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▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069176
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】被覆繊維のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/46 20060101AFI20240514BHJP
   B29C 70/32 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B29C70/46
B29C70/32
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191575
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】17/983,508
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】グイード・テティ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-アンドレ・ビュイ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ロバート・ハヤシ
(72)【発明者】
【氏名】ウィクター・セラフィン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・パトリック・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・アンソニー・ルード
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AG07
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA37
4F205HB01
4F205HK31
4F205HL02
4F205HT22
(57)【要約】
【課題】被覆された繊維またはトウの少ない被覆または未被覆の領域を最小限にするまたは排除するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】フレーム(112)および方法が、複合材部品(100)の強化繊維(104、106')を被覆するために提供される。フレーム(112)は、第1の断面形状を有する第1のフレーム端(118A)であって、第1の断面形状は1つまたは複数の接触場所(124)を含み、強化繊維(104、106')は、1つまたは複数の接触場所(124)において第1のフレーム端(118A)に接触する、第1のフレーム端(118A)を備え、フレーム(112)から最小距離内の強化繊維(104、106')の長さの、最小距離に対する割合が、0.2から20の範囲内である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材部品(100)の強化繊維(104、106')を被覆するためのフレーム(112)であって、
第1の断面形状を有する第1のフレーム端(118A)であって、前記第1の断面形状は1つまたは複数の接触場所(124)を含み、前記強化繊維(104、106')は、前記1つまたは複数の接触場所(124)において前記第1のフレーム端(118A)に接触する、第1のフレーム端(118A)を備え、
前記フレーム(112)から最小距離内の前記強化繊維(104、106')の長さの、前記最小距離に対する割合が、0.2から20の範囲内である、フレーム(112)。
【請求項2】
前記第1のフレーム端(118A)と反対の第2のフレーム端(118B)をさらに備え、前記第2のフレーム端(118B)は第2の断面形状を有し、前記第2の断面形状は1つまたは複数の接触場所(124)を含み、前記フレーム(112)から前記最小距離内の前記強化繊維(104、106')の前記長さは、前記第1のフレーム端(118A)から前記最小距離内の前記強化繊維(104、106')の第1の長さ(128A)と、前記第2のフレーム端(118B)から前記最小距離内の前記強化繊維(104、106')の第2の長さ(128B)とを含む、請求項1に記載のフレーム(112)。
【請求項3】
前記第2の断面形状は前記第1の断面形状と同じである、請求項2に記載のフレーム(112)。
【請求項4】
前記第1のフレーム端(118A)は、第2の接触場所(124)から離間される第1の接触場所(124)を含み、前記第2のフレーム端(118B)は、第4の接触場所(124)から離間される第3の接触場所(124)を含み、前記第1の長さ(128A)は、前記第1の接触場所(124)に隣接して前記第1の接触場所(124)と接触する第1の部分と、前記第2の接触場所(124)に隣接して前記第2の接触場所(124)と接触する第2の部分とを含み、前記第2の長さ(128B)は、前記第3の接触場所(124)に隣接して前記第3の接触場所(124)と接触する第3の部分と、前記第4の接触場所(124)に隣接して前記第4の接触場所(124)と接触する第4の部分とを含む、請求項2または3に記載のフレーム(112)。
【請求項5】
前記強化繊維(104、106')はトウ(106')であり、前記最小距離は前記トウ(106')の直径の少なくとも2倍である、請求項1から4のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項6】
各々の接触場所(124)は、前記第1のフレーム端(118A)と前記強化繊維(104、106')との間の点接触を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項7】
前記1つまたは複数の接触場所(124)は複数の接触場所(124)であり、前記複数の接触場所(124)は少なくとも2の周期性因子を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項8】
前記第1の断面形状はカモノハシ状の形であり、前記カモノハシ状の形は、前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの第1の接触場所(124)と、前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの第2の接触場所(124)とを備え、前記カモノハシ状の形は、前記第1の接触場所(124)および前記第2の接触場所(124)の各々に隣接してアンダーカットされ、前記第1の接触場所(124)と前記第2の接触場所(124)とは、概してV字形のスロットによって分離される、請求項1から7のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項9】
前記第1の断面形状は開いた口の形であり、前記開いた口の形は、前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの第1の接触場所(124)と、前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの第2の接触場所(124)とを備え、前記第1の接触場所(124)と前記第2の接触場所(124)とは概してV字形のスロットによって分離され、前記開いた口の形は、前記第1の接触場所(124)および前記第2の接触場所(124)の各々に隣接し、概してV字形のスロットの反対に、丸められた縁を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項10】
前記第1の断面形状は歯状の形であり、前記歯状の形は、前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの第1の接触場所(124)と、前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの第2の接触場所(124)と、前記第1の接触場所(124)と前記第2の接触場所(124)との間に定められる正中線とを備え、前記歯状の形は、前記第1の接触場所(124)に隣接する第1の直線の縁と、前記第2の接触場所(124)に隣接する第2の直線の縁とをさらに備え、前記第1の直線の縁と前記第2の直線の縁との各々は、90°未満のゼロでない角度で前記正中線に向けて内方へ延びる、請求項1から9のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項11】
前記第1の断面形状は畝状の形であり、前記畝状の形は複数の畝を備え、前記複数の畝の各々の畝は前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの接触場所(124)を画定する、請求項1から10のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項12】
前記第1の断面形状は溝付きの形であり、前記溝付きの形は複数の半円形の突起(144)を備え、前記複数の半円形の突起(144)の各々の半円形の突起(144)は、前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの接触場所(124)を画定する、請求項1から11のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項13】
前記第1の断面形状はひれ(146)状の形であり、前記ひれ(146)状の形は複数のひれ(146)を備え、前記複数のひれ(146)の各々のひれ(146)は前記1つまたは複数の接触場所(124)のうちの接触場所(124)を画定する、請求項1から12のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項14】
前記複合材部品(100)は、炭化ケイ素マトリックス材料を備えるセラミックマトリックス複合材料部品(100)であり、前記強化繊維(104、106')は炭化ケイ素繊維である、請求項1から13のいずれか一項に記載のフレーム(112)。
【請求項15】
複合材部品(100)の強化繊維(104、106')を被覆する方法であって、
フレーム(112)の周りに前記強化繊維(104、106')を巻くステップと、
前記フレーム(112)を反応炉へと挿入するステップと、
前記反応炉への反応物の流れを開始するステップと
を含み、
前記フレーム(112)は、第1の断面形状を有する第1のフレーム端(118A)を備え、前記第1の断面形状は1つまたは複数の接触場所(124)を含み、前記強化繊維(104、106')は、前記1つまたは複数の接触場所(124)において前記第1のフレーム端(118A)に接触し、
前記フレーム(112)から最小距離内の前記強化繊維(104、106')の長さの、前記最小距離に対する割合が、0.2から20の範囲内である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、繊維被覆のためのフレーム接触形状およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
同じまたは異なる組成の連続的なセラミックマトリックスに分散された繊維を備える強化セラミックマトリックス複合材料(「CMC」)は、その強靭性、耐熱性、高温強度、および化学的安定性のため、構造用途によく適している。このような複合材料は、通常、高い強度重量比を有し、航空用途など、重量が懸念事項である用途において魅力的なものとなっている。高温におけるその安定性は、ガスタービンエンジンにおいてなど、構成要素が高温のガスと接触する用途においてCMCを非常に適した物にしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
当業者に向けられた、最良のモードを含む本記載の完全で可能な開示が、添付の図を参照する本明細書において述べられている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の例示の態様による、セラミックマトリックス複合材料(CMC)部品の一部分の概略的な断面図である。
図2】本開示の例示の態様による、繊維被覆過程で使用される、ボビン、フレーム、および反応炉などの様々な構成要素の概略図である。
図3A】本開示の例示の態様による、繊維被覆過程で強化繊維を支持するためのフレームの概略的な正面図である。
図3B】本開示の例示の態様による、スペーサバーが上昇位置ある状態での図3Aのフレームの概略的な側面図である。
図3C】本開示の例示の態様による、スペーサバーが下降位置ある状態での図3Bのフレームの概略的な側面図である。
図4A】本開示の例示の態様による、カモノハシ状の形を有するフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の断面図である。
図4B】本開示の例示の態様による、開いた口の形を有するフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の断面図である。
図4C】本開示の例示の態様による、畝状の形を有するフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の断面図である。
図4D】本開示の例示の態様による、歯状の形を有するフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の断面図である。
図4E】本開示の例示の態様による、溝付きの形を有するフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の断面図である。
図4F】本開示の例示の態様による、ひれ状の形を有するフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の断面図である。
図5A】本開示の例示の態様による、移動機構を有するひれ状の形のフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の概略的な端面図である。
図5B】本開示の例示の態様による、移動機構を有するひれ状の形のフレーム端(例えば、図3Bおよび図3Cに示されているフレームのフレーム端)の概略的な端面図である。
図6】本開示の例示の態様による、移動機構を有するシステムの概略図である。
図7A】本開示の例示の態様による、振動するスプラインを有するフレーム端の概略的な端面図である。
図7B】本開示の他の例示の態様による、振動するスプラインを有するフレーム端の概略的な端面図である。
図8】本開示の例示の態様による、複合材部品の強化繊維を被覆する方法の流れ図である。
図9】本開示の他の例示の態様による、複合材部品の強化繊維を被覆する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ここで、添付の図面に1つまたは複数の例が示されている本開示の目下の実施形態が、詳細に参照される。詳細な説明は、図面における特徴に言及するために数字および文字の指示を使用している。図面および説明における同じような指示または同様の指示は、本開示の同じような部品または同様の部品に言及するために使用されている。
【0006】
「例示」という言葉は、本明細書では、「例、実例、または図示として供すること」を意味するために使用されている。「例示」として本明細書で記載されている任意の実施は、他の実施に対して好ましいまたは有利として必ずしも解釈されない。また、他に明示的に特定されていない場合、本明細書に記載されているすべての実施形態は、例示と見なされるべきである。
【0007】
「1つ(a、an)」および「その(the)」という単数形は、文脈が他に明らかに指示していない場合、複数の言及を含んでいる。
【0008】
例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」の文脈における「少なくとも1つ」という用語は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、または、A、B、およびCの任意の組み合わせに言及している。
【0009】
「ターボマシン」または「ターボ機械」という用語は、1つまたは複数の圧縮機と、熱発生区域(例えば、燃焼区域)と、トルク出力を一緒に発生させる1つまたは複数のタービンとを備える機械に言及している。
【0010】
「ガスタービンエンジン」という用語は、その動力源の全部または一部としてターボマシンを有するエンジンに言及している。例のガスタービンエンジンには、ターボファンエンジン、ターボプロップエンジン、ターボジェットエンジン、ターボシャフトエンジンがあるだけでなく、これらのエンジンのうちの1つまたは複数のハイブリッド電気版もある。
【0011】
「上流」および「下流」という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向に言及している。例えば、「上流」は、流体が流れてくる方向に言及しており、「下流」は、流体が流れていく方向に言及している。
【0012】
本明細書で使用されているように、「軸方向の」および「軸方向に」という用語は、ガスタービンエンジンの中心線と実質的に平行に延びる方向および配向に言及している。さらに、「径方向の」および「径方向に」という用語は、ガスタービンエンジンの中心線に対して実質的に垂直に延びる方向および配向に言及している。また、本明細書で使用されているように、「周方向の」および「周方向に」という用語は、ガスタービンエンジンの中心線の周りで弓形に延びる方向および配向に言及している。
【0013】
「結合」、「固定」、および「取り付け」などの用語は、本明細書において他に明示されていない場合、直接的な結合、固定、および取り付けと、1つまたは複数の中間の構成要素または特徴を通じての間接的な結合、固定、および取り付けとの両方に言及している。
【0014】
本明細書で使用されているように、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別するために相互に置き換え可能に使用でき、個別の構成要素の場所または重要性を表すようには意図されていない。
【0015】
以後における記載の目的のために、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「鉛直」、「水平」、「上」、「下」、「横」、「長手」という用語、およびそれらの派生語は、図面において配向されているものとしての実施形態に関連する。しかしながら、はっきりとそうではないことが明示されている場合を除いて、実施形態が様々な代替の変形を取ることができることは、理解されるものである。添付の図面に示されており、以下の明細書に記載されている特定のデバイスが、本開示の単純な例示の実施形態であることも、理解されるものである。したがって、本明細書に開示されている実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的な特性は、限定として見なされることはない。
【0016】
本開示では、層が他の層または基材「において」または「にわたって」として記載されている場合、層同士は、そうでないことが明確に述べられていない場合、互いに直接的に接触するか、層同士の間に他の層または特徴を有するかのいずれかであり得ることが、理解されるものである。したがって、これらの用語は、互いに対する層の相対的な位置を説明しているだけであり、上方または下方の相対的な位置は、視認者へのデバイスの配向に依存するため、必ずしも「~の上に」を意味するのではない。
【0017】
本明細書で使用されているように、セラミックマトリックス複合材料または「CMC」は、セラミックマトリックス相によって包囲されている強化材料(例えば、強化繊維)を含む材料の等級に言及している。概して、強化繊維は構造的な完全性をセラミックマトリックスに提供する。CMCのマトリックス材料のいくつかの例には、限定されることはないが、非酸化ケイ素に基づく材料(例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの混合物)、酸化物セラミックス(例えば、ケイ素オキシカーバイド、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミノケイ酸塩、またはそれらの混合物)、またはそれらの混合物があり得る。任意選択で、セラミック粒子(例えば、Si、Al、Zr、Y、およびそれらの混合物の酸化物)および無機充填剤(例えば、パイロフィライト、珪灰石、雲母、タルク、カイヤナイト、およびモンモリロナイト)が、CMCマトリックスの中に含まれてもよい。
【0018】
CMCの強化繊維のいくつかの例には、限定されることはないが、非酸化ケイ素に基づく材料(例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの混合物)、非酸化物炭素に基づく材料(例えば、炭素)、酸化物セラミックス(例えば、ケイ素オキシカーバイド、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、ムライトなどのアルミノケイ酸塩)、またはそれらの混合物があり得る。
【0019】
強化繊維は、個々のフィラメントまたはストランドの少なくとも一部分であり得る。本明細書で使用されているように、「セラミック繊維トウ」、「繊維トウ」、または単に「トウ」は、複数の個々の繊維、フィラメント、または緩いストランドの束に言及している。トウのフィラメントは、無作為に混ぜられ得る、もしくはパターンで配置され得る、および/または、連続的もしくは非連続的であり得る。例えば、トウは、破断されたフィラメントまたはフィラメント断片を含み得る。他の例として、トウのフィラメントは、実質的に平行であり得る、捩じられ得る、または他の形で配置され得る。トウは、単一または個々のフィラメントと実質的に同じ様態で作用することができる。「個々のセラミックフィラメント」または単に「個々のフィラメント」が、本明細書で使用されているように、1つだけまたは束ねられていない細長いセラミック部材に言及していることも、理解されるものである。
【0020】
概して、具体的なCMCは、繊維の種類/マトリックスの種類の組み合わせとして言及され得る。例えば、炭素繊維強化炭化ケイ素についてのC/SiC、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素についてのSiC/SiC、炭化ケイ素繊維強化窒化ケイ素についてのSiC/SiN、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素/窒化ケイ素マトリックス混合物についてのSiC/SiC-SiNなどである。他の例では、CMCは、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミノケイ酸塩、およびそれらの混合物など、酸化物に基づく材料を含むマトリックスおよび強化繊維を含み得る。アルミノケイ酸塩は、ムライトなどの結晶材料(3Al2O3、2SiO2)だけでなく、ガラス状アルミノケイ酸塩を含み得る。
【0021】
特定の実施形態において、強化繊維は、マトリックスの中への含有の前に、束ねられてもよい、および/または被覆されてもよい。例えば、繊維の束は、一方向強化テープなどの強化テープとして形成されてもよい。複数のテープは、プリフォーム構成要素を形成するために一体に積層させられ得る。繊維の束は、プリフォームを形成する前、またはプリフォームの形成の後、スラリ状の組成物で含侵させられ得る。プリフォームは、プリフォームにおける高いチャー残留物を生み出すために、硬化または焼尽などの熱処理を受け、続いて、所望の化学的組成を有するCMC材料から形成された構成要素へと達するために、ケイ素での溶融含浸などの化学的処理を受けることができる。
【0022】
このような材料は、特定のモノリシックセラミック(つまり、強化材料なしでのセラミック材料)と共に、より高い温度用途に特に適している。また、これらのセラミック材料は、超合金と比較して軽量であるが、そこから作られる構成要素に強度と耐久性とをなおも提供することができる。そのため、このような材料は、これらの材料が提供することができるより軽量でより高い温度の能力から利益を得られる翼(例えば、タービンおよび羽根)、燃焼器、シュラウド、および他の同様の構成要素など、ガスタービンエンジンのより高い温度の区域で使用される多くのガスタービン構成要素について現在検討されている。
【0023】
CMCの製造の間、繊維は、製造過程を耐え抜くことを確保するのを助けるだけでなく、保守においてCMCの機械的特性を向上させるために、通常は被覆される。しばしば、繊維は、トウと呼ばれる繊維束へと集められ、トウはトウ被覆過程を受ける。例えば、トウは、剛性のフレームの周りに巻かれ、高い温度条件および真空条件の下などにおいて、反応炉で被覆のために吊り下げられ得る。したがって、これらの困難のうちの1つまたは複数に対処する向上した方法および装置が望ましい。
【0024】
本開示は、概して、被覆された繊維またはトウの少ない被覆または未被覆の領域を最小限にするまたは排除するための方法および装置に概して関連する。例えば、本開示は、個々の繊維および/または1つもしくは複数のトウが、被覆が適用される間に繊維またはトウを支持するために巻かれ得るフレームに向けられており、フレームは、繊維またはトウとフレームとの間の接触を低減するための形状を有する。例えば、トウ被覆のためのフレームのフレーム端は、トウとフレーム端との間の接触を最小限にする形または形状を有し得る。トウとフレーム端との間の接触を最小限にすることで、トウの被覆を可能にする一方で、トウにおける少ない被覆または未被覆の領域を最小限にする。他の例として、トウがフレームに対して移動させられる半静的被覆過程が、被覆されたトウの少ない被覆または未被覆の領域を最小限にするまたは排除するのを助けることができる。さらに、本明細書に記載されているようなフレーム設計および/または被覆方法を利用することは、複合材部品を形成するために使用される繊維またはトウを被覆する間にもたらされる欠陥を最小限にするまたは排除することで、複合材部品が材料の仕様を満たすことを確保するのを助けることができる。
【0025】
ここで図面を参照すると、同一の符号は図を通じて同じ要素を指示しており、図1は、CMC部品などの複合材部品100の概略的な断面図である。先に記載されているように、CMC部品を製造する1つの過程は、プリプレグと称され得る、スラリで含侵させられた強化テープの使用を伴う。プリプレグは、通常はプライまたはシートの形態であり、一方向プリプレグは、概して二次元の薄板を作り出すために、マトリックス前駆体で含侵される並べられたトウの単一の層を備える二次元の繊維配列をしばしば備える。結果的にできたプリプレグの複数のプライは、積層プリフォームを形成するために重ね合わされて減量させることができ、「積み重ね」と称される過程である。プリプレグは、典型的には、必ずではないが、隣接するプリプレグのトウが互いに対して横断して(例えば、垂直に)配向されるように配置され、プリフォームの薄板平面において(最終的なCMC部品の主要な(荷重に耐える)方向に対応する)、より大きな強度を提供する。しかしながら、プリプレグは他の方法で配置されてもよく、例えば、1つまたは複数の隣接するプリプレグのトウは、互いに対して横断または垂直で配向されなくてもよく、様々な実施形態において、互いに対して平行であったり、互いから90度未満でずらされたりなどであってもよい。プリプレグの重ね合わせは、互いに対して様々なトウの配向を有する隣接するプリプレグを含み得る。
【0026】
図1は、薄板102を含む複合材部品100の一部分の断面図を表している。各々の薄板102は、個々のプリプレグテープまたはシートをから形成される。図1に示されているように、各々の薄板102は、トウ106へと形成され、セラミックマトリックス108に包み込まれた一方向に並べられた繊維104から作られたセラミック補強を含む。セラミックマトリックス108は、強化テープを含侵するために使用されるスラリにおけるセラミックマトリックス前駆体の変換(例えば、焼成の後)によって形成される。
【0027】
図2を参照すると、強化テープを形成する前に、または、その形成の一部として、未被覆のトウ106'が、ボビン110に、つまり、繊維供給源に巻き付けられる。未被覆のトウ106'は、被覆のためにボビン110から巻き出すことができる。未被覆のトウ106'の形態で一体に束ねられるなどされた繊維は、複合処理の間に繊維を保護するために、繊維-マトリックスの境界面の強化を変えるために、ならびに/または、繊維とマトリックスとの機械的および/または化学的な接合を促進もしくは防止するためになど、いくつかの目的のために被覆される。スラリ浸漬、ゾルゲル、スパッタリング、および化学蒸着(CVD)など、いくつかの異なる技術が、繊維被覆を適用するために開発されてきた。これらのうち、CVDは、均一な厚さおよび制御された組成の不浸透の被覆を作り出す点において最も成功した。
【0028】
典型的なCVD過程において、繊維および反応物は、被覆前駆体が分解し、被覆として堆積するある上昇した温度まで加熱される。CVD被覆は、連続過程またはバッチ過程のいずれかで適用できる。連続過程では、繊維および被覆前駆体は、反応炉に連続的に通過させられる。
【0029】
図2に示されているように、バッチ過程において、ある長さの繊維(例えば、ある長さの未被覆のトウ106')がボビン110からフレーム112へと巻き出される。繊維は、フレーム112へと巻き付けられるとき、張力を受け得る。例えば、巻き付けの張力が、繊維がボビン110からフレーム112へと巻き出されるときに維持され得る。いくつかの実施形態では、巻き付けの張力は、未被覆のトウ106'の破壊強度の約0.01%から未被覆のトウ106'の破壊強度の約90%までの範囲内であり得る。一例として、巻き付けの張力は約20グラムから約100グラムまでの範囲内であり得る。
【0030】
フレーム112に配置され、ボビン110から巻き出しが停止すると、繊維における張力は、定常状態の張力へと弛緩され得る。例えば、フレーム112またはそれらの構成要素(図3Bおよび図3Cに関連して以下に記載されているようなスペーサバーなど)は、フレーム112の周囲を変えるために、引き込まれるなど、弛緩させることができ、これは繊維における張力を弛緩させる。繊維における定常状態の張力は、巻き付けの張力より小さく、実質的にゼロなど、非常に小さくなり得る。
【0031】
繊維がフレーム112へと移転させられた後、フレーム112は、反応炉114へと導入され、反応物115が反応炉114を通過させられる間に反応炉114の中に留まる。先に記載されているように、反応物115が反応炉114を通過させられるとき、被覆前駆体は分解し、トウ106を形成するために、未被覆のトウ106'に被覆116として堆積するように、反応炉114の中の温度は上昇させられ得る。ここでは被覆116で被覆されたトウ106は、次に強化テープへと形成でき、強化テープは、本明細書に記載されているように、複合材部品100など、CMC部品を形成するために使用されるプリプレグテープ、シート、またはプライを形成するためにスラリで含侵させられ得る。
【0032】
図2が、被覆を反応炉における繊維に堆積させるために、未被覆の繊維を繊維供給源からフレームへと移転するための装置の一般的で概略的な描写だけを提供していることは、理解されるものである。駆動機構、1つまたは複数のプーリ、1つまたは複数のセンサ、制御装置などの他の構成要素が、本明細書に記載されているようなバッチ処理を使用して未被覆のトウ106'を被覆するために、ボビン110、フレーム112、および反応炉114と使用されてもよい。
【0033】
図3A図3B、および図3Cを見て、フレーム112がより詳細に説明される。図3Aは、本主題の様々な実施形態によるフレーム112の概略図を提供している。図3Bおよび図3Cは、図3Aに示されているフレーム112の概略的な側面図をそれぞれ提供している。図3A図3B、および図3Cは、フレーム端118の周りで延びる強化繊維をそれぞれ示しており、フレーム112の周りに巻かれた強化繊維が繊維104または未被覆のトウ106'とでき、以後において、「強化繊維」への言及は、繊維104、未被覆のトウ106'、またはそれら両方のいずれかに当てはまることは、理解されるものである。さらに、以下の記載は、単数形の用語の「トウ」を使用するが、以下の記載が、単一のトウ(例えば、被覆されるフレーム112に巻き付けられ、単一の被覆されたトウ106としてフレーム112から巻き出される単一の未被覆のトウ106')、または、複数のトウ(例えば、複数分の長さの未被覆のトウ106'が、フレーム112に巻き付けられ、被覆され、被覆されたトウ106の複数分の長さとしてフレーム112から巻き出される)に当てはまることは、理解されるものである。
【0034】
図3Aに示されているように、フレーム112は、第1のフレーム端118Aと、第1のフレーム端118Aと反対の第2のフレーム端118Bとを含む。第1のフレーム端118Aと第2のフレーム端118Bとは、第1のフレーム端118Aと第2のフレーム端118Bとが互いと同一になるように、同じように構成され得る、または、第1のフレーム端118Aが第2のフレーム端118Bと異なるように構成され得る。他に述べられていない場合、「フレーム端118」に向けられた本明細書の記載は、第1のフレーム端118A、第2のフレーム端118B、またはそれら両方に当てはまる。
【0035】
第1のフレーム端118Aは、第2のフレーム端118Bから長手方向Lに沿ってフレーム側部長さ120で離間されている。フレーム112は、第1のフレーム端118Aと第2のフレーム端118Bとの間で延びる2つ以上のフレーム側部122も備える。長方形のフレーム112が図3Aの実施形態に示されており、第1のフレーム側部122Aと、第1のフレーム側部122Aと反対の第2のフレーム側部122Bとが、第1のフレーム端118Aの第2のフレーム端118Bとの間でそれぞれ延びている。第1のフレーム側部122Aと第2のフレーム側部122Bとは、横方向Tに沿ってフレーム端長さ121で互いから離間されている。フレーム112が、異なる数のフレーム端118およびフレーム側部122を伴って、他の形を有してもよいことは、理解されるものである。
【0036】
さらに、図3Aの実施形態において、先に記載されているような未被覆のトウ106'の形態であり得る強化繊維104は、1つまたは複数の接触場所124(図3Bおよび図3C)において強化繊維104が各々のフレーム端118に接触するように、フレーム112の周りに巻かれる。しかしながら、他の実施形態では、強化繊維104は、フレーム端118に追加して、または、フレーム端118の代替として、フレーム側部122と接触してフレーム112の周りに巻かれてもよいことは、理解されるものである。したがって、本明細書において提供されている、フレーム端118の形および/もしくは形状、ならびに/または、フレーム端118に対する強化繊維104の動きの記載は、フレーム側部122に適用されてもよい。
【0037】
先に記載されているように、フレーム112は、フレーム112に巻き付けられるとき、繊維における張力を維持するのを助けるように構成でき、フレーム112に巻き付けられると、繊維における張力を弛緩または除去するのを助けるように構成でき、これは、繊維の適切な被覆を確保するのを助けることができる。例えば、図3Bおよび図3Cに示されているように、フレーム112は、フレーム112に巻き付けられた未被覆のトウ106'における張力を弛緩させるために、上昇位置(図3B)から下降位置(図3C)へと移行することができるスペーサバー119などの構成要素を含み得る。
【0038】
より具体的には、図3Bは、スペーサバー119をその上昇位置において示しており、図3Cは、スペーサバー119をその下降位置において示している。上昇位置において、スペーサバー119はフレーム112の周囲を増加させ、未被覆のトウ106'は、上昇位置にスペーサバー119があるフレーム112に巻き付けられ得る。下降位置において、スペーサバー119は、フレーム112の周辺が短縮されるように、フレーム112の中に格納される。スペーサバー119は、フレーム112に未被覆のトウ106'を巻き付けることが完了した後、その下降位置へと移行させることができ、これは、未被覆のトウ106'を支持するフレーム112の周辺を短縮し、それによって、未被覆のトウ106'における張力を弛緩または低減する。未被覆のトウ106'における張力を弛緩することは、未被覆のトウ106'を、互いから離間させ、および/または、フレーム112から離間させ、反応物が未被覆のトウ106'を包囲し、それによって未被覆のトウ106'を被覆して、被覆されたトウ106を形成するための増加した空間または部屋を提供する。
【0039】
図3Bに示されているスペーサバー119が例だけを用いていることは、理解されるものである。スペーサバー119は、任意の適切な形および大きさを有することができ、本明細書に記載されているようにフレーム112において繊維を支持するために、フレーム112に沿う任意の適切な場所に配置され得る。さらに、いくつかの実施形態では、2つ以上のスペーサバー119が使用されてもよく、なおも他の実施形態では、1つまたは複数のスペーサバー119以外の特徴または構成要素が、本明細書に記載されているように、繊維における張力を維持および弛緩するために使用されてもよい。また、折り畳み可能なフレームを使用してフレーム112同士の間の距離(例えば、隣接するフレーム112同士のそれぞれの端の間の距離)を変えることも検討され得る。
【0040】
追加または代替で、フレーム端118の形は、繊維の被覆を通じて発展してもよい。具体的な実施形態では、フレーム端118はフレーム112に対して静的であり得る。代替で、フレーム端118はフレーム112に対して移動可能であり得る。
【0041】
ここで図4A図4Fを参照すると、各々のフレーム端118は、1つまたは複数の接触場所124(図4A図4Fにおける124Aおよび124Bとして示されている)を含む断面形状を有し、それら隣接する接触場所124A、124Bは、離間長さ126で互いから離間されている。図4A図4Fの各々は、フレーム112の異なる形とされたフレーム端118(それぞれ、フレーム端118、118'、118"、118'''、118''''、および118'''''として表されている)の断面図を提供する。例えば、図4Aの実施形態では、フレーム端118の断面形状は、第2の接触場所124Bから離間長さ126で離間された第1の接触場所124Aを含むカモノハシ状の形である。
【0042】
適切な被覆を促進するために、最小の長さの未被覆のトウ106'が、フレーム112と接触すべきである、または、フレーム112の比較的近くにあるべきである。例えば、フレーム端118からの最小距離130内の接触場所124の数および/または未被覆のトウ106'の長さは、トウの被覆をできるだけ促進するために、最小限とされ得る。図4Aを参照すると、フレーム端118は、第1の接触場所124Aと第2の接触場所124Bとの間に概してV字形のスロット125を画定するために、第1の接触場所124Aおよび第2の接触場所124Bの各々から正中線132に向けて内方へ傾斜している。それによって、未被覆のトウ106'とフレーム端118との間の距離が離間長さ126に沿って変化する。より具体的には、未被覆のトウ106'とフレーム端118との間の距離は、接触場所124A、124Bにおけるゼロ(つまり、未被覆のトウ106'が接触場所124A、124Bにおいてフレーム端118と接触する)から、V字形スロット125の最も深い位置における(つまり、正中線132における)最大距離134まで変化する。例えば、第1の接触場所124Aから第2の接触場所124Bへと、図4において左から右へと移動するとき、未被覆のトウ106'とフレーム端118との間の距離は、第1の接触場所124Aから正中線132へと増加し、正中線132から第2の接触場所124Bへと減少する。
【0043】
さらに、各々の接触場所124A、124Bからフレーム側部長さ120に沿って移動するとき、未被覆のトウ106'とフレーム端118との間の距離が増加する。さらに、図4Aに示されているカモノハシ状の形とされたフレーム端118は、最小距離130以下でフレーム112から離間される未被覆のトウ106'の長さを短くするアンダーカットである。最小距離130は、未被覆のトウ106'とフレーム112との間の最小の間隔であり得、そこで被覆過程の間、未被覆のトウ106'における被覆116の形成を抑制するようにフレーム112が形成される材料と反応物115(図2)が相互作用しない。いくつかの実施形態では、最小距離130は、未被覆のトウ106'の直径の少なくとも2倍であり得、他の実施形態では、最小距離130は、未被覆のトウ106'の直径の少なくとも3倍、未被覆のトウ106'の直径の少なくとも4倍、未被覆のトウ106'の直径の少なくとも5倍、未被覆のトウ106'の直径の少なくとも6倍、または未被覆のトウ106'の直径の少なくとも7倍であり得る。
【0044】
したがって、図4Aに示されている実施形態について、フレーム端118は、フレーム端118の幅Wに沿って正中線132へと傾斜し、フレーム側部長さ120に沿って接触場所124A、124Bから離れるように移動するアンダーカットとされている。未被覆のトウ106'の第1の長さ128Aが、第1の接触場所124Aと、両側におけるフレーム端118からの隣接の最小距離130との合計によって定められる。未被覆のトウ106'の第2の長さ128Bが、第1の接触場所124Aと、両側におけるフレーム端118からの隣接の最小距離130との合計によって定められる。このような実施形態において、第1の長さ128Aは、第1の長さ128Aに隣接する離間長さ126より小さい。図4Aに示されているカモノハシ状の形のフレーム端118は、例えば、本明細書に掲載されているように、フレーム端118をアンダーカットし、接触場所124から離れるように傾斜する2つだけの接触場所124を有することで、フレーム端118から最小距離130内における未被覆のトウ106'の全長を最小限にするのを助ける。フレーム端118から最小距離130内における未被覆のトウ106'の全長が、フレーム端118から最小距離130内における未被覆のトウ106'の各々の長さの合計であることは、理解されるものである。例えば、図4Aの実施形態について、フレーム端118から最小距離130内の未被覆のトウ106'の全長は、第1の長さ128Aと第2の長さ128Bとの合計である。
【0045】
正中線132がフレーム端118の断面形状の幅方向の中央を通じて定められており、フレーム端118の幅Wが、フレーム112によって定められる長手方向Lおよび横方向T(図3A)の各々に対して垂直または直角であることは、理解されるものである。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、概してV字形のスロット125が横方向Tに沿ってフレーム端長さ121にわたって延びることは、理解されるものである。例えば、概してV字形のスロット125は、概してV字形のスロット125が第1のフレーム側部122A(図3A)から第2のフレーム側部122B(図3A)へと延びるように、フレーム端118に沿って画定され得る。
【0046】
したがって、図4Aに示されているように、繊維104または未被覆のトウ106'は、繊維104または未被覆のトウ106'がフレーム端118の第1の接触場所124Aおよび第2の接触場所124Bと接触するようにフレーム112の周りに巻かれ、第1の接触場所124Aと接触する繊維104または未被覆のトウ106'の一部分を含む第1の長さ128Aと、第2の接触場所124Bと接触する繊維104または未被覆のトウ106'の一部分を含む第2の長さ128Bとにわたって、最小距離130以下でフレーム112から離間される。しかしながら、繊維104または未被覆のトウ106'の残りの部分は、例えば、化学蒸着(CVD)過程、または本明細書に記載されているような他の適切な被覆過程によって、被覆を強化繊維に堆積させるために、最小距離130より大きくフレーム112から離間される。実質的に同様の様態(例えば、同じ断面形状を有する)で構成されている2つのフレーム端118を有するフレーム112について、図3Bに示されているフレーム端118が第1のフレーム端118Aとでき、強化繊維(つまり、繊維104または未被覆のトウ106')が、強化繊維が図4Aに示されている第1の接触場所124Aおよび第2の接触場所124Bに接触するのと実質的に同様の方法で、第2のフレーム端118Bの第3の接触場所および第4の接触場所に接触できることは、理解されるものである。
【0047】
図4Aに示されているように、フレーム端118の断面形状は、強化繊維に接触するように構成される2つの接触場所124を画定する。図4B図4Fは、フレーム端118の追加または代替の実施形態を描写しており、フレーム端118の断面形状が各々の実施形態で複数の接触場所124を有して描写されている。フレーム端の追加または代替の実施形態が、相互に排他的でなく、同じフレームにおいて、および/または、複数のフレームを有する同じシステムにおいて、組み合わせて利用できることは、理解されるものである。図4A図4Fに示されているように、フレーム端118の様々な実施形態において、複数の接触場所124は、少なくとも2つの周期性因子を有し得る。つまり、接触場所124は、少なくとも2回現れるパターンを有し得る。
【0048】
図4Bを見ると、フレーム端118'の断面形状は、丸められた縁を伴うかまたは伴わない円の大きな扇形である開いた口の形であり得る、または、パックマンの形と称することもできる。図4Aに示されたカモノハシ状の形のように、図4Bに示されたフレーム端118'の開いた口の形は、第1の接触場所124Aと第2の接触場所124Bとの間に、概してV字形のスロット125を備える。概してV字形のスロット125は、横方向Tに沿って、フレーム端長さ121にわたって延び得る。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、概してV字形のスロット125は、概してV字形のスロット125が第1のフレーム側部122A(図3A)から第2のフレーム側部122B(図3A)へと延びるように、フレーム端118に沿って画定される。
【0049】
図4Bに示された開いた口の形は、図4Aにおいてそれぞれのフレーム端118、118'の幅方向の縁に沿って示されたカモノハシ状の形と異なる。例えば、図4Aのカモノハシ状の形は、カモノハシ状の形のフレーム端118の最も幅広の部分または最も大きい幅Wが第1の接触場所124Aと第2の接触場所124Bとを含む状態で、先に記載されているようにアンダーカットされる。対照的に、図4Bの開いた口の形は丸められた縁138を含み、第1の丸められた縁138Aが、第1の接触場所124Aからフレーム端118'に対して幅方向で外方へ弧状になっており、第2の丸められた縁138Bが、第2の接触場所124Bからフレーム端118'に対して幅方向で外方へ弧状になっている。図4Bに示されているフレーム端118'の開いた口の形の最も幅広の部分または最も大きい幅Wは、丸められた縁138に正接して延びる線と、長手方向Lと平行に延びる線との間で、接触場所124の各々から離間される。したがって、未被覆のトウ106'の長さ128が、図4Bの開いた口の形のフレーム端118'の最も大きい幅Wにおいて各々の丸められた縁138に隣接するフレーム端118'の最小距離130の中にある。より具体的には、未被覆のトウ106'の第1の長さ128Aが、第1の丸められた縁138Aから、幅方向に沿って第2の接触場所124Bに向けて第1の接触場所124Aを越えた第1の場所136Aまでの最小距離130の中にあり、未被覆のトウ106'の第2の長さ128Bが、第2の丸められた縁138Bから、幅方向に沿って第1の接触場所124Aに向けて第2の接触場所124Bを越えた第2の場所136Bまでの最小距離130の中にある。
【0050】
ここで図4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、フレーム端118"の断面形状は畝状の形である。図4Cに示されているように、畝状の形は複数の畝140を含むことができ、各々の畝140は、隣接する畝140から、隣接する畝140同士の間に同様の間隔または異なる間隔のいずれかを伴って、離間長さ126で離間されている。つまり、各々の畝140は接触場所124を画定し、図4Aに関して記載されているように、隣接する接触場所同士は離間長さ126で離間され得る。各々の畝140は大きさおよび形が同じであり得る、または、各々の畝は大きさおよび形が異なり得ることは、留意されている。さらに、図4Aおよび図4Bに関して記載されているように、未被覆のトウ106'の長さ128は、各々の畝140に隣接するだけでなく、畝状の形のフレーム端118"の丸められた縁138に隣接する最小距離130の中にあり得る。最小距離130の中の未被覆のトウ106'の全長は、被覆過程の完了においてトウの不十分な被覆および未被覆の領域を最小限にするために、本明細書に記載されているように最小限にされ得る。
【0051】
図4Dに示されているように、他の実施形態では、フレーム端118'''の断面形状は歯状の形である。図4Aおよび図4Bの実施形態と同様に、図4Dのフレーム端118'''の歯状の形は、2つの接触場所124、すなわち、第1の接触場所124Aと第2の接触場所124Bとを含む。歯状の形は、第1の接触場所124Aから正中線132に向けて内方へ延びる第1の直線の縁142Aと、第2の接触場所124Bから正中線132に向けて内方へ延びる第2の直線の縁142Bとを含み得る。角度αが、第1の直線の縁142Aおよび第2の直線の縁142Bの各々と正中線132との間に定められ得る。角度αは、いくつかの実施形態では、約5°から約80°までの範囲内、いくつかの実施形態では、約15°から約60°までの範囲内、および、いくつかの実施形態では、約20°から約45°までの範囲内など、90°未満のゼロでない角度であり得る。さらに、図4A図4Cに示されている実施形態など、未被覆のトウ106'の長さ128が、歯状の形のフレーム端118'''の各々の接触場所124A、124Bに隣接する最小距離130の中にあることができ、最小距離130の中の未被覆のトウ106'の全体の長さは、被覆過程の完了においてトウの不十分な被覆および未被覆の領域を最小限にするために、本明細書に記載されているように最小限にされ得る。
【0052】
ここで図4Eを参照すると、フレーム端118''''のなおも他の実施形態において、断面形状は溝付きの形である。溝付きの形は、複数の半円形の突起144を含み得る。図4Eに示されているように、各々の半円形の突起144は、隣接する半円形の突起144から離間長さ126で離間され得る。任意の数の突起が、均等または不均等な間隔と共に利用され得ることは、留意されている。さらに、各々の半円形の突起144は接触場所124を画定することができ、接触場所124では、強化繊維がフレーム112の周りに巻かれるときに、強化繊維は溝付きの形のフレーム端118''''と接触する。図4A図4Dの実施形態と同様に、未被覆のトウ106'の長さ128が、溝付きの形のフレーム端118''''の各々の接触場所124に隣接する最小距離130の中にあることができ、最小距離130の中の未被覆のトウ106'の全体の長さは、被覆過程の完了においてトウの不十分な被覆および未被覆の領域を最小限にするために、本明細書に記載されているように最小限にされ得る。
【0053】
図4Fを参照すると、フレーム端118'''''のなおも他の実施形態において、断面形状はひれ状の形である。ひれ状の形は、複数のひれ146を含み得る。複数のひれ146の各々のひれ146は、隣接するひれ146から離間長さ126で離間され得る。任意の数の突起が、均等または不均等な間隔と共に利用され得ることは、留意されている。さらに、各々のひれ146は接触場所124を画定することができ、接触場所124では、強化繊維がフレーム112の周りに巻かれるときに、強化繊維はひれ状の形のフレーム端118'''''と接触する。図4A図4Eに示されている実施形態のように、未被覆のトウ106'の長さ128は、ひれ状の形のフレーム端118'''''の各々の接触場所124に隣接する最小距離130の中にあり得る。最小距離130の中の未被覆のトウ106'の全長は、被覆過程の完了においてトウの不十分な被覆および未被覆の領域を最小限にするために、本明細書に記載されているように最小限にされ得る。
【0054】
本明細書に記載されている各々の実施形態において、フレーム112およびフレーム端118は、フレーム112への未被覆のトウ106'の全体の長さ128(例えば、接触領域124Aのいずれかの側における最小距離130の中のトウ106'の長さと、接触領域124Aの中のトウ106'の長さとの合計)が最小限とされるように構成され得る。そのようにして、反応物は、被覆のない繊維の場所または被覆の不十分な繊維の場所の最小限の領域の中で強化繊維を被覆するために、(フレーム112ではなく)強化繊維と相互作用する。例えば、所与のフレーム端118についての離間長さ126に対する未被覆のトウ106'の全体の長さ(つまり、所与のフレーム端118についての各々の長さ128の合計)の比が、約1,000に対して約5など、約10,000に対して約2の範囲以内であり得る。さらに、本明細書に記載されているように、最小距離130は、未被覆のトウ106'の直径の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、またはより大きな倍数など、未被覆のトウ106'の直径の少なくとも2倍であり得る。いくつかの実施形態では、最小距離130は、フレーム112が形成される材料、未被覆のトウ106'に被覆116(図2)を堆積させるために使用される反応物115(図2)、これらの要素の組み合わせ、または他の因子に依存する可能性がある。
【0055】
さらに、各々の接触場所124は、フレーム端118と強化繊維との間の点接触を形成することができる。いくつかの実施形態では、フレーム端118と強化繊維との間の接触は、線接触(つまり、接触の複数の隣接する点を有する)、または、点接触と線接触との組み合わせであり得る。例えば、フレーム端118の所与の構成について、ある接触場所124がフレーム端118と強化繊維との間の点接触を形成し得る一方で、他の接触場所124がフレーム端と強化繊維との間の線接触を形成してもよい。
【0056】
先に記載されているように、被覆された強化繊維(例えば、被覆された繊維または被覆されたトウ106)は、セラミックマトリックス複合材料(CMC)構成要素であり得る図1に示された複合材部品100など、複合材部品または物品に形成されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、複合材部品100は、CMC部品がSiC/SiC部品となるように炭化ケイ素(SiC)マトリックス材料に炭化ケイ素(SiC)強化繊維を備えるCMC部品である。しかしながら、CMC部品は、本明細書に記載されているような他のセラミック材料から形成されてもよく、適切な実施形態では、複合材部品100は、非セラミック材料から、または、セラミック材料と非セラミック材料との混合物から、形成されてもよい。
【0057】
ここで、追加または代替のフレーム端118X、118Y(例えば、図3Bおよび図3Cのフレーム112のもの)を示す図5Aおよび図5Bを参照すると、強化繊維(例えば、図5Aおよび図5Bに示されているような未被覆のトウ106')が、被覆過程の完了において、強化繊維における少ない被覆または未被覆の領域を低減または排除するために、(図3Bおよび図3Cにおけるフレーム112の)正中線132に対して移動させられる。例えば、図5Aおよび図5Bに示されているように、少なくとも1つのフレーム端118が、被覆過程の間に強化繊維を前進または移動させるために、例えば、紙面の裏および表へと延びる横方向T(図2)に対して、時計回りまたは反時計回りのいずれかで回転させられ得る。前進または移動の前に、繊維における被覆116(図2)の形成がフレーム112によって妨害させられ得る強化繊維の1つまたは複数の領域が、強化繊維をフレーム112に対して前進または移動させた後、反応物115(図2)に曝露され得る。例えば、第1の位置P1におけるフレーム端118の接触場所124と接触していた強化繊維の領域152A、152Bが、強化繊維への被覆116(図2)の形成に向けて、反応物が強化繊維と相互作用するための十分な空間を提供するために、それぞれの接触場所124から離間される第2の位置P2へと前進または移動させられ得る。
【0058】
説明の目的だけのために、2つのこのような領域152が図5Aおよび図5Bに示されており、説明を助けるだけのために、破線で輪郭の示された拡大した円によって指示されている。領域152を指示する拡大した円は、任意のこのような領域152の大きさ、程度などを伝えるように意図されていないことは、理解されるものである。
【0059】
図5Aおよび図5Bに示されているように、フレーム端118は、図4A図4Fに関して記載されている断面形状のうちの1つと同じである、または実質的に同様である断面形状を有し得る。例えば、図5Aおよび図5Bに示されているフレーム端118は、互いから離間されている複数のひれ150を含め、図4Fに関して記載されているものなど、ひれ状の形である断面形状を有する。図5Aおよび図5Bを参照すると、強化繊維は、それぞれのひれ150によって各々が画定される複数の接触場所124においてフレーム端118と接触し得る。例えば、フレーム端118を、図5Aにおける矢印によって指示されているように、時計回りまたは反時計回りに回転させることでなど、フレーム端118を移動させることで、初期に接触場所124と接触している強化繊維(描写されている実施形態では未被覆のトウ106'の形態である)が、接触場所124から離れるように前進または移動させられ得る。例えば、図5Bに示されているように、フレーム端118を時計回りに180°回転させることで、未被覆のトウ106'は、接触場所124をそれぞれ画定する領域152A、152Bがもはやひれ150A、150Bとそれぞれ接触しないように前進させることができる。
【0060】
図5Aおよび図5Bを参照すると、少なくともいくつかの実施形態では、フレーム端118の動きは、未被覆のトウ106'などの繊維がフレーム端118に対して滑らないようになっており、これは、毛羽立ちおよび切断されたフィラメント端を最小限にするのを助けることができることは、理解されるものである。未被覆のトウ106'がフレーム端118に対して滑らないとき、未被覆のトウ106'の領域152は、フレーム端118の回転が右または左の端の位置(図5Aおよび図5Bの端面図において)に到達するまでひれ150と接触したままとなり、その右または左の端の位置において、領域152は、自由状態にある被覆に向けた未被覆のトウ106'によって形成される「カーテン」の側を下へと進むことになる。図5Aおよび図5Bの描写されている実施形態について、接触場所124における接触から領域152を「自由にする」ために必要とされる回転の大きさは180°であるが、未被覆のトウ106'がひれ150との接触から自由なるために移動しなければならない直線距離は、フレーム端118の周囲を小さくすることで短縮され得る。いくつかの実施形態では、図5Aおよび図5Bの構成(例えば、図3Aに示されているような横断方向に沿って延びるローラの長さを伴う、概して円筒形である)と同様のローラの形態での2つ以上の支持フレーム端118を使用することで、フレーム端118の周囲のさらなる短縮を可能にすることができ、より小さい直径の端ローラは、それらの小さい直径のおかげで、未被覆のトウ106'を自由にするために完全な180°で回転する必要がなく、これは、ひれ150との瞬間的な接触における直線のトウの長さを最小限にする。いくつかの実施形態では、複数(例えば、2つ以上)の小さい端ローラが、端ローラのすべてを同期して動かす中心歯車によって、それらの回転において関連付けられてもよく、これは、トウとの滑り接触を防止するのを助けることができる。
【0061】
図6に示されているように、フレーム112は、図1の複合材部品100など、複合材部品の強化繊維を被覆するためのシステム10の一部であり得る。フレーム112に加えて、システム10は、アクチュエータ156を含む移動機構154を備えることができ、例えば、アクチュエータ156は、移動機構154の1つまたは複数の構成要素の動きを開始する。移動機構154は、フレーム112に対する強化繊維の移動を誘導するために、フレーム112に動作可能に結合される。
【0062】
図6に示されている実施形態など、いくつかの実施形態では、移動機構154は、例えばラックアンドピニオン式の構成でなど、ラック158と、ラック158と動作的に通じている少なくとも1つの歯車160とを備える。図6に示されているように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの歯車160は、ラック158の両端に配置される第1の歯車160Aおよび第2の歯車160Bであり得る。
【0063】
引き続き図6の実施形態で、描写されているアクチュエータ156は、駆動モータ164に動作可能に結合された回転真空フィードスルー162を備える。ネジ駆動部材166が回転真空フィードスルー162に動作可能に結合されており、カム170を形成するスライダ168がネジ駆動部材166に配置されている。カム170は、例えば、スライダ168がネジ駆動部材166に沿って並進するときにラック158の直線的な動きを誘導するなどのために、ラック158と接触するように構成される。例えば、駆動モータ164は、ネジ駆動部材166を回転させるために回転真空フィードスルー162を駆動し、ネジ駆動部材166は、スライダ168をネジ駆動部材166に沿って併進させる。カム170が、図6に示されているようなラック158のラック端172などにおいて、ラック158と接触しているとき、カム170は、ラック158の直線的な動きを開始するために、ラックの端172の端面173に沿って移動し、ラック158に荷重を掛かる。例えば、端面173は、カム170と相補的な形とされた従動子表面を画定され得る。
【0064】
図には描写されていないが、ラック158および少なくとも1つの歯車160の各々は、ラック158の直線的な動きが1つまたは複数の歯車160の回転の動きを誘導するように、互いと噛み合う歯車の複数の歯を画定され得ることは、理解されるものである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の歯車160の回転の動きは、例えば、図5Aおよび図5Bに対して記載されているようにフレーム112のフレーム端118を回転させるなどのために、使用されてもよい。他の実施形態では、強化繊維は、ラック158の直線的な動きおよび/または歯車160の回転の動きが強化繊維をフレーム112に対して移動させるように、ラック158および/または歯車160と接触していることができ、これは、被覆過程が進行している間、強化繊維の少ないかもしくは不十分な被覆の領域、または未被覆の領域を曝露させることで、強化繊維の適切な被覆を促進することができる。また、アクチュエータ156によってラック158を並進させる代わりに、他の実施形態では、図6に示されているアクチュエータ156と異なって構成されたアクチュエータ156が、ラック158の直線的な動きを誘導する代わりに1つまたは複数の歯車160を回転させることができることは、理解されるものである。
【0065】
図6でさらに示されているように、少なくともいくつかの実施形態では、複数のラックおよび歯車の組立体174がシステム10に含まれ得る。各々のラックおよび歯車の組立体174は、先に記載されているように構成されたラック158および少なくとも1つの歯車160を含み得る。ラックおよび歯車の組立体174は、フレーム112の中で、またはフレーム112に隣接して、互いから等距離に離間されてもよく、または他の実施形態では、隣接するラックおよび歯車の組立体174同士の間の少なくとも1つの間隔距離は、他の隣接するラックおよび歯車の組立体174同士の間の少なくとも1つの他の間隔距離と異なってもよい。また、複数のカムが、複数のフレーム端を、同様に移動させるために、または、他の運動デバイスを介して移動させるために、含まれてもよい。
【0066】
さらに、システム10は、図6に示されているアクチュエータ156の駆動モータ164になど、アクチュエータ156に動作可能に連結されている制御装置176も備え得る。明確には、制御装置176は概してネットワークインターフェース178を備える。ネットワークインターフェース178は、システム10などの他の構成要素、および/または、描写されていない他の構成要素もしくはシステムとデータを通信するための任意の適切な有線または無線の通信ネットワークで、動作可能であり得る。図6の実施形態について、仮想線を使用して示されているように、ネットワークインターフェース178は、他の構成要素とデータを通信するために、無線通信ネットワーク180を利用する。例えば、制御装置176のネットワークインターフェース178と無線通信ネットワーク180とを通じて、制御装置176はアクチュエータ156と動作可能に結合される。ネットワークインターフェース178は、図6の実施形態について無線通信ネットワーク180を利用しているが、他の実施形態では、ネットワークインターフェース178が、その代わりに有線通信ネットワーク、または有線通信ネットワークと無線通信ネットワークとの組み合わせを利用してもよいことは、当然ながら理解されるものである。
【0067】
図6をなおも参照すると、制御装置176は、1つまたは複数の処理装置182と、1つまたは複数のメモリデバイス184とをさらに備える。メモリデバイス184は、1つまたは複数の処理装置182によってアクセス可能なデータ186および命令188を保存する。1つまたは複数の処理装置182は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、論理デバイス、および/または他の適切な処理デバイスなど、任意の適切な処理デバイスを備え得る。1つまたは複数のメモリデバイス184は、限定されることはないが、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ、および/または他のメモリデバイスを含め、1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な媒体を備え得る。命令188は、1つまたは複数の処理装置182によって実行されるとき、制御装置176に機能を実施させる。メモリデバイス184内の命令188は、1つまたは複数の処理装置182によって実行されるとき、1つまたは複数の処理装置182に、本明細書に記載されている動作のうちの1つまたは複数などの動作を実施させる任意の命令のセットであり得る。特定の例示の実施形態では、メモリデバイス184内の命令188は、任意の適切なプログラム言語で書かれたソフトウェアであり得る、または、ハードウェアで実施され得る。追加および/または代替で、命令は、処理装置182において、論理的および/または仮想的に別々のスレッドで実行され得る。メモリデバイス184は、処理装置182によってアクセスされ得る他のデータ188をさらに保存することができる。
【0068】
このような手法において、少なくとも特定の実施形態において、制御装置176が、例えば、フレーム112に対する強化繊維の移動を誘導するためにアクチュエータ156を介してなどで、移動機構154の移動を開始するように構成され得ることは、理解されるものである。例えば、制御装置176は、例えば、フレーム112に配置される、および/または反応炉114(図2)の中に配置される、1つまたは複数のセンサから受信されるデータに応答して、アクチュエータ156を動作させ、それによって、移動機構154の移動を開始させるように構成され得る。例として、制御装置176は、反応物115(図2)の流れが所与の時間の長さにわたって反応炉114の中で流れた後、または、反応炉114の中の温度および/または圧力が閾値に達したとき、アクチュエータ156を動作させるように構成され得る、
【0069】
本明細書に記載されているように、少なくともいくつかの実施形態では、フレーム112は、強化繊維(例えば、繊維104(図1)および/または未被覆のトウ106'(図2))がフレーム112と接触する少なくとも1つの接触場所124(例えば、124A、124B)を含むフレーム端118を備える。例えば、フレーム端118は、1つまたは複数の接触場所124(例えば、124A、124Bなど)を画定する断面形状を有し得る。先に検討されているように、断面形状は、例えば図3B図4Eに関して記載されているように、カモノハシ状の形、開いた口の形、畝状の形、歯状の形、溝付きの形、またはひれ状の形であり得る。移動機構154は、少なくとも1つの接触場所124に対して強化繊維の位置を変えるためにフレーム端118を回転させるように構成され得る。例えば、図6などに示されているような移動機構154のアクチュエータ156は、図5Aおよび図5Bに示されているように、フレーム端118を回転させて強化繊維を第1の位置P1から第2の位置P2へと前進させるために動作させられてもよい。
【0070】
ここで図7Aおよび図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、(例えば、図3Bおよび図3Cのフレーム112の)フレーム端118Zが振動し、それによって、強化繊維を接触場所124A、124Bに対して移動させることができる。例えば、フレーム112のフレーム端118は1つまたは複数の開口190を画定することができ、スプライン192が各々のそれぞれの開口190に配置されている。各々のスプライン192は少なくとも1つの接触場所124(例えば、符号124A、124Bのそれぞれ)を画定することができる。
【0071】
フレーム112は、それぞれの開口190の中に1つまたは複数のスプライン192を保持する保持キャップ194を備え得る。例えば、図7Aに示されているように、保持キャップ194は、1つまたは複数のスプライン192が、各々のスプライン192の動きを許容しつつ、フレーム112から分離しないことを確保するために、開口190の断面形状と相補的な断面形状を有し得る。つまり、1つまたは複数のスプライン192は、例えば1つまたは複数のスプライン192が振動することができるなど、フレーム端118および保持キャップ194に対して移動することができるが、フレーム端118および保持キャップ194は、1つまたは複数のスプライン192がフレーム112から分離しないように成形され得る。
【0072】
少なくともいくつかの実施形態では、1つまたは複数のスプライン192は、図6に関して記載されている移動機構154、または、異なる移動機構154など、移動機構154と動作的に通じている。図7Aを参照すると、フレーム112の1つまたは複数のスプライン192は、概してT字形である断面形状を有することができる。図7Bを参照すると、フレーム112の1つまたは複数のスプライン192'は、概して滴形である断面形状を有することができる。
【0073】
各々のスプライン192、192'は、ロッカ端196と、ロッカ端196と反対の接触端198とを備え得る。図7Aに示されている概してT字形のスプライン192について、T字形の交差棒はロッカ端196を画定している。図7Bに示されている概して滴形のスプライン192'について、滴形の球根状の端はロッカ端196'を画定している。スプライン192、192'の任意の断面形状について、スプライン192、192'の接触端198は、強化繊維とフレーム112との間の接触のために接触場所124A、124Bを画定することができる。
【0074】
ロッカ端196が、スプライン192の移動を開始するために、移動機構154と動作的に通じていることができることは、理解されるものである。例えば、移動機構154のアクチュエータ156は、振動または他の種類の動きで、1つまたは複数のスプライン192を駆動するように動作させられ得る。1つまたは複数のスプライン192は、長手方向Lに沿って、横方向T(図3A)に沿って、幅方向Wに沿って、または、任意の他の適切な方向もしくは動きにおいて、軌道で駆動され得る。他の実施形態では、1つまたは複数のスプライン192は、スプライン192の下の支持棒(図示されていない)から駆動され得るか、スプライン192の下のガスジェット(図示されていない)によって駆動され得るか、または、任意の他の適切なアクチュエータ156および/もしくは移動機構154によって駆動され得る。
【0075】
強化繊維および/またはフレーム112の振動を開始するための様々な機械的な機構が、図7Aおよび図7Bに関して記載されている。代替または追加で、非機械的な作動が、強化繊維および/またはフレーム112の振動を開始するために利用されてもよい。例えば、強化繊維は、反応炉114(図2)の中の反応物115の流れの速さ(つまり、ガス流量)が閾ガス流れ速さを上回る場合、自然に振動することができる。同様に、強化繊維は、反応炉114(図2)の中のガス圧力が閾圧力以上であるときに自然に振動することができる。他の例として、反応炉114(図2)を貫通する音響導波路が、反応炉114の中の強化繊維および/またはフレーム112の振動を駆動するために使用されてもよい。強化繊維および/またはフレーム112の振動は、本明細書に記載されている機械的な作動機構または非機械的な作動機構の任意の個別または組み合わせを用いて実現できる。
【0076】
さらに、振動が機械的に作動させられるか、非機械的に作動させられるかに関係なく、振動パターンが強化繊維および/またはフレーム112のために確立され得ることは、理解されるものである。振動パターンは、固定の、掃引の、突発的な、または無作為の周波数または振幅であり得る。
【0077】
ここで図8を参照すると、本開示の例示の態様による、複合材部品の強化繊維を被覆する方法800の流れ図が提供されている。図2図7Bを参照して先に記載されている例示のシステム10および/またはフレーム112のうちの1つまたは複数が、図1に関して記載されている複合材部品100などの複合材部品の強化繊維を被覆するために、図8の方法800で利用され得る。したがって、方法800は、概して、被覆過程の完了において強化繊維の少ない被覆または未被覆の領域を最小限にするまたは排除するための断面形状および/または移動機構を有するフレームと利用され得ることは、理解されるものである。しかしながら、他の例示の態様では、方法800は、追加または代替で、被覆過程の間に支持フレームに対する繊維の移動を促進するための任意の他の適切な支持フレームおよび/または機構と利用されてもよい。
【0078】
描写されているように、方法800は、(802)において、強化繊維をフレーム112の周りに巻くことを含み、これは、被覆のために繊維を準備するための任意選択のステップとして示されている。本明細書に記載されているように、フレームは、第2の接触場所124Bから離間長さ126で離間されている第1の接触場所124Aを含む断面形状を有する少なくとも1つのフレーム端118を含む。少なくともいくつかの実施形態では、フレーム112の周りに強化繊維を巻くことは、例えば、繊維が本明細書に記載されているような巻き付けの張力の下にある状態などで、繊維をボビン110(図2)から巻き解くことと、第1の接触場所124Aおよび第2の接触場所124Bと接触している強化繊維を配置または設置することを含む。フレーム112の周りに巻かれるとき、強化繊維は、例えば、繊維が、本明細書に記載されているようなボビン110(図2)から巻き出されると定常状態の張力の下にある状態などで、未被覆のトウ106'の最小の長さがフレーム112の最小距離130の範囲内になるように、第1の接触場所124Aから第2の接触場所124Bへと延びる。フレーム端118についての様々な断面形状は、例えば図4A図4Fに関連して、本明細書に記載されている。
【0079】
本明細書に記載されているように、化学蒸着(CVD)過程が、被覆116(図2)を強化繊維に堆積させるために使用され得る。図8を参照すると、方法800は、(804)において、フレームを反応炉114(図2)へと挿入することと、(806)において、反応炉114への反応物115(図2)の流れを開始することとを含む。反応炉114の中の温度および圧力が、反応物115から強化繊維への被覆116の形成を支援するために、例えば周囲の温度および圧力と比較して、上昇させられ得る。堆積過程の完了において、(808)に示されているように、方法800は、フレーム112を反応炉114から除去することを含む。
【0080】
ここで図9を参照すると、本開示の例示の態様による、複合材部品の強化繊維を被覆する方法900の流れ図が提供されている。図2図7Bを参照して先に記載されている例示のシステム10および/またはフレーム112のうちの1つまたは複数が、図1に関して記載されている複合材部品100などの複合材部品の強化繊維を被覆するために、図9の方法900で利用され得る。したがって、方法900は、概して、被覆過程の完了において強化繊維の少ない被覆または未被覆の領域を最小限にするまたは排除するための断面形状および/または移動機構を有するフレームと利用され得ることは、理解されるものである。しかしながら、他の例示の態様では、方法900は、追加または代替で、被覆過程の間に支持フレームに対する繊維の移動を促進するための任意の他の適切な支持フレームおよび/または機構と利用されてもよい。
【0081】
描写されているように、方法900は、(902)において、強化繊維をフレーム112の周りに巻くことを含む。本明細書に記載されているように、強化繊維をフレーム112の周りに巻くことは、強化繊維をフレーム112のフレーム端118と接触させて配置することを含み得る。いくつかの実施形態では、フレームは、第2の接触場所124Bから離間長さ126で離間されている第1の接触場所124Aを含む断面形状を有する少なくとも1つのフレーム端118を含み、フレーム端118についての様々な断面形状は、例えば図4A図4Fに関連して、本明細書に記載されている。
【0082】
少なくともいくつかの実施形態では、化学蒸着(CVD)過程が、被覆116(図2)を強化繊維に堆積させるために使用され得る。図9を参照すると、方法900は、(904)において、フレームを反応炉114(図2)へと挿入することと、(906)において、反応炉114への反応物115(図2)の流れを開始することとを含む。反応炉114の中の温度および圧力が、反応物115から強化繊維への被覆116の形成を支援するために、例えば周囲の温度および圧力と比較して、上昇させられ得る。
【0083】
さらに、方法900は、(908)において、フレームが反応物の流れの中に位置決めされている間、フレームに対する強化繊維の移動を開始することを含む。つまり、反応物115が、例えば(906)において示されているような流れの開始に続いて、反応炉114の中で流れている間、強化繊維はフレーム112に対して移動させられ得る。フレームに対する強化繊維のこのような移動は、移動のない場合に、被覆過程の完了において未被覆であり得る、または少ない被覆厚さを有し得る強化繊維の1つまたは複数の領域を、曝露させることができる。したがって、フレームが反応物の流れの中に位置決めされている間、フレームに対する強化繊維の移動を開始することによって、少ない被覆または未被覆の強化繊維の領域が最小化または排除され得る。このような領域が数および/もしくは長さなどにおいて最小限にされ得ること、または、このような領域が完全に排除され得ることは、理解されるものである。
【0084】
本明細書に記載されているように、フレーム112は移動機構154を備え得る。いくつかの実施形態では、移動機構154は、フレーム112に対する強化繊維の位置をずらす。例えば、(908)において示されているように、フレーム112に対する強化繊維の移動を開始することは、強化繊維の位置を、フレーム112に対して第1の位置P1(図5A)から第2の位置P2(図5B)へとずらすために、または前進させるために、移動機構154のアクチュエータ156を動作させることを含み得る。いくつかの実施形態では、移動機構154は、強化繊維を第1の位置P1から第2の位置P2へと前進させるために、フレーム112のフレーム端118を回転させる。
【0085】
他の実施形態では、移動機構154は、少なくとも1つのスプライン192と動作的に通じており(図7A図7B)、フレームに対する強化繊維の移動を開始するステップは、少なくとも1つのスプライン192の振動を開始することを含む。少なくとも1つのスプライン192は、ロッカ端196と、ロッカ端196と反対の接触端198とを備えることができ、少なくとも1つのスプライン192は、ロッカ端196と接触端198とを画定する概してT字形、滴形、または他の適切な形である断面形状を有し得る。いくつかの実施形態では、接触端198は、少なくとも1つのスプライン192と強化繊維との間の点接触を形成する。
【0086】
いくつかの実施形態では、フレーム112に対する強化繊維の移動を開始することは、強化繊維またはフレーム112の振動を開始することを含む。例えば、フレーム112の振動を開始することは、フレームの振動を機械的に開始することを含む。他の例として、フレーム112の振動を開始することは、フレーム112の振動を誘導するために反応炉114(図2)の中のガス圧力を操作することを含む。
【0087】
強化繊維とフレーム112との間の移動を誘導する他の方法が使用されてもよい。さらに、このような移動は、反応炉114(図2)の中の反応物115(図2)が流れる際に1回、2回、3回、または4回以上で行われてもよい。例えば、制御装置176(図6)は、例えば、時間の経過、反応炉114の中の温度、反応炉114の中の圧力などに基づいて、フレーム112に対する強化繊維の移動を周期的に開始することができる。
【0088】
図9を参照すると、被覆116(図2)を堆積させる過程の完了において、(910)に示されているように、方法900は、フレーム112を反応炉114から除去することを含む。
【0089】
本明細書で記載されているように、本主題は、被覆された繊維の少ない被覆または未被覆の領域を低減または排除するための装置および方法を提供する。例えば、被覆過程の間の支持のための、未被覆の繊維が配置されるフレームとの間の接触場所の数および/または構成が、被覆された繊維の少ない被覆または未被覆の領域を最小限にする。他の例として、被覆過程の間に被覆をフレームに対して移動させることは、被覆された繊維の少ない被覆または未被覆の領域を最小化または低減することができる。
【0090】
さらに、態様が以下の条項の主題によって提供される。
【0091】
強化繊維を被覆するときにおける使用のためのフレームであって、第1の断面形状を有する第1のフレーム端を備え、第1の断面形状は、互いから離間される1つまたは複数の接触場所を含み、強化繊維は、1つまたは複数の接触場所において第1のフレーム端に接触する、フレーム。
【0092】
第1のフレーム端と反対の第2のフレーム端をさらに備え、第2のフレーム端は第2の断面形状を有し、第2の断面形状は、互いから離間される1つまたは複数の接触場所を含み、強化繊維は、1つまたは複数の接触場所において第2のフレーム端に接触する、任意の先の請求のフレーム。
【0093】
第2の断面形状は第1の断面形状と同じである、任意の先の請求のフレーム。
【0094】
第1のフレーム端は、隣接する第2の接触場所から離間長さで離間される第1の接触場所を含み、第1の長さが第1の接触場所によって定められ、第1の長さは離間長さ未満である、任意の先の請求のフレーム。
【0095】
各々の接触場所は、第1のフレーム端と強化繊維との間の点接触を形成する、任意の先の請求のフレーム。
【0096】
第1のフレーム端はフレームに対して静的である、任意の先の請求のフレーム。
【0097】
フレーム端はフレームに対して移動可能である、任意の先の請求のフレーム。
【0098】
1つまたは複数の接触場所は複数の接触場所であり、複数の接触場所は少なくとも2の周期性因子を有する、任意の先の請求のフレーム。
【0099】
第1の断面形状はカモノハシ状の形であり、カモノハシ状の形は、1つまたは複数の接触場所のうちの第1の接触場所と、1つまたは複数の接触場所のうちの第2の接触場所とを備え、カモノハシ状の形は、第1の接触場所および第2の接触場所の各々に隣接してアンダーカットされ、第1の接触場所と第2の接触場所とは、概してV字形のスロットによって分離される、任意の先の請求のフレーム。
【0100】
第1の断面形状は開いた口の形であり、開いた口の形は、1つまたは複数の接触場所のうちの第1の接触場所と、1つまたは複数の接触場所のうちの第2の接触場所とを備え、第1の接触場所と第2の接触場所とは概してV字形のスロットによって分離され、開いた口の形は、第1の接触場所および第2の接触場所の各々に隣接し、概してV字形のスロットの反対に、丸められた縁を備える、任意の先の請求のフレーム。
【0101】
第1の断面形状は歯状の形であり、歯状の形は、1つまたは複数の接触場所のうちの第1の接触場所と、1つまたは複数の接触場所のうちの第2の接触場所と、第1の接触場所と第2の接触場所との間に定められる正中線とを備え、歯状の形は、第1の接触場所に隣接する第1の直線の縁と、第2の接触場所に隣接する第2の直線の縁とをさらに備え、第1の直線の縁と第2の直線の縁との各々は、90°未満のゼロでない角度で正中線に向けて内方へ延びる、任意の先の請求のフレーム。
【0102】
第1の断面形状は畝状の形であり、畝状の形は複数の畝を備え、複数の畝の各々の畝は1つまたは複数の接触場所のうちの接触場所を画定する、任意の先の請求のフレーム。
【0103】
第1の断面形状は溝付きの形であり、溝付きの形は複数の半円形の突起を備え、複数の半円形の突起の各々の半円形の突起は、1つまたは複数の接触場所のうちの接触場所を画定する、任意の先の請求のフレーム。
【0104】
第1の断面形状はひれ状の形であり、ひれ状の形は複数のひれを備え、複数のひれの各々のひれは1つまたは複数の接触場所のうちの接触場所を画定する、任意の先の請求のフレーム。
【0105】
フレーム端についての離間長さに対する、フレームからの最小距離内の強化繊維と、強化繊維がフレームに接触する接触長さとの全体の長さの比が、約10,000に対して2の範囲以内である、任意の先の請求のフレーム。
【0106】
フレーム端についての離間長さに対する、フレームからの最小距離内の強化繊維と、強化繊維がフレームに接触する接触長さとの全体の長さの比が、1,000に対して5の範囲以内である、任意の先の請求のフレーム。
【0107】
複合材部品の強化繊維を被覆するための方法であって、任意の先の請求のフレームの第1のフレーム端の周りに強化繊維を巻くステップと、フレームを反応炉へ挿入するステップと、反応炉への反応物の流れを開始するステップとを含む方法。
【0108】
強化繊維はトウの形態であり、最小距離はトウの直径の少なくとも2倍である、任意の先の請求の方法。
【0109】
反応物の流れは、化学蒸着過程で被覆を強化繊維に堆積させる、任意の先の請求の方法。
【0110】
強化繊維は、非酸化ケイ素に基づく材料、非酸化物炭素に基づく材料、酸化物セラミックス、またはそれらの混合物を含む、任意の先の請求の方法。
【0111】
第1のフレーム端はフレームに対して静的である、任意の先の請求の方法。
【0112】
反応炉への反応物の流れの間に接触場所が変わるように第1のフレーム端を移動させるステップをさらに含む、任意の先の請求の方法。
【0113】
複合材部品の強化繊維を被覆するためのシステムであって、強化繊維と接触するための少なくとも1つの接触場所を含むフレームと、アクチュエータを含む移動機構とを備え、移動機構は、フレームに対する強化繊維の移動を誘導するために、フレームに動作可能に結合される、システム。
【0114】
移動機構は、ラックと、ラックと動作的に通じている少なくとも1つ歯車とを備える、任意の先の条項のシステム。
【0115】
アクチュエータは、駆動モータに動作可能に結合される回転真空フィードスルーと、回転真空フィードスルーに動作可能に結合されるネジ駆動部材と、カムを形成するスライダであって、ネジ駆動部材に配置されるスライダとを備え、カムはラックと接触するように構成される、任意の先の条項のシステム。
【0116】
フレームは、少なくとも1つの接触場所を備えるフレーム端を含む、任意の先の条項のシステム。
【0117】
フレーム端は断面形状を有し、断面形状は少なくとも1つの接触場所を含み、移動機構は、フレーム端を回転させて、少なくとも1つの接触場所に対する強化繊維の位置を変えるように構成される、任意の先の条項のシステム。
【0118】
断面形状は、カモノハシ状の形、開いた口の形、畝状の形、歯状の形、溝付きの形、またはひれ状の形である、任意の先の条項のシステム。
【0119】
フレームは、開口を画定するフレーム端を備え、スプラインが開口に配置され、スプラインは移動機構と動作的に通じており、スプラインは少なくとも1つの接触場所を備える、任意の先の条項のシステム。
【0120】
スプラインは、ロッカ端と、ロッカ端と反対の接触端とを備え、スプラインは、概してT字形である断面形状を、T字形の横棒がロッカ端を画定する状態で有し、接触端は少なくとも1つの接触場所を画定する、任意の先の条項のシステム。
【0121】
スプラインは、ロッカ端と、ロッカ端と反対の接触端とを備え、スプラインは、概して滴形である断面形状を、球根状の端がロッカ端を画定する状態で有し、接触端は少なくとも1つの接触場所を画定する、任意の先の条項のシステム。
【0122】
移動機構と動作的に通じている制御装置であって、フレームに対する強化繊維の移動を誘導するために移動機構を始動するように構成される制御装置をさらに備える、任意の先の条項のシステム。
【0123】
フレームは反応炉の中に位置決めされる、任意の先の条項のシステム。
【0124】
複合材部品の強化繊維を被覆する方法であって、強化繊維で巻かれたフレームを反応炉へと挿入するステップと、反応炉への反応物の流れを開始するステップと、フレームが反応物の流れの中に位置決めされている間、フレームに対する強化繊維の移動を開始するステップとを含む方法。
【0125】
フレームの間フレームに対する強化繊維の移動を開始するステップは、フレームに設けられた移動機構を作動させるステップを含み、移動機構は、フレームに対する強化繊維の位置をずらす、任意の先の条項の方法。
【0126】
移動機構を作動させるステップは、強化繊維を第1の位置から第2の位置へと前進させる、任意の先の条項の方法。
【0127】
強化繊維で巻かれたフレームを反応炉へと挿入するステップの前に、強化繊維をフレームのフレーム端と接触させて配置することで、強化繊維をフレームの周りに巻くステップをさらに含み、移動機構は、強化繊維を第1の位置から第2の位置へと前進させるためにフレーム端を回転させる、任意の先の条項の方法。
【0128】
移動機構は、少なくとも1つのスプラインと動作的に通じており、フレームに対する強化繊維の移動を開始するステップは、少なくとも1つのスプラインの振動を開始するステップを含む、任意の先の条項の方法。
【0129】
少なくとも1つのスプラインは、ロッカ端と、ロッカ端と反対の接触端とを含み、接触端は、少なくとも1つのスプラインと強化繊維との間の点接触を形成する、任意の先の条項の方法。
【0130】
少なくとも1つのスプラインは、球根状の端と、球根状の端と反対の接触端とを有する概して滴形である断面形状を有し、接触端は、少なくとも1つのスプラインと強化繊維との間の点接触を形成する、任意の先の条項の方法。
【0131】
フレームに対する強化繊維の移動を開始するステップは、フレームの振動を開始するステップを含む、任意の先の条項の方法。
【0132】
フレームの振動を開始するステップは、フレームの振動を機械的に開始するステップ、フレームの振動を誘導するために反応炉の中のガス圧力を操作するステップ、またはそれら両方を含む、任意の先の条項の方法。
【0133】
ここで書かれている説明は、最良の様態を含め、本開示を開示するために例を使用しており、また、デバイスまたはシステムを製作および使用することと、任意の組み込まれた方法を実施することとを含め、当業者に本開示を実施させることができるようにするためにも、例を使用している。本開示の特許可能な範囲は、請求項によって定められており、当業者の思い付く他の例を含み得る。このような他の例は、請求項の文字通りの言葉と違いのない構造的な要素を含む場合、または、請求項の文字通りの言葉と非実質的な違いを伴う均等の構造的な要素を含む場合、請求項の範囲内にあるように意図されている。
【0134】
本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
【0135】
1.強化繊維を被覆するときにおける使用のためのフレームであって、
第1の断面形状を有する第1のフレーム端を備え、第1の断面形状は、互いから離間される1つまたは複数の接触場所を含み、強化繊維は、1つまたは複数の接触場所において第1のフレーム端に接触する、フレーム。
【0136】
2.第1のフレーム端と反対の第2のフレーム端をさらに備え、第2のフレーム端は第2の断面形状を有し、第2の断面形状は、互いから離間される1つまたは複数の接触場所を含み、強化繊維は、1つまたは複数の接触場所において第2のフレーム端に接触する、請求1のフレーム。
【0137】
3.第2の断面形状は第1の断面形状と同じである、請求2のフレーム。
【0138】
4.第1のフレーム端は、隣接する第2の接触場所から離間長さで離間される第1の接触場所を含み、第1の長さが第1の接触場所によって定められ、第1の長さは離間長さ未満である、請求1のフレーム。
【0139】
5.各々の接触場所は、第1のフレーム端と強化繊維との間の点接触を形成する、請求1のフレーム。
【0140】
6.第1のフレーム端はフレームに対して静的である、請求1のフレーム。
【0141】
7.フレーム端はフレームに対して移動可能である、請求1のフレーム。
【0142】
8.1つまたは複数の接触場所は複数の接触場所であり、複数の接触場所は少なくとも2の周期性因子を有する、請求1のフレーム。
【0143】
9.第1の断面形状はカモノハシ状の形であり、カモノハシ状の形は、1つまたは複数の接触場所のうちの第1の接触場所と、1つまたは複数の接触場所のうちの第2の接触場所とを備え、カモノハシ状の形は、第1の接触場所および第2の接触場所の各々に隣接してアンダーカットされ、第1の接触場所と第2の接触場所とは、概してV字形のスロットによって分離される、請求1のフレーム。
【0144】
10.第1の断面形状は開いた口の形であり、開いた口の形は、1つまたは複数の接触場所のうちの第1の接触場所と、1つまたは複数の接触場所のうちの第2の接触場所とを備え、第1の接触場所と第2の接触場所とは概してV字形のスロットによって分離され、開いた口の形は、第1の接触場所および第2の接触場所の各々に隣接し、概してV字形のスロットの反対に、丸められた縁を備える、請求1のフレーム。
【0145】
11.第1の断面形状は歯状の形であり、歯状の形は、1つまたは複数の接触場所のうちの第1の接触場所と、1つまたは複数の接触場所のうちの第2の接触場所と、第1の接触場所と第2の接触場所との間に定められる正中線とを備え、歯状の形は、第1の接触場所に隣接する第1の直線の縁と、第2の接触場所に隣接する第2の直線の縁とをさらに備え、第1の直線の縁と第2の直線の縁との各々は、90°未満のゼロでない角度で正中線に向けて内方へ延びる、請求1のフレーム。
【0146】
12.第1の断面形状は畝状の形であり、畝状の形は複数の畝を備え、複数の畝の各々の畝は1つまたは複数の接触場所のうちの接触場所を画定する、請求1のフレーム。
【0147】
13.第1の断面形状は溝付きの形であり、溝付きの形は複数の半円形の突起を備え、複数の半円形の突起の各々の半円形の突起は、1つまたは複数の接触場所のうちの接触場所を画定する、請求1のフレーム。
【0148】
14.第1の断面形状はひれ状の形であり、ひれ状の形は複数のひれを備え、複数のひれの各々のひれは1つまたは複数の接触場所のうちの接触場所を画定する、請求1のフレーム。
【0149】
15.複合材部品の強化繊維を被覆する方法であって、
強化繊維を、請求1のフレームの第1のフレーム端の周りに巻くステップと、
フレームを反応炉へと挿入するステップと、
反応炉への反応物の流れを開始するステップとを含む方法。
【0150】
16.強化繊維はトウの形態であり、最小距離はトウの直径の少なくとも2倍である、請求15の方法。
【0151】
17.反応物の流れは、化学蒸着過程で被覆を強化繊維に堆積させる、請求15の方法。
【0152】
18.強化繊維は、非酸化ケイ素に基づく材料、非酸化物炭素に基づく材料、酸化物セラミックス、またはそれらの混合物を含む、請求15の方法。
【0153】
19.第1のフレーム端はフレームに対して静的である、請求15の方法。
【0154】
20.反応炉への反応物の流れの間に接触場所が変わるように第1のフレーム端を移動させるステップをさらに含む、請求15の方法。
【符号の説明】
【0155】
10 システム
100 複合材部品
102 薄板
104 強化繊維
106 トウ
106' 未被覆のトウ
108 セラミックマトリックス
110 ボビン
112 フレーム
114 反応炉
115 反応物
116 被覆
118、118'、118"、118'''、118''''、118'''''、118X、118Y、118Z フレーム端
118A 第1のフレーム端
118B 第2のフレーム端
119 スペーサバー
120 フレーム側部長さ
121 フレーム端長さ
122 フレーム側部
122A 第1のフレーム側部
122B 第2のフレーム側部
124 接触場所
124A 第1の接触場所
124B 第2の接触場所
125 V字形スロット
126 離間長さ
128 未被覆のトウ106'の長さ
128A 未被覆のトウ106'の第1の長さ
128B 未被覆のトウ106'の第2の長さ
130 最小距離
132 正中線
134 最大距離
136A 第1の場所
136B 第2の場所
138 丸められた縁
138A 第1の丸められた縁
138B 第2の丸められた縁
142A 第1の直線の縁
142B 第2の直線の縁
144 半円形の突起
146 ひれ
150 ひれ
152、152A、152B 領域
158 ラック
160 歯車
160A 第1の歯車
160B 第2の歯車
162 回転真空フィードスルー
164 駆動モータ
166 ネジ駆動部材
168 スライダ
170 カム
172 ラックの端
173 端面
174 ラックおよび歯車の組立体
176 制御装置
178 ネットワークインターフェース
180 無線通信ネットワーク
182 処理装置
184 メモリデバイス
186 データ
188 命令、他のデータ
190 開口
192、192' スプライン
194 保持キャップ
196、196' ロッカ端
198 接触端
L フレーム112の長手方向
P1 第1の位置
P2 第2の位置
T フレーム112の横方向
W フレーム端118の幅
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
【外国語明細書】