(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069157
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】積層造形における空間変調を伴うリアルタイム溶融液滴分析器
(51)【国際特許分類】
B22D 23/00 20060101AFI20240514BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240514BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240514BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240514BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240514BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20240514BHJP
B22F 10/20 20210101ALI20240514BHJP
【FI】
B22D23/00 E
B33Y50/02
B33Y30/00
B33Y10/00
B23K26/21 Z
B23K26/34
B22F10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188626
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】18/054,042
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】チウシュー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター キーゼル
(72)【発明者】
【氏名】ドガン ティムシン
【テーマコード(参考)】
4E168
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168DA26
4K018AA14
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】三次元(3D)プリンタにおける噴射された材料の流れの特性を判定するための技法を提供する。
【解決手段】エジェクタであって、前記エジェクタからビルドプラットフォームまで噴射経路に沿って溶融液滴124を放出するように構成されている、エジェクタと、前記噴射経路に隣接して位置決めされたセンサ140と、前記噴射経路に隣接して位置決めされた光学マスク202であって、光遮断領域206と光通過領域204とを含む複数の領域を含み、前記溶融液滴124が前記噴射経路に沿って進行する際に、前記センサ140によって生成された信号を変調するように構成されている、光学マスク202と、前記信号に基づいて3Dプリンタを制御するためのコントローラ210と、を備える、3Dプリンタとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元(3D)プリンタであって、
エジェクタであって、前記エジェクタからビルドプラットフォームまで噴射経路に沿って溶融液滴を放出するように構成されている、エジェクタと、
前記噴射経路に隣接して位置決めされたセンサと、
前記噴射経路に隣接して位置決めされた光学マスクであって、光遮断領域と光通過領域とを含む複数の領域を含み、前記溶融液滴が前記噴射経路に沿って進行する際に、前記センサによって生成された信号を変調するように構成されている、光学マスクと、
前記信号に基づいて前記3Dプリンタを制御するためのコントローラと、を備える、3Dプリンタ。
【請求項2】
前記光遮断領域及び前記光通過領域が、前記噴射経路の方向に沿って交互の様式で配置されている、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項3】
前記光学マスクが、前記信号を変調して、前記溶融液滴のサイズ及び前記溶融液滴の速度に関する情報をエンコードするように構成されている、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項4】
前記光通過領域が、前記噴射経路に直交する方向にテーパ状である、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項5】
前記光学マスクが、前記信号を変調して、前記溶融液滴の軌道に関する情報をエンコードするように構成されている、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項6】
前記センサが第1のセンサであり、前記信号が第1の信号であり、前記光学マスクが第1の光学マスクであり、前記3Dプリンタが、
前記噴射経路に隣接して位置決めされた第2のセンサと、
前記溶融液滴が前記噴射経路に沿って進行する際に、前記第2のセンサによって生成された第2の信号を変調するように構成された第2の光学マスクと、を更に備える、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項7】
前記第1の光学マスクが、前記第1の信号を変調して、第1の平面に対する前記溶融液滴の軌道に関する情報をエンコードするように構成されており、前記第2の光学マスクが、前記第2の信号を変調して、前記第1の平面に直交する第2の平面に対する前記溶融液滴の前記軌道に関する情報をエンコードするように構成されている、請求項6に記載の3Dプリンタ。
【請求項8】
前記第1の光学マスクが、前記第1の信号を変調して、液滴サイズの第1の範囲内の前記溶融液滴のサイズに関する情報をエンコードするように構成されており、前記第2の光学マスクが、前記第2の信号を変調して、前記溶融液滴の前記サイズに関する情報をエンコードするように構成されており、前記第1の光学マスクが、液滴サイズの第1の範囲を網羅するように構成されており、前記第2の光学マスクが、液滴サイズの第2の範囲を網羅するように構成されている、請求項6に記載の3Dプリンタ。
【請求項9】
前記光通過領域が、赤外光を透過する第1の窓及び赤外光を透過する第2の窓を含み、前記第1の窓及び前記第2の窓が、所与の範囲の赤外周波数に対して異なるレベルのIR光透過を示す、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項10】
前記センサが、赤外フォトダイオードを含む、請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項11】
3Dプリンタにおいて噴射された材料の流れの特性を検知する方法であって、
エジェクタからビルドプラットフォームまで噴射経路に沿って溶融液滴を吐出することと、
前記溶融液滴から発せられる光を検知して、前記光に対応する電気信号を生成することと、
前記噴射経路に隣接して位置決めされた光学マスクを使用して前記光に情報をエンコードすることであって、前記光学マスクは、光遮断領域と光通過領域とを含む複数の領域を含み、前記溶融液滴が前記噴射経路に沿って進行する際に、前記電気信号を変調するように構成されている、エンコードすることと、
前記電気信号に基づいて前記3Dプリンタを制御することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記光学マスクを使用して前記光に情報をエンコードすることは、前記溶融液滴のサイズ及び前記溶融液滴の速度に関する情報をエンコードすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光学マスクを使用して前記光に情報をエンコードすることは、前記溶融液滴の軌道に関する情報をエンコードすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記光学マスクを使用して前記光に情報をエンコードすることは、前記溶融液滴の温度に関する情報をエンコードすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記光学マスクが第1の光学マスクであり、前記方法が、前記噴射経路に隣接して位置決めされた第2の光学マスクを使用して前記光に追加情報をエンコードすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融液滴から発せられる光を検知することが、前記溶融液滴によって光源から方向転換された光を検知することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融液滴から発せられる光を検知することが、前記溶融液滴の熱に起因して前記溶融液滴によって放射される赤外光を検知することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
3Dプリンタ用の光学マスクであって、
第1のスペクトル範囲の赤外光を通過させるように構成された第1の光透過領域と、
前記第1のスペクトル範囲とは異なる第2のスペクトル範囲の赤外光を通過させるように構成された第2の光透過領域と、
前記第1の光透過領域及び前記第2の光透過領域を一緒に保持するフレームであって、3Dプリンタのコネクタと嵌合して、溶融液滴の流れの噴射経路に隣接して前記光学マスクを位置決めするように構成されている、フレームと、を備える、光学マスク。
【請求項19】
前記第1のスペクトル範囲の赤外光を通過させるように構成された第3の光透過領域を含み、前記第2の光透過領域が、前記第1の光透過領域と前記第3の光透過領域との間に位置決めされている、請求項18に記載の光学マスク。
【請求項20】
前記光学マスクが、前記溶融液滴の流れから発せられ、前記光学マスクを通過し、かつセンサによって受け取られた赤外光に基づいて、電気信号に情報をエンコードするように構成されている、請求項18に記載の光学マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実装形態は、積層造形における噴射品質を判定するための技法、及びそれにおいて使用するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形(3D印刷として知られることが多い)は、強度対重量比を最適化する構造体の製造を可能にする。例えば、機械加工プロセスでの達成(すなわち、切断による材料の除去)が高価又は困難である中空構造は、積層造形において層ごとに作成され得る。多くの形態の積層造形は、化学反応によって、又は加熱(例えば、特定の場所で材料を溶融して、冷却するときに凝固させること)によって、液体から固体などの、ある状態から別の状態への物質の形質転換を利用する。液体金属噴射(Liquid metal jetting、LMJ)は、溶融金属を印刷材料として使用する3D印刷技術の一種である。
【0003】
LMJプリンタの1つの特定のタイプは、層上に液体金属層を堆積させて3D金属物体を形成するのに好適な磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)プリンタである。MHDプリンタでは、金属コイルを通った電流が、液体金属組成物のリザーバ内に渦電流を誘導する時変磁場を作り出す。液体金属内の磁場と電界との間の連結は、液体金属の液滴をプリンタのノズルを通して吐出させる(噴射されるとも称される)ローレンツ力をもたらす。ノズルは、液滴の大きさ及び形状を選択するように制御されてもよい。3D部品を構築するために制御された様式で液滴が基材上に着滴するように、ビルドプラットフォームを制御することができる。
【0004】
LMJ印刷プロセスでは、噴射された液体金属液滴の品質は、多くの要因によって影響を受け、印刷プロセス中に著しく変動し得る。一貫性のない低品質液滴噴射は、望ましくない印刷結果をもたらす可能性がある。例えば、液滴堆積が不規則になる場合、3D印刷された部品は、その意図された形態から著しく逸脱する可能性がある。不良な液滴品質もプリンタの破局的故障の前兆になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
記載された実施形態及びその利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによって最も良好に理解され得る。これらの図面は、記載された実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に当業者によって加えられ得る形態及び細部のいかなる変更も、決して限定するものではない。同様の数字は、同様の要素を示す。
【0006】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、3Dプリンタの概略断面図を描示する。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の一部分の側面図を描示する。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な光学マスクである。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、噴射方向に沿った距離の関数としての光学マスク透過率(すなわち、光学マスクを通る光の透過率)のグラフである。
【
図5】
図3及び
図4に関連して説明した光学マスクに基づく例示的な光検出器応答のグラフである。
【
図6】
図3及び
図4に関連して説明した光学マスクに基づく液滴サイズに対する振幅変化の例示的なグラフである。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、電気信号に軌道情報をエンコードするように構成された光学マスクの配置を例解する。
【
図8】
図7の光学マスクを使用して得ることができる3つの時変電気信号の例を例解する。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、電気信号に温度情報をエンコードするように構成された例示的な光学マスクである。
【
図10A】
図9の光学マスクの隣を通過する液滴によって生成される時変信号の例を示す。
【
図10B】
図9の光学マスクの隣を通過する液滴によって生成される時変信号の別の例を示す。
【
図11】温度に対するピーク振幅の比の例示的なグラフである。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による、空間的に変調された光に基づいて液滴特性を判定するための別のシステムの図である。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態による、空間的に変調された光に基づいて液滴特性を判定するための別のシステムの図である。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による、ニューラルネットワーク訓練システムのブロック図である。
【
図15】本開示の実施形態による、3D部品を構築するために使用される噴射された材料の流れの特徴を識別する方法のプロセスフロー図である。
【
図16】本開示の実施形態による、3Dプリンタの噴射品質を評価する動作を実行するための例示的な計算システムを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の態様は、3Dプリンタの印刷品質を判定するための様々な技法を提供する。より具体的には、本開示は、構築の品質及び信頼性を保証するために、LMJ構築プロセス中の金属液滴のその場リアルタイム診断のための技法を開示する。液体金属噴射では、溶融金属がノズルから噴射され、基材上に堆積される。そのような技術において、同じ材料の固体上に堆積された単一の溶融液滴は、精密な液滴堆積による製造のための基本的な構築要素として機能する。
【0008】
高品質の3D印刷を保証するために、液滴の流れは、一貫性があり、予測可能であるべきである。印刷プロセスの品質は、液滴の流れが不規則になる場合、例えば、液滴が噴射経路から逸脱する場合、より小さい断片に分解する場合、一貫性のない形状若しくはサイズを有する場合、又は一貫性のない吐出速度若しくは周波数を有する場合、損なわれ得る。3Dプリンタの様々な状態は、例えば、プリントノズルの汚れなど、そのような非一貫性を引き起こす可能性がある。
【0009】
いくつかのシステムでは、高速カメラを使用して噴射された材料の流れの画像を捕捉することによって、印刷プロセスの品質を評価することができる。しかしながら、非常に高価であることに加えて、そのようなカメラは大量のデータを生成する。したがって、そのような画像をリアルタイムで処理することは、大量の時間及び/又は処理リソースを必要とする場合があり、診断情報を適時に提供するのに必ずしも好適であるとは限らない場合がある。これらの理由により、カメラベースの監視システムは高価であり、LMJのための閉ループ印刷制御監視において実装することが困難である。
【0010】
本明細書に開示される液滴検出技法は、空間光変調、移動粒子を分析及び特徴付けるための費用効果の高い高速アプローチを使用する。空間光変調では、噴射された材料の流れの中の液滴から発せられる(又は液滴間を通過する)光を光検出器によって検出し、時変電気信号に変換することができる。液滴によって生成される光パターンは、液滴の流れと光検出器との間、又は液滴の流れと液滴を照射するために使用される外部光源との間に、本明細書では光学マスクとも称される光学フィルタを挿入することによって操作される。この光学マスクは、液滴からの光が光学検出器に到達する様式に影響を与える透過性領域及び不透過性領域のパターンを含む。このようにして、光学マスクは、液滴が光学マスクに対して移動するときの経時的な光の変調を生じさせることによって、液滴に関する情報が、電気信号にどのようにエンコードされるかを判定する。光学マスクのレイアウトは、電気信号の変調にエンコードされる情報のタイプに従って構成されてもよい。
【0011】
結果として生じる電気信号は、光学マスクの既知の設計の場合、信号の特徴を抽出する特徴抽出アルゴリズムを使用して処理され、噴射された材料の流れの特性を識別することができる。識別され得るストリームの特性は液滴サイズ、液滴速度、吐出周波数、液滴形状、液滴位置、液滴軌道、液滴形状振動、液滴温度、液滴の酸化状態、液滴の均一性などを含む。
【0012】
液滴特徴は、FFT、相関等を含む、様々なアルゴリズムを使用して抽出されることができる。加えて、ラベル付けされたデータセットは、空間変調システム及び高速カメラ若しくは他の液滴特徴付けシステムを同時に使用して、データを収集することによって確立され得る。これは、システム較正のために使用することができるだけでなく、液滴診断のために機械学習を使用することも可能にする。機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク)は、将来のリアルタイム液滴診断のために、ラベル付けされたデータセットに基づいて訓練され得る。これは、軽量センサデータストリームを有する利点を維持しながら、空間変調技法によってより大きい検出可能パラメータ空間を開くことができる。
【0013】
実施形態によれば、検出された信号を診断ソフトウェアツールに提供することができ、診断ソフトウェアツールは、信号を自動的に処理して信号から特徴を抽出し、噴射された材料の流れの特性、したがって印刷プロセスの品質を判定することができる。本明細書に記載される診断プロセスは、連続的な3D印刷品質を保証するために、印刷ジョブの実行を通して連続的に実行されてもよい。抽出された特徴は、3Dプリンタを制御して、噴射される材料の流れを調節するために、又は噴射された材料の流れの特性が低い印刷品質を示す場合に印刷プロセスを中断するために使用され得る。
【0014】
本明細書で説明されるシステムは、高画素数画像を生成するカメラの代わりに、1つ又は数個の画素を伴う光検出器を使用して実装され得る。このようにして、システムは、リアルタイム処理及びフィードバック制御に好適な高速、軽量データストリームを生成する。これにより、診断ソフトウェアツールは、印刷ジョブが処理されている間に、液滴特性を迅速かつ正確に識別し、印刷設定の品質をリアルタイムで判定することが可能になる。診断情報の迅速な利用可能性は、液滴品質に関するフィードバックに基づいて印刷プロセスを制御するための様々な特徴を可能にすることができる。
【0015】
加えて、カメラとは対照的に、光検出器が検出システムにおいて使用されるという事実は、リアルタイム監視のためのより広いスペクトル範囲を開く。いくつかの実施形態では、液滴から発せられる光は、光源から生じ、液滴から散乱、反射、又は回折される光である。いくつかの実施形態では、高温金属液滴からの熱放射を信号源として使用することができ、追加の光源に対する必要性を排除する。これは、システム設計を著しく簡略化し、プリンタへの統合をより容易にすることができる。加えて、いくつかの実施形態では、診断システムは、任意選択的に、光源を伴って、又は伴わずに動作するように構成されてもよい。例えば、システムは、照明システムが液滴上に光を当て、次いで、反射/回折/散乱光が収集される「アクティブ」モード、又は溶融液滴からの熱放射が信号源として利用され、付加的光源が非アクティブ化されることができる「パッシブ」モードの両方で動作可能であるように構成されてもよい。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、3Dプリンタ100の概略断面図を描示する。3Dプリンタ100は、エジェクタ110(ポンプチャンバとも称される)を含み得る。エジェクタ110は、印刷材料120を受容するように構成されている内部容積部を画定し得る。印刷材料120は、金属、ポリマー(例えば、フォトポリマー)などであってもよく、又はこれらを含んでもよい。例えば、印刷材料120は、アルミニウム(例えば、アルミニウム線ひと巻き)であってもよく、又はアルミニウムを含んでもよい。
【0017】
3Dプリンタ100はまた、1つ以上の加熱要素130を含み得る。加熱要素130は、ポンプ110の内部容積部内で印刷材料120を溶融させるように構成されており、それにより、印刷材料120を、エジェクタ110の内部容積部内で固体材料から液体材料(例えば、液体金属)122に変換する。
【0018】
3Dプリンタ100はまた、電源132及び1つ以上の金属コイル134を含み得る。金属コイル134は、エジェクタ110及び/又は加熱要素130の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられている。電源132は、コイル134に結合され、それに電力を供給するように構成され得る。一実施形態では、電源132は、階段関数直流(direct current、DC)電圧プロファイル(例えば、電圧パルス)をコイル134に提供するように構成されてもよく、コイル134は、増加する磁場を生成し得る。増加する磁場は、エジェクタ110内に起電力を生じさせ得、引いては液体金属122内に誘導電流を生じさせ得る。液体金属122内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる、半径方向内向きの力を液体金属122に生じさせ得る。ローレンツ力は、エジェクタ110のノズル114の入口に圧力を生じさせる。この圧力は、液体金属122を1つ以上の液滴124の形態でノズル114を通して噴射させる。
【0019】
3Dプリンタ100はまた、液滴124から発せられる光又は液滴124間を通過する光から電気信号を生成するように構成された1つ以上の光検出器(1つが140として示されている)を含むことができる。3Dプリンタ100はまた、ノズル114、液滴124、又はその両方に光を当てるように構成された1つ以上の光源(1つが150として示されている)を含むことができる。光源150は、光ファイバ光源、LED光源などであってもよく、又はそれらを含んでもよい。光源150は、コリメート光源であってもよく、コリメート光源を含んでもよい。光源150は、白色光源であってもよく、又は白色光源を含んでもよい。光源150に起因して液滴から発せられる光は、電気信号の生成のために光検出器140によって検出され得る。他の実施形態では、光液滴から発せられる光は、液滴自体によって生成されてもよく、例えば、液滴の熱によって生成される赤外光であってもよい。3Dプリンタ100はまた、1つ以上の光学マスク(
図1では図示せず)を含み得る。光学マスクは、液滴から発せられる光を変調して、液滴の様々な特性を明らかにするために分析することができる電気信号に情報をエンコードする光学フィルタとして機能する。いくつかの実施形態では、液滴監視は、通常の検査として3Dプリンタ100によって、オペレータの介入によって、不規則な噴射の検出によって、及び/又は3Dプリンタ100の通常よりも大きい偏差の検出によってトリガされてもよい。液滴監視はまた、印刷ジョブ全体の持続時間を通して連続的に実行されてもよい。
【0020】
3Dプリンタ100はまた、ノズル114の下方に位置決めされている基材160(ビルドプレート又はビルドプラットフォームとも称される)を含み得る。ノズル114を通して噴射される液滴124は、基材160上に着滴し、冷却及び固化して、3D部品126を生成し得る。基材160は、基材160の温度を上昇させるように構成されているヒータ162をその中に含んでもよい。3Dプリンタ100はまた、液滴124が噴射されて3D部品126が所望の形状及びサイズを有するようにするときに(すなわち、印刷プロセス中に)基材160を移動させるように構成されている基材制御モータ164を含み得る。基材制御モータ164は、基材160を一次元(例えば、X軸に沿って)、二次元(例えば、X軸及びY軸に沿って)、又は三次元(例えば、X軸、Y軸、及びZ軸に沿って)で移動するように構成されてもよい。別の実施形態では、エジェクタ110及び/又はノズル114もまた、若しくはその代わりに、一次元、二次元、又は3次元で移動するように構成され得る。
【0021】
一実施形態では、3Dプリンタ100は、エンクロージャ170を含んでもよい。エンクロージャ170は、エジェクタ110、ノズル114、液滴124、3D部品126、加熱要素130、コイル134、基材160、又はこれらの組み合わせの周りに少なくとも部分的に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、エンクロージャ170はまた、光検出器140及び/又は光源150を含んでもよい。しかしながら、光検出器140及び/又は光源150は、エンクロージャの外側に配設されてもよい。一実施形態では、エンクロージャ170は、密封されていてもよい。別の実施形態では、エンクロージャ170は、密封されていなくてもよい。換言すれば、エンクロージャ170は、ガスがそこを通って流れることを可能にし得る1つ以上の開口部を有し得る。例えば、ガスは、開口部を通ってエンクロージャ170から流出することができる。
【0022】
一実施形態では、3Dプリンタ100はまた、1つ以上のガス源(1つが180として示されている)を含み得る。ガス源180は、エンクロージャ170の外側に位置決めされ、エンクロージャ170内にガスを導入するように構成され得る。ガス源180は、エジェクタ110、ノズル114、加熱要素130、又はこれらの組み合わせの周りに(下流に)流れるガスを導入するように構成され得る。ガスは、コイル134の周り及び/又は内部を流れることができる。ガスは、エンクロージャ170内に、及び/又は液滴124、3D部品126、及び/又は基材160に近接して(例えば、周囲に)流れてもよい。
【0023】
3Dプリンタ100はまた、ガスセンサ182を含んでもよい。ガスセンサ182は、エンクロージャ170内に位置決めされ得る。加えて又は代わりに、ガスセンサ182は、液滴124、3D部品126、及び/又は基材160に近接して位置決めされ得る(例えば、エンクロージャ170が省略される実施形態において)。ガスセンサ182は、ガス、酸素、又はこれらの組み合わせの濃度を測定するように構成されてもよい。
【0024】
3Dプリンタ100はまた、コンピューティングシステム190を含んでもよい。コンピューティングシステム190は、印刷材料120の、エジェクタ110、加熱要素130、電源132、光検出器140、光源150、基材制御モータ164、ガス源180、ガスセンサ182、又はこれらの組み合わせへの導入を制御するように構成されてもよい。例えば、コンピューティングシステム190は、光検出器140から信号を受信し、ノズルから吐出される液滴124の挙動を特徴付けるように構成され得る。コンピューティングシステム190はまた、液滴の挙動に少なくとも部分的に基づいて3Dプリンタ100の1つ以上のパラメータを調節するように構成されてもよい。例えば、溶融金属の温度は、例えば、液滴温度、液滴サイズ、若しくは吐出頻度などの監視された液滴特性に応じて、増加又は減少されてもよい。加えて、コンピューティングシステム190は、検出された液滴特性が不十分な噴射品質を示す場合、印刷ジョブを自動的に中断するように構成されてもよい。コンピューティングシステム190は、3D印刷システムに関する情報をオペレータに表示するために使用することができる表示画面192を含み得る。表示画面192は、検出された液滴特性に関する情報を表示することができ、オペレータに好ましくない印刷条件を警告し、かつ/又は是正措置を提案するために使用することもできる。吐出された液滴の監視は、コンピューティングシステム190によって提供され、診断ソフトウェアによって実装されるリアルタイム閉ループ制御システムの一部であってもよい。
【0025】
図2は、3Dプリンタ100の一部分の側面図であり、本開示のいくつかの実施形態による、空間的に変調された光に基づいて液滴特性を判定するための別のシステムを描示する。より詳細には、
図2は、ノズル114、光検出器140、及び光源150の側面図を描示する。光検出器140及び光源150は、噴射された材料の流れの少なくとも一部分に向けられてもよい。
図2には、液体印刷材料120の4つの液滴124が示されている。液滴124は、ノズル114から噴射されており、基材160(
図2には図示せず)に向かって下降している。液滴124に加えて、液体印刷材料120の追加の断片が存在し、これは本明細書においてサテライト200と称されることがある。サテライト200は、液体又は固体であり得る吐出された材料のより小さい断片であり、望ましくない軌道で進行し得る。サテライトは、印刷部品の形状及び機械的特性に悪影響を及ぼす制御されない様式で堆積される傾向があるので、望ましくない。噴射された材料の液滴、サテライト、及び他の断片は、本明細書では液滴と称されることがある。
【0026】
アセンブリの構成要素は、本明細書でX軸として指定される縦軸、Y軸として指定される横軸、及びZ軸として指定される奥行き軸を含む座標系に配置される。以下の説明では、噴射方向、すなわち、液滴が概して進行する方向は、座標系の縦軸(X軸)に概して沿うように選択され、縦軸、横軸、及び深さ軸は互いに直交する。任意の座標系が代替的に選択され得、座標系に対するアセンブリの配置は任意であり、アセンブリの動作を変更せず、非直交軸系が代替的に使用され得ることが理解されるであろう。噴射された材料の液滴は、概して、例解される正のX方向に移動し得る。しかしながら、以下で考察されるように、一部の液滴は、追加的又は代替的に、検出領域に沿って例解されるy方向及び/又はz方向に移動してもよい。
【0027】
場合によっては、光源312は、例えば、従来のレーザ、レーザダイオード(laser diode、LD)、発光ダイオード(light emitting diode、LED)源、又は共振空洞LED(resonant cavity LED、RC-LED)源を備えてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、結果として生じる出力光のスペクトルを狭めるか、又は別様に調整するために、1つ以上のフィルタを組み込んでもよい。いずれのタイプの光源が選択されても、光源312によって出射される入射光のスペクトル構成又は組成は、好ましくは、以下で更に考察されるように、サンプル中に存在し得る液滴の少なくとも一部からの光を励起するか、散乱するか、又は別様に光の発散を引き起こすように調整される。
【0028】
図2にはまた、光透過率が増加した領域と減少した領域とを交互に含む光学マスク202が示されている。光透過率が増加した領域及び減少した領域は、本明細書では、光通過領域及び光遮断領域と称され得る。光学マスクは、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、及びその他を含む、任意の好適な材料又は材料の組み合わせから作製されてもよい。透明部分は、ガラス又は透明プラスチックなどの透明材料を使用して形成することができる。透明な部分はまた、材料が存在しないことに起因し得る。例えば、光学マスクは、透過性領域を形成するスロットを有するアルミニウム又は他の金属の固体シートであってもよい。
【0029】
図2に示される実施形態において、光学マスク202は、噴射された材料の流れと光検出器140との間に配設される。この位置において、光学マスク202は、出力マスクと称され得る。他の構成では、光学マスクは、光源150と噴射された材料の流れとの間に配設することができ、その場合、光学マスク202は、入力マスクと称され得る。入力マスクは、噴射方向(X軸)に沿ったその位置に応じて噴射された材料の流れを照射するパターン化された励起光を生成するために、量を変化させることによって光源によって出射された光を透過するように適合されてもよい。本明細書で説明される技法は、概して、1つ以上の出力マスクを参照して説明される。しかしながら、同じ技術の多くは、入力マスクを使用するシステムにも適用され得ることが理解されるであろう。
【0030】
図2に示される光学マスクは、光透過性がより高い第1の領域204と、光透過性がより低いか又は光を完全に遮断する第2の領域206とのパターンを含む。いくつかの実施形態では、第1の領域204は、透過性又はほぼ透過性であってもよく、一方、低透過性領域206は、不透過性又はほぼ不透過性であってもよい。加えて、色応答光学マスクは、光学マスク202のいくつかの領域が、第1の波長帯域に対して透過性がより高く、第2の波長帯域に対して透過性が低い一方で、光学マスク202の他の領域が、第1の波長帯域に対して透過性がより低く、第2の波長帯域に対して透過性がより高くなるように使用されてもよい。システム100はまた、液滴からの光を光学マスク202上に集束させるための1つ以上のレンズ212を含み得る。
【0031】
吐出された液滴がノズル114から光学マスク202に隣接するビルドプラットフォームに向かって進行するにつれて、光学マスク202の高透過性領域及び低透過性領域は、光を交互に透過及び遮断し、光検出器140に当たる時間変調された光を生成する。この光は、液滴から発せられる光と組み合わせて、又は光源150からの光を遮断する液滴に起因して、光学マスク202によって変調され得る。時変光に応答して、光検出器140は、時変電気信号を生成する。
【0032】
光検出器140によって検出される光の時間変動は、光学マスク202と、液滴124及び/又はサテライト200から発せられる光との間の相互作用の結果であり得る。例えば、噴射された材料の液滴(例えば、液滴124、サテライト200など)が噴射方向(X軸)に進行するとき、液滴から発せられる光は、液滴が噴射経路に沿って進行するときに、交互に実質的に透過されるか、又は光検出器に到達することから実質的に遮断される。出射された光の交互の透過及び非透過(又は低減された透過)は、光検出器140によって検出される時変光を生成する。これに応答して、光検出器140は、時変電気出力信号を生成する。
【0033】
図2にはまた、分析器208及びコントローラ210が示されている。分析器208及びコントローラ210は、コンピューティングシステム190の構成要素であってもよく、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装されてもよい。例えば、分析器208は、1つ以上の信号調整器、アナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)、処理デバイス、コンピュータメモリなどを含んでもよい。時変電気信号は、分析器208に提供され得る。分析器208は、時変電気信号を時間領域信号から周波数領域信号に変換することもできる。周波数領域への変換のために、分析器208は、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)アルゴリズムを含む離散フーリエ変換などの技法を使用することができる。周波数領域信号は、光検出器140によって生成される時変電気信号の周波数成分の大きさを表し、周波数成分の大きさは、時変電気信号内に存在する所与の周波数成分の量である。フーリエ信号パワーの平方根、又は光検出器140からの時変電気信号を入力として受信するフィルタから得られる信号強度(例えば、電圧又は電流で測定される)など、周波数成分の大きさを表す他の技法も使用することができる。電気信号は、複数の周波数成分を含んでもよく、その各々は、噴射された材料の流れの異なる特徴に関連し得ることが理解されよう。例えば、第1の周波数成分は、第1の速度で吐出される液滴の第1のセットを表すことができ、第2の周波数成分は、第1の速度より上又は下の第2の速度で吐出される液滴又はサテライトの第2のセットを表すことができる。
【0034】
分析器208は、液滴サイズ、形状、軌道、速度などの液滴の1つ以上の特性を判定するために、時変電気信号及び/又は周波数領域信号を分析するように構成されている。分析器208は、コントローラ210に結合され得る。液滴特性に関する情報は、分析器208からコントローラ210に送信され、3Dプリンタ100を制御するためにコントローラによって使用され得る。例えば、コントローラ210は、分析器208によって識別された特性に基づいて、液滴の特性のうちの1つ以上を変動させるように構成され得る。例えば、コントローラ210は、電源132からコイル134(
図1)に提供される電圧パルスの電圧プロファイルを調節して、速度、サイズ、温度、又は吐出周波数などの液滴の1つ以上の特性を制御するように構成され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、コントローラは、分析器208から受信した液滴特性情報に基づいて3Dプリンタのディスプレイ192を調節し得る。例えば、ディスプレイ192は、液滴の特性、及び液滴特性が所定の限界内にあるかどうかを示すために使用され得る。情報は3Dプリンタのオペレータに表示されてもよく、オペレータはこれを使用して、例えば、3D印刷プロセスに対する手動調節を行い、又は印刷ジョブを終了してもよい。いくつかの例では、コントローラ210は、分析器208から受け取った液滴特性情報に基づいて、印刷ジョブを自動の自動的に終了させることができる。例えば、液滴特性が指定された閾値から外れた場合、これは印刷品質が不十分であることを示すことがあり、印刷ジョブの自動終了をトリガすることができ、その結果、時間及び材料費が節約される。
【0036】
簡略化のために、
図2は、単一の光学マスク202と関連付けられた単一の光源150及び単一の光検出器140を示す。しかしながら、本技法の実施形態は、特定の実装形態の設計の詳細に応じて、複数の光源150、光検出器140、及び光学マスクを含んでもよい。
【0037】
光学マスクの向き、光学マスクのパターン化、及び光学マスクの組成は、電気信号にエンコードされる情報に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、3Dプリンタは、各々が異なる光検出器と関連付けられ、各々が異なる情報をエンコードするように構成された2つ以上の光学マスクを含み得る。例えば、1つの光学マスクは、液滴サイズ情報をエンコードするように構成されてもよく、別の光学マスクは、位置情報をエンコードするように構成されてもよい。別の実施形態では、単一の光学マスクは、サイズ及び位置情報の両方をエンコードするように構成されることができ、第2の光学マスクは、液滴温度情報をエンコードするように構成されてもよい。2つ以上の光学マスクを有する実施形態では、光学マスクは、直列(すなわち、同じY-Z座標であるが、X方向に沿って異なる位置)又は並列(すなわち、異なるY-Z座標であるが、X方向に沿って同じ位置)に配向され得る。様々な実施形態が以下で更に説明される。
【0038】
いくつかの実施形態では、液滴から発せられる光は液滴自体によって生成され、その場合、光源は必要とされなくてもよい。例えば、この光は、液滴の温度に基づいて生成される赤外光であってもよい。そのような実施形態では、対応する光検出器140は、液滴からの赤外光を検出するように構成され、光学マスクの第1及び第2の領域204、206は、異なる赤外透過特性を有するように構成され得る。
【0039】
光学マスク202は、容易に取り外し可能かつ交換可能であるように構成され得る。例えば、3Dプリンタ100は、光学マスクが1つ以上の所定の位置で3Dプリンタ100に取り外し可能に結合されることを可能にするスロット、溝、又は他の接続機構を有し得る。このようにして、光学マスク202を交換して、ユーザが信号にエンコードしたい特定の情報をカスタマイズすることができる。信号を分析するために使用される診断ソフトウェアは、3Dプリンタ100に装填された光学マスク202のタイプに従って調節することができる。これはまた、光学マスクが漂遊印刷材料によって汚された場合に、ユーザが光学マスクを交換することを可能にする。
【0040】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な光学マスク300である。光学マスク300は、噴射方向(X軸)に沿って交互に配置された不透過性領域及び透過性領域を含む。0.03mmのマスクピッチサイズを有する
図3に示す例では、各透過性部分の長さ(X軸に沿った)はおよそ0.03mmであり、各不透過性部分の長さもおよそ0.03mmである。この例におけるシステムはまた、マスク300上に投影される液滴画像が液滴の実際のサイズの10分の1になるように、1/10の光学倍率を提供する光学系(例えば、レンズ)を含む。これらの寸法は単なる例であり、本技法の実施形態による光学マスクは、任意の好適な数、サイズ、又は配置の領域を有することができることが理解されよう。透過性領域又は不透過性領域の長さが均一であることも、本開示の限定ではない。いくつかの実施形態では、光学マスクは、不規則な長さ、間隔などを有する領域を含んでもよい。
【0041】
また、
図3には、本明細書において第1の液滴302及び第2の液滴304と称される一対の液滴が示されている。液滴302及び304は、ノズルからビルドプラットフォームへの噴射軸に沿って光学マスクの背後を移動している。この例では、第1の液滴は直径がおよそ0.1mmであり(マスク上の投影画像サイズが0.01の場合)、第2の液滴は直径がおよそ0.9mmである(マスク上の投影画像サイズが0.09の場合)。加えて、システムは、光検出器が液滴から発せられる光を検出するように構成される。光は、外部光源から生じる反射若しくは屈折若しくは散乱光であってもよく、又は液滴自体によって生成された光(すなわち、赤外光)であってもよい。しかしながら、実施形態によるシステムはまた、液滴が光源からの光を遮断する程度に従って受信信号が変調されるように、液滴の背後に位置決めされた光源から受け取った光を検出するように構成され得ることが理解されるであろう。
【0042】
図3に示される光学マスクは、液滴サイズ及び進行速度を検出するために使用され得る。進行速度に関して、液滴が異なる透過度の領域の背後を通過するとき、信号の振幅はそれに応じて上昇及び下降することが理解されよう。液滴が速く移動するほど、信号はより速く振幅変調される。したがって、変調の周波数を使用して、液滴の進行速度を検出することができる。
【0043】
液滴サイズに関して、より小さい液滴は、不透過性領域によって完全に遮断されることがあるが、より大きい液滴は、その位置にかかわらず、不透過性領域によって完全に遮断されないことが理解され得る。したがって、より小さい第1の液滴は、より大きい第2の液滴と比較して、光学マスクの背後を進行するとき、より大きい振幅変動を有する信号を生成する傾向がある。したがって、この信号振幅変動は、液滴サイズの指標として機能し得る。
図4~
図6は、
図3に示される光学マスクを使用する液滴サイズの検出に関する更なる詳細を提供する。
【0044】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、噴射方向に沿った距離の関数としての光学マスク透過率(すなわち、光学マスクを通る光の透過率)のグラフである。
図4に示すように、光透過の振幅は、透過性領域については1.0(完全透過)であり、不透過性領域については0.0(完全遮断)である。しかしながら、実施形態による光学マスクは、完全に透過性ではない光透過領域(光通過領域とも称される)と、完全に不透過性ではない不透過性領域(光遮断領域とも称される)とを有し得る。例えば、光通過領域は0.75の透過率値を有してもよく、一方、光遮断領域は0.25の透過率値を有してもよい。加えて、光透過領域の透過率値は、光学マスクの異なる領域に対して変化してもよく、光遮断領域の透過率値は、光学マスクの異なる領域に対して変化してもよい。光信号にエンコードされる情報に応じて、透過率値の任意の好適な組み合わせを使用することができる。
【0045】
図5は、
図3及び
図4に関連して説明した光学マスクに基づく例示的な光検出器応答のグラフである。各グラフは、およそ3mm/ms(ミリメートル/ミリ秒)の速度で光学マスクの背後を通過する所与のサイズの液滴によって引き起こされる、経時的な光検出器信号振幅を示す。
図5に示す信号振幅は正規化された値であり、最大値1と最小値0との間で変化する。グラフ502は、0.1mmの直径を有する均一な液滴の定常流から生じる例示的な信号を示す。グラフ504は、0.3mmの直径を有する均一な液滴の定常流から生じる例示的な信号を示す。グラフ506は、0.5mmの直径を有する均一な液滴の定常流から生じる例示的な信号を示す。グラフ508は、0.7mmの直径を有する均一な液滴の定常流から生じる例示的な信号を示す。グラフ510は、0.9mmの直径を有する均一な液滴の定常流から得られる例示的な信号を示す。
【0046】
図5から、液滴のサイズと信号の振幅変動との間に直接的な相関関係があることを認識することができる。0.1mmの液滴の場合、振幅は0~1まで変化し、これは、液滴が、完全に遮断されること(0)と完全に見えること(1)とを交互に繰り返すという事実と相関する。しかしながら、0.9mmの液滴の場合、振幅は約0.9~1まで変化し、これは、より大きい液滴からの光が決して完全に遮断されず、より小さい振幅変化をもたらすという事実と相関する。
【0047】
図6は、
図3及び
図4に関連して説明した光学マスクに基づく液滴サイズに対する振幅変化の例示的なグラフである。
図6に示されるデータは、
図5に示されるデータから導出され得る。
図6は、約0.3mm~約1.0mmの液滴サイズの広い範囲にわたって、液滴サイズと振幅変動との間にほぼ線形の関係があることを示す。この範囲全体にわたって、受信信号の振幅変動に基づいておおよその液滴サイズを判定することができる。
【0048】
光学マスクの有効液滴サイズ範囲は、光通過領域及び光遮断領域の(噴射方向における)長さによって判定することができる。例えば、光通過領域及び光遮断領域の長さを増加させることは、光学マスクが、より大きい液滴に対してより有効な異なる範囲の液滴サイズを網羅することを可能にするであろう。いくつかの実施形態では、異なる範囲の液滴サイズ網羅率を含む2つ以上の光学マスクが、単一光学マスクを用いて達成可能であり得るよりも広い範囲の液滴サイズを累積的に網羅するように展開されてもよい。
【0049】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、電気信号に軌道情報をエンコードするように構成された光学マスク700の配置を例解する。異なる軌道を有する潜在的な液滴経路が描示されている。具体的には、第1の液滴702は経路Aで示される経路をたどり、第2の液滴704は経路Bで示される経路をたどり、第3の液滴706は経路Cで示される経路をたどる。
【0050】
光学マスク700は、非透過領域710と交互配置された一連の透過領域708を含む。透過領域708は、透過領域が噴射方向に直交する方向(描示された例では正のY方向)にテーパ状となるように三角形状である。このようにして、非透過領域に対する透過領域の割合は、Yの値が大きくなるにつれて徐々に増加する。したがって、光学マスクの背後を通過する液滴によって生成される信号は、液滴が噴射軸(X軸)に沿って移動するにつれて、液滴のY軸方向の移動に応じて変化する。
【0051】
図8は、
図7の光学マスクを使用して得ることができる3つの時変電気信号の例を例解する。生成された信号は、信号A(
図7の経路Aに対応)、信号B(
図7の経路Bに対応)、及び信号C(
図7の経路Cに対応)と示される。時変信号は、液滴702、704、及び706の特性を判定するために使用され得る、いくつかの特性を有する。例えば、各信号の周波数を処理して、対応する液滴のX方向の速度を識別することができる。
【0052】
加えて、各信号のデューティサイクルの差を使用して、対応する液滴のY軸方向の軌道を判定することができる。
図8に示すように、信号Aは、液滴の経路が非透過領域に対する透過領域のより高い比率と一致するので、より高いデューティサイクルを有する。対照的に、信号Bは、液滴の経路が非透過領域に対する透過領域のより低い比率と一致するので、より低いデューティサイクルを有する。加えて、信号Cのデューティサイクルは、経時的に徐々に増加する。これは、対応する液滴704が、液滴がノズルからビルドプラットフォームに移動する際に正のY方向に移動するように、角度の付いた軌道をたどることを示す。デューティサイクルの変化率は、X-Y平面における対応する液滴の角度を示すことができる。
【0053】
本明細書に記載される光学マスクは、液滴の軌道に関する部分的な情報を提供することができる。具体的には、それは、X-Y平面内の液滴の軌道を示すために使用されることができるが、X-Z平面内の移動に関するいかなる有用な情報も提供しない場合がある。いくつかの実施形態では、3Dプリンタは、光学マスク700と類似又は同一であるが、X-Z平面内に配向され、X-Z平面の軌道情報をエンコードするように構成された、第2の光学マスクを装備してもよい。3Dプリンタはまた、第2の光学マスクを通して光信号を受信するための対応する第2の光検出器を有する。このようにして、液滴の完全な三次元軌道は、2つの信号を処理することによって判定することができる。
【0054】
時変信号A、B、及びCはまた、液滴のサイズ、液滴の速度、及び前述の特徴の均一性又は不均一性などの他の特徴を判定するために処理されることができる。
【0055】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、電気信号に温度情報をエンコードするように構成された例示的な光学マスク900である。
図9の光学マスクは、赤外光に対して少なくとも部分的に透過性であるように構成された、本明細書において窓902、904、906とも称される3つの光透過領域を含む。これらの窓は、赤外光に対して遮光性であり得るフレーム914によって一緒に保持され得る。IR光遮断領域は、薄い金属シート、IRコーティングを有する薄い高温ポリマーシート、金属コーティングを有する薄いガラス基材、及び他の組成物から構成され得る。
【0056】
窓はまた、熱選択性であり、これは、窓が、液滴の温度によって判定される赤外光の異なる周波数に対して異なる光透過レベルを示すことを意味する。窓の熱応答は、窓材料のタイプ及び厚さによって判定され得る。ゲルマニウム、セレン化亜鉛、溶融シリカ、フッ化カルシウム、及びAMTIR(Amorphous Material Transmitting Infrared Radiation)光学ガラスから作製された又はそれらを含むガラスを含む、様々なタイプの材料又は材料の組み合わせを透過窓に使用することができる。多くのそのような材料のIR透過率は既知であるか、又はテストすることができる。透過率は、概して、IR波長に従って変化し、異なる材料では異なる。例えば、いくつかの材料は、より低い周波数のIR光に対してより透過性が高くなり得る一方で、他の材料は、より高い周波数のIR光に対してより高い透過性となり得る。いくつかの実施形態では、フッ化カルシウム(CaF2)非球面レンズなどのレンズを使用して、液滴を光学マスク上に結像することができる。
【0057】
窓は、所与の範囲の赤外線周波数に対して異なるIR光透過レベルを示すように構成されてもよい。そのような構成は、基材材料上の異なる光学コーティングを介して達成することもできる。これにより、光学マスクが光を変調して、液滴の温度に関する情報をエンコードすることが可能になる。
図9に示される実施形態では、最初の窓902(ノズルに最も近い)及び最後の窓906(ビルドプラットフォームに最も近い)は、より低い周波数のIR光に対してより高い透過性を有する材料から作製され、これは、より低い温度と関連付けられる。比較すると、中間窓904は、より高い周波数のIRに対してより高い透過性を有する材料から作製され、これはより高い温度と関連付けられる。一例として、最初と最後の窓の透過率プロファイルは、プロット908及び912として示され、中間窓の透過率プロファイルは、プロット910として示される。表示されたプロファイルは単なる例であり、使用される材料及び任意の塗布されるコーティングのタイプ及び厚さに応じて様々なプロファイルが設計され得ることが理解されるであろう。
【0058】
溶融金属の液滴が光学マスク900の背後を通過すると、液滴によって出射され、センサによって検出されるIR光は、光学マスク900の背後のその位置に応じて強度が変化する。このようにして、光学マスク900は、センサによって生成された時変信号に温度情報をエンコードすることができる。センサは、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)光検出器など、赤外光を検出することができる任意の好適なタイプのセンサであってもよい。例示的な技法は、
図10A、
図10B、及び
図11のグラフに関連して更に説明される。
【0059】
図10Aは、
図9の光学マスク900に隣接して通過する液滴によって生成される時変信号の例を示す。
図10Aは、最初の窓902及び最後の窓906が、液滴によって出射されるIR周波数においてより高い透過性を有し、中間窓904が、液滴によって出射されるIR周波数においてより低い透過性を有するように、液滴が比較的低温である例を示す。この結果、最初の窓902及び最後の窓906に対応する信号振幅における2つのピークと、中間窓904と関連付けられるピーク間の最小振幅とが生じる。最初の窓902と関連付けられた第1のピークは、振幅A1を有し、時間T1で発生する。中間窓904と関連する最小値は、値A2を有し、時間T2で発生する。これらの2つの振幅値の間の比は、
図10Bに関連して以下で更に説明されるように、液滴の温度を判定するために使用され得る。
【0060】
図10Bは、
図9の光学マスク900の隣を通過する液滴によって生成される時変信号の別の例を示す。
図10Bは、最初の窓902及び最後の窓906が、液滴によって出射されるIR周波数においてより低い透過性が有し、中間窓904が、液滴によって出射されるIR周波数においてより高い透過性が有するように、液滴が比較的高温である例を示す。この結果、中間窓904に対応する信号振幅に単一のピークが生じ、最初の窓902及び最後の窓906と関連するピークの各側に2つの最小振幅が生じる。最初の窓902と関連する第1の振幅は、振幅A1を有し、時間T1で発生する。中間窓904と関連する第2の振幅は、値A2を有し、時間T2で発生する。
図10A及び
図10Bから、A1とA2との比は、液滴の温度に応じて変化し、したがって、液滴の温度の指標としての役割を果たすことができることが分かる。
【0061】
図11は、温度に対するピーク振幅の比の例示的なグラフである。比A1/A2は、
図10A及び
図10Bに関連して説明したように、温度の関数として異なる透過率曲線を有する窓によって引き起こされる2つのピークの比である。
図11に示されるグラフなどのグラフは、検出された信号の測定されたピークを3Dプリンタによって吐出される溶融金属液滴の温度と関連付けるために使用され得る。この曲線は、窓902、904、906の相対アドミタンスプロファイルに応じて変化する。
【0062】
いくつかの実施形態では、3Dプリンタは、異なる温度範囲に対して異なる応答をするように構成された異なる光学マスクを備えていてもよい。光学マスクは、噴射された材料の同じ流れを監視することを可能にする任意の好適な様式で配置されてもよい。例えば、いくつかの光学マスクをX軸に沿って直列に位置決めすることができる。他の実施形態では、光学マスクは、各光学マスクが異なる方位角から流れを監視するように、流れの異なる側面に沿って配向されてもよい。各光学マスクは、異なるセンサと関連付けられてもよく、情報の異なるチャネルをもたらしてもよい。分析器208(
図2)は、複数のデータチャネルを分析して液滴の温度を判定するように構成されてもよい。
【0063】
図12は、本開示のいくつかの実施形態による、空間的に変調された光に基づいて液滴特性を判定するための別のシステム1200の図である。システム1200は、
図1の3Dプリンタ100などの3Dプリンタに組み込まれ得る。
図12において、システム1200は、噴射方向がページの中に向かうように上から描示されている。
【0064】
図12のシステム1200は、2つの光学マスク、すなわち、光検出器1204と対にされる第1の光学マスク1202と、光検出器1208と対にされる第2の光学マスク1206とを含む。両方の光検出器1204、1208からのセンサデータは、分析器208によって収集される。
【0065】
システム1200はまた、噴射された材料、例えば液滴1212の流れを照射する光源1210を含む。単一の光源が示されているが、システム1200は、任意の好適な数の追加光源を含み得る。また、光源1210は、液滴1212の好適な照明を提供する任意の位置及び任意の向きに位置決めされ得る。例えば、1つ以上の光源は、
図2に示すように、ノズルに隣接して流れの上方に位置決めされ得る。
【0066】
図12に示される光学マスク及びセンサの構成は、噴射された材料の流れに関する追加の情報を明らかにするよりリッチなデータセットの収集を可能にする。各光学マスクは、それぞれのデータストリームに異なる情報をエンコードするように構成されてもよく、データストリームは、本明細書では異なるチャネルと称されることがある。例えば、第1の光学マスク1202は、液滴サイズの第1の範囲についての情報をエンコードするように構成されてもよく、第2の光学マスクは、第1の範囲より上又は下の液滴サイズの第2の範囲についての情報をエンコードする。そのような実施形態では、第1及び第2の光学マスクは、
図3に示される光学マスクと同様であってもよいが、透過性領域及び不透過性領域について異なる長さを有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、各チャネルは、異なるタイプの情報に関連し得る。例えば、光検出器1204に対応する第1のチャネルは、第1のチャネルにエンコードされた温度情報を有してもよく、光検出器1208に対応する第2のチャネルは、第2のチャネルにエンコードされたサイズ及び/又は速度情報を有してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、光学マスク1202及び1206は、
図7の光学マスク700と同様であってもよい。そのような実施形態では、光学マスク1202は、X-Z平面内の液滴の移動に関連する軌道情報をエンコードするように構成されてもよく、光学マスク1206は、X-Y平面内の液滴の移動に関連する軌道情報をエンコードするように構成されてもよい。各平面について得られた軌道情報を組み合わせることによって、液滴についての完全な三次元軌道が判定され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、一方又は両方のセンサ1204、1208は、液滴から発せられるIR光を検出することができるIRセンサであってもよい。このようにして、液滴に関する情報は、外部光源ではなく液滴から発せられるIR光を使用して信号にエンコードされ得る。IR光を使用して信号にエンコードされる特徴は、液滴サイズ、液滴速度、軌道、及びその他を含む、外部光を使用してエンコードされる同じ特徴のいずれかを含んでもよい。いくつかの実施形態では、外部光源1210は、ある時間に起動され、他の時間に停止されてもよい。例えば、外部光源1210は、液滴の温度が、IRセンサを使用して効果的に検出され得る温度範囲外である場合、すなわち、液滴が、例えば、冷たすぎる場合、起動されてもよい。液滴温度が、IRセンサが使用され得るレベルまで上昇する場合、光源1210は、液滴からのIR光を優先して停止されてもよい。
【0070】
加えて、一方又は両方の光学マスク1202、1206は、
図9に関連して説明されるような熱選択性窓を有してもよい。このようにして、液滴の温度に関する情報を、場合によっては液滴サイズ、速度、又は軌道などの記載された他の情報に加えて、信号にエンコードすることができる。いくつかの実施形態では、光学マスク1202は、第1の温度範囲用に構成されてもよく、光学マスク1206は、第1の温度範囲より上又は下の第2の温度範囲用に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、液滴の温度は、既知であり得、又は別個の検知を使用して測定されてもよい。酸化物は、同じ温度の金属と比較してより高い射出率を示す傾向があるので、既知の温度及び光学マスクによって電気信号にエンコードされた射出強度を使用して、溶融液滴の酸化状態を判定することができる。システム1200は、マスクの任意の好適な組み合わせを使用して、本明細書で説明するエンコード戦略のいずれかを組み合わせることができる。
【0071】
図13は、本開示のいくつかの実施形態による、空間的に変調された光に基づいて液滴特性を判定するための別のシステム1300の図である。システム1300は、
図1の3Dプリンタ100などの3Dプリンタに組み込まれ得る。
図13において、システム1300は、噴射方向がページの中に向かうように上から描示されている。
【0072】
図13のシステム1300は、噴射経路の周りに直交して配置された4つの光学マスクを含む。第1の光学マスク1302は第1のセンサ1304と対になり、第2の光学マスク1306は第2のセンサ1308と対になり、第3の光学マスク1310は第3のセンサ1312と対になり、第4の光学マスク1314は第4のセンサ1316と対になる。全てのセンサデータは、分析器208によって収集される。
【0073】
システム1300はまた、噴射された材料、例えば液滴1318の流れを照射する光源(図示せず)を含み得る。例えば、光源は、
図2に示すように、ノズルに隣接して流れの上方に位置決めされ得る。他の実施形態では、センサの各々は、液滴自体によって生成されるIR光を検出するように構成されてもよい。
【0074】
光学マスクは、それぞれの信号、例えばチャネルに様々なタイプの情報をエンコードするように構成されてもよい。例えば、光学マスク1302及び1306は、それらの2つのそれぞれの信号に液滴の完全な三次元軌道をエンコードするように構成されてもよく、一方、光学マスク1310及び1314は、液滴サイズ情報の2つの異なるチャネルをエンコードするように構成されてもよい。同時に、各光学マスクはまた、異なる範囲の温度情報をエンコードするように構成されてもよい。各々が異なる組み合わせの能力を有する光学マスクタイプの様々な組み合わせをシステムに含めることができる。加えて、実施形態によるシステムは、4つより多くの光学マスクを含んでもよい。例えば、光学マスクをX方向に積層してもよく、又は追加の光学マスクを噴射経路の周囲に配置してもよい。
【0075】
図14は、本開示のいくつかの実施形態による、ニューラルネットワーク訓練システム1400のブロック図である。システム1400は、ニューラルネットワークを訓練して、液滴特性と、本明細書に記載される実施形態のいずれかに従って生成される時変電気信号との間のマッピングを作成するために使用されてもよい。マッピングが学習されると、ニューラルネットワークは、液滴サイズ、速度、軌道、及び均一性などの噴射された材料の流れの特性を、測定された時変電気信号から直接判定するために使用され得る。これは、実現可能な3D印刷における噴射された材料の流れのリアルタイム分析の速度を改善することができ、3D印刷プロセスの迅速な閉ループフィードバック制御を可能にする。
【0076】
ニューラルネットワークは、設計入力1404に従ってニューラルネットワーク処理デバイス1402によって訓練され得る。設計入力は、訓練データ1406、テストデータ1408、及びニューラルネットワークアーキテクチャデータ1410を含み得る。
【0077】
システム1400は、ニューラルネットワークを訓練するための訓練データ1406及びテストデータ1408を生成するために使用される3Dプリンタ100を含み得る。3Dプリンタ100は、ネットワーク1414を介してデータ記憶デバイス1412に接続されてもよい。データ記憶デバイス1412は、ニューラルネットワーク処理デバイス1402がアクセス可能な訓練データ1406、テストデータ1408などの様々なタイプのデータを記憶し得る。3Dプリンタ100は、LMJプリンタ又は液滴を吐出する他のタイプの3Dプリンタであってもよい。
【0078】
訓練データ1406及びテストデータ1408は両方とも、入力データ及び対応する出力データの対を含む。いくつかの実施形態では、入力データは、光検出器140(
図2)によって生成される時変電気信号(すなわち、時間領域表現)であってもよい。上述したように、時変電気信号は、1つ以上の光学マスク(例えば、202、300、700、900)によって信号にエンコードされたデータを含む。いくつかの実施形態では、入力データは、時変電気信号の周波数領域表現などの時変電気信号の特徴であってもよい。入力データは、本明細書では訓練信号と称されることがある。
【0079】
出力データは、液滴サイズ、液滴速度、液滴均一性などの1つ以上の液滴特性を含み得る。この液滴特性は、例えば、液滴の高速ビデオカメラ撮像を通して得られる、噴射された材料の流れの画像に基づいて判定されてもよい。画像は、3Dプリンタ100又は類似の3Dプリンタによって実行される実際の印刷ジョブに関連して画像キャプチャを実行することによって取得されてもよく、その間に、対応する入力データとして使用される時変電気信号も収集される。この時変電気信号は、画像に含まれる液滴特性を示すようにラベル付けされてもよい。このラベルは、画像の目視検査に基づいて手動で入力データに添付されてもよい。訓練データは、任意の好適な数の入力訓練サンプル及び対応する出力訓練サンプルを含むことができ、テストデータは、好適な数の入力テストサンプル及び対応する出力テストサンプルを含むことができる。
【0080】
ニューラルネットワークアーキテクチャデータ1410は、ニューラルネットワークのタイプを指示し、また、ニューラルネットワークの調節可能な特徴、例えば、モデルのハイパーパラメータ、ハイパーパラメータの各々についての値の好適な範囲、及びハイパーパラメータが調節され得る量を記述することができる。
【0081】
ニューラルネットワークを生成するために、処理デバイス1402は、最初に、ブロック1416において、ニューラルネットワークのハイパーパラメータについての値を選択し得る。このハイパーパラメータは、隠れ層の数及び各隠れ層内のニューロンの数など、ニューラルネットワークの構造に影響を及ぼす任意のパラメータであり得るか、又は、とりわけ、学習レート及びバッチサイズなど、ニューラルネットワークがどのように訓練されるかを判定し得る。
【0082】
ブロック1418において、ニューラルネットワークは、選択されたハイパーパラメータ値及び訓練データ1406を使用して訓練される。ニューラルネットワークを訓練することは、コスト関数を最小化するためにニューラルネットワークの重み及びバイアスの値を計算することを意味する。任意の好適なコスト関数を使用することができる。ニューラルネットワークには入力訓練サンプルが供給され、コスト関数は、ニューラルネットワークの出力と対応する出力訓練サンプルとの比較に基づいて計算することができる項からなる。ニューラルネットワークは、技法又はフィードフォワード技法を使用し、バックプロパゲーション、勾配降下アルゴリズム、及び/又はミニバッチ技法を含む任意の好適な訓練アルゴリズムを使用して訓練されたフィードフォワードニューラルネットワークであり得る。ニューラルネットワークはまた、リカレントニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、非線形自己回帰モデルなどであってもよい。
【0083】
ニューラルネットワークが訓練を終了すると、訓練されたニューラルネットワークは、ブロック1420において、テストデータ1408からいくつかの入力テストサンプルを供給し、ニューラルネットワークの出力を対応する出力テストサンプルと比較することによってテストされ得る。各テストサンプルについて誤差値を計算することができる。ブロック1422において、テストサンプル誤差の分布、又はその最頻値若しくは平均値のような任意の導出された特性が計算され得る。
【0084】
テスト誤差メトリックが指定された閾値を超える場合、訓練プロセスはブロック1416に戻り得、ハイパーパラメータ値の新しいセットが選択され、及び/又は訓練データ選択が更新される。次いで、調節されたニューラルネットワークは、ブロック1418において訓練され、ブロック1420においてテストされ得、訓練されたニューラルネットワークのための適切なテスト誤差メトリックが計算され得る。プロセスは、結果として生じるテスト誤差メトリックが閾値を下回るまで繰り返されてもよく、又はプロセスは、ハイパーパラメータ空間の適切なサンプリングを提供するために指定された回数だけ繰り返されてもよく、最小テスト誤差メトリックを生成する訓練されたニューラルネットワークが、最終的な訓練されたニューラルネットワーク1424として選択される。訓練されたニューラルネットワーク1424は、分析器208によって記憶及び使用され、訓練されたニューラルネットワーク1424への入力として時変電気信号(又はその対応する周波数領域表現)を使用して液滴特性を識別してもよい。
【0085】
いくつかの実施形態において、訓練されたニューラルネットワーク1424は、特定のタイプのプリンタ、例えば、特定のブランド及び/又は特定の3Dプリンタバージョンに適用可能であってもよい。そのような場合、訓練されたニューラルネットワーク1424は、あるタイプの3Dプリンタ、又は特定のタイプの3Dプリンタと特定のタイプの印刷材料との組み合わせに広く適用可能であり得る。したがって、訓練データ1406及びテストデータ1408は、製造業者によって実行される実験及び訓練プロセスによって取得され得る。次いで、訓練されたニューラルネットワーク1424は、ユーザに提供される3Dプリンタのソフトウェア及び/又はファームウェアに組み込まれ得る。
【0086】
本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がシステム1400に行われてもよく、いくつかの構成要素が省略又は追加されてもよいことが理解されよう。
【0087】
図15は、本開示の実施形態による、3D部品を構築するために使用される噴射された材料の流れの特徴を識別する方法のプロセスフロー図である。本方法の態様は、
図1に示される3Dプリンタ100及びコンピューティングシステム190などの3Dプリンタ及び/又はコンピューティングデバイスによって実行され得る。方法は、ブロック1502で開始されてもよい。
【0088】
ブロック1502において、溶融液滴の流れが、エジェクタから3Dプリンタのビルドプラットフォームまで噴射経路に沿って吐出される。溶融液滴は、噴射経路に隣接して位置決めされた1つ以上の光学マスクを通過して進行する。いくつかの実施形態では、噴射経路は、1つ以上の外部光源によって照明されてもよい。溶融液滴は、例えば、任意の好適な金属又はポリマーを含む任意の好適な印刷材料であってもよい。
【0089】
ブロック1504において、情報は、噴射経路に隣接して位置決めされた1つ以上の光学マスクによって、液滴によって出射された光にエンコードされる。各光学マスクは、噴射経路と対応する光センサとの間、又は光源と噴射経路との間に位置決めされ得る。2つ以上の光学マスクを伴う実施形態では、各光学マスクは、例えば、
図12及び
図13に関連して説明されるように、別個のセンサと対にされてもよい。光学マスクは、本明細書に記載される光学マスクのいずれか又はそれらの組み合わせを含んでもよい。光学マスクは、とりわけ、液滴サイズ、速度、温度、軌道、及び均一性を含む、任意の有用なタイプの情報をエンコードするように構成されてもよい。
【0090】
ブロック1506において、液滴から発せられる光を検知して、溶融液滴から発せられる光に対応する時変電気信号を生成する。本明細書で使用される場合、「液滴から発せられる光」という語句は、外部光源からの液滴によって反射、屈折、散乱、又は別様に方向転換された光、並びに液滴自体によって放射された光、例えば、液滴の熱の結果として生成された赤外光を含む。光は、フォトダイオード、フォトレジスタ、フォトトランジスタ、InGaAs光検出器などの光検出器を含む、任意のタイプの光センサを使用して検知されてもよい。センサは、単一画素検出器であってもよく、液滴の画像を生成しない。むしろ、センサは、時変電気信号、例えば、経時的に変化する電圧又は電流レベルを生成する。
【0091】
ブロック1508において、時変電気信号は、溶融液滴の1つ以上の特性を識別するために、処理デバイスによって分析される。この時変信号の分析は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)などのフーリエ変換を使用して、時変電気信号を周波数領域表現に変換することを含んでもよい。時変電気信号の分析は、光学マスクによってエンコードされた情報を抽出し、上述のように光学マスクの設計に依存する。分析は、本明細書に記載される技法のいずれかを含む任意の好適な技法に従って実行され得る。いくつかの実施形態では、分析は、1つ以上の時変電気信号(又はその周波数領域表現)を、電気信号の特徴を液滴特性にマッピングする、訓練されたニューラルネットワーク(例えば、訓練されたニューラルネットワーク1424)に入力することによって行われる。
【0092】
抽出された特性は、とりわけ、液滴サイズ、速度、及び軌道のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含んでもよい。特性はまた、サイズ、速度、軌道の均一性を含む、噴射された材料の流れのいくつかの液滴間の均一性に関連するメトリックを含み得る。均一性メトリックは、例えば、電気信号における周波数成分の数、検出された異なる軌道の数、及び/又は検出された異なる液滴サイズの数など、抽出された特性の任意の組み合わせを組み込む式を使用して計算することができる。熱選択性である光学マスクを有する実施形態では、特性はまた、液滴の温度及び/又は酸化状態を含んでもよい。
【0093】
ブロック1510において、3Dプリンタは、液滴の識別された特性に基づいて制御され得る。3Dプリンタを制御することは、3D印刷プロセスの態様を制御することを含んでもよい。例えば、
図1を参照すると、加熱要素130に提供される電力は、液滴の温度を増加若しくは減少させるように調節されてもよく、又は、コイル134に提供される階段関数DC電圧プロファイル(例えば、電圧パルス)は、エジェクタ110のノズル114の入口における圧力を増加若しくは減少させるように調節されてもよい。場合によっては、3Dプリンタを制御することは、印刷ジョブを終了することを含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、3Dプリンタを制御することは、3Dプリンタの構成要素として含まれる、又は3Dプリンタに通信可能に結合されたディスプレイを制御することを含み得る。例えば、
図1を参照すると、コンピューティングシステム190と関連付けられた表示画面192は、液滴サイズ、速度、温度などの検出された液滴特性に関する様々な情報を表示するために使用され得る。コントローラはまた、噴射された材料の流れの品質に関連するメトリックを表示し得る。例えば、品質スコアは、1つ以上の液滴特性に基づいて計算され、ユーザに表示されてもよい。いくつかの実施形態では、情報は、記号表現又は絵表現を使用して表示されてもよい。例えば、噴射された材料の流れのシミュレートされた図が、液滴特性に基づいて生成され、表示画面上に表示され得る。
【0095】
3Dプリンタを制御することはまた、液滴特性に関連するメッセージを生成及び表示することを含んでもよい。例えば、メッセージは、3D印刷条件が悪化している又は好ましくなくなったことをオペレータに警告することができる。表示された情報に基づいて、オペレータは、3Dプリンタを手動で調節することができるか、又は3D印刷プロセスを手動で終了することができる。
【0096】
図15に関連して説明されるプロセスは、印刷ジョブ全体を通して連続的に繰り返されてもよい。次に、本開示を理解するのに最も役立つ様式で、様々な動作が複数の別個の動作として説明される。しかしながら、説明の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを示唆するように解釈されなくてもよい。具体的には、
図15に示される動作は、提示の順序で実行される必要はない。
【0097】
図16は、本明細書で考察される方法論のうちのいずれか1つ以上を機械に行わせるための命令のセット1622が実行され得る、コンピュータシステム1600の例示的な形態における機械の図表示を例解する。様々な実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット内の他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)され得る。機械は、クライアント-サーバネットワーク環境内のサーバ若しくはクライアントの機械として動作し得るか、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境内のピア機械として動作し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(personal computer、PC)、ウェブアプライアンス、サーバ、又はその機械によって行われるべきアクションを指定する命令のセット(順次又はそれ以外)を実行することが可能な任意の機械であり得る。更に、単一の機械のみが例解されているが、「機械」という用語はまた、本明細書で考察される方法論のうちのいずれか1つ以上を実行するために命令のセット又は複数のセットを個別に又は共同して実行する機械の任意の集合体も含むものと解釈されるべきである。
【0098】
例示的なコンピュータシステム1600は、バス1630を介して互いに通信する、処理デバイス1602と、メインメモリ1604(例えば、リードオンリーメモリ(read-only memory、ROM)と、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory、DRAM)と、スタティックメモリ1606(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)など)と、データ記憶デバイス1618と、を含む。本明細書に記載される様々なバスを通じて提供される信号のいずれかは、他の信号と時分割されて、1つ以上の共有バスを通じて提供され得る。加えて、回路構成要素又はブロック間の相互接続は、バスとして、又は単一の信号線として示され得る。バスの各々は、代替的に、1つ以上の単一の信号線あり得、単一の信号線の各々は、代替的に、バスであり得る。
【0099】
処理デバイス1602は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなどの1つ以上の汎用処理デバイスを表す。より具体的には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(complex instruction set computing、CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(reduced instruction set computer、RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(very long instruction word、VLIW)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。処理デバイス1602はまた、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、ネットワークプロセッサなどの、1つ以上の専用処理デバイスであり得る。処理デバイス1602は、本明細書で考察される動作及びステップを実行するための処理ロジック1626を実行し得る。
【0100】
データ記憶デバイス1618は、1つ以上の命令セット1622(例えば、ソフトウェア)が記憶される機械可読記憶媒体1628を含んでもよい。命令は、3D印刷ジョブ中に液滴特性を自動的に識別すること、液滴特性に応答して3Dプリンタを制御することなどを含む、本明細書で説明する機能の方法論のうちの任意の1つ以上を具現化する印刷診断ソフトウェア1627を含み得る。命令1622はまた、コンピュータシステム1600による実行中に、メインメモリ1604内又は処理デバイス1602内に完全に又は少なくとも部分的に存在してもよく、メインメモリ1604及び処理デバイス1602はまた、機械可読記憶媒体も構成する。命令1622は、ネットワークインターフェースデバイス1608を介して、ネットワーク1620を通じて更に送信又は受信され得る。
【0101】
非一時的機械読可読記憶媒体1628はまた、本明細書に記載される方法及び動作を行うための命令を記憶するために使用され得る。機械可読記憶媒体1628は、例示的な実施形態では単一の媒体であるように示されているが、「機械可読記憶媒体」という用語は、命令の1つ以上のセットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型データベース、又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈されるべきである。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形態(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)で情報を記憶するための任意の機構を含む。機械可読媒体としては、限定されないが、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスケット)、光記憶媒体(例えば、CD-ROM)、光磁気記憶媒体、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)、消去可能なプログラマブルメモリ(例えば、erasable programmable memory、EPROM及びEEPROM)、フラッシュメモリ、又は電子的命令を記憶するのに好適な別のタイプの媒体が挙げられ得る。
【0102】
前述の説明は、本開示のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、具体的なシステム、構成要素、方法などの例などの多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、これらの具体的な詳細を伴わずに実行され得ることが、当業者には明らかであろう。他の事例では、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、周知の構成要素若しくは方法は詳細に説明されないか、又は単純なブロック図形式で提示される。したがって、記載される具体的な詳細は、単なる例示である。特定の実施形態は、これらの例示的な詳細から変化してもよく、依然として本開示の範囲内であると考えられる。
【0103】
加えて、いくつかの実施形態は、機械可読媒体が、2つ以上のコンピュータシステム上に記憶され、又はそれによって実行される、分散コンピューティング環境において実施され得る。加えて、コンピュータシステム間で転送される情報は、コンピュータシステムを接続する通信媒体を介して引かれるか、又は押され得る。
【0104】
特許請求される主題の実施形態は、本明細書に記載される様々な操作を含むが、これらに限定されない。これらの操作は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって実行され得る。
【0105】
本明細書における方法の操作は、特定の順序で示され説明されるが、各方法の操作の順序は、特定の操作が逆順序で実行され得るように、又は特定の操作が他の操作と少なくとも部分的に同時に実行され得るように変更され得る。別の実施形態では、別個の操作の指示又はサブ操作は、断続的又は交互の様式であり得る。
【0106】
要約書に記載されているものを含む、本発明の例解された実装形態の上記の説明は、網羅的であること、又は開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。本発明の特定の実装形態及びその実施例は、例解目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本開示の範囲内で様々な等価の修正が可能である。本明細書で使用される「例」又は「例示的な」という語は、例、事例、又は例解としての役割を果たすことを意味する。「例」又は「例示的な」として本明細書で記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると解釈されない。むしろ、「例」又は「例示的な」という語の使用は、具体的な様式で概念を提示することが意図される。本出願で使用される場合、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく包括的な「又は」を意味することが意図される。すなわち、別段の指定がない限り、又は文脈から明らかでない限り、「Xは、A又はBを含む」は、自然な包括的な順列のうちのいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを含む場合、XがBを含む場合、又はXがA及びBの両方を含む場合、「XがA又はBを含む」は、前述の例のいずれかの下で満たされる。加えて、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、一般に、別段の指定がない限り、又は文脈から単数形を対象とすることから明らかでない限り、「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。更に、「一実施形態(an embodiment)」又は「一実施形態(one embodiment)」又は「一実装形態(an implementation)」又は「一実装形態(one implementation)」を通しての用語の使用は、そのように記載されない限り、同じ実施形態又は実装形態を意味するとは意図されない。更に、本明細書で使用される場合、用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、異なる要素を区別するための表示として意味され、必ずしもそれらの数値表記に従った順序の意味を有し得ない。
【0107】
上で開示された、並びに他の特徴及び機能の変形物、又はそれらの代替物は、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、若しくは先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。特許請求の範囲は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせの実施形態を包含し得る。
【外国語明細書】