特開 2024-6930 硬質材料で作られたリンク付きリストレット

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024006930

(43)【公開日】2024-01-17

(54)【発明の名称】硬質材料で作られたリンク付きリストレット

(51)【国際特許分類】

   A44C 5/00 20060101AFI20240110BHJP

   A44C 5/10 20060101ALI20240110BHJP

   A44C 5/02 20060101ALI20240110BHJP

【ＦＩ】

A44C5/00 501D

A44C5/10 510L

A44C5/10 510C

A44C5/02 A

【審査請求】有

【請求項の数】16

【出願形態】ＯＬ

【外国語出願】

(21)【出願番号】P 2023019725

(22)【出願日】2023-02-13

(31)【優先権主張番号】22182358.6

(32)【優先日】2022-06-30

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(71)【出願人】

【識別番号】599044744

【氏名又は名称】コマディール・エス アー

(74)【代理人】

【識別番号】100098394

【弁理士】

【氏名又は名称】山川 茂樹

(72)【発明者】

【氏名】セバスチャン・ルトルヴェ

(72)【発明者】

【氏名】アントニー・タピ－デルガド

(57)【要約】      （修正有）

【課題】硬質材料で作られたリンク付きリストレットを提供すること。
【解決手段】本発明は、少なくとも１つの中央リンク２を備えた第１の列と、第１の列の両側にそれぞれ配置され、おのおのが少なくとも１つの横方向リンクを備える第２の列および第３の列と、第１の列、第２の列、および第３の列の３つの整列された孔に配置された接続ロッド４とを備えるリストレットであって、リストレットは、接続ロッド４が肩部５を備え、中央リンクの各孔２ａは、その両端部のうちの一方において、前記中央リンクに形成された空洞６に開口し、前記空洞は、前記中央リンクが前記接続ロッドの周りを旋回するときに、前記肩部の第１のバンキングおよび第２のバンキングとして機能する第１の壁６ｂおよび第２の壁６ｃによって区切られ、接続ロッドの周りの前記中央リンクの回転の振幅を制限することを特徴とする、リストレット。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

リストレット（１）であって、
－ 中央リンク（２）の２つの貫通孔（２ａ）が設けられた、少なくとも１つの前記中央リンク（２）を備えた第１の列（８）と、
－ 前記第１の列（８）の両側にそれぞれ配置された第２の列（９）および第３の列（１０）であって、前記第２の列（９）および前記第３の列（１０）はおのおの、少なくとも１つの横方向リンク（３）を備え、前記横方向リンク（３）には、前記横方向リンク（３）の孔（３ａ）と呼ばれる２つの孔（３ａ）が設けられ、前記第２の列（９）の前記横方向リンク（３）の孔（３ａ）は、前記第１の列（８）の前記中央リンク（２）の孔（２ａ）、および前記第３の列（１０）の前記横方向リンク（３）の孔（３ａ）に整列され、３つの整列された孔を有するセットを形成する、第２の列（９）および第３の列（１０）と、
－ 前記３つの整列された孔に配置された接続ロッド（４）であって、前記第２の列（９）および前記第３の列（１０）の前記横方向リンク（３）に対して固定して取り付けられ、前記中央リンク（２）が旋回可能に取り付けられる軸を形成する、接続ロッド（４）とを備え、
前記リストレット（１）は、前記接続ロッド（４）が肩部（５）を備え、前記中央リンク（２）の各孔（２ａ）は、その両端部のうちの一方において、前記中央リンク（２）に形成された空洞（６）に開口し、前記空洞（６）は、前記中央リンク（２）の中心に最も近い第１のいわゆる内壁（６ｂ）と、前記中央リンク（２）の中心から最も遠い第２のいわゆる外壁（６ｃ）とによって区切られ、前記第１の壁（６ｂ）および前記第２の壁（６ｃ）は、前記中央リンク（２）が前記接続ロッド（４）の周りを旋回するときに、前記肩部（５）の第１のバンキングおよび第２のバンキングとして機能し、前記接続ロッド（４）の周りの前記中央リンク（２）の回転の振幅を制限することを特徴とする、リストレット（１）。

【請求項2】

前記接続ロッド（４）の前記肩部（５）は、前記接続ロッド（４）から円弧（５ａ）として半径方向に広がり、前記円弧（５ａ）は、第１の側面（５ｂ）および第２の側面（５ｃ）によって前記接続ロッド（４）に接続され、凹部（６）も、円弧（６ａ）として広がる形状を有し、前記円弧（６ａ）の長さは、前記肩部（５）の前記円弧（５ａ）の長さよりも長く、前記空洞（６）内での前記肩部（５）の旋回を可能にすることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項3】

前記接続ロッド（４）の周りの前記中央リンク（２）の回転の振幅は、１５０°以下、好ましくは６０°以下であることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項4】

前記中央リンク（２）が、ゼロ振幅の回転を有するとき、すなわち、前記第１の列（８）の前記中央リンク（２）と、前記第２の列（９）および前記第３の列（１０）の前記少なくとも１つの横方向リンク（３）とによって形成される前記セットが、同一平面内にある場合、前記肩部（５）は、前記空洞（６）の前記内壁（６ｂ）に当接し、前記中央リンク（２）が、回転の最大振幅に達したとき、前記肩部（５）は、前記空洞（６）の前記外壁（６ｃ）に当接することを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項5】

前記接続ロッド（４）は、その両端部に非円形断面を有する部分を有し、前記横方向リンク（３）の各孔（３ａ）もまた、非円形断面を有する部分を有し、前記接続ロッド（４）の非円形断面を有する前記部分は、前記横方向リンク（３）の前記孔（３ａ）の非円形断面を有する前記部分に嵌り、前記接続ロッド（４）が前記横方向リンク（３）に対して固定して取り付けられることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項6】

前記接続ロッド（４）の非円形断面を有する前記部分は、前記横方向リンク（３）の非円形断面を有する前記部分の平面（３ｂ）に当接する少なくとも１つの平坦面（４ａ）を含むことを特徴とする、請求項５に記載のリストレット（１）。

【請求項7】

前記中央リンク（２）は、前記２つの貫通孔（２ａ）の間のその両端部のおのおのに、前記横方向リンク（３）の隣の、前記第２の列（９）に延在する、および前記第３の列（１０）に延在する突出部分（２ｂ）を含むことを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項8】

前記中央リンク（２）の前記突出部分（２ｂ）は、前記横方向リンク（３）の厚さと実質的に等しい厚さを有することを特徴とする、請求項７に記載のリストレット（１）。

【請求項9】

前記横方向リンク（３）は、前記中央リンク（２）の前記突出部分（２ｂ）に形成された円形凹部（２ｃ）に、非接触で嵌る円形ラグ（３ｃ）を有する２つの円形ラグ（３ｃ）を含むことを特徴とする、請求項７に記載のリストレット（１）。

【請求項10】

前記横方向リンク（３）の前記２つの孔（３ａ）が貫通しており、前記横方向リンク（３）と前記接続ロッド（４）との間の固定は、前記中央リンク（２）とは反対側にある前記貫通孔（３ａ）の端部に位置するねじ（７）によって達成されることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項11】

前記横方向リンク（３）の前記２つの孔（３ａ）は、貫通またはブラインドであり、前記横方向リンク（３）と前記接続ロッド（４）との間の固定は、接着剤を用いて達成されることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項12】

前記中央リンク（２）および／または前記横方向リンク（３）は、硬度が１，２００ＨＶ以上の材料で少なくとも部分的に作られていることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項13】

前記接続ロッド（４）は、１，２００ＨＶ未満の硬度を有することを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項14】

前記２つの貫通孔（２ａ）のための前記中央リンク（２）の前記空洞（６）は、前記中央リンク（２）の同じ面に形成されることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項15】

前記２つの貫通孔（２ａ）のための前記中央リンク（２）の前記空洞（６）は、貫通孔（２ａ）のために前記中央リンク（２）の面に、他の貫通孔（２ａ）のために前記中央リンク（２）の対向面に、それぞれ形成されていることを特徴とする、請求項１に記載のリストレット（１）。

【請求項16】

請求項１に記載のリストレット（１）を備える、特に計時器である部品。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ともにヒンジ結合された要素によって、特に、少なくともその一部が硬質材料で作られたリンクによって形成された、リストレットに関する。本発明はまた、前記リストレットを備える、腕時計のような計時器、または宝飾品を含む部品にも関する。

【背景技術】

【0002】

腕時計製造または宝飾品製造業界では、様々な外観を有するリストレットの製造のために、様々な材料が使用される。特に、硬質材料で作られたリストレットを製造することが知られている。硬質材料とは、１，２００ＨＶを超えるビッカース硬度を有する材料であると理解されるべきである。たとえば、これら硬質材料は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、または酸化アルミニウムなどのセラミックである。サーメットで構成される場合もある。硬質材料は、特に、傷がつきにくいという機械的特性を有するために使用されている。

【0003】

これら材料の欠点は、リンクの機械加工中、およびリストレットの取扱い中にリンクが互いに移動または衝突したときに、壊れる危険性が高く、脆いことである。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明は、衝突を回避するようにリンクの回転の振幅を制御することを可能にするリンク間の組立てを提供することによって、前述の欠点を克服することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0005】

この目的のために、リストレットのリンクの異なる列を接続する接続ロッドは、中央列のリンクに形成された空洞に嵌る肩部を含む。この空洞は、接続ロッドに対する中央列のリンクの角運動を制限する２つのバンキングによって区切られる。

【0006】

より具体的には、本発明は、
－ 中央リンクの２つの貫通孔が設けられた、少なくとも１つの中央リンクを備えた第１の列と、
－ 第１の列の両側にそれぞれ配置された第２の列および第３の列であって、第２の列および第３の列はおのおの、少なくとも１つの横方向リンクを備え、前記横方向リンクには、横方向リンクの孔と呼ばれる２つの孔が設けられ、第２の列の横方向リンクの孔は、第１の列の中央リンクの孔、および第３の列の横方向リンクの孔に整列され、３つの整列された孔を有するセットを形成する、第２の列および第３の列と、
－ ３つの整列された孔に配置された接続ロッドであって、第２の列および第３の列の横方向リンクに対して固定して取り付けられ、中央リンクが旋回可能に取り付けられる軸を形成する、接続ロッドとを備えるリストレットであって、
リストレットは、接続ロッドが肩部を備え、中央リンクの各孔は、その両端部のうちの一方において、前記中央リンクに形成された空洞に開口し、前記空洞は、中央リンクの中心に最も近い第１のいわゆる内壁と、中央リンクの中心から最も遠い第２のいわゆる外壁とによって区切られ、第１の壁および第２の壁は、中央リンクが接続ロッドの周りを旋回するときに、肩部の第１のバンキングおよび第２のバンキングとして機能し、接続ロッドの周りの前記中央リンクの回転の振幅を制限することを特徴とする、リストレットに関する。

【0007】

したがって、本発明によれば、リンク間の接合および旋回として機能する軸を使用して、リンクの回転の振幅を制限し、当接時の応力の全部または一部を吸収する。これら軸は、リンクによって外部から保護されているため、リンクよりも硬くなく、したがって、壊れにくい材料で作ることができる。したがって、回転の振幅を制御できる肩部を作るために、機械加工によって軸を容易に成形することができる。

【0008】

さらに、中央リンクは、横方向リンクの間で、第２の列および第３の列に延在するカバー領域とも呼ばれる突出部分を含む。中央リンクのこの突出部分のみならず横方向リンクは、中央リンクが旋回するときに、突出部分と横方向リンクとの間の接触がなく、リストレットに美的感覚を与える、特定の形状を有する。この接触がないことにより、硬質材料で作られたリンクに応力がかかることを回避できる。

【0009】

結論として、本発明によるリストレットの組立ては、取扱い中に、硬質材料で作られた壊れやすい部分の衝突または応力を回避しながら、その堅固性を確保するために、カバー領域を含む設計で、硬質材料で作られたリストレットのリンクの可動性の程度を制御することを可能にする。

【0010】

本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられる好ましい実施形態の以下の説明において明らかになるであろう。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】図１は、本発明によるリストレットの３次元部分図である。

【図2A】図２Ａは、本発明によるリストレットの分解３次元部分図である。

【図2B】図２Ｂは、本発明によるリストレットの分解３次元部分図である。

【図3】図３は、本発明による中央リンクおよび接続ロッドの３次元図である。

【図4A】図４Ａは、平坦位置にあるリストレットの一部の部分断面図である。

【図4B】図４Ｂは、旋回位置にあるリストレットの一部の部分断面図である。

【図5A】図５Ａは、図５Ｄにおける拡大部Ｄを有する平坦位置にあるリストレットの側面図である。

【図5B】図５Ｂは、図５Ｃにおける拡大部Ｃを有する図５Ａの断面図である。

【図5C】図５Ｃは、図５Ｂにおける拡大部Ｃを示す断面図である。

【図5D】図５Ｄは、図５Ａにおける拡大部Ｄを示す側面図である。

【図6A】図６Ａは、旋回位置におけるリストレットの側面図である。

【図6B】図６Ｂは、図６Ｃにおける拡大部Ｃを有する図６Ａの断面図である。

【図6C】図６Ｃは、図６Ｂにおける拡大部Ｃの断面図である。

【図7】図７は、本発明によるリストレットの部分断面図である。

【図8】図８は、組立中のリストレットの一部の図である。

【図9】図９は、組立中のリストレットの一部の図である。

【図10】図１０は、組立中のリストレットの一部の図である。

【図11】図１１は、組立中のリストレットの一部の図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

本発明は、少なくとも３列のリンクを備えるリストレット１に関し、第１の列８は、中央リンク２を備え、第１の列８の両側における第２の列９および第３の列１０は、横方向リンク３を備える。隣接する２つの中央リンク２と、２つの横方向リンク３とを備えた、このリストレット１の部分図が図１に示される。たとえば、このリストレットは、腕時計などの計時器、または宝飾品に装備することが意図される。より具体的には、以下に説明されるような組立ては、一部のリンクが少なくとも部分的に硬質材料で作られたリストレットに適している。硬質材料とは、硬度が実質的に１，２００ＨＶ以上であり、破壊前の塑性変形にほとんどまたは全く耐えられない材料と理解されるべきである。硬質材料としては、エナメルや、ルビー、サファイア、または石英などの貴石または非貴石や、酸化物、炭化物、または窒化物などのセラミックや、セラメルや、または硬質金属を挙げることができるが、これらに限定されない。組立ては、硬質材料で作られたリンクに特に適しているが、より延性のある材料で作られたリンクにも適合することに留意されたい。

【0013】

本発明によれば、図４Ｂおよび図６Ｃに例示されるように、中央リンク２の回転の振幅が制限される。この目的のために、中央リンク２と２つの横方向リンク３との間の接続ロッド４は、中央リンク２が旋回するとき、中央リンク２に形成された空洞６の壁６ｂ，６ｃに接する肩部５を含む（図２Ａおよび図３）。有利なことに、接続ロッドは、機械加工を容易にするために鋼またはチタン合金などの低硬度材料で作られる。通常、接続ロッドの材料は、１，２００ＨＶ未満の硬度を有する。

【0014】

知られている方式では、中央リンク２は、軸とも呼ばれる接続ロッド４をおのおの受け入れるように意図された２つの貫通孔２ａを含み、横方向リンク３のおのおのは、接続ロッド４の端部を収容するために２つのブラインドまたは貫通孔３ａを含む（図２Ａおよび図８）。本発明によれば、中央リンク２の貫通孔２ａは、中央リンク２に形成された空洞６に開口しており、それは各貫通孔の一方の端部のみにおいてそうなっている（図３）。各中央リンクでは、図２Ａに示されるように中央リンクの同じ面上に２つの貫通孔用の空洞を形成するか、または図２Ｂの組立て用のように、中央リンクの面上に、貫通孔用の、および中央リンクの他の面上に、他の貫通孔用の空洞をそれぞれ形成できる。

【0015】

本発明によれば、接続ロッド４は横方向リンク３に固定され、中央リンク２は、接続ロッドによって形成される軸の周りに固定されたこのブロックに対する回転相対運動を有する。接続ロッドと横方向リンクとを確実に接続するには、いくつかの可能性がある。好ましくは、接続ロッドは、その両端部に非円形断面を有する部分を有し、この部分は、同様に非円形断面を設けられた横方向リンクのブラインドまたは貫通孔の一部に配置される。たとえば、接続ロッドの非円形断面を有する部分は、横方向リンクの孔の内側の平面に対して配置される少なくとも１つの平坦面を含む。例示される例では、接続ロッド４の非円形断面を有する部分は、たとえば直径方向に対向する２つの平坦面４ａを含み、これら平坦面４ａは、横方向リンク３のブラインドまたは貫通孔３ａを区切る２つの平面３ｂに対して配置される（図３および図７）。横方向リンク３内の接続ロッド４の固定は、この場合、図２Ａおよび図２Ｂに示されるように貫通している孔３ａの一方の端部に配置されたねじ７を使用して達成され得る。固定は、横方向リンクのブラインドまたは貫通孔内で接着によっても達成できる。あるいは、横方向リンクの孔内への接続ロッドの固定を、接続ロッドの両端部に非円形部分を有する部分を必要とせずに、接着によって簡単に達成できる。

【0016】

接続ロッド４と中央リンク２との間の相対的な回転運動の振幅は、中央リンク２の旋回による中央リンク２の空洞６の第１のバンキング６ｂまたは第２のバンキング６ｃのいずれかに当接する接続ロッド４の肩部５によって制限される。好ましくは、肩部５は、接続ロッド４から円弧として半径方向に広がる。円弧５ａは、第１のバンキング６ｂまたは第２のバンキング６ｃに当接する第１の側面５ｂおよび第２の側面５ｃによって接続ロッド４に接続される（図３）。第１のバンキング６ｂは、中央リンクの中心に対する最外壁によって形成される第２のバンキング６ｃとは対照的に、空洞の最内壁、すなわち中央リンクの中心に最も近い壁によって形成される。好ましくは、図６Ａに例示されるように、リストレットの内側の方向にリストレットを曲げるように、２つの接続ロッドおよびそれらの肩部が、中央リンクの空洞内に構成される。この目的のために、中央リンク内で、２つの接続ロッドは、２つの貫通孔内で角度を変えて配置される。平坦位置では、２つの接続ロッド４の肩部５が、空洞６の内壁６ｂに当接する（図４Ａ）。したがって、一方の接続ロッドでは、空洞の内壁６ｂに当接するのは第１の側面５ｂであり、他方の接続ロッドでは、空洞の内壁６ｂに当接するのは第２の側面５ｃである（図５Ｃ）。完全に旋回した位置では、２つのロッドの肩部５が、空洞６の外壁６ｃに当接する（図４Ｂ）。したがって、一方の接続ロッドでは、空洞の外壁６ｃに当接するのは第２の側面５ｃであり、他方の接続ロッドでは、空洞の外壁６ｃに当接するのは第１の側面５ｂである（図６Ｃ）。貫通孔の端部に形成された空洞６も円弧として広がり、空洞６の円弧６ｃの長さは、肩部５の円弧５ａの長さよりも長く、空洞内での肩部５の旋回を可能にする。肩部の円弧の長さと比較した空洞の円弧の長さにより、接続ロッドに対する中央リンクの角運動の範囲を画定できる。典型的には、接続ロッドに対する中央リンクの回転の振幅は、１５０°以下、好ましくは６０°以下である。例示される例では、各中央リンク２は、６０°の回転振幅を有し、隣接する２つの中央リンクが６０°回転した後、図５Ｃおよび図６Ｃに図式化されるように、２つの隣接する横方向リンク３の間で１２０°までの旋回が可能となる。

【0017】

好ましくは、横方向リンク３は、２つの貫通孔２ａの間に配置された中央リンク２の突出部分２ｂに形成された円形凹部２ｃに配置された２つの円形ラグ３ｃを有する（図５Ｄおよび図１１）。中央リンク２の突出部分２ｂは、２つの横方向リンク３の間に介在され、横方向リンク３とともに、第２の列９および第３の列１０をそれぞれ形成する（図１）。典型的には、中央リンク２の突出部分２ｂは、横方向リンク３の厚さと実質的に等しい厚さを有する。横方向リンク３のラグ３ｃは、中央リンクの突出部分２ｂの円形凹部２ｃ内に非接触で嵌る。横方向リンクのラグ３ｃは、これらに対して後退した部分３ｄで覆われる（図５Ｄ）。この後退部分３ｄは、凹部２ｃ上に垂下する突出部分２ｂの頂部２ｄに対向して非接触で配置される。突出部分２ｂの頂部２ｄと、横方向リンク３の後退部分３ｄとの間の空間ｄが、図５Ｄにおいて観察される。配置は、硬質材料に応力がかからないように、非接触で行われる。

【0018】

リストレットの異なる要素からなる組立ては、以下のように行われる。リンクの同じ面上に形成された中央リンクのすべての空洞で、したがって、この面を介して導入される肩部を設けられたすべての接続ロッドで、図２Ａのように実施され得る。また、図２Ｂにおけるように、中央リンクの一方の面と他方の面とに交互に形成された空洞を用いて実行され得、接続ロッドは、これと同じ交互に導入される。組立原理は、両方の場合で実質的に同じであり、図２Ａおよび図８～図１１に関連して説明されている。図１０は、中央リンクが存在しない、単純化された図を示す。

【0019】

２つの接続ロッド４、より具体的には平坦面４ａを有する部分は、横方向リンク３のそれぞれの孔３ａに取り付けられ、接続ロッド４の肩部５は、横方向リンク３とは反対側の軸方向クリアランスを有して配置される。接続ロッド４と横方向リンク３との間の固定は、横方向リンクの貫通孔３ａの一方の端部から、接続ロッドの凹部まで導入されるねじ７を用いて実行される。あるいは、固定は、接着によって実行され得る。その後、中央リンク２は、中央リンク２の空洞６内に軸方向クリアランスを有して嵌り、空洞の内壁６ｂに当接する肩部５を有する接続ロッド４のうちの一方の接続ロッドに嵌め込まれる。同様に、中央リンク２は、空洞の内壁に当接する肩部をまだ有する、横方向リンク３の他方の接続ロッド４に嵌め込まれる。最後に、平坦面を備えた２つの接続ロッドの他方の端部が、横方向リンクに導入され、２つのねじで、または接着によって、固定が実行される。このようにして、リストレット全体が組み立てられる。

【符号の説明】

【0020】

１ リストレット
２ 中央リンク
ａ 貫通孔
ｂ 突出部分
ｃ 円形凹部
ｄ 突出部分の頂部
３ 横方向リンク
ａ 貫通孔またはブラインド孔
ｂ 平面
ｃ 円形ラグ
ｄ 後退部分
４ 接続ロッド
ａ 平坦面
５ 肩部
ａ 円弧
ｂ 第１の側面
ｃ 第２の側面
６ ポケットとも呼ばれる中央リンクの空洞
ａ 円弧
ｂ 内壁または第１の壁とも呼ばれる第１のバンキング
ｃ 外壁または第２の壁とも呼ばれる第２のバンキング
７ ねじ
８ 第１の列
９ 第２の列
１０ 第３の列

【図1】

【図2A】

【図2B】

【図3】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【外国語明細書】