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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006918
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】型枠パネルの組立補助部材
(51)【国際特許分類】
   E04G 17/07 20060101AFI20240110BHJP
   E04G 17/06 20060101ALI20240110BHJP
   E04G 17/14 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E04G17/07
E04G17/06 D
E04G17/06 F
E04G17/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005865
(22)【出願日】2023-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2022104299
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520477717
【氏名又は名称】株式会社ビーイング・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100114498
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100222243
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 友彬
(72)【発明者】
【氏名】椙山 陽介
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150EA04
2E150EC23
2E150JA05
2E150JD22
2E150MA02Z
2E150MA46X
(57)【要約】
【課題】
型枠に用いる型枠パネルの組立補助部材において、定型サイズの型枠パネルを連結して型枠を構成することで様々な形状の構造物に対して柔軟に対応することができると共に、配列された各型枠パネルの外縁同士が可及的に直線な状態で型枠パネルを配置することができる。
【解決手段】
硬化性充填材を流し込むための充填空間を形成する型枠に用いられる複数枚の型枠パネルを所定の施工位置で位置決めし、これら型枠パネルと端太を一体的に保持する型枠パネルの組立補助部材であって、前記組立補助部材は、前記型枠パネルの縁辺に対して設けられ、前記型枠パネルを所定位置で保持する規制部と、前記規制部により保持された型枠パネルの外側面に向けて前記端太を案内するガイド溝と、前記ガイド溝内に挿入された端太を前記型枠パネルへ押し付ける付勢部材と、を備え、前記ガイド溝は、溝内が前記型枠パネルに対して開放している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性充填材を流し込むための充填空間を形成する型枠に用いられる複数枚の型枠パネルを所定の施工位置で位置決めし、これら型枠パネルと端太を一体的に保持する型枠パネルの組立補助部材であって、
前記組立補助部材は、前記型枠パネルの縁辺に対して設けられ、
前記型枠パネルを所定位置で保持する規制部と、
前記規制部により保持された型枠パネルの外側面に向けて前記端太を案内するガイド溝と、
前記ガイド溝内に挿入された端太を前記型枠パネルへ押し付ける付勢部材と、
を備え、
前記ガイド溝は、溝内が前記型枠パネルに対して開放していることを特徴とする組立補助部材。
【請求項2】
前記複数枚の型枠パネルのうち最下段に配置された型枠パネルの下端に設けられた組立補助部材は、
前記ガイド溝が一対の側壁に囲まれてチャネル状に形成される一方、
前記一対の側壁の夫々にはスリットが設けられ、
前記付勢部材はこれらスリットに挿入されて前記ガイド溝内に前記端太を拘束する楔状のカム板であることを特徴とする請求項1記載の組立補助部材。
【請求項3】
前記組立補助部材のガイド溝内に配置され、前記ガイド溝内の前記端太の下部を前記型枠パネル側から抱え込むと共に前記一対の側壁に設けられた各スリットと水平方向に重なる一対のスリットを有する端太抱え込み部と、
を更に備え、
前記端太抱え込み部の各スリット及び前記一対の側壁の各スリットに対してカム板が挿入されると、前記端太の下部が前記カム板と前記端太抱え込み部によって挟持されることを特徴とする請求項2記載の組立補助部材。
【請求項4】
前記一対の側壁に設けられた各スリットは、高さが異なることを特徴とする請求項2記載の組立補助部材。
【請求項5】
前記組立補助部材は、前記組立補助部材を地盤から任意の高さで保持する脚部を備えていることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の組立補助部材。
【請求項6】
前記複数枚の型枠パネルのうち型枠パネル同士の間に挿入された組立補助部材は、
前記ガイド溝が一対の係止部に挟まれた略U字状に形成される一方、
前記一対の係止部には前記ガイド溝内に前記端太を拘束する押え金具が係合し、
前記付勢部材は前記押え金具を前記端太に向けて押圧することを特徴とする請求項1記載の組立補助部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠に用いる型枠パネルの組立補助部材に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等の建築物の建設を行う際にはコンクリート打設工事が行われる。コンクリート打設工事は地盤上に成型されたコンクリート、所謂コンクリート床版上に複数の型枠パネルを配列して形成した型枠内にコンクリートを流し込み、設計した所定形状にコンクリートを成型する工事である。
【0003】
コンクリート打設工事の一例としては建物基礎を成型する型枠工事が挙げられる。型枠工事は目標とするコンクリート躯体の形状に合わせて型枠パネルを配列した型枠を利用して行われるものであって、コンクリート躯体を形作るものである。型枠は複数枚の型枠パネルを組み立てて構成されるものであるが、型枠パネルを組み立てる方法は様々なものが挙げられる。型枠パネルを組み立てる方法の一例としては特許文献1が挙げられる。
【0004】
特許文献1は型枠パネルを支持するためのパネル支持具である。パネル支持具は、下部支持板と、上部支持板と、支柱と、から構成されている。所定間隔で配置された二枚の型枠パネルは下部支持板に形成された溝に挿入して立設される。立設された型枠パネルの上部は対向する型枠パネルと共に上部支持板によって固定される。そのため、各型枠パネルは、下端が下部支持板によって位置規制されている一方、上端が上部支持板によって位置規制されている。すなわち、当該パネル支持具を用いた型枠は、対向する型枠パネル同士の下端と上端の位置が下部支持板及び上部支持板によって規制され、対向する型枠パネル同士が一体的に保持されている。支柱は型枠パネルを支持する端太であり、下部支持板の端太挿入孔に対して挿入される。これにより、型枠パネルは所定の施工位置に対して配列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-61181
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、型枠工事の際に用いられる型枠パネルとしては鋼製型枠パネルと木製型枠パネルが挙げられる。木製型枠パネルを用いる場合は、成形するコンクリート躯体に応じて木製型枠パネルの加工を建築現場で行うため、コンクリート躯体の形状に合致した型枠パネルを用いることができる。また、木製型枠パネルの場合は、パネル自体に孔をあけて対向するパネル同士の間隔を決めるセパレータを任意の位置に設けることができ、更にパネル自体をコンクリート床版に対してアンカーで固定することができるため、高い強度で固定することができる。そのため、木製型枠パネルは、様々な形状のコンクリート躯体に対応できる他、型枠パネルを連結して型枠を構成することで成型する構造物の施工高さが低いものから高いものまで柔軟に対応することができる。一方で、木製型枠パネルは施工現場での加工や強度等の点から再利用には不向きであった。
【0007】
鋼製型枠パネルは、建築現場で加工を行うことは困難であるため、規格の決まったパネルを用いて施工を行うのが一般的である。そのため、鋼製型枠パネルは成型するコンクリート躯体の形状によっては採用することができない場合があった。この点について、複数枚の鋼製型枠パネルを積み上げて型枠を構成すれば施工高さが高いコンクリート躯体を施工する際にも対応することができるため、鋼製型枠パネルを採用できるコンクリート躯体の形状の幅が広がるという見地もある。しかし、鋼製型枠パネルは、木製型枠パネルと異なり再利用を前提としているため、パネル自体に孔をあけてセパレータを任意の位置に設けることや、パネル自体をコンクリート床版に対してアンカーで固定するための孔を設けることは孔の補修やパネルの劣化等を生じてしまう。このような観点から、鋼製型枠パネルを積み上げた型枠がコンクリート打設工事に用いられることは少なかった。特許文献1においても型枠パネルを積み上げることを予定していない。そのため、鋼製型枠パネルを用いた基礎工事においては対応できるコンクリート基礎の形状の幅を広げるという課題があった。
【0008】
また、型枠工事を行うにあたって配列される型枠パネルの位置は予め決められており、端太や種々の固定部材等で所定位置に固定されているものの、各型枠パネルを完全に平行な状態で配置することは困難である。これにより、各型枠パネルの外縁同士の平行度に僅かなずれが生じてしまい、施行構造物の仕上がりに影響を与える場合があった。そのため、型枠工事で用いられる型枠おいては施行構造物の仕上がりを良好にするために、配列された各型枠パネルの外縁同士が可及的に直線な状態で型枠パネルを配置することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、型枠に用いられる型枠パネルの組立補助部材において、定型サイズの型枠パネルを連結して型枠を構成することで様々な形状の構造物に対して柔軟に対応することができると共に、配列された各型枠パネルの外縁同士が可及的に直線な状態で型枠パネルを配置することができる組立補助部材を提供することにある。
【0010】
すなわち、本発明は、硬化性充填材を流し込むための充填空間を形成する型枠に用いられる複数枚の型枠パネルを所定の施工位置で位置決めし、これら型枠パネルと端太を一体的に保持する型枠パネルの組立補助部材であって、前記組立補助部材は、前記型枠パネルの縁辺に対して設けられ、前記型枠パネルを所定位置で保持する規制部と、前記規制部により保持された型枠パネルの外側面に向けて前記端太を案内するガイド溝と、前記ガイド溝内に挿入された端太を前記型枠パネルへ押し付ける付勢部材と、を備え、前記ガイド溝は、溝内が前記型枠パネルに対して開放している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組立補助部材よれば、型枠に用いられる型枠パネルの縁辺に対して当該組立補助部材を設けることで複数枚の型枠パネルを容易に連結することができる。更に、組立補助部材は、ガイド溝の溝内が型枠パネルに対して開放していることで、端太が型枠パネルに当接するように案内できると共に付勢部材によってガイド溝内の端太を型枠パネルに向けて押圧することができる。そのため、組立補助部材は、端太を型枠パネルに当接させながら各型枠パネルの上端から下端にわたって連続的に当該型枠パネルを充填空間に向けて押圧することができる。これにより、連結された各型枠パネル同士は、端太の直線度によって整列された状態となり、各型枠パネルの外縁同士は可及的に直線な状態で配置することができる。そのため、組立補助部材は、定型サイズの型枠パネルを容易に連結して型枠を構成させることができるため、様々な形状の構造物に対して柔軟に対応することができると共に、端太により各型枠パネルの上端から下端にわたって連続的に押圧されることで配列された各型枠パネルの外縁同士が可及的に直線な状態で型枠パネルを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態にかかる組立補助部材を用いた型枠の一部を示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態にかかる第一組立補助部材の拡大図である。
図3】本発明の第一実施形態にかかる型枠を上面から観察した状態を示す図である。
図4】本発明の第一実施形態にかかる第一組立補助部材の変形例を示す斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態にかかる第一組立補助部材の変形例を示す斜視図である。
図6】一対の第一型枠パネルと一対の第二型枠パネルとの連結状態の詳細を示す斜視図である。
図7】第二組立補助部材の拡大図である。
図8】第一型枠パネルを上面から観察した状態を示す図である。
図9】第二組立補助部材に通り出し金具を設けた状態を示す図である。
図10】通り出し金具を示す斜視図である。
図11】本発明の第二実施形態の第一組立補助部材を用いた型枠を示す斜視図である。
図12】本発明の第二実施形態の第一組立補助部材を用いた型枠を示す側面図である。
図13】第二実施形態の第一組立補助部材にかかる変形例を示す斜視図である。
図14】本発明の第三実施形態の第一組立補助部材を示す斜視図である。
図15】本発明の第三実施形態の第一組立補助部材の分解図である。
図16】本発明の第三実施形態の第一組立補助部材を示す斜視図である。
図17】本発明の第三実施形態の第一組立補助部材を示す斜視図である。
図18】本発明の第三実施形態の第二組立補助部材を示す斜視図である。
図19】本発明の第三実施形態の型枠パネルを示す斜視図である。
図20】本発明の第三実施形態の型枠の一部を示す斜視図である。
図21】本発明の第三実施形態の第一型枠パネルの上面を写した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を用いて本発明の型枠構造を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第一実施形態にかかる組立補助部材を用いて構成した型枠100の一部を示す斜視図である。型枠100は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の建設を行う際の一工程であるコンクリート打設工事に用いられるものである。本実施形態ではコンクリート躯体の基礎を形作る型枠工事を例に説明する。当該基礎には、地盤に逆T字型の鉄筋コンクリートを連続して設けた構造である布基礎と、地盤全体を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎とが存在する。
【0015】
型枠100は、複数の型枠パネル160を積み上げて構成した枠板110を向かい合わせて配置した一対の枠板110と、前記枠板110の外縁に配置される端太120と、前記一対の枠板110の下端に設けられる第一組立補助部材130aと、前記型枠パネル同士の間に配置される第二組立補助部材130bと、から構成されている。当該型枠100はコンクリート打設工事を行う地盤上に成型されたコンクリート、所謂コンクリート床版に対して配列されて用いられる。型枠100が組み立てられることで、対向する枠板110の間にコンクリートを流し込む充填空間150が形成される。なお、前記充填空間150に流し込む充填材はコンクリートに限定されず、モルタル等の時間経過で硬化する硬化性充填材であれば適宜変更可能である。また、図1は型枠100の一部のみを表示したものであるため、枠板110は紙面前後方向へ繰り返し配置されていてもよく、繰り返し配置された枠板110の両端は図示外の部材によって充填空間150が閉じられている。
【0016】
一対の枠板110は二枚の枠板110を所定の施工間隔で対向させて配置している。前記施工間隔はコンクリートの厚みを決めるものであり、成型するコンクリート構造物に応じて適宜変更することができる。
【0017】
各枠板110は略矩形状で形成され、複数枚の型枠パネル160から構成されている。枠板110は、前記枠板110の最下段に配置される第一型枠パネル160aと、前記第一型枠パネル160aの上段に積み上げて配置される第二型枠パネル160bと、前記第二型枠パネル160bの上段に積み上げて配置される第三型枠パネル160cと、から構成されている。型枠パネル160は略矩形状の鋼製板材から構成されており、予め決められた規格に沿った定型サイズのものを用いている。なお、本実施形態では型枠パネルを鋼製板材として説明するが、型枠パネルを積み上げることができれば材質に限定はなく、例えば木製型枠パネルであってもよい。また、本実施形態では型枠パネルを三段に積み重ねているが、これに限定されるものではなく、型枠パネルを積み上げる段数は適宜変更することができる。
【0018】
端太120は、各型枠パネル160の位置規制を行うためのものであって、第一型枠パネル160a、第二型枠パネル160b、及び第三型枠パネル160cに跨って配置されている。端太120は枠板110の外縁に配置された状態において各型枠パネル160に対して当接している。なお、端太120の形状は断面円形の丸パイプに限定するものではなく、角パイプ等であってもよい。
【0019】
組立補助部材130は複数枚の型枠パネル160を所定の施工位置で位置決めし、これら型枠パネル160と端太120を一体的に保持するものである。組立補助部材130は型枠パネル160の縁辺に対して設けられる。図2及び図3に示すように、組立補助部材130aは、型枠パネル160を所定位置で保持する規制部210と、前記規制部210により保持された型枠パネル160の外側面に向けて端太120を案内するガイド溝220と、前記ガイド溝220内に挿入された端太120を型枠パネル160へ押し付ける付勢部材230と、を有している。第一組立補助部材130aは枠板110の最下段に配置された第一型枠パネル160aの下端に対して設けられており、第一型枠パネル160aの位置規制をする。第一実施形態において、第一組立補助部材130aは連結部140の両端に設けられている。すなわち、対向する第一組立補助部材130a同士は連結部140を介して一体的に形成されており、前記組立補助部材130aは枠板110同士の間隔を決めるセパレータ180aの一部を構成している。セパレータ180aはコンクリート床版上にアンカーで固定されている。セパレータ180aは、対向する二枚の第一型枠パネル160aに跨って配置されており、対向する第一型枠パネル160a同士を一体的に保持することができる。なお、前記第一組立補助部材130aの型枠パネル160に対する配置数は当該型枠パネル160の幅方向長さや必要とする枠板110の強度に応じて適宜変更することができる。
【0020】
型枠100は対向する規制部210同士の間隔によりコンクリート壁における前記施工間隔が決まる。すなわち、型枠100において一対の規制部210は対向する枠板110同士の間隔を決めることができる。なお、第一組立補助部材130aは規制部210同士の間隔を調整することのできる間隔調整機構(図示しない)を備えるものであってもよい。例えば、一対の規制部210の近傍に雌ネジを設けてこれら雌ネジを雄ネジによって連結し、連結した雌ネジと雄ネジの螺合量を調整することで、規制部210同士の間隔調整を行うもの等が挙げられる。また、規制部210の形状は前記第一型枠パネル160aの充填空間150に対する移動を制限することができれば適宜変更可能である。
【0021】
ガイド溝220は位置決めされた第一型枠パネル160aの外側面に向けて端太120を案内するためのものである。ガイド溝220は、平板状の平面部221と、第一組立補助部材130aにおける短手方向の両端が曲げ起こされた一対の側壁222と、から構成される。すなわち、ガイド溝220は一対の側壁222に囲まれてチャネル状に形成される。図2に示すように、ガイド溝220は平面部221がコンクリート床版上に配置されていると共に一対の側壁222がコンクリート床版に対して垂直になるように配置されている。そのため、ガイド溝220は、上部が開放された断面略コ字状に配置され、溝内が第一型枠パネル160aに対して開放されている。側壁222同士の間は端太120の直径と略同一の幅となっている。ガイド溝220は第一組立補助部材130aにおいて少なくとも第一型枠パネル160aの厚みの分だけ前記規制部210と離間して形成されている。第一型枠パネル160aは規制部210とガイド溝220との間に配置される。なお、ガイド溝220の形状は必ずしもチャネル状に形成されている必要はなく、端太120を型枠パネル160の外側面に向けて案内することができ、溝内が型枠パネル160に対して開放していれば、適宜変更が可能である。
【0022】
前記一対の側壁222の夫々には互いに対向する位置にスリット223が設けられている。スリット223は2段にして設けられており、下段のスリット223は上段のスリット223よりも小さく形成されている。スリット223は配置した第一型枠パネル160aの外縁から端太120の直径よりも離間した位置に形成される。付勢部材230は前記ガイド溝220内に端太120を拘束する楔状のカム板で構成されている。付勢部材230は対向するスリット223に跨って挿入される。これにより、ガイド溝220に配置された端太120は、付勢部材230に当接し、当該付勢部材230の楔効果によって第一型枠パネル160a側に押圧された状態で強固に固定される。また、付勢部材230を対向するスリット223に対して挿入する際に、上段のスリット223に挿入した後に、対向する下段のスリット223に挿入することで微振動等により付勢部材230が抜けてしまうことを防止できる。また、施工環境に応じて付勢部材230を挿入する方向を変更することができる。なお、本実施形態では付勢部材230を楔状のカム板として構成しているが、これに限定するものではなく、端太120をガイド溝220内で拘束し、端太120を第一型枠パネル160aに向かって押圧することができれば、付勢部材230にかかる設計の変更は可能である。一例としては、ボルトの締め付け等によって端太120を第一型枠パネル160aに対して付勢するものが挙げられる。また、図4に示すように、第一組立補助部材130aは、当該第一組立補助部材130aの折れ曲がりを防止するための突起240を有していてもよい。突起240は第一型枠パネル160aにおける下端の厚み部分を上部から押えることができる。これにより、第一組立補助部材130aに対して上部から圧力がかかったとしても、当該圧力を突起240が受けることによって第一組立補助部材130aの折れ曲がりを防止することができる。
【0023】
また、図5に示すように、第一組立補助部材130aは、両端の底面に脚部500を設けるものであってもよい。本実施形態では、第一型枠パネル160aの下端に対してセパレータ180aを二つ配列し、各セパレータ180aの両端に四本の脚部500を設けている。これにより、型枠100は、セパレータ180aを所定の高さで保持することができるため、コンクリート床版及びコンクリート壁の同時打設を行うことができる。なお、脚部500はこの構成に限定するものではなく、第一組立補助部材130aを施工面190から所定の高さで保持することができれば適宜構成の変更が可能である。
【0024】
図6は第一型枠パネル160aと第二型枠パネル160bとの連結状態の詳細を示す斜視図であり、図7は第二組立補助部材130bを示す拡大図である。第二組立補助部材130bは第一型枠パネル160aと第二型枠パネル160bとの間に挿入されている。
【0025】
第二組立補助部材130bは、型枠パネル160を所定位置で保持する規制部410と、前記規制部410により保持された型枠パネル160の外側面に向けて前記端太120を案内するガイド溝420と、前記ガイド溝420内に挿入された端太120を型枠パネル160へ押し付ける付勢部材440と、を備えている。更に、第二組立補助部材130bは、前記ガイド溝420内の端太120を押圧する押え金具430を備えている。第一組立補助部材130aと同様に、第二組立補助部材130bは連結部140の両端に設けられたセパレータ180bの一部を構成している。セパレータ180bは対向する二枚の型枠パネル160に跨って配置されており、対向する型枠パネル160同士を一体的に保持することができる。
【0026】
規制部410は第二組立補助部材130bの一部を折り曲げた複数の突起で形成されており、第一型枠パネル160a及び第二型枠パネル160bと当接している。図6に示すように、本実施形態において、規制部410は、第一型枠パネル160aの上端を挟み込むように設けられた一対の突起と、第二型枠パネル160bの下端を挟み込むように設けられた一対の突起と、から構成されており、計四つの突起から構成されている。型枠構造100を組み立てた際には第一型枠パネル160aの上端と第二型枠パネル160bの下端とが規制部410に挟み込まれて固定される。これにより、規制部410は、第一型枠パネル160aと前記第一型枠パネル160aの上段に積み上げた第二型枠パネル160bとを位置決めすることができ、かつ、前記第一型枠パネル160aと前記第二型枠パネル160bの充填空間150に対する移動を制限することができる。なお、本実施形態において規制部410は、第一型枠パネル160aの上端と第二型枠パネル160bの下端とを挟み込むように一対の突起から構成されているが、これに限定するものではなく、充填空間150側の突起のみを設ける等、前記第一型枠パネル160a及び第二型枠パネル160bの充填空間150に対する移動を制限することができる構成であれば適宜変更可能である。
【0027】
また、一対の規制部410は第一組立補助部材130aの一対の規制部210と同様に枠板110同士の間隔を決めることができる。第二組立補助部材130bについても、規制部410同士の間隔を調整することのできる間隔調整機構(図示しない)を備えるものであってもよい。間隔調整機構の一例としては、第一組立補助部材130aの場合と同様に、一対の規制部410の近傍に雌ネジを設けてこれら雌ネジを雄ネジによって連結し、連結した雌ネジと雄ネジの螺合量を調整することで、規制部410同士の間隔調整を行うもの等が挙げられる。
【0028】
図8は第二組立補助部材130bを上面から観察した状態を示す図である。ガイド溝420は、略U字状に形成されており、一対の規制部410により位置決めされた第一型枠パネル160a及び第二型枠パネル160bの外側面に向けて端太120を案内する。ガイド溝420は一対の係止部421により形成されている。一方の係止部421aには前記付勢部材440を挿入するためのスリット422が設けられており、他方の係止部421bには掛け止め部424が設けられている。係止部421同士の間隔は端太120の直径よりも僅かに大きく設定されている。ガイド溝420の溝底423は第一型枠パネル160aの外縁よりも充填空間150側に対して深く設定されている。つまり、ガイド溝420は、ガイド溝220と同様に、溝内が型枠パネル160に対して開放されている。これにより、端太120はガイド溝420に案内されつつ、型枠パネル160に当接することができる。なお、図8において、溝底423は、第一型枠パネル160aの外縁よりも充填空間150側に対して深く設定されていることを強調しているが、必ずしもこのように構成する必要はない。そのため、ガイド溝420の溝底423を型枠パネル160の外縁の位置と略同一の深さに設定する等、ガイド溝420によって案内された端太120が型枠パネル160に当接するようにガイド溝420の溝内が型枠パネル160に対して開放していれば、適宜設計の変更が可能である。
【0029】
押え金具430は、ガイド溝420内の前記端太120を型枠パネル160に向けて押圧し、ガイド溝420内に前記端太120を拘束するものであって、略矩形状の金属板から形成される。前記押え金具430の一部は前記端太120の一部を覆う半月状の湾曲部で形成されている。湾曲部の曲率は端太120の曲率と略同一である。押え金具430の両端には前記係止部421の夫々が挿入される一対のスリットが設けられている。すなわち、押え金具430は当該押え金具430のスリットに対して係止部421を挿入することで第二組立補助部材130bに対して係合する。この際、係止部421bの掛け止め部424は前記スリットに引っ掛けられて固定される。なお、押え金具430の形状は端太120の形状に応じて適宜変更可能である。
【0030】
付勢部材440は係止部421aに設けられたスリット422に対して挿入されてガイド溝420内に端太120を拘束する楔状のカム板で構成されている。押え金具430は一対の係止部421に対して装着された後、係止部421のスリットに対して付勢部材440を挿入することで、前記付勢部材440からの楔効果によって押圧される。なお、本実施形態では付勢部材440を楔状のカム板として構成しているが、これに限定するものではなく、端太120をガイド溝420内で拘束し、押え金具430を端太120に向けて押圧することができれば、付勢部材440にかかる設計の変更は可能である。一例としては、ボルトの締め付け等によって端太120を型枠パネル160に対して付勢するものが挙げられる。
【0031】
また、図9に示すように、第二組立補助部材130bに対して通り出し金具131を設けても良い。通り出し金具131は型枠パネル160を連続して設置した際の直線度を向上させる、所謂通り出し作業に使用するものである。図10は通り出し金具131の拡大図である。通り出し金具131は、第二組立補助部材130bに連結させるための結合部132と、端太120aを載置する載置部133と、載置した端太120aを押さえつける押圧部134と、から構成されている。結合部132は、先端を折り曲げて形成した引っ掛け部137を有しており、この引っ掛け部137を第二組立補助部材130bの押え金具430に引っ掛けることができる。押圧部134はボルトで構成されており、当該ボルトの先端には端太120aの曲率と略同一の押し当て部135が設けられている。通り出し金具131は水平方向に載置した端太120aを垂直に立設された端太120に対して押圧することで端太120の直線度を利用した通り出し作業を行うことができる。
【0032】
図1に示すように、第二型枠パネル160bと第三型枠パネル160cとの間にも第二組立補助部材130bが挿入されている。この第二組立補助部材130bについては、第一型枠パネル160aと第二型枠パネル160bとの間に配置された第二組立補助部材130bと同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0033】
前述したとおり、端太120は、第一型枠パネル160a、第二型枠パネル160b、及び第三型枠パネル160cに跨って配置されている。そして、端太120は第一組立補助部材130a及び第二組立補助部材130bによって型枠パネル160に向けて押し付けられることで、枠板110を押圧することができる。押圧された枠板110は第一組立補助部材130aの規制部210及び第二組立補助部材130bの規制部410により移動が制限され、所定位置に設定される。
【0034】
以上説明してきたように、本発明の組立補助部材130によれば、型枠に用いられる型枠パネル160の縁辺に対して当該組立補助部材130を設けることで複数枚の型枠パネル160を容易に連結することができる。更に、組立補助部材130は、ガイド溝の溝内が型枠パネル160に対して開放していることで、ガイド溝が端太120を型枠パネル160に当接するように案内できると共に、付勢部材によってガイド溝内の端太120を型枠パネル160に向けて押圧することができる。そのため、端太120は、各型枠パネル160に対して当接して各型枠パネルの上端から下端にわたって連続的に押圧することができる。これにより、連結された各型枠パネル同士は端太120の直線度によって整列された状態になり、各型枠パネルの外縁同士は可及的に直線な状態で型枠パネルを配置することができる。そのため、組立補助部材130は、定型サイズの型枠パネルを容易に連結して型枠を構成させることができるため、様々な形状の構造物に対して柔軟に対応することができると共に、配列された各型枠パネルの外縁同士が可及的に直線な状態で型枠パネルを配置することができる。
【0035】
また、組立補助部材130によれば、型枠パネル160の縁辺に対して組立補助部材130を設け、付勢部材を所定のスリットに挿入することで容易に型枠の組み立てが完了する。型枠を組み立てた際には、端太120が型枠パネル160の上端から下端にわたって連続的に押圧するため型枠パネル160の位置規制を強固にすることができる。型枠パネル160の位置規制は種々の部材により補強すれば強固にすることができるものの、本発明の組立補助部材130によれば、容易に型枠を組み立てることができ、かつ型枠パネルの強固な位置規制を実現することができる。
【0036】
更に、組立補助部材130を用いて型枠を組み立てた場合、付勢部材を引き抜くのみで端太120を回収することができる。そのため、組立補助部材130を用いた型枠は解体時の煩雑さを抑えることができる。上述したように、型枠パネル160の位置規制を強固にするためには種々の部材により型枠パネル160を補強すればよいものの、解体時の作業が増えてしまうため、型枠パネル160にかかる位置規制の強度の維持と解体の容易性の両立は困難であった。特に型枠のような仮設構造物においては解体の容易性が重要視されるため、これらの両立は従来の型枠における課題であった。これに対して、本発明の組立補助部材130によれば、型枠パネル160の強固な位置規制を実現しつつ、解体時の煩雑さを抑えることで解体を容易に行うことができる。
【0037】
図11及び図12は、本発明の組立補助部材における第二実施形態を示す図である。この実施形態は、型枠パネル160を片側のみ組み立てる工法、所謂片押し工法に用いる型枠を組み立てる際に用いられる。当該実施形態においても、組立補助部材130の構成は同様であり、第一組立補助部材130aを型枠パネル160aの下端に設け、第二組立補助部材130bを第一型枠パネル160aと第二型枠パネル160bの間に挿入する。また、片押し工法にかかる型枠を組み立てる際には、端太120を外方から支持する押え部材600を設けるものであってもよい。第一組立補助部材130a及び第二組立補助部材130bの構成及び機能については、第一実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、図13に示すように、コンクリートの圧力が生じた際に端太120が持ち上がることを防止するために端太120の下端に固定クランプ610を設けるものでもあってもよい。
【0038】
図14は本発明の第三実施形態の第一組立補助部材130aを示す斜視図である。第一組立補助部材130aは、第一実施形態の第一組立補助部材130aと同様に、型枠100を組み立てる際に用いるものである。以下の説明では、第一実施形態の第一組立補助部材130aと同様の構成部分については詳細な説明を省略又は簡略化し、第一実施形態の第一組立補助部材130aと異なる構成部分を主に説明する。図15に示すように、第一組立補助部材130aは、型枠パネル160を所定位置で保持する規制部210と、端太120を案内するガイド溝220と、前記ガイド溝220内に挿入された端太120を前記型枠パネル160に押し付ける付勢部材230と、二つの第一組立補助部材130aを連結する結合部250と、前記第一組立補助部材130aのガイド溝220内に配置される端太抱え込み部260と、前記ガイド溝220内の端太120の下部を外方から抑える端太抑え面270と、取付け部280と、前記取付け部280に装着する凹所形成部材290と、を備えている。第三実施形態において付勢部材230は楔状のカム板230で構成されている。
【0039】
図15に示すとおり、前記結合部250は雌ネジで構成されている。結合部250は対向する二つの第一組立補助部材130aを雄ネジ(図示せず)によって連結するためのものである。これにより、二つの第一組立補助部材130aが対向して接続されたセパレータ180aが完成する。このセパレータ180aは雌ネジ及び雄ネジで連結されているため、雌ネジと雄ネジの螺合量を調整することで、対向する第一組立補助部材130a同士の間隔を変化させることができる。すなわち、結合部250は対向する第一組立補助部材130aの間隔を調整することのできる間隔調整機構として機能する。これにより、各第一組立補助部材130aにおける規制部210同士の間隔を調整することができ、対向する型枠パネル160の間隔を調整することができる。その結果、成型するコンクリート構造物の厚みを調整することができる。
【0040】
端太抱え込み部260はアーチ状の湾曲プレートで構成されている。端太抱え込み部260は、湾曲部261と、前記湾曲部261の両端の側壁部262と、から構成されている。側壁部262同士の間隔は、前記ガイド溝220の側壁222同士の間隔よりも僅かに小さく構成されている。前記端太抱え込み部260は、前記ガイド溝220内において前記湾曲部261が前記端太120の下部を前記型枠パネル160側から抱え込むように配置される。この際、各側壁部262は前記ガイド溝220の各側壁222の内側に沿って配置される。側壁部262には、前記一対の側壁222に設けられた各スリット223と水平方向に重なる一対のスリット263が設けられている。スリット263は一対の側壁222のスリット223と同様に2段にして設けられており、下段のスリット263は上段のスリット263よりも小さく形成されている。なお、端太抱え込み部260の形状はアーチ状の湾曲プレートの形状に限定されるものではなく、前記ガイド溝220内の端太120の下部を前記型枠パネル160側から抱え込むことができ、前記一対の側壁222のスリット223と水平方向に重なる一対のスリット263を有していれば、適宜形状の変更は可能である。
【0041】
端太抑え面270は第一組立補助部材130aの平面部221の一部を折り曲げて形成されている。端太抑え面270は、僅かに湾曲しており、ガイド溝220内に端太120を配置した際に、前記端太120の下部に対して面接触する。これにより、前記端太抑え面270は前記端太120の下部を外方からおさえることができる。
【0042】
取付け部280は後述する凹所形成部材290が装着される部材であると共に前記型枠パネル160を所定位置で保持する規制部210としても機能する。取付け部280は第一組立補助部材130aの短手方向の両端に設けられた金属片で構成されており、この金属片の先端には折れ曲がり部281が形成されている。取付け部280は、前記型枠パネル160の配置スペースに隣接して充填空間150側に設けられている。そのため、前記取付け部280は充填空間150内に存在している。
【0043】
凹所形成部材290は、コンクリート構造物の表面に小穴を形成し、十分な被り厚を確保するための部材である。凹所形成部材290は、略矩形状に形成されており、内部に空洞を有している。凹所形成部材290の空洞には、前記取付け部280の先端の折れ曲がり部281を引っ掛けるための引っ掛け部291が設けられている。この引っ掛け部291に対して前記取付け部280の折れ曲がり部を引っ掛けることで、前記凹所形成部材290は前記コーン取付け部280に装着される。また、図16に示すように、第一組立補助部材130aにおいて、前記凹所形成部材290の装着位置に前記第一組立補助部材130aの短手方向に沿った切れ込み300を有していてもよい。これにより、前記第一組立補助部材130aを容易に切断することができると共に型枠の解体時において前記第一組立補助部材130aの切断面を成型されたコンクリート表面よりも内側にすることができる。また、図17に示すように、第一組立補助部材130aはビス136により型枠パネル160aに固定されていてもよい。ビス136は第一実施形態で説明した突起240を同一の機能を有しており、第一組立補助部材130aの折れ曲がりを防止することができる。
【0044】
図18は第三実施形態の第二組立補助部材130bを示す斜視図である。第二組立補助部材130bは取付け部280を有しておらず、上下に分割された凹所形成部材290aと凹所形成部材290bにより第二組立補助部材130bを挟むことができる。これにより、コンクリート表面に小穴を形成すると共に被り厚を確保することができる。また、第二組立補助部材130bについても凹所形成部材290の取付位置に第二組立補助部材130bの短手方向に沿った切れ込み300を有している。
【0045】
以上説明してきたように、第三実施形態の第一組立補助部材130aは端太抱え込み部260が端太120を抱え込んで保持している。そのため、一対の側壁222のスリット223及び一対の側壁部262のスリット263にカム板230が挿入されると、前記端太抱え込み部260が前記端太120の下部を押圧すると共に前記カム板230が端太抑え面270を介して前記端太120の下部を押圧する。すなわち、前記端太120の下部は前記カム板230と前記端太抱え込み部260によって挟持される。これにより、端太120は強固に保持され、前記組立補助部材130の外圧による変形を防止することができる。
【0046】
また、組立補助部材130はハーフプレキャスト工法に用いることもできる。ハーフプレキャスト工法に組立補助部材130を用いる場合、型枠パネル160を図19に示すものにすると好ましい。この型枠パネル160は、組立補助部材130を設ける縁辺に対して複数の窪み400が設けられている。この窪み400は、充填空間150側に対しては閉塞している一方、その反対側に対しては開放している。これにより、組立補助部材130の端部の可動範囲を確保することができるため、前記組立補助部材130の切れ込み300から前記組立補助部材130の端部を容易に切断できると共に切断面をコンクリート表面よりも内側にすることができる。なお、本実施形態では、型枠パネル160の下面にのみ窪み400が設けられているが、前記型枠パネル160の上面及び下面に設けられていても良い。
【0047】
更に、この型枠パネル160は側面にダボ穴410を有している。図20及び図21に示すように、ダボ穴410は組立補助部材130の配置箇所に対応して形成されている。ダボ穴410は挿入されるダボ420の長さの略半分の深さで形成されている。組立補助部材130には、ダボ420の貫通孔450が設けられている。ダボ420は型枠パネル160aを所定位置で保持する規制部210に相当する。ダボ420は、第一組立補助部材130aに設けられた貫通孔450を貫通し、コンクリート床版170に設けられた穴(図示せず)に挿入される。この際、ダボ420は上半分が外部に露出してコンクリート床版170に固定されている(図20参照)。そして、第一型枠パネル160aの側面に設けられたダボ穴410に対してダボ420が嵌入するように前記第一型枠パネル160aを配置する。これにより、第一組立補助部材130a及び第一型枠パネル160aをコンクリート床版170に対して一体的に保持することができる。なお、第一型枠パネル160aには、第一組立補助部材130aの厚みで型枠パネル160aの接合部に手隙間が生じるのを防止するため、ダボ穴410の周囲に第一組立補助部材130aの厚み分の切欠きを設けるのが好ましい。
【0048】
次に、型枠パネル160aの上面に対して第二組立補助部材130bを配置する。そして、ダボ420を第二組立補助部材130bに設けられた貫通孔450に貫通させると共に前記第一型枠パネル160aの上面に設けられたダボ穴410に対して嵌入させる。この工程を順次行うことで、型枠パネル160及び組立補助部材130を一体的に保持することができ、型枠の仮組立が容易になる。なお、ダボ穴410及びダボ420によるダボ接合は第一実施形態や第二実施形態の型枠に適用することも可能である。また、型枠パネル160aを隙間なく接合するために当該第一型枠パネル160aの周囲に実継ぎ構造を形成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
100…型枠、110…枠板、120…端太、130a…第一組立補助部材、130b…第二組立補助部材、131…通り出し金具、160…型枠パネル、180…セパレータ、210…規制部、220…ガイド溝、223…スリット、230…付勢部材、250…結合部、260…端太抱え込み部、261…湾曲部、262…側壁部、263…スリット、270…端太抑え面、280…取付け部、290…凹所形成部材、300…切れ込み、410…規制部、420…ガイド溝、423…溝底、430…押え金具、440…付勢部材、500…脚部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性充填材を流し込むための充填空間を形成する型枠に用いられる複数枚の型枠パネルを所定の施工位置で位置決めし、これら型枠パネルと端太を一体的に保持すると共に前記複数枚の型枠パネルのうち最下段に配置された型枠パネルの下端に配置して使用される組立補助部材であって、
前記組立補助部材は、
前記型枠パネルを所定位置で保持する規制部と、
一対の側壁に囲まれてチャネル状に形成されると共に前記一対の側壁の夫々にスリットを有するガイド溝と、
前記スリットの夫々に跨って挿入され、前記ガイド溝内に前記端太を拘束すると共に前記ガイド溝内に挿入された端太を前記型枠パネルへ押し付ける付勢部材と、
を備え、
前記ガイド溝は、前記規制部により保持された型枠パネルの外側面に向けて前記端太を案内すると共に溝内が前記型枠パネルに対して開放していることを特徴とする組立補助部材。
【請求項2】
前記組立補助部材のガイド溝内に配置され、前記ガイド溝内の前記端太の下部を前記型枠パネル側から抱え込むと共に前記一対の側壁に設けられた各スリットと水平方向に重なる一対のスリットを有する端太抱え込み部と、
を更に備え、
前記端太抱え込み部の各スリット及び前記一対の側壁の各スリットに対してカム板が挿入されると、前記端太の下部が前記カム板と前記端太抱え込み部によって挟持されることを特徴とする請求項記載の組立補助部材。
【請求項3】
前記一対の側壁に設けられた各スリットは、高さが異なることを特徴とする請求項1記載の組立補助部材。
【請求項4】
前記組立補助部材は、前記組立補助部材を地盤から任意の高さで保持する脚部を備えていることを特徴とする請求項のいずれかに記載の組立補助部材。
【請求項5】
硬化性充填剤を流し込むための充填空間を形成する型枠に用いられる複数枚の型枠パネルを所定の施工位置で位置決めし、これら型枠パネルと端太を一体的に保持すると共に前記複数枚の型枠パネルのうち型枠パネル同士の間に挿入されて使用される組立補助部材であって、
前記組立補助部材は、
前記型枠パネルを所定位置で保持する規制部と、
一対の係止部に挟まれた略U字状に形成されるガイド溝と、
前記一対の係止部に係合し、前記ガイド溝内に前記端太を拘束する押え金具と、
前記ガイド溝内に挿入された端太を前記型枠パネルへ押し付ける付勢部材と、
を備え、
前記ガイド溝は、前記規制部により保持された型枠パネルの外側面に向けて前記端太を案内すると共に溝内が前記型枠パネルに対して開放していることを特徴とする組立補助部材。
【請求項6】
前記付勢部材は、カム板であることを特徴とする請求項1又は5記載の組立補助部材。