(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006907
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】クーリングモジュールにエアガイドが備えられた車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20240110BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60K11/04 J
B60K8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211482
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0079462
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卞 炯 錫
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AA07
3D038AB03
3D038AC01
3D038AC11
3D038AC15
3D038AC16
3D038AC17
3D235AA06
3D235BB45
3D235CC13
3D235CC28
3D235DD17
3D235HH07
(57)【要約】
【課題】本発明は、車両に関し、車体前端部の空気流入部であるラジエータグリルを通して流入した後、クーリングモジュールのラジエータおよびクーリングファンを通過する空気の流動を最適化できるエアガイドが備えられた車両を提供することを主な目的とする。
【解決手段】上記の目的を達成するために、車体前端部においてラジエータグリルとクーリングモジュールとの間の空間に配置されて、ラジエータグリルを通して流入した空気を前記クーリングモジュールのラジエータに流れるように案内するエアガイドが備えられ、前記エアガイドは、前記車体前端部においてラジエータグリルが位置した車両前面部のグリル側構造物に固定された第1ガイド部材と、前記クーリングモジュールに結合された固定構造物であるクーリングモジュール側構造物に設けられ、前記第1ガイド部材とは間隔をおいて離隔配置された第2ガイド部材とを含む車両が開示される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前端部においてラジエータグリルとクーリングモジュールとの間の空間に配置されて、ラジエータグリルを通して流入した空気を前記クーリングモジュールのラジエータに流れるように案内するエアガイドが備えられ、
前記エアガイドは、
前記車体前端部においてラジエータグリルが位置した車両前面部のグリル側構造物に固定された第1ガイド部材と、
前記クーリングモジュールに結合された固定構造物であるクーリングモジュール側構造物に設けられ、前記第1ガイド部材とは間隔をおいて離隔配置された第2ガイド部材とを含むことを特徴とする車両。
【請求項2】
前記グリル側構造物は、運転席を形成する可動型車体部分であって、キャブチルティングシステムによってチルティングされるキャブ(cab)において前面部であるフロントパネルであり、前記クーリングモジュール側構造物は、前記ラジエータに結合された状態で、前記ラジエータを車体前端部の固定型車体部分に固定およびマウンティングするマウンティング部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第2ガイド部材は、前記マウンティング部材に結合された状態で、前記ラジエータの外郭周部分に沿って配置されるように設けられ、前記第1ガイド部材は、前記フロントパネルの内側面に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記第1ガイド部材および第2ガイド部材は、少なくとも一部が車両の前後方向または車両の上下方向に互いに重なるように配置され、前記キャブの流動時にも互いに衝突しないように離隔配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記第1ガイド部材および第2ガイド部材のうちの1つには、前記2つのガイド部材の間に位置した状態で、2つのガイド部材間の接触を防止しながら間隔を維持させるスペーサが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記クーリングモジュールから空気を吸入するクーリングファンが、ファンモータのロータシャフトにブレードが直結されたモータ直結型電動式クーリングファンであることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項7】
クロスメンバが、
前記クーリングモジュールから空気を吸入するクーリングファンのブレードの後方で車両の左右方向に沿って延びるように配置され、
車体の左右両側でそれぞれ車両の前後方向に沿って長く延びるように配置された左右両側の2つの車体フレームの間に固定ブラケットを介して支持されるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記クロスメンバが、
前記クーリングファンのブレードの下端より高い位置で前記ブレードの後方空間を車両の左右方向に沿って横切るように配置されたことを特徴とする請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記クーリングファンは、ファンモータのロータシャフトにブレードが直結されたモータ直結型電動式クーリングファンであり、前記クーリングファンのファンモータおよびインバータがファンマウンティングブラケットを介して前記クロスメンバに支持されるように設けられたことを特徴とする請求項7に記載の車両。
【請求項10】
前記ファンマウンティングブラケットがクロスメンバの上部面にインシュレータを介在した状態で支持されるように設けられたことを特徴とする請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記ラジエータがマウンティング部材を介して前記左右両側の2つの車体フレームにマウンティングされ、
前記ファンマウンティングブラケットは、
前記クーリングファンのファンモータとインバータが固定および装着されるブラケット本体と、
前記マウンティング部材およびクロスメンバにおいて前記ブラケット本体を支持するように設けられるサポータと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の車両。
【請求項12】
前記サポータは、
前記ブラケット本体に結合され、前記クロスメンバの上部面にインシュレータを介在した状態で支持されるように設けられたフレームと、
前記マウンティング部材と前記フレームとの間を連結する複数のロッドが組み合わされた構成で設けられて、マウンティング部材においてフレームを支持するようになったロッド型ブラケットとを含むことを特徴とする請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記マウンティング部材またはファンマウンティングブラケットには、前記クーリングファンの左側と右側に配置される側面ガイド部材が設けられて、前記側面ガイド部材によってクーリングファンを通過した空気がラジエータの前方に逆流せずにクーリングファンの後方に案内されるようにしたことを特徴とする請求項11に記載の車両。
【請求項14】
前記クーリングモジュールの後方で車体前端部の下端部に装着されたアンダーカバーには複数の空気通過ホールが形成されて、前記クーリングモジュールを通過した空気が前記空気通過ホールを通過できるようになったことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項15】
前記複数の空気通過ホールは、それぞれ車両の前後方向に間隔をおいて離隔配置されるように形成され、前記各空気通過ホールが車両の左右方向に沿って長く延びたスリット(slit)形状に形成されることを特徴とする請求項14に記載の車両。
【請求項16】
前記アンダーカバーには、クーリングモジュールを通過した空気を下方および後方に案内するベーンが前記各空気通過ホールの位置ごとに下方に突出した形状に形成され、前記各ベーンの後部面に前記空気通過ホールが形成されたことを特徴とする請求項15に記載の車両。
【請求項17】
前記車体前端部に前記ラジエータグリルの下側の開口部を通して流入した空気の流れを選択的に遮断するエアフラップ装置が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項18】
前記ラジエータの上側に冷却水が貯留されるサージタンクが配置されたことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項19】
燃料電池スタックが搭載された燃料電池車両であって、
前記ラジエータが、
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータ用インバータとを含む電力電子(Power Electric、PE)部品を冷却したPE部品用冷却水の放熱のためのPE部品ラジエータと、
前記燃料電池スタックを冷却したスタック用冷却水の放熱のためのスタックラジエータと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項20】
前記ラジエータの上側に冷却水が貯留されるサージタンクが配置されたことを特徴とする請求項19に記載の車両。
【請求項21】
前記サージタンクは、容器の内部空間が隔壁によって前記PE部品用冷却水と前記スタック用冷却水がそれぞれ貯留できる空間に区画されている統合型サージタンクであることを特徴とする請求項20に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関し、より詳しくは、車体前端部の空気流入部であるラジエータグリルを通して流入した後、クーリングモジュールのラジエータおよびクーリングファンを通過する空気の流動を最適化できるエアガイドが備えられた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車両(Fuel Cell Electric Vehicle、FCEV)は、バッテリ電気車両(Battery Electric Vehicle、BEV)のように電気モータで駆動する車両であって、車両の駆動源である電気モータに駆動電力を供給する主動力源として燃料電池を用い、補助動力源として高電圧バッテリを用いる車両である。燃料電池車両において主動力源である燃料電池は、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて、燃料が持っている化学エネルギーを電気エネルギーに変換させる一種の発電装置である。車両用燃料電池としては、高い電力密度を有する高分子電解質膜燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell、PEMFC)が最も多く用いられている。高分子電解質膜燃料電池は、反応ガスのうち、燃料ガスとして水素を用い、酸化剤ガスとして酸素または酸素が含まれている空気を用いる。
【0003】
燃料電池は、燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて電気エネルギーを生成する複数のセル(cell)を含み、要求される出力レベルを満たすために、それぞれ電気を生成するセルを積層して直列に接続したスタック(stack)の形態で用いることが一般的である。車両に搭載される燃料電池の場合にも、高い出力が要求されることにより、個別的に電気エネルギーを生成する数百個のセルをスタックの形態で積層してその要件を満たしている。このように複数のセルを積層して連結したセル集合体を燃料電池スタックと称している。燃料電池車両に搭載される燃料電池システムは、燃料電池スタックと共に、燃料電池スタックに反応ガスを供給するための装置と、燃料電池スタックの状態を管理するための装置とを含んで構成される。
【0004】
詳しくは、燃料電池システムは、反応ガスの電気化学反応から電気エネルギーを発生させる燃料電池スタックと、燃料電池スタックに燃料ガスである水素を供給する水素供給装置と、燃料電池スタックに酸化剤ガスである酸素を含む空気を供給する空気供給装置と、燃料電池スタックの運転温度を制御し、熱および水管理機能を行う熱および水管理システムと、燃料電池システムの作動全般を制御する燃料電池制御器(Fuel cell Control Unit、FCU)とを含む。また、燃料電池車両のパワーネットシステムは、車両の主動力源(主電源)になる燃料電池スタックと、車両の補助動力源(補助電源)になる高電圧バッテリと、前記バッテリの出力制御が可能にバッテリに連結されたコンバータ(Bidirectional High Voltage DC-DC Converter、BHDC)と、燃料電池スタックとバッテリの出力側であるDCリンク端(メインバス端)に連結されたインバータと、前記インバータに連結された駆動モータとを含む。
【0005】
一方、トラックやバスなどの大型電気車両におけるバッテリ容量の問題を克服するための方策として、燃料電池を搭載した水素電気トラックや水素電気バスなどの開発が活発に行われている。水素電気トラックのような商用燃料電池車両には、乗用燃料電池車両に適用される燃料電池システム(Power Module Complete、以下、「PMC」と称する)が並列に構成されたパワープラントが搭載される。すなわち、商用燃料電池車両には複数のPMCが搭載され、この時、各PMCは、燃料電池スタックおよびスタック運転装置と、燃料電池スタックを冷却するための水冷式冷却システムの構成要素とを含む。
【0006】
ここで、PMC内の冷却システムの構成要素は、電動式ウォータポンプおよびバルブ類を含むものであって、ラジエータを除いた構成要素である。燃料電池スタックを冷却した冷却水の放熱が行われるスタック冷却用ラジエータ(radiator)は、クーリングファン(cooling fan)と共に車体前端部に別途に配置され、前記スタック冷却用ラジエータと前記複数のPMC内の冷却システムの構成要素とは、冷却水が循環できるように冷却水ライン(配管)を介して連結される。
【0007】
水素電気トラックの場合、車両の駆動出力確保のために、乗用燃料電池車両に適用されている燃料電池スタック2個を搭載することができる。この時、各PMC内の冷却システムが冷却水ライン(配管)を介して1つのラジエータに直列に連結可能であり、前記ラジエータに対して前記2つのPMCの冷却システムが互いに冷却水ラインを介して並列に連結可能である。また、水素電気トラックに高出力の燃料電池スタックを複数個搭載する場合、燃料電池スタックの発熱量が大きく増加するので、車体前端部のラジエータおよびクーリングファンを含むクーリングモジュールの数を増やしてこそ冷却性能を満足させることができる。しかし、車両のパッケージ上、室内空間および周辺部品(操舵装置、ランプ、ステップなど)の配置などを考慮した時、車両において複数のクーリングモジュールを設置可能な十分な空間を確保しにくい。
【0008】
これにより、冷却性能の改善のために、ラジエータを通過する冷却空気の流動を最適化することが要求されている。一例として、ラジエータおよびクーリングファンを通過した後、前方に逆流してラジエータに再流入する空気の量を最小化できる構造が必要である。また、車体前端部のラジエータグリル(radiator grill)を通過した後、ラジエータに向かう新気の流入量を最大化しながら車体前端部におけるラジエータを通過せずに迂回(bypass)する空気の量を最小化できる構造、そして車体前端部での空気流動抵抗を最小化できる改善された構造などが必要である。
【0009】
現在量産されている水素電気トラックの場合、車体前端部およびクーリングモジュールの空気側システム抵抗に対する3D CFD(Computational Fluid Dynamics)分析の結果をみると、ラジエータとクーリングファンを除いたラジエータグリルおよびクーリングモジュール部品の配置による空気側抵抗の定量的分析指数において優れた結果を示している。
【0010】
しかし、高出力スタックが搭載される次世代水素電気トラックの場合、燃料電池スタックの放熱量が現在の量産車両に比べて非常に大きいため、空気側システム抵抗のさらなる改善とそれによる冷却性能の増大が必要であり、そのためには、クーリングモジュール前後方の構造改善により空気流動経路を最適化することが要求されている。
【0011】
以下、従来の問題点についてさらに説明する。水素電気トラックの水冷式冷却システムにおいてクーリングモジュールを構成するラジエータとクーリングファンは、車体前端部に装着される。具体的には、水素電気トラックにおいて車体前端部にスタックラジエータとPE(Power Electronic)部品ラジエータとが装着され、このようなラジエータの後方にクーリングファンが装着される。
【0012】
スタックラジエータは、燃料電池スタックを冷却した冷却水の放熱のためのラジエータであり、PE部品ラジエータは、PE部品を冷却した冷却水の放熱のためのラジエータである。ここで、PE部品は、車両の駆動源であるモータと、該モータを駆動するためのインバータなどになってもよい。上記の水素電気トラックにおいて、車体前端部には、前方から空気(外気)が流入可能な空気流入部としてラジエータグリルが備えられるが、ラジエータグリルを通して流入した空気がラジエータとクーリングファンを順次に通過する。
【0013】
従来の水素電気トラックでは、車体前端部のラジエータグリルを通して流入した空気がラジエータおよびクーリングファンを通過した後、後方に流れなければならないが、空気中の一部がラジエータおよびクーリングファンを通過した後、後方に流れず、クーリングファン後方の部品にぶつかって逆流する問題点があった。さらに、水素電気トラックのような大型商用燃料車両のクーリングファンとしては油圧駆動式クーリングファンが適用されており、油圧駆動式クーリングファンの場合、油圧モータ、オイルタンク、オイルクーラなどと共に複数のオイルホースなどの複雑な配管が必要である。
【0014】
したがって、油圧駆動式クーリングファンが適用された車両において、クーリングファンの後方には、通常、オイルタンクおよびオイルクーラと共に複雑なオイルホースが配置されるので、このような油圧駆動式クーリングファンの部品がクーリングファン後方の空気の流れを遮る。結局、ラジエータを通過する間にラジエータ内の冷却水の熱が伝達された高温の空気がクーリングファン後方のオイルホースなどの配管類にぶつかった後、逆流する。
【0015】
例として、車体前端部においてクーリングファン後方の左側領域に複雑なオイルホースと共にオイルタンクが位置する場合、ラジエータおよびクーリングファンを通過した多量の空気が前記クーリングファン後方の左側領域でオイルホースやオイルタンクなどにぶつかって逆流することがある。このように逆流する高温の空気は、ラジエータの前方に移動した後、再度ラジエータを通過する再循環の流れを示し、それによってラジエータの冷却性能が低下する問題が発生する。
【0016】
また、通常の水素電気トラックにおいてクーリングファンの下部と車体のクロスメンバが前後に位置するように配置され、クロスメンバの後方下側にはアンダーカバーが位置する。このようにクーリングファンの後方に近接配置されるクロスメンバとアンダーカバーとがクーリングファン後方の空気の流れを遮る空気低抗体の役割を果たし、これはラジエータに流入する空気の絶対量を減少させる作用をする。また、通常の水素電気トラックにおいてラジエータ前方の車体下端部が開放されているため、車両が高速で走行する場合、冷たい空気がラジエータに流入せず、車体下端部の開放された空間に流れてラジエータを迂回する。このように空気中の一部がラジエータを迂回することにより、冷却性能低下の要因になっている。
【0017】
これとともに、水素電気トラックのスタック冷却システムにおいて、クーリングモジュールの前方には、ラジエータグリルとラジエータとの間に空き空間が存在するが、高速走行時には、車体前端部の空気流入部(ラジエータグリルまたは別の開口部など)を通して流入した空気が車体とラジエータとの間の空き空間を通して迂回してラジエータを通過しないことがあり、これも冷却性能低下の要因になる。この時、クーリングファンが作動して迂回する空気の量が減少しラジエータを通過する新気の量が増加しても、ラジエータと車体との間に別のガイドがないので、前述のように、ラジエータおよびクーリングファンを通過した高温の空気がクーリングファン後方のオイルタンクやオイル配管にぶつかって前方に逆流した後、再度ラジエータを通過することがある。
【0018】
また、車両が低速走行する場合にも、ラジエータと車体との間に別のガイドがない状態で、ラジエータおよびクーリングファンを通過した高温の空気がクーリングモジュール後方の低抗体にぶつかって再度ラジエータの前方に逆流する現象が現れ、結局、ラジエータ前面の空気の温度を上昇させて冷却性能低下の原因になる。ラジエータの冷却性能が不足する時、別の補助ラジエータが追加的に必要になりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであって、車体前端部のラジエータグリルを通して流入した後、クーリングモジュールのラジエータおよびクーリングファンを通過する空気の流動を最適化できる構造を提供することを目的とする。特に、ラジエータグリルを通して流入した後、ラジエータに向かう新気の流入量を最大化しながら車体前端部におけるラジエータを通過せずに迂回する空気の量を最小化できる構造、ラジエータおよびクーリングファンを通過した後、前方に逆流してラジエータに再流入する空気の量を最小化できる構造、そして車体前端部での空気流動抵抗を最小化できる改善された構造を提供することを目的とする。本発明の目的は以上に言及された目的に制限されず、言及されていない他の目的は以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下、「通常の技術者」)に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明による車両によれば、車体前端部においてラジエータグリルとクーリングモジュールとの間の空間に配置されて、ラジエータグリルを通して流入した空気を前記クーリングモジュールのラジエータに流れるように案内するエアガイドが備えられ、前記エアガイドは、前記車体前端部においてラジエータグリルが位置した車両前面部のグリル側構造物に固定された第1ガイド部材と、前記クーリングモジュールに結合された固定構造物であるクーリングモジュール側構造物に設けられ、前記第1ガイド部材とは間隔をおいて離隔配置された第2ガイド部材とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
これにより、本発明によるエアガイドが備えられた車両によれば、車体前端部のラジエータグリルを通して流入した後、クーリングモジュールのラジエータとクーリングファンを通過する空気の流動が最適化できる。特に、ラジエータグリルを通して流入した後、ラジエータに向かう新気の流入量を最大化しながら車体前端部におけるラジエータを通過せずに迂回する空気の量を最小化することができ、ラジエータおよびクーリングファンを通過した後、前方に逆流してラジエータに再流入する空気の量を最小化することができる。そして、車体前端部での空気流動抵抗を最小化することができる。その他、従来の油圧式クーリングファンを駆動するための複雑な油圧部品の削除、ラジエータの冷却性能の改善、スタック出口温度の改善、ラジエータの冷却性能の増大による別の補助ラジエータの削除などがすべて可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールのラジエータを示す正面図である。
【
図2】本発明の実施例による車両において車体前端部に装着される第1ガイド部材を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例による車両においてクーリングモジュール側構造物に装着される第2ガイド部材を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施例による車両において車体前端部およびクーリングモジュールを示す断面図である。
【
図5】本発明の実施例による車両において車体前端部およびクーリングモジュールを示す断面図である。
【
図6】本発明の実施例による車両において車体前端部およびクーリングモジュールを示す断面斜視図である。
【
図7】本発明の実施例による車両において車体前端部およびクーリングモジュールを示す断面斜視図である。
【
図8】本発明の実施例においてエアガイドによる新気のラジエータの迂回防止が行われる状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施例においてエアガイドによる新気のラジエータの迂回防止が行われる状態を示す図である。
【
図10】本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールを示す背面斜視図である。
【
図11】本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールの背面図である。
【
図12】本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールの側面図である。
【
図13】本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールの底面図である。
【
図14】従来の車両においてクロスメンバが設けられた状態を示す参照図である。
【
図15】本発明により側面ガイド部材が設けられた実施例を示す斜視図である。
【
図16】本発明により側面ガイド部材が設けられた実施例の平面図である。
【
図17】本発明の実施例による車両の車体前端部においてクーリングファンの後側下部にアンダーカバーが設けられた状態を示す図である。
【
図18】本発明におけるアンダーカバーの形状を示す断面図である。
【
図19】本発明の実施例による車両においてエアフラップ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の実施例で提示される特定の構造乃至機能的説明は単に本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の概念による実施例は多様な形態で実施可能である。また、本明細書に説明された実施例に限定されると解釈されてはならず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更物、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0025】
一方、本発明において、第1および/または第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、前記構成要素は前記用語に限定されない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ、例えば、本発明の概念による権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、類似して、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいことが理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるかまたは「直接接触して」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないことが理解されなければならない。構成要素間の関係を説明するための他の表現、すなわち「~の間に」と「直に~の間に」または「~に隣接する」と「~に直接隣接する」などの表現も同じく解釈されなければならない。
【0026】
明細書全体にわたって同一の参照番号は同一の構成要素を示す。本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文章で特に言及されない限り、複数形も含まれる。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子が1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0027】
本発明は、車体前端部のラジエータグリルを通して流入した後、クーリングモジュールのラジエータおよびクーリングファンを通過する空気の流動を最適化できる構造を提供することを目的とする。より詳しくは、本発明は、ラジエータグリルを通して流入した後、ラジエータに向かう新気の流入量を最大化しながら車体前端部におけるラジエータを通過せずに迂回する空気の量を最小化できる構造、クーリングファンを通過した後、前方に逆流してラジエータに再流入する空気の量を最小化できる構造、そして車体前端部での空気流動抵抗を最小化できる改善された構造を提供することを目的とする。
【0028】
上記の目的を達成するために、本発明では、車体前端部におけるラジエータグリルを通して流入した空気をその後方のラジエータに案内するエアガイドが備えられる。
【0029】
そのため、車体前端部のラジエータグリルを通して流入した空気がエアガイドによってすべてクーリングモジュールのラジエータに流れることができ、結局、空気がラジエータを迂回する問題が解消できる。また、本発明では、空気流動抵抗の問題を改善するために、クーリングモジュールのクーリングファンとして油圧駆動式クーリングファンの代わりにモータ直結型電動式クーリングファンが適用可能である。これにより、クーリングファンの後方に配置されていた従来の複雑な油圧部品が削除できる。さらに、本発明では、空気流動抵抗の問題を改善するために、クロスメンバの位置をクーリングファンのブレードの下側からブレードの後方位置に変更してブレードを通過したファン後流空気の流動抵抗が最小化されるようにし、これにより、ラジエータの冷却性能および燃料電池スタックの出口温度を改善する。その他、車両の前端部およびクーリングモジュールにおけるラジエータを通過した空気の流動を最適化し、空気の流動抵抗を最小化できる様々な改善された構造が適用される。
【0030】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳しく説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールのラジエータを示す正面図である。まず、本発明の実施例による車両は、商用または乗用車両であってもよく、具体的には、燃料電池スタックが搭載された商用燃料電池車両であってもよいし、より具体的には、複数の燃料電池スタックが搭載された商用燃料電池車両であってもよい。また、本発明の実施例による車両は、商用燃料電池車両として水素電気トラックであってもよく、具体的には、車体前端部のうち運転席を形成する部分でかつ、キャブチルティングシステム(cab tilting system)によってチルティングされる車体部分であるキャブ(cab)を有する水素電気トラックであってもよい。
【0032】
本発明の実施例による車両の車体前端部は、車両前面部の一部(下部)をなすグリル側構造物を含む。グリル側構造物には、車体前端部の内部空間に空気が流入可能な空気流入部であるラジエータグリルが形成または具備される。トラックの車体前端部において車両前面部にラジエータグリルが形成されることは、公知の技術事項であり、ラジエータグリルが通常の技術者によく知られた構成であるので、ラジエータグリルについては詳しく示していない。本発明の実施例による車両において、ラジエータグリルが形成または具備されるグリル側構造物(後述する
図2にて図面符号「2」である)は、車体前端部のうち運転席を形成する部分でかつ、キャブチルティングシステムによって上下にチルティングされるキャブ(図示せず)であってもよく、より詳しくは、キャブにおいても車両前面部になるフロントパネルであってもよい。
【0033】
前記キャブは、キャブチルティングシステムによってチルティング(tilting)される可動型車体部分であり、よって、前記キャブのフロントパネルであるグリル側構造物2も、可動型車体部分の一部になる。また、車両前面部を形成する部分であるキャブのフロントパネル(グリル側構造物、2)の後方には、ラジエータ(
図1にて図面符号「110」である)およびクーリングファン(
図1には図示せず)を含むクーリングモジュール(
図1にて図面符号「100」である)が配置され、この時、クーリングモジュール100は、車体前端部のうち、可動型ではない、動きのない固定型車体部分に装着される。
【0034】
クーリングモジュール100において、ラジエータ110は、全体的な形状が、
図1に示すように四角形状を有することができ、これは前後に定められた間隔をおいて離隔配置されるPE部品ラジエータ111とスタックラジエータ112とで構成される。前記PE部品ラジエータ111は、車両の駆動源であるモータやインバータなどの電力電子部品(以下、「PE部品」と称する)の冷却のためのラジエータであり、前記スタックラジエータ112は、燃料電池スタックの冷却のためのラジエータである。
【0035】
本発明の実施例による車両においてPE部品ラジエータ111がスタックラジエータ112と比較して前面の面積が相対的に小さい大きさに備えられ、クーリングモジュール100において前方にPE部品ラジエータ111が、その後方にスタックラジエータ112が配置される。前記ラジエータ110の上側には、冷却水が貯留されるサージタンク113が設けられるが、サージタンク113は、PE部品ラジエータ111とPE部品(冷却対象部品)との間を循環するPE部品冷却水が貯留されるPE部品サージタンクと、スタックラジエータ112と燃料電池スタック(冷却対象部品)との間を循環するスタック冷却水が貯留されるスタックサージタンクとを含む。
【0036】
前記スタックサージタンクとPE部品サージタンクは、
図1に示すように、一体の容器で内部空間が隔壁によってスタック冷却水とPE部品冷却水がそれぞれ貯留できる空間に区画されている統合型サージタンク113で備えられる。この時、統合型サージタンク113がラジエータ110の上側中央に位置することができる。
図1には、ラジエータ110の上側中央に統合型サージタンク113が設けられた実施例が示されている。あるいは、スタックサージタンクとPE部品サージタンクがそれぞれ別途に備えられて、前記PE部品ラジエータ111とスタックラジエータ112の上側に配置されるように設けられ、この時、スタックサージタンクとPE部品サージタンクがPE部品ラジエータ111とスタックラジエータ112の上側でそれぞれ左側と右側に配置されるように設けられてもよい。
【0037】
図2は、本発明の実施例による車両において車体前端部のうち車両前面部をなすフロントパネル(グリル側構造物、2)およびそれに装着される第1ガイド部材210を示す斜視図であり、
図3は、本発明の実施例による車両においてクーリングモジュール側構造物114に装着される第2ガイド部材220を示す正面図である。
【0038】
本発明の実施例による車両は、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220とを含んで構成されるエアガイド(後述する
図4にて図面符号「200」である)を備えたものである。より詳しくは、本発明の実施例による車両は、車体前端部においてラジエータグリル3とクーリングモジュール100のラジエータ110との間に配置されて、前記ラジエータグリル3を通して流入した空気がラジエータ110に向かって流動するように案内するエアガイド(
図4にて図面符号「200」である)を有する。本発明の実施例において、エアガイド200は、車両においてグリル側構造物であるフロントパネル2に固定される第1ガイド部材210と、前記クーリングモジュール側構造物114に固定され、前記第1ガイド部材210とは定められた間隔をおいて離隔するように平行に配置される第2ガイド部材220とを含んで構成される。
【0039】
図2の(a)には第1ガイド部材210が示されており、
図2の(b)にはキャブのフロントパネル2が示されている。
図2の(b)には、フロントパネル2に空気が通過できるように形成または具備されたラジエータグリル3が共に示されている。また、
図2の(b)には、第1ガイド部材210がフロントパネル2の内側面に装着された状態で示されている。本発明の実施例において、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220は、ラジエータ110の外郭全周部分のうちラジエータの上側と下側、左側と右側の少なくとも一方に沿って配置されるように設けられる。
【0040】
また、第1ガイド部材210は、
図1に示されたラジエータ110の前方からラジエータの外郭周部分に沿って配置できるように、その全体的な形状が、
図2の(a)に示すように四角フレームの形状を有する。前記第1ガイド部材210は、可動型車体部分であるキャブに設けられ、このキャブにおいてもラジエータグリル3が形成または具備されたグリル側構造物である前記キャブのフロントパネル2の内側面に固定装着される。また、第2ガイド部材220は、
図1に示すように、クーリングモジュール100のラジエータ110が結合されたクーリングモジュール側構造物114に設けられ、ここで、クーリングモジュール側構造物114は、クーリングモジュール100のラジエータ110に結合された固定構造物であって、車体前端部の固定型車体部分のうち車体フレーム(図示せず)にラジエータ110を固定およびマウンティングするマウンティング部材であってもよい。
【0041】
本発明の実施例において、クーリングモジュール側構造物114であるマウンティング部材は、ラジエータ110の外郭周部分に沿って配置および結合される。この時、第2ガイド部材220も、ラジエータ110の外郭周部分に沿って配置されるように設けられるが(
図1参照)、この時、第1ガイド部材210と同じく、全体が一体である四角フレームの形状を有してもよいが、
図3に示されるように、複数の部材で組み合わされた構成を有してもよい。
【0042】
第2ガイド部材220が複数の部材で組み合わされた構成を有する場合にも、第2ガイド部材220を構成する各部材がラジエータ110の四角周部分に沿って配置される(
図1参照)。この時、ラジエータ110の四角周部分の全区間のうち、サージタンク113が設けられるラジエータ110の上側の一部区間には第2ガイド部材220の設置が省略可能である。すなわち、
図3に示すように、第2ガイド部材220は、上側の一部が削除された形状、すなわちラジエータ110の上側の一部区間に相当する部分が削除された形状を有する。
【0043】
このように、本発明では、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220とで構成されるエアガイド200がラジエータ110の前方からラジエータの周りに沿って配置されるように設けられることにより、車両の走行時、前面から流入する空気、すなわちラジエータグリル3を通して流入する冷たい空気をラジエータ110に流れることができるように案内する。
【0044】
本発明において、エアガイドは、車両の高速走行時、流入する冷たい空気がラジエータ以外の他の部分を通して迂回(bypass)せずに完全にラジエータにのみ流入するようにする。さらに、本発明において、エアガイドは、ラジエータを通過した高温の空気がラジエータ後方の低抗体にぶつかって前方に逆流した後、ラジエータの前面に再流入するのを防止する。これにより、ラジエータの冷却性能および燃料電池スタックの出口温度が改善され、ラジエータの冷却性能が大きく改善されることにより、別の補助ラジエータを必要としなくなる。
【0045】
図4と
図5は、本発明の実施例による車両において車体前端部およびクーリングモジュールを示す断面図であり、
図6と
図7は、本発明の実施例による車両において車体前端部およびクーリングモジュールの断面斜視図である。
図6は、
図4のように水平線に沿った断面斜視図であり、
図7は、
図5のように垂直線に沿った断面斜視図である。
【0046】
図面符号「111」は、ラジエータ110のうちPE部品ラジエータを、図面符号「112」は、ラジエータ110のうちスタックラジエータを示す。また、図面符号「120」は、クーリングモジュール100においてラジエータ110の後方に設けられるクーリングファンを示し、図面符号「113」は、ラジエータ110の上側に配置されるサージタンクを示す。ここで、サージタンク113は、スタックサージタンクであるか、PE部品サージタンクであるか、統合型サージタンクであってもよい。
【0047】
図示のように、エアガイド200は、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220とで構成され、第1ガイド部材210は、グリル側構造物2、例えば、可動型車体構造物であるキャブ(図示せず)のフロントパネルの内側面に固定される。この時、第2ガイド部材220は、クーリングモジュール側構造物114、例えば、固定型車体部分のうち車体フレームにラジエータ110をマウンティングして固定するマウンティング部材に固定される。
【0048】
第1ガイド部材210と第2ガイド部材220は、板(plate)形状の部材であってもよく、それぞれボルティング(bolting)やリベッティング(riveting)、溶接(welding)、接着(bonding)などのような方法によってグリル側構造物(フロントパネル、2)とクーリングモジュール側構造物(マウンティング部材、114)に固定される。このような第1ガイド部材210と第2ガイド部材220は、ラジエータ110の前方においてラジエータグリル3とラジエータ110との間の空間に傾斜した断面形状および構造を有するように配置される(
図4参照)。
【0049】
これにより、ラジエータグリル3を通して流入した空気が第1ガイド部材210と第2ガイド部材220によって案内されながらラジエータ110の前面に集まって流れる。本発明の実施例において、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220は、互いに定められた間隔を有するように離隔して設けられるが、キャブのフロントパネル2およびラジエータグリル3とラジエータ110との間の空間をラジエータ側方の外部空間とある程度は断絶させられるように、ラジエータの周りに沿って設けられる。この時、エアガイド200を構成する第1ガイド部材210と第2ガイド部材220は、少なくとも一部が、
図4および
図5に示すように、車両の前後方向または上下方向に互いに重なる状態となるように離隔配置される。
【0050】
通常のトラックにおいて、キャブは、運転席が設けられた部分でかつ、キャブチルティングシステムによってチルティングされる可動型車体部分である。例えば、車両の整備時にはキャブがアップ(up)状態で移動しなければならず、車両整備後の走行中にはダウン(down)状態になる。また、トラックが走行する間には、運転者が搭乗したキャブが継続して上下に流動する。仮に固定型車体部分のうちクーリングモジュール側構造物(マウンティング部材、114)にのみエアガイド(すなわち、第2ガイド部材)が設けられるならば、キャブの流動時に固定された前記エアガイド(第2ガイド部材)が、グリル側構造物であるフロントパネル2の内側面に接触したり衝撃を加える。
【0051】
したがって、固定型車体部分(クーリングモジュール側構造物)に固定されるエアガイド(すなわち、第2ガイド部材)は、キャブの流動を考慮して可動型車体部分(グリル側構造物)であるフロントパネル2の内側面に接触したり衝撃を加えないように、フロントパネルの内側面から適切な間隔をおいて離隔して設けられなければならない。しかし、前記のように、クーリングモジュール側構造物(マウンティング部材、114)にのみ、キャブのグリル側構造物であるフロントパネル2の内側面と離隔するように、エアガイド(第2ガイド部材)を設けるならば、フロントパネル2のラジエータグリル3を通して流入した空気の全量が完全にラジエータ110にのみ流れることができず、ラジエータグリル3を通過した空気がフロントパネル2とエアガイド(第2ガイド部材)との間の離隔した空間に抜け出ながらラジエータ110を迂回する。
【0052】
また、ラジエータ110を通過した高温の空気が、ラジエータ後方の低抗体にぶつかって前方に逆流した後、クーリングモジュール側構造物114に設けられたエアガイド(第2ガイド部材)とキャブのフロントパネル2の内側面との間の離隔した空間を通してラジエータの前面に再流入することがあり、それによってラジエータの冷却性能が低下しうる。したがって、本発明では、上記の問題が発生しないように、固定型車体部分であるクーリングモジュール側構造物114に設けられる第2ガイド部材220に加えて、別のエアガイドである第1ガイド部材210を可動型車体部分であるフロントパネル(グリル側構造物、2)の内側面に追加的に設ける。
【0053】
これにより、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220とが互いに間隔をおいて組み合わされた状態で、ラジエータグリル3を通して流入した新気が離隔配置された前記2つのガイド部材によって完全にラジエータ110に案内される。そのため、ラジエータグリル3とラジエータ110との間の空間から外部に排出されてラジエータ110を迂回する空気の量を最小化する。
【0054】
図5には、従来のサージタンクの位置と本発明のサージタンクの位置が示されている。図示のように、従来はサージタンクがクーリングファンの後方上側に位置していたが、本発明ではサージタンク113がラジエータ110の上側に位置する。このようにサージタンク113の位置が従来のクーリングファンの後方上側からラジエータ110の上側に変更されることにより、空気流動構造が改善できる。すなわち、クーリングファン120が駆動してブレード121が回転すると、ブレード121を通過して後方に送風される空気(ファン後流空気)の一部が上方に斜めに上昇する方向に流動する(
図5の矢印方向)。
【0055】
従来は、サージタンク113がクーリングファン120の後方上側に位置するので、ファン後流空気の流動経路上に存在し、ブレード121を通過して後方に送風される空気が斜めに上昇する時、サージタンク113にぶつかる。すなわち、サージタンク113がファン後流空気に対する低抗体になりうる。これに対し、本発明では、サージタンク113の位置が、
図5に示すように、ラジエータ110の上側に変更されるので、ブレード121を通過して後方に送風されるファン後流空気がサージタンク113によって干渉されず、ファン後流空気がサージタンクにぶつからないため、サージタンクによる空気流動抵抗が発生しなくなる。
【0056】
次に、
図8と
図9は、本発明の実施例においてエアガイドによる新気のラジエータの迂回防止が行われる状態を示す図である。
図8は、側面図(または垂直線に沿った断面図)であって、これを参照すれば、図面の左側方向が車体方向を基準として前方であり、前方にラジエータグリル(図示せず)が備えられたキャブのフロントパネル2が、後方にクーリングモジュールのラジエータ110が配置されると見られる。
図9は、平面図(または水平線に沿った断面図)であって、図面の上側方向が車体方向を基準として前方である。
【0057】
図示のように、ラジエータグリル(図示せず)が備えられたフロントパネル2とクーリングモジュールのラジエータ110との間に、空気流動通路となる空間が存在する。そのため、フロントパネル2のラジエータグリルを通して流入した冷たい空気(新気)が前記空間を経てクーリングモジュールのラジエータ110を通過し、ラジエータ110の内部を流れる冷却水がラジエータの周りを通過する空気に熱を放出する。
【0058】
図示のように、ラジエータ110の前方にフロントパネル2とラジエータ110との間に間隔をおいて少なくとも一部が重なるように、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220が配置される。この時、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220とは互いに離隔しているので、車両の走行中にキャブの上下流動にも互いに接触せず、互いに衝撃を加えなくなる。結局、車両が走行する間、可動型車体部分であるキャブおよび該キャブのフロントパネル2が流動しても、第1ガイド部材210と第2ガイド部材とは互いに接触したり互いに衝撃を加えることなく、新気のラジエータ110の迂回を防止する。
【0059】
例えば、エアガイド200がなければ、車両が高速走行し、クーリングファンがオフ(off)状態の時、フロントパネル2に備えられたラジエータグリルを通して流入した新気が、
図8に示すように、上方に排出されてクーリングモジュールのラジエータ110を迂回する。また、ラジエータ110を通過した高温空気がラジエータ後方の低抗体にぶつかった後、逆流してラジエータの前面に再流入する。また、エアガイド200がない場合において、車両が低速走行し、クーリングファンがオン(on)状態であれば、フロントパネル2に備えられたラジエータグリルを通して流入した新気が、
図9に示すように、左右に排出されてクーリングモジュールのラジエータ110を迂回する。また、同じく、ラジエータ110を通過した高温空気がラジエータ後方の低抗体にぶつかった後、逆流してラジエータの前面に再流入する。
【0060】
本発明の実施例において、キャブが流動しても、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220とは一定の間隔を維持させることが好ましい。したがって、2つのガイド部材間の接触が確実に防止できるように、第1ガイド部材210と第2ガイド部材220との間に弾性材質のスペーサ230が設けられる。前記スペーサ230は、2つのガイド部材210、220が接触しないようにしながら2つのガイド部材間の間隔を維持させるものであり、ゴムなどの材質で製作されたものが使用できる。前記スペーサ230は、2つのガイド部材210、220の対向する面の間に介在してもよいし、2つのガイド部材210、220のうち1つの面に接着などの方法によって固定されてもよい。
【0061】
例えば、スペーサ230が第2ガイド部材220の面に固定され、キャブの流動時、第1ガイド部材210がスペーサ230から分離できるように、スペーサ230が第1ガイド部材210には固定されない。逆に、スペーサ230が第1ガイド部材210の面に固定されてもよいし、キャブの流動時、スペーサ230が第1ガイド部材210と共に動きながら第2ガイド部材220とは離れて分離できるように、スペーサ230が第2ガイド部材220には接触のみするだけで、固定されないようにする。また、複数のスペーサ230が2つのガイド部材210、220の間に2つのガイド部材210、220の長手方向に沿って定められた間隔をおいて配置されるように設けられる。
【0062】
一方、車両のクーリングモジュール100においてラジエータ110の後方にクーリングファン120が設けられる。前記ラジエータ110の後方に位置したクーリングファン120が空気を吸入すれば、前記クーリングファン120によってその前方から吸入される空気がラジエータ110を通過する。本発明の実施例による車両においてクーリングファン120として電動式クーリングファンが用いられる。この時、電動式クーリングファンは、ファンモータのロータシャフトにブレード(回転翼)が直結されたモータ直結型高出力電動式クーリングファンであってもよい。
【0063】
図10は、本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールを示す背面斜視図であり、
図11は、クーリングモジュールの背面図である。また、
図12は、本発明の実施例による車両においてクーリングモジュールの側面図であり、
図13は、クーリングモジュールの底面図である。
図10にて図面符号「4」は、固定型車体部分のうち車体フレームを示す。車体フレーム4は、車体の左右両側で車両の前後方向に沿って長く延びるように配置される車体部分である。車両においてラジエータ110およびクーリングファン120を含むクーリングモジュール100が前記車体フレーム4にマウンティング部材114を介してマウンティングおよび支持された状態で固定される。また、車体前端部において左右両側の車体フレーム4の間を連結するようにクロスメンバ6が設けられるが、クロスメンバ6は、左右両側の車体フレーム4の間で車両の左右方向に沿って長く延びるように配置される。
【0064】
この時、クロスメンバ6は、長手方向に沿って直線形状を有することができ、このようなクロスメンバ6がクーリングファン120のブレード121の後方空間を左右横方向に長く直線形状に横切るように設けられる。前記クロスメンバ6は、左右両側の車体フレーム4に固定ブラケット5を介してマウンティングおよび支持されるように設けられるが、左右両側の2つの車体フレーム4の前端部にそれぞれ前記固定ブラケット5が結合され、左右両側の各固定ブラケット5にクロスメンバ6の端部が結合される。すなわち、クロスメンバ6の左右両端部が左右両側の2つの固定ブラケット5を介して両側の2つの車体フレーム4の前端部に結合されるのである。
【0065】
この時、車体フレーム4と固定ブラケット5、そしてクロスメンバ6は、ボルティングや溶接などの方法によって相互結合可能である。すなわち、部品4、5、6の結合部位の間が複数のボルトによって相互締結および固定され、この時、ボルティングと溶接が共に利用されてもよい。そして、本発明の実施例において、クロスメンバ6の上部面には、インシュレータ7を介在した状態で、前記インシュレータ7を介して支持されるようにファンマウンティングブラケット8が装着され、このファンマウンティングブラケット8に電動式クーリングファン120のファンモータ(
図10および
図11には図示せず、
図12および
図13にて図面符号「122」である)およびインバータ123が支持されるように装着される。
【0066】
本発明の実施例において、電動式クーリングファン120は、空気を吸入するブレード(回転翼、121)と、前記ブレード121を回転させるためのファンモータ122と、前記ファンモータ122に3相電流を印加するインバータ123と、前記インバータ123の3相スイッチをデューティ(duty)制御する不図示の制御器とを含んで構成される。ここで、ブレード121は、図面に詳しく示さないが、リング(ring)部(図示せず)と、ファンモータ122のロータシャフトが連結される中心部分であるハブ(hub)(図示せず)と、リング部とハブとの間を連結するように形成された複数の翼(図示せず)とを含んで構成される。
【0067】
前記インバータ123は、直流電源であるバッテリや燃料電池スタックに電流が供給できるように連結され、ファンモータ122の駆動時、電源から供給される直流(DC)電流を3相交流(AC)電流に変換して、電力ケーブルを介してファンモータ122に印加する。このように従来の油圧駆動式クーリングファンの代わりに電動式クーリングファンを適用することにより、クーリングファンの後方に配置されていた複雑なファン駆動部品、すなわちオイルタンクやオイルクーラ、オイルホースなどのように空気流動の低抗体として作用しうる既存の油圧部品を削除する。
【0068】
これにより、クーリングファンを通過した空気に作用する抵抗を低減することができ、クーリングファン120を通過した高温の空気が抵抗によってラジエータの前方に逆流してラジエータに再流入することを最小化する。また、これにより、ラジエータに流入する新気(ラジエータグリルを通して新たに流入した冷たい空気)の絶対量および新気のラジエータの通過流量を大きく増加させることができ、結局、ラジエータでの冷却性能を増大させる。
【0069】
本発明の実施例において、クーリングモジュール100のマウンティングのために、マウンティング部材114が左右両側の車体フレーム4の前端部に直接または別のブラケットを介して結合され、前述のように、マウンティング部材114の内側にラジエータ110が配置およびマウンティングされる。前記マウンティング部材114は、前述したクーリングモジュール側構造物であって、前述のように、前記マウンティング部材114に第2ガイド部材220が設けられる。そして、前述のように、ファンマウンティングブラケット8がインシュレータ7を介してクロスメンバ6の上部面に支持されるように装着され、前記ファンマウンティングブラケット8に電動式クーリングファン120のファンモータ122およびインバータ123が支持されるように装着される。前記ファンマウンティングブラケット8は、板形状のブラケット本体9と、前記ブラケット本体9に一体に結合されるサポータ10とを含んで構成される。ここで、ブラケット本体9は、下端の周りに沿って折曲げられて形成された下面部9aと、側端の周りに沿って折曲げられて形成された側面部9bとを有する。
【0070】
また、前記サポータ10は、ブラケット本体9の下面部9aと側面部9bに重畳および面接触するように結合されるフレーム11と、前記フレーム11を固定型車体部分のうちクーリングモジュール側構造物であるマウンティング部材114に連結して支持および固定するロッド型ブラケット12とを含んで構成される。前記ファンマウンティングブラケット8において、ブラケット本体9は、垂直に立てられた形状となるように設けられるが、この時、ブラケット本体9の前面にファンモータ122が一体に結合されて装着され、ブラケット本体9の後面にインバータ123が一体に結合されて装着される。
【0071】
前記ファンマウンティングブラケット8において、サポータ10のフレーム11は、全体的な形状が「∪」の形状を有するように備えられた板形状の部材であって、サポータ10のフレーム11においてその下面部11aがブラケット本体9の下面部9aの外側面に重なった状態となるように結合される。この時、サポータ10のフレーム11のうち下面部11aがインシュレータ7と結合され、これにより、サポータ10のフレーム11がインシュレータ7を介してクロスメンバ6の上部面に支持される構造になる。また、ブラケット本体9の下面部9aとフレーム11の下面部11a、インシュレータ7は、ボルトおよびナットなどによって相互締結および固定される。
【0072】
また、ファンマウンティングブラケット8のサポータ10において、フレーム11の左右両側面部11bとクーリングモジュール側構造物であるマウンティング部材114との間、そしてファンマウンティングブラケット8のブラケット本体9の上端部とマウンティング部材114との間を連結するようにロッド型ブラケット12が設けられる。前記ロッド型ブラケット12は、クロスメンバ6およびマウンティング部材114においてファンマウンティングブラケット8を実質的に支持する支持構造物であって、定められた直径を有する複数のロッドが組み合わされた構成を有する。
【0073】
この時、前記ロッド型ブラケット12は、サポータ10においてフレーム11の左右両側面部11bとマウンティング部材114との間を連結する第1ロッド12aと、ブラケット本体9の上端部とマウンティング部材114との間を連結する第2ロッド12bと、前記第1ロッド12aと第2ロッド12bとの間を連結する複数の第3ロッド12cとを含んで構成される。そして、前述のように、ファンマウンティングブラケット8、より明確には、ファンマウンティングブラケット8のブラケット本体9にファンモータ122とインバータ123が固定されるように装着された状態で、前記ファンモータ122のロータシャフトにブレード121が直結される。
【0074】
また、クーリングファン120のファンシュラウド125がブレード121の外郭に配置されるようにマウンティング部材114に設けられる。すなわち、クーリングファン120がラジエータ110の後方に配置された状態で、前記ファンシュラウド125は、マウンティング部材114に結合および固定されてマウンティングされる。このように、本発明では、左右両側の車体フレーム4、および左右両側の車体フレーム4の間を連結するクロスメンバ6によって支持されるようにクーリングモジュール100が設けられ、前記クロスメンバ6は、
図12および
図13に示すように、クーリングファン120の後方でも下部空間を横方向に直線形状に横切るように配置される。この時、クロスメンバ6の長さは、クーリングファン120の左右の幅に比べて小さい。
【0075】
図12と
図13では、クーリングファン120を通過した後、空気の流動方向、すなわちファン後流の流動方向を矢印で示している。図示のように、クーリングファン120の駆動時、クーリングファンを通過した空気は、後方に直進したり中央に集まる形態で流れるのではない、クーリングファンの外郭方向に斜めに偏向するように流れる。
【0076】
この時、ファン後流の外郭方向の流動を干渉しないように、クロスメンバ6は、空気が放出される外郭方向の内側に位置するように、クーリングファン120のブレード121の下端(リング部の最下端)の高さより高い位置に設けられる。そのため、クロスメンバ6が、クーリングファン120のブレード121の下側ではない、ブレード121の後方を左右に横切るように配置される構造になる。これにより、本発明では、クロスメンバ6が抵抗として作用しなくなって、ファン後流抵抗が大きく改善され、ラジエータ110およびクーリングファン120を通過する空気の風量を増大できる。また、ラジエータ110およびクーリングファン120を通過した高温空気の逆流およびラジエータへの再流入が防止可能であり、ラジエータでの冷却性能が増大できる。
【0077】
図14は、従来の車両においてクロスメンバ6が設けられた状態を示す参照図であり、図示のように、従来は、クロスメンバ6がクーリングファン120のブレード121の下端(ブレードの半径末端)の位置に沿って配置され、このような配置構造では、クーリングファン120のブレードの末端から下方に流れる空気の流動をクロスメンバ6が干渉しながら低抗体の作用をする。
【0078】
これに対し、本発明では、
図11に示すように、クロスメンバ6の位置を上向きにし、
図12および
図13に示すように、クーリングファン120のブレード121とクロスメンバ6との間の間隔を十分に確保する。これにより、ラジエータ110とクーリングファン120を通過して流れる空気の抵抗を大きく低減する。クーリングファン120が駆動してブレード121が回転すると、ブレード121を通過して後方に送風される空気(ファン後流空気)の一部が下方に斜めに流動する(
図12の矢印方向)。
【0079】
本発明では、クロスメンバ6がクーリングファン120のブレード121の末端(回転翼の下端)より高い位置に設けられるので、ブレード121を通過して後方に送風されるファン後流空気がクロスメンバ6によってほとんど干渉されず、クロスメンバ6による空気流動抵抗が最小化できる。
【0080】
一方、
図15は、本発明により側面ガイド部材が設けられた実施例を示す斜視図であり、
図16は、側面ガイド部材が設けられた実施例の平面図である。図示のように、ラジエータ(
図5にて図面符号「110」である)が内側に固定および結合されたマウンティング部材114、またはファンマウンティングブラケット(
図10の図面符号「8」である)のサポータ10のうちロッド型ブラケット12などには、側面ガイド部材240がクーリングモジュール100の上部の左右両側面の位置に配置されるように設けられる。
【0081】
前記側面ガイド部材240は、クーリングファン120を中心に左側と右側にそれぞれ配置されるが、これはクーリングファン120から排出される空気をクーリングファンの後方に案内して空気のストリームラインを改善するとともに、クーリングファン120を通過した空気が前方に逆流してクーリングモジュール100のラジエータ110の前面に再流入するのを防止する(空気の逆流および再流入防止)。
【0082】
次に、
図17は、本発明の実施例による車両の車体前端部においてクーリングファンの後側下部にアンダーカバーが設けられた状態を示す図であり、
図18は、本発明におけるアンダーカバーの形状を示す断面図である。図示のように、クーリングモジュール100のクーリングファン120の後方には、車体前端部の下部に位置するようにアンダーカバー13が設けられ、このアンダーカバー13には、クーリングファン120から放出される空気を下方に通過させる複数の空気通過ホール14が形成される。
【0083】
前記アンダーカバー13の空気通過ホール14は、クーリングファン120を通過した空気を下方に案内および通過させてクーリングファンの後方での空気流動抵抗を最小化する役割を果たし、アンダーカバー13の抵抗作用が最小化できる。
【0084】
本発明の実施例において、前記複数の空気通過ホール14は、車両の前後方向に定められた間隔をおいて配置されるように形成され、この時、各空気通過ホール14が車両の左右方向に沿って長く延びたスリット(slit)形状に形成される。また、アンダーカバー13には、クーリングファン120から放出された空気を下方および後方に案内するベーン15が各空気通過ホール14の位置ごとに下方に突出した形状に形成され、この時、各ベーン15の後部面に前記空気通過ホール14が形成される。これにより、クーリングファン120から下方に放出された空気が空気通過ホール14およびベーン15によってアンダーカバー13を下方および後方に通過して空気流動抵抗が最小化できる。
【0085】
そして、本発明の実施例において、車体前端部のうち車両前面部になるフロントパネル2からラジエータグリル3の下側に、
図19に示すような能動型エアフラップ(active air flap)装置16が設けられる。
図19の(a)は、エアフラップ装置16が閉鎖された状態を、
図19の(b)は、車体前端部の開口部を通して空気が流入できるようにエアフラップ装置16が開放された状態を示す。エアフラップ装置16は、ラジエータグリルの下側の別の開口部(図示せず)を通して流入した空気の流れを選択的に遮断するように車体前端部に設けられる。
図12を参照すれば、エアフラップ装置16の設置位置が示されており、車体の下側に形成された開口部をエアフラップ装置16が車両の運転状態に応じて選択的に開閉する。
【0086】
前記エアフラップ装置16は、制御器(図示せず)によって駆動が制御されるアクチュエータ(図示せず)と、前記アクチュエータによって回転作動して空気通路16aを開閉するフラップ17とを含む。前記エアフラップ装置16は、ラジエータ110の下部前方に位置するように車体前端部に形成された開口部を車速に応じて開閉し、この時、制御器が、センサによって検出されるリアルタイム車速情報に基づいてアクチュエータの作動を制御することにより、フラップ17によって開口部が選択的に開閉されるようにする。
【0087】
ここで、開口部は、ラジエータグリル3とは別途に空気が流入できるように車体前端部に備えられる空気流入部であり、車体前端部においてラジエータグリルの下側に位置するように形成される。前記開口部は、車体前端部においてバンパの下端部やバンパの下側の車体部分に形成されてもよい。本発明の実施例において、制御器は、車速が設定車速以上の高速走行時である場合、エアフラップ装置16を閉鎖するための制御信号を出力し、車速が設定車速未満の低速走行時には、エアフラップ装置16を開放するための制御信号を出力する。
【0088】
そのため、高速走行時には、制御器によって車体前端部の開口部およびエアフラップ装置16の空気通路16aが閉鎖され、低速走行時には、制御器によって車体前端部の開口部およびエアフラップ装置16の空気通路16aが開放される。エアフラップ装置16が開放されると、車体前端部の開口部および空気通路が開放された状態になり、この時、車体前端部の開口部および空気通路を通しても空気が流入できるようになって、ラジエータ110の下部への空気流入量が増大できる。このようにして、本発明の実施例について詳しく説明し、上述した構成によって、車体前端部のラジエータグリルを通して流入した後、クーリングモジュールのラジエータとクーリングファンを通過する空気の流動が最適化できる。
【0089】
特に、ラジエータグリルを通して流入した後、ラジエータに向かう新気の流入量を最大化しながら車体前端部におけるラジエータを通過せずに迂回する空気の量を最小化することができ、ラジエータおよびクーリングファンを通過した後、前方に逆流してラジエータに再流入する空気の量を最小化することができる。そして、車体前端部での空気流動抵抗を最小化する。その他、従来の油圧式クーリングファンを駆動するための複雑な油圧部品の削除、ラジエータの冷却性能の改善、スタック出口温度の改善、ラジエータの冷却性能の増大による別の補助ラジエータの削除などがすべて可能になる。
【0090】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
2 グリル側構造物(またはフロントパネル)
3 ラジエータグリル
4 車体フレーム
5 固定ブラケット
6 クロスメンバ
7 インシュレータ
8 ファンマウンティングブラケット
9 ブラケット本体
9a 下面部
9b 側面部
10 サポータ
11 フレーム
11a 下面部
11b 側面部
12 ロッド型ブラケット
12a 第1ロッド
12b 第2ロッド
12c 第3ロッド
13 アンダーカバー
14 空気通過ホール
15 ベーン
16 エアフラップ装置
16a 空気通路
17 フラップ
100 クーリングモジュール
110 ラジエータ
111 PE部品ラジエータ
112 スタックラジエータ
113 サージタンク
114 クーリングモジュール側構造物(マウンティング部材)
120 クーリングファン
121 ブレード
122 ファンモータ
123 インバータ
125 ファンシュラウド
200 エアガイド
210 第1ガイド部材
220 第2ガイド部材
230 スペーサ
240 側面ガイド部材