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特開2024-69210粒子を含む(メタ)アクリルポリマー組成物、その調製方法及びマスターバッチとしてのその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069210
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】粒子を含む(メタ)アクリルポリマー組成物、その調製方法及びマスターバッチとしてのその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/04 20060101AFI20240514BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20240514BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C08L33/04
C08L83/04
C08J3/22
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019794
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2020540816の分割
【原出願日】2019-01-31
(31)【優先権主張番号】1850808
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロワ, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】キュルエル, シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】クローマー, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】メールマン, フロランス
(72)【発明者】
【氏名】ライリー, ジャック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光透過性と拡散特性のバランスの良い高分子シリコーン粒子と高分子(メタ)アクリル粒子を含む高分子組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子と、場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子を含む高分子(メタ)アクリル組成物に関する。本発明は、高分子シリコーン粒子と場合によっては高分子(メタ)アクリル粒子を含むそのような高分子(メタ)アクリル組成物のマスターバッチとしての使用にも関する。本発明は、高分子シリコーン粒子と場合によっては高分子(メタ)アクリル粒子を含む高分子(メタ)アクリルマスターバッチ組成物から、高分子シリコーン粒子と高分子(メタ)アクリル粒子を含む(メタ)アクリル組成物を作製するための方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、
粒子PP1が、成分a)及びb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物MB1。
【請求項2】
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を更に含む、請求項1に記載の高分子組成物MB1。
【請求項3】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2が10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする、請求項2に記載の高分子組成物MB1。
【請求項4】
高分子シリコーン粒子PP1が10重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
高分子シリコーン粒子PP1が11重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高分子組成物MB1。
【請求項6】
高分子シリコーン粒子PP1が15重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高分子組成物MB1。
【請求項7】
高分子シリコーン粒子PP1が16重量%と40重量%の間を占めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高分子組成物MB1。
【請求項8】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2が30重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする、請求項2又は3に記載の高分子組成物MB1。
【請求項9】
高分子シリコーン粒子PP1が1.30と1.45の間、好ましくは1.35と1.45の間、有利には1.36と1.44の間の屈折率を有することを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載の高分子組成物MB1。
【請求項10】
高分子シリコーン粒子PP1が、1μmと9μmの間、より好ましくは1μmと8μmの間、更により好ましくは1μmと7μmの間、尚もより好ましくは1μmと6μmの間、有利には1μmと5μmの間、より有利には1μmと4μmの間の重量平均粒径を有していることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載のポリマー組成物MB1。
【請求項11】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2において、モノマーの少なくとも50重量%が、高分子粒子PP2のポリマー鎖中のアクリル及び/又はメタクリルモノマーに由来することを特徴とする、請求項2から3又は8の何れか一項に記載のポリマー組成物MB1。
【請求項12】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2が、35μmと90μmの間、より好ましくは35μmと60μmの間の重量平均粒径を有していることを特徴とする、請求項2から3又は8の何れか一項に記載の高分子組成物。
【請求項13】
(メタ)アクリルポリマーAP1が、アクリル及び/又はメタクリルモノマーに由来する少なくとも50重量%のモノマーを含むことを特徴とする、請求項1から12の何れか一項に記載の高分子組成物。
【請求項14】
(メタ)アクリルポリマーAP1が、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、有利には少なくとも70重量%、より有利には少なくとも80重量%のメチルメタクリレート(MMA)を含むメチルメタクリレートのコポリマー又はホモポリマーであることを特徴とする、請求項1から13の何れか一項に記載の高分子組成物。
【請求項15】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径が、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径より少なくとも3倍大きいことを特徴とする、請求項2又は3に記載の高分子組成物MB1。
【請求項16】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径が、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径よりも最大で100倍大きいことを特徴とする、請求項2又は3に記載の高分子組成物MB1。
【請求項17】
(メタ)アクリルポリマーAP1とシリコーン粒子PP1の間の屈折率の差が少なくとも0.01、より好ましくは少なくとも0.02、更により好ましくは少なくとも0.03であることを特徴とする、請求項1から16の何れか一項に記載の高分子組成物MB1。
【請求項18】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2と(メタ)アクリルポリマーAP1の間の屈折率の差が、少なくとも0.005、より好ましくは少なくとも0.01、更により好ましくは少なくとも0.015であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の高分子組成物MB1。
【請求項19】
請求項1から18の何れか一項に記載の高分子組成物MB1の調製のための方法において、成分a)、b)及び場合によってはc)を混合する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
混合が配合により行われることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物PC1の調製のための方法において、
請求項1から18の何れか一項に記載の組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1及び20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と少なくとも1回混合する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物PC1の調製のための方法において、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
の何れかを含み、粒子PP1が、成分a)とb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程、
あるいは
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MBIを、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程
の何れかを含む、方法。
【請求項23】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物PC1の調製のための方法において、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、かつ粒子PP1が、成分a)とb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項24】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物PC1の調製のための方法において、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項25】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物PC1を作製するための、請求項1から18の何れか一項に記載の組成物MB1の使用。
【請求項26】
請求項22又は23又は24に記載の高分子組成物PC1を変形及び/又は加工することにより物体を作製するための方法。
【請求項27】
物体又は成形体を作製するための、高分子組成物MB1から得られる、請求項22又は23又は24に記載の組成物PC1の使用。
【請求項28】
請求項26の方法又は請求項27の使用によって得られ、50μmを超え、より好ましくは100μmを超え、更により好ましくは500μmを超える厚さを有する物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子シリコーン粒子と場合によっては高分子(メタ)アクリル粒子を含む高分子(メタ)アクリル組成物に関する。
【0002】
特に、本発明は、1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子と、場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子を含む高分子(メタ)アクリル組成物に関する。
【0003】
本発明は、高分子シリコーン粒子と場合によっては高分子(メタ)アクリル粒子を含むそのような高分子(メタ)アクリル組成物のマスターバッチとしての使用にも関する。
【0004】
本発明は、高分子シリコーン粒子と場合によっては高分子(メタ)アクリル粒子を含む高分子(メタ)アクリルマスターバッチ組成物から、高分子シリコーン粒子と高分子(メタ)アクリル粒子を含む(メタ)アクリル組成物を作製するための方法にも関する。
【技術的課題】
【0005】
熱可塑性ポリマー、特に(メタ)アクリルポリマーは、ライトニング用途を含め、広く使用されている。これは主に、紫外線耐性や耐候性に優れた透明性の高い高分子材料としてのその特徴によるものである。よって、(メタ)アクリルポリマーは、例えば、ランプ、照明器具、照明カバー、ディスプレイ、照明付き棚、表面、照明標識に使用される。
【0006】
ライトニング用途では、(メタ)アクリルポリマー又は(メタ)アクリルポリマーをベースとする組成物に対して、光透過、拡散力など、様々な要求がある。(メタ)アクリルポリマーをベースとするこれら組成物は、一般に程度の差はあれ球状の粒子を含み、これらもまた高分子粒子又は有機もしくは無機粒子である。
【0007】
加えて、光透過性と拡散特性との間の良好な妥協点を示す高分子組成物があることもまた非常に興味深い。
【0008】
この妥協点は、高分子組成物中の各粒子の正確なもしくは最適な量、又は高分子組成物中の各粒子の異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比に基づいている。
【0009】
従って、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各粒子を含む高分子組成物があることは重要である。従って、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各粒子を含む高分子組成物を得ることを達成する方法があることもまた重要である。従って、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各粒子を含む高分子組成物を得ることを達成する方法において使用することができる高分子組成物があることが加えて重要である。
【0010】
本発明の目的は、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各高分子粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物の調製に適した高分子粒子を含む(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0011】
本発明の目的はまたライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各高分子粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物の調製のためのマスターバッチとして使用することができる高分子粒子を含む(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各高分子粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物を、高分子粒子を含む(メタ)アクリルポリマー組成物から製造するための方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各高分子粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物であって、優れた透過特性と拡散特性を同時に組み合わせる高分子組成物の調製に適した高分子粒子を含む(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0014】
本発明の更に別の目的は、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各高分子粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物であって、少なくとも80%の高い光透過率を有し、同時に高い相対拡散力と光源を隠すための隠蔽力を有する高分子組成物の調製に適した(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0015】
また、本発明の更に別の目的は、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物中に正確なもしくは最適な量の各高分子粒子、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物であって、少なくとも80%の高い光透過率を有し、同時に散乱粒子の量を減らして、高い相対拡散力と光源を隠すために隠蔽力を有する、高分子組成物の調製に適した(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【背景技術】
【0016】
相対拡散力と隠蔽力を増加させる光の拡散は、通常、組成物に散乱粒子を添加することによって増大する。
【0017】
文献WO2004/034136は、フラットパネルディスプレイ用のバルクディフューザーを開示している。バルク光ディフューザー材料は、ポリカーボネート製で粒状光拡散成分を含むシート又はフィルムでありうる。PMMA及びシリコーン粒子は、実施例では別々に使用されており、一緒に組み合わされてはいない。
【0018】
文献JP11060966は、高い光拡散性能のための組成物を開示している。開示された組成物は、一種は5μm未満の平均粒径を持ち、もう一種は5μmと10μmの間の平均粒径を持つ二種類の粒子を含む。粒子はシリコーン又はスチレン系粒子である。しかしながら、この組成物は透過率が低い。
【0019】
文献DE102012216081は、射出成形による光拡散成形部品の製造を開示している。射出成形用の組成物は、ポリメチルメタクリレートのマトリックスと、1~24μmの粒径の球状プラスチック粒子を含む。
【0020】
文献US7897714は、シリコーン微粒子とその粒子を使用した熱可塑性樹脂組成物を開示している。シリコーン微粒子はディフューザーとして使用されており、約2.5μm~3.5μmの平均粒径を有している。
【0021】
文献WO2004/098857は、光拡散成形品を製造するための射出成形方法を開示している。成形材料は、ポリメチルメタクリレートのマトリックスと、1~24μmの粒径を持つ球状プラスチック粒子を含む。
【0022】
文献JP10087941は、光拡散アクリル樹脂組成物と光拡散成形品を開示している。0.1~50μmの平均粒径を有するシリコンゴム粉末が使用されている。
【0023】
文献JP10087945は、光拡散アクリル樹脂組成物と光拡散成形体を開示している。0.1~50μmの平均粒径を有するシリコンゴム粉末が使用されている。
【0024】
文献JP11021357は、1~10重量部の架橋シリコーン樹脂を含む、架橋シリコーン樹脂の球状粒子を含むメタクリル樹脂を開示している。また、このメタクリル樹脂組成物のマスターバッチペレットの押出し法と、その樹脂を使用して調製した導光板を開示している。
【0025】
文献US5831774は光拡散複合材を開示している。前記光拡散材料の光拡散層は、バインダー樹脂としてのアクリル樹脂と、アクリル樹脂粒子及びシリコーン樹脂粒子を含む光拡散剤を含む。該二種の粒子は樹脂の少なくとも40重量部を占める。
【0026】
文献JP01-269902は、アクリル樹脂とシリコーン樹脂粒子を含む光拡散板を開示している。樹脂組成物は、配合により調製される。
【0027】
文献KR20080062470は、光拡散板を開示している。光拡散板は、シロキサン粒子を含むスチレン樹脂とメタクリル系光拡散剤からなる基材層を有している。
【0028】
従来技術は、一種の粒子もしくは二種の粒子を有する高分子組成物の調製に適したマスターバッチも、組成物中に一種のみの粒子又は粒子の混合物を含む組成物の調製方法も開示しておらず、光透過特性と拡散特性の間に満足のいく妥協点はない。
【発明の概要】
【0029】
驚くべきことに、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、粒子PP1が、成分a)及びb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1が、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物PC1の調製に適していることが発見された。
【0030】
驚くべきことに、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1が、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子PP1及びPP2を含む高分子組成物PC1の調製に適していることが発見された。
【0031】
驚くべきことに、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、粒子PP1が、成分a)及びb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1が、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物PC1の調製のためのマスターバッチとして使用することができることが発見された。
【0032】
驚くべきことに、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1が、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子PP1及びPP2を含む高分子組成物PC1の調製のためのマスターバッチとして使用することができることがまた発見された。
【0033】
高分子組成物PC1であって、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物PC1を得るための方法において、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、粒子PP1が、成分a)とb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含む方法が、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子PP1及びPP2を含む高分子組成物PC1を生じることがまた見出された。
【0034】
高分子組成物PC1であって、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする高分子組成物PC1を得るための方法において、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と混合する工程を含む方法が、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子PP1及びPP2を含む高分子組成物PC1を生じることがまた見出された。
【発明の詳細な説明】
【0035】
第一の態様によれば、本発明は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、
粒子PP1が、成分a)及びb)を含む組成物MBIの0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする組成物MB1に関する。
【0036】
第二の態様によれば、本発明は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする、組成物MB1に関する。
【0037】
第三の態様によれば、本発明は、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子を含む高分子組成物PC1の調製のためのマスターバッチとしての、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、粒子PP1が、成分a)及びb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1の使用に関する。
【0038】
第四の態様によれば、本発明は、ライトニング用途における高分子組成物の光学特性を満たすために、高分子組成物PC1中に正確なもしくは最適な量の高分子シリコーン粒子PP1、又は高分子組成物中に異なる種類間の正確なもしくは最適な重量比の各高分子粒子PP1及びPP2を含む高分子組成物PC1の調製のためのマスターバッチとしての、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1の使用に関する。
【0039】
他の態様によれば、本発明は、高分子組成物PC1であって、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする組成物PC1を得るための方法において、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、粒子PP1が、成分a)とb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含む方法に関する。
【0040】
本発明の更に別の態様は、高分子組成物PC1であって、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする組成物PC1を得るための方法において、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含む方法に関する。
【0041】
使用される「アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートの両方を意味する。
【0042】
使用される「コポリマー」という用語は、ポリマーが少なくとも二種の異なるモノマーからなることを意味する。
【0043】
ここで使用される「部」という用語は「重量部」を意味する。
【0044】
使用される「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱されると液体に変わるか、又はより液状もしくは低粘性になり、熱と圧力を加えることによって新しい形状をとりうるポリマーを意味する。
【0045】
本発明において使用される「PMMA」という用語は、メチルメタクリレート(MMA)のホモポリマー又はコポリマーを意味し、MMAのコポリマーの場合、PMMA内部のMMAの重量比は少なくとも50重量%である。
【0046】
使用される「マスターバッチ」という用語は、担体材料中に高濃度の添加剤を含む組成物と理解される。添加剤は担体材料中に分散される。
【0047】
本発明におけるxからyまでの範囲とは、この範囲の上限値と下限値が含まれることを意味し、少なくともxでかつyまでと等価である。
【0048】
本発明において範囲がxとyの間であると言うのは、この範囲の上限値と下限値が除外されることを意味し、xより大きくかつyより少ないと等価である。
【0049】
本発明に係る高分子組成物MB1に関し、それは、(メタ)アクリルポリマーAP1、1μmと10μmの重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、及び場合によっては20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む。
【0050】
第一の好ましい実施態様では、高分子組成物MB1は、a)(メタ)アクリルポリマーAP1、b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1を含み、粒子PP1が、成分a)及びb)を含む高分子組成物MB1の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする。成分b)の粒子の重量比は、二種の成分a)及びb)の合計に基づいて計算される。第一の好ましい実施態様においてより好ましくは、粒子PP1は、組成物MB1の0.6重量%と50重量%の間、更により好ましくは0.7重量%と50重量%の間、有利には0.8重量%と50重量%の間を占める。
【0051】
第二の好ましい実施態様では、高分子組成物MB1は、a)(メタ)アクリルポリマーAP1、b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、及びc)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする。成分b)及びc)の粒子の重量比は、三種の成分a)、b)及びc)の合計に基づいて計算される。第二の好ましい実施態様においてより好ましくは、粒子PP1は、組成物MB1の0.6重量%と14重量%の間、更により好ましくは0.7重量%と13重量%の間、有利には0.8重量%と11重量%の間を占める。第二の好ましい実施態様においてより好ましくは、粒子PP2は、組成物MB1の45重量%と80重量%の間、更により好ましくは50重量%と75重量%の間、有利には55重量%と70重量%の間を占める。
【0052】
第三の好ましい実施態様では、高分子組成物MB1は、a)(メタ)アクリルポリマーAP1、b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1を含み、粒子PP1が、成分a)及びb)を含む高分子組成物MB1の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする。成分b)の粒子の重量比は、二種の成分a)及びb)の合計に基づいて計算される。第三の好ましい実施態様においてより好ましくは、粒子PP1は、組成物MB1の10重量%と50重量%の間、更により好ましくは11重量%と50重量%の間、尚もより好ましくは15重量%と50重量%の間、有利には15重量%と40重量%の間、最も有利には、組成物MB1の16重量%と40重量%の間を占める。
【0053】
第四の好ましい実施態様では、高分子組成物MB1は、a)(メタ)アクリルポリマーAP1、b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、及びc)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする。成分b)及びc)の粒子の重量比は、三種の成分a)、b)及びc)の合計に基づいて計算される。第四の好ましい実施態様においてより好ましくは、粒子PP1は、組成物MB1の10重量%と50重量%の間、更により好ましくは11重量%と50重量%の間、尚もより好ましくは15重量%と50重量%の間、有利には15重量%と40重量%の間、最も有利には、組成物MB1の16重量%と40重量%の間を占める。第四の好ましい実施態様においてより好ましくは、粒子PP2は、組成物MB1の15重量%と49重量%の間、更により好ましくは20重量%と49重量%の間、有利には30重量%と49重量%の間を占める。
【0054】
(メタ)アクリルポリマーAP1に関し、それは、アクリル及び/又はメタクリルモノマーに由来する少なくとも50重量%のモノマーを含む高分子ポリマー鎖である。(メタ)アクリルポリマーは、また二種以上の(メタ)アクリルポリマーAP1からAPxの混合物でありうる。
【0055】
アクリル及び/又はメタクリルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びそれらの混合物から選択される。
【0056】
好ましくは、モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びそれらの混合物から選択され、アルキル基は、1から22個の炭素を有し、直鎖、分岐又は環状である;好ましくは、アルキル基は、1から12個の炭素を有し、直鎖、分岐又は環状である。
【0057】
有利には、(メタ)アクリルモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート及びそれらの混合物から選択される。
【0058】
他のコモノマーは、(メタ)アクリルポリマーAP1がそのポリマー鎖中にアクリル及び/又はメタクリルモノマーに由来する少なくとも50重量%のモノマーを含んでいる限り、アクリル及び/又はメタクリルモノマーと共重合されうる。他のコモノマーは、スチレン又はスチレン誘導体などのスチレン系モノマー、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどのビニルエステルから選択されうる。これらのコモノマーの量は、0重量%から50重量%、好ましくは0重量%から40重量%、より好ましくは0重量%から30重量%、有利には0重量%から20重量%である。
【0059】
第一の好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマーAP1は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、有利には少なくとも70重量%、より有利には少なくとも80重量%のメチルメタクリレートを含むメチルメタクリレート(MMA)のコポリマー又はホモポリマーである。
【0060】
メチルメタクリレート(MMA)のコポリマーは、50重量%と99.9重量%の間のメチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと共重合できる少なくとも一つのエチレン性不飽和を有する0.1重量%と50重量%の間の少なくとも一種のモノマーとを含む。
【0061】
これらのモノマーはよく知られており、特に、アクリル及びメタクリル酸、並びにアルキル基が1から12個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。例として、メチルアクリレート及びエチル、ブチル又は2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを挙げることができる。好ましくは、コモノマーは、アルキル基が1から4個の炭素原子を有するアルキルアクリレートである。
【0062】
第一のより好ましい実施態様によれば、メチルメタクリレート(MMA)のコポリマーは、80重量%から99.8重量%、有利には90重量%から99.7重量%、より有利には90重量%から99.5重量%のメチルメタクリレートと、0.2重量%から20重量%、有利には0.3重量%から10重量%、より有利には0.5重量%から10重量%の、メチルメタくリレートと共重合できる少なくとも一つのエチレン性不飽和を有する少なくとも一種のモノマーを含む。好ましくは、コモノマーは、メチルアクリレート又はエチルアクリレート又はそれらの混合物から選択される。
【0063】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、0.1g/10分と20g/10分の間の、ISO1133(230℃/3.8kg)によるメルトフローインデックス(MFI)を有する。好ましくはメルトフローインデックスは、0.2g/10分と18g/10分の間、より好ましくは0.3g/10分と16g/10分の間、有利には0.4g/10分と13g/10分の間である。
【0064】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、1.46と1.52の間、好ましくは1.47と1.52の間、より好ましくは1.48と1.52の間の屈折率を有する。
【0065】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、少なくとも85%、好ましくは86%、より好ましくは87%のASTM D-1003(3mm厚のシート)による光透過率を有する。
【0066】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、少なくとも90℃のビカット軟化温度を有する。ビカット軟化温度は、ISO306:2013(B50法)によって測定される。
【0067】
本発明に係る組成物は、(メタ)アクリルポリマーAP1の他に(メタ)アクリルポリマーAP2をまた含みうる。(メタ)アクリルポリマーAP1と(メタ)アクリルポリマーAP2は、混合物又はブレンドを形成する。この混合物又はブレンドは、少なくとも一種のホモポリマーと少なくとも一種のMMAのコポリマー、又は少なくとも二種のホモポリマー又は異なる平均分子量を持つ二種のMMAのコポリマーの混合物あるいは異なるモノマー組成を持つ少なくとも二種のMMAのコポリマーの混合物からなる。
【0068】
高分子シリコーン粒子PP1に関し、それは1μmと10μmの間の重量平均粒径を有しており、粒子はシリコーン-酸素骨格鎖を有するポリシロキサン鎖を含む。
【0069】
高分子シリコーン粒子PP1は、1.30と1.45の間、好ましくは1.35と1.45の間、有利には1.36と1.44の間の屈折率を有する。
【0070】
高分子シリコーン粒子PP1の重量平均粒径は、好ましくは1μmと9μmの間、より好ましくは1μmと8μmの間、更により好ましくは1μmと7μmの間、尚もより好ましくは1μmと6μmの間、有利には1μmと5μmの間、より有利には1μmと4μmの間である。
【0071】
高分子シリコーン粒子PP1の粉末のかさ密度は、0.1g/mlと0.4g/mlの間、好ましくは0.15g/mlと0.45g/mlの間である。
【0072】
高分子シリコーン粒子PP1は、例えば、US2008/124549に従って調製することができる。
【0073】
高分子シリコーン粒子は、また、全てのシリコーン粒子が前述の特性を備えている限り、二種以上の異なるシリコーン粒子PP1a、PP1b…のブレンドでありうる。
【0074】
20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2に関し、それは、高分子粒子PP2のポリマー鎖中にアクリル及び/又はメタクリルモノマーに由来する少なくとも50重量%のモノマーを含む。
【0075】
第一の好ましい実施態様では、高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、有利には少なくとも65重量%、より有利には少なくとも70重量%のメチルメタクリレートを含むメチルメタクリレート(MMA)のコポリマー又はホモポリマーである。
【0076】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、好ましくは35μmと90μmの間、より好ましくは35μmと60μmの間、有利には45μmと60μmの間である。
【0077】
好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2は架橋される。(メタ)アクリル粒子PP2中の架橋剤の重量比は5重量%未満である。架橋剤は、好ましくは、少なくとも一つのアクリル又はメタクリル官能基とまた重合することができる第二の二重結合を有している有機化合物から選択される。
【0078】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、1.49と1.56の間、好ましくは1.50と1.55の間の屈折率を有する。
【0079】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、懸濁重合により調製されうる。
【0080】
高分子(メタ)アクリル粒子は、また、全てのシリコーン粒子が前述の特性を備えている限り、二種以上の異なる(メタ)アクリル粒子PP2a、PP2b…のブレンドでありうる。
【0081】
高分子組成物PC1に関し、前記組成物PC1は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とする。
【0082】
好ましくは、組成物PC1は、0.06重量%と10重量%の間、より好ましくは0.07重量%と9重量%の間、更により好ましくは0.1重量%と8重量%の間の高分子粒子PP1を含む。
【0083】
第一の好ましい実施態様において好ましくは、組成物PC1は、6重量%と19重量%の間、より好ましくは7重量%と18重量%の間、更により好ましくは8重量%と17重量%の間の高分子粒子PP2を含む。
【0084】
より好ましくは、第一の好ましい実施態様の組成物PC1は、0.06重量%と1.8重量%の高分子粒子PP1と、6重量%と19重量%の間の高分子粒子PP2を含み;更により好ましくは、0.1重量%と1重量%の間の高分子粒子PP1と、8重量%と17重量%の間の高分子粒子PP2を含む。
【0085】
第二の好ましい実施態様において好ましくは、組成物PC1は、10重量%と20重量%の間、より好ましくは10重量%と18重量%の間、更により好ましくは11重量%と17重量%の間の高分子粒子PP2を含む。
【0086】
より好ましくは、第二の好ましい実施態様の組成物PC1は、0.06重量%と1.8重量%の高分子粒子PP1と、10重量%と20重量%の間の高分子粒子PP2を含み;更により好ましくは、0.1重量%と1重量%の間の高分子粒子PP1と、11重量%と17重量%の間の高分子粒子PP2を含む。
【0087】
本発明に係る高分子組成物MB1の調製のための方法に関し、それは、成分a)、b)及び場合によってはc)を混合する工程を含む。
【0088】
好ましくは、この方法は、配合によって行われる。
【0089】
前記方法は、マスターバッチMB1を用いて高分子組成物PC1を作製するためのマスターバッチとして適切な高分子組成物MB1の調製もまた可能である。高分子組成物MB1、高分子組成物PC1、(メタ)アクリルポリマーAP1、高分子シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、前に定義したものと同じである。
【0090】
好ましくは、高分子組成物PC1を作製するためのマスターバッチとして適切な高分子組成物MB1の調製のための方法は、次の工程:
- a)(メタ)アクリルポリマーAP1を、b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1と混合する工程;
- a)(メタ)アクリルポリマーAP1とb)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1を含む組成物を、c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2及び追加量の(メタ)アクリルポリマーAP1又は(メタ)アクリルポリマーAP2と混合する工程;
- a)(メタ)アクリルポリマーAP1とb)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1を含む組成物を、c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2及び(メタ)アクリルポリマーAP1又は(メタ)アクリルポリマーAP2を含む組成物と混合する工程;
- a)(メタ)アクリルポリマーAP1、b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、及びc)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む組成物を、追加量の(メタ)アクリルポリマーAP1又は(メタ)アクリルポリマーAP2と混合する工程
の少なくとも一つをまた含む。
【0091】
前記方法における(メタ)アクリルポリマーAP1、高分子シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、先に記載したものと同じである。
【0092】
高分子組成物PC1を得るための方法に関し、前記組成物PC1は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、及び
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占めることを特徴とし;
前記方法は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を何れか含み、粒子PP1が、成分a)及びb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含むか、
あるいは
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含む。
【0093】
高分子組成物PC1を得る方法の第一の好ましい実施態様によれば、前記組成物PC1は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とし;
前記方法は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
を含み、粒子PP1が、成分a)及びb)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含む。
【0094】
高分子組成物PC1を得る方法の第二の好ましい実施態様によれば、前記組成物PC1は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05重量%と10重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.1重量%と20重量%の間を占めることを特徴とし;
前記方法は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.5重量%と50重量%の間を占め、かつ粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の10重量%と49重量%の間を占めることを特徴とする(メタ)アクリルポリマー組成物MB1を、(メタ)アクリルポリマーAP1と、20μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程を含む。
【0095】
高分子組成物PC1を得る方法における(メタ)アクリルポリマーAP1、高分子シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、先に記載したものと同じである。
【0096】
組成物PC1中におけるシリコーン粒子PP1と高分子(メタ)アクリル粒子PP2の間の重量比は、高分子(メタ)アクリル粒子PP2が常に過剰になるように選択される。これは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の存在が任意選択的である高分子組成物MB1の場合はそうではない。
【0097】
好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2のシリコーン粒子PP1に対する重量比は、少なくとも2/1、より好ましくは5/2、更により好ましくは少なくとも10/1、有利には少なくとも20/1、最も有利には少なくとも25/1である。
【0098】
本発明によれば、組成物PC1中のシリコーン粒子PP1の重量比は、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量比ほど大きくはない。高分子組成物PC1において、シリコーン粒子PP1の絶対重量は、高分子(メタ)アクリル粒子PP2を考慮すると少量である。
【0099】
本発明によれば、組成物PC1中の高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量比は、シリコーン粒子PP1の重量比よりも大きい。高分子組成物において、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の絶対重量は、シリコーン粒子PP1を考慮すると過剰である。
【0100】
組成物PC1の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、組成物PC1において、シリコーン粒子PP1の量の少なくとも2倍である過剰量(重量%)を有する。本発明に係る組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、シリコーン粒子PP1の量より多くとも400倍である組成物中の重量%での過剰量を有する。
【0101】
組成物中の高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径よりも大きい。本発明に係る組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒子直径よりも少なくとも3倍大きい重量平均粒径を有する。好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径よりも少なくとも5倍大きく、より好ましくは少なくとも7倍大きく、更により好ましくは10倍大きい。
【0102】
本発明に係る組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径よりも最大で100倍大きい重量平均粒径を有する。好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径よりも最大で80倍、より好ましくは最大で70倍、更により好ましくは50倍大きい。
【0103】
シリコーン粒子PP1の屈折率は、本発明に係る組成物の(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率ほど大きくない。好ましくは、(メタ)アクリルポリマーAP1とシリコーン粒子PP1との間の屈折率の差は、少なくとも0.01、より好ましくは少なくとも0.02、更により好ましくは少なくとも0.03である。
【0104】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の屈折率は、本発明に係る組成物の(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率よりも大きい。好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2と(メタ)アクリルポリマーAP1との間の屈折率の差は、少なくとも0.005、より好ましくは少なくとも0.01、更により好ましくは少なくとも0.015である。
【0105】
好ましくは、本発明に係る組成物において、シリコーン粒子PP1の屈折率は、(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率ほど大きくなく、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の屈折率は、(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率より大きい。
【0106】
更なる態様によれば、本発明は、本発明に係る高分子組成物MB1から得られた高分子組成物PC1を変形し及び/又は加工することによって物体を作製するための方法に関する。
【0107】
変形は、射出成形、押出し、共押出し、又は押出し/ブロー成形によって行うことができる。好ましくは、変形は、射出成形又は押出によって行われる。
【0108】
物体を作製するための方法の第一の好ましい実施態様では、射出成形によって行われる。成形体が得られる。
【0109】
本発明に係る成形体を作製するための方法は、
- (メタ)アクリルポリマーAP1、シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む組成物を溶融する工程
- 溶融した組成物を鋳型に注入する工程
- 少なくとも鋳型が溶融した組成物で完全に満たされるまで、鋳型に圧力を加える工程
を含む。
【0110】
物体を作製するための方法の第二の好ましい実施態様では、変形方法は、押出しによって行われる。
【0111】
本発明に係る成形体を作製するための方法は、
- (メタ)アクリルポリマーAP1、シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む高分子組成物を押出機に供給する工程、
- (メタ)アクリルコポリマーを含む組成物を押出機で溶融する工程
- 溶融組成物を押出す工程
を含む。
【0112】
なお更なる態様によれば、本発明は、物体又は成形体を作製するための、高分子組成物MB1から得られる組成物PC1の使用に関する。
【0113】
本発明に係る組成物PC1は、物体又は成形体又は物品を作製するために使用されうるか、又は物品の一部として使用されうる。好ましくは、本発明に係る組成物から作製される物体又は成形体又は物品、又は物品の一部として使用されるものは、50μmを超え、より好ましくは100μmを超え、更により好ましくは500μmを超える厚さを有する。
【0114】
本発明に係る方法により得られる組成物PC1は、物品又は物体に直接的に変形するために使用することができ、又は物品もしくは物体の一部でありうる。
【0115】
更に別の態様によれば、本発明は、本発明に係る高分子組成物MB1から得られる高分子組成物PC1で作製された物体又は成形体に関する。
【0116】
本発明の物体又は成形体は、シート、ブロック、フィルム、チューブ又は異形部材の形態でありうる。好ましくは、成形体はシートであり、これは、平面であっても、僅かに折曲されていても湾曲していてもよい。
【0117】
物体又は成形体又は物品の例は、照明装置用のカバー又はプレートである。
【0118】
一実施態様では、成形体は、光源のカバーである。カバーは、一般に、0.001cmと15cmの間、好ましくは0.01cmと10cmの間、より好ましくは0.05cmと7cmの間、より好ましくは0.1cmと5cmの間、更により好ましくは0.2cmと4cmの間の厚さを有する。
【0119】
加えて、本発明の別の態様によれば、本発明に係る高分子組成物MB1から得られる組成物は、点光源のカバーとして使用することができる。光源とカバーは照明装置を形成する。カバーは、単層であっても、多層構造であってもよい。カバーは、0.11cmと50cmの間、好ましくは1cmと40cmの間、好ましくは2cmと20cmの間、更により好ましくは3cmと20cmの間の距離だけ光源から分離される。
【0120】
本発明に係る照明装置は、例えば、次のような様々な用途を有する:
- 室内照明(リビングルームランプ、オフィスランプなど);
- 広告ディスプレイ;
- 照明標識(この場合、カバーは特に文字、数字、記号、又はその他の標識の形をとりうる);
- 産業用ライトニング;
- 屋外のライトニング;及び
- 自動車の照明(例えば、照明装置は、ヘッドランプ、デイタイムライト、方向指示器、ストップライト、フォグランプ、バックライトなどでありうる)。
【0121】
[方法]
ポリマーの光学特性は次の方法に従って測定される:光透過率とヘイズは、ASTM D1003標準に従って、成形サンプルの場合は2mm厚のシートで測定される。BYK-Gardner製のhaze-gard plus装置が使用される。
【0122】
屈折率は屈折計で測定される。
【0123】
粒径:Coulterカウンターを用いたレーザー回折により測定される。
【実施例0124】
シリコーン粒子PP1は、Dow Corningの添加剤30-424である。重量平均粒径は1μmと3μmの間である。
【0125】
実施例における高分子(メタ)アクリル粒子PP2として、35μmと60μmの間の重量平均粒径を一般に有しているALTUGLAS BS110の市販製品が使用され、50μmの重量平均粒径を有しているバッチが使用された。
【0126】
(メタ)アクリルポリマーAP1として、8g/10分のメルトフローインデックスを有するメチルメタクリレートのコポリマーが使用され、シリコーン粒子PP1と高分子(メタ)アクリル粒子PP2がそれぞれ(メタ)アクリルポリマーAP1と混合される。混合は、二軸スクリュー押出機で配合することにより行われる。
【0127】
実施例1-マスターバッチ組成物C1は、3.5kgのPP1を6.5kgのAP1と混合することにより調製される。
【外国語明細書】