(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069095
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20240514BHJP
G05G 1/00 20080401ALI20240514BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20240514BHJP
G05G 5/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B60K20/02 A
G05G1/00 A
G05G25/00 C
G05G5/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179891
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一博
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰典
【テーマコード(参考)】
3D040
3J070
【Fターム(参考)】
3D040AA02
3D040AA03
3D040AB01
3D040AC01
3D040AC17
3D040AC36
3D040AC57
3D040AC65
3D040AD04
3D040AF07
3J070AA03
3J070BA09
3J070BA51
3J070BA81
3J070CB02
3J070CB37
3J070CC71
3J070CD11
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】付勢体を固定位置と仮位置とに配置する。
【解決手段】シフト装置10では、レバーの付勢ピンが付勢力により付勢体32の付勢面に接触されて、レバーがH位置側に付勢されている。ここで、付勢体32の規制突起32Aの下側への移動が下カバー12Cの規制爪14Bによって規制されて、付勢体32が固定位置に固定されており、付勢体32の案内突起32Cの下側への移動が下カバー12Cの案内枠14Aの下部によって規制されて、付勢体32が仮位置に配置可能にされる。このため、付勢体32を固定位置と仮位置とに配置できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体に設けられる付勢部材と、
前記付勢部材と付勢力により接触されて前記シフト体がシフト位置側に付勢される付勢体と、
前記付勢体が固定位置に固定され、前記付勢体が仮位置に配置可能にされる固定体と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記付勢体が固定位置に配置される場合と前記付勢体が仮位置に配置される場合とで前記シフト体と前記付勢体との当接部分が変更される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記付勢体が固定位置に配置される場合に前記シフト体が前記付勢体と当接されて前記シフト体の移動力が弾性力により吸収されると共に、前記付勢体が仮位置に配置される場合に前記シフト体が前記付勢体と当接されて前記シフト体の移動が規制される請求項1記載のシフト装置。
【請求項4】
前記付勢体が固定位置に配置される場合と前記付勢体が仮位置に配置される場合とで前記シフト体が前記付勢体と当接される際における前記シフト体の移動位置が同一にされる請求項1記載のシフト装置。
【請求項5】
前記付勢体の固定位置と仮位置との間における移動を案内する案内部を備える請求項1記載のシフト装置。
【請求項6】
前記付勢体の固定位置からの移動を規制し、前記付勢体の仮位置から固定位置への移動を弾性変形されて許容する規制部を備える請求項1記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体がシフト位置側に付勢されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフト装置では、操作要素の係止要素と装置の係止輪郭とが弾性力により接触されて、操作要素が中心位置側に付勢される。
【0003】
ここで、このシフト装置では、装置が固定部分において支持装置に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、付勢体を固定位置と仮位置とに配置できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記シフト体に設けられる付勢部材と、前記付勢部材と付勢力により接触されて前記シフト体がシフト位置側に付勢される付勢体と、前記付勢体が固定位置に固定され、前記付勢体が仮位置に配置可能にされる固定体と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記付勢体が固定位置に配置される場合と前記付勢体が仮位置に配置される場合とで前記シフト体と前記付勢体との当接部分が変更される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記付勢体が固定位置に配置される場合に前記シフト体が前記付勢体と当接されて前記シフト体の移動力が弾性力により吸収されると共に、前記付勢体が仮位置に配置される場合に前記シフト体が前記付勢体と当接されて前記シフト体の移動が規制される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記付勢体が固定位置に配置される場合と前記付勢体が仮位置に配置される場合とで前記シフト体が前記付勢体と当接される際における前記シフト体の移動位置が同一にされる。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記付勢体の固定位置と仮位置との間における移動を案内する案内部を備える。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのシフト装置において、前記付勢体の固定位置からの移動を規制し、前記付勢体の仮位置から固定位置への移動を弾性変形されて許容する規制部を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、シフト位置が変更される。また、シフト体の付勢部材と付勢体とが付勢力により接触されて、シフト体がシフト位置側に付勢される。
【0013】
ここで、付勢体が固定体に対し固定位置に固定されており、付勢体が固定体に対し仮位置に配置可能にされる。このため、付勢体を固定位置と仮位置とに配置できる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、付勢体が固定位置に配置される場合と付勢体が仮位置に配置される場合とで、シフト体と付勢体との当接部分が変更される。このため、付勢体が固定位置に配置される場合と付勢体が仮位置に配置される場合とで、シフト体の付勢体との当接態様を変更できる。
【0015】
本発明の第3態様のシフト装置では、付勢体が固定位置に配置される場合に、シフト体が付勢体と当接されて、シフト体の移動力が弾性力により吸収される。また、付勢体が仮位置に配置される場合に、シフト体が付勢体と当接されて、シフト体の移動が規制される。このため、付勢体が固定位置に配置される場合と付勢体が仮位置に配置される場合とで、シフト体の付勢体との当接態様を変更できる。
【0016】
本発明の第4態様のシフト装置では、付勢体が固定位置に配置される場合と付勢体が仮位置に配置される場合とで、シフト体が付勢体と当接される際におけるシフト体の移動位置が同一にされる。このため、付勢体が固定位置に配置される場合と付勢体が仮位置に配置される場合とで、シフト体の付勢体と当接される移動位置が変更されることを制限できる。
【0017】
本発明の第5態様のシフト装置では、付勢体の固定位置と仮位置との間における移動を案内部が案内する。このため、付勢体が固定位置と仮位置との間を容易に移動できる。
【0018】
本発明の第6態様のシフト装置では、付勢体の固定位置からの移動を規制部が規制する。このため、付勢体を固定位置に固定できる。また、付勢体の仮位置から固定位置への移動を規制部が弾性変形されて許容する。このため、付勢体を仮位置から固定位置に容易に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す上斜め後側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るシフト装置の内側を示す上斜め左側から見た斜視図である。
【
図3】(A)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置の下カバーを示す上斜め後側から見た斜視図であり、(B)は、当該シフト装置の付勢体を示す上斜め右側から見た斜視図である。
【
図4】(A)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置における付勢体等を示す下斜め前側から見た斜視図であり、(B)は、当該シフト装置における付勢体の固定状況を示す上斜め左側から見た斜視図である。
【
図5】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置のレバー等を示す上斜め右側から見た斜視図であり、(A)は、レバーがH位置に配置される際を示し、(B)は、レバーがR位置に配置される際を示している。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るシフト装置における付勢体の仮位置を示す下斜め右側から見た斜視図である。
【
図7】(A)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置における付勢体の仮位置を示す下斜め右側から見た斜視図であり、(B)は、当該シフト装置における付勢体の仮位置への配置状況を示す下斜め前側から見た斜視図である。
【
図8】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置におけるレバー等を示す上斜め右側から見た斜視図であり、(A)は、付勢体の仮位置においてレバーがH位置に配置される際を示し、(B)は、付勢体の仮位置においてレバーがR位置に配置される際を示している。
【
図9】(A)~(C)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置における付勢体の仮位置状態を示す上斜め左側から見た斜視図であり、(A)は、レバーがH位置に配置される際を示し、(B)は、レバーがD位置に配置される際を示し、(C)は、レバーがR位置に配置される際を示している。
【
図10】(A)は、本発明の第2実施形態に係るシフト装置のレバーを示す上斜め右側から見た斜視図であり、(B)は、当該シフト装置の付勢体を示す上斜め右側から見た斜視図である。
【
図11】(A)は、本発明の第2実施形態に係るシフト装置における付勢体の仮位置を示す下斜め右側から見た斜視図であり、(B)は、当該シフト装置における付勢体の固定位置を示す下斜め前側から見た斜視図である。
【
図12】(A)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置の下カバーを示す下斜め後側から見た斜視図であり、(B)は、当該シフト装置のレバーを示す上斜め右側から見た斜視図である。
【
図13】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置の付勢体を示す図であり、(A)は、上斜め右側から見た斜視図であり、(B)は、下斜め後側から見た斜視図である。
【
図14】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置の付勢体の挿入位置を示す図であり、(A)は、下側から見た下面図であり、(B)は、上斜め右側から見た斜視図である。
【
図15】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置の付勢体の仮位置を示す図であり、(A)は、下側から見た下面図であり、(B)は、上斜め右側から見た斜視図である。
【
図16】(A)及び(B)は、本発明の第3実施形態に係るシフト装置の付勢体の固定位置を示す図であり、(A)は、下側から見た下面図であり、(B)は、上斜め右側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10が上斜め後側から見た斜視図にて示されており、
図2には、シフト装置10の内側が上斜め左側から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の右方を矢印RHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0021】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のコンソール(図示省略)に設置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前方、右方及び上方に向けられている。
【0022】
図1及び
図2に示す如く、シフト装置10には、固定体としての略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12は、コンソール内に固定されている。プレート12の上下方向中間部には、略矩形筒状のプレート本体12Aが設けられており、プレート12の上端部には、略矩形板状の上カバー12Bが設けられている。上カバー12Bは、プレート本体12Aに上側から固定されて、プレート本体12Aの上側を被覆しており、上カバー12Bは、コンソールの上側に露出されて、車両の車室内に露出されている。
【0023】
プレート12の下端部には、固定部材としての略矩形板状の下カバー12C(
図3(A)参照)が設けられており、下カバー12Cは、プレート本体12Aに下側から固定されて、プレート本体12Aの下側を被覆している。
【0024】
下カバー12Cの左右方向中間部には、案内部としての樹脂製で略矩形筒状の案内筒14が形成されており、案内筒14内は、上側及び下側に開放されている。案内筒14の各角部には、案内部としての略矩形枠状の案内枠14Aが一体に設けられており、案内枠14Aは、前後方向に垂直に配置されて、案内筒14の内側に突出されると共に、下方に延出されている。案内枠14Aの上側には、規制部としての略矩形板状の規制爪14Bが一体に設けられており、規制爪14Bは、案内筒14内において上方に延出されて、前面及び後面がそれぞれ案内枠14Aの前面及び後面と面一にされている。規制爪14Bの上端部は、上方へ向かうに従い案内筒14の前後方向内側へ向かう方向に徐々に拡大されており、規制爪14Bの上面は、上下方向に垂直に配置されている。
【0025】
プレート12内には、シフト体としての略柱状のレバー16が設けられており、レバー16は、上下方向に長尺にされている。レバー16の上部以外の部分は、レバー本体16Aにされると共に、レバー16の上部は、ノブ16Bにされており、レバー本体16Aとノブ16Bとは、一体にされている。レバー16の上下方向中間部には、被支持部としての略円柱状の中心軸16Cが貫通かつ固定されており、中心軸16Cは、プレート12内(プレート本体12A内)に回転可能に支持されている。中心軸16Cの軸方向は、左右方向にされており、レバー16は、中心軸16Cを中心として、前後方向に回動(移動)可能にされている。
【0026】
レバー16のノブ16Bは、プレート12の上カバー12Bに回動可能に貫通されており、レバー16は、ノブ16Bにおいて、車両の乗員(特に運転者)によって回動操作可能にされている。レバー16は、シフト位置としてのH位置(ホーム位置)に配置されており(
図9(A)参照)、レバー16がH位置から前側に操作されて、レバー16がシフト位置(所定シフト位置)としてのR位置(リバース位置)に配置される(
図9(C)参照)と共に、レバー16がH位置から後側に操作されて、レバー16がシフト位置(所定シフト位置)としてのD位置(ドライブ位置)に配置される(
図9(B)参照)。
【0027】
レバー16の下部には、略有底円筒状の付勢筒18(
図5(A)参照)が一体に設けられており、付勢筒18は、右側に突出されると共に、内部が下方に開放されている。付勢筒18の外周には、当接部としての外形矩形枠状の当接枠20が一体に設けられており、当接枠20は、剛性を有すると共に、前面及び後面が前後方向に垂直に配置されている。
【0028】
レバー16の下側には、検出機構22(
図9の(A)~(C)参照)が設けられている。
【0029】
レバー16の下端部には、被検出部としての直方体状のマグネット24が固定されており、マグネット24は、レバー16と一体回動される。
【0030】
レバー16の下側には、略矩形板状の回路基板26が設けられており、回路基板26は、プレート12の下カバー12Cの上側において、プレート12内に固定されている。回路基板26には、検出部としてのセンサ26Aが設けられており、センサ26Aは、マグネット24の下側に配置されている。センサ26Aは、マグネット24が発生する磁界の方向を検出して、マグネット24の回動位置を検出する。これにより、レバー16の回動位置が検出されて、レバー16のシフト位置が検出される。回路基板26(センサ26A)は、車両の制御装置28に電気的に接続されており、制御装置28には、車両の変速機30(自動変速機)が電気的に接続されている。
【0031】
プレート12の下カバー12Cには、側面視略U字状の付勢体32(
図3(B)、
図8の(A)及び(B)参照)が組付けられており、付勢体32は、下カバー12Cの案内筒14内に下側から挿入されて、回路基板26を貫通する状態で、下部が案内筒14内に嵌合されている。
【0032】
付勢体32の下部の前面及び後面には、左部及び右部の上端部において、被規制部としての略矩形柱状の規制突起32Aが一体に設けられており、規制突起32Aは、付勢体32の前後方向外側に突出されている。規制突起32Aは、左右方向に延在されており、規制突起32Aの下面は、上下方向に垂直に配置されている。付勢体32が下カバー12Cの案内筒14内に下側から挿入される際には、規制突起32Aが案内筒14内における規制爪14Bの上端部に当接されて、規制爪14Bが案内筒14の前後方向外側に弾性変形された後に、規制突起32Aが規制爪14Bを上側に通過されて、規制爪14Bが案内筒14の前後方向内側に弾性復元される。このため、規制突起32Aが規制爪14Bの上側に載置されて、規制突起32Aの下側への移動が規制爪14Bによって規制されることで、付勢体32の下側への移動が規制されて、付勢体32が固定位置(組付位置、正規位置)に固定されている。
【0033】
付勢体32の下面の各角部には、断面L字形板状の下片32Bが一体に設けられており、下片32Bは、下方に突出されると共に、付勢体32の角部に沿って配置されている。下片32Bには、被案内部としての三角柱状の案内突起32Cが一体に設けられており、案内突起32Cは、付勢体32の前後方向外側に突出されている。案内突起32Cの下面は、上下方向に垂直に配置されており、案内突起32Cの上面は、下方へ向かうに従い付勢体32の前後方向外側へ向かう方向に傾斜されている。付勢体32が下カバー12Cの案内筒14内に下側から挿入される際には、案内突起32Cの上面が案内筒14における案内枠14Aの下部に当接されて、案内枠14Aが案内筒14の前後方向外側に弾性変形された後に、案内突起32Cが案内枠14Aの下部を上側に通過されて、案内枠14Aが案内筒14の前後方向内側に弾性復元される。このため、案内突起32Cが、案内枠14A内に挿入されて、案内枠14A内に沿って上側に移動されることで、案内突起32Cが案内枠14Aの下部から上側に離間されている。また、付勢体32が固定位置に固定される前に、案内突起32Cが案内枠14A下部の上側に載置されて、案内突起32Cの下側への移動が案内枠14Aの下部によって規制されることで、付勢体32の下側への移動が規制されて、付勢体32が仮位置に配置(保持)される(
図6、
図7の(A)及び(B)参照)。
【0034】
付勢体32の前部及び後部には、上部の左部及び右部において、停止部としての三角形柱状の停止突起32Dが一体に設けられており、停止突起32Dは、弾性を有している。停止突起32Dは、付勢体32の前後方向内側に突出されており、停止突起32Dの内側面(付勢体32前後方向内側の面)は、上方へ向かうに従い付勢体32の前後方向内側へ向かう方向に傾斜されている。レバー16が前側に操作される際には、レバー16の当接枠20が後側に回動されて、当接枠20の後面が後側の停止突起32Dの内側面に当接されることで、後側の停止突起32Dが弾性収縮されつつ、レバー16がR位置に停止される(
図5(B)参照)。レバー16が後側に操作される際には、レバー16の当接枠20が前側に回動されて、当接枠20の前面が前側の停止突起32Dの内側面に当接されることで、前側の停止突起32Dが弾性収縮されつつ、レバー16がD位置に停止される。
【0035】
付勢体32の前部及び後部には、各停止突起32Dの上側において、被当接部としての三角形柱状の当接突起32Eが一体に設けられており、当接突起32Eは、剛性を有している。当接突起32Eは、付勢体32の前後方向内側に突出されており、当接突起32Eの内側面(付勢体32前後方向内側の面)は、上方へ向かうに従い付勢体32の前後方向内側へ向かう方向に傾斜されている。
【0036】
付勢体32が仮位置に配置される際には、当接突起32Eの内側面の位置が、付勢体32が固定位置に固定される際における停止突起32Dの内側面の位置と、前後方向、上下方向及び左右方向において同一にされる。レバー16が前側に操作される際には、レバー16の当接枠20が後側に回動されて、当接枠20の後面が後側の当接突起32Eの内側面に当接されることで、後側の当接突起32Eが弾性収縮されずに、レバー16がR位置に停止される(
図8(B)及び
図9(C)参照)。レバー16が後側に操作される際には、レバー16の当接枠20が前側に回動されて、当接枠20の前面が前側の当接突起32Eの内側面に当接されることで、前側の当接突起32Eが弾性収縮されずに、レバー16がD位置に停止される(
図9(B)参照)。また、レバー16が前側及び後側に操作されて当接枠20が当接突起32Eに当接される際におけるレバー16の回動位置は、それぞれ付勢体32が固定位置に配置される場合にレバー16が前側及び後側に操作されて当接枠20が付勢体32の停止突起32Dに当接される際におけるレバー16の回動位置と同一にされる。
【0037】
レバー16と付勢体32との間には、付勢機構34(節度機構、
図3(B)及び
図5(A)参照)が設けられている。
【0038】
付勢体32の下部の上側には、被付勢部としての付勢面36(節度面)が形成されており、付勢面36は、下側に凹状にされて、前後方向中央部から前後方向両端部へ向かうに従い上方へ向かう方向に傾斜されている。
【0039】
レバー16の付勢筒18内には、付勢部材としての略円柱状の付勢ピン38(節度ピン、
図10(A)参照)が嵌入されており、付勢ピン38は、付勢筒18に沿って上下方向に移動可能にされると共に、下面が球面状に突出されている。付勢筒18の底壁(上壁)と付勢ピン38の上面との間には、付勢部としてのスプリング(圧縮コイルスプリング、図示省略)が掛渡されており、スプリングは、付勢ピン38を下側に付勢している。付勢ピン38の下面は、スプリングの付勢力により付勢体32の付勢面36の前後方向中央部に接触されており、これにより、レバー16がH位置に配置されている。レバー16がH位置から前側及び後側に操作される際には、スプリングの付勢力に抗して付勢ピン38の下面が付勢面36の前後方向中央部から前後方向端部側に移動される。レバー16がH位置から操作された状態で、レバー16への操作力の作用が解除された際には、スプリングの付勢力により付勢ピン38の下面が付勢面36の前後方向端部側から前後方向中央部に移動されて、レバー16がH位置に回動(復帰)される。
【0040】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0041】
以上の構成のシフト装置10では、レバー16がH位置から前側及び後側に操作されて、それぞれレバー16がR位置及びD位置に配置される。
【0042】
レバー16が前側及び後側に操作される際には、それぞれ、レバー16の当接枠20が付勢体32の停止突起32Dに当接されることで、停止突起32Dが弾性収縮されつつ、レバー16がR位置及びD位置に停止される。このため、レバー16がR位置及びD位置に停止された際には、レバー16の回動力が停止突起32Dの弾性収縮により吸収されて、レバー16の停止音(操作音)の発生が抑制される。
【0043】
検出機構22では、回路基板26のセンサ26Aがレバー16(マグネット24)の回動位置を検出して、レバー16のシフト位置が検出される。これにより、レバー16がR位置及びD位置に配置されたことが検出された際には、それぞれ、制御装置28の制御により変速機30のシフトレンジが対応するRレンジ(リバースレンジ)及びDレンジ(ドライブレンジ)に変更される。
【0044】
ここで、付勢体32の規制突起32Aの下側への移動が下カバー12Cの規制爪14Bによって規制されて、付勢体32が固定位置に固定されており、付勢体32の案内突起32Cの下側への移動が下カバー12Cの案内枠14Aの下部によって規制されて、付勢体32が仮位置に配置可能にされる。このため、付勢体32を固定位置と仮位置とに配置できる。
【0045】
さらに、上述の如く、付勢体32が固定位置に配置される場合には、レバー16がR位置及びD位置に回動される際に、レバー16の当接枠20が付勢体32の停止突起32Dに当接される。このため、レバー16の回動力を停止突起32Dの弾性収縮により吸収できる。一方、付勢体32が仮位置に配置される場合には、レバー16がR位置及びD位置に回動される際に、レバー16の当接枠20が付勢体32の当接突起32Eに当接される。このため、レバー16のR位置及びD位置への停止位置を当接突起32Eの剛性により正確にできる。
【0046】
また、付勢体32が固定位置に配置される場合と付勢体32が仮位置に配置される場合とで、レバー16(当接枠20)が付勢体32(停止突起32D又は当接突起32E)と当接される際におけるレバー16の回動位置が同一にされる。このため、付勢体32が固定位置に配置される場合と付勢体32が仮位置に配置される場合とで、レバー16の付勢体32と当接される回動位置が変更されることを制限できる。
【0047】
さらに、シフト装置10が組付けられる際には、付勢体32が、固定位置に固定される前に、仮位置に配置されて、検出機構22のキャリブレーション(校正)が行われる。すなわち、レバー16が前側及び後側に操作されて、それぞれ、レバー16の当接枠20が付勢体32の当接突起32Eに当接されることで、当接突起32Eが弾性収縮されずに、レバー16がR位置及びD位置に停止される。そして、レバー16のR位置及びD位置に停止された回動位置が、それぞれ制御装置28においてレバー16のR位置及びD位置の回動位置として記憶される。このため、付勢体32が固定位置に固定された際に検出機構22のキャリブレーションが行われる場合とは異なり、制御装置28において停止突起32Dの弾性収縮具合を考慮してレバー16のR位置及びD位置の回動位置を記憶する必要をなくすことができる。これにより、制御装置28において記憶されるレバー16のR位置及びD位置の回動位置を正確にでき、検出機構22によるレバー16のR位置及びD位置への配置の検出精度を高くできる。
【0048】
また、付勢体32が仮位置から固定位置に移動される際には、下カバー12Cの案内筒14が付勢体32の下部を案内すると共に、下カバー12Cの案内枠14Aが付勢体32の案内突起32Cを案内する。このため、付勢体32を仮位置から固定位置に容易に移動させることができる。
【0049】
さらに、付勢体32の規制突起32Aの下側への移動が下カバー12Cの規制爪14Bによって規制されている。このため、付勢体32を固定位置に固定できる。また、付勢体32の仮位置から固定位置への移動を規制爪14Bが規制突起32Aによって弾性変形されて許容する。このため、付勢体32を仮位置から固定位置に容易に移動させることができる。
【0050】
[第2実施形態]
図10(A)には、本発明の第2実施形態に係るシフト装置50のレバー16が上斜め右側から見た斜視図にて示されており、
図10(B)には、シフト装置50の付勢体32が上斜め右側から見た斜視図にて示されている。
【0051】
本実施形態に係るシフト装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0052】
図10(A)に示す如く、本実施形態に係るシフト装置50のレバー16では、当接枠20の前部及び後部に、左部及び右部において、弾性部としての矩形柱状の弾性柱20Aが形成されており、弾性柱20Aは、弾性を有している。当接枠20の前部及び後部には、一対の弾性柱20A間において、剛性部としての矩形柱状の剛性柱20Bが形成されており、剛性柱20Bは、剛性を有している。
【0053】
図10(B)に示す如く、付勢体32の前部及び後部では、停止突起32Dが剛性を有している。レバー16が前側に操作される際には、レバー16の当接枠20が後側に回動されて、当接枠20の後側の弾性柱20A後面が後側の停止突起32Dの内側面(付勢体32前後方向内側の面)に当接されることで、後側の弾性柱20Aが弾性収縮されつつ、レバー16がR位置に停止される(
図11(B)参照)。レバー16が後側に操作される際には、レバー16の当接枠20が前側に回動されて、当接枠20の前側の弾性柱20A前面が前側の停止突起32Dの内側面に当接されることで、前側の弾性柱20Aが弾性収縮されつつ、レバー16がD位置に停止される。
【0054】
付勢体32の前部及び後部には、当接突起32Eが1個設けられており、当接突起32Eは、一対の停止突起32Dの上側かつ左右方向中央に配置されている。付勢体32が仮位置に配置される際には、当接突起32Eの内側面(付勢体32前後方向内側の面)の位置が、付勢体32が固定位置に固定される際における停止突起32Dの内側面の位置と、前後方向及び上下方向において同一にされる。レバー16が前側に操作される際には、レバー16の当接枠20が後側に回動されて、当接枠20の後側の剛性柱20B後面が後側の当接突起32Eの内側面に当接されることで、後側の剛性柱20Bが弾性収縮されずに、レバー16がR位置に停止される(
図11(A)参照)。レバー16が後側に操作される際には、レバー16の当接枠20が前側に回動されて、当接枠20の前側の剛性柱20B前面が前側の当接突起32Eの内側面に当接されることで、前側の剛性柱20Bが弾性収縮されずに、レバー16がD位置に停止される。また、レバー16が前側及び後側に操作されて剛性柱20Bが当接突起32Eに当接される際におけるレバー16の回動位置は、それぞれ付勢体32が固定位置に配置される場合にレバー16が前側及び後側に操作されてレバー16の弾性柱20Aが付勢体32の停止突起32Dに当接される際におけるレバー16の回動位置と同一にされる。
【0055】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0056】
[第3実施形態]
図12(A)には、本発明の第3実施形態に係るシフト装置70の下カバー12Cが下斜め後側から見た斜視図にて示されており、
図12(B)には、シフト装置70のレバー16が上斜め右側から見た斜視図にて示されている。さらに、
図13(A)には、シフト装置70の付勢体32が上斜め右側から見た斜視図にて示されており、
図13(B)には、シフト装置70の付勢体32が下斜め後側から見た斜視図にて示されている。
【0057】
本実施形態に係るシフト装置70は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0058】
図12(A)に示す如く、本実施形態に係るシフト装置70の下カバー12Cでは、案内筒14に案内枠14A及び規制爪14Bが設けられておらず、案内筒14は、右側に拡大されている。案内筒14の下端部には、右部の前後方向両端部において、案内部としての直方体状の右案内路14Cが形成されており、右案内路14Cは、左右方向に延在されている。右案内路14Cは、案内筒14の前後方向内側に開放されており、右案内路14Cの左部以外の部分は、下側に開放されている。案内筒14の下端部には、左部の前後方向両端部において、案内部としての直方体状の左案内路14Dが形成されており、左案内路14Dは、左右方向に延在されている。左案内路14Dは、案内筒14の前後方向内側に開放されており、左案内路14Dの右部は、下側に開放されている。
【0059】
図12(B)に示す如く、レバー16の当接枠20の前面及び後面には、左右方向中間部において、矩形板状の当接板20Cが一体に設けられており、当接板20Cは、当接枠20の前後方向外側に突出されている。当接板20Cは、剛性を有しており、前側の当接板20Cの前面及び後側の当接板20Cの後面は、前後方向に垂直に配置されている。
【0060】
図13の(A)及び(B)に示す如く、付勢体32には、規制突起32A、下片32B及び案内突起32Cが設けられていない。付勢体32の下端部には、右部の前後方向両端部において、被案内部としての矩形板状の右案内板32Fが一体に設けられており、右案内板32Fは、付勢体32の前後方向外側に突出されると共に、上下方向に垂直に配置されている。付勢体32の下端部には、左部の前後方向両端部において、被案内部としての矩形板状の左案内板32Gが形成されており、左案内板32Gは、付勢体32の前後方向外側に突出されると共に、上下方向に垂直に配置されている。
【0061】
付勢体32が下カバー12Cの案内筒14内に下側から挿入される際には、右案内板32Fが案内筒14における右案内路14Cの左部以外の部分に下側から挿入されると共に、左案内板32Gが案内筒14における左案内路14Dの右部に下側から挿入される(
図14の(A)及び(B)参照)。そして、付勢体32が左側に移動されて、右案内板32Fの右部が右案内路14Cの左部に配置されると共に、左案内板32Gの左側部が左案内路14Dの右部以外の部分に配置されて、付勢体32の下側への移動が規制される(
図16(A)参照)。しかも、付勢体32の左右方向への移動が規制されて、付勢体32が固定位置に固定されている。また、付勢体32が固定位置に固定される前に、右案内板32Fの左部が右案内路14Cの左部に配置されると共に、左案内板32Gの左部が左案内路14Dの右部以外の部分に配置されることで、付勢体32の下側への移動が規制されて、付勢体32が仮位置に配置(保持)される(
図15(A)参照)。
【0062】
付勢体32の前部及び後部には、当接突起32Eが1個設けられており、当接突起32Eは、一対の停止突起32Dの左右方向中間に配置されている。当接突起32Eの内側面(付勢体32前後方向内側の面)は、停止突起32Dの内側面(付勢体32前後方向内側の面)に対し、付勢体32の前後方向外側に配置されている。
【0063】
付勢体32は、固定位置に固定されており、当接突起32Eの左右方向位置は、レバー16の当接枠20における当接板20Cの左右方向位置と相違されている。レバー16が前側に操作される際には、当接枠20が後側に回動されて、当接枠20の後面が後側の停止突起32Dの内側面に当接されると共に、後側の当接板20Cが後側の当接突起32Eに当接されないことで、後側の停止突起32Dが弾性収縮されつつ、レバー16がR位置に停止される(
図16(B)参照)。さらに、レバー16が後側に操作される際には、当接枠20が前側に回動されて、当接枠20の前面が前側の停止突起32Dの内側面に当接されると共に、前側の当接板20Cが前側の当接突起32Eに当接されないことで、前側の停止突起32Dが弾性収縮されつつ、レバー16がD位置に停止される。
【0064】
付勢体32が仮位置に配置される際には、当接突起32Eの左右方向位置がレバー16の当接枠20における当接板20Cの左右方向位置と一致される。レバー16が前側に操作される際には、当接枠20が後側に回動されて、当接板20Cの後面が後側の当接突起32Eの内側面に当接されると共に、当接枠20の後面が後側の停止突起32Dに当接されないことで、後側の当接突起32Eが弾性収縮されずに、レバー16がR位置に停止される(
図15(B)参照)。レバー16が後側に操作される際には、当接枠20が前側に回動されて、当接枠20の前面が前側の当接突起32Eの内側面に当接されると共に、当接枠20の前面が前側の停止突起32Dに当接されないことで、前側の当接突起32Eが弾性収縮されずに、レバー16がD位置に停止される。また、レバー16が前側及び後側に操作されて当接板20Cが当接突起32Eに当接される際におけるレバー16の回動位置は、それぞれ付勢体32が固定位置に配置される場合にレバー16が前側及び後側に操作されてレバー16の当接枠20が付勢体32の停止突起32Dに当接される際におけるレバー16の回動位置と同一にされる。
【0065】
ここで、本実施形態でも、規制爪14Bの弾性変形による作用及び効果を除き、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0066】
特に、付勢体32が仮位置から固定位置に移動される際には、下カバー12Cの右案内路14Cが付勢体32の右案内板32Fを案内すると共に、下カバー12Cの左案内路14Dが付勢体32の右案内路14Cを案内する。このため、付勢体32を仮位置から固定位置に容易に移動させることができる。
【0067】
なお、本実施形態において、上記第2実施形態と同様に、レバー16の当接枠20に弾性柱20Aが形成されると共に、付勢体32の停止突起32Dが剛性を有してもよい。
【0068】
また、上記第1実施形態~第3実施形態では、レバー16がH位置側に付勢される。しかしながら、レバー16が各シフト位置側に付勢されてもよい。
【0069】
さらに、上記第1実施形態~第3実施形態では、レバー16(シフト体)が回動される。しかしながら、シフト体がスライド(移動)又は中心軸線周りに回転(移動)されてもよい。
【0070】
また、上記第1実施形態~第3実施形態では、シフト装置10、50、70が車両のコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10、50、70が車両の他の部分(インストルメントパネル又はステアリングコラム等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10・・・シフト装置、12・・・プレート(固定体)、14・・・案内筒(案内部)、14A・・・案内枠(案内部)、14B・・・規制爪(規制部)、14C・・・右案内路(案内部)、14D・・・左案内路(案内部)、16・・・レバー(シフト体)、32・・・付勢体、38・・・付勢ピン(付勢部材)、50・・・シフト装置、70・・・シフト装置