(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006910
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240110BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001627
(22)【出願日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0080361
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン、ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオック
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ジン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070CB06
5E070CB17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コアのサイズを十分に確保し、小型化に有利でありかつ優れた特性を有するコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品は、本体と、本体内に配置された基板120と、基板の一面に配置され、複数のターンを有する第1コイル121と、基板の他面に配置され、複数のターンを有する第2コイル122と、第1コイルの最内側ターンと第2コイルの最内側ターンとを連結する導電性ビアV2などの複数の導電性ビアと、本体に配置されて第1コイルの一端と連結された第1外部電極と、本体に配置されて第2コイルの一端と連結された第2外部電極と、を含む。第1コイルの最内側ターンは、これと隣接する外側ターンよりも線幅が狭い第1領域を含み、第2コイルの最内側ターンは、これと隣接する外側ターンよりも線幅が狭い第2領域を含み、複数の導電性ビアのうち少なくとも一つは第1領域と接続され、残りのうち少なくとも一つは第2領域と接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置された基板と、
前記基板の一面に配置され、複数のターンを有する第1コイルと、
前記基板の他面に配置され、複数のターンを有する第2コイルと、
前記第1コイルの最内側ターンと前記第2コイルの最内側ターンとを連結する複数の導電性ビアと、
前記本体に配置されて前記第1コイルの一端と連結された第1外部電極と、
前記本体に配置されて前記第2コイルの一端と連結された第2外部電極と、を含み、
前記第1コイルの最内側ターンは、これと隣接する外側ターンよりも線幅が狭い第1領域を含み、前記第2コイルの最内側ターンは、これと隣接する外側ターンよりも線幅が狭い第2領域を含み、
前記複数の導電性ビアのうち少なくとも一つは前記第1領域と接続され、残りのうち少なくとも一つは前記第2領域と接続された、コイル部品。
【請求項2】
前記第1コイルの最内側ターンにおいて前記第1領域の線幅は、これと隣接する外側ターンの線幅の1/2以下である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第2コイルの最内側ターンにおいて前記第2領域の線幅は、これと隣接する外側ターンの線幅の1/2以下である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記複数の導電性ビアのうち一つは前記第1コイルの他端と接続され、他の一つは前記第2コイルの他端と接続された、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1コイルの他端は、前記複数の導電性ビアで前記第1コイルの他端と連結された前記第2コイルの一領域よりも線幅が狭い、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第2コイルの他端は、前記複数の導電性ビアで前記第2コイルの他端と連結された前記第1コイルの一領域よりも線幅が狭い、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記複数の導電性ビアのうち一つ以上は、前記第1コイルの他端と接続されたものと、前記第2コイルの他端と接続されたものとの間に配置された、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記複数の導電性ビアは均一な間隔で配置された、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記基板の一面及び他面に垂直な方向から見たとき、前記第1コイルの他端から前記第2コイルの他端まで1/4ターン以上を形成する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記基板の一面及び他面に垂直な方向から見たとき、前記第1コイルの他端から前記第2コイルの他端まで1/2ターン以上を形成する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1コイルの最内側ターンにおいて、前記第1領域は線幅が均一である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第2コイルの最内側ターンにおいて、前記第2領域は線幅が均一である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記複数の導電性ビアは前記基板を貫通する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記基板は、前記第1コイル及び前記第2コイルのコアに対応する領域に形成された貫通孔を含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記基板の貫通孔には前記本体の一部が充填された、請求項14に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、モバイルフォン、ノートパソコン等のような電子機器の小型化及び薄型化に伴い、このような電子機器に適用されるコイル部品にも小型化及び薄型化が求められており、このような要求に応えるために様々な形態の巻線型又は薄膜型のコイル部品に対する研究開発が活発に行われている。
【0003】
コイル部品の小型化及び薄型化に伴う主なイシューは、このような小型化及び薄型化にもかかわらず、従来と同等の特性を実現することである。このような要求を満たすためには、磁性物質が充填されるコアにおいて、磁性物質の割合を増加させなければならないが、インダクタ本体の強度、絶縁性による周波数特性の変化などの理由により、その割合を増加させることに限界がある。
【0004】
一方、小型化された薄膜型パワーインダクタの場合、コイル層間の電気的連結のための導電性ビアを含むが、導電性ビアとコイル間のアラインメントを確保するためにコイルパターンの最内側ターンの端部より大きい線幅を有するビアパッドを形成することができる。但し、この場合、ビアパッドの面積によりコアのサイズが十分に確保できないことがあり、これによりコイル部品の磁気的特性が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、コアのサイズを十分に確保し、小型化に有利でありながらも優れた特性を有するコイル部品を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一例を挙げてコイル部品の新規な構造を提案し、具体的に、本体と、上記本体内に配置された基板と、上記基板の一面に配置され、複数のターンを有する第1コイルと、上記基板の他面に配置され、複数のターンを有する第2コイルと、上記第1コイルの最内側ターンと上記第2コイルの最内側ターンとを連結する複数の導電性ビアと、上記本体に配置されて上記第1コイルの一端と連結された第1外部電極と、上記本体に配置されて上記第2コイルの一端と連結された第2外部電極と、を含み、上記第1コイルの最内側ターンは、これと隣接する外側ターンよりも線幅が狭い第1領域を含み、上記第2コイルの最内側ターンは、これと隣接する外側ターンよりも線幅が狭い第2領域を含み、上記複数の導電性ビアのうち少なくとも一つは上記第1領域と接続され、残りのうち少なくとも一つは上記第2領域と接続された構造である。
【0007】
一実施形態において、上記第1コイルの最内側ターンにおける上記第1領域の線幅は、これと隣接する外側ターンの線幅の1/2以下であってもよい。
【0008】
一実施形態において、上記第2コイルの最内側ターンにおける上記第2領域の線幅は、これと隣接する外側ターンの線幅の1/2以下であってもよい。
【0009】
一実施形態において、上記複数の導電性ビアのうち一つは、上記第1コイルの他端と接続され、他の一つは上記第2コイルの他端と接続されることができる。
【0010】
一実施形態において、上記第1コイルの他端は、上記導電性ビアで上記第1コイルの他端と連結された上記第2コイルの一領域よりも線幅が狭くてもよい。
【0011】
一実施形態において、上記第2コイルの他端は、上記導電性ビアで上記第2コイルの他端と連結された上記第1コイルの一領域よりも線幅が狭くてもよい。
【0012】
一実施形態において、上記複数の導電性ビアのうち一つ以上は、上記第1コイルの他端と接続されたものと、上記第2コイルの他端と接続されたものとの間に配置されることができる。
【0013】
一実施形態において、上記複数の導電性ビアは均一な間隔で配置されることができる。
【0014】
一実施形態において、上記基板の一面及び他面に垂直な方向から見たとき、上記第1コイルの他端から上記第2コイルの他端まで1/4ターン以上を形成することができる。
【0015】
一実施形態において、上記基板の一面及び他面に垂直な方向から見たとき、上記第1コイルの他端から上記第2コイルの他端まで1/2ターン以上を形成することができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1コイルの最内側ターンにおける上記第1領域は線幅が均一であってもよい。
【0017】
一実施形態において、上記第2コイルの最内側ターンにおける上記第2領域は線幅が均一であってもよい。
【0018】
一実施形態において、上記複数の導電性ビアは上記基板を貫通することができる。
【0019】
一実施形態において、上記基板は、上記第1及び第2コイルのコアに対応する領域に形成された貫通孔を含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記基板の貫通孔には、上記本体の一部が充填されることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一効果として、コアのサイズを十分に確保して小型化に有利でありながらも優れた特性を有するコイル部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示す透過斜視図である。
【
図2】
図1のコイル部品において、第1コイルを示す平面図である。
【
図3】
図1のコイル部品において、第2コイルを示す平面図である。
【
図4】
図1のコイル部品において、第1及び第2コイルと基板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されてもよく、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0024】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去等を目的として様々な種類のコイル部品を適宜用いることができる。すなわち、電子機器においてコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などに用いられることができる。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態のコイル部品を概略的に示す透過斜視図であり、
図2は、
図1のコイル部品において第1コイルを示し、
図3は、
図1のコイル部品において第2コイルを示す平面図であり、
図4は、
図1のコイル部品において第1及び第2コイルと基板を示す平面図である。
【0026】
図1~
図3を参照すると、本実施形態に係るコイル部品100は、本体110、基板120、第1コイル121、第2コイル122、複数の導電性ビアV1、V2、第1外部電極131、第2外部電極132を含む。ここで、第1コイル121の最内側ターン141は、これと隣接する外側ターン151よりも線幅W1が狭い第1領域R1を含み、第2コイル122の最内側ターン142は、これと隣接する外側ターン152よりも線幅W3が狭い第2領域R2を含む。そして、複数の導電性ビアV1、V2のうち少なくとも一つV1は第1領域R1と接続され、残りのうち少なくとも一つV2は第2領域R2と接続される。このような構造を有することにより、第1及び第2コイル121、122の構造的、電気的連結性を改善することができ、さらに、コアC1、C2のサイズを十分に確保することにより、コイル部品100の磁気的特性(例えば、L
s及びI
sat特性)も向上することができる。以下、本実施形態のコイル部品100を構成する主な構成要素について説明する。
【0027】
本体110はコイル部品100の外観をなしており、その内部にコイル121、122と基板120等が配置される。図示の形態のように、本体110は全体的に六面体の形状に形成されることができる。一例として、本体110は、外部電極131、132が形成された本実施形態に係るコイル部品100が2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、又は2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.65mmの厚さを有するか、又は1.6mmの長さ、0.8mmの幅及び0.8mmの厚さを有するか、又は1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.5mmの厚さを有するか、又は0.8mmの長さ、0.4mmの幅及び0.65mmの厚さを有するように形成されてもよいが、これらに限定されるものではない。一方、上述の数値は、工程誤差などを反映していない設計上の数値に過ぎないため、工程誤差と認められる範囲までは本発明の範囲に属すると見なすべきである。
【0028】
上述したコイル部品100の第1方向(X方向)の長さは、コイル部品100の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示すコイル部品100の第1方向(X方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。あるいは、上記断面写真に示すコイル部品100の第1方向(X方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであってもよい。あるいは、上記断面写真に示すコイル部品100の第1方向(X方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであってもよい。ここで、第1方向(X方向)と平行な複数の線分は、第3方向(Z方向)に互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0029】
上述したコイル部品100の第2方向(Y方向)の長さは、コイル部品100の第3方向(Z方向)の中央部における第1方向(X方向)-第2方向(Y方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示すコイル部品100の第2方向(Y方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。あるいは、上記断面写真に示すコイル部品100の第2方向(Y方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであってもよい。あるいは、上記断面写真に示すコイル部品100の第2方向(Y方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであってもよい。ここで、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0030】
上述したコイル部品100の第3方向(Z方向)の長さは、コイル部品100の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示すコイル部品100の第3方向(Z方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであってもよい。あるいは、上記断面写真に示すコイル部品100の第3方向(Z方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであってもよい。あるいは、上記断面写真に示すコイル部品100の第3方向(Z方向)に対向した2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであってもよい。ここで、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であってもよいが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0031】
一方、コイル部品100の第1~第3方向の長さのそれぞれは、マイクロメータ測定法により測定されることもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ(Tip)の間に本実施形態に係るコイル部品100を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。なお、マイクロメータ測定法によりコイル部品100の長さを測定するにあたり、コイル部品100の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。
【0032】
本体110は、絶縁樹脂及び磁性物質を含むことができる。具体的に、本体110は、磁性物質が絶縁樹脂に分散した磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。磁性物質はフェライト又は金属磁性粉末であってもよい。フェライトは、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系等のスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系等の六方晶型フェライト類、Y系等のガーネット型フェライト及びLi系フェライトのうち少なくとも一つ以上であってもよい。金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも一つ以上であってもよい。金属磁性粉末は非晶質又は結晶質であってもよい。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであってもよいが、これに限定されるものではない。本体110は、樹脂に分散した2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、形状のうちいずれか一つで互いに区別されることを意味する。一方、以下では、磁性物質が金属磁性粉末であることを前提として説明するが、本発明の範囲は、絶縁樹脂に金属磁性粉末が分散した構造を有する本体110にのみ及ぶものではない。絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独又は混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
基板120は、本体110内に配置されてコイル121、122を支持し、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板などで形成されることができる。図示の形態のように、基板120の一部、具体的には、第1及び第2コイル121、122のコアC1、C2に対応する領域には貫通孔Hが形成されることができ、このような貫通孔には、本体110をなす物質が充填されることができる。
【0034】
具体的な例として、基板120は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂又は感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成されてもよく、このような絶縁樹脂にガラス繊維又は無機フィラーのような補強材が含浸された絶縁材料で形成されてもよい。より具体的に、基板120は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)などの絶縁材料で形成されてもよいが、これらに限定されるものではない。無機フィラーとしては、シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)、アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)から構成される群から選択された少なくとも一つ以上が使用されることができる。基板120が補強材を含む絶縁材料で形成される場合、基板120はより優れた剛性を提供することができる。基板120がガラス繊維を含まない絶縁材料で形成される場合、本実施形態に係るコイル部品100の厚さを薄型化するのに有利であり得る。また、同じサイズの本体110を基準に、コイル121、122及び/又は金属磁性粉末が占める体積を増加させることができ、部品特性を向上させることができる。基板120が感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成される場合、コイル121、122を形成するための工程数が減少し、生産コストの削減に有利であり、導電性ビアV1、V2を微細に形成することができる。基板120の厚さは、例えば、10μm以上50μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0035】
第1コイル121は、基板120の一面S1に配置され、複数のターンを有する。そして、第2コイル122は、基板120の他面S2に配置され、複数のターンを有する。第1及び第2コイル121、122は、コイル部品100のコイルから発現される特性によって電子機器内で様々な機能を行う役割を果たす。例えば、コイル部品100はパワーインダクタであってもよく、この場合、第1及び第2コイル121、122は、電気を磁場の形で貯蔵して出力電圧を維持し、電源を安定させる役割などを行うことができる。第1及び第2コイル121、122は、複数の導電性ビアV1、V2によって連結され、このために複数の導電性ビアV1、V2は基板120を貫通することができる。第1及び第2コイル121、122の場合、当技術分野において使用されるめっき工程、例えば、パターンめっき、異方性めっき、等方性めっきなどの方法を使用して形成されることができ、これらの工程のうち複数の工程を用いて多層構造で形成されることもできる。
【0036】
第1及び第2コイル121、122と複数の導電性ビアV1、V2とが連結される方式を具体的に説明すると、複数の導電性ビアV1、V2は第1コイル121の最内側ターン141と第2コイル122の最内側ターン142とを連結する。一例として、複数の導電性ビアV1、V2のうち一つV1は第1コイル121の他端E2と接続され、他の一つV2は第2コイル122の他端E2と接続されることができる。この場合、第1コイル121の一端E1は第1外部電極131と連結される引出部に該当し、他端E2は最内側ターン141に存在する。具体的に、第1コイル121において、第1領域R1の線幅W1は外側ターン151の線幅W2よりも狭く、導電性ビアV1は第1領域R1と接続される。実施形態に応じて、第1領域R1と接続される導電性ビアV1は1個よりも多くてもよい。同様に、第2コイル122において、一端E1は第2外部電極142と連結される引出部に該当し、他端E2は最内側ターン142に存在する。具体的に、第2コイル122において、第2領域R2の線幅W3は外側ターン152の線幅W4よりも狭く、導電性ビアV2は第2領域R2と接続される。実施形態に応じて、第2領域R2と接続される導電性ビアV2は、1つよりも多くてもよい。また、
図6の変形例のように、複数の導電性ビアのうち一つ以上Vnは、第1コイル121の他端E2と接続されたものV1と、第2コイル122の他端E2と接続されたものV2との間に配置されることができ、この場合、複数の導電性ビアV1、V2、Vnは均一な間隔で配置されることができる。本変形例のように、導電性ビアV1、V2、Vnの個数を3つ以上に増加させることにより、コイル部品100のR
dcはさらに低減することができる。
【0037】
再び
図1の実施形態を説明すると、本実施形態のように、複数の導電性ビアV1、V2を介して第1及び第2コイル121、122を連結する場合、第1及び第2領域R1、R2において並列連結構造が実現されることができ、これにより電気的特性、具体的に、R
dc特性を向上(R
dcが減少)することができる。さらに、本実施形態では、第1及び第2コイル121、122の最内側ターン141、142に線幅W1、W3が相対的に狭い領域R1、R2を配置しており、これにより、コアC1、C2のサイズを十分に確保することができた。一例として、第1コイル121の他端E2は、これと導電性ビアV1で連結された第2コイル122の一領域、すなわち、第3方向(Z方向)に対向する領域よりも線幅が狭くてもよい。同様に、第2コイル122の他端E2は、これと導電性ビアV2で連結された第1コイル121の一領域、すなわち、第3方向(Z方向)に対向する領域よりも線幅が狭くてもよい。第1及び第2領域R1、R2の線幅W1、W3が相対的に狭い場合、第1及び第2コイル121、122のR
dc特性を低減(R
dc増加)することができるが、上述したように、第1及び第2領域R1、R2において並列連結構造が形成されることによって、このようなR
dcの増加を効果的に抑制することができる。
【0038】
一方、第1コイル121の最内側ターン141において、第1領域R1の線幅W1は、これと隣接する外側ターン151の線幅W2の1/2以下であってもよく、これにより、コアC1、C2を十分に拡張することができる。同様に、第2コイル122の最内側ターン142において、第2領域R2の線幅W3は、これと隣接する外側ターン152の線幅W4の1/2以下であってもよい。また、第1コイル121の最内側ターン141において、第1領域R1は線幅W1が均一であってもよい。同様に、第2コイル122の最内側ターン142において、第2領域R2は線幅W3が均一であってもよい。また、第1及び第2領域R1、R2が重なる長さは、上述したR
dcの低減効果を考慮して決定することができる。具体的に、基板120の一面S1及び他面S2に垂直な方向(
図1を基準にZ方向)から見たとき、第1コイル121の他端E2から第2コイル122の他端E2まで1/4ターン以上を形成することができ、
図5は、約1/2ターンに該当する場合を示す。また、
図7の変形例の場合、第1コイル121の他端E2から第2コイル122の他端E2まで約1/4ターンを形成する場合を示す。また、
図8及び
図9の変形例の場合、第1コイル121の他端E2から第2コイル122の他端E2まで1/2ターンを超え、
図8は約5/8ターンを、
図9は約3/4ターンを形成する場合を示す。
【0039】
再び
図1を参照すると、第1及び第2外部電極131、132は本体110の外部に形成されて第1及び第2引出部A1、A2と接続される。第1及び第2外部電極131、132は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを使用して形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、錫(Sn)又は銀(Ag)などの単独又はこれらの合金などを含む伝導性ペーストであってもよい。また、第1及び第2外部電極131、132上にめっき層をさらに形成することができる。この場合、上記めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及び錫(Sn)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層と錫(Sn)層とが順次に形成されることができる。
【0040】
本発明者らは、実施例と比較例に分けてコイル部品の性能をシミュレーションし、その結果は下表1の通りである。コイル部品のサイズは2520サイズ、すなわち、X方向の長さが2.5mm、Y方向の長さが2.0mm、Z方向の長さが1.2mmであり、コイル部品の特性はコア面積、インダクタンス特性(Ls)、直流抵抗特性(R
dc)、飽和電流特性(I
sat)を測定した。実施例1は
図5に示す構造を有し、実施例2は
図6の構造を有する。すなわち、実施例1及び2は導電性ビアの個数に差がある。そして、比較例は
図10に示す構造を有するが、基板20の一面及び他面に第1及び第2コイル21、22が形成され、実施例とは異なり、最内側ターンの幅が外側ターンの幅と同一である。そして、導電性ビアVは1つ採用され、第1及び第2コイル21、22を連結する。また、実施例において、最内側ターンの第1及び第2領域は、線幅を226μmに、隣接する外側ターンの線幅を452μmに設定した。
【0041】
【0042】
表1の実験結果から見ると、実施例1の場合、比較例よりコアのサイズが40%以上増加し、これにより、Lsは約10.7%増加、Rdcは約4.4%減少、Isatは約8.0%増加した。また、実施例2のように、導電性ビアが追加で採用された場合、Rdc特性はさらに改善されて約7.7%低減することが確認できる。
【0043】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定するものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0044】
100:コイル部品
110:本体
120:基板
121、122:コイル
131、132:外部電極
141、142:最内側ターン
151、152:外側ターン
R1、R2:第1及び第2領域
C1、C2:コア
V1、V2、Vn:導電性ビア