(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069193
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ブロモドメイン阻害剤の合成方法
(51)【国際特許分類】
C07C 315/04 20060101AFI20240514BHJP
C07C 317/22 20060101ALI20240514BHJP
C07C 315/06 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C07C315/04
C07C317/22
C07C315/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024016804
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2021503805の分割
【原出願日】2019-07-23
(31)【優先権主張番号】62/702,085
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521027700
【氏名又は名称】セルジーン・クオンティセル・リサーチ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CELGENE QUANTICEL RESEARCH, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フィッツジェラルド・トラバース
(72)【発明者】
【氏名】ケルビン・ヒンヨン・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・クリスチャン・フェレッティ
(72)【発明者】
【氏名】ヘクラ・エーライト
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・モーズリー
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・マリア・ルダ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・プライマー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・フィリップ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ブロモドメイン阻害剤の合成工程における一臭素化方法の提供。
【解決手段】式VIIの化合物の一臭素化によって、式VIIIの化合物が生じることを含む、式VIIの化合物の一臭素化方法を提供する。
[式中、R
3は、SO
2R
4、NO
2、CN、SO
3H、CHO、C(O)R
4、COOR
4、CO
2H、C(O)N(R
4)
2、およびC(O)NH
2から成る群から選択され;R
4は、H、C
1-C
8アルキル、C
1-C
8シクロアルキル、4~10員のヘテロシクリル、6~10員のアリール、および5~10員のヘテロアリールである。]
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の化合物、またはその水和物、溶媒和物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩の合成方法であって、
式IIの化合物を、式IIIの化合物とカップリングさせて、式Iの化合物を得ること:
【化2】
[式中、
Xは、Cl、Br、またはIであり;
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、H、OH、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルコキシ、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択されるか;あるいは、R
1、R
2、およびそれらが共に結合しているホウ素は、一緒になって、炭素および0~5個のヘテロ原子を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する。]
を含む方法。
【請求項2】
XがBrである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1、R2、およびそれらが結合するホウ素が、一緒になって、炭素と、OおよびNから選択される0~5個のヘテロ原子とを含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
R1、R2、およびそれらが結合するホウ素が、一緒になって、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成し、ここで、ホウ素に直接結合する環の2つの原子が酸素である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ホウ素を含む、適宜置換されていてもよい5~10員の環が、1~3個の窒素原子を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ホウ素を含む、適宜置換されていてもよい環が、8員環である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式IIの化合物が、式II-a:
【化3】
[式中、
Qはそれぞれ独立して、-O-、-NH-、-N(R
5)-、または適宜置換されていてもよいメチレンから選択され;
Wは-O-、-NH-、または-N(R
5)-であり;
R
4はそれぞれ独立して、H、OH、CN、適宜置換されていてもよいアミノ、-C(O)R
5、-COOR
5、-C(O)N(R
5)
2、-SO2R
5、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
R
5はそれぞれ独立して、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
pは0~4である。]
で示される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
式IIの化合物が、式II-b:
【化4】
[式中、
R
4がそれぞれ独立して、H、OH、CN、適宜置換されていてもよいアミノ、-C(O)R
5、-COOR
5、-C(O)N(R
5)
2、-SO
2R
5、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
R
5がそれぞれ独立して、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
pは、0~4である。]
で示される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
式IIの化合物が、
【化5】
である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
式IIの化合物が、式IVの化合物を、ビス(ピナコラト)ジボロン(B
2pin
2)、パラジウム触媒、およびジエタノールアミン(DEA)と接触させることによって形成され、式IVの化合物が以下の構造:
【化6】
[式中、X’はCl、Br、またはIである。]
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式IVの化合物が、
式V:
【化7】
の化合物の一臭素化によって、式VI:
【化8】
の化合物が生じ、式VIの化合物をO-アルキル化して式IVの化合物が生じることによって製造され、X’がBrである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
一臭素化が、約95:5以上の比率で、式Vの化合物の二臭素化よりも進行する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
一臭素化が、約99:1以上の比率で、式Vの化合物の二臭素化よりも進行する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ギ酸および水の混合物から式Iの化合物を結晶化させることをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
式Iの結晶化化合物が、以下の特性:
【表1】
【表2】
を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式Iの化合物の純度が、少なくとも約90%、約95%、または約99%である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法によって製造される、式Iの化合物、その水和物、溶媒和物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
式VIIの化合物の一臭素化方法であって、式VIIの化合物の一臭素化によって、式VIIIの化合物が生じることを含み、ここで、式VIIおよび式VIIIの化合物が、以下の構造:
【化9】
[式中、
R
3は、SO
2R
4、NO
2、CN、SO
3H、CHO、C(O)R
4、COOR
4、CO
2H、C(O)N(R
4)
2、およびC(O)NH
2から成る群から選択され;
R
4は、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
8シクロアルキル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、および適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである。]
を有し、式VIIの化合物が、約99重量%より大きな純度を有する、方法。
【請求項19】
式VIIIの化合物が、約18℃から23℃の間の温度で、水によって洗浄される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
洗浄した式VIIIの化合物を、約23℃から約85℃の温度で乾燥させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式VIIIの化合物を、水で洗浄する前にアセトニトリル(MeCN)によって洗浄する、請求項19または20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下、米国仮特許出願第62/702,085号(2018年7月23日出願)の優先権を主張し、この開示の全体は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、医薬組成物の合成方法、特に癌の治療に有用なブロモドメイン阻害剤の合成および精製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ブロモドメイン(BRD)タンパク質は、ヒストンテールのアセチル化リシン残基(KAc)を認識し、遺伝子をオンにするように転写複合体に指示する、ヒストンリーダータンパク質の重要なクラスである。8個のBRDファミリーのうち、BRDおよびBET(ブロモドメインおよび末端外)タンパク質は、創薬のために扱いやすいことが分かっている。BETタンパク質の化学的阻害によって、抗癌、抗炎症、および男性の避妊特性などの、幅広い望ましい生物学的効果がもたらされる。
【0004】
米国特許第9,034,900号は、BETタンパク質に対するナノモル親和性を有する一連のブロモドメイン阻害剤を開示する。BETブロモドメインタンパク質に対するこれらの強力で、選択的、および浸透性の阻害剤の発見は、多様な治療分野、特に癌領域において、研究活動を刺激してきた。BETブロモドメインタンパク質の小分子阻害剤に関するいくつかの癌臨床試験が開始されている。特に、米国特許第9,034,900号に開示される、ブロモドメイン阻害剤、4-[2(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オンは、進行性固形腫瘍および再発性/難治性非ホジキンリンパ腫の治療のための臨床試験中である(NCT03220347)。
【0005】
4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オンは、本明細書において化合物1と称されるが、以下の構造:
【化1】
を有する。
【0006】
米国特許第9,034,900号において開示される、ブロモドメイン阻害剤の合成経路および精製方法は、中間体および最終化合物の複数のシリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは分取HPLC精製を必要とし、そのため全体的に中程度の収率、および純粋でない最終生成物を生じる。癌治療のためのブロモドメイン阻害剤の医学的利点を実現するために、当該業界は、ブロモドメイン阻害剤の合成のための拡張可能で頑強な精製方法を必要としている。本開示は、このニーズを満たす。
【発明の概要】
【0007】
ブロモドメイン阻害剤の工場規模の生産のための改良された方法が、本明細書において記載される。本発明の別の目的は、最終生成物を調製するための適切な精製方法を提供することである。
【0008】
本実施態様は、ブロモドメイン阻害剤、化合物 4-[2(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン(「化合物1」)の合成および精製方法を提供し、この化合物は、その結晶形態、非晶質形態、溶媒和物、および水和物、並びに本化合物を含む医薬組成物を含む。
【0009】
本開示のいくつかの実施態様は、カラムクロマトグラフィーを必要とせず、大規模合成に適している化合物1の化学合成経路に関する。全体的な合成順序および中間体は、米国特許第9,034,900号において開示されるものから変更されていないが、化合物1の数キログラムの製造の優良医薬品製造基準(GMP)のために、多くの試薬、手順、および単離技術が変更され、改良されている。
【0010】
ある実施態様において、式I:
【化2】
の化合物、その水和物、溶媒和物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩の製造方法が提供され、ここで、当該方法は、式IIの化合物を、式IIIの化合物とカップリングさせて、式Iの化合物を得ることを含む:
【化3】
[式中、
XはCl、Br、またはIであり;
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、H、OH、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルコキシ、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択されるか;あるいは、R
1、R
2、およびそれらが結合するホウ素は、一緒になって、炭素および0~5個のヘテロ原子を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する]。
【0011】
当該方法の別の局面において、(i)XはBrであるか/あるいは(ii)R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、一緒になって、炭素と、OおよびNから選択される0~5個のヘテロ原子とを含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する。さらに、本開示の方法のさらに別の局面において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、一緒になって、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成し、ここで、ホウ素に直接結合する当該環の2つの原子は、酸素である。当該方法の別の局面において、ホウ素を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環は、1~3個の窒素原子を含む。さらに、ホウ素を含む、適宜置換されていてもよい環は、8員環でありうる。
【0012】
本開示の別の実施態様において、式IIの化合物は、式II-a:
【化4】
[式中、
Qはそれぞれ独立して、-O-、-NH-、-N(R
5)-、または適宜置換されていてもよいメチレンから選択され;
Wは-O-、-NH-、または-N(R
5)-であり;
R
4はそれぞれ独立して、H、OH、CN、適宜置換されていてもよいアミノ、-C(O)R
5、-COOR
5、-C(O)N(R
5)
2、-SO2R
5、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
R
5はそれぞれ独立して、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
pは0~4である。]
を有する。
【0013】
あるいは、式IIの化合物は、以下の式II-b:
【化5】
[式中、
R
4はそれぞれ独立して、H、OH、CN、適宜置換されていてもよいアミノ、-C(O)R
5、-COOR
5、-C(O)N(R
5)
2、-SO
2R
5、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員シクロアルキルから選択され;
R
5はそれぞれ独立して、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
pが0~4である。]
を有する。
【0014】
本開示のある実施態様において、式IIの化合物は、
【化6】
である。
【0015】
式IIの化合物は、式IVの化合物を、ビス(ピナコラト)ジボロン(B
2pin
2)、パラジウム触媒、およびジエタノールアミン(DEA)(最初の反応が完了した後にDEAを加える)と接触させることによって生成することができ、ここで、式IVの化合物は、以下の構造:
【化7】
[式中、X’はCl、Br、またはIである]
を有する。
【0016】
さらに、式IVの化合物は、式V:
【化8】
の化合物の一臭素化により、式VI:
【化9】
の化合物を生じ、式VIの化合物のO-アルキル化によって式IVの化合物を生じることによって、製造することができ、ここで、X’はBrである。一臭素化は、約95:5以上の比率で、式Vの化合物の二臭素化よりも進行しうる。別の局面において、一臭素化は、約99:1以上の比率で、式Vの化合物の二臭素化よりも進行しうる。
【0017】
本開示の別の局面において、本明細書に記載の方法は、ギ酸および水の混合物から、式Iの化合物を結晶化させることをさらに含む。式Iの結晶化化合物は、以下の特性を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを含みうる:
【表1】
【0018】
ある実施態様において、本明細書に開示された方法または工程は、少なくとも約90%、約95%、または約99%の純度を有する、式Iの化合物を生じる。
【0019】
本明細書に記載される方法のいずれかによって製造される、式Iの化合物、その水和物、溶媒和物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩が、本明細書において開示される。
【0020】
本開示のある局面において、式VIIの化合物を一臭素化する方法が記載され、当該方法は、式VIIの化合物を一臭素化して、式VIIIの化合物を生成することを含む。
【0021】
式VIIIの化合物を製造するための2つの方法が、本明細書において記載される。工程1(塩化メチレン工程)は、この特定の化合物の溶解度の違いに依拠している。工程2(TFA工程)は、溶液の化学的特性に依拠し;いずれの工程も適切な化合物を提供するが、後者の工程は、より広い範囲の基質についてより良い制御を提供しうる。
【0022】
そのため、この工程は、臭素化制御のための特定の物理的特性に依拠する(一臭化物が結晶化する)ため、塩化メチレン工程は、SO2Me以外の任意のメタ配向性基には機能しない場合がある(ハロゲンは電子求引基(EWG)である)。しかしながら、MeCN/TFA工程は、任意のメタ配向性EWGに対してより一般的であるはずである。
【0023】
式VIIおよび式VIIIの化合物は、以下の構造:
【化10】
[式中、
R
3は、SO
2R
4、NO
2、CN、SO
3H、CHO、C(O)R
4、COOR
4、CO
2H、C(O)N(R
4)
2、およびC(O)NH
2から成る群から選択され;
R
4は、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
8シクロアルキル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、および適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである]
を有し、ここで、式VIIIの化合物は、約99重量%以上の純度を有する。
【0024】
当該方法または工程のある局面において、式VIIIの化合物は、約18℃から23℃の間の温度において、水で洗浄される。別の局面において、当該方法または工程はさらに、式VIIIの化合物を洗浄し、約23℃から約85℃の間の温度で乾燥させることを含む。さらに、式VIIIの化合物は、水による洗浄の前に、アセトニトリル(MeCN)で洗浄することができる。
【0025】
前記の要約、および以下の図面の簡単な説明、および詳細な説明のいずれも、例示的かつ説明的である。これらはさらに詳細を提供することを意図するものであるが、限定的に解釈されるべきではない。他の目的、利点、および新規な特徴は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、市販の化合物から中間体5をプロセススケールで合成するための方法を示す。
【0027】
【
図2】
図2は、中間体5から中間体6をプロセススケールで合成するための方法を示す。
【0028】
【
図3】
図3は、中間体6からクロスカップリング対2をプロセススケールで合成するための方法を示す。
【0029】
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、市販の化合物から中間体3をプロセススケールで合成するための方法を示す。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、市販の化合物から中間体3をプロセススケールで合成するための方法を示す。
【0030】
【
図5】
図5は、クロスカップリング対2および3のカップリングによって、目的の化合物1をプロセススケールで合成するための方法を示す。
【0031】
【
図6】
図6は、1のプロセススケールでの精製のための方法を示す。
【0032】
【0033】
【
図8】
図8は、1のプロセス精製中の多形体相互変換の第一スキームを示す。
【0034】
【
図9】
図9は、1のプロセス精製中の多形体相互変換の第二スキームを示す。
【0035】
【
図10】
図10Aおよび10Bは、触媒性能を要約するヒートマップを示し(
図10A)、ここで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、このスクリーニングスパンで、<5%から最大~85%を得る。円が大きいほど高い収率を示す。色が薄い円ほど、高い洗浄度を示す。
図10Bは、~50-95%の範囲のHPLCの収率を表すヒートマップを示す。円が大きく、色が濃いほど、高い収率を示す。
【0036】
【
図11】
図11は、化合物1(CC-90010)の1H NMRを示す。溶媒:d6DMSO。
【0037】
【
図12】
図12は、化合物1(CC-90010)形態Iの顕微鏡画像を示す。
【0038】
【
図13】
図13は、化合物1(CC-90010)形態IのXRPDを示す。
【0039】
【
図14】
図14は、粉砕後のCC-90010形態IのXRPDを示す(優先方位)。
【0040】
【
図15】
図15は、化合物1(CC-90010)形態IのDSCを示す。
【0041】
【
図16】
図16は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態4の顕微鏡画像を示す。
【0042】
【
図17】
図17は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態4のXRPDを示す。
【0043】
【
図18】
図18は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態4のDSCを示す。
【0044】
【
図19】
図19は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態5の顕微鏡画像を示す。
【0045】
【
図20】
図20は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態5のXRPDを示す。
【0046】
【
図21】
図21は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態5のDSCを示す。
【0047】
【
図22】
図22は、化合物4の化合物5への変換を示す:硫酸の効果。
【0048】
【
図23】
図23は、化合物5および化合物5-a diBrの変換を示す:H
2SO
4なし。
【0049】
【
図24】
図24は、化合物4から化合物5への反応プロファイルを示す:NBSの滴下による添加、シーディング。
【0050】
詳細な説明
I.
概要
本出願は、化合物1の好ましい合成工程または方法の開発に関する。特に、好ましい実施態様において、当該方法は、化合物1の大規模または数キログラム規模の合成を提供することができる。別の好ましい実施態様において、合成方法は、分取クロマトグラフィーまたは複雑な精製手順を必要としない。ある局面において、化合物1の合成のための最終合成工程は、以下に示すように、ボロン酸エステル化合物2’および臭化化合物3のクロスカップリング反応を含む。
【化11】
【0051】
問題なのは、化合物2’などのボロン酸エステルを調製するためのこれまでの取り組みは、生成物の安定性および拡張性に関する困難に直面していることである。本開示において、本発明者らは、以下に示すように、ボロン酸エステル化合物2の使用による、この問題の解決策を説明する。化合物2は、面倒な精製操作を必要とせず、数キログラム規模で、高収率で製造され、臭化化合物3とうまくカップリングし、目的の化合物1を高収率および純度で生成した。
【化12】
【0052】
II.
化合物1の合成
ある局面において、式Iの化合物、その水和物、溶媒和物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩の製造方法が提供され、ここで、式Iの化合物は以下の構造を有する:
【化13】
当該工程または方法は、好ましくは、式IIの化合物を式IIIの化合物とカップリングさせ、式Iの化合物を得ることを含み:
【化14】
[式中、
XはCl、Br、またはIであり;
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、H、OH、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルコキシ、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択されるか;あるいは、R
1、R
2、およびそれらが結合するホウ素は、一緒になって、炭素および0~5個のヘテロ原子を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する。
【0053】
いくつかの実施態様において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、炭素および0~5個のヘテロ原子を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する。いくつかの実施態様において、ヘテロ原子はそれぞれ独立して、OおよびNから選択される。
【0054】
いくつかの実施態様において、R1、R2、およびはそれらが結合するホウ素は、適宜置換されていてもよい5員環を形成する。いくつかの実施態様において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、適宜置換されていてもよい6員環を形成する。いくつかの実施態様において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、適宜置換されていてもよい7員環を形成する。いくつかの実施態様において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、適宜置換されていてもよい8員環を形成する。いくつかの実施態様において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、適宜置換されていてもよい9員環を形成する。いくつかの実施態様において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、適宜置換されていてもよい5員環を形成する。
【0055】
いくつかの実施態様において、R1、R2、およびそれらが結合するホウ素は、(i)炭素、およびヘテロ原子はなし;(ii)炭素、および1個のヘテロ原子;(iii)炭素、および2個のヘテロ原子;(iv)炭素、および3個のヘテロ原子;(v)炭素、および4個のヘテロ原子;または(vi)炭素、および5個のヘテロ原子を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する。
【0056】
いくつかの実施態様において、ヘテロ原子はそれぞれ独立して、O、S、N、またはPから選択される。
【0057】
いくつかの実施態様において、式IIの化合物は、式II-a:
【化15】
[式中、
Qはそれぞれ独立して、-O-、-NH-、または-N(R
5)-、または適宜置換されていてもよいメチレンから選択され;
Wは-O-、-NH-、または-N(R
5)-であり;
R
4はそれぞれ独立して、H、OH、CN、適宜置換されていてもよいアミノ、-C(O)R
5、-COOR
5、-C(O)N(R
5)
2、-SO2R
5、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
R
5はそれぞれ独立して、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
pは0~4である。]
で示されるものである。
【0058】
いくつかの実施態様において、式IIの化合物は、式II-b:
【化16】
[式中、
R
4はそれぞれ独立して、H、OH、CN、適宜置換されていてもよいアミノ、-C(O)R
5、-COOR
5、-C(O)N(R
5)
2、-SO
2R
5、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
R
5はそれぞれ独立して、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択され;
pは0~4である。]
で示されるものである。
【0059】
いくつかの実施態様において、式IIの化合物は、
【化17】
である。
【0060】
図5を参照すると、当該工程は、約15℃から約25℃の温度で、式IIの化合物、式IIIの化合物、塩基、およびイソプロパノール(IPA)を反応器に充填することを含みうる。例えば、温度は約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃でありうる。
【0061】
いくつかの実施態様において、式IIの化合物対式IIIの化合物の比は、約1:1から約3:1の間である。いくつかの実施態様において、塩基は炭酸カリウムである。反応器を撹拌して懸濁液を生成し、次いで約10から約20分間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、または約20分)にわたり水を加え、約15℃から約25℃の間の温度(例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)を維持する。次いで、反応器を3X(3回)真空パージし、次いでPd触媒を加える。ある実施態様において、Pd触媒は、以下の構造:
【化18】
[式中、Cyはシクロヘキシルである。]
を有する、SPhos Pd(クロチル)Clである。
【0062】
反応器を真空パージして、次いで約65℃および75℃の間(例えば、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、または約75℃)に加熱し、約5時間から約8時間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約5、約5.25、約5.5、約5.75、約6、約6.25、約6.5、約6.75、約7、約7.25、約7.5、約7.75、または約8時間)にわたり撹拌することができる。次いで、約60℃から約70℃(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、または約70℃)において、反応器にトリオクチルホスフィンを加え、約0.5時間から約1.5時間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、または約1.5時間)にわたり撹拌する。当該工程はさらに、約3時間から約5時間の間の時間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約3、約3.25、約3.5、約3.75、約4、約4.25、約4.5、約4.75、または約5時間)にわたり、約18℃から25℃の間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)に反応器を冷却することを含む。次いで、反応器中の反応スラリーを濾過し、IPAで洗浄し、濾過し、IPA/水で洗浄し、濾過し、水で洗浄し、適宜2回濾過する。次いで、スラリーを酢酸エチルで洗浄し、濾過し、次いで約40℃以下の温度で乾燥させて、粗製物1を得る。
【0063】
いくつかの実施態様において、当該工程はさらに、式Iの化合物をギ酸および水から結晶化させることを含む。
図6に関して、いくつかの実施態様において、結晶化は、第一容器にギ酸中の化合物1を加え、約20℃から約30℃の間の温度(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30℃)において、約15分から約30分(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30分)にわたり、撹拌することを含む。第二反応器は、ギ酸および水を加え、温度を約20℃から約30℃の間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30℃)に調節し、化合物1を播種し、約60分から約90分(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約60、約65、約70、約75、約80、約85、または約90分)にわたり撹拌した。約15から約30分(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30分)の期間にわたり、第二反応器を約20℃から約30℃の間の温度(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30℃)に維持しながら、第二反応器に第一反応器からの溶液および水を同時に添加する。第二反応器中の混合物を撹拌し、固形物を濾過し、ギ酸/水の混合物、次いで水のみで洗浄する。固形物を乾燥させて、結晶化した1を得る。
【0064】
いくつかの実施態様において、結晶化化合物1は、表2のX線粉末回折(XRPD)パターンを含む、多形体1である。
【表2】
【0065】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物の純度は、少なくとも約90%である。いくつかの実施態様において、式Iの化合物の純度は、少なくとも約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%である。いくつかの実施態様において、式Iの化合物の純度は、少なくとも99%である。いくつかの実施態様において、式Iの化合物の純度は、少なくとも99.5%である。いくつかの実施態様において、式Iの化合物の純度は、少なくとも99.9%である。
【0066】
III.
クロスカップリング対化合物2の合成
いくつかの実施態様において、式IIの化合物は、式IV:
【化19】
[式中、X’はCl、Br、またはIである]
の化合物を、ビス(ピナコラト)ジボロン(B
2pin
2)、パラジウム触媒、およびジエタノールアミン(DEA)と反応させることによって生成される。いくつかの実施態様において、X’はBrである。
【0067】
いくつかの実施態様において、式IVの化合物は、式V:
【化20】
の化合物の一臭素化によって、式VI:
【化21】
の化合物を生成し、式VIの化合物のO-アルキル化によって、式IVの化合物を生成することによって得られ、ここで、X’はBrである(化合物6)。
【0068】
いくつかの実施態様において、式Vの化合物の一臭素化は、約80:20以上の比で、二臭素化よりも進行する。いくつかの実施態様において、式Vの化合物の一臭素化は、約90:10以上の比で、二臭素化よりも進行する。いくつかの実施態様において、式Vの化合物の一臭素化は、約95:5以上の比で、二臭素化よりも進行する。いくつかの実施態様において、式Vの化合物の一臭素化は、約95:5以上の比で、二臭素化よりも進行する。いくつかの実施態様において、式Vの化合物の一臭素化は、約99:1以上の比で、二臭素化よりも進行する。
【0069】
別の局面において、式VII:
【化22】
の化合物の一臭素化によって、式(VIII):
【化23】
の化合物を生成する方法が記載され、ここで、
R
3は、SO
2R
4、NO
2、CN、SO
3H、CHO、C(O)R
4、COOR
4、CO
2H、C(O)N(R
4)
2、およびC(O)NH
2から成る群から選択され;
R
4は、H、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
8シクロアルキル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、および適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールであり;
ここで、式VIIIの化合物は、約90重量%、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、または約99重量%より高い純度を有する。工程または方法は、式VIIの化合物の一臭素化により、式VIIIの化合物を生成することを含みうる。
【0070】
いくつかの実施態様において、一臭素化は、式VIIの化合物をN-ブロモスクシンイミド(NBS)と接触させることを含む。いくつかの実施態様において、式VIIIの粗製化合物の水による洗浄は、約18℃から約23℃(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約18、約19、約20、約21、約22、または約23℃)において行われる。いくつかの実施態様において、当該方法はさらに、洗浄した式VIIIの粗製化合物を、約23℃から約85℃(または、これらの2つの温度の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約23、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、または約85℃)の温度における乾燥に付すことを含む。いくつかの実施態様において、式VIIIの粗製化合物は、水による洗浄の前に、アセトニトリル(MeCN)によって洗浄する。いくつかの実施態様において、MeCNによる洗浄は、約-12℃から約-8℃(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約-12、約-11、約-10、約-9、または約-8℃)の温度において行われる。
【0071】
当該方法は、以下の変更を許容する。溶媒:代替溶媒を使用することができる。例としては、クロロホルムまたは1,2-ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、およびアセトニトリル、テトラヒドロフラン、または2-メチルテトラヒドロフランなどの非塩素系溶媒が挙げられる。反応濃度:反応濃度は、(化合物4に関して)約2倍体積から約20倍体積まで変化させることができる。臭素化剤:さらなる臭素化試薬としては、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬の化学量論:約0.8当量から約1.9当量まで、様々な量の臭素化試薬を使用することができる。臭素化試薬の添加:臭素化試薬は、一度に全て、または約2~約20回に分けて少しずつ、または連続して加えることができる。添加時間は、約0から約72時間まで変化しうる。温度:約0℃から約40℃の反応温度が用いられうる。酸:ベンゼンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、トリフリン酸、臭化水素酸、およびトリフルオロ酢酸などの、異なる酸が想定されうる。単離:生成物を直接濾過し、塩化メチレンおよび水で洗浄する代わりに、反応の終わりに、化合物5を溶解することができる有機溶媒を充填し、次いで水の後処理によってスクシンイミドを除去し、貧溶媒を加えるか、または適切な溶媒に溶媒交換をし、化合物4を結晶化させることができうる。乾燥:約10~約60℃の温度範囲が乾燥に使用されうる。
【0072】
化合物5についての代替方法もまた開発されている。この方法は、塩素系溶媒を使用せず、化合物5-a ジブロモ不純物の形成をさらに制御することができるという点において有利である。Oberhauser, T. J. Org. Chem 1997, 62, 4504-4506を参照されたい。方法は以下の通りである。化合物4(10g、58mmol)およびアセトニトリル(100ml)を反応器に加え、撹拌した。バッチを-20℃に冷却した。バッチ温度を-10℃から-25℃に維持しながら、トリフリン酸(CF3SO3HまたはTfOH、5.5mL、62mmol)を加えた。N-ブロモスクシンイミドを添加し(NBS、11.4g、64mmol)、-10から-25℃で30分間撹拌し、次いで3~4時間にわたり20℃に昇温させた。反応が完了するまで、撹拌を15℃から25℃で継続した。完了する前に反応変換が頭打ちになった場合、反応液を-5から-15℃に冷却し、未反応の出発物質の分量に基づいて、さらにNBSを加え、次いで15℃から25℃に昇温させ、完了するまで反応させた。
【0073】
MeCNおよびTfOHを使用する上記方法の代替は、以下の通りである。臭素化剤:さらなる臭素化剤としては、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬の化学量論:約0.8当量から約2当量まで、異なる量の臭素化試薬を使用することができる。乾燥:乾燥について、約10℃から約60℃の温度範囲が用いられうる。
【0074】
いくつかの実施態様において、式VIIIの化合物は、約90重量%より高い純度を有する。いくつかの実施態様において、式VIIIの化合物は、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、または約99重量%より高い純度を有する。いくつかの実施態様において、式VIIIの化合物は、約99重量%より高い純度を有する。いくつかの実施態様において、式VIIIの化合物は、約99.9重量%より高い純度を有する。
【0075】
図1に関して、式VIの化合物(化合物5)は、約-20℃から約-12℃の間の温度(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の値、例えば、約-20、約-19、約-18、約-17、約-16、約-15、約-14、約-13、または約-12℃)において、反応器にアセトニトリル(MeCN)および化合物4を添加することによって、式Vの化合物(化合物4)から合成されうる。反応器に次いで、酸およびMeCNを添加する。いくつかの実施態様において、酸はトリフリン酸(TfOH)である。次いで、N-ブロモスクシンイミド(NBS)を反応器に少しずつ加え、反応器を約4から約5時間の間エージングさせる。反応器を次いで、約-5℃から約0℃の間の温度(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約-5、約-4、約-3、約-2、約-1、または約0℃)に昇温させる。
【0076】
当該方法はさらに、約1時間から約2時間の時間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約1、約1.25、約1.75、または約2時間)にわたり、約18℃から約23℃(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約18、約19、約20、約21、約22、または約23℃)に反応器を昇温させ、さらに約3時間から約6時間の間の時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約3、約3.25、約3.5、約3.75、約4、約4.25、約4.5、約4.75、約5、約5.25、約5.5、約5.75、または約6時間)にわたり、エージングさせることを含む。当該方法はさらに、約45℃から約50℃の間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約45、約46、約47、約48、約49、または約50℃)に反応器を昇温させて、真空下でスラリーを蒸留して廃棄物を除くことを含む。反応器を次いで、約0.1時間から約4時間の時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約0.1、約0.5、約1、約1.25、約1.5、約1.75、約2、約2.25、約2.5、約2.75、約3、3.25、約3.5、約3.75、または約4時間)にわたり、約-12℃から約-8℃の間(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約-12、約-11、約-10、約-9、約-8℃)に冷却し、少なくとも約1時間にわたり、この温度でバッチをエージングさせる。スラリーを次いで濾過し、冷却MeCNで洗浄し、約18℃から約23℃の間(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約18、約19、約20、約21、約22、または約23℃)に昇温させ、濾過し、水で洗浄した。残留物を次いで、約23℃から約85℃の間の温度(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約23、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、または約85℃)で乾燥させ、化合物5を得る。
【0077】
図2に関して、化合物6は、約15℃から約25℃の間の温度(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)において、化合物5、メチルエチルケトン(MEK)、および塩基を反応器に添加することによって合成する。いくつかの実施態様において、塩基は炭酸カリウムである。次いで、反応器に約1時間より長い時間にわたって、MEK中のブロモメチルシクロプロパンを添加する。反応器を次いで、約65℃から約75℃の間の温度(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75℃)に昇温させ、約7から約13時間の時間(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約7、約8、約9、約10、約11、約12、または約13時間)にわたってエージングさせる。反応器に順次、水を添加し、撹拌し、水層を除去し、次いで水を添加し、撹拌し、水層を除去するステップを2回以上繰り返す。
【0078】
反応器を次いで、約40から約50℃の間の温度(または、これらの2つの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50℃)に冷却する。スラリーを真空で留去して蒸留廃棄物を除去し、MEKを添加し、真空で留去して蒸留廃棄物を除去し、ヘプタンを添加し、真空で蒸留して蒸留廃棄物を再び除去する。反応器を次いで、化合物6でシーディングし、ヘプタンを添加し、真空で留去し、蒸留廃棄物を除去した。反応器を次いで、約1から約2時間の間の時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2時間)にわたり、約15℃から約25℃の間の温度(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)に冷却させ、約2から約2.5時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、または約2.5時間)にわたりエージングさせる。混合物を次いで濾過し、ヘプタンおよびMEKで洗浄し、約30℃から約50℃の間の温度(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約30、約35、約40、約45、約50℃)で乾燥させ、化合物6を生じる。
【0079】
図3に関して、以下のように、最終化合物6は、クロスカップリング対化合物2に変換される。約15℃から約25℃の間の温度(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)において、第一反応容器に、THF中の化合物6、ビス(ピナコラト)ジボロン(B
2Pin
2)、およびセシウムアセテートを添加する。第一反応器を真空パージし、次いでPd触媒を添加し、再びパージする。いくつかの実施態様において、Pd触媒はビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライドまたはPd(PPh
3)
2Cl
2である。第一反応容器を次いで、約55℃から約65℃の間の温度(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約62、約64、または約65℃)に加熱し、約6から約10時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約6、約7、約8、約9、または約10時間)エージングさせ、約15℃から約25℃の間(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)に冷却し、シリカゲルおよび活性炭を加える。いくつかの実施態様において、活性炭はescrob C-941である。他の適切な化合物もまた、当該方法のこの局面において用いることができる。
【0080】
反応器を次いで、約30分から24時間、および適宜約60分から約75分(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約30分、約40分、約50分、約60分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、または約24時間)にわたり撹拌し、濾過し、テトラヒドロフラン(THF)で洗浄する。固体を除去し、約15℃から約25℃の間の温度(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)において、濾液を第二反応器に加える。第二反応器に、ジエタノールアミン(DEA)のTHF溶液を加え、約1分から約10分の間の時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10分)にわたり撹拌し、次いで化合物2でシーディングする。THF中のDEAの第二部分を、約1時間から約2時間にわたり加え、反応器をさらに約2時間から約5時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約2、約3、約4、または約5時間)にわたり撹拌する。スラリーを濾過し、THFで洗浄し、次いで約30℃から約50℃の間の温度(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約30、約35、約40、約45、約50℃)で乾燥させ、化合物2を得る。
【0081】
上記の反応、5から6の合成の以下の変更もまた用いられうる。溶媒:異なる溶媒、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアセテート、アセトニトリル、または2-メチルテトラヒドロフランが用いられ得る。反応体積:3に対して3~30体積の反応体積が用いられうる。塩基:炭酸セシウムまたはリン酸塩基(ナトリウム、カリウム、またはセシウム)などの、異なる無機塩基が用いられうる。また、トリメチルアミンまたはジイソプロピルジイミドなどの有機塩基が用いられうる。塩基の粒子径:325メッシュの異なる粒子径の炭酸カリウムが用いられうる。反応温度:50℃などの低い温度が用いられうる。100℃などの高い温度が用いられうる。溶媒の沸点を超える任意の温度は、圧力容器内で実行されうる。単離:MEK:n-ヘプタンの異なる溶媒比が用いられうる。異なる分量の残留水が残りうる。0~50%の異なる分量のシードが用いられうる。シーディングは、後の工程および/または低い温度において生じうる。シーディングを行わない結晶化が用いられうる。0~50℃の異なる単離温度が用いられうる。異なる洗浄、例えば、MEK:n-ヘプタンの異なる比が用いられうる。ヘキサン、ペンタン、またはメチル tert-ブチルエーテルなどの、n-ヘプタンとは異なる貧溶媒が用いられうる。あるいは、バッチを、化合物3が100mg/ml未満の溶解度を有する溶媒に溶媒交換し、このシステムから単離することができる。乾燥:10~60℃の温度範囲が乾燥に用いられうる。
【0082】
6から2を合成する反応は、以下のように変更されうる。溶媒:1,4ジオキサンまたは2-メチルテトラヒドロフランなどの、THFとは異なる溶媒が用いられうる。反応体積:反応体積は、化合物2について4~50体積に変化しうる。触媒および塩基:ホウ素化について、異なるパラジウム触媒および塩基が用いられうる。Chow, Wing Kin, et al., RSC Adv., 2013, 3, 12518-12539において例が存在しうる。ホウ素化反応温度:室温(20℃)から溶媒還流までの反応温度が用いられうる。炭素/シリカ処理:処理はシリカゲルを用いずに行われうる。処理は炭素処理を用いずに行われうる。Ecosorb C-941とは異なる炭素源が用いられうる。0.01Xから1Xの重量当量まで、異なる量のシリカが用いられうる。0.01Xから1Xの重量当量まで、異なる量のEcosorb C-941が用いられうる。結晶化:ジエタノールアミンの異なる添加速度が用いられうる。1.0から3.0モル当量のジエタノールアミンの異なる量が用いられうる。おおよそTHFとは異なるケーキ洗浄が用いられうる。0.0001X重量から50X重量の異なる量のシードが用いられうる。あるいは、当該工程はシーディングされなくてもよい。乾燥:10℃から60℃の温度範囲が乾燥に用いられうる。
【0083】
IV.
クロスカップリング対化合物3の合成
クロスカップリング対化合物は、以下に示すように、市販の化合物8から合成する。
【化24】
【0084】
図4Aについて、約15℃から約25℃の間の温度(または、これらの2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)において、第一反応器にMeCN中の化合物8を添加する。様々な実施態様において、塩基、炭酸セシウムを次いで、第一反応器に少しずつ加え、第一反応器を次いで、約32℃および約36℃の間の温度(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約32、約33、約34、約35、または約36℃)に加熱する。第一反応器に次いで、約1時間から2時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約1、約1.25、約1.5、約1.75、または約2時間)にわたり、MeCN中のMeI(メチルアイオダイド)を添加する。第一反応器を次いで、約35℃および約42℃の間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、または約42℃)の温度に加熱し、約10から約14時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、または約14時間)にわたり撹拌する。第一反応器を次いで、約15℃から約25℃の間(または、これら2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)の温度に冷却し、濾過し、MeCNで洗浄し、固形物を捨て、一方で約15℃から約25℃の間の温度(または、これら2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)において、濾液を第二反応器に添加する。第二反応器中の混合物を、約80℃の温度において、空気圧下で濃縮する。第二反応器を次いで、約15℃から約25℃の間の温度(または、これら2つの値の間の任意の温度、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)に冷却し、濾過し、MeCNで洗浄する。固形物を捨てて、濾液を第三反応器に添加する。第三反応器を次いで、約45℃から約55℃の間の温度(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、または約55℃)に加熱する。第三反応器を約45℃から約55℃の間の温度(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、または約55℃)に維持しながら、第三反応器に次いで、MeCN中のNBSを添加する。第三反応器を約3時間から約4時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約3、約3.25、約3.5、約3.75、または約4時間)にわたり温度を維持しながら撹拌し、次いで約15分から約25分(または、これら2つの値の間の任意の時間、例えば、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25分)にわたり、MeCN中のNBSおよび純粋なMeCNを再び添加する。
【0085】
図4Bについて、第三反応器を約3時間から約4時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約3、約3.25、約3.5、約3.75、または約4時間)にわたり撹拌し、次いで活性炭を添加する。第三反応器を次いで、約55℃から約60℃の間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約55、約56、約57、約58、約59、または約60℃)の温度に加熱し、濾過し、第三反応器と同じ温度でMeCNによって洗浄する。固形物を捨てて、約45℃から約55℃の間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約52、約54、または約55℃)の温度において、濾液を第四反応器に添加する。第四反応器中の混合物を次いで、約45℃から約55℃の間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約52、約54、または約55℃)の温度において、真空で濃縮し、次いで化合物3でシーディングし、約30℃から40℃の間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、または約40℃)の温度で、約60から120分間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、または約120分)にわたり、撹拌する。第四反応器を次いで、約1時間から約2時間(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約1、約1.25、約1.5、約1.75、または約2時間)にわたり、約15℃から20℃の間の温度に冷却する。第四反応器に次いで、温度を維持しながら約90分から約3時間にわたり、水を添加し、さらに約30分から約90分(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の時間、例えば、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、または約90分)の時間にわたり、撹拌する。スラリーを次いで濾過し、MeCN/水(適宜ヘプタン)で洗浄し、固形物を約30℃から50℃(または、これらの値の間またはそれらを含む任意の温度、例えば、約30、約35、約40、約45、または約50℃)の間の温度で乾燥させて、化合物3を得る。
【0086】
化合物3の合成の第一方法(実施例における工程A)は、以下のように、代替試薬および条件を用いて実施されうる。溶媒:代替溶媒が用いられうる。例として、塩化メチレン、クロロホルム、または1,2ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、およびテトラヒドロフラン、または2-メチルテトラヒドロフランなどの非塩素系溶媒が挙げられる。反応濃度:反応濃度は、(化合物9に対して)約2X体積から約40X体積に変化しうる。臭素化試薬:さらなる臭素化試薬として、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬化学量論:約0.8当量から約2当量まで、異なる量の臭素化試薬を用いることができる。結晶化:約5体積から約50体積など、異なる量の水を用いることができる。結晶化はまた、シードの添加を行わなくても進行しうる。異なる水の添加回数および最終的な保持時間を用いることができる。異なる洗浄工程を用いることができる。乾燥:約10℃から約60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。
【0087】
化合物3の合成についての第二工程(実施例における工程B)は、以下のように変更されうる。溶媒:代替溶媒が用いられうる。例として、塩化メチレン、クロロホルムまたは1,2ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、およびテトラヒドロフラン、または2-メチルテトラヒドロフランなどの非塩素系溶媒が挙げられる。反応濃度:反応濃度は、(化合物8に対して)2X体積から40X体積まで変化しうる。アルキル化試薬:硫酸ジメチルなどの、ヨウ化メチルの代替メチル化試薬を用いることができる。アルキル化試薬化学量論:ヨウ化メチルの約1から約10モル当量が用いられうる。塩基:炭酸カリウムまたはリン酸塩基(ナトリウム、カリウム、またはセシウム)などの、異なる無機塩基が用いられうる。臭素化試薬:さらなる臭素化試薬としては、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬化学量論:約0.8当量から約2当量までの、臭素化試薬の異なる量を用いることができる。結晶化:約5体積から約50体積などの、異なる水の量を用いることができる。約0.0001%から約50%のシーディング率を用いることができる。結晶化はまた、シードの添加を行わなくても進行しうる。異なる水の添加回数および最終的な保持時間を用いることができる。異なる洗浄方法を用いることができる。乾燥:約10から約60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。
【0088】
V.
化合物2および3のカップリングによる、化合物1の生成
ある実施態様において、化合物1の化合物、その水和物、溶媒和物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な塩の製造のための方法が提供され:
【化25】
ここで、当該方法は、式IIの化合物を式IIIの化合物とカップリングさせて、式Iの化合物を提供することを含む;
【化26】
[式中、
Xは、Cl、Br、またはIであり;
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、H、OH、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルキル、適宜置換されていてもよいC
1-C
8アルコキシ、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルケニル、適宜置換されていてもよいC
1-C
5アルキニル、適宜置換されていてもよい4~10員のヘテロシクリル、適宜置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール、適宜置換されていてもよい6~10員のアリール、または適宜置換されていてもよい4~7員のシクロアルキルから選択されるか;あるいは、R
1、R
2、およびそれらが結合するホウ素は、一緒になって、炭素および0~5個のヘテロ原子を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する。]
【0089】
当該方法の別の局面において、(i)XはBrであり;および/または(ii)R
1、R
2、およびそれらが結合するホウ素は、一緒になって、炭素と、OおよびNから選択される0~5個のヘテロ原子を含む、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成する。さらに、本開示の方法のさらに別の局面において、R
1、R
2、およびそれらが結合するホウ素は、一緒になって、適宜置換されていてもよい5~10員環を形成し、ここで、ホウ素に直接結合する環の2つの原子は酸素である。当該方法の別の局面において、ホウ素を含む適宜置換されていてもよい5~10員環は、1~3個の窒素原子を含む。さらに、ホウ素を含む適宜置換されていてもよい環は、8員環でありうる。
【化27】
【0090】
アセトニトリル(1.6L)を、化合物2(156.7g、460mmol)、化合物3(100g、420mmol)およびリン酸三カリウム(223g、1.05mol)の混合物に加えた。撹拌を開始し、水(400mL)をバッチに加えた。系を窒素で3回真空パージし、Pd(PPh3)2Cl2(2.9g、4mmol)を加え、系を窒素で3回真空パージした。バッチを約65から約75℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)に加熱し、HPLC分析によって反応が完了するまで、内容物を少なくとも約16時間撹拌した。バッチを約60から約70℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)に冷却し、撹拌を止め、混合物を静置した。下層の水層を除去した。水(150mL)およびアセトニトリル(700mL)を、約60から約70℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)で添加した。約60から約70℃(またはこれらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)で、Ecosorb C-941(15g)およびセライト(10g)を反応容器に加えた。1時間後、混合物を濾過して、固形物を除去した。約60から約70℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)において、固形物を、それぞれ18%水/アセトニトリル(500mL)で2回洗浄した。濾液を合わせて、大気圧下で、1.5Lの最終体積に濃縮した。バッチを約60から約65℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)に冷却し、化合物1(1g)でシーディングした。1時間後、約60から約65℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)において、水(500mL)を少なくとも1時間にわたり加えた。スラリーを、4時間にわたり、約15から約25℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度)に冷却した。生成物を吸引濾過によって回収した。湿ったケーキを、45%水/アセトニトリル(500mL)で2回洗浄した。生成物を約40℃において、窒素パージによって真空で乾燥させた。収量:139gの1。
【0091】
化合物3および化合物2をカップリングして、化合物1を生成するための前記方法は、以下のような任意の方法で変更されうる。反応溶媒:テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン、およびイソプロパノールなどの、アセトニトリルと異なる反応溶媒を用いることができる。ピナコラトエステル化合物7、および化合物2の遊離ボロン酸などの、化合物2と異なるボロン酸エステルを用いることができる。ボロン酸エステルの例は、Lennox et al., Chem. Soc. Rev., 43: 412 (2014)に存在しうる。炭素処理:Ecosorb C-941と異なる炭素処理が用いられうる。0.01から0.5X重量の炭素の異なる量を用いることができる。炭素は除去することができる。0.01から0.5X重量のセライトの異なる量を用いることができる。結晶化:5体積から50体積などの、異なる量の水を用いることができる。結晶化はまた、シードを添加しなくても進行しうる。異なる水の添加回数および最終的な保持時間を用いることができる。異なる洗浄方法を用いることができる。乾燥:10から60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。触媒:異なる金属およびリガンドの組み合わせが用いられうる。金属/リガンドの組み合わせの例は、Maluenda, Irene; Navarro, Oscar, Molecules, 2015, 20, 7528に存在しうる。様々な触媒として、以下が挙げられる:XPhos-3G(cas#1445085-55-1);cataCXium(登録商標)A Pd 3G(CAS#1651823-59-4);PdCl
2(DtBPF)(CAS#95408-45-0);SPhos 3G(Cas#1445085-82-4);AmPhos 3G(Cas#1820817-64-8);PCy
3 3G(Cas#1445086-12-3);Pd PEPPSI IPent Cas#1158652-41-5);Pd(PPh
3)
2Cl
2(Cas#13965-03-2)。ボロン酸エステル2または7を用いて3にカップリングする、化合物1を生じることが実証されている触媒系の例を、以下の表4に列挙する。
【表3】
【0092】
VI.
ギ酸および水からの結晶化による、化合物1(CC-90010)の精製
ギ酸および水からの結晶化による化合物1の精製方法が、本明細書において記載される。最も安定な形態である形態1、および2つの準安定形態である形態4などの、化合物1の3つの異なる多形体を得るための方法もまた記載される。
結晶化はまた、シードを添加しなくても進行しうる。異なる水の添加回数および最終的な保持時間を用いることができる。異なる洗浄工程を用いることができる。乾燥:10から60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。触媒:異なる金属およびリガンドの組み合わせが用いられうる。金属/リガンドの組み合わせの例は、Maluenda, Irene; Navarro, Oscar, Molecules, 2015, 20, 7528に存在しうる。様々な触媒として、以下が挙げられる:XPhos-3G(cas#1445085-55-1);cataCXium(登録商標)A Pd 3G(CAS#1651823-59-4);PdCl
2(DtBPF)(CAS#95408-45-0);SPhos 3G(Cas#1445085-82-4);AmPhos 3G(Cas#1820817-64-8);PCy
3 3G(Cas#1445086-12-3);Pd PEPPSI IPent Cas#1158652-41-5);Pd(PPh
3)
2Cl
2(Cas#13965-03-2)。ボロン酸エステル2または7を用いて3にカップリングする、化合物1を生じることが実証されている触媒系の例を、以下の表4に列挙する。
【表4】
【0093】
VI.ギ酸および水からの結晶化による、化合物1(CC-90010)の精製
ギ酸および水からの結晶化による化合物1の精製方法が、本明細書において記載される。最も安定な形態である形態1、および2つの準安定形態である形態4および形態5などの、化合物1の3つの異なる多形体を得るための方法もまた記載される。以下の例において、3つの全ての形態についてのサポートデータ(XRPD、DSC、顕微鏡撮影)を提供する。
【0094】
化合物1(CC-90010)の構造を以下に示す:
【化28】
【0095】
結晶化は、活性な医薬成分を単離するための主要な技術である。結晶化は精製であるべきであり、多形体の制御をもたらすべきである。説明される当該方法は、ギ酸および水から最も安定した既知の化合物1(CC-90010)の形態を結晶化する方法を記載する。また、2つの準安定な形態を単離する方法が記載される。
【0096】
特に、これまで使用されたことのない系である、ギ酸および水から化合物1(CC-90010)を精製するための方法が記載される。溶媒組成物、添加速度、および乾燥を変化させることによって、異なる多形体を得ることができる。
【0097】
最終化合物1(CC-90010)、形態1の最初の分離方法は、39体積の2つのICHクラスII溶媒、メタノールおよびテトラヒドロフランを用いること、および多くの蒸留を含むため、方法が複雑になる。工程はシーディングされてないため、多形体または物理的性質を制御することができない、確率的な固形物の生成に依存する。
【0098】
4つの工程が以下に記載される。全て、ギ酸、ICHクラスIII溶媒、および水のみを用いる。形態1(最も安定な多形体)への2つの方法は、いずれも形態1でシーディングすることによって多形体を制御し、より体積効率が高い(14から16X体積)。(準安定性)形態4を生成する方法、および(準安定性)形態5を生成する方法もまた、提供される。記載される方法の全てについて、溶媒比を変更してもよく、温度を変更してもよく、シード量を変更してもよく、洗浄組成物および量を変更してもよく、乾燥温度を変更してもよい。
【0099】
工程1(形態1について):化合物1(1.0X重量)およびギ酸(7.0X体積)を、反応器1に加える。この混合物を撹拌し、次いで研磨濾過によって反応器2に移す。ギ酸(1.0X体積)を反応器1に加え、次いで研磨濾過したものを反応器2に移す。水(2.2X体積)を1時間にわたり、別途研磨濾過を介して、反応器2に加える。化合物1シード(1重量%、形態1)を加え、バッチを約20℃から約25℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)に保持する。水(4.8X体積)を、3回の異なる添加(0.25、0.60、および3.95X体積)において、研磨濾過によって反応器2に加える。それぞれの添加を1時間にわたり行い、添加の間隔は1時間である。3回の全ての添加の後、バッチを少なくとも1時間保持する。全ての添加について、約20℃から約25℃のバッチ温度(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)を維持する。
【0100】
バッチを濾過し、研磨濾過したギ酸および水(それぞれ、1.5X体積のギ酸+1.5X体積の水)で2回、研磨濾過した水(それぞれ、3X体積)で2回洗浄し、約35℃から約45℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、または約45℃)において、減圧下で乾燥する。
【0101】
工程2(形態1について):化合物1(CC-90010)(1.0X重量)を、反応器1においてギ酸(5.0X体積)に加え、溶解するまで20℃から30℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30℃)で撹拌する。研磨濾過したギ酸(2.0X体積)および研磨濾過した水(1.8X体積)を反応器2に加え、約20℃から約30℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30℃)で撹拌する。化合物1(CC-90010)シード(形態1、0.02から0.04X重量)を反応器2に加え、得られたスラリーを少なくとも60分間撹拌する。
【0102】
次いで、反応器1における化合物1(CC-90010)/ギ酸溶液、および水(4.4X体積)を、研磨濾過を介して同時に、6~10時間(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の時間、例えば、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、または約10時間)にわたり、約20℃から約30℃の温度(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30℃)で維持しながら、反応器2におけるシードベッドスラリーに加える。添加した後、ギ酸(1X体積)を反応器1に加える。反応器1におけるギ酸洗い流し液、および水(0.9X体積)を、研磨濾過を介して同時に、少なくとも約15分にわたり、約20℃から約30℃の温度(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30℃)を維持しながら、反応器2におけるバッチに加える。
【0103】
形態4についての工程:化合物1(CC-90010)(1.0X重量)を反応フラスコに加え、次いでギ酸(8.0X重量)および水(2.2X重量)を加える。少量の形態1シードを加え、この混合物を約20℃から約25℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、または約25℃)において、約2時間または任意の適切な時間にわたり撹拌する。スラリーを濾過し、湿ったケーキは乾燥させない。
【0104】
形態5についての工程:化合物1(CC-90010)(1.0X重量)を反応フラスコに加え、次いでギ酸(8.0X体積)および水(2.2X体積)を加える。この混合物を約15℃(または任意の適切な温度)において、約4時間(または任意の適切な時間)にわたり撹拌する。スラリーを濾過し、湿ったケーキは乾燥させない。バッチを濾過し、研磨濾過したギ酸および水(それぞれ、1.5X重量のギ酸+1.5X重量の水)で2回、研磨濾過した水(それぞれ、3X重量)で2回洗浄し、約35℃から約45℃(または、これらの2つの値の間およびそれらを含む任意の温度、例えば、約35、約36、約37、約38、約39、または約40℃)において減圧下で乾燥させる。
【0105】
VI.定義
以下の定義は、本明細書を通して用いられる特定の用語の理解を容易にするために提供される。
【0106】
本明細書において用いられる技術的および科学的用語は、特に定義されない限り、当業者によって一般に理解される意味を有する。当業者に既知の任意の適切な材料および/または方法を、本明細書に記載される方法の実行において用いることができる。
【0107】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが明らかでない限り、複数の言及を含む。本明細書を通して、特に言及されない限り、「含む」、「含んでいる」、および「など」は、排他的ではなく包括的に用いられ、そのため記載される整数または整数の群は、1つ以上の他の言及されない整数または整数の群を含みうる。用語「または」は、例えば「いずれかの」などに変更されない限り、包括的である。そのため、文脈からそうでないことが明らかでない限り、用語「または」は、特定のリストの任意の1つのメンバーを意味し、また、そのリストのメンバーの任意の組み合わせを含む。実施例以外に、または他に示されている場合、本明細書において用いられる成分または反応条件の量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって変更されると理解されるべきである。
【0108】
用語「約」は当業者によって理解され、使用される文脈に応じてある程度変化するであろう。使用される文脈を考えても、当業者によって明確でない当該用語の使用がある場合、「約」は特定の用語の最大±10%を意味するであろう。例えば、いくつかの実施態様において、それは特定の用語の±5%を意味するであろう。本明細書において、特定の範囲が、数値の前に用語「約」を伴って示される。用語「約」は、先行する正確な数、並びにその用語が先行する数に近い、またはおよその数についての文言上のサポートを提供するために、本明細書において使用される。数が具体的に列挙された数に近似する、またはおよそその数であるかどうかの決定において、その列挙されていない近似またはおよその数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙される数と実質的に等価なものを提供する数でありうる。
【0109】
見出しは、便宜上のみのために提供され、決して本発明を限定すると解釈されるべきではない。特に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施態様のみを記載することを目的とし、特許請求の範囲のみによって定義される本発明の範囲を限定することを意図しない。本開示をさらに容易に理解できるようにするため、いくつかの用語を最初に定義する。追加の定義は、詳細な説明全体に記載される。
【0110】
本明細書に記載されるブロモドメイン阻害剤化合物(すなわち、化合物1)は、ブロモドメイン4(BRD4)阻害剤である。予備的なインビトロ試験において、いくつかの異なる細胞株(Raji、ヒトバーキットリンパ腫細胞;HL-60、ヒト前白血病細胞;およびNCI-H460、ヒト非小細胞性肺癌細胞)において、他の癌関連阻害活性に加えて、BRD4阻害が観測された。米国特許第9,034,900号を参照されたい。
【0111】
本実施態様の文脈において、4-[2(シクロプロピルメトキシ)-5-メチルスルホニルフェニル]-2-メチルイソキノリン-1-オン、または化合物1などは、文脈によって特定することが必要でない限り(例えば、「形態1」)、その結晶形態、非晶質形態、溶媒和物、水和物、および薬学的に許容可能な塩;並びに本化合物を含む医薬組成物を含む。特に言及されない限り、本明細書に示される構造は、1つ以上の同位体的に濃縮された原子の存在、またはそのような化合物を構成する1つ以上の原子における原子同位体の非天然な割合のみが異なる化合物を含むことが意図される。
【0112】
範囲などの全ての数値指定、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、1、5、または10%の増分で変化(+)または(-)する近似値である。全ての数値指定の前に用語「約」が先行していることが常に明示的に言及されているわけではないことが理解されるべきである。本明細書に記載の試薬は単なる例示であり、そのような等価物が当技術分野において既知であることが、常に明示的に言及されているわけではないこともまた、理解されるべきである。
【0113】
「FIO」は、「参考として」を意味する。
【0114】
「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを意味する。
【0115】
「IPC」は、「プロセス制御において」を意味する。
【0116】
「NMR」は、核磁気共鳴を意味する。
【0117】
「NMT」は、「~より多くない」を意味する。
【0118】
本明細書で用いられる、C1-12、C1-8、またはC1-6などの、Cm-nは、基の前に用いられる場合、mからn個の炭素原子を含む基をいう。
【0119】
「適宜置換されていてもよい」は、基およびその基の置換された形態から選択される基をいう。置換基は、以下で定義される基のいずれかを含みうる。ある実施態様において、置換基は、C1-C10またはC1-C6アルキル、置換C1-C10またはC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C6-C10アリール、C3-C8シクロアルキル、C2-C10ヘテロシクリル、C1-C10ヘテロアリール、置換C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルキニル、置換C6-C10アリール、置換C3-C8シクロアルキル、置換C2-C10ヘテロシクリル、置換C1-C10ヘテロアリール、ハロ、ニトロ、シアノ、-CO2H、またはそのC1-C6アルキルエステルから選択される。
【0120】
「アルキル」は、1~10個の炭素原子、および好ましくは1~6個の炭素原子を有する、一価飽和脂肪族ヒドロカルビル基をいう。当該用語としては、例えば、メチル(CH3-)、エチル(CH3CH2-)、n-プロピル(CH3CH2CH2-)、イソプロピル((CH3)2CH-)、n-ブチル(CH3CH2CH2CH2-)、イソブチル((CH3)2CHCH2-)、sec-ブチル((CH3)(CH3CH2)CH-)、t-ブチル((CH3)3C-)、n-ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2)、およびネオペンチル((CH3)3CCH2-)などの直鎖および分岐鎖ヒドロカルビル基が挙げられる。
【0121】
「アルケニル」は、2~10個の炭素原子、および好ましくは2~6個の炭素原子、または好ましくは2~4個の炭素原子を有し、少なくとも1部位、好ましくは1~2部位のビニル(>C=C<)不飽和を有する、一価直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基をいう。そのような基は、例えば、ビニル、アリル、およびブト-3-エン-1-イルによって例示される。この用語には、シスおよびトランス異性体、またはこれらの異性体の混合物が含まれる。
【0122】
「アルキニル」は、2~10個の炭素原子、および好ましくは2~6個の炭素原子、または好ましくは2~3個の炭素原子を有し、少なくとも1部位、および好ましくは1~2部位のアセチレン(-C≡C-)不飽和を有する、直鎖または分岐鎖一価ヒドロカルビル基をいう。そのようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(-C≡CH)、およびプロパルギル(-CH2C≡CH)が挙げられる。
【0123】
「置換アルキル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~5個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の置換基を有する、アルキル基をいい、ここで、前記置換基は、本明細書において定義される通りである。
【0124】
「ヘテロアルキル」は、1つ以上の炭素が、-O-、-S-、SO
2、本明細書において提供されるP含有基、-NR
Q-、
【化29】
[式中、R
QはHまたはC
1-C
6アルキルである。]
で置き換えられたアルキル基をいう。置換ヘテロアルキルは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO
3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る基から選択される、1~5個、好ましくは1~3個、さらに好ましくは1~2個の置換基を有するヘテロアルキル基をいい、ここで、前記置換基は本明細書において定義される通りである。
【0125】
「置換アルケニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~3個の置換基、好ましくは1~2個の置換基を有するアルケニル基をいい、ここで、前記置換基は本明細書に定義される通りであり、但し、ヒドロキシルまたはチオール置換基は、いずれもビニル(不飽和)炭素原子に結合していない。
【0126】
「ヘテロアルケニル」は、1つ以上の炭素が、-O-、-S-、SO
2、本明細書において提供されるP含有基、-NRQ-、
【化30】
[式中、R
Qは、HまたはC
1-C
6アルキルである。]
で置き換えられたアルケニル基をいう。置換ヘテロアルケニルは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO
3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~5個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の置換基を有するヘテロアルケニル基をいい、ここで、前記置換基は本明細書において定義される通りである。
【0127】
「置換アルキニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~3個の置換基、好ましくは1~2個の置換基を有するアルキニル基をいい、ここで、前記置換基は本明細書において定義される通りであり、但し、ヒドロキシルまたはチオール置換基は、いずれもアセチレン炭素原子に結合していない。
【0128】
「ヘテロアルキニル」は、1つ以上の炭素が、-O-、-S-、SO
2、本明細書において提供されるP含有基、-NRQ-、
【化31】
[式中、R
QはHまたはC
1-C
6アルキルである。]
で置き換えられたアルキニル基をいう。置換ヘテロアルキニルは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO
3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~5個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の置換基を有するヘテロアルキニル基をいい、ここで、前記置換基は本明細書において定義される通りである。
【0129】
「アルキレン」は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個、およびさらに好ましくは1~3個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖のいずれかである、二価飽和脂肪族ヒドロカルビル基をいう。本用語は、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、n-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、イソ-プロピレン(-CH2CH(CH3)-または-CH(CH3)CH2-)、ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)、イソブチレン(-CH2CH(CH3-)CH2-)、sec-ブチレン(-CH2CH2(CH3-)CH-)などの基によって例示される。同様に、「アルケニレン」および「アルキニレン」は、それぞれ1または2個の炭素-炭素二重結合、または炭素-炭素三重結合を含む、アルキニレン基をいう。
【0130】
「置換アルキニレン」は、1~3個の水素が、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、およびオキソから成る群から選択される置換基で置換されたアルキレン基をいい、ここで、前記置換基は本明細書で定義される通りである。いくつかの実施態様において、アルキレンは1~2個の前記基、または-O-、-S-、または-NRQ-基で置き換えられた1~3個の炭素原子を有し、ここで、RQはHまたはC1-C6アルキルである。アルキレンがオキソ基で置換されている場合、アルキレン基の同じ炭素に結合する2つの水素が、「=O」によって置換されることに注意されたい。「置換アルキレン」および「置換アルキニレン」は、置換アルキレンについて記載された置換基によって置換された、アルケニレンおよび置換アルキニレン基をいう。
【0131】
「アルキニレン」は、2~10個の炭素原子、および好ましくは2~6個の炭素原子、または好ましくは2~3個の炭素原子を有し、少なくとも1部位、および好ましくは1~2部位のアセチレン(-C≡C-)不飽和を有する、直鎖または分岐鎖二価ヒドロカルビル基をいう。そのようなアルキレン基の例としては、C≡C-およびCH2C≡C-が挙げられる。
【0132】
「置換アルキニレン」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~3個の置換基、および好ましくは1~2個の置換基を有する、アルキニレン基をいい、ここで、前記置換基は本明細書において定義される通りであり、但し、ヒドロキシルまたはチオール置換基は、いずれもアセチレン炭素原子に結合していない。
【0133】
「ヘテロアルキレン」は、1つ以上の炭素が、-O-、-S-、SO
2、本明細書において提供されるP含有基、-NR
Q-、
【化32】
[式中、R
Qは、HまたはC
1-C
6アルキルである。]
で置き換えられたアルキレン基をいう。「置換ヘテロアルキレン」は、置換アルキレンについて開示された置換基から選択される、1~3個の置換基、および好ましくは1~2個の置換基を有する、ヘテロアルキニレン基をいう。
【0134】
「ヘテロアルケニレン」は、1つ以上の炭素が、-O-、-S-、SO
2、本明細書において提供されるP含有基、-NR
Q-、
【化33】
[式中、R
QはHまたはC
1-C
6アルキルである。]
で置き換えられた、アルケニレン基をいう。「置換ヘテロアルケニレン」は、置換アルケニレンについて開示される置換基から選択される、1~3個の置換基、および好ましくは1~2個の置換基を有する、ヘテロアルキニレン基をいう。
【0135】
「ヘテロアルキニレン」は、1つ以上の炭素が、-O-、-S-、SO
2、本明細書において提供されるP含有基、-NR
Q-、
【化34】
[式中、R
QはHまたはC
1-C
6アルキルである。]
で置き換えられた、アルキニレン基をいう。「置換ヘテロアルキニレン」は、置換アルキニレンについて開示される置換基から選択される、1~3個の置換基、および好ましくは1~2個の置換基を有する、ヘテロアルキニレン基をいう。
【0136】
「アルコキシ」は、Oアルキル基をいい、ここで、アルキルは本明細書において定義される通りである。アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびn-ペントキシが挙げられる。
【0137】
「置換アルコキシ」は、O(置換アルキル)基をいい、ここで、置換アルキルは本明細書において定義される通りである。
【0138】
「アシル」は、H-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール-C(O)-、ヘテロ環-C(O)-、および置換ヘテロ環-C(O)-基をいい、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。アシルとしては、「アセチル」基CH3C(O)-が挙げられる。
【0139】
「アシルアミノ」は、-NR47C(O)アルキル、-NR47C(O)置換アルキル、-NR47C(O)シクロアルキル、-NR47C(O)置換シクロアルキル、-NR47C(O)シクロアルケニル、-NR47C(O)置換シクロアルケニル、-NR47C(O)アルケニル、-NR47C(O)置換アルケニル、-NR47C(O)アルキニル、-NR47C(O)置換アルキニル、-NR47C(O)アリール、-NR47C(O)置換アリール、-NR47C(O)ヘテロアリール、-NR47C(O)置換ヘテロアリール、-NR47C(O)ヘテロ環式基、およびNR47C(O)置換ヘテロ環式基をいい、ここで、R47は、水素またはアルキルであり、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書で定義される通りである。
【0140】
「アルキルオキシ」は、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、アルケニル-C(O)O-、置換アルケニル-C(O)O-、アルキニル-C(O)O-、置換アルキニル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、置換アリール-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、シクロアルケニル-C(O)O-、置換シクロアルケニル-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、置換ヘテロアリール-C(O)O、ヘテロ環-C(O)O-、および置換ヘテロ環-C(O)O-基をいい、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0141】
「アミノ」は、NH2基をいう。
【0142】
「置換アミノ」は、-NR48R49基をいい、ここで、R48およびR49は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、SO2アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アルケニル、-SO2-置換アルケニル、-SO2-シクロアルキル、-SO2-置換シクロアルキル、-SO2-シクロアルケニル、-SO2-置換シクロアルケニル、-SO2-アリール、-SO2-置換アリール、-SO2-ヘテロアリール、-SO2-置換ヘテロアリール、-SO2-ヘテロ環式基、および-SO2-置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R48およびR49は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、但し、R48およびR49は同時に水素ではなく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。R48が水素であり、R49がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書において時に、アルキルアミノと称される。R48およびR49がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書において時に、ジアルキルアミノと称される。一置換アミノについて言及するとき、R48またはR49のいずれかが水素であるが、両方ではないことが意味される。二置換アミノについて言及するとき、R48またはR49のいずれも水素でないことが意味される。
【0143】
「アミノカルボニル」は、-C(O)NR50R51基をいい、ここで、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0144】
「アミノチオカルボニル」は、-C(S)NR50R51基をいい、ここで、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0145】
「アミノカルボニルアミノ」は、-NR47C(O)NR50R51基をいい、ここで、R47は水素またはアルキルであり、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0146】
「アミノチオカルボニルアミノ」は、-NR47C(S)NR50R51基をいい、ここで、R47は水素またはアルキルであり、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基、または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0147】
「アミノカルボニルオキシ」は、-O-C(O)NR50R51基をいい、ここで、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0148】
「アミノスルホニル」は、-SO2NR50R51基をいい、ここで、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0149】
「アミノスルホニルオキシ」は、-O-SO2NR50R51基をいい、ここで、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0150】
「アミノスルホニルアミノ」は、-NR47SO2NR50R51基をいい、ここで、R47は水素またはアルキルであり、R50およびR51は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は適宜、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0151】
「アミジノ」は、-C(=NR52)NR50R51基をいい、ここで、R50、R51、およびR52は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、ここで、R50およびR51は、それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0152】
「アリール」または「Ar」は、単環(例えば、フェニル)、または縮合環が芳香族(例えば、2-ベンズオキサゾリノン、2H-1,4-ベンズオキサジン-3(4H)-オン-7-イルなど)であってもなくてもよい、複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する、6~14個の炭素原子の一価芳香族炭素環式基をいい、但し、結合点は芳香族炭素原子上に存在する。好ましいアリール基としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0153】
「置換アリール」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~5個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の置換基で置換された、アリール基をいい、ここで、前記置換基は、本明細書において定義される通りである。
【0154】
「アリーレン」は、単環または複数の縮合環を有する、6~14個の炭素原子の二価芳香族炭素環式基をいう。「置換アリーレン」は、1~5個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の、アリール基について定義される置換基を有する、アリーレンをいう。
【0155】
「ヘテロアリーレン」は、1~10個の炭素原子と、環中の酸素、窒素、および硫黄から成る群から選択される1~4個のヘテロ原子との二価芳香族基をいう。「置換ヘテロアリーレン」は、置換アリールについて定義される置換基と同じ群から成る群から選択される、1~5個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の置換基で置換された、ヘテロアリーレン基をいう。
【0156】
「アリールオキシ」は、-O-アリール基をいい、ここで、アリールは本明細書において定義される通りであり、例として、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。
【0157】
「置換アリールオキシ」は、-O-(置換されたアリール)基をいい、ここで、置換アリールは本明細書において定義される通りである。
【0158】
「アリールチオ」は、-S-アリール基をいい、ここで、アリールは本明細書において定義される通りである。
【0159】
「置換アリールチオ」は、S(置換されたアリール)基をいい、ここで、置換アリールは本明細書において定義される通りである。
【0160】
「カルボニル」は、-C(=O)-基と同じである、二価の-C(O)-基をいう。
【0161】
「カルボキシル」または「カルボキシ」は、COOHまたはその塩をいう。
【0162】
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」は、-C(O)(O)-アルキル、-C(O)(O)-置換アルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)(O)-置換アルケニル、-C(O)(O)-アルキニル、-C(O)(O)-置換アルキニル、-C(O)(O)-アリール、-C(O)(O)-置換アリール、-C(O)(O)-シクロアルキル、-C(O)(O)-置換シクロアルキル、-C(O)(O)-シクロアルケニル、-C(O)(O)-置換シクロアルケニル、-C(O)(O)-ヘテロアリール、-C(O)(O)-置換ヘテロアリール、-C(O)(O)-ヘテロ環式基、および-C(O)(O)-置換ヘテロ環式基をいい、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0163】
「(カルボキシルエステル)アミノ」は、-NR47C(O)(O)-アルキル、-NR47C(O)(O)-置換アルキル、-NR47C(O)O-アルケニル、-NR47C(O)(O)-置換アルケニル、-NR47C(O)(O)-アルキニル、-NR47C(O)(O)-置換アルキニル、-NR47C(O)(O)-アリール、-NR47C(O)(O)-置換アリール、-NR47C(O)(O)-シクロアルキル、-NR47C(O)(O)-置換シクロアルキル、-NR47C(O)(O)-シクロアルケニル、-NR47C(O)(O)-置換シクロアルケニル、-NR47C(O)(O)-ヘテロアリール、-NR47C(O)(O)-置換ヘテロアリール、-NR47C(O)(O)-ヘテロ環式基、および-NR47C(O)(O)-置換ヘテロ環式基をいい、ここで、R47はアルキルまたは水素であり、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0164】
「(カルボキシルエステル)オキシ」は、-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)(O)-置換アルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換-アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-ヘテロ環式基、および-O-C(O)O-置換ヘテロ環式基をいい、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0165】
「シアノ」は、CN基をいう。
【0166】
「シクロアルキル」は、単環、または縮合、架橋、およびスピロ環系などの複数の環を有する、3~10個の炭素原子の環状アルキル基をいう。縮合環は、非アリール部分が分子の残りに結合している場合、アリール環でありうる。適切なシクロアルキル基の例としては、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0167】
「シクロアルケニル」は、単一または複数の環を有し、少なくとも1つの>C=C<環不飽和、および好ましくは1~2個の>C=C<環不飽和を有する、3~10個の炭素原子の非芳香族環状アルキル基をいう。
【0168】
「置換シクロアルキル」および「置換シクロアルケニル」は、オキソ、チオキソ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~5個、または好ましくは1~3個の置換基を有する、シクロアルキルまたはシクロアルケニル基をいい、ここで、前記置換基は、本明細書において定義される通りである。
【0169】
【0170】
【0171】
「シクロアルキルオキシ」は、-O-シクロアルキルをいう。
【0172】
「置換シクロアルキルオキシ」は、-O-(置換シクロアルキル)をいう。
【0173】
「シクロアルキルチオ」は、-S-シクロアルキルをいう。
【0174】
「置換シクロアルキルチオ」は、-S-(置換されたシクロアルキル)をいう。
【0175】
「シクロアルケニルオキシ」は、-O-シクロアルケニルをいう。
【0176】
「置換シクロアルケニルオキシ」は、-O-(置換シクロアルケニル)をいう。
【0177】
「シクロアルケニルチオ」は、-S-シクロアルケニルをいう。
【0178】
「置換シクロアルケニルチオ」は、-S-(置換シクロアルケニル)をいう。
【0179】
「グアニジノ」は、-NHC(=NH)NH2基いう。
【0180】
「置換グアニジノ」は、-NR53C(=NR53)N(R53)2をいい、ここで、R53はそれぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基から成る群から選択され、共通のグアニジノ窒素原子に結合する2つのR53基は、適宜それらに結合する窒素と一緒になって、ヘテロ環式基、または置換ヘテロ環式基を形成してもよく、但し、少なくとも1つのR53は水素でなく、ここで、前記置換基は、本明細書において定義される通りである。
【0181】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをいう。
【0182】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基をいう。
【0183】
「ヘテロアリール」は、1~10個の炭素原子と、環中の酸素、窒素、および硫黄から成る群から選択される1~4個のヘテロ原子の芳香族基をいう。そのようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジニルまたはフリル)、または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有してもよく、ここで、縮合環は、芳香族であってもなくてもよく、および/または結合点が芳香族ヘテロアリール基の原子を介して結合している限り、ヘテロ原子を含んでも含まなくてもよい。ある実施態様において、ヘテロアリール基の窒素および/または硫黄環原子は、適宜酸化されて、Nオキシド(N→O)、スルフィニル、またはスルホニル基を提供してもよい。いくつかの限定されない例としては、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、オキサゾリル、チアゾリル(thizolyl)、およびフラニルが挙げられる。
【0184】
「置換ヘテロアリール」は、置換アリールについて定義された置換基と同じ基から成る群から選択される、1~5個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の置換基で置換された、ヘテロアリール基をいう。
【0185】
「ヘテロアリールオキシ」は、-O-ヘテロアリールをいう。
【0186】
「置換ヘテロアリールオキシ」は、-O-(置換ヘテロアリール)基をいう。
【0187】
「ヘテロアリールチオ」は、-S-ヘテロアリール基をいう。
【0188】
「置換ヘテロアリールチオ」は、-S-(置換ヘテロアリール)基をいう。
【0189】
「ヘテロ環」、または「ヘテロ環式基」、または「ヘテロシクロアルキル」、または「ヘテロシクリル」は、飽和または部分的に飽和であるが、芳香族でない、1~10個の環炭素原子と、窒素、硫黄、または酸素から成る群から選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する基をいう。ヘテロ環は、単環、または縮合、架橋、およびスピロ環系などの複数の縮合環を含む。縮合環系において、1つ以上の環は、結合点が非芳香族環である限りにおいて、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールでありうる。ある実施態様において、ヘテロ環式基の窒素および/または硫黄原子は、適宜酸化されて、Nオキシド、スルフィニル、またはスルホニル基を提供してもよい。
【0190】
「置換ヘテロ環式基」、または「置換ヘテロシクロアルキル」、または「置換ヘテロシクリル」は、置換シクロアルキルについて定義されるものと同じ、1~5個、好ましくは1~3個の置換基で置換された、ヘテロシクリル基をいう。
【0191】
「ヘテロシクリルオキシ」は、-O-ヘテロシクリル基をいう。
【0192】
「置換ヘテロシクリルオキシ」は、-O-(置換ヘテロシクリル)基をいう。
【0193】
「ヘテロシクリルチオ」は、-S-ヘテロシクリル基をいう。
【0194】
「置換ヘテロシクリルチオ」は、-S-(置換ヘテロシクリル)基をいう。
【0195】
ヘテロ環およびヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼチジン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、およびテトラヒドロフラニルが挙げられる。
【0196】
「ニトロ」は、-NO2基をいう。
【0197】
「オキソ」は原子(=O)をいう。
【0198】
フェニレンは、二価アリール環をいい、ここで、環は6個の炭素原子を含む。
【0199】
置換フェニレンは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオから成る群から選択される、1~4個、好ましくは1~3個、またはさらに好ましくは1~2個の置換基で置換された、フェニレンをいい、前記置換基は本明細書において定義される通りである。
【0200】
「スピロシクロアルキル」および「スピロ環系」は、以下の構造:
【化37】
によって例示されるように、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環をスピロ結合(環の唯一共通メンバーである、単一の原子によって形成される結合)を介して有する、3~10個の炭素原子の二価環状基をいう。
【0201】
「スルホニル」は、二価の-S(O)2-基をいう。
【0202】
「置換スルホニル」は、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アルケニル、-SO2-置換アルケニル、SO2-シクロアルキル、-SO2-置換シクロアルキル、-SO2-シクロアルケニル、-SO2-置換シクロアルケニル、-SO2-アリール、-SO2-置換アリール、-SO2-ヘテロアリール、-SO2-置換ヘテロアリール、-SO2-ヘテロ環式基、-SO2-置換ヘテロ環式基をいい、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。置換スルホニルとしては、メチル-SO2-、フェニル-SO2-、および4-メチルフェニル-SO2-などの基が挙げられる。
【0203】
「置換スルホニルオキシ」は、-OSO2-アルキル、-OSO2-置換アルキル、-OSO2-アルケニル、-OSO2-置換アルケニル、OSO2-シクロアルキル、-OSO2-置換シクロアルキル、-OSO2-シクロアルケニル、-OSO2-置換シクロアルケニル、-OSO2-アリール、-OSO2-置換アリール、-OSO2-ヘテロアリール、-OSO2-置換ヘテロアリール、-OSO2-ヘテロ環式基、-OSO2-置換ヘテロ環式基をいい、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0204】
「チオアシル」は、H-C(S)-、アルキル-C(S)-、置換アルキル-C(S)-、アルケニル-C(S)-、置換アルケニル-C(S)-、アルキニル-C(S)-、置換アルキニル-C(S)-、シクロアルキル-C(S)-、置換シクロアルキル-C(S)-、シクロアルケニル-C(S)-、置換シクロアルケニル-C(S)-、アリール-C(S)-、置換アリール-C(S)-、ヘテロアリール-C(S)-、置換ヘテロアリール-C(S)-、ヘテロ環-C(S)-、および置換ヘテロ環-C(S)-基をいい、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式基、および置換ヘテロ環式基は、本明細書において定義される通りである。
【0205】
「チオール」は、SH基をいう。
【0206】
「チオカルボニル」は、-C(=S)-と同じ、二価の-C(S)-基をいう。
【0207】
「チオキソ」は、原子(=S)をいう。
【0208】
「アルキルチオ」は、S-アルキル基をいい、ここで、アルキルは本明細書において定義される通りである。
【0209】
「置換アルキルチオ」は、-S-(置換アルキル)基をいい、ここで、置換アルキルは本明細書において定義される通りである。
【0210】
置換された環は、1つ以上の縮合および/またはスピロ環によって置換されうる。そのような縮合環としては、縮合シクロアルキル、縮合ヘテロシクリル、縮合アリール、縮合ヘテロアリール環が挙げられ、それぞれの環は置換されていても、置換されていなくてもよい。そのようなスピロ環としては、縮合シクロアルキル、および縮合ヘテロシクリルが挙げられ、それぞれの環は置換されていなくても、置換されていてもよい。
【0211】
上記の定義は、許容されない置換パターン(例えば、5つのフルオロ基で置換されたメチル)を含むことを意図していないことが理解される。そのような許容されない置換パターンは、当業者に既知である。
【0212】
上記の定義は、許容されない置換パターン(例えば、5つのフルオロ基で置換されたメチル)を含むことを意図していないことが理解される。そのような許容されない置換パターンは、当業者に既知である。
【0213】
「薬学的に許容可能な塩」は、塩が薬学的用途に適しており、当技術分野において周知の、様々な有機および無機対イオンに由来する、化合物の塩をいい、化合物が酸性官能基を含む場合、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびテトラアルキルアンモニウムが挙げられ、分子が塩基性官能基を含む場合、ヒドロクロライド、ヒドロブロマイド、タートレート、メシレート、アセテート、マレアート、およびオキサレートなどの、有機または無機酸の塩が挙げられる(薬学的な塩、その選択、合成、および使用についての議論に関して、Stahl and Wermuth, eds., 「Handbook of Pharmaceutically Acceptable Salts,」 (2002), Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich, Switzerlandを参照されたい)。
【0214】
一般に、薬学的に許容可能な塩は、親化合物の目的の薬学的活性を実質的に1つ以上有し、インビボ投与に適切な塩である。薬学的に許容可能な塩としては、無機酸または有機酸によって形成される、酸付加塩が挙げられる。薬学的に許容可能な酸付加塩の形成に適切な無機酸としては、例えば、限定されないが、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
【0215】
薬学的に許容可能な酸付加塩の形成に適切な有機酸としては、例えば、限定されないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸など)、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などが挙げられる。
【0216】
薬学的に許容可能な塩としてはまた、親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオン)によって、またはアンモニウムイオン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、およびアンモニアなどの有機塩基に由来する、アンモニウムイオン)によってのいずれかで置き換えられている場合に、形成される塩が挙げられる。
【実施例0217】
本明細書に開示される方法を実施するための、開示の成分、製剤、プロセス、および工程は、上記に記載のものと対応しうる。他の実施態様および使用は、本開示に照らして、当業者に明らかであろう。以下の実施例は、単に様々な実施態様の例示として提供され、いかなる場合にも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0218】
実施例1:化合物1の合成
化合物1の合成は、以下のスキーム1に従って達成した。スキーム1に関して、合成は出発物質、4-(メチルスルホニル)フェノール4の臭素化から開始して、化合物5を生じた。化合物5は、(ブロモメチル)シクロプロパンによってO-アルキル化され、化合物6を生じた。次いで、化合物6をPd触媒およびビス(ピナコラト)ジボロンによってホウ素化することによって、ボロン酸化合物2を生成し、一過性の化合物7を生じ、これを次いでジエタノールアミン(DEA)によって処理し、クロスカップリング対、化合物2を生じた。クロスカップリング対、化合物3は、市販の化合物8から開始して、ワンポットで生成した。化合物8をN-メチル化し、ブロモ化して、化合物3を得た。化合物2および3をクロスカップリングして(Norio, M. and Suzuki, A., Chem. Rev., 95(7), 2457-2483 (1995))、目的の化合物1を得た。
【化38】
【0219】
1.1:4の臭素化
化合物4を臭素化して、化合物5を生成すること自体は単純であるが、一臭素化化合物5で止めるのは困難であった。ビスブロモ化化合物5-a(以下のスキーム2を参照)は、下流に合流して除去が困難な不純物を形成するため、特に悪質な不純物である。
【化39】
【0220】
妥当な収率で高純度を実現するための要所は、出発物質の化合物4(20℃において46mg/ml)と、生成物の化合物5(8mg/ml)のCH
2Cl
2中の溶解度の違いを利用することがであった。これらの溶解度の違いを、以下の表3にまとめる。
【表5】
【0221】
この溶解度の差は、高濃度において反応を実施して、化合物5を形成後に溶液から排除し、それによってさらにブロモ化試薬と反応して化合物5-a diBrを生成する能力を最小化することによって、利用される。反応液に化合物5をシーディングし、結晶化を開始させる。
【0222】
図22(化合物4の化合物5への変換:硫酸の効果)において、酸の非存在下では、化合物5への最初の反応は早いが、変換は約30%の化合物5で頭打ちになることが分かる。主な副生成物は、不純な化合物5-a diBrであることが分かった(
図23:化合物5および化合物5-a diBrの変換:H
2SO
4なしを参照されたい)。硫酸の量を増やして添加すると、目的の化合物5への変換率が高くなる。
【0223】
図24(化合物4の化合物5への反応プロファイル:NBSの滴下添加、シーディング)は、さらなる反応制御を示す。触媒硫酸の添加の後に、NBSを滴下添加することにより、温度上昇が最小化され、最初のNMS添加後に化合物5を添加することにより、化合物5の反応性結晶化が促進される。約6~7時間の反応後、主生成物は化合物5であり、少量(<5%)の二臭素化不純物のみが形成されたことが分かる。対照的に、化合物4およびNBSの全てを添加し、次いで4体積の塩化メチレンを添加した場合の反応において、急速な発熱が生じ、望ましくない化合物5-a diBrが主生成物であることが分かった。
【0224】
そのため、(求電子物質および発熱の両方の利用可能性を制御するために)NBSを少しずつ固体添加することにより、CH2Cl2中に高濃度で反応が進行した。反応スラリーサンプルの終わりは、一般に、出発物質の化合物4が5%未満で残っていることを示した。濾過後、粗製ケーキを冷却CH2Cl2で洗浄し、CH2Cl2で洗浄した濾過ケーキは、二臭素化化合物5-aを0.5重量%未満で含んでいた。また、HPLCに現れないスクシンイミドが大量に含まれていた。
【0225】
以下の工程を行った:化合物4(25g、145mmol)、次いでCH2Cl2(100mL)を反応容器に加え、撹拌した。バッチを17℃から23℃に調整した。バッチを17℃から23℃に維持しながら、硫酸をバッチに加えた(2.7mL、51mmol)。バッチを10分から20分にわたり、17℃から23℃で撹拌した。N-ブロモスクシンイミド(NBS)の第一部分を、17℃から23℃でバッチに加え(6.5g、36.5mmol)、少なくとも30分間撹拌した。NBSの第二部分を、17℃から23℃でバッチに加え(6.5g、36.5mmol)、少なくとも30分間撹拌した。バッチを化合物5(0.02重量)でシーディングし、17℃から23℃において約30分間撹拌し、結晶化を誘導した。
【0226】
NBSの第三部分を、17℃から23℃でバッチに加え(6.5g、36.5mmol)、少なくとも30分間撹拌した。NBS(6.5g、36.5mmol)を17℃から23℃でバッチに加え、少なくとも30分間撹拌した。17℃から23℃に維持しながら、さらにCH2Cl2をバッチに加え(50mL)、撹拌と濾過のための移動を補助した。HPLC分析によって完了するまで(~20から40時間)、バッチを17℃から23℃で撹拌した。生成物を吸引濾過によって回収した。濾過ケーキを、17℃から23℃(標的20℃)において、CH2Cl2(3x50mL)でスラリー洗浄した。濾過ケーキを、65℃から75℃において2~3時間、精製水(3.0体積)でスラリー洗浄した。次いで、濾過ケーキを17℃から23℃において、精製水(3x1.0体積、3x1.0重量)でスラリー洗浄した。湿ったケーキを、60℃における窒素ブリードで真空乾燥させた。収量:27gの5(74モル%) >97重量%。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) 8.01 (1H, d, 4J = 2.1 Hz, RO-Ar メタ-H), 7.76 (1H, dd, J = 8.6および4J = 2.1 Hz, RO-Ar メタ-H), 7.14 (1H, d, J = 8.6 Hz, RO-Ar オルト-H), 3.38 (1H, br s, OH), 3.20 (3H, s, CH
3); MS (ES-) 計算値 249/251; 観測値 249/251。 融点 (MP): (DSC) 188 ℃。
【0227】
上記の手順は、以下の変更が可能である。溶媒:代替溶媒が用いられうる。例として、クロロホルムまたは1,2-ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、およびアセトニトリル、テトラヒドロフラン、または2-メチルテトラヒドロフランなどの非塩素系溶媒が挙げられる。反応濃度:反応濃度は、(化合物4に対して)約2Xから約20X体積まで変化しうる。臭素化試薬:さらなる臭素化試薬としては、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬化学量論:約0.8当量から約1.9当量の臭素化試薬の異なる量が用いられうる。臭素化試薬添加:臭素化試薬は、一度に全て、または約2から約20部分で少しずつ、または連続的に添加することができる。添加時間は約0から約72時間まで変化しうる。温度:約0℃から約40℃の反応温度が用いられうる。酸:ベンゼンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、トリフリン酸、臭化水素酸、およびトリフルオロ酢酸などの、異なる酸が想定されうる。単離:生成物を直接濾過し、塩化メチレンおよび水で洗浄する代わりに、反応の終わりに、化合物5を溶解することができる有機溶媒を加え、次いで水で後処理をして、スクシンイミドを除去し、貧溶媒を添加し、適切な溶媒に溶媒交換して、化合物4を結晶化させることができる。乾燥:約10℃から約60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。
【0228】
化合物5への代替工程もまた開発した。当該工程は、塩素系溶媒を使用せず、化合物5-aジブロモの不純物の生成についてさらなる制御を提供する点で有利である。Oberhauser, T. J. Org. Chem 1997, 62, 4504-4506を参照されたい。当該工程は以下の通りである。化合物4(10g、58mmol)およびアセトニトリル(100ml)を反応器に加え、撹拌した。バッチを-20℃に冷却した。バッチ温度を-10から-25℃に維持しながら、トリフリン酸(CF3SO3HまたはTfOH、5.5mL、62mmol)を加えた。N-ブロモスクシンイミドを加え(NBS、11.4g、64mmol)、-10から-25℃で30分間撹拌し、次いで3~4時間にわたり20℃に昇温させた。反応が完了するまで、撹拌を15℃から25℃で継続した。完了の前に反応変換が頭打ちになった場合、反応液を-5から-15℃に冷却し、さらに未反応の出発物質に基づく量のNBSを添加し、次いで15℃から25℃に昇温させ、完了まで反応させた。
【0229】
反応が完了した後、バッチを40℃から50℃に昇温させ、減圧下で40mLに濃縮した。バッチを-5℃から-15℃に冷却し、得られた生成物の固形物を濾去した。固形物を3回、それぞれ20mLの水で少なくとも15分間、スラリー洗浄した。最終的なケーキを減圧下で50℃から60℃で乾燥させて、重量で0.1%未満のMeCN、0.07%未満の水、および0.1%未満のトリフリン酸(TfOH)を含む、10gの5を得た。
【0230】
MeCNおよびTfOHを用いる上記工程の代替は、以下の通りである。ブロモ化試薬:さらなる臭素化試薬としては、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬化学量論:約0.8当量から約2当量の、異なる量の臭素化試薬が用いられうる。乾燥:約10℃から約60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。
【0231】
不純物5-aは、以下のように合成し、特性評価される。10gの化合物4および硫酸(35モル%)を、MeOH(10体積)に溶解させた。混合物を20℃から25℃で5~10分間撹拌し、2.0当量のNBSを一度に加えた。得られた黄色の混合物を、20~25℃で3日間撹拌した。バッチを真空で濃縮し、得られた固形物を95~100℃で3時間、水中で懸濁化させた。室温において、CH2Cl2中で2回目の一晩の懸濁化の後、バッチを濾過し、乾燥させて、白色の固形物5-a(15.0g、78%)を得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO), 8.05 (2H, s, ArH), 3.40 (1H, br s, HO-Ar), 3.28 (3H, s, CH3); MS (ES-) 計算値 327/329/331; 観測値 327/329/331; MP (DSC): 226 ℃(開始 221 ℃、102 J/g); 文献値 224-226 ℃。
【0232】
1.2:5のO-アルキル化による6の生成
化合物6は、以下のスキーム7に従って合成した。
【化40】
【0233】
化合物5(100g、398mmol)およびメチルエチルケトン(MEK、700mL)を反応容器に加え、撹拌した。次いで、15℃から25℃で、炭酸カリウム(K2CO3、325メッシュ、82.56g、597mmol)を撹拌反応容器に加えた。ブロモメチルシクロプロパン(64.4mL、664mmol)を、温度を15℃から25℃に維持しながら、少なくとも1時間にわたり、反応容器に加えた。MEK(200mL)を反応器に加え、反応器を65から75℃に加熱した。反応容器の内容物を、HPLC分析で反応が完了するまで、約10時間にわたり、65から75℃で撹拌した。水(3.0体積、3.0重量)を、温度を65から75℃に維持しながら、容器に加えた。バッチを65から75℃で撹拌した。65℃から75℃で層を分離し、下層の水層を除去した。温度を65℃から75℃に維持しながら、水(300mL)を容器に添加した。バッチを、65から75℃において、少なくとも10分間撹拌した。層を65℃から75℃で分離させ、下層の水層を除去した。水による洗浄を1度繰り返した。温度を40から50℃に調整した。混合物を、減圧下で約500mLに濃縮した。水含有量が<1.0%w/wになるまで、混合物を最大50℃においてMEKと共に減圧下で蒸留した。40から50℃の温度を維持しながら、n-ヘプタン(500mL)を反応容器に加えた。反応容器中の体積を1Lで維持しながら、混合物をn-ヘプタン(300mL)で真空下において連続的に蒸留した。化合物6のシード(0.01重量)を、40から50℃で加えた。反応容器中の体積を1Lで維持しながら、混合物を最大50℃において、n-ヘプタン(300mL)を用いて、減圧下で連続的に蒸留した。バッチを15から25℃に冷却し、2時間エージングさせた。生成物を吸引濾過によって回収した。15から25℃において、濾過ケーキを、10%MEKのn-ヘプタン(5体積)中の溶液で洗浄した。濾過ケーキを最大40℃において、窒素フローを用いた真空下で、減圧下で乾燥させ、95gの6を得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) 8.07 (1H, d, 4J = 2.2 Hz, ArH), 7.86 (1H, d, J = 8.7 Hz, メタ-ArH), 7.29 (1H, d, J = 8.8 Hz, オルト-ArH), 4.04 (2H, d, J = 6.9 Hz, OCH
2CH), 3.21 (3H, s, CH
3), 1.31-1.24 (1H, m, OCH), 0.62- 0.58 (2H, m, 2 x CHCH
a
Hb), 0.40-0.37 (2H, m, 2 x CHCH
a
H
b); MS (ES+) 計算値 305/307; 観測値 305/307; MP: (DSC) 93 ℃。
【0234】
上記の反応、6から5の合成の以下の変更もまた、用いられうる。溶媒:異なる溶媒、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアセテート、アセトニトリル、または2-メチルテトラヒドロフランが用いられうる。反応体積:3に対して3~30体積の反応体積が用いられうる。塩基:炭酸セシウムまたはリン酸塩基(ナトリウム、カリウム、またはセシウム)などの、異なる無機塩基が用いられうる。また、トリメチルアミンまたはジイソプロピルジイミドなどの有機塩基が用いられうる。塩基の粒子径:炭酸カリウムの、325メッシュとは異なる粒子径が用いられうる。反応温度:50℃などの低い温度が用いられうる。約100℃などの高い温度が用いられうる。溶媒の沸点を超える任意の温度は、圧力容器内で実行されうる。単離:MEK:n-ヘプタンの異なる溶媒比が用いられうる。残留水の異なる分量が残りうる。0~50%とは異なるシードの量が用いられうる。シーディングは、後の工程および/または低い温度で生じうる。シーディングされていない結晶が用いられうる。0~50℃と異なる単離温度が用いられうる。異なる洗浄、例えば、MEK:n-ヘプタンの異なる比が用いられうる。ヘキサン、ペンタン、またはメチル tert-ブチルエーテルなどの、n-ヘプタンと異なる貧溶媒が用いられうる。あるいは、バッチは、化合物3が100mg/ml未満の溶解度を有し、この系から単離される溶媒に、溶媒交換を行うことができる。乾燥:10~60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。
【0235】
以下に示す化合物10はまた、生成物5中に存在する、未反応の4のO-アルキル化の結果として生成されるか、あるいは、以下の実施例1.3において記載される、後の化学反応において、パラジウム触媒プロデオデス(proteodes)臭素化またはプロテオデスホウ素化から生じうる。
【化41】
【0236】
メチルスルホニルフェニル(シクロプロピルメチル)エーテル10の合成:化合物4(0.86g、5.0mmol)およびK2CO3(1.04g、7.5mmol)を、アセトン(17mL、20体積)中で懸濁化した。シクロプロピルメチルブロマイド(0.73mL、7.5mmol)を、~1分間にわたり数回にわたり少量ずつ加え、反応混合物を48時間にわたり50℃で加熱し、次いで25℃に冷却した。水(5.0mL)を撹拌しながら加え、アセトンをロータリーエバポレーターにおいて蒸留し、そこから微細な白色の固形物が形成し、これを濾過し、湿ったペーストとして容器に戻した。MeOH/水の1:1混合物(8mL)を加え、撹拌しながら40℃に加熱した。1時間後、白色の固形物を濾過した。一部の残留した固形物を新たな水で洗浄し、これをまたケーキを介してゆすぎ、次いでそれを単離して、2日間空気乾燥し、濃い白色の固形物10(1.00g、88%)を得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) 7.85 (2H, d, J = 8.8 Hz, RO-Ar オルト-H), 7.00 (2H, d, J = 8.8 Hz, RO-Ar メタ-H), 3.87 (2H, d, J = 7.0 Hz, OCH
2CH), 3.02 (3H, s, CH3), 1.34-1.23 (1H, m, OCH2CH), 0.72-0.60 (2H, m, 2 x CHCH
a
Hb), 0.42-0.31 (2H, m, 2 x CHCHa
H
b
)。
【0237】
1.3:カップリングパートナー、ボロン酸エステル2の合成および単離
化合物1への最終的な結合形成工程は、以下のスキーム3に示すように、化合物2および3の鈴木-宮原カップリングである(Norio, M. and Suzuki, A., Chem. Rev., 95(7), 2457-2483 (1995))。初期の研究では、イソキノリン化合物3-aのボロン酸エステルは、物理的特性および固相安定性が低いことが示された(Kaila, N. et al., J. Med. Chem., 57: 1299-1322 (2014))。O-アルキルフェノール、化合物7のボロン酸ピナコールは、許容可能な固相安定性を有し、結晶化によって単離されうる。
【化42】
【0238】
しかしながら、化合物7の単離のための工程の堅牢性研究により、化合物7は溶液の安定性が低く、以下のスキーム4に示すように、主にプロトデボロン化化合物10に分解されることが示された。これは、分離工程が2-MeTHF(2-メチルテトラヒドロフラン)からiPrOAc(イソプロピルアセテート)に溶媒交換を伴い、これが大規模において高速な単位操作ではないため、特に問題であった。
【化43】
【0239】
より安定なボロン酸エステルの探索が行われた。初期の試行は、N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)ボロン酸化合物2-a(E. Gilis and M. Burke, Multistep Synthesis of Complex Boronic Acids from Simple MIDA Boronates, J. Am. Chem. Soc., 130(43): 14084-14085 (2008))の合成を目的としていたが、しかしながら、全ての試みは生成物の分解に終わった。次いで、出願人は、化合物7にジエタノールアミンを添加することによって形成される、比較的曖昧なボロン酸を調べた(Bonin et al., Tetrahedron Lett., 52:1132-1135 (2011))。化合物7の溶液へジエタノールアミンを添加することにより、急速なエステル形成が生じ、同時に化合物2の結晶化が生じた。
【0240】
ボロン酸エステル化合物2の発見により、以下の手順を含む、単純、高速、高収率、高純度な工程が可能になった。化合物6(100g、328mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(90.7g、357mmol)、およびセシウムアセテート(CsOAc、158g、822mmol)を含むフラスコに、テトラヒドロフラン(THF、1500mL)を加えた。系に窒素を3回真空パージした。Pd(PPh3)2Cl2(13.8g、20mmol)を反応液に加え、系を窒素で3回真空パージした。反応液を次いで、55から65℃に加熱した。
【0241】
バッチを、HPLC分析によって反応が完了するまで、約8時間撹拌した。バッチを15から25℃(標的20℃)に冷却し、シリカゲル(20g)およびEcosorb C-941(20g)を加えた。1時間後、混合物を濾過して、固形物を除去した。残留した固形物を2回、それぞれTHF(300mL)で洗浄した。濾液および洗浄液を合わせた。別の容器において、ジエタノールアミン(34.5mL、360mmol)をTHF(250mL)中に溶解させた。ジエタノールアミンのTHF(25mL)中の溶液を、次いでバッチに加えた。10分後、バッチを2(1g)でシーディングし、1~2時間エージングさせた。残留したジエタノールアミンのTHF溶液を、少なくとも2時間にわたりバッチに加え、スラリーを少なくとも2時間撹拌した。生成物2を、吸引濾過によって回収した。湿ったケーキをTHF(200mL)で3回洗浄した。真空下、40℃で、物質を窒素パージによって乾燥させ、94.6gの2を得た。
【0242】
上記の化合物6から化合物2を合成するための反応は、以下のように変更されうる。溶媒:1,4-ジオキサンまたは2-メチルテトラヒドロフランなどの、THFと異なる溶媒が用いられうる。反応体積:反応体積は、化合物2に対して4~50体積まで変化しうる。触媒および塩基:異なるパラジウム触媒および塩基が、ホウ素化に用いられうる。例は、Chow et al., RSC Adv., 3: 12518-12539 (2013)において見つけることができる。ホウ素化反応温度:室温(20℃)から溶媒還流までの反応温度が用いられうる。炭素/シリカ処理:処理はシリカゲルなしで行われうる。工程は炭素処理なしで行われうる。Ecosorb C-941とは異なる炭素源が用いられうる。0.01Xから1Xの重量当量まで、異なる量のシリカが用いられうる。0.01Xから1Xの重量当量まで、異なる量のEcosorb C-941が用いられうる。結晶化:ジエタノールアミンの異なる添加速度が用いられうる。1.0から3.0モル当量まで、異なる量のジエタノールアミンが用いられうる。より多い、またはより少ないTHFを用いた、異なるケーキ洗浄が用いられうる。0.0001X重量から50X重量とは異なるシードの量が用いられうる。あるいは、工程はシーディングされなくてもよい。乾燥:10℃から60℃の温度範囲が乾燥に用いられうる。
【0243】
次の化合物2および3との鈴木-宮原カップリングも順調に進行し、20kgを超える粗製化合物1が得られ、平均モル収量は80%であり、LCAPは99.7%であった。
【0244】
1.4:カップリング対3の合成
クロスカップリング対3は、以下に示すスキーム8および9に対応する、2つの異なる工程によって合成した。
【化44】
【0245】
工程Aに従って、化合物9(100g、628mmol)を室温でアセトニトリル(450mL)に溶解した。別の容器において、N-ブロモスクシンイミド(NBS、112g、628mmol)をアセトニトリル(1L)中に懸濁させた。アセトニトリル中の化合物9を、少なくとも45分にわたり、NBSスラリーに添加した。反応容器の内容物を、45℃から55℃に昇温させ、HPLC分析によって反応が完了するまで、バッチを撹拌した。バッチを35℃から45℃に冷却し、溶解を確認した。Norit SX plus 炭素(10g)を混合物に加え、反応混合物を55℃から60℃に調節した。混合物を55℃から60℃で約1時間撹拌し、混合物を55℃から60℃で濾過し、固形物を除去した。固形物を55℃から60℃において、アセトニトリル(500mL)で洗浄した。アセトニトリルを減圧下で蒸留除去することによって、合わせた濾液の体積を900mLに減少させた。バッチに化合物3(1g)を加え、少なくとも60分間にわたり35℃から45℃で撹拌した。反応容器の内容物を、少なくとも1時間にわたり、15℃から25℃に冷却した。水(2000mL)を少なくとも90分にわたり反応容器に添加し、スラリーを少なくとも60分にわたりエージングさせた。生成物を吸引濾過によって回収した。ケーキを、予め混合した5%アセトニトリル水溶液(300mL)で洗浄した。湿ったケーキを真空下40℃で窒素パージによって乾燥させた。収率:120gの3。
【0246】
上記の工程、3の合成についての工程Aは、以下のように代替試薬および条件で実施されうる。溶媒:代替溶媒が用いられうる。例として、塩化メチレン、クロロホルム、または1,2-ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、およびテトラヒドロフラン、または2-メチルテトラヒドロフランなどの非塩素系溶媒が挙げられる。反応濃度:反応濃度は、(化合物9に対して)2X体積から40X体積まで変化しうる。臭素化試薬:さらなる臭素化試薬としては、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬化学量論:0.8当量から2当量まで、異なる分量の臭素化試薬が用いられうる。結晶化:5体積から50体積などの異なる量の水が用いられうる。結晶化はまた、シードの添加なしで進行しうる。異なる水の添加回数および最終的な保持時間が用いられうる。異なる洗浄工程が用いられうる。乾燥:10℃から60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。
【化45】
【0247】
工程Bに記載されるように、化合物3は、以下のように、8から開始して、単離されていない化合物9を介して形成することができる。化合物8(80g、55mmol)、炭酸セシウム(Cs2CO3、215g、66mmol)、およびアセトニトリル(800mL)を反応器に加えた。温度を15から25℃に調節し、バッチ温度を25℃以下に維持しながら、ヨードメタンを反応器に加えた(MeI、86g、0.61mol)。バッチを40℃に加熱し、10時間撹拌して、化合物9が生成した。バッチを25℃に冷却し、新たな反応器に濾過して固形物を除去し、固形物をアセトニトリルで2回洗浄した。有機層を合わせて、大気圧蒸留により約320mLに濃縮した。
【0248】
別の反応器において、N-ブロモスクシンイミド(NBS、98.1g、0.55mol)をアセトニトリル(800mL)に加えて、撹拌した。バッチ温度を15から25℃に維持しながら、化合物9を含むバッチをNBS溶液に移した。バッチを45から55℃に加熱し、少なくとも4時間撹拌し、反応を化合物3に完了させた。反応が完了した後、Norit SX Plus 活性炭(8g)を加えて、45から55℃で1時間撹拌した。バッチを新たな容器に濾過し、Norit SX Plusケーキを400mlの45から55℃のアセトニトリルで洗浄した。アセトニトリル層を合わせて、35から45℃に冷却し、減圧下で720mLに蒸留した。バッチを40℃の温度に調節し、化合物3シードを加え(0.8g)、1時間撹拌し、少なくとも1時間、15から25℃に冷却し、次いで少なくとも2時間にわたり水(1600mL)を加えた。混合物をさらに1~2時間撹拌し、濾過し、予め混合した5%アセトニトリル水溶液(240mL)でケーキを洗浄した。湿ったケーキを真空下40℃で、窒素パージによって乾燥させた。収量:52gの3。
【0249】
上記の化合物3の合成についての工程Bは、以下のように変更されうる。溶媒:代替溶媒が用いられうる。例としては、塩化メチレン、クロロホルム、または1,2-ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、およびテトラヒドロフラン、または2-メチルテトラヒドロフランなどの非塩素系溶媒が挙げられる。反応濃度:反応濃度は、(化合物8に対して)2X体積から40X体積まで変化しうる。アルキル化試薬:硫酸ジメチルなどの、ヨウ化メチルの代替メチル化試薬が用いられうる。アルキル化試薬化学量論:ヨウ化メチルの1~10モル当量が用いられうる。塩基:炭酸カリウムまたはリン酸塩基(ナトリウム、カリウム、またはセシウム)などの、異なる無機塩基が用いられうる。臭素化試薬:さらなる臭素化試薬としては、臭素および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインが挙げられる。臭素化試薬化学量論:0.8当量から2当量までの、臭素化試薬の異なる量が用いられる。結晶化:5体積から50体積などの、水の異なる量が用いられうる。0.0001%から50%のシーディング量が用いられうる。結晶化はまた、シードの添加なしで進行しうる。異なる水の添加回数および最終的な保持時間が用いられうる。異なる洗浄工程が用いられうる。乾燥:10~60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。
【0250】
1.5:2および3のクロスカップリングによる、標的化合物1の合成
1はスキーム10に従って、以下のように、3および2の鈴木クロスカップリングによって合成される。
【化46】
【0251】
化合物2(156.7g、460mmol)、化合物3(100g、420mmol)およびリン酸三カリウム(223g、1.05mol)の混合物に、アセトニトリル(1.6L)を加えた。撹拌を開始し、水(400mL)をバッチに加えた。系を窒素で3回真空パージし、Pd(PPh3)2Cl2(2.9g、4mmol)を加え、系を窒素で3回真空パージした。バッチを65から75℃に加熱し、HPLC分析によって反応が完了するまで、内容物を少なくとも16時間撹拌した。バッチを60から70℃に冷却し、撹拌を停止し、混合物を静置させた。下層の水層を除去した。水(150mL)およびアセトニトリル(700mL)を60から70℃で加えた。Ecosorb C-941(15g)およびセライト(10g)を60から70℃で反応容器に加えた。1時間後、混合物を濾過して、固形物を除去した。固形物を2回、それぞれ18%水/アセトニトリル(500mL)で60~70℃において洗浄した。濾液を合わせて、大気圧下で1.5Lの最終体積に濃縮した。バッチを60から65℃に冷却し、化合物1(1g)でシーディングした。1時間後、水(500mL)を60から65℃で少なくとも1時間にわたり加えた。スラリーを4時間にわたり、15~25℃に冷却した。生成物を吸引濾過によって回収した。湿ったケーキを45%水/アセトニトリル(500mL)で2回洗浄した。生成物を40℃において、窒素パージによって真空で乾燥させた。収量:139gの1。
【0252】
化合物3および化合物2のカップリングによって化合物1を合成するための上記の工程は、以下の任意の方法で変更されうる。反応溶媒:テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン、およびイソプロパノールなどの、アセトニトリルと異なる反応溶媒が用いられうる。ボロン酸エステル:ピナコラトエステル化合物7などの化合物2と異なるボロン酸エステル、および化合物2の遊離ボロン酸が用いられうる。ボロン酸エステルの例は、Lennox, Alister, J.J., Lloyd-Jones, Guy C. Chem. Soc. Rev., 2014, 43, 412に存在しうる。炭素処理:Ecosorb C-941と異なる炭素処理が用いられうる。0.01から0.5X重量までの、異なる炭素の量が用いられうる。炭素は除去されうる。0.01から0.5X重量までの、異なるセライトの量が用いられうる。結晶化:5体積から50体積などの、異なる量の水が用いられうる。結晶化はまた、シードの添加なしで進行しうる。異なる水の添加回数、および最終的な保持時間が用いられうる。異なる洗浄工程が用いられうる。乾燥:10から60℃の温度範囲が、乾燥に用いられうる。触媒:異なる金属およびリガンドの組み合わせが用いられうる。金属/リガンドの組み合わせの例は、Maluenda, Irene; Navarro, Oscar, Molecules, 2015, 20, 7528において存在しうる。様々な触媒として、以下が挙げられる:XPhos-3G(cas#1445085-55-1);cataCXium(登録商標)A Pd 3G(CAS#1651823-59-4);PdCl
2(DtBPF)(CAS#95408-45-0);SPhos 3G(Cas#1445085-82-4);AmPhos 3G(Cas#1820817-64-8);PCy
3 3G(Cas#1445086-12-3);Pd PEPPSI IPent Cas#1158652-41-5);Pd(PPh
3)
2Cl
2 (Cas#13965-03-2)。3へのカップリングにおいてボロン酸エステル2または7を用いて、化合物1を生じることが実証されている触媒系の例は、以下の表4に列挙する。
【表6】
【0253】
1.6:1の結晶化
化合物1の最終的な単離には、研磨濾過が必要である。このために、バッチを完全に可溶性にしなければならない。残念ながら、化合物1は、ヒト使用のための医薬品規制調和国際会議(ICH)クラス3および共通クラス2(例えば、THF、MeCN)のほとんど全ての溶媒(ICH調和ガイドライン「不純物:残留溶媒についてのガイドライン Q3C(R6)」2016年10月20日)において、低い溶解度を有する。妥当な溶解度は、温かいMeCN-水混合物において得られるが、これは最適な系ではない(加熱濾過を必要とし、MeCNは、残留溶媒制限がわずか410ppmである)。妥当な溶解度(>50mg/ml)を有するさらなる溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)およびジメチルアセトアミド(DMAc)が挙げられるが;これらの溶媒からの単離の進行には、大量の体積を必要とし、残留溶媒制限の懸念も生じた(NMTについて530ppm以下、およびDMAcについて1090ppm以下)。
3へのカップリングにおいてボロン酸エステル2または7を用いて、化合物1を生じることが実証されている触媒系の例は、以下の表4に列挙する。
【表7】
【0254】
1.6:1の結晶化
化合物1の最終的な単離には、研磨濾過が必要である。このために、バッチを完全に可溶性にしなければならない。残念ながら、化合物1は、ヒト使用のための医薬品規制調和国際会議(ICH)クラス3および共通クラス2(例えば、THF、MeCN)のほとんど全ての溶媒(ICH調和ガイドライン「不純物:残留溶媒についてのガイドライン Q3C(R6)」2016年10月20日)において、低い溶解度を有する。妥当な溶解度は、温かいMeCN-水混合物において得られるが、これは最適な系ではない(加熱濾過を必要とし、MeCNは、残留溶媒制限がわずか410ppmである)。妥当な溶解度(>50mg/ml)を有するさらなる溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)およびジメチルアセトアミド(DMAc)が挙げられるが;これらの溶媒からの単離の進行には、大量の体積を必要とし、残留溶媒制限の懸念も生じた(NMTについて530ppm以下、およびDMAcについて1090ppm以下)。
【0255】
ギ酸はICHクラス3溶媒の1つであり、化合物1が非常に溶解しやすく、20℃において250mg/mlより大きい溶解度を有する。ギ酸-水中の化合物1の溶解度曲線は非常に急勾配であり(
図7を参照されたい)、これは体積効率の高い工程を可能にする。
【0256】
粗製化合物1を再結晶化する最初の試みは、ギ酸中に溶解させ、研磨濾過し、研磨濾過した水を約20%の過飽和に加え、次いで熱力学的に最も安定な形態(形態1)によってシーディングし、次いで最終的な溶媒比まで水をゆっくりと添加し、濾過、洗浄、および乾燥させた。最初の水添加の間、バッチが自己シード化した場合、粘性のスラリーを生じることを出願人は観察した。X線回折(XRD)、示差走査熱量測定(DSC)、および顕微鏡撮影は、準安定性形態が生成されたことを示した。形態1によってシーディングすると、残りの水を加える前に、バッチは目的の形態(形態1)に変換された。この工程は、複数のラボの実行中に十分に機能し、一貫して約85%の収率で目的の形態および純度を提供した。
【0257】
残念ながら、スケールアップ時に、バッチはシーディング後に形態1に変換されなかった。さらに水を添加し、バッチは目的の形態(X線粉末回折(XRPD)から、形態1と準安定形態の混合)に変換し始めた。さらなる水を添加した場合、XRPDは準安定形態のみを示した。変化がないまま数時間後、出願人は最終溶媒比まで水の添加を継続し、その間バッチは最終的に形態1に変換した。この工程は
図8にまとめる。
【0258】
その後、工場および実験室の詳細な分析によって、新たな準安定性形態はスケールアップ中に生じ、類似するが異なるXRPDパターンを有することが分かった。この形態(準安定性B)は実験室において再現されうるが、バッチが高いギ酸:水比を有し、形態1によってシーディングした場合に再現されうる。形態1のシードなしで、準安定性Aは動力的形態である。いずれの準安定性形態も、さらなる水の添加なしで、および/または乾燥後に形態1に変換され、これによって出願人は、準安定性形態はギ酸溶媒和物であると考えた。これらの発見を
図9にまとめる。
【0259】
最終形態を制御することができない懸念はほとんど存在しないが、撹拌が困難になるスラリーが形成される懸念があり、これは処理の問題につながる可能性がある。そのため、結晶化工程は、一定のギ酸-水比を維持するように変更された。これは、2.4X重量のギ酸および1.75X重量の水(最終溶媒組成物)を添加して、0.03X重量の形態1シードによって結晶化し、同時に6.1X重量のギ酸および4.4X重量の水中の化合物1の添加を行うことによって、実行した。バッチを簡単に濾過し、ギ酸/水、次いで水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、99.85%LCAPおよび検出不能のギ酸を含む、8.9kgの化合物1(収率92%)を得た。
【0260】
実施例2:ハイスループット実験反応の例
以下の工程は、ハイスループット実験反応の例である。
【0261】
反応の概要を、以下のスキーム5において示す:
【化47】
【0262】
Pd触媒を溶液(テトラヒドロフラン(THF)またはジクロロエタン(DCE)中の、100μLの0.01M溶液、リガンドの溶解度による)として、24ウェル反応バイアルに添加した。これらのリガンドプレートは通常、反応前に添加され、溶媒を蒸発遠心分離において排気して除去し、プレートをグローブボックスにおいて保管する。カップリングにおいてスクリーニングした溶媒は、以下である:XPhos、SPhos、CataCXium A、APhos、P(Cy)3、PEPPSI-IPent。最初の5つのリガンドについて、これらはブッフバルトPd G2/G3プレ触媒として最初にスクリーニングした。
【0263】
次いでプレートに、化合物3(10μmol)および化合物2(12μmol)を以下の溶媒:ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ブタノール(n-BuOH)、およびトルエンに溶解させた、ストック溶液を添加した。次いで、20μLの水中のストック溶液(30μmol)として、塩基を加えた。
【0264】
触媒性能をまとめたヒートマップを、
図10Aおよび10Bに示す。このスクリーニングについて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)収率は、<5%から最大~85%に及ぶ。円が大きいほど高い収率を示す。円の色が薄いほど、高い純度を示す。
【0265】
同様に設計した塩基および溶媒のスクリーニングもまた、様々なアルコール性溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、2-ブタノール、2-プロパノール、およびt-アミルアルコール)も、このカップリング化学において全て実行可能であることを示す。リン酸カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、および水酸化カリウムなどの塩基は、全てカップリングの達成に成功した。
図10Bは、~50-95%の範囲のHPLC収率を有するヒートマップを示す。円が大きく色が濃いほど、高い収率を示す。
【0266】
マイクロバイアルスクリーニングからのこの化学を、実験室プロセスにスケール化した。オーバーヘッドスターラー、窒素入口、および熱電対を備えた、3口ジャケット付き250mLフラスコに、化合物3(1.0当量、4.00グラム)、化合物2(1.2当量、1.71x重量)、炭酸カリウム(3.0当量、1.74x重量)を加えた。反応器を3回不活性化し、次いで脱気した2-プロパノール(24x体積)、次いで脱気した水(6x体積)を加えた。撹拌を次いで、300rpmで開始した。反応器を次いで、1時間撹拌し窒素でブランケットした。触媒を次いで加え(0.01当量、0.028x重量)、撹拌を継続し(300rpm)、反応器をTj=65℃に加熱した。
【0267】
2時間後、分析によって完全な変換が確認された状態で、トリオクチルホスフィン(0.1当量、0.16x重量)を添加し、反応混合物をゆっくりと数時間にわたり室温に冷却させた。次いで、反応混合物を濾過し、2-プロパノール(4x体積)、2-プロパノール:水(4:1、4x体積)、次いで水(4x体積)で洗浄した。注意:2がケーキに存在する二量体である場合、さらに酢酸エチル(EtOAc)洗浄(4x体積)を加えてパージすることができる。ケーキを次いで真空オーブンに移し、窒素流下、40℃、-40cmHgで乾燥させた。ボトルに移した後、6.03グラムの1を単離した、98.6%アッセイ、91%全体的な収率。
【化48】
【0268】
前記で説明した結果に基づき、任意の数のPd源(Pdハライド、Pd(II)プレ触媒、Pd(0)源)に結合する、様々な単座(PPh3[トリフェニルホスフィン]、PBu3[トリブチルホスフィン]など)および二座ホスフィン(dppf[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]、BINAP[2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]、キサントホス[4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン]、dppe[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]など)を合理的に用いて、化合物1粗製物質に到達することができうる。非極性(ヘプタン、ベンゼン)、プロトン性(アルコール)、極性非プロトン性(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル)、ならびに様々なエステルおよびケトン(アセトン、2-ブタノン、酢酸エチル)に及ぶ、様々な有機溶媒もまた、本反応に有効な溶媒として役立つはずである。最終的に、幅広い範囲のpKaにおいて、様々な強さの無機塩基(リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩など)は、トリエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エンなどの有機バリアントと共に、化学量論塩基性添加物として実行可能である。
【0269】
実施例3:化合物5工程の例
本実施例の目的は、化合物5の製造についての例示的な工程を記載することであった。
【化49】
【表8】
【0270】
4(10g、58mmol)およびアセトニトリル(100mL)を反応容器に加え、撹拌器を開始する。バッチを-18℃から-22℃(標的-20℃)に調整する。-10℃から-25℃(標的-20℃)に維持しながら、バッチにトリフリン酸(5.5mL、62mmol)を加える。バッチを-10℃から-25℃(標的-20℃)で、10~20分間撹拌する。-10℃から-25℃(標的-20℃)において、バッチにNBS(11.38g、64mmol)を加え、-10℃から-25℃(標的-20℃)において約30分間撹拌する。3~4時間にわたり、バッチを20℃に昇温させる(反応は内部温度が5℃から15℃の間で生じる)。15℃から25℃(標的20℃)において、バッチを約1時間撹拌し、反応完了のためにサンプリングする。
【0271】
化合物4が化合物5に対して5%を超える場合:
【0272】
バッチを-5℃から-15℃(標的-10℃)に冷却する(選択性を確保するため、0℃未満に冷却)。以下の式に従い、バッチにNBSを加える:NBSの質量=(%化合物4x10g)。1~2時間にわたり、バッチを20℃に昇温させる。バッチを15℃から25℃(標的20℃)で約1時間撹拌し、反応の完了を確認する。次のラインに進む。
【0273】
化合物4が化合物5に対して5%未満である場合:
【0274】
バッチを40℃から50℃(標的48℃)に昇温させる。バッチを減圧下で、~40mLの最終体積に濃縮する。バッチを-15℃から-5℃(標的-10℃)に冷却し、約1時間撹拌する。バッチを吸引濾過によって濾過する。濾過ケーキを、精製水(3x20mL)によって15℃から25℃(標的20℃)でそれぞれの洗浄について10~15分間、スラリー洗浄する。1H NMRによる解析のために、濾過ケーキのサンプルを除去する。残留するスクシンイミドが、5に対して1.0モル%未満になるまで、ケーキ洗浄を継続する。濾過ケーキを、真空および窒素パージ下で、最大60℃において乾燥させる。HPLC分析によって5を分析する(97%w/wから99%w/w)。期待される収率:60-85%理論(90-110%w/w)。
【0275】
実施例4:ギ酸および水からの結晶化による、化合物1(CC-90010)の精製
この実施例は、ギ酸および水からの結晶化による、化合物1の精製のための方法を記載する。また、最も安定な形態である形態1などの、化合物1の3つの異なる多形体を得るための方法も、詳細に記載されている。
【0276】
図11は、化合物1(CC-90010)の
1H NMRを示す。溶媒:d6DMSO;および
図12は、化合物1(CC-90010)形態1の顕微鏡観察を示す。
図13は、化合物1(CC-90010)形態IのXRPDを示し、ピーク情報は表6に詳細に記載する:
【表9】
【表10】
【0277】
図14は、粉砕(優先方位)後のCC-90010形態1のXRPDを示し、ピーク情報は表7に詳細に記載する:
【表11】
【表12】
【0278】
図15は、化合物1(CC-90010)形態1のDSCを示し、
図16は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態4の顕微鏡観察を示し、
図17は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態4のXRPDを示し、ピーク情報は表8に詳細に記載する:
【表13】
【表14】
【0279】
図18は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態4のDSCを示し、
図19は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態5の顕微鏡観察を示し、
図20は、化合物1(CC-90010)(準安定性)形態5のXRPDを示し、ピーク情報は表9に詳細に記載する:
【表15】
【表16】
【0280】
図21は、化合物1(CC-90010)(準安定性)の形態5のDSCを示す。
【0281】
4つの工程を以下に記載する。全て、ギ酸、ICHクラス溶媒、および水を用いる。形態1(最も安定な多形体)への2つの工程は、いずれも形態1をシーディングすることによって多形体を制御し、より体積効率が良い(14から16X体積)。(準安定性)形態4を生成する工程、(準安定性)形態5を生成する工程もまた、提供される。記載される全ての方法について、溶媒比を変更してもよく、温度を変更してもよく、シーディング量を変更してもよく、洗浄組成物および量を変更してもよく、乾燥温度を変更してもよい。
【0282】
(形態1についての)工程1:化合物1(1.0X重量)およびギ酸(7.0X体積)を、反応器1に加える。この混合物を撹拌し、次いで研磨濾過を介して反応器2に移す。ギ酸(1.0X体積)を反応器1に加え、次いで同様の研磨濾過を介して反応器2に移す。水(2.2X体積)を、別途研磨濾過を介して、1時間にわたり反応器2に加える。化合物1シード(1%重量、形態1)を加え、バッチを約20℃から約25℃に維持する。水(4.8X体積)を、研磨濾過を介して、3回の異なる添加(0.25、0.60、および3.95X体積)によって反応器2に加える。それぞれの添加を1時間にわたり加え、添加の間隔を1時間保つ。全ての3回の添加の後、バッチを少なくとも1時間保持する。全ての添加について、約20℃から約25℃のバッチ温度を維持する。
【0283】
バッチを濾過し、研磨濾過したギ酸および水(それぞれ、1.5X体積のギ酸+1.5X体積の水)で2回、研磨濾過した水(それぞれ、3X体積)で2回洗浄し、約35℃から約45℃において減圧下で乾燥する。
【0284】
(形態1についての)工程2:化合物1(CC-90010)(1.0X重量)を、反応器1におけるギ酸(5.0X体積)に添加し、溶解するまで20℃から30℃で撹拌する。研磨濾過したギ酸(2.0X体積)および研磨濾過した水(1.8X体積)を、反応器2に加え、20℃から30℃で撹拌する。化合物1(CC-90010)シード(形態1、0.02から0.04X重量)を反応器2に加え、得られたスラリーを少なくとも60分間撹拌する。
【0285】
反応器1中の化合物1(CC-90010)/ギ酸溶液および水(4.4X体積)を次いで、研磨濾過を介して同時に、約20℃から約30℃の温度を維持しながら、6から10時間にわたり、反応器2におけるシードベッドスラリーに加える。添加後、ギ酸(1X体積)を反応器1に加える。反応器1中のギ酸洗浄液および水(0.9X体積)を、研磨濾過を介して同時に、約20℃から約30℃の温度を維持しながら、少なくとも15分にわたり、反応器2におけるバッチに加える。
【0286】
形態4についての工程:化合物1(CC-90010)(1.0X重量)、次いでギ酸(8.0X体積)および水(2.2X体積)を、反応フラスコに加える。少量の形態1シードを加え、この混合物を約20℃から約25℃において2時間撹拌する。スラリーを濾過し、湿ったケーキを乾燥させない。
【0287】
形態5についての工程:化合物1(CC-90010)(1.0X重量)、次いでギ酸(8.0X体積)および水(2.2X体積)を、反応フラスコに添加する。この混合物を約4時間にわたり、約15℃で撹拌する。スラリーを濾過し、湿ったケーキを乾燥させない。バッチを濾過し、研磨濾過したギ酸および水で2回(それぞれ、1.5X体積のギ酸+1.5X体積の水)、研磨濾過した水で2回(それぞれ、3X体積)洗浄し、約35℃から約45℃において減圧下で乾燥させる。
* * *
【0288】
いくつかの実施態様が説明および記載されているが、以下の特許請求の範囲において定義されるようなより広い局面における技術から逸脱することなく、当技術分野における通常の技術に従って、変更および改変を行うことができることが理解されるべきである。
【0289】
本開示は、本出願において記載される特定の実施態様に関して、限定されるべきではない。当業者に明らかであるように、多くの改変およびバリエーションは、その精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本開示の範囲内である機能的な等価方法および組成物は、前記の記載から当業者に明らかであるだろう。そのような改変およびバリエーションは、付属の特許請求の範囲内であることが意図される。本開示は、付属の特許請求の範囲、並びにそのような特許請求の範囲が権利を与える等価物の全範囲にのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システムに限定されるべきではなく、当然ながら変化しうることが理解されるべきである。本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様のみを記載することを目的とし、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0290】
さらに、本開示の特徴および局面がマーカッシュ群に関して記載されている場合、本開示はまた、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー、またはメンバーのサブグループに関しても記載されていることを当業者は理解するであろう。
【0291】
当業者によって理解されるように、あらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に開示される全ての範囲はまた、あらゆる可能な部分範囲、およびその部分範囲の組み合わせを含む。任意の列挙される範囲は、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割することを十分に記載し、可能にすると、容易に理解することができる。限定されない例として、本明細書に記載されるそれぞれの範囲は、下3分の1、真ん中3分の1、上3分の1などに、容易に分割することができる。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などの全ての言葉は、列挙される数字を含み、前記のように後で部分範囲に分割することができる範囲をいう。最後に、当業者によって理解されるように、範囲はそれぞれ別のメンバーを含む。
【0292】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、発行特許、および他の文書は、引用によって、それぞれの個々の刊行物、特許出願、発行特許、または他の文書が、参照によってその全体が援用されることを、具体的かつ個別に示されたかのように、参照によって本明細書に援用される。参照によって援用される文章に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する場合には除外される。
【0293】
別の実施態様は、以下の特許請求の範囲に記載される。
式VIIIの化合物が、約90重量%、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、または約99重量%より高い純度を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。