(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069142
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】スプリングシート製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/26 20060101AFI20240514BHJP
B21D 53/88 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B21D22/26 C
B21D22/26 D
B21D53/88 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145767
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】10-2022-0148580
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523343592
【氏名又は名称】キスン インダストリー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ソン,サン フン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ファク
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA08
4E137AA11
4E137BA01
4E137BB01
4E137BC01
4E137CA09
4E137CA24
4E137EA01
4E137GA02
4E137GA16
4E137GB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、スプリングシート製造方法に関し、より詳細には、電気自動車のように高荷重の自動車に適用されるスプリングシートを製造するために高張力鋼を成形する時に発生するクラックなどの問題を防止し、素材減少率を下げて品質を高めるためのスプリングシート製造方法に関する。
【解決手段】加工素材を、上方に膨らんだ形態の第1形状に加工するドロー工程と、前記ドロー工程によって加工された第1形状の凸部を下方に加圧し、膨らんだ領域の素材のみで凹んだ形態の第2形状を加工する逆ドロー工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工素材を上方に膨らんだ形態の第1形状に加工するドロー工程と、
前記ドロー工程によって加工された第1形状の凸部を下方に加圧し、膨らんだ領域の素材のみで凹んだ形態の第2形状を加工する逆ドロー工程と、を含むことを特徴とするスプリングシート製造方法。
【請求項2】
前記ドロー工程は、
加工素材の中央部分の素材減少率が30%未満となるように縁部を加圧、変形させて膨らんだ形態に加工することを特徴とする、請求項1に記載のスプリングシート製造方法。
【請求項3】
前記逆ドロー工程は、
成形される第2形状の各位置別素材減少率が30%未満となるように凸部を加圧、変形させて凹んだ形態に加工することを特徴とする、請求項1に記載のスプリングシート製造方法。
【請求項4】
前記逆ドロー工程は、
下方に凹むように形成される凹部に、第1形状の凸部の縁部を凹部中央に収めながら加工することを特徴とする、請求項1に記載のスプリングシート製造方法。
【請求項5】
前記逆ドロー工程は、
下方に凹むように形成される凹部の外側に螺旋状のサブ凹部をさらに形成させることを特徴とする、請求項1に記載のスプリングシート製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリングシート製造方法に関し、より詳細には、電気自動車のように高荷重の自動車に適用されるスプリングシートを製造するために高張力鋼を成形する時に発生するクラックなどの問題を防止し、素材減少率を下げて品質を高めるためのスプリングシート製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ショックアブソーバーは、車輪から車体に伝達される振動及び衝撃を、コイルスプリングの弾性力及びピストン内の油圧によって抑制して乗車感を向上させるために用いられる。
【0003】
このとき、石、砂、除雪剤などの異物が流入することを最小限に抑えながら、コイルスプリングを安定して支持するために、コイルスプリングは、端部にスプリングシートが配置される。
【0004】
このようなスプリングシートは、韓国公開特許第10-1998-0058866号公報「車両用ショックアブソーバースプリングシートの加工方法」のように鋼板を所定の形状に加工して製造している。
【0005】
近年、電気自動車が大衆化するに伴い、ショックアブソーバーによって支持される荷重も大きく増加している。
【0006】
このため、スプリングシートは、より高い剛性が要求されることにより、一般鋼板の代わりに高張力鋼が使用され、厚さも大きく増加している上、構造的にも加工形状が複雑化している。
【0007】
一方、高張力鋼は、従来の一般鋼板に比べて加工性がよくない問題点があり、特に、厚さも増加しながら加工上の困難も増している。
【0008】
その上、形状の複雑化によって加工過程で素材減少率が高く、このため、厚さの薄くなった部分で強度が大きく低下する問題点があった。
【0009】
このように、高張力鋼を用いた加工過程で発生するクラックなどの不良や、高い素材減少率によって加工品質が低下することを防止するための技術開発の必要性が提起されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第10-1998-0058866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述したような問題点を解決するために案出されたものであり、高張力鋼を成形する時にクラックができることを防止しながら、素材減少率を下げるためのスプリングシート製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係るスプリングシート製造方法は、加工素材を上方に膨らんだ形態の第1形状に加工するドロー工程と、前記ドロー工程によって加工された第1形状の凸部を下方に加圧し、膨らんだ領域の素材のみで凹んだ形態の第2形状を加工する逆ドロー工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、前記ドロー工程は、加工素材の中央部分の素材減少率が30%未満となるように縁部を加圧、変形させて膨らんだ形態に加工することを特徴とする。
【0014】
また、前記逆ドロー工程は、成形される第2形状の各位置別素材減少率が30%未満となるように凸部を加圧、変形させて凹んだ形態に加工することを特徴とする。
【0015】
また、前記逆ドロー工程は、下方に凹むように形成される凹部に、第1形状の凸部の縁部を凹部中央に収めながら加工することを特徴とする。
【0016】
また、前記逆ドロー工程は、下方に凹むように形成される凹部の外側に螺旋状のサブ凹部をさらに形成させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述したように、本発明に係るスプリングシート製造方法によれば、ドロー工程によって加工される領域を1次成形するドロー工程によって凸部を形成した後、凸部を中央に収めながら下方に凹むように加工して凹状に2次成形する逆ドロー工程によって高張力鋼を成形する時にクラックができることを防止しながら、素材減少率を効果的に下げることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るスプリングシート製造方法によって製造されたスプリングシートを示す平面図である。
【
図2】本発明に係るスプリングシート製造方法によって製造されるスプリングシートのA-A’線を示す図である。
【
図3】本発明に係るスプリングシート製造方法によって製造されるスプリングシートのB-B’線を示す図である。
【
図4】本発明に係るスプリングシート製造方法のドロー工程によって製造された第1形状を示す図である。
【
図5】本発明に係るスプリングシート製造方法の逆ドロー工程によって、製造された第1形状を加工する形態を示す図である。
【
図6】本発明に係るスプリングシート製造方法の逆ドロー工程によって製造された第2形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に開示されている本発明の概念による実施例に関する特定の構造的又は機能的説明は、単に、本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示されたものに過ぎず、本発明の概念による実施例は、様々な形態で実施可能であり、本明細書に説明された実施例に限定されない。
【0020】
本発明の概念による実施例は、様々な変更の付加が可能であり、様々な形態を有し得るところ、実施例を図面に例示し、本明細書で詳細に説明しようとする。ただし、これは、本発明の概念による実施例を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物、又は代替物を含む。
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例を、添付の図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明に係るスプリングシート製造方法によって製造されたスプリングシートを示す平面図であり、
図2は、本発明に係るスプリングシート製造方法によって製造されるスプリングシートのA-A’線を示す図であり、
図3は、本発明に係るスプリングシート製造方法によって製造されるスプリングシートのB-B’線を示す図であり、
図4は、本発明に係るスプリングシート製造方法のドロー工程によって製造された第1形状を示す図であり、
図5は、本発明に係るスプリングシート製造方法の逆ドロー工程によって、製造された第1形状を加工する形態を示す図であり、
図6は、本発明に係るスプリングシート製造方法の逆ドロー工程によって製造された第2形状を示す図である。
【0023】
本発明に係るスプリングシート製造方法は、高張力鋼のような材質の加工素材を使って
図1に示すようなスプリングシート100を製造するためのことである。
【0024】
より詳細には、
図2~
図6に示すように、平板状の加工素材1を金型で加圧し、上方に膨らんだ形態の第1形状2に加工するドロー工程と、前記ドロー工程によって加工された第1形状2を、金型によって凸部11を下方に加圧し、膨らんだ領域の素材のみで凹んだ形態の第2形状3を加工する逆ドロー工程を含んでなる。
【0025】
このとき、前記ドロー工程によって形成される凸部11は、逆ドロー工程によって形成される凹部12の形成に必要な素材の体積を考慮して形成されることが好ましい。
【0026】
すなわち、凸部11は、凹部12の形成時に必要な十分の素材体積を備えるように形成され、凹部12を形成する際に素材の厚さが減少する現象を最小化させるためのものである。
【0027】
特に、前記逆ドロー工程は、加工された第1形状2をひっくり返すのにかかる時間や別途の工程無しで一方向に進行されるようにし、生産性を高めることができる。
【0028】
また、前記ドロー工程は、逆ドロー工程によって形成される凹部12に所要される素材の体積、材料の引張を考慮してあらかじめ凸部11を形成することであり、あらかじめ凸部11を形成した後、凸部11に該当する素材で凹部12を形成することにより、一度に凹部12を加工する場合に比べて、凹部12の素材減少率を大きく減らすことができる。
【0029】
より詳細には、前記ドロー工程は、加工素材1の中央部分の素材減少率が30%未満となるように縁部を加圧、変形させて膨らんだ形態の凸部11が形成されるように加工する。
【0030】
また、前記逆ドロー工程は、成形される第2形状3の各位置別素材減少率が30%未満となるように第1形状2の凸部11を加圧、変形させて凹んだ形態に加工する。
【0031】
特に、前記逆ドロー工程は、下方に凹むように形成される凹部12に、第1形状2の凸部11の縁部11aを凹部12の中央に収めながら加工する。
【0032】
これにより、凹部12を形成する過程で素材減少率が増加することを効果的に防止することができる。
【0033】
すなわち、凹部12を形成する際に凸部11の素材を押し込むことにより、凹部12の素材の厚さが薄くなることを効果的に防止する。
【0034】
また、前記逆ドロー工程を施す過程で下方に凹むように形成される凹部12の外側に螺旋状のサブ凹部13をさらに形成させるように構成されてよい。
【0035】
以上、本発明を、添付の図面を参照して好ましい実施例を中心にして記載したが、当業者であれば、このような記載から、本発明の範ちゅうを逸脱することなく多くの様々な変形が可能であるということは明らかである。したがって、本発明の範ちゅうは、このような多くの変形の例を含むように記述された特許請求の範囲によって解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0036】
1 加工素材
2 第1形状
3 第2形状
11 凸部
12 凹部
13 サブ凹部