(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069327
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】微生物を含むサンプルの溶液特性を測定するためのデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/28 20060101AFI20240514BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240514BHJP
G01N 27/30 20060101ALI20240514BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
G01N27/28 301Z
G01N27/416 353Z
G01N27/416 341Z
G01N27/30 311Z
C12M1/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034193
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2020570795の分割
【原出願日】2019-06-19
(31)【優先権主張番号】62/687,167
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518060354
【氏名又は名称】アバイルズ メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】クレイトン ティー.バイー
(72)【発明者】
【氏名】ヒマ シャー
(72)【発明者】
【氏名】ナイチン ケー.ラジャン
(72)【発明者】
【氏名】アシュラフ エム.ワーバ
(72)【発明者】
【氏名】オーレン エス.ノップマッシャー
(72)【発明者】
【氏名】メイケ ハーゲット
(57)【要約】
【課題】微生物を含むサンプルの溶液特性を決定するための様々な装置、システム、および方法の提供。
【解決手段】本発明の一実施形態では、サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器と、参照導管内に規定された参照導管空洞を有する参照導管を含む参照センサ部材とを含むセンサ装置が開示される。前記参照導管空洞は、参照緩衝ゲル、緩衝液またはウイッキング部材で少なくとも部分的に満たすことができる。参照導管のセグメントはサンプルチャンバ内に延在することができる。参照電極材料は、前記ウィッキング部材の近位端に配置されるか、または前記参照導管空洞内に部分的に延在させることができる。当該センサ装置はまた、サンプルと流体接触している活性電極を有する能動型センサ構成要素を含むこともできる。サンプルチャンバ内のサンプルは、サンプル容器の表面に沿って規定された通気口を通って通気することが可能である。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの溶液特性を測定するためのセンサ装置であって、該センサ装置は
(1) サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器;
(2) 参照センサ部材であって、
(a) 参照導管空洞と、参照導管第一開口部と、参照導管第二開口部とを含む参照導管;
(b) ウイック遠位端とウイック近位端を有し、前記参照導管空洞を通って延在するウイッキング部材であって、前記ウイッキング部材の少なくとも一部が、前記サンプルの少なくとも相当量が前記ウイッキング部材によって前記ウイック近位端の方向に引き寄せられるように前記サンプルチャンバと流体連絡しているウイッキング部材;および
(c) 前記ウイック近位端に配置された参照電極材料
を備える参照センサ部材;
(3) 活性電極材料を含む能動型センサ部材であって、前記活性電極材料の少なくとも一部が、前記サンプルチャンバ中に延在し、かつ前記サンプルチャンバが前記サンプルで満たされると前記サンプルと流体接触状態になる、能動型センサ部材;
を備え、
前記参照センサ部材と前記能動型センサ部品とが、導電性接続によってパラメータ分析器に電気的に結合され、そして前記サンプルの溶液特性が、前記活性電極材料と前記参照電極材料との間で測定された電位差に基づいて決定されることを特徴とする、センサ装置。
【請求項2】
前記サンプル容器に取り外し可能に連結されるように構成された容器キャップを更に備え、前記参照導管がその容器キャップの底面から延出している、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記容器キャップが一部非導電材料で作られている、請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記容器キャップが、前記ウイッキング部材の少なくとも一部が前記容器キャップを通して見えるように透明な非導電体材料で一部作られている、請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記サンプル容器が、セラミック材料と高分子材料の少なくとも1つで一部で作られている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記参照電極材料が、前記ウイック近位端上に供給または分配された導電性インクである、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記ウイック近位端上に供給または分配された前記導電性インクが、硬化によって固められる、請求項6に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記導電性インクが銀-塩化銀インクである、請求項6に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記ウイッキング部材が多孔質高分子材料から一部作られている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記ウイッキング部材が高密度ポリエチレン(HDPE)で一部作られている、請求項9に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記ウイッキング部材が天然繊維から一部作られている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記ウイッキング部材が約15 μm~約150 μmにサイジングされた細孔を含む、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記ウイッキング部材が、前記ウイッキング部材の少なくとも表面が界面活性剤により覆われるように界面活性剤で処理され、ここで前記界面活性剤が前記ウイッキング部材の親水性を増大させるように構成される、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記サンプル容器の底部側と側方側の少なくとも1つに沿って規定された通気口;および
前記通気口を覆っている疎水性通気性膜であって、前記通気口および前記疎水性通気性膜は、空気が前記通気口と前記疎水性通気性膜を通って前記サンプルチャンバに入り、前記サンプルチャンバを曝気できるように構成されている、疎水性通気性膜
を更に備える、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項15】
アタッチメント接続を介して前記サンプル容器に取り外し可能に連結されるように構成された容器キャップと、
前記容器キャップの底面の少なくとも一部を覆っている追加の疎水性通気性膜と
を更に備え、
ここで前記容器キャップが前記アタッチメント接続によって前記サンプルチャンバにねじ込まれると、気流経路が構築され、ここで前記気流経路が、前記通気口、前記疎水性通気性膜、前記サンプルチャンバ、追加の疎水性通気性膜、および前記アタッチメント接続に沿って前記容器キャップと前記サンプル容器との間に限定された空隙を含む、請求項14に記載のセンサ装置。
【請求項16】
測定される前記溶液特性がpHであり、そして前記活性電極材料がpH感受性材料で一部作られている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項17】
前記pH感受性材料が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウムおよび二酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含む、請求項16に記載のセンサ装置。
【請求項18】
測定される前記溶液特性がサンプルの酸化還元電位(ORP)であり、そして前記活性電極材料がレドックス感受性材料で一部作られている、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記レドックス感受性材料が白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のセンサ装置。
【請求項20】
前記パラメータ分析器が電圧計とマルチメーターの少なくとも一部を備える、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項21】
参照センサ部材であって、
サンプルを受け入れるように構成されたサンプル容器に取り外し可能に連結されるように構成された容器キャップと;
前記容器キャップの底面から延出している参照導管であって、参照導管空洞を有する参照導管と;
ウイック遠位端とウイック近位端とを有する参照導管空洞の一部の中に配置されたウイッキング部材であって、前記容器キャップが前記サンプル容器に連結されると、前記サンプルの少なくとも相当量が前記ウイッキング部材によって前記ウイック近位端の方向に引き寄せられるように、前記ウイッキング部材の少なくとも一部が前記サンプルと流体接触するように構成されている、ウイッキング部材と;
前記ウイック近位端に配置された参照電極材料であって、前記参照電極材料が、前記参照電極材料と電気的に結合している活性電極に比較して、実質的に安定な電極電位を示すように構成される、参照電極材料と
を備える参照センサ部材。
【請求項22】
前記容器キャップが非導電体材料で一部作られている、請求項21に記載の参照センサ部材。
【請求項23】
前記容器キャップが、前記ウイッキング部材の少なくとも一部が前記容器キャップを通して見えるような透明な非導電体材料で一部作られている、請求項22に記載の参照センサ部材。
【請求項24】
前記参照電極材料が、前記ウイック近位端上に供給または分配された導電性インクである、請求項21に記載の参照センサ部材。
【請求項25】
前記ウイック近位端上に供給または分配された前記導電性インクが、硬化によって固められる、請求項24に記載の参照センサ部材。
【請求項26】
前記導電性インクが銀-塩化銀インクである、請求項24に記載の参照センサ部材。
【請求項27】
前記ウイッキング部材が多孔質高分子材料から一部作られている、請求項21に記載の参照センサ部材。
【請求項28】
前記ウイッキング部材が天然繊維で一部作られている、請求項21に記載の参照センサ部材。
【請求項29】
前記ウイッキング部材が約15 μm~約150 μmにサイジングされた細孔を含む、請求項21に記載の参照センサ部材。
【請求項30】
前記ウイッキング部材が、前記ウイッキング部材の少なくとも表面が界面活性剤により覆われるように界面活性剤で処理され、ここで前記界面活性剤が前記ウイッキング部材の親水性を増大させるように構成される、請求項21に記載の参照センサ部材。
【請求項31】
サンプルの溶液特性を決定する方法であって、
(1) サンプル容器のサンプルチャンバを、感染性病原体を含むサンプルで満たし;
(2) 前記サンプル容器に容器キャップを取り付け、
ここで前記容器キャップは参照導管空洞を有する参照導管と、参照導管第一開口部と、参照導管第二開口部とを備え、
ここで前記参照導管空洞が、ウイック遠位端とウイック近位端を有する参照導管空洞を通って延在しているウイッキング部材により一部満たされており、
ここで前記ウイッキング部材の少なくとも一部が前記サンプルチャンバ内のサンプルと流体接触しており、かつ前記サンプルの少なくとも相当量が前記ウイッキング部材により前記ウイック近位端の方向に引き寄せられ、
ここで前記ウイック近位端に参照電極材料が配置されており;
(3) 前記参照電極材料をパラメータ分析器に電気的に結合し、そして前記パラメータ分析器を、活性電極材料を含む能動型センサ部材に電気的に結合し、
ここで前記活性電極材料の少なくとも一部は、前記サンプルチャンバ内に延在し、前記サンプルと流体接触状態になり;そして
(4) 前記活性電極材料と前記参照電極材料との間で測定された電位差に基づいて前記サンプルの溶液特性を決定する
ことを含む方法。
【請求項32】
前記参照電極材料が前記ウイック近位端上に供給または分配された導電性インクである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ウイック近位端上に供給または分配された前記導電性インクが、硬化によって固められる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記導電性インクが銀-塩化銀インクである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記サンプル容器の底面側と側方側の少なくとも1つに沿って規定された通気口を通っておよび前記通気口を覆っている疎水性通気性膜を通って、サンプルチャンバ中に空気をポンプ注入し、ここで前記サンプルチャンバ中にポンプ注入された空気がサンプルを曝気する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記サンプルチャンバ中にポンプ注入された空気が、前記容器キャップの底面の少なくとも一部を覆っている追加の通気性膜を通って、およびアタッチメント接続に沿って前記容器キャップと前記サンプル容器との間に規定された空隙を通って、サンプルチャンバから出ていく、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記サンプルの溶液特性の決定が、前記サンプルのpHを測定することを含み、そして前記活性電極材料がpH感受性材料で一部作られている、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記pH感受性材料が二酸化ケイ素、二酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、および二酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記サンプルの溶液特性の決定が、サンプルの酸化還元電位(ORP)を測定することを含み、そして前記活性電極材料がレドックス感受性材料で一部作られている、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記レドックス感受性材料が、白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、および二酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
参照センサ部材を製造する方法であって、
サンプルを受け入れるように構成されたサンプル容器に取り外し可能に連結されるように構成された容器キャップを提供し、ここで前記容器キャップの底面から参照導管が延出しており、前記参照導管は参照導管空洞を有し;
前記参照導管空洞中にウイッキング部材を配置し、ここで前記ウイッキング部材はウイック遠位端とウイック近位端とを有し;
前記ウイック近位端上に導電性インクを供給または分配し;そして
前記導電性インクが固まるまで前記導電性インクを硬化させる
ことを含む方法。
【請求項42】
前記導電性インクが約100℃より高い温度で硬化される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記導電性インクが約60分~約180分の時間に渡り硬化される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記ウイック近位端上に供給または分配される導電性インクの容量が、約50μL~約500μLである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記参照導管が先細になっており、そして前記ウイッキング部材が前記ウイック近位端から前記ウイック遠位端まで徐々に先細になるように前記ウイッキング部材が成形される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
サンプルのpHを測定するためのセンサ装置であって、前記センサ装置は
(1) サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器;
(2) 参照センサ部材であって、
(a) 参照導管空洞と、参照導管第一開口部と、参照導管第二開口部とを備える参照導管;
ここで前記参照導管空洞は参照緩衝ゲルで少なくとも部分的に満たされており;
ここで前記参照導管のセグメントが前記サンプルチャンバ中に延在しており;
ここで前記参照導管第二開口部が、前記サンプルが前記参照ゲルと流体接触できるように構成されており;および
(b) 前記参照緩衝ゲルで満たされた前記参照導管空洞中に部分的に延在している参照電極
を備える参照センサ部材;
(3) 能動型センサ部材であって、
(a) 前記サンプルチャンバ中に延在している活性電極ハウジング;
(b) 前記活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極;
ここで前記活性電極はサンプル接触面を含み;
ここで前記活性電極は前記活性電極ハウジングの遠位端に配置され、そして前記活性電極ハウジングは、前記サンプル接触表面が前記サンプルと流体連絡するように、前記サンプル接触表面を露出させるように構成されている;および
(c) 前記活性電極に連結されておりかつ前記活性電極ハウジング内の活性電極に対して近位に配置された導電性接触層
を備える能動型センサ部材
を備えており、
前記導電性接触層と参照電極とが導電性接続によって電圧計に電気的に結合され、そして前記サンプルのpHが前記活性電極と前記参照電極との間の電位差に基づいて測定される、センサ装置。
【請求項47】
前記参照導管が導管壁を含み、そして前記参照導管第一開口部の第一開口面積が前記参照導管第二開口部の第二開口面積よりも大きくなるように、前記導管壁が参照導管近位端から参照導管遠位端まで先細になっている、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項48】
前記参照電極が参照電極チップを含み、そして参照緩衝ゲルの容積が前記参照電極チップを前記参照導管第二開口部から分離するように、前記参照電極が参照導管空洞中に部分的に延在しているときに、前記参照電極チップは、前記参照導管第二開口部の近位に配置される、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項49】
前記参照電極が1つ以上の金属で一部作られている、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項50】
前記参照電極が白金、ステンレス鋼またはその組み合わせで一部作られている、請求項49に記載のセンサ装置。
【請求項51】
前記参照導管空洞が約100μL~約500μLの参照緩衝ゲルで満たされている、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項52】
前記活性電極が金属酸化物で一部作られている、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項53】
前記活性電極が二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウムまたはそれらの組み合わせで一部作られている、請求項52に記載のセンサ装置。
【請求項54】
前記導電性接触層が1つ以上の金属で一部作られている、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項55】
前記導電性接触層が、アルミニウム、銅、白金またはそれらの組み合わせで一部作られている、請求項54に記載のセンサ装置。
【請求項56】
前記参照緩衝ゲルが、寒天粉末と参照緩衝液から形成された寒天ゲルである、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項57】
前記寒天ゲル中の寒天粉末が約1%(w/v%)~約5%(w/v%)の濃度である、請求項56に記載のセンサ装置。
【請求項58】
前記参照緩衝液が、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項56に記載のセンサ装置。
【請求項59】
前記参照緩衝液が塩化カリウムを含む、請求項56に記載のセンサ装置。
【請求項60】
通気導管を更に含み、前記通気導管のセグメントが前記サンプルチャンバ内に延在し、前記通気導管が前記サンプル容器内のサンプルを曝気するように構成されている、請求項46に記載のセンサ装置。
【請求項61】
サンプルの酸化還元電位(ORP)を測定するためのセンサ装置であって、前記センサ装置は
(1) 前記サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器;
(2) 参照センサ部材であって
(a) 参照導管空洞と、参照導管第一開口部と、参照導管第二開口部とを備える参照導管;
ここで前記参照導管空洞は参照緩衝ゲルで少なくとも部分的に満たされており;
ここで前記参照導管のセグメントが前記サンプルチャンバ中に延在しており;
ここで前記参照導管第二開口部が、前記サンプルが前記参照ゲルと流体接触できるように構成されている;および
(b) 前記参照緩衝ゲルで満たされた前記参照導管空洞中に部分的に延在している参照電極
を含む参照センサ部材;
(3) 能動型センサ部材であって、
(a) 前記サンプルチャンバ中に延在している活性電極ハウジング;および
(b) 前記活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極
を備えた能動型センサ部材;
ここで前記活性電極はサンプル接触面を備え;そして
ここで前記活性電極は前記活性電極ハウジングの遠位端に配置され、そして前記活性電極ハウジングは、前記サンプル接触表面が前記サンプルと流体連絡するように、前記サンプル接触表面を露出させるように構成されている;
を備えており、
ここで前記導電性接触層と参照電極とが導電性接続によって電圧計に電気的に結合され、そして前記サンプルのORPが前記活性電極と前記参照電極との間の電位差に基づいて測定される、前記センサ装置。
【請求項62】
前記参照導管が導管壁を備え、そして前記参照導管第一開口部の第一開口面積が前記参照導管第二開口部の第二開口面積よりも大きくなるように、前記導管壁が参照導管近位端から参照導管遠位端まで先細になっている、請求項61に記載のセンサ装置。
【請求項63】
前記参照電極が参照電極チップを含み、そして参照緩衝ゲルの容積が前記参照電極チップを前記参照導管第二開口部から分離するように、前記参照電極が前記参照導管空洞中に部分的に延在しているときに、前記参照電極チップは、前記参照導管第二開口部の近位に配置される、請求項61に記載のセンサ装置。
【請求項64】
前記参照電極が1種以上の金属で一部作られている、請求項61に記載のセンサ装置。
【請求項65】
前記参照電極が白金、ステンレス鋼またはそれらの組み合わせで一部作られている、請求項64に記載のセンサ装置。
【請求項66】
前記参照導管空洞が、約1 μLから約500 μLの参照緩衝ゲルで満たされている、請求項61に記載のセンサ装置。
【請求項67】
前記活性電極が、1種以上の金属、1種以上の金属酸化物、またはそれらの組み合わせので一部作られている、請求項61に記載のセンサ装置。
【請求項68】
前記活性電極が、白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウム、またはそれらの組み合わせで一部作られている、請求項67に記載のセンサ装置。
【請求項69】
前記参照緩衝ゲルが、寒天粉末および参照緩衝液から形成された寒天ゲルである、請求項61に記載のセンサ装置。
【請求項70】
前記寒天ゲル中の寒天粉末が約1%(w/v%)~約5%(w/v%)の濃度である、請求項69に記載のセンサ装置。
【請求項71】
前記参照緩衝液が、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項69に記載のセンサ装置。
【請求項72】
前記参照緩衝液が塩化カリウムを含む、請求項69に記載のセンサ装置。
【請求項73】
前記通気導管のセグメントが前記サンプルチャンバ内に延在し、前記通気導管が前記サンプル容器内のサンプルを曝気するように構成されている通気導管をさらに備える、請求項61に記載のセンサ装置。
【請求項74】
サンプルのpHを測定するためのセンサ装置であって、前記センサ装置が
(1) サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを備えるサンプル容器;
(2) 参照センサ部材であって、
(a) 参照導管第一開口部を規定している参照導管近位端と、参照導管第二開口部を規定している参照導管遠位端と、前記参照導管近位端と前記参照導管遠位端との間に存在する参照導管空洞とを備える、参照導管;
ここで前記参照導管空洞は参照緩衝液で少なくとも部分的に満たされており;
ここで前記参照導管のセグメントが前記サンプルチャンバ中に延在している;および
(b) 前記参照導管遠位端に連結されておりかつ前記参照導管第二開口部を塞ぐように構成されているイオン交換膜;
ここで前記イオン交換膜は、サンプルが前記参照緩衝液と混ざり合うのを防止するが、イオンが前記イオン交換膜を横切るのは許容するように構成されている;および
(c) 前記参照緩衝液で満たされた参照導管空洞中に部分的に延出している参照電極
を備える参照センサ部材;
(3) 能動型センサ部材であって、
(a) 前記サンプルチャンバ中に延在している活性電極ハウジング;および
(b) 前記活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極
を備えた能動型センサ部材;
ここで前記活性電極はサンプル接触面を含み;そして
ここで前記活性電極は前記活性電極ハウジングの遠位端に配置され、そして前記活性電極ハウジングは、前記サンプル接触表面が前記サンプルと流体連絡するように、前記サンプル接触表面を露出させるように構成されている;およぼ
(c) 前記活性電極に連結されておりかつ前記活性電極ハウジング内の活性電極に対して近位に配置された導電性接触層
を備える能動型センサ部材
を備えており、
前記導電性接触層と参照電極とが導電性接続によって電圧計に電気的に結合され、そして前記サンプルのpHが前記活性電極と前記参照電極との間の電位差に基づいて測定される、
センサ装置。
【請求項75】
前記参照導管が導管壁を含み、そして前記参照導管第一開口部の第一開口面積が前記参照導管第二開口部第二開口面積よりも大きくなるように、前記導管壁が参照導管近位端から参照導管遠位端まで先細になっている、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項76】
前記参照電極が参照電極チップを含み、そして参照緩衝液の容積が前記参照電極チップを前記イオン交換膜から分離するように、前記参照電極が参照導管空洞中に部分的に延在しているときに、前記参照電極チップは、前記イオン交換膜の近位に配置される、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項77】
前記参照電極が1つ以上の金属で一部作られている、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項78】
前記参照電極が白金、ステンレス鋼またはその組み合わせで一部作られている、請求項79に記載のセンサ装置。
【請求項79】
前記参照導管空洞が約100μL~約500μLの参照緩衝液で満たされている、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項80】
前記活性電極が金属酸化物で一部作られている、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項81】
前記活性電極が二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウムまたはそれらの組み合わせで一部作られている、請求項80に記載のセンサ装置。
【請求項82】
前記導電性接触層が1つ以上の金属で一部作られている、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項83】
前記導電性接触層が、アルミニウム、銅、白金またはそれらの組み合わせで一部作られている、請求項82に記載のセンサ装置。
【請求項84】
前記参照緩衝液が、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項85】
前記参照緩衝液が塩化カリウムを含む、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項86】
前記イオン交換膜がペルフルオロスルホン化イオノマー膜である、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項87】
前記ペルフルオロスルホン化イオノマー膜がナフィオン(Nafion)(登録商標)膜である、請求項86に記載のセンサ装置。
【請求項88】
前記イオン交換膜が約25μm~約180 μmの厚さを有する、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項89】
通気導管を更に含み、前記通気導管のセグメントが前記サンプルチャンバ内に延在し、前記通気導管が前記サンプル容器内のサンプルを曝気するように構成されている、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項90】
前記参照センサ部材がサンプル容器から脱着可能であるように、前記参照センサ部材が前記サンプル容器に取り外し可能に連結される、請求項74に記載のセンサ装置。
【請求項91】
サンプルの酸化還元電位(ORP)を測定するためのセンサ装置であって、前記センサ装置が
(1) サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器;
(2) 参照センサ部材であって、
(a) 参照導管第一開口部を規定している参照導管近位端と、参照導管第二開口部を規定している参照導管遠位端と、前記参照導管近位端と前記参照導管遠位端との間に存在する参照導管空洞とを備える、参照導管;
ここで前記参照導管空洞は参照緩衝液で少なくとも部分的に満たされており;
ここで前記参照導管のセグメントが前記サンプルチャンバ中に延在している;および
(b) 前記参照導管遠位端に連結されておりかつ前記参照導管第二開口部を塞ぐように構成されているイオン交換膜;
ここで前記イオン交換膜は、サンプルが前記参照緩衝液と混ざり合うのを防止するが、イオンが前記イオン交換膜を横切るのは許容するように構成されている;および
(c) 前記参照緩衝液で満たされた参照導管空洞中に部分的に延出している参照電極
を備える参照センサ部材;
(3) 能動型センサ部材であって、
(a) 前記サンプルチャンバ中に延在している活性電極ハウジング;
(b) 前記活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極
を備える能動型センサ部材;
ここで前記活性電極はサンプル接触面を含み;そして
ここで前記活性電極は前記活性電極ハウジングの遠位端に配置され、そして前記活性電極ハウジングは、前記サンプル接触表面が前記サンプルと流体連絡するように、前記サンプル接触表面を露出させるように構成されている;
を備えており、
前記活性電極および前記参照電極は、導電性接続によって電圧計に電気的に結合され、そして前記サンプルのORPが前記活性電極と前記参照電極との間の電位差に基づいて測定されることを特徴とするセンサ装置。
【請求項92】
前記参照導管が導管壁を含み、そして前記参照導管第一開口部の第一開口面積が前記参照導管第二開口部の第二開口面積よりも大きくなるように、前記導管壁が参照導管近位端から参照導管遠位端まで先細になっている、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項93】
前記参照電極が参照電極チップを含み、そして参照緩衝液の容積が前記参照電極チップを前記イオン交換膜から分離するように、前記参照電極が前記参照導管空洞中に部分的に延在しているときに、前記参照電極チップは、前記イオン交換膜の近位に配置される、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項94】
前記参照電極が1つ以上の金属で一部作られている、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項95】
前記参照電極が白金、ステンレス鋼またはその組み合わせで一部作られている、請求項94に記載のセンサ装置。
【請求項96】
前記参照導管空洞が約100μL~約500μLの参照緩衝液で満たされている、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項97】
前記活性電極が、1つ以上の金属、1つ以上の金属酸化物又はその組み合わせで一部作られている、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項98】
前記活性電極が、白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウムまたはそれらの組み合わせで一部作られている、請求項97に記載のセンサ装置。
【請求項99】
前記参照緩衝液が、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項100】
前記参照緩衝液が塩化カリウムを含む、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項101】
前記イオン交換膜がペルフルオロスルホン化イオノマー膜である、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項102】
前記ペルフルオロスルホン化イオノマー膜がナフィオン(Nafion)(登録商標)膜である、請求項101に記載のセンサ装置。
【請求項103】
前記イオン交換膜が約25μm~約180 μmの厚さを有する、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項104】
通気導管を更に含み、前記通気導管のセグメントが前記サンプルチャンバ内に延在し、前記通気導管が前記サンプル容器内のサンプルを曝気するように構成されている、請求項91に記載のセンサ装置。
【請求項105】
前記参照センサ部材がサンプル容器から脱着可能であるように、前記参照センサ部材が前記サンプル容器に取り外し可能に連結される、請求項91に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年6月19日出願の米国仮出願第62/687,167号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
【0002】
本開示は、一般に、サンプルの溶液特性を測定するための診断デバイスに関し、より詳しくは、微生物を含むサンプルの溶液特性を測定するためのデバイス、システム、および方法に関する。
背景
【0003】
抗感染症薬耐性の感染性病原体または微生物によって引き起こされる感染症は、病院、老人ホーム、その他の医療環境の医療専門家にとって重大な問題である。例えば、このような感染症は、敗血症として知られる潜在的に命に関わる合併症を引き起こす可能性があり、感染性病原体により血流中に放出された化学物質が、発熱、低血圧および死を引き起こす可能性のある血管作動性反応だけでなく、危機的な全身炎症反応を引き起こし得る。そのような感染症に直面した場合、好ましい行動方針は、臨床医が抗感染症化合物を慎重に使用すること、好ましくは感染症を軽減するために必要なものだけを使用することである。
【0004】
しかしながら、今日最も頻繁に行われている行為は、生物体が特定されて薬剤感受性について試験されるまで、治療の適切性を確保するために、広域スペクトルの抗感染症薬、多くの場合複数の薬を患者に投与することである。これは、多剤耐性の感染性病原体をもたらす傾向がある。理想的には、感染性病原体の存在が確定されたら、即座にその感受性が検出されるだろう。そのような感染性病原体の抗感染症薬に対する感受性を決定するためには、当該感染性病原体を含むサンプルを定量しなければならず、そのためには該サンプルを微生物の増殖またはその欠如について分析する必要がある。
【0005】
生物学的サンプルまたは他のタイプのサンプル中の感染性病原体を分析するために使用される既存のバイオセンサは、活性電極を有する能動型センサ部材と、目的のサンプルとイオン交換的接触状態にある参照溶液に浸漬された参照電極を有する参照センサ部材とを含む。従来、これは、KClなどの水性参照緩衝液中でAg/AgCl電極を使って行われている。しかし、この従来のセンサ設計は、様々な理由から理想的なものではない。まず第一に、銀や塩化銀がサンプル中に拡散し、サンプル内の微生物の増殖を阻害する可能性があるため、サンプルに対して実施される何らかの測定を複雑にしてしまう。更に、従来の参照溶液は、しばしば薄いガラス壁を有する使い捨て容器中に提供されるため、製造、保管および輸送費用がかかる。更に、サンプルと参照溶液との間に形成される塩橋を介した微生物の拡散は、参照溶液を汚染する恐れがある。その上、従来のバイオセンサは、しばしば、参照電極をシリコンダイ表面上に配置する必要があり、貴重なウェハー不動産を使用するため、そのようなセンサの費用をさらに増大させた。
【0006】
上記の限界と制限の結果として、微生物を含むサンプルを微生物の増殖またはその欠如について迅速かつ効果的にアッセイするための改善されたデバイス、システムおよび方法が必要とされている。そのような解決手段は費用効率が高くあるべきであり、従来のバイオセンサの欠点に対処しなければならない。
【発明の概要】
【0007】
微生物を含むサンプルの溶液特性(例えば、ORPまたはpH)を測定するための装置、システムおよび方法が開示される。一実施形態では、サンプルの溶液特性を測定するためのセンサ装置が開示される。センサ装置は、サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバと参照センサ部材とを備えた、サンプル容器を備えることができる。参照センサ部材は、参照導管空洞、参照導管第一開口部および参照導管第二開口部を含む、参照導管を備えることができる。参照センサ部材はまた、ウィック遠位端とウィック近位端を有する参照導管空洞を通って延在するウィッキング部材も備えることができる。ウィッキング部材の少なくとも一部は、サンプルの少なくとも一部がウィッキング部材によってウィック近位端の方向に引き寄せられるように、サンプルチャンバと流体接続状態にすることができる。参照センサ部材はまた、ウイック近位端に配置された参照電極材料も備えることができる。
【0008】
センサ装置は、活性電極材料を含む能動型センサ部材をさらに備えることができる。活性電極材料の少なくとも一部は、サンプルチャンバ内に延在し、サンプルチャンバがサンプルで少なくとも部分的に満たされると、サンプルと流体接触することができる。
【0009】
参照センサ部材と能動型センサ部材とは、導電接続によってパラメーター分析器へ電気的に結合することができる。サンプルの溶液特性は、活性電極材料と参照電極材料との間で測定された電位差に基づいて決定することができる。
【0010】
センサ装置は、サンプル容器に取り外し可能に連結されるように構成された、容器キャップを備えることができる。参照導管は、容器キャップの底面から延出することができる。容器キャップは、一部を非導電体材料で作製することができる。容器キャップは、ウィッキング部材の少なくとも一部が容器キャップを通して見えるように、一部を透明な非導電体材料で作製することができる。
【0011】
サンプル容器は、セラミック材料とポリマー材料のうちの少なくとも1つで一部を作ることができる。参照電極材料は、ウイック近位端上に供給または分配される導電性インクであることができる。ウイック近位端上に供給または分配された導電性インクは、硬化によって硬くすることができる。幾つかの実施形態では、導電性インクは銀-塩化銀インクであることができる。
【0012】
ウィッキング部材は一部を多孔質高分子材料で作ることができる。幾つかの実施形態では、ウィッキング部材は、一部を高密度ポリエチレン(HDPE)で作ることができる。他の実施形態では、ウィッキング部材は一部を天然繊維で作ることができる。ウィッキング部材は約15μm~約150μmの間にサイジングされた細孔を含むことができる。
【0013】
ウィッキング部材は、ウィッキング部材の少なくとも表面が界面活性剤により被覆されるように界面活性剤で処理することができる。界面活性剤は、ウイッキング部材の親水性を増大させるように構成することができる。
【0014】
センサ装置は、サンプル容器の底面および側面の少なくとも1つに沿って範囲が規定された通気口を更に含むことができる。幾つかの実施形態では、疎水性通気性膜が、通気口を覆うことができる。通気口と疎水性通気性膜は、空気が通気口と疎水性通気性膜を通ってサンプルチャンバに入ることができ、サンプルチャンバを曝気することができるように構成することができる。
【0015】
参照センサ部材が容器キャップとして実装される場合、容器キャップは、アタッチメント接続を介してサンプル容器に取り外し可能に連結するように構成することができ、そして追加の疎水性通気性膜が、容器キャップの底面の少なくとも一部を覆うことができる。これらの実施形態では、容器キャップがアタッチメント接続(例えばねじ接続)を介してサンプル容器上にねじ込まれると、気流経路を構築することができる。気流経路は、通気口、疎水性通気性膜、サンプルチャンバ、追加の疎水性通気性膜、およびアタッチメント接続に沿って容器キャップとサンプル容器との間に範囲が規定された空隙(エアギャップ)を含むことができる。
【0016】
幾つかの実施形態では、センサ装置によって測定される溶液特性はpHであり、能動型センサ構成要素の活性電極材料は、一部をpH感受性材料で作製することができる。いくつかの実施形態では、pH感受性材料は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、および二酸化ジルコニウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
他の実施形態では、測定される溶液特性は、サンプルの酸化還元電位(ORP)であることができ、そして能動型センサ部材の活性電極材料は、レドックス感受性材料で一部を作ることができる。レドックス感受性材料は、白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、および二酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含むことができる。それらのおよび他の実施形態では、パラメータ分析器は電圧計とマルチメーターの少なくとも一部であり得るか、またはそれらを備え得る。
【0018】
参照センサ部材も開示される。参照センサ部材は、サンプルを受け入れるように構成されたサンプル容器に取り外し可能に連結するように構成することができる。参照センサ部材は、参照導管空洞を含む参照導管も備えることができる。幾つかの実施形態では、参照センサ部材は、容器キャップとして実装することができる。参照導管は、容器キャップの下側から延出することができる。
【0019】
参照センサ部材は、ウイック遠位端とウイック近位端を有する参照導管空洞の一部の中に配置されたウイッキング部材を備えることができる。ウイッキング部材の少なくとも一部は、サンプルの少なくとも一部分がウイッキング部材によってウイック近位端の方向に引き寄せられるように、容器キャップをサンプル容器に取り付けるとサンプルと流体接触状態となるように構成することができる。参照センサ部材は、ウイック遠位端に配置された参照電極材料を備えることもできる。参照電極材料は、該参照電極材料と電気通信した活性電極に比較して、実質的に安定な電極電位を示すように構成することができる。
【0020】
参照センサ部材は、一部を非導電体材料で作ることができる。参照センサ部材が容器キャップとして実装される場合、容器キャップは非導電体材料の一部で作ることができる。幾つかの実施形態では、容器キャップは、ウイッキング部材の少なくとも一部が容器キャップを通して目に見えるように、透明な非導電体材料の一部で作ることができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、参照電極材料は、ウイック遠位端上に供給または分配された導電性インクであることができる。ウイック近位端に供給または分配された導電性インクは、硬化によって固めることができる。幾つかの実施形態では、導電性インクは銀-塩化銀インクであり得る。
【0022】
ウイッキング部材は、一部を多孔性高分子材料で作ることができる。別の実施形態では、ウイッキング部材は一部を天然繊維で作ることができる。ウィッキング部材は約15μm~約150μmにサイジングされた細孔を含むことができる。
【0023】
ウイッキング部材は、該ウイッキング部材の少なくとも表面が界面活性剤により覆われるように、界面活性剤により処理することができる。界面活性剤はウイッキング部材の疎水性を高めるように構成することができる。
【0024】
サンプルの溶液特性を測定する方法も開示される。その方法は、サンプル容器のサンプルチャンバに、感染性病原体を含むサンプルを充填し、参照センサ部材(例えば容器キャップとして実装されている)をサンプル容器に取り付け、参照センサ部材の参照電極材料をパラメータ分析器に電気的に結合し、そして該パラメータ分析器を、活性電極材料を含む能動型センサに電気的に結合し、そして活性電極材料と参照電極材料との間で測定された電位差に基づいてサンプルの溶液特性を測定することを含み得る。
【0025】
活性電極材料の少なくとも一部は、サンプルチャンバ中に延在し、サンプルと流体接触状態である。参照センサ部材は、参照導管空洞、参照導管第一開口部および参照導管第二開口部を有する、参照導管を備えることができる。参照導管空洞は、ウイック遠位端とウイック近位端を有する参照導管空洞を通って延びるウイッキング部材により少なくとも部分的に満たすことができる。
【0026】
ウイッキング部材の少なくとも一部は、サンプルチャンバ内のサンプルと流体接触することができる。サンプルの少なくとも一部は、ウイッキング部材によりウイック近位端の方向に引き寄せることができる(例えば毛管作用により)。
【0027】
参照電極材料はウイック近位端に配置することができる。参照電極材料はウイック近位端上に供給または分配された導電性インクであり得る。導電性インクは、硬化によって硬くすることができる。幾つかの実施形態では、導電性インクは、銀-塩化銀インクであり得る。
【0028】
該方法は、サンプル容器の底面と側面の少なくとも1つに沿って規定された通気口を通しておよびその通気口を覆っている疎水性の通気性膜を通して、サンプルチャンバ中に空気をポンプ注入することを更に含むことができる。ここで、前記サンプルチャンバ中にポンプ注入された空気は、サンプルに空気を含ませる。サンプルチャンバ中にポンプ注入された空気は、容器キャップの下面の少なくとも一部を覆っている追加の通気性膜を通って、そしてアタッチメント接続に沿って容器キャップとサンプル容器の間に規定された空隙(エアギャップ)を通ってサンプルチャンバを出ることができる。
【0029】
サンプルの溶液特性を決定する段階は、サンプルのpHを測定すること含みうる。活性電極材料はpH感受性材料の一部で作ることができる。幾つかの実施形態では、pH感受性材料は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、および二酸化ジルコニウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0030】
他の実施形態では、サンプルの溶液特性を決定する工程は、サンプルの酸化還元電位(ORP)を測定することを含み、ここで活性電極材料は、一部をレドックス感受性材料で作られる。レドックス感受性材料は白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ケイ素、および二酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含み得る。
【0031】
参照センサ部材を製造する方法が開示される。この方法は、サンプルを受け入れるように構成されたサンプル容器に取り外し可能に連結されるように構成された容器キャップを提供することを含む。参照導管は、容器キャップの底面から延出する。参照導管は、参照導管空隙を含み得る。この方法は、参照導管空洞中にウイッキング部材を配置することも含み得る。ウイッキング部材はウイック遠位端とウイック近位端を含み得る。当該方法は、ウイック近位端上に導電性インクを供給または分配し、そして該導電性インクが硬くなるまで導電性インクを硬化させることを更に含み得る。
【0032】
当該方法は、ウイック近位端上に、約50μL~500μLの間の導電性インクの容量を供給または分配することを更に含み得る。導電性インクは、100℃より上の温度で硬化することができる。導電性インクは約60分~約180分の時間に渡り硬化することができる。
【0033】
幾つかの実施形態において、参照導管は徐々に先細にすることができる。ウイッキング部材は、ウイッキング部材がウイック近位端からウイック遠位端まで徐々に先細になるように成形することができる。
【0034】
サンプルのpHを測定するためのセンサ装置の別の実施形態が開示される。センサ装置は、サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバと参照センサ部材とを含むサンプル容器を備え得る。
【0035】
参照センサ部材は、参照空洞、参照導管第一開口部および参照導管第二開口部を有する、参照導管を備える。幾つかの実施形態では、参照導管空洞は、参照緩衝ゲルで部分的に満たすことができる。参照導管のセグメントはサンプルチャンバ中に延出することができる。参照導管第二開口部は、サンプルが参照緩衝ゲルと流体接触できるように構成することができる。参照電極は、参照緩衝ゲルで満たされた参照導管中に部分的に延在することができる。
【0036】
センサ装置は、サンプルチャンバ中に延在する活性電極と、活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極とを備える、能動型センサ部材を更に備え得る。活性電極はサンプル接触面を含み得る。
【0037】
活性電極は、活性電極ハウジングの遠位端に配置させることができる。活性電極ハウジングは、サンプル接触面がサンプルと流体連絡(fluid communication)した状態になるようにサンプル接触面を露出させるように構成することができる。
【0038】
導電性接触層を活性電極に連結し、活性電極ハウジング内の活性電極の近位に配置することができる。導電性接触層と参照電極は、電圧計への導電性接続により電気的に結合することができる。サンプルのpHは、活性電極と参照電極の間の電位差に基づいて測定することができる。
【0039】
参照導管は導管壁を有し得る。導管壁は、参照導管第一開口部の第一開口面積が参照導管第二開口部の第二開口面積よりも大きくなるように、参照導管近位端から参照導管遠位端まで徐々に先細にすることができる。
【0040】
参照電極は参照電極チップを含み得る。参照電極チップは、参照電極が参照導管空洞中に部分的に延在している場合、参照緩衝ゲルの容積が、参照導管の第二の開口部から参照電極チップを分離する容積であるように参照導管の第二開口部の近位に配置することができる。参照導管空洞は、約100μL~約500μLの参照緩衝ゲルで満たすことができる。
【0041】
参照電極は1つ以上の金属の一部で作ることができる。幾つかの実施形態では、参照電極は白金、ステンレス鋼またはその組み合わせの一部で作ることができる。
【0042】
活性電極は酸化金属の一部で作ることができる。幾つかの実施形態では、活性電極は一部を二酸化シリコン、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウム、またはそれらの組み合わせで作製することができる。
【0043】
導電性接触層は1つ以上の金属の一部で作ることができる。導電性接触層はアルミニウム、銅、白金、またはそれらの組み合わせの一部で作ることができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、参照緩衝ゲルは、寒天粉末と参照緩衝液とから形成された寒天ゲルであることができる。寒天ゲル中の寒天粉末は、約1%(w/v%)~約5%(w/v%)の濃度であることができる。
【0045】
参照緩衝液は、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはその組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、参照緩衝液は塩化カリウムを含み得る。
【0046】
センサ装置は、通気導管を備えることができる。通気導管のセグメントは、サンプルチャンバ中に延出することができる。通気導管はサンプル容器内のサンブルを曝気するように構成することができる。
【0047】
サンプルの酸化還元電位(ORP)を測定するためのセンサ装置の別の実施形態も開示される。センサ装置は、サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器と参照センサ部材とを備えうる。
【0048】
参照センサ部材は、参照導管空洞、参照導管第一開口部および参照導管第二開口部を有する、参照導管を備えることができる。参照導管空洞は、参照緩衝ゲルで少なくとも部分的に満たすことができる。参照導管のセグメントは、サンプルチャンバ中に延在することができる。
【0049】
参照導管の第二開口部は、サンプルが参照緩衝ゲルと流体接触できるように構成することができる。参照電極はその一部分が、参照緩衝ゲルで満たされた参照導管空洞中に延在することができる。
【0050】
センサ装置は、能動型センサ部材を更に備えることができる。能動型センサ部材は、サンプルチャンバ中に延在する活性電極ハウジングと、その活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極とを更に備えることができる。活性電極は、サンプル接触面を有することができる。活性電極は、活性電極ハウジングの遠位端に配置させることができ、そして活性電極ハウジングは、サンプル接触面がサンプルと流体接続するようにサンプル接触面が露出するように構成することができる。活性電極と参照電極は、導電接続により電圧計に電気的に結合することができる。サンプルのORPは、活性電極と参照電極の間の電位差に基づいて測定することができる。
【0051】
参照導管は、導管壁を含み得る。導管壁は、参照導管第一開口部の第一開口部積が参照導管第二開口部の第二開口面積よりも大きくなるように、参照導管近位端から参照導管遠位端まで徐々に先細にすることができる。参照導管空洞は約100μL~約500μLの参照緩衝ゲルで満たすことができる。
【0052】
参照電極は参照電極チップを含むことができる。参照電極チップは、参照電極が参照導管空洞中に部分的に延出する時、参照緩衝ゲルの容積が参照導管の第二開口部から参照電極チップを分離するような関係で、参照導管空洞の近位に配置することができる。
【0053】
参照電極は一部を1つ以上の金属で作ることができる。幾つかの実施形態では、参照電極は一部を白金、ステンレス鋼、またはその組み合わせの部分で作ることができる。
【0054】
活性電極は一部を1つ以上の金属、1つ以上の酸化金属、またはその組み合わせで作ることができる。例えば、活性電極は一部を白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウム、またはその組み合わせで作ることができる。
【0055】
参照緩衝ゲルは、寒天粉末と参照緩衝ゲルとから形成された寒天ゲルであることができる。寒天ゲル中の寒天粉末は約1%(w/v%)~約5%(w/v%)の濃度であることができる。
【0056】
参照緩衝液は、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはその組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、参照緩衝液は塩化カリウムを含み得る。
【0057】
センサ装置は、通気導管または通気口を含むことができる。通気導管のセグメントはサンプルチャンバ中に延在することができる。通気導管はサンプル容器内のサンプルを曝気するように構成することができる。
【0058】
サンプルのpHを測定するためのセンサ装置の別の実施形態も開示される。センサ装置は、サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器と参照センサ部材とを備えることができる。
【0059】
参照センサ部材は、参照導管第一開口部を規定する参照導管近位端、参照導管第二開口部を規定する参照導管遠位端、および参照導管近位端と参照導管遠位端との間の参照導管空洞を含む、参照導管を備えることができる。
【0060】
参照導管空洞は、参照緩衝液で少なくとも部分的に満たすことができる。参照導管のセグメントはサンプルチャンバ中に延在することができる。参照電極は、参照緩衝液で満たされた参照導管空洞中に部分的に延在することができる。
【0061】
参照導管遠位端にイオン交換膜を連結することができ、そのイオン交換膜は参照導管の第二開口部を塞ぐように構成することができる。イオン交換膜は、サンプルが参照緩衝液と混ざり合うのを防ぐが、イオンがイオン交換膜を貫通できるように構成することができる。
【0062】
センサ装置は、能動型センサ部材を更に備え得る。能動型センサ部材は。サンプルチャンバ中に延在している活性電極ハウジングと、その活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極とを更に備えることができる。
【0063】
活性電極はサンプル接触面を有することができる。活性電極は、活性電極ハウジングの遠位端に配置することができ、活性電極ハウジングは、サンプル接触面がサンプルと流体連絡するようにサンプル接触面を露出させるように構成することができる。
【0064】
導電性接触層は、活性電極ハウジング内の活性電極に連結させることができ、そして活性電極に対して近位に配置することができる。導電性接触層と参照電極は、電圧計への導電性結合により電気的に結合することができ、ここでサンプルのpHは、活性電極と参照電極との間の電位差に基づいて測定される。
【0065】
参照導管は、導管壁を含み得る。導管壁は、参照導管第一開口部が参照導管第二開口部よりも大きくなるように、参照導管近位端から参照導管遠位端まで徐々に先細にすることができる。参照導管空洞は、約100μL~約500μLの参照緩衝液で満たすことができる。
【0066】
参照電極は参照電極チップを含むことができる。参照緩衝液の容積が参照電極チップをイオン交換膜から分離するように、参照電極が参照導管空洞中に部分的に延出している場合、参照電極チップはイオン交換膜の近位に置くことができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、イオン交換膜はペルフルオロスルホン化イオノマー膜であることができる。例えば、ペルフルオロスルホン化イオノマー膜はNafion(登録商標)膜であることができる。イオン交換膜は約25μm~約180μmの厚さを有することができる。
【0068】
参照電極は、一部を1つ以上の金属で作ることができる。例えば、参照電極は一部を白金、ステンレス鋼またはその組み合わせで作ることができる。
【0069】
活性電極は、一部を金属酸化物で作ることができる。例えば、活性電極は、一部を二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウム、またはその組み合わせで作ることができる。
【0070】
導電性接触層は、一部を1つ以上の金属で作ることができる。幾つかの実施形態では、導電性接触層は一部をアルミニウム、銅、白金、またはその組み合わせで作ることができる。
【0071】
参照緩衝液は、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘイキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、参照緩衝液は塩化カリウムを含むことができる。
【0072】
センサ装置は、通気導管をさらに備えることができる。通気導管のセグメントは、サンプルチャンバ中に延在し、ここで通気導管は、サンプル容器内のサンプルを曝気するように構成される。
【0073】
参照センサ部材は、参照センサ部材がサンプル容器から脱着可能であるようにサンプル容器に取り外し可能に連結することができる。
【0074】
サンプルの酸化還元電位(ORP)を測定するためのセンサ装置の別の実施形態が開示される。センサ装置は、サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器と、参照センサ部材とを備える。
【0075】
参照センサ部材は、参照導管第一開口部を規定する参照導管近位端と、参照導管第二開口部を規定する参照導管遠位端と、前記参照導管近位端と前記参照導管遠位端との間の参照導管空洞と、を含む参照導管を備えることができる。参照導管空洞は、少なくとも部分的に参照緩衝液で満たすことができる。参照導管のセグメントは、サンプルチャンバ中に延在することができる。センサ装置は、参照緩衝液で満たされた参照導管空洞中に部分的に延在している参照電極を更に備えることができる。
【0076】
イオン交換膜は、参照導管遠位端に連結することができ、そして参照導管の第二開口部を塞ぐように構成することができる。イオン交換膜は、サンプルが参照緩衝液と混合するのを防ぐが、イオンがイオン交換膜を横断する(通過する)のを許容するように構成することができる。
【0077】
更に、センサ装置は能動型センサ部材を備えることができる。能動型センサ部材は、サンプルチャンバ中に延在している活性電極ハウジングと、その活性電極ハウジング内に部分的に収容された活性電極とを備え得る。
【0078】
活性電極はサンプル接触面を有することができる。活性電極は、活性電極ハウジングの遠位端に配置することができ、そして活性電極ハウジングは、サンプル接触面がサンプルと流体連絡するようにサンプル接触面を露出させるように構成される。
【0079】
活性電極と参照電極とは、導電性接続によって電圧計に電気的に結合することができる。サンプルのORPは、活性電極と参照電極との間の電位差に基づいて測定することができる。
【0080】
参照導管は、導管壁を含み得る。幾つかの実施形態では、導管壁は、参照導管第一開口部の第一開口面積が参照導管第二開口部の第二開口面積よりも大きくなるように、参照導管近位端から参照導管遠位端まで徐々に先細にすることができる。参照導管空洞は、約100μL~約500μLの参照緩衝液で満たすことができる。
【0081】
参照電極は参照電極チップを備えることができる。参照電極チップは、参照緩衝液の容積が参照電極チップをイオン交換膜から分離するように参照電極が参照導管空洞中に部分的に延在している場合、イオン交換膜の近位に配置することができる。
【0082】
参照電極は、一部を1つ以上の金属で作ることができる。例えば、参照電極は一部を白金、ステンレス鋼、またはその組み合わせで作ることができる。
【0083】
活性電極は、一部を1つ以上の金属、1つ以上の金属酸化物、またはそれらの組み合わせで作ることができる。例えば、活性電極は、白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、二酸化ジルコニウム、またはそれらの組み合わせで作ることができる。
【0084】
幾つかの実施形態において、参照緩衝液は、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含み得る。他の実施形態では、参照緩衝液は塩化カリウムを含むことができる。
【0085】
前述したように、イオン交換膜は、参照導管の遠位端に連結され、参照導管の第二開口部を塞ぐように構成され得る。いくつかの実施形態では、イオン交換膜はペルフルオロスルホン化イオノマー膜であることができる。例えば、ペルフルオロスルホン化イオノマー膜はNafion(登録商標)膜であることができる。イオン交換膜は、約25μm~約180μmの厚さを有することができる。
【0086】
センサ装置は、通気導管を更に備えることができる。通気導管のセグメントはサンプルチャンバ中に延在することができる。通気導管は、サンプル容器内のサンプルに曝気するように構成することができる。
【0087】
参照センサ部材は、参照センサ部材がサンプル容器から脱着可能であるように、サンプル容器に取り外し可能に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1A】
図1Aは、サンプルのpHを測定するためのセンサ装置の一実施形態を示す。
【0089】
【
図1B】
図1Bは、サンプルのORPを測定するためのセンサ装置の一実施形態を示す。
【0090】
【
図1C】
図1Cは、サンプルのpHを測定するためのセンサ装置の別の実施形態を示す。
【0091】
【
図1D】
図1Dは、サンプルのORPを測定するためのセンサ装置の別の実施形態を示す。
【0092】
【
図2】
図2は、センサ装置の一実施形態の上面斜視図を示す。
【0093】
【
図3A】
図3Aは、参照センサ部材の一実施形態の垂直断面図を示す。
【0094】
【
図3B】
図3Bは、参照センサ部材の別の実施形態の垂直断面図を示す。
【0095】
【
図4】
図4は、高インピーダンス電圧計に接続されたセンサ装置の活性電極と参照電極の概略図を示す。
【0096】
【
図5】
図5Aは、従来型KCl参照溶液と、高電位差ORP溶液の添加後の参照緩衝ゲル中のステンレス鋼参照電極とを用いて行ったORP測定を表す。
【0097】
図5Bは、従来型KCl参照溶液と、pH 7溶液をpH 4溶液で交換した後の参照緩衝ゲル中の白金電極を用いて行ったpH測定を表す。
【0098】
【
図6】
図6は、1%寒天ゲル緩衝液、5%寒天ゲル緩衝液、および従来型KCl参照溶液中の参照電極を用いた、大腸菌(E. coli)細菌増殖のORP測定を示す。
【0099】
【
図7】
図7Aは、従来型ORP緩衝液を高電位差ORP溶液で置換し、次いで従来型ORP緩衝液にもう一度切り替えた時に行われた幾つかのORP測定を表す。
【0100】
図7Bは、測定期間の間、従来型ORPプローブ、およびイオン交換膜を有する参照センサ部材とKCl参照溶液との間の電位差を使った、大腸菌の細菌増殖のORP測定を表す。
【0101】
【
図8】
図8は、サンプルの溶液特性を測定するためのセンサ装置の別の実施形態を示す。
【0102】
【
図9A】
図9Aは、センサ装置の別の実施形態の垂直断面図を示す。
【0103】
【0104】
【
図10】
図10は、三種の異なるセンサ設定を使って経時的に測定した3つのサンプルアリコートの酸化還元電位(ORP)の変化を示す。
【0105】
【
図11】
図11は、大腸菌の種々の株を含む出力サンプルの塗抹細菌コロニーに対して実施した細胞計数(カウント)の結果を表す。
【0106】
【
図12】
図12は、緑膿菌(シュードモナス・エルギノーザPseudomonas aeruginosa)を含む2つのサンプルの増殖速度に対する通気の効果を示す。
【0107】
【
図13】
図13は、センサ装置を使用した2つの0.5 McFarland細菌サンプルの調製時間に対する通気の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0108】
詳細な説明
本明細書に記載の装置、システムおよび方法の変形は、添付の図面と併せて読むと詳細な説明から最も良く理解される。通常のプラクチスに従って、図面の種々の特徴を計ることはできないかもしれないことが強調される。ある種の特徴の寸法は、明確にするために拡大または縮小されているが、どの図面でも全ての特徴が目に見えるまたは標識できるわけではない。図面は、特許請求の範囲を図示されるものに限定または制限することを意図しない。
【0109】
図1Aは、サンプル102のpHを測定するためのセンサ装置100の一実施形態を表す。
図1Aはセンサ装置100の垂直断面図を表す。
【0110】
センサ装置100は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106を有するサンプル容器104を備えることができる。サンプル102は、患者または対象から得られたサンプル、生物学的サンプル、環境サンプル、および食品サンプルの少なくとも1つを含み得る。患者または対象から得られたサンプル102は、その患者または対象の体液および該患者もしくは対象から得られた標本(swab)の少なくとも1つを含むことができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、患者または対象はヒト患者またはヒト対象であることができる。別の実施形態では、患者または対象は非ヒト動物患者または非ヒト対象であることができる。
【0112】
幾つかの実施形態では、体液は血液、尿、血清、血漿、唾液、痰、精液、母乳、関節液、脳脊髄液などの脊髄液、創傷材料、粘液、便に伴う液体、膣分泌物、滑液、喀痰液、腹水、心膜液、羊水、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0113】
これらおよび他の実施形態では、患者または対象から得た標本(スワブ)は、創傷スワブ、直腸スワブ、膣スワブ、前述のスワブの再懸濁物、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0114】
全てのそのような実施形態では、サンプル102は、多数の微生物または感染性病原体を含むことができる。本開示の装置、システムおよび方法は、微生物定量法または抗生物質感受性試験(AST)法の一部として、サンプル102を微生物増殖についてアッセイするために使用することができる。
【0115】
幾つかの実施形態では、サンプル102は、患者または対象から得られたサンプル、生物学的サンプル、環境サンプルおよび食品サンプルの少なくとも1つより誘導された細菌培養物を含むことができ、またはそれを指すことができる。例えば、サンプル102は、患者または対象から得られた体液または標本から誘導された細菌培養物または再懸濁細菌培養物を含むことができ、それを指すことができる。より具体的な例として、サンプル102は。微生物増殖が陽性と試験された患者または対象から得られた体液またはスワブより誘導された細菌培養物または再懸濁細菌培養物を含むことができる。
【0116】
より具体的には、サンプル102が、微生物増殖が陽性であると検定された患者または対象から得られた血液より誘導され細菌培養物を含むことができる。いくつかの実施形態では、サンプル102は、陽性血液培養物であるか、またはそれを言及する。本開示の目的のために、陽性血液培養物は、細菌増殖について陽性と検定された患者または対象から採取された血液から誘導された細菌培養物であり得る。例えば、患者は敗血症の症状(例えば高熱、悪寒など)を示す可能性があり、血液(例えば5 mLから10 mL)を患者から採取して、細菌増殖培地(例えば30 mLから40 mLの増殖培地)を含む市販の血液培養容器または管中に移すことができる。次に、血液培養容器または管を35℃±2℃でインキュベートして、細菌を増殖させることができる。患者の血液が細菌で汚染されている場合、細菌は容器または管内で複製するだろう。次に、血液培養システムまたは装置を使用して細菌増殖をモニタリングすることができ(容器または管内での細菌のCO2生成をモニタリングすることによる等)、当該システムまたは装置は、臨界CO2閾値が満たされている場合、サンプルを細菌増殖について試験「陽性」であると判定することができる。病原体のタイプと増殖速度に依存して、血液培養物は7時間~3日間の間陽性になりうる。そのような「陽性血液培養物」は、次いで本明細書中に開示される装置、システムおよび方法のいずれかを使うなど、更なる下流の試験に使用することができる。
【0117】
追加の実施形態では、サンプル102は、水流、川、湖、海、汚染地域、隔離地帯、救急領域、またはそれらの組み合わせから得られた環境サンプルを含むことができる。他の実施形態では、サンプル102は、食品調製施設、食事施設、廃棄施設、またはそれらの組み合わせから得られた食品サンプルを含むことができる。
【0118】
幾つかの実施形態では、サンプル容器104に導入する前に、サンプル102に水性増殖培地を添加することができる。別の実施形態では、サンプル102がサンプル容器104中に注入、送達、または他の方法で導入されたら、水性増殖培地をサンプル102に添加することができる。
【0119】
一実施形態では、水性増殖培地は、グルコースが補足されたミュラー・ヒントン・ブロス(MHG)であることができる。別の実施形態では、水性増殖培地は、バクトトリプトン、トリプシン大豆消化物、酵母エキス、牛肉エキス、カチオン調整ミュラー・ヒントン・ブロス(CAMHB)、デンプン、カゼインの酸水解物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、血液、または馬溶血血液(LHB)などの溶血血液、CAMHB-LHB、グルコースまたは他の炭水化物、またはそれらの組み合わせを含む溶液であることができる。
【0120】
本明細書に開示される装置、方法およびシステムを使ってアッセイすることができる微生物または感染性病原体は、細菌や真菌をはじめとする任意の代謝性単細胞または多細胞生物であることができる。幾つかの実施形態では、微生物または感染性病原体は、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アセトバクター属(Acetobacter)、放線菌属(Actinomyces)、アエロコッカス属(Aerococcus)、アエロモナス属(Aeromonas)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アナプラズマ属(Anaplasma)、アゾリゾビウム属(Azorhizobium)、アゾトバクター属(Azotobacter)、バチルス属(Bacillus)、バクテリオデス属(Bacteriodes)、バルトネラ属(Bartonella)、ボルデテラ属(Bordetella)、ボレリア属(Borrelia)、ブルセラ属(Brucella)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カリマトバクテリウム属(Calymmatobacterium)、カンピロバクター属(Campylobacter)、クラミジア属(Chlamydia)、クラミドフィラ属(Chlamydophila)、シトロバクター属(Citrobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、コクシエラ属(Coxiella)、エーリキア属(Ehrlichia)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エシェリキア属(Escherichia)、フランシセラ属(Francisella)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、ガードネレラ属(Gardnerella)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ラクトバチルス属(Kactobacillus)、レジオネラ属(Legionella)、リステリア属(Listeria)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、モルガネラ属(Morganella)、モラクセラ属(Moraxella)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、ナイセリア属(Neiserria)、パンドレア属(Pandoraea)、パスツレラ属(Pasteurella)、ペプトストレプトコッカス属(Pestostreptococcus)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、プレボテラ属(Prevotella)、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ラルストニア属(Ralstonia)、ラウルテラ(Raoutella)、根粒菌属(Rhizobium)、リケッチア属(Rickettsia)、ロカリメア属(Rochalimaea)、ロチア属(Rothia)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、シュワネラ属(Shewanella)、赤痢菌属(Shigella)、スピリウム属(Spirillum)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトフォモナス属(Strenotrophomonas)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、トレポネマ属(Treponema)、ビブリオ属(Vibrio)、ウォルバキア属(Wolbachia)、エルシニア属(Yersinia)またはそれらの組み合わせから選択された細菌であることができる。他の実施形態では、微生物または感染性病原体は、カンジダ属(Candida)またはクリプトコッカス属(Cryptococcus)またはカビから選択された1つまたは複数の真菌類であり得る。
【0121】
本明細書に開示の方法およびシステムを使ってアッセイすることができる他の特定の細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ブドウ球菌(Staphylococcus lugdunensis)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌種〔未分化のスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリティクス(Staphylococcus haemolyticus)、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)、スタフィロコッカス・カピティス(Staphylococcus capitis)を含むがそれに限定されない〕、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)〔未分化のエンテロコッカス・ファシウム(Enterococcus faecium)および他のエンテロコッカス種(Enterococcus spp.)を含むが、これらに限定されず、だたしエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)を除く〕、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピロゲネス(Streptococcus pyogenes;化膿連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス種〔未分化のストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ガロリティクス(Streptococcus gallolyticus)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)を含むがこれらに限定されない〕、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumannii)、クレブシエラ種(Klebsiella spp.)〔未分化のクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)を含むがこれらに限定されない〕、エシェリキア・コリ(Escherichia coli;大腸菌)、エンテロバクター種(Enterobacter spp.)〔未分化のエンテロバクター・クロアセ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)を含むがこれらに限定されない〕、プロテウス種(Proteus spp.)〔未分化のプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)を含むがこれらに限定されない〕、シトロバクター種(Citrobacter spp.)〔未分化のシトロバクター・フロインディ(Cytrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Cytrobacter koseri)を含むがそれに限定されない〕、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、およびカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)を含むことができる。
【0122】
アッセイすることができる他のより特定の細菌は、アシネトバクター・バウマニィ(Acinetobacter baumannii)、アクチノバチルス種(Acinetobacillus spp.)、アクチノマイセス属、アクチノマイセス種〔アクチノマイセス・イスラエリ(Actinomyces israelii)およびアクチノマイセス・ナエスランディ(Actinomyces naeslundii)を含むがそれに限定されない〕、アエロモナス種〔アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・ベロニィ・ビオバル・ソブリア(アエロモナス・ソブリア)(Aeromonas veronii biovar sobria (Aeromonas sobria))およびアエロモナス・カビエ(Aeromonas caviae)を含むがそれに限定されない〕、アナプラズマ・ファゴサイトフィルム(Anaplasma phagocytophilum)、アルカリゲネス・キシロソキシダンス(Alcaligenes xylosoxidans)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、バチルス属〔バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis;炭疽菌)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・スリンジェンシス(Bacillus thuringiensis)、およびバチルス・ステロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)を含むがこれらに限定されない〕、バクテリオイデス属〔バクテリオイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)を含むがこれらに限定されない〕、バルトネラ属〔バルトネラ・バシリフォルミス(Bartonella bacilliformis)およびバルトネラ・ヘンゼラエ(Bartonella henselae)を含むがこれらに限定されない〕、ビフィドバクテリウム属、ボルデテラ種〔ボルデテラ・パーツッシス(Bordetella pertussis;百日咳菌)、ボルデテラ・パラパーツッシス(Bordetella parapertussis;パラ百日咳菌)、およびボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bromchiseptica)、ボレリア種〔ボレリア・レクレンチス(Borrelia recurrentis)およびボレリア・バーグドルフェリ(Borrelia burgdorferi;ライム病菌)を含むがこれらに限定されない〕、ブルセラ種〔ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリンテンシス(Brucella melintensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)を含むがこれらに限定されない〕、ブルクホルデリア種〔ブルクホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)およびブルクホルデリア・セパチア(Burkholderia cepacia)を含むがこれらに限定されない〕、カンピロバクター種〔カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)およびカンピロバクター・フェタス(Campylobactet fetus)、カプノサイトファガ(Capnocytophaga)種、カルジオバクテリウム・ホミニス(Cardiobacterium hominis)、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・プシッタチ(Chlamydophila psittaci)、シトバクター種、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetti)、コリネバクテリウム種〔コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphthariae;ジフテリア菌)、コリネバクテリウム・ジェイケウム(Corynebacterium jeikeum)およびコリネバクテリウムを含むが、これらに限定されない〕、クロストリジウム種〔クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens;ウェルシュ菌)、クロシトリジウム・ジフィシレ(Clostridium difficile)、クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum)およびクロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani;破傷風菌)を含むがこれらに限定されない〕、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター種〔エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)およびエシェリキア・コリ(Escherichia coli;大腸菌)〔日和見大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸侵入大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管出血性大腸菌、腸管凝集性大腸菌および尿路病原性大腸菌を含むがこれらに限定されない〕、エンテロコッカス種〔エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)およびエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)を含むがこれらに限定されない〕、エールリキア種〔エールリキア・カフェンシア(Ehrlichia chafeensiaおよびエールリキア・カニス(Ehrlichia canis)を含むがこれらに限定されない〕、エリシペロスリックス・ルシオパシエ(Erysipelothryx rhusiopathiae;ブタ丹毒菌)〕、ユーバクテリウム(Eubacterium)種、フランシゼラ・チュラレンシス(Francisella tularensis;野兎病菌)、フゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ガードネラ・ヴァギナリス(Gardnerella vaginalis)、ゲメラ・モルビロラム(Gemella morbillorum)、ヘモフィルス種〔ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae;インフルエンザ菌)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi;軟性下疳菌)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィルス・ヘモリティカス(Haemophilus haemolyticus)およびヘモフィルス・パラヘモリティカス(Haemophilus parahaemolyticus)を含むがこれらに限定されない〕、ヘリコバクター種〔ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori、ヘリコバクター・シネディ(Helicobacter cinaedi)およびヘリコバクターフェネリエ(Helicobacter fennelliae)、キンゲラ・キンギィ(Kingella kingii)、クレブシエラ種〔クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレビシエラ・グラニュロマティス(Klebsiella granulomatis)およびクレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、ラクトバチルス種、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、レプトスピラ・インテロガンス(Laptospira interrogans)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、ペプトストレプトコッカス種、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、モルガネラ種、モビランカス(Mobiluncus)属、ミクロコッカス種、マイコバクテリウム種〔マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis;結核菌)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、およびマイコバクテリウム・マリナム(Mycobacterium marinum)を含むがこれらに限定されない〕、マイコプラズマ種〔マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)およびマイコプラズマ・ゲニタリウム(Mycoplasma genitalium)を含むがこれらに限定されない〕、ノカルジア種〔ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ノカルジア・シリアシゲオリギカ(Nocardia cyriacigeorgica)およびノカルジア・ブラシリエンシス(Nocardia brasiliensis)を含むがこれらに限定されない〕、ナイセリア種〔ナイセリア・ゴノロエ(Neisseria gonorrhoeae;淋菌)およびナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis;髄膜炎菌)を含むがこれらに限定されない〕、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレシオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プレボテラ種(Prevotella)、ポルフィロモナス種(Porphyromonass)、プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)、プロテイス種〔melaninogenicaの、プロテウス種〔プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)およびプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むがこれらに限定されない〕、プロビデンシア種〔プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、プロビデンシア・レトゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・スツアルティ(Providencia stuartii)を含むがこれらに限定されない〕、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa) 、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)、リケッチア種〔リケッチア・リケッチィ(Rickettsia rickettsii)、リケッチア・アカリ(Rickettsia akari)およびリケッチア・プロワゼキィ(prowazekii) を含むがこれらに限定されない〕、オリエンチア・ツツガムシ(Orientia tsutsugamushi) (旧称:リケッチア・ツツガムシ(Rickettsia tsutsugamushi))、およびリケッチア。チフィ(Rickettsia typhi)を含むがこれらに限定されない〕、ロドコッカス種(Rhodococcus)、ステノトロフォモナス・マルトフィラ(Stenotrophomonas maltophilia)、サルモネラ種〔サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、サルモネラ・パラチフィ(Salmonella paratyphi)サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、サルモネラ・コレラスイス(Salmonella cholerasuis)およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)を含むがこれらに限定されない〕、セラチア属〔セラチア・マルセサンス(Serratia marcesans)およびセラチア・リキファシエンス(Serratia liquifaciens)を含むがこれらに限定されない〕、シゲラ種(赤痢菌)〔シゲラ・ジセンテリエ(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ボイディ(Shigella boydii)およびシゲラ・ゾネイ(Shigella sonnei)を含むがこれらに限定されない〕、スタフィロコッカス種〔スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリティカス(Staphylococcus hemolyticus)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)を含むがこれらに限定されない〕、ストレプトコッカス種〔ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae;肺炎連鎖球菌)(例えばクロラムフェニコール耐性血清型4肺炎連鎖球菌、スペクチノマイシン耐性血清型6B肺炎連鎖球菌、ストレプトマイシン耐性血清型9V肺炎連鎖球菌、エリスロマイシン耐性血清14型肺炎連鎖球菌、オプトチン耐性血清14型肺炎連鎖球菌、リファンピシン耐性血清型18Cの肺炎連鎖球菌、テトラサイクリン耐性血清型19F肺炎連鎖球菌、ペニシリン耐性血清型19F肺炎連鎖球菌およびトリメトプリム体制血清型23F肺炎連鎖球菌、クロラムフェニコール体制血清型4肺炎連鎖球菌、リファンピシン体制血清型18C肺炎連鎖球菌、ペニシリン耐性血清型19F肺炎連鎖球菌、またはトリメトプリム耐性血清型23F肺炎連鎖球菌)を含むがこれらに限定されない〕、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、A群連鎖球菌(Group A Streptococci)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenesis;化膿連鎖球菌)、B群連鎖球菌(Group B Streptococci)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、C群連鎖球菌(Group C Streptococci)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus antinosus)、ストレプトコッカス・エキスミリス(Streptococcus equismilis)、G群連鎖球菌(Group G Streptococci)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、F群連鎖球菌(Group F Streptococci)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streotococcus anginosus)およびG群連鎖球菌(Group G Streptococci)、スピリルム・マイナス(Spirillum minus)、ストレプトバチルス・モニリフォルミ(Streptobacillus moniliformi)、トレポネーマ種〔トレポネー
マ・カラテウム(Treponema carateum) 、トレポネーマ・ペテニュー(Treponema petenue)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)およびトレポネーマ・エンデミカム(Treponema endemicum)、トロフェリマ・ホワイペリ(Tropheryma whippelii)、ウレアプラズマ・リティクム(Ureaplasma urealyticum)、ベイヨネラ種(Veillonella spp)、ビブリオ種〔ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vivrio vulnificus)、ビブリオ parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリティカス(Vibrio alginolyticus)、ビブリオ・ミミカス(Vibrio mimicus)、ビブリオ・ホリセ(Vibrio hollisae)、ビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)、ビブリオ・メキニコヴィイ(Vibrio metchnikovii)、ビブリオ・ダムセラ(Vibrio damsela)およびビブリオ・フルニシィ(Vibrio furnisii )、エルシニア種〔エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis;ペスト菌)およびエルシニア・シュードツベルクロシス(Yersina pseudotuberculosis)およびキサントモナス・マルトフィリア(Xanthomonas maltophilia)を含むがこれらに限定されない〕を含み得る。
【0123】
さらに、本明細書に開示の方法とシステムを使ってアッセイすることができる他の微生物または感染性病原体としては、カンジダ種〔カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)およびカンジダ・クルセイ(Candida krusei)を含むがこれらに限定されない〕、アスペルギルス種〔アスペルギルス・フミガトウス(Aspergillus fumigatous) 、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)を含むがこれらに限定されない〕、クリプトコッカス種〔クリプトコッカス・ネオフォルマンス((Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)、クリプトコッカス・ラウレンティイ(Cryptococcus laurentii)およびクリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)を含むがこれらに限定されない〕、フザリウム種〔フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、フザリウム・ベルティシロイデス(Fusarium verticillioides)およびフザリウム・プロリフェラタム(Fusarium proliferatum)を含むがこれらに限定されない〕、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、ペニシリウム・マルネフェイ(Penicillium marneffei)、コクシディオデス・イミティス(Coccidiodes immitis)およびブラストマイセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)を挙げることができる。
【0124】
サンプル容器104は、一部を不活性または非導電体材料で作ることができる。幾つかの実施形態では、サンプル容器104は一部を高分子材料、セラミック材料もしくはガラス、またはそれらの組み合わせで作ることができる。より具体的な例として、サンプル容器104は、一部をポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、またはそれらの組み合わせを含むかそれで作ることができる。
【0125】
センサ装置100は、参照センサ部材108と能動型センサ部材122も備えることができる。参照センサ部材108は、参照導管空洞112、参照導管第一開口部114および参照導管第二開口部116を含む参照導管110を更に含むことができる。
【0126】
参照導管110は導管壁138を有することができ、参照導管近位端140から参照導管遠位端142まで徐々に先細にすることができる。一実施形態では、参照導管110は、同じく円錐形または円錐体形として実質的に成形された参照導管空洞112を有する円錐形または円錐体形として実質的に成形することができる。別の実施形態では、参照導管110は、多角形の基部を有する細長いピラミッドとして実質的に成形することができる。例えば、参照導管110は、細長い三角形のピラミッド、正方形のピラミッド、または五角形のピラミッドとして実質的に成形することができる。追加の実施形態では、参照導管110は、円筒形の参照導管空洞112を有する円筒として実質的に成形することができる。これらの実施形態では、参照導管110はまた、先細の参照導管遠位端142も有することができる。
【0127】
参照導管空洞112は、参照緩衝ゲル118で少なくとも部分的に満たすことができる。参照導管110は、サンプル102が参照導管空洞112内の参照緩衝ゲル118と流体接触できるように参照導管の第二開口部116が構成されるように、参照導管110はサンプルチャンバ106中に延在することができる。例えば、参照導管第二開口部116は、参照緩衝ゲル118と液固間接触できるようにすることができる。こうして、塩橋は、その塩橋の接合点(界面)として作用する液固界面により形成することができる。
【0128】
一実施形態では、参照緩衝ゲル118は、参照緩衝液と共に混合した寒天粉末から形成された寒天ゲルであることができる。別の実施形態では、参照緩衝ゲル118は、参照緩衝ゲル溶液と混合した別のタイプの多糖類から形成されたゲルであることができる。より具体的な例として、使用した寒天粉末は、Sigma-Aldrich社により提供された寒天粉末(例えばSigma-AldrichTM 寒天粉末05040)またはThermo Fisher Scientific社により提供された寒天粉末(例えばFisher SicentificTM寒天粉末、カタログ番号S14153)のような市販の寒天粉末であることができる。
【0129】
参照緩衝液は、水性レドックス緩衝液であり得る。一実施形態では、参照緩衝液は、脱イオン水、ヘキサシアン化鉄酸カリウム、リン酸二水素、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含む、レドックス水性緩衝液であり得る。例えば、参照緩衝液は、脱イオン水(例えば、約95%~99%)、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム(例えば、約0.1%~0.9%)、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム(例えば、約0.1%~99%)、リン酸二水素カリウム(例えば約0.5%未満)、およびリン酸水素二ナトリウム(約0.5%未満)を含む、水性レドックス緩衝液であることができる。より具体的な例として、参照緩衝液は、Mettler-Toledo AG社より提供された220 mV/pH 7レドックス緩衝液(製品コード51350060)であることができる。
【0130】
他の実施形態では、参照緩衝液は、3M KClを含む水性レドックス緩衝液とすることができる。より具体的な例として、参照緩衝液は、Mettler-Toledo AG社により提供される3M KClレドックス緩衝液(物品番号63056165)であり得る。
【0131】
一実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約1%(w/v%、g/mL)の濃度の寒天粉末を含み得る。別の実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約5%(w/v%、g/mL)の濃度の寒天粉末を含むことができる。幾つかの実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約1%(w/v%、g/mL)~5%(w/v%、g/mL)の濃度の寒天粉末を含むことができる。他の実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約5%(w/v%、g/mL)~10%(w/v%、g/mL)の濃度の寒天粉末を含むことができる。
【0132】
参照緩衝ゲル118は、水性参照緩衝液の沸点より上に水性参照緩衝液を加熱し、そして寒天粉末をその加熱した水性参照緩衝液中に攪拌することにより、作製することができる。寒天粉末が加熱した水性緩衝液中に完全に溶解したら、その高温ゲルスラリーを参照電極空隙112に注ぎ、室温に冷ますことができる。参照緩衝ゲル118は、高温ゲルを参照導管空洞112内で室温に冷ますと固化することができる。
【0133】
一実施形態では、参照導管空洞112は、約100μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約500μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約100μL~約500μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。更なる実施形態では、参照導管空洞112は、約500μL~約1mLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。参照緩衝ゲル118の量は、参照導管空洞112の容積、参照導管110のサイズ、サンプル容器104のサイズ、またはその組み合わせに依存しうる。
【0134】
参照センサ部材108は、参照緩衝ゲル118で満たされた参照導管空洞112中に延在している参照電極120も備えることができる。参照電極120は、参照緩衝ゲル118で満たされた参照導管空洞112中に部分的に延出することができる。
【0135】
より具体的な例として、参照電極120は、参照電極チップ144を含むことができる。参照電極チップ144は、参照電極120が参照緩衝ゲル118で満たされた参照導管空洞112中に部分的に延在している場合、参照導管の第二開口部116に近接して配置することができる。より詳しくは、参照緩衝ゲル118の容量は、参照電極チップ144を参照導管の第二開口部116から分離することができる。参照導管空洞112内の参照電極120の位置は、次のセクションでより詳細に説明することにする。
【0136】
参照電極120は一部を1つ以上の金属で作ることができる。一実施形態では、参照電極120は、白金(Pt)、ステンレス鋼、またはそれらの組み合わせで作ることができる。他の実施形態では、参照電極120は、一部を別のタイプの導電性金属で作ることができる。例えば、参照電極120は、参照電極120のセグメント(例えば参照電極チップ144およびその参照電極チップ144に近接した参照電極120のセグメント)が、参照緩衝ゲル118を貫通し、そして参照緩衝ゲル118内に存在するように、参照緩衝ゲル118中に挿入された金属製のピン、ワイヤーまたはロッドであることができる。
【0137】
本願により成し遂げられた1つの予想外の発見は、参照緩衝ゲル118が、その参照緩衝ゲル118とサンプル102とにより作られる液固界面を横切る拡散を遅くし、かつそのような参照センサ部材108がpH測定のための有効な参照電池として使用できることである。
【0138】
センサ装置100は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106中に延在している活性電極ハウジング124を含む能動型センサ部材122も備えることができる。能動型センサ部材122は、活性電極ハウジング124により少なくとも一部収容または包囲された活性電極126も備えることができる。
【0139】
活性電極ハウジング124は、不活性または非導電体材料で作ることができる。活性電極ハウジング124は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、セラミック、二酸化ケイ素(SiO2)または種々のタイプのガラス、またはそれらの組み合わせなどの高分子材料を含むことができる。
【0140】
活性電極126は、サンプル接触面128を含むことができる。活性電極126は、活性部材の遠位端130に配置することができる。活性電極ハウジング124は、サンプル接触面128がサンプル102と流体連絡するようにサンプル接触面128を露出するように構成することができる。
【0141】
幾つかの実施形態では、活性電極126は一部を金属酸化物で作ることができる。例えば、活性電極126は一部を二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ハフニウム(HfO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの組み合わせで作ることができる。
【0142】
能動型センサ部材122は、活性電極126に連結されておりかつ活性電極126の近位に配置された導電性接触層132を含むことができる。導電性接触層132は、活性電極ハウジング124の中に収容されるかまたは活性電極124により包まれることができる。
【0143】
導電性接触層132は一部を1つ以上の金属で作ることができる。幾つかの実施形態では、導電性接触層132は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、またはそれらの組み合わせで作ることができる。導電性接触層132および参照電極120は、導電性接続134または導電線によって電圧計136に電気的に結合することができる。導電性接続134は一部を導電体材料として作製することができる。一実施形態では、導電性接続134は銅線であり得る。例えば、導電性接続134は、電着銅、圧延なまし銅、高延性電着銅、またはそれらの組み合わせであり得る。他の実施形態では、導電性接続134は一部を銀またはニッケルで作ることができる。
【0144】
幾つかの実施形態では、電圧計136は、高インピーダンス電圧計であり得る。導電性接続134は、活性電極126(導電性接触層132を介して)と参照電極120を電圧計136に電気的に結合することができる。サンプル102のpHは、活性電極126と参照電極120の間の電位差に基づいて測定することができる。
【0145】
センサ装置100は、通気導管146も含むことができる。通気導管146のセグメントは、通気導管146内の内腔または空洞がサンプルチャンバ106と流体連絡しているように、サンプルチャンバ106の中に延在することができる。通気導管146は、サンプル容器104内に収容されたサンプル102を曝気するように構成することができる。サンプル102の通気は、微生物への酸素の供給量を増やすことにより、サンプル102内の微生物の増殖速度を増大させることができる。更に、通気は、バイオフィルム形成を抑制するためにサンプル容器104の内壁からの微生物の脱着を可能にすることもできる。
【0146】
図1Bは、サンプル102の酸化還元電位(ORP)を測定するためのセンサ装置101の一実施形態を示す。
図1Bは、センサ装置101の側方断面図を示す。
【0147】
センサ装置101は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106を有するサンプル容器104を備えることができる。サンプル102は、センサ装置100に関して記載したものと同じサンプル102であることができる(
図1A参照)。サンプル102は、多数の微生物または感染性病原体を含むことができる。本明細書に開示の装置、システムおよび方法は、微生物定量法または抗生物質感受性試験(AST)法の一部として微生物の増殖またはその欠如についてサンプル102を分析するために使用することができる。
【0148】
幾つかの実施形態では、水性増殖培地は、サンプル容器104中に導入する前にサンプル102に添加することができる。別の実施形態では、水性増殖培地は、サンプル102がサンプル容器104中に注入、送達または他の方法で導入された後で、サンプル102に添加することができる。
【0149】
一実施形態では、水性増殖培地は、グルコース補足ミュラー・ヒントン(Mueller Hinton)ブロス(MHG)であり得る。他の実施形態では、水性増殖培地は、バクト・トリプトン、トリプシン大豆消化物、酵母エキス、牛肉エキス、カチオン調整ミュラー・ヒントン(Muller Hinton)ブロス(CAMHB)、デンプン、カゼインの酸加水分解物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、血液もしくはウマ溶血(LHB)などの溶血、CAMHB-LHB、グルコースもしくは他の炭水化物、またはそれらの組み合わせを含む溶液であり得る。
【0150】
サンプル容器104は、一部を不活性または非導電体材料で作ることができる。幾つかの実施形態では、サンプル容器104は、高分子材料、セラミック材料もしくはガラス、またはそれらの組み合わせを含むかまたは一部をそれから作ることができる。より具体的な例として、サンプル容器104は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、またはそれらの組み合わせを備えるかまたは一部をそれで作ることができる。
【0151】
センサ装置101は、参照センサ部材108と能動型センサ部材122も含むことができる。参照センサ部材108は、参照導管空洞112、参照導管第一開口部114および参照導管第二開口部116を含む、参照導管110を更に含むことができる。
【0152】
参照導管110は、導管壁138を有することができる。導管壁138は、参照導管近位端140から参照導管遠位端142まで徐々に先細にすることができる。一実施形態では、参照導管110は、円錐形または円錐台形(frustoconic)として実質的に成形された参照導管空洞112を有する円錐形または円錐台形(frustoconic)として実質的に成形することができる。別の実施形態では、参照導管110は、多角形の基部を有する細長いピラミッドとして実質的に成形することができる。例えば、参照導管110は、細長い三角形のピラミッド、正方形のピラミッド、または五角形のピラミッドとして実質的に成形することができる。追加の実施形態では、参照導管110は、実質的に円筒形の参照導管空洞112を有する円筒として実質的に成形することができる。これらの実施形態では、参照導管110はまた、先細の参照導管遠位端142を有することができる。
【0153】
参照導管空洞112は、参照緩衝ゲル118で少なくとも部分的に満たすことができる。参照導管110は、サンプル102が参照導管空洞112内の参照緩衝ゲル118と流体接触できるように、参照導管の第二開口部116が構成されているようなサンプルチャンバ106中に延在することができる。例えば、参照導管の第二開口部116は、サンプル102が参照緩衝ゲル118と液固接触できるようにすることができる。
【0154】
一実施形態では、参照緩衝ゲル118は、参照緩衝液と混合した寒天粉末から形成された寒天ゲルであることができる。別の実施形態では、参照緩衝ゲル118は、参照緩衝液と混合した寒天粉末から形成された寒天ゲルであることができる。別の実施形態では、参照緩衝ゲル118は、参照緩衝液と混合した別のタイプの多糖類から形成されたゲルであることができる。より具体的な例として、使用される寒天粉末は、Sigma-Aldrich社により提供される寒天粉末(例えば、Sigma-AldrichTM寒天粉末05040)またはThermo Fisher Scientific社により提供される寒天粉末(例えばFisher ScientificTM 寒天粉末、カタログ番号S14153)などの市販の寒天粉末であることができる。
【0155】
参照緩衝液は、水性レドックス緩衝液であり得る。一実施形態では、参照緩衝液は、脱イオン水、ヘキサシアン化鉄酸カリウム、リン酸二水素、リン酸水素二ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含むレドックス水性緩衝液であり得る。例えば、参照緩衝液は、脱イオン水(例えば、約95%~99%)、ヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム(例えば、約0.1%~0.9%)、ヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム(例えば、約0.1%~0.9%)、リン酸二水素カリウム(例えば約0.5%未満)、およびリン酸水素二ナトリウム(約0.5%未満)を含む水性レドックス緩衝液であり得る。より具体的な例として、参照緩衝液はMettler-Toledo社により提供される220 mV/pH 7レドックス緩衝液(製品番号51350060)であることができる。
【0156】
別の実施形態では、参照緩衝液は3 M KClを含む水性レドックス緩衝液であることができる。より具体的な例として、参照緩衝液は、Mettler-Toledo社により提供される3 M KClレドックス緩衝液(物品番号63056165)であることができる。
【0157】
一実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約1%(w/v%、g/mL)の濃度の寒天粉末を含むことができる。別の実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約5%(w/v%、g/mL)の濃度の寒天粉末を含むことができる。いくつかの実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約1%(w/v%、g/mL)~5%(w/v%、g/mL)の濃度の寒天粉末を含むことができる。他の実施形態では、参照緩衝ゲル118は、約5%(w/v%、g/mL)から10%(w/v%、g/mL)の間の濃度の寒天粉末を含むことができる。
【0158】
参照緩衝ゲル118は、水性緩衝緩衝液の沸点より上に水性緩衝液を加熱し、そしてその加熱した水性緩衝液に寒天粉末を加熱することにより作製することができる。寒天粉末が加熱水性緩衝液中に完全に溶解した後、その高温ゲルスラリーを参照導管空洞112に注ぎ入れ、室温に冷ますことが可能である。その高温ゲルが参照導管空洞112内で室温に冷めると、参照緩衝ゲル118が固化しうる。
【0159】
一実施形態では、参照導管空洞112は、約100μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は約500μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約100μL~約500μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。更なる実施形態では、参照導管空洞112は、約500μL~約1mLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。参照緩衝ゲル118の量は、参照導管空洞112の容積、参照導管110のサイズ、サンプル容器104のサイズ、またはその組み合わせに依存しうる。
【0160】
参照センサ部材108は、参照緩衝ゲル118で満たされた参照導管空洞112中に延在している参照電極120も備えることができる。参照電極120は、参照緩衝ゲル118で満たされた参照導管空洞112中に部分的に延在することができる。
【0161】
より具体的な例として、参照電極120は参照電極チップ144を含み得る。参照電極チップ144は、参照電極120が参照緩衝ゲル118で満たされた参照導管空洞112中に部分的に延びている場合、参照導管の第二開口部116に対して近位に配置することができる。より具体的には、参照緩衝ゲル118の容積は、参照導管の第二開口部116から参照電極チップ144を分離することができる。参照導管空洞112内の参照電極120の位置は、次のセクションでより詳細に論じることにする。
【0162】
参照電極120は、一部を1つ以上の金属で作ることができる。一実施形態では、参照電極120は一部を白金(Pt)、ステンレス鋼、またはその組み合わせで作ることができる。別の実施形態では、参照電極120は、一部を別のタイプの導電体材料で作ることができる。例えば、参照電極120は、参照電極120のセグメント(例えば参照電極チップ144およびその参照電極チップ144に対して近位の参照電極120のセグメント)が参照緩衝ゲル118を貫通し、参照緩衝ゲル118内に存在するように、参照緩衝ゲル118中に挿入された金属製のピン、ワイヤーまたはロッドであることができる。
【0163】
本願により成し遂げられた1つの予想外の発見は、参照緩衝ゲル118が、その参照緩衝ゲル118とサンプル102により形成される液固界面を横切る拡散を遅くし、そしてそのような参照センサ部材108が、ORP測定のための有効な参照電池として使用できる時間の量を延長することである。
【0164】
センサ装置101は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106中に延在している活性電極ハウジング124を含む、能動型センサ部材122も備えることができる。能動型センサ部材122は、活性電極ハウジング124により少なくとも部分的に収容または取り囲まれた活性電極148も含むことができる。
【0165】
活性電極ハウジング124は、不活性または非導電体材料製であることができる。活性電極ハウジング124は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、セラミック、二酸化ケイ素(SiO2)もしくは種々のタイプのガラス、あるいはそれらの組み合わせなどの高分子材料を含むことができる。
【0166】
活性電極148はサンプル接触面128を含み得る。活性電極148は、活性部材遠位端130に配置することができる。活性電極ハウジング124は、サンプル接触面128がサンプル102と流体連絡するように、サンプル接触面128を露出するように構成することができる。
【0167】
幾つかの実施形態では、活性電極148は一部を1つ以上の金属、1つ以上の金属酸化物、またはその組み合わせで作ることができる。例えば、活性電極148は一部を白金(Pt)、金(Au)、レドックス感受性金属酸化物、またはそれらの組み合わせで作ることができる。幾つかの実施形態では、レドックス感受性金属酸化物は、二酸化ケイ素(SiO2 )、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ハフニウム(HfO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0168】
活性電極148と参照電極120とは、導電性接続134または導電線によって電圧計136に電気的に結合することができる。導電性接続134は、一部を導電体材料で作ることができる。一実施形態では、導電性接続134は銅線であり得る。例えば、導電性接続134は、電着銅、圧延なまし銅、高延性電着銅、またはそれらの組み合わせであり得る。他の実施形態では、導電性接続134は一部を銀またはニッケルで作ることができる。
【0169】
幾つかの実施形態では、電圧計136は、高インピーダンス電圧計であり得る。サンプル102のORPは、活性電極148と参照電極120との間の電位差に基づいて測定することができる。
【0170】
センサ装置101は、通気導管146も備えることができる。通気導管146のセグメントは、その通気導管146内の内腔または空洞がサンプルチャンバ106と流体連絡するようにサンプルチャンバ106中に延在することができる。通気導管146は、サンプル容器104内に受容されたサンプル102を曝気するように構成することができる。サンプル102への通気は、微生物への酸素の供給を増加させることにより、サンプル102内の微生物の増殖速度を増加させることができる。更に、通気は、バイオフィルム形成を抑制するために、サンプル容器104の内壁からの微生物の脱着を可能にすることができる。
【0171】
図1Cは、サンプル102のpHを測定するためのセンサ装置103の別の実施形態を示す。
図1Cは、センサ装置103の側方断面図を示す。
【0172】
センサ装置103は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106を有するサンプル容器104を備えることができる。サンプル102は、センサ装置100(
図1Aに示すような)およびセンサ装置101(
図1Bに示すような)に関して記載されたのと同じサンプル102であることができる。サンプル102は、多数の微生物または感染性病原体を含むことができる。本明細書中に開示の装置、システムおよび方法は、微生物定量法または抗生物質感受性試験(AST)法の一部としての微生物増殖またはその欠如についてサンプル120を分析するために用いることができる。
【0173】
幾つかの実施形態では、水性増殖培地は、サンプル容器104中に導入する前に、サンプル102に添加することができる。別の実施形態では、水性増殖培地は、サンプル102がサンプルチャンバ104中に注入、送達または他の方法で導入された後で、サンプル102に添加することができる。
【0174】
一実施形態では、水性増殖培地は、グルコースが補足されたミュラー・ヒントン(Muller Hinton)ブロス(MHG)であることができる。別の実施形態では、水性増殖培地は、バクトトリプトン、トリプシン大豆消化物、酵母エキス、牛肉エキス、カチオン調整したミュラー・ヒントンブロス(CAMHB)、デンプン、カゼインの酸加水分解物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、血液または馬溶血血液(LHB)などの溶血血液、CAMHB-LHB、グルコースまたは他の炭水化物、またはその組み合わせを含有する溶液であることができる。
【0175】
サンプル容器104は一部を不活性または非導電体材料で作ることができる。幾つかの実施形態では、サンプル容器104は、高分子材料、セラミック材料もしくはガラス、またはそれらの組み合わせで作ることができる。より具体的な例として、サンプル容器104は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、もしくはそれらの組み合わせを含むか、または一部をそれで作ることができる。
【0176】
センサ装置103は、参照センサ部材108および能動型センサ部品122も備えることができる。参照センサ部材108は、参照導管第一開口部114を規定する参照導管近位端140と、参照導管第二開口部116を規定する参照導管遠位端142と、参照導管近位端140と参照導管遠位端142の間の参照導管空洞112とを含む、参照導管110を更に備えることができる。
【0177】
参照導管110は、導管壁138を含むことができ、そして導管壁138は、参照導管近位端140から参照導管遠位端142まで徐々に先細にすることができる。一実施形態では、参照導管110は、実質的に円錐形または円錐台形(frustoconic)として成形された参照導管空洞112を有する、円錐形または円錐台形(frustoconic)として成形することができる。別の実施形態では、参照導管110は、多角形の基底部を有する細長いピラミッドとして実質的に成形することができる、例えば、参照導管110は、細長い三角形のピラミッド、正方形のピラミッド、または五角形のピラミッドとして実質的に成形することができる。追加の実施形態では、参照導管110は、実質的に円筒形の参照導管空洞112を有する円筒として実質的に成形することができる。これらの実施形態では、参照導管110は、先細の参照導管遠位端142を有することができる。
【0178】
参照導管110は、サンプルチャンバ106がサンプル102で満たされると参照導管110の少なくとも一部がサンプル102中に浸漬するように、サンプルチャンバ106中に延在することができる。例えば、参照導管遠位端142は、サンプルチャンバ106内のサンプル102中に浸漬することができる。
【0179】
参照センサ部材108は、参照導管遠位端142に連結されたイオン交換膜150を備えることができる。イオン交換膜150は、サンプル102内の微生物が参照導管空洞112に入らないように参照導管の第二開口部116を塞ぐように構成することができる。しかしながら、イオン交換膜150は、イオンがイオン交換膜150を貫通して荷電平衡を維持できるようにする。
【0180】
幾つかの実施形態では、イオン交換膜150は、ペルフルオロスルホン化イオノマー膜であることができる。より具体的な例として、イオン交換膜150は、E.I. du Pont de Nemours and Companyにより提供されるNafion(登録商標)膜であることができる。また、例えば、イオン交換膜150は、旭化成株式会社により提供されるAciplex(登録商標)膜またはAGC Chemical Americas, Inc.により提供されるFlemion(登録商標)膜であることができる。
【0181】
幾つかの実施形態では、イオン交換膜150は、約25μm~約180μmの厚さを有することができる。より具体的には、イオン交換膜150は、約25μm~約100μmの厚さを有することができる。イオン交換膜150は、約100μm~約180μmの厚さを有することもできる。
【0182】
別の実施形態では、イオン交換膜150は、約180μm~約200μmの厚さを有することができる。例えば、イオン交換膜は約183μmの厚さを有することができる。
【0183】
参照導管空洞112は、参照緩衝液152で少なくとも部分的に満たすことができる。参照緩衝液152は、水性レドックス緩衝液であることができる。
【0184】
一実施形態では、参照緩衝液152は、脱イオン水、ヘキサシアン化鉄酸カリウム、リン酸二水素、リン酸水素二ナトリウム、またはその組み合わせを含むことができる。例えば、参照緩衝液152は、約95%~99%(v/v%)の脱イオン水、約0.1%~0.9%(w/v%)のヘキサシアン化鉄(III)酸カリウム、約0.1%~0.9%(w/v%)のヘキサシアン化鉄(II)酸カリウム、約0.5%(w/v%)未満のリン酸二水素カリウム、および約0.5%(w/v)未満のリン酸水素二ナトリウムを含み得る。より具体的な例として、参照緩衝液は、Mettler-Toledo社により提供される3 M KClレドックス緩衝液(物品番号63056165)であることができる。
【0185】
別の実施形態では、参照緩衝液152は、3 M KClを含む水性レドックス緩衝液であることができる。より具体的な例として、参照緩衝液は、Mettler-Toledo社により提供される3 M KClレドックス緩衝液であることができる。
【0186】
一実施形態では、参照導管空洞112は、約100μLの参照緩衝液152で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約500μLの参照緩衝液152で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約100μL~約500μLの参照緩衝液152で満たすことができる。更なる実施形態では、参照導管空洞112は、約500μL~約1mLの参照緩衝液152で満たすことができる。参照緩衝液152の量は、参照導管空洞112の容積、参照導管110のサイズ、サンプル容器104のサイズ、またはそれらの組み合わせに依存しうる。
【0187】
参照センサ部材108は、参照緩衝液152で満たされた参照導管空洞112中に延在している参照電極120を備えることもできる。参照電極120は、参照導管空洞112中に部分的に延在することができる。
【0188】
より具体的な例として、参照電極120は、参照電極チップ144を含むことができる。参照電極チップ144は、参照緩衝液152で満たされた参照導管空洞112中に参照電極120が部分的に延在している時、イオン交換膜150に対して近位に配置することができる。より詳しくは、参照緩衝液152の容積は、参照電極チップ144をイオン交換膜150から分離することができる。参照導管空洞112内の参照電極120の位置については、次のセクションで論じることにする。
【0189】
参照電極120は、一部を1つ以上の金属で作ることができる。一実施形態では、参照電極120は一部を白金(Pt)、ステンレス鋼またはそれらの組み合わせで作ることができる。他の実施形態では、参照電極120は一部を別のタイプの導電性金属で作ることができる。例えば、参照電極120は、参照電極120のセグメント(例えば参照電極チップ144およびその参照電極チップ144に対して近位の参照電極120のセグメント)が参照緩衝液152中に浸漬するように、金属製のピン、ワイヤーまたはロッドであることができる。
【0190】
サンプル102は、イオン交換膜150が塩橋の接続器(インターフェイス)として働くようにイオン交換膜と流体接触することができる。イオン交換膜150の一方の側から他方の側へとイオンが拡散して荷電平衡を維持することができる。
【0191】
センサ装置103は、サンプル102を収容するように構成されたサンプルチャンバ106中に延在している活性電極ハウジング124を含む、能動型センサ部材122も備えることができる。能動型センサ部材122は、活性電極ハウジング124により少なくとも部分的に収容または取り囲まれた活性電極126も備えることができる。
【0192】
活性電極124は、不活性または非導電体材料で作ることができる。活性電極ハウジング124は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、セラミック、二酸化ケイ素(SiO2)もしくは種々の種類のガラス、またはそれらの組み合わせなどの高分子材料を含むことができる。
【0193】
活性電極126は、サンプル接触面128を含むことができる。活性電極126は、活性部材の遠位端130に配置することができる。活性電極ハウジング124は、サンプル接触面128がサンプル102と流体連絡するようにサンプル接触面128を露出するように構成することができる。
【0194】
幾つかの実施形態では、活性電極126は一部を金属酸化物で作ることができる。例えば、活性電極126は一部を二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ハフニウム(HfO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、またはそれらの組み合わせで作ることができる。
【0195】
能動型センサ部材122は、活性電極126に連結されそして活性電極126に対して近位に配置された導電性接触層132も備えることができる。導電性接触層132は、活性電極ハウジング124の中に収容されまたはそれにより取り囲むこともできる。
【0196】
導電性接触層132は、一部を1つ以上の金属で作ることができる。幾つかの実施形態では、導電性接触層132は、一部をアルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)またはそれらの組み合わせで作ることができる。導電性接触層132と参照電極120は、導電性接続134または導電線により電圧計136に電気的に結合することができる。導電性接続134は一部を導電体材料で作ることができる。一実施形態では、導電性接続134が銅線であることができる。例えば、導電性接続134は、電着銅、圧延なまし銅、高延性電着銅またはそれらの組み合わせであり得る。他の実施形態では、導電性接続134は、一部を銀またはニッケルで作ることができる。
【0197】
幾つかの実施形態では、電圧計136は、高インピーダンス電圧計であり得る。導電性接続134は、活性電極126(導電性接触層132を介して)および参照電極120を電圧計136に電気的に結合することができる。サンプル102のpHは、活性電極126と参照電極120との間の電位差に基づいて測定することができる。
【0198】
センサ装置103は、通気導管146を含むことができる。通気導管146のセグメントは、通気導管146内の内腔または空洞がサンプルチャンバ106と流体連絡しているようにサンプルチャンバ106の中に延在することができる。通気導管146は、サンプル容器104内に受容されたサンプル102を曝気するように構成することができる。サンプル102への通気は、微生物への酸素の供給量を増加させることにより、サンプル102内の微生物の増殖速度を増大させることができる。更に、通気は、バイオフィルム形成を抑制するためにサンプル容器104の内壁からの微生物の脱着を可能にすることもできる。
【0199】
図1Dは、サンプル102のORPを測定するためのセンサ装置105の別の実施形態を示す。
図1Dは、センサ装置105の側方断面図を示す。
【0200】
センサ装置105は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106を有するサンプル容器104を備えることができる。サンプルは、センサ装置100(
図1Aに示す)、センサ装置101(
図1Bに示す)およびセンサ装置103(
図1Cに示す)に関して論じたのと同じサンプル102であることができる。サンプル102は、多数の微生物または感染性病原体を含み得る。本明細書に開示の装置、システムおよび方法は、微生物定量法または抗生物質感受性試験(AST)法の一部として微生物増殖またはその欠如を分析するために用いることができる。
【0201】
幾つかの実施形態では、水性増殖培地は、サンプル容器104中に導入する前にサンプル102に添加することができる。別の実施形態では、水性増殖培地は、サンプル102がサンプル容器104中に注入、送達、または他の方法で導入された後、サンプル102に添加することができる。
【0202】
幾つかの実施形態では、水性増殖培地はグルコースを補足したミュラー・ヒントン・ブロス(Muller Hinton Broth;MHG)であることができる。別の実施形態では、水性増殖培地は、バクトトリプトン、トリプシン大豆消化物、酵母エキス、牛肉エキス、カチオン調整済のミュラー・ヒントン・ブロス(CAMHB)、デンプン、カゼインの酸加水分解物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、血液またはウマ溶血(LHB)を含む溶血、CAMHB-LHB、グルコースもしくは他の炭水化物、またはその組み合わせを含む溶液であることができる。
【0203】
センサ装置105は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106を有するサンプル容器104を備えることができる。サンプル102は、センサ装置100(
図1Aに示す)およびセンサ装置101(
図1Bに示す)に関して論じたのと同じサンプル102であることができる。サンプル102は、多数の微生物または感染性病原体を含み得る。本明細書に開示の装置、システムおよび方法は、微生物定量法または抗生物質感受性試験(AST)法の一部として微生物増殖またはその欠如を分析するために用いることができる。
【0204】
サンプル容器104は、一部を不活性または非導電体材料で一部作ることができる。幾つかの実施形態では、サンプル容器104は高分子材料、セラミック材料もしくはガラス、またはその組み合わせを含むかまたは一部をそれから作ることができる。より具体的な例として、サンプル容器104は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)またはその組み合わせを含むかまたは一部をそれから作ることができる。
【0205】
センサ装置105は、参照センサ部材108および能動型センサ部材122も備えることができる。参照センサ部材108は、参照導管第一開口部114を規定する参照導管近位端140、参照導管第二開口部116を規定する参照導管遠位端142、および前記参照導管近位端140と前記参照導管遠位端142との間にある参照導管空洞112を含む、参照導管110を更に備えることができる。
【0206】
参照導管110は、導管壁138を有することができ、その導管壁138は、参照導管近位端140から参照導管遠位端142にかけて先細にすることができる。一実施形態では、参照導管110は、円錐形または円錐台形(frustoconic)として実質的に成形された参照導管空洞112を有する、円錐形または円錐台形として実質的に成形することができる。別の実施形態では、参照導管110は、多角形に成形された基底部(base)を有する細長いピラミッドとして実質的に成形することができる。例えば、参照導管110は、細長い三角形ピラミッド、四角形ピラミッドまたは五角形ピラミッドとして実質的に成形することができる。追加の実施形態では、参照導管110は、実質的に円筒形の参照導管空洞112を有する円筒として実質的に成形することができる。これらの実施形態では、参照導管110は先細の参照導管遠位端142を有することも可能である。
【0207】
参照導管110は、サンプルチャンバ106がサンプル102で満たされると参照導管110の少なくとも一部分がサンプル102中に浸されるように、サンプルチャンバ106中に延在することができる。例えば、参照導管遠位端142は、サンプルチャンバ106内のサンプル102に浸され得る。
【0208】
参照センサ部材108は、参照導管遠位端142に連結されたイオン交換膜150を備えることができる。イオン交換膜150は、サンプル120内の微生物が参照導管空洞112に入らないように、参照導管第二開口部116を塞ぐように構成することができる。しかしながら、イオン交換膜150は、荷電平衡を維持するためにイオンがイオン交換膜150を横断できるようにすることができる。
【0209】
幾つかの実施形態では、イオン交換膜150は、ペルフルオロスルホン化イオノマー膜であることができる。より具体的な例として、イオン交換膜150は、E.I. duPont de Nemours and Companyにより提供されるナフィオン(Nafion;登録商標)膜であることができる。また、例えば、イオン交換膜150は、旭化成株式会社により提供されるアシプレックス(Aciplex;登録商標)膜またはAGC Chemicals Americas, Inc.により提供されるフレミオン(Flemion;登録商標)膜も可能である。
【0210】
幾つかの実施形態では、イオン交換膜150は約25μm~約180μmの厚さを有することができる。より具体的には、イオン交換膜150は、約25μm~約100μmの厚さを有することができる。イオン交換膜150は、約100μm~約180μmの厚さを有することもできる。
【0211】
別の実施形態では、イオン交換膜150は、約180μm~約200μmの厚さを有することができる。例えば、イオン交換膜150は、約183μmの厚さを有することができる。
【0212】
参照導管空洞112は、参照緩衝液152で少なくとも部分的に満たすことができる。参照緩衝液152は、水性レドックス緩衝液であり得る。
【0213】
一実施形態では、参照緩衝液152は、脱イオン水、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、リン酸二水素、リン酸水素二ナトリウム、またはその組み合わせを含むことができる。例えば、参照緩衝液152は、約95%~約99%(v/v%)の脱イオン水、約0.1%~0.9%(w/v%)のヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、約0.1%~0.9%(w/v%)未満のヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、約0.5%(w/v%)未満のリン酸二水素カリウム、および約0.5%(w/v%)未満のリン酸水素二ナトリウムを含むことができる。より具体的な例として、参照緩衝液は、Mettler-Toredo AG社により提供される220 mV/pH 7レドックス緩衝液(製品コード51350060)であることができる。
【0214】
別の実施形態では、参照緩衝液152は、3 M KClを含む水性レドックス緩衝液であることができる。より具体的な例として、参照緩衝液は、Mettler-Toledo AGにより提供される3M KClレドックス緩衝液(物品番号63056165)であることができる。
【0215】
一実施形態では、参照導管空洞112は、約100μLの参照緩衝液152で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約500μLの参照緩衝液152で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約100μL~約500μLの参照緩衝液152で満たすことができる。更なる実施形態では、参照導管空洞112は、約500μL~約1mLの参照緩衝液152で満たすことができる。参照緩衝液152の量は、参照導管空洞112の容積、参照導管110のサイズ、サンプル容器104のサイズ、またはその組み合わせに依存しうる。
【0216】
参照センサ部材108は、参照緩衝液152で満たされた参照導管空洞112中に延在する参照電極120も備えることができる。参照電極120は、参照緩衝液152で満たされた参照導管空洞112中に部分的に延出することができる。
【0217】
より具体的な例として、参照電極120は、参照電極チップ144を備えることができる。参照電極チップ144は、参照電極120が参照緩衝液152で満たされた参照導管空洞112中に部分的に延在している場合、イオン交換膜150の近位に配置することができる。より具体的には、参照緩衝液152の容量は、参照電極チップ144をイオン交換膜150から分離することができる。参照導管空洞112内の参照電極120の位置は、次のセクションでより詳細に説明することにする。
【0218】
参照電極120は、一部を1つ以上の金属で作ることができる。一実施形態では、参照電極120は、一部を白金(Pt)、ステンレス鋼、またはその組み合わせで作ることができる。別の実施形態では、参照電極120は、一部を別のタイプの導電材料で一部を作ることができる。例えば、参照電極120は、参照電極120のセグメント(例えば参照電極チップ144およびその参照電極チップ144に近接した参照電極120のセグメント)が参照緩衝液152中に浸されるように、参照緩衝液152中に挿入された金属製のピン、ワイヤ、またはロッドであることができる。
【0219】
サンプル102は、イオン交換膜150が塩橋の接触面(インターフェイス)として働くようにイオン交換膜150と流体接触させることができる。イオンは、イオン交換膜150の一方の側から他方の側へと拡散して荷電平衡を維持することができる。
【0220】
センサ装置105は、サンプル102を受け入れるように構成されたサンプルチャンバ106中に延在している活性電極ハウジング124を含む能動型センサ部材122も備えることができる。能動型センサ部材122は、活性電極ハウジング124により少なくとも部分的に収容されたまたは取り囲まれた活性電極148も備えることができる。
【0221】
活性電極ハウジング124は、不活性または非導電体材料から製造することができる。活性電極ハウジング124は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、セラミック、二酸化ケイ素(SiO2)、もしくは種々のタイプのガラス、またはその組み合わせといった高分子材料を含むことができる。
【0222】
活性電極148は、サンプル接触面128を有することができる。活性電極148は、活性部材遠位端130に配置することができる。活性電極ハウジング124は、サンプル接触面128がサンプル102と流体連絡するように、サンプル接触面128を露出するように構成することができる。
【0223】
幾つかの実施形態では、活性電極148は一部を1つ以上の金属、1つ以上の金属酸化物、またはその組み合わせで作ることができる。例えば、活性電極148は、一部を白金(Pt)、金(Au)、レドックス感受性金属酸化物、またはその組み合わせで作ることができる。幾つかの実施形態では、レドックス感受性金属酸化物は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ハフニウム(HfO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)またはその組み合わせを含むことができる。
【0224】
活性電極148および参照電極120は、導電接続134または導電線により電圧計136に電気的に結合することができる。導電接続134は、一部を導電材料で作ることができる。一実施形態では、導電接続134は、一部を導電材料で作ることができる。一実施形態では、導電接続134は銅線であることができる。例えば、導電接続134は、電着銅、圧延なまし銅、高延性電着銅、またはその組み合わせであることができる。別の実施形態では、導電接続134は、一部を銀またはニッケルで作ることができる。
【0225】
幾つかの実施形態では、電圧計136は高インピーダンス電圧計でありうる。サンプル102のORPは、活性電極148と参照電極120の間の電位差に基づいて測定することができる。
【0226】
センサ装置105は、通気導管(電線管)146を備えることもできる。通気導管146のセグメントは、その通気導管146内の管腔または空洞がサンプルチャンバ106と流体連絡するようにサンプルチャンバ106中に延在することができる。通気導管146は、サンプル容器104内に受容されたサンプル102に通気するように構成することができる。サンプル102への通気は、微生物への酸素供給量を増加させることによりサンプル102内の微生物の増殖速度を増加させることができる。更に、通気は、バイオフィルム形成を抑制するために、サンプルチャンバ104の内壁からの微生物の脱着を可能にすることができる。
【0227】
図2は、センサ装置200の一実施形態の上面斜視図を示す。センサ装置200は、
図1Aのセンサ装置100、
図1Bのセンサ装置101、
図1Cのセンサ装置103、および
図1Dのセンサ装置105をはじめとする、前に記載したセンサのいずれかであることができまたはそれを参照することができる。
【0228】
図2に示すように、サンプル容器104は、容器本体204に連結された容器キャップ202を備えることができる。一実施形態では、容器本体204は、実質的に円筒形の容器または管であることができる。別の実施形態では、容器本体204は、実質的に立方体状、ピラミッド状、または円錐形の容器もしくは管であり得る。容器キャップ202は、容器本体204に連結または取り付けるように構成された形状を有することができる。
【0229】
一実施形態では、容器キャップ202は、ねじ式のねじ込み継手によってサンプル容器104に連結することができる。容器キャップ202は、留め具、ラッチ、締まりばめ、またはその組み合わせによってサンプル容器104に連結することができる。ユーザー(例えば臨床医または研究技術者)がサンプル102をサンプル容器104のサンプルチャンバ106中に分配できるように、容器キャップ202を容器本体203から取り外すまたは脱着することができる。
【0230】
一実施形態では、容器キャップ202は、その容器キャップ202の表面に沿って規定される参照口(ポート)206を有することができる。参照口206は、容器キャップ202の表面上に規定される開口部またはチャネルであることができる。
【0231】
幾つかの実施形態では、容器本体204から容器キャップ202を分離すると参照導管110もサンプルチャンバ106から取り外されるように、参照導管110を容器キャップ202と統合することができる。これらのおよび他の実施形態では、参照口206が、参照導管空洞112へのアクセスを提供する開口部またはチャネルであることができる。例えば、参照電極120は、参照口206および参照導管第一開口部114を通して参照導管空洞112の中に挿入または他の形で延出することができる。
【0232】
別の実施形態では、参照導管110を含む参照センサ部材全体108は、その参照センサ部材全体108がサンプル容器104から脱着可能であるように、サンプル容器104に取り外し可能に連結することができる。例えば、参照導管110は、容器キャップ202に取り外し可能に連結することができる。これらのおよび他の実施形態では、参照口206は、サンプルチャンバ106へのアクセスを提供することができる。参照導管110(参照緩衝ゲル118または参照緩衝液152のいずれかを含む)は、参照口206から挿入または他の形で延出することができる。
【0233】
図2は、容器キャップ202が、その容器キャップ202の表面に沿って規定される通気口208も有することができることを示す。通気口208は、通気導管146へのアクセスを提供することができる(
図1A、
図1B、
図1C、または
図1Dのいずれかを参照のこと)。例えば、サンプル容器104内のサンプル102に空気を送るために、通気管または通気ホースを通気口208から通気導管146中に挿入することができる。
【0234】
容器キャップ202は、容器キャップ202の表面に沿って規定される排気口210も有することができる。排気口210は、サンプル容器104内の微生物により生産される過剰の空気またはガス状副産物をサンプルチャンバ106から排出させることが可能である。
【0235】
サンプル容器104は、容器本体204の側面に沿って規定される側面口212も含むことができる。側面口212は、サンプルチャンバ106へのアクセスを提供する開口部またはチャネルでありうる。能動型センサ部材122の少なくとも一部は、サンプル容器104に連結されると側面口212から延出することができる。幾つかの実施形態では、能動型センサ部材122は、能動型センサ部材122の新しいインスタンスが能動型センサ部材122の旧型または使用済みインスタンスを置き換えることができるように、サンプル容器104に脱着可能に連結することもできる。
【0236】
図3Aは、参照センサ部材108の一実施形態の側方断面図を示す。
図3Aに示される参照センサ部材108は、
図1Aのセンサ装置100または
図1Bのセンサ装置101の部品として使用することができる。
【0237】
参照導管110は、参照導管近位端140から参照導管遠位端142へと先細にされた導管壁138を有することができる。更に、参照導管近位端140は、参照導管遠位端142により規定される第二開口面積よりも大きい第一開口面積を規定しうる。例えば、第一開口面積は約19 mm2~約80 mm2であり、第二開口面積は約0.79 mm2~約3.14 mm2であることができる。
【0238】
図3Aに示される例示の実施形態では、参照導管110は、細長い逆円錐体形として実質的に成形することができる。この実施形態では、参照導管第一開口部113と参照導管第二開口部116の両方とも、実質的に円形であり、そしてそれぞれ第一開口部直径300と第二開口部直径302により規定され得る。幾つかの場合、第一開口部直径300は、約5.00 mm~約10.0 mmであることができる。第二開口部直径302は、約1.00 mm~約5.00 mmであることができる。
【0239】
図3Aはまた、参照緩衝ゲル118を約5.00 mm~約20.0 mmのゲル高さ304にまで満たすことができることも示す。ゲル高さ304は、参照導管空洞112の容積に依存して異なることができる。前に記載した通り、参照導管空洞112は、約100μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約500μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。他の実施形態では、参照導管空洞112は約100μL~約500μLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。更なる実施形態では、参照導管空洞112は、約500μL~約1mLの参照緩衝ゲル118で満たすことができる。参照緩衝ゲル118の量は、予め決められた基準時間を達成するように最適化することができる。例えば、幾つかの場合、参照緩衝ゲル118の量は、3.0時間~6.0時間の間の基準時間を達成するように最適化することができる。
【0240】
参照電極120は、参照導管第二開口部116から分離距離306だけ分離することもできる。一実施形態では、分離距離は約1.0 mmであることができる。別の実施形態では、分離距離306は約5.0 mmであることができる。別の実施形態では、分離距離306は約1.0 mm~約5.0 mmであることができる。
【0241】
図3Bは、参照センサ部材108の別の実施形態の側方断面図を示す。
図3Bに示される参照センサ部材108は、
図1Cのセンサ装置103または
図1Dのセンサ装置105の部品として使用することができる。
【0242】
参照導管110は、参照導管近位端140から参照導管遠位端142まで先細にされた導管壁138を含むことができる。更に、参照導管近位端140は、参照導管遠位端142により規定された第二開口面積より大きい第一開口面積を規定することができる。例えば、第一開口面積は約19 mm2~約80 mm2であることができ、第二開口面積は約0.79 mm2~約3.14 mm2であることができる。
【0243】
図3Bの例示の実施形態では、参照導管110は、細長い逆円錐台形(upside-down frustoconic)として実質的に成形することができる。この実施形態では、参照導管第一開口部114と参照導管第二開口部116の両方とも、実質的に円形であり、そしてそれぞれ第一開口部直径300と第二開口部直径302により規定され得る。幾つかの場合、第一開口部直径300は、約5.00 mm~約10.0 mmであることができる。第二開口部直径302は、約1.00 mm~約5.00 mmであることができる。
【0244】
図3Bはまた、参照緩衝液152が約5.00 mm~約20.0 mmの溶液高さ308にまで満たすことができることも示す。溶液高さ308は、参照導管空洞112の容積に依存して異なることができる。前に記載した通り、参照導管空洞112は、約500μLの参照緩衝液152で満たすことができる。別の実施形態では、参照導管空洞112は、約100μL~約500μLの参照緩衝液152で満たすことができる。更なる実施形態では、参照導管空洞112は、約500μL~約1mLの参照緩衝液152で満たすことができる。参照緩衝液152の量は、予め決められた基準時間を達成するように最適化することができる。例えば、幾つかの場合、参照緩衝液152の量は、3.0時間~6.0時間の間の基準時間を達成するように最適化することができる。
【0245】
参照電極120は、イオン交換膜150から分離距離306だけ分離することもできる。一実施形態では、分離距離は約1.0 mmであることができる。別の実施形態では、分離距離306は約5.0 mmであることができる。別の実施形態では、分離距離306は約1.0 mm~約5.0 mmであることができる。
【0246】
イオン交換膜150は、約25μm~約180μmの膜厚さ310を有することができる。より具体的には、イオン交換膜150は、約25μm~約100μmの膜厚さ310を有することができる。イオン交換膜150は、約100μm~約180μmの膜厚さ310を有することもできる。
【0247】
図4は、高インピーダンス電圧計(例えば電圧計136)に電気的に結合した活性電極(例えば活性電極126または活性電極148)および参照電極(例えば参照電極120)の概略図を示す。前に記載した通り、参照センサ部材108は、参照緩衝ゲル118またはイオン交換膜150のいずれかがサンプル容器104内のサンプル102と流体接触(または液固間接触)しているように構成することができる。加えて、活性電極(例えば活性電極126または活性電極148)もサンプル容器104内のサンプル102と流体接触することができる。
【0248】
参照電極は、参照緩衝ゲル118または参照緩衝液152のいずれかの中に浸漬または挿入され、そして高インピーダンス電圧計(例えば電圧計136)に電気的に結合することができる。活性電極は、導電接続134を介してその高インピーダンス電圧計に電気的に結合することもできる、参照電極は、活性電極に比較して安定な半電池電位としては垂らすことができ、そして活性電極と参照電極との間の電位差を用いて、サンプル102のpHまたはORPを求めることができる。
【0249】
図5Aは、高電位ORP溶液の添加後に、参照緩衝ゲル中で従来型KCl参照溶液とステンレス鋼参照電極とを使って行ったORP測定を示すグラフである。センサ装置101(
図1B参照)の有効性を試験するために、既知の高電位ORP溶液(例えばVirkon
TM(商標)粉末を含む水性混合物)をORP緩衝液(例えば220 mV/ pH 7 ORP緩衝液)に添加した。生じた電位差の変化は、従来型KCl参照溶液を用いる従来型ORPプローブ(例えばMettler-Toledo AG社により提供されるMettler Toledo
TM(商標)ORPプローブ)と、参照緩衝ゲル118中に浸漬されたステンレス鋼参照電極120を備えるセンサ装置101の両方を用いて測定した。従来型ORPプローブとセンサ装置101は、同じ白金(Pt)活性電極を使用した。
図5Aに示される通り、両センサの設定は、既知の高電位ORP溶液の添加に応答して同様に振るまった。参照緩衝ゲル118を含む参照センサ部材108は、従来型ORPプローブ中の従来型KCl参照と同様な安定な参照電位を維持した。
【0250】
図5Bは、pH 7溶液をpH 4溶液と交換した後に、従来型KCl参照溶液と参照緩衝ゲル中の白金参照電極とを使って行ったpH測定を示すグラフである。センサ装置100(
図1A参照)の有効性を評価するために、pH 7溶液をpH 4溶液と交換することにより、pH変化を誘導した。生じた電位差の変化を、従来型KCl参照溶液を用いる従来型pHプローブ(例えばMettler-Toledo AG社により提供されるMettler Toledo
TM(商標)pHプローブ)と、参照緩衝ゲル118中に浸漬された白金参照電極120を備えるセンサ装置100の両方を用いて測定した。従来型pHプローブとセンサ装置100は、同じ二酸化イリジウム(IrO
2)活性電極を使用した。
図5Bに示される通り、両センサの設定は、pHのステップ変化に応答して同様に機能した。参照緩衝ゲル118を含む参照センサ部材108は、KCl参照溶液を有する従来型pHプローブと同様な感度とステップ高を示した。
参照電位を維持した。
【0251】
図6は、1%寒天ゲル緩衝液、5%寒天ゲル緩衝液および従来型KCl参照溶液中の参照電極を使った、大腸菌(E. coli)細菌増殖のORP測定を示すグラフである。
図6に示す通り、大腸菌を含む溶液のORPを、従来型KCl参照溶液と更にセンサ装置101の2つのインスタンスとを有する従来型ORPプローブを使ってモニタリングした。第一インスタンスでは、参照緩衝ゲル118は、1%(w/v%)の寒天粉末を含んだ。第二インスタンスでは、参照緩衝ゲル118は5%(w/v%)の寒天粉末を含んだ。3つのセンサ設定全てに同じ白金(Pt)活性電極を使用した。
図6に示すように、3つのセンサ設定全てが同様に機能し、かつ同様な増殖曲線を描いた。信号タイミングの差はいずれも、3つの白金(Pt)活性電極の変動性の範囲内であった。
【0252】
図7Aは、従来型ORP緩衝液を高電位ORP溶液(例えばVirkon
TM溶液)で置き換え、次いで従来型ORP緩衝液にもう一度切り替えた時に行った、一定のORP測定を示すグラフである。破線は、従来型KCl参照溶液を有する従来型ORPプローブを使って測定されたORPシグナルを示す。予想通り、ORPプローブにより測定されたORPシグナルは、従来型ORP緩衝液を高電位ORP溶液と交換した時に急上昇し、そして高電位ORP溶液を従来型ORP緩衝液にもう一度切り替えた時に再び急降下した。
【0253】
実線は、従来型KCl参照溶液を含む従来型参照センサ部材と、イオン交換膜150(例えばNafion
TM(商標)膜)を含む参照センサ部材との間の電位差の測定を示す。
図7Aに示すように、従来型参照センサ部材とイオン交換膜150を含む参照センサ部材との間の電位差は、ORP参照溶液を高電位ORP溶液に交換した時であっても未変化のままであった。
【0254】
図7Bは、従来型ORPプローブを使った大腸菌(E. coli)細菌増殖のORP測定と、イオン交換膜を有する参照センサ部材とKCl参照溶液を有する従来型参照センサ部材との間の電位差を示すグラフである。
図7Bに示す通り、大腸菌を含む溶液のORPは、従来型KCl参照溶液を有する従来型ORPプローブを使ってモニタリングした。
図7B中の破線は、そのような測定の結果を示す。
図7B中の実線は、従来型KCl参照溶液とイオン交換膜150を含む参照センサ部材との間の電位差を示す。
図7Bに示すように、電位差は大腸菌増殖期間の間、未変化のまま保持された(15時間までも)。
【0255】
図8は、サンプル102の溶液特性(例えばpHまたはORP)を測定するためのセンサ装置800の別の実施形態を示す。センサ装置800は、サンプルチャンバ908(例えば
図9A)がその中に規定されるサンプル容器802を備える。サンプルチャンバ908は、サンプル102を受け入れるように構成することができる。センサ装置800は、参照センサ部材804も備えることができる。幾つかの実施形態では、参照センサ部材804は、サンプル容器802の開放端を覆うように構成された容器キャップ806の一部として製造することができる。
【0256】
幾つかの実施形態では、サンプル容器802は、キュベットであることができる。別の実施形態では、サンプル容器802は、診断用管、試験管の一部、ガラス容器、または別のタイプの実験用容器もしくは管であることができる。
【0257】
本開示により考慮される幾つかの実施形態では、サンプル容器802は、ウェルプレートのサンプルウェルを指すことができる。ウェルプレートは、従来のウェルプレートまたはマイクロタイタープレートよりも深いウェルを有する汎用ウェルプレートであることができる。
【0258】
参照センサ部材804は、参照導管空洞902、参照導管第一開口部904および参照導管の第二開口部906を含む、参照導管900を備えることができる(例えば、
図9Aおよび9B参照)。参照導管900は、サンプル容器802のサンプルチャンバ908中に延在するように構成された細長いチャネルまたは通路であることができる。
【0259】
センサ装置800は、参照導管空洞902内に配置されそして参照導管空洞902の長さに沿って延在しているウイッキング部材910も含むことができる(例えば
図9Aと9B参照)。ウイッキング部材910と参照導管空洞902については、次のセクションでより詳細に論じることにする。
【0260】
センサ装置800は、ウイッキング部材910の近位端に配置された参照電極材料808を更に含むことができる。参照センサ部材804が容器キャップ806として製造される場合、参照電極材料808は、その参照電極材料808が容器キャップ806のキャップ先端810からアクセス可能であり且つ目に見えるように、容器キャップ806のキャップ先端810から突出または延出することができる。例えば、開口部は、容器キャップ806のキャップ先端810に沿って規定され、そして参照電極材料808は容器キャップ806のキャップ先端810に沿って規定された開口部から突出または延出することができる。図面に示していないが本開示により企図される別の実施形態において、参照電極材料808は、容器キャップ806の側面812または角から突出することができる。
【0261】
参照センサ部材804が容器キャップ806として製造される場合、容器キャップ806はサンプル容器802に取り外し可能に取り付けるまたは連結することができる。例えば、容器キャップ806は、ねじ込み継手944を介してサンプル容器802に取り外し可能に取り付けるまたは連結することができる(
図9Aと9Bを参照のこと)。別の実施形態では、容器キャップ806は、締まりばめ、圧入(例えば先細の圧入、膨張圧入など)、スナップ止め、ラッチ、またはその組み合わせによって、サンプル容器802に取り外し可能に取り付けまたは連結することができる。
【0262】
これらのまたは別の実施形態では、容器キャップ806は、サンプル容器802の一部分(例えば近位部分)にぴったり入るまたはそれを覆うことができる。これらの実施形態では、容器キャップ806の側面812は、サンプル容器802の容器壁814を超えて放射状に延びることができる。サンプル容器802は実質的に円筒形であり、容器キャップ806の形状がサンプル容器802の形状と適応し、容器キャップ806の外周(または円形フットプリント)がサンプル容器802の外周(または円形フットプリント)よりも大きくてよい。
【0263】
センサ装置800は、能動型センサ部材816も備えることができる。能動型センサ部材816はサンプル容器802の容器壁814に沿ってセットするかまたは他の方法で配置することができる。能動型センサ部品816は、次のセクションでより詳細に論じることにする。参照センサ部材804と能動型センサ部材816は、導電性接続によりパラメータ分析器916に電気的に結合することができる(例えば
図9A)。サンプル102の溶液特性は、能動型センサ部材816の活性電極材料918(例えば
図9A)と参照電極材料808の間で測定された電位差に基づいて測定することができる。
【0264】
幾つかの実施形態では、センサ装置800を使って測定またはモニタリングされる溶液特性は、サンプル102のpHであることができ、そして能動型センサ部材816の少なくとも一部分はpH感受性材料の部分で作ることができる。pH感受性材料は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、および二酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含むことができる。
【0265】
それらのおよび他の実施形態では、センサ装置800を使って測定またはモニタリングされる溶液特性は、サンプル102の酸化還元電極(ORP)であることができ、そして能動型センサ部材816の少なくとも一部はレドックス感受性材料の部分で作ることができる。レドックス感受性材料は、白金、金、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、五酸化タンタル、二酸化ハフニウム、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、および二酸化ジルコニウムを含むことができる。
【0266】
上述したように、サンプル102は感受性病原体または微生物(例えば細菌、真菌など)を含むことができる。センサ装置800は、微生物の定量法、サンプル調製法または抗生物質感受性試験(AST)法の一部として微生物または感受性病原体の増殖またはその欠如についてサンプル102を分析するために使用することができる。
【0267】
上述したように、サンプル102は、患者または対象から得られたサンプル、生物学的サンプル、環境サンプルおよび食品サンプルの少なくとも1つより誘導された細菌培養物を含むか、またはそれを指すことができる。例えば、サンプル102は、患者または対象から得られた体液もしくは標本(スワブ)から誘導された細菌培養物または再懸濁済みの細菌培養物を含むかまたはそれを指すことができる。より具体的な例として、サンプル102は、微生物増殖が陽性であると検定された細菌培養物または再懸濁済の細菌培養物を含むことができる。
【0268】
より具体的には、サンプル102は、微生物増殖が陽性であると検定された患者または対象から得られた血液から誘導された細菌培養物を含むことができる。幾つかの実施形態では、サンプル102は、陽性血液培養物であるかそれを指すことができる。本開示の目的上、陽性血液培養物は、細菌増殖が陽性であると検定された患者または対象から採取された血液より誘導された細菌培養物であることができる。
【0269】
幾つかの実施形態では、水性増殖培地は、サンプル容器802に導入する前に、サンプル102を希釈するためにサンプル102に添加することができる。別の実施形態では、水性増殖培地はサンプル102をサンプル容器802中に注入、送達または他の方法で導入した後で、サンプル102に添加することができる。
【0270】
一実施形態では、水性増殖培地は、グルコースが補足されたミュラー・ヒントン・ブロス(Muller Hinton Broth)(MHG)であり得る。別の実施形態では、水性増殖培地はバクトトリプトン、トリプシン大豆消化物、酵母エキス、牛肉エキス、カチオン調整ミュラー・ヒントン・ブロス(CAMHB)、デンプン、カゼインの酸加水分解物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、血液もしくは馬溶血血液(LHB)を含む溶血血液、CAMHB-LHB、グルコースもしくは他の炭水化物、またはその組み合わせであることができる。
【0271】
センサ装置800を使ってアッセイすることができる微生物または感染性病原体は、上述した細菌および真菌の種または属のいずれかを含む任意の代謝性単細胞または多細胞生物であることができる。
【0272】
サンプル容器802、容器キャップ806、またはその組み合わせは、一部を非導電体材料で作るまたはそれから二次加工(fabricate)することができる。サンプル容器802、容器キャップ806またはその組み合わせは、非浸出または滅菌可能材料で作ることができまたはそれから二次加工することができる。サンプル容器802、容器キャップ806、またはその組み合わせは、一部を高分子材料(例えば、熱可塑性、光硬化ポリマー、またはその組み合わせ)、セラミック材料もしくはガラス、またはその組み合わせで作ることができ、またはそれから二次加工することができる。例えば、サンプル容器802、容器キャップ806またはその組み合わせは、一部をポリカーボネート、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、またはその組み合わせで作ることができ、またはそれから二次加工することができる。より具体的な例としては、サンプル容器802、容器キャップ806、またはその組み合わせは、成形されたポリカーボネートまたはSomos(登録商標) WaterShed XCなどの硬化低粘度液体フォトポリマーで一部を作ることができる。
【0273】
図9Aは、センサ装置800の側方断面図を示す。
図9Aに示されるように、センサ装置800は、容器キャップ806として製作された参照センサ部材804とサンプル容器802とを備えることができる。容器キャップ806は、サンプル容器802に取り外し可能にまたは脱着可能に連結または固定することができる。
【0274】
参照センサ部材804は、参照導管空洞902と、参照導管第一開口部904と、参照導管の第二開口部906とを有する参照導管900を備えることができる。参照導管900は、サンプル容器802のサンプルチャンバ908中に延在するように構成された細長いチャネルまたは通路であることができる。
【0275】
センサ装置800は、参照導管空洞902内に配置されたまたは参照導管空洞902の長さに沿って延在しているウイッキング部材910も備えることができる。幾つかの実施形態では、ウイッキング部材910は参照導管空洞902内の全ての空間を満たすまたは占有することができる。別の実施形態では、ウイッキング部材910は、参照導管空洞902内の空間を部分的に満たすまたは部分的に占有することができる。
【0276】
ウイッキング部材910は、ウイック遠位端912とウイック近位端914を有することができる。ウイッキング部材910の少なくとも一部は、参照センサ部材804(例えば容器キャップ806)がサンプル容器802に取り付けられ、固定されまたは連結されると、サンプルチャンバ908中のサンプルの少なくとも相当量が、ウイック近位端914の方向にウイック遠位端912の少なくとも一部分により引き上げられ、吸収され、または他の方法でウイッキングされるように、サンプルチャンバ908と流体連絡することができる。
【0277】
幾つかの実施形態では、ウイック遠位端912の少なくとも一部は、ウイック遠位端912がサンプルチャンバ908中に突出または延出するように、参照導管の第二開口部906を貫通して延びることができる。これらの実施形態では、サンプルチャンバ908がサンプル102により満たされると、ウイック遠位端912が液体サンプル102中に延出または突出する。
【0278】
別の実施形態では、ウイック遠位端912全体が、そのウイック遠位端912がサンプルチャンバ908中に突出または延出しないように、参照導管第二開口部906の近位にまたはその上方に配置される。これらの実施形態では、ウイック遠位端912は、まだサンプルチャンバ908と流体連絡(fluid communication)しており、液体サンプル102は、毛管作用によってまたはサンプル容器802を摂動/振盪することによって参照導管900中に引き上げられることにより、ウイック遠位端912に到達するまたは接触することができる。
【0279】
図9Aは、参照導管900が、参照導管空洞902の容積が参照導管第一開口部904から参照導管第二開口部906まで徐々に細くなるまたは狭くなるように先細にすることができる。ウイッキング部材910の形状は、参照導管空洞902の形状と合致するまたは適合することができる。ウイッキング部材910は、ウイッキング部材910の形状がウイック近位端914からウイック遠位端912まで徐々に細くなるまたは狭くなるように構成することができる。
【0280】
ウイッキング部材910は、一部を多孔質材料で作ることができる。ウイッキング部材910は、一部を約15μm~約150μm(例えば約50μm)にサイジングされた細孔を含む材料で作ることができる。
【0281】
幾つかの実施形態では、ウイッキング部材910は、一部を高分子材料から作ることができる。より具体的な例として、ウイッキング部材910は、一部を15μm~約150μmにサイジングされた細孔を含む多孔質高分子材料で作ることができる。一実施形態では、ウイッキング部材910は、一部を高密度ポリエチレン(HDPE)で作ることができる。例えば、ウイッキング部材910は、一部を約50μmにサイジングされた細孔を有するHDPEで作ることができる。
【0282】
別の実施形態では、ウイッキング部材910は、一部を天然繊維で作ることができる。例えば、ウイッキング部材910は、一部をセルロース繊維、パルプ、紙、綿、またはその組み合わせで作ることができる。
【0283】
ウイッキング構成部材910は、ウイッキング部材910の少なくとも表面が界面活性剤により覆われるように界面活性剤で処理することができる。幾つかの実施形態では、ウイッキング部材910は、参照導管902中に導入する前に界面活性剤で処理するかまたは界面活性剤を含む溶液中に浸漬することにより飽和することができる。界面活性剤は、ウイッキング部材910の親水性を増加させるように(すなわち、ウイッキング部材910の実質的に疎水性の表面をより親水性にするように)構成することができる。幾つかの実施形態では、界面活性剤は、フッ素系界面活性剤であり得る。別の実施形態では、界面活性剤は、1つ以上のポロキサマー(Poloxamer)などの非イオン性界面活性剤であることができる。より具体的な例として、界面活性剤はPluronic(登録商標)F-68を含むことができる。
【0284】
参照センサ部材804は、ウイック近位端914に配置された参照電極材料808も備えることができる。参照電極材料808は、ウイック近位端914上に供給または分配された導電性材料であることができる。
【0285】
幾つかの実施形態では、参照電極材料808は、ウイック近位端914上に供給または分配された導電性インクであり得る。ウイック近位端914上に供給または分配された導電性インクは、硬化により固めることができる。より具体的には、導電性インクは、銀-塩化銀(Ag-AgCl)インクであり得る。
【0286】
参照電極材料808の少なくとも一部は、ウイッキング部材910と物理的接触することができる。幾つかの実施形態では、参照電極材料808の少なくとも一部は、容器キャップ806を超えて突出または延出することができる。参照電極材料808は、ウイック近位端914に配置された硬化された硬化物であることができる。幾つかの実施形態では、参照電極材料808は、容器キャップ806の中央に配置させることができる。
【0287】
本明細書に開示のウイッキング部材910の1つの利点は、該ウイッキング部材910が液体サンプル102を引き上げることができ、かつサンプル102が参照電極材料808の方にウイッキング部材910の細孔から毛管作用により前進できることである。例えば、液体サンプル102はウイック近位端914の方にウイッキングされ(毛管作用で運ばれ)、そこで該サンプルが参照電極材料808と流体接触状態になる。
【0288】
参照電極材料808が銀-塩化銀(Ag-AgCl)のような材料で作られている場合、ウイッキング部材910は、さもなければサンプル102中に自由に拡散するであろう銀イオン(Ag+)に対する障壁または障害物として機能することもできる。そのような銀イオンは、サンプル102中の微生物または感染性病原体の増殖にとって有害であるかまたは他の方法で影響を及ぼし得る。ウイッキング部材910は、サンプル102中へのそのようなイオンの拡散を遅らせるまたは失速させることにより、有害な銀イオンに対する障壁または障害物として機能しうる。本明細書中に開示の寸法と形状を有するウイッキング部材910は、そのような有害イオンの拡散を減速するまたは失速させるのに有効であり得る。
【0289】
参照センサ部材804は、導電性接続134によりパラメータ分析器916へ電気的に結合することができる。パラメータ分析器916は、電圧計またはマルチメータであることができる。例えば、パラメータ分析器916は、前述した電圧計136のような高インピーダンス電圧計であることができる。
【0290】
センサ装置800は、サンプル容器802の容器壁814に沿って取り付けられたまたは他の方法で配置された能動型センサ部材816も備えることができる。図面に示してない別の実施形態では、能動型センサ部材816は、サンプル容器802の底に沿って取り付けることができまたは他の方法で配置することができる。
【0291】
能動型センサ部材816は、活性電極材料918、活性電極ハウジング920、および導電性接触層922を備え得る。活性電極材料918の少なくとも一部分は、サンプルチャンバ908と流体連絡することができる。例えば、活性電極材料918の少なくとも一部が、サンプルチャンバ908中に延出または突出することができる。活性電極材料918は、サンプルチャンバ908がサンプル102で少なくとも部分的に満たされると、活性電極材料918の少なくとも層または表面がサンプル102と流体接触するように配置させることができる。
【0292】
活性電極ハウジング920は、活性電極材料918、導電性接触層922またはその組み合わせを部分的に取り囲むまたは収容することができる。活性電極ハウジング920は、容器壁814と同じ材料で作られ、そして容器壁814の成形特徴を成している。幾つかの実施形態では、活性電極ハウジング920は、サンプル容器802の容器壁814に沿って規定された導管またはチャネルであり得る。別の実施形態では、活性電極ハウジング920は、サンプル容器802の底に沿って規定される。活性電極ハウジング920は、活性電極ハウジング920の一方の端に活性電極材料918の少なくとも一部を露出させ、そして活性電極ハウジング920の他方の端に導電性接触層922の少なくとも一部を露出させることができる。特定の実施形態では、1つ以上の導電性接続134が、活性電極ハウジング920を通って導電性接触層922または活性電極材料918と物理的に接触することができる。
【0293】
導電性接触層922は、活性電極材料918に連結させることができ、そして活性電極材料に近接してもしくは外側に放射状に位置させるまたは他の方法で配置させることができる(例えばサンプル容器802の外側に向かって近くに)。導電性接触層922は一部をアルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)またはそれらの組み合わせで作ることができる。導電性接触層922は、パラメータ分析器916を介して導電性接続134により参照電極材料808に電気的に結合することができる。導電性接続134は一部を導電体材料で作ることができる。導電性接続134は、導線または導電線であり得る。一実施形態では、導電性接続134は、銅線または銅配線であり得る。例えば、導電性接続134は、電着銅、圧延なまし銅、高延性電着銅、またはそれらの組み合わせであり得る。他の実施形態では、導電性接続134は、一部を銀またはニッケルで作ることができる。導電性接続134は、サンプル容器802がサンプル102で少なくとも部分的に満たされると、参照センサ部材804および能動型センサ部材816と接触することができる。
【0294】
サンプル102の溶液特性は、活性電極材料918と参照電極材料808との間で測定される電位差に基づいて測定することができる。参照電極材料808は、参照電極として機能し、活性電極材料918と比較して安定な半電池電位を提供することができ、活性電極と参照電極との間の電位差を用いてサンプルのpHまたはORPを求めることができる。例えば、参照電極材料808 (例えば、Ag-AgClインク)は、活性電極材料918が参照電極材料808と電気的通信状態である場合、活性電極材料918に比較して実質的に安定な電極電位を示すように構成することができる。
【0295】
いくつかの実施形態では、測定またはモニタリングされる溶液特性は、サンプル102のpHであることができる。別の実施形態では、測定またはモニタリングされる溶液特性は、サンプル102の酸化還元電位(ORP)であり得る。
【0296】
測定またはモニタリングされる溶液特性がpHである場合、活性電極材料918は、pH感受性材料であり得る。pH感受性材料は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ハフニウム(HfO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)もしくはそれらの組み合わせのいずれかであるかまたはそれを含むことができる。
【0297】
測定またはモニタリングされる溶液特性がORPである場合、活性電極材料918は、レドックス感受性材料であり得る。レドックス感受性材料は、白金(Pt)、金(Au)、レドックス感受性金属酸化物、またはそれらの組み合わせのいずれかであるか、またはそれらを含むことができる。より具体的には、レドックス感受性材料は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ハフニウム(HfO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、二酸化ルテニウム(RuO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)もしくはそれらの組み合わせのいずれかであるか、またはそれを含むことができる。
【0298】
図9Aに示されるように、参照センサ部材804が容器キャップ806として実装される場合、その容器キャップ806は、キャップ幅924(または半径)と地キャップ高さ926とにより規定される寸法を有することができる。幾つかの実施形態では、キャップ幅924は約10.0 mm~約20.0 mmであり得る。例えば、キャップ幅924は約15.7 mmであり得る。幾つかの実施形態では、キャップ高さ926は約5.0 mm~約20.0 mmであり得る。例えば、キャップ高さ926は、約10.5 mmであり得る。容器キャップ806がサンプル容器802に固定、取り付け、または他の方法で結合されるとき、センサ装置800は、サンプル容器802の底部から容器キャップ806のキャップ上部810まで測定される装置高さ928を有することができる。
【0299】
いくつかの実施形態では、装置高さ928は、約20.0 mm~約50.0 mmであり得る。他の実施形態では、装置高さ928は、約25.0 mm~約35.0 mmであり得る。例えば、装置高さ928は、約31.3 mmであり得る。
【0300】
図9Aに示す通り、ウイッキング部材910は、ウイック近位端914からウイック遠位端912まで測定した場合のウイック高さ930を有することができる。幾つかの実施形態では、ウイック高さ930は、約10.0 mm~約20.0 mmの間であることができる。より具体的には、ウイック高さ930は、約14.0 mm~約15.0 mmであることができる。例えば、ウイック高さ930は、約14.8 mmであることができる。
【0301】
ウイック高さ930を有するウイッキング部材910の1つの利点は、そのようなウイッキング部材910が、参照電極材料808からサンプルチャンバ908中の微生物を豊富に含むサンプル102の方へと流れる或る種の有害なイオン(例えば銀イオン)への障壁または障害物として働きながら、十分な量のサンプルを参照電極材料808の方向に引き上げることを可能にする点である。
【0302】
図9Aは、参照電極材料808が、参照材料の高さ932(または厚さ)および参照材料の幅934(または直径)を有することも示す。参照電極材料が銀-塩化銀(Ag-AgCl)の硬化して硬くなった物(硬化物)である場合、参照電極材料の高さ932と参照材料の幅934は、それぞれ、銀-塩化銀の硬化物の高さと幅であることができる。
【0303】
幾つかの実施形態では、参照材料の高さ932は、約0.2 mm~1.0 mmであることができる。例えば、参照材料の高さ932は約0.4 mmであることができる。幾つかの実施形態では、参照材料の幅934は約2.0 mm~約5.0 mmであることができる。例えば、参照材料の幅934は約3.0 mmであることができる。本明細書に開示の参照電極材料808の1つの利点は、参照電極材料808が安定な参照電極として機能することができること、つまり10時間までの試験もしくは操作の間安定な参照電位を提供することができることである。
【0304】
図9Aに示す通り、参照電極材料808は、ウイッキング部材910と参照導管900により作られる窪み(divot)、陥没または凹型部分の中に少なくとも部分的に位置するまたは配置することができる。参照電極材料808が硬化したまたは硬くなった導電性のインクまたは溶液(例えばAg-AgClインク)である場合、窪み、陥没または凹型部分は硬化すべき液体インクまたは溶液のための受け入れ空間として働くことができる。
【0305】
図9Aはまた、センサ装置800がサンプル容器802の底面、サンプル容器802の容器壁814、またはその組み合わせに沿って規定された通気口936を備えることができることを示す。通気口936は、第一の通気性膜938により覆うことができる。通気口936と第一の通気性膜938は、ガス940がサンプルチャンバ908に入ることができるように構成することができる。幾つかの実施形態では、ガス940は、周囲空気(例えば研究室、臨床施設または検査施設内の空気)であることができる。別の実施形態では、ガス940は、加圧された酸素、二酸化炭素、窒素およびアルゴンの組み合わせを含むことができる。通気口936および第一の通気性膜938は、空気が通気口936を通ってサンプルチャンバ908に入り、サンプルチャンバ908内のサンプル102を曝気することができるようにする。サンプル102への通気は、サンプルチャンバ908内に酸素に富んだ環境を提供することにより、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)またはアシネトバクター・バウマニィ(Acinetobacter baumanii)のような好気性生物に有利であり得る。サンプル102への通気は、サンプル102内の微生物集団の増殖を加速することができる。
【0306】
通気口936は、サンプル容器802の底面、サンプル容器802の容器壁814、またはその組み合わせに沿って規定される開口部またはチャネルであり得る。例えば、通気口936は、容器底の中央または中心に規定され得る。
【0307】
さらなる実施形態では、通気口936は、容器キャップ806のキャップ頂点810に沿って規定することができ、そしてガス940をサンプル容器802の上部からサンプルチャンバ908中にポンプ注入することができる。
【0308】
ガス940(例えば周囲の空気)は、マイクロポンプまたは別のポンプ型の装置によってサンプルチャンバ908中にポンプ注入することができる。ガス940(例えば周囲の空気)は、通気口936および第一の通気性膜938を通ってサンプルチャンバ908中に約1.0~10.0 mL/分の一定の流速でポンプ注入または他の方法で供給することができる。別の実施形態では、ガス940(例えば周囲の空気)は、通気口936と第一の通気性膜938を通って特定のデューティー(負荷)サイクルでサンプルチャンバ908にポンプ注入または他の方法で指し向けることができる。
【0309】
図9Aはまた、第二の通気性膜942が容器キャップ806の底面の少なくとも一部を覆うことができることも示す。第二の通気性膜942は、サンプルチャンバ908内の任意の液体がサンプル容器802の外に漏出するのを防ぎながら、サンプルチャンバ908中に任意のガス940をポンプ注入または他の方法で導入してサンプルチャンバを出るようにすることができる。第二の通気性膜942は、サンプルチャンバ内に生成または発生した任意のガス状副産物がサンプルチャンバ908から出ることも可能にする。
【0310】
幾つかの実施形態では、第一の通気性膜938と第二の通気性膜942は、同じ材料から製造される。第一の通気性膜938と第二の通気性膜942は、疎水性通気性フィルムまたは薄いシートで作ることができる。例えば、第一の通気性膜938と第二の通気性膜942は共に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製であるかまたはそれを含み得る。
【0311】
図9Aに示される通り、容器キャップ806は、サンプル容器802の近位部分の上にねじ式継手944を介して取り外し可能にもしくは脱着可能に連結するまたは留めることができる。容器キャップ806(参照センサ部材804の一部として機能する)が、ねじ式継手944によってサンプル容器802に留められるまたは連結されると、空気が第一の通気性膜938を通って通気口936に入りサンプルチャンバ908中に入り、そして第二の通気性膜942を通ってサンプルチャンバ908を出て、空気ギャップ948が容器キャップ806とサンプル容器802の間に規定されるので、空気流路が構築され得る。
【0312】
図9Bは、センサ装置800の参照センサ部材804の一実施形態を示す。
図9Bに示す通り、参照センサ部材804は、容器キャップ806の底面950から延びている参照導管900を含む容器キャップ806として実装または製造することができる。参照導管900は、容器キャップ806の底面950から延びている細長いチャネルであることができる。参照導管900は中空であることができ、そして参照導管第一開口部904から参照導管第二開口部906まで延びる参照導管空洞902により規定することができる。
【0313】
参照導管空洞902は、参照導管900の全長を通して延在することができる。参照導管空洞902は、実質的に円柱、細長い円錐形、細長い円錐台形(fructoconic)、細長い直方体、またはそれらの組み合わせとして成形することができる。ウイッキング部材910の形状は参照導管空洞902の形状と適合し一致させることができる。
【0314】
容器キャップ806は一部を、透明もしくは清澄な材料または透明もしくは清澄な非導電体材料で作ることができる。他の実施形態では、容器キャップ806は、一部を半透明またはシースルー材料で作製することができる。例えば、
図9Bに示されるように、ウィッキング部材910の少なくとも一部は、容器キャップ806の側面812を通して見ることができる。これにより、センサ装置800のユーザーまたはオペレーターは、容器キャップ806がサンプル容器802に固定され、サンプル102の少なくとも一部分が確実にウイック近位端914の参照電極材料808に到達できるようになった時、ウィック遠位端912からウィック近位端914への流体サンプル102のウィッキング現象を観察することができる。いくつかの実施形態では、容器キャップ806は一部を、透明または清澄な高分子材料、ガラス、またはそれらの組み合わせの一部で作ることができる。
【0315】
参照センサ部材804を製造する方法は、サンプル容器802に取り外し可能に連結されるように構成された容器キャップ806を提供することを含む。サンプル容器802は、サンプル102を受け入れるように構成することができる。上述した通り、参照導管900は、容器キャップ806の底面950から延在することができる。参照導管900は参照導管空洞902を含み得る。これらのおよび他の実施形態では、当該方法は、容器キャップ806の中心に規定された参照導管900を有する容器キャップ806の形状をした参照センサ部材804を鋳造(成形)することも含む。例えば、容器キャップ806は、射出成形または注型を通して成形することができる。別の実施形態では、該方法は、容器キャップ806の中心に規定された参照導管900を有しかつ参照導管900の長さに渡り延在している参照導管空洞902を有する容器キャップ806を3D印刷することを含み得る。
【0316】
本方法はさらに、参照導管900の参照導管空洞902中にウイッキング部材910を設置または配置することを含み得る。ウイッキング部材910は、ウイック遠位端912とウイック近位端914を含み得る。例えば、ウイッキング部材910は、一部を多孔性高分子材料(例えばHDPE)、天然繊維、またはその組み合わせで作ることができる。ウイッキング部材910は、参照導管空洞902中に導入または配置する前に、界面活性剤で処理し、浸漬し、または他の方法で飽和させることができる。
【0317】
幾つかの実施形態では、ウイッキング部材910、参照電極材料808(例えば硬化した導電性インク)、またはその組み合わせの表面上に溝または畝(うね)を構築することができる。ウイッキング部材910、参照電極材料808またはその組み合わせの表面積を増加させることにより、参照電極の半電池電位の安定性を高めることができる。
【0318】
この方法は、導電性インク(Ag-AgClインク)をウイック近位端914の上に供給または分配することも含み得る。導電性インクは、注射器、スポイト、液滴ディスペンサー、またはピペットを介してウイック近位端914に分配または他の方法で供給することができる。導電性インクは、ウイック近位端914とそのウイック近位端914を取り囲む参照導管900のセグメントとにより規定される、窪み(ディボット)、溝または陥没に分配または他の方法で供給することができる。
【0319】
導電性インクを分配することは、ウイック近位端914上に約50μLから約500μLの導電性インクを分配することを更に含み得る。より具体的には、導電性インクを分配することは、ウイック近位端914上に約80μLから約120μLの間の導電性インクを分配することを更に含み得る。例えば、この方法は、ウイック近位端914に約100μLの導電性インクを分配することを含むことができる。
【0320】
導電性インクは、次いで、導電性インクが硬くなり参照電極材料808になるまで硬化させることができる。幾つかの実施形態では、該方法は、100℃より上の温度で導電性インクを硬化させることを伴う。より具体的には、約110℃と120℃の間の温度で導電性インクを硬化させることを含み得る。例えば、当該方法は、115℃で導電性インクを硬化させることを含み得る。導電性インクは、導電性インクを硬化させるのに約60分~約180分の時間に渡り硬化させることができる。例えば、導電性インクは、約110分~約130分の時間に渡り硬化させることができる。例えば、導電性インクは120分間硬化させることができる。より具体的には、導電性インクは115℃で120分間硬化させることができる。
【0321】
サンプル102の溶液特性を測定する方法は、サンプル容器802のサンプルチャンバ908をサンプル102で満たすことを含み得る。サンプル102は、感染性病原体または微生物を含むことができる。この方法はまた、容器キャップ806として構成された参照センサ部材804をサンプル容器802に取り付けることを含むこともできる。
【0322】
容器キャップ806は、参照導管空洞902、参照導管第一開口部904および参照導管第二開口部906を含む、参照導管900を含むことができる。参照導管空洞902は、ウイック遠位端912とウイック近位端914を有する参照導管空洞902を通って伸びているウイッキング部材910により一部充填することができる。
【0323】
ウイック部材910の少なくとも一部は、サンプルチャンバ内のサンプル102と流体接触することができる。サンプル102の少なくとも一部は、ウイック近位端914の方向にウイッキング部材910によりくみ上げることができる。参照電極材料808(例えば硬化した導電性インク)は、ウイック近位端914の所に配置することができる。この方法は、参照電極材料808をパラメータ分析器916(例えば高インピーダンス電圧計)に電気的に結合し、そしてそのパラメータ分析器916を、活性電極材料918を含む能動型センサ部材816に電気的に結合することを更に含むことができる。活性電極材料918の少なくとも一部は、サンプルチャンバ908中に延びることができ、そしてサンプルチャンバ908中のサンプル102と流体接触させることができる。ウイッキング部材910がサンプル102をくみ上げるまたはウイッキングする(毛管作用で引き上げる)と、サンプル102は参照電極材料808に到達し、サンプル102内の電荷が、参照電極材料808と活性電極材料918との間の電気的結合(接続)を確立することができる。この時点で、回路が形成され、次いでそれを利用してサンプル102の電位変化の測定を実行することができる。
【0324】
当該方法は更に、活性電極材料918と参照電極材料808との間で測定される電位差に基づいて、サンプル102の溶液特性を決定することを更に含み得る。上述したように、測定される溶液特性は、サンプル102のpH、サンプル102のORP、またはその組み合わせであることができる。
【0325】
当該方法はまた、サンプル容器802の底面と側面の少なくとも1つに沿って規定される通気口936を通って、サンプルチャンバ908中に空気をポンプ注入することも含むことができる。疎水性の通気性膜(例えば第一通気性膜938)が通気口936を被覆することができる。サンプルチャンバ908中にポンプ注入される空気は、サンプル102を曝気し、サンプル102内の感染性病原体または微生物の増殖を促進することができる。
【0326】
サンプルチャンバ908中にポンプ注入される空気は、容器キャップ806の底面950の少なくとも一部分を覆っている追加の通気性膜(例えば第二通気膜942)を通って、そして最終的に容器キャップ806とサンプル容器802の間に規定されるエアギャップ948(
図9A参照)を通って(例えば、サンプル容器802の雄型ねじと容器キャップ806の雌型ねじの間に規定される空気ギャップ948を通って)出ることができる。
【0327】
図10は、3種類の異なるセンサ設定を使って経時的に測定されたサンプルの3つのアリコートの酸化還元電位(ORP)の変化を示す。全てのそのようなサンプルは、大腸菌エシェリキア・コリ(Escherichia coli)(E. coliまたはECo)を含んでいた。1つのそのようなセンサ設定は、活性電極材料918としてのレドックス感受性材料(例えばORP能動型センサ)を含む能動型センサ部材816と、市販の既製の銀-塩化銀参照電極とを含んだ。このセンサ設定は対照(コントロール)として機能し、そしてそれらの測定より得られた結果は、大腸菌増殖の別の測定のための標準またはベンチマークとして機能した。他の2つのセンサ設定は、活性電極材料と同じレドックス感受性材料を含む能動型センサ部材816を備えていたが、ただし本明細書中に開示の容器キャップ806を参照センサ部材804として使用した。容器キャップ806が参照センサ部材804として機能するこのような場合には、参照電極材料808は銀-塩化銀(Ag-AgCl)インクの硬くなった硬化蒸着物であった。そのようなセンサ設定では、使用したAg-AgClインクは、Creative Materials社によって開発されたAg-AgCl 113-09であった。他のセンサ設定では、使用したAg-AgClインクはCreative Materials社によって開発されたAg-AgCl 126-49であった。
【0328】
3つの大腸菌増殖曲線により示される通り、容器キャップ806を参照センサ部材として使用する2つのセンサ設定は、従来型の市販の既製の銀-塩化銀参照電極を使用するセンサ設定と同様に実行した。信号タイミングの任意変化は、使用した能動型センサに基づいて許容範囲内であった。
【0329】
図11は、種々の大腸菌株を含むアウトプットサンプルの塗抹細菌コロニーに対して行った細胞計数(カウント)の結果(コロニー形成単位(CFU)/mLとして表す)を示すグラフである。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のセンサ装置800は、抗生物質感受性試験で入力情報(インプット)として通常使用される、既定の微生物濃度、例えば0.5 マクファーランド(McFarland)(MCF)~0.6 MCFの出力サンプル(0.5 McF~0.6 McFと同等の濁度を示す微生物懸濁液 )を調製するためのシステムの一部として使用することができる。
【0330】
ダークカラーのバーは、標準の濁度(光学密度)メーターにより測定した場合の、0.5 McFおよび0.6 McFの濁度を示す品質管理(QC)サンプルを表す。QCサンプルは、コロニーを18~24時間培養プレートから生理食塩水中に最終濃度約0.5 McF~0.6 McF (約0.5 McF~0.6 McFの濃度は抗生物質感受性試験の許容入力濃度である)に再懸濁することによって調製した。QCサンプルは、ATCC 25922として知られる大腸菌の品質管理株で構成された。かようなQCサンプルの濁度レベルが0.5 McFおよび0.6 McFに達したら、そのようなサンプルを次いで塗布し、塗布されたサンプルにおいて生存細胞数(カウント)を計測した(そのようなカウントの結果は、グラフ上CFU/mLの単位で表示される)。
【0331】
図11中の種々の白色バーは、本明細書に開示のセンサ装置800を使って調製した規定濃度の出力サンプルに対して行った細胞カウントを表す。出力サンプルは、敗血症患者からの陽性血液培養物由来の種々の大腸菌株を含む元サンプルより調製した。約1.50×10
8 CFU/mL(0.5 McFの濁度を示す)の規定濃度を、全てのそのような出力サンプルの目標値として設定した。
【0332】
種々の大腸菌株を含む元サンプルを、本明細書に開示のサンプル容器802のサンプルチャンバ908中に導入した。参照センサ部材804(例えば容器キャップ806)をそのようなサンプル容器802に留め、次いでパラメータ分析器916によりサンプルの溶液特性の変化を経時的に測定またはモニタリングした。
【0333】
このシステムは、パラメータ分析器916に通信可能に連結された1つ以上のコンピュータ装置を備えることもできる。この1つ以上のコンピュータデバイスは、特定の感染性病原体種に関連したある特定の検索表(例えば種特異的検索表)または種間もしくはユニバーサル検索表を検索し、サンプルチャンバ908内のサンプルの溶液特性の変化に基づいてサンプルチャンバ908内の感染性病原体のリアルタイム濃度を決定することができる。
【0334】
幾つかの実施形態では、濃度データは、パラメータ分析器916、1つ以上のコンピュータデバイスまたはその組み合わせによりモニタリングもしくは測定された溶液特性のリアルタイム変化に基づいて、1つ以上の検索表から直接決定することができる。これらの実施形態では、サンプルチャンバ908内のサンプルの溶液特性のリアルタイム変化は、検索表の閾値溶液特性変化に直接マッピングすることができ、それはサンプルチャンバ908内の感染性病原体の推定濃度に直接関連づけることができる。
【0335】
別の実施形態では、1つ以上の検索表とセンサ装置800により測定もしくはモニタリングされるリアルタイム溶液特性変化からの閾値データに基づいた1つ以上のコンピューターデバイスにより、追加の計算とデータの補間を実施することができる。例えば、規定濃度の出力サンプルを調製する1つの方法は、第一の閾値時間、第二の閾値時間、少なくとも1つの検索表からの濃度データおよび所望の規定濃度に基づいて、サンプルチャンバ908内の感染性病原体が規定濃度に到達するのに必要な時間の量に相当するサンプルインキュベーション時間またはサンプル調製時間を計算することを含み得る。この方法は、米国特許出願第16/430,266号明細書中に更に記載され、その内容は全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0336】
図11から分かるように、本明細書に開示のセンサ装置800を用いて一部作成された出力サンプル(0.5 McFの)に対して行った塗布細胞カウントを、18~24時間培養プレートからコロニーを再懸濁しそしてそのような懸濁液の濃度を光学密度測定を使って決定するという「ゴールドスタンダード(究極の判断基準)」を使って作製した0.5 McFと0.6 McF QCサンプルに対して好都合に比較した。センサ装置800と本開示の方法を用いて調製したほとんど全ての出力サンプルは、QCサンプルの許容可能範囲内に感染性病原体濃度を有するサンプルをもたらした。
図11は、センサ装置800および本明細書に開示の方法が、規定濃度(例えば0.5 McF細菌サンプル)の出力サンプルを効果的に作製するために用いることができることを示す。
【0337】
図12は、好気性細菌シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa(PA);緑膿菌)を含む2つのサンプル102の増殖速度に対する通気の効果を示す。増殖速度は、サンプル102の濁度に基づいて測定した(細菌懸濁液の濁度を表すためのマクファーランド(McFarland; McF)参照標準に基づいて決定した濁度を用いる)。サンプル溶液の濁度が大きいほど、サンプル102内のPAeの濃度が高くなる。
【0338】
図12に示されるように、サンプル102への通気(破線のプロットで示される)は、サンプル102が0.5 マクファーランド(McF)と同等の濁度レベルに達するのに要する時間が、非通気の、つまり沈滞したサンプル102(実線のプロットで示される)に比較して有意に減少するように、サンプル102内の細菌の増殖速度を増加させた。サンプル102は、通気口936と通気性膜938を通ってサンプルチャンバ908中にガス(例えば外気、酸素など)をポンプ注入することにより曝気することができる。幾つかの実施形態では、通気口936は、サンプル容器802の底部側に規定することができる。ガス940または外気は、約1 mL/分~約10 mL/分の一定流速でサンプルチャンバ908中にポンプ注入することができる。
【0339】
図13は、本明細書中に開示のセンサ装置800を使った、2つの0.5 McFarland細菌サンプルの調製時間に対する通気の効果を示す。そのような0.5 McFサンプルは、1つ以上の抗生物質感受性試験の一部などの更なる下流試験のために調製することができる。
【0340】
図13に示されるように、緑膿菌Pseudomonas aeruginosa(PAe)を含むサンプルで満たされた1つのサンプル容器802を通気し、一方でPAeを含む同様なサンプルで満たした別のサンプル容器802は通気しなかった。参照センサ部材804として働く容器キャップ806を次いで各サンプル容器802に留め、次いで各センサ装置800をサンプルのORP変化を検出するために用いるパラメータ分析器916に電気的に結合した。
【0341】
パラメータ分析器916に連結されたコンピュータデバイスまたは別のデバイスは、次いでサンプル容器802の各々の内部のサンプルのORP変化を記録し、そしてそれらの値をパラメータ分析器916に連結したコンピュータデバイスから読み出された1つ以上の検索表の中のデータと、またはコンピュータデバイスによりアクセス可能なデータベースと比較した。
【0342】
図13に示されるように、通気したサンプル容器802内のPAeの濃度が、約160分で0.5 McFarlandの規定濃度に到達したのに対し、沈滞した、つまり非通気のサンプル容器802内のPAeの濃度は、約460分で0.5 McFarlandの同規定濃度に到達した。よって、サンプル容器802を通気することが、サンプルチャンバ908内の細菌増殖速度を有意に増加させることが証明された。
【0343】
本明細書に記載のまたは描写される個々の変形または態様は別々の構成要素と特徴を有しており、それらは他の変形または実施形態のいずれかの特徴から容易に区別することができ、またはそれらの特徴と組み合わせることができる。特定の状況、材料、組成物、対象物に至るプロセス、プロセス行為もしくは工程に、本発明の目的、精神または範囲に適応するように変更を行うことが可能である。
【0344】
本明細書に言及される方法は、列挙された事象の順序の他に、列挙された事象を論理的に可能である任意の順序で、実施することができる。例えば、図面に描写されているフローチャートまたはプロセスフローは、所望の結果を達成することが示された特定の順序を要求するわけではない。更に、追加の工程または操作を提供することが可能であり、あるいは所望の結果を達成するために工程もしくは操作を削除することが可能である。
【0345】
本開示の方法の全体もしくは一部を、コンピュータデバイスまたは他のタイプの機械のプロセッサもしくは処理装置(PU)により読み取り可能または実行可能な機器を含む、非一時的な(持続的な)コンピュータ読み取り可能またはアクセス可能な媒体中に具体化できることは、当業者により理解されるだろう。
【0346】
更に、数値の一定範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の全ての介在値
並びに他の任意の指摘の値または指摘の範囲内の任意の他の介在値は、本発明の範囲内に包含される。また、記載される本発明の変形のいずれか任意の特徴は、独立に、または本明細書中に記載の特徴のいずれか1つもしくは複数と組み合わせて、記載され特許請求される。
【0347】
本明細書中に言及される全ての現在の主題(例えば刊行物、特許、特許出願およびハードウエア)は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれるが、ただし、その主題が本発明のものと競合する場合はその限りでない(その場合には本明細書中に提供されるものが優先される)。参照されるアイテムは、単に本願の出願日より以前のそれらの開示のためだけに提供される。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような材料に先行する権利を付与されないことの承認として解釈してはならない
【0348】
単数形のアイテムへの言及は、そのアイテムの複数が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲内で用いる場合、単数形の「aもしくはan(1つの)」、「said(前記)」および「the(その)」は、文脈が明白に他のものを指示しない限り、複数の指示対象を含む。更に、請求項は、任意の要素を除外するように草案されてもよいことにも留意されたい。従って、この表現(statement)は、請求の範囲の要素の列挙または「否定的な」限定の使用との関連で、「単独に」、「~のみ」等のような排他的な用語法の使用のための先行詞(antecedent basis)として機能するように意図される。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語と科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0349】
本開示は、記載された特定形態の範囲に限定されるものではないが、本明細書に記載の変形または実施形態の代替物、修正および均等物を包含するものと意図される。更に、本開示の範囲は、本開示を鑑みて当業者に明白になりうる他の変形または実施形態を全て包含する。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの溶液特性を測定するためのセンサ装置であって、該センサ装置は
(1) サンプルを受け入れるように構成されたサンプルチャンバを含むサンプル容器;
(2) 参照センサ部材であって、
(a) 参照導管空洞と、参照導管第一開口部と、参照導管第二開口部とを含む参照導管;
(b) ウイック遠位端とウイック近位端を有し、前記参照導管空洞を通って延在するウイッキング部材であって、前記ウイッキング部材の少なくとも一部が、前記サンプルの少なくとも相当量が前記ウイッキング部材によって前記ウイック近位端の方向に引き寄せられるように前記サンプルチャンバと流体連絡しているウイッキング部材;および
(c) 前記ウイック近位端に配置された参照電極材料
を備える参照センサ部材;
(3) 活性電極材料を含む能動型センサ部材であって、前記活性電極材料の少なくとも一部が、前記サンプルチャンバ中に延在し、かつ前記サンプルチャンバが前記サンプルで満たされると前記サンプルと流体接触状態になる、能動型センサ部材;
を備え、
前記参照センサ部材と前記能動型センサ部品とが、導電性接続によってパラメータ分析器に電気的に結合され、そして前記サンプルの溶液特性が、前記活性電極材料と前記参照電極材料との間で測定された電位差に基づいて決定されることを特徴とする、センサ装置。
【外国語明細書】