(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069255
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】気管支樹の治療のためのシステム、アセンブリ、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20240514BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20240514BHJP
A61M 29/00 20060101ALI20240514BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240514BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20240514BHJP
【FI】
A61B17/24
A61B17/32 510
A61M29/00
A61B18/14
A61M25/10 540
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026928
(22)【出願日】2024-02-26
(62)【分割の表示】P 2021051054の分割
【原出願日】2009-05-08
(31)【優先権主張番号】61/052,082
(32)【優先日】2008-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/106,490
(32)【優先日】2008-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/155,449
(32)【優先日】2009-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512120362
【氏名又は名称】ヌバイラ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ステブエン シー. ドイムムエル
(72)【発明者】
【氏名】マルトイン エル. マイセ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】肺の気管支樹の末端領域への神経系入力を減少させ、肺疾患を治療するためのシステム、アセンブリ、及び方法を提供する。
【解決手段】治療システムは、神経組織に損傷を与え、一時的に又は永久に神経系入力を減少させる。治療システムは、神経組織を加熱すること、神経組織を冷却すること、神経組織への外傷を生じさせる流動性物質を送達すること、神経組織を穿刺すること、神経組織を裂くこと、神経組織を切断すること、神経組織に圧力を印加すること、神経組織に超音波を適用すること、神経組織に電離放射線を適用すること、神経組織の細胞膜を電気エネルギーで破壊すること、又は神経組織に長時間作用性神経遮断化学物質を送達することができる。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルシステムであって、
細長い本体、及び
該細長い本体の遠位末端に結合し、かつ患者の気管支樹の気道内に位置するよう構成さ
れているアブレーションアセンブリを含み、
該アブレーションアセンブリは、該気道の壁に沿って延在する神経幹に、該神経幹を選
択的に損傷し、その神経系シグナルを減衰するように、アブレートエネルギーを伝達する
ように構成され、かつ該アブレーションアセンブリは、さらに該気道の内部表面と該神経
幹との間に放射状に配置されている非標的組織を守り、該非標的組織に対する永久的な損
傷を最小にするように構成されており、該アブレーションアセンブリは、該神経幹に超音
波を伝達するように構成されている超音波要素を含む、前記カテーテルシステム。
【請求項2】
前記超音波要素が、適切な励起源に連結したときに組織をアブレートするのに十分な超
音波を発生するように適合している、請求項1記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記アブレーションアセンブリが超音波振動子アレイを含む、請求項1記載のカテーテ
ルシステム。
【請求項4】
前記超音波振動子アレイが、高度に集束された音波を発生し、非標的組織を傷つけるこ
となく、神経幹に損傷を与えるように構成されている超音波アレイである、請求項3記載
のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記超音波振動子アレイが、気道の壁及び神経幹周囲の結合組織の局部を治療する高度
に集束された音波を発生するように構成された超音波アレイである、請求項3記載のカテ
ーテルシステム。
【請求項6】
前記超音波要素が、適切な励起源と連結したときに、超音波を発生して、気道の標的組
織を画像化するように構成されている、請求項1記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記アブレーションアセンブリが、エネルギー伝達中に、該アブレーションアセンブリ
と気道の壁の表面組織の温度を安定させるヒートシンクとして作用するヒートシンク流体
を受けとるように構成されているヒートシンク要素を含む、請求項1記載のカテーテルシ
ステム。
【請求項8】
前記ヒートシンク要素が膨張性熱伝導性部材であり、前記細長い本体が流入ライン及び
流出ラインを含み、該流入ラインの内腔及び該流出ラインの内腔は、流体源から該膨張性
部材の内部に流れる前記ヒートシンク流体を、該膨張性部材を介する循環する流体の流れ
のために提供する、請求項7記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記アブレーションアセンブリは、前記膨張性部材が膨張されたときに、気道の壁と接
触するように前記膨張性部材の表面上に配置されている電極を含む、請求項8記載のカテ
ーテルシステム。
【請求項10】
前記超音波要素が前記アブレーションアセンブリと連結している超音波プローブを含む
、請求項1記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記超音波プローブが、超音波駆動ユニットによりその縦軸周りに回転することができ
るように、該超音波駆動ユニットと結合している、請求項10記載のカテーテルシステム
。
【請求項12】
前記アブレーションアセンブリが、エネルギー伝達中に、該アブレーションアセンブリ
と気道の壁の表面組織の温度を安定させるヒートシンクとして作用するヒートシンク流体
を受けとるように構成されているヒートシンク要素を含み、該ヒートシンク要素が膨張性
熱伝導性部材であり、かつ、該膨張性部材におけるヒートシンク流体が該超音波プローブ
を気道の壁に音響的に連結させる、請求項10記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記超音波プローブが気道の壁の画像を撮るように構成されている、請求項10記載の
カテーテルシステム。
【請求項14】
前記超音波要素が、該アブレーションアセンブリに対し、可動的に独立である超音波プ
ローブを含む、請求項1記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記超音波要素が 約7 MHz~約50 MHzの中心周波数で操作する広帯域超音波振動子を含
む、請求項1記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2008年5月9日に出願の米国仮特許番号第61/052082号;2008年10月17日に出
願の米国仮特許出願番号第61/106,490号;及び2009年2月25日に出願の米国仮特許出願番
号第61/155,449号の35 U.S.C. § 119(e)の下で、利益を主張する。これらの3つの仮特許
出願の各々は、その全体において本明細書に引用により取り込まれている。
【背景技術】
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、気管支樹を治療するためのシステム、アセンブリ及び方法に関し、
並びにより詳しくは、本発明は、所望の反応を誘発するためのシステム、アセンブリ及び
方法に関する。
【0003】
(関連技術の説明)
肺疾患は、肺のパフォーマンスに悪影響を与える、広範囲の問題の原因となり得る。喘
息及び慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)などの肺疾患は、肺の増加した気流抵抗につながり得
る。死亡率、健康関連の経費及び肺疾患による悪影響を有する集団の規模は全て、多大で
ある。これらの疾患は、多くの場合、生活の質に悪影響を与える。症状は変化するが、多
くの場合、咳;息切れ;及び喘鳴を含む。COPDにおいて、例えば、息切れは、ランニング
、ジョギング、早歩きなどのいくらか激しい運動を行うときに注意され得る。当該疾患が
進行するにつれて、息切れは、歩行などの激しくない運動を行うときに注意され得る。長
期に渡ると、COPDの症状は、それらが常に存在する限り、次第に小さくなる行動によって
生じる場合があり、それによって、通常の作業を達成する人の能力が高度に制限される。
【0004】
肺疾患は、多くの場合、気道内腔の閉鎖、気道壁の肥大、気道壁内若しくは周囲の構造
の変化、又はそれらの組合せを伴う気道閉塞によって特徴付けられる。気道閉塞は、息切
れを生じる肺において、交換される気体量を著しく減少させ得る。気道内腔の閉鎖は、過
剰な腔内粘液若しくは浮腫液、又は両方によって生じ得る。気道壁の肥大は、気道平滑筋
の過剰な収縮、気道平滑筋肥大、粘液腺肥大、炎症、浮腫又はそれらの組合せに起因し得
る。肺組織自体の破壊など、気道の周りの構造の変化は、気道壁の環状路(radial tracti
on)の損失、及び続く気道の狭小化を生じ得る。
【0005】
喘息は、気道平滑筋の収縮、平滑筋肥大、過剰な粘液産生、粘液腺肥大及び/又は炎症
及び気道の腫脹によって、特徴付けられ得る。これらの異常は、局所炎症性サイトカイン
(気道壁に又はその近くに位置する免疫細胞により局所的に放出される化学物質)、吸入
された刺激物(例えば、冷気、煙、アレルゲン又は他の化学物質)、全身性ホルモン類(
抗炎症コルチゾール及び刺激性のエピネフリンなどの血液中の化学物質)、局所神経系入
力(平滑筋細胞及び粘液腺の局所反射刺激を生じ得る気道壁内に完全に含まれる神経細胞
)、及び中枢神経系入力(脳から平滑筋細胞及び粘液腺へ、迷走神経によって運ばれる神
経系シグナル)の複雑な相互作用の結果である。これらの状態は、多くの場合、広範囲に
わたる一時的な組織変化及び初期の可逆的な気流閉塞を生じ、最後に、喘息患者が呼吸す
ることを困難にする永久的組織変化及び永続的な気流障害を生じ得る。喘息は、著しく気
流抵抗を増加させる過剰反応的な気道平滑筋の収縮を介して、さらなる気道狭窄の急性発
症又は攻撃を更に含むことができる。喘息症状は、息切れ(例えば、息切れ又は呼吸困難
)、喘鳴、胸苦しさ、及び咳の再発性発症を含む。
【0006】
気腫は、多くの場合、肺の気道周辺又は近隣の肺組織の変化によって特徴付けられるCO
PDの一種である。気腫は、その周囲の肺組織によって気道壁にもたらされる気体交換減少
及び環状路減少に至る肺組織(例えば、肺胞嚢などの肺胞組織)の破壊を含み得る。肺胞
組織の破壊は、肺胞壁及び肺胞毛細管のない、非常に大きな気腔を有する気腫性肺領域を
残し、かつ、それによって気体交換に非効率的となる。空気は、これらの大きな気腔内に
“閉じ込め”られる。この“閉じ込め”は、肺の過膨張を生じ、胸部の範囲において、酸
素の豊富な空気の流入及び健康な組織の適切な機能を制限する。これは、重大な息切れを
生じ、かつ血中の低酸素レベル及び高炭酸ガスレベルを生じ得る。この種の肺組織破壊は
、健常な個人でさえ、通常の老化過程の一部として生じる。不運にも、化学物質又は他の
物質(例えば、タバコの煙)への曝露により、組織の損傷又は破壊の速度が著しく加速さ
れる。息切れは、気道閉塞によって、更に増加され得る。環状路の減少によって、気道壁
が「柔軟(floppy)」なり、呼息の間に気道壁が部分的又は完全に崩壊する。気腫をもつ個
人は、呼息の間のこの気道崩壊及び気道閉塞のために、それらの肺から外に空気を送達す
ることができなくなることがある。
【0007】
慢性気管支炎は、気道平滑筋の収縮、平滑筋肥大、過剰な粘液産生、粘液腺肥大及び気
道壁の炎症によって特徴付けられ得る、COPDの一種である。喘息の様に、これらの異常は
、局所炎症性サイトカイン、吸入された刺激物、全身性ホルモン類、局所神経系及び中枢
神経系の複雑な相互作用の結果である。喘息とは異なり、主として気道閉塞が可逆的あり
、慢性気管支炎の気道閉塞は、主に慢性的及び永続的である。多くの場合、慢性気管支炎
患者は、息切れ、喘鳴及び胸苦しさ、並びに粘液を生じる咳の慢性的症状のため、呼吸す
ることが困難である。
【0008】
肺疾患の重症度及び進行を評価するために、様々な技術を用いることができる。例えば
、肺機能検査、運動能力、及び生活の質アンケートが、対象を評価するために多く用いら
れる。肺機能検査は、気流、肺気量及び気体交換などの基本的な生理的肺パラメータの客
観的及び再現可能な計測を必要とする。閉塞性肺疾患の評価のために使用される肺機能検
査の指標は、一秒量(FEV1)、努力呼気肺活量(FVC)、FEV1対FVCの比、全肺気容量(TL
C)、気道抵抗及び動脈血ガスの試験を含む。FEV1は、患者が完全に空気で満たされる肺
から始める、1秒間の強制的呼気で吐き出すことができる空気量である。また、FEV1は、1
秒間の強制的呼気を起こす平均流量でもある。このパラメータは、任意の気道閉塞の存在
及び影響を評価し、かつ決定するために用いることができる。FVCは、患者が完全に空気
で満たされる肺から始める、強制的呼気の間に吐き出すことができる空気の総容量である
。FEV1/FVCは、1秒間の強制的呼気の間に吐き出され得る、全空気の割合である。少なく
とも一つの気管支拡張剤の投与後に、0.7未満のFEV1/FVC比率は、COPDの存在を示す。TLC
は、肺が完全に満たされた場合の肺内の空気の総量であり、閉塞性肺疾患を有する患者の
肺内に空気が閉じ込められている場合に増加し得る。気道抵抗は、肺胞と口との間の圧力
勾配、対、肺胞と口との間の空気流量として定義される。同様に、所定の気道の抵抗は、
気道全体の圧力勾配と気道を通る流量のとして定義される。動脈血ガス試験は、血中の酸
素量及び二酸化炭素量を測定し、空気から血液に酸素を移動させ、かつ血液から体外に二
酸化炭素を排出する肺及び呼吸器系の能力を評価するための、最も直接な方法である。
【0009】
運動能力試験は、運動を行う患者の能力の客観的及び再現可能な測定法である。6分の
歩行試験(6MWT)は、6分で患者が平坦面上をできるだけ遠くに歩く運動能力試験である
。別の運動能力試験は、患者の最大の運動能力を測定することを含む。例えば、医師は、
サイクルエルゴメーターにおいて、患者が発生できる力の量を測定できる。その患者は、
30パーセントの酸素を呼吸でき、作業負荷は、3分毎に5~10ワット増加させることができ
る。
【0010】
生活の質アンケートは、患者の全体の健康及び状態を評価する。セントジョージの呼吸
器官の質問表(St.George's Respiratory Questionnaire)は、全体の健康、日常生活、及
び認知される状態の閉塞性肺疾患の影響を測定することを狙った75の質問を含む生活の質
アンケートである。肺疾患のための治療の有効性は、肺機能検査、運動能力試験及び/又
はアンケートを用いて評価されることができる。治療プログラムは、これらの試験及び/
又はアンケートから結果に基づいて修正できる。
【0011】
気管支熱形成術(bronchial thermoplasty)などの処置は、肺内の数多くの気管支枝の
気道壁を切除することにより平滑筋緊張を破壊し、それによって、肺の気道壁の平滑筋及
び神経を除去することを含む。処置された気道は、吸入された刺激物、全身性ホルモン類
、並びに局所及び中枢神経系入力に有利に反応することができない。不運なことに、この
気道壁内の平滑筋緊張及び神経の破壊は、肺パフォーマンスに悪影響を与えることがある
。例えば、煙又は他の有害物質などの吸入された刺激物は、通常、肺刺激物受容体を刺激
し、咳及び気道平滑筋の収縮を生じる。気道壁の神経の除去は、局所神経機能及び中枢神
経入力を取り除き、それによって、有害物質を強い咳をとともに放出する肺能力がなくな
る。気道平滑筋緊張の除去は、収縮する気道の能力を排除し、それによって、肺に有害物
質などの不必要な物質がより深く浸透され得る。
【0012】
さらに、気管支熱形成術などの、気道壁の部分を切除することによる平滑筋緊張を破壊
する方法は、多くの場合、以下の限界を有する:
1)直接切除されない気道、典型的には、喘息、気腫及び慢性気管支炎などの閉塞性肺疾患
においても狭まる可能性がある約3.0mmより小さい気道に影響を及ぼすことができないこ
と;
2)閉塞性肺疾患影響によって既に狭まった気道において、術中腫脹のために急性呼吸系疾
患を生じる短期間腫脹;
3)肺内の気道への何百もの適用は、全体の肺機能の変更することを避けられない場合があ
る;
4)肺内の気道の複数の世代が処置される(典型的には2~8世代)ので、特定の肺気道部分
を失うことなく又は処置することなく肺気道を対象とすることは難しい;
及び
5)肺への治癒荷重を減らすために、処置ステップを複数ステージに分けることが要求され
、それぞれの更なる気管支鏡検査法治療セッションとともに更なる危険及びコストが加え
られる。
【0013】
喘息及びCOPDは、数多くの患者が有する重病である。処方薬を含む現在の管理技術は、
完全に成功でもなく、副作用もないことはない。加えて、多くの患者は、それらの薬剤処
方投与計画に従わない。したがって、患者コンプライアンスを必要とすることなく気流に
対する抵抗を高める治療を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0014】
(概要)
幾つかの実施態様において、治療システムは、肺根の右及び左の主気管支などの気道、
並びに肺内部のより遠位の気道を通ってナビゲートされ、制限されないが、喘息、COPD、
閉塞性肺疾患又は肺内の気流に対して抵抗が増加する他の疾患などの広範囲の肺症状、状
態及び/又は疾患を治療することができる。 該治療システムは、非標的部位を処置する
ことなく、一つ以上の標的部位を処置することができる。 主気管支、葉気管支、区域気
管支又は下位区域気管支の標的とされた解剖学的特徴(例えば、神経、腺、膜など)が処
置されても、非標的の解剖学的特徴は、実質的に不変であることができる。例えば、該治
療システムは、標的部位で神経組織を破壊することができ、処置を行った後に機能を維持
することができる非標的組織を広範囲に破壊することはない。
【0015】
本明細書中に開示される少なくとも一部の実施態様は、気道壁の外側で神経幹の神経組
織に影響を及ぼし、例えば、吸入された刺激物、局所神経刺激、全身性ホルモン類又はそ
れらの組合せに応答して動く(例えば、収縮及び/又は拡大する)該気道の能力を維持す
るように使用することができる。幾つかの実施態様において、神経幹の神経組織は、平滑
筋緊張を排除することなく破壊される。神経幹に損傷を与えた後に、気道は、気道の平滑
筋が、刺激された場合に、気道の直径を変更し、適切な肺機能の維持を助けるために、少
なくとも幾らかの筋緊張を有する。平滑筋緊張と関連している広範囲の異なる生理機能は
、処置の前、間、及び/又は後に維持され得る。
【0016】
幾つかの実施態様において、一つ以上の肺疾患の治療方法を提供する。当該方法は、気
管支樹気道の外側に沿って伸びている迷走神経の神経幹の神経組織に損傷を与え、気管支
樹の一部に伝達する神経系シグナルを減衰させることを含む。神経幹は、神経の主茎でも
よく、結合組織の堅い外筒によって一緒に結合した神経繊維の束を含む。幾つかの実施態
様において、神経組織に損傷を与え、一方で、気道と平行して伸びている血管などの一つ
以上の解剖学的特徴の機能性を維持し、神経組織への損傷後に、気管支樹の一部の呼吸機
能を保つ。
【0017】
肺疾患と関連している状態及び症状を低減し、制限し、又は実質的に排除することがで
きる。例えば、気道閉塞を治療して、気流抵抗の低下を誘発することができる。血管又は
他の組織は、治療の間及び/又は後に完全に機能を維持することができる。維持される呼
吸機能は、気体交換、粘膜繊毛の輸送などを含み得る。幾つかの実施態様において、気道
の外側に位置する神経幹の神経組織などの神経組織は、損傷される神経組織と円周方向に
隣接している気道壁の部分に広範囲に損傷を与えることなく、損傷される。したがって、
非標的とされた組織は、気道神経組織への損傷によって、実質的に不変であり得る。
【0018】
神経組織に損傷を与えることは、エネルギーを神経組織に送達することを含むことがで
き、破壊された神経組織は、気管支樹に沿ってより遠位の神経への神経系シグナルの伝達
を妨げるか又は停止する。神経組織は、神経組織に様々な種類のエネルギーを送達するこ
とによって一時的に又は永久に損傷され得る。例えば、神経組織は、神経組織の温度を第
1の温度(アブレーション温度)に上昇させることによって熱的に損傷を受けることがで
き、一方で、気道の壁は、第1の温度未満である第2の温度である。幾つかの実施態様にお
いて、神経組織から半径方向内向きに配置される気道壁の一部は、第1の温度であり、そ
の気道壁の一部への永久的な損傷を防止することができる。第1の温度は、神経組織の永
久的な破壊を生じるように十分に高くすることができる。幾つかの実施態様において、神
経組織は、気道壁の外側の結合組織に位置する神経幹の一部である。気道壁の平滑筋及び
神経組織は、機能を維持し、平滑筋緊張の所望のレベルを維持することができる。気道は
、刺激(例えば、吸入された刺激物、局所神経系又は全身性ホルモン類によって生じる刺
激)に応答して収縮/拡大できる。他の実施態様において、神経組織は、神経分岐の一部
又は気道壁の神経繊維である。さらに他の実施態様において、神経幹の神経組織、及び神
経枝/繊維の神経組織は、同時に又は連続して損傷を受ける。アブレーション要素などの
様々な種類の活性化可能な要素を利用して、エネルギーを出力することができる。
【0019】
幾つかの実施態様において、対象の治療方法は、気管支樹の気道の内腔に沿って細長い
アセンブリを移動させることを含む。気道は、以下を含む:第1の管状部分、第2の管状部
分、第1の管状部分と第2の管状部分間の処置部位、及び少なくとも第1の管状部分に沿っ
て伸びている神経、処置部位及び第2の管状部分である。神経は、気道壁の中又は外に存
在し得る。幾つかの実施態様において、神経は、気道壁の外側の神経幹であり、迷走神経
に結合される。
【0020】
該方法は、処置部位で神経の一部に損傷を与え、第1の管状部分と第2の管状部分との間
に神経を介して伝わるシグナルを実質的に抑制することを更に含む。幾つかの実施態様に
おいて、第1の管状部分と第2の管状部分間の血流量を維持しながら、神経の一部に損傷を
与えることができる。連続血流量は、遠位の肺組織の所望の機能を維持できる。
【0021】
気道の第2の管状部分は、神経への損傷に応答して膨張できる。神経系シグナルが、第2
の管状部分の気道の平滑筋に送達されないので、平滑筋は、気道の拡張を生じるように弛
緩させることができ、それによって、肺疾患と関連している気流抵抗でさえ、気流抵抗を
低下させる。幾つかの実施態様において、神経組織に損傷を与え、損傷された組織に対し
て遠位の実質的に全ての気道の拡張を生じることができる。神経は、神経幹、神経分岐、
神経繊維及び/又は他のアクセス可能な神経であり得る。
【0022】
該方法は、幾つかの実施態様において、気道の一つの又は一つの属性を検出すること、
及び該属性に基づいて、神経組織に損傷を与えたかどうかを評価することを含む。評価す
ることが、気道の測定された属性を比較すること(例えば、異なる時点で取られた測定値
を比較すること)、測定された属性とスコア化された値(参照値)とを比較すること、測
定された属性に基づいて値を計算すること、属性の変化をモニターすること、又はそれら
の組み合わせなどを含む。
【0023】
幾つかの実施態様において、対象の治療方法は、気管支樹の気道の内腔に沿って腔内装
置を動かすことを含む。気道の一部は、腔内装置を用いて除神経される。幾つかの実施態
様において、気道の一部は、広範囲に気道の内部表面に不可逆的に損傷を与えることなく
、除神経される。幾つかの実施態様において、気管支樹の一部は、広範囲に気管支樹の気
道壁内の神経組織(例えば、神経繊維の神経組織)に不可逆的に損傷を与えることなく、
除神経される。内部表面は、腔内装置が移動した内腔を定めることができる。
【0024】
除神経プロセスは、気道に沿って伸びている少なくとも一つの動脈を破壊することなく
、実施され得る。幾つかの実施態様において、気道に沿って伸びている動脈の実質的に全
ては、除神経プロセスの間、保存される。幾つかの実施態様において、気道の壁に埋め込
まれている一つ以上の神経は、一般に、除神経プロセスの間、損傷を受けないことができ
る。破壊された神経は、気道の外側の神経幹であり得る。
【0025】
幾つかの実施態様において、除神経プロセスは、気道の平滑筋緊張を減少させ、肺との
間で所望の増加した気流を達成することができる。幾つかの実施態様において、除神経プ
ロセスは、平滑筋緊張の十分な減少を生じ、肺との間で実質的に気流を増加させる。例え
ば、対象は、ベースラインFEV1を超えて、少なくとも10%のFEV1の増加を有することがで
きる。このように、対象は、通常の日常的な活動を行うときに、激しい活動でさえ、有意
の改良された肺機能を経験できる。幾つかの実施態様において、気道平滑筋緊張の減少は
、約10%~約30%の範囲のFEV1の増加を生じるのに十分である。任意の数の処置部位は、
主気管支、区域気管支又は亜区域気管支において処置され、肺機能の所望の増加を達成す
ることができる。
【0026】
幾つかの実施態様において、肺処置のための細長いアセンブリは、神経幹の神経組織に
損傷を与え、気管支樹のより遠位の部分に送られる神経系シグナルを減衰させるように適
合する。細長いアセンブリが気管支樹の内腔に沿って延在すると共に、組織に損傷を与え
る。送達アセンブリを用いて、神経組織へのアクセスを提供することができる。
【0027】
いくつかの他の実施態様において、対象の治療システムは、気管支樹の気道の内腔に沿
って移動するように寸法決定された細長いアセンブリを含む。細長いアセンブリは、神経
幹の神経組織などの神経組織によって伝達されるシグナルを減衰させる一方で、広範囲に
気道の内部表面に不可逆的に損傷を与えないように適合される。細長いアセンブリは、ア
ブレーション要素などの少なくとも一つの作動可能な要素を有する、埋め込み可能な遠位
先端を含むことができる。アブレーション要素は、作動させた場合に、様々な種類の神経
組織を切除できる。幾つかの実施態様において、アブレーション要素は、高周波エネルギ
ーを出力する操作可能な一つ以上の電極を含む。
【0028】
幾つかの実施態様において、方法は、第1の主気管支の神経組織に損傷を与え、第1の主
気管支に結合される実質的にすべて遠位気管支枝に伝わる神経系シグナルを実質的に抑制
することを含む。幾つかの実施態様において、第1の主気管支に対して遠位の気管支動脈
のほとんど又は全てが処置される。神経組織は、特定の実施態様において、気管と気管支
枝が延在する肺との間に位置する。方法は、第2の主気管支の神経組織に損傷を与え、第2
の主気管支に結合される実質的に全ての遠位の気管支枝に伝わる神経系シグナルを実質的
に抑制することを更に含む。カテーテルアセンブリを用いて、第1の主気管支の神経組織
に損傷を与え、かつ第1及び第2の気管支とつながった気管からカテーテルアセンブリを取
り除くことなく、第2の主気管支の神経組織に損傷を与えることができる。
【0029】
幾つかの実施態様において、方法は、気管支樹の大部分を除神経し、当該部分の実質的
に全ての気管支分岐に伝わる神経系シグナルを実質的に抑制することを含む。特定の実施
態様において、除神経手順は、エネルギーの約100未満の適用、エネルギーの50適用、エ
ネルギーの36適用、エネルギーの18適用、エネルギーの10適用又はエネルギーの3適用を
用いて神経組織に損傷を与えることを含む。エネルギーの各適用は、異なる治療部位であ
ることができる。幾つかの実施態様において、一方又は両方の肺の実質的に全ての気管支
枝は、エネルギーを適用することによって除神経される。
【0030】
特定の実施態様において、一つ以上の検出部材を用いて、治療の前、間、及び/又は後
に、気道の属性を検出することができる。検出部材は、気道の内部表面と物理的に接触さ
れ、気道の物性を評価することができる。検出部材は、標的組織に対して遠位に配置され
得る一つ以上の膨張可能なバルーンを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
幾つかの視点の図面の簡単な説明図において、同一の参照番号は、類似の要素又は作用
を特定する。
【
図1】
図1は、肺、血管及び肺内及び肺近くの神経の図解である。
【
図2A】
図2Aは、一実施態様に従って、左主気管支の範囲内で配置される治療システムの略図である。
【
図2B】
図2Bは、治療システムの略図及び治療システムから遠位に延びている計測器である。
【
図3】
図3は、一実施態様に従って、気道内腔に沿って配置される治療システムの遠位先端を囲んでいる気管支樹の気道の横断面図である。
【
図4】
図4は、一実施態様に従って、気道の平滑筋が収縮し、粘液が気道内腔にあるときの、治療システムの遠位先端を囲んでいる気管支樹の気道の横断面図である。
【
図5A】
図5Aは、送達アセンブリ、及び該送達アセンブリを通って外に延びている細長いアセンブリを有する、治療システムの部分的な横断面図である。
【
図5B】
図5Bは、神経幹の神経組織に影響を及ぼすために配置される
図5Aの細長いアセンブリの遠位先端の実例である。
【
図6】
図6は、一実施態様による、気管支気道の内腔内の送達アセンブリの側面図である。
【
図7】
図7は、
図6の送達アセンブリを通って移動する細長いアセンブリの遠位先端の側面図である。
【
図8】
図8は、一実施態様に従って、送達アセンブリから突出している細長いアセンブリの遠位先端の側面図である。
【
図9】
図9は、
図8の遠位先端の拡大部分的な横断面図であり、該遠位先端は、気道の壁に及ぶ。
【
図10A】
図10Aは、一実施態様による、気管内の自己展開式アブレーションアセンブリの側面図である。
【
図11A】
図11Aは、気道内の自己展開式アブレーションアセンブリの別の実施態様の側面図である。
【
図12A】
図12Aは、一実施態様に従って、送達アセンブリの範囲内で、送達アセンブリ及び個別の細長いアセンブリを有する治療システムの部分的な横断面図である。
【
図13A】
図13Aは、一実施態様に従って、エネルギーを処置部位に送達している送達アセンブリの横断面図である。
【
図14A】
図14Aは、一実施態様に従って、気道壁内に配置されるポートを有する細長いアセンブリを有する治療システムの部分的な横断面図である。
【
図15A】
図15Aは、拡張可能なアセンブリを有する治療システムの側面図である。
【
図18】
図18は、
図15Aの拡張可能なアセンブリの横断面図及び該拡張可能なアセンブリを囲んでいる気道である。
【
図19A】
図19Aは、一実施態様により、拡張可能なアセンブリを有する治療システムの側面図である。
【
図20A】
図20Aは、別の実施態様による、拡張可能なアセンブリを有する治療システムの側面図である。
【
図21】
図21は、
図20Aの拡張可能なアセンブリの横断面図及び該拡張可能なアセンブリを囲んでいる気道である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(詳細な説明)
以下の説明では、本発明の各種実施態様の完全な理解を提供するために、特定の具体的
な詳細を記載する。しかし、当業者は、本発明がこれらの詳細なく実施することができる
ことを理解するであろう。他の例において、カテーテルシステム、送達アセンブリ、活性
化可能な要素、回路及び電極に付随する周知の構造は、本発明の実施態様の説明を不必要
に不明瞭にすることを避けるために、詳述しなかった。
【0033】
文脈上他の意味に解釈されない限り、明細書及び請求項の全体にわたって、語句「含む
(comprise)」及びその変形、例えば「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)
」は、開いた包括的な意味、すなわち、「を含むが、制限されない」と解釈される。
【0034】
図1は、左肺11及び右肺12を有する人間の肺10を示す。気管20は、鼻及び口から下向き
に延びて、左主気管支21及び右主気管支22に分かれる。左主気管支21及び右主気管支22は
、各々分岐して、外向きの方向(すなわち、末端部方向)に連続的により小さい直径及び
より短い長さを有する肺の区域気管支及び亜区域気管支を形成する。主肺動脈30は、心臓
の右心室から出て、肺根24の前を通過する。肺根24で、動脈30は、左右の肺動脈に分岐し
、分岐血管のネットワークを形成するように次々に分岐する。これらの血管は、気管支樹
27の気道と平行して延在することができる。気管支樹27は、左主気管支21、右主気管支22
、気管支梢及び肺胞を含む。迷走神経41、42は、気管20と平行して延在し、分岐して、神
経幹45を形成する。
【0035】
左右の迷走神経41、42は、脳幹から出て頸部を通過し、胸部を通って気管20の両側に下
降する。迷走神経41、42は、気管20、左主気管支21及び右主気管支22を包み込む前方及び
後方肺神経叢を含む神経幹45に広がる。神経幹45も、気管支樹27の分岐気道に沿って外側
に延在する。神経幹45は、神経の主幹であり、結合組織の堅い外筒によって一緒に結合し
た神経繊維の束を含む。
【0036】
肺10の主な機能は、酸素を空気から血液に交換して、二酸化炭素を血液から空気中に交
換することである。酸素の豊富な空気が肺10に吸い込まれたときに、気体交換のプロセス
が始まる。隔膜及び肋間胸壁筋の収縮が協同して、胸部の圧力を下げ、酸素の豊富な空気
が肺10の気道の中を流れる。例えば、空気は口及び鼻、気管20、その後、気管支樹27を通
過する。最終的に、空気は、気体交換プロセスのために肺胞気嚢に送られる。
【0037】
酸素に乏しい血液は、心臓の右面から肺動脈30を通って送り込まれ、最終的に肺胞毛細
管に送られる。この酸素に乏しい血液は、二酸化炭素廃棄物が豊富である。薄い半透膜が
、毛細管中の酸素に乏しい血液を、肺胞内の酸素の豊富な空気と隔てる。これらの毛細管
は、肺胞を包み込み、肺胞の間に延びている。空中からの酸素は、膜を通って血液中に拡
散し、血液からの二酸化炭素は、膜を通って肺胞内の空気に拡散する。その後、新しい酸
素豊富な血液は、肺胞毛細管から肺静脈系の分岐血管を通って、心臓に流れる。心臓は、
身体の全体に、酸素の豊富な血液を汲み出す。肺内の酸素を使いきった空気は、隔膜及び
内肋間筋が弛緩するときに吐き出され、肺及び胸壁は、通常の弛緩状態に弾力的に戻る。
このように、空気は、分岐気管支梢、気管支21、22、及び気管20の中を流れることができ
、最終的に、口及び鼻を通って噴出される。
【0038】
図2Aの治療システム198を用いて肺10を処置し、呼気若しくは吸入、又は両方の間に空
気流量を調整することができる。例えば、気道を拡大(例えば、拡張)し、空気流量抵抗
を減少させ、気体交換を増加させることができる。治療システム198は、神経幹の神経組
織などの神経組織に影響を与え、気道を拡張させることができる。
【0039】
幾つかの実施態様において、治療システム198は、電気的及び化学的シグナルを用いて
、脳と肺10との間の連絡を提供する神経系を標的とする。自律神経系の神経組織のネット
ワークは、呼吸器系及び血管系の活性を感知して、調整する。神経組織は、化学的及び電
気的シグナルを用いて、一つの身体部位から別の部分まで、感覚及び運動情報を送る繊維
を含む。例えば、神経組織は、筋肉の収縮又は他の反応を生じるシグナルなどの神経系入
力の形式で運動情報を送ることができる。該繊維は、神経単位から構成され得る。神経組
織は、結合組織(すなわち、神経上膜)で囲まれ得る。自律神経系は、交感神経系及び副
交感神経系を含む。交感神経は、主に、ストレス時期の「興奮性」機能に関係している。
副交感神経系は、主に、エネルギー節約時期の「休止期」機能に関係している。交感神経
系及び副交感神経系は、同時に作動し、一般に、器官系統に対して相互的に影響を与える
。血管の神経支配は、両方の系から生じるが、主に、気道の神経支配は、事実上、副交感
神経であり、右迷走神経42及び左迷走神経41において肺と脳との間を伝わる。
【0040】
治療システム198は、これらの神経幹45の一つ以上に対して、任意数の手順を実施し、
それらの神経幹と関連している肺の一部に影響を及ぼすことができる。神経幹45のネット
ワークにおいて、神経組織の一部は、他の神経(例えば、食道に結合される神経、胸部を
通って腹部内への神経など)と結合するため、治療システム198は、それらの他の神経の
不必要な損傷を最小化し、制限し、又は実質的に排除するように特定の部位を処置するこ
とができる。前及び後肺神経叢の一部の繊維は、それらが肺10内から外部に移動するよう
に、気管20及び分岐気管支及び気管支梢の外部表面に沿って延在する小さい神経幹に結合
する。
図3及び4に関連して述べられるように、分岐気管支に沿って、これらの小さい神経
幹は絶えず互いに分岐し、繊維を気道の壁に送られる。
【0041】
治療システム198は、関心対象の特定の部位と関連している迷走神経組織などの特定の
神経組織に影響を及ぼすことができる。迷走神経組織は、神経分岐内で互いに平行して配
向された遠心性線維及び求心性線維を含む。遠心性神経組織は、気道エフェクター細胞、
主に、気道平滑筋細胞及び粘液産生細胞に脳からのシグナルを送る。求心性神経組織は、
気道感覚受容器からのシグナルを、刺激物に多様に反応して伸張して、脳に送る。遠心神
経組織は、気管20から末端気管支梢まで平滑筋細胞に神経を分布する一方、求心性線維神
経支配は、主に、気管20及びより大きな気管支に限られる。遠心性迷走神経組織の一定の
基準緊張性活動が、基準レベルの平滑筋収縮及び粘液分泌をもたらす気道に存在する。
【0042】
治療システム198は、遠心性及び/又は求心性組織に影響を及ぼし、気道平滑筋(例えば
、平滑筋を刺激)及び粘液分泌を制御することができる。肺疾患と関連している気道平滑
筋の収縮及び過剰な粘液分泌は、多くの場合、気体交換の減少及び肺機能の低下をもたら
す比較的高い気流抵抗を生じる。
【0043】
例えば、治療システム198は、筋収縮、粘液産生などを生じる、迷走神経41、42に沿っ
て伝わるシグナルの伝達を減衰させることができる。減衰は、シグナルの伝達を妨害、制
限、遮断及び/又は中断することを含むことができるが、制限されない。例えば、減衰は
、神経シグナルのシグナル振幅を減少させること、又は神経の伝達を弱めることを含むこ
とができる。抹消気道への神経系入力を減少又は停止することは、気道平滑筋緊張、気道
粘液産生、気道炎症などを修正することができ、それによって、肺10との間で気流を制御
する。幾つかの実施態様において、神経系入力を減少させ、対応して、気道平滑筋緊張を
減少させることができる。幾つかの実施態様において、気道粘液産生を、咳及び/又は気
流抵抗の実質的な減少を生じるのに十分な量で減少させることができる。シグナル減衰に
よって、平滑筋が弛緩し、粘液産生細胞による粘液産生を抑制、制限又は実質的に排除す
ることができる。このように、健康的な及び/又は病気にかかった気道を変更し、肺機能
を調整することができる。処置後、様々な形のアンケート又は試験を用いて、対象の処置
への反応を評価することができる。必要に応じて又は所望により、追加的な手順を行い、
咳の頻度を減らし、息切れを減らし、喘鳴を減らすことなどができる。
【0044】
図1の主気管支21、22(すなわち、気道世代1(airway generation 1))を処置して、気
管支樹27の末端部分に影響を及ぼすことができる。幾つかの実施態様において、左及び右
主気管支21、22を、左及び右肺根24に沿った位置及び左及び右肺11、12の外側で処置する
ことができる。処置部位は、迷走神経分岐が、気管及び主気管支21、22に、及び肺11、12
の近くに結合する場所よりも遠位であり得る。2つの療法を含む単一の治療セッションを
用いて、気管支樹27の大部分又は全体を処置することができる。肺11、12に達している実
質的に全ての気管支動脈に影響を与え、高レベルの治療効果を提供することができる。主
気管支21、22の気管支動脈は、比較的大きい直径及び高い放熱容量(heat sinking capaci
ty)を有するため、気管支動脈は、処置による予想外の損傷から保護され得る。
【0045】
幾つかの実施態様において、左及び右主気管支21、22のうちの一つを処置して、気管支
樹27の一方を処置することができる。他方の主気管支21、22は、第1の治療の効果に基づ
いて処置することができる。例えば、左主気管支21を処置して、左肺11を処置することが
できる。右主気管支22を処置して、右肺12を処置することができる。幾つかの実施態様に
おいて、単一の治療システムは、気管支21、22のうちの一方の神経組織に損傷を与えるこ
とができ、気管20から治療システムを取り除くことなく、他方の主気管支21、22の神経組
織に損傷を与えることができる。このように、気管20から治療システムを取り除くことな
く、主気管支21、22に沿って配置される神経組織に損傷を与えることができる。幾つかの
実施態様において、単一の手順を行い、患者の気管支樹の実質的に全て、又は少なくとも
有意な部分(例えば、気管支気道の少なくとも50%、70%、80%、90%)を処置すること
ができる。他の手順において、治療システムは、肺11、12のうちの一方を処置した後に、
患者から取り除くことができる。必要に応じて、他方の肺11、12を次の手順に処置するこ
とができる。
【0046】
図2A及び2Bの治療システム198は、主気管支21、22より遠位にある気道を処置すること
ができる。例えば、治療システム198は、より高い世代気道(例えば、気道世代>2)に配
置され、気管支樹27の遠隔末端部分に影響を及ぼすことができる。治療システム198は、
蛇行状気道を通ってナビゲートされ、広範囲の様々な手順、例えば、葉の一部、葉の全て
、複数の葉、若しくは一方の肺又は両方の肺の除神経などを行うことができる。幾つかの
実施態様において、葉気管支を処置して、肺葉を除神経する。例えば、肺葉気管支に沿っ
た一つ以上の処置部位を標的とし、その肺葉気管支に結合される全ての葉を除神経するこ
とができる。左葉気管支を処置して、左上葉及び/又は左下葉に影響を及ぼすことができ
る。右葉気管支を処置して、右上葉、右中葉及び/又は右下葉に影響を及ぼすことができ
る。葉は、同時に又は連続して処置されることができる。幾つかの実施態様において、医
師は、一つの葉を処置することができる。治療の効果に基づいて、医師は、さらなる葉を
同時に又は連続して処置することができる。このように、気管支樹の様々な単一部位を処
置することができる。
【0047】
また、治療システム198を、区域又は亜区域気管支に用いることもできる。各区域気管
支は、各区域気管支に沿って単一処置部位にエネルギーを送達することによって処置する
ことができる。例えば、エネルギーを、右肺の各区域気管支に送達することができる。い
くつかの手順において、エネルギーの10適用(ten applications)は、右肺のほとんど又は
実質的に全てを処置することができる。いくつかの手順において、両肺のほとんど又は実
質的に全ては、エネルギーの36未満の別の適用を用いて処置することができる。気管支樹
の解剖学的構造に応じて、区域気管支は、多くの場合、エネルギーの1又は2適用を用いて
除神経されることができる。
【0048】
治療システム198は、神経組織に影響を及ぼすことができ、同時に、粘液腺、繊毛、平
滑筋、身体血管(例えば、血管)などの他の組織の機能又は解剖学的特徴を維持すること
ができる。神経組織は、神経細胞、神経繊維、樹状突起、及び神経膠などの支持組織を含
む。神経細胞は、電気インパルスを送信し、神経繊維は、インパルスを伝える延長した軸
索である。電気インパルスは、化学的シグナルに変換され、エフェクター細胞又は他の神
経細胞と通信する。例として、治療システム198は、気管支樹27の気道の一部を除神経し
、神経組織によって伝達される一つ以上の神経系シグナルを減衰させることができる。除
神経することは、気道に沿って神経幹部分の全ての神経組織に損傷を与え、神経幹の損傷
部分を経て、気管支樹に沿ってより遠位の位置に伝わる実質的に全てのシグナルを停止す
ることを含み得る。複数の神経幹が気道に沿って延在している場合、各神経幹に損傷を与
えることができる。このように、気管支樹の部分に沿った神経分布は、切断され得る。シ
グナルが切断された場合、遠位の気道平滑筋は弛緩し、気道拡張をもたらすことができる
。この気道拡張は、気流抵抗を低下し、肺10の気体交換を増加させ、それによって、息切
れ、喘鳴、胸苦しさなどの一つ以上の症状を減少、制限又は実質的に排除することができ
る。標的とされた神経組織を囲う組織又は隣接する組織に影響を与え得るが、永久に損傷
を与えない。幾つかの実施態様において、例えば、処置された気道に沿った気管支血管は
、同程度の量の血液を気管支壁組織に送達でき、処置された気道に沿った肺血管は、治療
の前後で、同程度の量の血液を気管支樹27の末端領域の肺胞嚢に送達できる。これらの血
管は、血液を輸送し続け、十分な気体交換を維持することができる。幾つかの実施態様に
おいて、気道平滑筋は、広範囲に損傷を受けない。例えば、呼吸機能にこれといって影響
を与えない気道壁の平滑筋の比較的小さい部分は、可逆的に変更され得る。エネルギーを
用いて、気道の外側の神経組織を破壊する場合、治療的に有効なエネルギー量は、非標的
の平滑筋組織の有意な部分に達しない。
【0049】
図2Aの治療システム198は、コントローラ202に連結される処置コントローラ202及び腔
内の細長いアセンブリ200を含む。細長いアセンブリ200は、気管20に挿入され、送達アセ
ンブリを利用して又は利用せずに、気管支樹27内を通って進むことができる。細長いアセ
ンブリ200は、組織に選択的に影響を与えることができる遠位先端203を含む。
【0050】
図2Aのコントローラ202は、一つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタルシ
グナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を及び/又は
特定用途向け集積回路(ASIC)、メモリー素子、バス、電源などを含むことができる。例
えば、コントローラ202は、一つ以上のメモリ素子と連絡するプロセッサを含むことがで
きる。バスは、内部又は外部の電源をプロセッサに連結できる。メモリは、例えば、一つ
以上のバッファ、レジスタ、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はリードオンリーメ
モリ(ROM)を含む様々な形態をとることができる。コントローラ202は、スクリーンなど
のディスプレイを含むこともできる。
【0051】
幾つかの実施態様において、コントローラ202は、閉ループ系又は開ループ系を有する
。例えば、コントローラ202は、閉ループ系を有することができ、それによって遠位先端2
03に対する力は、対象の一つ以上の組織特徴、エネルギー分布、組織温度又は任意の他の
測定可能なパラメータを示す一つ以上のシグナルを伝達する(又は送る)ように構成され
た、一つ以上のセンサからのフィードバックシグナルに基づいて、制御される。それらの
読み込み基づいて、コントローラ202は、それから遠位先端203の操作を調整することがで
きる。あるいは、治療システム198は、遠位先端203の操作がユーザー入力によってセット
される開ループ系であることができる。例えば、治療システム198を、一定の力のモード
に設定することができる。治療システム198を、閉ループ系と開ループ系との間で繰り返
し切り替えて、異なる部位を処置できることが意図される。
【0052】
図2A~4の遠位先端203は、制限されないが、対象の神経組織(例えば、迷走神経41、42
の組織、神経幹45など)、繊維組織、病気又は異常組織(例えば、癌組織、炎症組織など
)、筋肉組織、血液、血管、解剖学的特徴(例えば、膜、腺、繊毛など)、又は他の部位
を含む、肺10の様々な部位を標的とすることができる。様々な形の遠位先端は、
図5A~14
Bに関連して述べられる。
【0053】
図3は、気管支チューブとして例示する、健康的な気道100の横断面図である。遠位先端
203は、気道100の内部表面102により規定される内腔101に沿って配置される。図に示す内
部表面102は、ストローマ112aによって囲まれる上皮110の折り畳まれた層により規定され
る。平滑筋組織114の層は、ストローマ112aを囲む。ストローマ112bの層は、筋肉組織114
と結合組織124との間にある。粘液腺116、軟骨プレート118、血管120及び神経繊維122は
、ストローマ層112b内に存在する。気管支動脈分岐130及び神経幹45は、気道100の壁103
に対して外側にある。図に示す動脈130及び神経幹45は、気道壁103を囲う結合組織124内
にあり、一般に気道100と平行して配向され得る。
図1において、例えば、神経幹45は、迷
走神経41、42から生じ、気道100に沿って気嚢の方へ延びている。神経繊維122は、気道壁
103内にあり、神経幹45から筋肉組織114まで延びている。神経系シグナルは、神経幹45か
ら筋肉114まで神経繊維122を介して伝達される。
【0054】
図3の遠位先端203は、粘膜繊毛の輸送を制御(例えば、増加又は減少)するために、上
皮110に沿って繊毛の所望の反応を損傷、刺激、又は誘発することができる。人が呼吸す
ると、多くの粒子が吸入され、気道はフィルターとして機能し、空中から粒子を除去する
。粘膜繊毛の輸送系は、全ての気道のための自己洗浄メカニズムとして、肺10の全体に渡
って機能する。粘膜繊毛の輸送は、肺10の末端部分からの粘液クリアランスのための主要
な方法であり、それによって、肺10のための主要な免疫バリアとして役立つ。例えば、図
3の内部表面102は、繊毛で覆われ、かつ粘液で被覆され得る。粘膜繊毛の輸送系の一部と
して、粘液は、多くの吸入された粒子(例えば、タバコの煙などの不必要な汚染物)を取
り込み、これらの粒子を喉頭の方へ移動させる。繊毛の繊毛搏動は、連続的に敷き詰めら
れた粘液、及び肺10の末端部分からの取り込まれた粒子を、喉頭を過ぎて、気管支から放
出するために移動させる。遠位先端203は、粘膜繊毛の輸送を減少させるために繊毛に損
傷を与え、又は粘膜繊毛の輸送を増加させるために繊毛を刺激することができる。
【0055】
幾つかの実施態様において、遠位先端203は、気道壁103(例えば、ストローマ112a、11
2bの解剖学的特徴)内部で、選択的に標的とされた処置部位を処置する。例えば、粘液腺
116に損傷を与え、気流抵抗の増加を生じるように粘液産生を粘膜の蓄積の抑制に十分な
量に減少させることができ、一方で、必要に応じて又は所望により、有効な粘膜繊毛の輸
送を維持するのに十分な粘液産生を維持することができる。幾つかの実施態様において、
例えば、遠位先端203は、気道壁103の内周辺を経て粘液腺116に伝わる切除エネルギーを
出力する。 他の実施態様において、遠位先端203は、粘液腺116に隣接する遠位先端203を
配置するように、気道壁103に挿入される。その後、埋め込まれた遠位先端203は、粘液腺
116を処置し、一方で、周囲組織の処置は制限される。また、遠位先端203を用いて、気道
壁103を通過する神経枝/繊維又は気道壁103の他の解剖学的特徴を破壊することができる
。
【0056】
気道100が過度に収縮する場合、気道100の気流抵抗は比較的高くてもよい。遠位先端20
3は、筋肉組織114を弛緩させ、気道100を拡張させ、気流抵抗を減らすことができ、それ
によって、より多くの空気が気体交換プロセスのための肺胞嚢に達することができる。気
管支樹47の様々な気道は、神経幹45を経て伝わるシグナルに応答して収縮する筋肉を有し
得る。先端203は、肺10の全体に渡って部位に損傷を与え、収縮する気道を拡張させるこ
とができる。
【0057】
図4は、収縮した状態の平滑筋組織114、及び肥大した粘液腺116からの粘液150を有する
気道100の一部の横断面図である。 収縮した筋肉組織114及び粘液150は、協同して、内腔
101を部分的に妨害している。遠位先端203は、平滑筋組織114を弛緩し、粘液腺116の粘液
生成を減少、制限、又は実質的に排除することができる。その後、気道100は膨張するこ
とができ、粘液150の量が減少され、内腔101を効果的に拡大することができる。
【0058】
図3及び4の遠位先端203は、異なる種類のエネルギーを送達できる。本明細書中で用い
られる、用語「エネルギー」は、広く解釈され、制限されないが、熱エネルギー、極低温
エネルギー(例えば、冷却エネルギー)、電気エネルギー、音響エネルギー(例えば、超
音波エネルギ)、高周波エネルギー、パルス化高電圧エネルギー、機械的エネルギー、電
離放射線、光学エネルギー(例えば、光エネルギー)、及びそれらの組合せ、並びに、組
織の処置に適切な他の種類のエネルギーを含む。例として、熱エネルギーを用いて、組織
を加熱することができる。機械的エネルギーを用いて、組織を穿刺、裂傷、切断、圧壊又
は他に物理的に損傷を与えることができる。幾つかの実施態様において、遠位先端203は
、一時的に又は永久に組織に損傷を与えるために、組織に圧力を印加する。電気エネルギ
ーは、神経幹組織の細胞膜などの細胞膜又は他の標的とされる解剖学的特徴に損傷を与え
るのに特に適切である。音響エネルギーは、特定用途のパラメータに応じて、連続又はパ
ルス化された波として発することができる。加えて、音響エネルギーは、正弦波、三角波
、矩形波又は他の波形などの様々な形状を有する波形で発することができる。
【0059】
幾つかの実施態様において、流体(例えば、液体、ガス又はそれらの混合物)を使用し
て、組織に損傷を与えることができる。遠位先端203は、一つ以上の流量検出器を含むこ
とができ、そこを通して、流体が循環し、流量検出器の表面温度を制御することができる
。流量検出器は、一つ以上のバルーン、膨張可能部材などであり得る。流体は、加熱/冷
却生理食塩水、極低温流体などであり得る。加えて又は別に、遠位先端203は、一つ以上
のポートを含むことができ、それを通して、流体は組織に外傷を与えるように流れる。
【0060】
幾つかの実施態様において、遠位先端203は、一つ以上の物質(例えば、放射性種、放
射性物質など)、治療剤などを送達する。典型的な非限定的な治療剤としては、一つ以上
の抗生物質、抗炎症剤、薬学的に活性な物質、気管支収縮剤、気管支拡張剤(例えば、β
‐アドレナリン作動性アゴニスト、抗コリン作働性薬、その他)、神経遮断薬、光反応性
剤、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、長時間作用性
又は短時間作用性の神経遮断薬(例えば、抗コリン作働性薬)を、神経組織に送達し、一
時的に又は永久にシグナル伝送を減衰することができる。また、物質を、神経122若しく
は神経幹45に、又は両方に直接送達し、化学的に神経組織に損傷を与えることができる。
【0061】
図5A~14Bは、気道の内腔に沿って送達するための実施態様を例示する。図示した実施
態様は、特定の処置を行うことができる治療システムの型の幾つかの例である。本明細書
中に記載される治療システムの各々を、行われる処置に応じて変更し、異なる位置で組織
を処置することができることが認識されるであろう。処置は、左及び右肺の内部又は外部
の気道において行うことができる。
図5A~13Bは、エネルギーを出力することができる治
療システムを例示する。これらの治療システムは、所定の期間、エネルギーを連続的に出
力でき、同時に、静止状態を維持できる。あるいは、治療システムをパルス化することが
でき、複数回起動でき、又はこれらの方法のいずれかの組合せで作動することができる。
異なるエネルギー適用パターンは、治療システムそのものを設定することによって達成す
るか、又は治療アセンブリ又はその成分のいずれかを異なる位置の方へ動かすことを含み
得る。
【0062】
図5Aを参照して、治療システム198Aは、気道100に沿って配置される遠位先端203Aを有
する細長いアセンブリ200Aを含む。細長いアセンブリ200Aは、送達アセンブリ400の作用
内腔401を通って延在し:可撓軸500及び該軸500から突出している展開可能なアブレーシ
ョンアセンブリ520を含む。
【0063】
軸500は、一般にまっすぐな軸であることができ、それが内腔401を移動するにつれて曲
げられる。幾つかの実施態様において、軸500は、予備成形された非線形部503を有し、ア
ブレーションアセンブリ520を気道壁103に方向付ける。
図5Aに示すように、内腔401は、
軸500の外径より非常に大きい直径を有することができる。軸500が送達アセンブリ400の
外に出て行くときに、軸500は予め設定された構成をとる。可撓軸500は、全体的又は部分
的に、一つ以上の金属、合金(例えば、ステンレス鋼などの合金鋼)、プラスチック、ポ
リマー及びそれらの組合せ、並びに、他の生体適合性材料で製造することができる。
【0064】
幾つかの実施態様において、軸500は、送達構成と治療構成との間を選択的に移動する
。例えば、軸500は、送達のために実質的にまっすぐな構成、及び組織に埋め込むために
曲がった構成を有することができる。このような実施態様において、軸500は、全体的又
は部分的に、一つ以上の形状記憶材料から製造することができ、作動させるときに、送達
構成と治療構成との間で軸500を動かす。形状記憶材料は、例えば、形状記憶合金(例え
ば、NiTi)、形状記憶ポリマー、強磁性材料などを含む。これらの材料は、作動(例えば
、熱的に作動)させるときに、第1の予め設定された構成から第2の予め設定された構成に
変換することができる。
【0065】
アブレーションアセンブリ520は、保護部524及びアブレーション要素525を含む。アブ
レーション要素525が作動するときに、アブレーション要素525は、標的とされた組織にエ
ネルギーを出力する。保護部524は、非標的とされた組織を保護するために、出力された
エネルギーを阻害又は遮断する。アブレーション要素525及び保護部524は、このように協
同して、エネルギーの局所的な送達を提供し、出力されたエネルギーと関連する不必要な
付随的外傷を最小化、制限又は実質的に排除する。
【0066】
アブレーション要素525は、組織を切除するエネルギーを出力するのに適合され得る。
用語「切除」又は「アブレーション」、それらの派生語は、制限されないが、電気的性質
、機械的性質、化学的性質又は組織の他の特性を実質的に変更することを含む。本明細書
中の例示的実施態様のバリエーションに関して示されかつ記載される、肺アブレーション
適用の文脈において、「アブレーション」は、神経組織特性を有意に変更し、切除された
神経組織による電気シグナルの伝達を実質的に遮断することを含む。
【0067】
「アブレーション要素」の文脈内の「要素」という用語は、組織の部位を集合的に処置
又は個々の部位を処置するように配置される、電極などの個々の要素、又は複数の間隔を
置かれた別々の電極などの個々の要素を含む。一種のアブレーション要素は、該要素がエ
ネルギー源と結合しエネルギーを与えられたときに、組織を切除するエネルギーを発する
。エネルギーを発するアブレーション要素の例を挙げると、制限されないが、直流(「DC
」)源又は交流(「AC」)源(例えば、無線周波数(「RF」)電流源)に接続可能な電極
要素、マイクロ波エネルギー源によりエネルギー供給可能なアンテナ要素、高電圧源、加
熱要素(例えば、対流熱伝達、伝導性熱伝達、その他を介して熱を発するようにエネルギ
ーを与えられる金属元素又は他の熱伝導体)、発光素子(例えば、光源に連結したときに
、組織を切除するのに十分な光を送信することができる光ファイバー)、光源(例えば、
レーザー、発光ダイオード、その他)、超音波要素(適切な励起源に連結したときに、組
織を切除するのに十分な超音波を発するのに適合した超音波要素など)、それらの組み合
わせなどを含む。
【0068】
本明細書中で用いられる、その変形を含む用語「切除」は、制限されないが、組織を破
壊する、又は組織に永久に損傷を与え、傷つけ、又は外傷を与えることを含むように解釈
される。例えば、アブレーションは、局所的な組織破壊、細胞溶解、細胞破砕、壊死又は
それらの組合せを含むことができる。
【0069】
幾つかの実施態様において、アブレーションアセンブリ520は、軸500内で、エネルギー
発生器(例えば、無線周波数(RF)発電装置)に電気ケーブルによって結合されることが
できる。例えば、RF発電装置は、
図2Aのコントローラ202に組み込まれることができる。
幾つかの実施態様において、RF発電装置は、アブレーションアセンブリ520に組み込まれ
る。
【0070】
RFエネルギーは、治療に基づいて、所望の周波数で出力されることができる。周波数の
例を挙げると、制限されないが、約50KHZ~約1000MHZの範囲の周波数が挙げられる。RFエ
ネルギーが組織に導かれるときに、エネルギーは、組織内で熱に変換され、組織の温度が
約40℃~約99℃の範囲になる。RFエネルギーは、約1秒~約120秒の範囲の時間長さで印加
されることができる。幾つかの実施態様において、RF発振器は、シングルチャネルを有し
、約1~25ワットのRFエネルギーを送達し、連続流量能力を有する。周波数、時間間隔、
及び電力出力の他の範囲を用いてもよい。
【0071】
保護部524は、全体的又は部分的に、アブレーション要素525からのエネルギーに対して
非伝達性の材料から製造されるシールドの形態であり得る。幾つかの実施態様において、
保護部524は、一種以上の金属、光学的に不透明な材料などを含む。アブレーション要素5
25が切除エネルギーを出力する場合、保護部524は、切除エネルギーの十分な量を遮断し
、保護部524に直接隣接する組織の切除を防ぐことができる。このように、非標的とされ
た組織は、永久に損傷を受けない。
【0072】
ユーザーは、
図5A及び5Bの送達アセンブリ400を用いて、気道100を視覚的に検査し、治
療を行う前、間、及び/又は後に、処置部位及び非標的とされた組織の位置を決めて、評
価することができる。送達アセンブリ400は、カテーテル、送達外筒、気管支鏡、内視鏡
又は細長いアセンブリ200Aを導く他の適切な装置であり得る。幾つかの実施態様において
、送達アセンブリ400は、光学的観察装置(例えば、カメラ)、光学装置(例えば、セッ
トのレンズ)などの一つ以上の観察装置(viewing devices)を含む。例えば、送達アセン
ブリ400は、照明用の一つ以上のライト及び画像を送信するための光ファイバーを有する
気管支鏡の形態であり得る。別の例として、送達アセンブリ400は、
図11A及び11Bに関連
して述べられるように、超音波観察装置を有することができる。
【0073】
図6~9は、治療システム198Aを使用する一つの典型的な方法を示す。通常、治療システ
ム198Aは、気道100の神経組織を変更し、肺の一部への神経系入力を制御することができ
、一方で、他の肺構造に広範囲に損傷を与えない。
【0074】
図6に示すように、送達アセンブリ400は、矢印560により示されるように、気道100の内
腔101に沿って移動する。細長いアセンブリ200Aは、送達アセンブリ400内において運ばれ
、送達アセンブリ400の位置決めの間、気道100の損傷を防止する。
【0075】
図7は、矢印568により示されるように、開口部564の方へ内腔401に沿って移動する細長
いアセンブリ200Aを示す。細長いアセンブリ200Aが、送達アセンブリ400(横断面で示さ
れる)を通って移動する一方、アブレーションアセンブリ520(点線で示される)は、軸5
00内に収容され、気道100若しくは送達アセンブリ400、又はその両方への損傷を防止する
ことができる。ユーザは、送達アセンブリ400から気道壁103の方へ軸500を押すことがで
きる。
【0076】
図8は、壁103に近接する軸500の遠位末端570を示す。鋭いアブレーションアセンブリ52
0は、軸500から展開され、壁103を接触する。その後、アブレーションアセンブリ520は、
図9に示すように、露出したアブレーション要素525が壁103の中に埋め込まれるまで、壁1
03を通って前進する。気道壁103に対するアブレーションアセンブリ520の位置は、アブレ
ーションアセンブリ520を伸長又は引込することによって調整できる。アブレーションア
センブリ520は比較的細長いので、壁103は、微々たる量の外傷を受け得る。
【0077】
図示するアブレーションアセンブリ520は、RF発振器の一つのリード線に結合され、RF
発振器の他のリード線は、外部電極に結合されることができる。RF発振器が作動するとき
に、アブレーション要素525は、RFエネルギーをアブレーション要素525に接触する組織又
はアブレーション要素525に隣接する組織に送達する。RFエネルギーは、組織の中を流れ
て、熱に変わる。熱は、気道壁103の外部分に集中さ得る。例えば、
図5Bのアブレーショ
ン要素525は、神経幹45に損傷を与えるRFエネルギーを出力する。幾つかの実施態様にお
いて、RFエネルギーの十分な量は、神経幹45に送達され、組織破壊を生じる量未満で血管
130に達する量のエネルギーを保つと共に神経幹45の全ての縦断面を破壊する。他の非標
的とされた領域(例えば、上皮)への損傷は、許容可能なレベル未満に保たれ得る。従っ
て、治療は、処置部位と隣接している領域さえ、気道100の他の領域を広範囲に損傷を与
えることなく実施できる。
【0078】
自然の身体機能は、組織への損傷の防止、減少又は制限するのに役立ち得る。気管支動
脈分岐130は、治療システム198Aによって加熱される場合、血管130内の血液は、熱エネル
ギーを吸収することができ、それから分岐130の加熱部分から離れて熱エネルギーを運搬
できる。このように、熱エネルギーは、血液へ輸送される。処置が実施された後、気管支
動脈分岐130は、肺組織の健康を維持し続けることができる。
【0079】
この手順を繰り返し、壁103の円周の外側に位置する神経幹45の追加の組織に損傷を与
えることができる。幾つかの実施態様において、
図5Aに示すように、気道100に周囲の全
ての神経を処置して、気道100の近位部572と気道100の遠位部573との間を通過するシグナ
ルを抑制することができる。シグナルが遠位部573に送られないので、遠位部573は膨張し
得る。気道100は、遠位部573の健康を維持するために、一般に無傷を維持することができ
る。処置プロセス終了後、アブレーションアセンブリ520は、気道100から除去するために
、又は他の処置位置に配置するために、軸500の中に戻される。
【0080】
治療有効性を、少なくとも部分的に一つ以上の気道属性、肺機能検査、運動能力試験及
び/又はアンケートに基づいて評価できる。患者を評価し、彼らの状況を追跡及びモニタ
ーすることができる。必要である場合又は要求される場合、所望の反応が成し遂げられる
まで、追加的な手順を実施できる。
【0081】
気道属性を評価するための様々な種類の機器を、治療システムとともに用いることがで
きる。アブレーションの間、機器からのフィードバックは、標的とされた組織が切除され
たかどうかを示すことができる。標的とされた組織が切除されると、治療を中断し、健康
な非標的の組織への副次的損傷を最小化又は制限することができる。
図2Bは、バルーンの
形態で検出部材を有する機器199を示す。流体(例えば、空気、生理食塩水など)を用い
て、バルーンを膨らませ、気道属性を評価することができる。機器199は、気道拡張、気
道閉鎖などに対する従来の機器であり得る。Ackrad Laboratories、Cranford、New Jerse
y、及びErich Jaeger、Hoechberg、Germanyなどの多くの医薬提供先からの購入により利
用できる機器を、本明細書中に開示される治療システムとともに、用いる又は変更して用
いることができる。機器は、治療システムを介して送達され(例えば、治療システムの中
心内腔を経て)、治療システムに対して遠位の検出部材を配置することができる。
【0082】
機器により評価される気道の属性としては、制限されないが、気道(例えば、気道コン
プライアンス、収縮特性、その他)、気道抵抗、気道内腔の寸法(例えば、気道の形状、
気道の直径、その他)、気道の反応(例えば、刺激への反応)、筋肉特徴(例えば、筋緊
張、筋肉緊張、その他)などの物性が挙げられる。幾つかの実施態様において、気道筋肉
特徴の変化は、周知の圧力に膨らむ腔内バルーンの圧力変化を測定することによってモニ
ターすることができる。バルーンの圧力変化に基づいて、医師は、もしあれば、標的とさ
れた組織が刺激され、損傷を受け、又は切除されたかどうかを含む、治療の影響を決定す
る。例えば、バルーンを、標的とされた組織より遠位に配置することができる。神経組織
が損傷されるにつれて、バルーンを囲う気道の筋肉緊張が減少し、気道の拡張、並びにバ
ルーンの膨張が生じる。バルーンの圧力は、バルーンが膨張するにつれて減少する。
【0083】
機器199及び治療システム198は、制限されないが、多管腔カテーテル、送達外筒、気管
支鏡、内視鏡又は複数の装置を送達して導く他の適切な装置を含む、送達装置の異なる内
腔を経て送達されることができる。送達装置を、処置部位の位置、治療システムの構成な
どに基づいて選択できる。
【0084】
気道抵抗の減少は、気道の通路が、それらの気道への神経系入力の減衰に応答して開口
していることを示し得る。低い世代の気道(例えば、主気管支、葉気管支、区域気管支)
の処置に付随する気道抵抗の減少は、高い世代気道(例えば、亜区域気管支梢)の処置に
付随する気道抵抗の減少の量より大きくなり得る。医師は、治療のための適当な気道を選
択し、気道抵抗の所望の減少を達成し、患者の口、処置部位にすぐ近くにある気管支分岐
、気管又は任意の他の適切な位置で評価することができる。気道抵抗を、治療を実施する
前、治療の間、及び/又は治療の後に測定できる。幾つかの実施態様において、気道抵抗
は、気管支樹内の位置で、例えば、処置部位に対してより遠位の領域からの呼吸を可能に
する通気口を有する治療システムを使用することにより測定される。
【0085】
図10A~14Bは、以下で詳述されるものを除いて、
図5A~9に関して述べられる治療アセ
ンブリ198Aと一般に類似し得る、治療アセンブリを例示する。
図10Aは、細長い可撓軸610
及び複数の放射状に展開可能なアブレーションアセンブリ620を含む治療システム198Bを
例示する。アブレーションアセンブリ620は、軸610が送達アセンブリ400を通って近位に
引かれるとき(横断面で示される)、内向きに圧潰することができる。複数のアブレーシ
ョンアセンブリ620が、送達アセンブリ400から押されたときに、アブレーションアセンブ
リ620は、放射状に外へ偏らせることによって自己拡張する。
【0086】
各電極アセンブリ620は、気道壁103を突き通すための鋭い先端を含み、拡張可能及び格
納式の鋭いアブレーション要素625を含む。アブレーションアセンブリ620は、好ましくは
、露出したアブレーション要素625を除いて、絶縁される。アブレーションアセンブリ620
は、RF発電装置に、軸610内を進行する電気ケーブルにより結合されることができる。治
療システム198Bを送達している間に、アブレーションアセンブリ620は、軸610内に配置さ
れることができる。アブレーションアセンブリ620は、軸610から外に移動し、壁103と接
触させることができる。アブレーションアセンブリ620は、アブレーション要素625の所望
の長さが気道壁103内に存在するまで、気道壁103を通って同時に移動できる。
【0087】
図10Bに示すように、電極として例示する複数のアブレーション要素625は、気道壁103
に沿って互いに円周方向に間隔を開けて配置されることができる。アブレーション要素62
5は、均一に又は不規則に、互いに間隔を開けて配置されることができる。
【0088】
アブレーションアセンブリ620の全ては、RF発振器の一つのリード線に結合されること
ができ、RF発振器の他のリード線は、外部電極623に結合され(点線で示される)、アブ
レーションアセンブリ620の間、及び/又はアブレーションアセンブリ620の一つ以上と外
部電極623との間に電流を流す。幾つかの実施態様において、選択された数のアブレーシ
ョンアセンブリ620は、RF発振器の一つのリード線に結合し、他のアブレーションアセン
ブリ620は、RF発振器の他のリード線に結合され、アブレーションアセンブリ620の間に電
流が流れる。
【0089】
RF発振器を作動したときに、電流が組織の中を流れ、所望の熱を生じる。熱を気道壁10
3の外側に集中させ、末梢組織に損傷を与えることができる。例えば、結合組織の温度は
、ストローマ、平滑筋及び/又は上皮の温度より高くなることができる。例として、結合
組織の温度は、神経幹45の神経組織に損傷を与えるように十分に高くなることができ、一
方で、気道100の他の非標的とされた組織は、低温度に保たれ、非標的とされた組織への
損傷を防止又は制限する。他の実施態様において、熱は、気道壁103の内層(例えば、ス
トローマ)の一つ以上において、又は気道壁103の内周辺(例えば、上皮)において、集
中させることができる。
【0090】
図10Bに示すように、気管支動脈分岐130の一つ以上の血管は、アブレーション要素625
に比較的近くてもよい。アブレーション要素625によって発生する熱は、神経組織が動脈
分岐130の隣にある場合であっても、気管支動脈分岐130を通って流れる血液が、神経組織
が損傷を受ける間に、それらの分岐130を熱損傷から保護するように制御することができ
る。処置プロセスの終了後、アブレーションアセンブリ620は、気道100からの除去のため
に、又は他の処置位置への配置のために、軸610の中に戻して格納される。
【0091】
図11A及び11Bは、細長い可撓軸710、並びに複数の拡張可能及び格納式のアブレーショ
ンアセンブリ720を含む治療システム198Cを例示する。アブレーションアセンブリ720が配
置されるときに、アブレーションアセンブリ720は、放射状に外へ、及び気道100の管状部
分719と接触して偏らせる。アブレーションアセンブリ720のアブレーション要素725は、
部分719の処置長さL
Tの全体にわたって、軸方向に及び円周方向に分布されることがで
きる。
【0092】
アブレーションアセンブリ720は、保護部721及び露出したアブレーション要素725を含
むことができる。保護部721は、軸710から気道100の内部表面まで延在することができる
。アブレーション要素725は、対応する保護部721から突出する。アブレーションアセンブ
リ720は、軸710内を進行する電気ケーブルにより、無線周波数(RF)発電装置に結合され
ることができる。
【0093】
治療システム198Cは、気道100の中の所望の処置位置に送達される。治療システム198C
を送達している間、アブレーションアセンブリ720は、気道100若しくは送給装置400、又
はその両方に損傷を与えないように、軸710内に格納される。適所にあるとき、鋭いアブ
レーション要素725は、気道壁103と接触される。その後、要素725は、アブレーション要
素625が気道壁103の中に埋め込まれるまで、気道壁103内を通って前進する。アブレーシ
ョンアセンブリ720の実質的に全ては、RF発振器の一つのリード線に結合されることがで
き、RF発振器の他のリード線は、外部電極に結合されることができ、その結果、アブレー
ションアセンブリ720と外部電極との間に電流が流れる。あるいは、選択された個々のア
ブレーションアセンブリ720は、RF発振器の一つのリード線に結合されることができ、一
方で、他のアブレーションアセンブリ720は、RF発振器の他のリード線に結合されること
ができ、その結果、アブレーションアセンブリ720間に電流を流すことができる。
【0094】
図12Aは、気管支鏡として示され、画像化装置850を有する送達アセンブリ400Aの中を通
る、
図5A及び5Bの細長いアセンブリ200Aを例示する。画像化装置850は、送達アセンブリ4
00Aの先端413Aに配置される。幾つかの実施態様において、画像化装置850は:約1MHz~約
250MHzとドップラー能力との間の作業周波数を有する超音波振動子のアレイを含む。画像
化装置850により出力される波面860は、
図12A及び12Bに例示される。
【0095】
送達装置400Aは、用いられるときに、気道100の所望の処置領域へ進む。その後、画像
化装置850を用いて、気道壁103の少なくとも一部を撮像し、それによって、気道壁の外側
の結合組織124に位置する神経幹45及び/又は気管支動脈分岐130などの解剖学的構造を位
置付ける。例えば、画像化装置850を用いて、気道100を円周方向に撮像することができる
。いくつかの操作モードにおいて、標的組織(例えば、神経幹45、粘液腺116、など)の
位置を特定し、標的組織及び結合組織124に直接に隣接する壁103の部分のみが処置される
。他の操作モードにおいて、非標的とされた組織(例えば、気管支動脈分岐130)の位置
を特定し、壁103及び結合組織124の他の全ての部位が処置される。
【0096】
神経幹45を処置する場合、送達装置400Aの先端413は、選択された神経幹45の近くに導
かれ、配置されることができる。適所にあるとき、鋭いアブレーション要素525は、壁103
と接触される。その後、アブレーション要素525は、アブレーション要素525が埋め込まれ
るまで、壁103を通って前進する。図示する露出したアブレーション要素525は、結合組織
124の神経幹と隣接している。RF発振器を作動し、アブレーションアセンブリ520と壁103
の組織との間に電流を流す。電流によって、神経幹45の組織は、加熱組織が損傷を受ける
まで温度上昇される。アブレーションアセンブリ520を神経幹45の近くに配置することに
よって、神経幹45は、選択的に損傷を受け、一方で、気管支動脈130などの非標的とされ
た組織への損傷は最小化される。この手順を繰り返し、結合組織124又はそれに隣接した
壁103の円周周辺に位置する追加の枝45に損傷を与えることができる。
【0097】
様々な種類の装置を用いて、遠隔で標的組織を処置することができる。
図13A及び13Bは
、その先端413Eにある高エネルギー超音波振動子アレイ950を有する気管支鏡の形態の、
治療システム200Eを例示する。エネルギー超音波振動子アレイ950を配置して、所望の処
置部位を撮像することができる。その後、超音波振動子アレイ950を用いて、壁103を円周
方向に撮像し、神経幹45及び/又は気管支動脈130の位置を特定する。いくつかの操作モー
ドにおいて、神経幹45の位置を特定し、気道100の壁103及び神経幹45周囲の結合組織124
の領域のみを、超音波エネルギーを用いて処置する。他の操作モードにおいて、気管支動
脈130の位置を特定し、気道100及び結合組織124の壁103の他の全ての領域を、超音波エネ
ルギーを用いて処置する。
【0098】
超音波振動子アレイ950は、高度に集束された音波960を結合組織124に発し、神経幹45
に損傷を与えて、かつ気管支動脈130の損傷を最小化又は防止することができる。気管支
鏡400Bの先端413Eを、出力されたエネルギーが気管支動脈分岐130から離れて向けられ、
又は気管支動脈分岐130に到達しないように配置できる。組織を遠隔で処理するこの手順
を繰り返し、結合組織124の壁103の円周周辺に位置する追加の神経幹45に、所望通りに損
傷を与えることができる。気管支鏡400Bを用いて、気道100の特定の部分で、神経幹45の
全てに又は少なくとも一部に損傷を与えることができる。
【0099】
図14A及び14Bは、細長いアセンブリ200Fを含む治療システム198Fを例示する。細長いア
センブリ200Fは:細長いシャフト1110、並びに拡張可能及び格納式の穿刺先端1120を含む
。穿刺先端1120は、組織を通過するのに適し、少なくとも一つのポート1130を含む。図示
する穿刺先端1120は、流動性物質を排出するための単一のサイドポート1130を含む。内腔
は、軸1110を通ってポート1130から近位に延在することができる。流動性物質は、内腔を
通り遠位に流れ、ポート1130から外に流れることができる。流動性物質の例を挙げると、
制限されないが、一種以上の加熱液体、冷却液体、加熱ガス、冷却ガス、化学溶液、及び
薬剤など、並びに組織に損傷を与えることができる他の物質がある。例えば、生理食塩水
(例えば、加熱又は冷却生理食塩水)、又は極低温流体が、ポート1130により送達される
ことができる。
【0100】
図14A及び14Bの細長いアセンブリ200Fは、送達アセンブリ400を用いて、所望の処置位
置に送達されることができる。細長いアセンブリ200Fを送達している間、穿刺先端1120は
、軸1110内に引っ込められ、気道100及び/又は送達アセンブリ400に損傷を与えない。適
所にあるとき、鋭い中空先端1020は、気道壁103と接触される。その後、先端1020は、サ
イドポート1130が結合組織124内又はそれに隣接するまで、気道壁103を通って前進される
。流動性物質は、先端1020を通って、ポート1130の外に送達され、気道100の組織に対し
て流出される。幾つかの実施態様において、流出された物質は、組織を切断、破砕又は組
織に損傷を与える。幾つかの実施態様において、流動性物質は、神経幹45の神経伝導を部
分的に又は完全に遮断する、少なくとも一種の長時間作用性神経遮断薬を含む。
【0101】
図15A~19Bは、以下で詳述されるものを除いて、
図5A~9に関連して述べられる治療シ
ステム198Aと一般に類似し得る治療システムを例示する。
図15Aは、バルーン膨張可能な
流体加熱/冷却された電極カテーテルの形態の、治療システム2000の長手方向側面図であ
る。
図15Bは、システム2000の膨張可能なアセンブリ2001の横断面図である。図示する膨
張可能なアセンブリ2001は、膨張された状態である。流線2100は、膨張されたアセンブリ
2001による流体の動きを表す。膨張されたアセンブリ2001は、膨張可能部材2002及び切除
電極2004を含む。切除電極2004は、治療システム2000が送達アセンブリによって移動され
る(例えば、近位に引いたか又は遠位に押した)ときに、内向きに圧潰することができる
。治療システム2000が、送達アセンブリから押されるときに、切除電極2004は、膨張可能
部材2002を膨らませることによって外側に膨張されることができる。
【0102】
治療システム2000は、一般に、膨張可能部材2002(膨張性の熱伝導バルーンの形態で例
示される)、切除電極2004、導電要素2031、流入ライン2011、及び流出ライン2021を含む
。切除電極2004は、膨張可能であり、導電要素2031の遠位末端2033に結合される。導電要
素2031の近位末端2035は、電気コネクタ2038に結合される。エネルギーは、電気コネクタ
2038から導電要素2031を経て膨張可能な電極2004へ運ばれる。導電要素2031は、一つ以上
のワイヤ、導管等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
流入ライン2011の近位末端2009は、インラインバルブ2012を有する。流出ライン2021の
近位末端2015も、流出バルブ2022を有する。インラインバルブ2011は、コネクタ2018によ
り、冷却源などの流体供給源に結合されることができる。流体は、流入ライン2011の中を
通りバルーン2002に流れ、流出ライン2021を介してバルーン2002を出る。流体としては、
温度に制御された流体(例えば患者の使用に適している水、食塩水又は他の流体)が挙げ
られるが、これに限定されるものではあることができない。
【0104】
流入ライン2011の内腔2017及び流出ライン2021の内腔2019は、バルーン2002と連絡する
流体を提供する。流体は、内腔2017の中を通ってバルーン2002に流れることができる。流
体は、バルーン2002内で循環して、内腔2019を介してバルーン2002から流れる。流体はプ
レッシャリターン・システムにコネクタ2028を通過できる。そして、それは流体を冷却す
ることができて、流体供給源に流体を再循環させることができる。
【0105】
様々な種類の材料を用いて、様々な構成のシステム2000を形成することができる。幾つ
かの実施態様において、バルーン2002は、全体的に又は部分的に、膨張性、化学的不活性
、無毒性、電気絶縁性及び熱伝導性の材料から製造される。例えば、バルーン2002は、ポ
リマー、プラスチック、シリコン、ゴム、ポリエチレン、又はそれらの組合せなどででき
ていてもよい。幾つかの実施態様において、流入ライン2011及び流出ライン2021は、全体
的に又は部分的に、大幅な膨張なく操作圧力に耐えるための任意の適切な可撓性、化学的
不活性、無毒性の材料から製造される。流入ライン2011及び流出ライン2021は、肺及び気
管支樹に入るように適切な長さを有することができる。例えば、ライン2011、2021は、約
80cmの長さを有することができる。他の長さも可能である。
【0106】
図15Bは、2つのライン2011、2021の間で、交差流、吸い上げ、又は逆流を最小化、減少
又は実質的に防止するように配置される流入ライン2011及び流出ライン2021を示す。図示
する流入ライン2011は、バルーン2004を持つ。流入ライン2011は、バルーン2002の近位末
端2003に入り、バルーン2002の長さを通って延在し、バルーン2002の遠位末端2007に到達
することができる。図示する流入ライン2011は、バルーン2002を細長い構成に保つように
、遠位末端2007に結合される。
【0107】
先端2005は、バルーン2002から突出する。図示する先端2005は、流入ライン2011の端の
反対側に配置される、非外傷性先端である。先端2005の近くで、流入ライン2011は、バル
ーン2002へ流体を放出する開口2013を有する。流体は、バルーン2002内を流れて、流出ラ
イン2021に集められる。図示する流出ライン2021は、流体を受けるための開口部2023を有
する。開口部2023は、通常、バルーン2002内の流出ライン2021の遠位末端の一部にあり、
任意の方向から流体を集める。開口部2013、2023がバルーン2002の対向端部にあるので、
流体は一般に、バルーン2002を通って一方向に流れることができる。これは、所望の温度
の流体がバルーン2002を満たすことを保証する。
【0108】
電極2004及びバルーン2002の形状を、電極2004及びバルーン2004が共に膨張/収縮する
ように選択できる。バルーン2002が膨らむときに、電極2004はバルーン2002により膨張さ
れる。バルーン2002が収縮するときに、電極2004はバルーン2002により縮む。電極2004は
、バルーン2002の外面又は内面に連結することができ、任意の化学的不活性、無毒性、構
造的弾力性、電気伝導性の材料を含む様々な種類の導電材料で製造することができる。幾
つかの実施態様において、電極2004は、バルーン2002の外側に連結して、全体的に又は部
分的に、高度に伝導性の変形可能な材料から製造される。電極2004により出力されるエネ
ルギーは、バルーン2002の壁を通過することなく、気道壁100に直接出力される。電極200
4は、主に又は完全に銅でできた細いワイヤ又はバンドでありえる。ワイヤは、用途に応
じて、被覆又は非被覆され得る。他の実施態様において、電極2004は、バルーン2002の壁
に埋め込まれる。任意の数の電極2004を、バルーン2002に沿って配置することができる。
例えば、間隔を開けた複数の電極のアレイを、バルーンに沿って配置し、気道の長さを処
置することができる。
【0109】
電気導電要素2031は、ライン2011、2021の一方又は両方と側面に沿って及び一般に平行
に移動する。電極2004は、電気導電要素2031及び電気コネクタ2038を介して、RF発電装置
などのエネルギー源に結合されることができる。エネルギー源がRF発電装置である場合、
一つのリード線は、コネクタ2038に連結できる。RF発振器の他のリード線は、
図10Bの点
線で示される外部電極623などの外部電極に結合されることができ、膨張可能な電極2004
と外部電極との間に電流が流れる。
【0110】
バルーン膨張可能な流体冷却される電極カテーテル2000を、収縮したバルーン2002及び
収縮した電極2004とともに肺の気道に送達することができる。電極2004は、圧潰又は密接
した構成を保つことができ、カテーテル2000は容易に肺を通過することができる。カテー
テル2000は、電極2004が所望の処置位置に存在するまで、気道を通って移動する。適所に
あるとき、流体(例えば、冷却剤)は、流入ライン2011を通って、バルーン2002に流れる
ことができる。流体は、バルーン2002を膨らませ、順に電極2004を膨張させる。流出ライ
ン2021を通る流体の流出を調整し、電極2004が気道壁と接触又はそれと近接するまでバル
ーン2002を膨張させ続けることができる。
【0111】
処置は、RF発振器の作動から開始することができる。RF発振器を作動したときに、RFエ
ネルギーは、電気コネクタ2038を経て、電気接続要素2031を経て、膨張された電極2004を
経て、気道の組織に伝わる。RFエネルギーは、気道壁の組織(例えば、表面及び深部組織
)を加熱し、バルーン2002の中を流れる流体2100(例えば、冷却剤)は、気道壁の組織(
例えば、表面組織)を冷却する。RFエネルギーによるこの表面及び深部の加熱、及びバル
ーン2002を通る循環冷却剤2100による表面冷却の正味効果は、気道壁100の外部層への熱
の集中である。冷却剤は、冷却した液体であり得る。結合組織の温度は、上皮、ストロー
マ及び/又は平滑筋の温度より高くなることができる。例によって、結合組織の温度は、
神経幹組織に損傷を与えるように十分に高くなることができ、一方で、気道の他の非標的
とされた組織が、低温度に保たれ、非目標とされた組織への損傷を防止するか又は制限す
る。他の実施態様において、熱は、気道壁の内層(例えば、ストローマ)の一つ以上にお
いて、又は気道壁の内側(例えば、上皮)に集中できる。
【0112】
図16及び17は、RFエネルギーによる表面及び深部の加熱によって、及びバルーン2002の
循環冷却剤2100による表面冷却によって生じる影響を示す。
図16は、バルーン2002の長軸
に対して垂直である、
図15Bの点線2200に沿った断面温度プロフィールを示す。
図16及び1
7は、以下に詳細に述べられる。
【0113】
図16は、電極2004と接触する接触点又は接触領域から気道壁の組織への深さミリメート
ルに相当する縦軸と、組織の摂氏温度に相当する横軸とを有するグラフである。グラフ上
の位置「0」は、切除電極2004と気道壁の組織との接触の位置又は領域に相当する。3つの
曲線A、B及びCをグラフに示し、それらは組織に送達される高周波エネルギーの3つの異な
る電力レベルに相当する。グラフ上の温度は、最高約100℃である。RFアブレーション時
の組織温度の上限であることを考慮して、約100℃の温度又はわずかに低い温度を示した
。約90℃で組織流体が沸騰を始め、切除電極2004で組織は凝固及び炭化し、それによって
、その電気抵抗が大きく増加され、RFエネルギーを気道壁の組織に送るその能力を損なう
。従って、約90℃未満の組織温度を有することが望まれてもよい。約50℃で、線2201は、
それより高いと組織細胞死が生じ、それ未満で組織が実質的な長期効果を受けない(又は
幾らかの長期効果を受ける)温度を表す。
【0114】
図16に示される曲線Aは、切除電極2004の冷却によって又はその冷却なく、比較的低い
電力レベル、例えば、約10ワットのRFエネルギーで起こることを表す。曲線Aは、3つの部
分A1、A2及びA3に分けられる。破線部分A2は、冷却がないときの指数関数的曲線A3の延長
を表す。曲線Aから分かるように、冷却がないと、電極-組織界面の温度は、80℃に達し、
気道100の組織への距離が増加するにつれて、指数関数的に減少する。示すように、曲線A
3は、線2201によって約5ミリメートルの深さで表される50℃の組織細胞死の境界を交差す
る。従って、電極の冷却がないと、細胞死の深さは、距離d1により表される約5ミリメー
トルである。更なる細胞死は、この電力レベルで止まる。
【0115】
能動的な冷却が使用される場合、その温度は、電極-組織界面で距離0ミリメートルで曲
線A1によって表されるように、非常に低レベルに落ち、例えば、約35℃に落ちる。この温
度は50℃未満であるので、細胞死は、曲線A2が50℃で細胞死の線を横切る位置、例えば、
表面から3ミリメートルの深さのd2の距離まで生じないであろう。細胞死は、距離d3によ
り表されるように、3ミリメートルから5ミリメートルまでの深さで生じる。このような冷
却されるアブレーション手順は有利である。なぜなら、細胞死及び組織破壊が、それに直
接横たわる上皮及び組織を破壊することなく、電極-組織界面からの一定距離(又は一定
距離の範囲)で生じるからである。幾つかの実施態様において、気道の外側に沿って連続
している神経組織を、上皮又は例えばストローマ及び平滑筋細胞などに横たわる構造に損
傷を与えることなく、切除できる。
【0116】
曲線Bは、電極の冷却によって及びその冷却なく、より高い電力レベル、例えば、20ワ
ットのRFエネルギーで起こることを表す。曲線Bの部分B2は、冷却がないときの部分B3の
指数関数的曲線の延長を表す。示されているように、電極-組織界面の温度は、100℃に近
づき、望ましくない。なぜなら、それは、組織-電極界面で組織液の沸騰及び凝固及び組
織の炭化を生じる温度であり、従って、組織電気抵抗を有意に増加させ、気道壁に付加的
なRFエネルギーを送達する能力を低下させるからである。能動的な冷却を提供することに
よって、曲線B1は、電極-組織界面の温度が約40度に落ち、細胞死は、曲線B3が50℃を交
差する約8ミリメートルの深さに対してd4によって表されるように、2ミリメートルの深さ
で生じることを示している。従って、より高い電力レベルを用いると、望ましくない高い
温度(電極-組織界面で組織の凝固及び炭化を生じる温度)に到達しなくても、より深く
大きい領域の細胞死を生じる可能性があると見ることができる。当該システムを用いて、
表面が破壊される必要がないように、気道の上皮表面下で細胞死を達成することができる
。このようにして、患者によって、治療から早期回復を促進する。
【0117】
曲線Cは、さらにより高い電力レベル、例えば、40ワットのRFエネルギーを表す。曲線C
は、部分C1、C2及びC3を含む。破線部分C2は、指数関数的曲線C3の延長である。部分C2は
、電極-組織界面の温度が100℃を超え、能動的な冷却がなくては不適当であることを示し
ている。能動的な冷却により、電極-組織界面の温度は80℃に近づき、95℃近くに徐々に
増加して近づき、その後、電極-組織界面から約15ミリメートル離れた、距離d6により表
される気道の上皮表面で、50℃の細胞死の線2201を交差するように指数関数的に減少する
。始発温度が50℃の細胞死の線2201を越えるので、組織細胞死は、上皮表面から約15ミリ
メートルの深さまで生じ、大きくかつ深い領域の組織破壊を与えるであろう。
【0118】
図17は、バルーン膨張可能な流体冷却される電極カテーテル2000の長手方向横断面図で
ある。流線2100は、膨張されたバルーン2002を通る冷却剤の動きを表す。等温線は、電力
が電極2004に印加され、冷却剤(例えば、室温の生理食塩水)がバルーン2002に送達され
るときに、バルーン2002の外面上の電極2004で達する温度、及び電極-組織界面から気道
壁100への異なる深さでの温度を示す。電極2004への電力送達の割合を調整することによ
って、生理食塩水がバルーン2002に入る割合、生理食塩水の温度、及びバルーン2002のサ
イズ、個々の等温線の正確な外形及び温度のサイズを修正できる。例えば、適当な温度、
及び生理食塩水の流量、及び電極への電力送達の割合を選択することによって、温度を、
等温線A = 60℃、B = 55℃、C = 50℃、D = 45℃、E = 40℃、及びF = 37℃にすることが
できる。更なる調整により、温度を、等温線A = 50℃、B = 47.5℃、C = 45℃、D = 42.5
℃、E = 40℃、及びF = 37℃にすることができる。50℃の等温線内に含まれるそれらの領
域のみが、細胞死を誘発するのに十分に加熱される。
図17に示される等温線を3次元に推
定して、組織の円周帯域2250は、50℃より高く加熱し、気道100の上皮110の近くで組織を
残すことができる。異なる温度及び等温線を達成することもできる。
【0119】
図18は、気道100の一部及び該気道に配置されたバルーン膨張可能な液体冷却された電
極カテーテル2000の横断面図である。膨張可能な電極2004の起伏形状のため、該電極は、
多数の卵形として現れる。バルーン2002を膨張させ、膨張可能な電極2004及び気道100の
上皮表面、双方に適合させる。電極2004は、気道100に対して押圧されることができる。R
Fエネルギーが、膨張された電極2004を通って、気道100の組織に伝わり、バルーン2002が
、流れる冷却剤2100で満たされるときに、RFエネルギーは、気道壁100及び結合組織124の
表面及び深部組織を加熱し、一方で、冷却剤2100は、気道壁100の表面組織を冷却する。R
Fエネルギーによるこの表面及び深部の加熱、及び循環冷却剤2100による表面冷却の正味
の効果は、結合組織124などの気道壁100の外部層への熱の集中である。組織の帯域2250を
、50℃よりも高く選択的に加熱することができる。例えば、結合組織124の温度は、上皮1
10、ストローマ112及び/又は平滑筋114の温度より高くなることができる。さらにまた、
気管支動脈分岐130の血管の一つ以上は、帯域2250内に存在し得る。神経組織が動脈分岐
に隣接する場合であっても、気管支動脈分岐130を通って流れる血液が、それらの分岐130
を熱損傷から保護し、一方で、神経幹組織45が損傷を受けるように、電極2004を用いて発
生する熱を制御することができる。
【0120】
電極カテーテル2000は、処置部位で気道壁穿孔を形成することなく、組織を処置し、感
染症の頻度を防止又は減少することができる。細胞死の領域近くの患者組織に対して、よ
り迅速な治癒を促進することもできる。カテーテル2000は、比較的小さい領域の細胞死を
生じることができる。例えば、気道壁100の中央又は気道壁100の外面に沿った組織の2~3
ミリメートルの帯域を破壊することができる。適切な電力印加及び電極からの熱の適切な
除去によって、損傷は、気道の内部表面に損傷を与えることなく、任意の所望の深さで引
き起こされ得る。
【0121】
処置プロセスの終了後、バルーン2002への冷却剤流入を止めることができる。バルーン
2002を収縮させ、膨張可能な電極2004を気道壁100から萎縮させて離す。バルーン2002が
完全に収縮したとき、バルーン膨張可能な流体冷却される電極カテーテル2000は、肺の他
の位置を処置するために再配置され、又は気道100から完全に取り外され得る。
【0122】
図19A及び19Bは、
図15A~18に関連して述べられるカテーテル2000と一般に類似し得る
治療システムを例示する。バルーン拡張可能な、流体放熱電極カテーテル2500は、バルー
ン2502内及び外側の放熱流体の流入及び流出を交互に提供する、付随するインラインバル
ブ2512及びコネクタ2518を有する単一の冷却ライン2511を有する。
【0123】
バルーン拡張可能な、流体放熱電極カテーテル2500は、収縮したバルーン2502及び収縮
した電極2504とともに肺の気道に送達され得る。カテーテル2500は、電極2504が所望の処
置位置に存在するまで、気道内を移動することができる。適所にあるとき、放熱流体は、
ライン2511を通過して、バルーン2502に入り、それによって、バルーン2502を膨らませて
、電極2504を膨張させる。流体は、電極2504が気道壁100と接触するまで、バルーン2502
に入れられる。
【0124】
電極カテーテル2500のバルーン2502に入る放熱流体は、一般に、静的であり、電極2504
の温度及び気道壁100の表面組織を安定させる放熱として作用する。バルーン2502内の流
体により提供される静的な放熱は、
図16及び17に示されるものと類似の温度プロフィール
及び等温線を生じることができる。例えば、電極カテーテル2500によって、気道の結合組
織の一群の組織細胞死を生じることができ、一方で、上皮、ストローマ及び/又は平滑筋
はほとんど損傷を受けない。従って、神経組織が損傷され、一方で、気道の他の非標的と
された組織は保護される。
【0125】
図20A~21は、
図15A~18に示される、バルーン膨張可能な流体冷却される電極カテーテ
ル2000と一般に類似し得る、治療システムを例示する。
図20Aは、放射状超音波を導く流
体冷却される電極カテーテル3000の長手方向側面図である。
図20Bは、放射状超音波を導
く流体冷却される電極カテーテル3000の部分的な長手方向断面図であり、膨張されたバル
ーン3002の中を通る冷却剤の動きを表す流線3100及びアブレーション装置を導くための超
音波画像化の波面3047を含むバルーン3002を示している。
【0126】
電極カテーテル3000は、一般に、膨張性の熱伝導バルーン3002、電極3004、導電要素30
31、流入ライン3011、流出ライン3021、及び超音波プローブ3045を含む。膨張可能な電極
3004は、導電要素3031の遠位末端に結合される。導電要素3031の近位末端は、エネルギー
(例えば、RFエネルギー)を電極3004に伝えるための電気コネクタ3038に結合される。冷
却剤流入ライン3011の近位末端は、インラインバルブ3012を有する。冷却剤流出ライン30
21の近位末端も、アウトラインバルブ3022を有する。流入バルブ3012は、コネクタ3018に
より、冷却剤源に結合されることができる。流入ライン3011の内腔及び流出ライン3021の
内腔は、流体を流体源からバルーン3002の内部に流し、かつ冷却剤循環のための別のコネ
クタ3028を通る流動のために提供する。
ここで、冷却剤は、再冷却され、流体供給源に再循環することができる。
【0127】
流入ライン3011及び流出ライン3021は、肺及び気管支樹に入る適切な長さを有する。例
えば、カテーテル3000は、約80cmの長さを有することができる。
図20Bは、バルーン3002
内の2つのラインで、交差流、吸い上げ、又は逆流を減少、制限又は実質的に防止するよ
うに適合されたカテーテル3000を示す。流入ライン3011は、バルーン3002の近位末端に入
り、バルーン3002の長さを通って延び、バルーン3002の遠位末端に到達して、バルーンに
3002を結合する。流入ライン3011は、冷却剤をバルーン3002へ放出する先端3005の近くに
開口3013を有する。流体は、バルーン3002内を流れ、その後、開口部3023を経て、流出ラ
イン3021に集められる。開口部3023は、通常、流出ライン3021の遠位末端に存在し、任意
の方向から冷却剤を回収する。
【0128】
電極3004はバルーン3002の表面に位置し、バルーン3002が流体を用いて膨張されたとき
に、電極3004が気道壁100と接触する。電気導電要素3031は、流入ライン3011、流出ライ
ン3021及び超音波外筒3041の側面に沿って平行に進む。電極3004は、電気導電要素3031及
び電気コネクタ3038によって、RF発振器に結合されることができる。RF発振器の他のリー
ド線は、外部電極に結合されることができ、電流が膨張可能な電極3004と外部電極との間
に流れる。
【0129】
超音波プローブ3045は、超音波を導く流体冷却される電極カテーテル3000の一体部分で
あってもよく、又は標準OlympusプロセッサEu-M60によって作動するOlympus UM-2R-3若し
くはUM-3R-3などの、標準的放射状超音波プローブ上を滑るように構成された超音波を導
く流体冷却される電極カテーテル3000と別個の標準的放射状超音波プローブであってもよ
い。
【0130】
超音波システムは、約7MHzと約50MHzとの間の中心周波数で操作する広帯域超音波振動
子を含むことができる。超音波プローブ3045が、電極カテーテル3000の一体部分である場
合、超音波プローブ3045は、音響的に調和のとれた超音波カバー3041内に含まれ、超音波
コネクタ3048により超音波駆動装置及びプロセッサに結合されることができる。操作にお
いて、超音波プローブ3045は、超音波コネクタ3048を通じて超音波駆動装置及びプロセッ
サによって、超音波カバー3041内でその縦軸周りに回転し、画像(例えば、360度放射状
画像)を撮ることができる。これらの画像は、超音波プローブ3045の長軸に対して垂直な
方向において撮ることが可能である。バルーン3002の流体は、超音波プローブ3045を気道
壁に音響的に連結できる。
【0131】
電極カテーテル3000は、収縮状態のバルーン3002とともに、肺の気道に送達されること
ができる。カテーテル3000は、所望の処置位置又はその近くで、気道の中に配置される。
配置されると、流体が、流入ライン3011を通って、バルーン3002に流れる。バルーン3002
は、電極3004が気道の上皮表面と接触するように、膨張する。流出ライン3021を通る流体
の流出を調整して、電極3004が気道壁100と接触するまでバルーン3002を膨張させ続ける
ことができる。
【0132】
超音波駆動装置及びプロセッサを作動することができる。超音波プローブ3045は、画像
を捕えることができる。例えば、超音波カバー3041内のプローブ3045は、その縦軸周りに
回転し、気道及び血管気道壁構造の360度放射状画像を作り出すことができる。電気接続
ワイヤ3031は、電極3004の位置への、超音波画像上のガイドとして役立つことができる。
バルーン3002に沿って(例えば、表面を覆って)延在するワイヤ3031の部分は、超音波画
像において可視化することができる。従って、ワイヤ3031の部分は、電極3004の位置を示
すことができる。幾つかの実施態様において、神経幹及び気管支血液は、超音波画像にお
いて特定され、超音波を導く流体冷却される電極カテーテル3000は、電極3004が第1の神
経幹45と近接するまで回転することができる。
【0133】
RF発振器が起動するときに、RFエネルギーは、発生器によって、電気コネクタ3038を経
て、電気接続ワイヤ3031を経て、膨張される電極3004を経て、気道の組織に伝わる。RFエ
ネルギーは、電極3004に直接横たわる領域において、気道壁100及び結合組織124の表面及
び深部組織を加熱し、かつバルーン3002を通る冷却剤流3100は、気道壁100の表面組織を
冷却する。RFエネルギーによるこの表面及び深部の加熱、及びバルーン3002を通る循環冷
却剤3100による表面冷却の正味効果は、電極3004に直接横たわっている気道壁100の外部
層への熱の集中である。例えば、単一神経幹45の領域内の結合組織124の温度は、上皮110
、ストローマ112及び/又は平滑筋114の温度より高くなることができる。例によって、結
合組織の温度は、神経組織45に損傷を与えるように十分に高くなることができ、一方で、
気道の他の非標的とされた組織が、低温度に保たれ、非目標とされた組織への損傷を防止
するか又は制限する。処置は、必要に応じて、他の領域において繰り返されることができ
る。
【0134】
図21は、気道100の一部、及び該気道100に配置された、超音波を導く流体冷却される電
極カテーテル3000の横断面図である。横断面は、電極3004自体を通して示される。
【0135】
バルーン3002は、電極3004及び気道100の上皮表面に適合している。RFエネルギーが、
電極3004を通って気道の組織に伝わり、かつバルーン3002が、流れる冷却剤3100で満たさ
れるときに、RFエネルギーは、電極3004に直接横たわる気道壁100の表面及び深部組織を
加熱する。冷却剤3100は、気道壁100の表面組織の温度を制御するように流れる。正味効
果は、電極3004を直接覆う気道壁100の外部層への熱の集中であり、処置温度(例えば、約
50℃)より高く加熱された組織の単一の標的容量3250を生じる。例えば、単一神経幹45の
領域の結合組織124の温度は、電極3004を直接覆う領域において、上皮110、ストローマ11
2及び/又は平滑筋114の温度より高くなることができる。
【0136】
気管支動脈分岐130の血管は、RFエネルギーの印加の間に生じる加熱量の範囲内又はそ
の近くにあることができる。神経組織が動脈分岐に隣接する場合であっても、気管支動脈
分岐130を通って流れる血液が、それらの分岐130を熱損傷から保護し、一方で、神経組織
45が損傷を受けるように、電極3004によって発生する熱を制御することができる。
【0137】
本明細書中に開示される実施態様は、気管支、消化器系、神経系、脈管系又は他のシス
テムで使うことができる。例えば、本明細書中に開示される細長いアセンブリは、脈管系
を処置するために、血管を通して送達されることができる。本明細書中に開示される治療
システム及びその構成は、好ましくは、所望の標的部位へのアクセスを提供する、低侵襲
的処置、切断手順、半切断手順、又は他の外科的手順(例えば、肺気量減少手術)などの
別の医学技法時の付加物として使用することができる。胸部上の様々な外科的手順は、肺
組織へのアクセスを提供することができる。標的領域へのアクセスを提供するように用い
られるアクセス技術及び手順は、外科医及び/又はロボットシステムにより実行すること
ができる。当業者は、的領域にアクセスできる多くの様々な方法があることを認識する。
【0138】
本明細書中に開示される細長いアセンブリは、ガイドワイヤ、送達外筒、光学機器、導
入器、外套針、生検針又は他の適切な医療機器で用いることが可能である。標的処置部位
が、患者の遠い位置にある場合(例えば、
図1の肺根24の近くの処置部位)、広範囲の機
器及び技術を用いて、当該部位にアクセスすることができる。可撓性の細長いアセンブリ
は、例えば、上記のように、内視鏡及び気管支鏡などの操縦可能な送達装置を用いて、患
者内に容易に配置することができる。
【0139】
半剛体又は剛体の細長いアセンブリは、半切断手順、切断手順又はいくらかまっすぐな
配達経路を提供する他の送達具/手順を用いる、外套針、アクセスポート、剛体の送達外
筒を用いて送達されることができる。好都合には、半剛体又は剛体の細長いアセンブリは
、細長いアセンブリを気道に通して送達することなく、気道に沿う迷走神経、神経枝、神
経繊維及び/又は神経幹などの遠隔組織にアクセス及びそれを処置するように十分に硬い
。本明細書中に開示される実施態様及び技術は、気管支熱形成術などの他の手順によって
用いることができる。
【0140】
上記の各種実施態様を組み合わせて、更なる実施態様を提供することができる。これら
の及び他の変化は、上記の詳細な説明に照らして、実施態様になされることができる。本
明細書中に記載されている実施態様、特徴、システム、装置、材料、方法及び技術は、幾
つかの実施態様において、2008年5月9日に出願の米国仮特許出願番号第61/052,082号、20
08年10月17日に出願の米国仮特許出願番号第61/106,490号、及び2009年2月25日に出願の
米国仮特許出願番号第61/155,449号に記載されている実施態様、特徴、システム、装置、
材料、方法及び技術の任意の一つ以上と類似していてもよい。加えて、本明細書中に記載
されている実施態様、特徴、システム、装置、材料、方法及び技術は、特定の実施態様に
おいて、上述の2008年5月9日に出願の米国仮特許出願番号第61/052082号;2008年10月17
日に出願の米国仮特許出願番号第61/106,490号;及び米国の暫定特許2009年2月25日に出
願の米国仮特許出願番号第61/155,449号に開示される実施態様、特徴、システム、装置、
材料、方法及び技術の任意の一つ以上と関連して適用されることができるか又は用いられ
ることができる。これらの出願の各々は、その全体において本明細書中に引用により取り
込まれている。一般に、以下の請求項において、使用される用語は、請求項を、明細書及
び請求項に開示される特定の実施態様に制限するものと解釈すべきでなく、このような請
求項が与えられる均等物の完全な範囲とともに、全ての可能な実施態様を含むものと解釈
されるべきである。したがって、請求項は、本開示により制限されない。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
対象の治療方法であって、気管支樹の気道に沿って伸びている神経幹の神経組織に損傷
を与え、該気管支樹の一部に伝達される神経系シグナルを減衰させることを含む、前記方
法。
(構成2)
前記神経組織が、前記気道に沿って伸びている一つ以上の動脈の機能を維持させながら
損傷され、前記神経組織の損傷後に前記気管支樹の一部の呼吸機能を保持する、構成1記
載の方法。
(構成3)
前記神経組織に損傷を与えることが、前記神経組織に不可逆的に損傷を与え、神経系シ
グナルの伝達を少なくとも部分的に遮断し、かつ前記気管支樹の一部の平滑筋緊張の永続
的な減少を生じさせる、構成1記載の方法。
(構成4)
前記神経組織が、損傷される神経組織の周囲に隣接する気道の一部に広範囲に損傷を与
えることなく損傷される、構成1記載の方法。
(構成5)
前記神経組織が、前記気道の壁の平滑筋に広範囲に損傷を与えることなく損傷される、
構成1記載の方法。
(構成6)
前記神経組織に損傷を与えることが:該神経組織にエネルギーを送ること;及び送られ
たエネルギーを用いて、破壊部分が該神経組織に沿って伝達する神経系シグナルの伝達を
妨げるように、該神経組織の部分を破壊すること;を含む、構成1記載の方法。
(構成7)
前記神経組織に損傷を与えることは、該神経組織の温度を第1の温度に上げ、該気道の
壁の部分が、第1の温度より低い第2の温度であり、該壁の部分が、第1の温度で、該神経
組織から半径方向内向きに位置する、構成1記載の方法。
(構成8)
細長いアセンブリを用いて前記神経組織に損傷を与える前に、前記気道の内腔に沿って
細長いアセンブリを移動させることを含む、構成1記載の方法。
(構成9)
前記神経組織が、前記気管支樹の主気管支に沿って位置され、該主気管支に対して遠位
の該気管支樹の実質的一部分への該神経系シグナルを減衰させる、構成1記載の方法。
(構成10)
前記神経組織が、気管と対象の肺との間に一般的に位置される、構成9記載の方法。
(構成11)
前記神経組織に損傷を与えることは:右の主気管支に沿って神経組織を切除すること;
及び左の主気管支に沿って神経組織を切除すること;を含む、構成1記載の方法。
(構成12)
細長いアセンブリの遠位先端を、前記気道の壁の少なくとも一部分を経て移動させ、該
細長いアセンブリの活性化可能な要素が、該活性化可能な要素を活性化したときに前記神
経組織に損傷を与えるように配置される、構成1記載の方法。
(構成13)
前記遠位先端を移動させることは、前記気道の壁の最も近い動脈より前記神経組織に近
い位置に、活性化可能な要素を配置することを含む、構成12記載の方法。
(構成14)
前記気管支樹の一部分の少なくとも一つの属性を検出すること;及び該少なくとも一つ
の属性の検出に基づいて、前記神経組織に損傷を与えたどうかを評価すること;を更に含
む、構成1記載の方法。
(構成15)
対象の治療方法であって:
気管支樹の気道の内腔に沿って細長いアセンブリを移動させること、
該気道は、第1の管状部分、第2の管状部分、第1の管状部分と第2の管状部分間の処置部
位、及び少なくとも第1の管状部分、処置部位、及び第2の管状部分に沿って伸びている神
経幹を含み;及び
該処置部位で該神経幹の一部に損傷を与え、該第1の管状部分と該第2の管状部分との間
に神経幹を経て伝達するシグナルを実質的に抑制すること;を含む、前記方法。
(構成16)
前記第1の管状部分と前記第2の管状部分との間の血流を許容し、同時に、前記神経幹の
一部に損傷を与えることを更に含む、構成15記載の方法。
(構成17)
前記神経幹の一部に損傷を与えることが、前記気道の第2の管状部分の拡張を生じる、
構成15記載の方法。
(構成18)
前記神経幹の一部に損傷を与えることが、前記第2の管状部分への副交感神経系入力の
減少を生じ、一方で、前記第1の管状部分と前記第2の管状部分との間に延びている動脈網
に広範囲に損傷を与えない、構成15記載の方法。
(構成19)
前記細長いアセンブリの末端を、前記気道の壁を少なくとも部分的に経て移動させ、該
細長いアセンブリのアブレーション要素が、該アブレーション要素を活性化したときに神
経幹の一部に損傷を与えるように配置されることを更に含む、構成15記載の方法。
(構成20)
対象の気管支樹内の気流に対する抵抗を減少させる方法であって:気管支樹の気道の内
腔に沿って腔内装置を移動させること;及び該気道の内部表面に広範囲に不可逆的に損傷
を与えることなく、該腔内装置を用いて該気管支樹の一部を少なくとも部分的に除神経す
ること;を含み、該内部表面が該腔内を定める、前記方法。
(構成21)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記対象の左右の肺根のうちの少なくとも一
つの内部であり、かつ一つの肺に近接する位置で、少なくとも一つの神経幹を破壊するこ
とを含む、構成20記載の方法。
(構成22)
前記気管支樹の一部を除神経することが、左肺又は右肺内の位置で少なくとも一つの神
経幹を破壊することを含む、構成20記載の方法。
(構成23)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記気道に隣接する少なくとも一つの動脈を
破壊することなく、前記気道に隣接する少なくとも一つの神経幹を破壊することを含む、
構成20記載の方法。
(構成24)
前記気管支樹の一部が、前記気道の壁の平滑筋に広範囲に永久に損傷を与えることなく
、除神経される、構成20記載の方法。
(構成25)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記気道の管状部分に沿って延びている実質
的に全ての神経幹に損傷を与え、前記気道に沿って伝達される実質的に全ての神経系シグ
ナルを、該除神経された部分を通り越して伝わることから抑制する、構成20記載の方法。
(構成26)
前記気管支樹の一部を除神経することが、求心性神経に損傷を与え、該求心性神経に沿
って伝わるシグナルを減衰させることを含む、構成20記載の方法。
(構成27)
前記気管支樹の一部を除神経することが、遠心性神経に損傷を与え、該遠心性神経に沿
って伝わるシグナルを減衰させることを含む、構成20記載の方法。
(構成28)
前記気管支樹の一部を除神経することが、迷走神経のうちの少なくとも一つ及び迷走神
経に結合される神経幹の一部に損傷を与えることを含む、構成20記載の方法。
(構成29)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記神経組織を加熱すること、該神経組織を
冷却すること、
及び該神経組織に外傷を与える流体を送達することのうちの少なくとも一つを含む、構成
20記載の方法。
(構成30)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記気道に沿って前記神経組織を穿刺するこ
と、該気道に沿って該神経組織を裂くこと、
及び該気道に沿って該神経組織を切ることのうちの少なくとも一つを含む、構成20記載の
方法。
(構成31)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記気道に沿って前記神経組織に高周波エネ
ルギーを印加すること、該気道に沿って該神経組織に超音波エネルギーを印加すること、
該気道に沿って該神経組織に電離放射線を印加すること、
及び該気道に沿って該神経組織の細胞膜を破壊するように、電気エネルギーを印加するこ
とのうちの少なくとも一つを含む、構成20記載の方法。
(構成32)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記気道に沿って前記神経組織に高周波エネ
ルギーを適用し、膨張したバルーン及び該バルーンによって運ばれる電極を用いて、該気
道を冷却することの少なくとも一つを含む、構成20記載の方法。
(構成33)
前記気管支樹の一部を除神経することが、一つ以上の長時間作用性神経遮断化学物質を
、前記気道に沿って前記神経組織に送達することを含む、構成20記載の方法。
(構成34)
前記気道内に送達アセンブリを配置すること、該送達アセンブリは、前記腔内装置を移
動させる前に該腔内装置を運び、かつ該腔内装置を移動させることが、該送達アセンブリ
から腔内装置の遠位先端を通過させ、その後、該遠位先端を用いて該気管支樹の一部を除
神経することを含む、構成20記載の方法。
(構成35)
前記気道を前記送達アセンブリを用いて見ることを更に含む、構成34記載の方法。
(構成36)
前記気管支樹の一部を除神経することが: 前記気道の壁に腔内装置の少なくとも一部
を埋め込み、該腔内装置のアブレーション要素が神経幹組織に近接していること;及びア
ブレーション要素を用いて神経組織を切除すること;を含む、構成20記載の方法。
(構成37)
前記気管支樹の一部を除神経することが、粘液産生を減少させる、構成20記載の方法。
(構成38)
前記気管支樹の一部を除神経することが、気道平滑筋緊張の十分な減少を生じ、対象の
肺の中及び外への気流を実質的に増加させる、構成20記載の方法。
(構成39)
前記気管支樹の一部を除神経することが、前記気道の平滑筋の反射収縮の減少をもたら
す、構成20記載の方法。
(構成40)
前記気管支樹の一部を除神経することが、粘液産生の減少をもたらす、構成20記載の方
法。
(構成41)
前記粘液産生の減少が、肺の中及び外への気流の実質的な増加を生じる、構成40記載の
方法。
(構成42)
前記粘液産生の減少が、咳の頻度の減少をもたらす、構成40記載の方法。
(構成43)
肺の気管支樹の大部分を除神経し、該気管支樹の当該部分の実質的に全ての気管支分岐
に伝わる神経系シグナルを実質的に抑制することを含む、方法。
(構成44)
前記大部分を除神経することが、主気管支に沿って位置される神経組織に損傷を与え、
該主気管支に結合しかつ該主気管支に対して遠位にある実質的に全ての末端気管支枝に伝
わる神経系シグナルを実質的に抑制することを含む、構成43記載の方法。
(構成45)
前記大部分を除神経することが、100未満のエネルギーの印加を用いて神経組織を切除
し、一つの肺の実質的に全ての気管支枝を除神経することを含む、構成43記載の方法。
(構成46)
除神経することが、気管支枝が延びている気管と肺との間に位置する神経組織に損傷を
与えることを含む、構成43記載の方法。
(構成47)
主気管支に沿った神経組織に損傷を与えることを更に含む、構成43記載の方法。
(構成48)
腔内処置装置を用いて、前記主気管支の神経組織に損傷を与え、かつ該腔内処置装置を
該主気管支に結合した気管から取り外すことなく、別の主気管支の神経組織に損傷を与え
ることを更に含む、構成47記載の方法。
(構成49)
前記気管支樹の気道の少なくとも一つの属性を評価することを更に含む、構成43記載の
方法。
(構成50)
評価することが、検出部材を、除神経時に損傷される神経組織に対して遠位に配置する
ことを含む、構成49記載の方法。
(構成51)
前記検出部材が: 気道の内部表面と接触させて、気道の物性評価ができるように膨張
可能である、バルーンを含む、構成50記載の方法。
(構成52)
神経幹の神経組織に損傷を与え、気管支樹の一部に伝達する神経系シグナルを減衰する
ように適合した、肺を処置するための細長いアセンブリであって、該細長いアセンブリの
少なくとも一部が、該気管支樹の気道の内腔に沿って延びる、前記細長いアセンブリ。
(構成53)
気道の壁の平滑筋を破壊することなく神経組織を切除するのに適合したアブレーション
要素を更に含む、構成52記載の細長いアセンブリ。
(構成54)
気道の組織を突き通すように構成された遠位先端を更に含み、該遠位先端が、神経組織
を切除するためのアブレーション要素を含む、構成52記載の細長いアセンブリ。
(構成55)
エネルギー源を含むアブレーションアセンブリ、及びエネルギー源を運ぶ膨張可能な部
材を更に含み、該エネルギー源が、高周波エネルギー、超音波エネルギー、電離放射線、
及び電気エネルギーのうちの少なくとも1つを出力するように適合した、構成52記載の細
長いアセンブリ。
(構成56)
高周波エネルギー、超音波エネルギー、電離放射線、及び電気エネルギーのうちの少な
くとも1つを出力することができる出力素子を更に含む、構成52記載の細長いアセンブリ
。
(構成57)
気管支樹の気道の内腔に沿って移動するように寸法決定された細長いアセンブリを含む
、対象を治療するためのシステムであって、該細長いアセンブリが、神経組織によって伝
達されるシグナルを減衰させ、該気道の内部表面に広範囲に不可逆的に損傷を与えないよ
うに適合されている、前記システム。
(構成58)
前記細長いアセンブリが、埋め込み可能な遠位先端を含み、該遠位先端が、神経組織を
切除するのに適合したアブレーション要素を含む、構成57記載のシステム。
(構成59)
前記アブレーション要素が、高周波エネルギーを出力するように操作可能な電極を含む
、構成58記載のシステム。
(構成60)
前記細長いアセンブリが、気道の壁に侵入するように構成された遠位先端を有し、該遠
位先端のアブレーション要素が、外側表面の気管支樹に位置する神経組織の一部に隣接し
て移動される、構成57記載のシステム。
(構成61)
前記細長いアセンブリが: 一つ以上の組織アブレーション要素を運ぶ、複数の放射状
に展開可能なアブレーションアセンブリを含む、構成57記載のシステム。
(構成62)
前記細長いアセンブリを受けるための送達腔を有する腔内送達アセンブリを更に含む、
構成57記載のシステム。
(構成63)
前記腔内送達アセンブリが、気管支鏡である、構成62記載のシステム。
(構成64)
前記細長いアセンブリが、気道の壁の平滑筋の有意部分を破壊することなく、神経組織
によって伝達されるシグナルを減衰させるように更に適合した、構成57記載のシステム。
(構成65)
前記細長いアセンブリが: 膨張可能なバルーン及び該バルーンに結合した電極を含み
、該電極が、神経組織によって伝達されるシグナルの減衰を生じるのに十分な量のエネル
ギーを出力するように適合した、構成57記載のシステム。
(構成66)
前記電極が、前記バルーンの周りに延在し、該バルーンの外面に結合する、構成65記載
のシステム。
(構成67)
前記細長いアセンブリは: 前記バルーンの入口近くの一端及び該バルーンの出口近く
の別の一端を含み、該入口を通って流れる流体が、該バルーンを通って該出口の外に流れ
る、構成65記載のシステム。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。