(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069170
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】動作データのリアルタイムフィードバックを備えた迅速交換ロール冷却ヘッダカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B21B 27/10 20060101AFI20240514BHJP
B21B 28/02 20060101ALI20240514BHJP
B21B 45/02 20060101ALI20240514BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20240514BHJP
B23Q 17/00 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
B21B27/10 Z
B21B28/02 Z
B21B45/02 320Z
B21C51/00 Q
B21C51/00 N
B23Q17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190889
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】17/983,493
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】316012658
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Primetals Technologies USA LLC
【住所又は居所原語表記】5895 Windward Parkway,Alpharetta,Georgia 30005,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・シー・アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ・マーシャル
【テーマコード(参考)】
3C029
【Fターム(参考)】
3C029EE01
(57)【要約】
【課題】動作データのリアルタイムフィードバックを備えた迅速交換ロール冷却ヘッダカートリッジを提供すること。
【解決手段】圧延ミルで使用するための新規な分割型ヘッダが開示される。分割型ヘッダは搭載ブロックと迅速交換ヘッダカートリッジとを有し、搭載ブロックは迅速切断機構を介して迅速交換ヘッダカートリッジに連結され、迅速切断機構は、搭載ブロックから迅速交換ヘッダを(工具不要の手法で)切り離すことを可能にするように構成される。加えて、迅速交換ヘッダカートリッジは、スタンドが見せかけであるときに水をそらすダミーのヘッダカートリッジ、ならびに分割型ベースおよびヘッダカートリッジ設計によって置換されることが可能である。さらに、搭載ブロックは1つまたは複数のセンサおよびバルブを有することができ、迅速交換ヘッダカートリッジはRFIDタグを有することができ、センサおよびRFIDタグは中央コンピュータと通信することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延ミルで使用するための分割型ヘッダであって、
有線接続または無線接続を介してデータを伝達するように構成された1つまたは複数のセンサと、冷却剤の流れを運搬するための配管と、を含む搭載ブロックと、
前記冷却剤の流れを排出するように構成された複数の噴霧ノズルを含む迅速交換ヘッダカートリッジと、
前記搭載ブロックに対する前記迅速交換ヘッダカートリッジの工具不要の連結および切り離しを可能にするように構成された迅速切断機構と、
を備え、
前記センサのうちの少なくとも1つは、前記搭載ブロックの前記配管内の圧力を感知するように構成された圧力センサであり、
前記搭載ブロックは、前記迅速交換ヘッダカートリッジより遅い速度で摩耗する、
分割型ヘッダ。
【請求項2】
前記搭載ブロックは、前記搭載ブロックの前記配管にバルブをさらに含み、前記バルブは、手動または遠隔で操作されるように構成されている、請求項1に記載の分割型ヘッダ。
【請求項3】
前記分割型ヘッダは、上部位置および下部位置においてならびに異なるロールスタンドにわたって使用されるように構成された、手を使わない迅速交換ヘッダカートリッジを利用する、請求項1または2に記載の分割型ヘッダ。
【請求項4】
前記迅速交換ヘッダカートリッジは、RFIDタグをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の分割型ヘッダ。
【請求項5】
前記迅速交換ヘッダカートリッジは、前記迅速交換ヘッダカートリッジに配置された、クイックレスポンス(QR)コード、バーコードおよびRFIDタグのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の分割型ヘッダ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の分割型ヘッダを1つまたは複数と、中央コンピュータと、を備えるシステムであって、
1つまたは複数の前記分割型ヘッダの前記1つまたは複数のセンサは、前記中央コンピュータにデータを通信するように構成され、
前記中央コンピュータは、前記1つまたは複数のセンサから前記データを受け取り、1つまたは複数の前記分割型ヘッダの前記迅速交換ヘッダカートリッジの使用を追跡し、前記システムの1つまたは複数の前記分割型ヘッダの状態に関する警報フィードバックおよび/または警告フィードバックを提供するように構成されている、
システム。
【請求項7】
前記搭載ブロックは、前記搭載ブロックの前記配管に少なくとも1つのバルブをさらに含み、前記バルブは、オペレータによって手動で、または前記冷却剤の流れの圧力を調節するように前記バルブを動作させるように構成された前記中央コンピュータによって遠隔で操作されるように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記警報フィードバックまたは前記警告フィードバックは、詰まったヘッダカートリッジの警告、摩耗したヘッダカートリッジノズルの警告、圧力不均衡の警告、メンテナンスの警告、低システム圧力または高システム圧力の警告、低水温または高水温の警告、ヘッダカートリッジが適所に配置されていない警告、動作上の情報のフィードバックのうちのいずれか、またはこれらの組み合わせに関連している、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
(a)圧延ミルの請求項1から5のいずれか一項に記載の分割型ヘッダにおける搭載ブロックから迅速交換ヘッダカートリッジを除去するステップであって、前記除去するステップは、前記迅速切断機構を操作することを介して行われる、ステップと、
(b)除去された前記迅速交換ヘッダカートリッジの代わりに、前記搭載ブロック上へダミーのヘッダカートリッジを取り付けるステップと、
を含み、
前記ダミーのヘッダは、1つまたは複数の封止領域から離れて排水路内へ水を向けるように構成されている、
方法。
【請求項10】
圧延ミルにおけるヘッダを改造するための方法であって、
(a)前記ヘッダを請求項1から5のいずれか一項に記載の分割型ヘッダに置換するステップと、
(b)前記迅速切断機構を介して前記搭載ブロックを前記迅速交換ヘッダカートリッジに連結するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、圧延ミルの分野に関する。より具体的には、本発明は、動作データのリアルタイムフィードバックを備えた迅速交換ロール冷却ヘッダカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール冷却ヘッダは、時間とともに摩耗し、または詰まり、その摩耗または詰まりが深刻になるまで大抵見過ごされる結果、ロール冷却が不適切になる。開示される技法は、使用を追跡し、可及的速やかに洗浄または交換することができるように、個々のヘッダの状態についてオペレータに警報およびフィードバックを提供するセンサ、RFIDタグ、および中央コンピュータを利用する。
【0003】
上述した問題は、現在はオペレータによる冷却ヘッダの外観検査によって解決されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、先行技術のシステムおよび方法に対する改良である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、本発明は、圧延ミルで使用するための分割型ヘッダを提供し、分割型ヘッダは、有線接続または無線接続を介してデータを通信するように構成された1つまたは複数のセンサと、冷却剤の流れを運搬するための配管と、を含む搭載ブロックと、冷却剤の流れを排出するように構成された複数の噴霧ノズルを含む迅速交換ヘッダカートリッジと、搭載ブロックに対する迅速交換ヘッダカートリッジの工具不要の連結および切り離しを可能にするように構成された迅速切断機構と、を含む。センサのうちの少なくとも1つは、搭載ブロックの配管内の圧力を感知するように構成された圧力センサである。搭載ブロックは、迅速交換ヘッダカートリッジより遅い速度で摩耗する。
【0006】
ロール冷却ヘッダが処分されるとき、これは大抵噴霧ノズルの周りの局所的領域における摩耗によるものである一方、ヘッダ本体の残りは完全に無傷である。単一領域における摩耗のためにヘッダ全体を解体することは、コスト、材料、および資源の観点から不経済である。したがって、本発明は、耐久的な、摩耗が遅い搭載ブロックと、噴霧ノズルを含む、最小限の、摩耗がより速い、迅速交換ヘッダカートリッジと、の2つの構成要素に分割されるヘッダを提供する。
【0007】
搭載ブロックのセンサは、有線接続または無線接続を介してデータを圧延ミルから、たとえば、中央コンピュータまで通信するように構成され、これは動作データを表示し、ヘッダの現在の動作状態について警報/警告フィードバックを提供する。搭載ブロックのセンサのうちの少なくとも1つは、搭載ブロックに送給する配管における圧力を感知するように構成された圧力センサである。したがって、圧力センサにより、いつ水冷システムが動作しているかを認識することが可能になり、これにより迅速交換ヘッダカートリッジの使用の追跡が可能になる。
【0008】
圧延ミルの分割型ヘッダに送給する配管は異なる長さのものであり得、異なる経路および制限のレベルを有する。これらの相違により、個々のヘッダに異なる圧力および流れが供給される結果、異なるミルロールにわたって冷却および摩耗が不均等になり得る。したがって、好ましい一実施形態によれば、搭載ブロックは搭載ブロックの配管に少なくとも1つのバルブを含み、バルブは、圧力システムにおける上記不均衡のバランスをとってミルロールにわたって均一な冷却を提供するために冷却剤の流れを調節するよう、たとえば、オペレータまたは中央コンピュータによって、それぞれ、手動または遠隔で操作されるように構成されている。
【0009】
冷却ヘッダは大抵、特定の圧延スタンドの頂部および底部のロールについて、および異なる圧延スタンドにわたって異なる設計を有するよう設計されている。このような設計には、各スタンドについて2つの異なる部品数、あるいは複数のスタンドを考慮すると多くなり得る部品数の在庫管理が要求される。好ましい一実施形態によれば、分割型ヘッダは、上部および下部の両方の位置において、ならびに異なるロールスタンドにわたって使用されるように構成されている手を使わない迅速交換ヘッダカートリッジを利用し、そのため在庫管理が要求される部品数がはるかに少なくなる。
【0010】
本発明の分割型ヘッダの好ましい一実施形態によれば、迅速交換ヘッダカートリッジは、迅速交換ヘッダカートリッジを識別するように、そしてその動作時間を追跡するように構成されたRFIDタグをさらに含む。別の好ましい一実施形態によれば、迅速交換ヘッダカートリッジは、個々の迅速交換ヘッダカートリッジを識別してその動作時間を追跡するためのRFIDタグの代わりに、個々の迅速交換ヘッダカートリッジに配置されたクイックレスポンス(QR)コード、バーコードまたはシリアルナンバーのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
RFIDタグ、QRコード(登録商標)、バーコードまたはシリアルナンバーを備えたヘッダカートリッジは、圧延ミルにおける分割型ヘッダの搭載ブロックにこのヘッダカートリッジを連結する前、たとえばモバイルスキャニングデバイスを介してオペレータによって、スキャンすることができる。ヘッダは、除去されるとき、再びスキャンされ、このカートリッジはもはや使用されていないことを示すことができる。スキャニング時間を含むスキャニングデータは中央コンピュータに転送することができる。カートリッジは数回洗浄および再利用および除去することができ、出し入れのたびにスキャンされ、その特定のヘッダの実際の動作時間をそれぞれのスキャニングデータに基づいて追跡することができるようになっている。
【0012】
本発明は、本発明の分割型ヘッダの少なくとも1つおよび中央コンピュータを含むシステムによってさらに実現され、1つまたは複数の分割型ヘッダの1つまたは複数のセンサは、中央コンピュータにデータを通信するように構成されている。中央コンピュータは、1つまたは複数のセンサからデータを受け取り、1つまたは複数の分割型ヘッダの迅速交換ヘッダカートリッジの使用を追跡し、そしてシステムの1つまたは複数の分割型ヘッダの状態に関する警報フィードバックおよび/または警告フィードバックを提供するように構成されている。それぞれの分割型ヘッダを可及的速やかに洗浄または交換することができるように、警告/フィードバックは、たとえば、オペレータに与えることができる。
【0013】
好ましくは、搭載ブロックは搭載ブロックの配管に少なくとも1つのバルブを含み、バルブは、オペレータによって手動で、または中央コンピュータによって遠隔で操作されるように構成され、この場合、中央コンピュータは、冷却剤の流れの圧力を調節するようにバルブを動作させるように構成されている。
【0014】
好ましい一実施形態によれば、1つまたは複数の分割型ヘッダの警報フィードバックまたは警告フィードバックは、詰まったヘッダカートリッジの警告、摩耗したヘッダカートリッジノズルの警告、圧力不均衡の警告、メンテナンスの警告、低システム圧力または高システム圧力の警告、低水温または高水温の警告、ヘッダカートリッジが適所に配置されていない警告、または動作上の情報のフィードバックのうちのいずれか、またはこれらの組み合わせに関連している。
【0015】
詰まったヘッダがそれぞれの搭載ブロックの配管において圧力を上昇させるのに対し、摩耗したヘッダカートリッジノズルはその元の状態と比較して大きな排出開口を有し、圧力を低下させる。したがって、詰まったヘッダカートリッジの警告および摩耗したヘッダカートリッジノズルの警告であれば、単一の分割型ヘッダの圧力読み取り値が、システムの他の分割型ヘッダの平均圧力読み取り値と比較して所定の閾値だけ、それぞれ、高いまたは低いことに関連していることになる。同様に、低水温または高水温の警告であれば、システムの分割型ヘッダの1つにおける温度センサの対応する読み取り値に関連していることになる。
【0016】
さらに、システムの各分割型ヘッダは、それぞれの搭載ブロックの配管に冷却剤を供給するための個別送給ラインセクションを有する。これらの個別送給ラインの長さおよび形式は圧延ミルにおけるそれぞれの分割型ヘッダの位置に依存するため、送給ラインの流れ抵抗が互いに異なり、冷却剤供給源での圧力に対して搭載ブロックでのそれぞれの圧力低下を引き起こす可能性がある。したがって、圧力不均衡の警告であれば、たとえば、システムのすべての分割型ヘッダの圧力読み取り値の分散が一定レベルを超えることに関連していることになる。これに応じて、大きな分散を引き起こすそれぞれの分割型ヘッダのバルブを、手動でまたは中央コンピュータを介して動作させることによって、システムのすべての分割型ヘッダの圧力レベルを揃えることができる。他方、低システム圧力または高システム圧力の警告であれば、システムのすべての分割型ヘッダの集合的(たとえば平均)圧力読み取り値が、システム全体についての所与の圧力セットポイント値より所与の閾値だけ低いまたは高いことに関連していることになる。
【0017】
メンテナンスの警告であれば、圧延ミルの動作時間が一定のタイムスパンを超えることに関連していることになり、中央コンピュータが、システムの分割型ヘッダにおける圧力センサの圧力読み取り値に基づいてミルが動作しているかどうかを判定するであろう。一定の圧力レベルがシステムの少なくとも所定の数の分割型ヘッダに存在する限り、ミルは動作していると見なされる。
【0018】
ヘッダカートリッジが適所に配置されていない警告であれば、エンドスイッチまたは超音波、容量、磁性もしくは誘導性ベースの近接センサのようなデバイスの信号が、ヘッダカートリッジが搭載ブロックに適切に係合しているかどうかを判定することに関連していることになる。
【0019】
さらに、本発明は、(a)圧延ミルの本発明による分割型ヘッダにおける搭載ブロックから迅速交換ヘッダカートリッジを除去するステップであって、除去するステップは、迅速切断機構を操作することを介して行われる、ステップと、(b)除去された迅速交換ヘッダカートリッジの代わりに、搭載ブロック上へダミーのヘッダカートリッジを取り付けるステップと、を含む方法を提供し、ダミーのヘッダは、1つまたは複数の封止領域から離れて排水路内へ水を向けるように構成されている。
【0020】
通常の実務中、ミルスタンドが特定の圧延運動中に使用されていないとき、ロール冷却ヘッダは個々に止めることが容易にできないため、ヘッダは所定の場所に留まって水を噴霧し続ける。この状態で同様に封止することができないため、この状況は圧延ミルの潤滑システム内に水の進入を起こす可能性がより高い。本発明は、封止領域から離れて安全に排水路内へ水を向けるように所定の場所へ迅速に交換することができる「ダミーの」ヘッダカートリッジを提供し、これによって潤滑システムにより安全な動作条件を提供する。
【0021】
さらに、本発明は、圧延ミルにおけるヘッダを改造するための方法を提供し、これは、(a)ヘッダを本発明による分割型ヘッダに置換するステップと、(b)迅速切断機構を介して搭載ブロックを迅速交換ヘッダカートリッジに連結するステップと、を含む。
【0022】
このシステムの主な利点は改善されたミルロール冷却の一貫性であり、その結果、ミルロールの寿命が長くなり、オペレータのためのお金が節約される。追加の利点は、冷却ヘッダ交換時間が速くなること、分離したヘッダカートリッジとベース設計のために廃棄物が少なくなること、在庫管理のために要求される部品数が減少すること、ヘッダカートリッジの使用の追跡が容易であること、および圧延ミル潤滑システム内への水の進入が少なくなることを含む。
【0023】
1つまたは複数のさまざまな例による本開示を次の図面を参照して詳細に説明する。図面は例示の目的のためにのみ提供され、単に開示の例を示す。これらの図面は、読者による開示の理解を容易にするために提供され、本開示の広さ、範囲、または適用可能性の限定と見なされるべきではない。明確さおよび例示の容易さのため、これらの図面は必ずしも一定の縮尺で作製されていないことが留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】分割型ヘッダに配置された1つまたは複数のセンサおよび/またはRFIDタグからデータを受け取る中央コンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を好ましい一実施形態において例示および説明するが、本発明は多くの異なる構成において製造することができる。本発明の好ましい一実施形態が図面に示され、本明細書で詳細に説明されるが、本開示は本発明の原則およびその構造のための関連する機能的仕様の例証と見なされるべきであり、本発明を例示された実施形態に限定するように意図されないことが理解される。当業者は本発明の範囲内に多くの他の可能な変形を想定するであろう。
【0026】
この説明において、「1つの実施形態」または「一実施形態」に対する言及は、言及されている特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するということに留意されたい。さらに、この説明における「1つの実施形態」に対する別個の言及は必ずしも同じ実施形態に言及しないが、そのように述べられていない限り、そして当業者に容易に明白であろうときを除き、このような実施形態は相互に排他的ではない。したがって、本発明は、本明細書に説明する実施形態の任意の種類の組み合わせおよび/または統合を含むことができる。
【0027】
図1は、搭載ブロック100内に埋め込まれている複数のセンサと、ヘッダカートリッジ108に埋め込まれているRFIDタグ106と、を示す。ヘッダが、あらゆるものがすべて一体である伝統的なスタイルを指すのに対して、ヘッダカートリッジは、伝統的なヘッダ設計に置き換わるカートリッジ/搭載ブロック設計の迅速交換部分である。
図1および
図2は両方ともヘッダカートリッジ/搭載ブロック設計を示す。1つの非限定的な例において、2つのあり得る搭載ブロックセンサは温度センサ102および圧力センサ104を含む。他のセンサの例は、流れセンサ、近接センサ、マイクロフォン、振動センサ、流体特性センサ、光学センサなどを含むが、これらに限定されない。しかしながら、複数のセンサおよび複数のセンサタイプが本発明の一部として使用するために想定されるため、センサの数またはセンサのタイプは、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
【0028】
センサ102および104(および他のセンサ(図示せず))は
図2における有線接続または無線接続を介して圧延ミル200から中央コンピュータ202までデータを通信する。中央コンピュータ202は動作データを表示し、ヘッダの現在の動作状態について警報/警告フィードバックを提供する。このような警報の例は、詰まったヘッダカートリッジの警告、摩耗したヘッダカートリッジノズルの警告、圧力不均衡の警告、動作時間に基づいていつカートリッジを交換すべきかをオペレータに教える、メンテナンスの警告、低システム圧力または高システム圧力の警告、低水温または高水温の警告、ヘッダカートリッジが適所に配置されていない警告、動作上の情報のフィードバック、カートリッジが配置されたフィードバック、冷却水特性のフィードバックなどを含み得る。このようなフィードバックにより、オペレータは、摩耗した、見つからない、または詰まったヘッダをタイムリーな手法で交換するとともに、
図1におけるバルブ110を手動でまたは自動的に調整することによってシステムのバランスをとって、各ヘッダ108への水の流れなどを調整することが可能になる。
【0029】
RFIDタグ106により各ヘッダカートリッジの動作中のミルにおける時間の追跡が可能になる。また、RFIDタグは特定のヘッダカートリッジを追跡するように組み込むことができる。オペレータは特定のヘッダのRFIDタグを、それを始動させるとき、そしてそれを動作から取り出すとき、スキャンすることができる。
【0030】
図1において、本発明は、搭載ブロック100およびヘッダカートリッジ108という2つのユニットにヘッダ設計が分割されている設計を提供する。搭載ブロック100は、耐久的な、長く続く設計のものであり、最小限の冷却ヘッダ108は工具不要の「迅速切断」機構112によって所定の場所に保持されている。現在の文脈において使用される「最小限」という用語は、必要最小限の材料を使用すること(すなわち、性能に影響を与えることなく、ヘッダを可能な限り安価にすること)を意味し、これによって廃棄する材料を少なくしてコストを最小化する。
図1において、迅速切断は、コッタピンで所定の場所に固定されているU形状クリップ、または、所定の場所にあるとき、ヘッダカートリッジが回転するまたは除去されるのを防止するばねクリップである。別の一実施形態において、迅速切断は手で解放することができるクランプである。さらに別の一実施形態において、迅速切断は、手で締めるまたは緩めることができるねじ状保持リングである。別の一実施形態において、迅速切断は、手で押すことができるばね懸架式クリップである。しかしながら、動作中カートリッジをしっかりと所定の場所に保持するが、オペレータによって(任意の他の工具で、または好ましくはその使用なしで)容易に除去することができる任意の要素を迅速切断要素として使用することができるということが留意されるべきである。冷却ヘッダ108は、圧延中、ミルロール114上へ連続的に水を噴霧する。カートリッジ設計は搭載ブロックに対してOリングまたは他の封止機構で封止されている。この分割設計により手を使うヘッダの問題も解決され、これは開示された技法において手を使わない。
【0031】
図3は本発明のダミーのヘッダを示す。ミルロールはこの構成において配置されておらず、ダミーのカバー302に置換されているということが留意されるべきである。ダミーのヘッダカートリッジ304は封止領域306から水をそらす。「ダミーのヘッダカートリッジ」は、そのミルスタンドが使用されていないが、他の周囲のスタンドが依然として使用されているときの、通常のヘッダカートリッジのための代わりを指す。この構成において、冷却されるべきロールはないが、水は個々に止めることができない。既存の設計では、ヘッダは配置されたまま留まり、ロールが通常あるであろう場所に水を噴霧し続けるが、この領域は装置の内側に対する封止を有し、これは最後にはオイルシステム内へ水を漏らす可能性がある。スタンドが見せかけのとき、ダミーのヘッダカートリッジを所定の場所に交換することができ、水は封止領域からそらされる。一実施形態において、ダミーのヘッダカートリッジはヘッダカートリッジと同じ材料で作製され、同じ迅速切断機構を利用するであろう。
【0032】
現存のミルを分割型ヘッダ設計で改造することができ、したがって、本発明のすべての利点がこのような現存のミルに提供されるであろうことが留意されるべきである。
【0033】
異なる分割点を使用して速く摩耗するヘッダの領域を最適化することもでき、たとえば、第1のノズルおよび第2のノズルが残りのノズルほど速く摩耗しないとき、最初の2つのノズルを搭載ブロックに含め、残りをヘッダカートリッジに有するように分割点を変更することもできる。逆に、搭載ブロックが一領域で非常に速く摩耗するとき、この速い摩耗の領域をヘッダカートリッジに加えることができる。図面において、搭載ブロックはミルスタンドにボルトで固定されているが、他の構成においてこれは何らかの種類の搭載ブラケットの一部とする、またはこれにボルトで固定することができる。
【0034】
図2の中央コンピュータ202に関連する上述の特徴は、コンピュータ可読記憶媒体(コンピュータ可読媒体とも呼ぶ)に記録された一組の命令として明示されているソフトウェアプロセスとして実装することができる。これらの命令が1つまたは複数の処理ユニット(たとえば、1つまたは複数のプロセッサ、プロセッサのコア、または他の処理ユニット)によって実行されると、これらは命令において示された行動を処理ユニットに行なわせる。
【0035】
結論
動作データのリアルタイムフィードバックを備えた迅速交換ロール冷却ヘッダカートリッジの効果的な実装のためのシステムおよび方法が上述の実施形態において示されてきた。さまざまな好ましい実施形態が図示および説明されてきたが、このような開示によって本発明を限定する意図はなく、むしろ、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の精神および範囲内に収まるすべての変形例を網羅することが意図されるということが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0036】
100 搭載ブロック
102 温度センサ
104 圧力センサ
106 RFIDタグ
108 ヘッダカートリッジ
110 バルブ
112 迅速切断機構
114 ミルロール
200 圧延ミル
202 中央コンピュータ
302 ダミーのカバー
304 ダミーのヘッダカートリッジ
306 封止領域
【外国語明細書】