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特開2024-69228視神経を刺激するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069228
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】視神経を刺激するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61F9/007 190B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024022319
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2019568145の分割
【原出願日】2018-06-08
(31)【優先権主張番号】102017112694.5
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】LU100280
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】519434547
【氏名又は名称】ドパビジョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ハメド バフマニー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ミュシェンニヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ラウトナー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの1つ又は複数の目(300)に光を当てるための方法及びデバイスを提供すること。
【解決手段】本方法は、1つ又は複数の目(300)の網膜(320)上の視神経乳頭(330)の位置を特定することと、視神経乳頭(330)に光を選択的に当て、視神経乳頭(330)を刺激することとを含む。また1つ又は複数の目(300)に光を選択的に当てるためのデバイスであって、光を放射するための光放射源と、1つ又は複数の目(300)の網膜(320)上の視神経乳頭(330)の位置を特定するための識別器と、放射光を前記視神経乳頭(330)に選択的に当てるように適合された光学システムと、を備える
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの1つ又は複数の目(300)に光を当てるための方法であって、
前記1つ又は複数の目(300)の網膜(320)上の視神経乳頭(330)の位置を特定すること(110)と、
前記視神経乳頭(330)を刺激するために、前記視神経乳頭(330)に前記光を選択的に当てること(115)と、を含む方法。
【請求項2】
前記光が360~540nmの範囲の波長を有するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特定すること(110)は、前記1つ又は複数の目(300)の前記網膜(320)に当てられる刺激光に前記ユーザを暴露することと、前記刺激光を知覚したことを監視することと、又は前記網膜(320)をマッピングすることと、のうち少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記光が、LED源、レーザーエミッタ又はディスプレイデバイスのうちの1つから放射される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記目(300)の少なくとも1つの視野を制限することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ又は複数の目(300)の瞳孔の位置、又は、前記1つ又は複数の目(300)の視界の方向のうち、少なくとも1つを監視することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光の組成を適合させることを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の目(300)の他の部分に、前記光を選択的に当てることを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
近視の治療のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項10】
ユーザの1つ又は複数の目(300)に光を選択的に当てるためのデバイスであって、
前記光を放射するための光放射源(34)と、
前記1つ又は複数の目(300)の網膜(320)上の視神経乳頭(30)の位置を特定するための識別器と、
放射光を前記視神経乳頭(330)に選択的に当てるように適合された光学システムと、を備えるデバイス。
【請求項11】
視界を制限するデバイスを更に備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記光が360~540nmの範囲の波長を有するように選択される、請求項10又は11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記識別器が、前記1つ又は複数の目(300)の前記網膜(330)をマッピングするためのデバイスを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記光放射源(34)が、LED源、レーザーエミッタ又はディスプレイデバイスのうちの1つである、請求項10~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記1つ又は複数の目(300)の瞳孔の位置、又は、前記1つ又は複数の目(300)の視界の方向のうち、少なくとも1つを監視するためのアイトラッキングシステム、又は電気記録システムを更に備える、請求項10~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記光放射源(34)が、前記光の組成を変更するように適合される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記光学システムが更に、前記1つ又は複数の目(300)のその他の部分に前記放射光を追加的に当てる、請求項10~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記光放射源(34)の位置を変えるための1つ又は複数のアクチュエータを更に備える、請求項10~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記光学システムが、前記1つ又は複数の目(300)の瞳孔の位置、又は、前記1つ又は複数の目(300)のうちの1つの視界の方向のうち、少なくとも1つに適合する、請求項10~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その双方が2017年6月8日に出願された、ルクセンブルグ特許出願第100280号明細書及び独国特許出願第10 2017 112 694.5号明細書の優先権を主張するものである。これらの用途の開示は、その内容を参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、視神経を刺激するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
24時間の明暗(LD)サイクルは、地球環境の基本的特性であり、そのため、動物及びヒトの行動及び生理学におけるこのLDサイクルの影響は驚くべきものではない。ヒトにおける大部分の生化学的、生理学的及び行動学的な可変性は、そのような周期的な基準で変動しており、これを「概日リズム」と称する。この概日タイミングシステムは、身体が夜明け及び夕暮れの開始を予測し、それに応じて身体の生理学的及び行動学的システムを調整することを可能にする。時間の経過による多様な生理学的プロセスの内部協調と同様に、肉体と外部環境との間で時間的同期を維持する概日時計によって、これらの日周リズムが時間的に構成されることが現在確認されている。
【0004】
LDサイクルは、身体の概日時計を同期させる主要な環境要因である。概日リズムを同調させる自然のLDサイクルの能力は、光に対して概日時計が応答することに基づく。
【0005】
我々の目は、LDサイクルを身体の概日リズムと同期させるための、そのような明暗同調因子信号に対しての最も一般的な入力である。網膜によって受けた光は更に、脳によって処理され、概日リズムを同期させる。哺乳類では、網膜視床下部路(RHT)と称する神経路が、明暗環境についての情報を網膜から視交叉上核(SCN)に直接伝える。SCNは、明から闇への移行を示す、伝達される明暗同調因子信号を、網膜神経節細胞(RGC)からRHTを介して受ける視床下部内の一群の細胞であり、内分泌腺及び神経経路を介して身体の様々なシステムに明暗同調因子信号を分配し、様々なシステムが昼と夜との同期を保つことを確実にしている。これらの経路が阻害されると、身体の休息活動サイクルはLDサイクルに同期されない。
【0006】
位相のずれた光因子(light cue)が正常な概日リズムを中断する場合があるということが知られている。例えば、生物学的昼の遅い時間、夕暮れごろの光の暴露は、夜行性動物の活動の開始を遅らせ、昼行性動物が不活動になる開始を遅らせることになる。生物学的昼の早い時間(夜明け)における光暴露は、昼行性種の活動の開始を前進させ、夜行性種の睡眠の開始を前進させる。この光の位相変位効果は、概日位相に依存し、ヒトを含む動物における行動の時間的構成において重要な役割を果たす光の非イメージ形成効果であることは明らかである(Dijk & Archer, “Light, Sleep, and Circadian Rhythms: Together Again”, PLOS Biology, vol. 7, issue 6, el000145, June 2009)。
【0007】
目に届いている光が、位相がずれているか、又は自然のLDサイクルを破壊する望ましくない人工光である場合、身体の多くの生理機能が影響を受ける。そのような場合、LDサイクルを再調整するために光療法が効果的であることが示されている。光療法(光線療法とも呼ばれている)は、所定の時間量の間、場合によっては特定の昼の時刻において、特定のスペクトルを有する、及び/若しくは特定の光の輝度を有する光、日光又は人工光に暴露することからなる。
【0008】
元来、科学者達は、概日リズムに対する光の効果は、その他の非イメージ形成効果と同様、視覚を媒介する古典的な光受容体によって媒介されるものであるという暗黙の信念を持っていた。その時に公知の光受容体が欠損したマウスにおいて非イメージ形成応答が実証されたとき、この見解は打ち砕かれた。光は概日位相変位反応を依然として誘発し、ホルモンであるメラトニンが抑制された。メラトニンは、松果体の主要なホルモンであり、光及び暗闇の持続時間によって制御される多くの生物学的機能、特にそれらの生理機能のタイミングを媒介している。光誘発されたメラトニンの抑制は、以前に、何人かの視覚障害者に残存していることが示されていた。これらのデータ、並びにヒトにおいても非イメージ形成応答のスペクトル感度が視覚応答と異なっていたという実証は、新規な光受容体システムの存在と一致しており、その後メラノプシンと特定された。
【0009】
感光色素であるメラノプシンは、ヒト及びその他の動物の内網膜で、特に、内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)と呼ばれる神経節細胞のサブクラス内で発現される。メラノプシンは、青色光に対して最も感受性があるが、可視スペクトルの光のその他の波長に対しても感受性がある。この非視覚の光応答は、多くの非視覚的機能における概日同調に不可欠である。これらの非視覚的機能には、睡眠/覚醒状態(メラトニン合成)、瞳孔の対光反射、認知能力、気分、自発運動、記憶、身体温度などが挙げられる。SCNを介してipRGCを間接的に入力することにより、松果体における光感受性のメラトニン生成抑制が調節される。メラノプシンをコードする遺伝子Opn4を欠損したマウスでは、光に応答する位相変位、瞳孔の収縮及び活動性の急激な抑制が、全て弱められている。Opn4遺伝子と同様に、桿体及び錐体を消滅させると、全ての周知のイメージ形成及び非イメージ形成効果が消滅し、古典的光受容体システム及び新規な光受容体システムの両方が、これらの応答に寄与しているということを実証する。
【0010】
ヒトの目は、約380nm~約780nmの範囲内の波長を見ることができる。この可視光スペクトル内では、ある波長は目に対して急性的又は累積的な光損傷を引き起こす恐れがある一方、その他の波長はヒトの生体リズムを同期させるために必要とされている。歴史的に、光治療は周囲光及び/又は専用作業光を介して目を通じて適用されてきた。従来の照明システムによる治療を提供することは、提供された光の視覚効果(例えば、光のイメージ形成機能)と、提供された光の非視覚効果(例えば、概日リズムを制御する非イメージ形成機能)とを分けるか又は区別するものではない。生成された光は全て目によって知覚されるためである。
【0011】
この療法のために使用される光治療及び装置の使用について説明する多くの特許文献が公知である。例えば、国際公開第2016/162554(A1)号パンフレットには、光に関連した障害を治療するのに有用であると主張される導波路を通じて、目に対して光を放射するヘッドマウントディスプレイデバイスが開示されている。このディスプレイデバイスは、ipRGCに最適な効果のある波長によって、目に対して放射される光の波長を調整するコントローラモジュールを有する。しかしながら、このデバイスは、目における非イメージ形成受容体とイメージ形成光受容体とを区別する方法を含まない。
【0012】
国際公開第2010/076706(A1)号パンフレットは、被験者に光療法を施すためのより具体的なアプローチを教示するものであるが、この開示の方法は、LDサイクルにおける特別な時間枠、即ち、睡眠中又は入眠の直前などに限られている。したがって、開示された実施形態は睡眠マスクの形態をとっている。
【0013】
国際公開第2014/172641号パンフレット(Iridex社)では、標的の眼球組織の温度上昇を制限するために、熱緩和時間の遅延を伴って、複数の標的位置で眼球組織に対し一連の短時間の光パルスを網膜手術中に施すことを教示している。この特許出願では、視神経乳頭(optical disk)を標的とするためのシステムの使用の教示がない。
【0014】
米国特許出願公開第5923398(A)号明細書は、非視覚刺激に対して、インタラクティブ・ライトフィールドにより周辺光の治療を導入することによって、より実用的なアプローチを開示するものであり、周辺網膜が意識的な視覚にそれほど関わっておらず、したがって、正視をあまり悪化させないという事実を利用している。しかしながら、その複雑な設計にも関わらず、この特許文献で教示されるデバイスは、目における視覚形成受容体の刺激を完全に排除していない(桿体及び錐体(cons)は、軸外の光子刺激で依然打撃を受ける)。
【0015】
ヒトの視覚系を治療するためのデバイス及び方法は、米国特許出願公開第2007/0182928号明細書(Sabel、Novavision社に譲渡される)より公知である。この方法は、ヒトの視覚系で悪化した視覚の盲目ゾーンを見つけ出し、定義する工程と、盲目ゾーン内に支配的に位置する療法領域を定義する工程と、続いて、ヒトの視覚系に対し視覚刺激を提示することによって、ヒトの視覚系を治療する工程を含む。視覚刺激は、例えばコンピュータスクリーン上に提示される。この特許出願において使用される「盲目ゾーン」という用語は、用語「盲点」又は「視神経乳頭(optical disk)」と同等視されるべきものではなく、この方法には盲点に対して光を選択的に当てることが含まれないということに留意されよう。
【0016】
そして、国際公開第2016/145064(A1)号パンフレットは、アイウェアを使用して、個人の概日機能に対して照明を制御するためのシステム及び方法を開示しているが、この特許文献では光療法と正常な毎日の意識的な視覚の干渉を排除するための方法を教示していない。
【発明の概要】
【0017】
本開示は、視神経を刺激するための装置、システム及び方法について教示するものである。本装置は、1つ又は複数の光放射源、1つ又は複数の光放射源から視神経乳頭に光を送達及び/又は屈折させる光学システムを備える。
【0018】
装置を備えるシステムは、予め定義された、又は個人化されたアルゴリズム、並びに外部パラメータ及び/又は生理学的パラメータからデータを収集するセンサからの入力に基づいて、波長及び光の強度と同様に、刺激の時間的及び空間的パターンを制御するためのプロセッサと、網膜の標的領域に当てるための光線のシステム及び較正を収容するための調節可能な装着型フレームとを更に備える。
【0019】
本方法は、ipRGCのメラノプシン含有軸索が集束する視神経乳頭に光を直接照射することによって、内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)を刺激することを可能にする。
【0020】
本装置及び方法により、薬理学的介入/副作用がなく、目の自然な視覚機能と干渉せず、不可視光の刺激であって、網膜のイメージ形成領域に対して有害でなく、ユーザの注意力及び知覚的能力を損なわない治療が可能となる。
【0021】
本開示の一態様では、ユーザの1つ又は複数の目に対して光を当てるための方法が記載される。本方法は、1つ又は複数の目の網膜上の視神経乳頭の位置を特定することと、視神経乳頭に光を選択的に当て、視神経乳頭を刺激することとを含む。視神経乳頭に光を選択的に当てることにより、網膜のその他の部分に損傷を与えずに、強い光で視神経乳頭を刺激することが可能になる。
【0022】
光は360~540nmの範囲の波長を有するように選択される。本発明の別の態様では、光は480+/-40nmの範囲の波長を有するように選択される。
【0023】
特定することには、1つ又は複数の目の網膜に当てられる刺激光にユーザを暴露すること、刺激光を知覚したことを監視すること、又は網膜をマッピング(mapping)することのうち少なくとも1つが含まれる。
【0024】
光を発生させるには様々な方法がある。これらには、LED源、レーザーエミッタ又はディスプレイデバイスのうちの1つが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本方法は、目の少なくとも1つの視野を制限することも含み得る。これは、ユーザが注意をそらすことなく目を移動し、したがって、光が網膜のその他の部分に影響を与えることを確実にするように設計されている。
【0026】
本方法は、1つ又は複数の目(300)の瞳孔の位置、又は、1つ又は複数の目の視界の方向のうち少なくとも1つを監視することを追加的に含み得る。これにより、光がもはや視神経乳頭の方向に向かわないということが判定された場合に、光をオフに切替えることが可能となる。
【0027】
また、本方法は、光の組成を適合させることを更に含み得る。この適合は、光をユーザに適合させるのに有用である。
【0028】
本方法は、近視の治療などの多くの用途を有する。
【0029】
また、本開示は、方法を実施するためのデバイスを教示する。デバイスは、光を放射するための光放射源と、1つ又は複数の目の網膜上の視神経乳頭の位置を特定するための識別器(identifier)と、視神経乳頭に放射光を選択的に当てるように構成された光学システムとを備える。デバイスを制御するために、コントローラが設けられていてもよい。例えば、コントローラは、光学システム及び/又は光の組成を適合させる。
【0030】
識別器は、例えば、1つ又は複数の目の網膜をマッピングするためのデバイスであってよい。
【0031】
本開示の態様では、デバイスは、1つ又は複数の目の瞳孔の位置、又は、1つ又は複数の目の視界の方向のうち少なくとも1つを監視するためのアイトラッキングシステム(eye tracking system)、電気眼球図記録システム(electrooculography system)、又は網膜電図検査システム(electroretinography system)を更に備える。
【0032】
また、デバイスは、光放射源の位置を変えるための、1つ又は複数の機械的又は電気光学的アクチュエータを備えてよい。これらは、光が視神経乳頭の方向に向かうことを確実にするために、アイトラッキングシステムと連動して機能する。同様に、デバイスは、光学システムが1つ又は複数の目の瞳孔の位置、又は、1つ又は複数の目のうちの1つの視界の方向のうち少なくとも1つに適応することを更に提供し得る。
【0033】
本発明の更なる態様では、放射光を目のその他の部分に選択的に当てるように光学システムを更に構成してもよい。この放射光は、光の同一の組み合わせ、又は視神経乳頭に当たる光とは違う光の異なる組み合わせを有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本開示の方法の概略を示す。
図2】本開示で使用される装置の一例を示す。
図3】目の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ヒトなどの哺乳類の視神経を、正視を損なうことなく刺激することによる、光療法の方法の概略が図1で示される。方法を実行するために使用される装置及びシステムは、図2で示される。
【0036】
図3は、目300の生物学的特徴に注目した、目の一例を示す。目300には、その中に盲点330又は視神経乳頭が位置する網膜320を有する眼球310がある。網膜330は、網膜320上に形成される信号を脳に伝達する視神経340につながっている。視神経乳頭330は、視神経340の入口の地点における網膜320上の隆起した円板であり、視覚受容体がなく、そのため盲点を生じさせる。
【0037】
工程100では、光源が選択され、設定される。光源設定工程100は、ユーザの身体の内部パラメータ又は周囲の外部パラメータに基づき、コントローラデバイスを介して光刺激の最適な波長、強度、時間的及び空間的パターンを選択するプロセスである。光源設定工程100は、予め定義されたパラメータのセット若しくは個別化されたパラメータを選ぶ、又は周囲光、時間などに応じた光特性を選択するプロセスであり得る。光源設定工程100は、人工知能アルゴリズムに基づき得るか、又は目300及び/若しくは身体の計算モデルを使用することができる。
【0038】
工程110では、例えば、目300の視神経乳頭330に選択された波長又は別の可視光波長で光を照射することにより、目の盲点が特定される。この工程の目的は、目300の網膜320の非イメージ形成部分、即ち視神経乳頭330に不可視光を送達することを確実にすることにある。盲点の位置の特定は、目の幾何的特性及びユーザの主観的な報告に基づく。不可視光療法の閉ループ制御は、電気眼球図記録システム又は瞳孔を監視することによって行われる。盲点の位置の特定は、自動、半自動、又は手動操作とすることができ、デバイスによって、又はユーザによって実行される。本方法の別の態様では、視神経乳頭330は、網膜320をマッピングすることによって特定される。このマッピングは、自動で、又は眼科医によって行うことができる。
【0039】
網膜320をマッピングすることによって視神経乳頭330を特定することを可能にするシステムの例としては、ビデオベースの撮像システム、アイトラッキングシステム、瞳孔計、眼底撮像、検影器及び検眼鏡が挙げられる。
【0040】
工程115では、光を視神経乳頭に照射し、工程120においてメラノプシン刺激を実行する。視神経乳頭に存在するipRGCの軸索が、光によって刺激される。ipRGCは、概日リズム同調などの非イメージ形成視覚機能のための感光色素であるメラノプシンを独占的に発現する、網膜神経節細胞のサブセットである。本方法は、視神経乳頭の網膜の、全てのipRGCの視神経を形成する軸索を刺激することを目的とする。工程130では、メラノプシンを発現している軸索/神経節細胞を刺激することにより、レチナールドーパミンの放出が刺激される。光によるドーパミンの放出は、工程140において、脳内のSCNにおける概日リズムの主時計によりLDサイクルを同調させる。
【0041】
図2は、本開示で使用される装置1の一例を示すものである。図示される装置1は、非限定的実施例にすぎないことを理解されよう。装置1は、眼鏡フレーム24、ブリッジ26及び2つのレンズ25を備える、事実上一対の眼鏡(spectacle)又は眼鏡(eyeglass)を備える。装置1は、ケーブル44によって(又は無線接続を介して)、コンピュータ42及びコントローラ40に接続している。コントローラ40は、眼鏡フレーム42に装着することができるか、又は別々のユニットであり得る。
【0042】
レンズ25は、眼電図又は網膜電図検査システムのための電極を有する。これらは、左側レンズ25の垂直電極11、及び両レンズ25の水平電極15、並びにブリッジ26の参照電極14として示される。目300が水平に移動するため、一対の垂直電極11だけが必要であることが理解されよう。要素13は、ブリッジ26にも装着される様々なセンサを表す。これらのセンサとしては、環境センサ、光センサ、タイムオブフライトカメラ(ToF)、距離センサ、温度センサ、カメラなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
レンズ25は、それらに装着されているアイトラッキングシステム10を有し、瞳孔の位置及び視界の方向を確定する。レンズのそれぞれは、例えば、LED、レーザー光線又はディスプレイ上の投影/生成であり得る光放射源34を有する。LEDからの光は、青色若しくは別の色、又は色の混合であり得る。混合は、色順次式のRGB系として連続的に生成することができるか、又は同時に混合を組み合わせることができる。
【0044】
光放射源34は眼鏡1と別々であることが可能である。その他の光放射源34の非限定的例としては、デジタルライトプロセッシング、レーザービームステアリング、リキッドクリスタルオンシリコン(LCoS)、マイクロスキャナ、仮想網膜ディスプレイ、EyeTapデバイス、マイクロ若しくはピコプロジェクタ、ホログラフィ又はライトフィールドが挙げられる。これらの光放射源は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、光学ヘッドマウントディスプレイ(OHMD)、又は更に眼球内若しくは視神経乳頭上に埋め込み可能な光源として組み込むことができる。
【0045】
光学システム7は、後に説明するように、光を光放射源34から目300の視神経乳頭330に向ける。光学システム7は、例えば導波路を備え、その他の要素を含んでもよい。この例では、光学システム7は、必要であれば、モーターが光放射源34の位置を移動するために駆動されるレール上に装着されている。光学システム7及びレール16により、光を光放射源34から目300内に向けることが可能となり、且つ異なるユーザのために容易に調節することが可能となることが理解されよう。光学システム7の更なる例としては、回析デバイス、プリズム、ホログラフィックデバイス、偏波デバイス、ビームスプリッティングデバイス、clear-vuデバイス、切換可能デバイス又はミラーデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。ミラーデバイスとしては、ピンミラー又は片側ミラーが挙げられる。光コンバイナを備えるビームスプリッタを有するバードバスデバイス(birdbath device)などの、組み合わせたデバイスを使用することも可能である。
【0046】
身体センサ17もまた、眼鏡フレーム24に取り付けられる。身体センサ17の役割は、温度、心拍数、及びユーザのその他の物理的パラメータに関するパラメータを測定することである。この情報はコントローラ40に伝達され、処理される。
【0047】
最近の研究により、ヒトの目300の盲点330内に投射される光により、瞳孔対光反応が増強することが示された(Miyamoto and Mirakami, “Pupillary light reflex to light insider of the natural blind spot”, Scientific Reports, 5: 11862, DOI: 20.1038/srepl 1862, June 2015)。これにより、その他の視覚光受容体が存在していない視神経乳頭330に、感光色素メラノプシンが存在することが証明された。ipRGCが、視蓋前域オリーブ核につながっていることにより、光感受性の瞳孔収縮を媒介するということが知られている(Dijk and Archer, “Light, Sleep and Circadian Rhythms: Together Again”, PLOS Biology, Vol7, issue 6, el000145, June 2009)。
【0048】
視神経乳頭330には、イメージ形成受容体が存在していない。したがって、視神経乳頭330に光を投射することは、正視の悪化、ぎらつき又は眩しさ、並びに視覚処理の明らかな及び隠れた注意障害並びに知覚障害をもたらすものではない。
【0049】
瞳孔収縮を引き起こすのに視神経乳頭330を刺激することだけでは充分ではないため、視神経乳頭330への光の投射は、望ましくない瞳孔収縮をもたらさない(Miyamoto及びMurakami、2015年)。
【0050】
他方では、単に視神経乳頭330の光の投射に限定されない、目300全体に対する従来の目全体の光療法では、網膜320内の光受容体に刺激が非選択的にもたらされる。この従来の目全体の光療法は、網膜回路間及び/又はイメージ形成経路を介したより高次の皮質プロセスに対し未知の効果をもたらし、それにより、例えば発作、てんかんなどの脳の機能不全と同様に、意識的な情報処理障害、及び/又は、精神的な若しくは情動性の副作用、例えば、睡眠障害、ストレス、抑うつ又は不安を引き起こす恐れがある。
【0051】
最適な光治療を行うため、患者に光療法を用いる場合は、いくつかの刺激パラメータを考慮に入れるべきである。これらの刺激パラメータとしては、光の時間的パターン、光の空間的パターン、強度、持続時間、光の波長などが挙げられるが、これらに限定されない。先に記載された方法における、光刺激の強度、波長、空間特性及び時間的パターンは、患者による光治療の知覚を低減するために調整されなければならないということが知られている。このことは、例えば国際公開第2016/162554A1号パンフレットで説明されている。
【0052】
本開示の方法により、任意の光の強度及び持続時間を患者の目300に送達可能とすることができる。なぜならば、視神経乳頭330に損なわれるべき視覚光受容体がないためである。その上、ipRGCの応答プロファイルは、網膜330内のその他の種類の光受容体(即ち桿体及び錐体(cons))と異なっている。患者の要求に応じて、刺激光の時間的構成(明滅の頻度、オン/オフパターンなど)を、ipRGCに対して最適化することができる。ipRGCが視神経乳頭330上のただ1つの光受容体であり、網膜320のその他の部分には光が照射されないため、この変化は、その他の光受容体の応答プロファイルとは無関係である。
【0053】
先に記載された刺激パラメータは、全体のパラメータ強度を特定閾値未満に保持するように、互いに独立して調整することができ、これにより、視神経乳頭330から目300の網膜320のその他の領域まで光が散乱することを防止する。これらのその他の領域は、イメージ形成感光色素を含み、刺激光の視覚知覚を生じさせる。
【0054】
視神経乳頭330のメラノプシン受容体は、鮮明な青色光波長に対して最適な感受性があることがわかっている。したがって、この波長の光を用いて効率的な光線療法の処置を提供するべきである。光の送達が網膜、即ち桿体及び錐体(cons)を介していないため、ブルーライトハザード(blue light hazard)などの青色光波長を用いた安全上の問題は、従来の光療法によるものより少ない。先に言及されているように、視神経乳頭330には桿体及び錐体(cons)が存在しない。従来の、目全体の刺激の間に、可視光スペクトルの一部である青色光が目300の中により深く到達し、その蓄積効果により網膜320に損傷を生じさせる恐れがある。さらに、特定の波長において、青色光は加齢黄斑変性(AMD)の発症と関連付けられている。
【0055】
本方法は、通常の生活の、毎日の慣例に適用することができよう。好ましい実施形態に記載されている通り、視神経乳頭330に光を選択的に放射する放射源34は、眼鏡フレーム24内に収容することができるか、又は患者の現用の眼鏡フレーム24に付け足すことができる。本方法を実行するために、Google glass Microsoft HoloLens、Magic Leap、Intel Vaunt又はOculus Riftなどがあるがこれらに限定されない、仮想現実デバイスのような追加の複雑なアイウェアは必要ではない。したがって、目300の正常な視覚機能に障害が生じず、自然な中心窩の視力が保たれる。有利には、被験者に光を感じさせることなく夜間に刺激を適用することもでき、それにより、暗期の間に光療法を必要とする人々に、彼らを視覚光に暴露することなくこの方法を適用できるようにすることができる。
【0056】
イメージ形成光受容体が視神経乳頭330にないため、本方法は、可視スペクトルをフィルタ処理するための(国際公開第2016/162554A1号パンフレットで提案されているような)光学フィルタ、又は色フィルタ(chromatic filter)を必要としない。その上、網膜320の視神経乳頭(optical disc)330の位置が一定であり、刺激が不可視のままなので、(国際公開第2016/162554A1号パンフレットで教示されているような)光療法の間に刺激の空間的構成を変更して、刺激をあまり乱さないように保持するための空間的調整/制御を必要としない。注視方向に対して視神経乳頭(optical disk)330内部に放射光を保持するための方法が提供される。
【0057】
ipRGCの空間的密度(網膜神経節細胞の1~3%のみ)は、桿体光受容体の密度よりも遙かに低い。ipRGCにより光子が吸収される確率は、光刺激の所与の網膜領域に対して百万倍以上の低さである。したがって、全網膜を刺激するアプローチを有するいくつかの先行技術の方法では、ipRGCが桿体を含む相補的な光受容プロセスから追加の入力を受けるものと仮定している。その他の周知の方法では、伝送されるスペクトル範囲を460~520nmまで拡張することによるipRGCの直接的な刺激と、500nm付近でピークとなる桿体駆動信号が入ってくることによる間接的な刺激との両方が関与する。しかしながら、これらの先行技術の方法には、光が桿体の光受容によって可視になるという問題点がある。本明細書で説明される方法は、任意のその他の種類の受容体が存在しない視神経乳頭330上の、全ての網膜神経節細胞(RGC)の軸索の収束点におけるipRGC全てを特に刺激するものである。
【0058】
メラノプシンは、概日リズムを調節する、網膜320内の主な光受容体である。本開示の方法は、数ある場所の中でも特に、視神経乳頭330のipRGCの軸索に発現されるメラノプシンを標的とするものである。その他の種類の光受容体タンパク質(例えばロドプシン)を発現するRGCは、概日システムには必要ではない(盲人において証明されているため)。非メラノプシンを発現するRGCを刺激することで、概日主時計に間接的な入力がもたらされる場合がある。視神経乳頭330の刺激は、メラノプシンを標的とする際に最大の特異性を示し、それにより、最適な非視覚形成刺激のための、先に記載された刺激パラメータの最小数を調整するためのシステムに、最高水準の自由度を付与する。
【0059】
刺激された視神経340は、脳内の概日主時計の中枢へのハイウェイであるRHTを介して光信号をSCNに直接送信する。換言すれば、システムは、(例えば国際公開第2015/010920A1号パンフレットで開示されるように)外耳道刺激のようなあまり特別でない経路、又はその他の頭蓋外位置による代わりに、眼内(しかし視覚でない)刺激を提供している。
【0060】
視神経乳頭330の刺激は、眼鏡フレーム24内に収容されている放射源34内の発光ダイオード(LED)、又は類似物の1つ又は配列を介して行われる。これにより、光導波路管などの光学システムによって、目300に対する光の方向の精密制御が可能となる。光導波路管は、光を網膜320上の視神経乳頭330に独占的に送達することを確実なものにする。
【0061】
別の態様では、刺激パターンは、波長、輝度、及びディスプレイ(例えば、TV、モニタ、スクリーン、仮想現実(VR)ゴーグル(ディスプレイからの光を目の複数の焦点面に当てることを可能にするライトフィールド技術を含む)、拡張現実(AR)ゴーグル、複合現実(MR)ゴーグル、ビーマー、モノのインターネット(IoT)デバイス、スマート家電、スマート照明システム、インテリアデザインの配置、車内ディスプレイ、又はフロントガラスなど)のその他のパラメータの変化によって、盲点に対応するディスプレイの領域に、目に対して視線随伴方式で付与される。注視方向は、アイトラッキングシステム(遠隔式又は移動式)によってオンラインで測定され、刺激パターンの空間的位置は、目300の位置に従って変化する。特定の時間的及び空間的パターンを有する特定の波長を送達するように、刺激パターンを最適化することができる。視覚系の知覚的充填プロセスが、視神経乳頭330にある視覚入力の欠如を補間するため、パターンはディスプレイからの視覚入力の全体的知覚に影響を与えない。このような実施形態は、患者がコンピュータモニタの前で作業時間を過ごすか、又はTVなどを見ている場合での適用に理想的である。
【0062】
別の態様では、光放射源34を、眼鏡フレーム24のレンズ25としての強度の近視制御レンズと組み合わせる。近視制御レンズは、近視を制御するための強力なツールである。近視制御レンズは、中心視をクリアに保ちながら、周辺部に大きな正矯正(positive correction)を付与するものである。周辺視覚の強いぼやけは、患者が目300を中央に保持するのを助け(ピンホールのように)、結果として注視動態が制限され、光刺激を視神経乳頭330内に維持するのを助ける。
【0063】
別の態様では、光導波路管は、眼鏡フレーム24の光放射源34内のLEDからの光を導き、視神経乳頭330に当てるピンホールである。ヒトの目300の視神経乳頭330は、中心窩315の外方に約15度の視角(visual degree)で、5~7度の視角(visual degree)の比較的大きな寸法を有する盲点に相当する。本実施形態では、注視動態が制限されて、ピンホールが光療法を盲点内で不可視のままとすることを確実なものとしている。このような実施形態の場合、ユーザは、モニタの前での作業又はテレビの視聴などの、日常的な静的な状況で眼鏡フレームを使用する必要がある。ピンホールにより周辺を見ることができないため、過度の眼球運動が自然に制限される。そのため、必要な場合、注視の移動は頭の移動に変換される。目300の代わりにユーザの頭が移動する間、視神経乳頭330の位置は光放射源34に対して一定のままである。
【0064】
光は、眼鏡レンズ25上の偏光フィルタを通して偏向させ、放射することができる。これにより、光が常に目300に垂直に到達することを確実にする。光放射源34が、患者の目300の位置及び眼鏡フレーム24の位置に従って、視神経乳頭330の位置に対して位置決め及び較正される場合、光は視神経乳頭330を越えて網膜の光受容体に到達することはない。
【0065】
別の態様では、電気眼球図(EOG)又は網膜電図用電極は、上記で説明したように眼鏡フレーム24、及びつる内に収容される。EOGは、注視方向の信号を送信し、目300の位置に従って光放射源34が自動的にオンオフを切替えることを可能にする。目が光放射源34に対してまっすぐに見ているとき、刺激パターンは視神経乳頭330にあたる。目300が中心を外して見ているとき、網膜320のその他の光感受性がある部分にかからないように、パターンがオフに切り替わる(米国特許出願公開第2004/0070729A1号明細書も参照のこと)。
【0066】
光のスイッチの制御システム及びEOGシステムは、刺激の必要とされる時間的特性、及びEOGシステムの周波数限界を考慮に入れ、被験者が絶えず光を見ることのないように、光放射源34の正確な切換時間を確実にする。
【0067】
光放射源34は、眼鏡20の形態で有利に収容される。視神経乳頭330を刺激するために、1回限りの較正手順で、光放射源34を正確に位置決めすることができる。較正は、患者の主観的なガイド(subjective guide)を備え、視神経乳頭330上のガイドの位置及び寸法を空間的に位置合わせすることによって、患者にテストの光を不可視にさせる。別の較正手順では、アイトラッキングシステムが目300の3次元モデルと共に、注視方向と中心窩固視に対する視神経乳頭(optical disk)330の相対位置とを測定することによって、着用者に対して眼鏡フレーム24の光放射源34の取り付けを最初に案内する。いずれの較正手順においても、それぞれの目300の中央に対する光放射源34の相対位置は、眼鏡フレーム24に取り付けられた自由に移動するレールシステムにて調節可能である。
【0068】
別の実施形態では、光放射源34は、位置及び/又は方向を、目の位置及び注視方向に従って適応的に変更することができる。この状況では、光を目300に連続的に照射することができ、常に視神経乳頭330内にとどめることができる。これは、より長い暴露時間のための連続照射モードに有用である。
【0069】
コントローラは、例えば目300の前での特定の放射波長によって、個人化された光療法を患者に提供するように構成される。したがって、刺激光のパターンは、例えば、てんかん症患者用に変更することができる。コントローラは、時間的パターン、強度、波長、空間的パターン、光の持続時間などをパラメータ的に変更することができる。コントローラは、例えば環境光レベル、時間などの外部パラメータに従って刺激パターンを制御することができる。それは、例えば生理的要因、心拍数、温度、瞳孔の大きさ、目蓋の位置などの内部パラメータに従って刺激パターンを制御することができる。それは、例えば年齢、サイズ、性別などの個人化情報に従って刺激パターンを制御することができる。コントローラは、眼鏡フレーム24の本体及びつるの中に収容されている。
【0070】
網膜と同様に、虹彩においてもメラノプシンのシグナル伝達があることが知られている(Xuc et al, Melanopsin signaling in mammalian iris and retina”, Nature, vol. 479, 67-73, 3 November 2011, DOI: 10. 1038 nature 10567)。本明細書の方法及びデバイスは、瞳孔の位置、続いて虹彩の位置も特定することを可能にする。したがって、視神経乳頭を刺激することと同様に、類似した、又は異なる光の組成で虹彩を刺激することができる。虹彩にはイメージ形成光受容体がないため、虹彩を刺激することもまた、不可視なままとなる。
【0071】
本方法及びシステムの更なる様態では、必要であれば、視神経乳頭の刺激と連動して、網膜のその他の部分に光を照射することもできる。メラノプシン受容体が双安定挙動を表すことが示されている(Mure et al., “Melanopsin Binstability: A Fly′s Eye Technology in the Human Retina”, POS One, vol. 4, issue 4, e5991, June 2009)。したがって、網膜に赤色光を照射することにより、青色光に対するメラノプシン受容体の応答性を増強することができる。また、網膜に照射される紫色及び紫外線光のわずかに可視(sub-visible)の強度は、近視など、本明細書に記載されるデバイスの応用例で説明する通り、望ましい効果を有し得ると考えられる。
【実施例0072】
近視
【0073】
本方法及びシステムは、近視を防止及び/又は低減するのに使用することができる。目300の角膜及び水晶体の焦点を合わせる能力に対して眼球310が長すぎると、近視が発生することが知られている。眼球310のこの余分な長さは、光線が直接網膜320の面ではなく、網膜320の前の地点で焦点を結ぶ原因となる。光療法を適応すると、ドーパミンの生成サイクルに積極的に作用することにより近視の発症リスクが低減する。ドーパミンは、明順応と関係する網膜の神経伝達物質である。ドーパミンは、目の長さ、従って近視に影響を及ぼす。最近の調査では、ドーパミン作動性細胞が内因性光感受性網膜神経節細胞に連結され、それらがおよそ480nmの時間生物学的な青色光によって調節されることが示されている。この特定の光は、内因性ドーパミンの生成を活性化すると考えられるが、一方でこの光(スペクトル及び/又は光レベル)が欠如すると、ドーパミン生成が阻害される場合がある。この阻害は、長期的に目の伸長に寄与する可能性がある。詳細は、Myopia, light and circadian rhythms (Phillips et al, “Myopia, Light and Circadian Rhythms”, Advances in Ophthalmology, Edited by Rumelt, March 2012)を参照のこと。また、中国特許出願公開第1432348A号明細書も参照のこと。
【0074】
壊れたLDサイクルが近視眼をもたらす可能性があることが示されている。それは、子供が充分に外に出ておらず、自然な日の光を体験しない都市において蔓延している。最近の研究では、紫色光(360~400nmの波長)が近視の進行を抑制することが示された(Torii et al, “Violet Light Exposure Can Be a Preventive Strategy Against Myopia Progression”, EBioMedecine, 15 (2017) 210-219)、また、近視防止デバイスに関する国際出願PCT/JP2015/065997号明細書を参照のこと)。光スペクトルのこの部分は、UV保護の使用のため、我々先進工業国から除外されるのが常である。しかしながら、短波長光の暴露は、何十年もの間調査の主題であって、光酸化及び網膜変性を誘発することが示されてきた(Schaeffel and Smith, “Inhibiting Myopia by (nearly) invisible light”, EBioMedecine, 16 (2017) 27-28, DOI: 10.1016/j. ebiom.2017.01.016)。したがって、視神経乳頭330の短波長刺激は、安全性の問題に関して有利である。なぜならば、光は網膜320に当たらず、桿体及び錐体(cons)のない視神経乳頭330だけに当たるからである。
【0075】
他方では、長波長光(650nm、赤色)は、アカゲザル及びツパイにおける目の成長の強い阻害因子として作用することが示されているが、一方でニワトリにおいてはその逆が見いだされた。近視の調査におけるその他の波長の研究には、主にメラトニンの内因性の生成及び調節に関与する明るい青緑色の光が含まれる。
【0076】
更なる研究では、自然条件下では夕方及び早い生物学的夜間における緑色光は効果的であるか、又は、ある状況では青色光より効果的である場合があること、並びに、緑色光の相対的な有効性は夜にわたって低下し、深夜及び早朝の時間の概日応答に影響するために、結果として青色光が緑色光より比較的より効果的である場合があることが示されている。したがって、刺激の波長に加えて、刺激のタイミングが関係する。本開示の方法及び装置は、内因性及び外因性の生体リズムに従って、刺激の強度、持続時間及び刺激の正確なタイミングと同様に、光波長の独立調整を可能にする。その上、明滅する光(一定ではなく)は、更にドーパミン生成により適している可能性がある。現用の方法及びシステムは、刺激の時間的パターンに関する制約がない。
【0077】
網膜に到達する光のフィルタ処理(例えば赤色光のフィルタリング)と盲点の光療法とを組み合わせることにより、進行性の近視を最小化又は阻止することも可能である。
【0078】
網膜320よりも他の場所で生成されるドーパミンが、近視の防止に影響を及ぼし得るという証拠もある。L-ドーパは、ドーパミン濃度を上昇させる薬剤であり、この薬剤は、患者に光が欠乏したときに、近視への移行の発生を阻害することが示されている。このことは、ドーパミンが目300を通した光刺激によって生成されるか否かに関係なく、ドーパミン濃度が増大することにより、近視の進行を阻害することができることを示している。したがって、ドーパミンを生成するための視神経乳頭330の光刺激は、L-ドーパのように、しかし、薬理学的介入による副作用なしで、近視によい影響を同様に及ぼすことができる。
【0079】
研究者は、毎日2~3時間の外出を推奨している。他方では、光が(概日リズムとの同期からはずれる)誤った時間に示される場合、近視に悪い場合がある。近視を防止することを助けるため、ドーパミンを促進する光治療を子供が必要としているが、適切な時間に治療を行うこと、又は逆に適切でない時間に治療を行わないことについて彼らを頼みにすることができないという問題が起こりうる。本方法及び装置は、患者が刺激及び/又はタイミングを制御する必要がない一方で、どこにいても、どんな時でも、目を通しての不可視光療法を行うことを可能にする。
【0080】
睡眠
【0081】
正常な条件下では、概日リズム性、睡眠及び明暗サイクルの間に安定した位相関係がある。自然条件下で生きている動物において、同調している明暗サイクルに対して、睡眠及び概日リズム性がそれらの正常な位相から乖離することは、皆無とはいわないまでも、稀に発生する。しかしながら、ヒトは、睡眠覚醒サイクル、及び明暗サイクルの正常な同期を、短期間で(即ち、「時差ボケ」症候群と称されるタイムゾーンを横断する急激な移動に続いて)、又は長期間で(即ち、「シフト勤務者」で発生するように)のいずれかにおいて日常的に阻害している。ヒトの非イメージ形成応答に対する光の影響力は、光自体の種類(例えば、白熱、蛍光、LEDなど)よりむしろ光の相関色温度(CCT)に左右される。概日崩壊及びメラトニン抑制を防止するには、夜勤シフト勤務者が暴露される光のCCTを実質的に改変することが必要とされ得る。メラトニン及びその他の概日リズムを保護するために効果的ではあるものの、短波長光を完全に欠如させると、低減したコントラスト及び明瞭度がもたらされる恐れがあり、このことは、数ある欠陥の中でも特に、ある夜勤者又は外科医に対して安全性の問題を示すものであるため、これらの方法の実用性が限定される可能性がある。本方法及び装置は、概日リズムをその自然のサイクルに同調させるため、そのような変化に対する代替物として使用することができる。潜在的な用途としては、シフト勤務者、旅行者、概日リズムに対し概日夜の時刻の際に人工光源からの光に暴露される個人、概日リズムを正常化しようとしている個人による使用などが含まれる。
【0082】
視覚イメージの知覚に影響することに加えて、光は、中枢概日時計を含む脳内の構造体に信号を送信することによって、生理学的及び行動の時間的なリズムを調整する。これらの信号は、メラノプシンという網膜で見られる感光色素によって部分的に媒介される。光は、これらの非視覚的経路を通じて脳に影響を及ぼすものであり、科学者達は近年、これらの非視覚的効果がどれほど広範囲なものであるかをまさに認識し始めたところである。睡眠の持続時間及び睡眠不足に対する恒常性反応と同様、睡眠と覚醒時の脳の活動に対する光の効果が、メラノプシン及び概日時間の両方に依存するという見解を、増え続ける証拠が裏づけている(Dijk及びArcher、2009年)。本発明の方法及び装置は、視神経乳頭の光療法を通じてドーパミン放出及びメラトニン調節を刺激することによって、睡眠障害及び/若しくは時差ボケの問題、又はシフト勤務者の健康を増進させるために使用することができる。
【0083】
その他の用途
【0084】
本明細書の方法及び装置は、概日リズム睡眠障害、睡眠障害、瞳孔拡張、睡眠相後退及び前進症候群、気分障害、抑うつ又は疲労などの季節性感情障害、産後うつ病、癌にかかる危険性、ホルモン障害、敏捷性障害及び認知能力、食欲及び肥満、記憶障害、精神運動障害、体温調節障害、月経前障害、てんかん発作などの時間生物学的障害に罹患している患者を治療するための治療法において使用することができる。本装置及び方法は、例えば労働環境において、ヒトの敏捷性及び能力が増大したレベルに達するために使用することができる。本システム及び方法は、片頭痛、不安、強迫性障害(OCD)、並びにアルコール及びニコチン中毒などの様々なその他の障害を治療するために使用することができる。
【0085】
本発明による方法及びシステムは、不適切な光条件(特定の時点における有益な青色の不足)を補償し、生物時計が良好な青色/メラトニン分泌関係を通じて同期した状態を保つことを助けることができる。概日リズムは、睡眠/覚醒サイクル、摂食時間、気分、敏捷性、認知機能、様々な組織型における細胞増殖及び遺伝子発現を含むがこれらに限定されない、様々な生理機能において観察することができる。様々な組織及び細胞型には、数ある中でも特に、肝臓、腎臓及び膵臓などの独立して振動する細胞時計が含まれ、それらの「時計遺伝子」の概日発現によって自律的に機能することができるが、それらは通常、中枢のSCN時計によって調節され、同期されている。
【0086】
光療法は事実上、体内のメラトニンの量を調整している。インビトロ(in vitro)及び動物研究において示されているメラトニンの抗腫瘍効果の証拠は、腫瘍の抑制、並びにヒトの乳癌及び前立腺癌を含む癌細胞の増殖に対しての防御において主要な役割を示唆している。低濃度の夜間のメラトニン放出は、乳癌、前立腺癌、2型糖尿病、メタボリック症候群、インスリン抵抗性、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、高血圧、冠動脈疾患、鬱血性心不全、抑うつ、不安、片頭痛、及びその他の生命を脅かすか、又は衰弱させる状態と関連付けられる可能性がある。近年において、メラトニンは疾患からの保護を与えることができ、より低濃度のメラトニンが多種多様な疾患及び慢性状態と関係しているという認識が増えてきている。この関連性の範囲は、潜在的に広範囲であってよく、例えば癌、高血圧及び冠動脈疾患などの心臓血管疾患、インスリン抵抗性及びII型糖尿病などの代謝異常、ハンチントン病、多発性硬化症、アルツハイマー病、片頭痛、並びに、例えば抑うつ及び不安などの精神障害を含み得る。癌などのいくつかの疾患においては、より低いメラトニン濃度が疾患リスクの有意な増大と関連しているように、メラトニン濃度(melatonin levels)と疾患リスクとの間には、逆線形関係があるように見える。さらに、この関係性に対する、夜間の光暴露による内因性メラトニンの任意の減少が疾患リスクの増大に比較的関係していることを示唆する明確な「閾値」がない。そのため、概日崩壊を最小化し、メラトニンなどの神経内分泌リズムを保護する必要があり得る。
【0087】
本発明により開示された方法によるデバイスは、てんかんに罹患している被験者の治療のための治療法に使用することもできる。最近の調査では、てんかん及び抑うつのいくつかの型が双方向性の条件であることを示唆しており、このことは、光療法が、あるてんかんの人に対して効果的な治療であり得ることを示唆するものである。内因性メラトニンの生成は、側頭葉てんかん患者の痙攣域値に影響を与えるようである。加えて、明るい青緑色の光は主にメラトニンの内因性の生成及び調節に関与する。したがって、明るい青緑色の光は、痙攣域値の調節にある程度関与すると仮定することができる。葉側頭葉てんかん(lobe temporal epilepsy)に罹患している人々に対しては、光は発作の発生頻度の季節的ピークをいくらか取り除く助けとなり得る。
【符号の説明】
【0088】
1 装置
7 光学システム
10 アイトラッキングシステム
11 垂直電極
13 センサ
14 参照電極
15 水平電極
16 レール
17 身体センサ
24 眼鏡フレーム
25 レンズ
26 ブリッジ
34 光放射源
40 コントローラ
42 コンピュータ
44 ケーブル
300 目
310 眼球
315 中心窩
320 網膜
330 盲点又は視神経乳頭
340 視神経
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
本発明により開示された方法によるデバイスは、てんかんに罹患している被験者の治療のための治療法に使用することもできる。最近の調査では、てんかん及び抑うつのいくつかの型が双方向性の条件であることを示唆しており、このことは、光療法が、あるてんかんの人に対して効果的な治療であり得ることを示唆するものである。内因性メラトニンの生成は、側頭葉てんかん患者の痙攣域値に影響を与えるようである。加えて、明るい青緑色の光は主にメラトニンの内因性の生成及び調節に関与する。したがって、明るい青緑色の光は、痙攣域値の調節にある程度関与すると仮定することができる。葉側頭葉てんかん(lobe temporal epilepsy)に罹患している人々に対しては、光は発作の発生頻度の季節的ピークをいくらか取り除く助けとなり得る。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
ユーザの1つ又は複数の目(300)に光を当てるための方法であって、
前記1つ又は複数の目(300)の網膜(320)上の視神経乳頭(330)の位置を特定すること(110)と、
前記視神経乳頭(330)を刺激するために、前記視神経乳頭(330)に前記光を選択的に当てること(115)と、を含む方法。
〔態様2〕
前記光が360~540nmの範囲の波長を有するように選択される、態様1に記載の方法。
〔態様3〕
前記特定すること(110)は、前記1つ又は複数の目(300)の前記網膜(320)に当てられる刺激光に前記ユーザを暴露することと、前記刺激光を知覚したことを監視することと、又は前記網膜(320)をマッピングすることと、のうち少なくとも1つを含む、態様1又は2に記載の方法。
〔態様4〕
前記光が、LED源、レーザーエミッタ又はディスプレイデバイスのうちの1つから放射される、態様1~3のいずれか一態様に記載の方法。
〔態様5〕
前記目(300)の少なくとも1つの視野を制限することを更に含む、態様1~4のいずれか一態様に記載の方法。
〔態様6〕
前記1つ又は複数の目(300)の瞳孔の位置、又は、前記1つ又は複数の目(300)の視界の方向のうち、少なくとも1つを監視することを更に含む、態様1~5のいずれか一態様に記載の方法。
〔態様7〕
前記光の組成を適合させることを更に含む、態様6に記載の方法。
〔態様8〕
前記1つ又は複数の目(300)の他の部分に、前記光を選択的に当てることを更に含む、態様1~7のいずれか一態様に記載の方法。
〔態様9〕
近視の治療のための、態様1~8のいずれか一態様に記載の方法の使用。
〔態様10〕
ユーザの1つ又は複数の目(300)に光を選択的に当てるためのデバイスであって、
前記光を放射するための光放射源(34)と、
前記1つ又は複数の目(300)の網膜(320)上の視神経乳頭(30)の位置を特定するための識別器と、
放射光を前記視神経乳頭(330)に選択的に当てるように適合された光学システムと、を備えるデバイス。
〔態様11〕
視界を制限するデバイスを更に備える、態様10に記載のデバイス。
〔態様12〕
前記光が360~540nmの範囲の波長を有するように選択される、態様10又は11に記載のデバイス。
〔態様13〕
前記識別器が、前記1つ又は複数の目(300)の前記網膜(330)をマッピングするためのデバイスを含む、態様10~12のいずれか一態様に記載のデバイス。
〔態様14〕
前記光放射源(34)が、LED源、レーザーエミッタ又はディスプレイデバイスのうちの1つである、態様10~13のいずれか一態様に記載のデバイス。
〔態様15〕
前記1つ又は複数の目(300)の瞳孔の位置、又は、前記1つ又は複数の目(300)の視界の方向のうち、少なくとも1つを監視するためのアイトラッキングシステム、又は電気記録システムを更に備える、態様10~14のいずれか一態様に記載のデバイス。
〔態様16〕
前記光放射源(34)が、前記光の組成を変更するように適合される、態様15に記載のデバイス。
〔態様17〕
前記光学システムが更に、前記1つ又は複数の目(300)のその他の部分に前記放射光を追加的に当てる、態様10~16のいずれか一態様に記載のデバイス。
〔態様18〕
前記光放射源(34)の位置を変えるための1つ又は複数のアクチュエータを更に備える、態様10~17のいずれか一態様に記載のデバイス。
〔態様19〕
前記光学システムが、前記1つ又は複数の目(300)の瞳孔の位置、又は、前記1つ又は複数の目(300)のうちの1つの視界の方向のうち、少なくとも1つに適合する、態様10~18のいずれか一態様に記載のデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの1つ又は複数の目(300)に光を当てるための方法であって、
前記1つ又は複数の目(300)の網膜(320)上の視神経乳頭(330)の位置を特定すること(110)と、
前記視神経乳頭(330)を刺激するために、前記視神経乳頭(330)に前記光を選択的に当てること(115)と、を含む方法。
【外国語明細書】