(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069273
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】外科デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024029855
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2021512535の分割
【原出願日】2019-09-11
(31)【優先権主張番号】1815630.7
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】503116084
【氏名又は名称】バスクテック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VASCUTEK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】セオネイド バーバラ ニモ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流体が流れることができる内腔を画定する脈管内における流体流を制御するデバイスを提供する。
【解決手段】外科デバイス40は、脈管を包囲する眼口部60を画定するするよう交差する第1及び第2のループを形成するようそれぞれ構成した第1及び第2の細長可撓性部材42,42’を有する圧縮可能な「C」字状の動作部材43を使用して、脈管を釈放可能に抑止することによって脈管内の流体流を制御するものであり、動作部材43は、ギャップ47によって分離した第1及び第2のアーム44,46を有し、第1及び第2の細長可撓性部材に張力を印加できるように、第1アームは第1細長可撓性部材に取り付け可能であり、第2アームは第2細長可撓性部材42′に取り付け可能であり、眼口部はギャップ内に位置付けられ、これにより動作部材の圧縮は細長可撓性部材の張力を弛緩させ、眼口部を開かせ、また脈管内流体流を流すことができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れることができる内腔を画定する脈管(1;101)内における流体流を制御する
デバイス(10;100;40)において、
内腔を画定する前記脈管を包囲する眼口部(20;120;60)を形成するよう構成されて
おり、第1取付けポイント及び第2取付けポイントを有する少なくとも1つの細長可撓性
部材(12;132,134;42,42′)と、並びに
前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)における前記第1取
付けポイント及び第2取付けポイントに取り付けることができる圧縮可能な動作部材(13
;113;43)であって、前記動作部材(13;113;43)に圧力を加える際に圧縮可能であり
、また前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)に作用するよう
動作可能であり、前記作用は、前記眼口部(20;120;60)が前記内腔内の流体流を抑止
するよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42、42′)が緊張状態
の下にある第1位置、及び前記眼口部(20;120;60)が前記内腔内の流体流を抑止しな
いよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)が弛緩する第
2位置から移動可能となるようにするものである、該動作部材(13;113;43)と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のデバイスにおいて、前記動作部材(13;113;43)は、前記少なくとも
1つの細長可撓性部材(12;132,134;42、42′)が前記第1位置に向かうよう偏移させ
られるよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)に作用す
る動作が可能である、デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2記載のデバイスにおいて、前記動作部材(13;113;43)は、ギャップ
(17;117;47)によって分離した第1及び第2のアーム(14,16;114,116;44,46)
を有するC字状部材であり、前記第1アーム(14;114;44)は前記前記少なくとも1つ
の細長可撓性部材(12;132;42)の前記第1取付けポイントに取り付けることができ、
また前記第2アーム(16;116;46)は前記前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;1
34;42′)の前記第2取付けポイントに取り付けることができ、前記眼口部(20;120;6
0)は前記ギャップ(17;117;47)内に位置付けられ、前記第1及び第2のアーム(14,
16;114,116;44,46)の少なくとも一方は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12
;132,134;42,42′)を前記第1位置から前記第2位置に移動させるよう、内方に移動
可能である、デバイス。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項記載のデバイス(10;40)において、前記動作部材(
13;43)は、ギャップ(17;47)によって分離した第1及び第2のアーム(14,16;44,
46)を持つV又はU字状ヒンジ部分(18;48)を有し、前記アームは基端側の前記V又は
U字状ヒンジ部分(18;48)から延在し、前記第1及び第2のアーム(14,16;44,46)
各々は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;42,42′)を前記動作部材(13;43
)の前記第1及び第2のアーム(14,16;44,46)に挿通取付けするよう前記少なくとも
1つの細長可撓性部材(12;42,42′)を受け入れるための末端側の遊端を有する、デバ
イス。
【請求項5】
請求項3又は4記載のデバイス(10)において、前記少なくとも1つの細長可撓性部材
は、第1及び第2の端部(22,24)を有する単一の細長可撓性部材(12)であり、前記動
作部材(13)の前記第1アーム(14)は第1挿通構成(26)を有し、また前記動作部材(
13)の前記第2アーム(16)は第2挿通構成(28)を有し、前記少なくとも1つの細長可
撓性部材(12)の前記第1端部(22)は、前記動作部材(13)の前記第1挿通構成(26)
に挿通し、また前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12)の前記第2端部(24)は、前
記動作部材(13)の前記第2挿通構成(28)に挿通する、デバイス。
【請求項6】
請求項5記載のデバイス(10)において、前記第1挿通構成(26)及び前記第2挿通構
成(28)のうち少なくとも一方は開孔を有し、前記開孔は、前記少なくとも1つの細長可
撓性部材の一部分を前記開孔内に摩擦によって保持する構成(30)にされた、デバイス。
【請求項7】
請求項6記載のデバイス(10)において、前記開孔は、前記少なくとも1つの細長可撓
性部材(12)との摩擦相互作用を高めるよう、粗面化、又はリブ付き、又は溝付き、又は
鋸歯状化した内面(30)を有する、デバイス。
【請求項8】
請求項5記載のデバイス(10)において、前記第1挿通構成(26)及び前記第2挿通構
成(28)の各々は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材を挿通するための複数の巻き付
けポイントを生ずる形状にした開孔を有する、デバイス。
【請求項9】
請求項1~4のうちいずれか1項記載のデバイス(100)において、前記少なくとも1
つの細長可撓性部材は、第1ループ(136)を形成するよう構成された第1細長可撓性部材
(132)と、第2ループ(138)を形成するよう構成された第2細長可撓性部材(134)と
を有し、前記第1及び第2の細長可撓性部材(132,134)は、前記第1及び第2のループ
(136,138)が前記内腔を包囲する眼口部(120)を画定するようリンク連結される構成
にし、前記第1細長可撓性部材(132)の一部分は第1取付けポイントを有し、また前記
第2細長可撓性部材(134)の一部分は第2取付けポイントを有する、デバイス。
【請求項10】
請求項9記載のデバイス(100)において、前記第1アーム(114)は第1挿通構成(12
6)を有し、また前記第2アーム(116)は第2挿通構成(128)を有し、前記第1細長可
撓性部材(132)は前記第1挿通構成(126)に挿通し、また前記第2細長可撓性部材(13
4)は前記第2挿通構成(128)に挿通する、デバイス。
【請求項11】
請求項5、8又は10記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の挿通構成(26,28
;126,128)は、前記動作部材(13;113)の対応するアームの側面からアクセス可能な
J字状溝孔を有する、デバイス。
【請求項12】
請求項1~4のうちいずれか1項記載のデバイス(40)において、第1及び第2のアー
ム(44,46)の各々は、開孔(61)から成る挿通構成(56,58)を有し、前記第1細長可
撓性部材(42)の十分な長さ部分がループを形成するよう前記第1細長可撓性部材(42)
の端部を前記第1挿通構成(56)の前記開孔(61)に挿通し、また前記第1細長可撓性部
材(42)の前記端部を前記第1挿通構成(56)の前記開孔(61)に戻して挿通し、前記第
2細長可撓性部材(42′)の十分な長さ部分がループを形成するよう前記第2細長可撓性
部材(42′)の端部を前記第2挿通構成(58)の前記開孔(61)に挿通し、また前記第2
細長可撓性部材(42′)の前記端部を前記第2挿通構成(58)の前記開孔(61)に戻して
挿通し、可撓性部材(42,42′)の各々は、一方の可撓性部材(42)が他方の可撓性部材
(42′)によって形成される前記ループに貫通するよう挿通される、デバイス。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか1項記載のデバイスにおいて、第1ループ(136)を形
成するよう構成された第1細長可撓性部材(132;42)及び第2ループ(138)を形成する
よう構成された第2細長可撓性部材(134;42′)を備え、前記第1及び第2の細長可撓
性部材(132,134;42,42′)は、前記第1及び第2のループ(136,138)が前記内腔を
包囲する眼口部(120;60)を画定するよう交差する構成にされる、デバイス。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか1項記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの細
長可撓性部材(12;132,134;42、42′)弾性シリコーン材料から形成される、デバイス
。
【請求項15】
請求項1~14のうちいずれか1項記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの細
長可撓性部材(12;132,134;42、42′)は弾性コード又は弾性フィラメントである、デ
バイス。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか1項記載のデバイスにおいて、前記動作部材(13;113
;43)は指圧力を加える際に圧縮可能であり、また前記動作部材は、指圧力を加え易くす
るよう上側表面及び下側表面に外部窪み(344,346)を有する、デバイス。
【請求項17】
医療処置に使用するキットであって、請求項1~16のうちいずれか1項記載のデバイ
スと、及び内腔を画定する管状分岐を有する補綴グラフトとを備え、(a)前記デバイスは
、前記デバイスの眼口部が前記管状分岐を包囲するよう前記動作部材及び前記細長可撓性
部材が組み立てられた「使える準備が整っている」ものとして設けられ、又は(b)前記デ
バイスの前記動作部材及び前記細長可撓性部材は、ユーザーが組み立てるべき個別のコン
ポーネントである、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内腔を画定する脈管内の流体流を制御する外科デバイスに関する。生理的機
能系及び臓器内における流体流を可能にする内腔を画定する天然の脈管は、脈管構造、リ
ンパ系、腎臓系、呼吸器系、等々の管状接続組織を有する。合成的又は補綴的なデバイス
は、さらに、外科的処置の少なくとも一部分中に流体流制御が望ましい管状パーツを有す
る。本開示は、内腔又は貫通通路を画定する長さ及び横方向寸法を有する天然及び合成双
方の脈管に適用することができ、脈管は、例えばクランプによって貫流を閉じることがで
きる可撓性の壁付き脈管とすることができる。
【背景技術】
【0002】
血管内送達系内に止血を生ずる市販の弁は多くの人々には極端に高価であり、過剰にオ
ーバースペックになりがちであると考えられている。時間の経過につれて、これら弁はそ
の効率を喪失することが分かっており、また例えば止血を生ずる能力が失われる。
【0003】
外科的な縫合糸、ループ又は結紮糸は、外科手術中に天然脈管を抑止する又は結紮する
のに現在使用されている。保持部材を有するワイヤ状外科的ループを備える装置が特許文
献1(国際公開第01/76487号)に開示されている。しかしながら、時間の効率的
な使用が重要であるとき、外科的処置中にこれら外科的ループを緩めたり締め付けたりす
るのは面倒かつ時間を要することが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第01/76487号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来デバイスにおける少なくとも1つの問題を軽減又は排除して、設
計簡単かつ使用容易であるデバイスを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によれば、流体が流れることができる内腔を画定する脈管(1;101)
内における流体流を制御するデバイスを提供し、このデバイスは、
内腔を画定する前記脈管を包囲する眼口部を形成するよう構成されており、第1取付け
ポイント及び第2取付けポイントを有する少なくとも1つの細長可撓性部材と、並びに
前記少なくとも1つの細長可撓性部材を備え付けるための動作部材であって、ハンドル
又は継手とすることができる共通ポイントからそれぞれ延在する少なくとも第1及び第2
のアームを有し、また好適な実施形態においてほぼC字状、V字状又はU字状等々の形状
のものとして構成され得る、該動作部材とを備える。前記動作部材の前記第1アームは前
記少なくとも1つの細長可撓性部材の前記第1取付けポイントに取付け可能であり、前記
動作部材の前記第2アームは前記少なくとも1つの細長可撓性部材の前記第2取付けポイ
ントに取付け可能である。動作部材は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材を備え付け
るための手持ちデバイスをなすよう、ユーザーが片手で動作部材を取扱い操作するサイズ
である。
【0007】
実施形態において、前記動作部材は、必要とされるとき少なくとも1つの細長可撓性部
材に緊張を付与するとともに、必要とされるとき少なくとも1つの細長可撓性部材の緊張
を減少するようユーザーが動作部材を取扱い操作できる十分な弾性を有する可撓性材料か
ら形成することができる。前記動作部材の共通ポイントは、前記動作部材の前記第1及び
第2のアームが相対移動する屈曲部又はばね負荷ヒンジ部分とすることができる。前記動
作部材、とくに、屈曲部のために選択される材料は、永久変形することなく復元可能な歪
みを生ずる。
【0008】
各細長部材が比較的高い可撓性であることが知られている材料、例えば、シリコーンゴ
ムコードから選択される実施形態において、当業者であれば、引張係数(GPa単位)及
び復元可能引張歪み(%)を含む細長可撓性部材の材料パラメータを理解し、また十分な
配慮するであろう。これら双方の特性は、一軸引張応力-歪み試験(例えば、ASTM D412、
ASTM D638、又は随意的にASTM D1708)を使用して細長可撓性部材に対して測定すること
ができ、この場合、細長部材は、所定最大偏位までの張力負荷を掛け、また負荷解除する
。この事例で、「可撓性」細長部材の代表的な適正係数範囲は0.01~0.1GPaであ
り、代表的な適正復元可能歪みは5%~300%である。しかし、これらは単に例示的範
囲であり、細長可撓性部材がこの範囲外にある特性を有する他の実施形態も考えられる(
例えば、より高い弾性率及びより低い復元可能歪みを有するが、異なる断面/長さジオメ
トリを有する材料の細長部材)。この事例で、細長可撓性部材がポリマー又は金属/合金
製のワイヤ又は編組から成る実施形態も考えられる。
【0009】
この事例で比較的低い引張剛性及び高い復元可能歪み特性を有するこのような可撓性細
長部材を使用することは、比較的低い力で細長部材材料を伸張させることによって(例え
ば、止血を維持しつつ血管内のガイドワイヤ上に大きなカテーテルを挿入することによっ
て)、「眼口部」を拡大できることを意味し、またこの伸張は細長部材の永久変形を生ず
る結果とならないことを意味する。
【0010】
細長部材が比較的引張剛性が高いものであるよう選択される事例に対しては(例えば、
モノフィラメント若しくは多重フィラメントの縫合糸、ナイロン若しくはポリエチレンベ
ースの編組ストリング)、重要な材料パラメータは引張剛性である。この事例において、
この剛性は、止血シールを得るに関与する力の下で細長部材の無視できる伸張しかないよ
うに十分高いものとすべきである。この事例で使用される材料の観点から、それらは、1
~10GPaの範囲内におけるヤング率を有するポリマーとすることができる。しかし、
異なるヤング率を有する他の材料も選択して十分な引張剛性を有する細長部材設計にする
ことができる。
【0011】
この事例において、細長部材の比較的高い引張剛性は、「眼口部」のサイズは使用にあ
たり主に圧縮可能な動作部材の位置によって制御されることを意味する(すなわち、アー
ムに対する圧縮によりユーザーが眼口部を拡大することができ、またアームを釈放するこ
とによって細長可撓性部材を復元し、これにより眼口部直径を減少させることを可能にす
る)。
【0012】
或る実施形態において、圧縮可能な動作部材は、少なくとも1つの細長可撓性部材にお
ける第1取付けポイント及び第2取付けポイントに取り付けることができ、圧縮可能な動
作部材の少なくとも1つのアームは圧縮可能動作部材に対する圧力印加の際に圧縮可能で
あり、また少なくとも1つの細長可撓性部材に作用するよう動作可能であり、この作用は
、前記眼口部が前記内腔内の流体流を抑止するよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部
材が緊張状態の下にある第1位置、及び前記眼口部が前記内腔内の流体流を抑止しないよ
う、前記少なくとも1つの細長可撓性部材が弛緩する第2位置から移動可能となるように
するものである。
【0013】
圧縮可能動作部材に対する圧力印加は、デバイスユーザーの指圧力とすることができる
。デバイスは、都合よくはユーザーが手で保持されるものであり、また圧力は、ユーザー
の親指と1つ又はそれ以上の指との間でデバイスの圧縮可能動作部材を圧縮することによ
って印加することができる。
【0014】
圧縮可能動作部材は、ヒンジ、継手又は可撓性部分のような共通ポイントからそれぞれ
延在する第1及び第2のアームを有することができ、したがって、圧縮可能動作部材は、
ほぼC字状、V字状又はU字状の形状として構成され、ユーザーが圧縮するとき互いに接
近する方向に移動可能である互いに離れた遊端を有する。第1及び第2のアームは、個別
に真直ぐ又は湾曲した長さ部分を有することができる。第1及び第2のアームは、弾性形
状保持材料から作成することができ、これによりユーザーが圧縮した状態から第1及び第
2のアームを釈放するとき、第1及び第2のアームをそれらの元の形態に復元させる。非
圧縮状態は、細長可撓性部材が第1位置にある第1形態と見なすことができる。圧縮状態
は、細長可撓性部材が第2位置にある第2形態と見なすことができる。
【0015】
デバイスは、ユーザーが圧縮可能動作部材を圧縮し、また釈放した後に、第1及び第2
のアームを非圧縮の第1形態に確実に復元させる形態バイアス部材を組み込むことができ
る。形態バイアス部材は、少なくとも1つの細長可撓性部材に対する干渉を回避するよう
十分な幅の空間内で第1及び第2のアーム間に、随意的に圧縮可能動作部材のヒンジ、継
手若しくは可撓性部分に又はその近傍に配置するコイルばね、板ばね、トーションばね、
等々のようなばねとすることができ、第1及び第2のアームを非圧縮状態の第1形態に向
けて押圧偏移させることができる。このような形態バイアス部材は、少なくとも1つの細
長可撓性部材における張力を維持する又は対向させるのに有益でもあり得る。
【0016】
動作部材が少ない可撓性又はより高い剛性であり、ユーザーの手又は指の圧力による圧
縮により抵抗性の高い材料である実施形態において、少なくとも1つの細長可撓性部材は
、緊張状態の下で弾性特性を保持する細長弾性部材とすることができる。細長弾性部材は
、引張荷重の下で限定伸張を呈するが、荷重を除去すると元の長さに復元する。引張荷重
の下にある間に細長弾性部材は、更なる伸張又は「クリープ」に対して抵抗を示す。
【0017】
シルク又はコットンのような天然ファイバを単独で又はその自然特性を変更するためコ
ーティングして使用することができるが、可撓性シリコーン材料が少なくとも1つの細長
可撓性部材に好適であり得る。少なくとも1つの細長可撓性部材は合成フィラメントとす
ることができ、このフィラメントは随意的にシリコーン被覆する、又は部分的にPTFE
被覆することができ、このフィラメントは、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又は取扱い操作及び整形が容易であるが、圧縮可能
動作部材に取り付けるとき開示された使用に対して想定される張力の下で恒久的伸張しな
い同様の物理的特性の他の可撓性材料をベースとすることができる。
【0018】
少なくとも1つの細長可撓性部材は、内腔閉塞条件から内腔開放条件にシフトするよう
ユーザー起動される取扱い操作が容易な機構を提供することを意図するが、第1位置と第
2位置との間の中間位置にユーザーが細長可撓性部材を握って取扱い操作できることは理
解されるであろう。
【0019】
「脈管」は血管のような天然脈管とすることができる。代案として、「脈管」は血管グ
ラフトにおける分岐のような合成脈管とすることができる。「細長可撓性部材」は、少な
くとも1つのループを容易に形成することができ、本明細書で「眼口部」と称されるルー
プ内の内部空間を画定することができる細長可撓性部材であると理解すべきである。細長
可撓性部材は、例えば、撚糸、スレッド、フィラメント、リボン、ファイバ若しくはコー
ド、又はストリング片とすることができ、ループ内の空間が脈管の幅を収容し得るもので
ある。細長可撓性部材は、取扱い操作及び整形が容易であり、また弾性を有するが、圧縮
可能動作部材に取り付けるとき開示された使用向けに細長可撓性部材が作成される材料の
弾性限界を超える張力の下で伸張しないものとすることができる。
【0020】
柔らかい織物管状部分を有する補綴デバイスとしての用途の事例において、補綴デバイ
スの柔らかい織物管状部分の周りにおける眼口部の閉鎖は、補綴デバイスの柔らかい織物
管状部分内に存在するいかなる物体周りの適合可能な封止を可能にすることは理解される
であろう。したがって、止血シールを生ずることができるとともに、カテーテル、ワイヤ
又は他の代表的送達システムコンポーネントのような任意な物体を、必要とされる場合に
補綴デバイスの柔らかい織物管状部分に通過させることを可能にする。このようにして、
開示したデバイスは、容易に適用及び除去可能な止血バルブとして作用する。随意的に、
デバイスは、外科処置中に所定位置にグラフトを維持するようグラフトにテザー付け(テ
ザリング)できる。
【0021】
動作部材は、少なくとも1つの細長可撓性部材を第1位置に向けて押圧偏移させるよう
、少なくとも1つの細長可撓性部材に作用する動作が可能であるものとすることができる
。
【0022】
動作部材は、「C」字状部材、又はV字状若しくはU字状若しくはギャップにより分離
した第1及び第2のアームを有する同様な形態のような二股デバイスとすることができる
。動作部材の第1アームは少なくとも1つの細長可撓性部材の第1取付けポイントに取り
付け可能であり、動作部材の第2アームは少なくとも1つの細長可撓性部材の第2取付け
ポイントに取り付け可能である。少なくとも1つの細長可撓性部材は、動作部材に取り付
ける前に眼口部を画定する少なくとも1つのループを形成するよう操作することができる
。眼口部は、動作部材の第1及び第2のアーム間におけるギャップに位置付けることがで
きる。動作部材の第1及び第2のアームのうち少なくとも一方は、少なくとも1つの細長
可撓性部材を第1位置から第2位置に移動するよう、動作部材の第1及び第2のアームの
うち他方に対して内方に移動可能とすることができる。第1及び第2のアームの各々は、
使用前の組立てステップで前記少なくとも1つの細長可撓性部材を通過させて対応するア
ームに取り付けることができる開孔を有することができる。第1及び第2のアームの各々
における対応する開孔は、アームの上方及び下方からアクセスすることができる、すなわ
ち、開孔は円形若しくは楕円形とし、又は付加的に側方溝孔からアクセス可能とすること
ができ、例えば、上方から見たときほぼJ字状、若しくはL字状の開孔とすることができ
る。開孔は取付け構造の一部を形成し、例えば、少なくとも1つの細長可撓性部材を取り
付けるための挿通構成としての役目を果たす。
【0023】
或る実施形態において、少なくとも1つの細長可撓性部材が通過できる少なくとも1つ
の開孔は、動作部材の第1及び第2のアームのうち少なくとも一方におけるピンホール開
孔とすることができる。このピンホール開孔は、少なくとも1つの細長可撓性部材の少な
くとも一部分が接触の際に相互作用するよう構成された表面によって画定することができ
、この相互作用は、前記表面と前記少なくとも1つの細長可撓性部材の前記接触部分が付
加的緊締手段なしに前記少なくとも1つの細長可撓性部材を十分位置決めするよう作用す
る。ピンホール開孔を画定する表面は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材との摩擦相
互作用を高めるよう、粗面化、又はリブ付き、又は溝付き、又は鋸歯状化することができ
る。これにより、前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、使用のために適切に位置決め
及び構成することができるとともに、使用中の望ましくない緩み又はたるみを回避するこ
とができる。好適には、第1及び第2のアームの各々にこのようなピンホール開孔を設け
る。ユーザーは、選択的にその形態を変化させることができ、例えば、少なくとも1つの
細長可撓性部材の接触部分とピンホール開孔を画定する表面との間における摩擦に打ち勝
つよう少なくとも1つの細長可撓性部材の一部分に十分な力を加えることによって、「眼
口部」を拡大することができる。
【0024】
或る実施形態において、前記動作部材及び前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、流
体を流せる内腔を画定する脈管内の流体流を制御するための「使える準備が整っている」
デバイスをユーザーに提供するよう予め組み立てる。このような実施形態において、少な
くとも1つの細長可撓性部材は、所望サイズの眼口部を画定するループを形成するのに十
分な長さだけ、開孔に挿通し、また引っ張り込む。
【0025】
前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、少なくとも1つの細長可撓性部材の接触部分
とピンホール開孔を画定する表面との間における摩擦に打ち勝つに十分な力のユーザー印
加の引っ張りがない場合に開孔から滑り抜ける傾向を減少させる材料から作成することが
できる。可撓性シリコーン材料が前記少なくとも1つの細長可撓性部材に好適なものであ
り得る。この可撓性シリコーン材料における少なくとも一部分は、少なくとも1つの細長
可撓性部材を開孔に挿通するとき組立を容易にするよう除去可能な低摩擦材料でカバーす
ることができる。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープはこの除去可能な低摩
擦材料としての役目を果たすことができる。モノフィラメント又は多重フィラメントの編
組材料を少なくとも1つの細長可撓性部材として使用することができる。
【0026】
前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、第1及び第2の端部を有する単一の細長可撓
性部材とすることができる。前記動作部材の前記第1アームは第1挿通構成を有し、また
前記動作部材の前記第2アームは第2挿通構成を有し得る。前記第1端部は前記第1挿通
構成に挿通し、また前記第2端部は前記第2挿通構成に挿通することができる。
【0027】
前記第1及び第2の挿通構成の各々は、前記挿通のための複数の巻き付けポイントを生
ずる形状にした開孔を有することができる。
【0028】
前記第1及び第2の挿通構成のうち少なくとも一方、及び随意的には双方は、前記動作
部材における前記アームの側面からアクセス可能な横方向に配設されたJ溝孔とすること
ができる。
【0029】
前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、第1ループを形成するよう構成された第1細
長可撓性部材と、第2ループを形成するよう構成された第2細長可撓性部材とを有するこ
とができる。前記第1及び第2の細長可撓性部材は、前記内腔を包囲する眼口部を画定す
るよう前記第1及び第2のループが並置される構成とすることができる。例えば、前記第
1及び第2のループは互いにリンク連結することができる。前記第1細長可撓性部材は第
1取付けポイントを有し、また前記第2細長可撓性部材は第2取付けポイントを有するこ
とができる。
【0030】
前記動作部材の前記第1アームは第1挿通構成を有し、また前記動作部材の前記第2ア
ームは第2挿通構成を有することができる。前記第1細長可撓性部材は前記第1挿通構成
に挿通し、また前記第2細長可撓性部材は前記第2挿通構成に挿通することができる。
【0031】
各挿通構成は開孔を有することができ、また各細長可撓性部材は、前記開孔を経て他方
の細長可撓性部材によって形成されたループに挿通し、また前記開孔に戻して挿通をする
ことができる。各挿通構成の前記開孔は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材の少なく
とも一部分が接触の際に相互作用するよう構成された表面によって画定することができ、
この相互作用は、前記表面と前記少なくとも1つの細長可撓性部材の前記接触部分が付加
的緊締手段若しくは保持手段なしに前記少なくとも1つの細長可撓性部材を十分位置決め
するよう作用する。前記開孔を画定する表面は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材と
の摩擦相互作用を高めるよう、粗面化、又はリブ付き、又は溝付き、又は鋸歯状化するこ
とができる。これにより、前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、使用のために適切に
位置決め及び構成することができるとともに、使用中の望ましくない緩み又はたるみを回
避することができる。
【0032】
前記少なくとも1つの細長可撓性部材を前記動作部材の前記第1及び第2のアームに取
り付けるために前記少なくとも1つの細長可撓性部材を挿通することは、使用中に前記動
作部材のアームにおける開孔から滑り抜けるのを回避するため、前記少なくとも1つの細
長可撓性部材に結び目を作ることによって固定することができる。
【0033】
前記少なくとも1つの細長可撓性部材はシリコーンから形成し得る。
前記少なくとも1つの細長可撓性部材は弾性コードとすることができる。
前記動作部材は、指圧力を加える際に圧縮可能とすることができる。
【0034】
デバイスの使用にあたり、とくに、前記少なくとも1つの細長可撓性部材が実際上単一
の細長可撓性部材である実施形態において、デバイスを脈管に対して当接させる又は取り
外す取扱い操作している間に拡張したループ形態にある眼口部の維持は、細いプローブ、
カテーテル端部、外科用メスの柄、尿道拡張器、等々のような手操作する任意な細長器具
とすることができる細長保持具を挿入することによって容易にすることができる。
【0035】
好適な実施形態において、可変寸法の眼口部を画定するよう互いに動作可能な第1及び
第2の細長可撓性部材の2つの交差ループを使用することは、形成される眼口部はいつで
も脈管周りに拡張又は閉鎖するため利用可能に維持することをもたらす。
【0036】
本発明の第2態様によれば、内腔を画定する管状分岐を有する補綴グラフトと、及び前
記管状分岐における内腔における流体流を制御するため、デバイスの眼口部が前記グラフ
トの分岐を包囲する上述したデバイスとを提供する。
【0037】
本発明の好適な実施形態を以下に単なる例として添付図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1実施形態によるデバイスを示す。
【
図2A】本発明の第2実施形態によるデバイスを示す。
【
図2B】本発明の第2実施形態によるデバイスを示す。
【
図2C】本発明の第2実施形態によるデバイスを示す。
【
図3A】本発明の実施形態における手動制御流体流デバイスの一部を形成するほぼC字状の圧縮可能な動作部材の斜視図を示す。
【
図3B】
図3Aに示される圧縮可能な動作部材の縦断面図を示し、使用にあたり動作部材の圧縮を容易にするユーザーの指のための上側表面及び下側表面における窪みを示す。
【
図3C】
図3Aに示される圧縮可能な動作部材の縦断面を上方及び一方の側面から見た斜視図を示し、細長可撓性部材を受け入れるための各ねじ孔のリブ付き内面をよりはっきりと示す。
【
図4】使用のために組み立てた本発明デバイスの実施形態を示し、このデバイスは、外科的処置中に抑止すべき血管(図示せず)を収容する眼口部を画定する交差挿通させた2重の細長可撓性部材を有する圧縮可能な動作部材を備える。
【
図5】管状補綴インプラントの分岐脈管に使用する第2実施形態によるデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に
図1につき説明すると、これは本発明の第1実施形態による、内腔を画定する脈管
1を通過する流体を制御するデバイス10を示す。このデバイス10は、図示の例では可
撓性コードである細長可撓性部材12を備える。
【0040】
デバイス10は、さらに、図示の例ではC字状である圧縮可能な動作部材13を備える
。このC字状部材13は、ギャップ17によって分離した末端側の遊端を持ち、またC字
状部材の基端側におけるヒンジ部分18の形態である共通ポイントから延在する第1及び
第2のアーム14、16を有する。図示の例では、ヒンジ部分18は、C字状部材13に
おける可撓性のU字状部分である。
図1に示すように、細長可撓性部材12は、脈管1を
包囲する眼口部20を形成するよう構成される。眼口部20はギャップ17に位置付けら
れ、また使用にあたり脈管1の外部上でほぼ横断するよう位置する。
【0041】
本開示及び特許請求の範囲で使用される用語「ヒンジ」及び「ヒンジ部分」は、この実
施形態又は任意な実施形態で第1及び第2のアームの基端側端部間における可撓性の連結
、継手、又は戻り部分に関し、これにより第1及び第2のアームのうち一方は、第1及び
第2のアームのうち他方に向かって移動することができる。
【0042】
第1アーム14は第1挿通構成26を有し、また第2アーム16は第2挿通構成28を
有する。細長可撓性部材12は、細長可撓性部材の第1端部22を第1挿通構成26に挿
通することによって、また細長可撓性部材の第2端部24を第2挿通構成28に挿通する
ことによって、C字状部材13に取り付けられる。
【0043】
図示の例において、第1及び第2の挿通構成26、28の各々は、櫛状部分を有する開
孔である。各開孔は、したがって、C字状部材13における複数の歯30を形成する。図
示の例において、細長可撓性部材12の各端部は、それに関連する挿通構成26、28の
歯30の周りに挿通する。挿通構成26、28の一方に位置付けられる細長可撓性部材1
2の各部分は、挿通構成に摩擦嵌合を形成し、これによりギャップ17に位置付けられる
第1細長可撓性部材12の部分を緊張させることができ、また眼口部を閉じた位置に向か
って偏移させることができる。細長可撓性部材12は挿通構成26、28に挿通させ、こ
の挿通は、休止位置でギャップ17内に位置付けられる細長可撓性部材12の部分が緊張状
態の下にあり、また眼口部20が内腔を通過する流体流を絞ることができるように行う。
【0044】
アーム14、16のいずれか一方は外表面に加わる圧力に応答して内方に移動可能であ
る。このことは、アーム14、16の一方に圧力が加わる場合、ギャップ17内に位置付
けられる細長可撓性部材の部分は弛緩し、この弛緩は眼口部20のサイズを増大させる効
果を有し、内腔における流体流を可能にする。各アーム14、16は加わる指圧力に応答
して移動可能であるのが好ましい。
【0045】
次に
図2A、2B及び2Cにつき説明すると、これは本発明の第2実施形態による、内
腔102を画定する脈管101内における流体流を制御するデバイス100を示す。図示
の実施形態においてこのデバイス100は、図示の例では可撓性コードである細長可撓性
部材132、134を備える。第1細長可撓性部材132は第1ループ136を形成する
よう構成され、また第2細長可撓性部材134は第2ループ138を形成するよう構成さ
れる。図示のように、脈管101を包囲する眼口部120を画定するよう第1ループ13
6は第2ループ138にリンク連結される。第1及び第2の細長可撓性部材132、13
4のうち一方の部分が他方におけるループ内を少なくとも1回通過して交差ループを形成
するよう構成される第1及び第2の細長可撓性部材132、134の使用は、眼口部12
0に安定性を与え、これにより脈管若しくはカテーテル又は外科器具のような物体が眼口
部内に存在しない場合でも眼口部形態が保持される。安定化した眼口部は、例えば、ユー
ザーが眼口部を物体上に通過させたい、又は物体を眼口部内にインサートしたいときに使
用が容易である。交差ループの使用は、物体周りのループにならない場合に緩めてほどけ
る単一ループよりも有利である。
【0046】
デバイス100は、さらに、第1及び第2の細長可撓性部材132、134に作用して
眼口部120を再度閉じることができるよう動作可能な動作部材113を備える。この実
施形態において、動作部材113はC字状部材である。図示の例において、動作部材11
3は、眼口部120が位置付けられるギャップ117によって分離した第1及び第2のア
ーム114、116を有する。第1及び第2のアーム114、116はヒンジ部分118
から上方に延在する。
【0047】
各アーム114、116は、各細長可撓性部材132、134のための挿通構成126
、128を有する。図示の例において、各挿通構成126、128は単一開孔を有する。
図示の例において、各細長可撓性部材132、134は、それに対応する開孔126、1
28を経てギャップ117内に挿通され、他方の細長可撓性部材におけるループを経て対
応する開孔に戻るよう挿通される。各細長可撓性部材132、134は弾性コードとし、
また対応する開孔内で対応するアームに対して摩擦嵌合を形成するよう、対応する開孔1
26、128のサイズに相関するサイズにすることができる。このことは、ループを形成
する各細長可撓性部材132、134の部分がループのサイズを調整することにより緊張
させることを可能にする。
【0048】
この実施形態において、ループ136、138の双方は、それらが連携動作するよう互
いにリンク連結し、このことは、眼口部を安定化する全体的効果を有し、また動作部材1
13による張力バイアスの下でループ136、138は、
図2Bに示すような眼口部12
0を閉じる休止位置に向かおうとする。
図2Cに示すように、アーム114、116は内
方に移動可能である。このことは、アームを内方に移動させるよう十分な圧縮力が動作部
材113に加えるとき、各ループ136、138は緩み、これにより眼口部120を開く
。
【0049】
ここで開示するデバイスの使用を、
図1につき上述した第1実施形態を参照して以下に
説明する。使用にあたり、第1実施形態のデバイス10は、例えば、脈管1が血管グラフ
トの分岐管である場合、眼口部20が既に脈管1を包囲するよう準備することができる。
代案として、デバイス10は、以下に説明するように医療従事者によって現場で組み立て
ることができる。デバイス10を組み立てるとき、医療従事者は、脈管が眼口部20内に
位置付けられた状態で眼口部20を形成するよう細長可撓性部材12を構成する。組立手
順の一部として、医療従事者は細長可撓性部材12の第1端部22を第1挿通構成26に
挿通し、また第2端部24を第2挿通構成28に挿通する。次に医療従事者は、眼口部が
脈管1内の流れを抑止するようギャップ17内に位置付けられる細長可撓性部材12の部
分を緊張させる。医療従事者が脈管1内に流体を流したいと思う場合、医療従事者は動作
部材を掴み、また単に動作部材13に指圧力を加えるよう指と親指との間で操作すること
ができ、これは眼口部20の寸法を変更させ、眼口部20を開いて脈管における流体流を
可能にする形態に眼口部20を変化させる効果を有する。医療従事者が指圧力を解除して
動作部材13が眼口部20を閉鎖位置に向けて押圧偏移させるとき、眼口部20は脈管1
の周りにより緊密な形態に復帰し、これにより眼口部20は脈管1を抑制し、脈管内での
流体流を阻害する。
【0050】
第2実施形態の使用を
図2A、2B及び2Cにつき以下に説明する。使用にあたり、第
2実施形態のデバイスは、脈管が、例えば、血管グラフトのような補綴デバイスの管状分
岐である場合、眼口部120を予め脈管101の周りを包囲するよう準備することができ
る。代案として、デバイス100は、以下に説明するように医療従事者によって現場で組
み立てることができる。デバイス100を組み立てるとき、医療従事者は、第1及び第2
の細長可撓性部材132、134各々がループを形成し、また眼口部120を画定するよ
うリンク連結されるよう、細長可撓性部材132、134を構成する。医療従事者は、細
長可撓性部材132、134をそれに対応する開孔126、128を経てギャップ117
内に、また細長可撓性部材132、134のうち一方を他方の細長可撓性部材のループに
挿通し、また対応する開孔126、128に戻って挿通することによって、このことを行
うことができる。次に医療従事者は、眼口部が脈管1内の流れを抑止するよう各細長可撓
性部材を緊張させる。
図5につき説明すると、医療従事者が脈管内に流体を流したいと思
うとき、医療従事者は動作部材を掴み、また単に動作部材113に指圧力を加えるよう操
作することができ、これは脈管101における流体流を可能にする位置に眼口部を移動さ
せる効果を有する。医療従事者がこの圧力を解除して動作部材113が眼口部を閉鎖位置
に向けて押圧偏移させるとき、眼口部は、眼口部が脈管101における流体流を阻害する
位置に復帰する。
【0051】
比較的複雑さがないことに起因して商業的に訴求力があり、また使用にあたり予測可能
な信頼性があるという利点をもたらす他の実施形態を以下に
図3A、3B及び3C並びに
図4につき説明する。
【0052】
先ず
図4説明すると、これは、他の実施形態による、内腔を画定する脈管(図示せず)
内の流体を制御するのに適した組み立て済みのデバイス40を示す。このデバイス40は
、図示及び例において、可変寸法の眼口部60を画定するよう互いに動作可能な交差挿通
した2つの細長可撓性部材42、42′から形成される細長可撓性部材42を備える。各
細長可撓性部材42、42′は、可撓性シリコーンコードから作成される。細長可撓性部
材42、42′は、
図3A、3B、及び3Cにおいて別個に図示されるユーザー圧縮可能
な動作部材43のアームにそれぞれ挿通される。
【0053】
図3A、3B、及び3Cにつき説明すると、この実施形態において、ユーザー圧縮可能
な動作部材43は、ほぼC字状部材であり、基端側ヒンジ部分48と、この基端側ヒンジ
部分48から延在しかつ末端側遊端を持つ第1及び第2のアーム44、46とを有する。
第1及び第2のアーム44、46はギャップ47によって分離する。図示の例において、
ヒンジ部分48は、C字状部材43におけるV字状又はU字状の部分である。第1及び第
2のアーム44、46各々は、対応する第1及び第2のアーム44、46の末端部近傍に
ピンホール開孔61を有する。各ピンホール開孔61を画定する内面62は、この実施形
態において、細長可撓性部材42、42′を対応するピンホール開孔61に挿通するとき
細長可撓性部材42、42′の一部分と摩擦的に相互作用するリブを形成する。
【0054】
図4に示すように、圧縮可能な動作部材43は一対の細長可撓性部材42、42′を収
容し、これら細長可撓性部材は、各個に脈管を包囲する眼口部60をなすよう構成された
細長可撓性部材を形成するものとして互いに機能する。
【0055】
第1アーム44は第1挿通構成56を有し、また第2アーム46は第2挿通構成58を
有する。細長可撓性部材42、42′は、細長可撓性部材42の第1端部52を第1挿通
構成56に挿通して第1ループを形成し、また第1端部52を第1挿通構成56に戻って
挿通することによってC字状部材43に取り付ける。このとき第2細長可撓性部材42′
は第2端部54として画定される遊端を有し、この第2端部54は、第2挿通構成58に
挿通し、また第1ループに挿通してリンク連結された第2ループを形成し、次に第2端部
54を第2挿通構成58に戻って挿通させる。図示の例において、再び
図3A、3B、及
び3Cにつき説明すると、第1及び第2の挿通構成56、58の各々はリブ付き内面部分
62を有するピンホール開孔61として構成される。したがって、各ピンホール開孔は、
C字状部材43のピンホール開孔61内に複数のリブ63を形成する。図示の例において
、細長可撓性部材42、42′の各端部は、それに関連付けられる挿通構成56、58の
リブ63を通過するよう挿通される。挿通構成56、58のうち一方に位置する細長可撓
性部材42、42′の各部分は、挿通構成56、58のピンホール開孔61内におけるリ
ブ付き表面部分62との摩擦嵌合を形成し、このことは、ギャップ47内に位置付けられ
る第1細長可撓性部材42、42′の一部分を緊張させ、また眼口部60を閉鎖位置に向
けて偏移することを可能にする。細長可撓性部材42、42′は各挿通構成56、58に
おけるピンホール開孔61に挿通し、これにより休止位置において、ギャップ47内に位
置付けられる細長可撓性部材42の部分は緊張状態の下にあり、また眼口部60は脈管の
内腔の流体流を抑止することができる。
【0056】
各アーム44、46は、その外表面に加える圧力に応答して内方に移動可能である。こ
のことは、圧力がアーム44、46のうち一方に加わる場合、ギャップ47内に位置付け
られる細長可撓性部材42の部分は弛緩し、このことは、眼口部60のサイズを増大させ
る効果を有し、また内腔における流体流を可能にすることを意味する。各アーム44、4
6は、好適には、それに加える指圧力に応答して内方に移動可能とする。各アーム44、
46の外表面における窪み344、346は、外科処置における体液がデバイス表面を濡
らし、これによりデバイス40の意図する使用を妨げるおそれがあるデバイス40の使用
中に、アームから指が滑落するリスクを減少してユーザーの指を当接させる指圧力ガイド
として供する。
【0057】
少なくとも1つの細長可撓性部材は、可撓性シリコーン材料又はフィラメントから形成
することができ、この材料又はフィラメントは、随意的にシリコーン被覆又は少なくとも
部分的にPTFE被覆することができ、フィラメントは、ナイロン、ポリエステル、ポリ
プロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又は取扱い操作及び整形が容易であるが
、張力の下で恒久的伸張しない同様の物理的特性を有する他の可撓性材料をベースとする
ことができる。
【0058】
動作部材は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ナイロン、又は形
状記憶を有し、またユーザーによる取扱い操作により繰り返し圧縮される能力を保持する
形状記憶を有する、十分な屈曲/曲げ弾性率を示す任意な他の材料を含む広範囲な材料か
ら形成することができる。一方の端部で対にしまた接合又は融合し、反対側を遊端とし、
また随意的にアームの外表面にミリング加工した把持孔を形成したステンレス鋼製のアー
ムを使用することができる。随意的に、ラッカー又は樹脂で不浸透性被覆を施したスチー
ム成形合板も、幾つかの状況下での使用は可能であるが、セラミック又はガラスのような
壊れやすい物質は不適当であり、また合成発泡体又はゴムのような柔らかい物質は過度に
可撓性があり、したがって、動作部材には不向きである。
【0059】
動作部材は、加える圧力の下で互いに接近する方向に移動可能であり、圧力を釈放する
とき弾性的に復元でき、またとくに、ユーザーが動作部材に圧力を選択的に加えるとき圧
縮可能である、湾曲した又は角度付きのアームを有する圧縮可能動作部材とすることがで
きる。動作部材は、指圧力に応答してアームの末端部を互いに接近する方向に移動させる
に十分な圧縮性を有するものとすることができる。
【0060】
デバイスは、本明細書記載のデバイスと、内腔を画定する管状分岐を有する補綴グラフ
トとから成るキットの一部として設けることができる。このようなキットにおいて、デバ
イスは、デバイスの眼口部が分岐を包囲するよう動作部材及び細長可撓性部材が組み立て
られた「使える準備が整っている(ready for use)」ものとして設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本明細書記載のデバイスは外科処置に使用することができる。
本明細書記載のデバイスは、既存送達システムにおけるのと同一材料を使用し、また天
然及び合成の脈管双方に迅速かつ効率的に使用できる「手間がかからない」クリップを提
供する。さらに、幾つかの市販デバイスと比べると比較的簡素であることに起因してユー
ザーによって直感的に容易に操作される。
【0062】
本明細書記載のデバイスは、異なるサイズのカテーテルを脈管内に設置するとき止血を
生ずるのに有利に使用することができる。医療従事者は、カテーテルを脈管内に挿入とき
にデバイスに対していかなる調整をもする必要がなく、デバイスは脈管内流を制御する。
【0063】
本明細書記載のデバイスは、動作部材に圧力を加えることによって内腔内における流体
流を迅速かつ選択的に制御する簡単な方法を医療従事者に提供する。
【0064】
本明細書記載のデバイスは、引っ張ることによって引き締めるときより小さい貫通孔又
は「眼口部」を生ずるループを提供する。ループと周りにループが形成される脈管表面、
例えば、ソフトゼルウィ―ブ織物表面を有するグラフトとの間における相互作用は、グラ
フトにおける内腔に挿入される任意なデバイス、例えば、カテーテル又はグラフト内腔内
に送達されているデバイス周りのシースに適合するシールを生ずる。
【0065】
有利にも、デバイスは医療従事者が必要に応じて現場で分解及び再組み立てることがで
きる。
【0066】
本明細書記載のデバイスは、内腔又は貫通通路を画定する長さ及び横方向寸法を有する
天然及び合成双方の脈管に適用することができ、脈管は、可撓性の壁付き脈管とすること
ができ、壁部分を挟み込む又は締め付けて互いに閉じ合わせ、内腔の横方向寸法を減少さ
せるよう脈管を挟み込む又は締め付けることができ、付加的に内腔内のカテーテルのよう
な物体を閉じてそれと適合したシールを形成し、これによりカテーテルを所定位置に配置
するとき、又はそれを除去している間に内腔内の流れを完全に閉塞することができる。
【0067】
添付図面の上述した記載に使用した参照符号は特許請求の範囲にも使用し、これは単に
図示の実施形態における技術的特徴の識別を支援し、また範囲の限定なく特許請求の範囲
の理解を促進するためのものである。
【0068】
特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び改変
を組み込むことができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れることができる内腔を画定する脈管(1;101)内における流体流を制御するデバイス(10;100;40)において、
内腔を画定する前記脈管を包囲する眼口部(20;120;60)を形成するよう構成されており、第1取付けポイント及び第2取付けポイントを有する少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)と、並びに
前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)における前記第1取付けポイント及び第2取付けポイントに取り付けることができる圧縮可能な動作部材(13;113;43)であって、前記動作部材(13;113;43)に圧力を加える際に圧縮可能であり、また前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)に作用するよう動作可能であり、前記作用は、前記眼口部(20;120;60)が前記内腔内の流体流を抑止するよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42、42′)が緊張状態の下にある第1位置、及び前記眼口部(20;120;60)が前記内腔内の流体流を抑止しないよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材(12;132,134;42,42′)が弛緩する第2位置から移動可能となるようにするものである、該動作部材(13;113;43)と、
を備える、デバイス。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れることができる内腔を画定する脈管内における流体流を制御するデバイスにおいて、
内腔を画定する前記脈管を包囲する眼口部を形成するよう構成されており、第1取付けポイント及び第2取付けポイントを有する少なくとも1つの細長可撓性部材と、並びに、
前記少なくとも1つの細長可撓性部材における前記第1取付けポイント及び第2取付けポイントに取り付けることができる圧縮可能な動作部材であって、
前記圧縮可能な動作部材は、ギャップによって分離した第1及び第2アームを有し、前記第1及び第2アーム各々は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材を前記圧縮可能な動作部材の前記第1及び第2アームに挿通取付けするよう前記少なくとも1つの細長可撓性部材を受け入れるための末端側の遊端を有し、前記圧縮可能な動作部材は、前記圧縮可能な動作部材に圧力を加える際に圧縮可能であり、また前記少なくとも1つの細長可撓性部材に作用するよう動作可能であり、前記作用は、前記眼口部が前記内腔内の流体流を抑止するよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材が緊張状態の下にある第1位置、及び前記眼口部が前記内腔内の流体流を抑止しないよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材が弛緩する第2位置から移動可能となるようにするものである、該圧縮可能な動作部材と、
を備え、
前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、第1ループを形成するよう構成された第1細長可撓性部材と、第2ループを形成するよう構成された第2細長可撓性部材とを有し、前記第1及び第2細長可撓性部材は、前記第1及び第2ループが前記内腔を包囲する前記眼口部を画定するようリンク連結される構成にし、
前記第1細長可撓性部材の一部分は第1取付けポイントを有し、また前記第2細長可撓性部材の一部分は第2取付けポイントを有し、前記第1アームは第1挿通構成を有し、また前記第2アームは第2挿通構成を有し、
前記第1細長可撓性部材は前記第1挿通構成に挿通し、また前記第2細長可撓性部材は前記第2挿通構成に挿通し、
前記第1挿通構成及び前記第2挿通構成の各々は開孔を有し、前記第1細長可撓性部材の長さ部分がループを形成するのに十分なように、前記第1細長可撓性部材の端部を前記第1挿通構成の前記開孔に挿通し、また前記第1細長可撓性部材の前記端部を前記第1挿通構成の前記開孔に戻して挿通し、並びに、前記第2細長可撓性部材の長さ部分がループを形成するのに十分なように、前記第2細長可撓性部材の端部を前記第2挿通構成の前記開孔に挿通し、また前記第2細長可撓性部材の前記端部を前記第2挿通構成の前記開孔に戻して挿通し、可撓性部材の各々は、前記第1及び第2細長可撓性部材の一方が、前記第1及び第2可撓性部材の他方によって形成される前記ループに貫通するように挿通される、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記圧縮可能な動作部材は指圧力を加える際に圧縮可能であり、また前記圧縮可能な動作部材は、指圧力を容易にするために上側表面及び下側表面に窪みを有する、デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記圧縮可能な動作部材はC字形状部材であり、前記第1アームは前記第1取付けポイントに取り付けることができ、また前記第2アームは前記第2取付けポイントに取り付けることができ、前記眼口部は前記ギャップ内に位置付けられる、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記圧縮可能な動作部材は基端側のV又はU字状ヒンジ部分を有し、前記第1及び第2アームは前記基端側の前記V又はU字形状ヒンジ部分から延在する、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスにおいて、開孔は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材との摩擦相互作用を高めるよう、粗面化、又はリブ付き、又は溝付き、又は鋸歯状化した内面を有する、デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、弾性シリコーン材料から形成される、デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの細長可撓性部材は弾性コード又は弾性フィラメントである、デバイス。
【請求項8】
医療処置に使用するキットであって、請求項1に記載のデバイスと、内腔を画定する管状分岐を有する補綴グラフトと、を備え、(a)前記デバイスは、前記デバイスの眼口部が前記管状分岐を包囲するよう前記圧縮可能な動作部材及び前記第1及び第2細長可撓性部材が組み立てられた使える準備が整っているものとして設けられ、又は(b)前記デバイスの前記圧縮可能な動作部材及び前記第1及び第2細長可撓性部材は、ユーザーが組み立てるべき個別のコンポーネントである、キット。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、弾性シリコーン材料から形成される、デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの細長可撓性部材は弾性コード又は弾性フィラメントである、デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記開孔は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材との摩擦相互作用を高めるよう、粗面化、又はリブ付き、又は溝付き、又は鋸歯状化した内面を有する、デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1及び前記第2挿通構成の各々は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材を挿通するための複数の巻き付けポイントを生ずる形状にした開孔を有する、デバイス。
【請求項13】
医療処置に使用するキットであって、液体が流れることができる内腔を画定する脈管内における流体流を制御するデバイスを備え、前記デバイスにおいて、
内腔を画定する前記脈管を包囲する眼口部を形成するよう構成されており、第1取付けポイント及び第2取付けポイントを有する少なくとも1つの細長可撓性部材と、並びに、
前記少なくとも1つの細長可撓性部材における前記第1取付けポイント及び第2取付けポイントに取り付けることができる圧縮可能な動作部材であって、
前記圧縮可能な動作部材は、ギャップによって分離した第1及び第2アームを有し、前記第1及び第2アーム各々は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材を前記圧縮可能な動作部材の前記第1及び第2アームに挿通取付けするよう前記少なくとも1つの細長可撓性部材を受け入れるための末端側の遊端を有し、前記圧縮可能な動作部材は、前記圧縮可能な動作部材に圧力を加える際に圧縮可能であり、また前記少なくとも1つの細長可撓性部材に作用するよう動作可能であり、前記作用は、前記眼口部が前記内腔内の流体流を抑止するよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材が緊張状態の下にある第1位置、及び前記眼口部が前記内腔内の流体流を抑止しないよう、前記少なくとも1つの細長可撓性部材が弛緩する第2位置から移動可能となるようにするものである、該圧縮可能な動作部材と、
を備え、
前記少なくとも1つの細長可撓性部材は、第1ループを形成するよう構成された第1細長可撓性部材と、第2ループを形成するよう構成された第2細長可撓性部材とを有し、前記第1及び第2細長可撓性部材は、前記第1及び第2ループが前記内腔を包囲する前記眼口部を画定するようリンク連結される構成にし、
前記第1細長可撓性部材の一部分は第1取付けポイントを有し、また前記第2細長可撓性部材の一部分は第2取付けポイントを有し、前記第1アームは第1挿通構成を有し、また前記第2アームは第2挿通構成を有し、
前記第1細長可撓性部材は前記第1挿通構成に挿通し、また前記第2細長可撓性部材は前記第2挿通構成に挿通し、
前記キットは、内腔を画定する管状分岐を有する補綴グラフトを更に備え、(a)前記デバイスは、前記デバイスの眼口部が前記管状分岐を包囲するよう前記圧縮可能な動作部材及び前記第1及び第2細長可撓性部材が組み立てられたものとして設けられ、又は(b)前記デバイスの前記圧縮可能な動作部材及び前記第1及び第2細長可撓性部材は、ユーザーが組み立てるべき個別のコンポーネントである、キット。
【請求項14】
請求項13に記載のデバイスにおいて、前記第1及び前記第2挿通構成のうち少なくとも一方は開孔を有し、前記開孔は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材の一部分を前記開孔内に摩擦によって保持する構成にされた、デバイス。
【請求項15】
請求項13に記載のデバイスにおいて、前記第1及び前記第2挿通構成の各々は、前記少なくとも1つの細長可撓性部材を挿通するための複数の巻き付けポイントを生ずる形状にした開孔を有する、デバイス。
【外国語明細書】