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▶ 辻 正敏の特許一覧

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  • 特開-共振を用いた整流回路 図1
  • 特開-共振を用いた整流回路 図2
  • 特開-共振を用いた整流回路 図3
  • 特開-共振を用いた整流回路 図4
  • 特開-共振を用いた整流回路 図5
  • 特開-共振を用いた整流回路 図6
  • 特開-共振を用いた整流回路 図7
  • 特開-共振を用いた整流回路 図8
  • 特開-共振を用いた整流回路 図9
  • 特開-共振を用いた整流回路 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069118
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】共振を用いた整流回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H02M7/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022190791
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】301079316
【氏名又は名称】辻 正敏
(72)【発明者】
【氏名】辻 正敏
(72)【発明者】
【氏名】井上 伊吹
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CA13
5H006CB03
5H006CC04
(57)【要約】
【課題】現在,無線通信における受信回路や電力伝送システムに用いるレクテナ等,あらゆる場面で整流回路が利用されている.特に微小電力入力時,整流回路においては電力変換効率が重要視される.しかし整流回路内に用いられるダイオードは,高周波帯における接合容量や端子間容量の影響で電力ロスを引き起こす.本発明は,ダイオードの持つ容量の影響を低減して,整流効率を高めるものである.
【解決手段】 検波ダイオードと並列にコイルと直流阻止コンデンサを接続する.ダイオードの容量とコイルで並列共振をさせて,高周波信号を接合容量に流れないようにする.また,直流阻止コンデンサの代わりにダイオードを使うこともできる.
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオードやその周辺に含まれるコンデンサを共振により取り除いた整流回路
【請求項2】
上記の回路において共振素子をローパスフィルタとして活用して出力を取り出した整流回路
【請求項3】
上記の回路において共振素子の直流阻止コンデンサをダイオードに置き換えた整流回路
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流回路の高周波領域における変換効率低下の対策に関するものである.
【背景技術】
【0002】
現在,無線通信における受信回路や電力伝送システムに用いるレクテナ等,あらゆる場面で整流回路が利用されている.特に微小電力入力時,整流回路においては電力変換効率が重要視される.整流回路内に用いられるダイオードは,高周波帯における接合容量の影響で電力ロスを引き起こす問題がこれまで指摘されていた[1],[2].
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】[1]南正孝,伊藤健,茂木進一,道平雅一,“無負荷Cockcroft-Walton回路における昇圧比減少の理論的解明”,電気学会論文誌D,pp.246―247,2016.
【非特許文献2】[2]南正孝,伊藤健,茂木進一,道平雅一,“ダイオードの接合容量を考慮したCockcroft-Walton回路における昇圧比および力率改善”,電気学会論文誌D,pp.991―996,2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は,ダイオードの等価回路である.ダイオードには接合容量Cjや端子間の浮遊容量Cpが素子間に含まれる.高い周波数になるとそれらの影響により,信号は整流されにくくなる.
【課題を解決するための手段】
【0005】
図2は,共振によりダイオードの寄生容量の影響を取り除いた回路である.検波ダイオードと並列にコイルL3と直流阻止コンデンサC5を接続する.
ダイオードの容量と接続したコイルで並列共振をさせて,高周波信号をダイオードの持つ容量に流れないようにする.直流阻止コンデンサは,整流された直流電圧がコイルを通って放電しないようにする働きがある.
【発明の効果】
【0006】
■測定条件
図3は,ダイオード評価回路である.ダイオードは,1N3611のモデルを用いる.L1は共振用のコイル,R1は信号源の出力インピーダンスである.V1は信号源(10MHz,振幅1V),XSC1は,オシロスコープである.入出力の波形を測定する.
【0007】
■測定結果
図4は,L1がないときのシミュレーション結果である.垂直メモリは1V/divである.L1がないときは,ダイオードの持つ容量のために出力信号は入力波形より小さくなる.
図5は,図3のダイオードに並列にL1を追加した回路である.L1は,接合容量と10MHzで共振させた値(2.5uH)に設定する.図5のL1の出力信号は,入力電圧と同程度まで大きくなる.
【0008】
■共振させた整流回路の実用例 シャント型
図6は,ダイオードシャント型の共振させた整合回路である.R1は信号源の出力インピーダンス,C1とC2は直流阻止コンデンサ,L1(2.5uH)は共振用のコイル,L2とC3はローパスフィルタ,R2は負荷である.
出力電圧のシミュレーション結果は,共振なしで直流0.32V,共振ありで直流0.64Vとなり,共振させた場合の方が,整流効率が良くなった.
■簡略された整流回路
図7は,図6の回路を簡略した回路である.
図7のL1とC1を図6のL2とC3として利用している.L1は,D1の容量を打ち消すための共振素子として利用するとともに,C1と組み合わせてLPFとして利用することで部品の削減をしている.
出力はC1とL1の中間より取り出す.
■共振させた整流回路の実用例 シリーズ型
図8はダイオードシリーズ型の共振させた整合回路である.
結果は,図4図5と同様である.
■直流阻止コンデンサをダイオードに置き換えた回路
図9は,図2の直流阻止コンデンサC6をダイオードD1に置き換えた回路である.図10は,図9の等価回路である.L1は,Cj2とCj1で共振する値に設定する.
コンデンサをダイオードに置き換えることにより,整流時にダイオードの電圧降下を小さくすることができるといったメリットがある.
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ダイオードの等価回路
図2】共振回路を追加したダイオード
図3】ダイオード評価回路
図4】シミュレーション結果 L1なし
図5】シミュレーション結果 L1あり
図6】共振回路を用いた整流回路(シャント型)
図7】簡略された整流回路
図8】共振回路を用いた整流回路(シリーズ型)
図9】直流阻止コンデンサをダイオードに置き換えた回路
図10】直流阻止コンデンサをダイオードに置き換えた回路の等価回路
【実施例0010】
実施例は,[0008]で述べている
【産業上の利用可能性】
【0011】
高周波用の検波回路やレクテナの整流回路の利用が考えられる。
【符号の説明】
【0012】
Cj 接合容量
Cp 浮遊容量
C5 直流阻止コンデンサ
L3 共振用コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10