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特開2024-69200三次元コンポジット部品を生産するための、含浸繊維材料のウェブ、その生産方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069200
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】三次元コンポジット部品を生産するための、含浸繊維材料のウェブ、その生産方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B29B 15/14 20060101AFI20240514BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20240514BHJP
   B29C 70/50 20060101ALI20240514BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20240514BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
B29B15/14
B29C70/06
B29C70/50
B32B5/28
B29K105:08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019236
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2020549763の分割
【原出願日】2019-03-19
(31)【優先権主張番号】1852552
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サヴァール, ティボー
(72)【発明者】
【氏名】オックステッテル, ジル
(72)【発明者】
【氏名】フロレンシー, アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ガイヤール, パトリス
(72)【発明者】
【氏名】サリニエ, アクセル
(72)【発明者】
【氏名】バボー, アルテュール ピエール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】互いに積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚の個々のテープを含む、含浸繊維材料のウェブを提供する。
【解決手段】N枚の個々のテープが互いに接着しており、少なくとも部分的に重なることができ、繊維材料からなる前記個々のテープが、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが含浸されている連続繊維を含む、含浸繊維材料のウェブにおいて、前記ウェブが、繊維の軸に対して垂直な断面において、Sthと表される、繊維の軸に対して垂直な断面において、最初の個々のテープのそれぞれの表面の総和に実質的に等しい表面積Sを有しており、Sthが、N×l×Epに等しく、lは、テープの平均幅を表し、Epは、テープの平均厚さを表し、Nは、2~2,000の間であり、個々のテープのそれぞれの平均厚さは、150μm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚の個々のテープを含む、含浸繊維材料のウェブであって、前記N枚の個々のテープが互いに接着しており、少なくとも部分的に重なることができ、繊維材料からなる前記個々のテープが、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーおよび場合により鎖延長剤が含浸されている連続繊維を含む、含浸繊維材料のウェブにおいて、前記ウェブが、繊維の軸に対して垂直な断面において、Sthと表される、繊維の軸に対して垂直な断面において、最初の個々のテープのそれぞれの表面の総和に実質的に等しい表面積Sを有しており、Sthが、N×l×Epに等しく、lは、テープの平均幅を表し、Epは、テープの平均厚さを表し、Nは、2~2,000の間であり、個々のテープのそれぞれの平均厚さは、150μm以下、好ましくは100μm以下、特に10~100μmの間であることを特徴とする、含浸繊維材料のウェブ。
【請求項2】
前記ウェブが、その幅にNl枚のテープおよびその厚さにNep枚のテープを含み、
であり、個々のテープはそれぞれ、m×12Kの繊維、n×24Kの繊維、p×48K、q×50Kの繊維およびw×400Kから選択されるいくつかの炭素繊維を含み、mは、1~40、特に、1~4の間であり、nは、1~20の間であり、qは、1~10の間であり、pは、1~10の間、特に1であり、wは、1に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項3】
N枚の個々のテープの平均厚さおよび平均幅が、同一であり、ウェブの平均厚さ
が、
×erに等しく、
が、厚さのテープの平均数であり、erが、個々のテープのそれぞれの平均厚さであり、ウェブの平均幅
が、
×lrに等しく、
が、幅のテープの平均数であり、lrが、個々のテープのそれぞれの平均幅であることを特徴とする、請求項2に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項4】
N枚の個々のテープの平均厚さおよび平均幅が、同一であり、ウェブの平均厚さ
が、
×er未満であり、
が、厚さのテープの平均数であり、erが、個々のテープのそれぞれの平均厚さであり、ウェブの平均幅
が、
×lr未満であり、
が、幅のテープの平均数であり、lrが、個々のテープのそれぞれの平均幅であることを特徴とする、請求項2に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項5】
N枚の個々のテープの平均厚さおよび平均幅が、同一であり、ウェブの平均厚さ
が、
×erより大きく、
が、厚さのテープの平均数であり、erが、個々のテープのそれぞれの平均厚さであり、ウェブの平均幅
が、
×lrより大きく、
が、幅のテープの平均数であり、lrが、個々のテープのそれぞれの平均幅であることを特徴とする、請求項2に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項6】
N枚のテープが積層されており、幅のテープの数Nlが、1に等しく、厚さのテープの数Nepが、2~2,000の間であることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項7】
N枚のテープが接合されており、厚さのテープの数Nepが、1に等しく、幅のテープの数Nlが、2~2,000の間であることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項8】
N枚のテープが、互いに積層および接合されていることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の含浸繊維材料ウェブ。
【請求項9】
N枚の個々のテープの平均厚さおよび/または幅が異なることを特徴とする、請求項2に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項10】
互いに積層および/または接合されている前記N枚のテープからなる前記ウェブの厚さが、その幅にわたり変わり得ることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項11】
互いに積層および/または接合されている前記N枚のテープからなる前記ウェブの厚さが、その幅全体にわたり一定であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項12】
体積基準での繊維含有率が、前記ウェブの積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも70%で一定であり、前記N枚のテープが、少なくとも部分的に、特に前記ウェブの積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも80%で重なることが可能であり、前記N枚のテープが、少なくとも部分的に、特に前記ウェブの積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも90%で重なることが可能であり、前記N枚のテープが、少なくとも部分的に、とりわけ、前記ウェブの積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも95%で、重なることが可能であり、前記N枚のテープが、少なくとも部分的に重なることが可能であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項13】
繊維含有率が、前記ウェブの積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれについて、45~65体積%、好ましくは50~60体積%、特に、54~60%の間であり、前記N枚のテープが、繊維材料からなる前記ウェブにおいて、少なくとも部分的に重なることが可能であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項14】
含浸繊維材料の前記ウェブにおける多孔度レベルが、10%未満、特に5%未満、特に2%未満であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項15】
繊維材料の前記テープが、鎖延長剤を有しておらず、前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、そのガラス転移温度が、Tg≧80℃、特にTg≧100℃、特に≧120℃、特に≧140℃であるような非反応性アモルファスポリマー、またはその溶融温度Tm≧150℃となるような非反応性半結晶性ポリマーであることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項16】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、場合により鎖延長剤と部分重合した反応性熱可塑性プレポリマーであり、500~10,000、好ましくは4,000~8,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の含浸繊維材料のウェブ。
【請求項17】
前記少なくとも1種の部分重合した反応性熱可塑性プレポリマーが、同じ鎖上に、縮合によりそれぞれ一緒に反応する2つの末端官能基X’および官能基Y’を有する少なくとも1種の反応性プレポリマーを含み、X’およびY’が、それぞれ、アミンおよびカルボキシル、またはカルボキシおよびアミンであることを特徴とする、請求項16に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項18】
前記少なくとも1種の部分重合した反応性熱可塑性プレポリマーが、一緒に反応する少なくとも2種のポリアミドプレポリマーであって、それぞれが、2つの同一の末端官能基X’またはY’を有する、少なくとも2種のポリアミドプレポリマーを含み、プレポリマーの前記官能基X’が、特に縮合によって、他のプレポリマーの前記官能基Y’のみと反応することができ、とりわけ、X’およびY’が、それぞれ、アミンおよびカルボキシル、またはカルボキシルおよびアミンであることを特徴とする、請求項16に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項19】
前記鎖延長剤と部分重合した前記少なくとも1種の反応性熱可塑性プレポリマーが、以下:
a1) -NH、-COHおよび-OH、好ましくはNHおよび-COHから選択される、n個の反応性末端官能基Xを有する少なくとも1種の反応性熱可塑性プレポリマーであって、nが1~3、好ましくは1~2、より好ましくは1または2、とりわけ2である、少なくとも1種の反応性熱可塑性プレポリマー、
a2) A’が、前記プレポリマーa1)の少なくとも1つの官能基X’との重付加により反応性の、2つの同一の末端反応性官能基Yを有する、炭化水素二置換基であり、好ましくは500未満、より好ましくは400未満の分子質量を有する、少なくとも1つの鎖延長剤Y-A’-Yであって、
特に、Yが、以下:オキサジン、オキサゾリン、オキサゾリノン、オキサジノン、イミダゾリン、エポキシ、イソシアネート、マレイミド、環式無水物、特にオキサジン、オキサゾリン、オキサゾリノン、オキサジノン、イミダゾリン、エポキシ、マレイミド、環式無水物から選択され、好ましくは、Xは、CO2Hであり、Yは、エポキシおよびオキサゾリンから選択される、少なくとも1つの鎖延長剤Y-A’-Y
を含むことを特徴とする、請求項16に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項20】
繊維材料の前記N枚のテープが、同じ少なくとも1種の熱可塑性ポリマーからなることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項21】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、特にポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK);ポリアリールエーテルケトンケトン(PAEKK)、特にポリエーテルケトンケトン(PEKK);芳香族ポリエーテルイミド(PEI);ポリアリールスルホン、特にポリフェニレンスルホン(PPSU);ポリアリールスルフィド、特にポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(PA)、特に場合により尿素単位により修飾されている半芳香族ポリアミド(ポリフタルアミド);PEBA、ポリアクリレート、特にポリメタクリル酸メチル(PMMA);ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)およびフッ素化ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE);およびそれらの混合物、特に、好ましくは90~10重量%から60~40重量%、特に、90~10重量%から70~30重量%のPEKKとPEIとの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項22】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、PEKK、PEI、およびPEKKとPEIの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項23】
前記ポリアミドが、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドおよび半芳香族ポリアミド(ポリフタルアミド)から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項24】
前記脂肪族ポリアミドが、ポリアミド6(PA-6)、ポリアミド11(PA-11)、ポリアミド12(PA-12)、ポリアミド66(PA-66)、ポリアミド46(PA-46)、ポリアミド610(PA-610)、ポリアミド612(PA-612)、ポリアミド1010(PA-1010)、ポリアミド1012(PA-1012)、ポリアミド11/1010、ポリアミド12/1010、またはそれらの混合物もしくはそれらのコポリアミド、およびブロック共重合体、特にポリアミド/ポリエーテル(PEBA)から選択され、前記半芳香族ポリアミドが、尿素単位により修飾され得る半芳香族ポリアミド、特に、MXD6およびMXD10、または式X/YArである半芳香族ポリアミド、特に式A/XTである半芳香族ポリアミド[Aは、アミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位、および式(Caジアミン).(Cb二酸)[「a」は、ジアミンの炭素原子数を表し、「b」は、二酸の炭素原子数を表し、「a」および「b」はそれぞれ、4~36の間、有利には9~18の間である]に対応する単位の中から選択され、単位(Caジアミン)は、脂肪族ジアミン、直鎖状または分岐状の脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択され、単位(Cb二酸)が、脂肪族二酸、直鎖状または分岐状二酸、脂環式二酸および芳香族二酸から選択され、
X.Tは、Cxジアミンおよびテレフタル酸の重縮合から得られる単位[xは、Cxジアミンの炭素原子数を表し、xは、6~36の間、有利には9~18の間を表す]、特に、式A/6T、A/9T、A/10TまたはA/11Tを有するポリアミド(Aは、上で定義されている通りである)、特にポリアミドPA6/6T、PA66/6T、PA6I/6T、PA11/BACT、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/6T/10T、PA MXDT/10、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA11/BACT、PA BACT/10T/6T、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10Tを表す]であることを特徴とする、請求項23に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項25】
前記ポリアミドが、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/6T/10T、PA11/BACT、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10Tから選択される半芳香族ポリアミドであることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項26】
前記繊維材料が、炭素、ガラス、炭化ケイ素、玄武岩または玄武岩をベースとするシリカ、天然繊維とりわけ亜麻または大麻、リグニン、竹、シサル麻、シルクまたはセルロース、特に、ビスコース、あるいは前記ポリマー混合物がアモルファスである場合、前記ポリマーもしくは前記ポリマー混合物のガラス転移温度Tgよりも高い、または前記ポリマー混合物が半結晶である場合、前記ポリマーもしくは前記ポリマー混合物のTmよりも高い、Tgを有するアモルファス熱可塑性繊維、あるいは、前記ポリマー混合物がアモルファスである場合、前記ポリマーもしくは前記ポリマー混合物のTgよりも高い、または前記ポリマー混合物が半結晶である場合、前記ポリマーもしくは前記ポリマー混合物の溶融温度Tmよりも高い、Tmを有する半結晶性熱可塑性繊維、あるいは前記繊維のうちの2種以上の混合物、好ましくは炭素繊維、ガラスまたは炭化ケイ素の混合物、特に炭素繊維から選択される連続繊維を含むことを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項27】
前記熱可塑性ポリマーが、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィブリルまたはそれらの混合物から好ましくは選択される、炭素系充填剤、特にカーボンブラックまたは炭素ナノ充填剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項28】
前記熱可塑性プレポリマーが、添加剤として、液晶ポリマーもしくは環式ポリ(ブチレンテレフタレート)、または前記液晶ポリマーもしくは前記環式ポリ(ブチレンテレフタレート)を含有する混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の繊維材料ウェブ。
【請求項29】
積層したNep枚のテープおよび接合したNl枚のテープからなり、厚さのテープの数Nepが、1~4の間であり、幅のテープの数Nlが、1~94の間であり、特に平均厚さが、前記ウェブの全幅にわたり一定であることを特徴とする、請求項3から28のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項30】
厚さのテープの数Nepが、2および4から選択され、幅のテープの数Nlが1であることを特徴とする、請求項29に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項31】
厚さのテープの数Nepが1であり、幅のテープの数Nlが、24および32から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項32】
厚さのテープの数Nepが2であり、幅のテープの数Nlが、46、62および92から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項33】
ウェブが、それぞれ、以下:300mm×2mm;200mm×2mm、150mm×2mm;100mm×2mm;596.9×1mm;393.7mm×1mm;292mm×1mm;200mm×1mm;150mm×1mm;100mm×1mm;15mmX0.25mm、15mm×0.225mm、14mm×0.265mm、14mm×0.240mm、12,7mm×0.265mm、12.7mm×0.189mm、596.9mm×0.12mm;393.7mm×0.12mm;292.1mm×0.12mmから選択される、平均幅および平均厚さによって表される、断面表面寸法を有することを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項に記載の繊維材料のウェブ。
【請求項34】
ロボットによる前記ウェブの自動配置による、三次元コンポジット部品を製造するための、請求項1から33のいずれか一項に定義されている繊維材料のウェブの使用。
【請求項35】
前記コンポジット部品の前記生産が、輸送分野、特に自動車、石油およびガス、特に、オフショア、ガス貯蔵、航空機器、船舶および鉄道;再生可能エネルギー、特に風力エネルギー、潮力エネルギーのエネルギー貯蔵装置、ソーラーパネル;熱保護パネル、スポーツおよびリクレーション、健康および医療、ならびに電子機器に関することを特徴とする、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
請求項1から33のいずれか一項に定義されている含浸繊維材料の少なくとも1つのウェブの使用から得ることを特徴とする、三次元コンポジット部品。
【請求項37】
請求項1から33のいずれか一項に定義されている繊維材料のウェブを調製する方法であって、請求項1に定義されている繊維材料からなる前記テープを積層および/または接合する工程を含み、前記N枚のテープが、少なくとも部分的に重なり合うことが可能であることを特徴とする方法。
【請求項38】
積層および/または接合工程が、以下のシステムの少なくとも1つ:
1)少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体上に前記テープを通し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
2)加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体上に前記テープを通し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
3)少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
4)少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、このテープを温延伸プレートに通して、加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
によって行われることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
熱可塑性ポリマーおよび場合により鎖延長剤を事前含浸した繊維材料を加熱し、含浸を終了して、100μm以下、特に10μm~100μmの間の平均厚さを有するストリップの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る前工程、および
場合により、前記含浸繊維材料のロービングまたは前記平行なロービングを成形および較正して、100μm以下、特に、10μm~100μmの間の平均厚さを有する薄層テープの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る工程、
をさらに含むことを特徴とする、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
事前含浸繊維材料を得るため、特に、粉末堆積によって、溶融経路によって、特に引き抜き成形によって、熱可塑性ポリマーおよび場合により鎖延長剤のクロスヘッド押出成形によって、水性熱可塑性ポリマー粉末分散体と場合により鎖延長剤、または水性熱可塑性ポリマー粒子分散体と場合により鎖延長剤、または水性熱可塑性ポリマーエマルション、または懸濁液中での繊維の連続流通によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない流動床によって、ノズルまたはスプレーガンによる噴霧によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない槽中での乾式経路によって、繊維材料を事前含浸する前工程をさらに含むことを特徴とする、請求項37から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つのノッチ付きカレンダー加工機、可能性として加熱式カレンダー加工機によって、ウェブを成形する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項37から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
以下:
i) 事前含浸繊維材料を得るため、特に、粉末堆積によって、溶融経路によって、特に引き抜き成形によって、溶融ポリマーのクロスヘッド押出成形によって、水性ポリマー粉末分散体または水性ポリマー粒子分散体または水性ポリマーエマルションまたは懸濁液中での繊維の連続流通によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない流動床によって、ノズルまたはスプレーガンによる噴霧によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない槽中での乾式経路によって、繊維材料を事前含浸する工程、
ii) 前記事前含浸繊維材料を加熱し、含浸を終了して、100μm以下、特に、10μm~100μmの間の平均厚さを有するストリップの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る工程、
iii)場合により、前記含浸繊維材料のロービングまたは前記平行なロービングを成形および較正して、100μm以下、特に、10μm~100μmの間の平均厚さを有する薄層テープの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る工程、
iv) ストリップまたは薄層テープの形態の繊維材料からなるN枚のテープを積層および/または接合する工程であって、前記N枚のテープが少なくとも部分的に重なることが可能な、N枚のテープを積層および/または接合する工程、
v)少なくとも1つのノッチ付きカレンダー加工機、場合により加熱式カレンダー加工機によって、ウェブを成形する工程
を含むことを特徴とする、請求項37から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも10m/分、特に少なくとも20m/分、好ましくは少なくとも30m/分の速度で行われることを特徴とする、請求項37から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも10m/分、特に少なくとも20m/分、好ましくは少なくとも30m/分の速度で行われることを特徴とする、請求項37から42のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続繊維の形態をしている、互いに積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚の個々のテープであって、少なくとも部分的に重なることが可能なN枚の個々のテープ、および少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む含浸繊維材料のウェブに関する。
【0002】
本発明はまた、製造コストの削減および高い製造速度を伴う、ウェブの形態にある含浸繊維材料を製造する方法にも関する。
【0003】
本発明はまた、三次元コンポジット部品を製造するための、ウェブの形態にある含浸繊維材料の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
熱可塑性樹脂とも称される、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの混合物が含浸されている繊維材料の製造は、ベンゾフェノンなどの有機溶媒を含有する熱可塑性ポリマーの溶融浴に、またはEP0324680出願に開示されている水性分散体中に繊維を連続的に通すことにより、流動床に繊維を連続的に通すことにより、または繊維を連続的に、特に静電的に噴霧することにより、またはやはり溶融経路(molten route)により、特にUS2014/0005331(A1)出願に開示されている引き抜き成形により行われ得る。これにより、コンポジット材料を製造するために使用することができる、較正されたストリップまたはテープの形態のこれらの含浸繊維材料を成形することが可能となる。この含浸繊維材料は、金属製の構造部品の場合に得られる機械的強度に匹敵する機械的強度を維持する、かつ/または静電荷を逃がすことを確実にする、かつ/または熱的および/もしくは化学的保護を確実にすると同時に、材料を軽量化するという観点から、構造部品の製造に使用されている。
【0005】
このような含浸繊維材料は、特に、機械、航空機器(aeronautics)、自動車、エネルギー、建築(建物)、健康および医療、スポーツおよびレジャー、家具およびアーバン家具、ならびに電子機器の分野において、三次元構造を有しており、良好な機械的強度および熱的強度の特性、ならびに静電荷を逃がすことが可能な特性、すなわち部品の製造に適合可能な特性を有する機械部品を製造するための、軽量コンポジット材料を生産するよう特に意図されている。こうして、コンポジット材料は、三次元(3D)部品の生産に使用され、既知のロボット支援式ストリップ配置法(例えば、自動繊維配置(AFP)法)によって、これらのコンポジット材料を生産することが可能となる。
【発明の概要】
【0006】
本発明では、「繊維材料」とは、繊維を強化する個々の集成体を指す。樹脂を含浸した後、個々のテープの形態で提供される。
【0007】
用語「個々のテープ」とは、幅および厚さが較正されていない、厚さの小さな半完成品であるストリップであって、厚さおよび幅が較正されている、繊維の単一ロービング、または1つもしくは複数の繊維ロービングからなる薄層テープから構成されている、ストリップを指す。
【0008】
すべての例において、テープの厚さは、150μm以下、好ましくは100μm以下である。
【0009】
前記テープは、次に、ウェブの形態で、互いに積層および/または接合され、これは、厚さは較正されているが、幅は必ずしも較正されている必要はない。
【0010】
厚さおよび幅が較正されている場合、較正済みウェブと呼ばれる。
【0011】
三次元コンポジット部品の幾何形状が、過度に複雑ではない場合、半製品のロボット配置(成形のため)の生産性を向上することが可能となるよう、ウェブからコンポジット部品を製造するのが有利である。
【0012】
繊維材料の組成物に使用することができる繊維は、様々な直線坪量またはヤード法または糸番手または「tex」を有することができ、かつ/またはロービングにおける様々な数とすることができる。同様に、最も慣用的に使用されるロービングは、ガラス繊維の場合、600~4,800tex、および炭素繊維の場合、3,000(3K)、6,000(6K)、12,000(12K)、24,000(24K)、48,000(48K)、50,000(50K)または400,000(400K)の繊維から構成される。例えば、炭素繊維は、7~8μmに近似した直径を一般に有しており、ガラス繊維は、約13、15、17または20μmの直径を有する。
【0013】
繊維の直線坪量は、事前に規定されており、したがって、得られるテープの平均幅もやはり規定されているので、任意の平均厚さを有するウェブを直接、得ることは不可能であり、なぜなら、これには、上市されていない、いくつかの繊維を有するロービングが必要となるからである。
【0014】
したがって、様々なサイズを有するウェブを得るため、規定の厚さの個々のテープであって、そのロービング数が、3Kまたは6Kまたは12Kまたは24Kまたは48Kまたは50Kまたは400Kの倍数である個々のテープは、互いに積層および/または接合されていることが必要であり、このようなテープは、現在、上市されていない。
【0015】
したがって、本発明は、互いに積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚の個々のテープを含む、含浸繊維材料のウェブであって、前記N枚の個々のテープが互いに接着しており、少なくとも部分的に重なることができ、繊維材料からなる前記個々のテープが、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーおよび場合により鎖延長剤が含浸されている連続繊維を含む、含浸繊維材料のウェブにおいて、前記ウェブが、繊維の軸に対して垂直な断面において、Sthと表される、繊維の軸に対して垂直な断面において、最初の個々のテープのそれぞれの表面の総和に実質的に等しい表面積Sを有しており、Sthが、N×l×Epに等しく、lは、テープの平均幅を表し、Epは、テープの平均厚さを表し、Nは、2~2,000の間であり、個々のテープのそれぞれの平均厚さは、150μm以下、好ましくは100μm以下、特に10~100μmの間であることを特徴とする、含浸繊維材料のウェブに関する。
【0016】
一実施形態では、ポリアリールスルフィド、特に、ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、熱可塑性ポリマーの定義から除外される。表現「積層されたおよび/または接合された」は、前記テープが、互いに物理的に結合されていることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】支持体の設けられた槽の例を示す。
図2】支持体が円筒形圧縮ローラーである、流動床を備える槽の例を示す。
図3】単一圧縮ローラー、粉末(32)を噴霧するためのスプレーガン(31)を備える槽(30)を用いる実施形態を示し、単一円筒形圧縮ローラー(33)が存在し、角度α“を示す。
図4】事前含浸繊維材料を加熱するための単一加熱システム、および含浸を終了するため、3つのローラーを用いて含浸を終了させる概略を示す。
図5】光学顕微鏡で撮影した、実施例1に従い、およびWO2015/121583に開示されている(カレンダー加工前)、D50=108μm(D90=198μmおよびD10=48.3μm)であるPA BACT/10Tポリアミド粉末を含浸したSGL、50K炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
図6】光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例2による(カレンダー加工前)、D50=108μm(D90=198μmおよびD10=48.3μm)であるPA BACT/10Tポリアミド粉末(41/59のモル比)を含浸したSGL、50K炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
図7】12.7mmの幅のウェブを得るための、12.7mmに成形された、3つのストリップ(図6で得られた)の積層の実施形態(40)を示す。
図8】光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例2による(カレンダー加工前)、D50=108μm(D90=198μmおよびD10=48.3μm)であるPA11/BACTポリアミド粉末(33/67のモル比)を含浸したToray(T700 12k 31E)炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
図9】光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例3による(カレンダー加工前)、D50=136μm(D90=225μmおよびD10=75μm)であるPA6I/6Tポリアミド粉末(45/55のモル比)を含浸したToray(T700 12k 31E)炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
図10】光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例4による(カレンダー加工前)、D50=157μm(D90=301μmおよびD10=58μm)であるPA MPMDT/10T粉末(41/59のモル比)を含浸した炭素繊維ロービング(Toray T700 12k 31E炭素繊維)の断面図の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
表現「互いに接着している」とは、このテープが、特に、加熱システムにより、結合されている、または溶接されている、または融接されている、または接着されていることを意味する。
【0019】
接着は、外部結合剤、または接着剤タイプの外部化合物を使用しないが、それぞれのテープに存在しているポリマーを溶融することによってのみ行われる。
【0020】
したがって、テープは、互いに接着剤なしに、ぴったりと上下に、または互いに隣合わせで配置され得ない。
【0021】
表現「前記N枚の個々のテープは、少なくとも部分的に重なることが可能な」は、前記個々のテープが、縁部同志が完全に接合されることがなく、したがって、隣接テープに重なることができることを意味する。これはまた、例えば、2枚のテープが互いに接合されていること、および第3のテープが、前記2枚のテープの一方の上に100%積層されておらず、前記2枚のテープに重なっていることも意味する。ウェブが、少なくとも2層のテープから構成されている場合、表現「前記N枚のテープは、少なくとも部分的に重なることが可能な」はまた、1つの層に由来する個々のテープが、下側の層に由来する個々のテープと重なることを意味することもできる。
【0022】
言い換えると、テープの表面の最大で50%が、少なくとも1枚の他のテープと重なることができる。
【0023】
特に、テープの表面の最大で40%、好ましくは最大で30%、より好ましくは最大で20%、さらにより好ましくは最大で10%、特に最大で5%が、少なくとも1枚の他のテープと重なることができる。
【0024】
表現「繊維の軸に対して垂直な断面における、最初の個々のテープのそれぞれの表面の総和に実質的に等しい」とは、繊維の軸に対して垂直な、前記ウェブの断面積Sが、理論面積Sth+/-25%、特にSth+/-10%、特にSth+/-5%、特にSth+/-2%、好ましくはSth-5%、さらにより好ましくはSth-10%およびSth-25%に等しいことを意味する。
【0025】
この差異は、集成して前記ウェブを形成した後のテープの接触面における孔の存在、またはその反対に、集成体の操作中のそれぞれのテープの残留する孔の減少に起因する。
【0026】
したがって、Sthは、ウェブにおける繊維の軸に対して垂直な断面における、理論表面積に相当する。
【0027】
本開示の全体にわたり、ウェブの幅は平均幅に相当し、ウェブの厚さは、平均厚さ、すなわちウェブの全長にわたる平均幅および厚さに相当する。これは、幅および厚さが、ウェブに沿って変わり得ることを意味する。
【0028】
有利には、再加熱の非存在下で、含浸繊維材料ウェブは、非可撓性である。
【0029】
これは、ウェブが、常温では複雑な形状をとることができないこと、およびウェブは、樹脂が、樹脂のTmの半結晶である場合、樹脂のTgより高い時だけ、好ましくは樹脂のTmより高い時だけ複雑な形状をとることができることを意味する。言い換えると、ウェブはドレープ性を有していない。
【0030】
一実施形態では、前記個々のテープは薄く、ストリップからなり、平均厚さは、100μm以下、特に10~100μmの間である。
【0031】
平均厚さが100μm以下であることを確認する方法は、非破壊的測定手段によって、ストリップの統計学的な代表試料に関する測定を行うことである。
【0032】
本開示の全体にわたり、ストリップの幅は、平均幅に相当し、ストリップの厚さは、平均厚さ、すなわちストリップの全長にわたる平均幅および厚さに相当する。これは、幅および厚さが、ストリップに沿って変わり得るが、厚さは、平均で、100μm以下であることを意味する。平均厚さが、ストリップの全長にわたり、100μm未満であることを確認する方法は、非破壊的測定手段によって、ストリップの統計学的な代表試料に関する測定を行うことである。
【0033】
表現「未較正幅のストリップ」は、ストリップの幅が、一定ではなく、その幅が、可能性として、l+/-20%、特に、l+/-15%、特に、l+/-10%に等しいことを意味し、この場合、lは平均幅を表す。
【0034】
表現「未較正厚さのストリップ」は、ストリップの厚さが、その全長にわたり一定ではなく、その厚さが、e+/-20%、特に、e+/-15%、特にe+/-10%に等しくなる可能性があることを意味し、この場合、eは、平均厚さを表す。
【0035】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-20%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-20%に等しいことを意味する。
【0036】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-20%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-15%に等しいことを意味する。
【0037】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-20%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-10%に等しいことを意味する。
【0038】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-15%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-20%に等しいことを意味する。
【0039】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-10%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-20%に等しいことを意味する。
【0040】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-15%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-15%に等しいことを意味する。
【0041】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-10%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-15%に等しいことを意味する。
【0042】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-15%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-10%に等しいことを意味する。
【0043】
有利には、表現「未較正幅」および「未較正厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-10%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-10%に等しいことを意味する。
【0044】
別の実施形態では、前記個々のテープは、「薄層テープ」からなり、平均厚さは、100μm以下、特に10~100μmの間である。
【0045】
平均厚さが100μm以下であることを確認する方法は、非破壊的測定手段によって、薄層テープの統計学的な代表試料に関する測定を行うことである。
【0046】
本開示の全体にわたり、薄層テープの厚さは、平均厚さ、すなわち薄層テープの全長にわたる平均厚さに相当する。これは、厚さが、薄層テープに沿って変わり得るが、厚さは、平均で、100μm以下であることを意味する。平均厚さが、薄層テープの全長にわたり、100μm未満であることを確認する方法は、非破壊的測定手段によって、薄層テープの統計学的な代表試料に関する測定を行うことである。
【0047】
薄層テープの幅は、較正されており、したがって、薄層テープの全長にわたり一定である。
【0048】
ウェブの場合、厚さは、平均厚さ、すなわちウェブの全長にわたる平均厚さに相当する。これは、厚さが、ウェブに沿って変わり得ることを意味する。
【0049】
ウェブの場合、幅は、ウェブの全長にわたる平均幅に相当する。
【0050】
較正済みウェブの場合、このウェブの幅は、ウェブの全長にわたり一定である。
【0051】
表現「較正済み幅」は、薄層テープまたは較正済みウェブの幅が、その全長にわたり一定であり、幅は、l+/-5%、特にl+/-2%に等しくなり得、この場合、lは、平均幅を表す。
【0052】
表現「較正済み厚さ」は、較正済みまたは未較正の、薄層テープまたはウェブの厚さが、その全長にわたり一定であり、厚さは、e+/-5%に等しくなり得、特に、厚さは、e+/-2%に等しく、この場合、eは、平均厚さを表す。
【0053】
有利には、表現「較正済み幅」および「較正済み厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-5%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-5%に等しいことを意味する。
【0054】
有利には、表現「較正済み幅」および「較正済み厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-5%に等しく、厚さが、e+/-2%に等しいことを意味する。
【0055】
有利には、表現「較正済み幅」および「較正済み厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-2%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-5%に等しいことを意味する。
【0056】
有利には、表現「較正済み幅」および「較正済み厚さ」は、それぞれ、幅は、平均幅のl+/-2%に等しく、厚さが、平均厚さのe+/-2%に等しいことを意味する。
【0057】
表現「実質的に等しい」とは、繊維の軸に対して垂直な断面において、前記ウェブの表面積であるSが、最初の個々のテープのそれぞれの断面の表面積の総和に等しいこと、すなわちSth+/-25%、特にSth+/-10%、特にSth+/-5%、特にSth+/-2%、好ましくはSth-5%、さらにより好ましくはSth-10%およびSth-25%であることを意味する。
【0058】
Nが2~2,000からなることは、最低でも、以下であることを意味する:
- 2枚の個々のテープが、一緒に接合されて、1枚の個々のテープの平均厚さを有するウェブを形成し、平均幅は、2枚の個々のテープの平均幅に実質的に等しい、または
- 2枚の個々のテープの一方が、積層されて、2枚の個々のテープの厚さに実質的に等しい平均厚さを有するウェブが形成され、平均幅は、1枚の個々のテープの平均幅に実質的に等しい、または
- 2枚の個々のテープの一方が、部分的に積層されて、個々のテープの平均厚さと2枚の個々のテープの平均厚さとの間で実質的に様々となる平均厚さを有するウェブが形成され、平均幅は、実質的に、個々のテープの平均幅と2枚の接合された個々のテープの平均幅との間となる。
【0059】
2枚のテープとは別に、3つの立体構成が存在する:
- 個々のテープが一緒に接合されて、1枚の個々のテープの平均厚さを有するストリップが形成され、平均幅は、個々のテープの平均幅に実質的に等しいか、または
- 個々のテープが積層されて、個々のテープの平均厚さに実質的に等しい平均厚さを有するストリップが形成され、平均幅は1枚の個々のテープの平均幅に実質的に等しいか、または
- 個々のテープのある部分が接合され、個々のテープの別の部分が、積層されて、両方の部分に由来するテープの総数がNに等しい。
【0060】
表現「実質的に等しい」は、上記と同じ意味を有する。
【0061】
2枚を超えるテープ(N枚のテープ)が接合および積層される場合、ウェブの平均厚さは、ウェブの幅全体にわたり一定となり得るが、成形するために最後に使用されるカレンダー加工機に応じて、前記ウェブの幅にわたり、やはり変わり得、積層テープおよび接合テープの総数は、2~2,000枚の間のNに等しい。
【0062】
ウェブは、接合したN枚の個々のテープの平均幅の合計より大きい、またはそれより小さい、またはそれに等しい平均幅、および積層したN枚の個々のテープの平均厚さの合計より大きい、またはそれより小さい、またはそれに等しい平均厚さを有することがあり、なぜなら、接合および積層により、起こるとすれば、それぞれのテープの多孔度が低下するか、または接合テープ同士もしくは積層テープ同士の間に孔が生成するかのどちらかとなり得るからである。
【0063】
これが、繊維の軸に対して垂直な断面における、前記ウェブの実際の表面積Sが、繊維の軸に対して垂直な断面における、最初の個々のテープのそれぞれの表面積の総和に等しい、すなわちSth+/-25%、特にSth+/-10%、特にSth+/-5%、特にSth+/-2%、好ましくはSth-5%、さらにより好ましくはSth-10%およびSth-25%となる理由である。
【0064】
一実施形態では、含浸された個々のテープのそれぞれの多孔度レベルは、10%未満、特に5%未満、特に2%未満である。
【0065】
別の実施形態では、含浸繊維材料の前記ウェブの多孔度レベルは、10%未満、特に5%未満、特に2%未満である。
【0066】
さらに別の実施形態では、含浸された個々のテープのそれぞれの多孔度レベルは、10%未満、特に5%未満、特に2%未満であり、含浸繊維材料の前記ウェブの多孔度レベルは、10%未満、特に5%未満、特に2%未満である。
【0067】
有利には、前記最初のテープの多孔度レベルは、5~10%の間の多孔度を有しており、前記ウェブの多孔度レベルは、5%未満である。
【0068】
有利には、前記最初のテープの多孔度レベルは、2~5%の間の多孔度を有しており、前記ウェブの多孔度レベルは、2%未満である。
【0069】
したがって、これらの最後の2つの実施形態では、前記ウェブの外観は、個々のテープの最初の外観に比べると、改善されている。
【0070】
繊維材料の前記ウェブは、その幅にNl枚のテープ、およびその厚さにNep枚のテープを含み、
であり、個々のテープはそれぞれ、いくつかの繊維、特に、3,000または50,000の倍数の繊維から選択される炭素繊維を含む。
【0071】
有利には、個々のテープはそれぞれ、mX12Kの繊維、n×24Kの繊維、p×48K、q×50Kの繊維、およびw×400Kから選択される、いくつかの炭素繊維を含み、mは、1~40、特に、1~4の間であり、nは、1~20の間であり、qは、1~10の間であり、pは、1~10の間、特に1であり、wは、1に等しい。
【0072】
ウェブの厚さは、ウェブの幅全体にわたり一定となり得、すなわち、テープの集成体がすべて同じ厚さを有する場合、厚さのテープの数Nepは、ウェブの任意の点において同じである。
【0073】
反対に、ウェブの厚さは、特に、前記ウェブの幅に応じて様々となり得、すなわち、テープがすべて同じ厚さを有する場合、厚さのテープの数Nepは、前記ウェブの幅と見なされる位置に応じて異なる。
【0074】
いかなる場合でも、テープの総数Nは、2~2,000の間である。
【0075】
上記で定義した含浸繊維材料の前記ウェブの前記N枚のテープは、同一繊維材料からなるか、または異なる繊維材料からなり、特に、同じ繊維材料からなる。
【0076】
したがって、例えば、炭素繊維系繊維材料からなる少なくとも1枚のテープ、およびガラス繊維系繊維材料からなる少なくとも1枚のテープが存在してもよい。
【0077】
テープの少なくとも1枚が、繊維材料、例えばガラス繊維および炭素繊維の混合物によって作製されている場合、本発明の範囲から逸脱していない。
【0078】
有利には、上記で定義した含浸繊維材料の前記ウェブ中の前記N枚のテープは、同一繊維材料からなる。
【0079】
同じ性質または異なる性質の繊維のヤード数が、N枚のテープの集成体内で、厚さ(Nep枚のテープの積層)と幅(Nl枚のテープの並列または接合)の両方が同一であるかまたは異なる場合も、本発明の範囲から逸脱していない。
【0080】
したがって、例えば、50K炭素繊維をベースとするテープに、24Kの炭素繊維をベースとするテープを接合および/または積層することが可能である。
【0081】
しかし、50K炭素繊維をベースとするテープに、坪量が2,400Texに等しいガラス繊維をベースとするテープを接合および/または積層することも可能である。
【0082】
一実施形態では、N枚のテープは、同一の個々の平均厚さおよび平均幅を有しており、ウェブの平均厚さ
は、
×erに等しく、
は、厚さのテープの平均数であり、erは、個々のテープの平均厚さであり、ウェブの平均幅
は、
×lrに等しく、
は、幅のテープの平均数であり、lrは、個々のテープの平均幅である。
【0083】
この実施形態では、繊維の軸に対して垂直な断面における、ウェブの表面積Sは、繊維の軸に対して垂直な断面における、ウェブの理論表面積Sthに等しい:したがって、集成前のN枚のテープと集成に由来する最終ウェブとに関して計算した平均値の間の多孔度レベルは、維持されている。孔が、そのすべてが等しい多孔度で、例えば、その位置を変え得る場合、すなわち各テープにおける「内部」(すなわち、各テープのコア中)孔から集成の間の孔の生成に起因する「外部」孔へと変わり得る場合、それぞれのテープにおける「内部」孔が、テープの集成の間に変化しないこと、および集成後の「外部」孔が無視できるということが、他の考えられる場合である。
【0084】
別の実施形態では、N枚の個々のテープの平均厚さおよび平均幅は、同一であり、ウェブの平均厚さ
は、
×er未満であり、
は、厚さのテープの平均数であり、erは、個々のテープの平均厚さであり、ウェブの平均幅
は、
×lr未満であり、
は、幅のテープの平均数であり、lrは、個々のテープの平均幅である。
【0085】
この実施形態では、集成後の個々のテープの孔は低下し、ウェブは、その幅全体にわたり一定の平均厚さを有することができるか、またはウェブの幅と見なされる位置に応じて、異なる厚さを有することができる。
【0086】
さらに別の実施形態では、N枚の個々のテープの平均厚さおよび平均幅は同一であり、ウェブの平均厚さ
は、
×erより大きく、
は、厚さのテープの平均数であり、erは、個々のテープの平均厚さであり、ウェブの平均幅
は、
×lrより大きく、
は、幅のテープの平均数であり、lrは、個々のテープの平均幅である。
【0087】
この実施形態では、集成後のテープ間に孔が生成し、ウェブは、その幅全体にわたり一定の平均厚さを有することがあるか、またはウェブの幅と見なされる位置に応じて、異なる厚さを有することがある。
【0088】
この実施形態では、全体の多孔度レベルはやはり維持され得るが、これらの孔は、テープの集成の間に、テープの内側から外側へと、テープ間の接触面の方向に向かって移動し得る。
【0089】
言い換えると、その内部に多孔度P/Nを有するN枚のテープが存在する場合、全体の多孔度は、Pに等しい。
【0090】
これらのテープの幅および厚さが、それらを積層することによって集成される場合、各テープ内の多孔度は低下し得、次に、P’/N=P/N-ε/Nとなり、ここで、ε/Nは、各テープ内の多孔度の低下であり、テープの集成方法の結果である。しかし、平行して、集成後のテープ間に孔が現れることがあり、これは、テープ集成方法の結果でもあり、次にこの多孔度は、P”/Nとなる。
【0091】
テープ内の孔の全低下εが、ロービング間に生成するP”に等しい場合、全体の多孔度レベルは維持される。
【0092】
繊維材料のウェブの第1の実施形態によれば、上で定義した含浸繊維材料のウェブのN枚のテープは積層されており、幅のテープの数Nlは、1に等しく、厚さのテープの数Nepは、2~2,000の間である。
【0093】
したがって、この実施形態では、たった1枚分のテープの幅および2~2000枚分のテープの厚さが存在する。
【0094】
繊維材料のウェブの第2の形態によれば、上で定義した含浸繊維材料のウェブにおけるN枚のテープは一緒に接合されており、厚さのテープの数Nepは1に等しく、幅のテープの数Nlは2~2,000の間である。
【0095】
したがって、この実施形態では、たった1枚分のテープの厚さおよび2~2,000枚分のテープの幅が存在する。
【0096】
繊維材料のウェブの第3の形態によれば、上で定義されている含浸繊維材料のウェブにおけるN枚のテープは、一緒に積層および接合されている。
【0097】
この場合、その幅全体にわたり一定であるウェブの厚さ、またはその幅にあると見なされる点に応じて異なる厚さを有するすべてのシナリオが可能である。
【0098】
さらに別の実施形態では、N枚の個々のテープの平均厚さおよび/または幅は異なり、ウェブの平均厚さは、
×個々のテープのそれぞれの平均厚さに等しく、ウェブの平均幅は、
×個々のテープのそれぞれの平均幅に等しい。
【0099】
第1の代替では、前記N枚の積層テープおよび/または接合テープからなる、上で定義した含浸繊維材料の前記ウェブの厚さは、その幅にわたり変わり得る。
【0100】
この代替では、ウェブの幅に沿った位置、およびその幅に応じたウェブの厚さの変動が、1枚のテープから別のテープへの厚さの変動に直接、起因しているかに関わらず、厚さが同じ数の積層テープが存在するか、またはさらに、その幅にあると見なされる点に応じて、ウェブの厚さが同じ数の積層テープが存在しないかのどちらか一方であり、積層テープの数の変動は、1枚のテープから別のテープへの厚さの変動を相殺しない。これにより、その幅に従い、ウェブに対して特定の幾何学形状をもたらすことが可能である。
【0101】
第2の代替では、前記N枚の積層テープおよび/または接合テープからなる、上で定義した含浸繊維材料の前記ウェブの厚さは、その幅全体にわたり一定である。
【0102】
この後者の代替では、厚さが同じ数の積層テープであることにより、1枚のテープから別のテープまでの厚さの変動を相殺することが可能となる。
【0103】
上で定義した様々なウェブの体積基準での繊維含有率は、前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも70%で一定であり、前記N枚のテープは、少なくとも部分的に、特に前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも80%で重なることが可能であり、前記N枚のテープは、少なくとも部分的に、特に前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも90%で重なることが可能であり、前記N枚のテープは少なくとも部分的に、とりわけ、前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも95%で、重なることが可能であり、前記N枚のテープは、少なくとも部分的に重なることが可能である。
【0104】
繊維含有率は、前記ウェブの積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれについて、45~65体積%、好ましくは50~60体積%、特に54~60%の範囲であり、前記N枚のテープは、繊維材料からなる前記ウェブにおいて、少なくとも部分的に重なることが可能である。
【0105】
有利には、上で定義した様々なウェブの体積基準での繊維含有率は、前記ウェブの積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも70%で一定であり、前記N枚のテープは、少なくとも部分的に、特に、前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも80%で重なることが可能であり、前記N枚のテープは、少なくとも部分的に、特に、前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも90%で重なることが可能であり、前記N枚のテープは、少なくとも部分的に、とりわけ、前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれの体積の少なくとも95%で重なることが可能であり、前記N枚のテープは少なくとも部分的に、重なることが可能であり、繊維含有率は、前記ウェブにおいて積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚のテープのそれぞれに対して、45~65体積%の間、好ましくは、50~60体積%の間、特に、54~60%の間であり、前記N枚のテープは、繊維材料の前記ウェブにおいて、少なくとも部分的に重なることが可能である。
【0106】
有利には、上で定義した繊維材料のウェブの繊維材料からなる前記N枚のテープは、同じ少なくとも1種の熱可塑性ポリマーからなる。
【0107】
これは、テープのそれぞれが、同じポリマーからなるが、それぞれのテープのポリマーが、ポリマー、例えば、PEKKおよびPEIの混合物であってもよいことを意味する。
【0108】
別の実施形態では、集成および/または接合された繊維材料からなる前記N枚のテープの前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、異なっていてもよく、ただし、積層テープおよび/または接合テープを構成するポリマー(前記N枚のテープは、少なくとも部分的に重なることが可能である)は、適合可能であるか、または部分的に混和性であることを条件とする。
【0109】
一実施形態では、上で定義した繊維材料からなる前記ウェブは、積層したNep枚のテープおよび接合したNl枚のテープからなり、厚さのテープの数Nepは、1~4枚の間であり、幅のテープの数Nlは、1~94枚の間である。
【0110】
有利には、厚さの積層テープの数Nepは、Nl枚のテープすべてに対して、同じであり、平均厚さは、前記ウェブの幅全体にわたり一定である。
【0111】
一実施形態では、厚さのテープの数Nepは、2枚および4枚から選択され、幅のテープの数Nlは1枚である。
【0112】
したがって、前記ウェブは、幅は1枚、厚さは2枚または4枚のテープからなる。
【0113】
別の実施形態では、厚さのテープの数Nepは1枚であり、幅のテープの数Nlは、24枚および32枚から選択される。
【0114】
したがって、前記ウェブは、24枚または32枚のテープの幅全体にわたり、単一の厚さからなる。
【0115】
さらに別の実施形態では、厚さのテープの数Nepは2枚であり、幅のテープの数Nlは、46枚、62枚および92枚から選択される。
【0116】
有利には、上記で定義した繊維材料からなる前記ウェブは、それぞれ、以下:300mm×2mm;200mm×2mm、150mm×2mm;100mm×2mm;596.9×1mm;393.7mm×1mm;292mm×1mm;200mm×1mm;150mm×1mm;100mm×1mm;15mmX0.25mm、15mm×0.225mm、14mm×0.265mm、14mm×0.240mm、12,7mm×0.265mm、12.7mm×0.189mm、596.9mm×0.12mm;393.7mm×0.12mm;292.1mm×0.12mmから選択される、平均幅および平均厚さによって表される、断面表面寸法を有する。
【0117】
別の態様によれば、本発明は、ロボットによる前記ウェブの自動配置によって、三次元コンポジット部品を製造するため、上記などの、含浸繊維材料のウェブの使用に関する。
【0118】
ウェブに関して定義されている特性はすべて、ウェブの前記使用に有効である。
【0119】
有利には、前記コンポジット部品の前記製造は、輸送分野、特に自動車、油およびガス、特に、オフショア(offshore)、ガス貯蔵、航空機器、船舶、鉄道;再生可能エネルギー、特に風力エネルギー、水力タービン、エネルギー貯蔵装置、ソーラーパネル;熱保護パネル、スポーツおよびレジャー、健康および医療、ならびに電子機器に関する。
【0120】
別の態様によれば、本発明は、上で定義した含浸繊維材料の少なくとも1つのウェブの使用に由来することを特徴とする、三次元コンポジット部品に関する。
【0121】
ウェブに関して定義されている特性はすべて、前記コンポジット部品に有効である。
【0122】
さらに別の態様によれば、本発明は、上で定義されている繊維材料からなるウェブを調製するための方法であって、上で定義した繊維材料からなる前記テープを積層および/または接合する工程を含み、前記N枚のテープが、少なくとも部分的に重なり合うことが可能であることを特徴とする方法に関する。
【0123】
ウェブに関して定義されている特性はすべて、前記調製方法に有効である。
【0124】
有利には、積層工程および/または接合工程は、以下のシステムの少なくとも1つ:
1) 少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体上に前記テープを通し、次に、このテープを非加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
2) 加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体上に前記テープを通し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
3) 少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
4) 少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、このテープを温延伸プレートに通して、加熱式カレンダー加工機の上に通すこと
によって行われる。
【0125】
有利には、前記少なくとも1つの加熱システムは、赤外線ランプ、UVランプ、対流加熱、マイクロ波加熱、レーザー加熱および高周波(HF)加熱から選択される。
【0126】
一実施形態では、上で定義した方法は、熱可塑性ポリマーおよび場合により鎖延長剤を事前含浸した繊維材料を加熱し、含浸を終了して、100μm以下、特に10μm~100μmの間の平均厚さを有するストリップの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る前工程、ならびに場合により、前記含浸繊維材料のロービングまたは前記平行なロービングを成形および較正して、100μm以下、特に、10μm~100μmの間の平均厚さを有する薄層テープの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る工程をさらに含むことを特徴とする。
【0127】
別の実施形態では、上で定義されている方法は、事前含浸繊維材料を得るため、特に、粉末堆積によって、溶融経路によって、特に引き抜き成形によって、溶融熱可塑性ポリマーおよび場合により鎖延長剤のクロスヘッド押出成形によって、水性熱可塑性ポリマー粉末分散体と場合により鎖延長剤、または水性熱可塑性ポリマー粒子分散体と場合により鎖延長剤、または水性熱可塑性ポリマーエマルション、または懸濁液中での繊維の連続流通によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない流動床によって、ノズルまたはスプレーガンによる噴霧によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない槽中での乾式経路によって、繊維材料を事前含浸する前工程をさらに含むことを特徴とする。
【0128】
さらに別の実施形態では、上に定義されている方法は、少なくとも1つのノッチ付きカレンダー加工機、可能性として加熱式カレンダー加工機によって、ウェブを成形する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0129】
有利には、上で定義した方法は、以下:
i) 事前含浸繊維材料を得るため、特に、粉末堆積によって、溶融経路によって、特に引き抜き成形によって、溶融ポリマーのクロスヘッド押出成形によって、水性ポリマー粉末分散体または水性ポリマー粒子分散体または水性ポリマーエマルションまたは懸濁液中での繊維の連続流通によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない流動床によって、ノズルまたはスプレーガンによる噴霧によって、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない槽中での乾式経路によって、繊維材料を事前含浸する工程、
ii) 前記事前含浸繊維材料を加熱し、含浸を終了して、100μm以下、特に、10μm~100μmの間の平均厚さを有するストリップの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る工程、
iii) 場合により、前記含浸繊維材料のロービングまたは前記平行なロービングを成形および較正して、100μm以下、特に、10μm~100μmの間の平均厚さを有する薄層テープの形態のテープからなる含浸繊維材料を得る工程、
iv) 繊維材料のN枚のテープを積層および/または接合する工程であって、前記N枚のテープが、以下のシステムの少なくとも1つ:
1) 少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体上に前記テープを通し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
2) 加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体上に前記テープを通し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
3) 少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、このテープを加熱式カレンダー加工機の上に通すこと、
4) 少なくとも1つの加熱システムによって前記テープを加熱し、次に、このテープを温延伸プレートに通して、加熱式カレンダー加工機の上に通すこと
によって、少なくとも部分的に重なり合うことが可能な、繊維材料のN枚のテープを積層および/または接合する工程、
v) 少なくとも1つのノッチ付きカレンダー加工機、場合により加熱式カレンダー加工機によって、ウェブを成形する工程、
を含むことを特徴とする。
【0130】
有利には、上で定義した本方法は、少なくとも10m/分、特に少なくとも20m/分、好ましくは少なくとも30m/分の速度で行われることを特徴とする。
【0131】
含浸および成形および較正工程は、ウェブを調製するための方法と無関係であるので、生産速度は、本発明の方法に関して重大ではなく、したがって、生産性を制限するものではない。
【0132】
工程(i)、(ii)および(iii)は、以下の項目「特に、ストリップおよび薄層テープの形態のテープの調製方法」において一層詳細に開示されている。
【0133】
工程iv)は、項目「ウェブの形態のテープの調製方法」において一層詳細に開示されている。
【0134】
ポリマーマトリックス
熱可塑性樹脂または熱可塑性ポリマーとは、常温で一般に固体である物質を指し、この物質は、半結晶またはアモルファスであってもよく、この物質がアモルファスである場合、特にそのガラス転移温度(Tg)まで経過した後、昇温している間、軟化して、一層高い温度では流動するか、または半結晶の場合、そのいわゆる溶解温度(Tm)を過ぎると鋭い遷移を示すことができ、温度がその結晶化温度未満(半結晶の場合)およびそのガラス転移温度未満(アモルファスの場合)まで低下すると、再度、固体になる。
【0135】
TgおよびTmは、それぞれ、規格11357-2:2013および11357-3:2013に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)により決定される。
【0136】
繊維材料向けの含浸マトリックスを構成するポリマーに関すると、熱可塑性ポリマー、または熱可塑性ポリマーの混合物であるのが有利である。このポリマー、または熱可塑性ポリマーの混合物は、粉末形態に粉砕され得、その結果、特に流動床または水性媒体中、槽などの装置中で使用され得る。
【0137】
特に流動床において、槽形態の装置は開放系または密閉系とすることができる。
【0138】
一実施形態では、ポリアリールスルフィド、特に、ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、繊維材料の含浸マトリックスを構成するポリマーの定義から除外される。
【0139】
場合により、熱可塑性ポリマー、または熱可塑性ポリマーのブレンドは、炭素をベースとする充填剤、特にグラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィブリルもしくはそれらのブレンドの中から好ましくは選択されるカーボンブラックまたは炭素をベースとするナノ充填剤をさらに含む。これらの充填剤は、電気または熱を伝導することが可能であり、したがって、加熱されると、ポリマーマトリックスの溶融を容易にすることができる。
【0140】
場合により、前記熱可塑性ポリマーは、特に、触媒、抗酸化剤、熱安定剤、UV安定剤、光安定剤、潤滑剤、充填剤、可塑剤、難燃剤、核化剤、鎖延長剤および色素、導電体、熱伝導体またはそれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の添加剤を含む。
【0141】
有利には、前記添加剤は、難燃剤、導電体および熱伝導体中の中から選択される。
【0142】
別の変形形態によれば、熱可塑性ポリマー、または熱可塑性ポリマーの混合物は、液晶ポリマーもしくは環化ポリブチレンテレフタレート、またはCYCLICS CORPORATION社により販売されているCBT100樹脂などの、環化ポリブチレンテレフタレートを含有する混合物をさらに含むことができる。これらの化合物により、特に、繊維のコアへの良好な浸透のために、溶融状態にあるポリマーマトリックスを流動化することが可能となる。事前含浸マトリックスを作製するために使用される、ポリマー、または熱可塑性ポリマーの混合物の性質、特にその溶融温度に応じて、これらの化合物の一方または他方が選択されよう。
【0143】
繊維材料の含浸マトリックスの構成体に入る熱可塑性ポリマーは、以下:
- 脂肪族、脂環式または半芳香族ポリアミド(PA)(ポリフタルアミド(PPA)とも呼ばれる)のファミリーからのポリマーおよび共重合体、
- ポリ尿素、特に芳香族ポリ尿素、
- ポリアクリレートなどのアクリルのファミリーからのポリマーおよび共重合体、とりわけ、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)またはその誘導体、
- ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、もしくはポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)などのポリ(アリールエーテルケトンケトン)(PAEKK)、またはそれらの誘導体のファミリーからのポリマーおよび共重合体、
- 芳香族ポリエーテル-イミド(PEI)、
- ポリアリールスルフィド、特にポリフェニルスルフィド(PPS)、
- ポリアリールスルフィド、特にポリフェニレンスルホン(PPSU)、
- ポリオレフィン、特にポリプロピレン(PP);
- ポリ乳酸(PLA)、
- ポリビニルアルコール(PVA)、
- フッ素化ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、
およびそれらの混合物
から選択することができる。
【0144】
一実施形態では、繊維材料の含浸マトリックスの構成体に入る熱可塑性ポリマーは、以下:
- 脂肪族、脂環式または半芳香族ポリアミド(PA)(ポリフタルアミド(PPA)とも呼ばれる)のファミリーからのポリマーおよび共重合体、
- ポリ尿素、特に、芳香族ポリ尿素、
- ポリアクリレートなどのアクリルのファミリーからのポリマーおよび共重合体、とりわけ、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)またはその誘導体、
- ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、もしくはポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)などのポリ(アリールエーテルケトンケトン)(PAEKK)、またはそれらの誘導体のファミリーからのポリマーおよび共重合体、
- 芳香族ポリエーテル-イミド(PEI)、
- ポリアリールスルフィド、特にポリフェニレンスルホン(PPSU)、
- ポリオレフィン、特にポリプロピレン(PP);
- ポリ乳酸(PLA)、
- ポリビニルアルコール(PVA)、
- フッ素化ポリマー、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、
およびそれらの混合物
から選択することができる。
【0145】
有利には、前記ポリマーが、2種のポリマーP1とP2との混合物である場合、ポリマーP1およびP2の重合基準での比率は、1~99%と99~1%との間である。
【0146】
有利には、前記熱可塑性ポリマーが混合物であり、事前含浸方法が、乾燥粉末を使用する場合、この混合物は、事前含浸用の槽への導入前の乾式ブレンドに由来するか、または槽中で直接、乾式ブレンドすることによるか、またはさらには押出成形器で前もって作製された化合物のミル粉砕によるかのいずれかに由来する粉末形態になる。
【0147】
有利には、この混合物は、槽に導入される前に乾式ブレンドすることによって、または槽中で直接、得られる粉末からなり、2種のポリマーP1およびP2のこのような混合物は、PEKKおよびPEIの混合物である。
【0148】
有利には、PEKK/PEI混合物は、90~10重量%から60~40重量%、特に90~10重量%から70~30重量%である。
【0149】
熱可塑性ポリマーは、繊維材料を含浸する最終の非反応性ポリマー、あるいは前記最終の非反応性ポリマーへと導くため、繊維材料をやはり含浸するが、事前含浸後、前記プレポリマーが有する鎖末端に応じて、それ自体ともしくは別のプレポリマーと反応し得る、または特に加熱式カレンダー加工機の加熱の間に鎖延長剤と反応し得る反応性プレポリマー、あるいはやはり、場合により前記鎖延長剤と部分的に重合した反応性熱可塑性プレポリマーに相当することができ、500~10,000、好ましくは4,000~8,000の範囲の数平均分子質量(Mn)を有する。前記部分的に重合した反応性熱可塑性プレポリマーは、使用したポリマーのTgおよび/またはTmに応じて、加熱することによって前記非反応性最終ポリマーに導くことが可能である。
【0150】
表現「非反応性ポリマー」は、分子量がもはや有意に変化する可能性がないこと、すなわち使用した場合、その数平均分子量(Mn)は50%未満しか変化せず、したがって、熱可塑性マトリックスの最終ポリアミドポリマーに相当することを意味する。
【0151】
反対に、表現「反応性ポリマー」は、前記反応性ポリマーの分子量は、縮合、置換により一緒に、または重付加によって鎖延長剤と共に揮発性副生物の離脱なしに反応性プレポリマーが反応するため、その実施の間に変化して、熱可塑性マトリックスの最終(非反応性)ポリアミドポリマーに至る。
【0152】
第1の可能性によれば、前記プレポリマーは、同じ鎖上(すなわち、同じプレポリマー上)に、縮合によって互いに対してそれぞれ共反応性官能基となる、2つの末端官能基X’およびY’、とりわけ、それぞれアミンおよびカルボキシ、またはカルボキシおよびアミンであるX’およびY’を有する少なくとも1つの担体反応性プレポリマー(ポリアミド)を含むことができるか、またはこれから構成され得る。
【0153】
この第1の可能性では、前記少なくとも1種の応性熱可塑性プレポリマーは、場合により前記鎖延長剤と部分的に重合することができ、500~10,000、好ましくは4,000~8,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0154】
第2の可能性によれば、前記プレポリマーは、互いに対して反応性があり、それぞれのプレポリマーが、それぞれ、2つの同一の末端官能基X’またはY’(同じプレポリマーの場合、同じであり、2つのプレポリマー間では異なる)を有する少なくとも2種のポリアミドプレポリマーを含むことができるか、またはこれらから構成することができ、プレポリマーの前記官能基X’は、特に縮合によって、他のプレポリマーの前記官能基Y’のみと反応することができ、とりわけ、X’およびY’は、それぞれ、アミンおよびカルボキシル、またはカルボキシル末端アミンである。
【0155】
この第2の可能性では、前記少なくとも1種の反応性熱可塑性プレポリマーは、場合により前記鎖延長剤と部分的に重合することができ、500~10,000、好ましくは4,000~8,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0156】
第3の可能性によれば、前記プレポリマーは、以下:-NH2、-CO2Hおよび-OH、好ましくはNH2および-CO2H[nは、1~3、好ましくは1~2、より好ましくは1または2、とりわけ2である]、および好ましくは500未満、より好ましくは400未満の分子質量を有する少なくとも1種の鎖延長剤Y-A’-Y[A’は、前記プレポリマーa1)の少なくとも1つの官能基Xとの重付加による反応性を示す2つの同一の末端反応性官能基Yを有する、炭化水素二置換基である]の中から選択される、n個の末端反応性官能基Xを有する、前記熱可塑性ポリアミドポリマーの少なくとも1つのプレポリマーを含むことができるか、またはこれから構成され得る。
【0157】
この第2の可能性では、前記少なくとも1種の反応性熱可塑性プレポリマーは、場合により前記鎖延長剤と部分的に重合することができ、500~10,000、好ましくは4,000~8,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0158】
熱可塑性マトリックスの前記最終ポリマーの数平均分子量Mnは、10000~40000、好ましくは12000~30000の範囲にあるのが好ましい。これらのMn値は、溶媒を変更する(硫酸の代わりにm-クレゾールを使用し、温度は20℃である)ことによるが、規格ISO307:2007に準拠して、m-クレゾール中で求めると、0.8以上の固有の粘度に相当し得る。
【0159】
上で与えられる2つの選択肢による前記反応性プレポリマーは、500~10,000、好ましくは500~6,000、特に、2,500~6,000の範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0160】
Mnは、特に、溶液中での電位差滴定によって決定される末端官能基、および前記プレポリマーの官能基の割合からの計算によって決定される。質量Mnはまた、立体排除クロマトグラフィーによって、またはNMRによって、決定することもできる。
【0161】
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO規格1874-1:2011 「Plastiques - Materiaux polyamides(PA)pour moulage et extrusion - Partie1:Designation」の特に3頁(表1および2)に記載されており、当業者に周知である。
【0162】
ポリアミドは、ホモポリアミドもしくはコポリアミド、またはそれらの混合物とすることができる。
【0163】
有利には、マトリックスを構成するプレポリマーは、特に、尿素単位により場合により修飾されている脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドおよび半芳香族ポリアミド(ポリフタルアミド)、およびそれらの共重合体、ポリメタクリル酸メチル(PPMA)およびその共重合体、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、PVDF、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素化ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)の中から選択されるポリアミド(PA)の中から選択される。
【0164】
一実施形態では、マトリックスを構成するプレポリマーは、特に、尿素単位により場合により修飾されている脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドおよび半芳香族ポリアミド(ポリフタルアミド)、およびそれらの共重合体、ポリメタクリル酸メチル(PPMA)およびその共重合体、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、PVDF、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素化ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)の中から選択されるポリアミド(PA)の中から選択される。
【0165】
フッ素化ポリマーに関すると、フッ化ビニリデン(式CH=CFを有するVDF)のホモポリマー、または重量基準で、少なくとも50質量%のVDFおよびVDFと共重合可能な少なくとも1種の他のモノマーを含む、VDFの共重合体を使用することが可能である。VDF含量は、構造部品の良好な機械耐性および化学耐性を確実にするため、とりわけ、熱応力および化学応力に晒される場合、80質量%、または一層良好にはさらに90質量%より高くなければならない。コモノマーは、フッ素化モノマー、例えばフッ化ビニルでなければならない。
【0166】
高温に耐性でなければならない構造部品の場合、フッ化ポリマーの他に、本発明によれば、ポリ(エーテルケトン)PEK、ポリ(エーテルエーテルケトン)PEEK、ポリ(エーテルケトンケトン)PEKK、ポリ(エーテルケトンエーテルケトンケトン)PEKEKKなどのPAEK(ポリアリールエーテルケトン)、または高いガラス転移温度Tg)を有するPAが有利なことに使用される。
【0167】
有利には、前記熱可塑性ポリマーは、アモルファスポリマーであって、そのガラス転移温度が、Tg≧80℃、特に≧100℃、特に≧120℃、特に≧140℃のようなアモルファスポリマー、または半結晶性ポリマーであって、その溶融温度Tm≧150℃である半結晶性ポリマーである。
【0168】
有利には、前記少なくとも1種の熱可塑性プレポリマーは、ポリアミド、PEKK、PEI、およびPEKKとPEIとの混合物の中から選択される。
【0169】
有利には、前記ポリアミドは、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドおよび半芳香族ポリアミド(ポリフタルアミド)から選択される。
【0170】
有利には、前記脂肪族ポリアミドプレポリマーは、以下:
- ポリアミド6(PA-6)、ポリアミド11(PA-11)、ポリアミド12(PA-12)、ポリアミド66(PA-66)、ポリアミド46(PA-46)、ポリアミド610(PA-610)、ポリアミド612(PA-612)、ポリアミド1010(PA-1010)、ポリアミド1012(PA-1012)、ポリアミド11/1010およびポリアミド12/1010、またはそれらの混合物もしくはそれらのコポリアミド、およびブロック共重合体、特にポリアミド/ポリエーテル(PEBA)から選択され、前記半芳香族ポリアミドは、尿素単位により場合により修飾されている半芳香族ポリアミド、特に、PA MXD6およびPA MXD10、またはEP1505099に開示されている式X/YArである半芳香族ポリアミド、特に式A/XTである半芳香族ポリアミド[Aは、少なくとも1つのアミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる少なくとも1つの単位、および式(Caジアミン、Cb二酸)[「a」は、ジアミンの炭素原子数を表し、「b」は、二酸の炭素原子数を表し、「a」および「b」はそれぞれ、4~36の間、有利には9~18の間である]に対応する少なくとも1つの単位から選択され、単位(Caジアミン)は、脂肪族ジアミン、直鎖状または分岐状の脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択され、単位(Cb二酸)は、脂肪族二酸、直鎖状または分岐状の二酸、脂環式二酸および芳香族二酸から選択され、
X.Tは、Cxジアミンおよびテレフタル酸の重縮合から得られる単位[xは、Cxジアミンの炭素原子数を表し、xは、6~36の間、有利には9~18の間である]、特に、式A/6T、A/9T、A/10TまたはA/11Tを有するポリアミド(Aは、上で定義されている通りである)、特にポリアミドPA6/6T、PA66/6T、PA6I/6T、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA11/BACT、PA BACT/10T/6Tを表す]である。
【0171】
Tは、テレフタル酸に相当し、MXDは、m-キシリレンジアミンに相当し、MPMDは、メチルペンタメチレンジアミンに相当し、BACは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに相当する。
【0172】
有利には、前記ポリアミドは、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/BACT、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10Tから選択される半芳香族ポリアミドである。
【0173】
繊維材料:
前記繊維材料を構成する繊維に関すると、それらは、ロービングの形態の、無機、有機または植物起源の特に連続性のある繊維である。
【0174】
有利には、個々のテープはそれぞれ、いくつかの繊維、特に3,000または50,000の繊維の倍数から選択される炭素繊維を含む。
【0175】
有利には、個々のテープはそれぞれ、m×12,000の繊維、n×24,000の繊維およびp×50,000の繊維、270,000の繊維または400,000の繊維から選択される、いくつかの炭素繊維を含み、mは、1~40、特に、1~4の間であり、nは、1~20の間であり、pは、1~10の間、特に1である。
【0176】
有利には、ガラス繊維の場合の坪量は、1,200Tex以上、特に、2,400Tex以上、4,800Tex以上である。
【0177】
無機繊維は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩または玄武岩をベースとする繊維、シリカ繊維または炭化ケイ素繊維を含む。
【0178】
有機繊維には、例えば、半芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維またはポリオレフィン繊維などの、熱可塑性または熱硬化性ポリマーをベースとする繊維が含まれる。好ましくは、それらは、アモルファス熱可塑性ポリマーをベースとしており、熱可塑性ポリマー混合物がアモルファスである場合、事前含浸マトリックスを構成するポリマーまたは熱可塑性ポリマー混合物のガラス転移温度Tgよりも高いTgを有するか、または熱可塑性ポリマーマトリックスが半結晶である場合、事前含浸マトリックスを構成するポリマーまたは熱可塑性ポリマーマトリックスのTmより高いガラス転移温度Tgを有する。有利には、それらは、半結晶性熱可塑性ポリマーをベースとしており、熱可塑性ポリマー混合物がアモルファスである場合、事前含浸マトリックスを構成するポリマーまたは熱可塑性ポリマー混合物のTgよりも高い溶融温度Tmを有するか、または熱可塑性ポリマーマトリックスが半結晶である場合、事前含浸マトリックスを構成するポリマーまたは熱可塑性ポリマーマトリックスの溶融温度Tmよりも高いTmを有する。したがって、最終コンポジットの熱可塑性マトリックスによって含浸している間、繊維材料を構成する有機繊維の場合、溶融リスクがない。植物繊維は、自然亜麻、大麻、リグニン、竹、シルク、特に、クモの糸、シサル麻、および他のセルロース繊維、特にビスコースを含む。これらの植物繊維は、純粋に使用され得るか、または熱可塑性ポリマーマトリックスの接着性および含浸を容易にするために、コーティング層により処理またはコーティングされ得る。
【0179】
植物繊維はまた、支持糸を含む繊維にも相当し得る。
【0180】
これらの構成成分の繊維は、単独で、または混合物中で使用することができる。したがって、有機繊維は、熱可塑性ポリマーにより事前含浸させた無機繊維と混合して、事前含浸繊維材料を形成することができる。
【0181】
好ましくは、繊維材料は、連続炭素、ガラスもしくは炭化ケイ素繊維、またはそれらの混合物、特に炭素繊維から構成される。繊維材料は、1つのロービングまたはいくつかのロービングの形態で使用される。
【0182】
「使用する用意が整っている」とも呼ばれる含浸された材料では、ポリマーまたは熱可塑性含浸ポリマーの混合物は、繊維の周りに一様かつ均一に分布している。この種の材料では、熱可塑性含浸ポリマーは、最小の多孔度、すなわち繊維間に最小の空の空間が得られるよう、繊維内部にできるだけ均一に分布しなければならない。実際に、このタイプの材料における孔の存在は、例えば、機械的引張応力の間、応力集中スポットとして作用することができ、これは、次に、含浸繊維材料の亀裂発生点を形成して、この発生点を機械的に損なう。したがって、ポリマーまたはポリマーの混合物の均一な分布により、これらの含浸繊維材料から形成されるコンポジット材料の機械的強度および均一性が改善される。
【0183】
こうして、いわゆる、含浸された材料を「使用する用意が整っている」場合、前記事前含浸繊維材料中の繊維の割合は、45~65体積%、好ましくは50~60体積%、特に54~60体積%の間である。
【0184】
含浸率は、リボンの断面の画像解析により(例えば、顕微鏡、または光学もしくはデジタルカメラ装置を使用する)、ポリマーにより含浸されたリボンの表面積を製品の全表面積(含浸表面+孔の表面)で除算することによって測定され得る。質のよい画像を得るため、リボンの裁断片をその横方向に、標準艶出し用樹脂でコーティングすること、および標準プロトコルにより磨くことが好ましく、少なくとも倍率6×の顕微鏡で試料を観察することが可能となる。
【0185】
有利には、前記含浸繊維材料の多孔度レベルは、10%未満、特に5%未満、特に2%未満である。
【0186】
孔のないレベルを実現するのは困難であること、その結果、有利には、多孔度レベルは、0%より高いが、上で列挙したレベル未満であることに留意しなければならない。
【0187】
多孔度レベルは、独立多孔度レベルに相当し、電子顕微鏡によって、または本発明の実施例の項目に記載されている通り、前記含浸繊維材料の理論密度と実験密度との間の相対偏差としてのどちらか一方で決定することができる。
【0188】
特に、ストリップおよび薄層テープの形態のテープを調製する方法
ストリップまたは薄層テープの形態で含浸されている繊維材料のテープ、特に単層テープは、それぞれ、2工程または3工程:
ポリマーマトリックスにより事前含浸する第1の工程、ならびにストリップのための少なくとも1つの支持部分(E)および少なくとも1つの加熱システムにより、含浸を終了するために加熱する第2の工程、ならびに薄層テープを成形および較正する第3の工程
で調製することができる。
【0189】
有利には、前記少なくとも1つの加熱システムは、赤外線ランプ、UVランプ、対流加熱、マイクロ波加熱、レーザー加熱および高周波(HF)加熱から選択される。
【0190】
第1の工程:事前含浸
事前含浸繊維材料を生産する事前含浸の第1の工程は、当業者に周知の技法に準拠して行うことができ、特に、上で開示されているものから選択され得る。
【0191】
したがって、それらは、粉末堆積による、溶融経路による、特に引き抜き成形による、溶融ポリマーのクロスヘッド押出成形による、水性ポリマー粉末分散体または水性ポリマー粒子分散体または水性ポリマーエマルションまたは懸濁液中での繊維の連続流通による、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない流動床による、ノズルまたはスプレーガンによる噴霧による、少なくとも1つの支持体(E’)を装備したまたは装備していない槽中での乾式経路による、事前含浸技術によって行うことができる。
【0192】
支持体は、凹形、凸形または円筒形の圧縮ローラーとすることができ、特に円筒形である。
【0193】
図1は、支持体の設けられた槽の例を示し、図2は、支持体が円筒形圧縮ローラーである、流動床を備える槽の例を示している。
【0194】
流動床が存在しない、およびスプレーガンを装備した同じ槽を使用することができる。
【0195】
事前含浸はまた、1つまたは複数の支持体(E”)が、前記システムの上流に、特に事前含浸が行われる槽の前に存在する、上で定義したものなどのシステムを用いて行うこともできる。
【0196】
支持部分(E)および(E”)は、材料または形状、およびその特徴(形状の関数としての直径、長さ、幅、高さなど)に関して関わりなく、同一とすることができるか、または異なることができることに留意すべきである。
【0197】
溶融経路:
事前含浸工程は、溶融経路によって、特に引き抜き成形によって行うことができる。
【0198】
溶融経路による事前含浸技法は、当業者よって公知であり、上記の参照文献に記載されている。
【0199】
事前含浸工程は、特に、ポリマーマトリックスをクロスヘッド押出成形し、このクロスヘッド中に前記ロービング(単数または複数)を通過させて、次に加熱ダイに通過させることによって行われ、この場合、クロスヘッドは、固定された支持体または回転式支持体を設けることができ、これらの支持体の上をロービングが通過し、こうして、前記ロービングの延伸が引き起こされて、前記ロービングの事前含浸が可能となる。
【0200】
事前含浸は、US2014/0005331(A1)に記載されている通りに特に行うことができ、樹脂の供給が前記ロービングの2つの側面で行われること、および表面の接触がなく、2つの表面のうちの一方の表面に樹脂の部分がなくなるという差異を伴う。
【0201】
有利には、事前含浸工程は、高速度で、すなわち5m/分以上、特に9m/分超の前記ロービングの通過速度で溶融経路により行われる。
【0202】
流動床:
事前含浸工程は、流動床で行われ得る。
【0203】
少なくとも1つの支持部分を使用する、加熱工程のない製造方法を行うための例となるユニットが、国際出願WO2015/121583に記載されている。
【0204】
このシステムは、事前含浸工程を行うための流動床を備える槽の使用を記載しており、本発明の文脈において使用することができる。
【0205】
有利には、流動床を備える槽には、圧縮ローラーとすることができる少なくとも1つの支持部分(E’)(図1)が設けられている(図2)。
【0206】
支持部分(E’)は、任意のシステムを意味することが理解されなければならず、そのシステム上を、ロービングが槽中で移動することができる。支持部分(E’)は、ロービングが支持部分を通り過ぎることができる限り、任意の形状を有することができる。
【0207】
支持部分(E’)の例が、本発明をそれに限定しないで、図1に詳細に開示されている。
【0208】
支持部分(E)および(E’)は、材料または形状、およびその特徴(形状に応じて、直径、長さ、幅、高さなど)に関して関わりなく、同一とすることができるか、または異なることができる。
【0209】
しかし、支持部分(E’)は、加熱しないし、加熱もされない。
【0210】
繊維材料を事前含浸する工程は、少なくとも1つの支持部分(E’)が設けられている槽(10)を備えおよび前記ポリマーマトリックスの粉末流動床(12)を備える連続事前含浸装置中に、1つまたは複数のロービングを通すことにより行われる。
【0211】
前記ポリマーマトリックスまたはポリマーの粉末は、槽に導入されたガスG(例えば、空気)中で懸濁され、ホッパー(11)から槽(10)に循環する。ロービングは、この流動床(12)中で循環される。
【0212】
槽は、任意の形状、特に円筒形または平行六面体、特に直方体、または立方体、有利には、直方体を有することができる。
【0213】
槽(10)は、開放槽または密閉槽とすることができる。
【0214】
槽が密閉されている事象では、次に、槽は、封止システムを装備しており、その結果、前記ポリマーマトリックスの粉末は、前記槽から出ることができない。
【0215】
したがって、この事前含浸工程は、乾式経路によって行われ、すなわち、熱可塑性ポリマーマトリックスは、ガス中、特に空気中で特に懸濁した粉末形態にあるが、溶媒または水中で分散し得ない。
【0216】
事前含浸されることになるロービングはそれぞれ、シリンダー(図示されていない)によって生じる牽引力下で、リールを備える装置からほどかれる。
【0217】
リールはそれぞれ、各繊維のロービングに張力を適用するよう、ブレーキ(図示されていない)が設けられている。この場合、アライメントモジュールにより、繊維ロービングを互いに平行に配置することが可能となる。このように、繊維ロービングは、互いに接触することができず、これによって、互いに対する摩擦による、繊維への機械的損傷を回避することが可能となる。
【0218】
次に、図2の場合、繊維ロービングまたは平行な繊維ロービングは、特に、圧縮ローラー(24)である支持部分(E’)が設けられている流動床(12)を備える槽(10)に入る。繊維ロービングまたは平行な繊維ロービングは、次に、場合により粉末での滞留時間を確認した後の事前含浸後に槽を出る。
【0219】
表現「粉末での滞留時間」は、ロービングが、流動床において前記粉末に接触している間の時間を意味する。
【0220】
ガラスまたは炭素繊維のロービングなどの繊維材料がサイジングを有する場合、繊維材料が槽内を通過する前に、サイズ変更という任意選択の工程が行われてもよい。
【0221】
有利には、使用される槽は、支持体を備える流動床を備え、前記事前含浸工程は、前記流動床を備える槽への入り口とここからの出口との間で、前記ロービング(単数または複数)を同時に延伸させながら行われる。
【0222】
表現「槽の入り口」は、流動床を備える槽の縁部の垂直接線に相当する。
【0223】
表現「槽の出口」は、流動床を備える槽の他の縁部の垂直接線に相当する。
【0224】
延伸は、前記ロービングを構成する各繊維を、そこに最も近い空間に前記ロービングを取り囲む他の繊維からできる限り隔離することからなる。それは、ロービングを横方向に延伸することに相当する。
【0225】
言い換えると、ロービングの横方向の隔離または幅は、流動床を備える槽への入り口と流動床を備える槽からの出口の間で増大し、こうして、繊維材料の事前含浸の改善が可能となる。
【0226】
したがって、事前含浸工程において、少なくとも1つの支持体(E’)、特に円筒形圧縮ローラーを使用すると、先行技術からの方法と比べると、事前含浸を改善することが可能となる。
【0227】
表現「圧縮ローラー」は、通過するロービングが、前記圧縮ローラーの表面上に一部、または全体に位置していることを意味し、これにより、前記ロービングの延伸が引き起こされる。
【0228】
有利には、前記少なくとも1つの圧縮ローラーは、円筒形であり、前記流動床の槽の入り口と出口との間での前記ロービングの延伸率は、1%~1000%、好ましくは100%~800%、好ましくは200%~800%、好ましくは400%~800%の間である。
【0229】
延伸率は、ロービングの初期幅に対するロービングの最終幅の比に100を乗算したものに等しい。
【0230】
前記少なくとも1つの圧縮ローラーの直径は、3mm~500mm、好ましくは10mm~100mm、特に20mm~60mmである。
【0231】
3mm未満では、圧縮ローラーによって引き起こされる繊維の変形が大きすぎる。
【0232】
有利には、圧縮ローラーは、円筒形であり、うねりはなく、特に金属製である。
【0233】
支持部分(E’)が、第1の変形形態により、少なくとも1つの圧縮ローラーである場合、単軸圧縮ローラーが、流動床に存在し、前記事前含浸は、前記圧縮ローラーの入り口と前記圧縮ローラーにおける垂直接線との間の前記ロービングにより形成される角度αで行われる。
【0234】
前記圧縮ローラーの入り口と前記圧縮ローラーに対する垂直接線との間の前記ロービングにより形成される角度αにより、粉末が濃縮される領域の形成が可能となり、こうして、前記圧縮ローラーによるロービングの同時延伸を伴って、より大きなロービング幅全体への事前含浸、したがって、改善された背景技術の技法に比べて事前含浸の改善を可能にする「コーナー効果」がもたらされる。
【0235】
本記載の全体にわたり、提示されている角度の値のすべてが、絶対値で表されている。
【0236】
有利には、角度αは、0~89°、好ましくは5°~85°、好ましくは5°~45°、好ましくは5°~30°を含む。
【0237】
それにもかかわらず、0~5°を含む角度αは、機械応力のリスクを引き起こす可能性があり、これは、繊維の破壊をもたらし、85°~89°を含む角度αは、「コーナー効果」を生じるための十分な機械力を生じない。
【0238】
したがって、角度αの値は、0°に等しく、垂直繊維に相当する。円筒形圧縮ローラーの高さは、調節可能であり、したがって、繊維を垂直方向に位置付けることが可能であることは明白である。
【0239】
有利には、槽(23a)の入り口縁部は、特に円筒形および回転式のローラーを備えており、このローラーの上を前記ロービングが通り、こうして、事前含浸前に延伸がもたらされる。
【0240】
角度αによって引き起こされる「コーナー効果」は、1つの面の表面での事前含浸を増強するが、圧縮ローラーを用いて得られる前記ロービングの延伸もやはり、前記ロービングのもう一方の面の表面に事前含浸をもたせることが可能となることが明白である。言い換えると、前記事前含浸は、前記少なくとも1つの圧縮ローラーRへの入り口と圧縮ローラーRへの垂直接線との間の前記ロービング(単数または複数)によって形成される角度αで前記ロービング(単数または複数)の一方の面の表面で増強されるが、延伸もまた、もう一方の面の事前含浸を可能にする。
【0241】
角度αは、上で定義されている通りである。
【0242】
有利には、熱可塑性ポリマー粉末の粒子の体積直径D90は、30~500μm、有利には80~300μmである。
【0243】
有利には、熱可塑性ポリマー粉末の粒子の体積直径D10は、5~200μm、有利には15~100μmである。
【0244】
有利には、熱可塑性ポリマー粉末の粒子の体積直径は、D90/D10の比に、または1.5~50、有利には2~10に含まれる。
【0245】
有利には、熱可塑性ポリマー粉末の粒子の平均体積直径D50は、10~300μm、特に30~200μm、とりわけ45~200μmである。
【0246】
粒子(D10、D50およびD90)の体積直径は、規格ISO9276:2014によって定義される。
【0247】
「D50」は、体積基準での平均径、すなわち、試験した粒子集団を正確に半分に分割する粒子サイズの値に相当する。
【0248】
「D90」は、体積基準の粒子サイズ分布の累積曲線の90%における値に相当する。
【0249】
「D10」は、粒子の体積の10%のサイズに相当する。
【0250】
他の変形形態によれば、2つ、3つまたはそれより多いローラーが、流動床に存在し得る。
【0251】
スプレーガンによる噴霧:
繊維材料の事前含浸の工程もまた、入り口のローラーにおける繊維材料上にポリマー粉末を噴霧する1つもしくは複数のノズルまたは1つもしくは複数のガンを備える槽を備える、噴霧による連続事前含浸のための装置に1つまたは複数のロービングを送り込むことによって行うことができる。
【0252】
ポリマー由来の粉末またはポリマーが、特に圧縮ローラー(入り口にある)の支持部分近傍のノズルまたはスプレーガンによって、槽中で、前記繊維材料の表面に噴霧される。ロービングは、この槽中で循環される。
【0253】
スプレーガンを用いる例は、それに限定されず、図3に示されている。
【0254】
流動床に関して詳述されている、支持体、特に圧縮ローラー、延伸、およびコーナー効果を引き起こす角度αの特徴はすべて、スプレーガンによる噴霧にやはり有効である。
【0255】
他の変形形態によれば、2つ、3つまたはそれより多いローラーが存在し、その各々は、スプレーガンを有する。
【0256】
第2の工程:事前含浸繊維材料の加熱、および含浸の終了
したがって、事前含浸の工程は、少なくとも1つの支持体(E’)が設けられるか、または設けられない任意の手段によって行うことができる。
【0257】
支持体が存在することにより、ロービングの延伸が可能となり、事前含浸が改善される。しかし、この支持体の存在は、少なくとも1つの支持部分(E)が設けられている加熱システムが、含浸を終了する事前含浸工程後に存在する限り、必須のものではない。
【0258】
表現「支持部分(E)」は、任意のシステムであって、その上をロービングが通過することができる任意のシステムを指す。支持部分(E)は、ロービングが支持部分を通り過ぎることができる限り、任意の形状を有することができる。支持部分は、固定式または回転式とすることができる。
【0259】
加熱システムは、支持部分(E)を加熱することが可能な、熱を発生する任意のシステム、または照射線を発生する任意のシステムである。
【0260】
この加熱システムは、赤外線ランプ、UVランプ、対流加熱、マイクロ波加熱、レーザー加熱および高周波(HF)加熱から選択することができる。
【0261】
したがって、支持部分(E)は、導電性であり、熱により発生する照射線を吸収する。
【0262】
表現「熱伝導性支持部分(E)」は、支持部分(E)が、熱を吸収および伝導することが可能な材料から作製されていることを意味する。
【0263】
それは、高周波、マイクロ波またはレーザーを使用する加熱システムとすることもできる。
【0264】
この場合、支持部分は、熱を伝導しないし、熱により発生する照射線も吸収しない。
【0265】
表現「非熱伝導性支持部分(C)」は、支持部分(E)が、熱を吸収および伝導することができない材料から作製されていることを意味する。
【0266】
前記少なくとも1つの支持部分(E)は、加熱システムの環境に配置されているか、またはこの中に備えられており、すなわち、加熱システムの外側にはない。
【0267】
有利には、前記加熱システムは、前記少なくとも1つの支持部分(E)の上に装着されている。この加熱システムは、十分なレベルを有しており、その結果、ロービング表面に存在するポリマーは、溶融することができるが、前記ポリマーを破壊しない。
【0268】
それにもかかわらず、前記加熱システムは、前記少なくとも1つの支持部分(E)しか備えていないか、または前記支持システム(E)の外側に、ロービングの一部をやはり備えることができるかのどちらかであり、前記ロービング部分は、前記支持システム(E)の前および/または後に位置している。
【0269】
加熱システム、ならびにR’、R’およびR’に対応する3つの支持体(E)の例示は、図4に示されているが、それらに決して限定されない。
【0270】
第2の加熱システムは、支持体の下に存在することができ、したがって、ロービングの2つの表面に前記ポリマーの一様な溶融が可能となることは明白である。
【0271】
図4に示されている加熱システムは、水平型システムである。しかし、加熱システムは垂直方向に位置することができ、やはりロービングは、支持体を垂直方向に通過する。
【0272】
その結果、この加熱工程は、事前含浸工程の間に、事前に行われたロービングの含浸を完了すること、および特にコアへの均一な含浸を得ることが可能となる。
【0273】
表現「均一な」は、含浸が一様であること、および乾燥がないこと、すなわち非含浸繊維であること、および反対に、含浸繊維材料からなるテープの体積の少なくとも95%に繊維を含まない純粋な樹脂の領域が存在しないことを意味する。
【0274】
効果的なことに、事前含浸工程に使用されるシステムがなんであれ、特に、事前含浸工程が、上記の通り、少なくとも1つの支持体を備える流動床などにおいて、支持部分(E’)の使用により行われる場合、第1の延伸は、上記の工程の間に行われる。
【0275】
前記ロービングが前記支持部分(E’)の上の一部または全体を通過するので、ローピングの第1の延伸は、「コーナー効果」により、支持部分(E’)に対応する前記圧縮ローラーで行われ、前記ロービングが前記支持部分(E)の上の一部または全体を通過するので、第2の延伸は、支持部分(E)に対応する前記圧縮ローラーにおいて、加熱工程の間に行われる。
【0276】
加熱システムは、2つに分割することができ、したがって、2つの加熱システム、すなわち前記支持部分(E)の前の第1の加熱システム、および前記支持部分を備える第2の加熱システムからなる。次に、2つの加熱システムの間の距離は、ポリマーが溶融状態のままであるのに十分であることは非常に明白である。
【0277】
2つの加熱システムは、同じ性質または異なる性質であってもよく、同一または異なる出力であってもよい。
【0278】
前記ロービング表面でポリマーが溶融するので、前記支持体(E)の上の一部または全部をロービングが通過する前にロービングが加熱システム中を通過している間、この第2の延伸の前にロービングの収縮が起こる。
【0279】
加熱システムおよびロービングの収縮による前記ポリマーマトリックスの溶融と組み合わされたこの第2の延伸により、事前含浸を均一にすること、したがって、含浸を終了すること、およびこうしてコアへの含浸を有すること、および体積基準で高い繊維含有率、特に、テープの体積の少なくとも70%、特にテープの体積の少なくとも80%、特にテープの体積の少なくとも90%、とりわけテープの体積の少なくとも95%となる一定値を有すること、ならびに多孔度を低下させることが可能となる。
【0280】
したがって、事前含浸前に幅lであるロービングは、事前含浸後、幅l>lを有し、ポリマーを溶融して、前記溶融ポリマーを事前含浸した前記繊維材料を収縮させた後には、幅l<l>lを有する。
【0281】
支持部分の上を通過した後、前記溶融ポリマーを含む繊維材料の第2の膨張により、lにほぼ等しい幅lを有しており、かつ100μm以下の平均厚さを有する材料になる。
【0282】
次に、この含浸繊維材料は、未較正の平均幅および厚さのストリップの形態のテープからなる。
【0283】
有利には、第1の圧縮ローラーR’の入り口と最後の圧縮ローラーR’の出口との間の加熱工程中の延伸率は、約0~300%、特に、0~50%である。
【0284】
前記加熱工程中の熱可塑性ポリマーの溶融およびロービングの収縮と組み合わせた加熱工程の間の様々な延伸により、加熱工程後に、45体積%~65体積%、好ましくは50~60体積%、特に54~60%(溶融経路による従来の技法により到達することができない繊維含有率)の含浸繊維含有率を生じさせることが可能となり、この場合、体積基準での繊維レベルおよび繊維の分布は、前記繊維材料の全長にわたり、繊維材料の中央面の一方の側面の平均値に実質的に等しく、こうして、特に単一層の繊維材料が取得される。
【0285】
45%未満の繊維では、強化は、機械特性に関して、興味深いものではない。
【0286】
65%を超えると、本方法の境界値に到達し、機械特性が再度、失われる。
【0287】
平均厚さeは、含浸繊維の含有率により、平均厚さは、45体積%~65体積%の間の含浸繊維の含有率の場合、特に100μm以下であることはきわめて明白である。
【0288】
支持体(E)を通さないで事前含浸繊維材料を加熱することにより、100μmを超えるが150μm未満の平均厚さを有するテープを得ることが可能である。
【0289】
有利には、前記含浸繊維材料中の多孔度レベルは、10%未満、特に5%未満、特に2%未満である。
【0290】
成形工程および較正工程:薄層テープの取得
ロービングまたは前記平行なロービングを成形する工程、および前記含浸繊維材料を較正する工程は、行われる場合、第2の加熱システムを出た後に行われる。
【0291】
この工程は、第2の加熱システムを出た後に直接行うことができ、この場合、ロービングの進行速度は、第2および第3の加熱システムにおいて同じであるか、または遅延され、これは、ロービングの進行速度が、第2の加熱システムと第3の加熱システムとの間で異なり得ることを意味する。
【0292】
この工程は、以下の実施形態のうちの1つにより行われ得る:
1) 1つまたは複数の支持体((E)と定義されている)のうちの少なくとも1つの支持体がノッチ付き(溝付き)である、1つまたは複数の支持体の上にストリップを通過させることであって、前記ストリップの平均幅が、ノッチ付き(または溝付き)支持体未満である、ストリップを通過させること。
【0293】
前記支持体のうちの少なくとも1つは、第3の加熱システム、特にIR、マイクロ波、高周波またはレーザー加熱システム、特に、0.1W~10kWの間、より好ましくは0.1~6kWの間、より好ましくは0.1~3kWの間、さらにより好ましくは0.6~3kWの間、さらにより好ましくは0.6~1.8kWの間の出力(各ストリップまたは平行なストリップの積層)を有するIR加熱システム下に置かれている。
【0294】
有利には、前記少なくとも1つのノッチ付きローラー(41)が最初に配置されており、第3の加熱システム(45)の外側に存在する。有利には、第2のノッチ付き支持体(44)は、第3の加熱システムの出口、および前記第3の加熱システムの外側に存在する。
【0295】
ノッチなし支持体(42)および(43)の上を通ることにより、ストリップは、ノッチ付き支持体の幅まで再度、膨張することが可能となる。
【0296】
ノッチ付き支持体(単数または複数)(41)および(44)の直径は、12mm~50mmの間、特に12mm~30mmの間である。
【0297】
ノッチなし支持体(単数または複数)(42)および(43)の直径は、10mm~50mmの間、特に10mm~30mmの間である。
【0298】
ストリップは、第3の加熱システムの下を通過した後、第3の加熱システムの出口においてノッチ付き支持体の幅まで成形され、直列で装着されており、かつそれぞれが1kWのIRシステムであって、送られるその出力が可変である1kWのIRシステムが装備されている加熱式カレンダー加工機(46)であって、第3の加熱システムの外側にある加熱式カレンダー加工機(46)のレベルで通過し、100μm未満の厚さの薄層テープが得られる。
【0299】
図7(単一のリールが使用され、IR2システムを通過した後)は、例示的な実施形態を開示しており、その実施形態に限定されない。
【0300】
IR3前およびIR3下の支持体は、同じレベルで図7に示されているが、それらは、異なる高さで第2の加熱システムと同様になり得る。ノッチ付き支持体はまた、ノッチなし支持体と同じまたは異なる直径を有してもよい。
【0301】
2) 1つまたは複数の支持体((E)に関して定義されている)のうちの少なくとも1つの支持体はノッチ付き(溝付き)である、1つまたは複数の支持体の上にストリップを通過させることであって、前記ストリップの平均幅がノッチ付き(または溝付き)支持体より大きな、ストリップを通過させること。
【0302】
前記支持体は、第3の加熱システム、特にIR、マイクロ波、高周波またはレーザー加熱システム、特に、0.1W~10kWの間、より好ましくは0.1~6kWの間、より好ましくは0.1~3kWの間、さらにより好ましくは0.6~3kWの間、さらにより好ましくは0.6~1.8kWの間の出力を有するIR加熱システム下に置かれている。有利には、前記少なくとも1つのノッチ付きローラーが最初に配置されている。
【0303】
第1のノッチ付き縁部の上を通過すると、ストリップの幅をノッチ付き溝の幅未満にまで小さくすることが可能である。有利には、第2のノッチ付き支持体は、ストリップの幅より大きな幅の溝を有する、第3の加熱システムの出口に存在する。
【0304】
ストリップは、第3の加熱システムの下を通過した後、第3の加熱システムの出口において、ノッチ付き支持体の幅に成形され、直列で装着されており、かつそれぞれが1kWのIRシステムが装備されている加熱式カレンダー加工機であって、第3の加熱システムの外側にある加熱式カレンダー加工機のレベルで通過し、100μm未満の厚さの薄層テープが得られる。
【0305】
WO2015/121583に開示されている通りに管理されている圧力およびロールギャップを有するカレンダー加工システムは、両方の実施形態に使用することができる。
【0306】
前記含浸繊維材料を正しい幅に集めるために、支持体は、特に、固定式または回転式ノッチ付きローラーであるか、または逆回転式ローラーとなることさえあり、特に、固定式ローラーである。
【0307】
ノッチ付きローラーはまた、薄層テープの縁部において繊維を損傷するのを回避するため、支持体との横方向の接触点において、角の丸い縁部を有してもよい。
【0308】
表現「角の丸い縁部」は、ノッチの底部が、凹面または凸面の形状であることを意味する。
【0309】
次に、カレンダー加工機システムの上を通過した後に含浸した繊維材料は、I未満の最終平均幅を有する薄層テープの形態のテープからなる。
【0310】
有利には、成形工程および較正工程という第1の実施形態が好ましい。
【0311】
前記薄層テープは、45体積%~65体積%の間となる含浸繊維の含有率の場合、100μm以下の平均厚さを有する。
【0312】
有利には、前記薄層テープは、45体積%~65体積%の間となる含浸繊維の含有率の場合、I未満の最終平均幅、および10μm~100μmの間の平均厚さを有する。
【0313】
したがって、これにより、高い移動速度での作業が可能となり、こうして生産コストを削減することが可能となる。
【0314】
有利には、本発明による方法は、少なくとも10m/分、特に少なくとも20m/分、好ましくは少なくとも30m/分の速度で行われる。
【0315】
積層および/または接合工程
いくつかの実施形態が可能である:
1) 上で開示されているストリップ(テープ)を含浸してこれを取得する工程の後、または上で定義した薄層テープ(テープ)における成形および較正という任意選択工程の後に、少なくとも2枚のテープを積層および/または接合する工程を行い、前記N枚のテープが、少なくとも部分的に重なることが可能である。
【0316】
この工程は、いくつかの実施形態により行われ得る:
- 第1の変形形態(図7)では、前記少なくとも2つのストリップは、1つまたは複数の支持体((E)によって定義される)の上を通過することによって、積層および/または接合され、このうちの少なくとも1つの支持体は、ノッチ付き(溝付き)である。
【0317】
前記支持体のうちの少なくとも1つは、第3の加熱システム、特にIR、マイクロ波、高周波またはレーザー加熱システム、特に、0.1W~10kWの間、より好ましくは0.1~6kWの間、より好ましくは0.1~3kWの間、さらにより好ましくは0.6~3kWの間、さらにより好ましくは0.6~1.8kWの間の出力を有するIR加熱システムの下に置かれている。
【0318】
有利には、所望のサイズの第1のノッチ付き(溝付き)支持体により、第3の加熱システムの外側で、所望のサイズに積層および/または接合することが可能となる。
【0319】
次に、所望の寸法に積層および/または接合されたストリップは、前記第3の加熱システムの下の少なくとも1つのノッチなし支持体の上を通過し、次に、やはり前記第3の加熱システムの下の第2のノッチ付き支持体の上を通過する。
【0320】
有利には、2つのノッチなし支持体は、前記第3の加熱システムの下に存在する。
【0321】
第3の加熱システムの下を通過した後、第3の加熱システムの出口において、ノッチ付き支持体の幅まで積層および/または接合されて、成形されたストリップは、直列で装着されており、かつそれぞれが可変出力(最大出力の割合として)を備える1kWのIRシステムが装備されている加熱式カレンダー加工機であって、第3の加熱システムの外側にある加熱式カレンダー加工機のレベルで通過すると、ウェブが得られる。
【0322】
- 第2の変形形態では、第1の変形形態の第1のノッチ付きローラーはまた、第3の加熱システムの下にも置かれる。
【0323】
- 第3の変形形態では、前記少なくとも2つのストリップは、ウェブを得るため、加熱システムが設けられている、場合によりノッチ付きの少なくとも1つの支持体の上を通過し、次に、直列で装着されており、それぞれが可変出力(最大出力の割合として)を備える1kWのIRシステムが装備されている加熱式カレンダー加工機であって、第3の加熱システムの外側にある加熱式カレンダー加工機のレベルで通過させる。
【0324】
第1、第2および第3の変形形態において使用される、ノッチ付き支持体またはノッチなし支持体は、以下の特性を有する:
ノッチ付き支持体(単数または複数)(41)および(44)の直径は、12mm~50mmの間、特に12mm~30mmの間である。
【0325】
ノッチなし支持体(単数または複数)(42)および(43)の直径は、10mm~50mmの間、特に10mm~30mmの間である。
【0326】
- 第4の変形形態では、前記少なくとも2つのストリップは、ウェブを得るため、少なくとも1つの加熱システムによって加熱され、次に、直列で装着されており、それぞれが可変出力(最大出力の割合として)を備える1kWのIRシステムが装備されている加熱式カレンダー加工機であって、第3の加熱システムの外側にある加熱式カレンダー加工機のレベルで通過させる。
【0327】
この実施形態では、加熱システムに支持体は存在しない。
【0328】
- 第5の変形形態では、前記少なくとも2つのストリップは、ウェブを得るため、加熱され、次に、温延伸プレートを直列で装着されており、それぞれが可変出力(最大出力の割合として)を備える1kWのIRシステムが装備されている加熱式カレンダー加工機であって、第3の加熱システムの外側にある加熱式カレンダー加工機のレベルで通過させる。
【0329】
この実施形態では、加熱システムに支持体は存在しない。
【0330】
2) 少なくとも2つのストリップを積層および/または接合する工程は、含浸工程の間に、IR2の下で行われ、上で定義したストリップが得られる。
【0331】
次に、前記少なくとも2つの積層および/または接合したストリップは、上で開示されている第1の実施形態の5つの変形形態のうちの1つを受ける。
【0332】
一般に、支持体を備えるまたはこれを備えていない加熱システムは、ポリマーのTmより高い温度にある。直列に装着されている加熱式カレンダー加工機は、ISO11357-2:2013によって決定すると、ポリマーのTgとTmとの間で、有利には、Tg+50℃とTg+80℃との間の温度にある。
【0333】
本発明の有利な実施形態
有利には、繊維材料は、炭素繊維およびガラス繊維から選択される。
【0334】
有利には、繊維材料は炭素繊維であり、個々のテープはそれぞれ、m×12,000の繊維、n×24,000の繊維およびp×50,000の繊維から選択されるいくつかの炭素繊維を含み、mは、1~40、特に、1~4の間であり、nは、1~20の間であり、pは、1~10の間、特に1である。
【0335】
有利には、炭素繊維を含浸するために使用される熱可塑性ポリマーは、半芳香族ポリアミドである。
【0336】
有利には、炭素繊維を含浸するために使用される熱可塑性ポリマーは、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/BACT、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10T、PEEK、PEKKおよびPEI、またはそれらの混合物から選択される半芳香族ポリアミドである。
【0337】
有利には、繊維材料はガラス繊維であり、ガラス繊維用の坪量は、1,200Tex以上、特に、2,400Tex以上、4,800Tex以上である。
【0338】
有利には、ガラス繊維を含浸するために使用される熱可塑性ポリマーは、半芳香族ポリアミドである。
【0339】
有利には、ガラス繊維を含浸するために使用される熱可塑性ポリマーは、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/BACT、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10T、PEEK、PEKKおよびPEI、またはそれらの混合物から選択される半芳香族ポリアミドである。
【0340】
有利には、炭素繊維系繊維材料の事前含浸は、流動床、次に、加熱して含浸を終了する工程により行われて、100μm以下、特に10μm~100μmの間の平均厚さを有するストリップの形態のテープからなる含浸繊維材料が得られ、前記加熱工程が、ただちに、事前含浸工程の後に続く。
【0341】
有利には、炭素繊維を含浸するために使用されるストリップの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、半芳香族ポリアミドである。
【0342】
有利には、炭素繊維を含浸するために使用されるストリップの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/BACT、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10T、PEEK、PEKKおよびPEI、またはそれらの混合物から選択される半芳香族ポリアミドである。
【0343】
有利には、ストリップの形態の繊維材料のN枚のテープであって、少なくとも部分的に重なることが可能なN枚のテープの積層および/または接合は、少なくとも1つの加熱システムにより前記ストリップを加熱し、次に、加熱システムが設けられている少なくとも1つのノッチ付き支持体の上に前記ストリップを通し、次に、加熱式カレンダー加工機の上に通すことにより行われる。
【0344】
有利には、炭素繊維系繊維材料の事前含浸は、流動床、次に、加熱する工程、含浸を終了する工程、ならびに成形および較正する工程により行われて、100μm以下、特に10μm~100μmの間の平均厚さを有する薄層テープの形態のテープからなる含浸繊維材料が得られ、前記加熱工程が、ただちに、事前含浸工程の後に続く。
【0345】
有利には、薄層テープの形態の繊維材料のN枚のテープであって、少なくとも部分的に重なることが可能なN枚のテープの積層および/または接合は、少なくとも1つの加熱システムにより前記テープを加熱し、次に、加熱システムが設けられている少なくとも1つのノッチ付き支持体の上に前記テープを通し、次に、加熱式カレンダー加工機の上に通すことにより行われる。
【0346】
有利には、炭素繊維を含浸するために使用される薄層テープの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、半芳香族ポリアミドである。
【0347】
有利には、炭素繊維を含浸するために使用される薄層テープの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/BACT、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10T、PEEK、PEKKおよびPEI、またはそれらの混合物から選択される半芳香族ポリアミドである。
【0348】
有利には、ガラス繊維系繊維材料の事前含浸は、流動床、次に、加熱して含浸を終了する工程により行われて、100μm以下、特に10μm~100μmの間の平均厚さを有するストリップの形態のテープからなる含浸繊維材料が得られ、前記加熱工程が、ただちに、事前含浸工程の後に続く。
【0349】
有利には、ガラス繊維を含浸するために使用されるストリップの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、半芳香族ポリアミドである。
【0350】
有利には、ガラス繊維を含浸するために使用されるストリップの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/BACT、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10T、PEEK、PEKKおよびPEI、またはそれらの混合物から選択される半芳香族ポリアミドである。
【0351】
有利には、ストリップの形態の繊維材料のN枚のテープであって、少なくとも部分的に重なることが可能なN枚のテープの積層および/または接合は、少なくとも1つの加熱システムにより前記ストリップを加熱し、次に、加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体の上に前記ストリップを通し、次に、加熱式カレンダー加工機の上に通すことにより行われる。
【0352】
有利には、ガラス繊維系繊維材料の事前含浸は、流動床、次に、加熱して含浸を終了する工程により行われて、100μm以下、特に10μm~100μmの間の平均厚さを有する薄層テープの形態のテープからなる含浸繊維材料が得られ、前記加熱工程が、ただちに、事前含浸工程の後に続く。
【0353】
有利には、ガラス繊維を含浸するために使用される薄層テープの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、半芳香族ポリアミドである。
【0354】
有利には、ガラス繊維を含浸するために使用される薄層テープの形態のテープを構成する熱可塑性ポリマーは、PA MPMDT/6T、PA PA11/10T、PA11/BACT、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10T、PA11/BACT/10T、PA11/MXDT/10T、PEEK、PEKKおよびPEI、またはそれらの混合物から選択される半芳香族ポリアミドである。
【0355】
有利には、薄層テープの形態の繊維材料のN枚のテープであって、少なくとも部分的に重なることが可能なN枚のテープの積層および/または接合は、少なくとも1つの加熱システムにより前記テープを加熱し、次に、加熱システムが設けられている少なくとも1つの支持体の上に前記テープを通し、次に、加熱式カレンダー加工機の上に通すことにより行われる。
【0356】
図1は、支持部分を備える流動床(12)を備える槽(10)を記載しており、その高さ(22)は、調節可能である。槽の入り口の縁部は、回転式ローラー23aが装備されており、この回転式ローラー23aの上を、ロービング21aが通過し、槽出口の縁部は、回転式ローラー23bが装備されており、この回転式ローラー23bの上を、ロービング21bが通過する。
【0357】
図2は、単一圧縮ローラー、流動床(12)を備える槽(10)を用いる実施形態を記載しており、この場合、単一円筒形圧縮ローラー(24)が存在し、角度αを示している。
【0358】
繊維の矢印は、繊維の通過方向を示している。
【0359】
図3は、単一圧縮ローラー、粉末(32)を噴霧するためのスプレーガン(31)を備える槽(30)を用いる実施形態を示しており、この場合、単一円筒形圧縮ローラー(33)が存在し、角度α”を示している。
【0360】
繊維の矢印は、繊維の通過方向を示している。
【0361】
図4は、事前含浸繊維材料を加熱するための単一加熱システム、および含浸を終了するため、3つのローラーを用いて含浸を終了させる概略を示している。
【0362】
図5は、光学顕微鏡で撮影した、実施例1に従い、およびWO2015/121583に開示されている(カレンダー加工前)、D50=108μm(D90=198μmおよびD10=48.3μm)であるPA BACT/10Tポリアミド粉末を含浸したSGL、50K炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
【0363】
WO2015/121583による方法は、厚すぎる(181μm)繊維材料をもたらし、含浸済みロービングのいくつかの領域およびさらにまた大きな孔の均一性、および繊維の不良な分布を欠いている。
【0364】
繊維の直径は、7μmを表す。
【0365】
図6は、光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例2による(カレンダー加工前)、D50=108μm(D90=198μmおよびD10=48.3μm)であるPA BACT/10Tポリアミド粉末(41/59のモル比)を含浸したSGL、50K炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
【0366】
繊維の直径は、7μmを表す。
【0367】
得られたストリップは、55体積%の繊維含有率を有する、88μm未満の平均厚さを有する。
【0368】
図7は、12.7mmの幅のウェブを得るための、12.7mmに成形された、3つのストリップ(図6で得られた)の積層の実施形態(40)を示す。
【0369】
本実施形態は、第2の加熱システムに3つの繊維材料を並行して通過させて、次に、IRシステム(45)、および直列に装着されている加熱式カレンダー加工機(46)であって、その出力が可変であるそれぞれが1kWのIRシステムが装備されている加熱式カレンダー加工機(46)の下の、赤外システム(45(IR3))の外側の第1のノッチ付き支持体(41)(直径13mm、溝12.7mm)、次に、2つのノッチなし支持体(42)および(43)(直径20mm)、ならびに1つのノッチ付き支持体(44)(直径13mm、溝12.7mm)のレベルで、3つのストリップを積層することを含む。
【0370】
図8は、光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例2による(カレンダー加工前)、D50=108μm(D90=198μmおよびD10=48.3μm)であるPA11/BACTポリアミド粉末(33/67のモル比)を含浸したToray(T700 12k 31E)炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
【0371】
繊維の直径は、7μmを表す。
【0372】
得られたストリップは、55体積%の繊維含有率を有する、63μm未満の平均厚さを有する。
【0373】
図9は、光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例3による(カレンダー加工前)、D50=136μm(D90=225μmおよびD10=75μm)であるPA6I/6Tポリアミド粉末(45/55のモル比)を含浸したToray(T700 12k 31E)炭素繊維ロービングの断面図の写真を示す。
【0374】
繊維の直径は、7μmを表す。
【0375】
得られたストリップは、55体積%の繊維含有率を有する、63μm未満の平均厚さを有する。
【0376】
図10は、光学顕微鏡で撮影した、本発明の実施例4による(カレンダー加工前)、D50=157μm(D90=301μmおよびD10=58μm)であるPA MPMDT/10T粉末(41/59のモル比)を含浸した炭素繊維ロービング(Toray T700 12k 31E炭素繊維)の断面図の写真を示す。
【0377】
繊維の直径は、7μmを表す。
【0378】
得られたストリップは、55体積%の繊維含有率を有する、63μm未満の平均厚さを有する。
【実施例0379】
実施例1
幅12.7mmおよび厚さ250μmのウェブの調製
BACT/10T(41/59のモル比)を含浸した単層繊維材料(SGL、50K炭素繊維)
以下の手順を行った:
8cmの直径を有する4つの円筒形および固定ローラーが、流動床を備える槽の上流に存在し、この流動床の上をロービングが移動する。
【0380】
ローラーは、54cmの間隔(第1のローラーの中心軸と最後のローラーの中心軸との間の距離)である。
【0381】
流動床による事前含浸工程
図2に示されている、槽(L=500mm、l=500mm、H=600mm)、直径25mm中の円筒形圧縮ローラーR
- 粉末で0.3秒間の滞留時間
- 角度αは25°
- BACT/10T粉末の場合、D50=108μm(D10=48.3μm、D90=198μm)。
- 固定式ローラーを装備した槽の縁部。
【0382】
事前含浸繊維材料の加熱および含浸を終了する工程
図4に開示されている加熱システムを使用するが、直径8mmを有する、8つの固定式円筒形ローラーR’~R’を用いる。
【0383】
ロービングの進行速度は、10m/分である。
【0384】
使用される赤外線発生装置(infrared)は、25kWの全出力を有しており、赤外線発生装置と上部ローラーとの間の高さは4cmであり、赤外線発生装置と下部ローラーとの間の高さは9cmである。
【0385】
角度α’~α’は同じであり、25°である。
【0386】
高さhは、20mmである。
【0387】
長さlは、1000mmである。
【0388】
8つのローラーは、それぞれ、43mm離されている。
【0389】
図6は、厚さ88μmを有する、得られた含浸繊維材料(ストリップ)を示す。
【0390】
得られた繊維材料は、単層材料であり、この材料は、含浸均一性、および繊維の非常に良好な分布を有する低い多孔度を有する。
【0391】
積層工程
図7は、この工程を詳述する。
【0392】
前の工程で得られた3つのストリップは、赤外システム(45(IR3))の外側の第1のノッチ付き支持体(41)(直径13mm、溝12.7mm)のレベルで積層し、次に、3つの積層済みストリップを、IRシステム(45)の下で2つのノッチなし支持体(42)および(43)(直径20mm)、次にノッチ付き支持体(44)(直径13mm、溝12.7mm)の上、最後に、直列に装着されている加熱式カレンダー加工機(46)であって、それぞれが1kWのIRシステムを装備した加熱式カレンダー加工機(46)を通過させる。
【0393】
得られたウェブは、幅12.7mmおよび厚さ250μmを有する。
【0394】
実施例2
幅12.4mmおよび厚さ189μmのウェブの調製
D50=114μm(D10=56μm、D90=199μm)であるPA11/BACT粉末(33/67のモル比)を含浸した単層繊維材料(Toray T700 12k 31E炭素繊維)
ストリップの調製と、その後のストリップの積層は、実施例1と同じ手順を使用した。ノッチ付き支持体は、12.4mmの溝を有する。
【0395】
得られたウェブは、194g/mの炭素繊維の坪量に対して幅12.4mmおよび厚さ189μmである。
【0396】
実施例3
幅12.4mmおよび厚さ189μmのウェブの調製
D50=136μm、(D90=225μm、D10=75μm)であるPA6I/6T粉末(45/55のモル比)を含浸した単層繊維材料(Toray T700 12k 31E炭素繊維)
ストリップの調製と、その後のストリップの積層は、実施例1と同じ手順を使用した。ノッチ付き支持体は、12.4mmの溝を有する。
【0397】
得られたウェブは、194g/mの炭素繊維の坪量に対して幅12.4mmおよび厚さ189μmである。
【0398】
実施例4
幅12.4mmおよび厚さ189μmのウェブの調製
D50=157μm、(D90=301μm、D10=58μm)であるPA MPMDT/10T粉末(41/59のモル比)を含浸した単層繊維材料(Toray T700 12k 31E炭素繊維)
ストリップの調製と、その後のストリップの積層は、実施例1と同じ手順を使用した。ノッチ付き支持体は、12.4mmの溝を有する。
【0399】
得られたウェブは、194g/mの炭素繊維の坪量に対して、幅12.4mmおよび厚さ189μmである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層および/または接合されている繊維材料からなるN枚の個々のテープを含む、含浸繊維材料のウェブであって、前記N枚の個々のテープが互いに接着しており、少なくとも部分的に重なることができ、繊維材料からなる前記個々のテープが、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーおよび場合により鎖延長剤が含浸されている連続繊維を含む、含浸繊維材料のウェブにおいて、前記ウェブが、繊維の軸に対して垂直な断面において、Sthと表される、繊維の軸に対して垂直な断面において、最初の個々のテープのそれぞれの表面の総和に実質的に等しい表面積Sを有しており、Sthが、N×l×Epに等しく、lは、テープの平均幅を表し、Epは、テープの平均厚さを表し、Nは、2~2,000の間であり、個々のテープのそれぞれの平均厚さは、150μm以下、好ましくは100μm以下、特に10~100μmの間であることを特徴とする、含浸繊維材料のウェブ。
【外国語明細書】