、ピニオン部523(第1ピニオン部)を駆動するモータ部531(第1回転式モータ部)と、ピニオン部524(第2ピニオン部)を駆動するモータ部532(第2回転式モータ部)とを、前後方向(Y方向)において互いに外側を向くように異なる方向を向いた状態で、開閉方向(X方向)に沿って隣り合うように配置するようにしてもよい。すなわち、開閉方向(X方向)から見て、モータ部531およびモータ部532同士は、互いに重なり合うように配置されている。そして、ピニオン部523は、Y1方向側に配置され、ピニオン部524は、Y2方向側に配置されている。この場合に、ピニオン部523は、モータ部531の駆動により、戸体11に接続されているラック部521(第1ラック部)とZ1方向側において噛み合いながら回転する。また、ピニオン部524は、モータ部532の駆動により、戸体12に接続されているラック部522(第2ラック部)とZ2方向側において噛み合いながら回転する。これにより、第3変形例による戸閉装置よりも前後方向における戸体装置の大きさをさらに小さくすることができる。なお、この場合にも同様に、ラック部521のピニオン部523に対する配置、および、ラック部522のピニオン部524に対する配置の各々は、Z1方向側およびZ2方向側のいずれであってもよい。ラック部521およびラック部522の両方をZ2方向側に配置した場合は、ラック部の分だけZ1方向側の空間を削減することができるので、戸閉装置の大きさをより一層小さくすることができる。
【0069】
〈第5変形例〉
また、
図14に示す本実施形態の第5変形例による戸閉装置のように、ピニオン部623(第1ピニオン部)を駆動するモータ部631(第1回転式モータ部)と、ピニオン部624(第2ピニオン部)を駆動するモータ部632(第2回転式モータ部)とを互いに対向するように配置するようにしてもよい。すなわち、モータ部631およびモータ部632同士は、前後方向(Y方向)において互いにピニオン部623およびピニオン部624が内側を向くように対向する方向を向いた状態で、前後方向(Y方向)から見て、重なり合うように配置されるようにしてもよい。したがって、ピニオン部623とピニオン部624とは、モータ部631およびモータ部632と同様に、前後方向(Y方向)から見て、互いに対向した状態で重なり合うように配置されている。この場合に、ピニオン部623は、モータ部631の駆動により、戸体11に接続されているラック部621(第1ラック部)とZ1方向側において噛み合いながら回転する。また、ピニオン部624は、モータ部632の駆動により、戸体12に接続されているラック部622(第2ラック部)とZ2方向側において噛み合いながら回転する。これにより、第3変形例による戸閉装置と同様に、戸体装置の上下方向における大きさをより一層小さくすることができる。なお、第3変形例による戸閉装置と同様に、ラック部621のピニオン部623に対する配置、および、ラック部622のピニオン部624に対する配置の各々は、Z1方向側およびZ2方向側のいずれであってもよい。ラック部621およびラック部622の両方をZ2方向側に配置した場合は、ラック部の分だけZ1方向側の空間を削減することができるので、戸閉装置の大きさをより一層小さくすることができる。
【0070】
〈第6変形例〉
また、
図15に示す本実施形態の第6変形例による戸閉装置のように、ピニオン部723(第1ピニオン部)を駆動するモータ部731(第1回転式モータ部)と、ピニオン部724(第2ピニオン部)を駆動するモータ部732(第2回転式モータ部)とを、前後方向(Y方向)において互いに内側を向くように異なる方向を向いた状態で、開閉方向(X方向)に沿って隣り合うように配置するようにしてもよい。すなわち、開閉方向(X方向)から見て、ピニオン部723およびピニオン部724同士は、一部が互いに重なり合うように配置されている。モータ部731に対してピニオン部723は、Y2方向側に配置され、モータ部732に対してピニオン部724は、Y1方向側に配置されている。そして、開閉方向(X方向)から見て、ピニオン部723およびピニオン部724は、上下方向(Z方向)にずれた状態で互いに重なり合うように配置されている。なお、ピニオン部723は、モータ部731の駆動により、戸体11に接続されているラック部721(第1ラック部)とZ1方向側において噛み合いながら回転する。また、ピニオン部724は、モータ部732の駆動により、戸体12に接続されているラック部722(第2ラック部)とZ2方向側において噛み合いながら回転する。これにより、第5変形例による戸閉装置に比べて、戸閉装置の前後方向における大きさを小さくすることができる。
【0071】
また、上記実施形態では、モータ部31(第1回転式モータ部)の駆動を制御する制御部41(第1制御部)とモータ部32(第2回転式モータ部)の駆動を制御する制御部42(第2制御部)とが、互いに別個に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1回転式モータ部の駆動の制御と第2回転式モータ部の駆動の制御とを共通の制御部によって行うようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、鉄道車両101に設けられた戸体11(第1戸体)および戸体12(第2戸体)の開閉を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、鉄道車両以外の車両または船舶などに設けられた第1戸体および第2戸体の開閉を行うようにしてもよい。また、建物などに据え置きで設置されている第1戸体および第2戸体の開閉を行うようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、戸体検知部51(第1戸体検知部)が、戸体11の開閉状態を検知するために、接続部25を検知することによってラック部21(第1ラック部)の開閉状態における位置を検知し、戸体検知部52(第2戸体検知部)が、戸体12の開閉状態を検知するために、接続部26を検知することによってラック部22(第2ラック部)の開閉状態における位置を検知する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1ラック部と第1戸体とを接続する接続部ではなく、第1ラック部の位置を直接的に検知することによって第1戸体の開閉状態を検知するようにしてもよい。また、第2ラック部と第2戸体とを接続する接続部ではなく、第2ラック部の位置を直接的に検知することによって第2戸体の開閉状態を検知するようにしてもよい。また、第1戸体検知部および第2戸体検知部を、それぞれ、第1戸体および第2戸体の位置を直接的に検知するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ラック部21(第1ラック部)とラック部22(第2ラック部)とが、上下方向から見て互いにオーバーラップするように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1ラック部と第2ラック部とを、前後方向から見て互いにオーバーラップするように配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
11 戸体(第1戸体)
12 戸体(第2戸体)
21、221、321、421、521、621、721 ラック部(第1ラック部)
22、222、322、422、522、622、722 ラック部(第2ラック部)
23、223、323、423、523、623、723 ピニオン部(第1ピニオン部)
24、224、324、424、524、624、724 ピニオン部(第2ピニオン部)
31、231、331、431、531、631、731 モータ部(第1回転式モータ部)
32、232、332、432、532、632、732 モータ部(第2回転式モータ部)
41 制御部(第1制御部)
42 制御部(第2制御部)
51 戸体検知部(第1戸体検知部)
52 戸体検知部(第2戸体検知部)
61 施錠部(第1施錠部)
61c 施錠検知部(第1施錠検知部)
62 施錠部(第2施錠部)
62c 施錠検知部(第2施錠検知部)
100 戸閉装置
101 鉄道車両