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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069151
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】開封用テープ付封筒
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/38 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B65D27/38 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186214
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2022189663
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519229976
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 國義
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 國義
(72)【発明者】
【氏名】片淵 和子
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来の利便性を改善しつつも歩留まりの良い製造工程によって製造される開封用テープ付封筒を提供するものである。
【解決手段】封筒1は、封筒本体100と、フラップ104と、テープ部材106を備える。第1シート101とフラップ104の境界である折り目に沿って第1シート101に対してフラップ104を折り曲げ、第2シート102にフラップ104を貼着させた封緘状態では、テープ部材106はフラップ104と第1シート101との間に位置する。また、封緘状態で、テープ部材106がフラップ104の長手方向に沿って操作されることで(矢印a)、フラップ104の一部はテープ部材106の幅tに相当する範囲に亘って剥離(切断)され、これにより封筒本体100の開口を形成する第1シート101の上縁101aとフラップ104の上縁(切断個所)104cのそれぞれの高さ位置を異ならせるようにしている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートと第2シートを含んで構成される有底袋状の封筒本体と、
前記封筒本体の開口を封緘するために前記第1シートの上縁部に設けられたフラップと、
前記フラップの長手方向に沿って設けられ所定の幅を有するテープ部材と、を備え、
前記第1シートと前記フラップの境界である折り目に沿って前記第1シートに対して前記フラップを折り曲げ、前記2シートに前記フラップを貼着させた封緘状態では、前記テープ部材は前記フラップと前記第1シートとの間に位置し、
前記封緘状態で、前記テープ部材が前記フラップの長手方向に沿って操作されることで、前記フラップの一部が前記テープ部材の幅に相当する範囲に亘って剥離され、これにより前記封筒本体の開口を形成する前記第1シートの上縁と前記フラップの上縁のそれぞれの高さ位置を異ならせるようにした、開封用テープ付封筒。
【請求項2】
前記封緘状態では、前記第1シートと前記第2シートとが重なり合わない領域と、前記第1シートの上縁が露出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封用テープ付封筒に関するものである。
詳細には、テープを引き上げる際に封緘片が破れることがなく、開封時の内容物取出し性に優れた開封用テープ付き封筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、近年では視力障害者でも容易に開封できる封入袋が求められる中、視力障害者がカッター等の道具を用いることなく手で容易に開封できる封筒を提供することができる発明をなした(特許文献1)。
また、同じく前記出願人は、前記特許文献1に係る発明を追試する中、量産化できる装置と封筒につき改良発明をなした(それぞれ、特許文献2および特許文献3)。
【0003】
これらの技術課題を概観すると、特許文献1には、分断穴が形成された封筒の切除片を掴むことで印穴により指触で開封方向が判読され、分断穴に沿って封筒から破断した後、線材又は細幅のテープで封筒の一辺の折り目に沿って切断することで、視力障害者でもカッター等の道具を用いることなく容易に開封できる封筒とのその製造方法に係る技術が開示されている。
【0004】
特許文献2は、特許文献1の着想をさらに発展させた技術を構成し、以下の3つの問題解決を図るものである。
すわなち、特許文献1に係る封筒製造装置においては、封筒をコンベヤで搬送しながら穿孔による切除片やミシン目の形成、糸の張り渡しなどの加工を行っている。そのため、コンベヤの搬送速度を上げると、位置決めされた封筒が加工中にコンベヤ上で動いてずれて搬送されてしまい、その結果、折り目に沿って正確にミシン目の形成、糊剤の塗布、線材の貼着ができなくなるだけでなく、コンベヤの搬送速度を早めて生産量を上げることができないという第1の問題があった。
【0005】
また、前記特許文献の封筒製造装置においては、開封用の糸の接着部に加熱した空気を噴射するドライヤーや該接着部を圧着する圧着ローラを備えた乾燥部を配置しなければならないため、装置が複雑になるという第2の問題があった。
【0006】
さらに、前記特許文献の前記封筒加工装置においては、アイロンによる乾燥に一定の時間を要するため、コンベヤの搬送速度を早めて生産量を上げることができない、という第3の問題があった。
【0007】
そこで、特許文献2に係る発明では、これらの問題を解決し実現したものであり、特に、封筒を封筒搬送コンベアの間に挟むとともに、押圧して位置決めして折れ目がずれないようにした状態で搬送しながら加工可能な封筒加工装置を提供したものである。
【0008】
特許文献3は、ジッパーを引き上げる際に封緘片が浮き上がることなくきれいに切断できる開封ジッパー付き封筒を提供する技術を開示するものである。
従来の開封用ジッパー付き封筒は、開封用ジッパーが封緘片の中央に形成されているため、開封用ジッパーを引き上げる際に、封緘片が浮き上がるためにきれいに切断できないという欠点があったが、特許文献3に係る考案の開封用ジッパー付封筒は、封緘片の幅方向の折曲線に開封用ジッパーの一方の切り離し線が形成されることにより開封用ジッパーを引っ張り上げても封緘片が浮き上がらないので、開封用ジッパーが切り離し線に沿っての開封から分離して簡単にきれいに開封することができる。
とともに、本考案に係る開封用ジッパーには、両側に摘み片が設けられているので、左右の利き手に応じていずれか一方の好みの摘み片を摘まんで開封用ジッパーを引き上げて容易に分離することができる。
しかしながら、ジッパーを備えるための工程上、歩留まりが悪くなり、コスト高の課題が十分に解消されていない。また、当該ジッパーは、封筒本体との関係で引き上げ時の応力が不足するため、急激に強く引き上げ若しくは引っ張ると、ジッパー自体が引き上げ途上で切れてしまう問題があった。
【0009】
特許文献4は、封筒本体の開口部を封緘するためのフラップに、引き裂き用のテープやミシン目の一方あるいはその両方を設けることによって、ハサミやカッターなどの刃物を使用することなく、開封することができるという従来技術の長所を踏襲し、特に開封時に封筒本体や収容物に損傷を与えない封筒を提供するものであるが、利便性を追求しすぎるあまり、製造が煩雑になり、未だ、工程上の歩留まりと開封時の操作性の点で不十分である。
また、特許文献1および特許文献2による技術では、開封時の内容物取り出し性に難点がある。
具体的には、封筒に備えた引き裂き用の線材やテープで封筒上部を引き裂いた後は、封止片は封筒本体の裏面に止着されているために、開封時の最上部は表裏の段差がなく、指を差し入れて内容物を取り出すのに手間暇がかかる。封筒本体の密着性が高いものについては、指サックを使用しなければ、特にその負荷度合いが大きい。この点については、特許文献3によるジッパーの備えによってある程度改善はみられたが、上記のとおり、操作時の別異の問題がある。
さらに、上記特許文献1、特許文献2及び特許文献3に係る封筒は、封止片や折り目にミシン目やジッパーのステッチを備える関係で、DM封入時に送り込む風圧に耐えることが出来ず、破損によって歩留まりが悪いことから、製造ラインに乗せることが困難であった。
【0010】
またここで、昨今の環境問題を重視する世界的な調和の観点に立てば、限られた紙資源やエネルギーの使用無駄削減は、製造工程において十分に配慮されるべき課題であるところ、紙原料の廃棄を抑えた歩留まり改善についてはなお一層のクオリティが求められる。
特許文献2によってもまだ十分な改善を見ない歩留まり向上の対策は、日々の製造において使用するエネルギー効率向上の直接的な対策でもあり、同時に不良品の廃棄等により生じる紙資源無駄の排除でもある。
これらを意識した日常の生産活動や課題解決の継続は、国を越えた、いわゆるSDGSの観点からも喫緊の課題である。
【0011】
出願人は、前記の各特許文献に係る発明について、その改良点を検討する過程において、利便性を追求しつつも、上記の社会的な要請にも鑑みて鋭意研究を継続した結果、後述する更なる知見を見出して本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2003/086885号
【特許文献2】特許第6090702号公報
【特許文献3】実用新案登録第3223073号公報
【特許文献4】実用新案登録第3226180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みて提案されたものであって、従来の利便性を改善しつつも歩留まりの良い製造工程によって生産される開封用テープ付封筒を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題解決のため、種々検討した結果、最適には、樹脂製の支持体に粘着層を備えるプライマーを展延した至適幅のテープを、封筒本体の封止片の内側折曲ラインに対し直上の位置に引き渡すことによって、その目的を達成し、所望の効果を発揮できる本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、以下(1)乃至(3)の構成により、所望の目的が達成される。
(1)封筒本体の開口した上辺に折り返して接着して同開口を封止する封止片を折曲自在に設けた封筒において、封止片の内側折曲ライン直上に沿って粘着層を備える樹脂製のテープを封書の上辺隅部で摘まむことができるよう張り渡し、該張り渡したテープの両端いずれか一方を摘まみ、封書本体表面に対し、手前上部に引き上げながら封止片を切断して封書を開封できるようにしたことを特徴とする開封用のテープ付き封筒。
(2)粘着層を備える樹脂製のテープの支持体が透明以外の着色されたものであることを特徴とする請求項1に記載の開封用のテープ付き封筒。
(3)封止片の折曲ライン隅部一辺の上下位置に複数の切断穴を形成し、封止片の内側折曲ライン直上に張り渡したテープを、封書本体表面に対し、手前上部への引き上げ操作性を向上させたことを特徴とする請求項1に記載の開封用のテープ付き封筒。
【0016】
また、本発明の開封用テープ付封筒は、第1シートと第2シートを含んで構成される有底袋状の封筒本体と、記封筒本体の開口を封緘するために前記第1シートの上縁部に設けられたフラップと、前記フラップの長手方向に沿って設けられ所定の幅を有するテープ部材と、を備え、前記第1シートと前記フラップの境界である折り目に沿って前記第1シートに対して前記フラップを折り曲げ、前記2シートに前記フラップを貼着させた封緘状態では、前記テープ部材は前記フラップと前記第1シートとの間に位置し、前記封緘状態で、前記テープ部材が前記フラップの長手方向に沿って操作されることで、前記フラップの一部が前記テープ部材の幅に相当する範囲に亘って剥離され、これにより前記封筒本体の開口を形成する前記第1シートの上縁と前記フラップの上縁のそれぞれの高さ位置を異ならせるようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、封筒本体の封止片の内側折曲ライン直上に沿って粘着層を備える樹脂製のテープを封書の上辺隅部で摘まむことができるよう張り渡すことによって、テープを引き上げる際に封緘片が破れることがなく、封書が開封できる。加えて、前記封筒に備えた引き裂き用のテープで封筒上部を引き裂いた後は、該テープの幅の分、開封時の最上部表裏に段差が生じることから、瞬時に指を差し入れて内容物を取り出すことができる。また、封止片や折り目にはミシン目を入れないことから、DM封入時も、破損がなく、前記DM封入の工程を自動製造ラインに組み込むが可能となる。波及効果として、本発明のテープの設置位置によって、封入時の封止片折り曲げ性が極めて容易になる。また、封筒の上端を容易に開口させて収容物を簡単に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の開封用テープ付き封筒の製造工程全体を示した概略図である。
図2図1で開示したテープボビン9について、拡大した略図である。
図3図1で開示した装置によって製造した本発明の開封用テープ付き封筒の一例である。
図4】本発明の一実施の形態における開封用テープ付き封筒の(a)背面図(b)正面図
図5】本発明の一実施の形態における開封用テープ付き封筒の背面図
図6】(a)(b)本発明の一実施の形態における開封用テープ付き封筒の開封方法の説明図
図7】本発明の一実施の形態における開封用テープ付き封筒の開封方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態につき、その奏する効果を含めて詳述する。
【0020】
本発明は、上記のとおり、開封用テープ付封筒に関するものである。詳細には、テープを引き上げる際に封緘片が破れることがなく、開封時の内容物取出し性にも優れた開封用テープ付き封筒を提供するものである。
【0021】
当該本発明に係る封筒は、図1にその製造工程の全体図を開示したとおり、テープボビン本体(9)(図2はその拡大図)に封筒へ展着する裁断されたテープ本体をセットし、左右に振動を与えながら裁断されたテープを満遍なくベルトコンベア上に送り、ベルトコンベア(8)上に整列した封筒(1)1枚ごとに展着してテープカッター(7)でカットされ、完成品を得る。
本発明の開封用のテープ付封筒は、裁断したテープをテープボビンに固定して横揺れ振動させることによって、簡便にベルトコンベア上で展着ができ、歩留まりが著しく改善され、不良品が発生しない。
【0022】
図3は、このようにして製造した本発明に係る封筒の代表例である。
すなわち、本発明の請求項1によれば、封筒本体の開口した上辺に折り返して接着して同開口を封止する封止片を折曲自在に設けた封筒において、封止片の内側折曲ライン直上に沿って粘着層を備える樹脂製のテープを封書の上辺隅部で摘まむことができるよう張り渡し、該張り渡したテープの両端いずれか一方を摘まみ、封書本体表面に対し、手前上部に引き上げながら封止片を切断して封書を開封できるようにしたことを特徴とする開封用のテープ付き封筒が提供される。
【0023】
封止片の内側折曲ラインは、折曲線のみ設けられている状態であり、他に切断に便宜な穴(ミシン目等)は一切設けない。むしろ逆に言えば、設けなくてもきれいな切断ができるように、封止片の内側折曲ライン直上に沿って粘着層を備える樹脂製のテープを展着する技術を提供するものだからである。よって、特段、設ける必要がないということができる。
ミシン目等を設けないもう一つのメリットとして、DM封入時の強度保持が挙げられる。本発明の効果でも記載したが、DM封入時にはドライヤーで強風を当て、封筒上辺部を開口するが、その際に、ミシン目やジッパータイプの切り目があることで、強度が落ちてしまい、結果、DM封入の自動生産ラインに組み込めないという欠点があったが、本発明の発明構成によれば、そのような欠点や問題は一気に解消された。
【0024】
ここで、請求項1の発明特定事項の「封止片の内側折曲ライン直上」という意味は、封止片の内側折曲ラインと全く重なり合わない真上の領域のことであり、好ましくは前記ラインに対して0.3mm乃至0.5mm上部の距離位置の任意である。テープの展着位置は、封筒全体の位置や使用する封筒の紙質によって適宜調整をすることができるが、ラインに近接する0.3mm乃至2mm内に調整するのが後述する内容物の取出し性利点の点から好ましい。このようなテープの展着位置を備えることによる波及効果として、封入時の封止片折り曲げ性が極めて容易になることが挙げられる。
【0025】
また、テープ幅は封筒の規格サイズにもよるが、例えば長形3号であれば、2mm乃至3mm幅が好ましい。
【0026】
手前上部への引き上げ性とは、封筒全体に対して上方向と右方向への鋭角の範囲での任意引っ張り度合いを意味する。
切断された後の封筒開封上部の状態は、上記テープの幅に相当するラインからの距離幅の分が封筒開封上部表裏の段差となり、内容物を取出しするためにスムーズに指で接触、差し入れることができて利便性が向上する。
【0027】
本発明で使用するテープは、透明タイプでも使用に制限はないが、視認性に劣るため、支持体に色が施されていることが好ましい。
すなわち、本発明の請求項2によれば、粘着層を備える樹脂製のテープの支持体が透明以外の着色されたものであることを特徴とする請求項1に記載の開封用のテープ付き封筒が提供されるものである。
【0028】
また、封書本体表面に対し、設置したテープを手前上部に引き上げる操作性、負荷度合いを低減するために、封止片の折曲ライン隅部一辺の上下位置に複数の切断穴を形成することがさらに便宜である。
すなわち、本発明の請求項3によれば、封止片の折曲ライン隅部一辺の上下位置に複数の切断穴を形成し、封止片の内側折曲ライン直上に張り渡したテープを、封書本体表面に対し、手前上部への引き上げ操作性を向上させたことを特徴とする請求項1に記載の開封用のテープ付き封筒が提供されるものである。
【0029】
図4,5を用いて以下、本実施の形態における開封用テープ付き封筒をより詳細に説明する。封筒(開封用テープ付き封筒)1は、 第1シート101と、第1シート101と対向する第2シート102を含む封筒本体100を備えている。第1シート101と第2シート102の下端同士は接合されている一方、上端は接合されていない。すなわち、封筒本体100の上端は開口しており、該開口を介して所定サイズの書類などが収容される。このように、封筒本体100は有底袋状を成している。
【0030】
第2シート102の上側の縁部(以下「上縁」と称する。符号は102a。)は、両側から中央に向かうにつれ下り勾配となっている。すなわち、第2シート102を平面視したとき、第1シート101と第2シート102とが重なり合わない領域Rが存在する(図4(a))。つまり、第1シート101と第2シート102のそれぞれの上縁101a,102aは高さ位置が異なっており、第1シート101の大部分の上縁101aは第2シート102の上縁102aよりも高い位置にある。
【0031】
第1シート101の上縁101aには、封筒本体100に形成される開口を封緘(封止)するためのフラップ(封止片)104が設けられている。これにより、第1シート101とフラップ104の境界(第1シート101の上縁101a)には折り目105が形成される。
【0032】
フラップ104において、折り目105に隣接する直上(付け根)の位置には、フラップ104の長手方向に沿ってテープ部材(開封用テープ)106が設けられている。テープ部材106は所定の幅tを有し、接着剤などによってフラップ104に接着している。テープ部材106の両端は、フラップ104よりも所定長さ(例えば1mm前後)だけ外方に延び出ている。フラップ104の上端部側であって、テープ部材106よりも上方の位置には、粘着性の上面を有する粘着シート107がフラップ104の長手方向に沿って設けられている。
【0033】
折り目105に沿って第1シート101に対してフラップ104を折り曲げ、粘着シート107を介して第2シート102にフラップ104を貼着させた封緘状態(封止状態)では、テープ部材106はフラップ104と第1シート101の間に位置する(図5)。
【0034】
フラップ104の複数(本実施の形態では2箇所)のコーナ部の夫々には、所定方向に連続して形成された複数の小穴で構成される小穴群(ミシン目)104aが形成されている。なお、テープ部材106と重なるフラップ104の位置には、小穴群104aは形成されない(図4(b))。すなわち、小穴群104aはテープ部材106を避けたフラップ104の位置に形成される。小穴群は第1シート101,第2シート102にも形成してよい。また、図4(b)に示すように、折り目105の両端部に対応する夫々の位置には、切り込み110が折り目105に沿って所定長さ(例えば5mm前後)に亘って形成されている。
【0035】
本実施の形態における封筒1は以上のように構成される。次に図6図7を参照して、封筒1の開封方法について説明する。図6(a)に示すように、封緘状態において、図示しない使用者はフラップ104を任意の小穴群104aに沿って部分的に切断する。これにより、フラップ104には部分的にめくり上がった摘まみ部108が使用者の操作によって新たに形成される。
【0036】
次いで使用者は摘まみ部108を摘まんだ状態で、摘まみ部108をフラップ104の長手方向に沿って反対側のコーナ部に向けて強制的に移動させ、摘まみ部108をテープ部材106とともにフラップ104から分離させる(図6(b)に示す矢印a)。すなわち、封緘状態で、テープ部材106がフラップ104の長手方向に沿って操作される。これにより、テープ部材106が固着するフラップ104の範囲が剥離されるとともに、封筒本体100の上端が開口した開封状態となる。なお、折り目105には切り込み110が形成されているので、折り目105に沿ってテープ部材106が剥離し易くなっている。
【0037】
開封状態の封筒1について詳しく説明する。テープ部材106をフラップ104から強制的に剥離(分離)させたとき、テープ部材106の幅tに相当するフラップ104の範囲も剥離される。すなわち、分離後のテープ部材106には、幅tに相当する範囲のフラップ片104bが固着している。これにより、第1シート101とフラップ104は分離するとともに、フラップ104は第2シート102に保持された状態となる。この状態では、フラップ104の切断個所、すなわち、切断されることによって形成されたフラップ104の上縁(切断辺)104cが、第2シート102の上縁102a(但し両端部近傍を除く)よりも上方に位置する。換言すれば、第1シート101と第2シート102とが重なり合わない領域Rと、第1シート101の上縁101aが露出する。
【0038】
上述のとおり、テープ部材106をフラップ104から強制的に剥離させたとき、テープ部材106の幅tに相当するフラップ104の範囲も剥離されるため、フラップ104の上縁104cは、第1シート101の上縁101aよりも略幅tだけ低い位置にある。すなわち、開封後の封筒1には、第1シート101とフラップ104が重なり合わない第1シート101の範囲、換言すれば、第1シート101と第2シート102とが重なり合わない領域R(段落0025に記載する「段差」に相当)が露出する。使用者はこの範囲(領域R)を手指で摘まむことで、封筒1の上端を容易に開口させて収容物109を簡単に取り出すことができる(図7)。すなわち、従来技術に比して、開封時における利便性を改善させることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態における封筒1は、第1シート101と第2シート102を含んで構成される有底袋状の封筒本体100と、封筒本体100の開口を封緘するために第1シート101の上縁に設けられたフラップ104と、フラップ104の長手方向に沿って設けられ所定の幅を有するテープ部材106と、を備える。第1シート101とフラップ104の境界である折り目105に沿って第1シート101に対してフラップ104を折り曲げ、第2シート102にフラップ104を貼着させた封緘状態(封止状態)では、テープ部材106はフラップ104と第1シート101との間に位置する。また、封緘状態で、テープ部材106がフラップ104の長手方向に沿って操作されることで、フラップ104の一部はテープ部材106の幅tに相当する範囲に亘って剥離(切断)され、これにより封筒本体100の開口を形成する第1シート101の上縁101aとフラップ104の上縁(切断個所)104cのそれぞれの高さ位置を異ならせるようにしている。これにより、封筒1の上端を容易に開口させて収容物を簡単に取り出すことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 封筒
2 封筒束
3 封筒送り(1枚ごと)
4 封筒ストッパー
5 封筒テープ押え(電熱棒あり)
6 封筒テープ押え
7 テープカッター
8 ベルトコンベア
9 テープボビン
10 発明品
11 糊付け部分
12 開封テープ
100 封筒本体
101 第1シート
101a 第1シートの上縁
102 第2シート
104 フラップ
104c フラップの上縁
106 テープ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートと第2シートを含んで構成される有底袋状の封筒本体と、
前記封筒本体の開口を封緘するために前記第1シートの上縁部に設けられたフラップと、
前記フラップの長手方向に沿って設けられ所定の幅を有するテープ部材と、を備え、
前記フラップの少なくとも一つのコーナ部には、前記テープ部材と重なる範囲を除いて、前記テープ部材の長手方向と交差する方向に連続して形成された複数の小穴が形成され、
前記第1のシートと前記フラップの境界である折り目の少なくとも一端には、前記折り目に沿って所定長さに亘って切り込みが形成され、
前記第1シートと前記フラップの境界である前記折り目に沿って前記第1シートに対して前記フラップを折り曲げ、前記2シートに前記フラップを貼着させた封緘状態では、前記テープ部材は前記フラップと前記第1シートとの間に位置し、
前記封緘状態で、前記テープ部材が前記フラップの長手方向に沿って操作されることで、前記フラップの一部が前記テープ部材の幅に相当する範囲に亘って剥離され、これにより前記封筒本体の開口を形成する前記第1シートの上縁と前記フラップの上縁のそれぞれの高さ位置を異ならせるようにした、開封用テープ付封筒。
【請求項2】
前記封緘状態から前記テープ部材を前記フラップから剥離させた開封状態では、前記第1シートと前記第2シートとが重なり合わない領域と、前記第1シートの上縁が露出する、請求項1に記載の開封用テープ付封筒
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明の開封用テープ付封筒は、第1シートと第2シートを含んで構成される有底袋状の封筒本体と、前記封筒本体の開口を封緘するために前記第1シートの上縁部に設けられたフラップと、前記フラップの長手方向に沿って設けられ所定の幅を有するテープ部材と、を備え、前記フラップの少なくとも一つのコーナ部には、前記テープ部材と重なる範囲を除いて、前記テープ部材の長手方向と交差する方向に連続して形成された複数の小穴が形成され、前記第1のシートと前記フラップの境界である折り目の少なくとも一端には、前記折り目に沿って所定長さに亘って切り込みが形成され、前記第1シートと前記フラップの境界である前記折り目に沿って前記第1シートに対して前記フラップを折り曲げ、前記2シートに前記フラップを貼着させた封緘状態では、前記テープ部材は前記フラップと前記第1シートとの間に位置し、前記封緘状態で、前記テープ部材が前記フラップの長手方向に沿って操作されることで、前記フラップの一部が前記テープ部材の幅に相当する範囲に亘って剥離され、これにより前記封筒本体の開口を形成する前記第1シートの上縁と前記フラップの上縁のそれぞれの高さ位置を異ならせるようにした。