(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069109
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】突出型リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B25J19/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179921
(22)【出願日】2022-11-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】521071219
【氏名又は名称】株式会社RoboSapiens
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 俊
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707BS01
3C707CS08
3C707CT04
3C707HS23
3C707HS27
3C707HT02
3C707KS16
3C707KS20
3C707KS36
3C707KT03
3C707KT05
3C707KV11
3C707KX02
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】一対の長尺プレートを伸ばしていっても直線性を維持させることができる突出型リニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】突出型リニアアクチュエータ5では、先端連結キャップ12と磁力発生部6との間に設けた中間連結キャップ8によって一対の長尺プレート11a,11bを連結し、磁力発生部6の通電を制御することで中間連結キャップ8を一対の長尺プレート11a,11bとともに移動させて磁力発生部6から自由に離反させるようにしたことで、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺プレートが渦巻状に巻装されて所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、
一対の前記巻尺部からそれぞれ伸びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させるプレート連結部と、
連結された一対の前記長尺プレートの自由端部に設けられた先端連結キャップと、
前記プレート連結部に設けられ、一対の前記巻尺部から前記長尺プレートを引き出させ、又は、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、一対の前記長尺プレートを往復直線運動させるプレート駆動部と、
通電の有無により磁力が発生及び消滅する磁力発生部と、
前記先端連結キャップ及び前記磁力発生部の間で一対の前記長尺プレートを連結し、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートをそれぞれ巻き取らせていったときに前記磁力発生部に位置決めされる中間連結キャップと、
を備え、
前記中間連結キャップは、前記磁力発生部に発生した磁力により前記磁力発生部に結合可能な構成を有し、一対の前記長尺プレートが往復直線運動する際に、前記磁力発生部への通電が制御されることで、一対の前記長尺プレートとともに移動して前記磁力発生部から離反する、突出型リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記中間連結キャップは、
一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、予め定めた基準位置から前記先端連結キャップが所定距離未満の位置にあるときは、前記磁力発生部に発生する磁力によって前記磁力発生部に結合し、
一対の前記巻尺部から前記長尺プレートを引き出させて、前記基準位置から前記先端連結キャップが所定距離以上離れた位置にあるときは、前記磁力発生部の磁力が消滅することで、一対の前記長尺プレートとともに移動して前記磁力発生部から離反する、請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記先端連結キャップ及び前記中間連結キャップとの間に配置されて一対の前記長尺プレートを連結する1以上の他の中間連結キャップと、
前記他の中間連結キャップに対応して設けられ、通電の有無により磁力が発生及び消滅する他の磁力発生部と、
を備え、
前記他の中間連結キャップは、対応する前記他の磁力発生部に発生した磁力により前記他の磁力発生部に結合可能な構成を有し、一対の前記長尺プレートが往復直線運動する際に、前記他の磁力発生部への通電が制御されることで、一対の前記長尺プレートとともに移動して前記他の磁力発生部から離反する、請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項4】
一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせていったときに前記先端連結キャップが最端移動位置に位置決めされたことを認識する認識部と、
前記最端移動位置に位置決めされたときの前記先端連結キャップの位置を基準位置として設定し、前記基準位置からの前記先端連結キャップの位置を検出する位置検出部と、
を備える、請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項5】
一対の前記巻尺部を第1巻尺部と第2巻尺部とし、一対の前記巻尺部に加えて、他の一対の巻尺部として設けられた第3巻尺部及び第4巻尺部と、
前記プレート連結部を第1プレート連結部とし、前記第3巻尺部及び前記第4巻尺部からそれぞれ伸びる他の長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、他の一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させる第2プレート連結部と、
前記プレート駆動部を第1プレート駆動部とし、前記第2プレート連結部に設けられ、前記第1プレート駆動部と連動して、前記第3巻尺部及び前記第4巻尺部から他の前記長尺プレートを引き出させ、又は、前記第3巻尺部及び前記第4巻尺部に他の前記長尺プレートを巻き取らせて、一対の前記長尺プレートとともに、他の一対の前記長尺プレートを往復直線運動させる第2プレート駆動部と、
を備え、
前記先端連結キャップ及び前記中間連結キャップは、前記第1巻尺部から引き出された第1長尺プレートと、前記第2巻尺部から引き出された第2長尺プレートと、前記第3巻尺部から引き出された第3長尺プレートと、前記第4巻尺部から引き出された第4長尺プレートと、を連結する、請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1長尺プレートと前記第2長尺プレートと前記第3長尺プレートと前記第4長尺プレートとで囲まれた領域に、前記先端連結キャップに設けられた電子機器と電気的に接続される配線が配置されている、請求項5に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記プレート連結部が往復直線運動するガイドフレームと、
前記ガイドフレームに沿って前記プレート連結部を往復直線運動させる駆動部と、
を備え、
一方の前記巻尺部と他方の前記巻尺部とが、前記プレート連結部又は前記ガイドフレームに設けられている、請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記先端連結キャップには、
電子機器、ロボットアーム、スクリーン装置、照明装置及び押圧子のうち、少なくともいずれかが設けられている、請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突出型リニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
突出型リニアアクチュエータとして、一対の巻尺部からそれぞれ伸びる長尺プレートの自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の長尺プレートの自由端部を連結した押圧子を形成するスライダと、ガイドフレームに沿ってスライダを往復直線運動させる第1の駆動部と、押圧子を往復直線運動させる第2の駆動部と、を備えた構成が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の突出型リニアアクチュエータでは、各巻尺部から長尺プレートをそれぞれ引き出してゆき、自由端部同士を連結させた一対の長尺プレートを伸ばしてゆくと自重によって、一対の長尺プレートが曲がってしまう可能性がある。そのため、一対の長尺プレートの強度を向上させて、一対の長尺プレートを伸ばしていっても直線性を維持し得ることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、一対の長尺プレートを伸ばしていっても直線性を維持させることができる突出型リニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る突出型リニアアクチュエータは、長尺プレートが渦巻状に巻装されて所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、一対の前記巻尺部からそれぞれ伸びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させるプレート連結部と、連結された一対の前記長尺プレートの自由端部に設けられた先端連結キャップと、前記プレート連結部に設けられ、一対の前記巻尺部から前記長尺プレートを引き出させ、又は、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、一対の前記長尺プレートを往復直線運動させるプレート駆動部と、通電の有無により磁力が発生及び消滅する磁力発生部と、前記先端連結キャップ及び前記磁力発生部の間で一対の前記長尺プレートを連結し、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートをそれぞれ巻き取らせていったときに前記磁力発生部に位置決めされる中間連結キャップと、を備え、前記中間連結キャップは、前記磁力発生部に発生した磁力により前記磁力発生部に結合可能な構成を有し、一対の前記長尺プレートが往復直線運動する際に、前記磁力発生部への通電が制御されることで、一対の前記長尺プレートとともに移動して前記磁力発生部から離反する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先端連結キャップと磁力発生部との間に設けた中間連結キャップによって一対の長尺プレートを連結し、磁力発生部の通電を制御することで中間連結キャップを必要に応じて一対の長尺プレートとともに移動させて磁力発生部から自由に離反させるようにしたことで、往復直線運動する際の一対の長尺プレートの強度を中間連結キャップによって向上し得、一対の長尺プレートを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る突出型リニアアクチュエータを備えた自走式ロボットの全体構成を示す概略図である。
【
図2】突出型リニアアクチュエータによって一対の長尺プレートを伸ばしていったときの様子を示す概略図である。
【
図3】3Aは、先端連結キャップの最端移動位置を基準位置に設定する前後の状態を示す拡大詳細図であり、3Bは、先端連結キャップの最端移動位置を基準位置に設定するときの状態を示す拡大詳細図である。
【
図4】中間連結キャップが磁力発生部から離反したときの状態を示す拡大詳細図である。
【
図6】突出型リニアアクチュエータの詳細構成を示す概略図である。
【
図7】自走式ロボットの回路構成を示すブロック図である。
【
図8】第1中間連結キャップ、第2中間連結キャップ及び第3中間連結キャップを設けた他の実施形態の構成を示す概略図であり、8Aは、第1中間連結キャップ、第2中間連結キャップ及び第3中間連結キャップが対応する各磁力発生部と連結しているときの状態を示す概略図であり、8Bは、第1中間連結キャップ、第2中間連結キャップ及び第3中間連結キャップが各磁力発生部から離反したときの状態を示す概略図である。
【
図9】第1中間連結キャップ及び第2中間連結キャップを設けた他の実施形態の構成を示す概略図であり、9Aは、第1中間連結キャップ及び第2中間連結キャップが対応する各磁力発生部と連結しているときの状態を示す概略図であり、9Bは、第1中間連結キャップ及び第2中間連結キャップが各磁力発生部から離反したときの状態を示す概略図である。
【
図10】第1巻尺部、第2巻尺部、第3巻尺部及び第4巻尺部を設けた他の実施形態の構成を示す概略図である。
【
図11】一対の長尺プレートと他の一対の長尺プレートとを連結する中間連結キャップの構成を示す概略図である。
【
図12】12Aは、中間連結キャップで連結している一対の長尺プレートと他の一対の長尺プレートとの構成を説明するための概略図であり、12Bは、一対の長尺プレートと他の一対の長尺プレートとにより囲まれた領域を説明するための概略図である。
【
図13】他の実施形態に係る突出型リニアアクチュエータを備えた自走式ロボットの構成を示す概略図であり、13Aは、突出型リニアアクチュエータに設けたプレート連結部が一方に移動したときの構成を示す概略図であり、13Bは、突出型リニアアクチュエータに設けたプレート連結部が他方に移動したときの構成を示す概略図である。
【
図14】先端連結キャップにロボットアームが設けられた、他の実施形態に係る突出型リニアアクチュエータの構成を示す概略図である。
【
図15】先端連結キャップにスクリーンが設けられた、他の実施形態に係る突出型リニアアクチュエータの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面について本発明の一実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(1)<自走式ロボットの全体構成>
図1は、本実施形態に係る自走式ロボット1の全体構成を示す概略図である。本実施形態では、自走式ロボット1の高さ方向をz方向とし、高さ方向zと直交するx方向及びy方向を含むxy平面を自走式ロボット1が移動する移動面として以下説明する。本実施形態に係る自走式ロボット1は、基台2に走行装置3が設けられており、例えば、図示しない外部装置から受信した走行情報に基づいて走行装置3が制御される。また、自走式ロボット1は、現在位置検出部(図示せず)が設けられており、ライダ7b及び撮像センサ7cで検出した周辺環境情報に基づいて、現在位置検出部がSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術により自身が走行している現在位置を示した現在位置情報を取得し、上述した走行情報と現在位置情報とに基づいて、屋内の定められた経路に沿って所定領域を自律的に走行する。
【0011】
また、自走式ロボット1は、例えば、ガスセンサや光センサ等のセンサ類、カメラ、照明装置、音響装置等の電子機器7aが設けられた突出型リニアアクチュエータ5を基台2に有し、自走式ロボット1の周辺環境の各種情報を電子機器7aにより計測等する。自走式ロボット1は、搭載する電子機器7aの種類に応じて、各種検出信号や撮像画像等の情報を電子機器7aにより取得することが可能となる。
【0012】
自走式ロボット1は、経路に沿って移動する際に、必要に応じて突出型リニアアクチュエータ5を駆動させることにより先端連結キャップ12を高さ方向zに上昇又は下降させ、先端連結キャップ12に固定されたセンサ等の電子機器7aによって所定の高さで各種情報を収集する。そして、自走式ロボット1は、電子機器7aにより得られた情報と、このときの先端連結キャップ12の高さ方向zでの位置情報(以下、高さ情報とも称する)と、このときの自身の位置情報(例えば、単なるxy平面の座標情報)とを対応付けた計測データを生成し、得られた計測データを、外部装置等で行われる各種情報処理に利用させる。
【0013】
自走式ロボット1の基台2は、走行装置3が設けられた第1の基台部2aと、第1の基台部2aの上部に設置された第2の基台部2bとを有しており、第1の基台部2aに第2の基台部2bを着脱自在に設け、必要に応じて第1の基台部2aに設ける第2の基台部2bを変えることで、第1の基台部2aに搭載する電子機器7aを基台部単位で変更可能な構成を有している。
【0014】
第1の基台部2aは、底板2cと、底板2cに立設された4本の支柱2dとを有しており、底板2cに走行装置3が設けられた構成を有する。第2の基台部2bは、第1の基台部2aの支柱2d上に設けられた仕切り板2eと、仕切り板2eに立設された4本の支柱2fと、支柱2f上に設けられた天板2gとを有しており、仕切り板2eに突出型リニアアクチュエータ5が設けられた構成を有する。
【0015】
天板2gには、貫通孔2hが設けられており、突出型リニアアクチュエータ5から高さ方向zに伸びる一対の長尺プレート11a,11bが貫通孔2hから突出しており、長尺プレート11a,11bの自由端部に設けた先端連結キャップ12が天板2gの上方に配置されている。なお、本実施形態に係る自走式ロボット1は、ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)7bが設置された台座45が天板2gに設けられ、当該ライダ7bによって周辺の物体を認識可能に構成されている。なお、本実施形態に係る自走式ロボット1は、天板2gに深度センサ付きの撮像センサ7cを有しており、撮像センサ7cによって、周辺の人や物等の物体までの距離情報を得、当該物体を立体的に捉えることで周辺環境の3次元情報を取得し得る。自走式ロボット1は、ライダ7bで得られた2次元情報と、撮像センサ7cで得られた3次元情報とに基づいて、現在位置検出部により自身の現在位置を一段と正確に認識し得る。
【0016】
走行装置3は、複数の車輪3a,3b,3cと走行制御装置3dとを備えており、自走式ロボット1に設けられた演算処理装置4からの走行制御信号に基づいて走行制御装置3dが制御され、走行制御装置3dによって車輪3a,3b,3cを回転制御し、自走式ロボット1を所望する方向に移動させる。
【0017】
突出型リニアアクチュエータ5は、仕切り板2e上に固定される板状の台座9を有し、一対の巻尺部10a,10bとプレート進退機構13とが台座9上に固定されている。プレート進退機構13は、一対の巻尺部10a,10bからそれぞれ伸びる長尺プレート11a,11bの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、重ね合わせた長尺プレート11a,11bの自由端部をそのまま高さ方向zに案内する。重ね合わせた長尺プレート11a,11bの自由端部には、先端連結キャップ12が設けられ、当該先端連結キャップ12上に電子機器7aが設けられている。
【0018】
プレート進退機構13には、ステッピングモータ等のプレート駆動部17が設けられており、重ね合わせた長尺プレート11a,11bが当該プレート駆動部17に接触している。これにより、プレート駆動部17は、一方向に回転駆動することにより、長尺プレート11a,11bに対して上方へ向かう移動力を与えて、一対の巻尺部10a,10bからそれぞれ長尺プレート11a,11bを引き出させ、
図2に示すように、先端連結キャップ12を高さ方向zに沿って上昇させる。
【0019】
また、プレート駆動部17は、例えば、
図2に示すような状態において、逆方向に回転駆動することにより、長尺プレート11a,11bに対して下方へ向かう移動力を与えて、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bを巻き取らせ、
図1に示すように、先端連結キャップ12を高さ方向zに沿って下降させる。
【0020】
なお、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bを巻き取らせて先端連結キャップ12が最端移動位置まで下降したときには、ライダ7bのレーザが出射される回転面よりも下方に、先端連結キャップ12上の電子機器7aが配置されるように構成されている。これにより、自走式ロボット1は、ライダ7bから出射されるレーザが電子機器7aにより妨げられずに、ライダ7bによって周辺の障害物等を検出することができる。
【0021】
プレート進退機構13は、一対の長尺プレート11a,11bに接触するようにロータリーエンコーダ19が設けられており、昇降する長尺プレート11a,11bの進退に応じてロータリーエンコーダ19が回転可能に構成されている。ロータリーエンコーダ19は、昇降する長尺プレート11a,11bの進退に連動して回転する回転方向や回転数に基づいて、進退時の長尺プレート11a,11bの移動方向や移動距離を特定して先端連結キャップ12の高さ方向zでの位置を計測可能に構成されている。
【0022】
かかる構成に加えて、本実施形態では、
図3の3A及び3Bに示すように、例えば、タクトスイッチ等のスイッチ21aが天板2gの表面に設けられており、先端連結キャップ12がスイッチ21aと当接する位置が先端連結キャップ12の最端移動位置となる。先端連結キャップ12は、一対の長尺プレート11a,11bが下降することでスイッチ21aまで到達すると、当該先端連結キャップ12の裏面に設けた接触部21bがスイッチ21aに当接し、接触部21bによってスイッチ21aを押下し得るように構成されている。
【0023】
スイッチ21aは、プレート駆動部17により一対の長尺プレート11a,11bが下降されて先端連結キャップ12の接触部21bで押下されると押下信号を検出し、得られた検出結果をロータリーエンコーダ19に出力する。これにより、ロータリーエンコーダ19は、スイッチ21aから取得した検出結果に基づいて、最端移動位置に到達した先端連結キャップ12の現在の位置を基準位置として設定する。
【0024】
ここで、ロータリーエンコーダ19は、相対的な回転数しか計測できないことから、先端連結キャップ12の基準位置を設定しない場合、起動時における先端連結キャップ12の位置が不明であり、進退する先端連結キャップ12の正確な高さ方向zの位置を計測することが困難となる。そのため、突出型リニアアクチュエータ5は、起動時にプレート駆動部17を駆動させ、先端連結キャップ12の接触部21bがスイッチ21aを押下して当該スイッチ21aで押下信号が得られるまで、一対の長尺プレート11a,11bを下降させる。これにより、ロータリーエンコーダ19は、起動時に、最端移動位置に到達した先端連結キャップ12の位置を基準位置として確実に設定することができ、以降、最端移動位置を基準位置として先端連結キャップ12の高さ方向(進退方向)zの位置を正確に計測することができる。
【0025】
かかる構成に加えて、
図3の3A及び3Bと
図4とに示すように、天板2gの表面には、通電の有無により磁力が発生及び消滅する磁力発生部6が設けられている。磁力発生部6は、一対の長尺プレート11a,11bが外部に延出する貫通孔2hに隣接した、天板2gの表面に設けられており、一対の長尺プレート11a,11bに設けられた中間連結キャップ8(後述する)に当接し、当該中間連結キャップ8を位置決め可能な構成を有する。本実施形態に係る磁力発生部6は、通電時に磁力を発生させ、当該磁力により中間連結キャップ8と連結可能となり、非通電時に磁力を消滅させて中間連結キャップ8と非連結状態となる。
【0026】
ここで、
図5に示すように、本実施形態では、2つの磁力発生部6を備えており、これら2つの磁力発生部6が長尺プレート11a,11bを挟み込むように配置されている。磁力発生部6は、円柱形状に形成されており、軸方向が一対の長尺プレート11a,11bの進退方向に沿って配置されている。また、磁力発生部6は、外周面が弓なり状に湾曲した長尺プレート11a,11bの凹部面に沿って配置され、天板2gの貫通孔2hから外部に延出した一対の長尺プレート11a,11bが当該磁力発生部6の外周面に沿って直線状に伸びている。
【0027】
なお、長尺プレート11a,11bの配置位置については、
図5に示すように、長尺プレート11a,11bの弓なり状に湾曲した凹部面が、ライダ7bから照射されるレーザL1の照射方向に対して直線上に配置されることが望ましい。これにより、自走式ロボット1は、長尺プレート11a,11bが高さ方向zに伸びて先端連結キャップ12が、ライダ7bのレーザが出射される回転面よりも上方に配置されていても、ライダ7bから出射されるレーザが長尺プレート11a,11bにより妨げられることを低減させることができ、その分、ライダ7bによって周辺の障害物等を検出することができる。
【0028】
図3の3A及び3Bと
図4とに示すように、中間連結キャップ8は、先端連結キャップ12及び磁力発生部6との間で一対の長尺プレート11a,11bを連結する構成を有し、一対の巻尺部10a,10bによりそれぞれ長尺プレート11a,11bが巻き取られていったときに磁力発生部6に当接して位置決めされる。中間連結キャップ8は、磁性体8aが設けられたキャップ本体8bを有し、これら磁性体8a及びキャップ本体8bの図示しない貫通孔に一対の長尺プレート11a,11bが連結した状態で挿通される。
【0029】
中間連結キャップ8は、連結した状態で一対の長尺プレート11a,11bが貫通孔に挿通されることにより、一対の長尺プレート11a,11bが互いに離間する方向に働く力が貫通孔内に生じ、当該貫通孔内に一対の長尺プレート11a,11bが保持される。これにより、中間連結キャップ8は、磁力等の外力が与えられていない状態では一対の長尺プレート11a,11bによる保持力によって、往復直線運動する一対の長尺プレート11a,11bとともに移動可能な構成を有している。
【0030】
また、中間連結キャップ8は、一対の巻尺部10a,10bによりそれぞれ長尺プレート11a,11bが巻き取られていったときに当該磁性体8aが磁力発生部6と当接するように、キャップ本体8bに磁性体8aが設けられている。本実施形態に係る中間連結キャップ8は、一対の巻尺部10a,10bによりそれぞれ長尺プレート11a,11bが巻き取られ、
図3の3Bに示すように、先端連結キャップ12がスイッチ21aに近づく方向に移動した際、当該先端連結キャップ12の接触部21bがスイッチ21aに当接するように、厚みや幅方向の大きさが選定されている。
【0031】
中間連結キャップ8は、先端連結キャップ12がスイッチ21aに当接してロータリーエンコーダ19において先端連結キャップ12の位置が基準位置として設定された際、当該先端連結キャップ12を介して磁力発生部6に向けて押され、当該磁力発生部6と当接した状態となる。
【0032】
磁力発生部6は、
図3の3Bに示すように、例えば、先端連結キャップ12がスイッチ21aに当接してロータリーエンコーダ19において先端連結キャップ12の最端移動位置が基準位置として設定されると通電して磁力を発生させ、当該磁力によって中間連結キャップ8の磁性体8aと連結する。
【0033】
これにより、中間連結キャップ8は、その後、
図3の3Aに示すように、一対の巻尺部10a,10bからそれぞれ長尺プレート11a,11bが引き出されてゆき、先端連結キャップ12がスイッチ21aから離反する方向に一対の長尺プレート11a,11bが伸びていっても、当該一対の長尺プレート11a,11bとともに移動することなく、磁力により磁力発生部6と連結した状態を維持し得る。
【0034】
磁力発生部6は、一対の長尺プレート11a,11bが往復直線運動を行う際、基準位置から先端連結キャップ12が所定距離未満の位置にあるときまでは通電が行われ磁力を発生し続ける。これにより、中間連結キャップ8は、基準位置から先端連結キャップ12が所定距離未満の位置にあるときまでは一対の長尺プレート11a,11bとともに移動することなく、磁力により磁力発生部6と連結した状態を維持し続ける。
【0035】
これに対して、磁力発生部6は、
図4に示すように、一対の巻尺部10a,10bからそれぞれ長尺プレート11a,11bがさらに引き出されてゆき、先端連結キャップ12が基準位置であるスイッチ21aから所定距離以上離れた位置になると、通電が停止して磁力が消滅する。これにより、中間連結キャップ8は、貫通孔内で生じる一対の長尺プレート11a,11bが互いに離れる方向に働く力により、一対の長尺プレート11a,11bにより保持され、高さ方向zに伸びてゆく一対の長尺プレート11a,11bとともに移動し、磁力発生部6から離反する。
【0036】
このようにして、中間連結キャップ8は、一対の長尺プレート11a,11bが所定長さまで延出されてゆき自重による負荷が大きくなっても、当該負荷が大きくなる箇所で一対の長尺プレート11a,11bを連結して強度を向上させることができる。
【0037】
(2)<突出型リニアアクチュエータの全体構成>
次に、突出型リニアアクチュエータ5の全体構成について説明する。
図6に示すように、突出型リニアアクチュエータ5は、軽量なアルミニウムやアルミニウム合金等でなる板状の台座9と、台座9上に設けられた一対の巻尺部10a,10bと、同じく台座9上に設けられたプレート進退機構13と、重ね合わせた一対の長尺プレート11a,11bの自由端部に設けられた先端連結キャップ12と、先端連結キャップ12に設けられた電子機器7aと、基台2の天板2gに設けられたスイッチ21a及び磁力発生部6と、先端連結キャップ12及び磁力発生部6の間で一対の長尺プレート11a,11bを連結させる中間連結キャップ8と、を有する。
【0038】
一対の各巻尺部10a,10bは、内部に各長尺プレート11a,11bがそれぞれ渦巻状に巻装されており、台座9上に所定距離を設けて対向配置されている。各巻尺部10a,10bは、内部にゼンマイバネ等の弾性部材を備えており、当該弾性部材によって、巻尺部10a,10bにそれぞれ巻装された各長尺プレート11a,11bに、当該長尺プレート11a,11bを渦巻状に巻き取る方向の力(弾性復元力)を与えている。
【0039】
各巻尺部10a,10bは、長尺プレート11a,11bが出入りする出入口が対向して配置されており、出入口から延出した長尺プレート11a,11bが、当該出入口から、巻尺部10a,10b間に設けたプレート進退機構13に向けて台座9に沿って直線的に引き伸ばされている。また、巻尺部10a,10bは、台座9上において長尺プレート11a,11bが同一直線上の位置でそれぞれ延出されるように対向配置されている。
【0040】
巻尺部10a,10bの出入口から延出した長尺プレート11a,11bは、巻尺部10a,10b間に配置したプレート進退機構13で直角に折り曲げられ、プレート進退機構13によって自由端部同士が重ねられた状態でそのまま高さ方向zに向けて延出される。
【0041】
ここで、長尺プレート11a,11bは、各巻尺部10a,10bからそれぞれ送り出されて外力が与えられない状態では直線状を成して移動可能な程度の剛性を有しており、さらに、プレート進退機構13で略直角に折り曲げられ、かつ、巻尺部10a,10bにおいて渦巻状に巻き付けられる程度の弾性を有している。なお、本実施形態に係る各長尺プレート11a,11bは、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等の長尺の帯状金属プレートで形成しているが、本発明はこれに限らず、その他、帯状樹脂プレート等によって形成するようにしてもよい。
【0042】
本実施形態に係る長尺プレート11a,11bは、同一形状及び同一部材により形成されており、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状を有している。このように、長尺プレート11a,11bは、自由端部の断面を弓なり状に湾曲した形状にすることで、直線性の向上が図られているとともに、巻尺部10a,10b内での捲回性及びプレート進退機構13での折曲性の向上が図られている。また、長尺プレート11a,11bは、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状において、湾曲した表面の凹部面が外側に向けて配置され、湾曲した裏面の凸部面同士が互いに結合するように重ね合わせられて自由端部が先端連結キャップ12で連結されている。
【0043】
なお、巻尺部10a,10bからそれぞれ伸びる長尺プレート11a,11bの自由端部をプレート進退機構13で略直角に折り曲げるが、ここで「略直角」とは、長尺プレート11a,11bが延在する長手方向(ここではx方向)を基準として、例えば、70°以上110°以下の範囲内の角度が望ましく、この場合、これら方向に伸びる方向が高さ方向となる。
【0044】
プレート進退機構13は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属製部材で形成された筐体13a,13bを有しており、2つの長尺プレート11a,11bの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ当該自由端部同士を連結させるプレート連結部15が筐体13a,13bに設けられている。プレート連結部15には、一方のガイドローラ15aが一方の筐体13aに回転可能に設けられ、他方のガイドローラ15bが他方の筐体13bに回転可能に設けられている。また、プレート連結部15は、ガイドローラ15a,15bが所定の隙間を設けて対向配置された構成を備え、ガイドローラ15a,15b間の隙間を通過する長尺プレート11a,11bに対向するようにガイド板24を備えている。
【0045】
プレート連結部15は、x方向から同一直線上で対向するように延出されている一対の長尺プレート11a,11bを、ガイドローラ15a,15bによってそれぞれ略直角に折り曲げてガイドローラ15a,15b間の隙間を通して高さ方向zへと案内する。ガイドローラ15a,15b間の隙間において高さ方向zに向けて伸びる一対の長尺プレート11a,11bは、ガイド板24によって高さ方向zに向けて直線状に案内される。
【0046】
ガイドローラ15a,15bの上方には、当接ローラ18が一方の筐体13aに回転可能に設けられ、ローラ状のプレート駆動部17が他方の筐体13bに回転可能に設けられている。プレート駆動部17と当接ローラ18は、これらプレート駆動部17と当接ローラ18との間に長尺プレート11a,11bが通過可能なように隙間を設けて対向配置されている。
【0047】
ガイドローラ15a,15b間を通過した一対の長尺プレート11a,11bは、プレート駆動部17と当接ローラ18との間を通過するとともに、当該当接ローラ18によってプレート駆動部17に押し付けられている。これにより、長尺プレート11a,11bには、プレート駆動部17の回転駆動力が伝達される。
【0048】
プレート駆動部17は、正逆回転することにより生じる回転駆動力を長尺プレート11a,11bに与え、回転に連動させて長尺プレート11a,11bを高さ方向zに沿って往復直線運動させる。なお、本実施形態では、プレート駆動部17及び当接ローラ18の各外周面には、例えば、シリコーン系樹脂(シリコーンゴム)等のような弾性部材でなる環状体が設けられており、長尺プレート11a,11bの表面に環状体が接触することでプレート駆動部17及び当接ローラ18に対する長尺プレート11a,11bの摩擦力が高められ、プレート駆動部17の正逆回転に連動して長尺プレート11a,11bが進退し得るように構成されている。
【0049】
プレート駆動部17及び当接ローラ18の上方には、ロータリーエンコーダ19が一方の筐体13aに回転可能に設けられ、当接ローラ20が他方の筐体13bに回転可能に設けられている。ロータリーエンコーダ19と当接ローラ20は、これらロータリーエンコーダ19と当接ローラ20との間に長尺プレート11a,11bが通過可能なように隙間を設けて対向配置されている。
【0050】
ロータリーエンコーダ19は、長尺プレート11a,11bの高さ方向zへの移動に連動して正逆回転し、この際に生じる回転方向及び回転数に基づいて、設定された基準位置からの先端連結キャップ12の高さ方向zの位置を計測し、得られた計測結果を演算処理装置4に出力する。なお、本実施形態では、ロータリーエンコーダ19の外周面には、弾性部材でなる環状体が設けられており、長尺プレート11aの表面に環状体が接触することでロータリーエンコーダ19に対する長尺プレート11aの摩擦力が高められ、長尺プレート11a,11bの進退に連動してロータリーエンコーダ19が確実に正逆回転し得るように構成されている。
【0051】
なお、本実施形態では、例えば、他方の筐体13bに調整長孔22aを有し、一方の筐体13aに対して、調整長孔22aの長さでx方向に他方の筐体13bを移動可能に構成されている。これにより、作業者等によって長尺プレート11a,11bの設置作業が行われる際は、一方の筐体13aに対して他方の筐体13bを調整長孔22aの長さだけ遠ざけるように移動させ、筐体13a,13b間に形成された隙間に高さ方向zに沿って長尺プレート11a,11bを配置させる。
【0052】
この状態で他方の筐体13bを調整長孔22aに沿って一方の筐体13aに近づけてゆき、ガイドローラ15a,15b間と、プレート駆動部17及び当接ローラ18間と、ロータリーエンコーダ19及び当接ローラ20間とに、それぞれ長尺プレート11a,11bを挟持させ、調整長孔22aに調整ネジ22bを螺着させることにより、他方の筐体13bの位置を固定する。これにより、プレート進退機構13は、プレート駆動部17の正逆回転に連動して長尺プレート11a,11bを昇降させることができるとともに、長尺プレート11a,11bの進退に連動してロータリーエンコーダ19を正逆回転させることができる。
【0053】
略直角に折り曲げられて重ね合わせられる2つの長尺プレート11a,11bの自由端部には、キャップ状の先端連結キャップ12が被着されている。先端連結キャップ12は、上側の表面に電子機器7aが固定され、下側の裏面に接触部21bが設けられた構成を有し、
図3の3Bに示したように、下降して最端移動位置まで到達したときに、天板2gに設けたスイッチ21aが当該接触部21bに当接して当該接触部21bで当該スイッチ21aを押下する。
【0054】
このとき、中間連結キャップ8は、天板2gに設けた磁力発生部6に当接しており、スイッチ21aが先端連結キャップ12により押下されることにより磁力発生部6に生じた磁力により当該磁力発生部6と連結して位置決めされる。これにより、中間連結キャップ8は、その後、
図3の3Aに示すように、先端連結キャップ12がスイッチ21aから離反する方向に一対の長尺プレート11a,11bが伸びていっても、当該一対の長尺プレート11a,11bとともに移動することなく、磁力により磁力発生部6に連結した状態を維持し得る。
【0055】
突出型リニアアクチュエータ5は、一対の長尺プレート11a,11bが往復直線運動することにより回転するロータリーエンコーダ19に基づいて先端連結キャップ12の位置を特定し得、先端連結キャップ12が基準位置から所定距離以上離れたことがロータリーエンコーダ19の回転方向や回転数を基に検出されると、磁力発生部6への通電を停止して磁力を消滅させる。
【0056】
これにより、中間連結キャップ8は、先端連結キャップ12が基準位置から所定距離以上離れたときに、中間連結キャップ8で生じる一対の長尺プレート11a,11bによる離間方向への保持力によって、一対の長尺プレート11a,11bとともに中間連結キャップ8が移動して磁力発生部6から離反する。かくして、一対の長尺プレート11a,11bは、磁力発生部6から離れる方向に向けて長く延出されていっても、中間連結キャップ8で連結された状態が維持され、長尺プレート11a,11bが離間することが防止されている。
【0057】
(3)<自走式ロボットの回路構成>
次に自走式ロボット1の回路構成について説明する。
図7に示すように、自走式ロボット1には、演算処理装置4と走行制御装置3dと操作部35と突出型リニアアクチュエータ5とが設けられており、演算処理装置4により走行制御装置3dと突出型リニアアクチュエータ5とが統括的に制御されている。演算処理装置4は、自走式ロボット1を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)構成の制御部31が設けられ、制御部31に対して、現在位置検出部32、送受信部33及び信号生成部34が接続された構成を有する。
【0058】
なお、
図7ではライダ7b及び撮像センサ7cは図示していないが、これらライダ7b及び撮像センサ7cは、基台2の周辺環境を観測し、観測により得られた2次元情報及び3次元情報を検出信号として演算処理装置4や走行制御装置3dに出力する。これにより、走行制御装置3dは、検出信号に基づいて車輪3a,3b,3cの駆動を制御し、基台2の周辺で検出した障害物を回避する回避動作等を実行させる。
【0059】
制御部31は、操作部35が操作されて電源が投入されると、現在位置検出部32や、送受信部33、信号生成部34、走行制御装置3d、突出型リニアアクチュエータ5等の各回路部に起動信号を出力し、当該起動信号に基づいて各回路部を起動させる。そして、制御部31は、送受信部33を介して受信した、外部装置からの各種命令に応じて、自走式ロボット1全体を制御し、各種機能を実現する。
【0060】
例えば、制御部31は、送受信部33を介して受信した走行情報と、現在位置検出部32で取得した自走式ロボット1の現在位置情報とに基づいて走行制御装置3dを制御し、走行制御装置3dにより車輪3a,3b,3cを駆動させて自走式ロボット1を屋内の定められた経路に沿って所定領域を自律的に走行させる。
【0061】
突出型リニアアクチュエータ5は、突出型リニアアクチュエータ5を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)構成のアクチュエータ制御部37が設けられており、このアクチュエータ制御部37に対して、電子機器7aとプレート駆動部17とロータリーエンコーダ19とスイッチ21aとが接続された構成を有する。アクチュエータ制御部37は、演算処理装置4から受け取った起動信号に基づいてプレート駆動部17を起動させ、初動動作として当該プレート駆動部17により一対の長尺プレート11a,11bを巻尺部10a,10bにそれぞれ巻き取らせ、スイッチ21aで押下信号が得られるまで先端連結キャップ12を下降させる。
【0062】
スイッチ21aは、先端連結キャップ12が最端移動位置まで移動して接触部21bにより押下されたことを示す押下信号を検出すると、当該押下信号をプレート駆動部17、ロータリーエンコーダ19及び通電制御部36に出力する。これにより、プレート駆動部17は、スイッチ21aからの押下信号に基づいて停止して長尺プレート11a,11bの下降を終了し、ロータリーエンコーダ19は、スイッチ21aからの押下信号に基づいて、先端連結キャップ12の高さ方向zでの現在位置を最端移動位置であるとして基準位置に設定する。また、通電制御部36は、スイッチ21aからの押下信号に基づいて、磁力発生部6に通電を開始し、磁力発生部6に磁力を発生させる。
【0063】
その後、突出型リニアアクチュエータ5は、演算処理装置4からの制御信号に基づいてプレート駆動部17を正逆回転させて長尺プレート11a,11bを進退させるとともに、長尺プレート11a,11bの進退に連動して正逆回転するロータリーエンコーダ19の回転方向及び回転数に基づいて、設定された基準位置からの先端連結キャップ12の高さ方向zの位置を計測し、得られた計測結果を演算処理装置4の信号生成部34に出力する。
【0064】
ロータリーエンコーダ19は、直線運動する長尺プレート11a,11bに連動して回転し、回転数に基づいて長尺プレート11a,11bが所定距離以上延出されて先端連結キャップ12が基準位置から所定距離以上離れたことを検出すると、当該検出結果を通電制御部36に出力する。通電制御部36は、ロータリーエンコーダ19の検出結果に基づいて磁力発生部6への通電を停止し、磁力発生部6の磁力を消滅させる。
【0065】
なお、ロータリーエンコーダ19は、その後、一対の長尺プレート11a,11bがプレート駆動部17により巻尺部10a,10bにそれぞれ巻き取られ、一対の長尺プレート11a,11bが所定距離以内の長さになり、先端連結キャップ12が基準位置から所定距離以内に位置したことを検出すると、当該検出結果を通電制御部36に出力する。通電制御部36は、ロータリーエンコーダ19からの当該検出結果に基づいて、再び磁力発生部6に通電を開始し、磁力発生部6に磁力を発生させる。これにより、通電制御部36は、一対の長尺プレート11a,11bとともに移動していた中間連結キャップ8が、磁力発生部6に近接した際に、当該磁力発生部6で発生している磁力によって中間連結キャップ8を磁力発生部6と連結させることができる。
【0066】
信号生成部34は、突出型リニアアクチュエータ5のロータリーエンコーダ19から得られた先端連結キャップ12の位置を示す高さ情報を取得するとともに、このときの自走式ロボット1の現在位置情報と、電子機器7aから得られた各種検出信号とを取得する。信号生成部34は、現在位置検出部32から取得した自走式ロボット1の現在位置情報と、突出型リニアアクチュエータ5のロータリーエンコーダ19から取得した電子機器7aの高さ情報と、電子機器7aから取得した検出信号とを対応付けた計測データを生成し、得られた計測データを送受信部33により外部装置に送信する。外部装置は、自走式ロボット1から受信した計測データを各種情報処理に活用することができる。
【0067】
(4)<作用及び効果>
以上の構成において、自走式ロボット1は、一対の巻尺部10a,10bから長尺プレート11a,11bを引き出させ、又は、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bを巻き取らせて、先端連結キャップ12を進退させる突出型リニアアクチュエータ5を備える。突出型リニアアクチュエータ5は、先端連結キャップ12及び磁力発生部6の間で一対の長尺プレート11a,11bを連結する中間連結キャップ8を有し、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bをそれぞれ巻き取らせていったときに中間連結キャップ8を磁力発生部6に当接させて位置決めする。
【0068】
また、中間連結キャップ8は、磁力発生部6に発生した磁力により磁力発生部6に結合可能な構成を有し、当該磁力発生部6への通電が制御されることで、一対の長尺プレート11a,11bが所定距離以上伸びると、一対の長尺プレート11a,11bとともに移動して磁力発生部6から離反する。
【0069】
このように、突出型リニアアクチュエータ5では、先端連結キャップ12と磁力発生部6との間に設けた中間連結キャップ8によって一対の長尺プレート11a,11bを連結し、磁力発生部6の通電を制御することで中間連結キャップ8を一対の長尺プレート11a,11bとともに移動させて磁力発生部6から自由に離反させるようにしたことで、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【0070】
また、突出型リニアアクチュエータ5は、認識部となるスイッチ21aにより最端移動位置に位置決めされたときの先端連結キャップ12の位置を基準位置として設定し、当該基準位置からの先端連結キャップ12の位置をロータリーエンコーダ19によって検出する。突出型リニアアクチュエータ5は、先端連結キャップ12が基準位置に位置するときに、磁力発生部6への通電を開始して磁力を発生させることができ、中間連結キャップ8を磁力発生部6に磁力により連結させることができる。
【0071】
また、突出型リニアアクチュエータ5は、スイッチ21aにより最端移動位置に位置決めされたときの先端連結キャップ12の位置を基準位置として設定し、当該基準位置からの先端連結キャップ12の位置を検出することができるので、移動する先端連結キャップ12の位置を基準位置から正確に特定することができる。
【0072】
(5)<他の実施形態>
(5-1)<他の実施形態における先端連結キャップの基準位置の設定手法>
上述した実施形態においては、一対の巻尺部に長尺プレートを巻き取らせていったときに先端連結キャップが最端移動位置に位置決めされたことを認識する認識部として、例えば、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bを巻き取らせていったときに先端連結キャップ12が当接して押下されることで最端移動位置に位置決めされたことを認識するスイッチ21aを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、他の認識部としては、ロータリーエンコーダ19の回転状況と、プレート駆動部17の駆動状況とに基づいて、先端連結キャップ12が最端移動位置に到達したことを認識する認識部を適用してもよい。
【0073】
この場合、認識部は、プレート駆動部17からの駆動信号に基づいてプレート駆動部17の駆動状況を認識するとともに、ロータリーエンコーダ19の回転信号に基づいてロータリーエンコーダ19の回転状況を認識する。プレート駆動部17は、長尺プレート11a,11bを下降させることにより先端連結キャップ12を最端移動位置まで移動させると、プレート駆動部17が駆動信号に基づいて駆動していても先端連結キャップ12が天板2gに当接するため、長尺プレート11a,11bや先端連結キャップ12の移動が停止する。このため、ロータリーエンコーダ19は、長尺プレート11a,11bの移動が停止することにより回転が停止し、回転信号が生成されることはない。
【0074】
認識部は、プレート駆動部17からの駆動信号を検出するものの、ロータリーエンコーダ19から回転信号を検出できない場合、先端連結キャップ12が最端移動位置まで到達して先端連結キャップ12が天板2gに当接していると認識し、得られた認識結果をロータリーエンコーダ19に出力する。これにより、ロータリーエンコーダ19は、認識部から取得した認識結果に基づいて、最端移動位置に位置決めされた現時点の先端連結キャップ12の位置を基準位置として設定し、当該基準位置からの先端連結キャップ12の位置を検出する。
【0075】
このような突出型リニアアクチュエータであっても、上述した実施形態と同様に、認識部により最端移動位置に位置決めされたときの先端連結キャップ12の位置を基準位置として設定し得、当該基準位置からの先端連結キャップ12の位置を検出することができるので、磁力発生部6への通電の開始及び停止や、先端連結キャップ12の位置を正確に測定することができる。
【0076】
(5-2)<複数の中間連結キャップを設けた構成>
上述した実施形態においては、一対の長尺プレート11a,11bに1つの中間連結キャップ8を設けた構成について説明したが、本発明はこれに限らず、一対の長尺プレート11a,11bに複数の中間連結キャップを設けた構成としてもよい。
【0077】
図8の8A及び8Bは、一対の長尺プレート11a,11bに3つの中間連結キャップ8,65,66を設けた構成を示す概略図である。ここでは、上述した実施形態の中間連結キャップ8を第1中間連結キャップ8と称し、第1中間連結キャップ8が位置決めされる磁力発生部6を第1磁力発生部6と称して以下説明する。
【0078】
この場合、第1中間連結キャップ8と先端連結キャップ12との間の一対の長尺プレート11a,11bには、第1中間連結キャップ8から先端連結キャップ12に向けて、一対の長尺プレート11a,11bを連結する第2中間連結キャップ65及び第3中間連結キャップ66が順番に配置されている。また、天板2gの表面には、第2中間連結キャップ65及び第3中間連結キャップ66に対応して、通電の有無により磁力が発生又は消滅する第2磁力発生部62a及び第3磁力発生部62bが設けられている。
【0079】
第2磁力発生部62aは、第1磁力発生部6の外側面側の天板2gの表面に基台部61aを介して設けられており、一対の長尺プレート11a,11bに設けられた第2中間連結キャップ65が第1中間連結キャップ8上に位置決めされた際に、第2中間連結キャップ65の磁性体65aに当接可能な構成を有する。本実施形態に係る第2磁力発生部62aは、通電時に磁力を発生させ、当該磁力により第2中間連結キャップ65の磁性体65aと連結可能となり、非通電時に磁力を消滅させて第2中間連結キャップ65の磁性体65aと非連結状態となる。
【0080】
第2中間連結キャップ65は、キャップ本体65bに貫通孔を有し、当該貫通孔に一対の長尺プレート11a,11bが通されることにより、一対の長尺プレート11a,11bが互いに離間する方向に働く力が貫通孔内に生じ、当該貫通孔内に一対の長尺プレート11a,11bが保持される。また、第2中間連結キャップ65は、キャップ本体65bの側面に磁性体65aが設けられており、第1中間連結キャップ8上に位置決めされた際に、当該磁性体65aが側面に位置する第2磁力発生部62aにのみ当接する。
【0081】
第3磁力発生部62bは、第2磁力発生部62aを避けて第1磁力発生部6の外側面側の天板2gの表面に基台部61bを介して設けられており、一対の長尺プレート11a,11bに設けられた第3中間連結キャップ66が第2中間連結キャップ65上に位置決めされた際に、第3中間連結キャップ66の磁性体66aに当接可能な構成を有する。本実施形態に係る第3磁力発生部62bは、通電時に磁力を発生させ、当該磁力により第3中間連結キャップ66の磁性体66aと連結可能となり、非通電時に磁力を消滅させて第3中間連結キャップ66の磁性体66aと非連結状態となる。
【0082】
第3中間連結キャップ66は、キャップ本体66bに貫通孔を有し、当該貫通孔に一対の長尺プレート11a,11bが通されることにより、一対の長尺プレート11a,11bが互いに離間する方向に働く力が貫通孔内に生じ、当該貫通孔内に一対の長尺プレート11a,11bが保持される。また、第3中間連結キャップ66は、キャップ本体66bの側面に磁性体66aが設けられており、第2中間連結キャップ65上に位置決めされた際に、当該磁性体66aが側面に位置する第3磁力発生部62bにのみ当接する。
【0083】
この場合、第3中間連結キャップ66は、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bが巻き取られて、基準位置から先端連結キャップ12が所定の第1距離未満の位置にあるときは、通電により第3磁力発生部62bに発生する磁力によって第3磁力発生部62bに結合する。その後、第3中間連結キャップ66は、一対の巻尺部10a,10bから長尺プレート11a,11bが引き出されて、基準位置から先端連結キャップ12が第1距離以上離れた位置になると、第3磁力発生部62bが非通電となり磁力が消滅されることで、一対の長尺プレート11a,11bとともに移動してゆき第3磁力発生部62bから離反する。
【0084】
そして、第2中間連結キャップ65は、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bが巻き取られて、基準位置から先端連結キャップ12が第1距離以上第2距離(ここで、第2距離は、第1距離<第2距離となる)未満の位置にあるときは、通電により第2磁力発生部62aに発生する磁力によって第2磁力発生部62aに結合する。その後、第2中間連結キャップ65は、一対の巻尺部10a,10bから長尺プレート11a,11bが引き出されて、基準位置から先端連結キャップ12が第2距離以上離れた位置になると、第2磁力発生部62aが非通電となり磁力が消滅されることで、一対の長尺プレート11a,11bとともに移動してゆき第2磁力発生部62aから離反する。
【0085】
第1中間連結キャップ8は、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bが巻き取られて、基準位置から先端連結キャップ12が第2距離以上第3距離(ここで、第3距離は、第2距離<第3距離となる)未満の位置にあるときは、通電により第1磁力発生部6に発生する磁力によって第1磁力発生部6に結合する。その後、第1中間連結キャップ8は、一対の巻尺部10a,10bから長尺プレート11a,11bがさらに引き出されて、基準位置から先端連結キャップ12が第3距離以上離れた位置になると、第1磁力発生部6が非通電となり磁力が消滅されることで、一対の長尺プレート11a,11bとともに移動してゆき第1磁力発生部6から離反する。
【0086】
このような突出型リニアアクチュエータでは、先端連結キャップ12と第1磁力発生部6との間に設けた第1中間連結キャップ8、第2中間連結キャップ65及び第3中間連結キャップ66によって一対の長尺プレート11a,11bを連結し、第1磁力発生部6、第2磁力発生部62a及び第3磁力発生部62bの通電をそれぞれ制御することで、第1中間連結キャップ8、第2中間連結キャップ65及び第3中間連結キャップ66を一対の長尺プレート11a,11bとともに適宜移動させて、第1磁力発生部6、第2磁力発生部62a及び第3磁力発生部62bからそれぞれ自由に離反させる。これにより、この突出型リニアアクチュエータでも、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を第1中間連結キャップ8、第2中間連結キャップ65及び第3中間連結キャップ66によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【0087】
なお、
図8の8A及び8Bに示す実施形態では、第1磁力発生部6、第2磁力発生部62a及び第3磁力発生部62bの高さを変えて配置し、それぞれ対応する第1中間連結キャップ8、第2中間連結キャップ65及び第3中間連結キャップ66にのみ当接するように構成したが、本発明はこれに限らない。例えば、、
図9の9A及び9Bに示すように、第1磁力発生部6及び第2磁力発生部68を同じ高さ位置に配置し、第1中間連結キャップ8及び第2中間連結キャップ69の形状を変えて、第1中間連結キャップ8及び第2中間連結キャップ69がそれぞれ対応する第1磁力発生部6及び第2磁力発生部68にのみ当接するようにしてもよい。
【0088】
この場合、天板2gの表面には、第1磁力発生部6と第2磁力発生部68とが、一対の長尺プレート11a,11bが突出する貫通孔2hの周囲に配置されている。第1中間連結キャップ8は、一対の長尺プレート11a,11bが挿通される磁性体8a及びキャップ本体8bを備え、磁性体8aが第1磁力発生部6と当接可能に設けられている。
【0089】
第2中間連結キャップ69は、一対の長尺プレート11a,11bが挿通される断面L字状のキャップ本体69bを備え、キャップ本体69bの凹み領域に第1中間連結キャップ8が収納可能に形成されている。また、第2中間連結キャップ69は、第1中間連結キャップ8が収納可能な空間を形成するキャップ本体69bの突出部先端に磁性体69aが配置され、第1中間連結キャップ8を避けて第2磁力発生部68に磁性体69aが当接可能に形成されている。
【0090】
以上のような構成においても、先端連結キャップ12と、第1磁力発生部6及び第2磁力発生部68との間に設けた第1中間連結キャップ8及び第2中間連結キャップ69によって一対の長尺プレート11a,11bを連結し、第1磁力発生部6及び第2磁力発生部69の通電をそれぞれ制御することで、第1中間連結キャップ8及び第2中間連結キャップ69を一対の長尺プレート11a,11bとともに適宜移動させて、第1磁力発生部6及び第2磁力発生部69からそれぞれ自由に離反させることができる。
【0091】
(5-3)<複数の巻尺部を備えた突出型リニアアクチュエータ>
上述した実施形態においては、一対の巻尺部10a,10bを対向配置し、巻尺部10a,10bから引き出された長尺プレート11a,11bを、先端連結キャップ12及び中間連結キャップ8で連結した構成について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、3つや4つ等の複数の巻尺部を配置し、各巻尺部からそれぞれ引き出された複数の長尺プレートを、先端連結キャップ及び中間連結キャップで連結した構成としてもよい。
【0092】
ここで、
図10は、上述した一対の巻尺部10a,10bを第1巻尺部10a及び第2巻尺部10bとし、さらに他の一対の巻尺部として第3巻尺部10c及び第4巻尺部10dを設けた他の実施形態の構成を示す概略図である。第3巻尺部10c及び第4巻尺部10dは、第1巻尺部10a及び第2巻尺部10bと同じ構成でなり、それぞれ長尺プレート11c,11dが出入りする出入口が対向して配置されている。
【0093】
第3巻尺部10c及び第4巻尺部10dの出入口から延出した長尺プレート11c,11dは、当該出入口から、第3巻尺部10c及び第4巻尺部10d間に設けた第2プレート進退機構(図示せず)に向けて直線的に引き伸ばされている。第3巻尺部10c及び第4巻尺部10dは、台座上において長尺プレート11c,11dが同一直線上の位置でそれぞれ延出されるように対向配置されている。
【0094】
この場合、突出型リニアアクチュエータは、上述した実施形態のプレート連結部15を第1プレート連結部15とし、第1プレート連結部15と同一構成の第2プレート連結部(図示せず)を備える。第2プレート連結部は、第3巻尺部10c及び第4巻尺部10dからそれぞれ伸びる他の長尺プレート11c、11dの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、他の一対の長尺プレート11c,11dの自由端部同士を連結させ、そのまま高さ方向zに向けて延出させる。
【0095】
また、この突出型リニアアクチュエータでは、上述した実施形態のプレート駆動部17を第1プレート駆動部17とし、当該第1プレート駆動部17と同一構成の第2プレート駆動部(図示せず)を備える。第2プレート駆動部は、第2プレート連結部に設けられ、第1プレート駆動部17と連動して、他の一対の第3巻尺部10c及び第4巻尺部10dから他の長尺プレート11c,11dを引き出させ、又は、他の一対の第3巻尺部10c及び第4巻尺部10dに他の長尺プレート11c,11dを巻き取らせて、一対の長尺プレート11a,11bとともに、他の一対の長尺プレート11c,11dを往復直線運動させる。
【0096】
先端連結キャップ12(図示せず)は、第1巻尺部10aから引き出された第1長尺プレート11aと、第2巻尺部10bから引き出された第2長尺プレート11bと、第3巻尺部10cから引き出された第3長尺プレート11cと、第4巻尺部10dから引き出された第4長尺プレート11dと、を連結する。なお、かかる構成に加えて、
図11及び
図12の12Aに示すように、中間連結キャップ71は、先端連結キャップ12と磁力発生部6(図示せず)との間で第1長尺プレート11a、第2長尺プレート11b、第3長尺プレート11c及び第4長尺プレート11dとを連結する。
【0097】
本実施形態に係る中間連結キャップ71は、磁力発生部6と当接可能な磁性体71aが設けられたキャップ本体71bを有し、上述した実施形態と同様に、磁力発生部6の通電を制御することで第1長尺プレート11a、第2長尺プレート11b、第3長尺プレート11c及び第4長尺プレート11dとともに移動させて磁力発生部6から自由に離反する構成を有する。これにより、このような構成であっても、往復直線運動する際の第1長尺プレート11a、第2長尺プレート11b、第3長尺プレート11c及び第4長尺プレート11dの強度を中間連結キャップ71によって向上し得、第1長尺プレート11a、第2長尺プレート11b、第3長尺プレート11c及び第4長尺プレート11dを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【0098】
なお、
図12の12Bに示すように、第1長尺プレート11a、第2長尺プレート11b、第3長尺プレート11c及び第4長尺プレート11dで囲まれた領域ER1には、例えば、先端連結キャップ12に設けられた電子機器7a(
図1)と電気的に接続される配線75が配置させることもできる。
【0099】
(5-4)<他の実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ>
上述した実施形態においては、一対の巻尺部10a,10bの間の所定位置にプレート進退機構13を固定させた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、一対の巻尺部10a,10bの間に、プレート進退機構13を往復直線運動可能に設ける構成としてもよい。
【0100】
ここで、
図13の13A及び13Bは、高さ方向zと直交するx方向において、プレート進退機構13が一対の巻尺部10a,10bの間を往復直線運動可能に設けられている自走式ロボット1aの全体構成を示す。この場合、自走式ロボット1aに設けた突出型リニアアクチュエータ5aは、プレート連結部15とプレート駆動部17とロータリーエンコーダ19とが設けられたプレート進退機構13が、一対の巻尺部10a,10bの間に設けられたガイドフレーム46に沿って往復直線運動する。
【0101】
ガイドフレーム46は、軽量なアルミニウムやアルミニウム合金等によって形成されており、両側面には長手方向(x方向)に一直線状に伸びるガイド溝(図示せず)がそれぞれ形成されている。プレート進退機構13は、ガイドフレーム46の各ガイド溝に沿って転動可能な複数のローラ50を備え、ローラ50によってガイドフレーム46に沿ってx方向に往復直線運動可能に支持されている。
【0102】
突出型リニアアクチュエータ5aには、プレート進退機構13をガイドフレーム7に沿ってx方向に往復直線運動させるスライド駆動部(図示せず)が設けられており、スライド駆動部に設けられたモータや、当該モータとプレート進退機構13とを連動させるタイミングベルト等によりモータの動力をプレート進退機構13に伝える。これにより、プレート進退機構13は、スライド駆動部の駆動力によりガイドフレーム46に沿って一対の巻尺部10a,10bの間を往復直線運動する。
【0103】
突出型リニアアクチュエータは、一対の長尺プレート11a,11bが挿通される連結板25aがプレート進退機構13に設けられ、当該プレート進退機構13とともにx方向に往復直線運動する。この連結板25aには、スイッチ21aと磁力発生部6が配置されている。
【0104】
以上の構成においても、突出型リニアアクチュエータ5aでも、先端連結キャップ12と磁力発生部6との間に設けた中間連結キャップ8によって一対の長尺プレート11a,11bを連結し、磁力発生部6の通電を制御することで中間連結キャップ8を一対の長尺プレート11a,11bとともに移動させて磁力発生部6から自由に離反させることができ、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【0105】
(5-5)<その他>
なお、上述した実施形態においては、先端連結キャップ12を高さ方向zに沿って進退させる突出型リニアアクチュエータ5について説明したが、本発明はこれに限らず、突出型リニアアクチュエータ5の配置方向を変えて、先端連結キャップ12をx方向やy方向に沿って進退させる突出型リニアアクチュエータとしてもよい。また、自走式ロボット1に複数の突出型リニアアクチュエータ5を設けるようにしてもよい。
【0106】
さらに、上述した実施形態においては、電子機器7aを先端連結キャップ12に設けるようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、各種スイッチを押下する形態を有した押圧子を先端連結キャップ12に設けるようにしてもよい。
【0107】
また、電子機器7aとしては、基台2の周辺環境のCO2濃度を観測し、観測により得られた情報に基づいてCO2濃度の計測値を示す検出信号を出力する電子機器7aの他、その他のガスセンサや、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、放射線センサ、近接センサ、磁気センサ、撮像センサ、気圧センサ、加速度センサ、騒音センサ又は音響センサのいずれかを電子機器7aに設置してもよい。また、上述した実施形態のライダ7b又は撮像センサ7cを、電子機器7aとして先端連結キャップ12に設置してもよく、また、電子機器7a、ライダ7b及び撮像センサ7c等の複数の電子機器7aを先端連結キャップ12に設置するようにしてもよい。
【0108】
また、上述した実施形態においては、自走式ロボットとして、自律的に所定領域を走行する自走式ロボット1を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、管理者等による外部操作に応じて所定領域を走行する自走式ロボットを適用してもよい。この場合、突出型リニアアクチュエータ5についても、管理者等による外部操作に応じて電子機器7aを進退させるようにしてもよい。
【0109】
また、上述した実施形態においては、通電により磁力を発生させ、非通電により磁力を消滅させる磁力発生部6を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、非通電により磁力を発生させ、通電により磁力を消滅させる磁力発生部を適用してもよい。また、中間連結キャップ8の下面と当接する位置に磁力発生部6を配置した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、中間連結キャップ8の側面と当接する位置に磁力発生部6を配置してもよい。
【0110】
また、上述した実施形態においては、自走式ロボットに突出型リニアアクチュエータ5,5aを設けた例を説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所定場所に固定された検査装置や、カメラが設けられた情報処理装置、高所のスイッチ等を押下する押下装置、ロボットアームが設けられた製造装置、スクリーンが設けられたスクリーン装置等の各種装置にも本実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ5,5aを設けるようにしてもよい。例えば、当該検査装置に突出型リニアアクチュエータ5,5aを設けることで、センサを設けた先端連結キャップ12を高さ方向に進退させ当該センサで照度やガス濃度を計測する際に、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【0111】
所定の場所に設置した検査装置に突出型リニアアクチュエータ5,5aを設けた場合には、センサが設けられた先端連結キャップ12を所定方向に進退させ当該センサで照度や臭気、ガス濃度等を計測する際に、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。また、所定の場所に設置した情報処理装置に突出型リニアアクチュエータ5,5aを設けた場合には、カメラが設けられた先端連結キャップ12を所定方向に進退させ当該カメラにより撮像する際に、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。さらに、所定の場所に設置した押下装置に突出型リニアアクチュエータ5,5aを設けた場合には、押圧子が設けられた先端連結キャップ12を所定方向に進退させ当該押圧子により所定箇所のスイッチ等を押下する際に、往復直線運動する際の一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【0112】
図14は、先端連結キャップ12にロボットアーム91が設けられた、他の実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ90の構成を示す概略図である。突出型リニアアクチュエータ90は、一対の長尺プレート11a,11bが外部に延出する貫通孔2hが設けられた天板2kがプレート進退機構13に設けられ、天板2k上に磁力発生部6及びスイッチ21aが設けられている。スイッチ21aに当接可能な先端連結キャップ12には、例えば、ワーク等を把持可能なロボットアーム91が設けられている。これにより、突出型リニアアクチュエータ90は、一対の長尺プレート11a,11bを進退させることにより、ロボットアーム91を高さ方向z等に往復直線運動させることができる。
【0113】
このような突出型リニアアクチュエータ90でも、先端連結キャップ12と磁力発生部6との間に設けた中間連結キャップ8によって一対の長尺プレート11a,11bを連結し、磁力発生部6の通電を制御することで中間連結キャップ8を一対の長尺プレート11a,11bとともに移動させて磁力発生部6から自由に離反させるようにしたことで、ロボットアーム91を高さ方向z等に往復直線運動させて位置を移動させる際に、一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【0114】
また、
図15は、先端連結キャップ12にスクリーン95が設けられた、他の実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ94の構成を示す概略図である。スクリーン95は、先端連結キャップ12に横架された棒状のスクリーン支持部95aと、当該スクリーン支持部95aに設けられたシート状のスクリーンシート95bとを有し、スクリーン支持部95aから台座9に向けてスクリーンシート95bが垂下する構成を備える。なお、突出型リニアアクチュエータ94は、スクリーンシート95bを巻き取り可能な巻き取り機構を台座9に設け、スクリーン支持部95a及び巻き取り機構間にスクリーンシート95bを張架するようにしてもよい。この場合、突出型リニアアクチュエータ94は、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばして巻き取り機構からスクリーンシート95bを引き上げる。
【0115】
突出型リニアアクチュエータ94は、一対の長尺プレート11a,11bを進退させることにより、先端連結キャップ12に設けたスクリーン支持部95aを高さ方向zに往復直線運動させ、先端連結キャップ12及び台座9の間にスクリーンシート95bを展開及び畳み込み可能に構成されている。突出型リニアアクチュエータ94は、例えば、隣接する机間や椅子間に設置することでスクリーンシート95bをパーテンションとして使用し得、或いは、建物開口部に設置することでスクリーンシート95bを日よけや目隠し等として使用し得る。また、突出型リニアアクチュエータ94は、例えば、プロジェクタからの画像や映像をスクリーンシート95bに投影させることでスクリーン装置としても使用し得る。
【0116】
このような突出型リニアアクチュエータ94でも、先端連結キャップ12と磁力発生部6との間に設けた中間連結キャップ8によって一対の長尺プレート11a,11bを連結し、磁力発生部6の通電を制御することで中間連結キャップ8を一対の長尺プレート11a,11bとともに移動させて磁力発生部6から自由に離反させるようにしたことで、スクリーンシート95bを展開又は畳み込む際に、一対の長尺プレート11a,11bの強度を中間連結キャップ8によって向上し得、一対の長尺プレート11a,11bを伸ばしていっても直線性を維持させることができる。
【符号の説明】
【0117】
1,1a 自走式ロボット
5,5a,90,94 突出型リニアアクチュエータ
6 磁力発生部
8 中間連結キャップ
10a,10b 巻尺部
11a,11b 長尺プレート
12 先端連結キャップ
17 プレート駆動部
19 ロータリーエンコーダ(位置検出部)
21a スイッチ(認識部)