(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069086
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】体脂肪蓄積抑制剤および体重抑制剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7024 20060101AFI20240514BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240514BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20240514BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K31/7024
A61P3/04
A61K36/61
A61P3/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179879
(22)【出願日】2022-11-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔発行日〕 令和4年5月27日 〔刊行物〕 Functional Foods in Health and Disease、第12巻、第5号、第242~263頁、Functional Food Institute(4659 Texas St.,Unit 15,San Diego,CA 92116,アメリカ合衆国)
(71)【出願人】
【識別番号】591016839
【氏名又は名称】長岡香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 浩之
(72)【発明者】
【氏名】中川 一弥
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZC33
4C088AB57
4C088BA12
4C088BA32
4C088NA14
4C088ZA70
4C088ZC33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】天然物由来で安全性が高く、安定して供給することができ、比較的少量で体脂肪蓄積抑制効果を発揮する体脂肪蓄積抑制剤を提供する。
【解決手段】本発明の体脂肪蓄積抑制剤は、1日当たりの有効量として、エノテインBを3.38mg以上含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日当たりの有効量として、下記式(I)で示されるエノテインBを3.38mg以上含有する、体脂肪蓄積抑制剤。
【化1】
式(I)中のGは、下記式(II)の構造を示す。
【化2】
【請求項2】
前記エノテインBを含むユーカリ属植物の抽出物を含有する、請求項1に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
【請求項3】
体脂肪が内臓脂肪である、請求項1または2に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
【請求項4】
体脂肪が肝臓脂肪である、請求項1または2に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
【請求項5】
1日当たりの単位包装形態である、請求項1または2に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
【請求項6】
1日当たりの有効量として、下記式(I)で示されるエノテインBを3.38mg以上含有する、体重抑制剤。
【化3】
式(I)中のGは、下記式(II)の構造を示す。
【化4】
【請求項7】
前記エノテインBを含むユーカリ属植物の抽出物を含有する、請求項6に記載の体重抑制剤。
【請求項8】
1日当たりの単位包装形態である、請求項6または7に記載の体重抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体脂肪蓄積抑制剤および体重抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
食文化の欧米化に伴うカロリーの過剰摂取、過食や偏食によるカロリーの過剰摂取によって、日常生活で消費されない余剰のエネルギーが、体内に脂肪として蓄積される。体内に蓄積される脂肪としては、胃や腸などの内臓周囲に蓄積される内臓脂肪、肝臓に蓄積される肝臓脂肪、および皮下組織に蓄積される皮下脂肪が挙げられる。このように体内に脂肪が蓄積された状態が肥満である。
【0003】
肥満は、脂質異常症、糖尿病、高血圧症、脂肪肝、血管疾患などの健康障害を引き起こす。このような健康障害のリスクを減らすためには、肥満を予防することが重要である。そのため、肥満を予防するための1つの方法として、体内に過剰な脂肪を蓄積させないことが考えられる。
【0004】
例えば、特許文献1には、サナギダケ菌糸体の穀物培養物を含有する内臓脂肪低減剤が記載されている。しかし、特許文献1に記載の内臓脂肪低減剤は、培地の準備、サナギタケの摂取、培養など、製造するために煩雑な工程が必要である。さらに、培養物は、培養条件などによって、有効成分の含有量にバラツキが生じることがあり、安定して内臓脂肪低減剤を供給することができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、天然物由来で安全性が高く、安定して供給することができ、比較的少量で体脂肪蓄積抑制効果を発揮する体脂肪蓄積抑制剤を提供することである。さらに、本発明の目的は、天然物由来で安全性が高く、安定して供給することができ、比較的少量で体重抑制効果を発揮する体重抑制剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)1日当たりの有効量として、下記式(I)で示されるエノテインBを3.38mg以上含有する、体脂肪蓄積抑制剤。
【化1】
式(I)中のGは、下記式(II)の構造を示す。
【化2】
(2)エノテインBを含むユーカリ属植物の抽出物を含有する、上記(1)に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
(3)体脂肪が内臓脂肪である、上記(1)に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
(4)体脂肪が肝臓脂肪である、上記(1)に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
(5)1日当たりの単位包装形態である、上記(1)または(2)に記載の体脂肪蓄積抑制剤。
(6)1日当たりの有効量として、下記式(I)で示されるエノテインBを3.38mg以上含有する、体重抑制剤。
【化3】
式(I)中のGは、下記式(II)の構造を示す。
【化4】
(7)エノテインBを含むユーカリ属植物の抽出物を含有する、上記(6)に記載の体重抑制剤。
(8)1日当たりの単位包装形態である、上記(6)または(7)に記載の体重抑制剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る体脂肪蓄積抑制剤は、天然物由来で安全性が高く、安定して供給することができ、比較的少量で体脂肪蓄積抑制効果が発揮される。さらに、本発明に係る体重抑制剤は、天然物由来で安全性が高く、安定して供給することができ、比較的少量で体重抑制効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1で行った試験結果を示すグラフであり、(A)は内臓脂肪面積(VFA)の変化量を示すグラフであり、(B)は体重の変化量を示すグラフであり、(C)はボディマス指数(BMI)の変化量を示すグラフである。
【
図2】実施例2で行った試験結果を示すグラフであり、(A)はVFAの変化量を示すグラフであり、(B)は肝臓脂肪レベル(CAP)の変化量を示すグラフである。
【
図3】実施例3で行ったVFAの変化量の試験結果を示すグラフである。
【
図4】比較例1で行った試験結果を示すグラフであり、(A)は体重の変化量を示すグラフであり、(B)VFAの変化量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の体脂肪蓄積抑制剤はエノテインBを含有する。以下、本開示の一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤について説明する。
【0011】
一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤に含まれるエノテインB(Oenothein B)は、オエノテインBとも称され、加水分解性タンニンに属する化合物であり、ポリフェノールの一種である。エノテインBは下記式(I)で示される。式(I)中のGは、下記式(II)の構造を示す。
【0012】
【0013】
【0014】
一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤に含まれるエノテインBは、天然物由来のものであってもよく、化学合成によって得られるものであってもよい。天然物由来のエノテインBは、例えば、加水分解性タンニンを含有する被子植物門双子葉植物綱(エングラー体系)の離弁花植物などに含まれる。
【0015】
加水分解性タンニンを含有する植物からエノテインBを得る方法は限定されず、例えば、抽出などが挙げられる。抽出工程において、加水分解性タンニンを含有する植物は、各種部位(全草、花、萼、種子、果実、葉、枝、樹皮、根皮、根茎、根など)をそのまま用いてもよく、乾燥させたものを用いてもよい。必要に応じて、裁断、粉砕または細紛してもよい。
【0016】
加水分解性タンニンを含有する植物としては、例えば、フトモモ科、バラ科、モクマオウ科、ブナ科、ツバキ科、アカバナ科、ミソハギ科、ヒシ科、ザクロ科、ノボタン科、シクンシ科、サガリバナ科などに属する植物が挙げられる。これら植物には、加水分解性タンニンが多く含まれる。そのため、これらの植物を原料にすると効率よく加水分解性タンニンを得ることができる。これらの中でも、フトモモ科に属する植物が好ましい。さらに、フトモモ科の中でも、ユーカリ属やフトモモ属、ピメンタ属、メラレウカ属植物は食品や香辛料、香料などに用いられる植物が多い。したがって、これらに属する植物を原料とすると、食経験や安全性の観点から好ましい。特に、エノテインBを多く含んでいる点でユーカリが好ましい。
【0017】
抽出方法は限定されず、例えば、常温ホモジナイズ抽出、還流抽出、超臨界流体抽出などが挙げられる。溶媒を用いた抽出は、加水分解性タンニンが溶出される条件で抽出する。例えば、使用する溶媒に合わせて常圧から加圧下で常温から溶媒の沸点までの温度条件下で、10分から1週間程度行えばよい。常温常圧下など比較的穏やかな抽出条件の場合、比較的長い時間(例えば、1週間程度)、加水分解性タンニンを含有する植物を抽出溶媒に浸漬しているのがよい。一方、高温条件下や加圧下など比較的過酷な抽出条件の場合は、抽出作業を比較的短い時間(例えば、10分以上3時間以下)で終わらせるのがよい。
【0018】
抽出に使用する溶媒としては、植物種や処理工程にあわせて通常用いられる溶媒が挙げられる。このような溶媒としては、具体的には、水;アルコール類(例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール);アセトンなどの比較的高い極性を有するケトン類;酢酸エチルなどのエステル類などの有機溶媒が挙げられる。抽出溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤が体内に摂取されるものであることを考慮すると、これらの中でも、水、エタノール、含水エタノールが好ましい。
【0019】
抽出後の利用形態はとくに限定されず、エノテインBを含む抽出物をそのまま使用してもよく、濃縮後乾燥やスプレードライなどの加工をしてもよい。必要に応じて精製してもよい。精製する場合、エノテインBを単離するのは煩雑な工程を経る必用があり、コスト面でも不利となる。そのため、エノテインBを単離するような精製ではなく、比較的除去しやすい抽出成分のみを除去し、抽出物に含まれるエノテインBの濃度を高めるような精製であってもよい。このような精製は、例えば、ダイヤイオンHP20(三菱ケミカル(株)製)などの吸着樹脂を用いて行うことができる。抽出成分中にエノテインBが、例えば、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上の割合で含まれる抽出物を使用してもよい。エノテインBの濃度を高めた抽出物は、未精製の抽出物よりも使用量を少なくすることができる。
【0020】
一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤において、体脂肪蓄積抑制効果を発揮させるためには、1日当たりの有効量として、エノテインBを3.38mg以上含有している必要がある。抽出物を使用する場合は、1日当たりの有効量として、エノテインBが3.38mg以上含有されるように使用すればよい。エノテインBの1日当たりの摂取量が3.38mg未満の場合、体脂肪の蓄積を抑制する効果が、十分に発揮されない。一方、エノテインBの1日当たりの摂取量は、8.12mg以下であってもよい。8.12mgを超えて摂取しても安全性などに問題はないものの、例えば飲食品に配合して摂取する場合、飲食品によっては風味に影響を及ぼす場合がある。
【0021】
一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤は、体脂肪の中でも、内臓脂肪および肝臓脂肪の蓄積を効率よく抑制する。内臓脂肪は、主に腸や胃などの臓器の周囲に蓄積される脂肪である。肝臓脂肪は、肝臓(肝細胞)に蓄積される脂肪である。内臓脂肪および肝臓脂肪が蓄積されると、脂質異常症、糖尿病、高血圧症、脂肪肝、血管疾患などの健康障害を引き起こす。特に肝臓脂肪は、重症化すると非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症させ、肝硬変から肝臓癌へと進行することが知られている。
【0022】
一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤の形態としては限定されず、1日当たりの有効量として、エノテインBを3.38mg以上摂取することができる形態であればよい。この混合物は、固体、半固体(例えば、ペースト状など)、液体などの形態である。
【0023】
薬学的に許容される担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、界面活性剤などが挙げられる。具体的には、固形担体(例えば、デンプン、デキストリン、糖類、乳糖、マンニット、加工デンプン、ゼラチン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カゼイン、有機酸、無機塩など)、液状担体(例えば、蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなど)、油性担体(例えば、各種の動植物油、白色ワセリン、パラフィン、ロウなど)などが挙げられる。
【0024】
一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤、乳濁液、懸濁剤、シロップ剤などの経口投与剤が挙げられる。このような経口投与剤以外に、総菜、レトルト食品、缶詰、パン類、菓子類(クッキー、チョコレート、飴、グミ、せんべいなど)、乳製品(ヨーグルト、乳系飲料など)、飲料(茶系飲料、清涼飲料水など)、つゆ、スープなど各種加工飲食物に、エノテインBを1日当たり3.38mg以上摂取できるように配合することが考えられる。一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤は、例えば、1日当たりの単位包装形態であってもよい。一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤が1日当たりの単位包装形態であると、1日に1包を摂取するだけで、1日当たりのエノテインBの有効量を容易に摂取することができる。
【0025】
1日当たりの有効量として、エノテインBを3.38mg以上含有する一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤は、体脂肪蓄積抑制効果を発揮する。具体的には、一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤を4週間以上、継続して摂取することによって、摂取しない場合と比較して、体脂肪、特に内臓脂肪および肝臓脂肪の蓄積を有意に抑制することができる。
【0026】
このように、一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤は、内臓脂肪や肝臓脂肪などの体脂肪の蓄積を抑制する効果を発揮する。その結果、体重を抑制する効果も発揮される。したがって、一実施形態に係る体脂肪蓄積抑制剤は、体重抑制剤としても機能する。
【実施例0027】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
<調製例1>
エノテインBを次の手順で調製した。ユーカリ葉を含水エタノールにて抽出し、ろ過および濃縮後賦形剤としてデキストリンを加え、スプレードライによりエノテインBを主成分とする粉末状抽出物を得た。
【0029】
<試験食品1>
ゼラチンを被包材としカラメル色素にて褐色に着色されたカプセルを用いて、調製例1で得られた粉末状抽出物、ゼラチン、セルロース、デキストリン、デンプン、ステアリン酸カルシウム、カラメル色素、植物レシチンおよびタルクから構成される被験食品1を調製した。
【0030】
<プラセボ食品1>
調製例1で得られた粉末状抽出物を使用しなかった以外は、被験食品1と同様の手順でプラセボ食品1を調製した。
【0031】
試験食品1およびプラセボ食品1について、高速液体クロマトグラフィーを用いて成分を分析した結果、1日分(3粒)の試験食品1に含まれるエノテインBは、3.38mgであった。一方、1日分(3粒)のプラセボ食品1に含まれるエノテインBは、0mgであった。試験食品1およびプラセボ食品1は、外見および風味において見分けがつかなかった。
【0032】
(実施例1)
20歳以上65歳未満かつBMIが23kg/m2以上30kg/m2未満の健常な男女を被験者として、無作為化プラセボ対照二重盲検並行試験を実施した。試験食品発送者から割付責任者に識別番号が割り当てられた。割付責任者は、コンピュータを用いて乱数を発生させ、定義された変数を因子とする完全無作為化設計により割付表を作成した。
【0033】
被験者は、VFA、BMI、年齢、性別などを考慮した層別無作為割付けに基づいて試験食群とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。割付表は、試験食品発送者にのみ開示された。割付表はキーオープンの日まで、割付責任者により施錠された。試験関係者は、各群の割付を知らされず、割付作業に関与しなかった。
【0034】
被験者は、12週間、毎日午後2時以降の間食または夕食の直前に、水またはぬるま湯と一緒に試験食品1またはプラセボ食品1を1日分(3粒)摂取した。カプセルの摂取率が80%以上をデータ解析対象者とした。身長は1回目の検査時のみ測定した。1回目の検査をベースラインとし、体重、CT(Computed Tomography)検査による臍部横断面の断層撮影を4週間ごとに測定した。統計学的な有意水準は両側検定で5%とした。
【0035】
データの表記は、被験者背景は平均値±標準偏差で表し、評価項目は平均値±標準誤差で表した。各時点のデータとベースラインからの変化を、ベースライン値を共変量とし、時間、群および時間と群との交互作用、ベースライン値と時間との交互作用、ならびに試験参加者を各時点の因子とした線形混合モデルで時間ごとに群間比較した。
【0036】
被験者198名のうち189名が、データ解析対象者として認められた。試験食品群(94名)は、男性45名および女性49名で、平均年齢は46.5±10.7歳であり、身長は164.4±8.5cm、体重は69.6±8.9(kg)、VFAは99.6±38.9(cm2)であった。一方、プラセボ食品群(95名)は男性45名および女性50名で、平均年齢は48±10歳、身長は164.6±8.9cm、体重は69.6±9.2(kg)、VFAは99.3±36.5(cm2)であった。
【0037】
群間比較の結果、試験食品群はプラセボ食品群に比べて、8週間後および12週間後のVFAが有意に低く(
図1A)、12週間後の体重(
図1B)およびBMI(
図1C)が有意に低かった。以上より、試験食摂取によるVFA、体重、BMIの抑制作用が認められた。試験食品に起因する有害事象は確認されなかった。
【0038】
(実施例2)
20歳以上60歳未満かつBMIが23kg/m2以上30kg/m2未満の健常な男性を被験者として、無作為化プラセボ対照二重盲検並行試験を実施した。試験食品発送者から割付責任者に識別番号が割り当てられた。割付責任者は、コンピュータを用いて乱数を発生させ、定義された変数を因子とする完全無作為化設計により割付表を作成した。
【0039】
被験者は、VFA、肝臓脂肪レベル(CAP)、BMI、年齢などを考慮した層別無作為割付けに基づいて試験食群とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。割付表は、試験食品発送者にのみ開示された。割付表はキーオープンの日まで、割付責任者により施錠された。試験関係者は、各群の割付を知らされず、割付作業に関与しなかった。
【0040】
被験者は、12週間、毎日午後3時以降の間食または夕食時に、18gのショ糖を含む飲料とともに試験食品1またはプラセボ食品1を1日分(3粒)摂取した。カプセルの摂取率が85%以上をデータ解析対象者とした。身長は1回目の検査時のみ測定した。1回目の検査をベースラインとし、オムロン社デュアルスキャンHDS-2000を用いたデュアルインピーダンス法による臍部のVFA及びインテグラル社フィブロスキャン530コンパクトを用いた超音波エラストグラフィ法によるCAP(Controlled Attenuation Parameter)を6週間ごとに測定した。統計学的な有意水準は両側検定で5%とした。
【0041】
データの表記は、被験者背景は平均値±標準偏差で、評価項目は平均値±標準誤差で表し、ダネットの多重検定により群内比較をおこなった。被験者40名のうち38名が、データ解析対象者として認められた。試験食品群(18名)の平均年齢は47±10歳であり、身長は172.5±4.1cm、VFAは95.1±17.0(cm2)、CAPは292±48(dB/m)であった。一方、プラセボ食品群(20名)の平均年齢は46±9歳であり、平均身長は170.9±6.0cm、VFAは94.6±14.1(cm2)、CAPは276±46(dB/m)であった。
【0042】
各群を群内比較したところ、プラセボ食品群では12週間後のVFA(p<0.01)およびCAP(p<0.05)は有意な上昇を示したのに対し、試験食群では有意な変化は認められず、試験食摂取によるVFAおよびCAPの上昇抑制作用が認められた(
図2)。試験食品に起因する有害事象は確認されなかった。
【0043】
<試験食品2>
1日分(6粒)に含まれるエノテインBが8.12mgとなるように、調製例1で得られた粉末状抽出物を使用した以外は、試験食品1と同様の手順で試験食品2を調製した。エノテインBの含有量は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
【0044】
<プラセボ食品2>
調製例1で得られた粉末状抽出物を使用しなかった以外は、試験食品2と同様の手順でプラセボ食品2を調製した。高速液体クロマトグラフィーを用いて成分を分析した結果、1日分(6粒)のプラセボ食品1に含まれるエノテインBは、0mgであった。試験食品2およびプラセボ食品2は、外見および風味において見分けがつかなかった。
【0045】
(実施例3)
20歳以上の健常な男性を被験者として、無作為化プラセボ対照二重盲検交差試験を実施した。試験食品発送者から割付責任者に識別番号が割り当てられた。割付責任者は、コンピュータを用いて乱数を発生させ、定義された変数を因子とする完全無作為化設計により割付表を作成した。
【0046】
被験者は、VFA、BMI、年齢などを考慮した層別無作為割付けに基づいて試験食群とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。割付表は、試験食品発送者にのみ開示された。割付表はキーオープンの日まで、割付責任者により施錠された。試験関係者は、各群の割付を知らされず、割付作業に関与しなかった。
【0047】
被験者は、4週間、毎日午後3時および午後9時に、水またはぬるま湯と一緒に試験食品2またはプラセボ食品2を、3粒ずつ合計6粒(1日分)摂取した。3粒摂取した直後に、ショ糖換算で20gの糖類を含有する食品または飲料を摂取した(ショ糖換算で1日当たり計40g)。カプセルの摂取率が85%以上をデータ解析対象者とした。身長は摂取開始前検査時のみ測定した。摂取開始前および摂取終了後にデュアルスキャン法による臍部の内臓脂肪面積を測定した。4週間の休養期間を設け、被験者が摂取する試験食品2およびプラセボ食品2を入れ替えて、再度4週間の摂取試験を実施した。統計学的な有意水準は両側検定で5%とした。
【0048】
データの表記は、被験者背景は平均値±標準偏差で、評価項目は平均値±標準誤差で表し、スチューデントのt検定により群間比較および群内比較をおこなった。被験者6名の全員が解析対象者となった。平均年齢47±12歳であり、身長170.7±6.7cmであった。試験食品摂取開始時のVFAは88.5±11.1(cm2)、プラセボ食品摂取開始時のVFAは78.2±10.8(cm2)であった。
【0049】
群間比較の結果、試験食品群はプラセボ食品群に比べて4週間後のVFAが有意に低かった(
図3)。群内比較においては、プラセボ食品群はVFAが有意に増加したのに対して(p<0.005)、試験食品群では有意な減少が認められ(p<0.05)、試験食摂取によるVFAの抑制作用が認められたまた、試験食品に起因する有害事象は確認されなかった。
【0050】
<試験食品3>
1日分(6粒)に含まれるエノテインBが1.12mgとなるように、調製例1で得られた粉末状抽出物を使用した以外は、試験食品1と同様の手順で試験食品3を調製した。エノテインBの含有量は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
【0051】
<プラセボ食品3>
調製例1で得られた粉末状抽出物を使用しなかった以外は、試験食品3と同様の手順でプラセボ食品3を調製した。高速液体クロマトグラフィーを用いて成分を分析した結果、1日分(6粒)のプラセボ食品1に含まれるエノテインBは、0mgであった。試験食品3およびプラセボ食品3は、外見および風味において見分けがつかなかった。
【0052】
(比較例1)
20歳以上かつBMIが23kg/m2以上30kg/m2未満の健常な男女を被験者として、無作為化プラセボ対照二重盲検並行試験を実施した。試験食品発送者から割付責任者に識別番号が割り当てられた。割付責任者は、コンピュータを用いて乱数を発生させ、定義された変数を因子とする完全無作為化設計により割付表を作成した。
【0053】
被験者は、VFA、BMI、年齢、性別などを考慮した層別無作為割付けに基づいて試験食群とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。割付表は、試験食品発送者にのみ開示された。割付表はキーオープンの日まで、割付責任者により施錠された。試験関係者は、各群の割付を知らされず、割付作業に関与しなかった。
【0054】
被験者は、12週間、毎日午後2時以降の間食または夕食の直前に、水またはぬるま湯と一緒に試験食品1またはプラセボ食品1を1日分(6粒)摂取した。カプセルの摂取率が80%以上をデータ解析対象者とした。身長は1回目の検査時のみ測定した。1回目の検査をベースラインとし、デュアルスキャン法による臍部の内臓脂肪面積を6週間ごとに測定した。統計学的な有意水準は両側検定で5%とした。
【0055】
データの表記は、被験者背景は平均値±標準偏差で、評価項目は平均値±標準誤差で表し、スチューデントのt検定により群間比較を、ダネットの多重検定により群内比較をおこなった。群内比較をおこなった。被験者20名の全員が解析対象者となった。試験食品群(10名)は、男性4名および女性6名で、平均年齢は51.5±9.5歳であり、身長は162.4±9.9cm、体重は69.2±9.1(kg)、VFAは78.4±22.5(cm2)であった。一方、プラセボ食品群(10名)は男性4名および女性6名で、平均年齢は51.1±7.8歳、身長は161.3±5.8cm、体重は68.3±6.1(kg)、VFAは75.2±21.4(cm2)であった。
【0056】
群間比較および群内比較いずれにおいても、体重およびVFAに有意な変化は観察されず、試験食摂取による効果は認められなかった(
図4)。試験食品に起因する有害事象は確認されなかった。