(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006926
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】金属板アンテナおよびアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/42 20060101AFI20240110BHJP
H01Q 9/40 20060101ALI20240110BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01Q9/42
H01Q9/40
H01Q23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011971
(22)【出願日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2022107295
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022160863
(32)【優先日】2022-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】稲船 浩司
(72)【発明者】
【氏名】古賀 健一
(72)【発明者】
【氏名】古池 竜也
(72)【発明者】
【氏名】森 惠
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA01
5J021AB02
5J021CA06
5J021FA13
5J021FA23
5J021FA31
5J021JA02
5J021JA08
(57)【要約】
【課題】基板上により安定して配置可能なアンテナを提供する。
【解決手段】規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するアーチ形状の金属板アンテナであって、前記アーチ形状の一端において基板に形成される給電点と接触する給電点接触部と、前記アーチ形状の他端において前記基板に形成されるGNDと接触するGND接触部と、を有し、前記給電点接触部と前記GND接触部との間の長さにより規定されるアンテナ長が、前記規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される、金属板アンテナが提供される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するアーチ形状の金属板アンテナであって、
前記アーチ形状の一端において基板に形成される給電点と接触する給電点接触部と、
前記アーチ形状の他端において前記基板に形成されるGNDと接触するGND接触部と、
を有し、
前記給電点接触部と前記GND接触部との間の長さにより規定されるアンテナ長が、前記規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される、
金属板アンテナ。
【請求項2】
前記給電点接触部と前記GND接触部のうち少なくとも一方は、前記アーチ形状の端部を折り曲げることにより形成される折り曲げ部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項3】
前記給電点接触部と前記GND接触部のうち少なくとも一方は、前記基板に形成されるスルーホールに挿入される少なくとも1つのピン部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項4】
前記給電点接触部および前記GND接触部は、前記アーチ形状の端部を折り曲げることにより形成される折り曲げ部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項5】
前記給電点接触部および前記GND接触部の各々は、前記基板に形成されるスルーホールに挿入される少なくとも1つのピン部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項6】
前記給電点接触部は、前記アーチ形状の端部を折り曲げることにより形成される折り曲げ部を有し、
前記GND接触部は、前記折り曲げ部、および前記基板に形成されるスルーホールに挿入される少なくとも1つのピン部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項7】
前記ピン部のうち少なくとも1つには、導電性接着剤による前記基板への固定処理が施されない、
請求項6に記載の金属板アンテナ。
【請求項8】
前記規定の通信規格は、超広帯域無線通信を含む、
請求項1から請求項7までのうちいずれか一項に記載の金属板アンテナ。
【請求項9】
前記アーチ形状にスリットまたは開口部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項10】
前記アーチ形状にスタブを有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項11】
前記アーチ形状の前記給電点接触部側の側面は、下端の幅が上端の幅よりも短く形成される、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項12】
前記アーチ形状の内側には、絶縁性材料が充填されている、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項13】
前記基板上における前記金属板アンテナの自立を支持する支持部を有する、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項14】
前記アーチ形状は、複数の金属板により形成される、
請求項1に記載の金属板アンテナ。
【請求項15】
基板と、
前記基板に形成される給電点と、
前記基板に形成されるGNDと、
前記基板に配置される高周波ICと、
前記基板に形成され、規定の周波数帯における信号を減衰するノッチフィルタと、
前記基板に配置され、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するアーチ形状の金属板アンテナと、
を備え、
前記高周波ICと前記給電点とを結ぶ伝送線路と前記ノッチフィルタとの接続有無は素子により切り替え可能であり、
前記金属板アンテナは、
前記アーチ形状の一端において基板に形成される給電点と接触する給電点接触部と、
前記アーチ形状の他端において前記基板に形成されるGNDと接触するGND接触部と、
を有し、
前記給電点接触部と前記GND接触部との間の長さにより規定されるアンテナ長が、前記規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される、
アンテナ装置。
【請求項16】
前記高周波ICと前記給電点とを結ぶ伝送線路と前記ノッチフィルタとの接続有無はチップ素子の有無により切り替え可能である、
請求項15に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記高周波ICと前記給電点とを結ぶ伝送線路と前記ノッチフィルタとの接続有無を切り替えるスイッチ素子をさらに備える、
請求項16に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
基板と、
前記基板に形成される給電点と、
前記基板に形成されるGNDと、
前記基板に配置され、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するアーチ形状の金属板アンテナと、
を備え、
前記金属板アンテナは、
前記アーチ形状の一端において基板に形成される給電点と接触する給電点接触部と、
前記アーチ形状の他端において前記基板に形成されるGNDと接触するGND接触部と、
を有し、
前記給電点接触部と前記GND接触部との間の長さにより規定されるアンテナ長が、前記規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成され、
受信する偏波に応じた前記基板上の位置に配置される、
アンテナ装置。
【請求項19】
前記金属板アンテナは、前記基板の隅近傍に配置される、
請求項18に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板アンテナおよびアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様なアンテナが開発されている。例えば、非特許文献1には、基板上に配置されるディスクモノポールアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Satoshi Honda、外3名、"A DISK MONOPOLE ANTENNA WITH 1:8 IMPEDANCE BANDWIDTH AND OMNIDIRECTIONAL RADIATION PATTERN"、[online]、平成4年9月25日、PROCEEDINGS OF ISAP '92, SAPPORO, JAPAN、[令和5年1月30日検索]、インターネット〈https://citeseerx.ist.psu.edu/pdf/ca777261654e94c97cf6965fb24f6c4a52a109a2〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示されるディスクモノポールアンテナは、単一の支持点により基板上に垂直に自立する構造であるため、安定性に欠ける。アンテナがこのような構造を有する場合、製造過程または製品出荷後に衝撃等によりアンテナが倒れるなどし、機能しなくなる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、基板上により安定して配置可能なアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するアーチ形状の金属板アンテナであって、前記アーチ形状の一端において基板に形成される給電点と接触する給電点接触部と、前記アーチ形状の他端において前記基板に形成されるGNDと接触するGND接触部と、を有し、前記給電点接触部と前記GND接触部との間の長さにより規定されるアンテナ長が、前記規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される、金属板アンテナが提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基板と、前記基板に形成される給電点と、前記基板に形成されるGNDと、前記基板に配置される高周波ICと、前記基板に形成され、規定の周波数帯における信号を減衰するノッチフィルタと、前記基板に配置され、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するアーチ形状の金属板アンテナと、を備え、前記高周波ICと前記給電点とを結ぶ伝送線路と前記ノッチフィルタとの接続有無は素子により切り替え可能であり、前記金属板アンテナは、前記アーチ形状の一端において基板に形成される給電点と接触する給電点接触部と、前記アーチ形状の他端において前記基板に形成されるGNDと接触するGND接触部と、を有し、前記給電点接触部と前記GND接触部との間の長さにより規定されるアンテナ長が、前記規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成される、アンテナ装置が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基板と、前記基板に形成される給電点と、前記基板に形成されるGNDと、前記基板に配置され、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信するアーチ形状の金属板アンテナと、を備え、前記金属板アンテナは、前記アーチ形状の一端において基板に形成される給電点と接触する給電点接触部と、前記アーチ形状の他端において前記基板に形成されるGNDと接触するGND接触部と、を有し、前記給電点接触部と前記GND接触部との間の長さにより規定されるアンテナ長が、前記規定の通信規格に準拠した無線信号の波長の略1/2となるように形成され、受信する偏波に応じた基板上の位置に配置される、アンテナ装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、基板上により安定して配置可能なアンテナを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る金属板アンテナ110の給電点接触部112およびGND接触部114がともに折り曲げ部116を有する場合の形状例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係る金属板アンテナ110の給電点接触部112およびGND接触部114がともにピン部118を有する場合の形状例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係る金属板アンテナ110の給電点接触部112が折り曲げ部116を、GND接触部114が折り曲げ部116およびピン部118を有する場合の形状例を示す図である。
【
図4】金属板アンテナ110が備えるGND接触部114Cについて説明するための図である。
【
図5】同実施形態に係る金属板アンテナ110、給電点120、GND130、および基板150の位置関係について説明するための図である。
【
図6】同実施形態に係る給電点120、高周波IC160、ノッチフィルタ、および素子180の配置関係について説明するための図である。
【
図7】同実施形態に係る基板上の位置に応じた金属板アンテナ110を流れる電流の分布および当該電流の分布に応じた偏波の向きについて説明するための図である。
【
図8】同実施形態に係る基板上の位置に応じた金属板アンテナ110を流れる電流の分布および当該電流の分布に応じた偏波の向きについて説明するための図である。
【
図9】同実施形態に係る折り曲げ部116の変形例について説明するための模式図である。
【
図10】同実施形態に係る折り曲げ部116の直上近傍に形成される開口部210について説明するための図である。
【
図11】同実施形態に係るスリット220について説明するための図である。
【
図12】同実施形態に係るスリット220について説明するための図である。
【
図13】同実施形態に係る電流を迂回させるための構造としての開口部210について説明するための図である。
【
図14】同実施形態に係る2つの給電点接触部112を有する金属板110の変形例について説明するための図である。
【
図15】同実施形態に係る金属箔パターン190を介して給電用配線230Dと電気的に接続される金属板110について説明するための図である。
【
図16】同実施形態に係る金属板アンテナ110の給電側面の形状のバリエーション例を示す図である。
【
図17】同実施形態に係るスタブ240の形成例を示す図である。
【
図18】同実施形態に係るモールド構造の例を示す図である。
【
図19】同実施形態に係る支持部260の形状例について説明するための図である。
【
図20】同実施形態に係る複数の金属板から形成される金属板アンテナ110について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
また、本明細書及び図面においては、複数存在する同種の構成を区別して説明する場合に、符号の末尾にアルファベットを付す場合がある。一方、複数存在する同種の構成を区別する必要がない場合、上記アルファベットを省略し、複数存在する同種の構成のすべてに共通する説明がなされる場合がある。
【0013】
<1.実施形態>
<<1.1.金属板アンテナの形状>>
【0014】
まず、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置10(
図5参照)に備えられる金属板アンテナ110について説明する。
【0015】
本実施形態に係る金属板アンテナ110は、規定の通信規格に準拠した無線信号を送受信する。
【0016】
本実施形態に係る規定の通信規格としては、例えば、超広帯域(Ultra-Wide Band:UWB)無線通信が挙げられる。
【0017】
一方、本実施形態に係る規定の通信規格は、上記の例に限定されない。本実施形態に係る規定の通信規格には任意の通信規格が採用され得る。
【0018】
また、本実施形態に係る金属板アンテナ110は、基板150(
図5参照)上により安定して配置することに着目して発想されたものであり、以下に述べるような特徴的な形状を有する。
【0019】
本実施形態に係る金属板アンテナ110は、例えば1枚の金属板を材料として少なくとも一部にアーチ形状を有するように形成される。
【0020】
また、本実施形態に係る金属板アンテナ110は、上記アーチ形状の一端において基板150に形成される給電点120(
図5参照)と接触する給電点接触部112(
図1~
図3、
図5参照)を有する。
【0021】
さらに、本実施形態に係る金属板アンテナ110は、上記アーチ形状の上記一端とは異なる他の端(他端)において基板150に形成されるGND130(
図5参照)と接触するGND接触部114(
図1~
図5参照)を備える。
【0022】
すなわち、本実施形態に係る金属板アンテナ110は、基板150上において給電点接触部112およびGND接触部114により支持される。
【0023】
上記のような構成によれば、単一の支持点によりアンテナが支持される場合と比較して、金属板アンテナ110を基板150上により安定して配置することが可能となる。
【0024】
なお、給電点接触部112およびGND接触部114は、安定性をより向上させるために基板150においてはんだ等の導電性接着剤により固定されてもよい。ただし、一部のGND接触部114については、後述するように導電性接着剤による固定処理が施されなくてもよい。
【0025】
また、本実施形態に係る給電点接触部112とGND接触部114との間の長さにより規定されるアンテナ長は、規定の通信規格に準拠した無線信号の波長λの略1/2となるように形成される。
【0026】
アンテナ長が上記のように形成される場合、GND130を鏡面として形成される鏡像により金属板アンテナ110は1波長(λ)ループアンテナとして動作する。
【0027】
続いて、本実施形態に係る給電点接触部112の形状、およびGND接触部114の形状について詳細に説明する。
【0028】
本実施形態に係る給電点接触部112とGND接触部114のうち少なくとも一方は、アーチ形状の端部を折り曲げることにより形成される折り曲げ部116を有してもよい。
【0029】
図1は、本実施形態に係る金属板アンテナ110の給電点接触部112およびGND接触部114がともに折り曲げ部116を有する場合の形状例を示す図である。
【0030】
図1に示す一例の場合、金属板アンテナ110Aのアーチ形状はコの字(U字)型に形成される。
【0031】
金属板アンテナ110Aのアーチ形状の一端には、当該一端を折り曲げて形成される折り曲げ部116Aを有する給電点接触部112Aが設けられる。
【0032】
同様に、金属板アンテナ110Aのアーチ形状の他端には、当該他端を折り曲げて形成される折り曲げ部116Aを有するGND接触部114Aが設けられる。
【0033】
給電点接触部112AおよびGND接触部114Aが折り曲げ部116Aを有することにより、給電点120およびGND130との接触面積を増大し、基板150上における金属板アンテナ110Aの安定性がより向上する。
【0034】
また、折り曲げ部116Aは、給電点120またはGND130との接触面積が広いため、はんだ等の導電性接着剤による固定においてフィレットを形成しやすく、さらには形成されたフィレットの確認がしやすいというメリットがある。
【0035】
また、折り曲げ部116Aは、給電点120またはGND130との接触面積が広いため、配線の引き出しが容易である。
【0036】
一方、本実施形態に係る給電点接触部112とGND接触部114のうち少なくとも一方は、基板150に形成されるスルーホール155(
図5参照)に挿入される少なくとも1つのピン部118を有してもよい。
【0037】
図2は、本実施形態に係る金属板アンテナ110の給電点接触部112およびGND接触部114がともにピン部118を有する場合の形状例を示す図である。
【0038】
図2に示す一例の場合、金属板アンテナ110Bのアーチ形状の一端には、基板150に形成されるスルーホール155に挿入される1つのピン部118Bを有する給電点接触部112Bが設けられる。
【0039】
また、金属板アンテナ110Bのアーチ形状の他端には、基板150に形成されるスルーホール155に挿入される3つのピン部118Bを有するGND接触部114Bが設けられる。
【0040】
給電点接触部112BおよびGND接触部114Bの各々が少なくとも1つのピン部118Bを有することにより、金属板アンテナ110Bがより強固に基板150に固定され、例えば、リフロー工程などにおいても金属板アンテナ110Bが倒れたり位置ずれしたりする可能性を低減することができる。
【0041】
なお、給電点接触部112Bが有するピン部118Bは、導電性接着剤により基板150に固定される。
【0042】
また、GND接触部114Bが有するピン部118Bは、少なくともその1つが導電性接着剤により基板150に固定される。例えば、
図2に示すように、GND接触部114Bが3つのピン部118Bを有する場合、ある1つのピン部118Bにのみ導電性接着剤による基板150への固定処理が施され、残りの2つのピン部118Bには同処理が施されなくてもよい。
【0043】
以上、金属板アンテナ110の給電点接触部112およびGND接触部114がともにピン部118を有する場合の形状例について説明した。他方、本実施形態に係る給電点接触部112は折り曲げ部116を有し、GND接触部114は折り曲げ部116および少なくとも1つのピン部118を有してもよい。
【0044】
図3は、本実施形態に係る金属板アンテナ110の給電点接触部112が折り曲げ部116を、GND接触部114が折り曲げ部116およびピン部118を有する場合の形状例を示す図である。
【0045】
図3に示す一例の場合、金属板アンテナ110Cのアーチ形状の一端には、当該一端を折り曲げて形成される折り曲げ部116Cを有する給電点接触部112Cが設けられる。
【0046】
また、金属板アンテナ110Cのアーチ形状の他端には、当該他端を折り曲げて形成される折り曲げ部116C、および基板150に形成されるスルーホール155に挿入される2つのピン部118Cを有するGND接触部114Cが設けられる。
【0047】
図3に示すように、金属板アンテナ110Cがアーチ形状の端部に折り曲げ部116Cとピン部118Cの両方を有する場合、上述した折り曲げ部116により奏される効果および118により奏される効果の両方を享受することが可能となる。
【0048】
また、
図3に示す金属板アンテナ110Cの場合、給電点接触部112Cが有する折り曲げ部116CおよびGND接触部114Cが有する折り曲げ部116Cは、導電性接着剤により基板150に固定される。
【0049】
一方、GND接触部114Cが有する2つのピン部118Cには導電性接着剤による基板150への固定処理が施されなくてもよい。
【0050】
図4は、本実施形態に係る金属板アンテナ110Cが備えるGND接触部114Cについて説明するための図である。
図4には、GND接触部114Cが有する折り曲げ部116Cおよびピン部118Cと、基板150との位置関係が示される。なお、
図4においては、金属板アンテナ110Cおよび基板150の一部領域が拡大して示され、他の領域については図示が省略される。
【0051】
図4に示すように、GND接触部114Cが有する折り曲げ部116Cは、基板150の上面と接触する。また、GND接触部114Cが有する折り曲げ部116Cは、導電性接着剤により基板150に固定される。なお、
図5に示すように、基板150の上面においてGND接触部114と接触する領域には、GND130が形成される。
【0052】
一方、GND接触部114Cが有するピン部118Cは、
図4に示すように、基板150に形成されるスルーホール155に挿入されるものの、基板150とは接触せずともよい。
【0053】
また、GND接触部114Cが有するピン部118Cは、基板150の下面から突出する箇所が先端に向けて細くなるように形成されてもよい。
【0054】
また、GND接触部114Cが有するピン部118Cは、導電性接着剤による基板150への固定処理が施されないことを特徴の一つとする。
【0055】
ピン部118Cが基板150に形成されるスルーホール155に挿入されることにより、製造過程において基板150と金属板アンテナ110Cとの位置ずれが発生すること、基板150上において金属板アンテナ110Cが自立できずに倒れることなどを防止することが可能となる。
【0056】
また、ピン部118Cに導電性接着剤による基板150への固定処理が施されないことにより、導電性接着剤を用いた固定処理に伴い発生し得る各種の不良(例えば、はんだ付け不良)を防止可能となる。
【0057】
以上、本実施形態に係る金属板アンテナ110の形状について具体例を挙げて説明した。
【0058】
ただし、
図1~
図4を参照して説明した形状はあくまで一例であり、本実施形態に係る金属板アンテナ110の形状はかかる例に限定されない。
【0059】
例えば、金属板アンテナ110に形成されるピン部118の数は、
図2および
図3に示した例に限定されない。
【0060】
また、例えば、金属板アンテナ110に形成される折り曲げ部116の面積は、
図1および
図3に示した例に限定されない。
【0061】
また、例えば、金属板アンテナ110に形成される折り曲げ部116は、
図1および
図3に示した例とは異なり、アーチ形状の外側に向けて折り曲げられてもよい。
【0062】
本実施形態に係る金属板アンテナ110の形状は、金属板アンテナ110の大きさ、素材等に応じて柔軟に変形可能である。
【0063】
<<1.2.アンテナ装置10の構成>>
次に、本実施形態に係るアンテナ装置10の構成例について説明する。
【0064】
上述したように、本実施形態に係るアンテナ装置10は、基板150、基板150に配置される金属板アンテナ110、基板150に形成される給電点120およびGND130を備える。
【0065】
図5は、本実施形態に係る金属板アンテナ110、給電点120、GND130、および基板150の位置関係について説明するための図である。
【0066】
図5に示すように、給電点120およびGND130は、基板150の上面に形成される。
【0067】
GND130は、例えば、ベタGND等であってもよい。なお、
図5に示すGNDの配置および面積は一例に過ぎない。
【0068】
また、金属板アンテナ110は、基板150の上面において、給電点接触部112が給電点120と、GND接触部114がGND130と接触するように配置される。
【0069】
なお、
図5には、アンテナ装置10が
図1に示す金属板アンテナ110Aを備える場合の例が示される。
【0070】
続いて、本実施形態に係るアンテナ装置10が備える他の構成について説明する。
【0071】
本実施形態に係るアンテナ装置10は、給電点120と伝送線路で接続される高周波IC160(
図6参照)、および規定の周波数帯における信号を減衰するノッチフィルタをさらに備える。
【0072】
また、高周波IC160と給電点120とを結ぶ伝送線路とノッチフィルタとの接続有無は素子180により切り替え可能であってもよい。
【0073】
図6は、本実施形態に係る給電点120、高周波IC160、ノッチフィルタ、および素子180の配置関係について説明するための図である。
【0074】
なお、
図6には、ノッチフィルタがスタブ170である場合の一例が示される。
【0075】
スタブ170の長さD1は、減衰の対象とする周波数に応じて設計される。
【0076】
例えば、規定の通信規格が超広帯域無線通信である場合を想定する。超広帯域無線通信では、複数のチャネルが規定されるが、国や地域などにより利用可能なチャネルが制限される場合がある。
【0077】
例えば、X国においてCH5およびCH9が利用可能であるのに対し、Y国ではCH9のみが利用可能である場合、Y国において利用されるアンテナ装置10は、CH5における信号の送受信を行わないことが求められる。
【0078】
上記のような事情に鑑み、本実施形態に係るアンテナ装置10は、製造過程または製造後において送受信する無線信号の周波数帯域の変更が可能であってもよい。
【0079】
例えば、上記に挙げた例の場合、スタブ170の長さD1は、CH5に対応する周波数帯における信号を減衰する長さで形成される。
【0080】
また、高周波IC160と給電点120とを結ぶ伝送線路とスタブ170との接続有無は、例えば、チップ素子の有無により切り替え可能であってもよい。なお、チップ素子は、素子180の一例である。
【0081】
アンテナ装置10がチップ素子を備える場合、チップ素子が高周波IC160と給電点120とを結ぶ伝送線路とスタブ170とを接続し、スタブ170によりCH5に対応する周波数帯における信号が減衰されることでCH5が利用不可能となる。
【0082】
一方、アンテナ装置10がチップ素子を備えない場合、高周波IC160と給電点120とを結ぶ伝送線路とスタブ170とが接続されていない状態が維持され、スタブ170によるCH5に対応する周波数帯における信号の減衰が行われず、CH5およびCH9の両方が利用可能となる。
【0083】
このように、本実施形態に係るアンテナ装置10は、製造過程においてチップ素子の有無を切り替えることにより、利用可能とするチャネルを容易に変更することができる。
【0084】
一方、本実施形態に係る素子180は、スイッチング素子であってもよい。
【0085】
この場合、スイッチング素子により高周波IC160と給電点120とを結ぶ伝送線路とスタブ170との接続有無を切り替えることにより、利用可能とするチャネルの変更が可能である。
【0086】
また、この場合、製品出荷後においても、利用可能とするチャネルを切り替えることが可能となり、より汎用性が高まる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係るアンテナ装置10は、素子180により高周波IC160と給電点120とを結ぶ伝送線路とスタブ170との接続有無を切り替えることで、利用可能とする周波数帯を変更することを特徴の一つとする。
【0088】
上記の特徴によれば、仕向け先の変更等にも容易に対応することが可能となり、コストを大幅に低減することができる。
【0089】
なお、上記では、ノッチフィルタおよび素子180の数がそれぞれ1つである場合を例示したが、ノッチフィルタおよび素子180の数はかかる例に限定されない。
【0090】
ノッチフィルタおよび素子180の数は、利用制限をしたい周波数帯の数に応じて設計されればよい。
【0091】
一方、本実施形態に係るアンテナ装置10は、必ずしもCH5およびCH9等の複数のチャンネルに対応可能に設計されなくてもよい。
【0092】
例えば、金属板アンテナ110は、0.5λの共振モードをCH9の帯域に合わせるためにアンテナ長が設計されてもよいし、0.25λの共振モードをCH9の帯域に合わせるためにアンテナ長が設計されてもよい。
【0093】
<<1.3.金属板アンテナ110の配置>>
次に、本実施形態に係る金属板アンテナ110の配置についてより詳細に説明する。
【0094】
本実施形態に係る金属板アンテナ110は、受信する偏波に応じた基板上の位置に配置されてもよい。
【0095】
図7および
図8は、基板上の位置に応じた金属板アンテナ110を流れる電流の分布および当該電流の分布に応じた偏波の向きについて説明するための図である。
【0096】
なお、
図7および
図8においては、電流の向きがドットの矢印により、偏波の向きが斜線の矢印により示される。
【0097】
図7には、基板150の中央付近に金属板アンテナ110Aが配置される場合の例が示される。
【0098】
この場合、
図7に示すように、金属板アンテナ110Aの上面を基板150と水平に流れる電流はほぼなく、基板150に対して垂直に流れる電流が支配的となる。
【0099】
この結果、金属板アンテナ110に係る偏波は垂直偏波となり、金属板アンテナ110は垂直偏波のみを受信可能となる。
【0100】
一方、
図8には、基板150の隅近傍に金属板アンテナ110Aが配置される場合の例が示される。
【0101】
この場合、基板150の中央付近に金属板アンテナ110Aが配置される場合とは異なり、金属板アンテナ110Aの上面を基板150と水平に流れる電流が増大する。
【0102】
この結果、金属板アンテナ110に係る偏波は垂直から大きく傾き、金属板アンテナ110は垂直偏波に加え水平偏波も受信可能となる。
【0103】
ここで、例えば、金属板アンテナ110がスマートフォンの送信する偏波を受信する場合を想定する。
【0104】
一般的に、スマートフォンは机上等において水平に置かれるか、ポケットや鞄の中に垂直に近い状態で収納される場合が多いことから、スマートフォンは水平偏波および垂直偏波の両方を送信する可能性が高い。
【0105】
このため、スマートフォンのような装置からの偏波の受信を想定する場合、本実施形態に係るアンテナ装置10は、
図8に示すように、基板150の隅近傍に配置されてもよい。
【0106】
なお、基板150上の位置に応じて金属板アンテナ110に係る偏波が変化する要因の一つは、GND130を流れる電流の非対称性である可能性がある。このことから、本実施形態に係るGND130は、金属板アンテナ110が受信する偏波に応じたパターンで形成されてもよい。
【0107】
<<1.4.変形例>>
以上、本実施形態に係る金属板アンテナ110について基本説明を行った。続いて、本実施形態に係る金属板アンテナ110の変形例について述べる。
【0108】
まず、折り曲げ部116の変形例について説明する。上記では、本実施形態に係る折り曲げ部116がアーチ形状の内側に向けて折り曲げられる場合を主な例として説明したが、本実施形態に係る折り曲げ部の形状はかかる例に限定されない。
【0109】
図9は、本実施形態に係る折り曲げ部116の変形例について説明するための模式図である。なお、
図9には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0110】
図9の上段に示すように、本実施形態に係る折り曲げ部116Aは、アーチ形状の外側に向けて折り曲げられてもよい。
【0111】
また、
図9の中段に示すように、本実施形態に係る折り曲げ部116Aは、アーチ形状の外側に向けて折り曲げられた後、略垂直方向にさらに折り曲げられてもよい。
【0112】
この場合、はんだ等の導電性接着剤による固定においてフィレットを形成しやすく、さらには形成されたフィレットの確認がしやすいというメリットがある。
【0113】
一方、本実施形態に係る金属板アンテナ110Aは、
図9の下段に示すように、折り曲げ部116Aを有せずともよい。
【0114】
この場合であっても、はんだ等の導電性接着剤により固定することで、金属板アンテナ110Aは基板150上に自立可能である。
【0115】
また、金属板アンテナ110が折り曲げ部116を有する場合、金属板アンテナ110は、折り曲げ部116の直上近傍に開口部210を有してもよい。
【0116】
図10は、折り曲げ部116の直上近傍に形成される開口部210について説明するための図である。なお、
図10には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0117】
金属板アンテナ110Aは、金属材料を用いて形成されるため、熱伝導率が高い。このため、はんだ等の導電性接着剤による固定を実施する際、熱が折り曲げ部116Aの上方に逃げやすい傾向がある。
【0118】
しかし、
図10に示すように、折り曲げ部116Aの直上近傍に開口部210Aが形成される場合、熱が折り曲げ部116Aの上方に逃げることを効果的に防止し、はんだ等の導電性接着剤による固定を効率的に実施することが可能となる。
【0119】
次に、アンテナ長の確保に関する変形例について述べる。
【0120】
目的とするアンテナ長を確保するために、本実施形態に係る金属板アンテナ110は、スリット220等の電流を迂回させるための構造を有してもよい。
【0121】
図11および
図12は、本実施形態に係るスリット220について説明するための図である。なお、
図11および
図12には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Bおよび110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0122】
図11に示すように、本実施形態に係る金属板アンテナ110Aは、上面または側面(給電点接触部112A側の側面(給電側面)、またはGND接触部114A側の側面(GND側面))に1つまたは複数のスリット220Aを有してもよい。
【0123】
図11に示すように、金属板アンテナ110Aがスリット220Aを有する場合、電流がスリット220Aを迂回して流れることとなり、給電点接触部112AとGND接触部114Aとの間の長さにより規定されるアンテナ長をより長く確保することが可能となる。
【0124】
なお、
図11においては、複数のスリット220Aが同一方向に形成される場合を例示したが、本実施形態に係るスリット220Aの形成パターンはかかる例に限定されない。
【0125】
本実施形態に係るスリット220Aは、例えば、
図12の上段および下段に示すように、対向する2方向に形成されてもよい。
【0126】
また、金属板アンテナ110に形成される、電流を迂回させるための構造は、スリット220に限定されない。当該構造は、開口部210であってもよい。
【0127】
図13は、電流を迂回させるための構造としての開口部210について説明するための図である。なお、
図13には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Bおよび110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0128】
図13に示すように、本実施形態に係る金属板アンテナ110Aは、上面または側面(給電側面またはGND側面)に1つまたは複数の開口部210Aを有してもよい。
【0129】
図13に示すように、金属板アンテナ110Aが開口部210Aを有する場合、電流が開口部210Aを迂回して流れることとなり、給電点接触部112AとGND接触部114Aとの間の長さにより規定されるアンテナ長をより長く確保することが可能となる。
【0130】
以上、電流を迂回させるための構造としてのスリット220および開口部210について説明した。スリット220および開口部210の形成パターンは、目的とするアンテナ長、金属板アンテナ110のサイズ等に応じて適宜設計されてよい。
【0131】
続いて、
図14を参照して、2つの給電点接触部112を有する金属板アンテナ110の変形例について説明する。
【0132】
図14に示す金属板アンテナ110Dは、GND接触部114を有しない代わりに、2つの給電点接触部112D1および112D2を有する。
【0133】
2つの給電点接触部112D1および112D2は、基板150に備えられる給電用配線230D1(+)または230D2(-)にそれぞれ接続される。
【0134】
上記のような構成によれば、金属板アンテナ110Dは、GND130による鏡像効果なしに1波長のループアンテナとして動作することが可能となる。
【0135】
なお、金属板アンテナ110Dは、
図15に示すように、基板150に形成される金属箔パターン190(格子柄で示す)を介して給電用配線230Dと電気的に接続されてもよい。なお、金属箔パターン190は、例えば、銅箔等により形成されてもよい。この場合であっても、金属板アンテナ110Dは、GND130による鏡像効果なしに1波長のループアンテナとして動作することが可能である。
【0136】
以上、アンテナ長の確保に関する変形例について説明した。次に、給電側面の形状に関する変形例について述べる。
【0137】
図16は、本実施形態に係る金属板アンテナ110の給電側面の形状のバリエーション例を示す図である。
【0138】
本実施形態に係る金属板アンテナ110の給電側面は、給電点120に接触する下端の幅W2が上端の幅W1と比較して短くなるよう形成されてもよい。
【0139】
上記のような形状によればインピーダンス整合を取りやすいという効果が得られる。
【0140】
ただし、インピーダンスを他の手段により整合可能な場合、
図16の下段右端に例示するように、下端の幅W2は上端の幅W1同程度であってもよい。
【0141】
次に、本実施形態に係る金属板アンテナ110がスタブ240を有する場合の変形例について述べる。
【0142】
図17は、本実施形態に係るスタブ240の形成例を示す図である。なお、
図17には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Bおよび110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0143】
図17に示すように、本実施形態に係る金属板アンテナ110は、GND側面、上面、給電側面のうちのいずれか一面または複数の面に1つまたは複数のスタブ240Aを有してもよい。
【0144】
スタブ240Aは、
図17の上段に示すように、給電点接触部112AとGND接触部114Aとを結ぶ方向に対し略直交する方向に延長するよう形成されてもよい。
【0145】
上記のように形成されるスタブ240Aによれば、
図7および
図8に示す電流の流れと直交する方向にさらに電流を流すことができ、金属板アンテナ110Aを円偏波アンテナとして機能させることが可能となる。
【0146】
または、スタブ240Aは、
図17の下段に示すように、給電点接触部112AとGND接触部114Aとを結ぶ方向に対し略直交する方向に延長した後、さらに給電点接触部112AまたはGND接触部114Aに向かって延長するよう形成されてもよい。
【0147】
また、スタブ240Aは、例えば、
図17において二点鎖線で示す箇所において折り曲げられてもよい。
【0148】
本実施形態に係るスタブ240によれば、偏波およびアンテナ長を効率的に調整することが可能となる。
【0149】
次に、本実施形態に係るモールド構造について述べる。
【0150】
図18は、本実施形態に係るモールド構造の例を示す図である。なお、
図18には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Bおよび110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0151】
図18の上段に示すように、本実施形態に係る金属板アンテナ110Aが有するアーチ形状の内側には絶縁性材料250が充填されていてもよい。
【0152】
または、
図18の下段に示すように、本実施形態に係る金属板アンテナ110Aは、アーチ形状の内側に加え外側を絶縁性材料250により覆われていてもよい。
【0153】
このような、絶縁性材料250を用いたモールド構造によれば、金属板アンテナ110Aの形状の変化を効果的に防止することができる。
【0154】
次に、本実施形態に係る金属板アンテナ110が支持部260を有する場合の変形例について述べる。
【0155】
本実施形態に係る支持部260は、基板150上における金属板アンテナ110の自立を支持する構成である。
【0156】
図19は、本実施形態に係る支持部260の形状例について説明するための図である。なお、
図19には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Bおよび110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0157】
図19に示すように、本実施形態に係る金属板アンテナ110Aは、1つまたは複数の支持部260を有してもよい。
【0158】
なお、
図19には、支持部260が給電側面に配置される場合が例示されているが、支持部260は、金属板アンテナ110Aの上面と基板150とを接続するように形成されてもよい。
【0159】
本実施形態に係る支持部260によれば、金属板アンテナ110Aが基板150上において、より安定して自立することが可能となる。
【0160】
次に、本実施形態に係る金属板の変形例について述べる。
【0161】
上記では、本実施形態に係る金属板アンテナ110が1枚の金属板から形成される場合を主に説明した。
【0162】
一方、本実施形態に係る金属板アンテナ110は、複数の金属板から構成されてもよい。
【0163】
図20は、本実施形態に係る複数の金属板から形成される金属板アンテナ110について説明するための図である。なお、
図20には、金属板アンテナ110Aの変形例が示されているが、金属板アンテナ110Bおよび110Cについても同様の変形例を適用可能である。
【0164】
図20に示すように、本実施形態に係る金属板アンテナ110Aは、金属板110A1および金属板110A2から構成されてもよい。
【0165】
金属板110A1および金属板110A2の間の領域は、直流的には導通していないものの、当該領域はコンデンサとして動作することから、高周波の導通は実現され、金属アンテナ板110Aのアンテナとしての機能もまた実現される。
【0166】
なお、金属板110A1および金属板110A2の間の領域には、
図20に示すように、例えば、絶縁性材料250が充填されてもよい。
【0167】
この場合、金属板アンテナ110Aの形状(構造)をより安定して保持することが可能となる。
【0168】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0169】
10:アンテナ装置、110(110A~110C):金属板アンテナ、112(112A~112C):給電点接触部、114(114A~114C):GND接触部、116(116A、116C):折り曲げ部、118(118B、118C):ピン部、120:給電点、130:GND、150:基板、155:スルーホール、160:高周波IC、170:スタブ、180:素子、190:金属箔パターン、210:開口部、220:スリット、240:スタブ、250:絶縁性材料、260:支持部