(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069211
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】定量的免疫組織化学のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019850
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2022120926の分割
【原出願日】2017-12-18
(31)【優先権主張番号】62/435,955
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511286517
【氏名又は名称】ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デイ, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】チアン, ゼユ デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ペダタ, アン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分泌標的タンパク質分子を含む標的タンパク質分子の定量的免疫組織化学(IHC)のための方法及びシステムが提供される。
【解決手段】この方法は、標的タンパク質分子に特異的な一次抗体;二次抗体酵素にコンジュゲートした二次抗体(二次抗体は一次抗体に特異的である);チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド(ここで二次抗体酵素がチラミドハプテンの試料上への付着を触媒する);三次抗体酵素とコンジュゲートした三次抗体(三次抗体はチラミドハプテンに特異的である);及び色素原(ここで三次抗体酵素が色素原との反応を触媒して、色素原を可視化する)を試料に導入することを含む。色素原は、顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の標的タンパク質バイオマーカーに対するシグナルを増幅する方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
【請求項2】
試料が組織試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項1-3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、請求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
一次抗体が天然の未修飾抗体である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
第2の結合剤が二次抗体を含む、請求項1-8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、請求項1-9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、請求項1-11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第3の結合剤が三次抗体を含む、請求項1-12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、請求項1-14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、請求項1-16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、請求項1-17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、請求項1-18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
a.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的なポリクローナル第2結合剤を適用することであって、ポリクローナル第2結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の標的タンパク質バイオマーカーに対するシグナルを増幅する方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
【請求項21】
試料が組織試料である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項20-22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、請求項20-24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
一次抗体が天然の未修飾抗体である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
第2の結合剤が二次抗体を含む、請求項20-27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、請求項20-28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、請求項20-30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
第3の結合剤が三次抗体を含む、請求項20-31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、請求項20-33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、請求項20-35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、請求項20-36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、請求項20-37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
a.組織試料を脱パラフィン化試薬で処理すること;
b.組織試料を抗原回復試薬で処理すること;
c.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を組織試料に適用すること;
d.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
e.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
f.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
g.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料中の標的タンパク質バイオマーカーに対するシグナルを増幅する方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
【請求項40】
標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を適用する前に、組織試料をプロテアーゼで処理することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、請求項39-42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
一次抗体が天然の未修飾抗体である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
第2の結合剤が二次抗体を含む、請求項39-45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、請求項39-46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、請求項39-48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
第3の結合剤が三次抗体を含む、請求項39-49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、請求項39-51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、請求項39-53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、請求項39-54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、請求項39-55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
a.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の標的タンパク質バイオマーカーを検出するための定量的免疫組織化学(IHC)の方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
【請求項58】
試料が組織試料である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項57-59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、請求項57-61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
一次抗体が天然の未修飾抗体である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
第2の結合剤が二次抗体を含む、請求項57-64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、請求項57-65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、請求項57-67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
第3の結合剤が三次抗体を含む、請求項57-68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、請求項57-70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、請求項57-72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、請求項57-73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、請求項57-74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
a.分泌標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の分泌標的タンパク質バイオマーカーの定量的免疫組織化学(IHC)の方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが分泌標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
【請求項77】
試料が組織試料である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項76-78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、請求項76-80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
一次抗体が天然の未修飾抗体である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、請求項81又は82に記載の方法。
【請求項84】
第2の結合剤が二次抗体を含む、請求項76-83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、請求項76-84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、請求項76-86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
第3の結合剤が三次抗体を含む、請求項76-87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、請求項76-89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、請求項76-91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
2つ以上の分泌標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、請求項76-92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
分泌標的タンパク質バイオマーカー及び1つ以上の更なる標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重IHCアッセイを可能にする、請求項76-93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
自動化されている、請求項1-94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
自動染色機で実行される、請求項1-95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
手動である、請求項1-94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
請求項1-94のいずれか一項に記載の方法を実行するための自動染色機。
【請求項99】
プロセッサに接続されたメモリを備える自動染色装置であって、メモリが、プロセッサによって実行されると、請求項1-75のいずれか一項に記載の方法のための動作を自動染色装置に実行させるコンピュータ可読命令を記憶する、自動染色装置。
【請求項100】
請求項1-94のいずれか一項に記載の方法を実行するための、スライドホルダー、試薬及びディスペンサーを備える自動システム。
【請求項101】
プロセッサに接続されたメモリを備えるシステムを更に含み、メモリが、プロセッサによって実行されると、請求項1-66のいずれか一項に記載の方法のための動作を自動システムに実行させるコンピュータ可読命令を記憶する、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
ディスペンサーがスライドホルダー内のスライド上に試薬を分配するように適合されている、請求項100又は101に記載のシステム。
【請求項103】
a.患者の腫瘍から組織切片を調製すること;
b.請求項1-97のいずれか一項に記載の標的タンパク質バイオマーカーについて組織切片を組織化学的に染色することであって、標的タンパク質バイオマーカーは点状ドットとして現れる、染色すること、
c.(b)の染色された組織切片のデジタル画像を取得すること;
d.染色された組織切片中の対象領域(ROI)を同定し、標的タンパク質バイオマーカーに対応するROI中の点状ドットを定量すること;
e.定量化された点状ドットに所定のスコアリング関数を適用すること
を含むワークフロー方法。
【請求項104】
a.請求項1-97のいずれか一項に記載の第2の標的タンパク質バイオマーカーについて組織切片を染色することであって、標的タンパク質バイオマーカーは点状ドットとして現れる、染色すること
b.(a)の染色された組織切片のデジタル画像を取得すること;
c.染色された組織切片中の対象領域(ROI)を同定し、標的タンパク質バイオマーカー及び第2の標的タンパク質バイオマーカーに対応するROI中の点状ドットを定量すること;
d.定量化された点状ドットに所定のスコアリング関数を適用すること
を更に含む、請求項103に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫組織化学技術に関し、より詳細には定量的免疫組織化学のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
予後及び/又は予測タンパク質バイオマーカーの自動検出に使用される現在の技術は、可視シグナルを発生させるためにバイオマーカー分子の閾値数(例えば1、1000、10000等を超える)に依存する。したがって、可視シグナルを発生させるのに必要とされるタンパク質バイオマーカー分子の数は、使用される検出技術の特徴、主に感度及び特異性に依存する。よって、現在の技術は、個々のタンパク質分子の検出又は定量化を可能にしない。結果として、ほぼ全ての確立された予後及び/又は予測タンパク質バイオマーカーの臨床評価は、シグナルの有無を反映するプラス対マイナスのバイナリ分析の使用に限定される。
【0003】
本発明は、シグナルを増幅する方法を特徴とする。本発明は、可視シグナルを発生させるのに必要とされる分子の閾値数を減らすのに役立つ。予想していたものの、驚くべきことに、本発明の方法はびまん性シグナル又はブロブとは対照的に、点状のドットを生じるのに十分特異的であった。点状ドットは数えることができる。特定の実施態様では、本発明の方法は、分泌タンパク質に適用することができる。
【0004】
特定の実施態様において、本発明は、定量的免疫組織化学の方法のために用いることができ、ここで点状ドットは個々の標的分子を表し、数えることができる。特定の実施態様において、本発明は、分泌タンパク質因子(又はタンパク質に限定されない他の適切な分泌因子)の検出及び分析を可能にするが、現在の技術は、細胞からの分泌タンパク質について解釈可能なシグナルを発生させない。このような定量化は、点状ドットシグナルを発生させる増幅システム及び色素原の増加を通して達成される。
【0005】
本発明をいかなる理論又は機構にも限定することを望むものではないが、標的分子のシグナル及び発現レベルの定量化は、バイナリ(プラス又はマイナス)結果を生成する従来の方法と比較して、患者に更なる予後値及び/又は予測値を提供するのに役立ち得る。
【0006】
本発明はまた、例えば狭い吸光度スペクトルを有する非混合染料を使用して、複数の標的分子に対する多重シグナルを可能にする。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、定量的免疫組織化学のための方法及びシステムを特徴とする。例えば、本発明は、点状ドットシグナルを発生させることができる高感度増幅システム(例えばチラミド-DIG、チラミド-NP)及び特定の色素原を利用する。
【0008】
特定の実施態様において、本発明は、個々の標的タンパク質バイオマーカーに結合した個々の分子(例えば抗体)の検出のための技術を提供する。点状ドットシグナルの発生は、標的タンパク質バイオマーカー(例えば、分泌標的タンパク質バイオマーカーを含め、タンパク質又は他の標的分子)の検出、分析、定量化を可能にするのを助ける。
【0009】
本発明は、試料中の標的分子に対するシグナルを増幅する方法(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料中の標的分子に対するシグナルを増幅する方法)を提供する。この方法は、組織試料を脱パラフィン試薬で処理することと、組織試料を抗原回復試薬で処理することとを含み得る。この方法は、例えば標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を適用する前に、該試料をプロテアーゼで処理することを更に含み得る。
【0010】
いくつかの実施態様において、この方法は、標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤;バイオマーカー特異的薬剤に特異的な第二の結合剤であって、第2の結合剤が二次酵素とコンジュゲートしたもの;チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤であって、二次酵素がチラミドハプテンの試料上への(例えば第2の結合剤の位置での)付着を触媒するもの;チラミドハプテンに特異的な第3の結合剤であって、三次酵素とコンジュゲートしたもの;及び検出可能部分(例えば色素原)であって、三次酵素が検出可能部分(例えば色素原)との反応を触媒して、その検出可能部分(例えば色素原)を可視化するものを試料に適用することを含む。検出可能部分(例えば色素原)は、顕微鏡法、例えば明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され得る。点状ドットは、個々の標的分子を示している可能性がある。
【0011】
本発明はまた、試料中の標的タンパク質バイオマーカーを検出するための定量的免疫組織化学(IHC)の方法も提供する。特定の実施態様では、本発明はまた、個々の標的分子を検出するための方法も提供する。特定の実施態様では、本発明はまた、分泌標的タンパク質バイオマーカーなどを検出するための方法も提供する。いくつかの実施態様において、この方法は、標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤;バイオマーカー特異的薬剤に特異的な第二の結合剤であって、第2の結合剤が二次酵素とコンジュゲートしたもの;チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤であって、二次酵素がチラミドハプテンの試料上への(例えば第2の結合剤の位置での)付着を触媒するもの;チラミドハプテンに特異的な第3の結合剤であって、三次酵素とコンジュゲートしたもの;及び検出可能部分(例えば色素原)であって、三次酵素が検出可能部分(例えば色素原)との反応を触媒して、その検出可能部分(例えば色素原)を可視化するものを試料に適用することを含む。検出可能部分(例えば色素原)は、顕微鏡法を用いて、点状ドットとして可視化され得る。いくつかの実施態様において、顕微鏡法は明視野顕微鏡法である。特定の実施態様では、点状ドットは、個々の標的分子を示している可能性がある。
【0012】
特定の実施態様では、本発明はまた、試料中(又は視野内、対象領域内など)の個々の標的分子の数を計算する方法を特徴とする。特定の実施態様では、点状ドットは、個々の標的分子を示している。したがって、点状ドットの数を計算することは、試料中(又は視野内、又は試料の対象領域内など)の個々の標的分子の数を表し得る。
【0013】
いくつかの実施態様において、試料は、組織試料、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料であるが、FFPE組織試料に限定されない。代替の試料組成物は本明細書に記載されている。
【0014】
いくつかの実施態様において、標的バイオマーカーは、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、翻訳後修飾(例えばリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾、これらの組み合わせ等)など、又はこれらの組み合わせを包含する。
【0015】
バイオマーカー特異的薬剤は、抗体(例えば一次抗体)又はその断片であってもよい。いくつかの実施態様において、一次抗体は、天然の非修飾抗体である。いくつかの実施態様において、一次抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体である。第2の結合剤は、抗体(例えば二次抗体)又はその断片であってもよい。いくつかの実施態様において、二次抗体は、抗種抗体、抗修飾抗体、又はこれらの組み合わせを包含する。いくつかの実施態様において、二次抗体酵素は、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼ、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を包含する。
【0016】
チラミドハプテンの例は、本明細書に記載されている。いくつかの実施態様において、チラミドハプテンは、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(benzodazapine)(BD)、ニトロシンアミド(nitrocinnamide)(NCA)、フルオレセイン、ジニトロフェニル(DNP)等を包含する。
【0017】
第3の結合剤は、抗体又はその断片であってもよい。いくつかの実施態様において、第3の結合剤は、三次抗体、例えばモノクローナル抗体を包含する。
【0018】
いくつかの実施態様において、検出可能部分は、銀若しくはチラミドローダミン染料(例えばローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせ等)、DAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを包含する。
【0019】
特定の実施態様では、点状ドットは、個々の標的バイオマーカーを表すか又はそれを示し得る。点状ドット(例えば標的分子)を数えて、試料中の標的バイオマーカーの量を決定するのに役立てることができる。
【0020】
本発明の方法は、2つ以上の標的分子、例えば1つ以上の標的バイオマーカー、1つ以上の標的バイオマーカー及び1つ以上の分泌標的バイオマーカー等を検出及び識別することができる多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用することができる。
【0021】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は自動化されており、例えば自動染色装置又はスライド染色機で実施される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、手動である。
【0022】
本発明はまた、本発明の方法を実行するように適合させたシステムを備えた自動染色装置を特徴とする。自動染色装置はプロセッサに接続されたメモリを備えていてもよく、ここでメモリは、プロセッサによって実行されると、本発明の方法のための動作を自動染色装置に実行させるコンピュータ可読命令を記憶する。本発明はまた、本発明の方法を実施するためのスライドホルダー、免疫組織化学試薬及びディスペンサーを備える自動化システムを特徴とする。例えば、スライドホルダー内のスライド上に免疫組織化学試薬を分配するように適合させることができる。
【0023】
本発明はまた、ワークフロー方法、例えば患者の腫瘍からの組織切片を処理及び調製し、本明細書中の定量的IHCを適用するための方法も提供する。この方法は例えば、患者の腫瘍から組織切片を調製すること、例えばミクロトームを使用して患者の腫瘍のFFPE組織試料を切片にすること、及びその組織切片をスライド上にマウントすること;本明細書に記載の方法(定量的IHC)に従って,標的バイオマーカーについて組織切片を組織化学的に染色すること(ここで、標的バイオマーカーは点状ドットとして現れる)を含み得る。例えば、組織切片は、標的バイオマーカーを個々の点状ドットとして染色する目的で、組織切片に自動的に複数の試薬を分配する自動染色装置に入れることができる。あるいは、標的バイオマーカーが個々の点状ドットとして現れるように、組織切片を手動で染色してもよい。特定の実施態様では、点状ドットとして現れる標的バイオマーカーは、個々の標的バイオマーカー分子を表している。
【0024】
このワークフロー方法は、染色した組織切片のデジタル画像を取得することと、染色した組織切片内の対象領域(ROI)を識別することとを更に含み得る。特定の実施態様では、ROI内の点状ドットが定量化される。特定の実施態様において、例えば臨床用途の場合、定量化された点状ドット(バイオマーカー)は、定量化された点状ドットに対する所定のスコアリング関数を適用される。
【0025】
この方法はまた、第2の標的バイオマーカーについて染色することと、標的バイオマーカー及び第2の標的バイオマーカーに相当する、ROI内の点状ドットを定量することと、定量化された点状ドットに所定のスコアリング関数を適用することとを含み得る。
【0026】
本明細書に記載される任意の特徴又は特徴の組み合わせは、そのような組み合わせのいずれかに含まれる特徴が、文脈、本明細書、及び当業者の知識から明らかとなるように、相互に矛盾しない限りにおいて、本発明の範囲に含まれる。本発明の更なる利点及び態様は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】(先行技術)常套的な検出技術の一例の概略図を示す。(1)一次抗体(天然の非修飾抗体)は、組織中のタンパク質標的に結合する。(2)二次抗体(HRP酵素にコンジュゲートしたヤギ抗マウス及びヤギ抗ウサギポリクローナル抗体の混合物)を添加する。(3)DAB色素原を添加する。
【
図2】(先行技術)検出方法の一例の概略図を示す。(1)一次抗体(天然の非修飾抗体)は、組織中のタンパク質標的に結合する。(2)二次抗体(HQハプテンにコンジュゲートしたヤギ抗マウス及びヤギ抗ウサギポリクローナル抗体の混合物)を添加する。(3)三次抗体(HRP酵素にコンジュゲートした抗HQモノクローナル抗体)を添加する。(4)DAB色素原を添加する。
【
図3】(先行技術)検出方法の一例の概略図を示す。(1)一次抗体(天然の非修飾抗体)は、組織中のタンパク質標的に結合する。(2)二次抗体(HQハプテンにコンジュゲートしたヤギ抗マウス及びヤギ抗ウサギポリクローナル抗体の混合物)を添加する。(3)三次抗体(HRP酵素にコンジュゲートした抗HQモノクローナル抗体)を添加する。(4)チラミド-HQハプテンコンジュゲートを添加する(ハプテン増幅工程)。(5)四次抗体(HRP酵素にコンジュゲートした抗HQモノクローナル抗体)を添加する。(6)DAB色素原を添加する。
【
図4A】本発明の検出方法の一例の概略図を示す。(1)一次抗体(天然の非修飾抗体)は、組織中のタンパク質標的に結合する。(2)二次抗体(HRP酵素にコンジュゲートした抗種ポリクローナル抗体又は抗修飾抗体等)を添加する。(3)チラミド(DIG、NP、BF、NCA、BD又はDNP等、ハプテンコンジュゲート)を添加する(ハプテン増幅工程)。(4)三次抗体(HRP酵素にコンジュゲートした抗ハプテンモノクローナル抗体)を添加する。(5)銀又はチラミドローダミン染料色素原を添加する。本発明は上記工程又は試薬に限定されないことに留意されたい。
【
図4B】本明細書に記載の方法の概略図を示す。天然又は修飾(例えばハプテン化、タグ化)抗体(例えばモノクローナル抗体)が標的バイオマーカーに結合する。モノクローナル又はポリクローナル二次抗体コンジュゲート(例えばHRP)のいずれかを用いて、標的特異的結合剤(例えば一次抗体)結合させる。チラミドコンジュゲートを添加する。その後、抗体(例えばモノクローナル抗体(例えばモノクローナルHRP抗体))がラミドコンジュゲートに結合する。本発明をいかなる理論又は機構にも限定することを望むものではないが、一次抗体に結合した一次HRPコンジュゲート(例えば二次抗体)が少なければ少ないほど、十分に二次HRP付着して可視色素原シグナルを送るための(例えばRNAプローブ検出と比較して)より高度なハプテン増幅が必要となると考えられる。
【
図5】供給源(例えば細胞)から分泌される分泌タンパク質の勾配の概略図を示す。
【
図6】従来のIHCの方法(上のパネル)及び本発明の方法であるqIHC(下のパネル)を用いた、ZR75.1異種移植片におけるHER2の免疫組織化学(IHC)の例を示す。従来の方法を用いたびまん性染色と比較して、本発明の方法(qIHC)を用いて発現レベルが低から中程度のHER2で観察された点状ドットシグナルに注目されたい。
【
図7】従来のIHCの方法(上のパネル)及び本発明の方法qIHC(下のパネル)を用いた、反応性扁桃におけるインターフェロンガンマ(IFNガンマ)、分泌タンパク質因子の免疫組織化学(IHC)の例を示す。従来の方法を用いたびまん性染色と比較して、本発明の方法(qIHC)を用いて観察されたIFNガンマの点状ドットシグナルに注目されたい。これは、本発明の方法が分泌標的分子に使用され得ることを示唆する。
【
図8】本発明の方法において使用されるチラミド色素原で得られる点状IHCシグナルの例を示す。
【
図9】タンパク質分子、例えば単一タンパク質分子の検出が見られる、扁桃組織中のHer2タンパク質の多重検出を示す。
【
図10】アッセイの特異性を実証する、扁桃組織におけるHer2タンパク質の検出を示す。左のパネルはコントロール試料を示し、右のパネルはHer2について染色された試料を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
用語
特に説明がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を持つ。単数形の「ある」(a、an)及び「該」、「この」(the)は、文脈が明らかに他を示さない限りは複数の指示対象を含む。同様に、「又は」(or)という単語も、文脈が明らかに他を示さない限りは「及び」を含むことが意図される。「包含する」(comprising)は「含む」(including)を意味する。よって、「A又はBを包含する」(comprising A or B)は、「Aを含む」(including A)か、又は「Bを含む」(including B)か、又は「A及びBを含む」(including A and B)を意味する。
【0029】
本開示の実施態様の実施及び/又は試験のための適切な方法並びに材料は後述する。このような方法及び材料は例示であり、限定することを意図するものではない。本明細書に記載のものと類似又は同等の他の方法及び材料も使用することができる。例えば、本開示に関する技術分野でよく知られている従来の方法は、様々な一般的な参考文献及びより詳細な参考文献、例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989; Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3d ed., Cold Spring Harbor Press, 2001; Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates, 1992 (and Supplements to 2000); Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, 4th ed., Wiley & Sons, 1999; Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1990; and Harlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999に記載されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に援用される。
【0030】
本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が全ての目的のために援用される。矛盾が生じた場合には、用語の説明を含む本明細書が支配する。
【0031】
本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料は、本開示の技術を実施又は試験するのに使用され得るが、適切な方法及び材料を下記に記載する。材料、方法、及び例は、単なる例示であって、限定を意図するものではない。
【0032】
本開示の様々な実施態様の検討を容易にするために、以下の特定の用語の説明が提供される。
【0033】
抗体:少なくとも軽鎖又は重鎖免疫グロブリン可変領域を含み、抗原のエピトープ(HER2タンパク質又はERタンパク質等)を特異的に結合するポリペプチド。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体。又は抗体の断片を含む。抗体は、検出可能な標識、例えば酵素、ハプテンなどとコンジュゲートされることができ、そうでなければそれらで標識することができる。
【0034】
抗体断片:インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含む、インタクトな抗体以外の分子。抗体断片の例には、限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線形抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から生成される多重特異性抗体が含まれる。
【0035】
生物学的試料:本明細書で使用される場合、用語「生物学的試料」とは、バイオマーカーの存在又は不存在に関して試験されることができる対象から得られる任意の材料を指すものとする。
【0036】
バイオマーカー又は標的分子:本明細書で使用される場合、用語「バイオマーカー」又は「標的分子」とは、生物学的試料を、又は生物学的試料が得られる対象を特徴付けるために使用され得る生物学的試料中に見出される任意の分子又は分子の群を指すものとする。例えば、バイオマーカーは、その存在、不存在又は相対存在量が以下である分子又は分子の群である:特定の病状に特徴的であり;疾患の重症度又は尤度又は疾患進行若しくは後退を示し;かつ/あるいは病理学的状態が特定の治療に反応することを予測する。別の例として、バイオマーカーは、感染病原体(細菌、真菌、ウイルス又は他の微生物等)又は置換基分子又はその分子の群であり得る。
【0037】
バイオマーカー特異的薬剤:試料中のバイオマーカーの特異的検出を可能にするように、バイオマーカー又はそのバイオマーカー内の特定の構造に結合する任意の化合物又は組成物。例には、抗体及びその抗原結合断片、工学的に操作された特異的結合構造:例えばADNECTIN(10番目のFN3フィブロネクチンベースの足場;ブリストルマイヤーズスクイブ社)、AFFIBODY(黄色ブドウ球菌由来のプロテインAのZドメインベースの足場;スウェーデン、ソルナのAffibody AB)、AVIMER(ドメインA/LDL受容体ベースの足場;カリフォルニア州サウザンドオークスのアムジェン)、dAb(VH又はVL抗体ドメインベースの足場;英国、ケンブリッジのグラクソスミスクライン社)、DARPin(アンキリンリピートタンパク質ベースの足場;スイス、チューリッヒのMolecular Partners社)、ANTICALIN(リポカリンベースの足場;ドイツ、フライジングのPieris社)、NANOBODY(VHH(ラクダ科のIg)ベースの足場;ベルギー、ゲントのAblynx社)、TRANS-BODY(トランスフェリンベースの足場;ニューヨーク州ニューヨークのPfizer社)、SMIP(メリーランド州ロックビルのEmergent Biosolutions社)、及びテトラネクチン(C型レクチンドメインベースの足場(CTLD)、テトラネクチン;デンマーク、オルフスのBorean Pharma社)等、(このような工学的に操作された特異的結合構造の説明は、Wurch ら., 「Development of Novel Protein Scaffolds as Alternatives to Whole Antibodies for Imaging and Therapy: Status on Discovery Research and Clinical Validation」, Current Pharmaceutical Biotechnology, 第9巻, p. 502-509 (2008)(その内容は参照により援用される)に概説されている);並びに、バイオマーカーに特異的に結合することができる少なくとも第1のドメイン(例えば抗体の抗原結合断片又はバイオマーカーに結合するタンパク質の標的結合部分)と、検出試薬の融合タンパク質への結合を促進するように適合された第2の部分(例えばビオチン標識、エピトープタグ、Ig断片等)とを含む融合タンパク質が含まれる。
【0038】
細胞試料:本明細書で使用される場合、用語「細胞試料」とは、病理学的、組織学的又は細胞学的解釈のために採取された細胞培養物、体液試料又は外科標本などのインタクトな細胞を含有する任意の試料を指すものとする。
【0039】
コンジュゲート:共有結合してより大きなコンストラクトになっている2つ以上の分子。いくつかの実施態様では、コンジュゲートには、1つ以上の他の分子(例えば1つ以上の他の生体分子)に共有結合した1つ以上の生体分子(例えばペプチド、核酸、タンパク質、酵素、糖、多糖、脂質、糖タンパク質及びリポタンパク質)が含まれる。他の実施態様では、コンジュゲートには、1つ以上の検出可能な標識(ハプテン、酵素及びこれらの組み合わせ)に共有結合的に連結している1つ以上の特異的結合分子(例えば抗体及び核酸配列)が含まれる。他の実施態様では、コンジュゲートには、検出可能な標識(ハプテン、発色団部分)に共有結合的に連結している1つ以上の潜在的反応性部分が含まれる。
【0040】
接触させること:2つ以上の部分間の、例えば両者が固体形態及び/又は液体の形態での会合、特に直接的な物理的会合を可能にする配置(例えば、生物学的試料(スライドに付着させたものなど)が組成物(本明細書に開示のプローブを含有する溶液など)と接触するような配置)。
【0041】
検出可能標識又は検出可能部分:試料上に付着した検出可能部分若しくは標識の存在及び/又は濃度(あるいは試料中の標的(タンパク質又は核酸など)の存在及び/又は量)を示す検出可能なシグナル(視覚的、電気的又はその他のシグナル)を発生することができる分子又は材料。検出可能標識は、当業者にはよく知られている。
【0042】
検出可能なシグナルは、光子(無線周波数、マイクロ波周波数、赤外周波数、可視周波数、及び紫外周波数の光子を含む)の吸収、放射、及び/又は散乱を含めた、任意の知られている機構又は未だ発見されていない機構により発生させることができる。
【0043】
特異的結合分子(例えば抗体又は核酸プローブ)にコンジュゲートしたら、その検出可能な標識を使用して、特異的結合分子が向かう標的の位置を突き止め、且つ/又は定量化することができる。検出可能な標識は、直接又は間接的に検出することができ、1つ以上の標識を検出するために複数の様々な検出可能標識を組み合わせて使用することができる。例えば、ある標的に特異的な抗体にコンジュゲートした第1の検出可能標識(ハプテンなど)は、第1の検出可能標識に特異的に結合する分子にコンジュゲートした第2の検出可能標識の使用によって、間接的に検出され得る。加えて、個別に検出され得る複数の検出可能な標識を様々な標的に特異的に結合する種々の特異的結合分子にコンジュゲートして、単一試料中の複数の標的の検出を提供できる多重アッセイを提供することができる。
【0044】
検出可能標識又は検出可能部分には、限定されないが、発色、蛍光、リン光及び/又は発光分子、ある物質を別の物質に(例えば、無色の物質を着色物質に変換するか若しくはその逆によって、又は沈殿物を生成することによって、若しくは試料の濁度を上昇させることによって)変換して検出可能なシグナルを提供する触媒(例えば酵素)、追加の検出可能に標識された抗体コンジュゲートを使用し、抗体-ハプテン結合相互作用によって検出できるハプテン、並びに常磁性及び磁気性分子又は物質が含まれる。検出可能標識の特定例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ又はβ-グルクロニダーゼ等の酵素、量子ドットなどのナノ粒子(米国特許第6815064号、第6682596号及び第6649138号(これらの開示の全体を参照により本明細書に援用する));金属キレート(Gd3+のような放射性又は常磁性金属イオンのDOTA及びDPTAキレートなど)、及びリポソーム(例えば捕捉された分子を含有するリポソーム)が含まれる。検出可能標識が酵素を含む場合、色素原などの検出可能な基質か蛍光性化合物をその酵素と組み合わせて使用して、検出可能なシグナルが発生される(多種多様なこのような化合物は、例えばカリフォルニア州カールズバッドのLife Technologiesから市販されている)。
【0045】
他の実施態様では、検出可能部分は、ジアミノベンジジン(DAB)、4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼン-4’-スルホンアミド(DABSYL)、テトラメチルローダミン(DISCOVERY Purple)、N,N’-ビスカルボキシペンチル-5,5’-ジスルホナト-インド-ジカルボシアニン(Cy5)、及びローダミン110(ローダミン)等の染料を含む、明視野顕微鏡法によって検出可能な分子である。
【0046】
あるいは、酵素を金属組織検出スキームにおいて使用することができる。いくつかの例において、金属組織検出法には、アルカリホスファターゼなどの酵素を水溶性金属イオン及び酵素のレドックス不活性な基質と組み合わせて使用することが含まれる。該基質は、酵素によりレドックス活性剤に変換され、該レドックス活性剤は金属イオンを還元し、該イオンによる検出可能な沈殿物を生成させる(例えば、参照により開示の全体が本明細書に援用される米国特許第7642064号、同第7632652号を参照のこと)。その他の例において、金属組織検出法には、やはり検出可能な沈殿物を生成するために、水溶性金属イオン、酸化剤及び還元剤と併せてオキシドレダクターゼ酵素を使用することも含まれる(例えば、参照により開示の全体が本明細書に援用される米国特許第6670113号を参照のこと)。ハプテンは、抗体により結合され得る小分子である。例示的なハプテンには、ジニトロフェニル(DNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、及びフルオレセインが含まれる。追加のハプテンには、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ニトロアリール、ベンゾフラン、トリテルペン(triperpene)、尿素、チオ尿素、ロテノイド、クマリン、及びシクロリグナンハプテン、例えば、参照により開示の全体が本明細書に援用される米国特許第7695929号に記載されるものが含まれる。
【0047】
検出試薬:組織化学的アッセイ(免疫組織化学及びアフィニティー組織化学を含む)と関連して使用される場合、細胞試料中のバイオマーカーに結合した、バイオマーカーに特異的な薬剤の近くに染色剤を付着させるために使用される任意の試薬。非限定的な例には、バイオマーカー特異的抗体に結合することができる二次抗体;そのような二次抗体に結合した酵素;及び発色性染料を付着させるためにそのような酵素と反応する化学物質等が含まれる。
【0048】
ハプテン:ハプテンは、抗体と特異的に結合できるが、典型的には担体分子との組み合わせでなければ免疫原性となることが実質的に不可能な分子、典型的には小分子である。ジニトロフェニル、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、ローダミン又は米国特許第7695929号(この開示の全体を参照により本明細書に援用する)に開示されているもの等、多くのハプテンが知られており、分析手順に頻繁に使用されている。オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ニトロアリール、ベンゾフラン、トリテルペン、尿素、チオ尿素、ロテノイド、クマリン、シクロリグナン、及びこれらの組み合わせから選択されるハプテンを含む他のハプテンが、本願の譲受人であるベンタナ・メディカル・システムズ社によって特に開発されており、ハプテンの特定例には、ベンゾフラザン、ニトロフェニル、4-(2-ヒドロキシフェニル)-1H-ベンゾ[b][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン及び3-ヒドロキシ-2-キノキサリンカルバミドが含まれる。複数の様々なハプテンをポリマー担体に結合させることができる。更に、ハプテンなどの化合物は、NHS-PEGリンカーなどのリンカーを使用して別の分子に結合させることができる。
【0049】
組織化学的検出:組織試料の構造間の断面関係に照らしてバイオマーカー又は他の構造の顕微鏡検出を可能にするように、組織試料中のバイオマーカー又は他の構造を検出試薬で標識することを含むプロセス。例としては、ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片のアフィニティー組織化学(AHC)、免疫組織化学(IHC)、発色in situハイブリダイゼーション(CISH)、銀in situハイブリダイゼーション(SISH)並びにヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
組織化学(例えば免疫組織化学(IHC)も参照):標的分子と検出可能な抗体などの特異的結合剤との相互作用を検出することによって、試料中の標的分子の存在又は分布を決定する方法。例えば、抗体-抗原結合を可能にする条件下で、試料を抗体(又は抗体断片などの他の結合剤)と接触させる。抗体-抗原結合は、抗体とコンジュゲートした検出可能標識によって検出する(直接検出)か、又は一次抗体と特異的に結合する二次抗体とコンジュゲートした検出可能標識によって検出(例えば間接検出)することができる。
【0051】
免疫組織化学(IHC):抗体若しくはその誘導体又は他のタンパク質様結合剤を利用して、顕微鏡下で組織学的組織を分析するための技術。組織抗原の複雑さ及び体を構成する様々なタイプの組織学的組織の固有の性質のため、IHCには普遍的な「万能」染色プロトコールは存在しない。一般に、IHC染色のワークフローは以下の通りである:a.疎水性組織保護:インキュベーション中にスライドから試薬が漏れるのを防ぐために、組織切片の周りに疎水性バリアラインを使用する;b.ブロッキング:(i)酵素、(ii)内因性ペルオキシダーゼ、(iii)遊離アルデヒド基、(iv)免疫グロブリン、及び特異的染色を模倣することができる他の無関係の分子などの非特異的染色の内因性源を、遮断する試薬で組織切片を処理する;c.透過処理(この工程は必要に応じて使用することができる):組織切片を透過処理緩衝液とインキュベートして、抗体及び他の染色試薬の組織への浸透を促進する;d.一次抗体(1°Abと表記されることが多い)とのインキュベーション:このインキュベーションは、抗体の親和性及び組織標的の存在量に応じて、室温で又は低温室内(例えば6-8℃)で数時間(例えば1-24時間)行うことができる;e.洗浄バッファーですすぐ:この工程は、新鮮な洗浄バッファーを用いて短い反復サイクル(例えば5-15分)の3-5サイクルとして行うことができる;f.二次抗体(2°Abと表記されることがある)とのインキュベーション:これは室温で数時間(例えば1-2時間)行うことができる;g.洗浄バッファーですすぐ:これは工程「e」の繰り返しである;h.洗浄バッファーですすぎながら混ぜ合わせた検出試薬とのインキュベーション:これは該当する場合に行われる(例えば発色検出において)。本発明は、このIHCプロトコールに限定されない。
【0052】
対比染色は、組織切片の全体の「景色」を見ることを可能にし、標的の検出のために使用されるメインカラーについての基準として役立たせることができる染料による、組織切片の染色である。そのような染料は、細胞核、細胞膜又は細胞全体を染色することができる。染料の例には、核DNAに結合して強い青色光を発するDAPI;核DNAに結合して強い青色光を発するヘキストブルー染色剤;及び核DNAに結合して強い赤色光を発するヨウ化プロピジウムが含まれる。細胞内の細胞骨格ネットワークの対比染色は、染料にコンジュゲートしたファロイジンを用いて行うことができる。ファロイジンは細胞の細胞質中のアクチンフィラメントに強く結合する毒素で、顕微鏡の下ではっきりと見えるようになる。
【0053】
多くの場合単純な抗原-抗体反応の検出感度はかなり低いので、発色IHCプロトコールの大部分は、アビジン及びビオチン分子の使用に基づいている。アビジン-ビオチン結合は、抗原結合抗体を検出試薬と架橋するのに役立ち、染色シグナルの増幅を可能にする。最も頻繁に使用されるビオチンベースの技法は、標識SA-ビオチン(LSAB)及びアビジン-アビジンアビジン(ABC)検出を含む。酵素標識に直接、又は酵素標識の複数のコピーを含有する長いポリマーにコンジュゲートした一次抗体を利用する非ビオチンベースの検出技法もある。
【0054】
LSAB検出は、酵素にコンジュゲートしたSAに一次抗原結合抗体を連結する、ビオチンにコンジュゲートした二次抗体を利用する。LSAB検出の最初の工程は、組織切片を一次抗体とインキュベートし、続いてビオチン化二次抗体とインキュベートすることである。その後、選択した酵素(例えばAP、HRP等などにコンジュゲートした)SAを組織切片に添加し、続いて適切な酵素基質を添加する。酵素は基質を抗原局在部位に沈殿する着色粒子に変換するが、それはその後顕微鏡下で観察することができる。LSAB技術は、ビオチン化一次抗体を用いて短縮することができ、ビオチン化二次抗体とのインキュベーションの必要性を排除する。
【0055】
BC検出における最初の工程(一次抗体とビオチン化二次抗体とのインキュベーション)はLSABの場合と同じだが、以降の工程及び試薬は全く異なる。アビジン及びビオチン化酵素を最初に混合し、室温で約30分間一緒にインキュベートし、その後組織切片に加える。このインキュベーション中に、アビジンはビオチン化酵素と相互作用し、酵素分子(LSAB検出法で見られる濃度をはるかに超える)が密集した大きな複合体を生成するが、これは抗原検出の感度を高める。
【0056】
非ビオチン検出技術は、腎臓、脳及び胎盤を含む様々な種類の動物組織に豊富に存在する内因性ビオチンに起因する非特異的バックグラウンド染色のような、アビジン-ビオチン検出の限界がないために普及してきた。
【0057】
発色IHCでは、組織対比染色は、組織切片の全体的なレイアウトを可視化し、同じ種類の細胞小器官を標識するのに役立つ。通常、対比染色は、目的の抗原を表すメインカラーと同じであるはずがない細胞核を標識するために行われる。例えば、メインカラーが赤(AEC色素原)又は褐色(DAB色素原)の場合、核は青色を生成するヘマトキシリン又は緑色を生成するメチルグリーンを使用して染色することができる。メインカラーが青(BCIP/NBT色素原)の場合、ヌクレアファストレッド染料を使用して核を赤に対比染色することができる。組織抗原が細胞核に局在する場合、細胞核の対比染色の持続時間は、細胞核がかろうじて見えるようになるくらいまでに短縮化されるか、又はメインIHCカラーを覆い隠すのを避けるために省略されることさえあり得る。
【0058】
AHCは、バイオマーカーの検出がバイオマーカーに対する親和性を有する結合剤の使用を含む、親和性組織化学を指す。例えば、マスト細胞は、塩基性タンパク質アビジンとポリアニオン性ヘパリンとの間の静電引力に基づいてAHCによって染色され得る。
【0059】
多重(化):本発明の実施態様は、同じ試料中の複数の標的を、例えば実質的に、同時に又は連続的に、所望通りに検出することを可能にする。
【0060】
点状ドット:本明細書で使用される場合、「点状(の)ドット」という用語は、ドット状の染色の外観を指し、このドットはびまん性染色と区別可能である。びまん性シグナルパターン(例えば典型的なDABシグナルパターン)は一般に、個別に分解することができるシグナルを発生しない。点状ドットはまた、互いから分解(例えば計数)され得る。例えば
図6は、従来の方法を用いたびまん性染色と比較して、本発明の方法(qIHC)を用いて発現レベルが低から中程度のHER2で観察された点状ドットシグナル(下のパネル)を示している。びまん性染色は組織試料のより広い領域を覆うので、点状ドットはびまん性染色とは異なる。更に、点状ドットは、個々に数えることができる。
【0061】
試料及び生物学的試料:バイオマーカーを含有するか若しくは含有すると推定される任意の組成物、又は特定のバイオマーカーの有無について試験される組成物。試料には、細胞、組織又は血液の精製又は分離された成分、例えばDNA、RNA、タンパク質、無細胞部分又は細胞溶解物が含まれ得る。試料は、例えば腫瘍又は転移性病変,例えば原発性腫瘍又は転移性腫瘍由来のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料であり得る。試料はまた、事前に凍結させたか若しくは新鮮な組織由来、又は液体試料、例えば血液又は血液成分(血漿又は血清)、尿、精液、唾液、痰、粘液、精液、涙、リンパ液、脳脊髄液、スワブから洗い落としたもの由来のものであり得る。試料はまた、細胞株を含む、個体から得られた細胞のin vitro培養物の構成要素及び成分を含んでもよい。試料は、個体から直接得られた試料、例えば細胞溶解物又は赤血球が枯渇した血液から部分的に処理することもできる。
【0062】
切片/~の切片を作製する:名詞として使用される場合、通常ミクロトームを使用して切断される、顕微鏡分析に適した組織試料の薄片。動詞として使用される場合、通常ミクロトームを使用して組織試料の切片を作製すること。
【0063】
連続切片:ある一つの組織試料から順に切断された一連の切片のいずれか1つ。2つの切片が互いの「連続切片」とみなされるためには、それらが必ずしも組織からの連続した切片である必要はないが、それらは一般に、組織学的染色の後に互いに構造が一致し得るように、同じ断面関係で同じ組織構造を含有するべきである。
【0064】
特異的結合:本明細書で使用される場合、「特異的結合」、「~に特異的に結合する」又は「~に特異的」という句は、生体分子を含む分子の異種集団の存在下での標的の存在を決定付ける、標的と特異的結合剤との間の結合などの測定可能かつ再現可能な相互作用を指す。例えば、標的に特異的に結合する結合実体は、この標的に、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合活性でより迅速に、且つ/又はより長い期間にわたって結合する抗体である。一実施態様では、無関係な標的への結合実体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、抗体の標的への結合の約10%未満である。特定の実施態様では、標的に特異的に結合する結合実体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。別の実施態様では、特異的な結合には、必須ではないが排他的結合が含まれる。
【0065】
特異的結合剤:本明細書で使用される場合、用語「特異的結合剤」は、バイオマーカー又はそのバイオマーカー内の特定の構造に特異的に結合することができる任意の化合物型は組成物を指すものとする。例には、限定されないが、特定のヌクレオチド配列に特異的な核酸プローブ、抗体及びその抗原結合断片、並びに工学的に操作された特異的結合構造、例えばADNECTIN(10番目のFN3フィブロネクチンベースの足場;ブリストルマイヤーズスクイブ社)、AFFIBODY(黄色ブドウ球菌由来のプロテインAのZドメインベースの足場;スウェーデン、ソルナのAffibody AB)、AVIMER(ドメインA/LDL受容体ベースの足場;カリフォルニア州サウザンドオークスのアムジェン)、dAb(VH又はVL抗体ドメインベースの足場;英国、ケンブリッジのグラクソスミスクライン社)、DARPin(アンキリンリピートタンパク質ベースの足場;スイス、チューリッヒのMolecular Partners社)、ANTICALIN(リポカリンベースの足場;ドイツ、フライジングのPieris社)、NANOBODY(VHH(ラクダ科のIg)ベースの足場;ドイツ、フライジングのPieris社)、TRANS-BODY(トランスフェリンベースの足場;ニューヨーク州ニューヨークのPfizer社)、SMIP(メリーランド州ロックビルのEmergent Biosolutions社)、及びテトラネクチン(C型レクチンドメインベースの足場(CTLD)、テトラネクチン;デンマーク、オルフスのBorean Pharma社)が含まれる。このような工学的に操作された特異的結合構造の説明は、Wurch ら., 「Development of Novel Protein Scaffolds as Alternatives to Whole Antibodies for Imaging and Therapy: Status on Discovery Research and Clinical Validation」, Current Pharmaceutical Biotechnology, 第9巻, p. 502-509(2008)(その内容は参照により援用される)に概説されている。
【0066】
染色剤/染色する:名詞として使用される場合、用語「染色剤」は、明視野顕微鏡法、電子顕微鏡法などを含む顕微鏡分析のための細胞試料中の特定の分子又は構造を可視化するために使用され得る任意の物質を指す。動詞として使用される場合、用語「染色する」は、細胞試料上に染色剤の付着をもたらす任意のプロセスを指すものとする。
【0067】
対象:ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば獣医学的対象)などの任意の多細胞脊椎生物。
【0068】
組織試料:本明細書で使用される場合、用語「組織試料」とは、試料が得られた対象内に存在していたときの細胞間の断面の空間的関係を保っている細胞試料を指すものとする。「組織試料」は、一次組織試料(すなわち対象により生成された細胞及び組織)及び異種移植片(すなわち対象内に移植された異質細胞試料)の両方を包含するものとする。
【0069】
発明の詳細な説明
現在のIHC技術の例が、現在の
図1、
図2及び
図3に示されている。
図1に示されている例示的方法は、標的に結合する一次抗体及び一次抗体に結合する、HRPを有する二次抗体を特徴とする。DAB色素原が使用される。
図2に示されている例示的方法は、標的に結合する一次抗体及び一次抗体に結合する、HQハプテンを有する二次抗体を特徴とする。HRPを有する三次抗体は、二次抗体に結合する。DAB色素原が使用される。
図3に示されている例示的方法は、標的に結合する一次抗体及び一次抗体に結合する、HQハプテンを有する二次抗体を特徴とする。HRPを有する三次抗体は、二次抗体に結合する。チラミド-HQハプテンコンジュゲートを添加し、次にHRP酵素を有する四次抗体を添加する。DAB色素原が使用される。これらの現在の技術は、DABを用いた例として、びまん性染色を通常もたらす検出スキームを伴う。
【0070】
特定の実施態様では、本発明は、1以上の標的分子を定量化することを可能にする定量的免疫組織化学(qIHC)のための方法,及びシステムを特徴とする。例えば、本明細書中の方法は、例えば可視シグナルを発生させるのに必要な分子の閾値数を減らすことによって、(特定の実施態様では個々の分子(例えば標的分子)の計数を可能にする)可視的点状ドットを生じさせる。例えば、本発明は、点状ドットシグナルを発生させる高感度増幅システム及び色素原を利用する。特定の実施態様では、本発明は、個々の標的分子に結合した個々の抗体の検出のための技術を提供する。例えば、
図4Aに示されている例示的方法は、標的に結合する一次抗体及び一次抗体に結合する、HRPを有する二次抗体を特徴とする。チラミド-ハプテンコンジュゲート(例えばDIG、NP、BF、NCA、BD又はDNP等、ハプテンコンジュゲート)を添加し、同様にHRPを有する三次抗体も添加する。最後に、銀又はチラミド-ローダミン染料色素原(dye chromogen)が添加される(又は他の適切な色素原が添加される)。
図4Bは、標的バイオマーカーに結合している天然又は修飾された(例えばハプテン化、タグ化)抗体(例えばモノクローナル抗体)を示す。モノクローナル又はポリクローナル二次抗体コンジュゲート(例えばHRP)のいずれかを用いて、標的特異的結合剤(例えば一次抗体)結合させる。チラミドコンジュゲートを添加する。その後、抗体(例えばモノクローナル抗体(例えばモノクローナルHRP抗体))がラミドコンジュゲートに結合する。本発明をいかなる理論又は機構にも限定することを望むものではないが、一次抗体に結合した一次HRPコンジュゲート(例えば二次抗体)が少なければ少ないほど、十分に二次HRP付着して可視色素原シグナルを送るための(例えばRNAプローブ検出と比較して)より高度なハプテン増幅が必要となると考えられる。本発明は、上記の工程又は試薬に限定されない。本発明は、単一分子検出に限定されない。
【0071】
本発明はまた、分泌された標的分子(例えば分泌タンパク質など)の定量的免疫組織化学(qIHC)と、例えば混合不可能な染料を用いて複数の標的分子を検出するための定量的免疫組織化学(qIHC)とを含む。
図5は、供給源(例えば細胞)から分泌された分泌因子の一例を示す。現在の技術は、細胞から分泌されたタンパク質について解釈可能なシグナルを発生させない。いくつかの実施態様において、本明細書中の方法は、シグナルの増幅を増加させ(標的を可視的点状ドットとして見えるようにする)、このシグナルの増幅が分泌因子の検出を可能にする。特定の実施態様では、本発明の方法は、分泌タンパク質(又はタンパク質に限定されない他の適切な分泌因子)などの分泌因子を検出する(
図7も参照)。特定の実施態様では、本発明の方法は、びまん性パターン及び/又は分泌因子の勾配(例えば供給源(例えば細胞)からのびまん性パターン及び/又は勾配)を検出する。
【0072】
本発明の方法は、限定されないが、組織試料(例えば患者又は他の対象由来の組織試料、例えばFFPE組織試料)などの試料に定期用することができる。
【0073】
検出される標的分子は、分泌標的分子を含む、タンパク質、脂質、炭水化物、翻訳後修飾(リン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾等を含むがこれらに限定されない)等、これらの組み合わせなどのような任意の適切な標的分子であり得る。
【0074】
試料及び試料調製物
本発明の方法は、スライドに接着した組織切片に関して本明細書でモデル化されている。組織切片は、健常組織、罹患組織、又はこれらの組み合わせを含み得る。組織切片は、任意の適切な組織、例えば皮膚、乳房、頭頚部、肺、上部消化管(例えば食道及び胃部)、女性の生殖器系(例えば子宮、卵管及び卵巣)、男性の生殖器系(例えば前立腺、精巣など)、下部消化管(例えば結腸、直腸及び肛門)、尿生殖路、外分泌腺、内分泌腺、腎臓、神経組織、リンパ球由来の組織、血管組織、心臓組織、神経系組織、血液、骨等、又はこれらの組み合わせに由来し得る。
【0075】
いくつかの実施態様において、組織切片は、腫瘍又は転移性病変を含む。腫瘍は、がん、リンパ腫又は肉腫などの固形腫瘍であり得る。いくつかの実施態様において、腫瘍は、皮膚、乳房、頭頚部、肺、上部消化管(食道及び胃部を含む)、女性の生殖器系(子宮、卵管及び卵巣の腫瘍を含む)、下部消化管(結腸、直腸及び肛門の腫瘍を含む)、尿生殖路、外分泌腺、内分泌腺、腎臓、神経の腫瘍、又はリンパ球由来の腫瘍である。いくつかの実施態様において、組織切片は、メラノーマ、乳がん、卵巣がん、膵臓がん、頭頚部がん、肺がん、食道がん、胃がん、結腸直腸がん(結腸、直腸及び肛門のがんを含む)、前立腺、尿路上皮がん又はリンパ腫を有する対象に由来する。
【0076】
試料はまた、事前に凍結させたか若しくは新鮮な組織由来、又は液体試料、例えば血液又は血液成分(血漿又は血清)、尿、精液、唾液、痰、粘液、精液、涙、リンパ液、脳脊髄液、スワブから洗い落としたもの由来のものであり得る。いくつかの実施態様において、試料は、細胞のin vitro培養物、例えば、細胞株を含む、個体から得られた細胞を含む。本発明は、組織切片を含む試料に限定されない。いくつかの実施態様において、試料は、核酸、タンパク質、細菌、ウイルス又は他の任意の試験剤を含む。
【0077】
試料(例えば組織切片)は、以下に記載されるように、固定、ワックスマトリックス(例えばパラフィン)中への包埋、及び切片化(例えばミクロトームによる)を含む、組織化学的染色に適合する様式で処理され得る。得られた試料が本発明の方法と適合する限り、例えば、目的のバイオマーカーについての試料の組織化学的染色などの具体的な処理工程は必要とされない。
【0078】
一般に、組織試料は、組織を媒体に固定し、包埋することによって調製される。他の例では、試料は、例えば細胞を固体支持体上に塗抹するか又は遠心分離することによって、固体支持体(スライドガラスなど)上に単層として調製される細胞懸濁液を含む。更なる例では、新鮮凍結(例えば固定されていない)組織切片が、本明細書に開示の方法において使用されてもよい。
【0079】
試料を固定する方法は様々である。組織試料を固定することは、細胞及び組織構成要素を可能な限り生きているような状態に保存し、それらが顕著な変化なしに調製手順を受けることを可能にする。固定化は、細胞死の際に始まる自己分解および細菌分解プロセスを停止させ、細胞及び組織構成要素を安定化させて、それらが組織処理のその後の段階に耐えるようにする。
【0080】
組織は、灌流を含む任意の適切な方法によって、又は固定剤への浸漬によって固定することができる。固定剤は、以下のように分類可能である:架橋剤(例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドなどのアルデヒド、並びに非アルデヒド架橋剤など)、酸化剤(例えば四酸化オスミウム及びクロム酸などの金属イオン及び錯体)、タンパク質変性剤(例えば酢酸、メタノール及びエタノール)、未知の機構の固定剤(塩化第二水銀、アセトン及びピクリン酸)、組み合わせ試薬(例えばカルノワ固定液、メタカン、ブアン固定液、B5固定液、ロスマン液及びジャンドル液)、マイクロ波、及びその他の固定剤(例えば排除体積固定及び蒸気固定)。また、緩衝剤、洗浄剤、タンニン酸、フェノール、金属塩(塩化亜鉛、硫酸亜鉛及びリチウム塩など)及びランタンなどの添加剤も固定剤に含まれ得る。
【0081】
試料の調製において最も一般的に使用される固定剤は、通常はホルマリン溶液(10%緩衝ホルマリンと呼ばれる、緩衝液中4%ホルムアルデヒド)の形態のホルムアルデヒドである。一例では、固定剤は10%中性緩衝ホルマリンである。
【0082】
いくつかの例では、包埋剤が使用される。包埋剤は、組織及び/又は細胞を包埋して、将来の分析のために保存しておくことができる不活性物質である。包埋はまた、組織試料を薄切片にスライスすることを可能にする。包埋剤には、パラフィン、セロイジン、OCTTM化合物、寒天、プラスチック又はアクリルが含まれる。多くの包埋剤は疎水性であるため、主に親水性試薬を利用する組織学的又は細胞学的分析の前に、この不活物質は取り除いておく必要がある。本明細書では、脱パラフィン化又は脱ロウという用語は、生物学的試料からの任意の種類の包埋剤の部分的又は完全な除去を指すのに広く使用される。例えば、パラフィン包埋組織切片は、トルエン、キシレン、リモネン又は他の適切な溶媒などの有機溶媒を通過させることによって脱ろうされる。
【0083】
一例として、組織試料は、自動染色装置での組織学的検査用のFFPE組織試料であり得る。この場合、試料は、適切な脱パラフィン液を用いて、例えば自動IHC/ISHスライド染色機によって脱パラフィンすることができる。その後、任意の数の物質を試料に連続的に適用することができる。物質は、前処理、細胞溶解、変性、洗浄、染色などのためのものであり得る。
【0084】
抗原回復
タンパク質における分子架橋の誘導に加えて、長い固定時間は多くの抗原に損傷を与える可能性がある。これは天然のタンパク質立体配座を変化させ、それによってエピトープの正常構造を変化させることができる。その結果、目的のバイオマーカーは、免疫組織化学の間、マスクされるか又は抗体に到達しがたくなり得る。いくつかの場合において、この固定の影響は、マスキング解除又は抗原回復法を用いて排することができる。抗原回復は、物理的手法、化学的手法又はその両方の組み合わせによって達成することができる。抗原回復の方法の例は、Shiら(J Histochemistry & Cytochemistry, 2011, 59:13-32)、D’Amicoら(J Immunological Methods, 2009, 341:1-18)、並びにMcNicoll及びRichmond(Histopathology, 1998, 32:97-103)の他、米国特許第9506928号及び同第6544798号で論じられている。抗原回復法には、例えばプロテアーゼ(例:トリプシン、DNase、プロテイナーゼK、ペプシン、プロナーゼ、フィシン等)消化(分子架橋を切断して、エピトープを正常な立体配座に戻すのを助ける);超音波処理誘導エピトープ回復(sonication-induced epitope retrieval)(SIER);及び熱誘導エピトープ回復(HIER)(一次抗体の適用前に(又は他の組成物を試料に適用する前に)様々な組成物の加熱溶液にスライドを入れることを伴う)が含まれる。電子レンジ、圧力鍋、温水バス、オートクレーブ、自動染色装置が、熱を得るための可能な手段である。HIER溶液は、0.1Mのクエン酸緩衝液(pH6)、0.1M EDTA(pH9)(又は他のカルシウムキレート剤溶液)、0.5M Trisベースの緩衝液(pH10)、0.05Mグリシン-HCl緩衝液、1%過ヨウ素酸、様々な濃度の尿素、チオシアン酸鉛溶液等を含み得る。加熱時間、加熱温度及びpHを変えることによって、様々な程度のエピトープ回復を得ることができる。
【0085】
チラミド-色素原検出
チラミドシグナル増幅法(TSA)は、触媒レポーター沈着(CARD)に基づく既知の方法である。米国特許第5583001号(この開示は、その全体が本明細書に参照により援用される)には、標識フェノール分子を酵素と反応させることにより、CARD又はTSA法で酵素の触媒を増強させるレポーターシグナルを増幅するために触媒レポーター沈着に頼る、分析物依存性酵素活性化システムを使用して分析物の検出又は定量のための方法が開示されている。チラミドシグナル増幅は標的の可視性を増幅することが知られているが、それはまた高いバックグラウンド染色(例えば非特異的認識事象の増幅)にも関連している。
【0086】
例えば、1つ又は複数の標的を囲むタンパク質の量は不十分であり得る。高レベルで存在するバイオマーカーを検出する際、又は複数のバイオマーカーの共局在化を検出する際、チラミド系検出試薬が付着することができる試料中のタンパク質の量は、制限試薬であり得る。チラミド結合部位が不十分であると反応速度が低下し、チラミド反応分子が標的から拡散し、標的付近で反応するシグナル伝達コンジュゲートの量が少なくなるため、一般的に反応が弱くなる可能性がある。
【0087】
チラミド-色素原コンジュゲートは、miRNA検出に使用されている(開示の全体が参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第2013/0260379号及び国際公開第2015/124738号を参照)。例えば、ハプテンで標識されたプローブによって検出され得る。その後、酵素にコンジュゲートした抗ハプテン抗体を試料に接触させて、抗体がプローブに結合し、酵素が標的に結合するようにする。酵素は、チラミド-ハプテンコンジュゲートの付着を触媒する。複数のチラミド-ハプテンコンジュゲートが標的付近の試料に結合し、それにより標的に関連するシグナルを実質的に増幅する。その後、第2の酵素-コンジュゲート抗ハプテン抗体を試料に接触させ、チラミド-ハプテンコンジュゲートに結合させる。第2の酵素を用いて、チラミド-色素原コンジュゲートの付着、例えば銀付着(ベンタナ・メディカル・システムズ社 カタログ#:780-001)又は所望の他の任意の色素原を触媒することができる。
【0088】
mRNAを検出するための方法などのチラミド増幅方法が試料中の標的の組織化学的検出に使用できたことは、驚くべきことであった。組織化学的適用は、より多くの標的を必要とし(mRNAの場合にはプローブの代わりに抗体を検出する)、これは通常高レベルのバックグラウンドと関連するであろう。チラミドベースのシグナル増幅システムについての以前の報告(reposts)は、バックグラウンドシグナルの多さを記載している。驚くべきことに、本発明の方法において使用されるチラミドベースのコンジュゲートはあまり多くのバックグラウンドを生成しないことがわかった。実際、本発明の方法は、感度(例えば標的バイオマーカーを正確に標識する能力)、均一性(例えばびまん性染色のまだら(pockets)を回避するように)シグナルを試料上に分配する能力)を提供し、且つ数量の測定値も提供することができる(例えば点状ドットシグナルの使用を通じて)。
【0089】
特定の実施態様では、反応におけるチラミドコンジュゲートの濃度(最終濃度)は、1-10μM(例えば3μM)である。特定の実施態様では、チラミドコンジュゲートの最終濃度は、5-10μM(例えば7μM)である。特定の実施態様では、チラミドコンジュゲートの最終濃度は、5-20μM(例えば7μM)である。特定の実施態様では、チラミドコンジュゲートの最終濃度は、0.1-10μMである。特定の実施態様では、チラミドコンジュゲートの最終濃度は、10-25μMである。特定の実施態様では、チラミドコンジュゲートの最終濃度は、10μMを超える。特定の実施態様では、チラミドコンジュゲートの最終濃度は、20μMを超える。
【0090】
本発明をいかなる理論又は機構にも限定することを望まないが、ポリクローナル抗体は、オフターゲット結合を生じさせ、その結果バックグラウンドシグナルを発生させる(目的の抗原以外のものに結合する、ポリクローナル抗体の固有の増大した能力のため)と考えられた。例えば、RNA法は、標識プローブを検出するためのモノクローナル抗体の使用を必要とする。驚くべきことに、これは本明細書の方法で使用されるポリクローナル抗体は観察されなかった(ポリクローナル抗体は検出可能なバックグラウンドシグナルを発生させなかった)ことがわかった。したがって、特定の実施態様では、ポリクローナル抗体が本明細書のqIHC法のために使用され得る(標的特異的結合剤、例えば一次抗体を検出するために)。特定の実施態様では、モノクローナル抗体が、本明細書のqIHC法のために使用される(標的特異的結合剤、例えば一次抗体を検出するために)。
【0091】
組織化学的標識、バイオマーカー特異的薬剤、及び検出システム
一般に、バイオマーカー(標的)標識化は、標的バイオマーカーとバイオマーカー特異的試薬との間の特異的結合を促進する条件下で、試料をバイオマーカー特異的試薬(例えば抗体)と接触させることによって達成され得る。その後、試料をバイオマーカー特異的試薬と相互作用する一組の検出試薬と接触させて、標的バイオマーカーに近接した検出可能部分の付着を促進し、それによって、標的バイオマーカーに局在する検出可能シグナルを発生させる。典型的な免疫組織化学的用途には、検出のための様々な異なるスキームがあり得る。
【0092】
市販の検出試薬又は検出試薬を含むキットの非限定的な例には、VENTANA ultraView検出システム(HRP及び Apを含む、酵素にコンジュゲートした二次抗体);Ventana iVIEW検出システム(ビオチン化抗種二次抗体及びストレプトアビジン-コンジュゲート酵素);VENTANA OptiView検出システム(OptiView)(ハプテンにコンジュゲートした抗種二次抗体及び酵素多量体にコンジュゲートした抗ハプテン三次抗体);VENTANA Amplificationキット(一次抗体結合部位に付着した酵素の数を増幅するために前述のVENTANA検出システムのいずれとも共に使用することができる、非コンジュゲート二次抗体);VENTANA OptiView Amplificationシステム(ハプテンにコンジュゲートした抗種二次抗体、酵素多量体に結合した抗ハプテン三次抗体、及び同じハプテンにコンジュゲートしたチラミド)が含まれる。
【0093】
バイオマーカー染色切片は、任意選択的に、手動又は自動のいずれかで造影剤を用いて更に染色(ヘマトキシリン染色など)して、巨大分子構造を可視化し、形態学的特徴又は形態学的に関連する領域を同定することができる。対比染色剤の非限定的な例には、ヘマトキシリン(青色から紫色に染色)、メチレンブルー(青色に染色)、トルイジンブルー(核を濃い青色に、多糖類を桃色から赤色に染色)、ヌクレアファストレッド(別名ケルンエヒトロート、赤色に染色)及びメチルグリーン(緑色に染色)等の発色性の核対比染色剤;エオシン(桃色に染色)などの非核発色性染色剤等が含まれる。
【0094】
本発明の方法では、バイオマーカー特異的薬剤が試料に適用され、この場合バイオマーカー特異的薬剤は試料中の標的に特異的であり、且つそれに結合する。いくつかの実施態様において、バイオマーカー特異的薬剤は、抗体抗体断片(an antibody an antibody fragment)とを含む一次抗体である。一次抗体は、天然の、未修飾の、又は他の適切な抗体であり得る。いくつかの実施態様において、一次抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、一次抗体は、ポリクローナル抗体である。
【0095】
続いて、第2の結合剤が試料に適用され、この場合第2の結合剤は標的に結合したバイオマーカー特異的薬剤に特異的であり、且つそれに結合する。いくつかの実施態様において、第2の結合剤は、抗体又はその断片を含む二次抗体である。第2の結合剤(例えば二次抗体)は、二次酵素(例えば二次抗体酵素)にコンジュゲートしている。第2の結合剤(例えば二次抗体)は、バイオマーカー特異的薬剤の特徴に特異的であり、第2の結合剤(例えば二次抗体)は抗種抗体、抗修飾抗体など、又はそれらの組み合わせであり得る。好適な酵素はよく知られており、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ及びペルオキシダーゼを含むがこれらに限定されない。明示的に含まれる特異的酵素は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ及びβ-ラクタマーゼである。
【0096】
続いて、チラミド剤(例えばチラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子)を試料に適用する。二次酵素は、チラミドハプテンの試料上への付着を触媒する。チラミドハプテンには、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、NP、BF、NCA、BD、ジニトロフェニル(DNP)、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ニトロアリール、ベンゾフラン、トリペルペン、尿素、チオ尿素、ロテノイド、クマリン及びシクロリグナンハプテン、米国特許第7695929号(この全体が参照により本明細書に援用される)に開示のものなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0097】
続いて、第3の結合剤が試料に適用される。第3の結合剤は、チラミドハプテンに特異的であり、それに結合する。いくつかの実施態様において、第3の結合剤は、抗体又はその断片を含む三次抗体である。第3の結合剤(例えば三次抗体)は、三次酵素(例えば三次抗体酵素)とコンジュゲートしている。好適な酵素はよく知られており、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ及びペルオキシダーゼを含むがこれらに限定されない。明示的に含まれる特異的酵素は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ及びβ-ラクタマーゼである。
【0098】
チラミドハプテンに特異的な第3の結合剤(例えば三次抗体)の適用に続いて、検出可能部分(例えば色素原)が試料に適用される。三次酵素は、検出可能部分(例えば色素原)との反応を触媒し、検出可能部分(例えば色素原)を可視化する。検出可能部分(例えば色素原)は、顕微鏡法を用いて、例えば明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され得る。特定の実施態様では、点状ドットは、個々の標的分子を表す。例えば試料中の標的分子の量を定量化するために、前記点状ドット(例えば標的分子)を数えることができる。
【0099】
いくつかの実施態様において、検出可能部分(例えば色素原)は、銀又はチラミド-ローダミン染料を含む。例えば、いくつかの実施態様において、チラミドローダミン染料は、ローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、ローダミン6G、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)等又はこれらの組み合わせを含む。本発明は、検出可能部分(例えば色素原)のこれらの例に限定されない。例えば、本発明をいかなる理論又は機構にも限定することを望まないが、例えば標的分子(バイオマーカー)発現のレベルが低い場合、びまん性色素原(例えばDAB)が本技術において機能し得る(発現レベルが高い場合、びまん性色素原に関して単一ドットを分解する能力はあまり良くない)。
【0100】
よって、検出可能部分(発色性化合物/基質)の他の非限定的な例には、4-ニトロフェニルホスフェート(nitrophenylphospate)(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットが含まれる。
【0101】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、三次酵素がアルカリホスファターゼ(又は適切な代替物)を含み、検出可能部分(色素原)が三次酵素の水溶性金属イオン及び酸化還元不活性基質を含む金属組織学的検出スキームを特徴とする。いくつかの実施態様では、基質は酵素によって酸化還元活性剤に変換され、酸化還元活性剤は金属イオンを還元し、該イオンによる検出可能な沈殿物を生成させる。(例えば、米国特許第7642064号、PCT公開第2005/003777号及び米国特許第7632652号を参照されたい。なお、これらの各々は全体が参照により本明細書に援用される。)金属組織学的検出法は、水溶性金属イオン、酸化剤、及び還元剤とともに酸化還元酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼなど)を用いて、やはり検出可能な沈殿物を生成することを含む。(例えば、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6670113号を参照されたい。)
【0102】
更に他の実施態様では、検出可能部分は、三次酵素と反応して試料又は他の検出成分に結合することができる反応種を生成するように構成された潜在的反応性部分を含む。これらの反応種は、それらの生成に近い、すなわち酵素の近くの試料と反応することができるが、酵素が付着した部位から遠位の部位にシグナル伝達コンジュゲートが付着しないように非反応種に急速に変わる。潜在的反応性部分の例には、国際公開第2015124703号に記載されているもののようなキノンメチド(QM)アナログ及び国際公開第2012003476号に記載されているもののようなチラミドコンジュゲートが含まれる。なお、これらの各文献は、全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの実施態様では、潜在的反応性部分は、N,N’-ビスカルボキシペンチル-5,5’-ジスルホナト-インド-ジカルボシアニン(Cy5)、4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼン-4’-スルホンアミド(DABSYL)、テトラメチルローダミン(DISCO Purple)、及びローダミン110(ローダミン)などの染料に直接コンジュゲートしている。
【0103】
いくつかの実施態様において本発明の方法は、複数の標的バイオマーカーを検出するための多重染色方法に適用されることに留意されたい。多重方法では、バイオマーカー特異的試薬及び検出試薬は、異なるバイオマーカーを示差的に標識することを可能にする形で適用される。
【0104】
異なるバイオマーカーの示差的標識を達成するための1つの方法は、異なる抗体又は検出試薬間でオフターゲットの交差反応性を生じないバイオマーカー特異的試薬、検出試薬の組み合わせ及び酵素の組み合わせを選択することである(「コンビネーション染色」という)。例えば、二次検出試薬が使用される場合、各二次検出試薬は、切片上で使用される一次抗体のうちの1つのみに結合することができる。例えば、異なる動物種(マウス、ウサギ、ラット、及び得られた抗体等)に由来する一次抗体を選択することができ、その場合は種特異的二次抗体が使用され得る。別の例として、各一次抗体には、異なるハプテン又はエピトープタグが含まれてもよく、二次抗体はハプテン又はエピトープタグに特異的に結合するように選択される。更に、検出試薬の各セットは、例えば各バイオマーカー特異的試薬に近接して異なる酵素を付着させることによって、切片上に異なる検出可能実体を付着させるように適合されていなければならない。このような配置の一例が米国特許第8603765号に示されている。このような配置は、試料上に同時に存在するバイオマーカー特異的試薬の各セット及び関連する特異的結合試薬を有することができ、且つ/又はバイオマーカー特異的試薬と検出試薬とのカクテルで染色を実施することができ、それによって染色の工程数が減少するという潜在的利点を有する。ただし、試薬は異なる酵素と交差反応し、且つ、種々の抗体は互いに交差反応し、その結果異常な染色をもたらし得るため、このような配置は常に実行可能とは限らない。
【0105】
異なるバイオマーカーの示差的標識を達成するための別の方法は、各バイオマーカーについて試料を連続的に染色することである。このような実施態様では、第1のバイオマーカー特異的試薬を切片と反応させ、続いて第1のバイオマーカー特異的試薬及びその他の検出試薬に対して二次検出試薬を反応させ、第1の検出可能実体の付着を生じさせる。その後切片を処理して、付着した染色剤はそのまま残しつつ、バイオマーカー特異的試薬及び関連する検出試薬を切片から除去する。このプロセスは、この後のバイオマーカー特異的試薬についても繰り返される。バイオマーカー特異的試薬及び関連する検出試薬を除去するための方法の例には、Stackら, Multiplexed immunohistochemistry, imaging, and quantitation: A review, with an assessment of Tyramide signal amplification, multispectral imaging and multiplex analysisMethods, 第70巻,第1刊,p.46-58(2014年11月)及びPCT/EP第2016/057955号(これらの内容は参照により援用される)で開示されているもののような、試料から抗体を溶出する緩衝液の存在下で試料を加熱すること(「熱殺菌法」という)が含まれる。
【0106】
当業者によって理解されるように、コンビネーション染色と連続染色法を組み合わせてもよい。例えば、一次抗体のサブセットのみがコンビネーション染色に適合する場合、連続染色法を変更することができ、コンビネーション染色に適合する抗体をコンビネーション染色法を用いて試料に適用し、残りの抗体を連続染色法を用いて適用する。
【0107】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、同じ試料中の2つの標的分子を検出するために使用される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、同じ試料中の3つの標的分子を検出するために使用される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、同じ試料中の4つの標的分子を検出するために使用される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、同じ試料中の5つの標的分子を検出するために使用される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、同じ試料中の6つの標的分子を検出するために使用される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、同じ試料中の7つの標的分子を検出するために使用される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、同じ試料中の8つ以上の標的分子を検出するために使用される。
【0108】
自動システム
本発明の方法は、自動染色装置(スライド染色機)又は他の適切な自動スライド処理装置で実施することができる。自動染色装置(例えばIHC/ISHスライド染色機)の具体例iには、itelliPATH(バイオケアメディカル)、WAVE(Celerus Diagnostics)、ダコ OMNIS及びダコ AUTOSTAINER LINK 48(アジレント・テクノロジー)、BENCHMARK(ベンタナ・メディカル・システムズ社)、ライカ BOND及びLab Vision Autostainer(Thermo Scientific)が含まれる。また、自動染色装置(自動スライド染色機)は、PrichardによるOverview of Overview of Automated Immunohistochemistry, Arch Pathol Lab Med., 第138巻, p. 1578-1582(2014)(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている。更に、ベンタナ・メディカル・システムズ社は、米国特許第5650327号、第5654200号、第6296809号、第6352861号、第6827901号及び第6943029号、並びに米国特許出願公開第20030211630号及び第20040052685号(これらの各々は、全体が本明細書に参照により援用される)を含む複数の米国特許の譲受人である。本発明の方法は、任意の適切な自動染色装置(又は自動スライド処理装置)で行われるように適合され得る。
【0109】
自動IHC/ISHスライド染色機は典型的には、スライド上に染色プロトコールを実行するための試薬を分配するための染色ユニットを少なくとも含む。市販の染色装置は通常、次の原理のうちの1つで動作する:(1)スライドが水平に配置され、試薬が、組織試料を含むスライドの表面にパドル(puddle)として分配される開放型個別スライド染色(open individual slide staining)(例えばダコ AUTOSTAINER Link 48(アジレント・テクノロジー)及びintelliPATH(バイオケアメディカル)染色機に実装されている);(2)試薬を試料上に堆積させた不活性流体層で覆うか又はそれを通じて分配する液体オーバーレイ技術(例えばBenchMark及びVENTANA DISCOVERY染色機で実装されている);(3)スライド表面を別の表面(別のスライド又はカバープレート)の近くに平行に配置して狭い隙間を作り、それを通して毛管力が液体試薬を吸い上げて試料との接触状態を保つキャピラリーギャップ染色(例えばダコ TECHMATE、ライカ BOND、及びダコ OMNIS染色機で用いられている染色の原理)。キャピラリーギャップ染色を何回か繰り返しても、隙間内の流体は混ざらない(例えばダコ TECHMATE及びライカ BONDで)。キャピラリーギャップ染色のいくつかの変形形態では、スライドと曲面の間に隙間ができ、互いに対向する表面の動きが混合をもたらすトランスレーティングギャップ技術(translating gap technology)(米国特許第7820381号参照)及び、スライドに試料を適用するためにキャピラリーギャップ染色と同様の毛管力を利用し、次に試薬の混合を行うために互いに平行な対向表面を移動させてインキュベーション中に試薬を攪拌するダイナミックギャップ染色(dynamic gap staining)(例えば、DAKO OMNISスライド染色機(アジレント)に実装されている染色原理)などのように、試薬が隙間内で混合される。最近、スライド上に試薬を堆積させるためにインクジェット技術を使用することが提案されている。国際公開第2016-170008号参照。この染色原理のリストは網羅的なものではなく、本方法及びシステムは、適切な試薬を試料に適用するために使用することができる任意の染色技術(既知のもの及び将来開発されるものの両方)を含むことが意図されている。
【0110】
本発明は、自動システムに適用される方法に限定されない。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、手動で適用される。
【0111】
本発明をいかなる理論又は機構にも限定することを望むものではないが、標的分子のシグナル及び発現レベルの定量化を提供する本発明の方法は、バイナリ(プラス又はマイナス)結果を生成する従来の方法と比較して、患者に更なる予後値及び/又は予測値を提供するのに役立ち得る。更に、本発明の方法は、IHCアッセイの標準化を提供し得る。本発明の方法は、複数の標的分子に使用することができる。
【0112】
画像処理及び解析
組織切片の染色後、試料は、画像取得、画像処理及び解析を受ける。
【0113】
デジタル画像取得システムは、例えばスライドスキャナを含む、20倍、40倍又は他の倍率で染色スライドをスキャンして高解像度のスライド全体のデジタル画像を生成することができる、スライドスキャナなどのスキャニングプラットフォームを含んでもよい。基本的なレベルでは、典型的なスライドスキャナは、少なくとも(1)対物レンズを備えた顕微鏡、(2)光源(色素に応じて、ハロゲン、発光ダイオード、白色光及び/又はマルチスペクトル光源など)、(3)スライドガラスを動かす(又はスライドの周囲光学系を動かす)ためのロボット、(4)画像取得用の1台以上デジタルカメラ、(5)ロボットを制御し、かつ、デジタルスライドを操作、管理及び表示するためのコンピュータ及び付属のソフトウェアを含む。スライド上の複数の異なるXY位置(また、場合によっては複数のZ面)のデジタルデータは、カメラの電荷結合素子(CCD)によって取得され、画像が結合されて、スキャン面全体の合成画像が生成される。これを達成するための一般的な方法には以下が含まれる:(1)スライドステージ又は光学系をごくわずかずつ動かして、隣接する正方形とわずかに重なる正方形の画像フレームを取得する、タイルベースのスキャニング。取得された四角形は、自動的に互いにマッチングされて合成画像を構築する;及び(2)スライドステージを取得中に1つの軸に沿って動かし、複数の合成画像「ストリップ」を取得する、ラインベースのスキャニング。その後画像ストリップは、互いにマッチングされて、より大きな合成画像を生成する。
【0114】
いくつかの実施態様では、撮像装置は、明視野イメージャスライドスキャナであってもよい。一つの明視野イメージャは、ベンタナ・メディカル・システムズ社により販売されているiScan Coreo明視野スキャナである。自動化の実施態様では、撮像装置は、IMAGING SYSTEM AND TECHNIQUESと題された国際出願番号:PCT/US2010/002772(国際公開番号:WO/2011/049608)、又はIMAGING SYSTEMS, CASSETTES, AND METHODS OF USING THE SAMEと題された、2011年9月9日出願の米国特許出願公開第61/533114号に開示されているようなデジタル病理装置である。国際出願番号:PCT/US2010/002772及び米国特許出願公開第61/533114号は、全体が参照により援用される。
【0115】
各種スキャナ(例えば明視野)の詳細な概要は、全体が参照により援用されるFarahani et al., Whole slide imaging in pathology: advantages, limitations, and emerging perspectives, Pathology and Laboratory Medicine Int’l, 第7巻, p. 23-33 (2015年6月)に見出すことができる。市販のスライドスキャナの例には、3DHistech PANNORAMIC SCAN II;DigiPath PATHSCOPE;浜松 NANOZOOMER RS、HT及びXR;Huron TISSUESCOPE 4000、4000XT及びHS;ライカ SCANSCOPE AT、AT2、CS、FL及びSCN400;Mikroscan D2;オリンパス VS120-SL;Omnyx VL4及びVL120;パーキンエルマー LAMINA;フィリップス ULTRA-FAST SCANNER;サクラファインテック VISIONTEK;ユニック PRECICE 500及びPRECICE 600x;VENTANA ISCAN COREO及びISCAN HT;並びにツァイス AXIO SCAN.Z1が含まれる。他の例示的なシステム及び特徴は、例えば、国際公開第2011-049608号又はIMAGING SYSTEMS, CASSETTES, AND METHODS OF USING THE SAMEと題された、2011年9月出願の米国特許出願公開第61/533114号(これらの全体は参照により援用される)に見出すことができる。
【0116】
スキャニングプラットフォームによって生成された画像は、画像解析システムによってアクセス可能なサーバ又はデータベースに転送されてもよい。いくつかの実施態様において、画像は、1つ以上のローカルエリアネットワーク及び/又はワイドエリアネットワークを介して自動的に転送され得る。いくつかの実施態様において、画像解析システムは、スキャニングプラットフォーム及び/又は画像取得システムの他のモジュールと一体化されても、又はそれらに含まれてもよく、その場合、画像を画像解析システムに転送することができる。いくつかの実施態様では、画像取得システムは画像解析システムと通信可能に接続されていなくてもよく、その場合画像は、任意の種類の不揮発性記憶媒体(例えばフラッシュドライブ)に格納することができ、かつ、該媒体から画像解析システムへ、又はそれと通信可能に接続されたサーバ若しくはデータベースへダウンロードすることができる。
【0117】
画像取得システムはまた、(上記のような)自動スライド染色装置又は自動スライド処理システム及び/又は自動H&E染色プラットフォームに一体化されてもよい。
【0118】
単一染色方法(simplex staining method)では、各連続切片上でIHCが実施され、その後それらが個別に撮像される。一旦撮像されると、特徴抽出が実施され、その後の分析のために切片を整列させる。組織切片を整列させるためのソフトウェアは当業者によく知られている。
【0119】
多重染色方法では、IHC及び画像取得は単一の切片に対して実施される。組織切片は複数のバイオマーカー(例えば複数の色素原など)を特徴とするので、様々なシグナルを識別するために画像を処理する。例えば、多重染色組織切片画像の処理は、各バイオマーカーについてデジタル画像をその個々の構成染料に分解すること(スペクトル分離(spectral unmixing)、色分解、カラーデコンボリューション等としても知られている)と、混色中の各染料の割合を得ることとを特徴とし得る。この方法は例えば、デジタル画像を、第1の色素原(第1のバイオマーカー)についての第1の分解画像、第2の色素原(第2のバイオマーカー)についての第2の分解画像などに分解することを含み得る。通常、画像取得はRGBカラー画像を得るが、RGBカラー画像は、下にある共局在化されたバイオマーカー発現が混ざったものである。RGB画像の各画素を構成染色剤の集合とそれらの各々の寄与分とに分解するためのいくつかの技術が提案されてきた。Ruifrokら(Anal. Quant. Cytol. Histol., 2001, 23:291-299)は、RGB画像を最大3つの染色剤に分解する、カラーデコンボリューションと呼ばれる分解方法を開発した。マルチスペクトル画像を分解するための他の方法には、Chen及びSrinivas (Comput Med Imaging Graph, 2015, 46(1):30-39)、Kesheva (Lincoln Laboratory Journal, 2003, 14:55-78)、Greer (IEEE Trans Image Proc., 2012, 221:219-228)、並びにYangら(IEEE Trans. Image Proc., 2011, 20:1112-1125)に記載されているものが含まれる。
【0120】
この分解方法は、染色剤特異的チャンネルを抽出し、組織と染色剤の組み合わせの標準タイプでよく知られている色基準ベクトル(color reference vector)又は基準スペクトルを使用して、個々の染色剤の局所濃度を決定する。スキャンされた画像の各画素は、画像値のベクトル又は色ベクトルによって表され、各染色剤は、色基準ベクトルに対応する。染色剤の局所濃度は、色基準ベクトルの倍率によって表される。したがって、異なる濃度を有する複数の同一場所に位置する染色剤を含む画素の色ベクトルは、存在する染色剤全ての基準スペクトルの線形結合である。明視野(透過)撮像では、染色された組織によって放出される光の強度は光学密度空間に変換され、様々な染色剤の混合は寄与する基準スペクトルの重み付き線形結合によって表される。
【0121】
特定の実施態様では、染色された組織切片は、濃度依存性染色剤(例えば、様々な濃度で様々な色特性を有する染色剤)を含み得る。したがって、組織切片のデジタル画像を分解する方法は、光散乱の影響及び光散乱が(様々な染色剤濃度において)検出光中のRGBチャネルシグナルの割合をどのように変化させ得るかを説明することができる。これは、濃度依存性染色剤のための一組の色基準ベクトルから選択された濃度依存性染色剤のための最適な色基準ベクトルを選択すること(ここで、その組のうちの各色基準ベクトルは、異なる濃度レベルの濃度依存性染色剤を記述するか又は特徴付ける)と、選択された最適な色基準ベクトルを用いて画像を分解することとを特徴とし得る。
【0122】
特定の実施態様では、対象領域(ROI)は、デジタル画像内で手動で識別される。例えば、訓練を受けた専門家は、試料のデジタル画像上に1つ以上の形態学的領域を手動で描写することができる。他の実施態様では、コンピュータ実行システムは、ユーザがROIにアノテーションを付けるのを支援することができる(「半自動ROIアノテーション」という)。例えばユーザは、デジタル画像の1つ以上の領域の輪郭を描き、その後、システムがそれを完全なROIに自動的に変換する。例えば、所望のROIが侵襲性マージン(IM)領域である場合、ユーザは、(例えば輪郭を描くこと、トレースすることによって)IM領域又は全腫瘍(WT)領域を描くことができ、且つ、システムは、コンピュータビジョン及び機械学習を使用してIM領域と同様の形態学的特徴を有する領域を識別するパターン認識機能を適用する。他の多くの構成も同様に使用することができる。ROI生成が半自動化されている場合、ユーザは、例えばROIを拡張すること、解析から除外されるROI又はROI内のオブジェクトにアノテーションを付けること等によって、コンピュータシステムによりアノテーションを付けられたROIを修正するオプションが与えられ得る。他の実施態様では、コンピュータシステムは、ユーザからの直接の入力なしにROIを自動的に提案することができる(「自動ROIアノテーション」という)。例えば、ROIとして使用するための所望の形態学的領域を識別するために、予め訓練された組織セグメンテーション機能又は他のパターン認識機能をアノテーションなしの画像に適用することができる。ユーザは、例えばROIを拡張すること、解析から除外されるROI又はROI内のオブジェクトにアノテーションを付けること等によって、コンピュータシステムによりアノテーションを付けられたROIを修正するオプションが与えられ得る。H&Eスライドの単一連続切片については、腫瘍領域が識別され(アノテーションを付けられ)、そのアノテーションが画像の「登録」と呼ばれるプロセスにおいて他の連続画像に転送され得る。登録は、多重アッセイでも行われ得る。
【0123】
画像解析システムは、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、サーバ、特定用途向けコンピュータ装置、又は本明細書に記載の技術及び操作を実行することができる他の任意の種類の電子装置等といった、1つ以上のコンピュータ装置を特徴とし得る。いくつかの実施態様において、画像解析システムは、単一の装置として実装されてもよい。他の実施態様において、画像解析システムは、2つ以上の装置の組み合わせとして実装されてもよい。例えば、画像解析システムは、1つ以上のローカルエリアネットワーク及び/又はインターネットなどのワイドエリアネットワークを介して互いに通信可能に接続された、1台以上のサーバコンピュータと1台以上のクライアントコンピュータとを含み得る。
【0124】
画像解析システムは、メモリ、プロセッサ及びディスプレイを含み得る。メモリは、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)などの読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、ハードドライブ、SSD(ソリッドステートドライブ)、光ディスク等、任意の種類の揮発性又は不揮発性メモリの任意の組み合わせを含み得る。プロセッサは、例えば中央演算処理装置(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、特殊目的のシグナル又は画像プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)等、任意の種類の1つ以上のプロセッサを含み得る。
【0125】
ディスプレイは、LCD、LED、OLED、TFT、プラズマ等、任意の適切な技術を用いて実装することができる。いくつかの実装形態では、ディスプレイは、タッチセンサーディスプレイタッチスクリーン)であってもよい。
【0126】
画像解析システムはまた、オブジェクト識別子、関心領域(ROI)生成器、ユーザインタフェースモジュール及びスコアリングエンジンも含み得る。各モジュールを複数のサブモジュールとして実装することもできること、また、任意の2つ以上のモジュールを単一のモジュールに組み合わせることも可能なことを当業者は理解することができる。更に、いくつかの実施態様では、システムは、追加のエンジン及びモジュール(例えば入力装置、ネットワーキング及び通信モジュール等)を含み得る。本明細書に開示のモジュールを実装するのに有用な、例示的な市販のソフトウェアパッケージには、VENTANA VIRTUOSO;DefiniensのTISSUE STUDIO、DEVELOPER XD、及びMAGE MINER;並びにVisopharm BIOTOPIX、ONCOTOPIX、及びSTEREOTOPIXソフトウェアパッケージが含まれる。
【0127】
画像を取得した後、画像解析システムは、画像をオブジェクト識別子に渡すことができるが、このオブジェクト識別子は、後でスコアリングに使用される画像内の関連オブジェクト及び他の特徴を識別及びマークするために機能する。本発明において、バイオマーカーは、定量化可能な点状ドットとして現れる。したがって、画像解析において識別されるオブジェクトは、ROI内の点状ドットである(例えば腫瘍全体、侵襲性マージン、腫瘍コア、腫瘍周辺領域等.)。
【0128】
オブジェクト識別子とROIのアノテーション(ROI生成器)は、任意の順序で実装することができる。例えば、オブジェクト識別子は、最初に画像全体に適用されてもよい。識別されたオブジェクトの位置及び特徴は、ROI生成器が実装されるときに記憶され、呼び出され得る。スコアは、ROIの生成と同時にスコアリングエンジンによって生成され得る。或いは、ROI 生成器を最初に実装することができる。この場合、オブジェクト識別子は、ROI上にのみ実装されても、又は画像全体に実装されてもよい。 オブジェクト識別子及びROI生成器を同時に実装することも可能である。
【0129】
オブジェクト識別子とROI生成器の両方が実装された後で、スコアリングエンジンが実装される。
【0130】
図6は、従来の方法を用いたびまん性染色と比較して、本発明の方法(qIHC)を用いて発現レベルが低から中程度のHER2で観察された点状ドットシグナル(下のパネル)を示している。びまん性染色は組織試料のより広い領域を覆うので、点状ドットはびまん性染色とは異なる。本明細書の方法は、組織切片中に標識された1以上のバイオマーカーについて点状ドットシグナルを使用する、組織切片のスコアリングを提供する。例えば、画像解析ソフトウェアは、定量化されたバイオマーカー(オブジェクト・メトリック)を所定のスコアリング関数に入力して、組織切片についてのスコアを得ることができる。
【0131】
本発明はまた、本明細書に記載の自動システムと共に使用するためのコンピューティングシステム及びコンピュータアルゴリズムを提供する。
【実施例0132】
実施例1
実施例1は、本発明の方法を用いた一連の実験を記載している。本発明は、本明細書に記載の方法、システム及び組成物に限定されない。
【0133】
実験1:V5エピトープタグ4B5抗Her2ウサギモノクローナル抗体+マウス抗V5-HRPコンジュゲート+チラミド-DIG+マウス抗DIG-HRPコンジュゲート+銀色素原を含む高感度検出システム(本発明の方法)を組み立てた。各組織試料中の、Her2発現細胞に結合した抗Her2抗体の特異的(バックグラウンドがほとんど又は全くない)且つ高感度な検出を可能にする抗V5-HRPコンジュゲート濃度の決定は、滴定実験を用いて達成された。扁桃及びHer2 3in1異種移植片スライドを、V5エピトープタグ4B5抗Her2ウサギモノクローナル抗体又は陰性コントロール(抗体希釈剤)及び様々な濃度の抗V5-HRPコンジュゲートを用いて染色した。チラミド-DIG+マウス抗DIG-HRPコンジュゲート+銀色素原試薬(マウス抗V5-HRPコンジュゲートは省いた)に対する特異性(バックグラウンドシグナルがほとんど又は全くない)を実証するために同様の実験を行った。
【0134】
実験2:最適な試薬濃度並びに57つの扁桃及び5つのHer2 3in1異種移植片スライドを用いて実験1を繰り返した。結果は、RTD OptiView amp DAB 検出システムと比較して、高感度検出システム(本発明の方法)の感度の増加を実証した。
【0135】
実験3:点状ドットシグナルを発生させるために銀色素原をチラミド-ローダミン染料で置き換える有用性を評価するために実施した実験。V5エピトープタグ4B5抗Her2ウサギモノクローナル抗体+マウス抗V5-HRPコンジュゲート+チラミド-DIG+マウス抗DIG-HRPコンジュゲート+チラミド-ローダミン染料色素原を含む高感度検出システム(本発明の方法)を利用し、扁桃及びHer2 3in1異種移植片スライドを染色した。一次抗体スライドは、陰性コントロールスライドとして役立たたなかった。3つの異なるチラミド-ローダミン染料色素原(チラミド-ローダミン6G、チラミド-テトラメチルローダミン(TAMRA)、及びチラミド-スルホローダミン101(テキサスレッド)について点状ドットシグナルが観察された。点状ドットシグナルを発生させる有用性は、コンピュータアルゴリズムを使用して分解可能な狭い吸光度スペクトルを有する色素原染料用いて、高感度タンパク質検出システムを多重システムに適合させる能力を示唆する。
【0136】
実験4:分泌タンパク質因子の検出のための高感度タンパク質検出システム(本発明の方法)の有用性を評価するために実施した実験。白血球(T細胞)生物学及び炎症過程におけるその十分に裏付けられた生物学的役割のために、インターフェロンガンマ(IFNg)がモデル分泌因子として選択された(反応性扁桃組織においてT及びNKT細胞によって発現される可能性がある)。ポリクローナル天然(未修飾)ウサギ抗ヒトIFNgを購入し(Abcam)、ヒト3つのヒト扁桃組織(推定陽性試料)及びHer2 3in1異種移植片組織(異種移植片組織が、T及びNKT細胞を欠く免疫不全(SCID)マウス内で増殖したヒトがん細胞株からなるため、推定陰性コントロール)を染色するために使用した。高感度検出システム(本発明の方法)を用いたウサギ抗体の高感度且つ特異的な検出のためのRTD OmniMapポリクローナルヤギ抗ウサギHRPコンジュゲートの適切な濃度を決定するために、滴定実験を事前に行った(チラミド-DIG+マウス抗DIG-HRPコンジュゲート+銀色素原);市販の0.25xの試薬はバックグラウンドシグナルをほとんど又は全く生じなかった)。免疫細胞から分泌されたIFNgの検出のための高感度システムの有用性は、少数の細胞の周囲の強いシグナル及び他の細胞から出る、比較的びまん性のシグナルとして観察された。分泌因子の検出のためのこの技術の特異性は、大多数の扁桃細胞におけるシグナルの欠如及びHer2 3in1異種移植片組織でのシグナルの欠如によってサポートされた。
図7は、従来のIHC法(上のパネル)及び本発明の方法であるqIHC(下のパネル)を用いた、反応性扁桃中のIFNgの免疫組織化学の結果を示す。従来の方法を用いたびまん性染色と比較して、本発明の方法(qIHC)を用いて観察されたIFNガンマの点状ドットシグナルに注目されたい。これは、本発明の方法が分泌標的分子に使用され得ることを示唆する。
【0137】
実験5:高感度タンパク質検出技術(本発明の方法)が単一タンパク質分子に結合した個々の抗体の検出を可能にするという仮説を試験するために実施した実験。以下の試薬を含む二色検出システムを組み立てた:V5エピトープタグ4B5抗Her2ウサギモノクローナル抗体+マウス抗V5-HRPコンジュゲート+チラミド-DIG+マウス抗DIG-HRPコンジュゲート+チラミド-TAMRA色素原(赤色シグナル)及びE2エピトープタグ4B5抗Her2ウサギモノクローナル抗体+ウサギ抗E2-HRPコンジュゲート+チラミド-NP+マウス抗NP-HRPコンジュゲート+銀色素原(黒色シグナル)。事前に実験を実施して、V5及びDIG検出試薬構成を最適化するために使用されたものと同じモデルを使用して、高感度且つ特異的なシグナルの発生のためのE2-HRP及びNPベースの検出試薬の適切な濃度を決定した。単一タンパク質分子に結合した個々の抗体からシグナルを発生させるための高感度検出技術(本発明の方法)の有用性は、扁桃又はHer2 3in1異種移植片組織(ZR75.1異種移植片)内のHer2発現細胞における個々の黒色又は赤色シグナルの発生によってサポートされた。
【0138】
実施例2
図9について、多重染色アッセイを使用して、Her2について扁桃組織を染色した。マウス抗V5-HRP+チラミド-DIG+マウス抗DIG-HRP+チラミド-TAMRA色素原(桃色)を用いて、V5エピトープタグ抗Her2モノクローナル抗体4B5を染色した。マウス抗E2-HRP+チラミド-NP+マウス抗NP-HRP+銀色素原(黒色))を用いて、V5エピトープタグ抗Her2モノクローナル抗体4B5を染色した。V5抗Her2モノクローナル抗体とE2タグ4B5抗Her2モノクローナル抗体は標的Her2タンパク質中の同じアミノ酸配列について競合し、検出を実行する前に一緒にインキュベートしたことに留意されたい。単一の桃色の点状ドットシグナルは、標的に結合した個々の単一V5-標識4B5 mAbに由来する可能性が高く、各抗体は単一のHer2タンパク質にのみ結合する可能性が高い。
図9は、個々のエピトープに結合した個々の抗体の検出(例えば単一タンパク質分子検出)と一致している。
図10は、アッセイの特異性を実証する、扁桃組織におけるHer2タンパク質の検出を示す。左のパネルはコントロール試料を示し、右のパネルはHer2について染色された試料を示す。使用した検出システムは、OmniMap xRBT-HRP(0.25x)、tyr-DIG、xDIG-HRP、及び銀(Ag)であった。
【0139】
本明細書に記載されるもの以外に、上記説明から当業者には本発明の種々の修正例が明らかである。このような修正例も、特許請求の範囲に含まれることが意図される。本明細書に引用される各参照文献は、内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【0140】
本発明の好ましい実施態様が示され、記載されているが、当業者には、それらに添付の特許請求の範囲を超えない修正がなされてもよいことが容易に明らかである。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲で列挙される参照番号は、例示的且つ特許事務所のレビューを容易にするためだけのものであり、決して限定的ではない。いくつかの実施態様において、この特許出願に提示される図は、角度、寸法比等を含め、縮尺通りに描かれている。いくつかの実施態様において、図は代表的であるのみであり、特許請求の範囲は図の寸法により制限されない。いくつかの実施態様において、語句「含む」を使用する本明細書に記載される発明の説明は、「から成る」として記載することのできる実施態様を含み、したがって、用語「から成る」を使用する本発明の一又は複数の実施態様を主張するためのそのような書面の説明要件が満たされる。
本発明の好ましい実施態様が示され、記載されているが、当業者には、それらに添付の特許請求の範囲を超えない修正がなされてもよいことが容易に明らかである。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲で列挙される参照番号は、例示的且つ特許事務所のレビューを容易にするためだけのものであり、決して限定的ではない。いくつかの実施態様において、この特許出願に提示される図は、角度、寸法比等を含め、縮尺通りに描かれている。いくつかの実施態様において、図は代表的であるのみであり、特許請求の範囲は図の寸法により制限されない。いくつかの実施態様において、語句「含む」を使用する本明細書に記載される発明の説明は、「から成る」として記載することのできる実施態様を含み、したがって、用語「から成る」を使用する本発明の一又は複数の実施態様を主張するためのそのような書面の説明要件が満たされる。
<さらなる実施態様>
[実施態様1]
a.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の標的タンパク質バイオマーカーに対するシグナルを増幅する方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
[実施態様2]
試料が組織試料である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、実施態様2に記載の方法。
[実施態様4]
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様1-3のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様5]
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様4に記載の方法。
[実施態様6]
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、実施態様1-5のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様7]
一次抗体が天然の未修飾抗体である、実施態様6に記載の方法。
[実施態様8]
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、実施態様6又は7に記載の方法。
[実施態様9]
第2の結合剤が二次抗体を含む、実施態様1-8のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様10]
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、実施態様1-9のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様11]
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、実施態様10に記載の方法。
[実施態様12]
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、実施態様1-11のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様13]
第3の結合剤が三次抗体を含む、実施態様1-12のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様14]
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、実施態様13に記載の方法。
[実施態様15]
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、実施態様1-14のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様16]
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様17]
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、実施態様1-16のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様18]
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、実施態様1-17のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様19]
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、実施態様1-18のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様20]
a.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的なポリクローナル第2結合剤を適用することであって、ポリクローナル第2結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の標的タンパク質バイオマーカーに対するシグナルを増幅する方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
[実施態様21]
試料が組織試料である、実施態様20に記載の方法。
[実施態様22]
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、実施態様21に記載の方法。
[実施態様23]
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様20-22のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様24]
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様23に記載の方法。
[実施態様25]
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、実施態様20-24のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様26]
一次抗体が天然の未修飾抗体である、実施態様25に記載の方法。
[実施態様27]
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、実施態様25又は26に記載の方法。
[実施態様28]
第2の結合剤が二次抗体を含む、実施態様20-27のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様29]
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、実施態様20-28のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様30]
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、実施態様29に記載の方法。
[実施態様31]
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、実施態様20-30のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様32]
第3の結合剤が三次抗体を含む、実施態様20-31のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様33]
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、実施態様32に記載の方法。
[実施態様34]
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、実施態様20-33のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様35]
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、実施態様34に記載の方法。
[実施態様36]
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、実施態様20-35のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様37]
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、実施態様20-36のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様38]
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、実施態様20-37のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様39]
a.組織試料を脱パラフィン化試薬で処理すること;
b.組織試料を抗原回復試薬で処理すること;
c.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を組織試料に適用すること;
d.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
e.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
f.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
g.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料中の標的タンパク質バイオマーカーに対するシグナルを増幅する方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
[実施態様40]
標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を適用する前に、組織試料をプロテアーゼで処理することを更に含む、実施態様39に記載の方法。
[実施態様41]
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様39又は40に記載の方法。
[実施態様42]
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様41に記載の方法。
[実施態様43]
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、実施態様39-42のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様44]
一次抗体が天然の未修飾抗体である、実施態様43に記載の方法。
[実施態様45]
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、実施態様43又は44に記載の方法。
[実施態様46]
第2の結合剤が二次抗体を含む、実施態様39-45のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様47]
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、実施態様39-46のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様48]
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、実施態様47に記載の方法。
[実施態様49]
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、実施態様39-48のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様50]
第3の結合剤が三次抗体を含む、実施態様39-49のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様51]
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、実施態様50に記載の方法。
[実施態様52]
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、実施態様39-51のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様53]
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、実施態様52に記載の方法。
[実施態様54]
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、実施態様39-53のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様55]
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、実施態様39-54のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様56]
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、実施態様39-55のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様57]
a.標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の標的タンパク質バイオマーカーを検出するための定量的免疫組織化学(IHC)の方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
[実施態様58]
試料が組織試料である、実施態様57に記載の方法。
[実施態様59]
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、実施態様58に記載の方法。
[実施態様60]
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様57-59のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様61]
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様60に記載の方法。
[実施態様62]
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、実施態様57-61のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様63]
一次抗体が天然の未修飾抗体である、実施態様62に記載の方法。
[実施態様64]
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、実施態様62又は63に記載の方法。
[実施態様65]
第2の結合剤が二次抗体を含む、実施態様57-64のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様66]
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、実施態様57-65のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様67]
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、実施態様66に記載の方法。
[実施態様68]
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、実施態様57-67のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様69]
第3の結合剤が三次抗体を含む、実施態様57-68のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様70]
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、実施態様69に記載の方法。
[実施態様71]
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、実施態様57-70のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様72]
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、実施態様71に記載の方法。
[実施態様73]
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、実施態様57-72のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様74]
2つ以上の標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、実施態様57-73のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様75]
標的タンパク質バイオマーカーが分泌分子である、実施態様57-74のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様76]
a.分泌標的タンパク質バイオマーカーに特異的なバイオマーカー特異的薬剤を試料に適用すること;
b.試料にバイオマーカー特異的薬剤に特異的な第2の結合剤を適用することであって、第2の結合剤は二次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;
c.試料に、チラミドハプテンとコンジュゲートしたチラミド分子を含むチラミド剤を適用することであって、二次酵素が第2の結合剤の位置でチラミドハプテンの試料への付着を触媒する、適用すること;
d.試料にチラミドハプテンに特異的な第3の結合剤を適用することであって、第3の結合剤は三次酵素とコンジュゲートされる、適用すること;及び
e.試料に検出可能部分を適用することであって、三次酵素が検出可能部分との反応を触媒して検出可能部分を可視化する、適用すること;
を含む、試料中の分泌標的タンパク質バイオマーカーの定量的免疫組織化学(IHC)の方法であって、それによって検出可能部分が明視野顕微鏡法を用いて点状ドットとして可視化され、点状ドットが分泌標的タンパク質バイオマーカーを示している方法。
[実施態様77]
試料が組織試料である、実施態様76に記載の方法。
[実施態様78]
組織試料がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料である、実施態様77に記載の方法。
[実施態様79]
標的タンパク質バイオマーカーがタンパク質、炭水化物、核酸、脂質、翻訳後修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様76-78のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様80]
翻訳後修飾がリン酸修飾、ゲラニル修飾、アセチル修飾、ユビキチン修飾、炭水化物修飾、カルバミル修飾又はこれらの組み合わせを含む、実施態様79に記載の方法。
[実施態様81]
バイオマーカー特異的薬剤が一次抗体を含む、実施態様76-80のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様82]
一次抗体が天然の未修飾抗体である、実施態様81に記載の方法。
[実施態様83]
一次抗体がモノクローナル又はポリクローナルである、実施態様81又は82に記載の方法。
[実施態様84]
第2の結合剤が二次抗体を含む、実施態様76-83のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様85]
二次酵素がオキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ又はペルオキシダーゼを含む、実施態様76-84のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様86]
ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を含む、実施態様85に記載の方法。
[実施態様87]
チラミドハプテンがビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、ニトロピラゾール(NP)、ベンゾフラザン(BF)、ベンゾダザピン(BD)、ニトロシンアミド(NCA)又はジニトロフェニル(DNP)を含む、実施態様76-86のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様88]
第3の結合剤が三次抗体を含む、実施態様76-87のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様89]
三次抗体がモノクローナル抗体を含む、実施態様88に記載の方法。
[実施態様90]
検出可能部分が銀又はチラミドローダミン染料を含む、実施態様76-89のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様91]
チラミドローダミン染料がローダミン110、ローダミン6G、テトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミンB、スルホローダミン101(テキサスレッド)又はこれらの組み合わせを含む、実施態様90に記載の方法。
[実施態様92]
検出可能部分がDAB、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットを含む、実施態様76-91のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様93]
2つ以上の分泌標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重免疫組織化学(IHC)アッセイに適用される、実施態様76-92のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様94]
分泌標的タンパク質バイオマーカー及び1つ以上の更なる標的タンパク質バイオマーカーが検出及び識別される多重IHCアッセイを可能にする、実施態様76-93のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様95]
自動化されている、実施態様1-94のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様96]
自動染色機で実行される、実施態様1-95のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様97]
手動である、実施態様1-94のいずれか一項に記載の方法。
[実施態様98]
実施態様1-94のいずれか一項に記載の方法を実行するための自動染色機。
[実施態様99]
プロセッサに接続されたメモリを備える自動染色装置であって、メモリが、プロセッサによって実行されると、実施態様1-75のいずれか一項に記載の方法のための動作を自動染色装置に実行させるコンピュータ可読命令を記憶する、自動染色装置。
[実施態様100]
実施態様1-94のいずれか一項に記載の方法を実行するための、スライドホルダー、試薬及びディスペンサーを備える自動システム。
[実施態様101]
プロセッサに接続されたメモリを備えるシステムを更に含み、メモリが、プロセッサによって実行されると、実施態様1-66のいずれか一項に記載の方法のための動作を自動システムに実行させるコンピュータ可読命令を記憶する、実施態様100に記載のシステム。
[実施態様102]
ディスペンサーがスライドホルダー内のスライド上に試薬を分配するように適合されている、実施態様100又は101に記載のシステム。
[実施態様103]
a.患者の腫瘍から組織切片を調製すること;
b.実施態様1-97のいずれか一項に記載の標的タンパク質バイオマーカーについて組織切片を組織化学的に染色することであって、標的タンパク質バイオマーカーは点状ドットとして現れる、染色すること、
c.(b)の染色された組織切片のデジタル画像を取得すること;
d.染色された組織切片中の対象領域(ROI)を同定し、標的タンパク質バイオマーカーに対応するROI中の点状ドットを定量すること;
e.定量化された点状ドットに所定のスコアリング関数を適用すること
を含むワークフロー方法。
[実施態様104]
a.実施態様1-97のいずれか一項に記載の第2の標的タンパク質バイオマーカーについて組織切片を染色することであって、標的タンパク質バイオマーカーは点状ドットとして現れる、染色すること
b.(a)の染色された組織切片のデジタル画像を取得すること;
c.染色された組織切片中の対象領域(ROI)を同定し、標的タンパク質バイオマーカー及び第2の標的タンパク質バイオマーカーに対応するROI中の点状ドットを定量すること;
d.定量化された点状ドットに所定のスコアリング関数を適用すること
を更に含む、実施態様103に記載の方法。