(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069250
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ジカウイルスに対する新規ワクチンとジカウイルスに対する使用に向けたDNA抗体構築物との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240514BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20240514BHJP
C12N 15/40 20060101ALN20240514BHJP
C07K 14/08 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/40
C07K14/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025798
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2019515398の分割
【原出願日】2017-09-19
(31)【優先権主張番号】62/417,093
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/396,750
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(71)【出願人】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】カルッピア マスマニ
(72)【発明者】
【氏名】チエン イェン
(57)【要約】
【課題】ジカウイルス抗原に対する抗体、及びその機能性断片をコードする組換え核酸配列を含む、組成物が本明細書に開示される。本発明はまた、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する第1の組成物と、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む第2の組成物との組み合わせを含む組成物にも関する。
【解決手段】一部の事例では、該核酸分子は、抗ZIKV-エンベロープ(抗ZIKV E)タンパク質抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の合成抗体をコードする核酸分子であって、前記核酸分子が、
a)抗ZIKVエンベロープ(E)タンパク質合成抗体をコードするヌクレオチド配列、
b)抗ZIKV Eタンパク質合成抗体の断片をコードするヌクレオチド配列、からなる群から選択される少なくとも1つを含む、前記核酸分子。
【請求項2】
切断ドメインをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記核酸分子が、抗ZIKV E抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記抗ZIKV E抗体が、配列番号11~22からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%相同であるアミノ酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記抗ZIKV E抗体が、配列番号11~22からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項4に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記抗ZIKV Eタンパク質合成抗体が可変重(VH)鎖及び可変軽(VL)鎖を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
抗ZIKV Eタンパク質合成抗体のVH鎖が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、及び配列番号9からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%相同であるアミノ酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項6に記載の核酸分子。
【請求項8】
抗ZIKV Eタンパク質合成抗体のVH鎖が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、及び配列番号9からなる群から選択される配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項9】
抗ZIKV Eタンパク質合成抗体のVL鎖が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、及び配列番号10からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%相同であるアミノ酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項6に記載の核酸分子。
【請求項10】
抗ZIKV Eタンパク質合成抗体のVL鎖が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、及び配列番号10からなる群から選択される配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項9に記載の核酸分子。
【請求項11】
前記ヌクレオチド配列がリーダー配列をコードする、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項12】
前記核酸分子が発現ベクターを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の核酸分子を含む組成物。
【請求項14】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が第2の核酸分子をさらに含み、前記第2の核酸分子がコンセンサスジカ抗原をコードする、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記コンセンサスジカ抗原が、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33及び配列番号39からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%相同であるアミノ酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記コンセンサスジカ抗原が、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33及び配列番号39からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記第2の核酸分子が、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37及び配列番号38からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%相同である核酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記第2の核酸分子が、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37及び配列番号38からなる群から選択される核酸配列、またはその免疫原性断片を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、対象における疾患の予防方法または治療方法。
【請求項21】
請求項13~19のいずれか1項に記載の組成物を個体に、前記個体において免疫応答を誘導するのに有効な量で投与することを含む、免疫応答の誘導方法。
【請求項22】
前記免疫応答が持続的である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記免疫応答が全身性である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月19日に出願された米国仮出願第62/396,750号、及び2016年11月3日に出願された米国仮出願第62/417,093号に対する優先権への権利を有し、同文献の各々は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ジカウイルス抗原に対する抗体、及びその機能性断片をコードする組換え核酸配列に関する。本発明はまた、ジカワクチンと、1つ以上の合成抗体、及びその機能性断片をインビボで産出するための組換え核酸配列を含む組成物との組み合わせにも関する。本発明の組成物は、免疫応答の改善された誘導方法、ならびにジカウイルスに対する個体の改善された予防的及び/または治療的免疫誘導方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
ジカ疾患は、ジカウイルスの感染によって引き起こされ、感染した蚊に刺されることによりヒトに伝染するか、またはヒト間で性行為により伝染する可能性がある。ジカ感染症は、いくつかの先天性欠損に関連付けられている。現在、複数の疾患の治療用の治療的抗体が承認されている。残念ながら、精製抗体の製造及び送達は法外な費用がかかる。さらに、抗体療法は、毎週から毎月再投与しなければならず、これは患者のジカの発症を予防するまたはその危険性を低減するために有効な治療を保証する際に困難な考慮事項である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に、当該技術分野において、ジカ感染症を予防する及び/または治療する改善された治療薬に対する必要性がある。本発明はこの必要性を満たす。
【課題を解決する手段】
【0005】
本発明の一態様は、ジカウイルス抗原に対する抗体、及びその機能性断片をコードする組換え核酸配列を含む、組成物を提供する。
【0006】
本発明の一態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する組成物と、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物との組み合わせを提供する。本組成物は、それを必要とする対象に投与して、合成抗体のインビボ発現及び形成を促進することができる。一実施形態では、該核酸分子は、抗ZIKV-エンベロープ(抗ZIKV E)タンパク質抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0007】
本発明の一態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発するポリペプチドを発現することが可能な、核酸構築物を提供する。該核酸構築物は、コーディングヌクレオチド配列及び該コーディングヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターからなる。該コーディングヌクレオチド配列は、膜前駆体エンベロープ(pre-membrane-envelope)(prM+EnvまたはprME)を含むコンセンサスジカ抗原を含む、ポリペプチド発現する。該プロモーターは、哺乳動物における該ポリペプチドの発現を調節する。
【0008】
本発明の別の態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を生み出すことが可能である核酸分子を提供する。一実施形態では、該核酸分子は、哺乳動物においてコンセンサスジカ抗原を発現することが可能な核酸配列と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。一実施形態では、該核酸分子は、コンセンサスジカ抗原をコードするコード配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む。一実施形態では、コンセンサスジカ抗原は、コンセンサスprMEからなる。
【0009】
本発明の別の態様は、哺乳動物におけるジカウイルスに対する免疫応答の誘発方法を提供し、該方法は、哺乳動物の組織に、哺乳動物の細胞内でジカウイルスのコンセンサス抗原を発現して哺乳動物において免疫応答を誘発することが可能な核酸配列を含む核酸分子を送達することと、その組織の細胞にエレクトロポレーションを行って、該核酸分子の細胞への侵入を可能にすることとを含む。
【0010】
本発明は、1つ以上の合成抗体をコードする核酸分子を対象とし、該核酸分子は、a)抗ZIKVエンベロープ(E)タンパク質合成抗体をコードするヌクレオチド配列、及びb)抗ZIKVエンベロープ(E)合成抗体の断片をコードするヌクレオチド配列からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0011】
一実施形態では、該核酸分子は、切断ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0012】
一実施形態では、該核酸分子は、抗ZIKV E抗体の可変重鎖領域及び可変軽鎖領域のうちの1つ以上をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0013】
一実施形態では、該核酸分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号21、及び配列番号22のうちの1つ以上に対して少なくとも90%相同な1つ以上の配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0014】
一実施形態では、該核酸分子は、抗ZIKV E抗体の可変重鎖領域及び可変軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、該核酸分子は、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号21、及び配列番号22のうちの1つ以上に対して少なくとも90%相同な1つ以上の配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0015】
一実施形態では、該核酸分子は、可変重鎖領域と、IRESエレメントと、可変軽鎖領域とを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、IRESエレメントは、ウイルスIRESまたは真核生物IRESのうちの一方である。
【0016】
一実施形態では、該核酸分子は、
a)核酸配列の長さ全体にわたって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号21、及び配列番号22からなる群から選択される配列をコードする核酸配列に対して少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0017】
一実施形態では、該ヌクレオチド配列は、リーダー配列をコードする。一実施形態では、該核酸分子は発現ベクターを含む。
【0018】
本発明は、本明細書に記載の核酸分子のうちのいずれかを含む組成物をさらに提供する。
【0019】
一実施形態では、該組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0020】
本発明はさらに、対象における疾患の予防方法または治療方法に関し、本方法は、対象に、本明細書に記載の核酸分子または組成物を投与することを含む。
【0021】
一実施形態では、該疾患は、ジカウイルス感染症である。
【0022】
一実施形態では、本方法は、抗生物質製剤を対象に投与することをさらに含む。一実施形態では、抗生物質は、該核酸分子または組成物の投与から10日未満後に投与される。
【0023】
一実施形態では、本方法は、抗生物質製剤を対象に投与することをさらに含む。一実施形態では、抗生物質は、該核酸分子または組成物の投与から10日未満後に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【0025】
【
図2】ジカdMABの開発及び特徴付けのためのワークフローを図示する。
【0026】
【
図3】ZIKV-Env特異的モノクローナル抗体に対する結合ELISAを図示する。
【0027】
【
図4】ZV Env及びZV mABのウェスタンブロットを図示する。2μgのrZVエンベロープタンパク質をロードし、ZVモノクローナル抗体に1:250希釈率を使用した。
【0028】
【
図5】ジカmAbのVH及びVLのアライメントを図示する。
【0029】
【
図6】ジカmAbのVH及びVLのアライメント及び同一性ならびにRMSDマトリックスを図示する。
【0030】
【0031】
【0032】
【
図9】mABである1C2A6、8D10F4、及び8A9F9のVH及びVLのアライメントを図示する。
【0033】
【0034】
【
図11】8D10F4、1C2A6、8A9F9、3F12E9、及び1D4G7に関するFvの生物物理学的特徴の概要を図示する。
【0035】
【
図12】ジカウイルス粒子、ジカRNAゲノム、及びその翻訳された遺伝子の図解を表示する。
【0036】
【
図13】ジカ抗原をコードする挿入物(発現カセット)の箇所の部位を示す、ジカワクチンに関するプラスミドマップを表示する。
【0037】
【
図14】種々のジカ抗原設計の線状構造を示す図面を表示する。
【0038】
【
図15】ジカ抗原-リーダー配列+prMEの注釈付きアミノ酸配列を表示する。
【0039】
【
図16】単離株間の遺伝的距離を示す、種々のジカウイルス株間の遺伝的関係を表示する。
【0040】
【
図17】遺伝子系統樹を表示する、種々のジカウイルス株間の遺伝的関係を表示する。
【0041】
【
図18】ジカ-prM+Envをコードする挿入物(発現カセット)の箇所の部位を示す、ジカワクチンに関するプラスミドマップを表示する。
【0042】
【
図19】発現カセットの存在を示すゲル電気泳動画像を表示する。
【0043】
【
図20】
図20A及び20Bは、ジカ-エンベロープタンパク質を示すウェスタンブロットゲルを表示する。
図20Aは細胞溶解物中の抗血清への非特異的結合を示す。
図20Bは、細胞溶解物中の抗汎フラビウイルスへの特異的結合を示す。
【0044】
【
図21】
図21Aは、ジカ-エンベロープタンパク質の精製を示すSDS-PAGEゲルを表示する。
図21Bは、ジカ-エンベロープタンパク質の精製を示すウェスタンブロットゲルを表示する。
【0045】
【
図22】個々のマウスの、pre-M+エンベロープ抗原を網羅するペプチドプールに対するIFN-ガンマELISpotアッセイによって評価した、スパイク特異的CD8 Tリンパ球応答を示す棒グラフを表示する。3回目の免疫誘導から1週間後の各群における平均応答。
【0046】
【
図23】群平均の、pre-M+エンベロープ抗原を網羅するペプチドプールに対するIFN-ガンマELISpotアッセイによって評価した、スパイク特異的CD8 Tリンパ球応答を示す棒グラフを表示する。3回目の免疫誘導から1週間後の各群における平均応答。
【0047】
【
図24】
図24A及び24Bは、マウスのジカprM+Envワクチン接種がジカ-エンベロープ抗原に反応する陽性抗体応答を誘発することを示す、試料の結合ELISAを表すグラフを表示する。
【0048】
【
図25】
図25A及び25Bは、ZC-prME免疫原がジカ-エンベロープ抗原に特異的に反応するかなりの抗体応答を誘発することを示すグラフを表示する。ZpME血清の交差反応性はデング1、2、3、及び4抗原Envに対して陰性であった一方で、ジカEnvに対しては強力な結合を示した。
【0049】
【
図26】
図26A~26Eは、ZC-prMEワクチンで産出された血清がデング1~4組換えEnvに交差反応しないことを示す分析を示す。分析は、同様に抗CHIKVワクチンで誘導した血清がジカEnvに結合しないことを裏付ける。
【
図27】
図27A~27Eは、ZIKV-prMEコンセンサスDNAワクチン構築の試験結果を示す。
【0050】
【
図28】
図28A~
図28Cを含み、ZIKV-prME DNAワクチンでのワクチン接種後のマウスにおける細胞性免疫応答の特徴付けを実証する実験結果を図示する。
図28Aは、脾細胞におけるIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を図示する。C57/BL6マウス(n=5/群)を25μgのpVax1ワクチンまたはZIKV-prME DNAワクチンのいずれかで3回、筋肉内投与により免疫誘導し、続いてインビボエレクトロポレーションを行った。細胞性免疫応答誘導の指標としてのIFN-γ産出をIFN-γ ELISPOTによって測定した。3回目の免疫誘導から7日後に採取した脾細胞を、全prM及びエンベロープタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果を積み上げ棒グラフで示す。データは、脾細胞100万個当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、このうち値が各群(n=4)における平均応答±標準誤差を表す。
図28Bは、3回目の免疫誘導から1週間後にマトリックスペプチドプールでの刺激によって決定したZIKV-prME特異的IFN-γ応答のエピトープ組成を図示する。値は各群(n=4)における平均応答±標準誤差を表す。実験は独立して少なくとも3回行い、同様の結果が得られた。
図28Cは、ZIKV-prMEでの免疫誘導が、ZIKVペプチドによって刺激したときにより高い数のIFN-γ及びTNF-α分泌細胞を誘導することを図示する。ZIKV-prMEワクチンでの最後の免疫誘導から1週間後、脾細胞をプールZIKVペプチド(5μM)の存在下でまたは組織培養基のみで培養した。ZIKVペプチド特異的IFN-γ及びTNF-α分泌細胞の頻度を蛍光標識細胞分取(FACS)アッセイによって測定した。単関数ゲート(Single function gates)を陰性対照(未刺激)試料に基づいて設定し、試料にわたって一貫して配置した。総計CD8+ T細胞応答の百分率が示される。これらのデータは、2つの独立した免疫誘導実験を表すものである。
【0051】
【
図29】
図29A~
図29Dを含み、pZIKV-prME(MR766)及びpZIKV-prME(ブラジル)免疫誘導マウスから採集した脾細胞によるIFN-γ産生ならびに同マウスから採集した血清中の抗体レベルのプロファイルを図示する。6週齢のC57/BL6マウスを材料及び方法に記載されるように免疫誘導した。血清及び脾細胞を3回目の免疫誘導から1週間後に採集し、ZIKV特異的prMEペプチドとともにインキュベートし、細胞100万個当たりのIFN-γ SFUの数をELISPOTによってアッセイした。
図29Aは、MR766免疫誘導マウスから採集した血清のELISpot分析を図示する。
図29Bは、ブラジル免疫誘導マウスから採集した血清のELISpot分析を図示する。血清中の抗ZIKV Env抗体レベルをELISAによって測定した(C及びD)。
図29Cは、ELISAによって測定したMR766免疫誘導マウスにおける血清中の抗ZIKV Env抗体レベルを図示する。
図29Dは、ELISAによって測定したブラジル免疫誘導マウスにおける血清中の抗ZIKV Env抗体レベルを図示する。
【0052】
【
図30】
図30A~
図30Eを含み、抗ZIKV抗体応答がZIKV-prMEプラスミドワクチン接種によって誘導されることを実証する実験結果を図示する。C57BL/6マウスを25μgのZIKV-prMEプラスミドまたはpVax1で、2週間間隔で3回、筋肉内投与により免疫誘導した。免疫誘導後の異なる時点における動物由来の血清を種々の希釈率で用いてエンベロープ抗原への結合を分析した。ELISAプレートをワクチンに一致した組換えZIKV-エンベロープタンパク質でコーティングした。
図30Aは、2回の独立した実験のうちの一方からの結果が提示されることを図示する。2回目の実験において同様の結果が得られた。
図30Bは、ZIKV-prME免疫原に応答して産生された抗ZIKVの終末点力価における差異を各追加免疫後の免疫誘導動物由来の血清中で分析したことを図示する。
図30Cは、ZIKV-エンベロープ抗原発現のウェスタンブロット分析を図示する。示されるようにpVax1またはZIKV-prME免疫誘導マウス由来の血清を用いて、種々の濃度での組換えZIKV-Envタンパク質を12.5%SDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させ、ウェスタンブロット分析によって分析した。ZIKV-Envタンパク質の発現が矢印で示される。
図20Dは、ZIKV-prMEまたはpVax1免疫誘導マウス由来の血清でのインキュベーション後、ZIKV-MR766で感染させたか、または擬似感染させたVero細胞の免疫蛍光測定分析を図示する。
図30Eは、pZIKV-prME免疫誘導マウス由来の試料をプラーク減少中和試験(PRNT)アッセイによって、それらがインビトロでZIKV感染能を中和する能力について試験したことを図示する。PRNT50は、投入ウイルスの50%を阻害し得る血清希釈係数と定義された。括弧内の値がPRNT50を示す。対照プラスミドpZIKV-カプシド及びpVax1血清を陰性対照として使用した。
【0053】
【
図31】
図31A~
図31Eを含み、NHPのZIKV=prME DNAワクチン接種後のZIKV特異的細胞性免疫応答の誘導を実証する実験結果を図示する。
図31Aは、アカゲザルを2mgのZIKV-prMEプラスミドで、0週目及び4週目に2つの部位の各々に1mgを投与する皮内投与(ID)により免疫誘導し、免疫誘導の直後に皮内エレクトロポレーションを行ったことを図示する。PBMCを免疫誘導前及び6週目に単離し、これを使用してELISPOTアッセイを行って、ZIKV-prMEペプチドでの刺激に応答したIFN-γ分泌細胞を検出した。ワクチン接種群について、全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対する、PBMC100万個当たり得られたIFN-γ産生細胞の数がy軸上に示される。値は各群(n=5)における平均応答±標準誤差を表す。
図31Bは、DNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答検出を図示する。抗ZIKV IgG抗体を免疫誘導前及び6週目にELISAによって測定した。
図31Cは、1回目及び2回目の免疫誘導後の抗ZIKV-エンベロープ抗体についての終末点ELISA力価が示されることを図示する。
図31Dは、6週目のサルのプール血清を使用したウェスタンブロット分析が組換えエンベロープタンパク質への結合を実証したことを図示する。
図31Eは、ZIKV MR766を用いて10PFUで感染させたVero細胞の免疫蛍光測定分析を図示する。細胞を感染から24時間後に6週目のサルの1:100のプール血清でプロービングし、次いで二次抗ヒトIgG-AF488で検出した。
【0054】
【
図32】
図32A~
図32Cを含み、ZIKV-prMEで免疫誘導したアカゲザル由来の血清のプラーク減少中和活性を実証する実験結果を図示する。アカゲザルを材料及び方法に記載されるように免疫誘導した。
図32Aは、個々のサル由来の免疫誘導前及び6週目の免疫血清をプラーク減少中和(PRNT)アッセイによって、それらがインビトロでZIKV感染能を中和する能力について試験したことを図示する。PRNT50は、投入ウイルスの50%を阻害し得る血清希釈係数と定義された。IC50計算値が各サルについて列挙される。
図21B及び21Cは、Vero、SK-N-SH、及びU87MG細胞におけるZIKV MR766及びPR209の細胞変性効果を図示する。
図32Bは、Vero細胞を疑似感染させたか、またはMR766もしくはPR209ウイルスで感染させたことを図示する。
図32Cは、ZIKV-prMEワクチンで免疫誘導した(6週目)NHPのプール血清の存在下で、SK-N-SH及びU87MG細胞を疑似、または0.001PFU/細胞のMOIでのMR766で感染させたことを図示する。免疫誘導NHP血清を使用して、合胞体形成(CPE)及びprMEタンパク質発現の誘導を感染から48時間後に間接免疫蛍光測定法(IFA)によって分析した。対物4倍で写真を撮影した。
【0055】
【
図33】
図33A~
図33Cを含み、I型インターフェロンα、β受容体が欠如したマウスにおけるpZIKV prMEから単離した脾臓細胞によるIFN-γ及び抗体産生のプロファイルを実証する実験結果を図示する。
図33Aは、IFNα、β受容体ノックアウトマウス(4~6匹)を25μgのpZIKV-prMEまたはpVax1プラスミドで、2週間間隔で3回、筋肉内投与により免疫誘導したことを図示する。脾細胞を最後の免疫誘導から2週間後に採集し、prMEペプチドとともにインキュベートし、IFN-γ産生細胞の数をELISPOTによって測定した。
図33Bは、免疫誘導動物におけるZIKV Envタンパク質に特異的な血清抗体を免疫誘導から種々の日数後にELISAによって測定したことを図示する。
図33Cは、免疫誘導から0、1、2、3、4及び5週間後の終末点力価を図示する。
【0056】
【
図34】
図34A~
図34Fを含み、I型インターフェロンα、β受容体が欠如した免疫誘導マウスについてのジカウイルス感染後の生存データを実証する実験結果を図示する。ジカ感染後のIFN-α/β受容体ノックアウトマウスの生存率。
図34Aは、マウスを1回免疫誘導し、2週間後に106PFUのZIKV-PR209で攻撃したことを図示する。
図34Bは、マウスを2週間間隔で2回免疫誘導し、2回目の免疫誘導から7日後に106PFUのZIKV-PR209で攻撃したことを図示する。
図34Cは、マウスを2週間間隔で2回免疫誘導し、2回目の免疫誘導から7日後に2×106PFUのZIKV PR209で攻撃したことを図示する。2回の別個の実験からのデータを使用して生存曲線を構築した。
図34Dは、2回免疫誘導した動物の体重変化が図示されることを図示する。データは、実験1回につき1群当たり10~15匹のマウスを用いた2回の独立した実験からの結果を反映する。
図34Eは、
図34Bにおける動物の臨床スコアを図示する。
図34Fは、
図34Cにおける動物の臨床スコアを図示する。臨床スコアの表記は以下の通りである:1-疾患なし、2-運動性低下、3-円背姿勢及び運動性低下、4-後肢における指背歩行(部分麻痺)、5-片方の後肢の麻痺、ならびに6-両方の後肢の麻痺。
【0057】
【
図35】
図35A~
図35Eを含み、ZIKV-prMEコンセンサスDNAワクチンの構築を実証する実験結果を図示する。
図35Aは、rMEのpVax1哺乳類発現ベクターへのクローニングを示す、ZIKV-prME DNAワクチンの模式図を図示する。ZIKV-prMEコンセンサス配列のためにコンセンサス設計戦略を採用した。prME構築物のコドン最適化した合成遺伝子に合成IgEリーダー配列を含めた。最適化遺伝子構築物をCMVプロモーターの制御下で修飾pVax1ベクターのBamH1及びXho1部位に挿入した。
図35Bは、ZIKV-Eタンパク質のモデル建築物が、関連する可能性のあるエピトープ領域とのワクチン標的の重複を実証することを図示する。ワクチン設計目的で行ったいくつかの変化が(中央左寄りにある挿入図の破線内に位置を定める)ドメインII及びIIIに位置を定める。これらの領域におけるワクチン特異的残基変化は、E(エンベロープ)タンパク質二量体(各鎖はそれぞれ薄緑色及び濃緑色)のリボン骨格図上に紫色のCPK形式で示される。規定のEDEに対応する領域は青緑色で示され、融合ループは青色で示される。150ループの表面上に露出するようにモデル化された、ワクチンEタンパク質の残基Ile156(T156I)は、いくつかの他のZIKV株ならびに複数のデングウイルス株におけるN結合型グリコシル化モチーフNXS/Tの一部である。
図35Cは、ウェスタンブロット分析を使用した293T細胞におけるZIKV-prMEタンパク質発現のSDS-PAGEによる発現分析を図示する。293T細胞をZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトし、汎フラビウイルス免疫誘導血清を用いてワクチン構築物の発現について細胞溶解物及び上清を分析した。タンパク質分子量マーカー(kDa)、ZIKV-prMEでトランスフェクトした細胞からの細胞溶解物及び上清ならびにrZIKV-E陽性対照を示されるようにロードした。
図35Dは、ウェスタンブロット分析を使用した293T細胞におけるZIKV-prMEタンパク質発現のSDS-PAGEによる発現分析を図示する。293T細胞をZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトし、ZIKV-prME免疫誘導血清を用いてワクチン構築物の発現について細胞溶解物及び上清を分析した。タンパク質分子量マーカー(kDa)、ZIKV-prMEでトランスフェクトした細胞からの細胞溶解物及び上清ならびにrZIKV-E陽性対照を示されるようにロードした。
図35Eは、293T細胞におけるZIKV-prMEタンパク質発現についての免疫蛍光測定法(IFA)分析を図示する。細胞を5μgのZIKVprMEプラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、ZIKV-prME免疫誘導マウス由来の血清(1:100)の添加により免疫蛍光標識を行い、続いて検出用に二次抗マウスIgG-AF488抗体を添加した。ZIKV-prME及びpVax1免疫誘導マウス由来の血清による染色が示される。DAPIパネルは細胞核の対照染色を示す。重ね合わせパネルは、抗マウスIgG-AF488及びDAPI染色パターンの組み合わせである。DAPI、すなわち4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール;ZIKV-prME、すなわちジカウイルスの前駆体膜及びエンベロープ。
【0058】
【
図36】
図36A~
図36Dを含み、ZIKV-prME DNAワクチンでのワクチン接種後のマウスにおける細胞性免疫応答の特徴付けを実証する実験結果を図示する。
図36Aは、本研究で使用したワクチン免疫誘導及び免疫分析のタイムラインを図示する。
図36Bは、ZIKV-prME免疫誘導に応答した脾細胞におけるIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を図示する。C57BL/6マウス(n=4/群)を25μgのpVax1ワクチンまたはZIKV-prME DNAワクチンのいずれかで3回、筋肉内投与により免疫誘導し、続いてエレクトロポレーションを行った。細胞性免疫応答の誘導の指標としてのIFN-γ産出をIFN-γ ELISpotアッセイによって測定した。3回目の免疫誘導から1週間後に採取した脾細胞を、全prM及びエンベロープタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果を積み上げ棒グラフで示す。データは、脾細胞100万個当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、このうち値が各々における平均応答±標準誤差を表す。
図36Cは、3回目の免疫誘導から1週間後にマトリックスペプチドプールでの刺激によって決定したZIKVprME特異的IFN-γ応答のエピトープ組成を図示する。値は各群における平均応答±標準誤差を表す。実験は独立して少なくとも3回行い、同様の結果が得られた。
図36Dは、T細胞応答のフローサイトメトリー分析を図示する。ZIKV-prMEでの免疫誘導は、ZIKVペプチドによって刺激したときにより高い数のIFN-γ及びTNF-α分泌細胞を誘導する。ZIKV-prMEワクチンでの最後の免疫誘導から1週間後、脾細胞をプールZIKVペプチド(5μM)の存在下でまたはR10のみで培養した。ZIKVペプチド特異的IFN-γ及びTNF-α分泌細胞の頻度をフローサイトメトリーによって測定した。単関数ゲートを陰性対照(未刺激)試料に基づいて設定し、試料にわたって一貫して配置した。総計CD8
+ T細胞応答の百分率が示される。これらのデータは、2つの独立した免疫誘導実験を表すものである。IFN、すなわちインターフェロン;TNF、すなわち腫瘍壊死因子;ZIKV-prME、すなわちジカウイルスの前駆体膜及びエンベロープ。
【0059】
【
図37】
図37A~
図37Eを含み、抗ZIKV抗体応答がZIKV-prMEワクチン接種によって誘導されることを実証する実験結果を図示する。
図37Aは、免疫誘導マウスにおける結合抗体産生(OD450値によって測定)を測定するELISA分析を図示する。C57BL/6マウス(n=4)を25μgのZIKV-prMEプラスミドまたはpVax1で、2週間間隔で3回、筋肉内投与により免疫誘導した。免疫誘導後の異なる時点(21、35及び50日目)における動物由来の血清を種々の希釈率で用いてrZIKV-Eへの結合を分析した。示されるデータは、少なくとも3回の別個の実験を表すものである。
図37Bは、終末点結合力価分析を図示する。ZIKV-prME免疫原に応答して産生された抗ZIKV終末点力価における差異を、各追加免疫後に免疫誘導動物由来の血清中で分析した。
図37Cは、ZIKV-prME免疫誘導によって誘導されたrZIKV-E特異的抗体のウェスタンブロット分析を図示する。ZIKV-prME免疫誘導マウス(35日目)由来のプール血清を用いて、rZIKV-Eタンパク質を12.5%SDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させ、ウェスタンブロット分析によって分析した。rZIKV-Eへの結合が矢印で示される。
図37Dは、ZIKV-prME免疫誘導によって誘導されたZIKV特異的抗体の免疫蛍光測定分析を図示する。ZIKV-MR766で感染させたか、または擬似感染させたVero細胞を、ZIKV-prME免疫誘導マウス(35日目)由来のプール血清で染色し、続いて検出用に抗マウス-AF488二次抗体で染色した。
図37Eは、ZIKV-prME免疫誘導によって誘導された中和抗体のプラーク減少中和(PRNT)アッセイ分析を図示する。ZIKV-prME免疫誘導マウス由来の血清試料を、それらがインビトロでZIKV感染能を中和する能力について試験した。PRNT50は、投入ウイルスの50%を阻害し得る血清希釈係数と定義された。括弧内の値がPRNT50を示す。対照ZIKV-Cap(ZIKVカプシドタンパク質を発現するDNAワクチン)及びpVax1血清を陰性対照として使用した。ZIKV-prME、すなわちジカウイルスの前駆体膜及びエンベロープ。
【0060】
【
図38】
図38A~
図38Eを含み、非ヒト霊長動物(NHP)のZIKV-prMEワクチン接種後のZIKV特異的細胞性免疫応答の誘導を実証する実験結果を図示する。
図38Aは、ZIKV-prME免疫誘導に応答した末梢血単核細胞(PBMC)におけるIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を図示する。アカゲザルを2mgのZIKV-prMEプラスミドで、0週目及び4週目に2つの部位の各々に1mgを投与する皮内投与により免疫誘導し、免疫誘導の直後に皮内エレクトロポレーションを行った。「材料及び方法」の節に記載されるように、PBMCを免疫誘導前及び6週目に単離し、これを使用してELISPOTアッセイを行い、ZIKV-prMEペプチドでの刺激に応答したIFN-γ分泌細胞を検出した。全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対する、PBMC100万個当たり得られたIFN-γ産生細胞の数が示される。値は各群(n=5)における平均応答±標準誤差を表す。
図38Bは、DNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答検出を図示する。抗ZIKV IgG抗体を免疫誘導前及び6週目にELISAによって測定した。
図38Cは、1回目及び2回目の免疫誘導後の抗ZIKV-エンベロープ抗体についての終末点ELISA力価が示されることを図示する。
図38Dは、6週目のアカゲザル免疫血清を使用したウェスタンブロット分析が組換えエンベロープタンパク質への結合を実証したことを図示する。
図38Eは、ZIKV-prMEで免疫誘導したアカゲザル由来の血清PRNT活性を図示する。個々のサル由来の免疫誘導前及び6週目の免疫血清をプラーク減少中和(PRNT)アッセイによって、それらがインビトロでZIKV感染能を中和する能力について試験した。PRNT50は、投入ウイルスの50%を阻害し得る血清希釈係数と定義された。(PRNT50)計算値が各サルについて列挙される。IFN、すなわちインターフェロン;ZIKV-prME、すなわちジカウイルスの前駆体膜及びエンベロープ。
【0061】
【
図39】
図39A~
図39Fを含み、I型インターフェロンα、β受容体が欠如した免疫誘導マウスについてのZIKV感染後の生存データを実証する実験結果を図示する。
図39Aは、ZIKV感染後のIFNAR
-/-マウスの生存率を図示する。マウスを25μgのZIKV-prME DNAワクチンで、2週間間隔で2回免疫誘導し、1×10
6個のプラーク形成単位での2回目の免疫誘導から1週間後にZIKV-PR209ウイルスで攻撃した。
図39Bは、ZIKV感染後のIFNAR
-/-マウスの生存率を図示する。マウスを25μgのZIKV-prME DNAワクチンで、2週間間隔で2回免疫誘導し、2×10
6個のプラーク形成単位での2回目の免疫誘導から1週間後にZIKV-PR209ウイルスで攻撃した。
図39Cは、1×10
6個のプラーク形成単位で免疫誘導した動物の体重変化を図示する。
図39Dは、2×10
6個のプラーク形成単位で免疫誘導した動物の体重変化を図示する。
図39Eは、1×10
6個のプラーク形成単位で免疫誘導した動物の臨床スコアを図示する。
図39Fは、2×10
6個のプラーク形成単位で免疫誘導した動物の臨床スコアを図示する。臨床スコアの表記は以下の通りである:1:疾患なし、2:運動性低下、3:円背姿勢及び運動性低下、4:後肢における指背歩行(部分麻痺)、5:片方の後肢の麻痺、ならびに6:両方の後肢の麻痺。データは、実験1回につき1群当たり10匹のマウスを用いた2回の独立した実験からの結果を反映する。ZIKV-prME、すなわちジカウイルスの前駆体膜及びエンベロープ。
【0062】
【
図40】
図40A~
図40dを含み、ZIKV-prMEワクチンでの単回の免疫誘導が、I型インターフェロンα、β受容体が欠如したマウスにおいてZIKV攻撃に対する保護を提供したことを実証する実験結果を図示する。マウスを1回免疫誘導し、単回の免疫誘導から2週間後、2×10
6個のZIKV-PR209のプラーク形成単位で攻撃した。生存曲線は、実験1回につき1群当たり10匹のマウスを図示する。
図40Aは、ZIKV-prMEワクチンがマウスの脳においてジカ誘導性の神経学的異常を予防したことを実証する。
図40Bは、pVax1及びZIKV-prMEワクチン接種群由来の脳切片を攻撃から7~8日後に採集し、組織学的検査用にH&E(ヘマトキシリン及びエオシン)で染色したことを図示する。代表的な未保護のpVax1対照動物から採取した切片は病変を示す。(i):大脳皮質の神経網内の核断片(挿入図はより高倍率を示し、矢印が核断片を強調する)、(ii):皮質内の血管の血管周囲性単核細胞浸潤、リンパ球浸潤及び変性細胞、(iii):血管周囲性単核細胞浸潤、細胞変性及び大脳皮質内の核断片、ならびに(iv):海馬内の変性ニューロン(矢印)。ZIKV-prMEワクチン接種マウス由来の正常組織の例は、正常範囲内であるように見えた(v及びvi)。
図40Cは、ワクチン接種及び示される感染後日数でのウイルス攻撃後のマウス由来の血漿試料中のZIKV RNAのレベルを図示する。結果は、血漿1ミリリットル当たりのゲノム当量として示される。
図40Dは、脳組織中のZIKV-RNAのレベルを感染後28日目に分析したことを図示する。結果は、組織1グラム当たりのゲノム当量として示される。ZIKV-prME、すなわちジカウイルスの前駆体膜及びエンベロープ。
【0063】
【
図41】
図41A及び
図41Bを含み、ZIKV攻撃後に抗ZIKV免疫血清を受動的に移入した後の、I型インターフェロンα、β受容体が欠如したマウスの保護を実証する実験結果を図示する。抗ジカウイルスIgGについて力価測定した、NHP抗ZIKV免疫プール血清を、ジカウイルス(マウス1匹当たり10
6個のプラーク形成単位)での皮下投与による攻撃から1日後に、マウスに腹腔内投与(150μl/マウス)した。対照としては、正常サル血清及びリン酸緩衝食塩水(PBS)を対照として週齢一致マウスに投与した(150μl/マウス)。
図41Aは、感染及び処置の過程中のマウスの体重変化を図示する。各点は、各マウスについての攻撃前(0日目)体重に対するパーセント計算値の平均及び標準誤差を表す。
図41Bは、NHP免疫血清の投与後のマウスの生存率を図示する。ZIKV-prME、すなわちジカウイルスの前駆体膜及びエンベロープ。
【0064】
【
図42】
図42A~
図42Dを含み、C57BL/6マウスにおけるZIKV-prME-MR766ワクチンまたはZIKV-prMEブラジルワクチンの免疫応答の特徴付けを実証する実験結果を図示する。
図42Aは、ZIKV-prME-MR766ワクチン及びZIKV-prME-ブラジルDNAワクチンのいずれかでのワクチン接種後の細胞性応答及び抗体応答を測定するELISpot及びELISA分析を図示する。C57BL/6マウス(n=4/群)を25μgのZIKV-prME-MR766で3回、筋肉内投与により免疫誘導し、続いてインビボエレクトロポレーションを行った。細胞性免疫応答誘導の指標としてのIFN-γ産出をIFN-γ ELISpotによって測定した。3回目の免疫誘導から1週間後に採取した脾細胞を、全prM及びEタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果を積み上げ棒グラフで示す。データは、脾細胞100万個当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、このうち値が各々における平均応答±標準誤差を表す。
図42Bは、ZIKV-prME-MR766ワクチン及びZIKV-prME-ブラジルDNAワクチンのいずれかでのワクチン接種後の細胞性応答及び抗体応答を測定するELISpot及びELISA分析を図示する。C57BL/6マウス(n=4/群)を25μgのZIKV prME-ブラジルで3回、筋肉内投与により免疫誘導し、続いてインビボエレクトロポレーションを行った。細胞性免疫応答誘導の指標としてのIFN-γ産出をIFN-γ ELISpotによって測定した。3回目の免疫誘導から1週間後に採取した脾細胞を、全prM及びEタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果を積み上げ棒グラフで示す。データは、脾細胞100万個当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、このうち値が各々における平均応答±標準誤差を表す。
図42Cは、免疫誘導C57BL/6マウスにおける結合抗体産生を測定するELISA分析を図示する。免疫誘導後35日目のマウス由来の血清を種々の希釈率で用いてrZIKV-Eへの結合を分析した。
図42Dは、免疫誘導C57BL/6マウスにおける結合抗体産生を測定するELISA分析を図示する。免疫誘導後35日目のマウス由来の血清を種々の希釈率で用いてrZIKV-Eへの結合を分析した。
【0065】
【
図43】
図43A~
図43Dを含み、ZIKV-エンベロープタンパク質の発現、精製、及び特徴付けを実証する実験結果を図示する。
図43Aは、rZIKV E発現のためのクローニングプラスミドを図示する。
図43Bは、SDS-PAGE及びウェスタンブロット分析による組換えZIKV-E(rZIKV-E)タンパク質の特徴付けを図示する。列1-BSA対照、列2-pET-28aベクタープラスミドで形質転換させたE.coli培養物由来の溶解物をニッケル金属親和性樹脂カラムによって精製し、IPTG誘導後にSDS-PAGEによって分離させた。列3、抗Hisタグ抗体を用いて(37)組換えZV-E精製タンパク質をウェスタンブロットによって分析した。列M、タンパク質分子量マーカー。
図43Cは、精製rZIKV-Eタンパク質をその抗原性について評価したことを図示する。ELISAプレートをrZIKV-Eでコーティングし、次いで、ZIKV-prMEワクチンで免疫誘導したマウス由来の種々の希釈率の免疫血清または陽性対照としての汎フラビウイルス抗体とともにインキュベートした。実験例に記載されるように、結合したIgGをペルオキシダーゼ標識抗マウス抗体、続いてテトラメチルベンジジン基質の添加によって検出した。
図43Dは、ZIKV prME免疫誘導マウス由来の免疫血清を用いた精製rZIKV-Eタンパク質のウェスタンブロット検出を図示する。記載されるように種々の濃度の精製rZIKV-Eタンパク質をSDS-PAGEゲル上にロードした。1:100免疫血清、及び1:15,000のヤギ抗マウスの希釈物を室温で1時間使用した。洗浄後、膜をOdyssey赤外線撮像装置で撮像した。Odysseyタンパク質分子量標準物質を使用した。矢印はrZIKV-Eタンパク質の位置を示す。
【0066】
【
図44】
図44A~
図44Cを含み、IFNAR
-/-マウスにおけるジカ-prME免疫応答の特徴付けを実証する実験結果を図示する。IFNAR
-/-マウスにおけるZIKV-prMEに対する細胞性応答及び抗体応答を測定するELISpot及びELISA分析。マウス(n=4/群)を25μgのZIKV-prMEで3回、筋肉内投与により免疫誘導し、続いてインビボエレクトロポレーションを行った。
図44Aは、細胞性免疫応答誘導の指標としてのIFN-γ産出をIFN-γ ELISPOTによって測定したことを図示する。
図44Bは、免疫誘導IFNAR
-/-マウスにおける結合抗体産生を測定するELISA分析を図示する。免疫誘導後の種々の時点におけるマウス由来の血清を用いてrZIKV-Eへの結合を分析した。
図44Cは、免疫誘導IFNAR
-/-マウスにおいて産生された抗ZIKV抗体の終末点力価分析を図示する。
【0067】
【
図45】
図45A~
図45Dを含み、ZIKV-prMEに対して免疫誘導したアカゲザル由来の免疫血清の中和活性を実証する実験結果を図示する。ZIKV-prMEワクチンで免疫誘導した(6週目)NHPのプール血清の存在下で、SK-N-SH及びU87MG細胞を疑似感染させたか、または0.01PFU/細胞のMOIでのMR766で感染させた。ZIKV-prMEワクチン接種NHP由来の血清を使用して、ジカウイルス感染能を感染から4日後に間接免疫蛍光測定法(IFA)によって分析した。
図45Aは、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスMR766及びPR209による感染の阻害を実証する、対物20倍で撮影した染色済み組織試料薄片の写真を図示する。
図45Bは、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスSK-N-SH及びU87MGによる感染の阻害を実証する、対物20倍で撮影した染色済み組織試料薄片の写真を図示する。
図45Cは、棒グラフが、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスMR766及びPR209による感染の阻害を実証する、感染した(GFP陽性細胞)の百分率を示すことを図示する。
図45Dは、棒グラフが、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスSK-N-SH及びU87MGによる感染の阻害を実証する、感染した(GFP陽性細胞)の百分率を示すことを図示する。
【0068】
【
図46】
図46A~
図46Dを含み、ZIKVがIFNAR
-/-マウスに対して病毒性であることを実証する実験結果を図示する。これらのデータは、ZIKVがIFNAR
-/-において病毒性であり、病的状態及び死亡をもたらすことを確認する。
図46Aは、10
6pfuのZIKV-PR209ウイルスを頭蓋内投与を介して接種したIFNAR
-/-マウスのカプランマイヤー生存曲線を図示する。
図46Bは、10
6pfuのZIKV-PR209ウイルスを静脈内投与を介して接種したIFNAR
-/-マウスのカプランマイヤー生存曲線を図示する。
図46Cは、10
6pfuのZIKV-PR209ウイルスを腹腔内投与を介して接種したIFNAR
-/-マウスのカプランマイヤー生存曲線を図示する。
図46Dは、10
6pfuのZIKV-PR209ウイルスを皮下投与を介して接種したIFNAR
-/-マウスのカプランマイヤー生存曲線を図示する。
図46Aは、すべての経路に関する感染の過程中のマウスの体重変化を図示する。
【0069】
【
図47】持続的及び全身性の抗ジカウイルス-Env抗体の誘導を実証する実験結果を図示する。抗ZIKV抗体応答がZIKV-prME+ZV-DMAb免疫誘導によって誘導される。A129マウス(n=4)を25μgのZIKV-prMEプラスミドで、2週間間隔で3回、またはZIKV-DMAbで1回、筋肉内投与により免疫誘導した。示されるように異なる時点の動物由来の血清を用いて組換えZIKV-エンベロープへの結合を分析した。単回ZV-IgG(ヒト抗ZIKV)注射及びZIKV-prME免疫誘導(マウス抗ZIKVエンベロープ)後の持続的及び全身性の抗ZIKV Env抗体の誘導。示されるデータは少なくとも2回の別個の実験を表すものであり、平均OD450値が±標準偏差で示される。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は、ジカウイルス抗原に対する抗体、及びその機能性断片をコードする組換え核酸配列を含む、組成物に関する。本組成物は、それを必要とする対象に投与して、合成抗体のインビボ発現及び形成を促進することができる。
【0071】
本発明はまた、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する第1の組成物と、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む第2の組成物との組み合わせにも関する。
【0072】
本発明の別の態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を生み出すことが可能な1つ以上の核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む、免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、該核酸分子は、哺乳動物においてコンセンサスジカ抗原を発現することが可能な1つ以上の核酸配列と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。一実施形態では、該核酸分子は、コンセンサスジカ抗原をコードするコード配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む。一実施形態では、コンセンサスジカ抗原は、コンセンサスprME、NS1、カプシド、または前述の抗原のうちの1つ以上の融合物を含む。一実施形態では、該核酸分子は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、及び配列番号39に対して少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む、コンセンサスジカ抗原をコードする最適化された核酸配列を含む。
【0073】
本発明は、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。本組成物は、それを必要とする対象に投与して、合成抗体のインビボ発現及び形成を促進することができる。
【0074】
特に、組換え核酸配列から発現された重鎖及び軽鎖ポリペプチドは、合成抗体へと組織化し得る。重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、組織化により、抗原に結合可能な、本明細書に記載の組織化されていない抗体と比較してより免疫原性の、及び抗原に対する免疫応答を誘発または誘導可能な合成抗体がもたらされるように、互いに相互作用し得る。
【0075】
追加的に、これらの合成抗体は、対象において、抗原誘導性免疫応答に応答して産生される抗体よりも迅速に産出される。本合成抗体は、様々な抗原に有効に結合し、それを中和することができる。本合成抗体はまた、疾患に対して有効に保護し、及び/または疾患生存率を促進することができる。
【0076】
1.定義
別途規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含めて本明細書が優位に立つ。好ましい方法及び材料が下記に記載されるが、本明細書に記載の方法及び材料と同様のまたは同等の方法及び材料を本発明の実践または試験において使用することができる。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が援用される。本明細書に開示される材料、方法、及び例は、例示説明にすぎず、限定することは意図していない。
【0077】
本明細書で使用される「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain)」という用語、及びその変化形は、追加の作用または構造の可能性を排除しない開放型の移行句、用語、または語であることを意図する。単数形「a」、「and」及び「the」は、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、複数形の指示対象を含む。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0078】
「抗体」とは、クラスIgG、IgM、IgA、IgDもしくはIgEの抗体、またはその断片、断片もしくは誘導体を意味し得、これにはFab、F(ab’)2、Fd、及び1本鎖抗体、ならびにそれらの誘導体が含まれる。本抗体は、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、またはそれらの混合物であり得、それは所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対して十分な結合特異性を呈する。
【0079】
本明細書で同義に使用される「抗体断片」または「抗体の断片」とは、抗原結合部位または可変領域を含む無傷の抗体の一部分を指す。この部分は、無傷の抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じてCH2、CH3、またはCH4)を含まない。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、1本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変ドメインのみを含有する1本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有する1本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含有する1本鎖ポリペプチド、及び重鎖可変領域の3つのCDRを含有する1本鎖ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
「抗原」とは、宿主において免疫応答を生み出す能力を有するタンパク質を指す。抗原は、抗体によって認識され、結合され得る。抗原は、体内に源を発しても、または外部環境に源を発してもよい。
【0081】
本明細書で使用される「コード(coding)配列」または「コーディング(encoding)核酸」とは、本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を指すことを意味し得る。コード配列は、該核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞において発現を導くことができるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された、開始シグナル及び終結シグナルをさらに含み得る。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含み得る。
【0082】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」とは、核酸を意味し得、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体間のワトソン・クリック型(例えば、A-T/U及びC-G)またはフーグスティーン型塩基対合を意味し得る。
【0083】
本明細書で使用される「定電流」とは、組織、または該組織を画成する細胞が、同組織に送達される電気パルスの持続期間にわたって受け取るまたは経験する電流を定義するものである。電気パルスは、本明細書に記載のエレクトロポレーションデバイスから送達される。本明細書に提供されるエレクトロポレーションデバイスは、好ましくは瞬時のフィードバックを有するフィードバック要素を有するため、この電流は、該組織において、電気パルスの寿命にわたって一定のアンペア数にとどまる。フィードバック要素は、パルスの持続期間全体を通して組織(または細胞)の抵抗値を測定し、エレクトロポレーションデバイスにより、同組織における電流が電気パルス全体(およそ数マイクロ秒)を通して、及びパルス間で一定にとどまるように、その電気エネルギー出力を変化させる(例えば、電圧を上昇させる)ことができる。一部の実施形態では、フィードバック要素は、コントローラを含む。
【0084】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」は、同義に使用され得、提供されるエレクトロポレーションデバイスの能動的応答を意味し得、これは電極間にある組織における電流を測定し、電流を一定レベルで維持するためにエレクトロポレーションデバイスによって送達されるエネルギー出力を適宜変化させることを含む。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気処置の開始前にユーザーによって事前設定される。フィードバックは、エレクトロポレーションデバイスのエレクトロポレーションコンポーネント、例えば、コントローラによって遂行され得、その中の電気回路が、電極間にある組織における電流を継続的に監視し、その監視される電流(または組織内の電流)を事前設定電流と比較し、エネルギー出力を継続的に調整して監視される電流を事前設定レベルに維持することができる。フィードバックループは、それがアナログ閉ループフィードバックであるため瞬時であってもよい。
【0085】
本明細書で使用される「分散型電流(Decentralized current)」とは、本明細書に記載のエレクトロポレーションデバイスの種々の針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、このパターンは、エレクトロポレーションを受けている組織のあらゆる面積に対するエレクトロポレーション関連の熱ストレスの発生を最小化、または好ましくは排除する。
【0086】
本明細書で同義に使用される「エレクトロポレーション」、「電気透過処理(electro-permeabilization)」または「電気運動強化(electro-kinetic enhancement)」(「EP」)は、膜貫通電界パルスを使用した、生体膜における微視的経路(細孔)の誘導を指し得る。この細孔の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNAなどの生体分子、薬物、イオン、及び水が細胞膜の片側から反対側に通過することが可能となる。
【0087】
本明細書で使用される「内因性抗体」とは、体液性免疫応答の誘導のために有効用量の抗原を投与された対象において産出される抗体を指し得る。
【0088】
本明細書で使用される「フィードバック機構」とは、ソフトウェアまたはハードウェア(またはファームウェア)によって行われるプロセスを指し得、このプロセスでは、所望の組織(エネルギーのパルスの送達前、最中、及び/または後)のインピーダンスを受信し、それを現在値(present value)、好ましくは電流と比較し、送達されるエネルギーのパルスを調整して事前設定値を達成する。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって行われ得る。
【0089】
「断片」とは、機能である、すなわち、所望の標的に結合し、完全長抗体と同じ意図される効果を有することができる、抗体のポリペプチド断片を意味し得る。抗体の断片は、N及び/またはC末端から少なくとも1つのアミノ酸を欠損していることを除いて、完全長と100%同一であり得、いずれの場合もシグナルペプチド及び/または1位のメチオニンの有無を問わない。断片は、追加される任意の異種シグナルペプチドを除いて、特定の完全長抗体の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上のパーセントを含み得る。断片は、抗体と95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上同一であるポリペプチドの断片を含み得、追加的に、同一性パーセントを計算する際に含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドを含み得る。断片は、N末端メチオニン及び/または免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、例えばIgEもしくはIgGシグナルペプチドをさらに含み得る。N末端メチオニン及び/またはシグナルペプチドは、抗体の断片に連結され得る。
【0090】
抗体をコードする核酸配列の断片は、5’及び/または3’末端から少なくとも1つのヌクレオチドを欠損していることを除いて、完全長と100%同一であり得、いずれの場合もシグナルペプチド及び/または1位のメチオニンをコードする配列の有無を問わない。断片は、追加される任意の異種シグナルペプチドを除いて、特定の完全長コード配列の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上のパーセントを含み得る。断片は、抗体と95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上同一であるポリペプチドをコードする断片を含み得、追加的に、同一性パーセントを計算する際に含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドをコードする配列を任意選択的に含み得る。断片は、N末端メチオニン及び/または免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、例えばIgEもしくはIgGシグナルペプチドに対するコード配列をさらに含み得る。N末端メチオニン及び/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に連結され得る。
【0091】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」とは、抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、DNAまたはRNA分子を指す。コード配列は、該核酸分子が投与される個体の細胞において発現を導くことができるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された、開始シグナル及び終結シグナルを含む。本明細書で使用されるとき、「発現可能形態」という用語は、個体の細胞に存在するときにそのコード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結された、必要な調節エレメントを含有する遺伝子構築物を指す。
【0092】
本明細書で2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の関連において使用される「同一」または「同一性」とは、その配列が、指定の領域にわたって同じである指定の百分率の残基を有することを意味し得る。百分率は、2つの配列を最適にアライメントし、2つの配列を指定の領域にわたって比較し、両配列において同一残基が出現する位置の数を決定して一致する位置の数を得、一致する位置の数を指定の領域における位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性の百分率を得ることによって計算され得る。2つの配列が異なる長さであるか、またはアライメントにより1つ以上の不揃いな末端がもたらされ、指定の比較領域が単一の配列のみを含む場合、単一の配列の残基は計算の分母に含められるが、分子には含められない。DNAとRNAとを比較する場合、チミン(T)及びウラシル(U)は同等とみなされてよい。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムの使用によって行われてよい。
【0093】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を考察する際に使用され得、オームの法則に従って電流値に変換することができ、このようにして事前設定電流との比較が可能となる。
【0094】
本明細書で使用される「免疫応答」とは、1つ以上の核酸及び/またはペプチドの導入に応答した、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の活性化を意味し得る。免疫応答は、細胞性応答もしくは体液性応答、または両方の形態にあり得る。
【0095】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」とは、一緒に共有結合的に連結した少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。1本鎖の描写はまた相補鎖の配列も定義する。故に、核酸はまた、描写される1本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントが所与の核酸と同じ目的で使用され得る。故に、核酸はまた、実質的に同一の核酸及びその補体も包含する。1本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズし得るプローブを提供する。故に、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0096】
核酸は1本鎖もしくは2本鎖であり得るか、または2本鎖の配列部分及び1本鎖の配列部分の両方を含有し得る。核酸は、ゲノムDNA及びcDNAいずれのDNA、RNA、またはハイブリッドであり得、ここにおいて核酸は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組み合わせ、ならびに、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン及びイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含有し得る。核酸は、化学合成法によってまたは組換え法によって得てもよい。
【0097】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」とは、遺伝子の発現が、それが空間的に接続されているプロモーターの制御下にあることを意味し得る。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)側に位置付けられ得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターと、同プロモーターの由来となる遺伝子においてそれが制御する遺伝子との間の距離とおよそ同じであり得る。当該技術分野で知られているように、プロモーター機能を喪失することなくこの距離の多様性が受け入れられ得る。
【0098】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」とは、アミノ酸の連鎖配列を意味し得、天然、合成、もしくは修飾または天然及び合成の組み合わせであり得る。
【0099】
本明細書で使用される「プロモーター」とは、細胞における核酸の発現を付与する、活性化するまたは強化することが可能である合成または天然由来分子を意味し得る。プロモーターは、その発現をさらに強化し、及び/または空間的発現及び/または時間的発現を改変するために、1つ以上の特異的転写調節配列を含み得る。プロモーターはまた、転写の開始部位から最大数千塩基対に位置を定め得る、遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントを含んでもよい。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、遺伝子構成要素の発現を構成的に、あるいは、発現が生じる細胞、組織もしくは臓器に対して、発現が生じる発達段階に対して、または生理学的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤などの外部刺激に応答して差次的に、調節し得る。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV 40後期プロモーター及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0100】
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書で同義に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端に連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は典型的に、タンパク質の局在化を導く。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は好ましくは、それが産生される細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞から分泌されると、しばしば成熟タンパク質と称されるタンパク質の残りの部分から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端で連結される。
【0101】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、核酸の複合体混合物中など、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味し得る。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、様々な状況で様々であろう。ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度pHで、具体的な配列の熱融点(Tm)よりも約5~10℃低いように選択され得る。Tmは、平衡状態で、標的に相補的なプローブの50%が標的配列にハイブリダイズする(標的配列が過剰で存在するとき、Tmにおいて、平衡状態でプローブの50%が占有されている)、(規定のイオン強度pH、及び核酸濃度のもとでの)温度であり得る。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3で約1.0Mナトリウムイオン未満、例えば、約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)に関して少なくとも約30℃及び長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチド超)に関して少なくとも約60℃である条件であり得る。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加により達成されてもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例となるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には以下が含まれる:50%ホルムアミド、5×SSC、及び1%SDS、42℃でインキュベート、または、5×SSC、1%SDS、65℃でインキュベート、加えて0.2×SSC、及び0.1%SDS中、65℃で洗浄。
【0102】
本明細書で同義に使用される「対象」及び「患者」は、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス、非ヒト霊長動物(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル、チンパンジー等といったサル)ならびにヒト)を含むがこれらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。一部の実施形態では、対象は、ヒトまたは非ヒトであり得る。対象または患者は、他の形態の治療を受けていてもよい。
【0103】
本明細書で使用される「実質的に相補的」とは、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100ヌクレオチドもしくはアミノ酸もしくはそれよりも多くの領域にわたって、第2の配列の補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であること、または2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0104】
本明細書で使用される「実質的に同一」とは、第1及び第2の配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100ヌクレオチドもしくはアミノ酸もしくはそれよりも多くの領域にわたって、または、第1の配列が第2の配列の補体に実質的に相補的である場合、核酸に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%であることを意味し得る。
【0105】
本明細書で使用される「合成抗体」は、本明細書に記載の組換え核酸配列によってコードされ、かつ対象において産出される、抗体を指す。
【0106】
本明細書で使用される「治療」または「治療する」とは、疾患を予防する、抑制する、抑圧する、または完全に排除する手段を通した、疾患からの対象の保護を意味し得る。疾患の予防には、疾患の発症前に本発明のワクチンを対象に投与することが伴う。疾患の抑制には、疾患の誘導後であるがその臨床的発現前に本発明のワクチンを対象に投与することが伴う。疾患の抑圧には、疾患の臨床的発現後に本発明のワクチンを対象に投与することが伴う。
【0107】
本明細書で核酸に関して使用される「バリアント」とは、(i)参照のヌクレオチド配列の一部分もしくは断片、(ii)参照のヌクレオチド配列もしくはその一部分の補体、(iii)参照の核酸もしくはその補体と実質的に同一である核酸、または(iv)ストリンジェントな条件下で、参照の核酸、その補体、もしくはそれと実質的に同一の配列にハイブリダイズする核酸を意味し得る。
【0108】
アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換の分だけアミノ酸配列が異なる、あるペプチドまたはポリペプチドに関する「バリアント」は、少なくとも1つの生物学的活性をただ保持するにすぎない。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照のタンパク質と実質的に同一である、アミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、あるアミノ酸を、同様の特性(例えば、親水性度、荷電領域の度合及び分布)を有する異なるアミノ酸と置き換えることは、当該技術分野において、典型的に軽微な変化を伴うものと認識されている。これらの軽微な変化は、部分的には、当該技術分野で理解されるように、アミノ酸のハイドロパシー指数を考慮することによって特定することができる。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸のハイドロパシー指数は、その疎水性度及び電荷の考慮に基づく。同様のハイドロパシー指数を有するアミノ酸を置換しながらも依然としてタンパク質機能を保持することが可能であることが当該技術分野で知られている。一態様では、±2のハイドロパシー指数を有するアミノ酸同士が置換される。アミノ酸の親水性度をまた用いて、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすような置換を明らかにすることができる。ペプチドの関連におけるアミノ酸の親水性度の考慮は、そのペプチドの最大の局所的平均親水性度の計算を可能にし、これは抗原性及び免疫原性とよく相関することが報告されている有用な尺度である。米国特許第4,554,101号(参照により本明細書に全体的に援用される)。同様の親水性値を有するアミノ酸の置換は、当該技術分野で理解されるように、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドをもたらすことができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸同士で行われ得る。アミノ酸の疎水性指数及び親水性値は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。その所見と一貫するように、生物学的機能と適合性であるアミノ酸置換は、疎水性度、親水性度、電荷、サイズ、及び他の特性によって明らかになる、アミノ酸、特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対的類似性に左右されることが理解される。
【0109】
バリアントは、全遺伝子配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0110】
本明細書で使用される「ベクター」とは、複製起点を含有する核酸配列を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体または酵母人工染色体であってよい。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであってよい。ベクターは、自己複製染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであってよい。
【0111】
本明細書で数値範囲を列挙する場合、それらの間に介在する同じ精度での各数値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲の場合、6及び9に加えて7及び8という数値が企図され、6.0~7.0の範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0という数値が明示的に企図される。
【0112】
2.組成物
本発明の一態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する組成物と、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物との組み合わせを提供する。本組成物は、それを必要とする対象に投与して、合成抗体のインビボ発現及び形成を促進することができる。一実施形態では、該核酸分子は、抗ZIKV-エンベロープ(抗ZIKV E)タンパク質抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0113】
本発明は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する第1の組成物と、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む第2の組成物との組み合わせに関する。
【0114】
ジカワクチン
本発明の別の態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を生み出すことが可能である1つ以上の核酸分子を含む、免疫原性組成物を提供する。本発明はまた、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を生み出すことが可能である単離核酸分子も提供する。一実施形態では、該核酸分子は、哺乳動物においてコンセンサスジカ抗原を発現することが可能な1つ以上の核酸配列と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。一実施形態では、該核酸分子は、コンセンサスジカ抗原をコードするコード配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む。一実施形態では、コンセンサスジカ抗原は、コンセンサスprME、NS1、カプシド、または前述の抗原のうちの1つ以上の融合物からなる。一実施形態では、該核酸分子は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、及び配列番号39に対して少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む、コンセンサスジカ抗原をコードする最適化された核酸配列を含む。
【0115】
配列番号 説明(ジカワクチンに関する)
23 コンセンサスジカIgEリーダー-prMEタンパク質
24 コンセンサスジカIgEリーダー-prME(構築物1)DNA
25 コンセンサスジカIgEリーダー-prME(構築物1)タンパク質
26 コンセンサスジカIgEリーダー-NS1 DNA
27 コンセンサスジカIgEリーダー-NS1タンパク質
28 コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドDNA
29 コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドタンパク質
30 ジカIgEリーダー-prME MR766 DNA
31 ジカIgEリーダー-prME MR766タンパク質
32 ジカIgEリーダー-prMEブラジルDNA
33 ジカIgEリーダー-prMEブラジルタンパク質
34 コンセンサスジカIgEリーダー-NS1 DNA(pGX7211)
35 コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドDNA(pGX7212)
36 ジカIgEリーダー-prMEブラジルDNA(pGX7213)
37 ジカIgEリーダー-prME MR766 DNA(pGX7214)
38 カプシドDNAを含まないジカPreEnv(MR766)(pGX7210)
39 カプシドタンパク質を含まないジカPreEnv(MR766)(pGX7210)
【0116】
一部の実施形態では、本明細書の核酸配列は、IgEリーダー配列を5’末端から除去させ得、本明細書のタンパク質配列は、IgEリーダー配列をN末端から除去させ得る。
【0117】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39に記載のアミノ酸配列を有するペプチドをコードすることができる。一実施形態では、該核酸分子は、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、または配列番号38に記載のヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、配列は、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、または配列番号38に記載のヌクレオチド配列の長さ全体にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する、ヌクレオチド配列であり得る。他の実施形態では、配列は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39に記載のアミノ酸配列の長さ全体にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする、ヌクレオチド配列であり得る。
【0118】
一部の実施形態では、該核酸分子は、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、または配列番号38に記載の核酸配列の長さ全体にわたって少なくとも約96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するDNA配列からの転写物である、RNA配列を含む。一部の実施形態では、該核酸分子は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39に記載のアミノ酸配列の長さ全体にわたって少なくとも約96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする、RNA配列を含む。
【0119】
コンセンサス-ジカ抗原は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39に記載のアミノ酸配列を有するペプチドであり得る。一部の実施形態では、抗原は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39に記載のアミノ酸配列の長さ全体にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有することができる。
【0120】
配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39の免疫原性断片に対して相同なアミノ酸配列を有するタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。かかる免疫原性断片は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39に対して95%相同であるタンパク質の、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含むことができる。一部の実施形態は、本明細書のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。一部の実施形態は、本明細書のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。一部の実施形態は、本明細書のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。一部の実施形態は、本明細書のコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。一部の実施形態では、免疫原性断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーのような、リーダー配列を含む。一部の実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0121】
一実施形態では、核酸分子の免疫原性断片は、完全長最適化コンセンサスジカ抗原の少なくとも1つの免疫優性または免疫準優性なエピトープをコードする。
【0122】
一部の実施形態は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39の完全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%を含む、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39の免疫原性断片に関する。免疫原性断片は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、または配列番号39の断片に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%相同であり得る。一部の実施形態では、免疫原性断片は、例えば、IgEリーダーなどの免疫グロブリンリーダーのようなリーダー配列をコードする配列を含む。一部の実施形態では、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
【0123】
一実施形態では、該核酸分子は、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、または配列番号38に対して少なくとも90%相同な配列を含む。
【0124】
一部の実施形態では、該核酸分子は、コード配列のN末端上にIgEリーダー配列が欠けたジカ抗原をコードする配列を含む。一部の実施形態では、該DNA核酸分子は、コード配列のN末端に結合するとともにプロモーターに作動可能に連結されたIgEリーダー配列をさらに含む。
【0125】
該核酸分子は、コード配列のC末端に結合したポリアデニル化配列をさらに含むことができる。一実施形態では、該核酸分子は、コドン最適化されている。
【0126】
一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、アジュバントである。好ましくは、アジュバントは、IL-12及びIL-15からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤である。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質、より好ましくはポリ-L-グルタメート(poly-L-glutamate)である。好ましくは、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度にある。一実施形態では、該核酸分子は、DNAプラスミドである。一実施形態では、該DNAプラスミドは、総DNAプラスミドの濃度が1mg/ml以上である。
【0127】
一部の実施形態では、該核酸分子は、複数の固有の核酸分子を含み、複数の固有の核酸分子の各々が、コンセンサスprMEタンパク質、コンセンサスprME(構築物1)、コンセンサスNS1 DNA、またはコンセンサスカプシドタンパク質を含むポリペプチドをコードする。
【0128】
該核酸分子は、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、及び配列番号33を含むがこれらに限定されないアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、DNAプラスミドを含むことができる。
【0129】
一実施形態では、該核酸分子は、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、及び配列番号38を含むがこれらに限定されないヌクレオチド配列を含む、核酸分子を含むことができる。
【0130】
一実施形態では、該核酸分子は、最適化された核酸配列を含む。最適化された配列は、改善された発現のためのコンセンサス配列及び/または修飾(複数可)を含むことができる。修飾には、増加した翻訳開始のためのコドン最適化、RNA最適化、コザック配列の付加、及び/または免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の付加が含まれ得る。最適化された配列によってコードされるジカ抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリン(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含むことができる。一部の実施形態では、最適化コンセンサス配列によってコードされる該抗原は、ヘマグルチニン(HA)タグを含むことができる。最適化された配列によってコードされるジカ抗原は、対応する天然抗原よりも強力な細胞性及び/または体液性免疫応答を誘発するように設計され得る。
【0131】
本発明の一部の実施形態では、該核酸分子ワクチンは、アジュバントをさらに含むことができる。一部の実施形態では、アジュバントは、アルファ-インターフェロン、ガンマ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、CD86(シグナル配列が欠失したIL-15を含み、任意選択でIgEからのシグナルペプチドを含む)からなる群から選択される。有用なアジュバントであり得る他の遺伝子には、MCP-1、MIP-l-アルファ、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2及びそれらの機能性断片をコードするものが含まれる。一部の好ましい実施形態では、アジュバントは、IL-12、IL-15、CTACK、TECK、またはMECから選択される。
【0132】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるコンセンサスジカ抗原に対する免疫応答の誘発方法は、粘膜免疫応答の誘導方法を含む。かかる方法は、哺乳動物に、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質及びその機能性断片またはその発現可能なコード配列のうちの1つ以上を、上述のコンセンサスジカ抗原を含むDNAプラスミドと組み合わせて投与することを含む。CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質及びその機能性断片のうちの1つ以上は、本明細書に提供される核酸分子の投与の前、それと同時、またはその後に投与されてもよい。一部の実施形態では、CTACK、TECK、MEC及びその機能性断片からなる群から選択される1つ以上のタンパク質をコードする単離核酸分子が、哺乳動物に投与される。
【0133】
免疫原性組成物は、本組成物を投与された対象において免疫応答を誘導することができる。誘導される免疫応答は、天然抗原に特異的であり得る。誘導される免疫応答は、最適化コンセンサスによりコードされる抗原に関連する天然抗原と反応性であり得る。種々の実施形態では、関連する抗原には、最適化コンセンサスによりコードされる抗原のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有するアミノ酸配列を有する、抗原が含まれる。種々の実施形態では、関連する抗原には、本明細書に開示される最適化コンセンサスヌクレオチド配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、抗原が含まれる。
【0134】
免疫原性組成物は、免疫原性組成物を投与された対象において体液性免疫応答を誘導することができる。誘導される体液性免疫応答は、天然抗原に特異的であり得る。誘導される体液性免疫応答は、最適化コンセンサスによりコードされる抗原に関連する天然抗原と反応性であり得る。体液性免疫応答は、免疫原性組成物を投与された対象において、約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍、誘導され得る。体液性免疫応答は、免疫原性組成物を投与された対象において、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍、誘導され得る。
【0135】
免疫原性組成物によって誘導される体液性免疫応答には、免疫原性組成物を投与された対象に関連する、免疫原性組成物を投与されていない対象と比較して上昇した中和抗体レベルが含まれ得る。中和抗体は、最適化コンセンサスによりコードされる抗原に関連する天然抗原に特異的であり得る。中和抗体は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連する天然抗原と反応性であり得る。中和抗体は、免疫原性組成物を投与された対象において腫瘍増殖、転移または腫瘍関連病変に対する保護及び/またはその治療を提供することができる。
【0136】
免疫原性組成物によって誘導される体液性免疫応答には、免疫原性組成物を投与された対象に関連する、免疫原性組成物を投与されていない対象と比較して上昇したIgG抗体レベルが含まれ得る。これらのIgG抗体は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連する天然抗原に特異的であり得る。これらのIgG抗体は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連する天然抗原と反応性であり得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するIgG抗体のレベルは、免疫原性組成物を投与されていない対象と比較して約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍、上昇し得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するIgG抗体のレベルは、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍、上昇し得る。
【0137】
免疫原性組成物は、免疫原性組成物を投与された対象において細胞性免疫応答を誘導することができる。誘導される細胞性免疫応答は、最適化コンセンサスによりコードされる抗原に関連する天然抗原に特異的であり得る。誘導される細胞性免疫応答は、最適化コンセンサスによりコードされる抗原に関連する天然抗原に反応性であり得る。誘導される細胞性免疫応答には、CD8+ T細胞応答の誘発が含まれ得る。誘発されるCD8+ T細胞応答は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連する天然抗原と反応性であり得る。誘発されるCD8+ T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導される細胞性免疫応答には、CD8+ T細胞応答の誘発が含まれ得、ここにおいてCD8+ T細胞は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン-2(IL-2)、またはIFN-γ及びTNF-αの組み合わせを産生する。
【0138】
誘導される細胞性免疫応答には、免疫原性組成物を投与された対象に関連する、免疫原性組成物を投与されていない対象と比較して増加したCD8+ T細胞応答が含まれ得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD8+ T細胞応答は、免疫原性組成物を投与されていない対象と比較して約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、または約4倍~約20倍、増加し得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD8+ T細胞応答は、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約16.0倍、少なくとも約17.0倍、少なくとも約18.0倍、少なくとも約19.0倍、少なくとも約20.0倍、少なくとも約21.0倍、少なくとも約22.0倍、少なくとも約23.0倍、少なくとも約24.0倍、少なくとも約25.0倍、少なくとも約26.0倍、少なくとも約27.0倍、少なくとも約28.0倍、少なくとも約29.0倍、または少なくとも約30.0倍、増加し得る。
【0139】
誘導される細胞性免疫応答には、天然抗原に対して反応性であるCD107a/IFNγ/T-betトリプル陽性CD8 T細胞の増加した頻度が含まれ得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD107a/IFNγ/T-betトリプル陽性CD8 T細胞の頻度は、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍、増加し得る。
【0140】
誘導される細胞性免疫応答には、天然抗原に対して反応性であるCD107a/IFNγダブル陽性CD8 T細胞の増加した頻度が含まれ得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD107a/IFNγダブル陽性CD8 T細胞の頻度は、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、または14倍、増加し得る。
【0141】
免疫原性組成物によって誘導される細胞性免疫応答には、CD4+ T細胞応答の誘発が含まれ得る。誘発されるCD4+ T細胞応答は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連する天然抗原と反応性であり得る。誘発されるCD4+ T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導される細胞性免疫応答には、CD4+ T細胞応答の誘発が含まれ得、ここにおいてCD4+ T細胞は、IFN-γ、TNF-α、IL-2、またはIFN-γ及びTNF-αの組み合わせを産生する。
【0142】
誘導される細胞性免疫応答には、IFN-γを産生するCD4+ T細胞の増加した頻度が含まれ得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD4+IFN-γ+ T細胞の頻度は、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍、増加し得る。
【0143】
誘導される細胞性免疫応答には、TNF-αを産生するCD4+ T細胞の増加した頻度が含まれ得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD4+TNF-α+ T細胞の頻度は、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、または22倍、増加し得る。
【0144】
誘導される細胞性免疫応答には、IFN-γ及びTNF-αの両方を産生するCD4+ T細胞の増加した頻度が含まれ得る。免疫原性組成物を投与された対象に関連するCD4+IFN-γ+TNF-α+の頻度は、免疫原性組成物を投与されていない対象または非最適化ジカ抗原を投与された対象と比較して少なくとも約2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、7.5倍、8.0倍、8.5倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、13.5倍、14.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20.0倍、21倍、22倍、23倍 24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、または35倍、増加し得る。
【0145】
合成抗体
本発明は、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。本組成物は、それを必要とする対象に投与すると、対象において合成抗体の産出をもたらすことができる。本合成抗体は、対象に存在する標的分子(すなわち、抗原)に結合することができる。かかる結合は、抗原を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸による抗原の認識を遮断し、抗原に対する免疫応答を誘発または誘導することができる。
【0146】
一実施形態では、本組成物は、合成抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、本組成物は、第1の合成抗体をコードする第1のヌクレオチド配列と、第2の合成抗体をコードする第2のヌクレオチド配列とを含む、核酸分子を含む。一実施形態では、該核酸分子は、切断ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0147】
一実施形態では、該核酸分子は、抗ZIKV-エンベロープ(抗ZIKV E)タンパク質抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0148】
一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に記載のアミノ酸配列をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に対して少なくとも90%相同なアミノ酸配列をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に記載のアミノ酸の免疫原性断片をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に対して少なくとも90%相同なアミノ酸配列の免疫原性断片をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。
【0149】
一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に記載のアミノ酸配列をコードする1つ以上のDNA配列から転写された、1つ以上のRNA配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に対して少なくとも90%相同なアミノ酸配列をコードする1つ以上のDNA配列から転写された、1つ以上のRNA配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に記載のアミノ酸配列の免疫原性断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された、1つ以上のRNA配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV抗体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1~22のうちの1つ以上に対して少なくとも90%相同なアミノ酸配列の免疫原性断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された、1つ以上のRNA配列を含む。
【0150】
一実施形態では、抗ZIKV E抗体をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号1及び配列番号2の可変VH及びVL領域をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV E抗体は、配列番号11または配列番号12に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0151】
一実施形態では、抗ZIKV E抗体をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号3及び配列番号4の可変VH及びVL領域をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV E抗体は、配列番号13または配列番号14に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0152】
一実施形態では、抗ZIKV E抗体をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号5及び配列番号6の可変VH及びVL領域をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV E抗体は、配列番号15または配列番号16に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0153】
一実施形態では、抗ZIKV E抗体をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号7及び配列番号8の可変VH及びVL領域をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV E抗体は、配列番号21または配列番号22に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0154】
一実施形態では、抗ZIKV E抗体をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号9及び配列番号10の可変VH及びVL領域をコードする、1つ以上のコドン最適化された核酸配列を含む。一実施形態では、抗ZIKV E抗体は、配列番号17または配列番号18に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0155】
本発明の組成物は、ジカ感染症に関連する任意の疾患、障害、または病態を治療する、予防する及び/またはそれに対して保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、ウイルス感染症を治療する、予防する、及びまたは/それに対して保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、先天性欠損を治療する、予防する、及びまたは/それに対して保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、小頭症を治療する、予防する、及びまたは/それに対して保護することができる。
【0156】
本合成抗体は、本組成物を投与された対象における疾患を治療する、予防する、及び/またはそれに対して保護することができる。本合成抗体は、本組成物を投与された対象のまだ妊娠していない子供、まだ生れていない子供、胎芽または胎児における疾患を治療する、予防する、及び/またはそれに対して保護することができる。本合成抗体は、抗原に結合することによって、本組成物を投与された対象、あるいは対象のまだ妊娠していない子供、まだ生れていない子供、胎芽または胎児における疾患を治療する、予防する、及び/またはそれに対して保護することができる。本合成抗体は、本組成物を投与された対象、あるいは対象のまだ妊娠していない子供、まだ生れていない子供、胎芽または胎児において疾患生存率を促進することができる。本合成抗体は、本組成物を投与された対象、あるいは対象のまだ妊娠していない子供、まだ生れていない子供、胎芽または胎児において、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の疾患生存率を提供することができる。他の実施形態では、本合成抗体は、本組成物を投与された対象、あるいは対象のまだ妊娠していない子供、まだ生れていない子供、胎芽または胎児において、少なくとも約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%の疾患生存率を提供することができる。
【0157】
本組成物は、本組成物の対象への投与から少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、または60時間以内に、対象において合成抗体の産出をもたらすことができる。本組成物は、本組成物の対象への投与から少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日以内に、対象において合成抗体の産出をもたらすことができる。本組成物は、本組成物の対象への投与から約1時間~約6日、約1時間~約5日、約1時間~約4日、約1時間~約3日、約1時間~約2日、約1時間~約1日、約1時間~約72時間、約1時間~約60時間、約1時間~約48時間、約1時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、または約1時間~約6時間以内に、対象において合成抗体の産出をもたらすことができる。
【0158】
本組成物は、それを必要とする対象に投与すると、対象において、体液性免疫応答を誘導する抗原を投与される対象における内因性抗体の産出よりも迅速に合成抗体の産出をもたらすことができる。本組成物は、体液性免疫応答を誘導する抗原を投与された対象における内因性抗体の産出よりも少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日前に、合成抗体の産出をもたらすことができる。
【0159】
本発明の組成物は、本組成物が疾病または死亡を引き起こさないよう安全である、疾病に対して保護作用がある、及び投与が容易で、副作用が少なく、生物学的に安定かつ用量当たりの費用が低いといった、有効な組成物に必要とされる特徴を有することができる。
【0160】
3.組換え核酸配列
上述のように、本組成物は、組換え核酸配列を含むことができる。該組換え核酸配列は、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。本抗体は、下記にさらに詳述される。
【0161】
該組換え核酸配列は、異種核酸配列であり得る。該組換え核酸配列は、1つ以上の異種核酸配列を含むことができる。
【0162】
該組換え核酸配列は、最適化された核酸配列であり得る。かかる最適化は、抗体の免疫原性を増加または改変することができる。最適化はまた、転写及び/または翻訳を改善し得る。最適化には、以下のうちの1つ以上が含まれ得る:転写を増加させるための低GC含量のリーダー配列、mRNA安定性及びコドン最適化、増加した翻訳のためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の付加、シグナルペプチドをコードする免疫グロブリン(Ig)リーダー配列の付加、配列内IRES配列の付加及び可能な範囲でのシス作用配列モチーフ(すなわち、配列内TATAボックス)の排除。
【0163】
a.組換え核酸配列構築物
該組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含むことができる。該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素を含むことができ、これらは下記にさらに詳述される。
【0164】
該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。該組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。該組換え核酸配列構築物はまた、プロテアーゼまたはペプチダーゼ切断部位をコードする異種核酸配列も含むことができる。該組換え核酸配列構築物はまた、配列内リボソーム進入部位(IRES)をコードする異種核酸配列も含むことができる。IRESは、ウイルスIRESまたは真核生物IRESのいずれかであってよい。該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含むことができ、ここにおいて各リーダー配列がシグナルペプチドをコードする。該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーター、1つ以上のイントロン、1つ以上の転写終結領域、1つ以上の開始コドン、1つ以上の終結もしくは終止コドン、及び/または1つ以上のポリアデニル化シグナルを含むことができる。該組換え核酸配列構築物はまた、1つ以上のリンカーまたはタグ配列も含むことができる。タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードすることができる。
【0165】
(1)重鎖ポリペプチド
該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸を含むことができる。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域及び/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含むことができる。この少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、及び定常重鎖領域3(CH3)、及び/またはヒンジ領域を含むことができる。
【0166】
一部の実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域及びCH1領域を含むことができる。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域を含むことができる。
【0167】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)の組を含むことができる。CDRの組は、VH領域の3つの超可変領域を含有し得る。重鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と表される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及びCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0168】
(2)軽鎖ポリペプチド
該組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域及び/または定常軽鎖(CL)領域を含むことができる。
【0169】
軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)の組を含むことができる。CDRの組は、VL領域の3つの超可変領域を含有し得る。軽鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と表される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及びCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0170】
(3)プロテアーゼ切断部位
該組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列を含むことができる。プロテアーゼ切断部位は、プロテアーゼまたはペプチダーゼによって認識され得る。プロテアーゼは、エンドペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼ、例えば、限定されないが、フリン、エラスターゼ、HtrA、カルパイン、トリプシン、キモトリプシン、トリプシン、及びペプシンであり得る。プロテアーゼは、フリンであり得る。他の実施形態では、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、または配列内ペプチド結合を切断する(すなわち、N末端またはC末端ペプチド結合を切断しない)任意のプロテアーゼであり得る。
【0171】
プロテアーゼ切断部位は、切断効率を促進または増加させる1つ以上のアミノ酸配列を含むことができる。該1つ以上のアミノ酸配列は、個別的なポリペプチドを形成または産出する効率を促進するか、または増加させることができる。1つ以上のアミノ酸配列は、2Aペプチド配列を含むことができる。
【0172】
(4)リンカー配列
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカー配列を含むことができる。リンカー配列は、本明細書に記載の1つ以上の構成要素を空間的に隔てるか、または連結することができる。他の実施形態では、リンカー配列は、2つ以上のポリペプチドを空間的に隔てるかまたは連結するアミノ酸配列をコードすることができる。
【0173】
(5)プロモーター
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含むことができる。該1つ以上のプロモーターは、遺伝子発現を駆動し、遺伝子発現を調節することが可能な任意のプロモーターであってよい。かかるプロモーターは、DNA依存性RNAポリメラーゼを介した転写に必要とされるシス作用配列エレメントである。遺伝子発現を導くのに使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に応じる。プロモーターは、該組換え核酸配列構築物において、その天然の設定における転写開始部位からの距離とおよそ同じ転写開始からの距離に位置付けられてよい。しかしながら、プロモーター機能を喪失することなくこの距離の多様性が受け入れられ得る。
【0174】
プロモーターは、重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に作動可能に連結され得る。プロモーターは、真核細胞における発現に有効であることが示されるプロモーターであってもよい。コード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター及びSV40後期プロモーターなどのシミアンウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV前初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、ヒトポリヘドリン、またはヒトメタロチオネイン(metalothionein)などのヒト遺伝子由来のプロモーターであってもよい。
【0175】
プロモーターは、構成的プロモーター、または、宿主細胞が何らかの特定の外部刺激に曝露されるときのみ転写を開始する誘導性プロモーターであり得る。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織もしくは臓器または発達段階に特異的であり得る。プロモーターはまた、天然であろうと合成であろうと、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターであってもよい。かかるプロモーターの例については、米国特許出願公開第US20040175727号に記載されており、同文献の内容はその全体が本明細書に援用される。
【0176】
プロモーターは、エンハンサーに関連付けられ得る。エンハンサーは、コード配列の上流に位置を定めることができる。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはCMV、FMDV、RSVもしくはEBV由来のものなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能強化については、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、及びWO94/016737に記載されており、各々の内容は参照により全体的に本明細書に援用される。
【0177】
(6)イントロン
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のイントロンを含むことができる。各イントロンは、機能性スプライスドナー及びアセプター部位を含むことができる。イントロンは、スプライシングのエンハンサーを含むことができる。イントロンは、効率的なスプライシングに必要とされる1つ以上のシグナルを含むことができる。
【0178】
(7)転写終結領域
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の転写終結領域を含むことができる。転写終結領域は、効率的な終結を可能にするようにコード配列の下流にあり得る。転写終結領域は、上述のプロモーターと同じ遺伝子から得ることができるか、または1つ以上の異なる遺伝子から得ることができる。
【0179】
(8)開始コドン
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の開始コドンを含むことができる。開始コドンは、コード配列の上流に位置を定めることができる。開始コドンは、コード配列のインフレームにあり得る。開始コドンは、効率的な翻訳開始に必要とされる1つ以上のシグナル、例えば、限定されないが、リボソーム結合部位に関連付けられ得る。
【0180】
(9)終結コドン
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の終結または終止コドンを含むことができる。終結コドンは、コード配列の下流にあり得る。終結コドンは、コード配列のインフレームにあり得る。終結コドンは、効率的な翻訳終結に必要とされる1つ以上のシグナルに関連付けられ得る。
【0181】
(10)ポリアデニル化シグナル
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含むことができる。ポリアデニル化シグナルは、転写物の効率的なポリアデニル化に必要とされる1つ以上のシグナルを含むことができる。ポリアデニル化シグナルは、コード配列の下流に位置付けられ得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであってよい。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであってよい。
【0182】
(11)リーダー配列
該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含むことができる。リーダー配列は、シグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチド、例えば、限定されないが、IgGシグナルペプチド及びIgEシグナルペプチドであり得る。
【0183】
b.組換え核酸配列構築物の配置構成
上述のように、該組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含むことができ、ここにおいて各組換え核酸配列構築物が1つ以上の構成要素を含むことができる。該1つ以上の構成要素については、上記に詳述される。該1つ以上の構成要素は、該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、互いに対して任意の順序で配置され得る。一部の実施形態では、該1つ以上の構成要素は、該組換え核酸配列構築物において下記に記載するように配置され得る。
【0184】
(1)配置構成1
1つの配置構成では、第1の組換え核酸配列構築物が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むことができ、第2の組換え核酸配列構築物が、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むことができる。
【0185】
第1の組換え核酸配列構築物は、ベクター中に定置することができる。第2の組換え核酸配列構築物は、第2のまたは別個のベクター中に定置することができる。該組換え核酸配列構築物のベクター中への定置について、下記にさらに詳述される。
【0186】
第1の組換え核酸配列構築物はまた、プロモーター、イントロン、転写終結領域、開始コドン、終結コドン、及び/またはポリアデニル化シグナルも含むことができる。第1の組換え核酸配列構築物は、リーダー配列をさらに含むことができ、該リーダー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’側)に位置を定める。したがって、リーダー配列によってコードされるシグナルペプチドは、ペプチド結合によって重鎖ポリペプチドに連結され得る。
【0187】
第2の組換え核酸配列構築物はまた、プロモーター、開始コドン、終結コドン、及びポリアデニル化シグナルも含むことができる。第2の組換え核酸配列構築物は、リーダー配列をさらに含むことができ、該リーダー配列は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’側)に位置を定める。したがって、シグナルペプチドは、ペプチド結合によって軽鎖ポリペプチドに連結され得る。
【0188】
したがって、配置構成1の一例は、VH及びCH1を含む重鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター(及び故に第1の組換え核酸配列構築物)と、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター(及び故に第2の組換え核酸配列構築物)とを含むことができる。配置構成1の第2の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及びCH3を含む重鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター(及び故に第1の組換え核酸配列構築物)と、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター(及び故に第2の組換え核酸配列構築物)とを含むことができる。
【0189】
(2)配置構成2
第2の配置構成では、該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列とを含むことができる。重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’側)に位置付けられ得る。代替的に、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’側)に位置付けられ得る。
【0190】
該組換え核酸配列構築物は、下記にさらに詳述されるようにベクター中に定置することができる。
【0191】
該組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列及び/またはリンカー配列を含むことができる。該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられ得る。したがって、プロテアーゼ切断部位は、発現時に重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの別々のポリペプチドへ分離を可能にする。他の実施形態では、リンカー配列が該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、リンカー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられ得る。
【0192】
該組換え核酸配列構築物はまた、プロモーター、イントロン、転写終結領域、開始コドン、終結コドン、及び/またはポリアデニル化シグナルも含むことができる。該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含むことができる。該組換え核酸配列構築物は、2つのプロモーターを含むことができ、これにより1つのプロモーターが、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に関連付けられ得、第2のプロモーターが、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に関連付けられ得る。なおも他の実施形態では、該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に関連付けられている、1つのプロモーターを含むことができる。
【0193】
該組換え核酸配列構築物は、2つのリーダー配列をさらに含むことができ、ここにおいて第1のリーダー配列が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’側)に位置を定め、第2のリーダー配列が、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’側)に位置を定める。したがって、第1のリーダー配列によってコードされる第1のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって重鎖ポリペプチドに連結され得、第2のリーダー配列によってコードされる第2のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって軽鎖ポリペプチドに連結され得る。
【0194】
したがって、配置構成2の一例は、VH及びCH1を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(及び故に組換え核酸配列構築物)を含むことができ、ここにおいてリンカー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0195】
2の配置構成の第2の例は、VH及びCH1を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(及び故に組換え核酸配列構築物)を含むことができ、ここにおいてプロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0196】
配置構成2の第3の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及びCH3を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドをコードするベクター(及び故に組換え核酸配列構築物)を含むことができ、ここにおいてリンカー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0197】
2の配置構成の第4の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及びCH3を含む重鎖ポリペプチドと、VL及びCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(及び故に組換え核酸配列構築物)を含むことができ、ここにおいてプロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0198】
c.組換え核酸配列構築物からの発現
上述のように、該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素の中でもとりわけ、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び/または軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むことができる。したがって、該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。
【0199】
上述の配置構成1が利用される場合、第1の組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドの発現を促進することができ、第2の組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。上述の配置構成2が利用される場合、該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。
【0200】
例えば、限定されないが、細胞、生物、または哺乳動物における発現時に、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、合成抗体へと組織化し得る。特に、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、組織化により、抗原に結合可能な合成抗体がもたらされるように、互いに相互作用し得る。他の実施形態では、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、組織化により、本明細書に記載の組織化されていない抗体と比較してより免疫原性の合成抗体がもたらされるように、互いに相互作用し得る。なおも他の実施形態では、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、組織化により、抗原に対する免疫応答を誘発または誘導可能な合成抗体がもたらされるように、互いに相互作用し得る。
【0201】
d.ベクター
上述の組換え核酸配列構築物は、1つ以上のベクター中に定置することができる。該1つ以上のベクターは、複製起点を含有し得る。該1つ以上のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体または酵母人工染色体であり得る。該1つ以上のベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。
【0202】
該1つ以上のベクターは、異種発現構築物であり得、これは一般に、特異的遺伝子を標的細胞内に導入するのに使用されるプラスミドである。ひとたび発現ベクターが細胞の内部に入ると、該組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドが、細胞転写及び翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。該1つ以上のベクターは、大量の安定なメッセンジャーRNA、したがってタンパク質を発現することができる。
【0203】
(1)発現ベクター
該1つ以上のベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であり得る。環状プラスミド及び線状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を導くことができる。該組換え核酸配列構築物を含む該1つ以上のベクターは、その構成要素のうちの少なくとも1つがその他の構成要素のうちの少なくとも1つに対して異種性であることを意味する、キメラであってもよい。
【0204】
(2)プラスミド
該1つ以上のベクターは、プラスミドであり得る。プラスミドは、細胞を該組換え核酸配列構築物でトランスフェクトするのに有用であり得る。プラスミドは、該組換え核酸配列構築物を対象内に導入するのに有用であり得る。プラスミドはまた、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現によく適している可能性がある、調節配列を含んでもよい。
【0205】
プラスミドはまた、プラスミドを染色体外に維持し、細胞においてプラスミドの複数のコピーを生み出すために、哺乳類複製起点を含んでもよい。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのpVAX1、pCEP4またはpREP4であってもよく、これは、組み込みを伴わずに高コピーのエピソーム複製を生み出し得る、エプスタイン・バーウイルス複製起点及び核抗原EBNA-1コード領域を含み得る。プラスミドの骨格は、pAV0242であってもよい。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであってもよい。
【0206】
プラスミドは、pSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよく、これはEscherichia coli(E.coli)におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよく、これは酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであってもよく、これは昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pcDNA1またはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであってもよく、これはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。
【0207】
(3)RNA
一実施形態では、核酸は、RNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、本明細書に記載のDNA配列から転写される。例えば、一部の実施形態では、RNA分子は、配列番号24、26、28、30または32のうちの1つに対して少なくとも90%相同なDNA配列によってコードされる。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1~23、25、27、29、31、もしくは33のポリペプチド配列、またはそのバリアントもしくはその断片をコードするDNA配列によって転写される、RNA配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明は、DMAbのうちの1つ以上をコードするRNA分子を提供する。RNAは、プラス鎖であり得る。したがって、一部の実施形態では、RNA分子は、逆転写など、いずれの介在する複製工程も必要とすることなく、細胞によって翻訳され得る。本発明で有用なRNA分子は、5’キャップ(例えば7-メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、RNAのインビボ翻訳を強化することができる。本発明で有用なRNA分子の5’ヌクレオチドは、5’三リン酸基を有し得る。キャップ付加RNAにおいて、これは5’と5’の架橋を介して7-メチルグアノシンに連結され得る。RNA分子は、3’ポリA尾部を有し得る。それはまた、その3’末端近くにポリAポリメラーゼ認識配列(例えばAAUAAA)を含み得る。本発明で有用なRNA分子は、1本鎖であり得る。本発明で有用なRNA分子は、合成RNAを含み得る。一部の実施形態では、RNA分子は、裸のRNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、ベクター内に含まれる。
【0208】
一実施形態では、RNAは、5’及び3’UTRを有する。一実施形態では、5’UTRは、ゼロ~3000ヌクレオチド長である。コード領域に付加される5’及び3’UTR配列の長さは、UTRの様々な領域にアニーリングするPCR用のプライマーの設計を含むがこれらに限定されない、様々な方法で改変することができる。このアプローチを使用して、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を達成するのに必要とされる5’及び3’UTRの長さを修飾することができる。
【0209】
5’及び3’UTRは、目的とする遺伝子に対して天然に存在する内因性5’及び3’UTRであり得る。代替的に、UTR配列を順方向及び逆方向プライマーに組み込むことによって、またはテンプレートの任意の他の修飾によって、目的とする遺伝子に内因性でないUTR配列が付加され得る。目的とする遺伝子に内因性でないUTR配列の使用は、RNAの安定性及び/または翻訳効率を修飾するのに有用であり得る。例えば、3’UTR配列のAUリッチ領域がRNAの安定性を減少させ得ることが知られている。したがって、当該技術分野で周知のUTRの特性に基づいて、転写されたRNAの安定性を増加させるように3’UTRが選択または設計され得る。
【0210】
一実施形態では、5’UTRは、内因性遺伝子のコザック配列を含有し得る。代替的に、上述のように目的とする遺伝子に内因性でない5’UTRがPCRによって付加されようとするとき、その5’UTR配列を付加することによってコンセンサスコザック配列が再設計され得る。コザック配列は、一部のRNA転写物の翻訳の効率を上昇させ得るが、効率的な翻訳を可能にするためにすべてのRNAに必要とされるようには思われない。多くのRNAに対するコザック配列の必要条件は当該技術分野で知られている。他の実施形態では、5’UTRは、当該RNAゲノムが細胞内で安定しているRNAウイルスに由来し得る。他の実施形態では、種々のヌクレオチド類似体を3’または5’UTRにおいて使用して、RNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げることができる。
【0211】
一実施形態では、RNAは、細胞内でのリボソーム結合、翻訳の開始及びRNAの安定性を決定する、5’末端上のキャップ及び3’ポリ(A)尾部の両方を有する。
【0212】
一実施形態では、RNAは、ヌクレオシド修飾RNAである。ヌクレオシド修飾RNAは、例えば、安定性の増加、自然免疫原性の低さまたは不在、及び翻訳の強化を含む、非修飾RNAを上回る特定の利点を有する。
【0213】
(4)環状及び線状ベクター
該1つ以上のベクターは、環状プラスミドであり得、これは細胞ゲノムへの組み込みによって標的細胞を形質転換し得るか、または染色体外に存在し得る(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)。ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、またはprovax、あるいは、該組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現することが可能な任意の他の発現ベクターであり得る。
【0214】
また、エレクトロポレーションを介して対象に効率的に送達され、該組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現することが可能である、線状核酸、すなわち線状発現カセット(「LEC」)も本明細書に提供される。LECは、いかなるリン酸骨格も欠けている任意の線状DNAであってよい。LECは、いかなる抗生物質耐性遺伝子及び/またはリン酸骨格も含有しない場合がある。LECは、所望の遺伝子発現に無関係な他の核酸配列を含有しない場合がある。
【0215】
LECは、線状化可能な任意のプラスミドに由来してよい。プラスミドは、該組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現することが可能であり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、またはprovax、あるいは、該組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/または軽鎖ポリペプチドを発現することが可能な任意の他の発現ベクターであってよい。
【0216】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNP及びpcrMRは、それぞれpNP(Puerto Rico/34)及びpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0217】
(5)ウイルスベクター
一実施形態では、本発明の核酸を細胞に送達可能であるウイルスベクターが本明細書に提供される。発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供されもよい。ウイルスベクター技術は当該技術分野で周知されており、例えば、Sambrookら(2001)、及びAusubelら(1997)、ならびに他のウイルス学及び分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用であるウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスが含まれるが、これらに限定されない。一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの生物において機能性の複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ以上の選択可能マーカーを含有する。(例えば、WO01/96584、WO01/29058、及び米国特許第6,326,193号を参照されたい。ウイルスベクター、とりわけレトロウイルスベクターは、哺乳類、例えば、ヒト細胞への遺伝子の挿入に最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス、ならびに同等物に由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号を参照されたい。
【0218】
(6)ベクターの調製方法
該組換え核酸配列構築物が定置された1つ以上のベクターの調製方法が本明細書に提供される。最終サブクローニング工程の後、当該技術分野で既知の方法を使用して、このベクターを大規模発酵タンク内で細胞培養物の植菌に使用することができる。
【0219】
他の実施形態では、最終サブクローニング工程の後、ベクターを1つ以上のエレクトロポレーション(EP)デバイスとともに使用することができる。エレクトロポレーションデバイスについては、下記にさらに詳述される。
【0220】
該1つ以上のベクターは、既知のデバイス及び技法の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは、それらはプラスミド製造技法を使用して製造される。プラスミド製造技法については、ライセンスを付与された同時係属中の米国仮出願米国第60/939,792号(2007年5月23日に出願された)に記載されている。一部の例では、本明細書に記載のDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技法はまた、ライセンスを付与された特許である米国特許第7,238,522号(2007年7月3日に発行された)に記載されるものを含む、米国第60/939792号に記載されるものに加えて、当該技術分野で公知の種々のデバイス及びプロトコルを含むか、またはそれらを組み込む。上記で参照した出願及び特許である、それぞれ米国第60/939,792号及び米国特許第7,238,522号は、それらの全体が本明細書に援用される。
【0221】
4.抗体
上述のように、該組換え核酸配列は、抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。本抗体は、抗原に結合または反応することができ、これについては下記にさらに詳述される。
【0222】
本抗体は、重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)の組を含み得、これらのCDRはそれぞれ、CDRに支持を提供するとともにCDRの互いに対する空間的関係を規定する、重鎖及び軽鎖フレームワーク(「FR」)の組の間に介在する。CDR組は、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含有し得る。重鎖または軽鎖のN末端から順に、これらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と表される。したがって、抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖V領域の各々からのCDR組を含む、6つのCDRを含み得る。
【0223】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断していくつかの断片を生み出し、これらのうちの2つである(F(ab)断片)が各々、無傷の抗原結合部位を含む共有結合型ヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含めた、いくつかの断片を提供可能である。したがって、本抗体は、FabまたはF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含むことができる。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域及びCH1領域を含むことができる。Fabの軽鎖は、VL領域及びCL領域を含むことができる。
【0224】
本抗体は、免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、及びIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含むことができる。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域を含むことができる。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域及びCL領域を含むことができる。
【0225】
本抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。本抗体は、キメラ抗体、1本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、所望の抗原に結合する非ヒト種由来の抗体であり得る。
【0226】
本抗体は、下記にさらに詳述される二重特異性抗体であり得る。本抗体は、同じく下記にさらに詳述される二重機能性抗体であり得る。
【0227】
上述のように、本抗体は、本組成物を対象に投与すると、対象において産出され得る。本抗体は、対象の内部で、ある半減期を有し得る。一部の実施形態では、本抗体は、対象の内部でその半減期を延長または短縮するように修飾されてもよい。かかる修飾については、下記にさらに詳述される。
【0228】
本抗体は、下記にさらに詳述されるように脱フコシル化され得る。
【0229】
本抗体は、下記にさらに詳述される抗原に関連付けられる疾患の抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement)(ADE)を低減または阻止するように修飾されてもよい。
【0230】
a.二重特異性抗体
該組換え核酸配列は、二重特異性抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。二重特異性抗体は、2つの抗原、例えば、下記にさらに詳述される抗原のうちの2つに結合または反応することができる。二重特異性抗体は、本明細書に記載の抗体のうちの2つの断片からなり得、それによって二重特異性抗体が2つの所望の標的分子に結合または反応するのを可能にする。標的分子には、下記にさらに詳述される抗原、受容体に対するリガンドを含めたリガンド、受容体上のリガンド結合部位を含めた受容体、リガンド-受容体複合体、及びマーカーが含まれ得る。
【0231】
b.二重機能性抗体
該組換え核酸配列は、二重機能性抗体、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。二重機能性抗体は、下記に記載される抗原に結合または反応することができる。二重機能性抗体はまた、抗原の認識及び抗原への結合に加えて、追加の機能性を抗体に与えるように修飾され得る。かかる修飾には、H因子またはその断片へのカップリングが含まれ得るが、これらに限定されない。H因子は、補体活性化の可溶性調節因子であり、故に、補体媒介性溶解(CML)を介して免疫応答に寄与し得る。
【0232】
c.抗体半減期の延長
上述のように、本抗体は、対象における抗体の半減期を延長または短縮するように修飾されてもよい。修飾により、対象の血清中の抗体の半減期が延長または短縮され得る。
【0233】
修飾は、抗体の定常領域に存在してもよい。修飾は、1つ以上のアミノ酸置換を含有しない抗体の半減期と比較して当該抗体の半減期を延長する、抗体の定常領域における1つ以上のアミノ酸置換であり得る。修飾は、1つ以上のアミノ酸置換を含有しない抗体の半減期と比較して当該抗体の半減期を延長する、抗体のCH2ドメインにおける1つ以上のアミノ酸置換であり得る。
【0234】
一部の実施形態では、定常領域における1つ以上のアミノ酸置換は、定常領域におけるメチオニン残基のチロシン残基での、定常領域におけるセリン残基のトレオニン残基での、定常領域におけるトレオニン残基のグルタミン酸残基での置き換え、またはそれらの任意の組み合わせを含み得、それによって抗体の半減期を延長する。
【0235】
他の実施形態では、定常領域における1つ以上のアミノ酸置換は、CH2ドメインにおけるメチオニン残基のチロシン残基での、CH2ドメインにおけるセリン残基のトレオニン残基での、CH2ドメインにおけるトレオニン残基のグルタミン酸残基での置き換え、またはそれらの任意の組み合わせを含み得、それによって抗体の半減期を延長する。
【0236】
d.脱フコシル化
該組換え核酸配列は、フコシル化されていない抗体(すなわち、脱フコシル化抗体または非フコシル化抗体)、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。フコシル化は、糖フコースの分子への付加、例えば、フコースN-グリカン、O-グリカン及び糖脂質への結合を含む。したがって、脱フコシル化抗体において、フコースは、定常領域の炭水化物鎖に結合していない。転じて、このフコシル化の欠如が、フコシル化抗体と比較して当該抗体によるFcγRIIIa結合及び抗体依存性細胞傷害(antibody directed cellular cytotoxic)(ADCC)活性を改善し得る。したがって、一部の実施形態では、非フコシル化抗体は、フコシル化抗体と比較して増加したADCC活性を呈し得る。
【0237】
本抗体は、抗体のフコシルを阻止または阻害するように修飾されてもよい。一部の実施形態では、かかる修飾抗体は、未修飾抗体と比較して増加したADCC活性を呈し得る。修飾は、重鎖、軽鎖、またはそれらの組み合わせにあってもよい。修飾は、重鎖における1つ以上のアミノ酸置換、軽鎖における1つ以上のアミノ酸置換、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0238】
e.低減されたADE応答
本抗体は、抗原に関連付けられる疾患の抗体依存性感染増強(ADE)を低減または阻止しながらも、依然として抗原を中和するように、修飾されてもよい。
【0239】
一部の実施形態では、本抗体は、抗体のFcγR1aへの結合を低減または阻止する1つ以上のアミノ酸置換を含むように修飾されてもよい。該1つ以上のアミノ酸置換は、抗体の定常領域にあってもよい。該1つ以上のアミノ酸置換は、抗体の定常領域におけるロイシン残基のアラニン残基での置き換えを含み得、すなわち、本明細書で別名LA、LA変異またはLA置換ともいう。該1つ以上のアミノ酸置換は、抗体の定常領域における2つのロイシン残基の、各々アラニン残基での置き換えを含み得、本明細書で別名LALA、LALA変異、またはLALA置換ともいう。LALA置換の存在は、抗体がFcγR1aに結合するのを阻止または遮断し得、故に、修飾抗体は、抗原に関連付けられる疾患のADEを増強しないかまたは引き起こさないが、依然として抗原を中和する。
【0240】
5.抗原
本合成抗体は、抗原またはその断片もしくはバリアントに向けられる。抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、多糖類またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。多糖類は、核酸によりコードされた多糖類であり得る。
【0241】
抗原は、ウイルス由来であり得る。抗原は、ウイルス感染症に関連付けられ得る。一実施形態では、抗原は、ジカ感染症に関連付けられ得る。一実施形態では、抗原は、ジカエンベロープタンパク質であり得る。
【0242】
一実施形態では、本発明の合成抗体は、2つ以上の抗原を標的とする。一実施形態では、二重特異性抗体の少なくとも1つの抗原は、本明細書に記載の抗原から選択される。一実施形態では、該2つ以上の抗原は、本明細書に記載の抗原から選択される。
【0243】
a.ウイルス抗原
ウイルス抗原は、ウイルス抗原またはその断片もしくはバリアントであり得る。ウイルスは、疾患を引き起こすウイルスであり得る。ウイルスは、ジカウイルスであり得る。
【0244】
抗原は、ジカウイルス抗原、またはその断片、またはそのバリアントであってもよい。ジカ抗原は、ウイルスの複製、感染または生存を可能にする因子由来であり得る。ジカウイルスの複製または生存を可能にする因子には、構造的タンパク質及び非構造的タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。かかるタンパク質は、エンベロープタンパク質であり得る。
【0245】
一実施形態では、エンベロープタンパク質は、ZIKV Eタンパク質である。
【0246】
6.賦形剤及び組成物の他の構成成分
本組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤などの機能性分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、これには、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含めたLPS類似体、ムラミルペプチド、キノリン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。
【0247】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリ-L-グルタメート(LGS)を含めたポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度で本組成物中に存在し得る。トランスフェクション促進剤にはまた、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含めたLPS類似体、ムラミルペプチド、キノリン類似体、ならびにスクアレン及びスクアレンなどの小胞も含まれ得、ヒアルロン酸もまた、本組成物と併用投与して使用され得る。本組成物はまた、トランスフェクション促進剤、例えば、脂質、レシチンリポソームもしくはDNA-リポソーム混合物(例えばWO9324640を参照されたい)として当該技術分野で既知の他のリポソームを含めたリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリ-L-グルタメート(LGS)を含めたポリカチオン、または脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0248】
本組成物は、1994年4月1日に出願された米国第021,579号に記載される遺伝子促進剤(genetic facilitator agent)をさらに含み得、同文献は参照により全体的に援用される。
【0249】
本組成物は、DNAを約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含み得る。一部の好ましい実施形態では、本発明による組成物は、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。一部の好ましい実施形態では、組成物は、約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含有し得る。一部の好ましい実施形態では、本組成物は、約0.1~約500マイクログラムのDNAを含有し得る。一部の好ましい実施形態では、本組成物は、約1~約350マイクログラムのDNAを含有し得る。一部の好ましい実施形態では、本組成物は、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム;約1マイクログラム~約10ミリグラム;約0.1マイクログラム~約10ミリグラム;約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムのDNAを含有し得る。
【0250】
本組成物は、使用予定の投与様式に従って製剤化され得る。注射用薬学的組成物は、滅菌、発熱物質不含及び微粒子不含であり得る。等張製剤または等張液が使用され得る。等張性を得るための添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースが含まれ得る。本組成物は、血管収縮剤を含むことができる。等張液には、リン酸緩衝食塩水が含まれ得る。本組成物は、ゼラチン及びアルブミンを含めた安定剤をさらに含むことができる。安定剤は、製剤が室温または周囲温度で長期間安定であることを可能にし得、これにはLGSすなわちポリカチオンまたはポリアニオンが含まれる。
【0251】
7.合成抗体の産出方法
本発明はまた、合成抗体の産出方法にも関する。本方法は、下記にさらに詳述される送達方法を使用することによって本組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み得る。したがって、本合成抗体は、本組成物を対象に投与すると、対象においてすなわちインビボで産出される。
【0252】
本方法はまた、本組成物を1つ以上の細胞内に導入することも含み得、したがって、本合成抗体は、1つ以上の細胞において産出または産生され得る。本方法は、本組成物を1つ以上の組織、例えば、限定されないが、皮膚及び筋肉内に導入することもさらに含み得、したがって、本合成抗体は、1つ以上の組織において産出または産生され得る。
【0253】
8.抗体の同定方法またはスクリーニング方法
本発明はさらに、上述の抗原に反応性であるかまたは結合する、上述の抗体の同定方法またはスクリーニング方法に関する。本抗体の同定方法またはスクリーニング方法は、当該技術分野で既知の手法において抗原を使用して、本抗体を同定またはスクリーニングすることができる。かかる手法には、ライブラリからの抗体の選択(例えば、ファージディスプレイ)及び動物の免疫誘導、続いて抗体の単離及び/または精製が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0254】
9.組成物の送達方法
本発明はまた、本組成物の、それを必要とする対象への送達方法にも関する。送達方法は、本組成物を対象に投与することを含み得る。投与には、インビボエレクトロポレーションを用いた及び用いないDNA注射、リポソーム媒介送達、ならびにナノ粒子促進送達が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0255】
本組成物の送達を受ける哺乳動物は、ヒト、霊長動物、非ヒト霊長動物、カウ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、スイギュウ、バイソン、ウシ属動物、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、及びニワトリであり得る。
【0256】
本組成物は、経口で、非経口で、舌下で、経皮で、直腸で、経粘膜で、局所で、吸入を介して、頬側投与を介して、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、及び関節内またはそれらの組み合わせを含む、様々な経路によって投与されてもよい。獣医学的使用の場合、本組成物は、通常の獣医学診療に準拠して好適に許容される製剤として投与されてもよい。獣医は、特定の動物に最も適切である投薬レジメン及び投与経路を容易に決定することができる。本組成物は、従来のシリンジ、無針注射デバイス、「微粒子銃(microprojectile bombardment gone guns)」、またはエレクトロポレーション(「EP」)、「流体力学的方法」、もしくは超音波などの他の物理的方法によって投与されてもよい。
【0257】
a.エレクトロポレーション
エレクトロポレーションを介した本組成物の投与は、哺乳動物の所望の組織に、可逆的な細孔を細胞膜に形成させるのに有効なエネルギーのパルスを送達するように構成され得る、エレクトロポレーションデバイスを使用して遂行されてもよく、好ましくは、このエネルギーのパルスは、ユーザーにより入力された事前設定電流と同様の定電流である。エレクトロポレーションデバイスは、エレクトロポレーションコンポーネント及び電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを含み得る。エレクトロポレーションコンポーネントは、コントローラ、電流波形発生器、インピーダンス試験器、波形ロガー、入力要素、ステータス報告要素、伝達ポート、メモリコンポーネント、電源、及び電源スイッチを含めた、エレクトロポレーションデバイスの種々の要素のうちの1つ以上を含み、組み込み得る。エレクトロポレーションは、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを促進するためのインビボエレクトロポレーションデバイス、例えば、CELLECTRA EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)またはElgenエレクトロポレータ(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)を使用して、遂行され得る。
【0258】
エレクトロポレーションコンポーネントは、エレクトロポレーションデバイスの1つの要素として機能してもよく、その他の要素は、エレクトロポレーションコンポーネントと通信している別個の要素(またはコンポーネント)である。エレクトロポレーションコンポーネントは、エレクトロポレーションデバイスの1つよりも多くの要素として機能してもよく、これらは、エレクトロポレーションコンポーネントとは別個の、エレクトロポレーションデバイスのなおも他の要素と通信していてもよい。1つの電気機械または機械デバイスの部品として存在するエレクトロポレーションデバイスの要素は、これらの要素が1つのデバイスとしてまたは互いに通信している別個の要素としてとして機能し得るため、限定されない場合がある。エレクトロポレーションコンポーネントは、所望の組織において定電流を生み出すエネルギーのパルスを送達可能であり得、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的配置構成にある複数の電極を有する電極アレイを含み得、ここにおいて電極アセンブリは、エレクトロポレーションコンポーネントからエネルギーのパルスを受信し、電極を通してそれを所望の組織に送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーのパルスの送達中ニュートラルであり、所望の組織におけるインピーダンスを測定し、そのインピーダンスをエレクトロポレーションコンポーネントに通信する。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受信し得、エレクトロポレーションコンポーネントによって送達されたエネルギーのパルスを調整して定電流を維持することができる。
【0259】
複数の電極が、分散型パターンでエネルギーのパルスを送達してもよい。複数の電極は、プログラムされたシーケンスのもとで電極の制御により分散型パターンでエネルギーのパルスを送達してもよく、プログラムされたシーケンスは、ユーザーによってエレクトロポレーションコンポーネントに入力される。プログラムされたシーケンスは、シーケンスで送達される複数のパルスを含み得、この複数のパルスの各パルスは、少なくとも2つの能動電極によって送達され、それとともに1つのニュートラル電極がインピーダンスを測定し、この複数のパルスのうちの後続するパルスは、少なくとも2つの能動電極のうちの異なる1つによって送達され、それとともに1つのニュートラル電極がインピーダンスを測定する。
【0260】
フィードバック機構は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれによって行われてもよい。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって行われてもよい。フィードバックは、50μs、20μs、10μsまたは1μs毎に生じるが、リアルタイムフィードバックまたは瞬時(すなわち、応答時間を決定するために利用可能な技法によって決定したときに実質的に瞬時)であることが好ましい。ニュートラル電極は、所望の組織におけるインピーダンスを測定し得、このインピーダンスをフィードバック機構に通信し、フィードバック機構は、インピーダンスに応答し、エネルギーのパルスを調整して定電流を事前設定電流と同様の値に維持する。フィードバック機構は、エネルギーのパルスの送達中、定電流を継続的かつ瞬時に維持し得る。
【0261】
本発明の組成物の送達を促進し得るエレクトロポレーションデバイス及びエレクトロポレーション方法の例としては、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらによって提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されるものが挙げられ、同文献の内容は参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。本組成物の送達を促進するのに使用され得る他のエレクトロポレーションデバイス及びエレクトロポレーション方法には、2007年10月17日に出願された同時係属中、譲受人共通の米国特許出願第11/874072号によって提供されるものが含まれ、この特許出願は、米国特許法第119条(e)のもと2006年10月17日に出願された米国仮出願第第60/852,149号、及び2007年10月10日に出願された同第60/978,982号に対する利益を主張するものであり、同文献のすべては参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0262】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、身体または植物における選択組織の細胞中への生体分子の導入を促進するためのモジュラー電極系及びそれらの使用について記載している。このモジュラー電極系は、複数の針電極と、皮下針と、プログラマブル定電流パルスコントローラから複数の針電極への導電性リンクを提供する電気コネクタと、電源とを含み得る。操作者は、支持構造上に取り付けられた複数の針電極を把持し、それらを身体または植物における選択組織内にしっかりと挿入することができる。次いで、生体分子が皮下針を介して選択組織内に送達される。プログラマブル定電流パルスコントローラが作動され、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間にある細胞中への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全内容は参照により本明細書に援用される。
【0263】
Smithらによって提出された米国特許公開第2005/0052630号は、身体または植物における選択組織の細胞中への生体分子の導入を有効に促進するために使用され得るエレクトロポレーションデバイスについて記載している。このエレクトロポレーションデバイスは、動作がソフトウェアまたはファームウェアによって指定される電気運動デバイス(electro-kinetic device)(「EKDデバイス」)を含む。EKDデバイスは、パルスパラメータのユーザー制御及び入力に基づいて、アレイとなった電極間で一連のプログラマブル定電流パルスパターンを生み出し、電流波形データの記憶及び取得を可能にする。エレクトロポレーションデバイスはまた、針電極のアレイを有する交換式電極ディスク、注射針のための中央注射チャネル、及び着脱式ガイドディスクも含む。米国特許公開第2005/0052630号の全内容は参照により本明細書に援用される。
【0264】
米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極アレイ及び方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織または臓器への深部浸透用にも適合され得る。電極アレイの構成に起因して、注射針(選定の生体分子を送達する)もまた標的臓器内に完全に挿入され、電極によって予め画成された領域において注射液が標的問題(target issue)に対して直角に投与される。米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/005263号に記載される電極は、好ましくは長さ20mm及び21ゲージである。
【0265】
追加的に、エレクトロポレーションデバイス及びその使用を組み込む一部の実施形態では、以下の特許に記載されるものであるエレクトロポレーションデバイスが企図される:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、及び2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号。さらに、2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号(様々なデバイスのうちのいずれかを使用したDNAの送達に関する)、及び2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号(DNAの注射方法を対象とする)に提供される発明の主題を扱う特許が本明細書で企図される。上記の特許は参照によりそれらの全体が援用される。
【0266】
10.治療方法
また、対象において合成抗体を産出させることによって、疾患の治療、それに対する保護、及び/または予防を必要とする対象において疾患を治療する、それに対して保護する、及び/または予防する方法も本明細書に提供される。本方法は、本組成物を対象に投与することを含み得る。本組成物の対象への投与は、上述の送達方法を使用して行うことができる。
【0267】
ある特定の実施形態では、本発明は、Borrelia属菌感染症を治療する、それに対して保護する、及び/または予防する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、ライム病を治療する、それに対して保護する、及び/または予防する。
【0268】
対象において合成抗体が産出されると、本合成抗体は、抗原に結合または反応することができる。かかる結合は、抗原を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸による抗原の認識を遮断し、抗原に対する免疫応答を誘発または誘導し、それによって対象において該抗原に関連する疾患を治療する、それに対して保護する、及び/または予防することができる。
【0269】
本組成物の用量は、活性構成成分1μg~10mg/体重kg/回であり得、また構成成分20μg~10mg/体重kg/回であり得る。本組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日毎に投与され得る。有効な治療を達成するための組成物の用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回であり得る。
【0270】
11.抗生物質との併用
本発明はまた、本合成抗体及び治療的抗生物質製剤の組み合わせを投与することによって、疾患の治療、それに対する保護、及び/または予防を必要とする対象において疾患を治療する、それに対して保護する、及び/または予防する方法も提供する。
【0271】
本合成抗体及び抗生物質製剤は、本合成抗体及び抗生物質製剤の組み合わせが両方とも対象に存在するような任意の好適な方法を使用して投与されてもよい。一実施形態では、本方法は、上記に詳述される方法のうちのいずれかによる本発明の合成抗体を含む第1の組成物の投与、及び本合成抗体の投与から1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満または10日未満後の、抗生物質製剤を含む第2の組成物の投与を含み得る。一実施形態では、本方法は、上記に詳述される方法のうちのいずれかによる本発明の合成抗体を含む第1の組成物の投与、及び本合成抗体の投与から1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超、または10日超後の、抗生物質製剤を含む第2の組成物の投与を含み得る。一実施形態では、本方法は、抗生物質製剤を含む第1の組成物の投与、及び抗生物質製剤の投与から1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満または10日目未満後の、上記に詳述される方法のうちのいずれかによる本発明の合成抗体を含む第2の組成物の投与を含み得る。一実施形態では、本方法は、抗生物質製剤を含む第1の組成物の投与、及び抗生物質製剤の投与から1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超、または10日超後の、上記に詳述される方法のうちのいずれかによる本発明の合成抗体を含む第2の組成物の投与を含み得る。一実施形態では、本方法は、上記に詳述される方法のうちのいずれかによる第1の組成物を含む本発明の合成抗体、及び同時に第2の組成物を含む抗生物質製剤の投与を含み得る。一実施形態では、本方法は、上記に詳述される方法のうちのいずれかによる第1の組成物を含む本発明の合成抗体、及び同時に第2の組成物を含む抗生物質製剤の投与を含み得る。一実施形態では、本方法は、本発明の合成抗体と抗生物質製剤とを含む単一の組成物の投与を含み得る。
【0272】
本発明の合成抗体と併用され得る抗生物質の非限定的な例としては、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン)、セファロスポリン(例えば、セフタジジム、セフェピム、セフォペラゾン、セフピロム、セフトビプロール)、抗緑膿菌性ペニシリン、すなわちカルボキシペニシリン(例えば、カルベニシリン及びチカルシリン)及びウレイドペニシリン(例えば、メズロシリン、アズロシリン、及びピペラシリン)、カルバペネム(例えば、メロペネム、イミペネム、ドリペネム)、ポリミキシン(例えば、ポリミキシンB及びコリスチン)ならびにモノバクタム(例えば、アズトレオナム)が挙げられる。
【0273】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって例示される複数の態様を有する。
【0274】
12.インビトロ及びエクスビボでの合成抗体の産出
一実施形態では、本合成抗体は、インビトロまたはエクスビボで産出される。例えば、一実施形態では、合成抗体をコードする核酸が、インビトロまたはエクスビボ細胞において導入され、発現され得る。遺伝子の細胞中への導入方法及び発現方法は当該技術分野で知られている。発現ベクターの関連において、ベクターは、当該技術分野における任意の方法によって、宿主細胞、例えば、哺乳類、細菌、酵母、または昆虫細胞内に容易に導入され得る。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、または生物学的手段によって宿主細胞内に移入され得る。
【0275】
ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿法、リポフェクション、微粒子銃法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、及び同等物が含まれる。ベクター及び/または外因性核酸を含む細胞の産生方法は当該技術分野で周知されている。例えば、Sambrook et al.(2012,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照されたい。ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための好ましい方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
【0276】
目的とするポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための生物学的方法には、DNA及びRNAベクターの使用が含まれる。ウイルスベクター、とりわけレトロウイルスベクターは、哺乳類、例えば、ヒト細胞への遺伝子の挿入に最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス、ならびに同等物に由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号を参照されたい。
【0277】
ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための化学的手段には、コロイド分散系、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルション、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含めた脂質ベース系が含まれる。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用するための例となるコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0278】
非ウイルス送達系が利用される場合、例となる送達ビヒクルは、リポソームである。宿主細胞内への核酸の導入(インビトロ、エクスビボまたはインビボ)のために脂質製剤の使用が企図される。別の態様では、核酸は、脂質と会合させてもよい。脂質と会合した核酸は、リポソームの水性内部にカプセル封入され、リポソームの脂質二重層内に散在させ、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方と会合している連結分子を介してリポソームに結合させ、リポソームに封入され、リポソームと複合され、脂質を含有する溶液中に分散させ、脂質と混合され、脂質と組み合わされ、脂質中に懸濁液として含有され、ミセルに含有またはそれと複合され、あるいは脂質と会合させ得る。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター会合組成物は、溶液中のいずれの特定の構造にも限定されない。例えば、それらは、二重層構造内に、ミセルとして、または「崩壊した」構造で存在し得る。それらはまた、単に溶液中に散在し、ことによるとサイズまたは形状が均一でない凝集体を形成してもよい。脂質は、天然に存在する脂質であってもまたは合成脂質であってもよい脂肪質の物質である。例えば、脂質には、細胞質に天然に存在する脂肪小滴、ならびに長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体を含有する化合物の部類、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドが含まれる。
【実施例0279】
本発明は、以下の実施例においてさらに例示される。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、例示説明として提供されるにすぎないことを理解されたい。上述の考察及びこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変更及び修正を行って、それを種々の使用法及び条件に適合させることができる。故に、上述の説明から、本明細書に示され、記載されるものに加えて本発明の種々の修正形態が当業者には明らかとなろう。かかる修正形態もまた、添付の特許請求の範囲内に該当することを意図する。
【0280】
実施例1
本明細書に提示される研究は、プラスミドDNAの筋肉内エレクトロポレーションを介した機能性抗ジカ「DNAモノクローナル抗体」(DMAb)の産出を実証するものである。抗ジカモノクローナル抗体由来のコドン最適化可変領域DNA配列をヒトIgG1定常ドメイン上に合成した。抗体をコードするプラスミドDNAをC3Hマウスに送達した。この研究は、既存の生物学的療法の代替手段としてのDMAbを裏付ける。
【0281】
ZIKV-Env(ZIKV-E)タンパク質は、融合ループを有する505個のアミノ酸からなるタンパク質である(
図1)。ZIKV-Eタンパク質に対する抗体は、重鎖及び軽鎖を発現するDNAモノクローナル抗体(dMAB)を介してインビボで発現される(
図2)。ZIKV-Env特異的モノクローナル抗体、1C2A6、1D4G7、2B7D7、3F12E9、4D6E8、5E6D9、6F9D1、9D10F4、8A9F9、及び9F7E1は各々、インビトロでZIKV-Envに結合する(
図3~4)。これらのモノクローナル抗体は、VH鎖及びVL鎖の両方の間で様々な度合の配列相同性を示す(
図5~7)。1D4G7の大きなVH CDR3を明確に見ることができ、他のCDRにおける及びフレームワーク領域におけるいくつかの他の折り畳みの差異も同様に明確に見ることができる。3F12E9は、配列の相違にもかかわらず、依然として、全体的な配列及び立体構造において1D4G7に対するよりも1C2A6、8D10F4及び8A9F9により近い。(
図7)。1D4G7は、その大きなCDR3ループに起因してVHドメインとVLドメインとの間に間隙が欠如している。配列類似性は構造的類似性に転換されるため、全体的なCDR立体構造及び分子形状は、先に実証されたクラスタ化に従って保存されている。(
図8)。1C2A6は、CDRに遠位で、表面に露出した遊離CYS残基を有する。関連する可能性のある別の差異がVH FR2領域に存在する。この残基は、CDR立体構造に直接関与しないが、局所的な残基パッキングには影響を及ぼす。2つの変化がIMGT規定のCDR領域内に存在する。VL変化(F、F、S)は、VL-VH境界面に直接影響を及ぼす。(
図9)。遊離CYSは、分子表面に露出した高度に修飾可能な化学基を残す。(
図10)。開発可能性指数(Developability index)は、1D4G7について最も高く、これは複数の非極性残基を含有する長いCDR3ループに起因する可能性が非常に高い。しかしながら、過去の経験に基づいて、このことのみが論点であるようには思われない(
図11)。高い類似度に基づいて、1C2A6、8D10F4及び8A9F9は、同じエピトープに同じ基本様式で結合する可能性が高い。これら3つの配列間の小さな差異には、1C2A6における露出した遊離CYS残基、及び8D10F4のVH-VL境界面における予測されるパイ相互作用の数の減少が含まれる。3F12E9は、CDR領域において1C2A6、8D10F4及び8A9F9に対して類似性を有するが、同時にいくつかの重要な差異も有する。mAb 1D4G7は、上記で言及した他のmAbとは異なる様式で、または全く異なるエピトープに結合する可能性が高い。
【0282】
実施例2
ジカワクチンアプローチ
図13に示されるように、図中に示される骨格を有するジカ抗原発現構築物を産出した。発現カセットをCMVプロモーターの後ろに、後端のポリアデニル化尾部とともに挿入した。カセットは、prME、NS1、及びカプシドを含む、
図14に示される抗原のコーディング配列を含むことができる。
【0283】
ジカprMEの系統発生解析及びワクチン設計
図16及び17に示されるように系統発生解析を行った。星印はコンセンサスprME配列、配列番号3の位置を示す。このコンセンサスprMEは、
図18のそれに従って発現ベクターにおけるクローニング部位に挿入されて示される。
【0284】
発現されたタンパク質を
図20A及び20Bに示されるようにウェスタンブロット分析によって特徴付けた。これにより抗フラビウイルス抗体への特異的結合が示される。
【0285】
次いでタンパク質を、
図21A及び21Bに示されるように精製した。
【0286】
マウス免疫誘導
動物-Balb/Cマウス(8匹からなる群)
プラスミド-ジカ-prME(配列番号2を含むコーディング配列)
デバイス-3Pエレクトロポレーションデバイス(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)
免疫誘導スケジュール:
マウスをDNAで0日目に1回(初回)、ならびに14日目及び28日目に追加免疫して、総計3回免疫誘導した。DNAでの3回目の免疫誘導から1週間後、免疫分析を行った。
注射方法-筋肉内
採血スケジュール-事前採血ならびに14、28及び35日目
採血方法-眼窩後方
群及び動物-10匹の動物/群×3つの群=30
(1)pVax1
(2)pVax-1ジカpreME(配列番号2)
【0287】
ジカprMEワクチンによって誘発される細胞性免疫応答
スパイク特異的CD8 Tリンパ球応答を、prME抗原を網羅するペプチドプールに対するIFN-g ELISpotアッセイによって評価した。
図22及び23を参照されたい。各群における平均応答は、3回目の免疫誘導から1週間後である。エラーバーは標準誤差を示す。pVax対照に対する応答が示される。
【0288】
マウスにおける抗体の誘導
マウスのジカprMEワクチン接種は、ジカ-エンベロープ抗原に反応する陽性抗体応答を誘発した。
図24及び25を参照されたい。
【0289】
組換えタンパク質E抗原への結合に基づいて、ジカprMEワクチンはマウスにおいて免疫原性であることが見出された。ウェスタンブロット分析及びELISAによって、免疫誘導動物において血清転換が観察された。
【0290】
実施例3
ジカウイルスの膜前駆体+エンベロープタンパク質を標的とする、新規の合成DNAコンセンサスに基づくワクチンが本明細書に記載される。構築物発現を確認後、マウス及び非ヒト霊長動物を、エレクトロポレーションを介して免疫誘導した。これによりワクチン接種動物において中和活性を有する細胞性免疫及び体液性免疫の両方の誘導が示される。IFN-α/β R-/-マウスにおいて、単回注射または2回注射による免疫誘導はいずれも、この致死的攻撃モデルにおいて体重減少または死亡に対して100%保護作用があった。これはヒト治験用に承認された最初のジカウイルスワクチンに相当する。
【0291】
これより材料及び方法について記載する。
【0292】
細胞、ウイルス、及び動物
ヒト胚腎臓(HEK)293T(American Type Culture Collection(ATCC)番号CRL-N268、Manassas,VA)及びVero CCL-81(ATCC番号CCL-81)細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)ならびに1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco-Invitrogen)中で維持し、コンフルエンスに達すると継代した。神経細胞性腫瘍細胞株SK-N-SH(ATCC HTB-11)及びU87MG(ATCC HTB-14)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)ならびに1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したイーグル最小必須培地(MEM、Corning-cellgro)中で維持し、コンフルエンスに達すると継代した。ジカウイルス株MR766(Dr.Susan Weissからの好意による寄贈)及びPR209(Bioqual,MD)の両方をVero細胞において増幅し、ストックをVero細胞における標準的なプラークアッセイによって力価測定した。
【0293】
C57/BL6及びIFNAR-/-マウス及びアカゲザルの処置はケタミン麻酔下で実施した。動物は、管理された湿度、温度、及び光(12時間の明/12時間の暗周期)の条件下、隣り合った個々の霊長動物ケージに収容して社会的相互作用を許容した。食物及び水を自由に摂取させた。動物を1日2回監視し、市販のサル用の餌、おやつ、及び果物を1日2回給餌した。
【0294】
DNAワクチン構築物及び合成
ジカ-prM+EnvプラスミドDNA構築物は、完全長の膜前駆体(prM)及びエンベロープ(E)タンパク質をコードする。コンセンサス戦略を使用した。このコンセンサス配列は、現在のジカprM+Eタンパク質配列のアライメントによって決定した。ヒトにおいて強化された発現を得るためにワクチン挿入物を遺伝子的に最適化(すなわちコドン及びRNA最適化)し、発現を促進するためにIgEリーダー配列を付加した。構築物を商業的に合成し(Genscript,NJ)、次いで、以前に記載されたようにサイトメガロウイルス最初期プロモーターの制御下で修飾pVax1発現ベクターにサブクローニングした(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。最終構築物はZIKV-prMEワクチンと名付けられ、対照プラスミド骨格はpVax1である。加えて、MR766及び2016年ブラジリン(Brazilin)大流行株からのprM及びEnv遺伝子をコードするいくつかの他の一致したDNA構築物もまた、さらなる評価のために設計した。DNA構築物の大規模な増幅をInovio(Plymouth Meeting,PA)によって実施し、精製プラスミドDNAを免疫誘導用に水中で製剤化した。アガロースゲル電気泳動を介してDNA挿入物のサイズを確認した。系統発生解析を、MEGA第5版ソフトウェアを使用してClustalWによるマルチプルアライメントによって行った(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。
【0295】
DNA免疫誘導及びエレクトロポレーション
マウス免疫原性研究:雌性C57BL/6マウス(6~8週齢)及びIFNAR-/-マウス(5~7週齢)を、総体積20または30μlの水中25μgのDNAを前脛骨筋中に送達することにより免疫誘導し(n=4)、加えてインビボエレクトロポレーション送達を行った。インビボエレクトロポレーションは、免疫誘導の直後、同じ部位にCELLECTRA適応定電流エレクトロポレーションデバイス(Inovio Pharmaceuticals,PA)により送達した。三つ又のCELLECTRA低侵襲デバイスを筋肉内に約2mm挿入した。方形波パルスを、26ゲージの固体ステンレス鋼電極からなる三角3電極アレイを介して送達し、0.1Ampの定電流パルスを2回、52マイクロ秒/パルスで1秒遅延間隔で送達した。エレクトロポレーションの使用に関するさらなるプロトコルは以前に詳述された17。マウスを2週間間隔で3回免疫誘導し、最終免疫誘導から1週間後に屠殺した。各免疫誘導後、血液を細胞性及び体液性免疫応答の分析のために採集した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。アカゲザル免疫原性研究:5匹のアカゲザルを、2mgのZIKV-prMEワクチンで、2つの部位に4週間間隔で2回皮内投与することにより免疫誘導した。エレクトロポレーションを、マウス免疫誘導に関して記載した同じデバイスを使用して即座に送達した。
【0296】
IFNAR-/-マウスにおける攻撃研究
IFNAR-/-マウスを3つの群に分割した。第1の群のマウスを1回免疫誘導し、免疫誘導から2週間後に106PFUのZIKV PR209で攻撃した。第2の群のマウスを2週間間隔で2回免疫誘導し、2回目の免疫誘導から1週間後に106PFUのZIKV PR209で攻撃した。第3の群のマウスを2週間間隔で2回免疫誘導し、2回目の免疫誘導から1週間後に2×106PFUのZIKV PR209で攻撃した。攻撃後、動物を秤量し、皮下に位置決めした温度チップによって体温を毎日測定した。加えて、それらを疾患の臨床的徴候について1日2回観察した(運動性低下、円背姿勢、後肢における指背歩行(部分麻痺)、片方の後肢または両方の後肢の麻痺)。福祉的根拠による安楽死の基準は、20%の体重減少または何らかの異常な臨床的徴候の所見からなっていた。
【0297】
ウェスタンブロット及び免疫蛍光測定法
インビトロ発現研究のために、製造業者のプロトコル(Agilent)に従って、GeneJammer試薬を使用してトランスフェクションを行った。簡潔に述べると、細胞を35mmディッシュ中で50%コンフルエンスまで増殖させ、1ugのジカprMEワクチンでトランスフェクトした。細胞をトランスフェクションから2日後に採取し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)で溶解させた。以前に記載されたように、ウェスタンブロットを使用して、採取した細胞溶解物からのジカpreM+Envタンパク質の発現の有効性を確認した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。
【0298】
ウェスタンブロット分析を使用してマウス及びアカゲザル免疫血清の特異性を確認した。3~12%ビス-トリスNuPAGEゲル(Life Technologies)に、5μgまたは1ugのZIKV Env組換えタンパク質及びOdysseyタンパク質分子量マーカー(製品番号928-40000)をロードした。ゲル泳動をMOPS緩衝液中、200Vで50分間実行した。iBlot2ゲル転写デバイス(Life Technologies)を使用してタンパク質をニトロセルロース膜上に転写した。膜をPBS Odysseyブロッキング緩衝液(LI-COR Biosciences)中、室温で1時間ブロッキングした。ワクチン発現を検出するために抗フラビウイルス群抗原(MAB10216-クローンD1-4G2-4-15)抗体を1:500希釈し、マウス及びアカゲザル由来の免疫血清を、0.2%Tween20(Bio-Rad)を含むOdysseyブロッキング緩衝液中で1:50希釈し、膜とともに4℃で一晩インキュベートした。膜をPBSTで洗浄し、次いで適切な二次抗体[マウス血清及びフラビウイルス抗体に対してはヤギ抗マウスIRDye680CW(LICOR)、アカゲザル血清に対してはヤギ抗ヒトIRDye800CW(LICOR)]とともに、マウス血清の場合は1:15,000希釈率で、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、膜をOdyssey赤外線撮像装置(LI-COR)で撮像した。
【0299】
免疫蛍光測定法に関しては、HeLaまたはVero細胞をカバーガラス上で増殖させ、5μgのジカpreM+Envワクチンでトランスフェクトした。トランスフェクションから2日後、細胞を4%PFAで15分間固定した。次いで、非特異的結合をPBS中で希釈した正常ヤギ血清で、室温で1時間ブロッキングした。次いでスライドをPBS中で5分間洗浄し、その後、1:100希釈率での免疫誘導マウスまたはアカゲザル由来の血清とともに4℃で一晩インキュベートした。上述のようにスライドを洗浄し、1:200希釈率での適切な二次抗体[マウス血清に対してはヤギ抗マウスIgG-AF488(Sigma)、アカゲザル血清に対してはヤギ抗ヒトIgG-AF488]とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、DAPIを含むFlouroshield封入媒体(Abcam)を添加して、すべての細胞の核を染色した。その後、カバーガラスを封入し、スライドを顕微鏡(EVOS Cell Imaging Systems、Life Technologies)下で観察した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。追加的に、Vero、SK-N-SH、またはU87-MB細胞を4チャンバの組織培養物で処理したガラススライド(Falconカタログ番号354114)上で増殖させ、0.01のMOIでのMR766ZVで4~6日間感染させ、次いで記載されるように染色した。
【0300】
脾細胞及びPBMC単離
すべてのマウスから脾細胞の単細胞懸濁液を調製した。簡潔に述べると、マウスからの脾臓を、10%FBSを補充した5mlのRPMI1640(R10)中に個々に採集し、次いでStomacher80パドル式ブレンダー(A.J.Seward and Co.Ltd.)で30秒間、高速で処理した。処理した脾臓試料を45mmナイロンフィルタに通して濾過し、次いで、1500rpmで、4℃で10分間遠心分離した。細胞ペレットを5mlのACK(塩化アンモニウム-カリウム(ammonium-chloride-potassium))溶解緩衝液(Life Technologies)中に室温で5分間懸濁させ、次いでPBSを添加して反応を停止させた。試料を再び1500rpmで、4℃で10分間遠心分離した。細胞ペレットをR10中に1×107細胞/mlの濃度で懸濁させ、次いで45mmナイロンフィルタに通した後、ELISpotアッセイ及びフローサイトメトリー分析に使用した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。アカゲザルの場合、血液(各時点で20ml)をEDTA管中に採集し、Accuspin管(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)とともに標準的なFicoll-Hypaque手順を用いて末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。
【0301】
ELISpotアッセイ
簡潔に述べると、96ウェルのELISpotプレート(Millipore)を抗マウスIFN-γ捕捉Ab(R&D Systems)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。翌日、プレートをPBSで洗浄し、PBST+1%BSAで2時間ブロッキングした。pZV-prM+Env免疫誘導マウスからの20万個の脾細胞を各ウェルに加え、培地のみ(陰性対照)、PMA/イオノマイシンを含む培地(陽性対照)、または9個のアミノ酸だけ重複する15量体からなり、ジカエンベロープタンパク質(Genscript)の長さに及ぶペプチドプール(1μg/ml)を含む培地の存在下で、5%CO2中37℃で一晩インキュベートした。24時間後、細胞を洗浄し、次いでビオチン化抗マウスIFN-γ Ab(R&D Systems)とともに4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(R&D Systems)を各ウェルに添加し、次いで室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、次いで5-ブロモ-4-クロロ-3’-インドリルホスファートp-トルイジン塩及びニトロブルーテトラゾリウムクロリド(色原体発色試薬、R&D Systems)を添加した。最後に、プレートを蒸留水ですすぎ、室温で乾燥させ、スポット形成単位を自動ELISpotリーダー(CTL Limited)によって定量し、生の値を脾細胞100万個当たりSFUに正規化した。アカゲザル試料の場合、サルIFN-γ用ELISPOTPROキット(MABTECH)を製造業者によって説明されるように使用し、20万個のPBMCをペプチドプールで刺激し、プレートを洗浄し、スポットを以前に記載されたように呈色させ、計数した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132、Mallilankaraman et al.,12011,PLoS Negl Trop Dis5:e928)。
【0302】
体液性免疫応答:抗体結合ELISA
以前に記載されたように、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、マウス及びアカゲザル血清の力価を決定した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。簡潔に述べると、1μg/mlの精製ジカエンベロープタンパク質を使用して、96ウェルのマイクロタイタープレート(Nalgene Nunc International,Naperville,IL)を4℃で一晩コーティングした。PBS中10%FBSで少なくとも1時間ブロッキングした後、プレートを0.05%PBST(PBS中Tween20)で4回洗浄した。免疫誘導マウス及びアカゲザル由来の血清試料を1%FBS、0.2%PBST中で段階希釈し、プレートに添加し、次いで室温で1時間インキュベートした。プレートを再び0.05%PBST中で4回洗浄し、次いで、マウス血清の場合は1:35000希釈率のHRP標識抗マウスIgG(Sigma)とともに、室温で1時間インキュベートした。アカゲザル血清の場合、抗サルIgG HRP(Southern Biotech)を1:5000希釈率で、室温で1時間使用した。結合した酵素は、SIGMAFAST(商標)OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩)錠剤を製造業者の説明書(Sigma Aldrich)に従って添加することにより検出した。15分後、1N H2SO4の添加により反応を停止させた。次いでプレートを450nmの光学密度で読み取った。すべてのマウス血清及びアカゲザル血清試料は二連でアッセイした。終末点力価は、Freyら(Frey et al.,1998,J Immunol Methods221:35-41)によって記載される方法を使用して決定した。
【0303】
中和(PRNT50)アッセイ
MR766及びVero細胞に関わるプラーク減少中和試験(PRNT)については以前に記載された(Sun et al.,2006,J Infect Dis193:1658-65)。簡潔に述べると、マウスまたはアカゲザル血清を無血清DMEM中で段階希釈し(1:10~1:1280)、等体積のMR766ジカウイルス(100pfu)とともに37℃で2時間インキュベートした。混合物をVero細胞のコンフルエントな層に添加し、吸着させるために37℃で2時間放置した。2×DMEM培地:軟寒天(1:1)重層を細胞の上に加え、プレートを37℃で5日間インキュベートした。寒天重層をウェルから除去し、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、1×PBSで洗浄し、クリスタルバイオレット溶液で染色し、1×PBSで洗浄し、プレートを放置して乾燥させた。アッセイにおいて24ウェルプレートで形成したプラークを手動で計数した。アッセイにおいて96ウェルプレートで形成したプラークを自動免疫スポットリーダー(CTL Limited)で走査し、試料ウェル中のプラークならびに陰性対照(DMEMのみ)及び陽性対照(100pfuのMR766ジカウイルスのみ)中のプラークを、ELISpotリーダーを備えた自動ソフトウェアを使用して計数した。プラーク減少パーセントは以下のように計算した:減少%=100×[1-(各希釈物のプラーク平均数/陽性対照ウェルにおけるプラーク平均数)]。ワクチン接種後応答ピークにおける実際の50%PRNT力価の線形補間を容易にするために、GraphPad Prismソフトウェアを使用して、プラーク減少%対個々の血清希釈物各々の対数変換の非線形回帰分析を行った。中和率50%での中央値及び四分位範囲を各中和標的全体について及びワクチン治療群別に計算した。幾何平均力価もまた計算した。力価は、プラーク数の50%減少をもたらす最も高い希釈率の逆数を表す。
【0304】
フローサイトメトリー及び細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイ
脾細胞を96ウェルプレート(2×106/ウェル)に加え、それをタンパク質輸送阻害剤カクテル(ブレフェルジンA及びモネンシン)(eBioscience)の存在下、ジカpreM及びエンベローププールペプチドにより37℃/5%CO2で5時間刺激した。細胞刺激カクテル(加えてタンパク質輸送阻害剤)(ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)、イオノマイシン、ブレフェルジンA及びモネンシン)(eBioscience)を陽性対照として、及びR10培地を陰性対照として使用した。次いで、製造業者の説明書(BD,San Diego,CA)に記載されるように、すべての細胞を表面及び細胞内タンパク質について染色した。簡潔に述べると、細胞をFACS緩衝液(0.1%アジ化ナトリウム及び1%FCSを含有するPBS)中で洗浄した後、蛍光色素(flourochrome)標識抗体で表面染色を行った。細胞をFACS緩衝液で洗浄し、固定し、製造業者のプロトコルに従ってBD Cytofix/Ctyoperm(商標)(BD,San Diego,CA,USA)を使用して透過処理し、続いて細胞内染色を行った。以下の抗体を表面染色に使用した:LIVE/DEAD Fixable Violet Dead Cell染色キット(Invitrogen)、CD19(V450、クローン1D3(BD Biosciences))CD4(FITC、クローンRM4-5(ebioscience))、CD8(APC-Cy7、クローン53-6.7(BD Biosciences))、CD44(BV711、クローンIM7(Biolegend))。細胞内染色に関しては以下の抗体を使用した:IFN-γ(APC、クローンXMG1.2、Biolegend)、TNF-α(PE、クローンMP6-XT22、ebioscience)、CD3(PerCP/Cy5.5、クローン145-2C11、Biolegend)、IL-2(PeCy7、クローンJES6-SH4、ebioscience)。すべてのデータは、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して収集し、FlowJoソフトウェア(Tree Star,Ashland,OR)を使用して分析した。
【0305】
統計分析
Graphpad、Prism4(Graphpad software,Inc.San Diego,CA)を統計分析に利用した。Log10変換を終末点結合ELISA力価及び全ウイルスPRNT50力価に適用した。
【0306】
これより、これらの実験の結果について記載する。
【0307】
ZIKV-prMEコンセンサスDNAワクチンの構築
ジカprM(前駆体膜)及びE(エンベロープ)遺伝子(ZIKV-prME)のコンセンサス配列を、ヒトにおいて感染症を引き起こした、1952年~2015年に単離された種々のジカ由来のprM及びE配列を使用して産出した(
図27A)。ジカ-prMEコンセンサス配列に対して、高効率の免疫グロブリンE(IgE)リーダーペプチド配列の付加を含めた追加の修飾及び最適化を行ってそのインビボ発現を改善した後、それをpVax1ベクターにクローニングした(
図27B)。エンドヌクレアーゼ制限消化及び遺伝子配列決定を用いて、最終的なワクチンプラスミドの有効性を確認した(
図27C)。84トランスフェクションから(post84 transfection)48時間後、ワクチンとともにトランスフェクトした293T細胞からウェスタン分析及び間接免疫蛍光測定法を行うことによって、プラスミドより生じたジカ-prMEタンパク質の発現を確認した(
図27D及び27E)。
【0308】
ジカ-pME DNAワクチンは、マウスにおいて抗原特異的T細胞または機能性体液性応答を誘導する
ジカ-prMEプラスミドワクチンが細胞性免疫応答を誘導する能力を評価した。5匹のC57/BL6マウスからなる群を対照プラスミド骨格(pVax1)またはジカ-prMEプラスミドワクチンのいずれかで、2週間間隔で3回、筋肉内投与によって免疫誘導し、続いて、記載されるように(92)送達部位にエレクトロポレーション(EP)を行った(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med7:301ra132)。動物をそれらの3回目の注射から1週間後に屠殺し、各動物から採取したバルク脾細胞を標準的な酵素結合免疫スポットアッセイにおいて、それらの脾細胞が、ジカ-Envを包含するペプチドプールへのエクスビボ曝露後にインターフェロン-γを分泌する能力について評価した。アッセイの結果、ジカ-prME免疫誘導マウスからの脾細胞が、複数のジカ-Envペプチドプールでの刺激後に明確な細胞性免疫応答を生み出したことが示される(
図28A)。最も強力な細胞性応答(複数可)を誘発したジカ-Envの領域(複数可)をマッピング分析ELISpotによって、全ジカ-prMEタンパク質に及ぶ15量体からなる(11個のアミノ酸だけ重複する)22個のペプチドプールを使用してマトリックス形式で評価した。
図28Bに見られるように、いくつかのプールが亢進したT細胞応答を誘導したが、ペプチドプール15が、106応答当たり最も高いSFUを誘導した。マッピングデータにより、それらの配列について1つの優勢なprMEエピトープ「IRCIGVSNRDFVEGM」が明らかとなった。列挙した優勢なペプチドは、免疫エピトープデータベース解析リソースIDEPコンセンサスツールを使用することによって、1つのH2-Db拘束性エピトープを含有することが確認され、この抗原の有効なプロセシングが示唆された。
【0309】
ジカ-prMEワクチンの細胞性免疫原性のさらなる評価は、最終免疫誘導から1週間後に採集したCD8+ T細胞の多機能性特性の決定を伴った。その結果、ジカ-prMEワクチンが、腫瘍壊死因子α(TNF-α)及びIFN-γを発現する二重機能性ワクチン特異的T細胞の割合を増加させたことが示される(
図28C)。重要なことに、ジカ-prMEワクチン接種は、T細胞の機能性を拡大する強力な能力を呈した。比較研究のために、最近同定されたブラジルジカ株または最初のMR766ジカ株のいずれかのprME配列をコードするプラスミド115を用いて、さらなるワクチン研究を行った。3回目の注射から1週間後、いずれかのプラスミドで免疫誘導したマウスにおける細胞性免疫応答の誘導を、
図28Aで使用したのと同じジカ-preMEペプチドプールで脾細胞を刺激した後にIFN-γ ELISpotによって測定した。その結果、新規のコンセンサスジカ-prME DNAワクチン構築物によって誘導されたT細胞応答及び抗体応答が、これらの2つの非コンセンサスプラスミドワクチンのいずれかによって産出されたものよりも少なくとも2倍高かったことが示される(
図29A及び29B)。ブラジルまたはMR766いずれかのprMEワクチンによって誘導された細胞性応答の詳細なマッピング分析により、両者がまた、コンセンサスジカ-prMEプラスミドについて
図28Bに特定される優勢なEnv特異的CTLエピトープに対してそれらの最も顕著な細胞性応答を誘導したことが明らかとなった(データは図示せず)。全体的に、コンセンサス免疫原はこれらのアッセイにおいて一貫してより強固であるように思われ、これをさらに研究した。
【0310】
コンセンサスジカ-prMEワクチンがマウスにおいて体液性免疫応答を誘導する能力を評価した。C57/BL6マウスの群を25μgの空の対照プラスミドまたはコンセンサスジカprMEワクチンプラスミドのいずれかで、2週間間隔で3回、筋肉内注射によって免疫誘導し、続いてエレクトロポレーションを行った。0日目(1回目の免疫誘導前)、14日目(1回目の免疫誘導から2週間後)、21日目(2回目の免疫誘導から1週間後)及び35日目(3回目の免疫誘導から1週間後)に、各々注射したマウスから血清を得た。採集した各血清をELISAによって、固定化したrジカ-Envを捕捉抗原として使用してジカ特異的IgG応答について試験した。21日目に抗ジカ特異的IgGの顕著な増加が観察され、35日目の血清において血清中IgGレベルのさらなる増強が見られた(
図30A)。ワクチン接種動物由来の(138)60日目の血清では、35日目の血清において見られた高い抗体応答が最終追加免疫後に長期間維持されたことが示される。最も重要なことには、ワクチン接種マウス由来の血清は、終末点力価によって示されるように非常に高レベルの抗体を含有した(
図30B)。35日目のプール血清を、ウェスタン分析によってrジカ-Eを検出する(
図30C)及び免疫蛍光測定法によってジカ感染細胞を染色する(
図30D)能力についてスクリーニングすることによって、ワクチン誘導性抗体の特異性の追加的評価を行った。これらの分析の両方からの結果として特異性が確認された。
【0311】
さらに、上述のブラジル株及びMR766株からのprME配列をコードするプラスミドで免疫誘導したマウスにおけるジカ特異的結合抗体応答もまた評価した。疑似免疫誘導またはワクチン免疫誘導マウス由来の35日目の血清を、ELISAにおいてrジカ-Eへの結合について分析した。この分析により、両方のプラスミドが顕著な抗体結合を誘導したこと(
図29C及び29D)、及びコンセンサスジカ-prME DNAワクチンでの免疫誘導が異種ジカエンベロープへの増加した親和性を伴って良好な体液性応答を産出することが示される。
【0312】
DV、WNV及び他のフラビウイルス15の分析に関して以前に記載された技法から適合された方法を使用して、空pVax1、コンセンサスジカ-prMEプラスミドワクチン、またはコンセンサスジカ-カプシドプラスミドワクチンのいずれかで3回免疫誘導したマウス由来の35日目のプール血清に対して、プラーク減少中和試験(PRNT)アッセイを行った。
図30Eに示されるように、3回目のワクチン接種後の抗ジカ逆数PRNT50希釈力価は、ジカ-prMEワクチンを受けた(160)マウスにおいて、ジカ-カプシドDNAワクチンまたは対照DNA pVax1を受けたマウスにおけるよりも顕著に高かった。この実験で使用したジカ-prMEワクチンによって誘導される中和抗体のPRNT50力価=456であった。1:100血清希釈率についてのウイルスプラークの代表的な写真が一番下に示される。
【0313】
非ヒト霊長動物においてジカ-prME DNAワクチンによって誘発される細胞性及び体液性応答
NHPを、皮内(ID)免疫誘導、続いてエレクトロポレーションによって(この方法がDNAワクチンによる抗原特異的体液性免疫応答を強化し得ることを示す以前の研究に基づいて)免疫誘導した。アカゲザル(RM、n=5/群)に2.0mgのワクチンプラスミドを、エレクトロポレーションを用いて皮内投与し、0日目(1回目の免疫誘導前の免疫誘導前)、2週目(1回目の免疫誘導の2週間後)、6週目(2回目の免疫誘導の2週間後)に血清及びPBMCをアカゲザルから採集した。ワクチン誘導性細胞性免疫応答を測定するために、
図28Aで使用したジカ-Eペプチドプールでエクスビボ刺激した6週目のPBMCに対してELISpot分析を行った。その結果、ジカprME免疫誘導がすべてのアカゲザルにおいて抗ジカT細胞応答を増強し、免疫前血清応答と比較してそれらの抗原認識の範囲を広げたことが示される(
図31A)。
【0314】
皮内+エレクトロポレーションワクチン接種アカゲザル由来の血清181中の特異的抗ジカウイルス抗体応答をELISAによって評価した。初回ワクチン接種後、1回目の免疫誘導から2週間後のアカゲザルにおいてジカ-Env特異的結合抗体が検出可能であり、これは後続の免疫誘導によりさらに増強された(
図31B)。終末点力価を研究するために同じ免疫誘導後時点からのワクチン接種アカゲザル由来の血清を希釈し、ジカ-Envを再びアッセイした(
図31C)。ELISA結果を、ワクチン接種群由来のアカゲザルのプール血清を使用してウェスタン分析によって確認した(
図31D)。さらに、免疫誘導したアカゲザル由来の血清はまた、免疫蛍光測定法においてジカ-MR766感染Vero細胞を認識可能であった(
図31E)。次に、ジカ免疫誘導アカゲザル由来の血清中の中和抗体(nAb)応答を検出することを試みた。PRNT50(対照ジカ感染症の50%が阻害された血清希釈率の逆数)を使用してNAb活性を試験し、個々の免疫誘導動物各々に対して行った。このアッセイの検出限界であった、抗体価<10を有する試料を動物の各群に割り付けた。興味深いことに、ジカ-prME免疫誘導サルの力価は161~1380の範囲(平均501±224)であった(
図32A)。
【0315】
NHP免疫血清が、ジカに感染させた重要な神経芽細胞腫細胞(SK-N-SH細胞)及び神経前駆細胞(U-87MG)において感染を遮断する能力。対照またはワクチン血清を有し、24時間時点で感染について分析した、MR766またはPR209での細胞株。ワクチン接種アカゲザル由来の血清は、感染後の両細胞株においてそれぞれのウイルスを阻害した(多重感染度1.0)(
図21B及び21C)。これらのデータは、ジカ-prME DNAワクチン接種アカゲザル由来の血清がジカ感染症を阻害する有効性を裏付ける。
【0316】
ジカprME DNAワクチンで免疫誘導した、I型インターフェロン(IFNAR)の受容体が欠如したマウスにおけるジカ特異的機能性免疫応答及びジカウイルスに対する保護
ジカ誘導性疾患及び免疫の機構は十分に明確化されておらず、ジカ感染症に対する免疫応答の保護作用対仮説上の病原性は未だに不明確である。ほとんどのマウス株はジカ感染症に耐性であるが、IFN-α/β受容体(IFNAR)が欠如したマウスは、ほとんどが攻撃(16)から6~7日以内に死亡し、感染及び疾患に感受性があることが見出された。コンセンサスジカ-prMEプラスミドワクチンがこのマウス株において細胞性及び体液性免疫応答を誘導する能力を調査した。IFNARマウスの群を、空の対照プラスミドでまたはコンセンサスジカ-prMEプラスミドでエレクトロポレーションを用いて2週間間隔で3回、免疫誘導した。0、14、21、及び35日目に血清を免疫誘導マウスから採集し、最終免疫誘導から1週間後に脾細胞をマウスから採取した。ワクチン免疫誘導IFNARマウスからの脾細胞は、ELISpotアッセイにおいて106細胞当たりのSFUのレベルによって示されるように、明確な細胞性免疫応答を生み出した(
図33A)。rジカ-Envを捕捉抗原として使用したELISAからの結果、動物が14日目までに検出可能な抗ジカ血清IgGを有したことが示され、これらのレベルは後続の採集時点で増強された(
図33B)。ワクチン接種マウス由来の血清は、終末点力価によって示されるように顕著なレベルの抗体を含有した(
図33B)。その結果、コンセンサスジカ-prMEワクチンで免疫誘導したIFNARマウスが、抗ジカ細胞性及び体液性免疫応答能があることが示され、このことはこの潜在的な攻撃モデルにおけるワクチン保護に関するさらなる研究を支持する。
【0317】
探索的研究において、IFNARマウスを、1×106PFUのPR209単離株の皮下(s.c.)、腹腔内(i.v)、頭蓋内(i.c.)及び静脈内(i.v)投与で攻撃した。攻撃後、すべての動物を、日常の体重、体温測定値の記録、ならびに後肢衰弱及び麻痺などの瀕死状態の他の徴候を含めた臨床的徴候について監視した。接種後最初の2日間、マウスの全体的外観の変化は何ら観察されなかった。しかしながら、3日目より後、4つすべての感染経路において、活動性低下、運動性低下、円背姿勢が示され、これには後肢衰弱ならびに水分摂取及び明白な体重減少が伴った。攻撃部位を問わず、動物は6日目~8日目に感染症により死亡し、この攻撃用量を後続の研究に利用した。
【0318】
ワクチン接種動物の2つの群(1群当たり10匹)またはpVax1免疫誘導対照の2つの組に、0日目に1回及び14日目に1回ワクチン接種し、21日目に1×106PFUまたは2×106PFUのPR209で攻撃した(
図23B及び23C)。ワクチン接種動物の100%が生存した一方で、1×106PFU攻撃対照の30%または2×106PFU攻撃対照の10%のみが生存した。次に、1つの動物の群を1回免疫誘導し、免疫誘導後14日目にそれらを攻撃した。これらの動物の100%が生存した一方で、対照動物の10%が生存した。ジカ-prMEで1回ワクチン接種し、次いでジカウイルスで攻撃したすべてのマウスが致死的攻撃から保護された(
図34A)。すべての攻撃において、ワクチン接種動物はまた疾患の症状を呈さず、体重減少から保護された(
図34D)。対照マウスのジカウイルスでの感染は、体重の著しい減少をもたらし、これにはしばしば運動性低下、円背姿勢、後肢における指背歩行及び/または両方の後肢の麻痺とともに顕著な死亡率が併発した(
図23E及び23F)。まとめると、これらのデータは、ZV-prME DNAワクチンがマウスをジカ攻撃に対して保護する免疫応答を媒介したことを例示する。
【0319】
本研究において、DNAに基づくワクチンとそれに加えたエレクトロポレーションから生み出される、prMEを抗原として使用する体液性及び細胞性応答が、齧歯動物及び非ヒト霊長動物において実証された。エレクトロポレーション送達アプローチによる最適化強化DNAワクチン技術は、強固で幅広い免疫応答を刺激するのに有効であり、単回免疫誘導がIFNARマウスにおいて疾患及び死亡に対して保護作用がある免疫を誘導した。この研究は、この深刻なエマージングウイルス感染症に対して柔軟で臨床的に迅速に実施可能なDNAワクチン接種戦略を使用して、保護的免疫が産出され得るという概念を裏付ける。
【0320】
実施例4
受動的抗体移入及びprMEnv DNAワクチンによる能動的免疫誘導を介したZIKV感染症及び病理発生に対するインビボ保護
この研究では、ZIKVの膜前駆体+エンベロープタンパク質(prMEnv)を標的とする新規の合成DNAワクチンを産出し、インビボ有効性について評価する。プラスミド構築物の初期のインビトロ開発及び評価研究の後、マウス及び非ヒト霊長動物を、エレクトロポレーション媒介により強化されたDNA送達を介してこのprMEnv DNAに基づく免疫原で免疫誘導した。ワクチン接種動物は、抗原特異的細胞性及び体液性免疫ならびに中和活性を産出することが見出された。インターフェロン(IFN)-α/βの受容体が欠如したマウス(IFNAR-/-と表記される)において、このDNAワクチンでの免疫誘導は、インビボウイルス攻撃の後、脳組織におけるウイルス病変を予防することに加えて、感染に関連する体重減少または死亡に対して100%の保護を誘導した。加えて、非ヒト霊長動物抗ZIKV免疫血清の受動的移入は、IFNAR-/-マウスを後続のウイルス攻撃に対して保護した。病原性マウスモデルにおけるこのZIKVワクチンのこの初期研究は、ZIKV感染症においてprMEを標的とする免疫応答の重要性を裏付け、ヒトにおけるZIKV対策のためにこのワクチンアプローチに関する追加の調査研究が関連性を有し得ることを示唆する。
【0321】
これより材料及び方法について記載する。
【0322】
細胞、ウイルス及び動物
ヒト胚腎臓293T(American Type Culture Collection(ATCC)番号CRL-N268,Manassas,VA,USA)及びVero CCL-81(ATCC番号CCL-81)細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)ならびに1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地、Gibco-Q3 Invitrogen)中で維持し、コンフルエンスに達すると継代した。ZIKVウイルス株MR766(Dr Susan Weissからの好意による寄贈)及びPR209(Bioqual,MD)の両方をVero細胞において増幅し、ストックをVero細胞における標準的なプラークアッセイによって力価測定した。5~6週齢の雌性C57BL/6(Jackson Laboratory)及びIFNAR-/-(MMRRC貯蔵所-Jackson Laboratory)マウスを、National Institutes of Health,Wistar及びthe Public Health Agency of Canada IACUC(動物実験委員会)ガイドラインに準拠して、温度管理され光周期調整された施設に収容し、処置/ワクチン接種した。
【0323】
アカゲザルをBioqual,MD,USAにて収容し、処置/ワクチン接種した。この研究は、NIH、the Office of Animal Welfare、及び米国農務省のGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsに記載される勧告に厳格に準拠して実施された。すべての動物免疫誘導作業は、the Bioqual Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認された。Bioqualは、the American Association for Accreditation of Laboratory Animal Careによって認定されている。すべての手順は、訓練された人員が獣医学スタッフの監督のもとケタミン麻酔下で実施し、「Weatherall report for the use of non-human primates」勧告に準拠して、動物の福祉を保護するとともに動物の苦痛を最小限に抑えるようあらゆる努力が払われた。動物は、管理された湿度、温度及び光(12時間の明/12時間の暗周期)の条件下、隣り合った個々の霊長動物ケージに収容して社会的相互作用を許容した。食物及び水を自由に摂取させた。訓練された人員が動物を1日2回監視し、市販のサル用の餌、おやつ及び果物を1日2回給餌した。
【0324】
ZIKV-prME DNAワクチンの構築
ZIKV-prMEプラスミドDNA構築物は、完全長の膜前駆体(prM)とエンベロープ(E)をコードし、カプシドタンパク質を合成した。コンセンサス戦略を使用した。このコンセンサス配列は、現在のZIKV prMEタンパク質配列のアライメントによって決定した。ヒトにおいて強化された発現を得るためにワクチン挿入物を遺伝子的に最適化(すなわち、コドン及びRNA最適化)し、発現を促進するためにIgEリーダー配列を付加した。構築物を商業的に合成し(Genscript,NJ,USA)、次いで、以前に記載されたようにサイトメガロウイルス最初期プロモーターの制御下で修飾pVax1発現ベクターにサブクローニングした(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。最終構築物はZIKV-prMEワクチンと名付けられ、対照プラスミド骨格はpVax1である。加えて、MR766(DQ859059.1)及び2016年ブラジリン(Brazilin)(AMA12084.1)大流行株からのprM及びE遺伝子をコードするいくつかの他の一致したDNA構築物もまた、さらなる評価のために設計した。DNA構築物の大規模な増幅をInovio Pharmaceuticals Inc.(Plymouth Meeting,PA,USA)によって実施し、精製プラスミドDNAを免疫誘導用に水中で製剤化した。アガロースゲル電気泳動を介してDNA挿入物のサイズを確認した。系統発生解析を、MEGA第5版ソフトウェアを使用してClustalWによるマルチプルアライメントによって行った(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。
【0325】
DNA免疫誘導及びエレクトロポレーション媒介による送達強化
雌性C57BL/6マウス(6~8週齢)及びIFNAR-/-マウス(5~6週齢)を、総体積20または30μlの水中25μgのDNAを前脛骨筋中に送達することにより免疫誘導し、加えてインビボエレクトロポレーション送達を行った。インビボエレクトロポレーションは、DNA注射の直後、同じ部位にCELLECTRA適応定電流エレクトロポレーションデバイス(Inovio Pharmaceuticals)により送達した。三つ又のCELLECTRA低侵襲デバイスを筋肉内に約2mm挿入した。方形波パルスを、26ゲージの固体ステンレス鋼電極からなる三角3電極アレイを介して送達し、0.1Ampの定電流パルスを2回、52μs/パルスで1秒遅延間隔で送達した。エレクトロポレーションの使用に関するさらなるプロトコルは以前に詳述された(Flingai et al.,2015,Sci Rep5:12616)。マウスを2週間間隔で3回免疫誘導し、最終免疫誘導から1週間後に殺処理した。各免疫誘導後、血液を細胞性及び体液性免疫応答の分析のために採集した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。アカゲザル免疫原性研究:5匹のアカゲザルを、2mgのZIKV-prMEワクチンで2つの部位に5週間間隔で2回皮内投与することにより免疫誘導した。エレクトロポレーションを、マウス免疫誘導に関して記載した同じデバイスを使用して即座に送達した。
【0326】
ウェスタンブロット分析
インビトロ発現研究のために、製造業者のプロトコル(Agilent)に従って、GeneJammer試薬を使用してトランスフェクションを行った。簡潔に述べると、細胞を35mmディッシュ中で50%コンフルエンスまで増殖させ、1μgのZIKV-prMEワクチンでトランスフェクトした。トランスフェクションから2日後に細胞を採集し、PBSで2回洗浄し、細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)で溶解させた。以前に記載されたように、ウェスタンブロットを使用して、採取した細胞溶解物からのZIKV-prMEタンパク質の発現、ならびに抗フラビウイルスまたはZIKV-prMEワクチン接種マウス由来の免疫血清のいずれかの使用によるマウス及びアカゲザル血清の免疫特異性の有効性を確認した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。簡潔に述べると、3~12%ビス-トリスNuPAGEゲル(Life Technolo-gies)に、5μgまたは1μgのZIKVエンベロープ組換えタンパク質(rZIKV-E)、トランスフェクトした細胞溶解物または上清及びOdysseyタンパク質分子量マーカー(製品番号928-40000)をロードした。ゲル泳動をMOPS緩衝液中、200Vで50分間実行した。iBlot2ゲル転写デバイス(Life Technologies)を使用してタンパク質をニトロセルロース膜上に転写した。膜をPBS Odysseyブロッキング緩衝液(LI-COR Biosciences)中、室温で1時間ブロッキングした。ワクチン発現を検出するために、抗フラビウイルス群抗原(MAB10216-クローンD1-4G2-4-15)抗体を1:500希釈し、マウス及びアカゲザル由来の免疫血清を、0.2%Tween20(Bio-Rad)を含むOdysseyブロッキング緩衝液中で1:50希釈し、膜とともに4℃で一晩インキュベートした。膜をPBSTで洗浄し、次いで、マウス血清及びフラビウイルス抗体に対しては(ヤギ抗マウスIRDye680CW(LI-COR Biosciences))、アカゲザル血清に対してはヤギ抗ヒトIRDye800CW(LI-COR Biosciences)の適切な二次抗体とともに、マウス血清の場合は1:15,000希釈率で、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、膜をOdyssey赤外線撮像装置(LI-COR Biosciences)で撮像した。
【0327】
免疫蛍光測定法
免疫蛍光測定法に関しては、細胞をカバーガラス上で増殖させ、5μgのZIKV-prMEワクチンでトランスフェクトした。トランスフェクションから2日後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで15分間固定した。次いで、非特異的結合をPBS中で希釈した正常ヤギ血清で、室温で1時間ブロッキングした。次いでスライドをPBS中で5分間洗浄し、その後、1:100希釈率での免疫誘導マウスまたはアカゲザル由来の血清とともに4℃で一晩インキュベートした。上述のようにスライドを洗浄し、1:200希釈率での適切な二次抗体(マウス血清に対してはヤギ抗マウスIgGAF488、アカゲザル血清に対してはヤギ抗ヒトIgG-AF488(Sigma))とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、DAPIを含むFlouroshield封入媒体(Abcam)を添加して、すべての細胞の核を染色した。その後、カバーガラスを封入し、スライドを顕微鏡(EVOS Cell Imaging Systems、Life Technologies)下で観察した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。加えて、Vero、SK-N-SHまたはU87-MB細胞を4チャンバの組織培養物で処理したガラススライド上で増殖させ、アカゲザル免疫血清(1:200)とともに/なしでプレインキュベートしたZIKV-MR766またはPR209で、0.01のMOIで感染させ、ZIKV感染後4日目に、記載されるように汎フラビウイルス(flavirus)抗体を使用して染色した(Rossi et al.,2016,J Rop Med Hyg94:1362-9)。
【0328】
組織病理学的分析
組織病理学に関して、ホルマリン固定し、パラフィン包埋した脳組織を5μm厚の矢状断切片に切片化し、Superfrost顕微鏡スライド(Fisher Scientific)上に定置し、37℃で一晩バッキング処理(backed)した。2回のキシレン交換を用いて切片を脱パラフィンし、100%、90%及び次いで70%エタノールに浸漬することによって再水和した。切片を核構造についてHarrisヘマトキシリン(Surgipath)を使用して2分間染色し、続いて1%酸アルコール(Surgipath)中で分別し、Scott’s Tap Waterで2分間処理した。その後、切片を細胞質構造についてエオシン(Surgipath)を使用して2分間対比染色した。スライドを70%、90%及び100%エタノールで脱水し、キシレン中できれいにし、Permount(Fisher Scientific)を使用して封入した。
【0329】
脾細胞及びPBMC単離
すべてのマウスから脾細胞の単細胞懸濁液を調製した。簡潔に述べると、マウスからの脾臓を、10%FBSを補充した5mlのRPMI1640(R10)中に個々に採集し、次いでStomacher80パドル式ブレンダー(A.J.Seward and Co.Ltd.)で30秒間、高速で処理した。処理した脾臓試料を45mmナイロンフィルタに通して濾過し、次いで1,500rpmで、4℃で10分間遠心分離した。細胞ペレットを5mlのACK(塩化アンモニウム-カリウム)溶解緩衝液(Life Technologies)中に室温で5分間懸濁させ、次いでPBSを添加して反応を停止させた。試料を再び1,500rpmで、4℃で10分間遠心分離した。細胞ペレットをR10中に懸濁させ、次いで45mmナイロンフィルタに通した後、ELISpotアッセイ及びフローサイトメトリー分析に使用した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。アカゲザルの場合、血液(各時点で20ml)をEDTA管中に採集し、Accuspin管(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)とともに標準的なFicoll-hypaque手順を用いてPBMCを単離した。血清単離のために各時点で5ミリリットルの血液もまた血清管中に採集した。
【0330】
フローサイトメトリー及び細胞内サイトカイン染色アッセイ
脾細胞を96ウェルプレート(2×106/ウェル)に加え、それをタンパク質輸送阻害剤カクテル(ブレフェルジンA及びモネンシン(eBioscience))の存在下、ZIKV-prMEプールペプチドにより37℃/5%CO2で5時間刺激した。細胞刺激カクテル(加えてタンパク質輸送阻害剤、PMA(ホルボール12-ミリステート13-アセテート)、イオノマイシン、ブレフェルジンA及びモネンシン(eBioscience))を陽性対照として、及びR10培地を陰性対照として使用した。次いで、製造業者の説明書(BD Biosciences,San Diego,CA,USA)に記載されるように、すべての細胞を表面及び細胞内タンパク質について染色した。簡潔に述べると、細胞をFACS緩衝液(0.1%アジ化ナトリウム及び1%FBSを含有するPBS)中で洗浄した後、蛍光色素(flourochrome)標識抗体で表面染色を行った。細胞をFACS緩衝液で洗浄し、固定し、製造業者のプロトコルに従ってBD Cytofix/Ctyoperm(商標)(BD Biosciences)を使用して透過処理し、続いて細胞内染色を行った。以下の抗体を表面染色に使用した:LIVE/DEAD Fixable Violet Dead Cell染色キット(Invitrogen)、CD19(V450、クローン1D3(BD Biosciences))CD4(FITC、クローンRM4-5(eBioscience))、CD8(APC-Cy7、クローン53-6.7(BD Biosciences))、CD44(BV711、クローンIM7(BioLegend))。細胞内染色に関しては以下の抗体を使用した:IFN-γ(APC、クローンXMG1.2(BioLegend))、TNF-α(PE、クローンMP6-XT22(eBioscience))、CD3(PerCP/Cy5.5、クローン145-2C11(BioLegend))、IL-2(PeCy7、クローンJES6-SH4(eBioscience))。すべてのデータは、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して収集し、FlowJoソフトウェア(Tree Star,Ashland,OR,USA)を使用して分析した。
【0331】
ELISpotアッセイ
簡潔に述べると、96ウェルのELISpotプレート(Millipore)を抗マウスIFN-γ捕捉Ab(R&D Systems)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。翌日、プレートをPBSで洗浄し、PBST+1%BSAで2時間ブロッキングした。免疫誘導マウスからの20万個の脾細胞を各ウェルに加え、培地のみ(陰性対照)、PMA/イオノマイシンを含む培地(陽性対照)または9個のアミノ酸だけ重複する15量体からなり、ZIKV prMEタンパク質(Genscript)の長さに及ぶペプチドプール(1μg/ml)を含む培地の存在下で、5%CO2中37℃で一晩インキュベートした。24時間後、細胞を洗浄し、次いでビオチン化抗マウスIFN-γ Ab(R&D Systems)とともに4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(R&D Systems)を各ウェルに添加し、次いで室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、次いで5-ブロモ-4-クロロ-3’-インドリルホスファートp-トルイジン塩及びニトロブルーテトラゾリウムクロリド(色原体発色試薬、R&D Systems)を添加した。最後に、プレートを蒸留水ですすぎ、室温で乾燥させ、SFUを自動ELISpotリーダー(CTL Limited)によって定量し、生の値を脾細胞100万個当たりSFUに正規化した。アカゲザル試料の場合、サルIFN-γ用ELISPOTPROキット(MABTECH)を製造業者によって説明されるように使用し、20万個のPBMCをペプチドプールで刺激し、プレートを洗浄し、スポットを以前に記載されたように呈色させ、計数した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。
【0332】
体液性免疫応答:抗体結合ELISA
以前に記載されたように、ELISAを使用して、マウス及びアカゲザル血清の力価を決定した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。簡潔に述べると、1μgの精製rZIKV-Eタンパク質を使用して、96ウェルのマイクロタイタープレート(Nalgene Nunc International,Naperville,IL,USA)を4℃で一晩コーティングした。PBS中10%FBSで少なくとも1時間ブロッキングした後、プレートを0.05%PBST(PBS中Tween20)で4回洗浄した。免疫誘導マウス及びアカゲザル由来の血清試料を1%FBS中で段階希釈し、プレートに添加し、次いで室温で1時間インキュベートした。プレートを再び0.05%PBST中で4回洗浄し、次いで、マウス血清の場合は1:35,000希釈率のHRP標識抗マウスIgG(Sigma)とともに、室温で1時間インキュベートした。アカゲザル血清の場合、抗サルIgG HRP(Southern Biotech)を1:5,000希釈率で、室温で1時間使用した。結合した酵素は、SIGMAFAST OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩)基質溶液を製造業者の説明書(Sigma-Aldrich)に従って添加することにより検出した。15分後、1N H2SO4の添加により反応を停止させた。450nmでの光学密度をSynergyプレートリーダーで読み取った。すべてのマウス及びアカゲザル血清試料は二連でアッセイした。終末点力価は、以前に記載された方法を使用して決定した(Frey et al.,1998,J Immunol Methods21:35-41)。
【0333】
中和(PRNT50)アッセイ
MR766及びVero細胞に関わるPRNTについては以前に記載された(Sun et al.,2006,J Infect Dis193:1658-65)。簡潔に述べると、熱失活したマウスまたはアカゲザル血清を無血清DMEM中で段階希釈し(1:10~1:1280)、等体積のZIKV MR766(100PFU)とともに37℃で2時間インキュベートした。混合物をVero細胞のコンフルエントな層に添加し、吸着させるために37℃で2時間放置した。2×DMEM培地:軟寒天(1:1)重層を細胞の上に加え、プレートを37℃で5日間インキュベートした。寒天重層を除去し、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、1×PBSで洗浄し、クリスタルバイオレット溶液で染色し、1×PBSで洗浄し、プレートを放置して乾燥させた。アッセイにおいて24ウェルプレートで形成したプラークを自動免疫スポットリーダー(CTL Limited)で走査し、試料ウェル中ならびに陰性対照(DMEMのみ)及び陽性対照(100PFUのMR766ZIKVウイルスのみ)ウェル中のプラークを、ELISpotリーダーを備えた自動ソフトウェアを使用して計数した。プラーク減少パーセントは以下のように計算した:減少%=100×{1-(各希釈物のプラーク平均数/陽性対照ウェルにおけるプラーク平均数)}。ワクチン接種後応答ピークにおける実際の50%PRNT力価の線形補間を容易にするために、GraphPad Prismソフトウェアを使用して、プラーク減少%対個々の血清希釈物各々の対数変換の非線形回帰分析を行った。中和率50%での中央値及び四分位範囲を各中和標的全体について及びワクチン治療群別に計算した。幾何平均力価もまた計算した。力価は、プラーク数の50%減少をもたらす最も高い希釈率の逆数を表す。
【0334】
IFNAR-/-マウスにおけるZIKV攻撃研究
ジカ攻撃研究のために、IFNAR-/-マウス(n=10/群)をジカ-prMEワクチンまたはpVax1で1回または2回免疫誘導した。マウスに1×106PFUまたは2×106PFUいずれかのZIKV-PR209ウイルスを、15日目(単回免疫誘導群)または2回目の免疫誘導から1週間後の21日目(2回免疫誘導群)に与えた。また、IFNAR-/-マウス(n=10/群)の追加の群を1回免疫誘導し、15日目に2×106PFUのZIKV-PR209ウイルスで攻撃した。攻撃後、動物を秤量し、皮下に位置決めした温度チップによって体温を毎日測定した。加えて、それらを疾患の臨床的徴候について1日2回観察し(運動性低下、円背姿勢、後肢における指背歩行(部分麻痺)、片方の後肢または両方の後肢の麻痺)、ウイルス負荷量の決定のために血液を採取した。福祉的根拠による殺処理の基準は、20%の体重減少または片方もしくは両方の後肢の麻痺からなっていた。
【0335】
ZIKV負荷量の測定のためのリアルタイムRT-PCRアッセイ
処置マウスからの脳をRNAlater(Ambion)に4℃で1週間浸漬し、次いで-80℃で保管した。次いで脳組織を秤量し、2mlクライオバイアル中の600μlのRLT緩衝液中で、ステンレス鋼ビーズとともにTissueLyser(Qiagen)を使用して30サイクル/秒で6分間均質化した。ウイルスRNAもまた、RNeasy Plusミニキット(Qiagen)により血液から単離した。ZIKV特異的リアルタイムRT-PCRアッセイを対象動物からのウイルスRNAの検出に利用した。RNAを逆転写し、TaqMan Fast Virus1-Step Master Mix(Applied Biosystems)により、プライマーZIKV 835及びZIKV 911cならびにプローブZIKV 860FAMを使用して増幅した。標準曲線を各プレートにつきパラレルで生成し、ウイルスゲノムコピー数の定量に使用した。以前に記載されたように、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(ABI)ソフトウェア第2.3版を使用してサイクル閾(Ct)値を計算し、レプリケートのうちの少なくとも1つについてCt値<38の場合、陽性とみなした(Lanciotti et al.,2008,Emerg Infect Dis14:1232-9)。事前採血はこのアッセイにおいて陰性であった。
【0336】
統計分析
マン・ホイットニー分析を使用して抗体価の上昇倍率における差異を比較した。Graphpad,Prism4(Graphpad software,Inc.San Diego,CA,USA)を使用して統計分析を行った。すべての分析について、P<0.05を有意とみなした。Log10変換を終末点結合ELISA力価及び全ウイルスPRNT50力価に適用した。
【0337】
これより、これらの実験の結果について記載する。
【0338】
ZIKV-prMEコンセンサスDNAワクチンの構築
ヒトにおいて感染症を引き起こした、1952年~2015年に単離された種々のZIKV由来のprM及びEnv配列を使用して、ZIKV prM(前駆体膜)及びEnv(エンベロープ)遺伝子(ZIKV-prME)のコンセンサス配列を産出した。ZIKV-prMEコンセンサス配列に対して、高効率の免疫グロブリンE(IgE)リーダーペプチド配列の付加を含めた追加の修飾及び最適化を行ってそのインビボ発現を改善した後、それをpVax1ベクターにクローニングした(
図35A)。相同性モデル及びDiscovery Studio4.5での可視化を使用してZIKV-エンベロープ配列の最適なアライメントを行った。参照モデルには、PDB 5JHM及びPDB 5IZ7を含めた。prME抗原上の特異的領域に対応するアライメントした残基を、これらのモデルにおいて可視化目的で標識した(
図35B)。最適化コンセンサスワクチン選択は一般に、この研究で分析した複数のZIKV株と比べて保存的または半保存的である。EDE特異的中和抗体の構造的研究により、これらの認識決定基がエンベロープ-二量体境界面の血清型インバリアント部位にて見出され得ることが明らかとなっており、この部位は、融合ループの露出した主鎖及び2つの保存されたグリカン鎖(N67結合型及びN153結合型グリカン)を含む(Rouvinski et al.,2015,Nature520:109-13)。これらの2つのグリコシル化部位は、他のフラビウイルスでは高度に保存されていない。その上、ZIKVはN67結合型グリコシル化部位を保有せず、N154結合型グリコシル化部位(デングにおけるN153結合型グリコシル化部位と同等)は、単離ZIKV株のうちの一部で不在である。したがって、コンセンサス設計の一環として、このグリコシル化部位を除外して構築物を設計した。この部位におけるグリコシル化の欠如は、EDE1型広域中和抗体(bnAb)のZIKV-エンベロープタンパク質への改善された結合と相関付けられてきた(Rouvinski et al.,2015,Nature520:109-13)。
【0339】
構築に続いて、プラスミドからのZIKV-prMEタンパク質の発現をウェスタンブロット分析及び間接免疫蛍光測定法によって確認した。ZIKV-prMEで一過性でトランスフェクトした細胞から調製したタンパク質抽出物を、汎フラビウイルス抗体(
図35C)及びZIKV-prME免疫誘導マウスから採集した血清(
図35D)を使用して、ウェスタンブロットによって発現について分析した。IFAにより、ZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトした293T細胞を、トランスフェクション後48時間時点で抗ZIKV-prME特異的抗体を用いて染色することによって、ZIKV-prME発現をさらに検出した(
図35E)。
【0340】
ZIKV-prMEnv DNAワクチンは、C57BL/6マウスにおいて抗原特異的T細胞を誘導する
ZIKV-prMEnvプラスミドワクチンが細胞性免疫応答を誘導する能力を評価した。4匹の雌性C57BL/6マウスからなる群を対照プラスミド骨格(pVax1)またはZIKV-prMEプラスミドワクチンのいずれかで、2週間間隔で3回、筋肉内投与(i.m.)により免疫誘導し、続いて送達部位にエレクトロポレーションを行った(
図36A)。動物をそれらの3回目の注射から1週間後に殺処理し、各動物から採取したバルク脾細胞をELISpotアッセイにおいて、それらの脾細胞が、ZIKV-prMEを包含するペプチドプールへのエクスビボ曝露を含めた後にインターフェロン-γ(IFN-γ)を分泌する能力について評価した。アッセイの結果、ZIKV-prME免疫誘導マウスからの脾細胞が、複数のZIKV-Eペプチドプールでの刺激後に細胞性免疫応答を生み出したことが示される(
図36B)。最も強力な細胞性応答(複数可)を誘発したZIKVEnvの領域(複数可)をELISpotアッセイによって、全ZIKV-prMEタンパク質に及ぶ15量体からなる(11個のアミノ酸だけ重複する)22個のペプチドプールを使用してマトリックス形式で評価した。いくつかのプールが亢進したT細胞応答を実証し、このうちペプチドプール15が最高数のスポット形成単位(SFU)を呈した(
図36C)。このマトリックスマッピング分析により、優勢なprMEエピトープ「IRCIGVSNR DFVEGM」(aa167~181)が明らかとなった。このペプチドは、免疫エピトープデータベース解析リソースツール(http://tools.iedb.org)を利用した分析により、H2-Db拘束性エピトープを含有することが確認され、このことは、このハプロタイプにおいて当該抗原が有効にプロセシングされることを裏付ける。
【0341】
ZIKV-prMEnvワクチンの細胞性免疫原性のさらなる評価は、最終免疫誘導から1週間後に採集したCD8
+ T細胞の多機能性特性の決定を伴った。その結果、ZIKV-prMEnvワクチン接種が、TNF-α(腫瘍壊死因子α)及びIFN-γを発現する二重機能性ワクチン特異的T細胞の割合を増加させたことが示される。重要なことに、ZIKV-prMEnvワクチン接種は、T細胞の機能性を拡大する強力な能力を呈した(
図36D)。
【0342】
加えて、最近同定されたブラジルZIKV株または最初のMR766ZIKV株のいずれかのprMEnv配列をコードする最適化プラスミドを用いて、比較免疫研究を行った。3回目のワクチン接種から1週間後、いずれかのプラスミドで免疫誘導したマウスにおける細胞性免疫応答の誘導を、ZIKV-prMEnvペプチドプールで脾細胞を刺激した後にIFN-γ ELISpot分析により測定した。その結果、コンセンサスZIKVprME DNAワクチン構築物によって誘導されたT細胞応答が、これらの2つの非コンセンサスプラスミドワクチンのいずれかによって産出されたものよりも一貫して高かったことが例示される(
図42A及び42B)。ブラジルまたはMR766いずれかのprMEワクチンによって誘導された細胞性応答の詳細なマッピング分析により、両方のワクチンが、コンセンサスZIKV-prMEnvプラスミドについて
図36B及び36Cに特定される優勢なEnv特異的CTLエピトープに対して顕著な細胞性応答を誘導したことが明らかとなった(データは図示せず)。コンセンサス免疫原はこれらのT細胞アッセイにおいて同じ用量でより強固な応答を一貫して誘導し、これを追加のアッセイでさらに評価した。
【0343】
ZIKV組換えエンベロープタンパク質の産出
これらの研究に着手したとき、特異的抗ZIKV免疫応答を評価するための市販の試薬は入手可能でなかった。したがって、必然的に、この研究で行うアッセイに対応するために組換えZIKV-エンベロープタンパク質(rZIKV-E)を産出した。この試薬を産出するために、ZIKV-prMEワクチンコンセンサス抗原に基づくコンセンサスZIKV-エンベロープ配列をpET30a Escherichia coli発現ベクターにクローニングした(
図43A)。rZIKV-E抗原をE.coli培養物中で産生させ、ニッケルカラムクロマトグラフィーを使用して精製し、SDS-PAGEを使用して分析したところ、rZIKV-Eでトランスフェクトした細菌からの溶解物中で予測サイズの過剰発現タンパク質が示され、これは抗Hisタグ抗体を使用してウェスタン分析によって検出可能であった(
図43B)。ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)において捕捉抗原として使用した、ZIKV-prMEワクチンで免疫誘導したマウス由来の血清は、rZIKV-Envに結合した(
図43C)。複数のフラビウイルスのエンベロープタンパク質に反応する市販の抗体(汎フラビウイルスと表記される)もまたrZIKV-Eに結合した。ウェスタン分析により、ZIKV-prMEnv免疫誘導マウス由来の免疫血清がrZIKV-Eを特異的に認識したことが実証された(
図43D)。これらのデータは、産出されたrZIKV-Eが、ZIKV-prMEnvワクチン接種マウス由来の免疫血清と特異的に反応したことを示しているため、この組換えタンパク質をさらなる免疫原性研究に使用した。
【0344】
ZIKV-prME DNAワクチンによるC57BL/6マウスにおける機能性体液性応答の誘導
コンセンサスZIKV-prMEnvワクチンがマウスにおいて体液性免疫応答を誘導する能力を評価した。4匹のC57BL/6マウスからなる群を、25μgの空の対照pVax1またはコンセンサスZIKV-prMEnvワクチンプラスミドのいずれかで、2週間間隔で3回、エレクトロポレーション媒介送達を介した筋肉内投与(i.m.)により免疫誘導した。血清を各免疫誘導マウスから得、それをELISAによって、固定化rZIKV-Eを捕捉抗原として使用してZIKV特異的IgG応答について試験した。21日目に抗ZIKV特異的IgGの顕著な増加が観察され、35日目に血清中IgGレベルのさらなる増強が認められた(
図37A)。ワクチン接種動物由来の60日目の血清では、亢進したZIKV特異的抗体応答が最終追加免疫後に長期間維持されたことが示される。最も重要なことには、ワクチン接種マウス由来の血清は、終末点力価によって示されるように非常に高レベルのrZIKV-E特異的抗体を含有した(
図37B)。ZIKVprMEnvプラスミド接種マウス由来のプール血清を、ウェスタン分析によってrZIKV-E(エンベロープ)を検出する(
図37C)及び免疫蛍光測定法によってZIKV(MR766株)感染細胞を染色する(
図37D)能力についてスクリーニングすることによって、ワクチン誘導性抗体の特異性の追加的評価を行った。これら両方の分析からの結果として、ワクチン誘導性体液性応答の特異性が確認された。
【0345】
さらに、上述のブラジル株及びMR766株からのprMEnv配列をコードするプラスミドで免疫誘導したマウスにおけるZIKV特異的結合抗体応答もまた評価した。pVax1免疫誘導マウス及び両方の非コンセンサスワクチン免疫誘導マウス由来の35日目(3回目の免疫誘導から1週間後)の血清を、ELISAによってrZIKV-Eへの結合について分析した。この分析により、MR766及びブラジルワクチンプラスミドの両方が顕著な抗体結合を誘導したこと、ならびにコンセンサスZIKV-prME DNAワクチンでの免疫誘導がrZIKV-Eに対して有効な体液性応答を産出することが示される(
図43C及び43D)。
【0346】
対照pVax1プラスミド、コンセンサスZIKV-prMEnvプラスミドワクチンまたはコンセンサスZIKV-C(カプシド)プラスミドワクチンのいずれかで免疫誘導(3回)したマウス由来の35日目のプール血清に対して、プラーク減少中和試験(PRNT)アッセイを行った。使用したPRNTアッセイは、デングウイルス、西ナイルウイルス及び他のフラビウイルスの分析について以前に記載された技法から適合された方法であった(Davis et al.,2001,J Virol75:4040-7)。
図37Eに示されるように、ZIKV-prMEワクチン接種は顕著な中和応答を生み出し、このうち抗ZIKV逆数PRNT
50希釈力価(対照ZIKV感染症の50%が阻害された血清希釈率の逆数)が456±5であったが、一方でZIKV-Cap DNAワクチンをワクチン接種したマウスは、pVax1対照プラスミドワクチン接種動物(力価=15±2)を最小限に上回るのみの力価(33±6)を示した。
【0347】
ZIKV-prME DNAワクチンでの免疫誘導後の、I型インターフェロン受容体が欠如した(IFNAR
-/-)マウスにおける免疫応答及びZIKVに対する保護
ZIKV誘導性疾患及び免疫の機構は十分に明確化されておらず、ZIKV感染症に対する免疫応答の保護作用対仮説上の病原性は未だに不明確である(Rossi et al.,2016,J Rop Med Hyg94:1362-9)。ほとんどのマウス株はZIKV感染症に耐性であるが、IFN-α/β受容体が欠如した(IFNAR
-/-)マウスは、ほとんどが攻撃後6~7日以内に死亡し、感染及び疾患に感受性があることが見出された(Lazear et al.,2016,Cell Host Microbe19:720-30)。コンセンサスZIKV-prMEプラスミドワクチンがこのマウス株において細胞性及び体液性免疫応答を誘導する能力を調査した。5~6週齢の雌性IFNAR
-/-マウス(n=4)を、対照pVax1プラスミドまたはZIKV prMEワクチンプラスミドワクチンのいずれかで、2週間間隔で3回、エレクトロポレーション媒介送達を用いた筋肉内投与により免疫誘導した。0、14、21、及び35日目に血清を免疫誘導マウスから採集し、最終免疫誘導(35日目)から1週間後に脾細胞をマウスから採取した。ワクチン免疫誘導マウスからの脾細胞は、ELISpotアッセイにおいて10
6細胞当たりのSFUのレベルによって示されるように、明確な細胞性免疫応答を生み出した(
図44A)。rZIKV-Eを捕捉抗原として使用したELISA分析からの結果、14日目までに検出可能な抗ZIKV血清IgG(約1:1,000の力価)が示され、これらのレベルは後続のワクチン接種により増強され、結合抗体価が少なくとも1:100,000に達した(
図44B及び44C)。比較すると、35日目の免疫誘導後試料のPRNT
50力価は1:60であった(データは図示せず)。その結果、コンセンサスZIKV-prMEnvワクチンで免疫誘導したIFNAR
-/-マウスは、抗ZIKV細胞性及び体液性免疫応答を産出可能であることが示され、このことは、病原体攻撃におけるこの推定上のワクチン効果のモデルのさらなる研究を支持する。
【0348】
非ヒト霊長動物においてZIKV-prMEnv DNAワクチンによって誘発されるZIKV特異的機能性細胞性及び体液性応答
NHPを、より低電圧の皮内形式で強力な免疫応答を示す最近の研究に基づいて、皮内エレクトロポレーションを使用した皮内免疫誘導によって免疫誘導した(Hutnick et al.,2012,Hum gene Ther23:943-50、Broderick et al.,Mol Ther Nucleic Acids1:e11)。アカゲザル(RM、n=5/群)に2.0mgのワクチンプラスミドを、エレクトロポレーションを用いて皮内投与し、ここで各動物には4週間間隔で2回ワクチン接種した。0日目(免疫誘導前)及び6週目(2回目の免疫誘導の2週間後)に血清及び末梢血単核細胞(PBMC)を採集した。ZIKV-prMEnvペプチドプールでエクスビボ刺激した免疫誘導前及び6週目のPBMCのELISpot分析により、ZIKV-prMEnv免疫誘導がアカゲザルにおいて強固な抗ZIKV T細胞応答を誘導したことが示された(
図38A)。
【0349】
ワクチン接種アカゲザル由来の血清中の特異的抗ZIKV抗体応答をELISAによって評価した。6週目、ZIKVprMEnvをワクチン接種した動物においてrZIKV-Env特異的結合抗体が検出可能であった(
図27B)。2週目(1回の免疫誘導後)及び6週目(2回の免疫誘導後)、各動物について終末点力価を決定した(
図38C)。ELISA結果を、ワクチン接種動物由来のアカゲザル血清を使用してウェスタンブロット分析によって確認した(
図38D)。アカゲザルにおいて6週目に産出された抗体の中和活性をPRNT
50アッセイによって評価した。ワクチン接種したすべてのサルが顕著な中和活性を有し、このうち抗ZIKV逆数PRNT
50希釈力価が161~1380の範囲であった(平均501±224(平均値の標準誤差)、
図38E)。PRNT力価は、ELISA力価と直接相関していなかった(データは図示せず)。
【0350】
NHPワクチン免疫血清が、インビトロでVero細胞、神経芽細胞腫(SK-N-SH)または神経前駆(U-87MG)細胞においてZIKV感染を遮断する能力をIFAによって検査した。ZIKV Q2株(MR766またはPR209)を血清中またはNHP免疫血清の希釈物中でプレインキュベートし、各細胞型の単層に添加した。感染から4日後、ZIKV陽性細胞を、汎フラビウイルス(flavirus)抗体を使用してIFAによって特定し(
図45A~45C)、ZIKV陽性細胞を定量した(
図45B~45D)。ジカ-prMEワクチン接種アカゲザル由来の血清は、各細胞型においてZIKV感染を阻害した。
【0351】
ZIKV-prME免疫誘導後のIFNAR
-/-マウスにおけるZIKV感染及び疾患に対する保護
探索的研究において、5~6週齢のIFNAR(
-/-)マウス(n=10)を、1×10
6個のプラーク形成単位(PFU)のZIKV-PR209単離株の、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、頭蓋内、または静脈内(i.v.)経路のいずれかによる投与で攻撃した。攻撃後、すべての動物を感染症の臨床的徴候について監視し、これには体重の日常測定、ならびに後肢衰弱及び麻痺などの瀕死状態の他の徴候に関する検査が含まれた。接種後最初の4日間、マウスの全体的外観の変化は何ら観察されなかった。しかしながら、4日目より後、これらの群の各々におけるマウスは、全体的な活動性低下、運動性低下及び円背姿勢を示し、これにはしばしば後肢衰弱、水分摂取量減少及び明白な体重減少が伴った。ウイルス攻撃の経路を問わず、動物は6日目~8日目に感染症により死亡した(
図46A~46E)。これらのデータに基づいて、このモデルにおけるZIKV-prME媒介性保護を評価する後続の研究では、皮下経路を攻撃用に用いた。
【0352】
次にZIKV-prMEnvワクチンの保護作用の有効性をこのIFNAR
-/-マウスモデルにおいて評価した。マウスの2つの群(n=10)をZIKV-prMEワクチンで、エレクトロポレーション媒介性送達を介した筋肉内経路によって免疫誘導(25μgのワクチン)した。また、10匹のマウスからなる2つの群を対照pVax1ベクターで、エレクトロポレーション媒介性送達を介した筋肉内経路によって免疫誘導した。免疫誘導は2週間間隔で2回行い、すべての動物を21日目(2回目の免疫誘導から1週間後)に攻撃した。対照マウス及びワクチン接種マウスの一方の組には、1×10
6PFUのZIKV-PR209を皮下経路により与え、各群の他方の組は、総計2×10
6PFUのZIKV-PR209で皮下経路により攻撃した。攻撃後3週間時点で、すべてのZIKV-prMEワクチン接種動物の100%が生存していたが、一方で、単回用量で攻撃した対照の30%または2回用量で攻撃した対照の10%のみが生存していた(
図39A及び39B)。すべての攻撃において、ワクチン接種動物は、体重減少の形跡の不在を含めて、疾患の徴候がなかった(
図39C及び39D)。対照マウスのZIKV-PR209ウイルスでの感染は、体重の著しい減少とともに、運動性低下、円背姿勢、後肢における指背歩行及び/または片方もしくは両方の後肢の麻痺をもたらした(
図39E及び39F)。
【0353】
ZIKVprME DNAワクチンでの単回の免疫誘導がIFNAR
-/-マウスをZIKV攻撃から保護する潜在的な能力を評価した。10匹のマウスからなる群を、対照プラスミドまたはZIKV-prMEワクチンのいずれかで1回、エレクトロポレーションを用いた筋肉内投与により免疫誘導し、2週間後、総用量2倍の2×10
6PFUのZIKV-PR209投与で攻撃した。攻撃後3週間時点で、ZIKV-prMEワクチン接種動物の100%が生存していたが、対照動物の10%のみが生存していた(
図40A)。肉眼的な組織病理学的変化を決定するために、脳組織を5μm厚の矢状断切片に切片化し、核構造について染色し、細胞質構造についてエオシンを使用して対比染色した(
図40B)。組織学的検査及びウイルス負荷量の分析のために、マウスを攻撃後7日目または8日目に殺処理した。ZIKV感染は、マウスにおいて重度の脳病変を引き起こした。ワクチン未接種対照(pVax1)マウス脳切片は、好中球内の核断片(
図40B)、皮質内の血管の血管周囲性単核細胞浸潤、リンパ球浸潤及び大脳皮質の変性細胞(
図29B)ならびに海馬内の変性ニューロン(
図40B)を示した。しかしながら、それとは対照的に、ZIKV prMEワクチン接種動物は、脳組織において正常な病理組織学を呈し(
図40B)、このことは、合成ジカ-prMEワクチンでの免疫誘導によって誘導される保護的抗体が脳内のウイルス誘導性疾患を制限し得ることを裏付ける。この所見は、このモデルにおいてワクチン接種が脳を保護する可能性を実証する。ZIKV攻撃後のワクチン接種マウスにおける体重減少及び運動機能障害の回復と一致するように、高(2×10
6PFU)用量攻撃群において、ウイルス攻撃したpVax1ワクチン接種動物と比較して顕著に低いウイルス負荷量が、ZIKV-prMEワクチン接種動物の血液中(
図40C)及び脳(
図40D)内で認められた。まとめると、これらのデータは、ワクチン媒介性免疫応答がマウスをZIKV攻撃に対して保護し得ることを例示する。
【0354】
抗ZIKV免疫血清の受動的移入はマウスをZIKV感染症に対して保護する
次に、ZIKVprMEnvワクチン接種アカゲザル由来の免疫血清の移入が、IFNAR
-/-マウスにおいてZIKV媒介性病理発生を予防するかどうかを試験した。この目的で、6週目のアカゲザル由来の150μg等量のIgG(PRNT50≒1/160)を、rZIKVウイルス攻撃から1日後にIFNAR
-/-マウスに養子移入した。対照マウスの2つの群を含め、このうち一方の群にはアカゲザル由来の免疫前血清を与え、他方の群にはリン酸緩衝食塩水(PBS)を与えた。PBSまたは対照血清を与えたマウスは、感染経過中にそれらの当初の体重が15~25%減少し、すべてが感染から6~8日後に死亡した。アカゲザル由来のワクチン免疫血清を易感染性マウスに移入したとき、動物は、3日目及び4日目に体重が減少したが、その後、5日目から始まり体重が回復し、80%が最終的に感染性攻撃から生き延び(
図41A)、このことは、NHP血清移入がウイルス攻撃後のZIKV感染症の臨床的症状発現に対する保護を付与する能力を実証する(
図41B)。ZIKVでの攻撃に対する保護における免疫血清移入の有効性を評価するために行った反復実験において、ZIKV-prME免疫血清レシピエントの間の生存率は、80~100%の範囲であった。これらの研究により、抗ZIKVワクチン免疫血清が、獲得適応抗ZIKV免疫応答の不在下でZIKV感染症に対する顕著な保護を付与する能力を有したことが示される。
【0355】
ZIKV-prMEコンセンサス構築物でのワクチン接種
近年のZIKVの蔓延及びヒトにおけるその関連する病理発生により、深刻な懸念が持ち上がっている。現在のところ、このエマージング感染因子に対する認可されたワクチンまたは治療薬は存在しない。ごく最近、一まとまりの実験的ZIKVワクチンが、非病原性動物感染モデルにおいて攻撃後にウイルス負荷量を低下させることが示された(Larocca et al.,2016,Nature536:474-8、Abbink et al.,2016,Science353:1192-32)。これらのデータは心強い。この点に関し、追加のモデルにおいてジカを標的とする追加的な新規のワクチンアプローチを検査することは重要である。ここにおいて、新規のコンセンサスZIKV-prM及びE抗原を発現するように設計された合成DNAワクチンを、マウス及び非ヒト霊長動物におけるエレクトロポレーション強化免疫誘導後の免疫原性について評価した。ZIKV-prME DNAワクチン接種が、マウス及びNHPの両方において免疫原性であり、抗原特異的T細胞ならびに結合及び中和抗体を産出したことが観察された。独自に、NHPを皮内経路によって、エレクトロポレーションを介してZIKV-prMEで免疫誘導した。これは、最近記載された筋肉内エレクトロポレーションよりも低い電圧及びより小さいトランスフェクション面積を使用する(Trimble et al.,2016,Lancet386:2078-88)。かかるアプローチのさらなる研究が臨床設定において利点を提供し得る。
【0356】
ZIKV-prMEコンセンサス構築物は、推定上のグリコシル化部位の除去という、可能性のあるNXS/Tモチーフの設計された変化を含む。この部位におけるグリコシル化の欠失は、EDE1型bnAb(広域中和抗体)のZIKV-Eタンパク質に対する改善された結合と相関付けられてきた(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med7:301ra132)。コンセンサスZIKV-prMEによって誘導される抗体応答は、同様に開発されたZIKV-prME-MR766及びZIKV-prME-ブラジルワクチンによって誘発される抗体応答と同程度に規模が強固、または場合によってはより優れているように思われる。これらの構築物の配列を、最初のZIKV-MR766単離株または近年流通しているブラジル由来のZIKV株とそれぞれ一致させた。補助的であるが、誘導性免疫応答に対するかかる組み込み設計された変化の効果に関して、さらなる研究がより多くの洞察を提供するだろう。
【0357】
ZIKVに関する病原性攻撃モデルは非常に小数しか存在しないため、C57BL/6及びIFNAR-/-マウスにおけるZIKV-prMEワクチンの免疫応答の推定上の保護的性質を比較した。両方のマウス株が、ZIKV-prMEで免疫誘導したとき、強固な体液性免疫応答を伴って応答した。T細胞応答もまた誘導されたが、これはIFNAR-/-動物において誘導されたものと比較して野生型C57BL/6においてより強固であるように思われ、このことは、マウスにおけるノックアウト表現型に起因して予想通りである自然免疫から適応免疫への移行における部分的欠陥を裏付ける。しかしながら、抗原特異的免疫の誘導に基づいて、このモデルは、感染及び病理発生の両方に及ぼすワクチンの影響の評価に有用であった。IFNAR-/-マウスにおけるZIKV-prMEでの単回ワクチン接種は、神経病理発生の保護を含めて、このモデルにおいて疾患及び死亡に対して保護作用があった。Env抗原に対して向けられるフラビウイルス中和抗体は、疾患に対する保護において主要な役割を有すると考えられ、この見解は、動物モデルにおける受動的抗体移入実験によって直接的に、及び、蚊媒介ウイルス感染症が生じやすい地理的地域における前向き研究からの疫学的データによって間接的に裏付けられる(Weaver et al.,2016,Antiviral Res130:69-80、Roa et al.,2016,Lancet387:843、Samarasekera et al.,2016,Lancet387:521-4)。ZIKV-prME DNAワクチンならびに免疫誘導NHPからの血清移入でのIFNAR-/-マウスの免疫誘導は、このマウスモデルにおいて保護作用があったが、血清移入マウスとは対照的にワクチン接種したIFNAR-/-は、病理発生の管理の指標としての体重減少の管理の改善を示した。追加の研究が必要とされるものの、この結果は、このモデルにおけるこの保護の態様においてT細胞応答の役割を示唆する可能性がある。加えて、攻撃から回復した対照IFNAR-/-マウスが、PCRによって、少なくとも数週間ウイルス陽性のままであることが観察され、このことはワクチン接種の追加の有益性を示唆する。この研究は、ワクチン接種、及びこの場合、この合成DNAワクチン接種が、感受性宿主における疾患の予防に影響を及ぼす可能性を裏付ける。
【0358】
実施例5
ジカウイルスに対するDNAによりコードされる抗体予防投与及びDNAワクチン接種により誘発される迅速な免疫及び長期的免疫
ワクチン接種は、免疫の産出前に誘導期を呈することが知られており、故に、感染中、免疫応答が有効となる前に時間のギャップが存在する。以下は、ワクチン、及び、DNA合成抗体またはdMabを使用した有効な免疫の迅速な産出とともにした天然免疫応答の有益性を利用する、特定の新規アプローチを提供する。
【0359】
生物学的に活性な抗ジカウイルスエンベロープmAb(dMAbと表記される)をコードする合成プラスミドのエレクトロポレーション媒介性送達を伴う、抗体に基づく予防法/療法を設計し、抗ウイルス有効性について、ならびに新規の受動的免疫に基づく戦略により従来の活性ワクチン接種に固有の欠点を克服する能力について評価する。ZIKV-dMAbの1回の筋肉内投与により、抗体がインビボで、ZIKV-DNAワクチンによる活性ワクチン接種よりも迅速に産生される。このdMAbは、多様なZIKV臨床単離株を中和し、マウスをウイルス攻撃から保護した。両者の組み合わせが迅速かつ長期的な保護をもたらす。
【0360】
DNAに基づくdMAb戦略は、エマージングウイルス感染に対して迅速な保護を誘導し、これをDNAワクチン接種と組み合わせて、このエマージング感染性疾患に対して独自に短期的保護及び長期的保護の両方を提供することができる。これらの研究は、病原体治療及び管理戦略に対して関連性を有する。
【0361】
dMAb IgG定量及び結合アッセイ
ZIKV-dMAbを投与された対象由来の血清を用いて、発現動態及び標的抗原結合を定量するELISAアッセイを行う。
【0362】
dMAbにより産出されたIgGの分析
ZIKV感染細胞のIgG発現をウェスタンブロットによって分析する。免疫蛍光測定分析のために、ZIKV感染細胞を共焦点顕微鏡によって可視的に評価し、定量的にまたは半定量的に分析する。
【0363】
dMAb DNAプラスミド投与及びインビボ分析
発現動態及び機能性を対照またはZIKV-dMAbの注射後に対象において評価した。DNAワクチンを含む研究のために、ZIKV-DNAワクチンプラスミドを投与する。
【0364】
攻撃研究
対象にZIKV-dMAbまたは対照プラスミドのエレクトロポレーション強化注射を与える。ZIKV-DNAワクチンを上述のように送達した。DNA送達後、対象をZIKVで攻撃する。動物を生存及び感染の徴候について監視する。血清試料をサイトカイン定量及び他の免疫分析のために採集する。血液試料を感染後から採集し、ウイルス血症レベルを測定する。
【0365】
中和抗体分析
ZIKV-dMAbを投与された対象由来の抗ZIKV中和抗体価を決定する。中和力価は、細胞において細胞変性効果の100%減少を媒介する最も高い希釈率の逆数として計算され得る。
【0366】
サイトカイン定量的分析
血清を、ZIKV-dMAb、及びZIKV-DNAワクチンを注射した対象ならびにZIKVで攻撃した対象から採集する。TNF-α、IL-1β及びIL-6血清サイトカインレベルを測定する。
【0367】
抗ZIKV dMAb設計及び発現の確認
抗ZIKV-中和mAbから構築した最適化合成プラスミドをIgG及びFab抗体用に設計した。細胞を、rZIKV-IgGプラスミドまたはZIKV-Fab(VL、VH、または組み合わせ)プラスミドのいずれかでトランスフェクトして、インビトロでの発現の有効性を確認する。ZIKV-Fab及びZIKV-IgGは筋肉において、適切に組織化され、インビトロで生物学的に機能性であると思われる抗体を発現した。
【0368】
抗ZIKV dMAbのインビボ発現及び定量
インビトロ発現の確認後、ZIKV-FabまたはZIKV-IgGがインビボで抗ZIKV抗体を産生する能力を測定する。両方の構築物がmAbを産出する。対象にZIKV-IgGまたはZIKV-Fabのいずれかを投与し、血清抗体レベルを結合ELISAにより評価する。ZIKV-IgG及びZIKV-Fabの両方から注射後に採集した血清は、ZIKVタンパク質に結合するが、無関係の対照抗原には結合しない。これらのデータにより、ZIKV-IgGまたはZIKV-Fab構築物からインビボで産生された抗ZIKV抗体が、従来的に産生された抗原特異的抗体と同様の生物学的特性を有することが示される。
【0369】
ZIKV dMAbを注射した対象由来の血清中のインビボ特異性及び広域中和活性抗
抗ZIKV dMAbにより産出されたmAbを結合特異性及び抗ZIKV中和活性について試験する。血清抗体はZIKV感染細胞に結合する。抗ZIKV dMAbプラスミドから産出された抗体の強力な特異性が存在する。
【0370】
さらに、抗ZIKV dMAbを受けた対象由来の血清中の抗ZIKV中和活性を、ZIKV株におけるそれに対して測定する。抗ZIKV dMAbを注射した対象(subects)由来の血清は、ZIKV単離株を有効に中和し、このことは単回注射がヒト抗ZIKV IgGの顕著な中和レベルをもたらし得ることを実証する。故に、抗ZIKV dMAb構築物によってインビボで産生された抗体は、関連性のある生物学的活性(すなわち、ZIKVへの結合及びそれに対する中和活性)を有する。
【0371】
抗ZIKV dMAb注射はマウスを致死的ZIKV攻撃から保護する
抗ZIKV dMAbから産出された抗体がZIKVへの早期曝露に対する保護を提供するかどうかを決定するために、10匹の対象からなる群に0日目に対照または抗ZIKV dMAbを与える。その後、各群を、自然ZIKV感染症を模倣するようにウイルスで皮下投与により攻撃する。その後、対象の生存率及び体重変化を記録する。抗ZIKV dMAbプラスミドは、保護的免疫を付与する。
【0372】
免疫保護の存続期間を次に評価する。対象の第2の群を、0日目に抗ZIKV dMAb、または対照プラスミドの注射後、ZIKVで攻撃する。対象を生存について監視する。抗ZIKV dMAbは、より持続的な度合の免疫保護を提供する。
【0373】
抗ZIKV dMAbは、対照を投与した対象と比較して、対象を皮下ウイルス攻撃及び鼻腔内ウイルス攻撃の両方から保護し、このことは、ZIKV dMAbが全身感染及び粘膜感染に対して保護し得ることを実証する。
【0374】
抗ZIKV dMAb投与対ZIKV-DNAワクチン(ZIKV-DNA)の保護作用の有効性を比較する有効性研究を次に行う。新規のコンセンサスに基づくDNAワクチンを本発明者らの実験室で開発した。これはZIKV攻撃に対する保護を提供可能である。DNAワクチンはまた、測定可能な細胞性免疫応答、ならびに強力な中和抗体応答の両方を誘導した。対象の群に抗ZIKV dMAb、ZIKV-DNA、またはpVax1の単回注射を投与し、続いてウイルス攻撃を行う。抗ZIKV dMAbは、ZIKV-DNAワクチンよりも迅速に保護的免疫を付与する。
【0375】
抗ZIKV dMAb投与及びZIKV-DNAワクチン接種によるインビボでの保護的免疫の間の比較
次に、0日目のZIKV-DNAワクチンでのワクチン接種または抗ZIKV dMAbの投与後の長期的ZIKV攻撃保護に関する研究を行った。ZIKV-DNAは、抗ZIKV dMAbよりも長い保護的免疫を付与する。
【0376】
抗ZIKV dMAb及びZIKV-DNAワクチンの共送達により、インビボで全身性の体液性免疫、細胞媒介性免疫、及び保護がもたらされる
抗体送達をワクチン接種アプローチと組み合わせることの1つの潜在的な問題は、抗体が多くの従来型ワクチンを中和する恐れがあり、故に、不適合性のプラットフォームであるということである。ZIKV攻撃の関連における対象の生存率に対する抗ZIKV dMAb及びZIKV-DNAの共投与の効果を評価する。対象に0日目、抗ZIKV dMAb及びZIKV-DNAを投与する。その後、一部の動物は2日目に、及びその他の動物は35日目にZIKVで攻撃する。これらの群における生存率を時間の関数として追跡する。抗ZIKV dMAbは感染からの保護を媒介し、対照(pVax1)動物においては攻撃から4日後に生存百分率がおよそ30%に減少する。抗ZIKV dMAb及びZIKV-DNAワクチンによって誘導されるIgG両方が検出される。抗ZIKV dMAbは、ZIKV攻撃後に感染及び死亡からの迅速な保護を媒介する。
【0377】
さらに、抗ZIKV dMAb、ZIKV-DNA、または抗ZIKV dMAbとZIKV-DNAを注射した対象において誘導されたT細胞応答を評価する。ZIKV-DNAは、抗ZIKV dMAbとの共送達とは無関係に強力なT細胞応答を誘発し、このことはこれらのアプローチの干渉の欠如を示す。それとは逆に、抗ZIKV dMAbのみを投与した動物は、T細胞応答を発現しない。抗ZIKV dMAb及びZIKV-DNAワクチンの両方を、相互の干渉を伴わずに同時に投与して、全身性体液性及び細胞性免疫を介した即座でかつ長期的な保護を提供することができる(
図8)。
【0378】
生物学的に機能性のmAbのインビボ迅速産生のための最適化DNAプラスミドのエレクトロポレーション媒介性送達
抗ZIKV dMAbを投与した対象は、投与後のすぐ後にウイルス攻撃から完全に保護されるが、一方で、対象は、ZIKV-DNAワクチンでの単回免疫誘導後の感染に関しては、恐らく保護的免疫を開始するには不十分な時間に起因して生き延びない。しかしながら、ZIKV-DNAは、免疫誘導レジメン、続いてより後の時点での攻撃後に、完全な保護を提供する。単回用量の抗ZIKV dMAbを投与した対象において同様のレベルの保護が生じるが、保護は経時的に減弱する。注目すべきことに、抗ZIKV dMAb及びZIKV-DNAの共送達は、迅速かつ持続的な体液性及び細胞性免疫をもたらし、このことは併用アプローチが相加効果または相乗効果を有し得ることを示唆する。重要なことに、抗ZIKV dMAb及びZIKV-DNAの共送達は、短期的または長期的な保護的免疫応答の発現の点から拮抗性でない。
【0379】
実施例6
配列
●配列番号1 ZIKV-3F12E9-VHのアミノ酸配列
●配列番号2 ZIKV-3F12E9-VLのアミノ酸配列
●配列番号3 ZIKV-8A9F9-VHのアミノ酸配列
●配列番号4 ZIKV-8A9F9-VLのアミノ酸配列
●配列番号5 ZIKV-8D10F4-VHのアミノ酸配列
●配列番号6 ZIKV-8D10F4-VLのアミノ酸配列
●配列番号7 ZIKV-IC2A6-VHのアミノ酸配列
●配列番号8 ZIKV-IC2A6-VLのアミノ酸配列
●配列番号9 ZIKV-ID4G7-VHのアミノ酸配列
●配列番号10 ZIKV-ID4G7-VLのアミノ酸配列
●配列番号11ヒト抗ジカ(3F12E9)-IgG4:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号12ヒト抗ジカ(3F12E9)-IgG1:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号13ヒト抗ジカ(8A9F9)-IgG4:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号14ヒト抗ジカ(8A9F9)-IgG1:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号15ヒト抗ジカ(8D10F4)-IgG4:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号16ヒト抗ジカ(8D10F4)-IgG1:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号17ヒト抗ジカ(1D4G7)-IgG4:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号18ヒト抗ジカ(1D4G7)-IgG1:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号19ヒト抗ジカ(8A9F9)-IgG1:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2(4番目及び5番目の残基においてLALAバリアントを有する)-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号20ヒト抗ジカ(3F12E9)-IgG1:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2(4番目及び5番目の残基においてLALAバリアントを有する)-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号21ヒト抗ジカ(IC2A6)-IgG4:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号22ヒト抗ジカ(IC2A6)-IgG1:ヒトIgG重鎖シグナルペプチド-VH-CH1-ヒンジ領域-CH2-CH3-カスタムフリン切断部位-「GSG」リンカー及びP2Aペプチド-ヒトカッパ軽鎖シグナルペプチド-VL-CL(カッパ)
●配列番号23、コンセンサスジカIgEリーダー-prMEタンパク質
●配列番号24コンセンサスジカIgEリーダー-prME(構築物1)DNA
●配列番号25コンセンサスジカIgEリーダー-prME(構築物1)タンパク質
●配列番号26、コンセンサスジカIgEリーダー-NS1 DNA
●配列番号27、コンセンサスジカIgEリーダー-NS1タンパク質
●配列番号28、コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドDNA
●配列番号29、コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドタンパク質
●配列番号30、ジカIgEリーダー-prME MR766 DNA
●配列番号31、ジカIgEリーダー-prME MR766タンパク質
●配列番号32、ジカIgEリーダー-prMEブラジルDNA
●配列番号33、ジカIgEリーダー-prMEブラジルタンパク質
●配列番号34コンセンサスジカIgEリーダー-NS1 DNA(pGX7211)
●配列番号35コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドDNA(pGX7212)
●配列番号36ジカIgEリーダー-prMEブラジルDNA(pGX7213)
●配列番号37ジカIgEリーダー-prME MR766 DNA(pGX7214)
●配列番号38カプシドDNAを含まないジカPreEnv(MR766)(pGX7210)
●配列番号39カプシドタンパク質を含まないジカPreEnv(MR766)(pGX7210)
●配列番号40、IgEリーダー
【0380】
上述の詳細な説明及び付随する実施例は単なる例示説明であり、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されることが理解される。
【0381】
開示される実施形態に対する種々の変更形態及び修正形態が当業者には明らかとなろう。限定されないが本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関する変更及び修正を含めて、かかる変更及び修正が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされてもよい。