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特開2024-69043印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム
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  • 特開-印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069043
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 401
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179817
(22)【出願日】2022-11-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】島村 泰浩
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EC06
2C056EC07
2C056EC28
(57)【要約】
【課題】印刷開始までの待ち時間の発生を抑制することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、第1通信回路及び第2通信回路を有する主制御回路と、第1通信回路に接続された第1副制御回路群と、第2通信回路に接続された第2副制御回路群と、第1ヘッド群と、第2ヘッド群とを備え、第1副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、第2副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、第1通信回路は第1副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第1副制御回路に接続され、第2通信回路は第2副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第2副制御回路に接続され、主制御回路は、第1通信回路から第1副制御回路群に送信される第1データの量と、第2通信回路から第2副制御回路群に送信される第2データの量とを決定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信回路及び第2通信回路を有する主制御回路と、
前記第1通信回路に接続された第1副制御回路群と、
前記第2通信回路に接続された第2副制御回路群と、
ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第1副制御回路群により制御される第1ヘッド群と、
ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第2副制御回路群により制御される第2ヘッド群と、
を備え、
前記第1副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、
前記第2副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、
前記第1通信回路は前記第1副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第1副制御回路に接続され、
前記第2通信回路は前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第2副制御回路に接続され、
前記主制御回路は、前記第1通信回路から前記第1副制御回路群に送信される第1データの量と、前記第2通信回路から前記第2副制御回路群に送信される第2データの量とを決定する
印刷装置。
【請求項2】
前記主制御回路は、前記第1副制御回路群及び前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路の総数である基準総数に対する前記第1副制御回路群に含まれる副制御回路の総数の割合に応じて前記第1データの量を決定し、前記基準総数に対する前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路の総数の割合に応じて前記第2データの量を決定する
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1副制御回路は、前記第1データが記憶される第1メモリを有し、
前記第2副制御回路は、前記第2データが記憶される第2メモリを有し、
前記第1メモリ及び前記第2メモリに、データを記憶する量を定めるための単位が設定され、
前記主制御回路は、前記単位に対応する記憶容量の大きさに応じて、前記第1データの量及び前記第2データの量を決定する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記単位に対応する記憶容量の大きさは印刷モードに応じて異なる
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記主制御回路は、前記第1データ及び前記第2データの送信前に、前記第1データの量と前記第2データの量との差分を算出する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1データを格納する格納部を備え、
前記主制御回路は、
前記第1通信回路に前記第1データを送信するための第1トリガを送信する主制御部と、
前記格納部を制御する格納制御部と
を有し、
前記主制御部から前記第1トリガを受信した場合、前記第1通信回路は、前記格納部に格納された前記第1データの読み出しを前記格納制御部に要求し、
前記格納制御部は、
前記第1通信回路から前記第1データの読み出しを要求された場合、前記第1データを前記格納部から読み出し、
前記第1データを前記第1通信回路に送信し、
前記第1通信回路は、前記第1データを前記第1副制御回路に送信する
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1データ及び前記第2データを格納する格納部を備え、
前記主制御回路は、
前記第1通信回路に前記第1データを送信するための第1トリガを送信するか、又は、前記第2通信回路に前記第2データを送信するための第2トリガを送信する主制御部と、
前記格納部を制御する格納制御部と
を有し、
前記主制御部は前記第1トリガを前記第1通信回路に送信し、且つ、前記第2トリガを前記第2通信回路に送信し、
前記主制御部から前記第1トリガを受信した場合、前記第1通信回路は、前記格納部に格納された前記第1データの読み出しを前記格納制御部に要求し、
前記主制御部から前記第2トリガを受信した場合、前記第2通信回路は、前記格納部に格納された前記第2データの読み出しを前記格納制御部に要求し、
前記格納制御部は、
前記第1通信回路から前記第1データの読み出しを要求され、且つ、前記第2通信回路から前記第2データの読み出しを要求された場合、前記第1データ及び前記第2データの読み出しを並行的に実行し、
前記第1通信回路は、前記第1データを前記第1副制御回路に送信し、
前記第2通信回路は、前記第2データを前記第2副制御回路に送信する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第1データの量は、前記第2データの量と異なる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
第1通信回路及び第2通信回路を有する主制御回路と、前記第1通信回路に接続された第1副制御回路群と、前記第2通信回路に接続された第2副制御回路群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第1副制御回路群により制御される第1ヘッド群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第2副制御回路群により制御される第2ヘッド群とを備え、前記第1副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第2副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第1通信回路は前記第1副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第1副制御回路に接続され、前記第2通信回路は前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第2副制御回路に接続される印刷装置の印刷方法において、
前記主制御回路は、前記第1通信回路から前記第1副制御回路に送信される第1データの量と、前記第2通信回路から前記第2副制御回路に送信される第2データの量とを決定する
印刷方法。
【請求項10】
第1通信回路及び第2通信回路を有する主制御回路と、前記第1通信回路に接続された第1副制御回路群と、前記第2通信回路に接続された第2副制御回路群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第1副制御回路群により制御される第1ヘッド群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第2副制御回路群により制御される第2ヘッド群とを備え、前記第1副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第2副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第1通信回路は前記第1副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第1副制御回路に接続され、前記第2通信回路は前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第2副制御回路に接続される印刷装置にて実行可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記主制御回路に、
前記第1通信回路から前記第1副制御回路に送信される第1データの量と、前記第2通信回路から前記第2副制御回路に送信される第2データの量とを決定する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ノズルの駆動によって印刷を実行する印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列接続された複数の液体噴射ヘッド(以下、第1ヘッド群という)と、第1ヘッド群とは異なる、直列接続された複数の液体噴射ヘッド(以下、第2ヘッド群という)と、制御装置とを備える印刷装置が提案されている(特許文献1参照)。制御装置は第1及び第2ヘッド群の最上流の液体噴射ヘッドに印刷データを送信する。第1及び第2ヘッド群は、最上流の液体噴射ヘッドから最下流の液体噴射ヘッドに印刷データを順に転送し、印刷媒体に印刷する。印刷装置は印刷媒体の寸法に応じた数のヘッド群を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-184142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1ヘッド群及び第2ヘッド群に含まれる全ての液体噴射ヘッドが印刷データを受信した後、第1ヘッド群及び第2ヘッド群は印刷を開始することがある。第1ヘッド群及び第2ヘッド群の一方における最下流の液体噴射ヘッドは印刷データを受信し、他方の最下流の液体噴射ヘッドは印刷データを受信していない場合、一方のヘッド群には印刷開始まで待ち時間が発生する。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、印刷開始までの待ち時間の発生を抑制することができる印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、第1通信回路及び第2通信回路を有する主制御回路と、前記第1通信回路に接続された第1副制御回路群と、前記第2通信回路に接続された第2副制御回路群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第1副制御回路群により制御される第1ヘッド群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第2副制御回路群により制御される第2ヘッド群とを備え、前記第1副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第2副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第1通信回路は前記第1副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第1副制御回路に接続され、前記第2通信回路は前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第2副制御回路に接続され、前記主制御回路は、前記第1通信回路から前記第1副制御回路群に送信される第1データの量と、前記第2通信回路から前記第2副制御回路群に送信される第2データの量とを決定する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷方法は、第1通信回路及び第2通信回路を有する主制御回路と、前記第1通信回路に接続された第1副制御回路群と、前記第2通信回路に接続された第2副制御回路群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第1副制御回路群により制御される第1ヘッド群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第2副制御回路群により制御される第2ヘッド群とを備え、前記第1副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第2副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第1通信回路は前記第1副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第1副制御回路に接続され、前記第2通信回路は前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第2副制御回路に接続される印刷装置の印刷方法において、前記主制御回路は、前記第1通信回路から前記第1副制御回路に送信される第1データの量と、前記第2通信回路から前記第2副制御回路に送信される第2データの量とを決定する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、第1通信回路及び第2通信回路を有する主制御回路と、前記第1通信回路に接続された第1副制御回路群と、前記第2通信回路に接続された第2副制御回路群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第1副制御回路群により制御される第1ヘッド群と、ノズルを有する複数のヘッドであって、前記第2副制御回路群により制御される第2ヘッド群とを備え、前記第1副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第2副制御回路群に含まれる複数の副制御回路は直列的に接続され、前記第1通信回路は前記第1副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第1副制御回路に接続され、前記第2通信回路は前記第2副制御回路群に含まれる副制御回路のうち最上流に位置する第2副制御回路に接続される印刷装置にて実行可能なコンピュータプログラムにおいて、前記主制御回路に、前記第1通信回路から前記第1副制御回路に送信される第1データの量と、前記第2通信回路から前記第2副制御回路に送信される第2データの量とを決定する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係る印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラムにあっては、第1副制御回路群に送信される第1データの量と、第2副制御回路群に送信される第2データの量とを適切に決定し、印刷開始までの待ち時間の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る印刷装置の略示平面図である。
図2】インクジェットヘッドの平面透視図である。
図3】制御装置、第1ヘッドバー及び第2ヘッドバーのブロック図である。
図4】制御装置、第1ヘッドバー及び第2ヘッドバーの詳細な構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態2に係る制御装置、第1ヘッドバー及び第2ヘッドバーのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。図1は、印刷装置1の略示平面図である。図1において、記録媒体、例えば記録用紙100の搬送方向は印刷装置1の前後方向に対応する。なお記録媒体は記録用紙100に限定されず、フィルム又は布等であってもよい。また記録用紙100の幅方向は印刷装置1の左右方向に対応する。また前後方向及び左右方向と直交する方向、即ち図1の紙面垂直方向は印刷装置1の上下方向に対応する。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、ケース2内に収容されたプラテン3、四つのインクジェットヘッド4、二つの搬送ローラ5、6、及び制御装置7等を備える。プラテン3の上面を、記録用紙100が通過する。四つのインクジェットヘッド4は、プラテン3の上方において、搬送方向に並んでいる。各インクジェットヘッド4は、いわゆるラインタイプのヘッドである。インクジェットヘッド4には、インクタンク(図示略)からインクが供給される。四つのインクジェットヘッド4には、異なる色のインクが供給される。
【0013】
図1に示すように、二つの搬送ローラ5、6は、プラテン3に対して後側と前側にそれぞれ配置されている。二つの搬送ローラ5、6は、図示しないモータによってそれぞれ駆動され、プラテン3上の記録用紙100を前方へ搬送する。二つの搬送ローラ5、6は搬送部に対応する。制御装置7はDRAM77を備える。制御装置7は、PC等の外部装置9とデータ通信可能に接続されており、外部装置9から送信された印刷データをDRAM77に格納する。DRAM77は格納部を構成する。
【0014】
図2は、インクジェットヘッド4の平面透視図である。インクジェットヘッド4は第1ヘッドバー4aと、第2ヘッドバー4bとを備える。第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bは左右に並ぶ。第1ヘッドバー4aは複数のヘッド40を備える。複数のヘッド40を備える第1ヘッドバー4aは第1ヘッド群を構成する。例えば、第1ヘッドバー4aにおいて、複数のヘッド40は前後方向に2列で配置されている。前側の列では、1個のヘッド40が配置され、後側の列では、左右方向に沿って2個のヘッド40が配置されている。ヘッド40の下面には複数のノズル41が設けられている。
【0015】
第2ヘッドバー4bは複数のヘッド40を備える。複数のヘッド40を備える第2ヘッドバー4bは第2ヘッド群を構成する。第2ヘッドバー4bにおいて、複数のヘッド40は前後方向に2列で配置されている。前側の列では、1個のヘッド40が配置され、後側の列では1個のヘッド40が配置されている。ヘッド40の下面には複数のノズル41が設けられている。
【0016】
第1ヘッドバー4aの前列におけるヘッド40の前後位置は、第2ヘッドバー4bの前列におけるヘッド40と略同じである。第1ヘッドバー4aの後列におけるヘッド40の前後位置は、第2ヘッドバー4bの後列におけるヘッド40と略同じである。本実施例においては、第1ヘッドバー4aのヘッド40の数は3であり、第2ヘッドバー4bのヘッド40の数は2であるが、第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bにおけるヘッド40の数はこれに限定されない。第1ヘッドバー4aのヘッド40の数と、第2ヘッドバー4bのヘッド40の数は異なってもよいし、同じでもよい。なお第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bは前後に並んでもよい。
【0017】
図3は、制御装置7、第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bのブロック図である。制御装置7は主制御回路70を備える。主制御回路70は第1通信回路74及び第2通信回路75を備える。第1ヘッドバー4aは直列に接続された3個の副制御回路43を備える。3個の副制御回路43は3個のヘッド40にそれぞれ接続される。第2ヘッドバー4bは直列に接続された2個の副制御回路43を備える。2個の副制御回路43は2個のヘッド40にそれぞれ接続される。複数のヘッド40を備える第1ヘッドバー4aは第1ヘッド群を構成する。複数のヘッド40を備える第2ヘッドバー4bは第2ヘッド群を構成する。複数の副制御回路43を備える第1ヘッドバー4aは第1副制御回路群を構成する。複数の副制御回路43を備える第2ヘッドバー4bは第2副制御回路群を構成する。
【0018】
第1通信回路74は、直列に接続された3個の副制御回路43のうち、一端に位置する副制御回路43、即ち第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43に接続される。第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43は第1副制御回路を構成する。第2通信回路75は、直列に接続された2個の副制御回路43のうち、一端に位置する副制御回路43、即ち第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43に接続される。第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43は第2副制御回路を構成する。
【0019】
図4は、制御装置7、第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bの詳細な構成を示すブロック図である。前述したように、制御装置7は主制御回路70及びDRAM77を備える。主制御回路70は、CPU71、記憶部72、RAM73、第1通信回路74、第2通信回路75及びメモリコントローラ76等を備える。主制御回路70はCPU71に代えてASICを備えてもよい。記憶部72は書き換え可能に構成され、例えばEEPROM、EPROM、ハードディスク等である。CPU71は主制御部を構成し、メモリコントローラ76は格納制御部を構成する。
【0020】
記憶部72には、制御プログラム(コンピュータプログラム)が記憶されている。制御プログラムは記録媒体80(図1参照)、例えば光ディスク又は持ち運び可能なフラッシュメモリ等から記憶部72にインストールされる。なお制御プログラムは、印刷装置1に通信可能な接続されたサーバから記憶部72にダウンロードされてもよい。主制御回路70は制御プログラムに基づいて、印刷装置1を制御する。主制御回路70はDRAM77に格納された印刷データに基づいて、印刷装置1の各部を駆動させ、印刷を実行する。なお主制御回路70はCPU71又はASIC等のプロセッサに代えてロジック回路、例えばFPGAを備えてもよい。
【0021】
第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bにおいて、副制御回路43は、CPU44、通信回路45、RAM46及びヘッド制御回路47等を備える。ヘッド40は駆動回路40a及び圧電素子40b等を備える。駆動回路40aは圧電素子40bを駆動させて、ノズル41からインクを吐出させる。副制御回路43はCPU44に代えてASICを備えてもよく、CPU44又はASIC等のプロセッサに代えてロジック回路、例えばFPGAを備えてもよい。なお図4においては、第1ヘッドバー4aの最上流の副制御回路43及びヘッド40についてのみ、その詳細な構成を示し、第1ヘッドバー4aの他の副制御回路43及びヘッド40、及び、第2ヘッドバー4bの副制御回路43及びヘッド40については、第1ヘッドバー4aの最上流の副制御回路43及びヘッド40と同様な構成であるので、その詳細な記載を省略する。
【0022】
第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43、即ち第1副制御回路のRAM46は第1メモリを構成する。第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43、即ち第2副制御回路のRAM46は第2メモリを構成する。
【0023】
メモリコントローラ76はDRAM77から印刷データを読み出し、第1通信回路74を介して第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43に送信する。印刷データは、第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43から最下流の副制御回路43まで順に転送される。
【0024】
第1ヘッドバー4aにおいて、各副制御回路43のCPU44は印刷データをRAM46に記憶し、印刷データに基づいて、ヘッド制御回路47に吐出信号を出力する。ヘッド制御回路47は吐出信号に基づき、駆動回路40aに駆動信号を出力する。駆動回路40aは駆動信号に基づいて圧電素子40bを駆動させ、ノズル41からインクを吐出させる。
【0025】
メモリコントローラ76はDRAM77から印刷データを読み出し、第2通信回路75を介して第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43に送信する。印刷データは、第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43から最下流の副制御回路43まで順に転送される。
【0026】
第2ヘッドバー4bにおいて、各副制御回路43のCPU44は印刷データをRAM46に記憶し、印刷データに基づいて、ヘッド制御回路47に吐出信号を出力する。ヘッド制御回路47は吐出信号に基づき、駆動回路40aに駆動信号を出力する。駆動回路40aは駆動信号に基づいて圧電素子40bを駆動させ、ノズル41からインクを吐出させる。
【0027】
主制御回路70の記憶部72には第1ヘッドバー4aの副制御回路43の数と、第2ヘッドバー4bの副制御回路43の数とが記憶される。副制御回路43の数は予め記憶されていてもよいし、主制御回路70のCPU71が各副制御回路43に応答を要求し、受信した応答に基づいてCPU71が演算し、記憶してもよい。CPU71は、第1ヘッドバー4aの副制御回路43の数(以下、第1総数という)と、第2ヘッドバー4bの副制御回路43の数(以下、第2総数という)とを合算し、基準総数を演算する。本実施例において、基準総数は5、第1総数は3、第2総数は2である。
【0028】
CPU71は基準総数に対する第1総数の割合(以下、第1割合という)と、基準総数に対する第2総数の割合(以下、第2割合という)を演算する。本実施例において、第1割合は60%であり、第2割合は40%である。第1割合及び第2割合はRAM73に記憶される。第1ヘッドバー4aは、記録用紙100の幅方向の長さ、即ち1ラインの長さの約60%を占め、第2ヘッドバー4bは1ラインの長さの約40%を占める。従って、第1ヘッドバー4aに必要な印刷データは全体の約60%であり、第2ヘッドバー4bに必要な印刷データは全体の約40%である。以下、第1ヘッドバー4aに必要な印刷データの約60%を第1データとも称し、第2ヘッドバー4bに必要な印刷データの約40%を第2データとも称する。CPU71は、第1割合に基づいて第1データの量を決定し、第2割合に基づいて第2データの量を決定する。本実施例において、第1データの量は第2データの量と異なる。
【0029】
CPU71は第1通信回路74に第1データを送信するための第1トリガを送信する。第1トリガを受信した第1通信回路74はメモリコントローラ76にDRAM77に格納された第1データの読み出しを要求する。第1データの読み出しを要求されたメモリコントローラ76はDRAM77から第1データを読み出し、第1データを第1通信回路74に送信する。第1通信回路74は、受信した第1データを第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43に送信する。
【0030】
CPU71は第2通信回路75に第2データを送信するための第2トリガを送信する。第2トリガを受信した第2通信回路75はメモリコントローラ76にDRAM77に格納された第2データの読み出しを要求する。第2データの読み出しを要求されたメモリコントローラ76はDRAM77から第2データを読み出し、第2データを第2通信回路75に送信する。第2通信回路75は、受信した第2データを第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43に送信する。
【0031】
なおメモリコントローラ76は第1通信回路74から第1データの読み出しを要求され、且つ、第2通信回路75から第2データの読み出しを要求された場合、即ち、第1データ及び第2データの読み出しが競合した場合、第1データ及び第2データの読み出しを並行的に実行する。
【0032】
印刷データの送信は、1バンド単位で実行される。1バンドは、第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bの最上流の副制御回路43におけるRAM46に設定される、データを記憶する量を定めるための単位であり、所定ライン数に対応する。1バンドに対応する記憶容量の大きさは印刷モードに応じて変更してもよい。印刷モードとしては、例えばモノクロモード及びカラーモードが挙げられる。例えば、モノクロモードはカラーモードに比べて1ラインあたりのデータ量が小さいので、モノクロモードにおいて、1バンドに対応するライン数における記憶容量をカラーモードに比べて小さくしてもよい。即ち、ライン数が同じ1バンド(1単位)であっても、モノクロモードにおけるデータ量(記憶容量)と、カラーモードにおけるデータ量(記憶容量)とは異なることがある。印刷モードとしては、例えば、印刷ジョブが挙げられる。印刷ジョブがフラッシング処理である場合、フラッシング処理のデータ量は印刷処理のデータ量よりも少ないので、印刷ジョブが印刷処理である場合に比べて1バンドに対応するライン数における記憶容量を少なくしてもよい。つまり、CPU71は、RAM46に設定される単位に対応する記憶容量の大きさに応じて、第1データ量及び第2データ量を決定する。
【0033】
第1ヘッドバー4aに印刷データの60%が送信され、第2ヘッドバー4bに印刷データの40%が送信されるので、言い換えると、第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43に印刷データの60%が送信され、第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43に印刷データの40%が送信されるので、印刷データの100%が第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bに送信される場合に比べて、第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bにおいて最上流の副制御回路43から最下流の副制御回路43までに要する時間は短くなる。そのため、印刷開始までの待ち時間の発生を抑制することができる。
【0034】
メモリコントローラ76が第1データ及び第2データの読み出しを並行的に実行する場合、主制御回路70のCPU71は印刷データの送信前に第1データの量と、第2データの量との差分を算出し、差分に応じて第1データ及び第2データの送信タイミングを調整してもよい。例えば第1ヘッドバー4aの最下流の副制御回路43に第1データが到達する時点と、第2ヘッドバー4bの最下流の副制御回路43に第2データが到達する時点とが略同じになるように、第1データの送信開始時点から所定時間経過した時点を第2データの送信開始時点としてもよい。
【0035】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2の構成のうち、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図5は、制御装置7、第1ヘッドバー4a及び第2ヘッドバー4bのブロック図である。実施の形態1と異なり、実施の形態2においては、第2ヘッドバー4bは3個の副制御回路43と、3個のヘッド40とを備える。各副制御回路43は各ヘッド40に接続される
【0036】
CPU71は基準総数、第1総数及び第2層総数を演算する。本実施例において、基準総数は6、第1総数は3、第2総数は3である。そのため、第1割合及び第2割合は共に50%であり、第1割合に基づく第1データの量と、第2割合に基づく第2データの量とは略同じになる。
【0037】
カラー印刷をする際、例えば、黒のデータとイエローのデータとはデータ量が異なる。文字の多い印刷データであれば、黒のデータ量はイエローのデータ量よりも大きい。また画像の多いデータで明るい色の画像を印刷する際には、黒のデータ量はイエローのデータよりも小さい。そのため、ヘッド40の数が同じであっても、第1データ及び第2データに含まれる黒又はイエローのデータの割合によって、第1データ及び第2データの量は決定されるので、第1データの量と、第2データの量とは同じにはならず、異なることがある。
【0038】
また例えば、吐出タイミングによって、文字が多く、カラー画像の少ない印刷領域にインクを吐出することもあれば、文字が少なく、カラー画像の多い印刷領域にインクを吐出することもある。文字の多い印刷領域であれば、1バンドにおいて、黒のデータ量を大きくし、マゼンタ、シアン、イエローのデータ量を小さくすることができる。一方、文字の少ない印刷領域では、1バンドにおいて、黒のデータ量を小さくし、マゼンタ、シアン、イエローのデータ量を大きくすることができる。そのため、ヘッド40の数が同じであっても、第1データ及び第2データに含まれる黒、マゼンタ、シアン又はイエローのデータの割合によって、第1データ及び第2データの量は決定されるので、第1データの量と、第2データの量とは同じにはならず、異なることがある。
【0039】
従って、CPU71は第1データ及び第2データの量を、ヘッド40の数、使用するインクの色の割合等に応じて、適切な量に決定する。換言すれば、CPU71はヘッド40の数に基づく第1データ及び第2データの量を、使用するインクの色の割合に応じて補正することができる。その結果、例えば、CPU71は第1データ及び第2データの量を異ならせる。
【0040】
CPU71は、第1データ及び第2データの量を印刷に必要なデータ量に維持しつつ、第1ヘッドバー4aにおける最上流の副制御回路43から最下流の副制御回路43までに要する時間と、第2ヘッドバー4bにおける最上流の副制御回路43から最下流の副制御回路43までに要する時間との差分を最小化することができる。
【0041】
なお実施の形態1に係る印刷装置において、実施の形態2と同様に、使用するインクの色の割合に応じて、第1データ及び第2データの量を変更してもよい。
【0042】
なおコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトに配置されるか、若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0043】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 印刷装置
7 制御装置
70 主制御回路
71 CPU(主制御部)
73 RAM
74 第1通信回路
75 第2通信回路
76 メモリコントローラ(格納制御部)
77 DRAM(格納部)
4a 第1ヘッドバー(第1副制御回路群、第1ヘッド群)
4b 第2ヘッドバー(第2副制御回路群、第2ヘッド群)
40 ヘッド
43 副制御回路
46 RAM(第1メモリ、第2メモリ)
図1
図2
図3
図4
図5