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特開2024-69274不活性化ワイプキット、その作成方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069274
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】不活性化ワイプキット、その作成方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/04 20060101AFI20240514BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C11D17/04
B65D77/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024029870
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2022046290の分割
【原出願日】2017-03-23
(31)【優先権主張番号】62/320,999
(32)【優先日】2016-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/271,957
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516083298
【氏名又は名称】ベルテック アソシエイツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VELTEK ASSOCIATES, INC.
【住所又は居所原語表記】15 Lee Boulevard, Malvern, Pennsylvania 19355 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】コンポ マーク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バレストリ マイケル
(57)【要約】
【課題】制御された環境に持ち込み可能なワイプキットを提供する。
【解決手段】有害な薬物の不活性化ワイプキット100は、その一端に一方向弁208が結合された第1のポーチ102と、第2のポーチ104、および第3のポーチ106を含む。第1のポーチ102は、次亜塩素酸塩溶液中に浸潤したワイプ209を含み、第2のポーチ104はチオ硫酸塩溶液中に浸潤したワイプを含み、第3のポーチ106はイソプロピルアルコール溶液中に浸潤したワイプを含む。不活性化ワイプキットは、クリーンルーム内で使用され、作業面のほとんどの有害な薬物を不活性化することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の溶液に浸潤した少なくとも1つの第1のワイプを含み、前記第1の溶液は有害な薬物を不活性化するように構成された第1の柔軟なポーチと、
第2の溶液に浸潤した少なくとも1つの第2のワイプを含み、前記第2の溶液は前記第1の溶液を洗浄、除染および中和するように構成された第2の柔軟なポーチと、
第3の溶液に浸潤した少なくとも1枚の第3のワイプを含み、前記第3の溶液は殺菌剤である第3の柔軟なポーチとを有し、
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチの前記第1、第2および第3のワイプのそれぞれを順番に使用することにより、制御された環境で、作業面の有害な薬物を不活性化するために使用されるように構成されており、
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチのそれぞれは密封封止され、一方の端部の近くにノッチおよび切り取り線の少なくともいずれかを含み、前記第1、第2および第3の溶液は互いに異なる薬品であり、前記第1の溶液は放射線滅菌ができない溶液であり、さらに
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチのそれぞれは放射線滅菌用に構成され、放射線殺菌された後に前記第1の溶液が充填された前記第1の柔軟なポーチと、前記第2および前記第3の溶液がそれぞれ充填された状態で放射線殺菌された前記第2および第3の柔軟なポーチとが1つのキットとしてクリーンルームに持ち込まれるように纏められた、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の柔軟なポーチは、前記第1の溶液が前記第1の柔軟なポーチから漏れるのを防止した状態で、前記第1の溶液が前記第1の柔軟なポーチに充填可能なように構成された一方向充填弁を含む、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項3】
請求項2において、
前記一方向充填弁は、前記第1のワイプが既に前記第1の柔軟なポーチに密封された後に、前記第1の柔軟なポーチに前記第1の溶液を充填することを可能にするように構成されている、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1の溶液は次亜塩素酸塩溶液であり、前記第2の溶液はチオ硫酸塩溶液であり、前記第3の溶液がイソプロピルアルコール溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項5】
請求項4において、
前記次亜塩素酸塩溶液は5.25%次亜塩素酸ナトリウム溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項6】
請求項4において、
前記チオ硫酸塩溶液は2%チオ硫酸ナトリウム溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項7】
請求項4において、
前記イソプロピルアルコール溶液は70%イソプロピルアルコール溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1の柔軟なポーチの前記第1のワイプはポリプロピレンで形成され、前記第2の柔軟なポーチの前記第2のワイプおよび前記第3の柔軟なポーチの前記第3のワイプはポリエステルで形成されている、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチのそれぞれは、前記第1、第2および第3のワイプを順番に使用することを示す表示を含む、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1の柔軟なポーチの前記表示は番号1であり、前記第2の柔軟なポーチの前記表示は番号2であり、前記第3の柔軟なポーチの前記表示は番号3である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項11】
(a) 一方の端に一方向充填弁が結合された第1のポーチに、乾燥した第1のワイプを入れることと、
(b) 第2のポーチに第2のワイプを入れて第2の溶液に浸潤させることと、
(c) 第3のポーチに第3のワイプを入れて第3の溶液に浸潤させることと、
(d) 前記第1、第2および第3のポーチを放射線滅菌することと、
(e) 滅菌された前記第1のポーチに、前記一方向充填弁を介して、前記第2および前記第3の溶液と異なる放射線滅菌ができない第1の溶液を充填し、前記第1の溶液で前記乾燥した第1のワイプを浸潤させることと、
(f) 放射線殺菌された後に前記第1の溶液が充填された前記第1のポーチと、前記第2の溶液および前記第3の溶液がそれぞれ充填された状態で放射線殺菌された前記第2および第3のポーチとを、制御された環境に持ち込まれるように1つのキットにまとめることとを有する、不活性化ワイプキットの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国仮出願番号62/320,999号(2016年4月11日出願)の利益を主張する、2016年9月21日に出願された米国特許出願第15/271,957号の国際出願である。これらの出願は、その全体が本開示に参照によって組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、クリーンルーム環境において、失活(不活性化)、汚染除去、および消毒または洗浄に使用される払拭キット(拭き取りキット、ワイプキット)、ならびにその作成および使用の方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
清浄な環境または制御された環境とは、製品の粒子および微生物による汚染を防ぐために設計され、維持され、制御される空間である。清浄な環境には、クリーンルームおよび清浄な作業スペース(フード付きのワークスペースなど)が含まれ、これらは以下においてクリーンルームと総称される。クリーンルームは、幾つかの例としては、医薬、バイオテクノロジー、およびヘルスケア産業などにおける製造施設ならびに医学的研究および処理施設で使用するために最も一般的に設計されている。滅菌クリーンルーム環境は、国際標準化機構(「ISO:International Organization of Standardization」)のクリーンルーム基準を含むさまざまな分類方式に従って分類することができ、最高レベルの滅菌はISO1クリーンルームであり、通常の大気環境(滅菌なし)はISO9に分類される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クリーンルーム内で使用される特定の化学組成物は、例えば、フェノール、クリーナー、第四級アンモニウム、過酢酸のような殺菌性の消毒剤、ならびに過酢酸、漂白剤および過酸化水素のような種々の殺胞子剤を含む。殺菌剤および殺胞子剤は、クリーンルーム内でクリーンルームの表面を消毒するために使用される。ヘルスケア業界などの特定のクリーンルーム環境では、表面が特定の有害な薬物に曝される可能性がある。このような状況では、クリーンルーム内の技術者およびその他の労働者に対する職業上の暴露リスク、ならびにクリーンルーム内で作成されている製品や化学物質に対するリスクを低減するために、作業面の有害な薬剤を不活性化して汚染除去できる化学物質が必要とされる。有害薬物に暴露された表面の不活性化、除染および消毒/洗浄の方法は、米国薬局方協定(USP:U.S. Pharmacopeial Convention)に示されたUSP<800>およびUSP<797>に示された要件を満たさなければならない。クリーンルーム滅菌の従来の方法は、有害な薬物を十分に不活性化(失活)するのではなく、代わりに、影響を受けた表面の周りに単に薬剤を広げるものであるため、この目的には不適合である。一方、有害物質を不活性化する可能性のある製品は、ISO5に分類されるクリーンルーム内での使用には適していない。
【0005】
さらに、本来無菌ではない化学的組成物は、汚染の危険性を避けるためにクリーンルームに入る前に滅菌する必要がある。このような組成物は、クリーンルーム内で、フィルターでろ過することによって滅菌してもよく、クリーンルームに入る前に滅菌してもよい。
【0006】
クリーンルームの外側の組成物を滅菌するために、集中された組成物を照射により最終滅菌してもよく、無菌処理してもよい。組成物を最終照射殺菌するために、組成物は容器に入れられ、二重に袋詰めされ、さらに、ライナー付きカートンに入れられる。次いで、カートン全体が放射線によって最終滅菌される。組成物を最終照射殺菌するための手順は、例えば、Vellutatoに付与された米国特許第6,123,900号で説明されており、それに開示された内容は参照され、本出願に組み込まれる。しかしながら、クリーンルームで使用される化学物質の中には、その化学的な構成と構造のために照射することができないものがある。例えば、クリーンルーム内で有害な薬剤を不活性化し、汚染除去するために使用される特定の化学物質は、照射することができない。このため、そのような化学物質をクリーンルーム環境に持ち込むには問題が生じ、滅菌プロセスも複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、クリーンルーム内の滅菌表面からの有害薬剤の不活性化、汚染除去、および消毒/洗浄を改善する不活性化ワイプキットに関するものである。本発明の不活性化ワイプキットは、クリーンルーム環境の外部で放射線照射でき、クリーンルームへ、より効率的に移送および導入できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明、およびそれに付随する多くの利点は、添付の図面を勘案して以下の詳細な説明を参照することにより得られ、さらに、より容易に理解されるであろう。
【0009】
図1】本発明の一実施形態による不活性化ワイプキットの正面斜視図である。
【0010】
図2】本発明の一実施形態による、一方向弁を有する不活性化ワイプキットの第1のポーチの正面平面図である。
【0011】
図3図3A~Eは、図2に示す一方向弁の斜視図である。
【0012】
図4】本発明の一実施形態による不活性化ワイプキットを作成する方法のステップを概説するフローチャートである。
【0013】
図5】本発明の一実施形態による不活性化ワイプキットを使用する方法のステップを概説するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、不活性化ワイプキット(失活払拭キット、不活性化拭き取りキット、deactivation wipe kit)100が示されている。本明細書ではしばしば用いるが、「拭き取りキット(払拭キット、ワイプキット)」という用語は、不活性化ワイプキット100を指すために使用される。一実施形態では、ワイプキット100は、3つのポーチ(袋、袋状の容器、パウチ、pouches)102、104、106を含む。これらのポーチの各々には、クリーンルーム環境で有害な薬物を不活性化(失活)および汚染除去し、作業面(作業台、調製台、調製面、調合面)を消毒するために使用される異なる化学物質に浸潤した(浸された、飽和した)1枚のワイプ(拭き取り材、払拭材)が含まれる。使用する際は、技術者は、ポーチ102、104、106のそれぞれから各ワイプを取り出して順番に汚染された作業面に用いる、すなわち、第1のポーチ102内のワイプが最初に使用され、第2のポーチ104内のワイプが2番目に使用され、第3のポーチ106内のワイプが最後に使用される。このように使用されると、不活性化ワイプキット100は、米国薬局方協定(USP)によって定められているUSP<800>およびUSP<797>により規定されているように、ISO5クリーンルームなどの滅菌調製物(滅菌製剤)を調合するための作業環境から、ほとんどの有害な薬物を不活性化し、汚染除去し、滅菌/洗浄する。
【0015】
一実施形態では、第1のポーチ102は、5.25%次亜塩素酸塩溶液、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(例えば、ペンシルベニア州マルバーンのベルテックアソシエイツ社から市販されているHYPO-CHLOR(登録商標))に浸潤したワイプ(払拭材)を含む。この組成物は、有害な薬物を不活性化する主要な作用物質である。これは、調製用(作業用)の表面上に存在し得る潜在的な活性化薬物を不活性化するとともに、次に取り扱う人のために、その表面を安全に、また汚染除去された状態とし、有害な薬物(医療施設における取り扱い)に関するUSP<800>とともに、患者保護プロトコルの滅菌製剤の調合に関するUSP<797>を遵守した製剤の調合を確実に行えるようにする。次亜塩素酸ナトリウムの使用が好ましいが、有害な薬物を不活性化させることが知られている任意の化学薬品を、第1のポーチ102のワイプを浸潤させるために用いてもよく、そのような化学薬品は、過マンガン酸カリウムおよびアルカリ性過マンガン酸カリウムを含み、これらに限定されない。
【0016】
第2のポーチ104は、2%チオ硫酸溶液、例えば、チオ硫酸ナトリウムなど(例えば、ベルテックアソシエイツ社から市販されているTHIO-WIPE(商標))に浸潤したワイプを含む。好ましい実施形態において、チオ硫酸ナトリウムはUSPグレードである。この組成物は、処理された作業面から次亜塩素酸塩溶液残留物を除去するために使用される。チオ硫酸塩は、表面に残った腐食性物質である次亜塩素酸塩を中和して、その表面の構造を維持し損傷を防止する。また、その表面を除染する機能も果たす。チオ硫酸ナトリウムが好ましいが、次亜塩素酸塩で処理された作業面の汚染を除去し、これを中和することができることが知られている任意の化学薬品を使用することができる。このように、チオ硫酸ナトリウム溶液は、次亜塩素酸ナトリウム溶液および以前に不活性化した有害な薬物を洗浄し、汚染除去し、中和する。これにより、滅菌調合用の装置の全寿命を向上させ、USP<797>およびUSP<800>に継続して準拠させることができる。
【0017】
第3のポーチ106は、消毒剤として機能する70%のイソプロピルアルコール(IPA)(例えば、ベルテックアソシエイツ社から市販されているALCOH-WIPE(登録商標))に浸潤されたワイプを含む。好ましい実施形態において、IPAはUSPグレードである。このワイプ(拭き取り材)は、処理された面をさらに洗浄して消毒し、作業者の安全のために、その面を元の状態に戻す。IPAが好ましいが、作業表面を洗浄および消毒することが知られている任意の化学薬品を使用することができ、それらは、滅菌水あるいは既知の殺菌剤、例えば、フェノール、クワット(quats)、ペルオキシ酢酸(POAA)およびH2O2などを含み、これらに限定されない。したがって、IPAは、調合または調製用の面の上に存在する汚染物質に対しさらなる措置を行うことにより、その面をさらに保護する。作業面を不活性化後、滅菌された製品を調製するための重要な制御された作業環境を維持するためには、追加の消毒が必要である。
【0018】
ポーチ102、104、106の各々に使用される3つの化学薬品はすべて、注射用蒸留水(WFI)が配合されていてもよく、0.2ミクロンでろ過されてもよい。表面が3枚のワイプすべてで完全に処理されると、表面はその本来の組成(状態)に戻ることができる。
【0019】
ポーチ102、104、106に含まれるワイプの各々は、好ましくは、清潔であり、良好な吸収特性を有し、良好な表面被覆性を備えるように設計された、不織性(不織布)で、剥離し難い素材で形成される。ワイプ(拭き取り材、払拭材)は、低剥離特性が優れているべきであり、ワイプからの繊維が容易には剥がれないようにして、クリーンルームの作業面の汚染を防止しなければならない。一実施形態では、第1のポーチ102のワイプは100%ポリプロピレンで形成され、第2のポーチ104および第3のポーチ106内のワイプは100%ポリエステルで形成される。この実施形態では、各ワイプの材料は、ポーチ102、104、106のそれぞれに入れられる特定の化学物質と適合するように選択される。これらの材料の各々は織物状(布状)のワイプであって、強く、低剥離性能が優れており、制御された環境で使用できるとともに、それが浸されている化学物質に適合性のあるものである。一実施形態では、ワイプは、約9インチ×12インチのサイズであり、約6平方フィートの面積の表面を処理することができる。
【0020】
一実施形態では、第1のポーチ102のためのワイプは、150(6ミル)の白色ポリエチレンに結合されるALOXコーティングを有する48ゲージのポリエステル、162XL-4019である。この特定の基材は、活性次亜塩素酸塩を保持できるが、他の適切なワイプを用いてもよい。さらに、このワイプの材料は、有機材料に曝されることによって生じる次亜塩素酸塩に関連する劣化および不安定性を最小にできる。一実施形態では、各ポーチ102、104、106に1枚のワイプが用意されているが、2枚以上のワイプが、ポーチ102、104、106のいずれかまたはすべてに用意されてもよい。
【0021】
ポーチ102、104、106自体は、これらのワイプに対応して柔軟なパッケージング構造となるように設計されている。ポーチ102、104、106は、好ましくは、水分、空気および光に対するバリア(障壁)となる材料で形成され、耐薬品性に優れており、放射線による照射中でも、クリーンルーム内で、最終的に棚に格納されてているときでも、その構造的完全性を維持できるものであることが望ましい。一実施形態では、各ポーチ102、104、106は、コーティングされたポリエステル、低密度ポリエチレン、アルミニウム箔、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/または鎖状低密度ポリエチレンの複数層からなる多層構造で形成される。例えば、ポーチ102、104、106は、本明細書に添付され、参照により本明細書に組み込まれるグレンロイ社のExpressWeb EFS174であってもよい。多層構造を採用した場合、これらの材料は気密性および液密性で密封でき、化学的耐性に優れているものである(最終製品の安定性は光、酸素および有機物の影響を受け得るので)。それらはまた、各化学物質中の活性剤を維持し、貯蔵寿命を延ばすのに役立つものである。ポーチ102、104、106の各々は、好ましくは、図2の第1のポーチ102に示されるようなノッチまたは切り取り線(ミシン目)212を含むものである。ノッチ212は、ポーチ102、104、106の側面に形成することができるので、ユーザは、ノッチ212の場所でポーチの側面を引っ張ることによってポーチ102、104、106を破いて開けることができる。したがって、使用時に、技術者は、ポーチを切り取り線に沿って引っ張ってポーチ102、104、106を破いて開き、そこに収容された浸潤済みのワイプにアクセスできる。
【0022】
不活性化ワイプ布キット100をクリーンルームに導入するためには、それ(およびその内容物)を最初に滅菌しなければならない。一実施形態では、不活性化ワイプキット100のパーツを照射して、汚染物質を、制御された環境に導入しないようにする。第2のポーチ104および第3のポーチ106は化学物質を含み、それらは、本明細書に記載の方法などによって、最終放射線殺菌されてもよい。したがって、組み立てられたポーチ104、106が、既知の最終放射線滅菌を受けてもよい。しかしながら、第1のポーチ102は、最終放射線滅菌ができない化学物質(すなわち、次亜塩素酸ナトリウム)を含む。第1のポーチ102は、第2のポーチ104および第3のポーチ106とは異なり、第1のポーチ102が滅菌された後に薬品が添加されるように構成される。
【0023】
図2に示すように、第1のポーチ102は、一方の端部210に一方向弁208が配置された設計となっており、ポーチ102はワイプ209を含む。この弁208は、図3A図3Eにより詳細に示されているが、流体を一方向にのみ通過させることができる。このため、第1のポーチ102は乾燥ワイプのみを含んだ状態で、第2のポーチ104および第3のポーチ106(それぞれはワイプおよびそれぞれの化学物質を含む)と共に、最終放射線滅菌をおこなってもよい。その後、ポーチ102、104、106がクリーンルームに移されたときに、第1のポーチ102は、一方向弁208を介して滅菌された次亜塩素酸塩溶液によって無菌状態で満たされ、中に含まれる乾燥ワイプを浸潤させる。滅菌された次亜塩素酸塩溶液は、当業者により適宜決定される任意の濃度であってもよい。例えば、濃度5.25%の次亜塩素酸塩を使用できる。この段階で、不活性化ワイプキット100はクリーンルーム内で使用できる準備が完全に整う。キット用のワイプは、典型的には3”×4”、4”×6”、9”×9”、9”×12”または12”×12”のいずれかなどの、従来の既知のサイズのものでよい。第2および第3のポーチ104、106は、図2に示されるのと同様の方法でワイプが収納されているが、第2および第3のポーチ104、106では、すべての4辺が全て完全にシールされ、いずれの側にも弁208は含まない。
【0024】
不活性化ワイプキット100を作成(用意)するプロセスは、図4のフローチャートに概説されている。各ポーチ102、104、106は、順番に作成されてもよく、異なる技術者によって同時に作成されてもよい。したがって、ステップ400、402、404は、順次、または同時に実行してもよい。以下でより詳細に説明するように、各ステップにおいて、上記の化学物質および材料が用いられる。
【0025】
ステップ400では、乾燥した、ワイプ材料を第1のポーチ102に入れて密閉封止し、第1の密封または封止された容器またはポーチを形成する。このステップでは、第1のポーチ102には化学物質は入れられない。第1の溶液、例えば、チオ硫酸塩溶液(例えばTHIO-WIPE(TM))で浸潤されたワイプを第2のポーチ104の中に入れ、密閉封止して第2の密閉または封止された容器またはポーチを形成する(ステップ402)。第2の溶液、例えば(濃度)70%のIPA(例えば、ALCOH-WIPE(登録商標))で浸潤されたワイプを第3のポーチ106の中に入れ、密閉封止して第3の密閉または封止された容器またはポーチを形成する(ステップ404)。ステップ406で、ポーチ102、104、106の各々は気密封止されそれぞれのポーチの内容物は覆われた状態となる。一実施形態では、密閉封止は、ヒートシール(熱融着)のように、ポーチ102、104、106を液密および気密に封止するものである。ステップ406のヒートシールは別個のステップとして示されているが、ステップ400、402、404の各充填プロセスの一部であってもよい。
【0026】
ステップ408において、第1、第2および第3の密封されたポーチ102、104、106がそれぞれ、放射線滅菌の準備のために集められる(組み立てられる)。ステップ410において、第1、第2および第3の密封されたポーチ102、104、106が1つずつ、集められて一緒になり、第1のプラスチックバッグなどの第1の容器に入れられ、次いで第1のプラスチックバッグは密閉封止されて、第1の密閉または封止されたポーチエンクロージャが形成される。他の例としては、第1の封止されたポーチエンクロージャは、第2のプラスチックバッグなどの第2の容器に入れられ、第2のプラスチックバッグは、密閉封止されて第2の密閉または封止されたポーチエンクロージャが形成されてもよい。一実施形態では、第1および第2のプラスチックバッグは、ヒートシールされたポリエチレンバッグである。次いで、第2の(または第1の)封止されたポーチエンクロージャは、プラスチックライナーバッグ(例えば、ポリエチレンバッグ)に入れられ、ライナーバッグは閉じた後に箱または他の容器に入れられものである。ステップ412において、ライナーが閉じられると(結ばれたり、ファスナー(紐)によって閉じられると)、それが入った箱が閉じられて封止されたパッケージが形成される。ステップ414において、その箱およびその内容物は、既知の技術および装置を用いて最終放射線滅菌が施され、滅菌のための放射線照射装置に搬送されてもよく、滅菌され、封止された容器が形成される。放射線照射により、容器および内容物、すなわち、プラスチックバッグ、ワイプ、ポーチ、溶液を含めて滅菌される。
【0027】
照射された箱(殺菌され封止された容器)は、その後、清浄な環境に移され、殺菌され封止されたポーチエンクロージャが、プラスチックライナーバッグから取り出される。ステップ416において、滅菌された第1、第2および第3の密閉されたポーチは、最も内側の封止されたプラスチックバッグから取り出される。この時点で、第2の密封されたポーチ104および第3の密封されたポーチ106は、使用可能である。しかしながら、第1の密封されたポーチ102は、不活性化用の化学物質で満たされなければならない。一実施形態では、ステップ418において、クリーンルーム内で、一方向弁208を介して第1の密封されたポーチ102に滅菌次亜塩素酸塩溶液を無菌的に充填する。この段階で、第1のポーチ102が溶液で満たされると、溶液でポーチ102内の乾燥した払拭材が浸潤され、それによって浸潤した、次亜塩素酸塩ワイパの用意が整う。弁208は、その設計上、自動的に密閉できるが、他の適切な設計の弁を設けてもよい。
【0028】
弁208が閉じると、第1の密閉されたポーチ102は、第1の密閉または封止され、充填されたポーチとなり、使用の準備が整う。他の例としては、第1の密封され充填されたポーチ102は、プラスチックバッグなどの第1の容器にさらに密封されていてもよく、さらに、プラスチックバッグなどの第2の容器に連続的に密閉封止されて、第1の、または第2の充填されたポーチエンクロージャを形成してもよい。第1の密閉され充填されたポーチ102(または第1/第2の充填されたポーチエンクロージャ)の使用の準備が整うと、放射線照射された第2の密封ポーチ104の1つと、放射線照射された第3の密封ポーチ106の1つとを合わせることにより、不活性化ワイプキット100が形成される。他の例としては、不活性化ワイプキット100は、第1の容器(例えば、ポリエチレンバッグ)に気密にヒートシールされていてもよく、さらに、プラスチックバッグなどの第2の容器(例えば、ポリエチレンバッグ)に、連続的に気密にヒートシールされていてもよい。複数の拭き取りキット100を、プラスチックライナーを有するカートンに一緒に入れておいてもよい。プラスチックライナーは閉じることができ(結んで閉じたり、ファスナー(紐)により)、箱を閉じることにより最終的に閉じられたパッケージを形成できる。その後、その箱を顧客で使用するために出荷することができる。
【0029】
不活性化ワイプキット100を作成する別のプロセスも実施可能である。乾燥、拭き取りの物質の第1のポーチ102内に入れること(ステップ400)は、第2のポーチ104内にチオ硫酸塩で浸潤したワイプを入れる(ステップ402)前、その間、またはその後に、さらに、IPAで浸潤したワイプを第3のポーチ106内に入れる(ステップ404)前、その間、またはその後に、実施してもよい。同様に、第2のポーチ104にチオ硫酸塩で浸潤したワイプを入れること(ステップ402)および第3のポーチ106にIPAで浸潤したワイプを入れること(ステップ404)は、他のポーチの作成に関して任意の順序で行うことができ、ただし、それらが同じ箱に一緒にパッケージされるのであれば、3つのポーチ102、104、および106のすべてが、ヒートシールのステップの前に準備される。一方、、放射線照射された第2および第3のポーチは、第1の最終ポーチとは別個の箱に一緒にパッケージングされてもよい。
【0030】
さらに、ポーチ102、104、106を放射線殺菌するために、他の適切な技術を利用してもよい。例えば、複数のポーチ102,104および/または106は、同じまたは異なる個々の第1の(および任意で第2の)プラスチックバッグに入れてヒートシールしてもよい。一実施形態では、それぞれが密閉されたポーチ102、104、106は個々に一重/二重に袋詰めされてもよく(すなわち、第1のプラスチックバッグ(および任意でさらに第2のプラスチックバッグ)に入れてヒートシールして、第1、第2、および第3の密閉されたポーチに対してそれぞれ封止された第1および第2のエンクロージャを設け)、次にカートンライナーおよび箱に入れて滅菌することができる。別の実施形態では、複数の第1の密閉されたポーチ102を、1つの第1のバッグに入れて一緒にヒートシールして第1のエンクロージャを形成し、複数の第2の密閉されたポーチ104を1つの第2のバッグに入れてヒートシールして第2のエンクロージャを形成し、複数の第3の密閉されたポーチ106を1つの第3のバッグでヒートシールして第3のエンクロージャを形成し、さらに、第1、第2および第3のエンクロージャをライナーおよび箱に入れて同時に放射線照射してもよい。
【0031】
さらに、複数の第1の密閉されたポーチ102は、個々に一重/二重に袋詰めして第1の箱に入れることができ、複数の第2の密閉されたポーチ104は、個々に一重/二重に袋詰めして第2の箱に入れることができ、さらに、複数の第3のポーチ106は、個々に一重/二重に袋詰めして第3の箱に入れてもよい。あるいは、複数の第1の密閉されたポーチエンクロージャを放射線照射のために1つの第1の箱に入れ、複数の第2および第3のポーチエンクロージャを放射線照射のために1つの第2の箱に一緒に入れてもよい。さらに、第1および第2の容器は、ポーチ(パウチ)などの任意の適切な容器であってもよく、第1、第2および第3のポーチ102、104、106は、任意の適切な容器であってもよい。
【0032】
このように、エンドユーザは、複数のキットを有する単一の箱を受け取ることができ、各キットは、第1、第2および第3の滅菌され密閉されたポーチを有する。不活性化ワイプキット100の使用方法は、図5に概説されている。箱が客先に到着すると、箱および箱のライナーが開かれる(例えば、クリーンルームまたは一時的保管場所(ステージングエリア)で)。1つのキット100が使用のために箱から取り出され、クリーンルームに持ち込まれてもよい。ヒートシールされたバッグが開かれ、ポーチ102、104、106が取り出される。ステップ500に示すように、第1のポーチ102が開かれ(例えば、切り取り線212を引き裂くことによって)、次亜塩素酸塩が浸潤したワイプが取り出される。次いで、ステップ502において、有害な1または複数の薬剤を不活性化するために、汚染された作業面(調製面、調製台)を、そのワイプを用いて拭き取る。次に、ステップ504において、第2のポーチ104が開封され、チオ硫酸塩が浸潤したワイプが取り出される。次に、ステップ506において、表面の汚染を除去し、表面上に依然として存在し得る次亜塩素酸塩残留物を除去するために、次亜塩素酸塩が浸潤したワイプで処理されたばかりの作業面を払拭材で拭き取る。次に、ステップ508において、第3のポーチ106が開封され、IPAが浸潤したワイプが取り出される。最後に、ステップ510において、そのワイプが作業面を拭き取るために用いられ、その面を消毒および清掃し、技術者または作業者が安全に使用できるようにする。各ワイプを、その面に対して連続して使用すると、存在する有害な薬物はすべて不活性化され(失活され)、汚染除去され、その面は消毒され、さらに、技術者が安全に使用できるようになる。
【0033】
説明したように、本発明の範囲内において、本発明が幾つかの異なる形態をとることは明らかである。第1、第2および第3のポーチは、個別に一重/二重に袋詰め可能である(すなわち、第1のポーチおよび、それに続いて第2のポーチに密閉封止され得る)。または、第2および第3のポーチは、放射線照射およびエンドユーザへの納入のために、一緒に一重/二重に袋詰めすることができ、二重袋詰めした第1の充填済みのポーチエンクロージャと1つの箱に合わせて収納してもよく、または一重/二重に袋詰めした第1の充填されたポーチエンクロージャとは別に箱詰めされてもよい。本発明の精神および範囲内でさらに他の変形が可能である。例えば、エンドユーザは、複数の第1の滅菌され封止されたポーチを有する第1の箱と、および複数の第2および第3の滅菌され封止されたポーチを有する第2の箱とを受け取ることができる。さらに、本発明には、それぞれが異なる溶液を有する3つのポーチを用いることが記載されているが、2つまたは4つ以上の、他の適切な数のポーチおよび溶液を用いたものであってもよい。
【0034】
本発明は、その特定の形態および実施形態に関連して記載されているが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、上述したもの以外の様々な変更が可能であることが理解されよう。例えば、すべて添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内で、同等の要素を、具体的に図示及び記載されたものと置換することができ、特定の特徴は他の特徴から独立して使用することができ、ある場合には、要素の特定の位置が逆にされてもよいし、介在されてもよい。
【0035】
上記には、有害な薬物の不活性化ワイプキット(100)であって、一方向弁(208)が、ある一方の端に結合された第1のポーチ(102)であって、次亜塩素酸塩溶液に浸潤したワイプ(209)を含む第1のポーチと、チオ硫酸塩溶液に浸潤したワイプを含む第2のポーチ(104)と、イソプロピルアルコール溶液に浸潤したワイプを含む第3のポーチ(106)とを有し、制御された環境で、作業面の有害な薬物を不活性化するために使用される、不活性化ワイプキットが開示されている。前記次亜塩素酸塩溶液は、5.25%次亜塩素酸ナトリウム溶液であってもよい。前記チオ硫酸塩溶液は、2%チオ硫酸ナトリウム溶液であってもよい。前記イソプロピルアルコール溶液は、70%イソプロピルアルコール溶液であってもよい。前記第1のポーチの前記ワイプは、100%ポリプロピレンで形成されていてもよい。前記第2のポーチの前記ワイプおよび前記第3のポーチの前記ワイプは、100%ポリエステルで形成されていてもよい。前記第1のポーチ、前記第2のポーチ、および前記第3のポーチの各々は、コーティングされたポリエステル、低密度ポリエチレン、アルミニウム箔、ヒドロキシプロピルセルロース、直鎖状低密度ポリエチレン、またはそれらの組み合わせからなる多層構造で形成されていてもよい。前記第1のポーチ、前記第2のポーチ、および前記第3のポーチのそれぞれは、ある一方の端の近くに、切り取り線を備えていてもよい。前記一方向弁は、前記ワイプが前記第1のポーチに既に封止された後に、前記第1のポーチに前記次亜塩素酸塩溶液が充填可能なように構成されていてもよい。
【0036】
上記には不活性化ワイプキットを作成する方法が開示されている。この方法は、以下のステップを有する。
(a) 一方の端に一方向弁(208)が結合された第1のポーチ(102)の中に、乾燥ワイプを入れることと、
(b) 第2のポーチ(104)の中に、チオ硫酸塩に浸潤したワイプを入れることと、(c) 第3のポーチ(106)の中に、イソプロピルアルコールに浸潤したワイプを入れることと、
(d) 第1のポーチ(102)、第2のポーチ(104)、および第3のポーチ(106)を密閉封止して、第1の密閉されたポーチ、第2の密閉されたポーチおよび第3の密閉されたポーチをそれぞれ形成することと、
(e) 前記第1の密閉されたポーチ、前記第2の密閉されたポーチ、および前記第3の密閉されたポーチをプラスチックバッグの中に入れ、前記プラスチックバッグを密閉封止して、密閉されたポーチエンクロージャを形成することと、
(f) 前記密閉されたポーチエンクロージャを容器の中に入れ、その容器とその内容物を、放射線滅菌して滅菌された密閉容器を形成することと、
(g) 前記滅菌された密閉容器を、制御された環境に移送し、前記第1の密閉されたポーチ、前記第2の密閉されたポーチ、および前記第3の密閉されたポーチを、前記密閉されたポーチエンクロージャから取り出すことと、
(h) 前記一方向弁を介して前記第1の密閉されたポーチに、無菌の次亜塩素酸塩溶液を、無菌状態で充填し、前記乾燥ワイプを次亜塩素酸塩溶液で浸潤すること。
【0037】
ステップ(d)および/またはステップ(e)では、前記第1のポーチ、前記第2のポーチ、前記第3のポーチおよび/または前記プラスチックバッグを、熱融着により封止してもよい。ステップ(a)-(c)は、順番に、または平行して行われてもよい。前記ステップ(e)は、前記第1の密閉されたポーチ、前記第2の密閉されたポーチ、および前記第3の密閉されたポーチを、第1のプラスチックバッグに入れることと、前記第1のプラスチックバッグを密閉封止して第1の密閉されたポーチエンクロージャを形成することと、前記第1の密閉ポーチエンクロージャを第2のプラスチックバッグの中に入れて第2の密閉されたポーチエンクロージャを形成することとをさらに含んでもよい。前記ステップ(h)は、第1の密閉された充填ポーチを形成し、前記第1の密閉された充填ポーチ、前記第2の密閉されたポーチおよび前記第3の密閉されたポーチを、最終のプラスチックバッグ内に入れることと、前記最終のプラスチックバッグを密閉封止して、最終の密閉されたポーチエンクロージャを形成することと、をさらに含んでもよい。この方法は、前記最終の密閉ポーチエンクロージャを、ライナーおよび容器に入れるステップをさらに含んでもよい。前記放射線滅菌するステップは、前記第1のポーチ、前記第2のポーチ、前記第3のポーチ、乾燥したワイプ、チオ硫酸塩に浸潤したワイプ、イソプロピルアルコールに浸潤したワイプ、プラスチックバッグおよび容器を滅菌してもよい。
【0038】
上記には、上記に記載の不活性化ワイプキットを使用する方法が開示されている。この方法は以下のステップを含む。
(a) 前記第1のポーチから前記ワイプを取り出し、少なくとも1つの有害な薬剤で汚染された作業面に、前記ワイプを適用することと、
(b) 前記第2のポーチから前記ワイプを取り出し、前記作業面に、前記ワイプを適用することと、
(c) 前記第3のポーチから前記ワイプを取り出し、前記作業面に、前記ワイプを適用することとを含み、
前記ステップ(a)は、前記有害な薬剤を不活性化し、前記ステップ(b)は、前記作業面の汚染を除去し、前記ステップ(c)は、前記作業面を消毒および洗浄する。
前記ステップ(a)-(c)は、順番に実行されてもよい。前記ワイプは、それぞれ、前記第1のポーチ、前記第2のポーチ、および前記第3のポーチのそれぞれの切り取り線を引き裂いて、前記第1のポーチ、前記第2のポーチ、および前記第3のポーチそれぞれから取り出されてもよい。
【0039】
上記には、不活性化ワイプキット(100)であって、一方向充填弁(208)が、一方の端に結合された第1のポーチ(102)であって、第1の溶液に浸潤したワイプ(209)を含む第1のポーチと、第2の溶液に浸潤したワイプを含む第2のポーチ(104)とを有するキットが開示されている。このキットは、第3の溶液に浸潤したワイプを含む第3のポーチ(106)をさらに有してもよい。前記第1の溶液が無菌の次亜塩素酸塩を含み、前記第2の溶液がチオ硫酸塩を含み、前記第3の溶液がイソプロピルアルコールを含んでもよい。このキットは、制御された環境で、作業面の有害な薬物を不活性化するために用いられるように構成されていてもよい。前記一方向充填弁は、前記第1の溶液が前記第1のポーチに充填可能で、前記第1の溶液の前記第1のポーチからの漏洩を防止するように構成されていてもよい。
【0040】
上記には、以下のステップを含む不活性化ワイプキットの作成方法が開示されている。(a) 一方の端に一方向充填弁(208)が結合された第1のポーチ(102)に、乾燥した第1のワイプ(209)を入れ、前記第1のポーチを閉じて第1の密閉されたポーチを形成することと、
(b) 第2のポーチ(104)に、第2の溶液に浸潤した第2のワイプを入れ、前記第2のポーチを閉じて第2の密閉されたポーチを形成することと、
(c) 前記第1の密閉されたポーチを放射線滅菌して、第1の滅菌され密閉されたポーチを形成することと、
(d) 前記第2の密閉されたポーチを放射線滅菌して、第2の滅菌され密閉されたポーチを形成することと、
(e) 前記一方向充填弁(208)を介して前記第1の滅菌され密閉されたポーチに第1の溶液を充填し、前記第1の溶液で前記乾燥した第1のワイプ(209)を浸潤させること。
【0041】
前記ステップ(e)は、第1の滅菌済みで充填され密閉されたポーチを形成し、この方法は、前記第1の滅菌済みで充填され密閉されたポーチを第1のバッグに入れ、前記第1のバッグを密封封止して、第1の滅菌済みで充填され密閉されたポーチエンクロージャを形成するステップをさらに含んでもよい。この方法は、前記第2の密閉されたポーチを、第2のバッグに入れ、前記第2のバッグを密封封止して第2の密閉されたポーチエンクロージャを形成するステップをさらに含んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の溶液に浸潤した少なくとも1つの第1のワイプを含み、前記第1の溶液は有害な薬物を不活性化するように構成された第1の柔軟なポーチと、
第2の溶液に浸潤した少なくとも1つの第2のワイプを含み、前記第2の溶液は前記第1の溶液を洗浄、除染および中和するように構成された第2の柔軟なポーチと、
第3の溶液に浸潤した少なくとも1つの第3のワイプを含み、前記第3の溶液は殺菌剤である第3の柔軟なポーチとを有し、
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチの前記第1、第2および第3のワイプのそれぞれを順番に使用することにより、制御された環境で、作業面の有害な薬物を不活性化するために使用されるように構成されており、
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチのそれぞれは密封封止され、一方の端部の近くにノッチおよび切り取り線の少なくともいずれかを含み、前記第1、第2および第3の溶液は互いに異なる薬品であり、前記第1の溶液は放射線滅菌ができない溶液であり、さらに
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチのそれぞれは放射線滅菌用に構成され、放射線殺菌された後に前記第1の溶液が充填された前記第1の柔軟なポーチと、前記第2および前記第3の溶液がそれぞれ充填された状態で放射線殺菌された前記第2および第3の柔軟なポーチとが1つのキットとしてクリーンルームに持ち込まれるように纏められた、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の柔軟なポーチは、前記第1の溶液が前記第1の柔軟なポーチから漏れるのを防止した状態で、前記第1の溶液が前記第1の柔軟なポーチに充填可能なように構成された一方向充填弁を含む、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項3】
請求項2において、
前記一方向充填弁は、前記第1のワイプが既に前記第1の柔軟なポーチに密封された後に、前記第1の柔軟なポーチに前記第1の溶液を充填することを可能にするように構成されている、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1の溶液は次亜塩素酸塩溶液であり、前記第2の溶液はチオ硫酸塩溶液であり、前記第3の溶液がイソプロピルアルコール溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項5】
請求項4において、
前記次亜塩素酸塩溶液は5.25%次亜塩素酸ナトリウム溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項6】
請求項4において、
前記チオ硫酸塩溶液は2%チオ硫酸ナトリウム溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項7】
請求項4において、
前記イソプロピルアルコール溶液は70%イソプロピルアルコール溶液である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1の柔軟なポーチの前記第1のワイプはポリプロピレンで形成され、前記第2の
柔軟なポーチの前記第2のワイプおよび前記第3の柔軟なポーチの前記第3のワイプはポリエステルで形成されている、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1、第2および第3の柔軟なポーチのそれぞれは、前記第1、第2および第3のワイプを順番に使用することを示す表示を含む、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1の柔軟なポーチの前記表示は番号1であり、前記第2の柔軟なポーチの前記表示は番号2であり、前記第3の柔軟なポーチの前記表示は番号3である、クリーンルーム用のワイプキット。
【請求項11】
第1の溶液に浸潤した少なくとも1つの第1のワイプを含む第1の柔軟なポーチと、
第2の溶液に浸潤した少なくとも1つの第2のワイプを含む第2の柔軟なポーチとを有し、
前記第1および第2の溶液は互いに異なる薬品であり、前記第1の溶液は放射線滅菌ができない溶液であり、さらに
前記第1および第2の柔軟なポーチは放射線滅菌用に構成され、放射線殺菌された後に前記第1の溶液が充填された前記第1の柔軟なポーチと、前記第2の溶液が充填された状態で放射線殺菌された前記第2の柔軟なポーチとが、持ち運び用に1つのキットとして纏められた、ワイプキット。
【請求項12】
請求項11において、
前記第1の柔軟なポーチは、前記第1の溶液が前記第1の柔軟なポーチに充填可能なように構成された一方向充填弁を含む、ワイプキット。
【請求項13】
請求項11または12において、
さらに、第3の溶液に浸潤した少なくとも1つの第3のワイプを含む第3の柔軟なポーチを有し、
前記第3の溶液は、前記第1および第2の溶液と異なる薬品であり、さらに、
前記第3の柔軟なポーチは放射線滅菌用に構成され、前記第3の溶液が充填された状態で放射線殺菌された前記第3の柔軟なポーチが、前記第1および第2の柔軟なポーチとともに、持ち運び用に1つの前記キットとして纏められた、ワイプキット。
【請求項14】
(a) 一方の端に一方向充填弁が結合された第1のポーチに、乾燥した第1のワイプを入れることと、
(b) 第2のポーチに第2のワイプを入れて第2の溶液に浸潤させることと、
(c) 第3のポーチに第3のワイプを入れて第3の溶液に浸潤させることと、
(d) 前記第1、第2および第3のポーチを放射線滅菌することと、
(e) 滅菌された前記第1のポーチに、前記一方向充填弁を介して、前記第2および前記第3の溶液と異なる放射線滅菌ができない第1の溶液を充填し、前記第1の溶液で前記乾燥した第1のワイプを浸潤させることと、
(f) 放射線殺菌された後に前記第1の溶液が充填された前記第1のポーチと、前記第2の溶液および前記第3の溶液がそれぞれ充填された状態で放射線殺菌された前記第2および第3のポーチとを、制御された環境に持ち込まれるように1つのキットにまとめることとを有する、不活性化ワイプキットの作成方法。
【請求項15】
(a) 一方の端に一方向充填弁が結合された第1のポーチに、乾燥した第1のワイプを入れることと、
(b) 第2のポーチに第2のワイプを入れて第2の溶液に浸潤させることと、
(c) 前記第1および第2のポーチを放射線滅菌することと、
(d) 滅菌された前記第1のポーチに、前記一方向充填弁を介して、前記第2の溶液と異なる放射線滅菌ができない第1の溶液を充填し、前記第1の溶液で前記乾燥した第1のワイプを浸潤させることと、
(e) 放射線殺菌された後に前記第1の溶液が充填された前記第1のポーチと、前記第2の溶液が充填された状態で放射線殺菌された前記第2のポーチとを、持ち運び用に1つのキットにまとめることとを有する、ワイプキットの作成方法。