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特開2024-69177被加工物を形成する方法およびその方法を実施する機械
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069177
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】被加工物を形成する方法およびその方法を実施する機械
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240514BHJP
   B24B 9/00 20060101ALI20240514BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240514BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240514BHJP
   B24B 47/14 20060101ALI20240514BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20240514BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20240514BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01L21/304 621C
B24B9/00 601H
B24B41/06 A
B24B49/12
B24B47/14
B24B45/00 A
B24B7/04 Z
H01L21/304 622H
H01L21/304 601B
H01L21/304 631
H01L21/68 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】84
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191881
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】63/424,029
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/503,309
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/511,504
(32)【優先日】2023-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505070380
【氏名又は名称】ハーディング, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ノブズ, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】エジェター, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キニー, ブライアン リー
(72)【発明者】
【氏名】ベリー, ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C049
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034AA01
3C034AA07
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA22
3C034CA30
3C034CB08
3C034DD10
3C034DD20
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA14
3C043BA16
3C043BA17
3C043CC02
3C043CC12
3C043DD05
3C043DD06
3C043DD11
3C049AA03
3C049AA18
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3C049BB06
3C049BB08
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3C049BC01
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3C049CB01
3C049CB03
5F057AA14
5F057AA32
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5F057FA32
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5F057GB31
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5F131DA42
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5F131EA05
5F131EA06
5F131EA12
5F131EA14
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5F131EA24
5F131EA25
5F131EB01
5F131EB31
5F131EB53
5F131EB55
5F131FA10
5F131FA17
5F131FA32
5F131FA35
5F131KA14
5F131KA40
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB23
5F131KB32
5F131KB38
5F131KB53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブールやその他の被加工物を成形および/または仕上げ加工する工程を改善する被加工物を形成する方法及び機械を提供する。
【解決手段】システムにおいて、機械100は、取付けアセンブリ50によってケース13内に配置され、被加工物に接触して被加工物を保持する少なくとも1つのワークヘッド10、12と、ケース内に配置され、被加工物が少なくとも1つのワークヘッドと接触している間に、被加工物の表面を研削するための工具アセンブリ17と、ケース内に配置され、少なくとも1つのワークヘッドによって保持された被加工物からX線画像および回折データの少なくとも一方を取得するX線装置28と、を備える。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を形成する方法であって、
第1ワークヘッド上に前記被加工物をロードする工程と、
前記被加工物が前記第1ワークヘッドと第2ワークヘッドの両方に接触するように、前記第2ワークヘッドに対して相対的に前記被加工物を位置決めする工程と、
前記第1ワークヘッドおよび第2ワークヘッドに前記被加工物が接触した状態で、前記被加工物の外周面を第1の研削砥石を用いて研削する工程と、
第2の研削砥石を用いて前記被加工物の一面を研削する工程と、
前記被加工物を取り外す工程と、を備える方法。
【請求項2】
前記被加工物をロードする工程は、前記第1ワークヘッドの第1の被加工物保持装置上に前記被加工物を配置することを含み、前記第1の被加工物保持装置は第1真空プレートを有し、前記第1真空プレートは、前記被加工物を保持するために真空力を印加する真空装置と共に使用するように構成され、前記第1真空プレートは、後退位置と伸長位置との間を移動するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2ワークヘッドに対して相対的に前記被加工物を位置決めする工程は、前記第2ワークヘッドに対して前記被加工物を第2の軸に沿って位置決めするために前記第1ワークヘッドを第1の軸を中心に回転させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被加工物に圧力を加えるために、前記第1ワークヘッドもしくは前記第2ワークヘッドのいずれかまたは両方を、前記被加工物に向かって直線的に移動させる工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被加工物を取り外す工程は、前記第1ワークヘッドが前記第2の軸から離れるように前記第1の軸を中心に前記第1ワークヘッドを回転させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の研削砥石を用いて前記被加工物の一面を研削する工程において、前記第2ワークヘッドの前記被加工物への接触が解除されるように、前記第2ワークヘッドを前記被加工物から後退させること、を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2ワークヘッドを前記被加工物から後退させる工程と、
X線装置を介して前記被加工物の軸方向の一面を示すX線画像からデータを取得する、または、前記X線装置を介して前記被加工物の外径面を示すX線画像からデータを取得する工程と、
前記第2の研削砥石を用いて前記被加工物の前記一面を研削するべく前記一面の位置決めを支援するために、得られた前記X線データの結果を用いて、前記被加工物を回転させて適切な方向に向ける工程と、を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記一面を研削するために、前記被加工物は前記第1のワークヘッドにより保持され、 前記方法は更に、
前記被加工物を前記第1ワークヘッドから前記第2ワークヘッドに搬送する工程と、
前記第2ワークヘッドから前記第1ワークヘッドへと前記被加工物を戻す工程と、を備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の研削砥石を用いて、前記第2ワークヘッドに保持された前記被加工物の前記外周面を研削する工程を更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の研削砥石を用いて、前記第2ワークヘッドに保持された前記被加工物の前記一面を研削する工程を更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
を更に備える、請求項8に記載の方法。
前記第2の研削砥石を用いて、前記第2ワークヘッドに保持された前記被加工物の前記一面を研削する工程
【請求項12】
前記第1の研削砥石を前記被加工物の前記外周面に接触させた後、前記第1の研削砥石を前記被加工物から離すように後退させる工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の研削砥石を前記被加工物の前記一面に接触させた後、前記第2の研削砥石を前記被加工物から離すように後退させる工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の研削砥石は第3の軸を中心に回転するように構成され、前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドの少なくとも一部は、前記第2の軸を中心に回転するように構成され、前記第1の研削砥石は更に、前記被加工物に向かう方向におよび離れる方向に移動するように構成され、
前記被加工物の前記外周面を研削する工程は、前記第1の研削砥石を回転させることと、前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドの少なくとも一部を回転させることとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記第1ワークヘッドは前記第2の研削砥石に対して前記第1の軸を中心に回転運動するように構成され、前記第2の研削砥石は、前記被加工物の前記一面を研削するために、前記被加工物に対して回転および直線運動するように構成され、
前記被加工物の前記一面を研削する工程は、前記第2の研削砥石を回転させることと、前記被加工の前記一面に対して前記第2の研削砥石を直線的に移動させることと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記被加工物は、ウェハへと切断するように構成された材料のブールである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
被加工物を形成する機械であって、
前記被加工物に接触して保持するように構成された第1ワークヘッドと、
前記被加工物に接触するように構成された第2ワークヘッドと、
前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドに接触した状態の前記被加工物の外周面を研削する第1の研削砥石と、
前記被加工物の一面を研削する第2の研削砥石と、を備える機械。
【請求項18】
前記第1ワークヘッドは第1の被加工物保持装置を有し、前記第1の被加工物保持装置は第1真空プレートを有し、前記第1真空プレートは前記被加工物を保持するために真空力を印加する真空装置と共に使用するように構成され、前記第1真空プレートは後退位置と伸長位置との間を移動するように構成されている、請求項17に記載の機械。
【請求項19】
前記第1ワークヘッドは、前記第1真空プレートに接続されたアクチュエータを有し、前記アクチュエータは、前記第1真空プレートおよび前記被加工物を前記後退位置と前記伸長位置との間で移動させるように構成されている、請求項18に記載の機械。
【請求項20】
前記第1の被加工物保持装置はクランプ機構をさらに有し、前記クランプ機構は、前記第1の真空プレートを把持および解放する開位置および閉位置の間を移動するように構成され、前記第1の真空プレートが前記クランプ機構に対して前記後退位置と前記伸長位置との間で移動するように構成され、それにより前記被加工物を前記クランプ機構に対して後退及び突出させる、請求項18に記載の機械。
【請求項21】
前記第2ワークヘッドに対して前記被加工物を第2の軸に沿って位置決めするために、前記第1ワークヘッドは第1の軸を中心に回転し、前記被加工物を取り外すために前記第1ワークヘッドは前記第2の軸から離れる方向に回転するように構成される、請求項17に記載の機械。
【請求項22】
前記被加工物に圧力を印加するために、前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドのいずれか一方または両方が、前記第2ワークヘッドまたは前記第1ワークヘッドに向かって第2軸に沿って直線移動するように構成されている、請求項21に記載の機械。
【請求項23】
前記第1の研削砥石は第3の軸を中心に回転するように構成され、前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドの少なくとも一部は前記第2の軸を中心に回転するように構成され、前記第1の研削砥石は、前記被加工物に向かう方向および前記被加工物から離れる方向に移動するように更に構成される、請求項21に記載の機械。
【請求項24】
前記第1ワークヘッドは前記第2の研削砥石に対して第1の軸を中心に回転運動するように構成され、前記第2の研削砥石は、前記被加工物の前記一面を研削するために、前記被加工物に対して回転および直線運動するように構成される、請求項17に記載の機械。
【請求項25】
前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドの少なくとも一方によって保持された前記被加工物のX線画像からデータを取得するために、前記被加工物に対して相対的に移動するように構成されたX線装置を更に備える、請求項17に記載の機械。
【請求項26】
前記第2の研削砥石を使用して前記被加工物の前記一面を研削するために、得られたX線データを介して、前記第1ワークヘッドにより前記被加工物が適切な方向に向けられる、請求項25に記載の機械。
【請求項27】
前記第2ワークヘッドは更に、前記被加工物を保持するおよび/または前記第1ワークヘッドから前記を受け取るように構成される、請求項17に記載の機械。
【請求項28】
前記被加工物は、ウェハに切断するように構成された材料のブールである、請求項17に記載の機械。
【請求項29】
得られたX線データの結果により前記被加工物を垂直(Y)軸周りに回転させ、前記被加工物の結晶格子を修正された方法で研削し、それによって前記被加工物に幾何学的特徴を付加する、を更に備える、請求項17に記載の機械。
【請求項30】
得られたX線データの結果により前記被加工物をX軸またはZ軸の少なくとも一方である水平軸を中心に回転させ、前記被加工物の結晶格子を修正された方法で研削し、それによって前記被加工物に幾何学的特徴を付加する、を更に備える、請求項17に記載の機械。
【請求項31】
被加工物を形成するシステムであって、
ケースと、
前記ケース内に配置され、被加工物に接触して前記被加工物を保持するように構成された少なくとも1つのワークヘッドと、
前記ケース内に配置され、前記被加工物が前記少なくとも1つのワークヘッドと接触している間に前記被加工物の表面を研削するための工具アセンブリと、
前記ケース内に配置され、前記少なくとも1つのワークヘッドによって保持された前記被加工物からX線画像および回折データの少なくとも一方を取得するように構成されたX線装置と、を備えるシステム。
【請求項32】
前記第1ワークヘッドは、第1の被加工物保持装置を備え、前記第1の被加工物保持装置は、前記工具アセンブリに対して所望の向きで前記被加工物を保持するように構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのワークヘッドに接続され、前記被加工物を保持するために前記被加工物に真空力を印加するように構成された真空システムを更に備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の被加工物保持装置は第1の真空プレートを有し、前記第1の真空プレートは後退位置と伸長位置との間を移動するように構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の真空プレートは前記真空システムと流体連通している、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の被加工物保持装置は前記第1の真空プレートに接続されたアクチュエータを有し、前記アクチュエータは、前記第1の真空プレートおよび前記被加工物を前記後退位置と前記伸長位置との間で移動させるように構成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の被加工物保持装置は、クランプ機構をさらに有し、前記クランプ機構は、前記第1の真空プレートを把持および解放する開位置および閉位置の間を移動するように構成され、前記第1の真空プレートが、前記クランプ機構に対して前記後退位置と前記伸長位置との間で移動するように構成され、それにより前記被加工物を前記クランプ機構に対して後退及び突出させる、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記少なくとも1つのワークヘッドは、第1のワークヘッドおよび第2のワークヘッドを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項39】
前記第2ワークヘッドに対して前記被加工物を第2の軸に沿って位置決めするために、前記第1ワークヘッドは第1の軸を中心に回転し、前記被加工物を取り外すために前記第1ワークヘッドは前記第2の軸から離れる方向に回転するように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記被加工物に圧力を印加するために、前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドのいずれか一方または両方が、前記第2ワークヘッドまたは前記第1ワークヘッドに向かって第2軸に沿って直線移動するように構成されている、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1ワークヘッドの少なくとも一部および前記第2ワークヘッドの少なくとも一部は、第2の軸を中心に回転するように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記第2ワークヘッドは更に、前記被加工物を保持するおよび/または前記第1ワークヘッドから前記を受け取るように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記工具アセンブリは第3の軸を中心に回転し、前記被加工物に向かう方向および離れる方向に移動するように構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項44】
前記工具アセンブリが、少なくとも1つの第1の回転研削砥石および少なくとも1つの第2の回転研削砥石を含み、前記少なくとも1つの第1の回転研削砥石および前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石が、前記被加工物に向かう方向および前記被加工物から離れる方向に移動するように更に構成され、前記少なくとも1つの第1の回転研削砥石及び前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石が、前記被加工物に対して相対的に回転移動するように更に構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項45】
前記工具アセンブリはフレームを有し、前記少なくとも1つの第1の回転研削砥石、前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石および前記X線装置は、前記フレームに取り付けられている、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記少なくとも1つの第1の回転研削砥石、前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石および前記X線装置は、前記フレームに対して径方向に分散して配置される、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
第1のワークヘッドは、前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石に対して第1の軸を中心に回転運動するように構成され、前記少なくとも1つの第2の回転砥石は、前記被加工物の一面を研削するために、前記被加工物に対して回転および直線運動するように構成される、請求項44に記載のシステム。
【請求項48】
前記少なくとも1つの第1の回転砥石は、第1の交換可能工具によってフレームに取り外し可能に取り付けられる、請求項44に記載のシステム。
【請求項49】
前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石は、第2の交換可能工具によってフレームに取り外し可能に取り付けられる、請求項44に記載のシステム。
【請求項50】
前記少なくとも1つの第1の回転研削砥石は、前記被加工物の外周面を研削するように構成される、請求項44に記載のシステム。
【請求項51】
前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石は、前記被加工物の一面を研削するように構成される、請求項44に記載のシステム。
【請求項52】
第1のワークヘッドは、前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石に対して第1の軸を中心に回転運動するように構成され、前記少なくとも1つの第2の回転砥石は、前記被加工物の一面を研削するために、前記被加工物に対して回転および直線運動するように構成される、請求項44に記載のシステム。
【請求項53】
前記少なくとも1つの第2の回転研削砥石を使用して前記被加工物の一面を研削するために、得られたX線データを介して、第1ワークヘッドにより前記被加工物が適切な方向に向けられる、請求項44に記載のシステム。
【請求項54】
取付アセンブリを更に備え、
前記工具アセンブリおよび前記X線装置が、前記取付アセンブリによって前記ケースの内部に保持される、請求項31に記載のシステム。
【請求項55】
前記取付アセンブリは多軸マニピュレータである、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記取付アセンブリに接続された工具交換システムを更に備える、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記X線装置は、前記ケース内に配置され、前記被加工物によって回折されたX線を検出するように構成された検出器を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項58】
機械加工される部品を受容するためのプレートと、
前記プレートの外周に配置され、前記機械加工される部品を挟み込むべく前記部品に向かって内側に動くように構成された複数のクランプ爪と、を備え、
前記プレートは前記プレートを貫通する孔を有し、前記孔は前記部品に印加される真空力のための導管を提供し、前記プレートは少なくとも部分的に前記機械加工される部品の表面形状に適合するような適合性を有する、クランプ装置。
【請求項59】
前記部品の前記プレートと接触している表面とは反対側の表面と接触するように構成された対向クランプ構造であって、前記対向クランプ構造及び前記プレートはその間に被加工物に力を加えるように協働する、を更に備える請求項58に記載のクランプ装置。
【請求項60】
前記力により、適合性を有する前記プレートは少なくとも部分的に前記部品の前記表面に適合する、請求項59に記載のクランプ装置。
【請求項61】
前記部品に対して前記孔を通して真空を印加することにより、適合性を有する前記プレートが前記部品の前記表面に少なくとも部分的に適合する、請求項58に記載のクランプ装置。
【請求項62】
前記クランプ爪からの力を前記被加工物に加えることなく、前記プレートおよび前記対向クランプ構造は、研削作業のためにその間に前記部品を固定する、請求項59に記載のクランプ装置。
【請求項63】
前記対向クランプ構造は、第2のプレートと第2の複数のクランプ爪を備える別のクランプ装置から構成される、請求項59に記載のクランプ装置。
【請求項64】
プロセッサによって実行されると方法を実行するコンピュータ可読媒体であって、
前記方法は、
被加工物が第1ホルダアセンブリによって保持されている間に、前記被加工物の結晶方位を検査する命令をX線装置に送信する工程と、
前記X線装置からデータを受信して前記被加工物の前記結晶方位を決定する工程と、
決定された前記結晶方位に基づいて工具アセンブリに命令を送信する工程と、を備え、
前記工具アセンブリは、前記命令に基づいて前記結晶方位を修正するべく前記被加工物を研削するように構成された研削砥石を有し、前記被加工物が前記研削砥石によって研削されている間、前記被加工物は前記第1ホルダアセンブリによって保持されたままである、コンピュータ可読媒。
【請求項65】
前記方法は更に、
前記第1ホルダアセンブリおよび前記工具アセンブリの位置を示す信号を複数のエンコーダから受信する工程と、
前記第1ホルダアセンブリおよび前記工具アセンブリに関連付けられた少なくとも1つのモータに命令を送り、前記被加工物の前記結晶方位を修正するべく前記研削砥石が前記被加工物の一面を研削するように前記研削砥石および前記第1ホルダアセンブリに保持された前記被加工物が配置されるように、前記第1ホルダアセンブリと前記工具アセンブリとの間に相対運動を発生させる工程と、を備える、請求項64に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項66】
前記方法は更に、
前記被加工物が前記第1ホルダアセンブリによって保持されている間に、前記被加工物を第1のモータで結晶修正位置に回転させる工程と、
前記工具アセンブリへの命令に従って、第2の研削砥石を第2のモータでドーム修正位置へと回転させる工程と、
前記第2の研削砥石で前記被加工物の第1の部分を除去し、修正面を形成する工程と、を備える、請求項64に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項67】
前記被加工物の第1の部分を除去することは、前記第2の研削砥石を前記被加工物のドーム面に接触するように移動させ、次いで前記第2の研削砥石を多軸パターンで移動させて前記被加工物の前記第1の部分を研削除去することを含む、請求項66に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項68】
前記方法は更に、
少なくとも1つの第1の光学式エンコーダで前記第1のモータの現在位置を把握し、前記第1のモータの現在位置と前記第1のモータの所望の位置とを比較して、前記第1のモータの適切な出力特性を決定する工程を備える、請求項66に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項69】
前記適切な出力特性は、前記第1のモータの角度オフセットを含む、請求項68に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項70】
前記方法は更に、少なくとも1つの第2の光学式エンコーダで前記第2のモータの現在位置を把握し、前記第2のモータの現在位置と前記第2のモータの所望の位置とを比較して、前記第2のモータの適切な出力特性を決定する工程を備える、請求項66に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項71】
前記適切な出力特性は前記第2のモータの角度オフセットを含む、請求項70に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項72】
前記方法は更に、
前記被加工物を前記第1ホルダアセンブリから第2ホルダアセンブリへと移送する工程と、
前記第2のモータにより第1の研削砥石をシード修正位置へと回転させる工程と、
前記第1の研削砥石で前記被加工物の第2の部分を除去して、修正されたシード面を形成する工程であって、前記修正されたシード面は前記修正面に対して平行である工程と、
前記被加工物を前記第2ホルダアセンブリから前記第1ホルダアセンブリへと移送する工程と、を備える、請求項66に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項73】
前記方法は更に、第3のモータが前記第2ホルダアセンブリを直線的に移動させる時に、少なくとも1つの第3の光学式エンコーダで前記第3のモータの現在位置を把握し、前記第3のモータの現在位置と前記第3のモータの所望の位置とを比較して、前記第3のモータの適切な出力特性を決定する工程を備える、請求項72に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項74】
前記適切な出力特性は、前記第3のモータの線形オフセットが含まれる、請求項73に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項75】
前記方法は更に、真空システムを用いて第1の被加工物保持装置に真空を印加する工程を備え、
前記第1の被加工物保持装置が前記第1ホルダアセンブリに含まれ、真空によって前記第1の被加工物保持装置に対して前記被加工物を保持する、請求項72に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項76】
前記方法は更に、
真空システムを用いて第2の被加工物保持装置に真空を印加する工程を備え、
前記第2の被加工物保持装置が前記第2ホルダアセンブリに含まれ、真空によって前記第2の被加工物保持装置に対して前記被加工物を保持する、請求項72に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項77】
前記第1の研削砥石で前記被加工物の前記第2の部分を除去することは、前記第1の研削砥石を前記被加工物の前記シード面に接触するように移動させ、次いで前記被加工物の前記第2の部分を研削除去するパターンで前記第1の研削砥石を移動させることを含む、請求項72に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項78】
前記方法は更に、
前記第1のモータで前記被加工物を水平位置へと回転させる工程と、
前記第2のモータで第1の研削砥石を材料除去位置へと回転させる工程と、
形が整えられた表面を形成するために、第1の研削砥石で前記被加工物の所定の部分を除去する工程と、を備える、請求項66に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項79】
前記被加工物の前記所定の部分を除去することは、前記第1の研削砥石を前記被加工物に接触するように移動させた後、前記第1のホルダアセンブリが前記被加工物を回転させている間に前記第1の研削砥石を往復運動させて粗く材料を研削除去することを含む、請求項78に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項80】
前記方法は更に、
前記第1のモータにより前記被加工物を結晶分析位置へと回転させる工程と、
前記第2のモータにより前記X線装置を撮影位置へと回転させる工程と、
前記X線装置を用いて前記被加工物の回折データを取得する工程と、を備える、請求項66に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項81】
前記方法は更に、
前記回折データに基づいて結晶方位を決定し、前記結晶方位と理想化された虚数平面との間の角度差として傾斜角を計算する工程を備える、請求項80に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項82】
前記複数のエンコーダは、複数のロータリエンコーダを含む、請求項65に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項83】
前記X線装置から受信するデータは、前記被加工物のX線回折データ、所望の基準平面に投影された六方晶SiC結晶の6軸表現および光学エンコーダデータのうちの少なくとも1つを含む、請求項64に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項84】
前記方法は更に、
前記結晶方位が修正された後、前記被加工物の前記結晶方位を再検査するために前記X線装置に更なる命令を送信する工程と、
前記被加工物の前記結晶方位を再決定するべく、追加データを前記X線装置から受信する工程と、を備える、請求項64に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2022年11月9日に出願された米国仮特許出願第63/424,029号、2023年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/503,309号、および2023年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/511,504号明細書4に関するものであり、これらの各特許出願の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、被加工物を加工するための方法およびシステム/機械に関する。
【背景技術】
【0003】
ウェハ(例えば、半導体ウェハ)は、通常、細長い結晶バーまたはインゴット(ブールとも呼ばれる)を、のこぎりまたはスライサーを使用して切断することによって形成される。このようなブールは、SiCのようなシリコンと炭素で形成され得る。
【0004】
ウェハを切り出すブールを準備するために、ブールそのものを加工する場合があり、例えば、機械加工、研削、研磨等を行う。通常、研削、研磨およびその他の仕上げ工程は、ブールに対して個別に実施される。すなわち、各工程には、適用される仕上げ工程毎にブールを手作業で配置する。例えば、ブールの各々をスピンドル上に個別に接着し、乾燥またはセットした後、接着されたブールに対して研削を行うことができる。加工の各工程は、周期的におよび/または異なるステーションで実行されてもよい。工程またはステーションにおいて、ブールはそれぞれ移動および/または取り除かれる。一般的に、ブールを切断および精度測定するための準備する上記のような加工は時間がかかり、複数の異なるシステムを必要とする。
【0005】
ブールやその他の被加工物を成形および/または仕上げ加工する上記のような工程を改善することは有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一側面は、ケース内において被加工物を形成するシステムを提供する。システムは、前記ケース内に配置され、被加工物に接触して前記被加工物を保持するように構成された少なくとも1つのワークヘッドを備えてもよい。システムはまた、前記ケース内に配置され、前記被加工物が前記少なくとも1つのワークヘッドと接触している間に前記被加工物の表面を研削するための工具アセンブリを備えてもよい。システムは更に、前記ケース内に配置され、前記少なくとも1つのワークヘッドによって保持された前記被加工物からX線画像および回折データの少なくとも一方を取得するように構成されたX線装置と、を備えてもよい。
【0007】
本開示の別の側面は、被加工物を形成する方法を提供する。当該方法は、第1ワークヘッド上に前記被加工物をロードする工程と、前記被加工物が前記第1ワークヘッドと第2ワークヘッドの両方に接触するように、前記第2ワークヘッドまたはワークヘッドに対して相対的に前記被加工物を位置決めする工程と、前記第1ワークヘッドおよび第2ワークヘッドに前記被加工物が接触した状態で、前記被加工物の外周面を第1の研削砥石を用いて研削する工程と、第2の研削砥石を用いて、前記第1ワークヘッドに保持された前記被加工物の一面を研削する工程と、前記被加工物を取り外す工程と、を備える。
【0008】
本開示の別の側面は、被加工物を形成する機械を提供する。当該機械は、前記被加工物に接触して保持するように構成された第1ワークヘッドと、前記被加工物に接触するように構成された第2ワークヘッドと、を備える。機械はまた、前記第1ワークヘッドおよび前記第2ワークヘッドに接触した状態の前記被加工物の外周面を研削する第1の研削砥石と、前記第1ワークヘッドによって保持された前記被加工物の一面を研削する第2の研削砥石と、を備える。
【0009】
本開示の別の側面は、プロセッサによって実行されると方法を実行するコンピュータ可読媒体を提供する。方法は、被加工物が第1ホルダアセンブリによって保持されている間に、前記被加工物の結晶方位を検査する命令をX線装置に送信する工程を備える。方法は更に、前記X線装置からデータを受信して前記被加工物の前記結晶方位を決定する工程を備える。方法は更に、決定された前記結晶方位に基づいて工具アセンブリに命令を送信する工程を備える。前記工具アセンブリは、前記結晶方位を修正するべく前記被加工物を研削するように構成された研削砥石を有し、前記被加工物が前記研削砥石によって研削されている間、前記被加工物は前記第1ホルダアセンブリによって保持されたままである。方法は更に、前記結晶方位が修正された後、前記被加工物の前記結晶方位を再検査するために前記X線装置に更なる命令を送信する工程を備える。方法は更に、前記被加工物の前記結晶方位を再決定するべく、追加データを前記X線装置から受信する工程を備える。
【0010】
本開示のその他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付図面および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲に記載される請求項(従属請求項も含む)は独立して読まれるべきであり、参照により発明の概要に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本開示の実施形態に係る被加工物を形成するための機械の概略図を示す。
【0012】
図1B】本開示の実施形態に係る、図1Aの機械の部品またはサブコンポーネントの上面図(すなわち、見下ろした図)である。
【0013】
図1C】説明のために、図1Bに示す部品またはサブコンポーネントを概略的に示した斜視図である。
【0014】
図1D】本開示の実施形態に係る図1Bに示された部品またはサブコンポーネントが、別個の搭載アセンブリに取り付けられる状態を概略的に示す斜視図である。
【0015】
図1E】本開示の実施形態に係る図1Bに示された搭載アセンブリの部品またはサブコンポーネントが、ロボットアームに取り付けられた状態を概略的に示す斜視図である。
【0016】
図1F】本開示の実施形態に係る図1Aの機械の部品またはサブコンポーネントに、真空システムおよび工具交換システムが概略的に含まれる様子を示す上面図である。
【0017】
図2A】本開示の実施形態に係る図1A図1Fの機械の第1ワークヘッドおよび第2ワークヘッドの例示的な特徴を示した等角図である。
【0018】
図2B】本開示の実施形態に係る、複数の分配通路を介して真空を印加することにより被加工物をホルダアセンブリに固定するのに使用される真空プレートの概略断面図であり、破線は、複数の分配通路、真空チャネル、真空ラインおよび真空ポンプ間の流体連通を示す。
【0019】
図3A】第1の位置にある被加工物および第1の位置にある第1ホルダアセンブリの部品を示す、本開示の実施形態に係る第1ホルダアセンブリの断面図である。
【0020】
図3B】本開示の実施形態に係る、図3Aの領域3Bの拡大図であり、クランプ機構は開位置にある。
【0021】
図4】第1の位置にある被加工物および第2の位置にある第1ホルダアセンブリの部品が示された、図3Aの第1ホルダアセンブリの断面図である。
【0022】
図5A】第2の位置にある被加工物および第2の位置にある第1ホルダアセンブリの部品を示す、本開示の実施形態に係る第1ホルダアセンブリの断面図である。
【0023】
図5B】本開示の実施形態に係る、図5Aの領域5Bの拡大図であり、クランプ機構は開位置にある。
【0024】
図6】第2の位置にある被加工物および第2の位置にある第1ホルダアセンブリの部品とが示された、図3Aの第1ホルダアセンブリの断面図である。
【0025】
図7】本明細書の実施形態に係る、一実施形態の機械に配置され、図1A~1Fの機械によって形成/機械加工される被加工物の例を示す。
【0026】
図8】本開示の機械における被加工物のロード位置を示す上面図である。
【0027】
図9】本開示の機械の第2の位置を示す上面図である。
【0028】
図10】被加工物を固定する位置にある第1および第2ワークヘッドの上面図である。
【0029】
図11】実施形態に係る機械を用いて被加工物の外周面を研削する際の研削作業を示す上面図である。
【0030】
図12A】実施形態に係る、機械を使用して被加工物の一面(例えば、ドーム面)を研削するための必要に応じて行われる研削作業を示す。
【0031】
図12B】実施形態に係る、機械の第2の研削砥石を使用して被加工物の一面(例えば、ドーム面)を研削するための必要に応じて行われる研削作業を示す。
【0032】
図13】実施形態に係る、X線装置を備えた機械の上面図である。
【0033】
図14】実施形態による、機械内での被加工物の回転運動を示す第1ワークヘッドの断面図である。
【0034】
図15A】実施形態による、機械を使用して一面が研削される被加工物と共に第1ワークヘッドを示した等角図である。
【0035】
図15B】実施形態に係る、さらなる軸D-Dを中心に回転可能である第2の研削砥石による研削作業を受ける被加工物と共に第1ワークヘッドを示した等角図である。
【0036】
図16】機械の第1ワークヘッドから第2ワークヘッドへの被加工物の移送を示す上面図である。
【0037】
図17A】実施形態に係る、機械を使用して被加工物の外周面を研削する研削作業を示す上面図および斜視図である。
図17B】実施形態に係る、機械を使用して被加工物の外周面を研削する研削作業を示す上面図および斜視図である。
図17C】実施形態に係る、機械を使用して被加工物の外周面を研削する研削作業を示す上面図および斜視図である。
【0038】
図17D】実施形態に係る、被加工物の外周面に切り欠きまたは平坦を研削するための研削作業の斜視図である。
【0039】
図18A】実施形態に係る、機械を使用して一面が研削される被加工物と共に第1ワークヘッドを示した等角図である。
【0040】
図18B】実施形態に係る、機械の第2の研削砥石を使用して被加工物の面を研削する研削作業を受ける被加工物を有する第2ワークヘッドの上面図である。
【0041】
図19】機械の第2ワークヘッドと第1ワークヘッド間の被加工物の移送を示す上面図である。
【0042】
図20】開示された機械において被加工物を取り外す位置への第1ワークヘッドの移動を示す上面図である。
【0043】
図21】実施形態に係る、第1の研削砥石が円筒ディスクである図1Aの機械の部品またはサブコンポーネントの概略的な上面図を示す。
【0044】
図22】実施形態に係る、第1の研削砥石が円筒ディスクである図1Aの機械の部品またはサブコンポーネントの概略的な上面図を示す。
【0045】
図23】実施形態に係る、第1の研削砥石が円筒ディスクである図1Aの機械の部品またはサブコンポーネントの概略的な上面図を示す。
【0046】
図24】実施形態に係る、第1の研削砥石が円筒ディスクである図1Aの機械の部品またはサブコンポーネントの概略的な上面図を示す。
【0047】
図25】実施形態に係る、第1の研削砥石が多面的である場合の図1Aの機械の部品またはサブコンポーネントの概略的な上面図を示す。
【0048】
図26】本開示の実施形態に係る第1ワークヘッドの断面図である。
【0049】
図27】実施形態に係る、コンピュータと機械の電気部品との間の接続を示すシステム図であり、破線は通信ネットワークを介した双方向通信を示す。
【0050】
図28】実施形態に係るエンコーダベースの制御を可能にするための、プロセッサと機械の電気部品との間の接続を示すシステム図である。
【0051】
図29】実施形態に係るX線撮像を用いて被加工物の結晶方位を修正する方法を示すブロック図である。
【0052】
図30】実施形態に係る面の粗修正作業の前にワークヘッドと第1ホルダアセンブリによって保持される被加工物の上面図を示す。
【0053】
図31】実施形態に係る、面の粗修正作業後であって結晶方位が修正される前の、ワークヘッドおよび第1ホルダアセンブリによって保持される被加工物の上面図を示す。
【0054】
図32】実施形態に係る、点線によって示される被加工物の第1の部分が除去されるように結晶方位が修正された後の、ワークヘッドと第1ホルダアセンブリによって保持された被加工物の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面および以下の説明により明らかとなるように、本開示は、被加工物(インゴットまたはブール等)を形成する方法および機械(またはシステム)の両方に関し、より詳細には、異なるサブコンポーネント、ツールおよび制御操作を介して被加工物に仕上げ技術を実行する方法および機械(またはシステム)に関する。この機械は、制御装置および/または処理装置を介して、一連の工程および仕上げ技術が被加工物適用されるように、被加工物を保持および操作するように設計されている。その結果、機械は、一連の工程(ただし、そのような工程の順序は限定されない)により被加工物に対して複数の作業または操作を自動的に実行するように構成され、それによって、(限定されないが)時間、コスト、および無駄を削減するなどの利点が、本明細書全体を通して説明されるように提供される。
【0056】
本開示において、「被加工物(workpiece)」という用語は、半導体の「ブール」であってもよいが、本明細書に記載されるシステムおよび方法の多くは、他の被加工物(例えば、金属被加工物)に適用することができ、したがって、本発明は、SiCブールまたは半導体用途に限定されないことが理解されよう。
【0057】
本明細書で使用する場合、「~するように構成されている」とは、特定の要素またはアセンブリが、記載された動作を実行するような形状、サイズ、配置を有する、または、接続および/もしくは構成された構造を有することを意味する。例えば、「移動するように構成」されている部材は、その他の要素に移動可能に接続され、当該部材を移動させる要素を含む、または、当該部材がその他の要素またはアセンブリに応じて移動するように構成されている。このように、本明細書で使用される場合、「~するように構成される」とは、構造を示し、機能を示していない。更に、本明細書で使用する場合、「~するように構成される」とは、特定の要素またはアセンブリが、記載された動作を実行することを意図しており、そのように設計されていることを意味する。従って、記載された動作を実行することができるに過ぎないが、記載された動作を実行することを意図しておらず、また、記載された動作を実行するように設計されていない要素は、「~するように構成」されていないと言える。
【0058】
本明細書で使用される場合、「動作可能に接続される」という用語は、2つ以上の構成要素が、1つ以上の中間部品を介して機能的に接続され、接続された構成要素のいずれかの変位、操作、作動または状態の変化が、残りの構成要素に予め定義された応答を引き起こすことを意味するものとする。
【0059】
図1Aは、被加工物(例えば、様々な図中の被加工物20を参照)を形成するための機械100またはシステムの概略図である。機械100は、被加工物20を形成するために使用および制御される多数のサブコンポーネント、ツールおよびデバイスが共に組み込まれている。機械100に含まれ、一体化されているのは、サブコンポーネント、ツールおよび装置(第1および第2ホルダアセンブリまたはワークヘッド10、12、および搭載アセンブリ17、ならびにこれら全てのアセンブリの全てのサブコンポーネントを含む)の各々を制御するように構成されたコントローラ18および/またはプロセッサである。コントローラ18は、サブコンポーネント、ツール等の動作および/または起動を制御することに加えて、これらの動きを制御するようにも構成される。図1Aに示すように、コントローラ8は、自己完結型または分散型のコンピュータシステム11を含むことができる。
【0060】
コンピュータ11は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報処理用のデジタル回路、情報処理用のアナログ回路、ステートマシン、および/または情報を電子的に処理するための他の機構のうちの1つ以上を含んでもよい。図1Aに、単一のエンティティとしてコンピュータ11が示されているが、これは単に説明を目的としたものである。いくつかの実施形態では、コンピュータ11は、複数のコンピュータサブシステムまたは処理ユニットから構成され得る。これらの処理ユニットは物理的に同一の装置内に配置されてもよいまたは共同して動作する複数の装置の処理機能をプロセッサ11が代表してもよい。
【0061】
コンピュータ11は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアおよび/もしくはファームウェアの何らかの組み合わせ、および/または、コンピュータ11上の処理能力を構成するその他の機構を介して、モータおよび/または機構を制御することにより、機械加工または研削動作、X線撮像動作および工具交換動作を実行または実施するように構成され得る。以下に説明する様々な構成要素または特徴によって提供される機能の説明は、例示を目的とするものであり、構成要素または特徴のいずれかが、説明されているよりも多いまたは少ない機能を提供する可能性もあり、その他の説明が限定的であることを意味していない。例えば、構成要素または特徴の1つまたは複数が削除され、その機能の一部または全部がその他の構成要素または特徴によって提供される場合があり、これはその他の説明が限定的であることを意味するものではない。コンピュータ11は、1つ以上のコンピュータプログラム構成要素を実行するようにプログラムされてもよい。コンピュータプログラム構成要素または機能は、例えば、コンピュータ11にコード化および/または他の方法で埋め込まれたソフトウェアプログラムおよび/またはアルゴリズムを含むことができる。
【0062】
コンピュータ11は、電子記憶装置の形態のメモリを備えてもよい。電子記憶装置は、情報を電子的に記憶する非一時的記憶媒体を含み得る。電子記憶装置の電子記憶媒体には、(i)サーバまたはクライアントデバイスと一体に(例えば、実質的に着脱不能に)設けられたシステムストレージ、または、(ii)例えばポート(例えばUSBポート、ファイヤーワイヤポート等)またはドライブ(例えばディスクドライブ等)を介してサーバまたはクライアントデバイスに着脱可能に接続されたリムーバブルストレージの一方または両方が含まれるとしてもよい。電子記憶装置には、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば光学ディスク等)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷型記憶媒体(例えばEEPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えばフラッシュドライブ等)、および/または、これら以外の電子的に読み取り可能な記憶媒体のうち1または複数が含まれるとしてよい。電子記憶装置、一または複数の仮想ストレージリソース(例えば、クラウドストレージ、仮想プライベートネットワーク、および/またはこれら以外の仮想ストレージリソース)を含んでもよい。電子記憶装置は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサが決定した情報、サーバから取得した情報、クライアントデバイスから取得した情報、または、本明細書に記載する機能を可能とする他の情報を記憶してもよい。
【0063】
図1A図27および図28に示すように、機械100は、少なくとも1つの外部構成要素122(例えば、インゴット製造炉、機械100のこれ以前の動作によって製造されたブールまたはウェハの様々な側面に関連し、将来の動作を微調整するためにコントローラによって使用され得るクラウドデータを含むサーバ、または機械100の動作を遠隔制御するための集中サーバおよび/または制御システム)と通信することによって、様々な操作能力を得ることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加的構成要素122は、機械100が遠隔データ処理および情報記憶/検索動作を実行することを可能にする、クラウドデータセンタ、サードパーティシステムまたは遠隔データベースを備えてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ18(コンピュータ11を含む)は、通信ネットワーク124(例えば、インターネット、または、インターネットと、ローカルエリアネットワーク、セルラーネットワークもしくはパーソナルエリアネットワーク、組織内ネットワークおよび/もしくはその他のネットワークのような様々なネットワークとの組み合わせ)を介して、少なくとも1つの追加的構成要素122と通信することができる。コントローラ18(コンピュータ11を含む)は、通信ネットワーク124を介して、少なくとも1つの追加的構成要素122との間で、データを送受信することができることに留意されたい。図27に示されるように、図示される機械100の全ての電子的構成要素2700は、データ伝送および制御信号のために、コントローラ18(コンピュータ11を含む)に通信可能に接続され得る。
【0064】
実施形態では、図1Aおよび図1Bに示されるように、部品および/またはサブコンポーネントは、ケース13に収容されてもよい。ケース13内に配置される部品および/またはサブコンポーネントは、ホルダアセンブリ10、12、ツールアセンブリ17および本明細書に開示されるような被加工物20を機械加工するように構成された全ての装置を含み得るが、これらに限定されない。任意に、ケース13の一部として1つまたは複数のドア15を設けることができ、ケース内に配置された部品およびサブコンポーネントへのアクセスを可能におよび/または制限してもよい。ドア15は、研削作業中、研削液およびブールからの切り屑の全てを機械100内に収容することを容易にする。更に、ドア15は、作業中の人員を機械の外部に、また可動部品から遠ざける。一実施形態では、ケース(例えば、複数の囲んでいる壁、床および天井)は、制御された環境を提供することができる。例えば、真空および/または空気(または別の特定の気体混合物)の供給源に接続されてもよい。ケース13の床は、本明細書に記載される研削作業中にこれらの要素を冷却するために機械の様々な部分(本明細書に記載される1つ以上の研削砥石等)および/または被加工物20に噴霧され得る冷却液(例えば、水)を排出するための排水システムと接続する排水孔を有してもよい。
【0065】
本明細書のいくつかの実施形態に従って、機械100によって機械加工される被加工物20は、ブールであってもよい。一例では、ブールは炭化ケイ素材料から形成される。そのようなブールまたは被加工物20の例が、図7に示されている。被加工物20は、典型的には、第1の面42、第2の面444およびこれら面42、44の間の外周面46(外周部分、エッジ、外周または外径(OD)とも称される)を有する。図示されるように、本明細書の実施形態によれば、被加工物20の外周は、概して丸みを帯びるまたは円形であってよく、一実施形態では円筒形である。第1の面42はシード側とも称され、典型的には平坦または平面であり、一方、第2の面44は、典型的にはアーチ状、湾曲状、ドーム状または不規則な形状であり、凸状および/または凹状のいずれかの構成であり、簡略化のためにドーム側とも称される。以下に説明するように、第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12の一部は、被加工物20の様々な形状の表面/面に対応するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、被加工物20は、2つの面42、44の間に延びる細長い縁を有する棒状の構造体であってもよい。図示のような被加工物20の面および表面(外周面、縁)のサイズおよび形状は例示的なものに過ぎず、これらに限定されることを意味するものではない。
【0066】
図1Bの上面図(すなわち、上方から見た図)に概略的に示されるように、本明細書の実施形態では、機械100は、被加工物20を形成するための多数の部品またはサブコンポーネントがその中に組み込まれている。一実施形態では、図1Bに示される全ての部品またはサブコンポーネントは、例えば、図1Aのケース13内に設けられるかまたはその中に収容されてもよい。実施形態において、部品またはサブコンポーネントは、ホルダアセンブリ34を介して被加工物20に接触し保持するように構成された第1ワークヘッド10と、ホルダアセンブリ36を介して被加工物20に接触する(場合によっては保持する)ように構成された少なくとも第2ワークヘッド12とを含み得る。ワークヘッド10、12はそれぞれ、筐体13内の空間または部屋に配置されるアームおよび/またはフレーム、スタンド、または同様の構造に取り付けられてもよい。第1ワークヘッド10は、一実施形態において、Z方向またはZ平面として記される第1の方向(例えば、一実施形態では、水平方向)に第1の軸A-Aを有する。第2ワークヘッド12は、第2の軸B-Bに沿って延在し、この第2の軸B-Bは、軸A-Aと同一平面(例えば、水平面)内に存在してもよい。軸B-Bは、X方向に延在すると考えてもよい。一実施形態では、ワークヘッド10はその軸A-Aが、ワークヘッド12の軸B-Bに対して角度的にずれた状態となる(例えば、垂直、45度もしくはその他の角度)または同軸になり得るように、垂直軸(A1と表示)を中心に枢動可能である。前述のように、一実施形態では、第1ワークヘッド10は、第1の軸A1(例えば、本明細書ではY軸と記す垂直軸、例えば、図2Aおよび図9参照)を中心に回転するように構成される。垂直軸(湾曲矢印Cを参照)を中心とする第1ワークヘッド10の回転は、いずれの方向への回転であってもよく、被加工物20を第2ワークヘッド12に対して軸B-Bと整列した状態で相対的に位置決めするために、被加工物周辺部の研削作業中に被加工物をホルダアセンブリ間にクランプ(挟持)するために、被加工物20を第1ワークヘッド10から第2ワークヘッド12に(例えば、シード面研削のために)移送/搬出するために、および/または、搬入/搬出位置までおよび/または(後述する)面研削作業のために被加工物20を軸B-Bから離れる方向に回転させるために使用されてもよい。一実施形態では、第2ワークヘッド12は軸B-Bに沿って直線的に移動し、第1ワークヘッド10も軸A-Aに沿って直線的に移動する。一実施形態では、軸A-Aは(例えば、軸A1を中心として)枢動するが、軸B-Bは枢動しないようになっている。別の任意の実施形態では、軸A-Aおよび軸B-Bの両方が枢動可能である。一実施形態では、第1ワークヘッド10および/または第2ワークヘッド12のいずれか一方または両方が、水平軸B-Bに沿って(すなわち、X方向に沿って)直線移動するように構成される。本明細書では、特定の方向または平面を「垂直」または「水平」と記載することがあるが、これらの向きは限定的なものではなく、様々な構成要素の取り付け部の向きを移動させるだけで、異なる角度または向きに容易に変更することができるため(例えば、機械100は、施設の床面ではなく、壁面に取り付けることができる)、これは単なる説明のための例として理解されるべきである。
【0067】
一実施形態では、被加工物20を形成する方法の間に、例えば、被加工物20をその間に固定/保持するために被加工物20の(両方の面に)圧力を加えるため、および/または被加工物20を一方のワークヘッドから他方のワークヘッドに移送するために、第1ワークヘッド10を第2ワークヘッド12に向かう方向に移動させる、または、第2ワークヘッド12を第1ワークヘッド10に向かう方向に移動(またはそれらの個別または同時の移動)させることのいずれかが行われる。従って、第2ワークヘッド12は、形成中に、(第1ワークヘッド10によって保持される被加工物20に接触することに加えて)被加工物20を保持(把持)し、および/または、第1ワークヘッド10から被加工物20を受け取るように更に構成されていることも理解されるべきである。更に、例えば、ブールまたは被加工物20の表面(面42、44または外周面46)に作業を施すために位置決めするべく、第1ワークヘッド10および/または第2ワークヘッド12は、多数の軸上で水平、直線、横方向、揺動、旋回および/または回転運動(複数可)するように構成され得る。これら運動の組み合わせが、作業の実行前、実行中、および/または実行後に利用され得る。例えば、ワークヘッド10、12のいずれかの回転運動は、特定の軸自体を中心に回転することおよび/または旋回すること、および、その軸に対する角度(例えば、前後方向および/または上下方向)を成すことを含み得、そのような運動の例は、以下および図において示され、説明される。更に、当業者には、被加工物/ブール20に接触し保持するためのものを含め、被加工物20を形成し加工するために移動および動作を実行するモータおよびリニアアクチュエータ等の搬送装置および/または駆動装置が機械100に関連付けられてもよいことも理解されるべきである。一例として、本明細書の実施形態によれば、ブールを把持することに加えて、ワークヘッド10および12はそれぞれ、ホルダアセンブリを移動させるため、および/またはホルダアセンブリおよびその把持部品に関連する動作(複数可)を実施するために、自身の駆動機構25Aおよび25B(図1B参照)をそれぞれ備えてもよい(本明細書において以下に詳細に説明する)。実施形態において、駆動機構25A、25Bはそれぞれ、例えば、1つ以上のエンコーダ120(例えば、正確な角度位置決めのためのロータリエンコーダ)と対になった直接駆動トルクモータを備えてもよい。駆動機構25A、25Bおよびその部品を介して開始されホルダアセンブリ10、12に対する動きは、例えば、本明細書において以下に詳細に説明されるコントローラ/プロセッサ18を介して制御され得る。
【0068】
図2Aは、機械100またはシステムにワークヘッドを設置するための吊り上げポイントを提供するべく、第2ワークヘッド12および/または第1ワークヘッド10に任意で設けることができる吊り具またはフック111の例を示す。このような特徴は例示的なものであり、ワークヘッドに必ずしも必要なものではない。
【0069】
図1Bは、機械100が、被加工物20に対して多数の製造工程を行うように設計された工具アセンブリ17を含む実施形態を示す。工具アセンブリ17は、第1の交換可能な工具14、第2の交換可能な工具16、フレーム19およびX線装置28を備えてもよい。第1の交換可能な工具14および第2の交換可能な工具16は、工具アセンブリ17の一部を形成する工具(図示の実施形態では、研削砥石)である。このように様々な工具を機械100に接続して、機械100が製造工程における様々な作業を実行できるようにすることができる。例えば、異なるタイプの研削砥石(粗研削砥石、細研削砥石など)に交換することができる。フレーム19は、被加工物の加工作業中に所望の位置に移動可能となるように、第1の交換可能工具14、第2の交換可能工具16およびX線装置28を取り付ける支持構造である。一実施形態では、第1の交換可能工具14、第2の交換可能工具16およびX線装置28は、工具アセンブリ17に対して間隔をあけて配置され、どの構成要素も他の取り付けられた構成要素の動作に干渉しないようにすることができる。更なる実施形態では、電気的接続および流体的接続はフレーム19を通る配線および配管によってなされ、第1の交換可能工具14、第2の交換可能工具16およびX線装置28に接続されてもよい。さらなる実施形態では、複数の工具および検出装置をフレーム19に取り付けて、機械100が複数の製造工程を工具交換システム60(図1F参照)を作動させることなく同時に実行できるようにしてもよい。
【0070】
一実施形態では、工具交換システム60は、様々な研削砥石のような様々な加工工具を取り付けることができ、適切な工具が工具アセンブリ17の適切なスピンドルに整列して取り付けられるように作動させることができる。一例として、工具交換システムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,647,679号に記載されているような構造を利用することができる。
【0071】
いくつかの具体例では、第1の交換可能工具14および第2の交換可能工具16は、図1Fに概略的に示されるように、工具交換システム60によって格納され得るスピンドル、ボーリングヘッド、コレット、ドリルチャック、回転工具、焼きばめ機、タッピングヘッド、工具ポスト、および工具アライメントゲージを含む工具および工具ホルダのホットスワップ可能な接続点として機能し得る。少なくとも図1B図1F図15Bおよび図17A~17Cに示されるように、第1の交換可能工具14は第1の研削砥石14であってもよく、第2の交換可能工具16は第2の研削砥石16であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の研削砥石14は、第2の研削砥石16が回転する軸F-F(図1F)から角度的にずらされている軸C-Cを中心に回転する。さらなる実施形態では、2つの軸C-CおよびF-Fは垂直に配置される。例えば、図1Fに示されるように、研削砥石14は、水平軸を中心に回転するように構成されたスピンドル8aを中心に回転し、研削砥石16は、垂直軸を中心に回転するように構成されたスピンドル8bを中心に回転する。
【0072】
様々な実施形態において、図1Cに概略的に図示されたモータシステム4を構成する様々なモータを介して、研削砥石14、16等の工具および/または装置は工具アセンブリ17の一部として、被加工物20およびホルダアセンブリ10、12に対して移動するように構成される。図1B図1Cおよび図1Fは、複数のモータからなるモータシステム4によって任意の数の方向に移動するように構成された工具アセンブリ17に一体化されている研削砥石14、16等の部品および工具を概略的に示しており、移動する方向は、ホルダアセンブリ10、12に向かう方向およびホルダアセンブリ10、12から離れる方向を含む。研削砥石14、16等の工具および/またはフレーム19の移動は、例えば、ブールまたは被加工物20に対して作業または操作を実行するために、ホルダアセンブリ10、12および/または被加工物20に対して、多数の軸上での、水平移動、直線移動、横方向移動、枢動、旋回および/または回転であってもよい。移動の組み合わせは、工程の実行前、実行中および/または実行後に利用することができる。一実施形態では、例えば、4軸アーム(図1Cおよび図17A参照)が、研削砥石14、16および/または他の工具の移動および使用に利用されてもよい。
【0073】
図1A図1Eに示すように、第1ワークヘッド10、第2ワークヘッド12および工具アセンブリ17は、ケース内の取付けアセンブリ50によってケース13内に取り付けられている。取付けアセンブリ50は、被加工物20および工具アセンブリ17の不要な振動および変位を抑制しつつ、研削作業を行うことを容易にする構成を有し、第1ワークヘッド10、第2ワークヘッド12および工具アセンブリ17を支持するために使用される構造である。図1Cは、第1ワークヘッド10、第2ワークヘッド12および工具アセンブリ17が、取付けアセンブリ50として機能する単一の基板(または複数の基板)に取り付けられる実施形態を示す。この実施形態では、取付けアセンブリ50は、ホルダアセンブリ10および12ならびに工具アセンブリ17を、様々なモータおよび軸受によって移動させるための作業台またはプラットフォームとして機能し、その上で研削作業が実行される。
【0074】
一実施形態では、図1Dに示すように、取付けアセンブリ50は、フレームサブアセンブリ52およびワークヘッドサブアセンブリ54を含む。フレームサブアセンブリ52およびワークヘッドサブアセンブリ54は、工具アセンブリ17を第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12から独立して再配置できるようにする独立した支持構造である。図1Dは、フレームサブアセンブリが、軸A-Aに平行で、軸A-Aからオフセットされた軸D-Dを中心に回転可能なプラットフォームを含む実施形態を示す。第1の研削砥石14、第2の研削砥石16およびX線装置28は、研削作業およびX線撮像を実行するように配置される。
【0075】
図1Eは、フレームサブアセンブリ52が多軸マニュピレーション装置(例えば、ロボットアーム)を備え、工具アセンブリ17が、研削、画像化、加法製造、減法製造および多成分組立を含む様々な製造工程を実行するためのエンドエフェクタとして機能し得る実施形態を示す。本明細書で使用される場合、「多軸操作」という用語は、少なくとも図1B図1F図11図13図15Bおよび図17Dに示される軸(例えば、X、Y、Z、A-A、B-B、C-C、D-D、およびF-F軸)に沿った、および、その軸を中心とする直線運動、角度運動および回転運動を指す。これらの動きの1つ以上が、一度に1つずつ行われてもよいし、同時に行われてもよい。従って、被加工物20に対して研削作業を行う際に、フレームサブアセンブリ52によって工具アセンブリ17を任意の数の方向に再配向および再配置することができる。更なる実施形態では、ワークヘッドサブアセンブリ54は、第1ワークヘッド10、第2ワークヘッド12および工具アセンブリ17が互いに独立して移動できるように構成されてもよい。一実施形態では、第1ワークヘッド10、第2ワークヘッド12および工具アセンブリ17は、工具(例えば、研削砥石および/またはX線装置)が5軸の移動軸で移動できるように様々なモータを備えてもよく、特に、本明細書で説明する製造工程を容易にするために、その上に設けられる工具の正確かつ柔軟な移動および位置決めを可能にする。一実施形態では、工具アセンブリ17は、工具アセンブリ17の多軸操作を可能にするガントリに取り付けることができる。
【0076】
図1Fは、ケース13内に取り付けられる前述の工具交換システム60を概略的に示す実施形態を示している。前述のように、工具交換システム60は、第1の交換可能工具14および第2の交換可能工具16として自動的に着脱可能な複数の製造工具を収容する。複数の製造工具は、研削砥石、切削液および冷却システム、穴あけ工具、刃先交換式切削工具、フライス工具、ねじ切り工具、回転工具、中ぐり工具、溝入れ工具および測定ツールを含み得る。さらなる実施形態では、フレームサブアセンブリ52は、工具交換システム60内で工具アセンブリ17を位置決めして、第1の交換可能工具14および第2の交換可能工具16に取り付けられた工具の種類を交換することができ、これにより機械100は自動工具交換を行うことができる。工具を自動的に交換する能力により、機械100は、機械のダウンタイムなしに、複雑な多工程の研削および製造作業を完了することができる。
【0077】
例示的な実施形態によれば、第1の研削砥石4は、被加工物20の1つ以上の面42、44(例えば、図12A参照)および/または外周面46(例えば、図7図12A参照)もしくは外周/直径を研削するために使用されてもよく、第2の研削砥石16(例えば、図17参照)は、被加工物20の1つまたは複数の面42、44を研削するために使用されてもよく、各研削砥石は、図1Bに概略的に描かれている。当業者および上記の説明によって理解されるように、研削砥石14、16はそれぞれ、研削エッジを有する概ね円形の形状であってよく、スピンドル8a、8b上に設けられて、例えば、回転モータ(図1Bのモータ402、502を参照)および/または直線移動のための歯車を有するアームまたはトラック6(図1Cに概略的に示される)を介して回転する。本明細書の実施形態によれば、第1の研削砥石14は、その研削エッジが被加工物20の面42、44および/もしくは外周面46に接触するようにまたは接触しないように後退させて、被加工物20に対して相対的に移動するように構成された工具アセンブリ17に取り付けられる。一実施形態では、第1の研削砥石4は、少なくとも被加工物20に向かっておよび被加工物20から離れるように移動させることができる。一実施形態では、図11図17A図17Dおよび図21図25を参照して後述するように、第1の研削砥石14(および/またはその他の機械工具)は、被加工物20の外周面46との係合/係合解除のために、被加工物20が回転可能な軸B-B(例えば、図11の矢印2-3を参照)に対して垂直な軸に沿って、例えば直線的に移動されてもよい。非限定的な一実施形態では、第1の研削砥石14は、C-C軸、例えば、B-B軸に対して角度をなす(すなわち、ゼロでない角度)軸を中心に回転するように構成されてもよい。第1の研削砥石14の研削面114は、被加工物の外周面46と接触するように移動する時、軸C-Cに対して角度をなし、軸B-Bに対して平行に移動する。別の実施形態(例えば、図23参照)では、軸B-BおよびC-Cは平行であり、研削砥石14の端面114は軸C-Cに平行である。
【0078】
これらの図面および本開示の全ての図面に関して、全ての異なる順列、向きおよび配置は、互いに交換可能であることが理解されるべきである。したがって、本開示は、様々な異なる実施形態を開示すると考えられるだけでなく、異なる構成要素および構成を説明する様々な実施形態は、本開示を通して本明細書に記載される文脈によって理解されるように、その他のものと交換可能であることも理解されるべきである。
【0079】
一実施形態では、第1の研削砥石14を用いた被加工物20の縁部/外周面46の研削は、被加工物20が第1ワークヘッド10によってのみ保持(把持)されている間に行われる。別の実施形態では、第1の研削砥石14を用いた被加工物20の外周面46の研削は、被加工物20が第2ワークヘッド12によってのみ保持されている間に行われる。
【0080】
別の実施形態では、図11に示すように、被加工物20の外周面46は、ホルダアセンブリ10および12の両方によって接触された状態で研削されてもよい。いくつかの実施形態では、ホルダアセンブリ(例えば、ワークヘッド10)の一方のみが被加工物20をクランプ(爪で把持)するように機能し、他方は単に被加工物20に接触して把持動作をサポートするだけであってもよい。他の実施形態では、両方ホルダアセンブリが、クランプ爪、真空力またはその両方を使用して、被加工物20を把持する。
【0081】
一実施形態では、第1の研削砥石14および/またはワークヘッドは、その研削のために、被加工物20の面42(または面44)との係合/係合解除のために、互いに対して相対的に再配向または移動され得る(例えば、砥石は、図12Aの線4-5に沿って移動し得る)(図12A参照)。
【0082】
同様に、本明細書の実施形態によれば、第2の研削砥石16(図15図15B図17D参照)は、その研削エッジが被加工物20の面42もしくは44に接触するように、または、接触しないように後退させて、被加工物20に対して相対的に移動するように構成される。一実施形態では、第2の研削砥石16は、被加工物20の面42、44を研削するために、被加工物20に向かって直線的および/または角度をなして移動させることができる。一実施形態では、図1B~1Cに一般的に示され、図15Aおよび図17Dを参照して以下に説明されるように、第2の研削砥石16は、被加工物20の面42および/または44の一方との係合/係合解除のために、例えば、水平軸A-Aに平行な軸に沿って(Z方向に)直線的に移動されてもよい。第2の研削砥石16は、本明細書の実施形態に従って、Y軸に平行な軸(例えば、垂直軸)を中心に回転するように構成されてもよい。これに加えておよび/または代えて、第2の研削砥石16は、本明細書の実施形態に従って、X軸(例えば、水平軸)に平行な軸を中心に回転するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、第2の研削砥石16は、図15Bの軸D-D)を中心に回転するように構成されてもよい。一実施形態において、第2の研削砥石16を用いた被加工物20の面42または44の研削は、被加工物20が第1ワークヘッド10によって保持されている間に行われる。別の実施形態では、被加工物20の面42または44の研削は、被加工物20が第2ワークヘッド12によって保持されている間に行われる。本明細書で後述するように、どちらも被加工物20を形成する方法の一部であってもよい。本明細書の実施形態によれば、第2の研削砥石16は、Y軸を中心に回転するように構成される。
【0083】
図11に概略的に示すような非限定的な一実施形態によれば、第1の研削砥石14は、第3の軸C-Cを中心に回転するように構成されてもよい。本明細書の実施形態によれば、軸C-Cは、X軸(または、図11に示されるB-B軸)および/またはZ軸(または、図12Aに示されるA-A軸)に対してある角度(すなわち、ゼロでない角度)で設けられてもよい。他の実施形態では、被加工物20の外周面46を研削するための1つの回転方向において、軸C-Cは水平軸B-B(またはX軸)に平行であってもよい。一実施形態では、第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12の少なくとも一部(例えば、ダイヤフラム)は、軸C-Cを中心とする回転方向と同じまたは類似の回転方向において、水平軸B-B(またはX軸)を中心とする回転をするように構成されてもよい。図11において、例えば、ホルダアセンブリ10、12の一部分(例えば、ダイヤフラム)は、右に向かって回転する軸B-B(図11の矢印1を参照)を中心に回転してもよく、第1の研削砥石14は、同様に右に向かって回転する軸C-Cを中心に回転してもよい。別の実施形態では、被加工物20を回転させるための軸B-Bを中心とする回転方向は、軸C-Cを中心とする回転方向とは反対である。図11において、例えば、ホルダアセンブリ10、12は、右に向かって回転する軸B-Bを中心に回転され、一方、第1の研削砥石14は、左に向かって回転する軸C-Cを中心に回転してもよい。しかしながら、このような方向(すなわち、反対の回転方向)に、限定することを意図していない。いくつかの実施形態では、ホルダアセンブリ10、12および研削砥石(単数または複数)14、16は、必要に応じて回転方向を変更しながら、ホルダアセンブリ10、12の回転する部分に関して同じ回転方向でそれぞれの軸を中心に回転してもよい。軸B-Bおよび/または軸C-Cを中心とする回転運動は、例えば、外周面46(または面42および/または44)の研削中に同時にまたは周期的に行われてもよい。一実施形態では、図11に示すように、被加工物20の外周面46を研削することは、第1の研削砥石14を一方の回転方向に回転させることと、第1ワークヘッド10および/または第2ワークヘッド12の少なくとも一部を同じ回転方向でかつ平行な軸に沿って回転させることとを含む。
【0084】
一実施形態において、第1ワークヘッド10は、例えば、面42または44の研削中に、図15Aに概略的に示されるような、第2の研削砥石16に対してY軸を中心とする回転移動するように構成される。一実施形態では、第2の研削砥石16は、面42または44を研削するために、被加工物20に対して、Y軸を中心とする回転と当該軸のX方向および/またはZ方向への直線移動とを行うように構成されている。従って、一実施形態において、被加工物20の面42または44を研削することは、第2の研削砥石16を回転させることと、被加工物20の面42または44に対して第2の研削砥石16を少なくとも直線的に移動させることを含む。
【0085】
図1Aおよび図1Bに示すように、実施形態において、機械100に含まれ一体化されたコントローラ18および/またはプロセッサが、少なくとも第1および第2ホルダアセンブリ10、12ならびに少なくとも第1および第2の研削砥石14、16を含むサブコンポーネント、工具および装置の各々を制御するように構成されていることを示している。サブコンポーネント、工具等の動作および/または起動を制御することに加えて、コントローラ18は、それらの動き(例えば、図1Cに描かれているような動きの方向など)を制御するようにも構成されている。機械100はまた、被加工物20の加工および形成中に、第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12に真空力を選択的に加えるための真空システム22(例えば、図1Fを参照)と関連付けられ、一体化されている。真空システム22の作動は、制御装置18を介して制御可能である。一実施形態において、真空システム22は、第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12にそれぞれ真空力を加えるための第1の真空装置および第2の真空装置から構成されてもよい。より具体的には、1つまたは複数の実施形態において、真空装置は吸引を加えることができる真空ポンプ300を備え、これにより、第1および第2ホルダアセンブリ10、12のいずれか一方または両方に加えられる真空力を、被加工物20をそれぞれのワークヘッドに保持または少なくとも一時的に固定するために被加工物20に印加することができ、これは、図2図6および図8図20に示される例示的な方法の工程に関して本明細書で更に説明される。
【0086】
本明細書の実施形態に従って、機械100は、形成中に被加工物20のX線画像を得るために使用されるX線装置28(例えば、図1および図13参照)も備える。実施形態において、X線装置28は、例えば、第1ワークヘッド10によって保持される被加工物20のX線画像を得るために、少なくとも第1ワークヘッド10に対して相対的に移動するように構成される(しかし、例えば、第2ワークヘッドによって保持される被加工物20またはブールのX線画像を得るために使用することもできる)。X線画像を得るために、X線装置28を保持するアーム(単数または複数)52および/または工具アセンブリ17を介して、被加工物20およびワークヘッド10、12またはその両方に対してX線装置28を周期的に相対的に移動させることができる(例えば、例示的な移動については、図1C図1D、および図13を参照)。本明細書の実施形態によれば、コントローラ18は、X線装置28のタイミングおよび移動ならびにX線画像および関連するX線回折データを取得するための動作を制御するように構成され得る。
本明細書の実施形態によれば、得られたX線画像および/またはX線データは、さらなる処理(例えば、仕上げ、機械加工、研削)を被加工物20に対して実行するように、被加工物20を(例えば、第1ワークヘッド10を介して)の向きを決定するべく、コントローラ18によって利用され得る。一実施形態では、第2の研削砥石16を使用して被加工物20の面に研削できるように、第1ワークヘッド1210を移動させることによって被加工物20の面を回転配向させるべく、(例えば、コントローラ/プロセッサ18を使用して)X線画像(複数可)からデータを取得または計算するために得られたX線画像が使用される。より具体的には、本明細書の実施形態によれば、X線データ(例えば、回折データ)が、ブール/被加工物20内の結晶構造/配向を決定するために取得されてもよく、これにより、被加工物20のさらなる機械加工のために、構造に対する適切なまたは所望の補償(複数可)が開始され、実行され得る。非限定的な実施形態では、X線装置28は、回転旋回点または回転機構、横移動機構および/またはその他の位置決め機構のうちの1つ以上を含むように構成することができる。一実施形態では、X線装置28は、少なくとも回転軸(工具アセンブリ17および/またはアーム(単数または複数)の回転矢印を示す図1B~1Dを参照)および直線軸(図13の矢印3を参照)に沿って、後退位置(例えば、図1Bに概略的に示すような位置)から、図13に示すような、ブールまたは被加工物20のドーム側または面の前面のX線撮影を可能にする位置まで移動するように構成される。一つの非限定的な実施形態によれば、撮影前および/または撮影中に、被加工物20の一面(前面)をX線装置28の読取領域、窓または表面へと移動させるおよび整列させるために、図13の例示的な矢印2を介して示されるように、第1ワークヘッド10は(Y軸を中心として)例えば、前後および/または上下に揺動、旋回、または回転させることができる。X線装置18は、例えば、水平軸(B-B軸)に対してある角度(すなわち、ゼロでない角度)で移動して画像を撮影してもよい。一実施形態によれば、X線装置28は、材料(SiC)の結晶構造/配向を特定するためのXRDまたはX線回折ツールの形態で提供されてもよい。一実施形態では、X線装置28は、被加工物20の結晶構造によって入射X線が多方向に回折し、それが任意の位置(好ましくはケース内)の取付構造上に取り付けられたラウエ検出器、CMOS、sCMOSカメラ等の検出器によって検出されて、結晶方位を検出することができる画像またはデータを得る、および/または、別の実施形態では、被加工物20の結晶の構造欠陥を特定することができる結晶構造解析法に使用される。
【0087】
図13では概して、X線装置28が被加工物20に面側から接近するように描かれているが、X線装置28および第1ワークヘッド10のこのような接近および移動は、これに限定することを意図するものではない。
例えば、いくつかの実施形態では、X線装置28は、被加工物20の外径に対して直線的に(すなわち、軸A-Aに平行に、またはZ軸に平行に)移動するように構成されてもよい。
【0088】
図面に描かれているようなX線装置の動きは、これに限定することを意図していない。また、実際には、別の実施形態では、X線装置28は静止していてもよく、一方、本明細書で開示するホルダアセンブリおよび/またはワークヘッド保持装置は、被加工物20から所望のデータを得るために、X線装置28に対して移動、操作および配置されることも理解されるべきである。本明細書では、このような動きの任意の組み合わせも考えられる。
【0089】
本明細書の実施形態に従った、第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12の例示的な部品に関する更なる詳細を、図2図6に示す。一実施形態において、第1ワークヘッド10は、第1被加工物保持装置またはアセンブリ34を有する。第1の被加工物保持装置34は、第1真空プレート30と、クランプ機構38とを備える。真空プレート30は、一実施形態では、弾力性のある被加工物係合面20aを有し、それを貫通する溝または通路を有するプレートまたは構造の形態でありうる。この第1真空プレート30は、被加工物20が真空プレート30に対して位置決めされると、被加工物20を保持するために真空力を加える真空システム22(またはその真空装置)の一部として使用するように構成される。特に、図1Fおよび図4に示されるように、第1ワークヘッド10は、真空ポンプ300と真空プレート30とを接続する真空チャネル35(後述するアクチュエータアーム40を通って延びる)を含む。真空システム22の真空ポンプ300は、真空ライン303を介してヘッド内の真空チャネルと連絡している。一実施形態では、真空ポンプ300は、ケース13の外側に配置されてもよいが、別の実施形態では、ケース13の内側に配置されてもよい。更に、図示の実施形態では、単一の真空ポンプ300が図示されているが、複数の真空ポンプ300を採用することができることが理解されるべきである。図3図6を参照して以下に示され説明されるような実施形態では、第1真空プレート30は、後退位置と伸長位置との間を移動するように構成される。同様に、実施形態において、第2ワークヘッド12は、第2の被加工物保持装置36を有する。第2の被加工物保持装置36は、第2真空プレート32を有する。この第2真空プレート32は、被加工物20が真空プレート32に対して位置決めされると、被加工物20を保持するための真空力を被加工物に印加するべく、真空システム22(またはその真空装置)と共に使用するように構成されている。特に、第2ワークヘッド12は、真空プレート32へと向かい(それぞれのアクチュエータを通って延びる)真空プレート32と連通する真空チャネルのような流路35も有する。一実施形態では、第2真空プレート32は、後退位置と伸長位置との間を移動するように構成されている。従って、形成および加工のために被加工物20を装填することは、被加工物20を第1ワークヘッド10の第1の被加工物保持装置34に配置(ロード)することを含み、真空システム22を介して真空力が印加されて被加工物20を保持することであってもよい。同様の方法で、例えば、形成方法の間、被加工物20は、第1ワークヘッド10から第2ワークヘッド12に移送され、真空システム22を介して印加される真空力を介して第2真空プレート32に対して保持されてもよい。
【0090】
本明細書では、「プレート」という用語が真空プレートに関連して使用されているが、この用語の使用は、その構造が一実施形態では平坦なものであることができるため、便宜上使用されているに過ぎないことは明らかである。しかしながら、本明細書で使用される「プレート」という用語は、平坦である必要はなく、厚みを有する不規則な形状を有し得る。真空プレートは、本質的に、被加工物または部品に係合または接触する構造にすぎない。それは、一実施形態では、被加工物の形状に適合するように適合性を有してもよく、被加工物に真空力を加えることができるように、複数の穴または孔を有することができる。
【0091】
当業者には明らかであるように、真空プレート30、32のはそれぞれ、機械加工/形成される被加工物20のタイプに基づいて形成されてもよい。一実施形態では、真空プレート30、32のいずれか一方または両方は、それぞれのプレートに対して配置される面(例えば、面42または面44)の形状に適合する弾性コンプライアンス(または弾力性)を提供する可撓性または弾力性のある中央部分を有してもよい。このようなプレートは、形成される被加工物20のタイプに基づいて切り替えられてもよい。一実施形態では、真空プレート30、32のいずれか一方または両方は、(作動時に)被加工物20に真空を提供するのを補助する溝または穴を有してもよい。図2Bに示すように、非限定的な実施形態では、複数の分配通路32aは、真空プレート30、32の両方を通って延在してもよい(図2B図3A図4では、例えば、理解の便宜上、両方の真空プレートの番号が示されているが、これらは、図2Aに示されるように、実際には別個に設けられることを理解されたい)。複数の分配通路32aの各々は、真空導管35および真空ライン303を介して真空供給部(真空ポンプ300)と流体連通している。従って、研削および画像形成工程中の被加工物の固定および搬送のために、真空プレート30、32は有利に真空力を分配することができる。
【0092】
一実施形態によれば、真空プレート30、32は、鋼またはアルミニウム等の金属材料で形成されてもよく、外面シールとしてウレタン等の可撓性材料を含んでもよい。一実施形態では、真空プレート30、32の可撓性中央部分は、被加工物20/ブールの面の不均一な表面に形状適合するように、ウレタン等の材料から形成されてもよい。
【0093】
一実施形態では、第1の被加工物保持装置34および第2の被加工物保持装置36はそれぞれ、図3Aに示すようなクランプ機構38、すなわちダイヤフラムまたはダイヤフラムチャックを含む。装置34、36のクランプ機構38は、任意の数、例えば6個のクランプ用チャック爪37を有してもよい。一実施形態では、クランプ機構38は、第1真空プレート30または第2真空プレート32を把持しない開位置(例えば、図3Aおよび図3B参照)と把持する閉位置(または把持位置;例えば、図4参照)との間を移動するように構成されている。図3Bは、第1真空プレート30または第2真空プレート32の把持解除直後の複数のチャック爪を示す。
【0094】
一実施形態では、第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12はそれぞれ、図26に示すように、スピンドル70、空気圧二重シリンダ71、内側引張棒72および外側引張棒73を備える。スピンドル70は、ホルダアセンブリ34、36と空気圧二重シリンダ71との間に接続され、研削作業中にホルダアセンブリを回転させることができる。空気圧二重シリンダ71は、一対の引張棒72、73を同軸構成にしながら独立して作動させることを可能にする起動装置である。すなわち、内側の引張棒72は外側の引張棒73に内包されており、空気圧二重シリンダ71は、外側の引張棒73の第1の方向への出し入れを妨げることなく、内側の引張棒72を第1の方向に選択的に出し入れすることができるようになっている。内側引張棒72が空気圧二重シリンダ71とアクチュエータアーム40との間に接続されるように、内側引張棒72と外側引張棒73はスピンドル70内に延在する。一実施形態では、内側引張棒72は、真空が真空プレート30、32に供給される導管として機能する。外側引張棒3は、空気圧二重シリンダ71とキャップ41との間に接続され、本明細書で説明するように、外側引張棒73の変位によってクランプ機構38の爪73が開いたり閉じたりするようにしてもよい。さらなる実施形態では、スピンドルアダプタ75がスピンドル70とシリンダアダプタ76の間に接続されるように、スピンドルアダプタ75およびシリンダアダプタ76をスピンドル70と空気圧二重シリンダ71との間に接続してもよい。同様に、シリンダアダプタを空気圧二重シリンダ71とスピンドルアダプタ75の間に接続してもよい。
【0095】
把持および把持の開放を開始する時、外側引張棒73は空気圧二重シリンダ71によって引き込まれるまたは延出される。外側引張棒73は、作動している空気圧シリンダとクランプ機構38との間の物理的接続を提供する。外側引張棒73を介して加えられる力(例えば、押す力P1または引く力P2)に基づいて、クランプ機構またはダイヤフラム38は爪37の薄肉部37aによってわずかに撓み、それによってそのチャック爪37を被加工物20に対して開いたり閉じたりさせることができる。一実施形態では、爪37は通常開いており、そこに加えられる力によって撓みが生じて閉じる。別の実施形態では、爪37は通常閉じており、力が加わると撓んで開く。
【0096】
図3Aは、このような把持および把持開放を開始するために、ワークヘッドの一部として提供され得る例示的な部品を示している。ダイヤフラム38のキャップ41は引張棒に接続され、爪37およびダイヤフラム38を作動させてチャック爪を開閉させる手段を提供することができる。キャップ41に隣接して(図3Aの図ではキャップ41の下方に示されている)、クランプ機構またはダイヤフラム38を固定するためのベースを提供するダイヤフラムチャックの本体43が設けられている。この本体43は、ダイヤフラムチャックをワークヘッド10、12のワークヘッドスピンドル70に固定するためのスピンドルアダプタプレート45に接続することができる。一実施形態では、スピンドルアダプタプレート45は、例えば、半径方向の振れが最小値となるように調整するべく、スピンドル70上でのダイヤフラムチャック38のセンタリングを可能にするセンタリング機構(例えば、攪拌ねじなど)を備えてもよい。本体43およびスピンドルアダプタプレート45は、それぞれの駆動機構(25Aまたは25B)の電動モータによって回転するように構成され、それにより必要に応じてダイヤフラム38および被加工物20を回転させる(本明細書において後述する、例えば図14参照)。更に、本明細書の実施形態によれば、爪37の枢動およびダイヤフラム38の作動を可能にするために、ダイヤフラム38の底部と本体43の上部との間にクリアランス47(図14参照)を設けてもよい。
【0097】
一実施形態において、第1真空プレート30および第2真空プレート32はそれぞれ、クランプ機構38に対して後退位置(例えば、図5A参照)と伸長位置(例えば、図3A参照)との間を移動するように構成され、それにより、被加工物20をクランプ機構38に対して後退および突出した位置に配置させる。特に、図3Aおよび図3Bでは、ダイヤフラム/クランプ機構38が開位置にある(すなわち、爪37が真空プレートから離れている)伸長位置にある真空プレート30、32の例を示す。図4は、ダイヤフラム/クランプ機構38が閉位置にある(すなわち、爪37が真空プレートに接触し、真空プレートの周囲に把持され、爪がブール外周21から離れ、外周研削のために完全に露出した状態になる一方、ブールへの強制力は本明細書で説明するように、真空および/または対向ホルダへの圧縮力によってのみ加えられる)伸長位置にある真空プレート30、32の例を示す。図5および図5Bは、ダイヤフラム/クランプ機構38が開位置にあり(すなわち、爪が被加工物20から離れているため、ブールがホルダおよびその爪37によって完全に把持され、本明細書でも説明されるような完全な研削が可能になる)、後退位置にある真空プレート30、32の例を示している。図5Bは、第1真空プレート30または第2真空プレート32による把持を解除した直後のチャック爪を示している。引張棒は、ダイヤフラム38に押し付け力P1を加えるように構成されており、その結果、矢印O1で示されるように、チャック爪が被加工物20またはブールに対して外側に撓み、爪の開放(デクランプ)が行われる。図6は、ダイヤフラム/クランプ機構38が閉位置にある(すなわち、爪が被加工物20の外径に接触して閉じているまたは被加工物20の外周を把持している)、後退位置にある真空プレート30、32の例を示している。引張棒は、ダイヤフラム38に引張り力P2を加え、チャック爪37を旋回させ、その結果、矢印O2で示すように、爪37のクランプ面37aを被加工物20またはブールに対して径方向内側に移動させ、その結果、爪を閉じる(クランプする)ように構成されている。
【0098】
真空プレート30、32をそれぞれのクランプ機構38に対して移動させるために、実施形態に従って、ワークヘッド10、12は、それぞれの真空プレート30、32に接続されるアーム(全体を通して「アクチュエータアーム」とも記す)の形態のアクチュエータ40を更に備え得る。例示的な実施形態において、例えば、真空プレート30、32は、それぞれのアクチュエータアーム40に固定またはボルト止めされてもよい。ワークヘッド10、12のアクチュエータ40は、それぞれの真空プレート30、32およびそれに取り付けられた被加工物20を、後退位置と伸長位置との間で選択的に移動させるように構成されている。アクチュエータアーム40は、ダイヤフラム38に関連するキャップ41内において、キャップ41に対して移動可能である。当業者に理解されるように、アクチュエータ40のアームは、例えば、モータ(電気モータであってもよく、任意にそれぞれのワークヘッド10、12の駆動機構の一部であってもよい)を介して可動であってもい。クランプ機構またはダイヤフラム38に対するアクチュエータ40、ひいては真空プレート30、32の移動方向は、ワークヘッド10およびその位置(例えば、A-A軸またはB-B軸に沿って配置される)に依存する。
【0099】
上記の説明により理解できるように、本明細書における機械100は、被加工物20を形成するための方法を実行するように構成されている。以下に説明するように、この方法は、例えば、被加工物20を第1ワークヘッド10上に載置することと、被加工物20が第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12の両方に接触するように被加工物20を第2ワークヘッド12に対して相対的に位置決めすることと、第1の研削砥石14を用いて第1ワークヘッド10および第2ワークヘッド12に接触する被加工物20の外周面46を研削することと、第2の研削砥石16を用いて被加工物20の面42、44を研削することと、被加工物20を取り外すことと、を含む。より具体的には、図8図20は、図1Aの機械100を使用して被加工物20を形成するための例示的な(および必要に応じて行われる)複数の工程を示す。
【0100】
図8に示されるように、実施形態に従って、矢印A1で表されるように、被加工物20は、最初に第1ワークヘッド10ホルダアセンブリ34上に載置(ロード)されてもよい。例えば、オペレータは、被加工物20のシード面42を第1ワークヘッド10の真空プレート30に対して手動で保持することができる。従って、ドーム側または面44は、第1真空プレート30から外向きに離れるように位置決めされる。図8に示される被加工物のロード位置では、第1ワークヘッド10はA-A軸(またはZ軸)に沿って配置され、真空が第1真空プレート30に印加されて第1真空プレート30が伸長位置になり、必要に応じてクランプ機構38は第1真空プレート30の周りを把持する。また被加工物のロード位置では、第2ワークヘッド12は、軸B-B(またはX軸)に沿って配置され、第2ワークヘッド12への真空はオフであり、第2真空プレート32は伸長位置にあり、必要に応じてクランプ機構38は第2真空プレート32の周りを把持位置で把持する。
【0101】
図9は、開示された方法における第2の工程を示す。第1ワークヘッド10は、(軸A-Aに沿って)ロード位置または水平位置から第2の水平位置まで、Y軸を中心に(矢印A2で表されるように)回転される。図9では上面図が示されているが、第1ワークヘッド10は、第2ワークヘッド12に向かって水平に回転されることが理解されるべきである。回転後、第1ワークヘッド10は、B-B(またはX)軸に沿って水平に移動され、および/または、第2ワークヘッド12は、被加工物20に向かって同じ軸(矢印A3参照)を中心に水平に移動される。従って、第2ワークヘッド12は、図10に示すように、被加工物20のドーム面44に圧力を加え、被加工物20を2つホルダアセンブリ10、12の間に保持または固定することができる。
【0102】
一実施形態では、真空力のみ、および/またはブールに加えられる圧力のみでも、クランプ機構38の爪37を利用することなくブール20を固定するのに十分である。一実施形態にでは、一旦固定されると、図11に示されるような研削作業を容易にするために、第1ホルダ34および第2のホルダ36が回転される。一実施形態に従って、第1ダイヤフラムホルダ34および第2ダイヤフラムホルダ36は、第2の軸(B-B軸)を中心に第1の方向に回転される。第1の研削砥石14は、第1ワークヘッド10と第2ワークヘッド12との間に保持されている被加工物20の外周面46に接触するように移動される。第1の研削砥石14は、軸C-Cを中心とする回転によって、被加工物20の外周面46に粗研削を施すことができる。一実施形態では、第1の研削砥石14は、軸B-Bに平行な軸C-Cを中心に回転する。従って、図11は、第1ワークヘッド10と第2ワークヘッド12の両方が研削の構成となっている工程を示している。この構成では、第1真空プレート30への真空はオンであり、第2真空プレート32への真空はオフであり、第1真空プレート30と第2真空プレート32の両方が伸長位置にある。更に、第1のダイヤフラム38と第2のダイヤフラム38の両方が、それぞれの真空プレートの周囲に把持されていてもよい。被加工物20の外周面46を研削した後、第1の研削砥石14は、被加工物20から離れる方向、例えば、Z軸に平行な水平方向への直線移動するように構成される。実施形態において、第1の研削砥石14はモータ402によって回転されるスピンドル8a上に設けられ、第1の研削砥石14はモータシステム4によって、Z軸に平行な水平方向で、被加工物20に向かっておよび被加工物20から離れる方向に直線移動するように構成される。
【0103】
図12Aは、実施形態に係る、被加工物20の(例えば、ドーム側である)第2の面44のドーム側を研削するための任意の研削作業を示す。図12Aに示す作業は、実施形態に従って、例えば、X線装置28の使用前に実施されてもよいが、方法またはプロセスにおいて実施されるタイミングに関しては限定されない。この作業は、例えば、ドーム面が(例えば、検査、目視または工具を介して)十分にクリーンでないと判断され、第1のX線測定前にドーム面の多少の研削を更に行う必要がある場合に実行されてもよい。しかし、この研削作業は、このような要件に限定されるものではなく、所望に応じて実行することができる。必要に応じて行われる本工程において、被加工物20の面44の少なくとも一部の研削作業は、(必要に応じて)X軸に沿って(矢印1を参照)直線的に、第1ワークヘッド10によって保持されている被加工物20から離れるように第2ワークヘッド12を引き出し、矢印2によって示されるように、第1ワークヘッド10を、第2の水平位置(軸B-Bに沿って第2ワークヘッド12と一直線上にある)から軸A-Aに沿ってそのロード位置または水平位置までY軸を中心に回転させることを介して行われ得る。図では上面図が示されているが、第1ワークヘッド10は第2ワークヘッド12から離れるように水平に回転していることを理解されたい。図12Aに示されるように、第1の研削砥石14は、第1ワークヘッド10によって保持される被加工物20の面44に接触するように、例えば、矢印4-5で示されるように、少なくとも直線的に所定の位置に移動され得る。研削作業を実施するために、被加工物ホルダアセンブリ34のダイヤフラム38は、矢印3で表されるように軸A-Aを中心に回転する。一実施形態によれば、ダイヤフラム38は軸A-Aを中心として第1の方向に回転する。本明細書における非限定的な実施形態によれば、第1の研削砥石14は、第1の方向とは反対の第2の方向にC-Cを中心として回転してもよい。第1の研削砥石14はまた、被加工物20の面44へと移動して接触を維持するために、A-Aに沿った直線移動(矢印4-5あたり)と共に、その回転中に矢印9によって示されるように軸C-Cに沿って直線移動するように構成されてもよい。このようにして、第1の研削砥石14により、被加工物20の面44に粗い研削をすることができる。一実施形態では、第1の研削砥石14は、軸B-Bに平行な軸C-Cを中心に回転される。被加工物20の面44を研削した後、第1の研削砥石14は、例えば、A-A軸またはZ軸に平行な水平方向への少なくとも直線移動を介して、被加工物20から離れるように移動するように構成され、第1ワークヘッド10はそれと整列するように第2ワークヘッド12に向かってY軸を中心に回転して元の位置に戻されてもよい。
【0104】
しかしながら、先に述べたように、図12Aに示された工程は任意であり、X線の前に実施する必要はない。更に、ホルダアセンブリおよび/または研削砥石は、必要に応じてまたは所望に応じて、枢動/旋回を含む更なる動きができるように構成されてもよい。
【0105】
第1の被加工物ホルダアセンブリ34と第2の被加工物ホルダアセンブリ36は、構造的クランプ(例えば、爪37を介して)と真空クランプ(例えば、関連する真空プレートと関連する真空ラインとポンプを介して)の両方の組み合わせを提供することが理解されるべきである。この構造的クランプと真空クランプの組み合わせは、自動車、航空宇宙および工具産業で使用される不規則な形状の金属部品等、様々なタイプ、材料および形状の被加工物を扱うための多くの異なる用途に適している。
【0106】
図13は、本明細書の実施形態に従った、本明細書に開示される機械加工プロセスの更なる工程を示す。非限定的な一実施形態では、被加工物20の縁/外周面を研削した後、被加工物20の面を研削する前に、X線装置28を利用することができる。他の実施形態では、被加工物20の部分の読み取り値を提供するために、プロセス中の任意のタイミングで行われる1回または複数回のステップとしてX線装置28を利用することができる。図13において、第2ワークヘッド12は、第1ワークヘッド10によって保持されている被加工物20から離れるように(図13の矢印1を参照)、任意に直線的に後退させてもよい。X線装置28は、被加工物20に向かって移動するように構成されている。X線装置28は、例えば、被加工物20の表面/面44に向かって直線的に(矢印3を参照)移動させることができ、および/または、関連する機構を介して必要に応じて回転または旋回させることができる。必要に応じて、前述のように、非限定的な一実施形態によれば、X線装置28の使用前および/または使用中に、被加工物20の(前)面をその読取領域、窓または表面と位置合わせするために、第1ワークヘッド10をX線装置28に向かってY軸を中心に回動、旋回または回転させることができる(図13の矢印2参照)。このように、実施形態に従って、X線装置28は被加工物20の少なくともドーム面44のX線画像を得るように構成されている。実施形態では、X線装置28は、被加工物20の任意の表面(例えば、面42、44および/または表面46)のX線画像を得るように構成される。X線装置によって得られた画像は、(例えば、コンピュータ、データ処理装置等を含むコントローラ18を介して)、プロセス/方法においてここまでの被加工物20の構造的特徴(例えば、結晶構造/配向に対応するデータ)を特定するために使用される。このような画像および決定/計算されたデータにより、更なる処理を行うべく、被加工物20の明確化および配向が可能になる。例えば、当該技術分野において理解されるように、被加工物20(ブール)の結晶格子は、通常、被加工物20の表面(単数または複数)/少なくとも面44上の懸念事項および/または欠陥を修正するために、特定の配向にある必要がある。図14の例示的実施形態に関して示されるように、次の工程のために被加工物20の所望の配向を達成するべく、本明細書の実施形態に従って得られたX線(複数可)およびデータの結果として、第1ワークヘッド10の第1ダイヤフラム38を回転させてもよい(例えば、軸B-Bの中および軸B-Bの周りに配置される場合;図14の矢印1を参照)。図14において、被加工物20(従って第1の真空プレート30)は後退位置にある。すなわち、図3および図13に示すように、被加工物20を回転させるために、第1の真空プレート30は、伸長位置から後退位置へと移動する。本体43およびスピンドルアダプタプレート45、ひいてはダイヤフラム38および被加工物20は、ワークヘッド10の駆動機構25Aのワークヘッドスピンドル70および電動モータを介して回転させることができる。
【0107】
図15Aは、本明細書における実施形態に従って、被加工物20に第2の研削砥石16を使用する例を示している。被加工物20は、真空がオンの状態で第1ワークヘッド10によって保持され、第1真空プレート30は後退位置に維持され、第1のダイヤフラム38は少なくとも第1真空プレート30についてのクランプ位置に残っている。場合によっては、ダイヤフラム38のチャック爪が被加工物20の外周面/縁部を把持してもよい。第2の研削砥石16は、被加工物20の面44に接触するように移動する。第1ワークヘッド10は、第2の研削砥石16に対して面44を研削するために、水平方向、直線方向、旋回方向、および/または回転方向に移動する。例えば、第1ワークヘッド10の回転運動は、X軸自体を中心に回転すること、および/または、被加工物20の面44を前後および/または上下に、例えば、第2の研削砥石16に対して相対的に旋回させるために、X軸に対してある角度(例えば、一例が図15Aにおいて矢印1で示されている)で旋回(回転)することを含み得る。第2の研削砥石16は、回転的および直線的に移動するように構成されている。特に、第2の研削砥石16は、Y軸を中心に回転する、Y軸を中心に直線的に移動する、および/または、A-A軸に平行に(またはZ軸に沿って)横方向に移動するように構成される。図15Bは、上述のもの形態に代わる変形例を示している。研削砥石の回転軸の向きが異なり、垂直(Y軸に平行)ではなく水平(X軸、またはZ軸に平行)である。研削砥石16の円周面ではなく側縁が被加工物20の面44を研削するために使用されているため、研削工程が異なる。この側縁砥石は、カップ砥石として設計することができる。図15Bの変形例では、通常、研削砥石16の垂直方向の位置決めは必要ない(図15BのYに平行な垂直方向の矢印2を参照)。
【0108】
本明細書の実施形態によれば、上述した図15Aに示す例示的な作業の前に、X線装置28によって得られたX線を介して得られたデータ(プロセッサ/コントローラ18を用いた処理を介して決定、計算、収集等されたものを含む)に基づいて、例えば、被加工物20のドーム面44を位置決めするために、第1ワークヘッド10を、研削のための固定位置に対して軸に沿って特定の向きおよび/または位置に位置決めしてもよい。すなわち、データは、図15Aの研削作業の前および/または研削作業中に、第1ワークヘッド10を介して被加工物20の結晶構造/格子を特定の位置および/または向きに位置決めするために利用されてもよい。第1ワークヘッド10は、図15Aのような研削作業中に、例えば、回転/旋回可能に構成することもできる。
【0109】
図16に示すように、実施形態に従って、被加工物20は第1ワークヘッド10から第2ワークヘッド12に移送されてもよい。非限定的な実施形態によれば、図16の操作は、被加工物20の面44の研削後に実行されてもよく、すなわち、被加工物20は第2の研削砥石16の使用後に第2ワークヘッド12へと移送されてもよい。しかしながら、研削砥石16が利用されない場合、図16の移送は、図13に示されるようなX線装置28の使用後および/または図14に示されるような補正の後に行われてもよい。具体的には、必要に応じて、第1ワークヘッド10をX軸またはB-B軸に沿って第2ワークヘッド12に向かって移動させてもよく、あるいは、第2ワークヘッド12を第1ワークヘッド10に向かって移動させてもよい。第1ワークヘッド10は、第1ワークヘッド10に印加される真空を停止し、第1の真空プレート30を伸長位置に配置させることにより、被加工物20を第2ワークヘッド12に移送またはハンドオフするように構成される。第2ワークヘッド12は、第2の真空プレート32が伸長位置に配置された状態で、被加工物20に真空を印加する。第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムは、それぞれの真空プレートに対してクランプした位置のままである。
【0110】
任意に、図17A図17Bおよび/または図17Cに示されるような実施形態に従って、第2のおよび/または他の研削故上地(複数可)が、被加工物20の外周面46に対して実行されてもよい。実施形態において、図17A図17Bおよび/または図17Cに示される工程のいずれかが、図16に示される操作または工程の後に実行されてもよい。実施形態において、図17A図17Bおよび/または図17Cに示される工程のいずれかは、図11図12および/または図15に示される操作または工程に加えて、図11図12および/または図15に示される操作または工程の後または前に実行されてもよい。例えば、図17Aに関して、第1ワークヘッド10は、第2ワークヘッド12から離れる方向に移動してもよい。図示されるように、第1の研削砥石14は、第2ワークヘッド12によって保持されている被加工物20の外周面46に接触するように(矢印で示されるように、Z軸に対して相対的にまたは平行に)移動されてもよい。図11に関して上記で同様に説明したように、例えば、この工程では、軸B-B(図17aの矢印1参照)を中心に第2ワークヘッド12を回転させることにより、被加工物上の外周面46の研削を仕上げるために研削を行うことができる。図17Bは、被加工物20に対する第1の研削砥石14の相対的な回転の一例と、(先に説明したX軸と同様にZ軸(図17Bの矢印2参照)の両方における)直線移動を示している。一実施形態では、第1の研削砥石14は、被加工物20の外周面46を実質的に平坦になるように研削するように構成され得る。別の実施形態では、(例えば、顧客の要求に応じて、特定の位置に)被加工物20の外周面46内に切り欠きを形成するように、第2の研削砥石16または別の装置が被加工物20の外周面46を研削または加工するように直線移動するように構成されてもよい。図17Dは、例えば、例示的なノッチ砥石を用いて、第2ワークヘッド12によって保持されている被加工物20の外周面46に1つ以上のノッチを刻むべく、被加工物20に関する相対的な直線移動の一例を示す。このようなノッチ砥石は、例えば、先に説明したように、研削砥石14および/または16のように移動および回転するように構成してもよい。すなわち、ノッチ砥石は、ワークヘッド/被加工物20と選択的に係合するために、ワークヘッド/被加工物20に対して直線的に移動するように構成され、例えば、アームを介して移動し、モータを介してスピンドルまたはシャフトを中心に回転するように作動する工具であってもよい。ノッチ砥石は、非限定的な実施形態によれば、外周面46にノッチ(1つまたは複数)を付与するために被加工物20と選択的に係合するべくX軸およびZ軸に沿って直線的に移動し、その動作中に(例えば、被加工物20に対して前後に)Y軸を中心に回転可能である。無論、図17A図17Dに示される操作のいずれもが、被加工物20が第1ワークヘッド10によって保持される時に実行されてもよく、必ずしも第2ワークヘッド12によって保持されることに限定されないことを理解されたい。
【0111】
また、必要に応じて、図18Aに示すように第1の研削砥石14は、(再び)被加工物20の面を研削するために使用されてもよい。この場合、被加工物20のドーム面44が第2真空プレート32に対して位置決めされるように被加工物20が第2ワークヘッド12へと移送されたことにより、シード面42が露出して外側に配置される。このように、被加工物20のシード面42を研削できる。別の実施形態では、図18Bに示すように、シード面42を研削するために、代わりに第2の研削砥石16を使用してもよい。
【0112】
第2ワークヘッド12は、一実施形態に従って、被加工物20を(任意に)第1ワークヘッド10に移送または引き渡して被加工物を戻してもよい。一実施形態において、第2ワークヘッド12によって保持されている時に被加工物20に対するいずれかおよび/または全ての研削加工(例えば、図17A図17B図17C図17D、および/または図18に示される)が完了した後に、引き渡しが実行されてもよい。図19に示すように、ワークヘッド10、12の真空プレート30、32を伸長させ、第2ワークヘッド12の真空をオフにし第1ワークヘッド10の真空をオンにすることにより、被加工物20をまず第1ワークヘッド10に移動(図19の矢印1参照)させることができる。その後、図20に示すように、第1ワークヘッド10を元の位置またはロード位置に戻すことができる。具体的には、第1ワークヘッド10を、Y軸を中心に水平方向に回転させて(図20の矢印1参照)、ロード位置、すなわち、第1ワークヘッド10が軸A-Aに沿って整列するようにする。その後、第1ワークヘッド10に対する真空をオフにし、真空プレート30は伸長位置に配置されたままにする。オペレータは、真空がオフされると同時にまたは真空がオフされた後に、被加工物20を取り外すことができる。
【0113】
あるいは、実施形態では、全ての研削作業が行われた後、被加工物20を第2ワークヘッド12から取り外す(アンロードする)こともできる。
【0114】
前述のように、本明細書に開示される機械100の部品および構成要素の動作は、コントローラ18および/またはプロセッサによって調整されてもよく、コントローラは、構成要素各々と双方向通信し、方法および機械100に関して本明細書に記載されるような動作および工程を実行するための命令を含むデータをその間に送信し、記載された機能性を提供するためにそれらの動作を調整するように構成される。コントローラ18は、例えば、1つまたは複数のプロセッサまたはコンピュータによって構成されてもよい(例えば、図1Aのコンピュータ11を参照)。コントローラ18は、CNCコントローラであってもよい。コントローラ18を介して制御される機械部分には、例えば、第1および第2ホルダアセンブリ10、12、第1および第2の研削砥石14、16、真空システム22、X線装置28、並びに、ホルダアセンブリのダイヤフラム38(または爪)、アクチュエータアーム40、フレームサブアセンブリ52およびワークヘッドサブアセンブリ54が含まれ、先に説明した動きだけでなく、それらの機能的動作も含まれる。コントローラ18は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアの何らかの組み合わせ、複数の環境センサまたは処理能力を構成するためのその他の機構により、構成要素10、12、14、16、22、28、38、52、54および/または40の動作を指示するように構成され得る。また、本開示の目的上、コントローラ(例えば、コントローラ18)という用語は、単一のプロセッサ、または必要な機能を提供するために一緒に動作する複数のプロセッサを構成し得ることを理解されたい。本開示に従って、X線装置28もしくは本明細書に開示される他の構成要素が動作を起こすかまたは動作を起こすように「指示」される場合、そのような動作は、コントローラ18によって制御され得ることを理解されたい。
【0115】
本開示におけるいくつかの実施形態では、第1の研削砥石14は粗研削に使用され、砥石の回転軸に平行に(そしてそれを取り囲むように)延在する円筒状の研削面を有する。一方、第2の研削砥石16はブール表面の元来のドーム状側面の表面修正に使用され、角度のついた研削面(例えば、回転軸に対して55度または65度)を有する。
【0116】
作業を開始するために、真空システム22によって、ポンプ300、ライン303、開口部35を介して、真空が第1の被加工物保持装置34に印加される。
【0117】
ブール20の平らな面(シード面)を手動またはロボットにより第1の真空プレート30に接触させ、その後、真空システム22による真空力の印加によって所定の位置に保持することができる。
【0118】
次いで、モータ204は、第1ホルダアセンブリ34が第2ワークヘッド12に面するように軸A-Aを軸C2(またはB-B)と整列させるべく、第1ワークヘッド10を軸C1を中心に回転させる。
【0119】
モータ304は、第2ホルダアセンブリ36が第1のホルダ阿泉風呂34に向かって移動するように、第2ワークヘッド12をZ2方向に沿って(軸B-Bに沿って)直線的に移動させる。一方、ブール20は第1の真空プレート30に真空吸着される(この時点でブール20をクランプするために爪37は使用しない)。
【0120】
第2ホルダアセンブリ36は、その真空プレートがブール20の湾曲した、ドーム状のまたは不規則な形状の側面に係合するように移動する。一実施形態では、第2ワークヘッド12の真空プレート32は、ブール20のドーム状表面の形状に対応し適合するのに十分な厚みと弾力性を有し、その間の表面積接触が対応する形状によって増加する。従って、ドーム側に対して真空プレート32を移動させることによって加えられる接触力(真空を必要としない)は、ブール20のシード側で真空プレート30によって加えられる真空力と組み合わされて、ブールをその間に固定する。別の実施形態では、真空プレート32を介してドーム側にも真空力が加えられる。一実施形態では、ホルダアセンブリ34と36のいずれの爪37も係合せず、代わりに、真空力および/または圧縮力のみが、ホルダアセンブリ34と36の間に挟まれたブール20の対向する側面に加えられる。爪37が係合していないため、外周面21全体が露出し、研削砥石14または16による研削が容易となる。
【0121】
次に、ホルダアセンブリ34および36は、それぞれの回転モータ202および302によって共に一体に回転させられ、ブール20の周縁部21が研削砥石14または16のいずれかによって研削されることを可能にする(おそらく最も典型的には、この時点では、周縁部の粗研削作業を容易にするために第1の研削砥石14が使用されるが、この時点でより細かい研削が所望される場合を除く)。
【0122】
ブール20の対向面(シードとドーム)表面に加えられる真空力および/または圧縮力は、研削作業中のホルダアセンブリ34または36に対するブール20の相対的な回転およびぐらつきを実質的に抑制または防止および/またはるのに十分であり、これらの力が印加されない場合にはブールは回転しやすい。
【0123】
ブールの外周面が概ね円筒形となるようにブールの外周が研削された後、真空システム22によって第2真空プレート32に加えられていた真空力は停止され、一方、第1の真空プレート30には真空力が加えられ続け、次いで、第2ホルダアセンブリ36は、リニアモータ304によって第1ホルダアセンブリ34から離れるように移動される。
【0124】
次いで、ブール20の研削されたドーム面が平坦(平面)となりツールアセンブリ17に向かう方向を向くように、モータ204により軸C1を中心に第1ワークヘッド10を回転させる。
【0125】
その後、第1ホルダアセンブリ34の爪37は、ブール20の外周面21の周囲に係合するように内側に移動する。
【0126】
工具アセンブリ17上の研削砥石、例えば、周面21を研削するために使用されたのと同じ研削砥石14または16が、次に、ブール20のドーム状または不規則な形状の面に向かって移動され、ドーム状の面を平らにして、シード面(または面)に対して実質的に平行になるように研削操作を行う。
【0127】
次いで、工具アセンブリ17は移動され、X線装置28が、リニアモータ6(直線軸に沿って)および回転モータ6a(矢印B1周りの回転を参照)によって、新たに研削されたドーム状表面(これは今や平坦である)に面し近接する。
【0128】
工具アセンブリ17は必要に応じてモータ6および/または6aを作動させて、X線装置28をブール20の平坦な研削面表面に向けて移動させ、ブール内の結晶方位を決定する。
【0129】
X線装置はX線データをコンピュータシステム18に供給し、コンピュータシステム18はブールの研削された表面に対する結晶の方位を決定する。
【0130】
X線データにより、研削面が結晶方位に関して正しく配向していないと判断された場合(例えば、研削された平坦面に対して垂直な中心軸に対して結晶構造が約4度の角度で配向していることが一般的に好ましい)、ブール20のドーム側を更に研削する表面修正工程が行われる。
【0131】
ブール20自体は特定の結晶方位で成長し、多くの場合、意図された電気的特性または機械的特性のために特定の軸に沿って整列される。半導体ウェハの結晶方位とは、幾何学的平面に対する結晶格子の配列を指し、通常、ミラー指数(例えば、(100)、(110)、(111))で示される。結晶方位は、ウェハの電気的特性および機械的特性に影響を与え得る。例えば、異なる配向性は電子移動度に影響を与える可能性があり、これは高速トランジスタやLEDなどの一部の用途にとって重要な場合がある。
【0132】
図30図32に示すように、インゴットまたはブールが成長後、「アイスホッケーのパック」のような構造または「パック」へと研削される。平らな面(例えば、ドーム面44)を研削する際、主結晶軸24に対してわずかな角度(多くの場合、約4度)が導入される。これは「オフ角」240として知られている。このオフ角240の目的は、ウェハ上に作製されるデバイスの特定の特性を最適化することであり、例えば、欠陥を低減したり、電子デバイスや光電子デバイスの性能を向上させたりすることである。
【0133】
研削後にエピタキシャル層をどれだけ所望の結晶方位(例えば4度)に近づけて成長/蒸着させるかによって、エピタキシャル層の品質が決まり、このわずかな角度調整は、高速エレクトロニクス、LED、太陽電池等、最終用途に大きな影響を与える可能性がある。移動度等のパラメータにプラスの影響を与えることができる。したがって、オフ角240は単なるランダムな選択ではなく、望ましいデバイス特性に基づいて計算された決定である。
【0134】
平らな面44を持つ「ホッケーのパック形状」のブールの場合、主結晶軸24を表す底面に垂直な直線を引くと、4度の「オフアングル」240は、第1の直線からわずかにずれた第2の直線として表され、それらの間に4度の角度を形成する。この第2の線は、エピタキシャル層がウェハ上に堆積される方向を表す。4度の角度は、後に作成される半導体デバイスの特定の特性を最適化するために、一般的に選択される方向の1つである(他の方向も使用可能)。
【0135】
ブールの面修正のために、ツールアセンブリ17は、(角度のついた外周)第2の研削砥石16(前述の研削砥石に対して角度を成すまたは垂直な回転軸を有するスピンドルに取り付けられている)が、研削される面44と係合するようにモータ6および6aによって操作される一方、第1のホルダ34の爪37がブール20の外周21を把持して移動または回転しないように固定する。
【0136】
工具アセンブリ17および第1ヘッド10上の第2の研削砥石16の正確な位置決めおよび移動は、様々な機械構成要素およびブール20表面の正確な位置を光学的に決定する光学式エンコーダ120によって正確に測られる。具体的には、高分解能光学式エンコーダ120を、機械100上の全ての軸(例えば、CNC軸)上の構成部品の移動のために使用してもよい。これらには、全ての直線軸(X、Z、Y、およびZ2)用のリニアエンコーダと、回転軸(B1、B2、C1、およびC2)または回転運動用のロータリエンコーダの両方が含まれる。これらの光学式エンコーダ120は、コンピュータシステム18に正確な閉ループ位置決めフィードバックを提供する。閉ループ光学式エンコーダ120は、CNC制御装置およびセンサと密接に連携し、精密部品の精度の達成をサポートする優れた位置決め精度および繰り返し精度の両方を提供する。更に、別の実施形態では、ロータリエンコーダ、リニアエンコーダおよび/または位置エンコーダ120を使用することができる。このような他のタイプのエンコーダ120は、(前述の光学式エンコーダに関して)追加的または代替的に、機械内の全ての移動軸に関して位置決めされる(例えば、モータ6および6a等のすべてのモータ上に位置決めされるかまたはすべてのモータと接続されることを含むが、これに限定されない)。ここで使用され得るエンコーダ120は、爪、研削砥石およびモータシステムの正確な位置に関する情報を提供するために、コンピュータシステム内のプロセッサ(複数可)に位置情報を提供する。これらのエンコーダ120は位置データをコンピュータシステム18に供給し、コンピュータシステム18は、ホルダアセンブリ10、12の関連モータおよびその関連部品、ならびに、工具アセンブリ17のモータおよびその関連部品を制御する。
【0137】
コンピュータシステム18は、すべてのセンサ、モータ、X線装置28、スピンドル8a、8b等とやりとりして、本明細書に開示されたすべての動作を実行するコンピュータ可読媒体またはコードからなるプロセッサを有することにも留意すべきである(図29)。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、X線装置28を用いて被加工物20の結晶構造/配向を分析し、その後、第1の交換可能工具14および第2の交換可能工具16(例えば、選択された第1の研削砥石および第2の研削砥石16)を用いて結晶構造/配向を修正するための方法の命令を含む。具体的には、プロセッサによって実行されると、被加工物20が第1ホルダアセンブリ34によって保持されている間に被加工物20の結晶方位を検査するためにX線装置28に命令を送ることを含む方法200を実行するコンピュータ可読媒体(201)であってもよい。命令は、X線装置28を所定の位置に移動させ、被加工物20のX線回折パターンおよび画像データを取り込み、診断検査を実行するためのコマンドを含んでもよい。回折パターンは、指定された結晶方位を有する被加工物20の画像を含んでもよい。更に、X線回折パターンは、加工工程中の結晶方位を高い精度で検証する手段を提供する。いくつかの実施形態では、201は、X線装置28が撮影位置に配置された後に開始してもよい。撮像位置は、第1ホルダアセンブリ34(図13)によって結晶分析位置に保持された時にX線装置28が被加工物20を分析するために有利に配置される、被加工物20の外面に隣接する領域を示すことができる。
【0138】
方法200は、続いて、被加工物20の結晶方位を決定するためにX線装置28からデータを受信してもよい(202)。データはX線撮像および回折データを含んでもよく、プロセッサ18は、そこから被加工物20の現在の結晶方位と被加工物20の所望の結晶方位との間の差を計算することができる。この計算は、まず回折データに基づいて結晶方位を決定し、次に結晶方位と理想化された仮想平面との間の角度差として傾斜角を計算する計算サブルーチンによって達成することができる。いくつかの実施形態では、X線装置28から受信したデータは、被加工物20のX線回折データ、所望の基準平面に投影された六方晶SiC結晶の6軸表現および光学エンコーダデータを含むことができる。光学エンコーダデータは、ホルダアセンブリ34,36およびX線装置28の位置を示してもよい。さらなる実施形態では、X線装置28は、被加工物20の位置をデジタルテンプレートを生成する機械学習モデルの方向と関連付ける情報を提供することができる。このプロセスにより、コントローラ/プロセッサ(例えば、11、18)は、被加工物20の構造をより高精度に改良し、将来の特性を予測し、設計能力を向上させることができる。
【0139】
図12Bに示すように、方法200は次いで、交換可能な工具16(例えば、第2の研削砥石)を用いて被加工物20を研削するように工具アセンブリ17に指示を送ってもよく、それにより、決定された結晶方位に基づいて被加工物20の結晶方位が修正される(203)。幾つかの実施形態では、命令は、工具アセンブリ17のサブコンポーネント(例えば、第1の交換可能な工具14、第2の交換可能な工具16、X線装置28、モータ402、502およびスピンドル8a、8b)を単独でまたは協働して動作させ、被加工物20が工具ホルダアセンブリ(例えば、34、36)によって保持されている間に、交換可能な工具(例えば、14、16)を用いて被加工物20の外側から材料を除去することによって結晶方位を修正することを実現する。更に、工具アセンブリ17への命令は、工具アセンブリ17を矢印X、Y、Z、B1、D1およびE1(図1B~1F)に沿ってまたは矢印E1(図1B~1F)に沿って移動させるようにモータシステム4に指示する命令を含むことができる。工具アセンブリ17への命令は、研削作業を実行する際に工具アセンブリ17のサブコンポーネントによって実行されるコマンドのシーケンスを含み得る。更なる実施形態において、方法200は、被加工物20が第1ホルダアセンブリ34(図12Bおよび31)によって保持されている間に、第1のモータ204を用いて被加工物20を結晶修正位置に回転させることによって開始する研削サブルーチンを含んでもよい。このサブルーチンは、工具アセンブリ17の指示に従い、第2の研削砥石16を第2のモータ(例えば、4、6a)でドーム修正位置へと回転させることによって継続してもよい。いくつかの実施形態では、説明したように、第1ホルダアセンブリ34および第2の研削砥石16を結晶修正位置およびドーム修正位置へと移動させることは、プロセッサ18が、第1ホルダアセンブリ34および第2の研削砥石16が既知の位置にある状態で研削動作を開始することを可能にするホーニング動作として機能する。撮像位置、結晶分析位置、結晶補正位置およびドーム補正位置は、プリセット値から提供されてもよいし、X線データ、エンコーダデータおよびセンサデータに基づいて自動的に計算されてもよいし、ユーザによって供給されてもよいし、第三者システムから取得されてもよい。サブルーチンは続いて、第2の研削砥石16で被加工物20の第1の部分26を除去し修正された表面を形成してもよい。図31および図32は、被加工物20が、シード面42が[01]面にあり、主結晶軸24がミラー指数[01]面に垂直に延びるような{100}族の結晶方位で始まる場合の表面修正操作の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、第1の部分26を除去することは、被加工物20の所望の結晶面241がオフ角240または傾斜角(図32)によって主結晶軸24から角度的にずらされるように、ドーム面44の部分を研削除去することを含み得る。更に、被加工物20の第1部分26を除去することは、第2の研削砥石16を被加工物のドーム面44に接触するように移動させ、次いで第2の研削砥石16を多軸パターンで移動させて被加工物20の第1部分26を研削除去することを含んでもよい。多軸パターンは、ドーム面44に望ましい表面特性を付与するように設計されている。
【0140】
方法200は、修正された後の被加工物20の結晶方位を再検査するべく、X線装置28にさらなる命令を送信してもよい(204)。工程204は、工程203の研削作業後の被加工物20の現在の結晶方位を再評価するためのエラー修正および被加工物20の検証作業として機能する。いくつかの実施形態では、X線装置28へのさらなる命令は、被加工物20を第1のモータ204で結晶分析位置に回転させ、X線装置28を第2のモータ4で撮像位置に回転させ、X線装置28で被加工物20の回折データを撮像することを含む撮像サブルーチンに含まれていてもよい。撮像サブルーチンは、方法200の任意の時点で被加工物20のX線撮像を可能にするために、プロセッサ18によって生成される命令セットに含まれていてもよい。方法200は更に、被加工物の結晶方位を再決定するためにX線装置28から追加データを受信してもよい(205)。いくつかの実施形態では、計算サブルーチンは、工程205の再決定中に実行されてもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体から得られる方法200は、搭載されているまたはそれと動作可能に結合されているセンサおよびエンコーダ120の分散アレイ2800を監視することにより、機械100の粒度の細かいフィードバックおよび制御を可能にする(図28)。この分散アレイ2800は、複数のエンコーダ120(例えば、光学式エンコーダ、絶対位置エンコーダ、インクリメンタル位置エンコーダ、ロータリエンコーダ、角度エンコーダおよびリニアエンコーダ)を含み得る。更に、複数のエンコーダ120は、プロセッサ18が正確で再現性のある研削作業を実行するために使用するフィードバックを生成するために、位置、速度および移動を測定することができる。更に、複数のエンコーダ120は、機械100の構成要素の同期を容易にし、衝突を防止し、研削作業または撮像作業を実行する際にすべてのタイミング制約が満たされるようにすることができる。いくつかの実施形態では、機械100全体で使用されるサーボモータに搭載される位置決めセンサを補足するために複数のエンコーダ120が使用される場合がある。この二次的なフィードバックシステムにより、サーボモータそれぞれをより迅速かつ正確に、オーバーシュートを少なくして、指令された位置に移動させることができる。
【0142】
複数のセンサおよびエンコーダ120は、機械100が、同時におよび独立して動作する複数の制御ループを有する閉ループシステムとして動作することを可能にするフィードバックデータを生成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、方法200は、被加工物20の結晶方位を修正するために、研削動作のエンコーダベースの制御を実施するためのサブルーチンを更に含んでもよい。複数のエンコーダ120は、被加工物20の結晶方位を修正するために工具アセンブリ17が操作される際に、リアルタイムフィードバック(例えば、研削砥石14の回転速度データ、第2のモータ4の3次元位置決めデータの連続ストリーム)をプロセッサ18に提供してもよい。このサブルーチンは、第1ホルダアセンブリ34および工具アセンブリ17の位置を示す複数のエンコーダ120からの信号を受信することを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサ18は、まず、複数のエンコーダ120から機械100の状態を把握し、次に、第1ホルダアセンブリ34および工具アセンブリ17を操作して所望の研削作業を実行する命令セットを生成する(図30~32)。いくつかの実施形態において、サブルーチンは続いて、第1ホルダアセンブリ34および工具アセンブリ17に関連する少なくとも1つのモータ(例えば、6、6a、25a、52、202、204、402、および502)に命令を送り、研削砥石(例えば、14、16)と第1ホルダアセンブリ34によって保持された被加工物20とが、被加工物20の結晶方位を修正するために被加工物20の表面を研削するように研削砥石(例えば、14、16)が位置決めされるように、第1ホルダアセンブリ34および工具アセンブリ17間の相対運動を発生させる。
【0143】
いくつかの実施形態では、機械100(例えば、4、6、6a、8a、8b、25a、25b、37、37a、40、52、70、71、202、204、302、304、402および502)のアクチュエータ、モータおよびスピンドルの各々は、それに動作可能に結合された複数のエンコーダ120のうち少なくとも1つの対応するエンコーダまたはセンサを有する(図28)。従って、プロセッサ18は、機械100からのフィードバックをリアルタイムで評価し、それによって正確な研削および撮像動作を繰り返し実行することができる。更に、全ての所望の位置は、予め定義されていてもよい、機械の状態に基づいて計算されていてもよい、ユーザによって供給されてもよいまたは第三者から取得されてもよい。いくつかの実施形態において、第1のモータ204を動作させるためのエンコーダベースの制御は、少なくとも1つの第1の光学エンコーダ120aを用いて第1のモータ204の現在位置を検出すること、第1のモータ204の適切な出力特性を決定するために第1のモータ204の現在位置と第1のモータ204の所望の位置とを比較することと、を含む。いくつかの実施形態では、適切な出力特性は、第1のモータ204の角度オフセットを含む。さらなる実施形態において、第2のモータ(例えば、4、6、6a)を動作させるためのエンコーダベースの制御は、少なくとも1つの第2の光学エンコーダ120bで第2のモータ4の現在位置を検出することと、第2のモータ4の現在位置と第2のモータ4の所望の位置とを比較して第2のモータ4の適切な出力特性を決定することとを含み、適切な出力特性は第2のモータ4の角度オフセットを含む。さらなる実施形態において、第3のモータ(例えば、302)を動作させるためのエンコーダベースの制御は、第3のモータ302が第2ホルダアセンブリ36を直線的に移動させる時に、少なくとも1つの第3の光学式エンコーダ120Cを用いて第3のモータ302の現在位置を検出することを含む。次いで、プロセッサ18は、第3のモータ302の適切な出力特性を決定するために、第3のモータ302の現在の位置と第3のモータ302の所望の位置とを比較してもよい。幾つかの実施形態において、第3のモータ302の適切な出力特性は、第3のモータ302が第2ホルダアセンブリ36を第1ホルダアセンブリ34に近づけるかまたは第1ホルダアセンブリ34から遠ざけるように移動させるような第3のモータ302の線形オフセットを含む。
【0144】
図9図11および図16図17Cに示すように、プロセッサ18は、最初に被加工物20を第1ホルダアセンブリ34から第2ホルダアセンブリ36に移送することによって、シード面修正動作を実行するサブルーチンを実行してもよい。いくつかの実施形態では、モータ(例えば、モータ302)は、移送の間、軸B-Bに沿って第2ホルダアセンブリ36を移動させる。この移動は、修正された表面を生成するためにドーム表面44が研磨された後に開始されてもよい。第1のモータ202は、第1ホルダアセンブリまで、第1ワークヘッド10および第1ホルダアセンブリ34を軸A1を中心に回転させてもよい(図9)。次に、第3のモータ302は、第2ホルダアセンブリ36が被加工物のドーム面4を把持するまで、軸B-Bに沿って第2ホルダアセンブリ36を第1ホルダアセンブリ34に向かって移動させることができ(図16および図17)、その後、第2ホルダアセンブリ36を第1ホルダアセンブリ34から離す方向に移動させてもよい。サブルーチンは次に、第2のモータ4(図18A)を用いて第1の研削砥石14をシード修正位置へと回転させてもよい。サブルーチンは次に、第1の研削砥石14で被加工物20の第2の部分を除去して修正されたシード面42を形成してもよく、ここで、修正されたシード面は修正された面に対して平行である。いくつかの実施形態では、第2の部分を除去することは、シード面42に対して垂直に配置されるシード面が、オフ角240により所望の結晶面241から角度的にオフセットされ、新たに修正されたドーム面44に対して垂直に配置されるように、シード面42の部分を研削除去することを含み得る。更に、被加工物20の第2の部分を除去することは、第1の研削砥石14を被加工物20のシード面42に接触するように移動させ、次いで被加工物20の第2の部分を研削除去するパターンで第1の研削砥石14を移動させることを含み得る。このようにして修正され、被加工物20のドーム面44およびシード面42の両方が、所望の結晶方位に適合するように整えられる。サブルーチンは次いで、被加工物20が更なるX線撮像または研削操作の準備ができるように、被加工物20を第2ホルダアセンブリ36から第1ホルダアセンブリ34に移動させてもよい。
【0145】
図12Aおよび図30に示されるように、プロセッサ18は、ドーム面44が大きくずれている場合には、粗い修正作業を実行するサブルーチンを実行してもよい。サブルーチンでは、まず、第1のモータ204で被加工物20を水平位置に回転させ、第2のモータ4(図12A)で第1の研削砥石16を材料除去位置へと回転させる。サブルーチンは次いで、形が整えられた表面を形成するために、第1の研削砥石14で被加工物20の所定の部分29を除去してもよい(図30)。第1の研削砥石14を被加工物20に接触するように移動させ、その後、第1ホルダアセンブリ34が被加工物20を回転させる間に第1の研削砥石14を往復移動させることによって材料を粗く研削除去することにより、所定の部分29を除去してもよい。いくつかの実施形態では、シード面42はミラー指数[001]面内にあり、結晶方位は[001]面に対して垂直である。このように、所定部分29を除去することは、ドーム面44に垂直に配置される中間面243が、中間角度242だけ主結晶軸24から角度的にオフセットされるように、ドーム面44の部分を削り取ることを含み得る。いくつかの実施形態では、形が整えられた表面は、整えられた表面が十分に平坦であることを妨げる工具の跡またはその他の不完全性を有する場合がある。あるいは、整えられた表面は、十分な結晶方位を有しない場合がある。従って、面の粗い修正サブルーチンの後に、被加工物20が完成する前に、追加の表面修正操作を行う必要がある。いくつかの実施形態では、面の粗い修正操作の後に、第1の部分26を除去し、中間面243が所望の結晶面241と一致するように中間角242をさら広げる従来の研削操作が行われる。
【0146】
いくつかの実施形態では、プロセッサ18は、被加工物20を第1ホルダアセンブリ34または第2ホルダアセンブリ36のいずれかに取り付ける際に、真空システム22を制御するサブルーチンを実行してもよい。プロセッサ18は、被加工物20を第1ホルダアセンブリ34に固定するべく真空を印加するように真空システム22に指示する命令を生成してもよい。同様に、プロセッサは、被加工物20を第2ホルダアセンブリ36に固定するべく第2ホルダアセンブリ36に真空を印加するように真空システム22に指示する命令を生成することができる。幾つかの実施形態では、流量センサおよび/または圧力センサが真空システム22に組み込まれており、プロセッサ18は、故障または漏れがあるかどうかを判断することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ18は、複数のエンコーダからの情報を使用して、機械100の診断評価を実行する。例えば、複数のロータリエンコーダ120は、モータのいずれかがスリップしているかどうかを特定することができる。あるいは、複数のセンサは、リニアアクチュエータの軌道上に障害物があるかどうかを判断するために採用されてもよい。第2の研削砥石16によって行われるブール20面の表面修正は、典型的には、第1の研削砥石14によって提供され得るより粗い仕上げと比較して、より仕上げられた/より滑らかな表面を提供するべく、第2の研削砥石16には角度が付けられより細かい砥粒表面を有する。
【0147】
平坦化されたドーム面(このプロセスによって平坦にされたが、説明を簡単にするためにドーム面または「ドーム状の」面が作られていることを理解されたい)の表面修正中、研削砥石16が前後および上下に移動するが、ブール20は静止した状態に保持される(爪37によって回転されない)。
【0148】
ブール20の表面修正に続いて、ブール20の外周面21も何らかの修正を必要とする場合がある。このような場合、ブール20は、ブールの平坦化されたドーム面の修正に続いて、第2ワークヘッド12と係合するように戻され、シード面は、研削されたドーム面と平行になるように修正されてもよい。
【0149】
これは、図18Aに示すように、第1ワークヘッド10を第2ワークヘッド12に向かって回転させ、第2ワークヘッド12をブール20のドーム側と係合させ、ブールのドーム面に真空力を加え、第2のホルダ36の爪37でブール20の周縁部21を把持し、回転モータ302でホルダ36および爪37を回転させ、研削砥石16をシード側42と係合させることによって達成される。
【0150】
一実施形態では、回転モータ204が作動して、ブール20が第2ホルダホルダアセンブリ36に対向し、リニアモータ304は、第2のホルダアセンブリ36がブール20の研削された面に係合するように移動するように動作する。
【0151】
一実施形態では、ホルダアセンブリ34および36の両方の爪は、ブール20の全周縁を露出させるために引っ込められたままであり、ブール20の対向する側面に加えられる真空力のみによって、および/または、ブール20がホルダアセンブリ34および36の間に挟まれる結果としてブールに加えられる圧縮力のみによって、ブール20が移動しないまたは回転しないように保持される。
【0152】
一実施形態では、ブール20のシード側には真空プレート30によって真空が印加され、研削されたドーム側には真空を適用することなく、真空プレート32が物理的に接触してドーム側を真空プレート30に向かって押す。
【0153】
一実施形態では、ホルダアセンブリ34および36によって加えられる圧縮力の量は、リニアモータ304と力センサとによって正確に調節することができ、力センサは、ホルダアセンブリ34および36の間の挟まれた圧縮経路または真空プレートのうちの1つの背後に配置された歪みゲージ(図示せず)等であってもよい。力センサおよびモータ304は共にコンピュータシステム18と通信しており、コンピュータシステム18はセンサ情報を受信し、そのような情報を使用してモータ304を制御し、ブール20に加えられる圧縮力の量を制御および設定するように構成されたソフトウェアを有する。
【0154】
一実施形態では、ブール20の周縁研削中に、ブール周縁の最初の粗研削作業に関連して先に説明したプランジャ工具も使用することができる。
【0155】
ブール20が結晶方位について修正され、対向する面表面が平坦で互いに平行であり(結晶格子に対して所望の方位で角度をなす中心軸を有する)、周辺部が中心軸またはブール20を中心とする円筒状であるように構成された後、ブール20の外周部はそこに結晶方位の表示を提供するべく、その上に平坦部分またはノッチを有するように更に研磨されてもよい。具体的には、平坦部(ブールからスライスされることによって形成される半導体ウェハでは「オリフラ」とも呼ばれる)とは、ホッケーのパック形状のブールの外周上における平坦化された縁部であり、一方、ノッチは、縁部に沿った切断領域(ブールの長手方向軸に平行に走る平坦部またはノッチ)であり、これらのいずれかが、ウェハ材料の結晶方位を識別するための参照部として機能する。この平坦部またはノッチの位置と長さは、結晶面だけでなく、場合によってはドーパントの種類をも示すことができる。製造業者やエンジニアは、リソグラフィや化学気相成長などの後続の処理工程でウェハを正しく位置決めするためにこの物理的特徴を利用し、デバイス特性が均一で仕様を満たすことを確かにする。一部の実施形態では、装置100は、直径150mmまでのウェハには識別用平坦部を採用し、200mm以上のウェハには識別用ノッチを採用することができる。
【0156】
ノッチを設けるべく図17Dに図示された向きでまたは図示された研削砥石構成で、第2のスピンドル(例えばスピンドル8b)に取り付けられた研削砥石16aによってこのようなノッチまたは平坦部を設けることができる。研削砥石16aは、ブール20の外周にノッチを設けるために尖った縁部を有することが理解されよう。あるいは、ノッチの代わりに外周部46に平坦部を設ける場合、ノッチを形成するために研削砥石16aの尖った外周部に対してブール外周部46を相対的に近づけたり遠ざけたりするのではなく、代わりに研削砥石16aおよびブール20を相対的に上下動させて、砥石がブール20の小さな円周部分に沿ってそうでなければ円筒形の外周部46に沿って平坦部を形成するようにすることもできる。回転する研削砥石16aによるブール20の研削を効果的に行うために、任意の動きの組合せを利用できることが理解されるべきである(例えば、ブール20の動き、研削砥石16aの動きまたは両方の動き)。研削砥石16aは使用しない時には、工具交換システム60によって運ばれてもよい。
【0157】
工具交換システム60は、例えば、第1の主軸8aに取り付けるように構成された細目砥石および粗目砥石、第2の主軸8b(主軸8aの主軸軸に対して実質的に垂直な主軸軸を有する)に取り付けるように構成された細目砥石および粗目砥石、第2の主軸8bに取り付けるよう構成された図17Dに示されるようなノッチ砥石を含む、複数の砥石を備えることができることが理解されよう。これらの研削砥石は、一実施形態では、2個と少なくすることができ、その場合、工具交換システム60は使用されない。
【0158】
追加的および/または代替的な作業および工程が、開示された方法およびそれを実施するための機械(前記1つ以上の作業/工程を実施するためにシステムに追加された部品または装置を含む)を含むことができ以下に例を示すが、これらに限定されない。
【0159】
<センタリング>
上記したように、実施形態では、ダイヤフラムチャック38のセンタリングを含む、被加工物のセンタリングおよび/または再センタリングを可能とするべく、センタリング機構を設けてもよい。例えば、顧客がブール/被加工物20の偏心研削を望む場合、被加工物20をセンタリングすることによって、適切かつ一貫した加工が可能になる。一例として、センタリングは、成長したブールの直径を(例えば、偏心研削によって)縮小する場合に特に有用であり、これは必ずしもブールの元の中心についてではない。実施形態では、被加工物20は、例えば、加工中に1回または複数回センタリングされてもよい。
【0160】
<UV光検査機能>
実施形態では、半導体デバイスに使用されるSiCの結晶構造/配向は4Hポリタイプである。時々、偶然、より大きなポリタイプ(例えば、6Hポリタイプ)がブール上に成長する。このような余分な物質は、所望の4Hポリタイプに使用することができないため、当該物質を除去する必要がある(例えば、研削によって)。実施形態によれば、光源からのUV光を使用してブールを照らすと、余分な物質である6Hが、4Hポリタイプとは異なる色として現れるため、余分な物質である6Hが不用意にも成長した可能性のある場所が明らかになる。この機能により、最初に出来上がったパックのポリタイプを調べることができる。このような物質が検出された場合、ブールの方位に対する物質の位置は、例えば、先に説明したXRD機能/X線装置によって決定することができる。幾つかの実施形態では、このような光源は、システムの一部であってよく、例えば、研削砥石を参照して説明したのと同様の方法で移動および使用される。実施形態において、被加工物は、例えば、プロセス中に1回以上検査されてもよい。
【0161】
<完成部品のレーザースクライビング>
追跡を目的として、ユーザによっては、機械/システム内にレーザースクライブ機能を搭載してもよく、最終部品が被加工物の少なくとも1つの面にレーザースクライブで示す情報(例えば、ロット番号、炉番号、ブールID番号など)を含むようにしたい場合がある。いくつかの実施形態では、被加工物またはブールにそのような情報をスクライブするために、レーザースクライブ装置が提供されてもよい。実施形態において、例えば、被加工物が取り外される前にレーザスクライバによってスクライブされてもよい。
【0162】
<外部自動化>
上記の図および説明では、手動によるロードおよび取り外しが可能であることに言及しているが、ワークヘッドに対する被加工物/ブールの取り外しおよび/またはアンロードには、追加的および/または代替的な外部自動化装置(例えば、ロボット)を採用してもよいことに留意されたい。
【0163】
<フォトブースおよび/またはビジョンシステム>
加えて、写真システムおよび/またはビジョンシステムが、本方法および機械100/システムにおいて採用されてもよく、例えば、カメラ、拡大鏡および/または非常に微細な部品の位置合わせ/調整を行うその他の装置が含まれ、ブールまたは被加工物の高解像度の写真、画像および/または読み取りを行うことができる。実施形態において、写真、画像および/または読み取りは、例えば、工程中に1回または複数回行うことができる。
【0164】
図には、本明細書の方法および実施形態に従って実施され得る被加工物またはブールを機械加工するための様々な操作および工程が示されているが、工程の順序は、図に示されるような順序に限定されることを意図するものではなく、また、図の順序は、そのような工程および操作の連続的な実施を意味することを意図するものではない。このような工程は、例えば、顧客のニーズおよび/または使用される材料に基づいて、再配置、倍増(例えば、重複および/または複数回実施)ならびに省略される可能性があることを理解されたい。更に、被加工物またはブールに実施される操作は、上述の関連するワークヘッドによるものに限定されない。すなわち、ある操作が、被加工物が第1ワークヘッドによって保持されている時に実行されるものとして説明されることがあるが、被加工物が第2ワークヘッドによって保持されている時に、同じまたは類似の操作が実行されることがあり、その逆もまた同様であることが理解されるべきである。更に、操作は、一方または他方のワークヘッドで実行されることに関して限定される必要はなく、どちらか一方または両方のホルダアセンブリを使用して被加工物に対するそのような操作を実行することも含まれる。
【0165】
また、本開示のいくつかの態様において、様々な図面に現れる同じ参照番号は、たとえ異なるように図示されていても、全体を通して同じまたは類似の構成要素であると考えられることが理解されるべきである。しかしながら、各図およびその説明はまた、それが開示する全てを考慮し、別個の発明としてそれ自体で成り立ち、本明細書中の他の図の参照番号と異なって表示されてもよい。
【0166】
開示された機械および方法は、ブールまたは類似の被加工物を準備するための既知の先行技術の方法と比較して、いくつかの改善および利点をもたらす。手作業による配置や工具を含む工程ではなく、本開示は、一連の工程(そのような工程の順序は問わない)において被加工物に対して複数の操作を自動的に実行するための機械を提供する。このように、被加工物を形成するために従来では12時間から20時間かかっていたが、本開示は、被加工物を、例えば、より速いスループットを提供する合計3時間から4時間(3~4時間)という非常に短い時間で準備および形成することを可能にする。更に、人件費や材料費も削減できる。また、消耗品や廃棄物も削減される。
【0167】
上記の例示的な実施形態において本開示の原理が明確にされたが、本開示の実施に使用される構造、配置、比率、要素、材料および構成要素に対して様々な変形を加えることが可能であることは当業者であれば理解できる。
【0168】
従って、そのような変形例であっても本開示の特徴は完全且つ有効に達成されることが証明されるであろう。しかし、上記に示した望ましい具体的な実施形態は、本開示の機能的および構造的な原理を例示することを目的として説明および図示されたものであり、本開示の原理の範囲内において変更可能であるものと認められたい。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲の意図および範囲に含まれる全ての変形例を包含する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【外国語明細書】