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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069123
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】臨床支援システム、及び臨床支援装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20240514BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030013
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2022179492の分割
【原出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敦子
(72)【発明者】
【氏名】柴田 真理子
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克彦
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】患者の様々な側面に応じた診療を支援すること。
【解決手段】臨床支援システムは、取得部と、分析部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、患者に関連する患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報と、患者の会話が記録された会話情報とを取得する。前記分析部は、前記患者情報と、前記問診情報と、前記会話情報とを用いた分析処理により、患者の心理的側面及び社会的側面を示す患者特徴情報を生成する。前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に表示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関連する患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報と、患者の会話が記録された会話情報とを取得する取得部と、
前記患者情報と、前記問診情報と、前記会話情報とを用いた分析処理により、患者の心理的側面及び社会的側面を示す患者特徴情報を生成する分析部と、
前記患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に表示する表示制御部と、
を備える臨床支援システム。
【請求項2】
前記分析部は、前記心理的側面として前記患者の判断の傾向と、選好と、価値観との少なくとも何れかを一つを示す前記患者特徴情報を生成する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項3】
前記分析部は、前記社会的側面として前記患者の社会的背景、又は社会的環境の少なくとも何れかを一つを示す前記患者特徴情報を生成する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項4】
前記分析部は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面を示す前記患者特徴情報を生成し、
前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面を識別可能に表示する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項5】
前記分析部は、患者の心理的側面、及び社会的側面について事前に定められた分類項目ごとに分類した前記患者特徴情報を生成し、
前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、前記分類項目ごとに患者の心理的側面、及び社会的側面を表示する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面に経時的変化があることを表示する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、経時的変化した分析項目を対比可能に表示する、
請求項6に記載の臨床支援システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分析項目の発話時の感情を表示する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項9】
患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分析項目のうち、前記分析部に分析させる対象の前記分析項目である分析対象項目を指定する指定部を更に備え、
前記分析部は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの前記分析対象項目の前記患者特徴情報を生成する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記指定部により指定された前記分析対象項目のうち、前記患者特徴情報が生成されていない前記分析項目を表示する、
請求項9に記載の臨床支援システム。
【請求項11】
患者に関連する患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報と、患者の会話が記録された会話情報とを取得する取得部と、
前記患者情報と、前記問診情報と、前記会話情報とを用いた分析処理により、患者の心理的側面及び社会的側面を示す患者特徴情報を生成する分析部と、
前記患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に示す情報を生成する情報生成部と、
を備える臨床支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、臨床支援システム、及び臨床支援装置に関する。
【0002】
従来、医師などの医療従事者は、検査結果などの生物的側面に限らず、患者の社会的側面や心理的側面に基づいた、診療が求められている。そのため、医療従事者は、患者とのコミュニケーションにより心理的側面、及び社会的側面に関する情報を収集している。
【0003】
しかしながら、心理的側面、及び社会的側面に関する情報を収集することは困難な場合があり、更にこれら情報の全体を俯瞰しながら活用することは困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014-503894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、患者の様々な側面に応じた診療を支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る臨床支援システムは、取得部と、分析部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、患者に関連する患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報と、患者の会話が記録された会話情報とを取得する。前記分析部は、前記患者情報と、前記問診情報と、前記会話情報とを用いた分析処理により、患者の心理的側面及び社会的側面を示す患者特徴情報を生成する。前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る臨床支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る臨床支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、分析対象情報のデータ構成の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る患者分析画面の一例を示す説明図である。
図5図5は、本実施形態に係る臨床支援装置が実行する表示処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、変形例1に係る患者分析画面の一例を示す説明図である。
図7図7は、変形例8に係る中分類までの分類項目を示す第1分類画面の一例を示す図である。
図8図8は、変形例8に係る第2分類画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に関する臨床支援システム、及び臨床支援装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
(本実施形態)
医師などの医療従事者は、生物学的側面に限らず、患者の心理的側面や社会的側面に基づいた全人的医療が求められている。更に詳しくは、医療従事者は、画像診断による結果や臨床検査の結果などの生物学的側面だけで診療方針を決定するのではなく、様々な側面を含めて診療方針を決定することが求められている。
【0010】
例えば、生活習慣病などの慢性疾患の患者は、薬剤の投与だけの生物学的側面からの治療では治癒に至らない場合がある。例えば、腰痛の場合、医療従事者は、湿布薬の処方だけでなく、患者の仕事内容などの生活習慣に応じたアドバイスを行うことが好ましい。
【0011】
医療従事者は、薬剤の投与だけの治療よりも、生活習慣の改善を促す診療を実施した方が、一層の改善を期待することができる。また、患者は、患者の子供の有無や仕事の状態を含めて診療方針が決定されることで治療中や治療後もライフスタイルに合った治療を通してアドヒアランス(治療や服薬に対して患者が積極的に関わり、その決定に沿った治療を受けること)が向上し、より良い生活を行い、より良いアウトカムを得ることができる。さらに、患者は、患者自身の性格に応じた説明や治療が行われることにより安心して治療に専念することができる。
【0012】
このように、医療従事者は、生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面に基づいて、診療方針を決定することで、より良い医療を提供することができる。すなわち、医療従事者は、生物学的側面に限らず、心理的側面、及び社会的側面も含めた所謂全人的医療の提供が求められている。そして、医療従事者は、患者とのコミュニケーションにより心理的側面、及び社会的側面に関する情報を収集している。
【0013】
ところが、医療従事者は、自己研鑽と経験に基づいて、患者とのコミュニケーションを行っている。そして、医療従事者は、心理的側面、及び社会的側面に関する情報を収集することが困難な場合がある。また、医療従事者は、心理的側面、及び社会的側面に関する情報のうち、何れの情報を電子カルテなどに記録するかについても判断しなければならない。さらに、医療従事者は、これら情報を俯瞰しながら活用することが求められている。そこで、心理的側面、及び社会的側面等の患者の様々な側面に応じた診療を支援する技術が求められている。
【0014】
図1は、本実施形態に係る臨床支援システム1の構成の一例を示すブロック図である。臨床支援システム1は、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)10、放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)20、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)30、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)40、患者端末50、患者計測端末60、臨床支援装置70、及び表示装置80を備える。また、各システム及び各装置は、ネットワーク90を介して相互に通信可能に接続する。なお、図1に示す構成は、一例であり、各システム及び各装置の台数は任意に変更してもよい。また、図1に示されていない装置がネットワーク90に接続されていてもよい。
【0015】
病院情報システム10、放射線科情報システム20、医用画像管理システム30、及び臨床検査情報システム40は、例えば、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0016】
病院情報システム10は、電子カルテ情報11、及び問診情報12を記憶する。電子カルテ情報11は、患者の診療経過が記録された情報である。例えば、電子カルテ情報11は、患者を識別するための情報や、患者の年齢や性別や家族構成などの個人情報や、患者が罹患した病名や、処方された薬剤名や、治療期間などの情報を有している。問診情報12は、問診に対する患者の回答内容を示す情報である。例えば、問診情報12は、患者の現在の症状に対する回答や、患者の生活環境に対する回答や、患者の性格診断に対する回答を有している。
【0017】
放射線科情報システム20は、読影レポート情報21を記憶する。読影レポート情報21は、医用画像診断装置が撮像した画像情報31を読影した医師等による所見を有する情報である。
【0018】
医用画像管理システム30は、画像情報31を記憶する。画像情報31は、医用画像診断装置が撮像した画像を有している。医用画像診断装置は、例えばX線CT(Computed Tomography)装置や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、X線診断装置、超音波診断装置等の装置である。また、画像情報31は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則っている。
【0019】
臨床検査情報システム40は、臨床検査結果情報41、及び臨床検査レポート情報42を記憶する。臨床検査結果情報41は、臨床検査の結果が示された情報である。臨床検査レポート情報42は、臨床検査結果に対する所見を有する情報である。
【0020】
患者端末50は、患者が使用する端末である。患者端末50は、例えば、スマートフォンやタブレット端末やウェアラブル端末やパーソナルコンピュータにより実現される。また、患者端末50は、患者の会話が記録された会話情報51を記憶する。例えば、会話情報51は、医師や、看護師や、相談員などの医療従事者と患者との会話の情報である。また、会話情報51には、診療内容に関する会話に限らず、雑談が含まれていてもよい。具体的には、会話情報51は、会話を録音した音声情報や、音声をテキスト化した情報を有している。また、会話情報51は、会話を含む動画や静止画などの映像情報を有していてもよい。映像情報が含まれている場合、会話情報51は、患者の表情が分かる映像を有している。
【0021】
患者計測端末60は、患者のバイタルサインを計測する端末である。患者計測端末60は、例えば、ウェアラブル端末により実現される。患者計測端末60は、例えば、血圧、脈拍、体温、呼吸などのバイタルサインを計測する。また、患者計測端末60は、会話を記録しておいてもよい。そして、患者計測端末60は、バイタルサインの計測結果を有する個人健康情報61を記憶する。
【0022】
なお、患者計測端末60は、ウェアラブル端末に限らず、体脂肪計であってもよいし、活動量計であってもよいし、これら以外の装置であってもよい。また、患者計測端末60は、体脂肪を計測してもよいし、活動量を計測してもよいし、他の事項を計測してもよい。さらに、臨床支援システム1は、複数台の患者計測端末60を備えていてもよい。また、臨床支援システム1は、複数台の患者計測端末60のそれぞれの計測対象が異なっていてもよい。
【0023】
臨床支援装置70は、臨床において、医師などの医療従事者を支援する装置である。臨床支援装置70は、例えば、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。臨床支援装置70は、臨床支援システム1の各システムや装置から取得した情報に基づいて、患者の生物学的側面、社会的側面、心理的側面を分析する。また、臨床支援装置70は、患者の生物学的側面、社会的側面、心理的側面には属しない情報をその他の側面として分析する。また、臨床支援装置70は、患者の生物学的側面、社会的側面、心理的側面、その他の側面を示す情報を生成する。臨床支援装置70は、病院などの施設内に設置されていてもよいし、インターネット上のサーバであってもよい。
【0024】
表示装置80は、各種情報を表示可能な装置である。表示装置80は、パーソナルコンピュータやタブレット端末などのコンピュータ機器によって実現される。表示装置80は、臨床支援装置70により生成された各種情報を表示する。例えば、表示装置80は、患者分析画面G1(図4参照)を表示する。表示装置80は、表示制御部の一例である。
【0025】
医師などの医療従事者は、表示装置80に表示された画像を見ることにより、患者の社会的側面や心理的側面を把握することができる。よって、医療従事者は、患者の社会的側面や心理的側面に応じた治療方針を作成することができる。
【0026】
次に、臨床支援装置70について説明する。
【0027】
図2は、本実施形態に係る臨床支援装置70の構成の一例を示すブロック図である。臨床支援装置70は、NW(ネットワーク)インタフェース710と、入力インタフェース720と、ディスプレイ730と、記憶回路740と、処理回路750とを有する。
【0028】
NWインタフェース710は、処理回路750に接続され、ネットワーク90を介して接続された各装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、NWインタフェース710は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0029】
入力インタフェース720は、処理回路750に接続され、操作者(医療従事者)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路750に出力する。具体的には、入力インタフェース720は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路750に出力する。例えば、入力インタフェース720は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース720は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース720の例に含まれる。
【0030】
ディスプレイ730は、処理回路750に接続され、処理回路750から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ730は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0031】
記憶回路740は、処理回路750に接続され、各種データを記憶する。また、記憶回路740は、処理回路750が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路740は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0032】
記憶回路740は、分析対象情報741を記憶する。図3は、分析対象情報741のデータ構成の一例を示す図である。分析対象情報741は、臨床支援システム1の各システムや装置が取得した情報のうち、患者の生物学的側面、社会的側面、心理的側面、その他の側面として分析する対象が指定された情報である。
【0033】
分析対象情報741は、分類と、分析項目と、分析対象項目とが対応付けられている。分類は、生物学的側面、社会的側面、心理的側面、その他などの区分けである。生物学的側面は、患者の生物学的な側面を示す分類である。例えば、生物学的側面は、患者の各種検査結果や、疾患や、体調などの生物学的な分析項目が対応付けられる。また、生物学的側面は、生物学的な側面に限らず、身体的側面や医療的側面や病的側面に関する分析項目が対応付けられてもよい。心理的側面は、患者の心理的な側面を示す分類である。例えば、心理的側面には、患者の意向や性格などの心理的側面の分析項目が対応付けられる。また、心理的側面には、患者の感情状態が含まれてもよい。感情状態とは、鬱っぽい、怒りっぽい等の感情である。心理的側面には、余命を知りたいか否かを示す余命宣告や、治療に関する患者の選択肢の選び方を示す治療の選好や、患者の考えや価値観や、患者がどのような性格か、などが含まれていてもよい。社会的側面は、患者の社会的な側面を示す分類である。例えば、社会的側面には、仕事や人間関係や趣味や学歴などの社会的側面の分析項目が対応付けられる。その他は、生物学的側面、心理的側面、社会的側面の何れにも属しない分析項目が対応付けられる。分析項目は、患者を分析する項目である。分析対象項目は、分析項目を分析するか否かが設定された情報である。すなわち、臨床支援装置70は、分析対象項目で分析対象に設定された分析項目を分析する。また、図3に示す分析対象情報741の分類と、分析項目との対応付けは一例であって任意に変更してもよい。
【0034】
処理回路750は、臨床支援装置70全体の動作を制御する。処理回路750は、例えば、患者指定機能751、情報取得機能752、分析対象指定機能753、特徴分析機能754、及び情報生成機能755を有する。実施形態では、構成要素である患者指定機能751、情報取得機能752、分析対象指定機能753、特徴分析機能754、及び情報生成機能755にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路740へ記憶されている。処理回路750は、プログラムを記憶回路740から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路750は、図2の処理回路750内に示された各機能を有することになる。
【0035】
なお、図2においては単一のプロセッサにて、患者指定機能751、情報取得機能752、分析対象指定機能753、特徴分析機能754、及び情報生成機能755を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路750を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、図2においては、記憶回路740等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路750は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0036】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路740に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路740にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0037】
患者指定機能751は、治療方針を作成する対象の患者の指定を受け付ける。言い換えると、患者指定機能751は、患者の生物学的側面、社会的側面、及び心理的側面を分析する対象となる患者の指定を受け付ける。患者指定機能751は、例えば、表示装置80から患者の指定を受け付ける。例えば、患者指定機能751は、患者の氏名や、患者を識別するための患者コードなどの患者を特定可能な情報を受け付ける。または、患者指定機能751は、患者の一覧から選択されることにより患者の指定を受け付ける。
【0038】
情報取得機能752は、患者に関連する患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報12と、患者の会話が記録された会話情報51とを取得する。情報取得機能752は、取得部の一例である。ここで、患者情報は、電子カルテ情報11、読影レポート情報21、画像情報31、臨床検査結果情報41、臨床検査レポート情報42、及び個人健康情報61などの患者をモニタリングして得た情報である。例えば、情報取得機能752は、患者指定機能751により患者が指定された場合に、指定された患者の患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを取得する。
【0039】
分析対象指定機能753は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分析項目のうち、特徴分析機能754に分析させる対象の分析項目である分析対象項目を指定する。分析対象指定機能753は、指定部の一例である。すなわち、分析対象指定機能753は、分析対象情報741の分析対象項目を指定する。
【0040】
更に詳しくは、分析対象指定機能753は、情報取得機能752により取得された患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを用いて分析する分析対象の指定を受け付ける。例えば、分析対象指定機能753は、NWインタフェース710が受信した情報、又は入力インタフェース720が受け付けた操作により分析対象の指定を受け付ける。例えば、分析対象指定機能753は、NWインタフェース710を介して、表示装置80から分析対象の指定を受け付ける。そして、分析対象指定機能753は、指定された分析対象情報741の分析対象項目を分析対象に指定する。
【0041】
特徴分析機能754は、患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを用いた分析処理により、患者の生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面を示す患者特徴情報を生成する。特徴分析機能754は、分析部の一例である。分析処理とは、患者情報と、問診情報12と、会話情報51とから情報を抽出したり、判定したり、解析したり、新たに情報を生成したりする処理である。患者特徴情報は、生物学的側面、心理的側面、社会的側面、又はその他の側面における患者の特徴を示す情報である。また、患者特徴情報は、患者の生物学的側面、心理的側面、社会的側面、又はその他の側面のそれぞれの分析項目に対する分析結果である。
【0042】
ここで、特徴分析機能754は、心理的側面として患者の判断の傾向と、選好と、価値観との少なくとも何れかを一つを示す患者特徴情報を生成する。更に詳しくは、特徴分析機能754は、患者が物事を判断する時の判断の傾向や、患者がどのような選択肢を好んで選択するかを示す選好や、患者の判断基準となる価値観を示す患者特徴情報を生成する。
【0043】
また、特徴分析機能754は、社会的側面として患者の社会的背景と、社会的環境との少なくとも何れかを一つを示す患者特徴情報を生成する。例えば、健康の社会的決定要因における各要因を社会的側面としてもよい。健康の社会的決定要因とは、個人の健康状態に差異を発生させる社会的な要因のことである。健康の社会的決定要因は、階層構造になっており、階層ごとに要因が有る。例えば、健康の社会的決定要因には、学歴、所得、職業などの社会的背景や、住居、治安、交通などの社会的環境などが含まれる。そして、特徴分析機能754は、社会的決定要因として、患者の社会的背景や、社会的環境を示す患者特徴情報を生成する。
【0044】
更に詳しくは、特徴分析機能754は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分析対象項目の患者特徴情報を生成する。特徴分析機能754は、患者情報に含まれる情報のうち、分析対象情報741により指定された生物学的側面の分析対象項目に該当する患者特徴情報を生成する。具体的には、特徴分析機能754は、患者情報に含まれる併存疾患や体調などを示す患者特徴情報を生成する。
【0045】
また、特徴分析機能754は、患者情報と、問診情報12と、会話情報51に含まれる情報とのうち、分析対象情報741により指定された心理的側面及び社会的側面の分析対象項目の患者特徴情報を生成する。例えば、特徴分析機能754は、問診情報12のうち、分析対象情報741により指定された心理的側面及び社会的側面の分析対象項目に該当する患者特徴情報を生成する。具体的には、特徴分析機能754は、問診情報12に含まれる性格判断や仕事や人間関係などの質問事項に対する回答を抽出する。
【0046】
また、特徴分析機能754は、会話情報51を分析することにより会話の会話内容情報や感情情報を含む患者特徴情報を生成する。会話内容情報は、会話の内容を示す情報である。感情情報は、会話中の各文言を発話した時の患者の感情を示す情報である。
【0047】
更に詳しくは、特徴分析機能754は、分析対象情報741により指定された心理的側面及び社会的側面の分析対象項目に該当する会話内容情報や感情情報を含む患者特徴情報を生成する。例えば、特徴分析機能754は、会話情報51に対して自然言語処理を実行することにより会話の内容を示す会話内容情報を生成する。例えば、会話情報51に「腰が痛い」との発話が含まれる場合には、特徴分析機能754は、「腰が痛い」との文章を生成する。
【0048】
また、特徴分析機能754は、発話した患者の感情を示す感情情報を生成する。ここで、症状が悪化している場合には、患者は、ネガティブな感情で発話すること多い。一方、症状が改善している場合には、患者は、ポジティブな感情で発話すること多い。例えば、特徴分析機能754は、「腰が痛い」との発話における声のトーンや、言い淀みや、ニュアンス等により表現された患者の感情を示す感情情報を生成する。このようにして、特徴分析機能754は、会話内容情報に感情情報が関連付けられた患者特徴情報を生成する。
【0049】
例えば、特徴分析機能754は、AI(Artificial Intelligence)等の人工知能を活用してもよい。例えば、特徴分析機能754は、機械学習により生成された学習済みモデルにより会話情報51に含まれる会話の発話者の感情を示す感情情報を生成する。学習済みモデルは、入力側の教師データとして会話情報51が入力され、出力側の教師データとして発話者の感情を示す感情情報が入力される教師有り学習により生成される。なお、学習済みモデルは、このような機械学習に限らず、他の方法により生成されてもよい。
【0050】
また、特徴分析機能754は、会話情報51と、患者情報や問診情報12等の他の情報とを対比することにより患者の感情情報や価値観を示す情報を生成してもよい。例えば、特徴分析機能754は、問診情報12では中強度の立ち仕事と回答しており、会話情報51では6時間の立ち仕事と回答していた場合に、6時間では中強度と認識していることを示す患者の価値観を示す情報を生成することができる。
【0051】
また、時間が経過するに従い、患者の社会的状況や心理的状況は変化する。そこで、特徴分析機能754は、繰り返し患者特徴情報を生成することが可能で、一定期間ごとに患者特徴情報を生成してもよいし、検査や告知などの診療イベントごとに患者特徴情報を生成してもよい。
【0052】
なお、特徴分析機能754は、患者の生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面の全てに限らず、心理的側面、及び社会的側面を示す患者特徴情報を生成するものであってもよい。
【0053】
情報生成機能755は、表示装置80に表示させる情報を生成する。そして、表示装置80は、情報生成機能755により生成された各種情報を表示する。例えば、情報生成機能755は、患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に示す情報を生成する。これにより、表示装置80は、患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に表示する。情報生成機能755は、情報生成部の一例である。さらに、情報生成機能755は、心理的側面及び社会的側面に限らず、生物学的側面やその他の側面を示す情報を生成してもよい。すなわち、情報生成機能755は、患者特徴情報に基づいて、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面を識別可能に示す情報を生成してもよい。
【0054】
例えば、情報生成機能755は、患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に示した患者分析画面G1を生成する。図4は、本実施形態に係る患者分析画面G1の一例を示す説明図である。患者分析画面G1は、患者概要情報G11と、読影レポートボタンG121と、臨床検査レポートボタンG122と、臨床検査結果ボタンG123と、生物学的側面情報G13と、心理的側面情報G14と、社会的側面情報G15と、その他側面情報G16とを有する。
【0055】
患者概要情報G11は、患者の概要を示す情報である。例えば、患者概要情報G11は、患者を識別するための番号、患者の氏名、患者の生年月日、患者の傷病の履歴、患者の家族構成等を示す情報である。また、患者概要情報G11には、医用画像診断装置が患者を撮像した医用画像が含まれていてもよい。また、患者概要情報G11には、患者の全ての医用画像が表示されている必要はなく、例えば代表的な医用画像が表示されればよい。また、医用画像は、医用画像の解像度を下げたり、縮小したりしたサムネイル画像であってもよい。
【0056】
読影レポートボタンG121は、読影レポート情報21を表示させる操作を受け付けるボタンである。臨床検査レポートボタンG122は、臨床検査レポート情報42を表示させる操作を受けつけるボタンである。臨床検査結果ボタンG123は、臨床検査結果情報41を表示させる操作を受け付けるボタンである。
【0057】
生物学的側面情報G13は、特徴分析機能754に生成された患者特徴情報のうち、患者の生物的側面に関する患者特徴情報を示す情報である。例えば、生物学的側面情報G13は、患者の生物的側面に関する特徴的なキーワードなどを示す情報である。また、生物学的側面情報G13は、患者特徴情報の生物的側面の詳細を表示する詳細ボタンG131を有する。
【0058】
心理的側面情報G14は、特徴分析機能754に生成された患者特徴情報のうち、患者の心理的側面に関する患者特徴情報を示す情報である。例えば、心理的側面情報G14は、患者の心理的側面に関する特徴的なキーワードなどを示す情報である。また、心理的側面情報G14は、患者特徴情報の心理的側面の詳細を表示する詳細ボタンG141を有する。
【0059】
社会的側面情報G15は、特徴分析機能754に生成された患者特徴情報のうち、患者の社会的側面に関する患者特徴情報を示す情報である。例えば、社会的側面情報G15は、患者の社会的側面に関する特徴的なキーワードなどを示す情報である。また、社会的側面情報G15は、患者特徴情報の社会的側面の詳細を表示する詳細ボタンG151を有する。
【0060】
その他側面情報G16は、特徴分析機能754に生成された患者特徴情報のうち、患者のその他側面に関する患者特徴情報を示す情報である。例えば、その他側面情報G16は、患者のその他の側面に関する特徴的なキーワードなどを示す情報である。また、その他側面情報G16は、患者特徴情報のその他の側面の詳細を表示する詳細ボタンG161を有する。
【0061】
また、生物学的側面情報G13、心理的側面情報G14、社会的側面情報G15、及びその他側面情報G16において、情報生成機能755は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分析項目の発話時の感情を示す情報を生成してもよい。例えば、情報生成機能755は、生物学的側面情報G13、心理的側面情報G14、社会的側面情報G15、及びその他側面情報G16のキーワードを発話時の感情を示す情報を生成してもよい。
【0062】
更に詳しくは、情報生成機能755は、患者特徴情報に含まれる会話内容情報を感情情報に基づいて表現させることで、発話時の感情を示す情報を生成してもよい。例えば、情報生成機能755は、発話時の感情を表現する場合に、感情情報により特定される色で会話内容情報が示す文言を提示したり、感情情報により特定される数値を会話内容情報が示す文言に付加したり、感情情報により特定される文字を会話内容情報が示す文言に付加したり、感情情報により特定されるアイコン等の画像を会話内容情報が示す文言に付加したりする。これにより、医療従事者は、どのような感情で会話し、該当の文言を発話したのかを理解することができる。
【0063】
また、情報生成機能755は、患者特徴情報に基づいて、患者の生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面における経時的変化があることを示す情報を生成する。ここで、特徴分析機能754は、異なる時期に取得された患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを用いた分析処理により、異なる時期ごとに患者特徴情報を生成する。すなわち、特徴分析機能754は、一定期間毎や診療イベント毎などのように、異なる時期ごとに患者特徴情報を生成する。情報生成機能755は、時期の異なる複数の患者特徴情報を比較する。そして、情報生成機能755は、複数の患者特徴情報において変化がある場合に、生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面のうち、該当する分析項目について経時的変化があることを示す情報を生成する。
【0064】
情報生成機能755は、経時的変化があることを示す生物学的側面情報G13、心理的側面情報G14、社会的側面情報G15、及びその他側面情報G16を生成する。例えば、情報生成機能755は、経時的変化のある分析項目について、色を変更したり、経時的変化があることを示す文字を付加したり、経時的変化があることを示すアイコン等の画像を付加したりする。
【0065】
また、情報生成機能755は、経時的変化の概要を識別可能な生物学的側面情報G13、心理的側面情報G14、社会的側面情報G15、及びその他側面情報G16を生成してもよい。例えば、情報生成機能755は、ポジティブまたはネガティブな感情に変化したのかを色や数値や文字やアイコン等の画像により表現した生物学的側面情報G13、心理的側面情報G14、社会的側面情報G15、及びその他側面情報G16を生成してもよい。
【0066】
また、情報生成機能755は、経時的変化した分析項目を対比可能に示す情報を生成してもよい。例えば、情報生成機能755は、詳細ボタンG131、G141、G151、G161が押下された場合に、経時的変化前の患者特徴情報の分析項目と、経時的変化後の患者特徴情報の分析項目とを並べた情報を生成する。これにより、医療従事者は、患者の状況がどのように変化したのかを把握することができる。
【0067】
次に、臨床支援システム1が実行する各種処理について説明する。
【0068】
図5は、本実施形態に係る臨床支援装置70が実行する表示処理の一例を示すフローチャートである。表示処理は、患者の各側面における特徴的な事項を表示する処理である。
【0069】
患者指定機能751は、患者分析画面G1の対象となる患者の指定を受け付ける(ステップS1)。
【0070】
情報取得機能752は、電子カルテ情報11、読影レポート情報21、画像情報31、臨床検査結果情報41、臨床検査レポート情報42、及び個人健康情報61などの患者情報を取得する(ステップS2)。
【0071】
情報取得機能752は、問診情報12を取得する(ステップS3)。
【0072】
情報取得機能752は、会話情報51を取得する(ステップS4)。
【0073】
特徴分析機能754は、患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを用いた分析処理により、患者の生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面を示す患者特徴情報を生成する(ステップS5)。
【0074】
情報生成機能755は、患者特徴情報に基づいて患者分析画面G1を生成する(ステップS6)。
【0075】
情報生成機能755は、生成した患者分析画面G1を表示装置80に送信する(ステップS7)。これにより、表示装置80は、患者分析画面G1を表示する。
【0076】
以上により、臨床支援装置70は、表示処理を終了する。
【0077】
以上のように、本実施形態に係る臨床支援システム1は、患者のモニタリング結果を示す患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを取得する。また、臨床支援システム1は、患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを用いた分析処理により、患者の心理的側面や社会的側面を示す患者特徴情報を取得する。そして、臨床支援システム1は、患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面や社会的側面を示す患者分析画面G1を生成する。そして、表示装置80は、患者分析画面G1を表示する。これにより、医療従事者は、患者分析画面G1により患者の様々な側面に把握することができる。よって、臨床支援システム1は、患者の様々な側面に応じた診療を支援することができる。
【0078】
さらに、医療従事者は、患者を生物学的側面、心理的側面、社会的側面から理解し、考慮した治療方針を検討することができる。よって、臨床支援システム1は、全人的且つ患者中心の医療を推進することができる。
【0079】
(変形例1)
本実施形態では、情報生成機能755は、図4に示す患者分析画面G1を生成すると説明した。情報生成機能755は、図4に示す患者分析画面G1とは異なる形態の患者分析画面G2を生成してもよい。そして、表示装置80は、患者分析画面G2を表示してもよい。
【0080】
図6は、変形例1に係る患者分析画面G2の一例を示す説明図である。患者概要情報G21と、読影レポートボタンG22と、臨床検査レポートボタンG23と、臨床検査結果ボタンG24とは、図4に示す患者分析画面G1の患者概要情報G11と、読影レポートボタンG121と、臨床検査レポートボタンG122と、臨床検査結果ボタンG123と同様の情報である。また、患者概要情報G21には、医用画像診断装置が患者を撮像した医用画像が含まれていてもよい。また、患者概要情報G21には、患者の全ての医用画像が表示されている必要はなく、例えば代表的な医用画像が表示されればよい。また、医用画像は、医用画像の解像度を下げたり、縮小したりしたサムネイル画像であってもよい。
【0081】
また、情報生成機能755は、図4に示す患者分析画面G1の生物学的側面情報G13と、心理的側面情報G14と、社会的側面情報G15と、その他側面情報G16とに変えて、一覧表情報G25を有する患者分析画面G2を生成する。
【0082】
情報生成機能755は、分析対象情報741の分類及び分析項目ごとに患者特徴情報を示す一覧表情報G25を生成する。すなわち、情報生成機能755は、生物学的側面情報G13と、心理的側面情報G14と、社会的側面情報G15と、その他側面情報G16とを一つにまとめた一覧表情報G25を生成する。また、情報生成機能755は、患者特徴情報の生物的側面と、心理的側面と、社会的側面と、その他の側面との詳細を表示する詳細ボタンG26を有する。また、上記実施形態と同様に、情報生成機能755は、一覧表情報G25において、それぞれの発話時の心理状況を示す情報を生成してもよいし、経時的変化を示す情報を生成してもよい。また、情報生成機能755は、詳細ボタンG26が押下された場合に、経時的変化した分析項目を対比可能に示す情報を生成してもよい。
【0083】
(変形例2)
本実施形態では、情報生成機能755は、患者分析画面G1、G2を生成する。そして、表示装置80は、患者分析画面G1、G2を表示すると説明した。情報生成機能755は、患者分析画面G1、G2を臨床支援装置70のディスプレイ730に表示させてもよいし、他の装置に表示させてもよい。
【0084】
(変形例3)
本実施形態では、情報取得機能752は、患者情報、問診情報12、及び会話情報51を取得すると説明した。さらに、情報取得機能752は、患者端末50から位置情報を取得してもよいし、患者計測端末60から脳波情報を取得してもよいし、これらの両方の情報を取得してもよい。
【0085】
位置情報は、患者端末50の位置を示す情報である。言い換えると、位置情報は、患者の位置を示す情報である。特徴分析機能754は、例えば、各時刻における位置情報と地図情報とに基づいて患者の自宅から職場までの移動時間を計測することで通勤時間を抽出することができる。同様の方法により、特徴分析機能754は、通院時間を抽出することができる。さらに、特徴分析機能754は、位置情報に基づいて、活動的な患者であるか、自宅に引きこもりがちな患者であるかなどを抽出することができる。
【0086】
脳波情報は、患者の脳波を示す情報である。例えば、情報取得機能752は、医療従事者との会話時の患者の脳波を示す脳波情報を取得する。これにより、特徴分析機能754は、医療従事者との会話時の患者の心理状況を取得することができる。例えば、特徴分析機能754は、患者がリラックスしているか、ストレスを感じているかなどを抽出することができる。
【0087】
(変形例4)
情報生成機能755は、患者分析画面G1、G2等に標準治療を示す情報を生成してもよい。標準治療は、傷病及び傷病の進行状況などに応じて実施される標準的な治療である。
【0088】
更に詳しくは、情報取得機能752は、傷病及び傷病の進行状況ごとに登録された標準治療の一覧である標準治療一覧情報から、患者指定機能751により指定された患者の傷病及び傷病の進行状況に応じた標準治療を示す標準治療情報を取得する。そして、情報生成機能755は、標準治療情報に基づいて、標準治療情報が示す標準治療を有する患者分析画面G1、G2を生成する。これにより、医療従事者は、患者の傷病及び傷病の進行状況に応じた標準治療を確認した上で、患者の心理的側面及び社会的側面に応じた治療方針を作成することができる。
【0089】
(変形例5)
情報生成機能755は、患者指定機能751により指定された患者と類似した患者である類似患者の情報を示す情報を生成してもよい。例えば、情報生成機能755は、類似患者の電子カルテ情報11を示す情報を生成してもよい。例えば、情報生成機能755は、内向的な性格であって子供がいる患者と類似する類似患者の電子カルテ情報11を示す情報を生成してもよい。これにより、医療従事者は、類似患者の治療を参考にすることができる。
【0090】
例えば、記憶回路740は、複数の患者の患者特徴情報を記憶する。情報生成機能755は、特徴分析機能754が生成した患者特徴情報と、記憶回路740に記憶された複数の患者の患者特徴情報とのそれぞれの類似度を算出する。また、情報生成機能755は、閾値以上の類似度の患者特徴情報を生成する。情報生成機能755は、生成された患者特徴情報の患者を類似患者に決定する。そして、情報生成機能755は、一又は複数の類似患者から選択された類似患者について情報を表示させる操作を受け付けた場合に、指定された情報を示す情報を生成する。
【0091】
なお、情報生成機能755は、患者特徴情報の分類や分析項目に対して重要度を設定して類似度を算出してもよい。例えば、情報生成機能755は、社会的側面の重要度が高く設定された場合に、社会的側面が類似している患者が類似患者として選択する。これにより、情報生成機能755は、医療従事者が重要と判断している分類や分析項目が類似している患者の情報を示す情報を生成することができる。
【0092】
(変形例6)
特徴分析機能754は、患者の生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面の特徴を分析すると説明した。すなわち、特徴分析機能754は、会話情報51において患者の発話を分析すると説明した。しかしながら、患者の発話だけが表示されると、医療従事者は、なぜ患者がそのような発話をしたのかが不明になってしまう場合がある。そこで、特徴分析機能754は、会話情報51において患者以外の者の発話を抽出する。この場合に、医療従事者は、発話者が明示されていないと、各文言が誰により発話されたのかが分からなくなってしまう。
【0093】
特徴分析機能754は、抽出した音声について声紋を照合することにより発話者を特定することが可能な場合には、発話内容と発話者とを抽出してもよい。また、特徴分析機能754は、発話者を特定することができない場合に、患者とは異なる者が発話したことを示す「発話者A」などの情報と、発話内容とを抽出してもよい。そして、情報生成機能755は、発話内容が示すキーワードと、患者分析画面G1、G2において、発話内容を発話した発話者とを示す情報を生成してもよい。
【0094】
これにより、患者分析画面G1、G2を見た医療従事者は、どのような経緯で発話したのかを把握することができる。さらに、医療従事者は、各文言が誰により発話されたのかを把握することができる。
【0095】
(変形例7)
情報生成機能755は、分析対象指定機能753により指定された分析対象項目うち、患者特徴情報が生成されていない分析項目を示す情報を生成する。すなわち、情報生成機能755は、分析対象情報741の分析対象項目うち、患者特徴情報が生成されていない分析項目を示す情報を生成する。すなわち、表示装置80は、患者特徴情報が生成されていない分析項目を示す情報を表示する。
【0096】
例えば、情報生成機能755は、患者分析画面G1、G2において、分析対象に選択された分析項目のうち、情報が生成されていない分析項目を示す情報を生成してもよい。これにより、医療従事者は、診察などにおいて、情報を抽出していない分析項目について患者に質問することができる。よって、情報生成機能755は、情報が生成されていない分析項目についての情報の収集を促すことができる。
【0097】
(変形例8)
情報生成機能755は、図4に示すように、患者の心理的側面及び社会的側面を識別可能に示した患者分析画面G1を生成すると説明した。情報生成機能755は、患者分析画面G1に限らず、患者の心理的側面及び社会的側面を、患者の意向、周辺事項、QOL(Quality of Life)などに分類した画面を生成してもよい。表示装置80は、情報生成機能755により生成された画面を表示してもよい。
【0098】
ここで、特徴分析機能754は、患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを用いた分析処理により、患者の生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面を示す患者特徴情報を生成する。さらに、特徴分析機能754は、患者特徴情報に含まれる生物学的側面、心理的側面、社会的側面、及びその他の側面の情報を、予め定められた項目に分類してもよい。また、特徴分析機能754は、患者特徴情報に含まれる生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面の情報を、例えば患者の意向、周辺事項、QOLなどに分類してもよい。すなわち、特徴分析機能754は、患者の心理的側面、及び社会的側面について事前に定められた分類項目ごとに分類した患者特徴情報を生成してもよい。さらに、特徴分析機能754は、患者の意向、周辺事項、QOLなどの分類項目を、大分類、中分類、小分類などのように段階的に分類してもよい。
【0099】
情報生成機能755は、患者の意向、周辺事項、QOLにおいて、大分類、中分類、及び小分類の段階的に患者特徴情報を表示する画面を生成する。図7は、変形例8に係る中分類までの分類項目を示す第1分類画面G3の一例を示す図である。第1分類画面G3は、医学的適応、患者の意向、周辺事項、及びQOLにおける中分類のそれぞれの分類項目を表示する表示領域を有する。表示領域は、中分類の分類項目の全てを表示するものであってもよいし、中分類の分類項目のうち患者特徴情報に含まれる情報が対応付けられているものを表示するものであってもよい。
【0100】
また、第1分類画面G3は、医学的適応ボタンG31、患者の意向ボタンG32、周辺事項ボタンG33、及びQOLボタンG34を有する。医学的適応ボタンG31、患者の意向ボタンG32、周辺事項ボタンG33、及びQOLボタンG34は、該当する大分類に含まれる小分類までの分類項目を示す第2分類画面G4(図8参照)を表示させる操作を受け付けるボタンである。
【0101】
情報生成機能755は、医学的適応ボタンG31、患者の意向ボタンG32、周辺事項ボタンG33、及びQOLボタンG34の何れかが選択された場合に、該当する大分類の第2分類画面G4を生成する。図8は、変形例8に係る第2分類画面G4の一例を示す図である。第2分類画面G4は、中分類の分類項目の外側に小分類の分類項目を有する。中分類の分類項目と小分類の分類項目とは引き出し線で連結される。これにより、第2分類画面G4は、中分類と小分類との関係を明示するとともに、小分類の分類項目が何れの中分類の分類項目に属しているのかを明示する。そして、表示装置80は、患者特徴情報に基づいて、分類項目ごとに患者の心理的側面、及び社会的側面を示す第1分類画面G3や、第2分類画面G4などの画面を生成する。
【0102】
このように、情報生成機能755は、患者の心理的側面及び社会的側面を含む患者特徴情報を、医学的適応、患者の意向、周辺事項、QOLなどに分類した画面として第1分類画面G3、及び第2分類画面G4を生成する。そして、表示装置80は、第1分類画面G3、及び第2分類画面G4を表示する。そのため、治療方針を決定する会議や、複数の職種の医療従事者による会議や、診察において、医療従事者は、患者の心理的側面及び社会的側面を、把握しやすくなる。したがって、情報生成機能755は、生物的側面だけでなく、心理的側面及び社会的側面も踏まえて医療を進めていくことを支援することが可能となる。
【0103】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、患者の様々な側面に応じた診療を支援することができる。
【0104】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 臨床支援システム
10 病院情報システム(HIS:Hospital Information System)
11 電子カルテ情報
12 問診情報
20 放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)
21 読影レポート情報
30 医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)
31 画像情報
40 臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)
41 臨床検査結果情報
42 臨床検査レポート情報
50 患者端末
51 会話情報
60 患者計測端末
61 個人健康情報
70 臨床支援装置
80 表示装置
741 分析対象情報
751 患者指定機能
752 情報取得機能
753 分析対象指定機能
754 特徴分析機能
755 情報生成機能
G1、G2 患者分析画面
G11、G21 患者概要情報
G121、G22 読影レポートボタン
G122、G23 臨床検査レポートボタン
G123、G24 臨床検査結果ボタン
G13 生物学的側面情報
G14 心理的側面情報
G15 社会的側面情報
G16 その他側面情報
G131、G141、G151、G161、G26 詳細ボタン
G25 一覧表情報
G3 第1分類画面
G31 医学的適応ボタン
G32 患者の意向ボタン
G33 周辺事項ボタン
G34 QOLボタン
G4 第2分類画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者をモニタリングすることにより取得された患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報と、患者の会話が記録された会話情報とを取得する取得部と、
前記患者情報と、前記問診情報と、前記会話情報とから、患者の心理的側面及び社会的側面のそれぞれの分類項目に該当する情報を抽出する分析処理により、当該分類項目について段階的に分類した患者特徴情報を生成する分析部と、
前記患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を示す複数の前記分類項目に対応する分類画面を表示する表示制御部と、
を備える臨床支援システム。
【請求項2】
前記分析部は、前記心理的側面として前記患者の判断の傾向と、選好と、価値観との少なくとも何れかを一つを示す前記患者特徴情報を生成する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項3】
前記分析部は、前記社会的側面として前記患者の社会的背景、又は社会的環境の少なくとも何れかを一つを示す前記患者特徴情報を生成する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項4】
前記分析部は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分類項目に該当する情報を抽出する前記分析処理により、当該分類項目について段階的に分類した前記患者特徴情報を生成し、
前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面を示す複数の前記分類項目に対応する前記分類画面を表示する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面に経時的変化があることを表示する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、経時的変化した分析項目を対比可能に表示する、
請求項に記載の臨床支援システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分析項目の発話時の感情を表示する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項8】
患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの分析項目のうち、前記分析部に分析させる対象の前記分析項目である分析対象項目を指定する指定部を更に備え、
前記分析部は、患者の生物学的側面、心理的側面、及び社会的側面のそれぞれの前記分析対象項目の前記患者特徴情報を生成する、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記指定部により指定された前記分析対象項目のうち、前記患者特徴情報が生成されていない前記分析項目を表示する、
請求項に記載の臨床支援システム。
【請求項10】
前記分類項目は、医学的適応と、患者の意向と、周辺事項と、QOL(Quality of Life)との少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の臨床支援システム。
【請求項11】
患者をモニタリングすることにより取得された患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報と、患者の会話が記録された会話情報とを取得する取得部と、
前記患者情報と、前記問診情報と、前記会話情報とから、患者の心理的側面及び社会的側面のそれぞれの分類項目に該当する情報を抽出する分析処理により、当該分類項目について段階的に分類した患者特徴情報を生成する分析部と、
前記患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を示す複数の前記分類項目に対応する分類画面を生成する情報生成部と、
を備える臨床支援装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
実施形態に係る臨床支援システムは、取得部と、分析部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、患者をモニタリングすることにより取得された患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報と、患者の会話が記録された会話情報とを取得する。前記分析部は、前記患者情報と、前記問診情報と、前記会話情報とから、患者の心理的側面及び社会的側面のそれぞれの分類項目に該当する情報を抽出する分析処理により、当該分類項目について段階的に分類した患者特徴情報を生成する。前記表示制御部は、前記患者特徴情報に基づいて、患者の心理的側面及び社会的側面を示す複数の前記分類項目に対応する分類画面を表示する。