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  • 特開-発酵ブロスからのアセテートの分離 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069328
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】発酵ブロスからのアセテートの分離
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
C12P1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034290
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2022515479の分割
【原出願日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】62/924,666
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/074,342
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ロジン,リチャード アール.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法を提供する。
【解決手段】本開示の方法は、ガス基質および微生物を発酵させて、微生物および標的構成成分を含む発酵ブロスを生成することと、発酵ブロスを、連続イオン交換疑似移動床にイオン交換樹脂を有する分離ユニットに通すことと、微生物を床に通しながら、樹脂とのイオン交換を介して標的構成成分を選択的に保持することと、イオン交換樹脂を再生することと、標的構成成分を回収することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法であって、
a.ガス基質および微生物を発酵させて、前記微生物および前記標的構成成分を含む発
酵ブロスを生成することと、
b.前記発酵ブロスを、連続イオン交換疑似移動床にイオン交換樹脂を有する分離ユニ
ットに通すことと、
c.前記樹脂とのイオン交換を介して前記標的構成成分を選択的に保持し、前記微生物
を前記連続イオン交換疑似移動床に通すことと、
d.前記イオン交換樹脂を再生し、前記標的構成成分を回収することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記標的構成成分が、低分子量有機酸の共役塩基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的構成成分が、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方である、請求項1
に記載の方法。
【請求項4】
前記連続イオン交換疑似移動床が、拡張床である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イオン交換樹脂が、強陰イオン交換樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記微生物が、Acetobacterium woodii、Alkalibacu
lum bacchii、Blautia producta、Butyribacte
rium methylotrophicum、Clostridium acetic
um、Clostridium autoethanogenum、Clostridi
um carboxidivorans、Clostridium coskatii、
Clostridium drakei、Clostridium formicoac
eticum、Clostridium ljungdahlii、Clostridi
um magnum、Clostridium ragsdalei、Clostrid
ium scatologenes、Eubacterium limosum、Moo
rella thermautotrophica、Moorella thermoa
cetica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ova
ta、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphae
roides、およびThermoanaerobacter kivuiからなる群か
ら選択される親微生物に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記微生物が、Clostridium属のメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clos
tridium ljungdahlii、Clostridium ragsdale
i、またはClostridium coskatiiに由来する、請求項1に記載の方
法。
【請求項9】
前記ガス基質が、産業廃棄物ガス、産業オフガス、ガス化廃棄物に由来する合成ガス、
ガス化バイオマスに由来する合成ガス、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的構成成分が、反応して、1つ以上の生成物を形成する、請求項1に記載の方法
【請求項11】
前記標的化合物がアセテートであり、前記1つ以上の生成物が酢酸ビニルである、請求
項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酢酸ビニルを反応させて、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを形成する
ことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを反応させて、ポリマー、コポリマー
、接着剤、コーティング、塗料、フィルム、布、発泡体、ワイヤー絶縁体、またはケーブ
ル絶縁体を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法であって、
a.ガス基質および微生物を発酵させて、前記微生物および前記標的構成成分を含む発
酵ブロスを生成することと、
b.前記発酵ブロスを第1の分離ゾーンに通して、前記微生物を含む前記発酵ブロスの
第1の部分を分離し、バイオリアクターにリサイクルすることと、
c.前記発酵ブロスの第2の部分を、イオン交換樹脂を含む第2の分離ゾーンに通すこ
とと、
d.前記樹脂とのイオン交換を介して前記標的構成成分を選択的に保持し、残りを前記
第2の分離ゾーンに通すことと、
e.再生物によって前記イオン交換樹脂を再生し、前記標的構成成分を回収することと
を含む、前記方法。
【請求項15】
前記再生物が、前記残りの少なくとも一部分を含むか、または前記残りに由来する、請
求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記標的構成成分が、低分子量有機酸の共役塩基である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記標的構成成分が、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方である、請求項1
4に記載の方法。
【請求項18】
前記イオン交換樹脂が、強陰イオン交換樹脂である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ガス基質が、産業廃棄物ガス、産業オフガス、ガス化廃棄物に由来する合成ガス、
ガス化バイオマスに由来する合成ガス、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項
14に記載の方法。
【請求項20】
前記標的構成成分が、反応して、1つ以上の生成物を形成する、請求項14に記載の方
法。
【請求項21】
前記標的化合物がアセテートであり、前記1つ以上の生成物が酢酸ビニルである、請求
項20に記載の方法。
【請求項22】
前記酢酸ビニルを反応させて、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを形成する
ことをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを反応させて、ポリマー、コポリマー
、接着剤、コーティング、塗料、フィルム、布、発泡体、ワイヤー絶縁体、またはケーブ
ル絶縁体を形成することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
生物学的変換装置であって、
a.基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する培養培地および微生物を含むバイオリ
アクターへの入口と、前記バイオリアクターからの出口とを備えるバイオリアクターシス
テムと、
b.前記バイオリアクターの前記出口と流体連通している第1の入口と、疑似移動床構
成のイオン交換樹脂の床と、再生源と流体連通している第2の入口と、前記バイオリアク
ターシステムと流体連通している出口と、生成物の出口とを備える分離ゾーンと
を備える、前記生物学的変換装置。
【請求項25】
前記イオン交換樹脂の床が、イオン交換樹脂の拡張床である、請求項24に記載の生物
学的変換装置。
【請求項26】
生物学的変換装置であって、
a.基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する培養培地および微生物を含むバイオリ
アクターへの入口と、前記バイオリアクターからの出口とを備えるバイオリアクターシス
テムと、
b.前記バイオリアクターの前記出口と流体連通している入口と、微生物バイオマスを
分離するための膜と、前記バイオリアクターと流体連通している保持液出口と、透過液出
口とを備える第1の分離ゾーンと、
c.前記第1の分離ゾーンの前記透過液出口と流体連通している第1の入口と、イオン
交換樹脂の少なくとも1つの床と、再生源と流体連通している第2の入口と、前記再生源
と流体連通している出口と、生成物の出口とを備える第2の分離ゾーンと
を備える、前記生物学的変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月22日に出願された米国仮出願第62/924,666号
および2020年10月19日に出願された米国出願第17/074,342号の利益を
主張する。両方の出願の内容は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込ま
れる。
【0002】
本出願は、ガス基質の存在下で微生物を培養することから生じる発酵ブロスからの標的
構成成分の分離、疑似移動床モードで操作される連続イオン交換を使用する分離に関する
【背景技術】
【0003】
差し迫った気候変動を緩和するには、石炭および石油などの化石燃料の燃焼にを介して
発生する温室効果ガス(GHG)の排出を大幅に削減する必要がある。化学物質および輸
送用燃料の持続可能な供給源は、現在、化石炭素への依存を大幅に置き換えるには不十分
であるが、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、および/または水素(H)な
どのガスを、生物学的に固定し、持続可能な燃料や化学物質を生成するための代替プラッ
トフォームとしてガス発酵が近年注目されている。特に、ガス発酵技術は、ガス化有機物
(例えば、都市固形廃棄物もしくは農業廃棄物)または産業廃棄物ガス(例えば、製鉄所
もしくは石油精製所から)を含む広範囲な原料を利用して、エタノール、ジェット燃料、
および様々な他の生成物を生成することができる。ガス発酵だけで原油使用量の30%を
置き換え、世界のCO排出量を10%低減することができるが、あらゆる革新的な技術
と同様に、この可能性が完全に達成されるまでには多くの技術的課題を乗り越える必要が
ある。
【発明の概要】
【0004】
発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法が開示される。本方法は、ガス基質
および微生物を発酵させて、微生物および標的構成成分を含む発酵ブロスを生成すること
と、発酵ブロスを、連続イオン交換疑似移動床にイオン交換樹脂を有する分離ユニットに
通すことと、樹脂とのイオン交換を介して標的構成成分を選択的に保持し、微生物を連続
イオン交換疑似移動床に通すことと、イオン交換樹脂を再生することと、標的構成成分を
回収することと、を含む。標的構成成分は、ホルメート、アセテート、ラクテート、また
はそれらの両方などの任意の低分子量有機酸の共役塩基であり得る。標的構成成分を反応
させて、1つ以上の生成物を形成することができる。微生物は、Acetobacter
ium woodii、Alkalibaculum bacchii、Blautia
producta、Butyribacterium methylotrophic
um、Clostridium aceticum、Clostridium auto
ethanogenum、Clostridium carboxidivorans、
Clostridium coskatii、Clostridium drakei、
Clostridium formicoaceticum、Clostridium
ljungdahlii、Clostridium magnum、Clostridi
um ragsdalei、Clostridium scatologenes、Eu
bacterium limosum、Moorella thermautotrop
hica、Moorella thermoacetica、Oxobacter pf
ennigii、Sporomusa ovata、Sporomusa silvac
etica、Sporomusa sphaeroides、およびThermoana
erobacter kivuiからなる群から選択される親微生物に由来し得る。微生
物は、Clostridium属のメンバーであり得る。微生物は、Clostridi
um autoethanogenum、Clostridium ljungdahl
ii、Clostridium ragsdalei、またはClostridium
coskatiiに由来し得る。ガス基質は、産業廃棄物ガス、産業オフガス、合成ガス
、ガス化廃棄物、またはガス化バイオマスであり得る。標的化合物はアセテートであり得
、1つ以上の生成物は酢酸ビニルであり得る。酢酸ビニルは、ポリ酢酸ビニルまたはポリ
ビニルアルコールを形成するためのさらなる反応器であり得る。
【0005】
本方法によって回収されたアセテートから反応した酢酸ビニルに由来する構成成分を含
む組成物が開示される。本組成物は、ポリマー、コポリマー、接着剤、コーティング、塗
料、フィルム、布、発泡体、ワイヤー絶縁体、またはケーブル絶縁体であり得る。
【0006】
発酵ブロスから標的構成成分を分離するためのさらなる方法が開示される。本方法は、
ガス基質および微生物を発酵させて、微生物および標的構成成分を含む発酵ブロスを生成
することと、発酵ブロスを第1の分離ゾーンに通して、微生物を含む発酵ブロスの第1の
部分を分離し、バイオリアクターにリサイクルすることと、発酵ブロスの第2の部分を、
イオン交換樹脂を含む第2の分離ゾーンに通すことと、樹脂とのイオン交換を介して標的
構成成分を選択的に保持し、残りを第2の分離ゾーンに通すことと、再生物によってイオ
ン交換樹脂を再生し、標的構成成分を回収することと、を含む。再生は、残りの少なくと
も一部分を含み得るか、または残りに由来し得る。標的構成成分は、低分子量有機酸の共
役塩基であり得る。標的構成成分は、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方であ
り得る。イオン交換樹脂は、強陰イオン交換樹脂であり得る。ガス基質は、産業廃棄物ガ
ス、産業オフガス、ガス化廃棄物に由来する合成ガス、ガス化バイオマスに由来する合成
ガス、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。標的構成成分を反応させて、1つ以
上の生成物を形成することができる。標的化合物はアセテートであり得、1つ以上の生成
物は酢酸ビニルであり得る。酢酸ビニルを反応させて、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニル
アルコールを形成することができる。ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを使用
して、ポリマー、コポリマー、接着剤、コーティング、塗料、フィルム、布、発泡体、ワ
イヤー絶縁体、またはケーブル絶縁体を形成することができる。
【0007】
生物学的変換装置が開示され、生物学的変換装置は、基質中の炭素源を代謝し、生成物
を生成する培養培地および微生物を含むバイオリアクターへの入口と、バイオリアクター
からの出口とを備えるバイオリアクターシステム、バイオリアクターの出口と流体連通し
ている第1の入口と、疑似移動床構成のイオン交換樹脂の拡張床と、再生源と流体連通し
ている第2の入口と、バイオリアクターシステムと流体連通している出口と、生成物の出
口とを備える分離ゾーン、を備える。
【0008】
さらなる生物学的変換装置が開示される。装置は、基質中の炭素源を代謝し、生成物を
生成する培養培地および微生物を含むバイオリアクターへの入口と、バイオリアクターか
らの出口とを備えるバイオリアクターシステムと、バイオリアクターの出口と流体連通し
ている入口と、微生物バイオマスを分離するための膜と、バイオリアクターと流体連通し
ている保持液出口と、透過液出口とを備える第1の分離ゾーンと、第1の分離ゾーンの透
過液出口と流体連通している第1の入口と、イオン交換樹脂の少なくとも1つの床と、再
生源と流体連通している第2の入口と、再生源と流体連通している出口と、生成物の出口
とを備える第2の分離ゾーンと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による、バイオリアクターシステムおよび分離ゾーンを有する生物学的変換装置を表す。
図2】本開示の一実施形態による、バイオリアクターシステム、第1の分離ゾーン、および第2の分離ゾーンを有する生物学的変換装置を表す。
【0010】
説明
本開示は、発酵生成物を発酵ブロスから分離する問題に対処する。特に、本開示は、発
酵ブロス中に存在し得る低分子量酸および/またはそれらの共役塩基を分離することに関
する。低分子量酸は、イオン交換、蒸留、エステル化、それに続く蒸留、または液-液抽
出などの手法を使用して発酵ブロスから分離され得る。別の好適な手法は「塩析」と呼ば
れ、これは、非常に高いイオン強度の溶液中の特定の分子の溶解度の低減を利用する精製
方法である。本開示の詳細は、イオン交換手法を参照して説明されるが、上の分離手法の
いずれかを用いて、低分子量酸および/またはそれらの共役塩基を分離することができる
【0011】
発酵ブロスから分離される、標的構成成分とも呼ばれる1つの例示的な生成物は、水中
で酢酸から部分的に解離するアセテートである。発酵ブロスから分離される、標的構成成
分とも呼ばれる別の例示的な生成物は、水中で乳酸から部分的に解離するラクテートであ
る。発酵ブロスから分離される1つの例示的な生成物は、水中でギ酸から部分的に解離す
るホルメートである。発酵ブロスから回収されたアセテートは、酢酸ビニルモノマー(V
AM)とも呼ばれる酢酸ビニルの形成における主要な反応物である酢酸に容易に変換され
得る。VAMは重合して、ポリ酢酸ビニルを形成する可能性があるため、VAMは、重要
な市販製品である。したがって、VAMは、接着剤、コーティング、塗料、フィルム、布
、発泡体、ワイヤー絶縁体、およびケーブル絶縁体の生成に使用されるポリマーならびに
樹脂の工業生産において重要である。酢酸は、食品およびシリカ化学分野の反応にも使用
され得る。同様に、発酵ブロスから回収されたラクテートは、スキンケア製品の成分であ
る乳酸に容易に変換され得る。乳酸は、スキンケア製品に添加されて、肌の美白効果を高
め、コレガン(collegan)およびエラスチンの合成を改善し、角質除去および細
胞の再生を促進する。にきび防止および老化防止製品の需要の高まりは、乳酸の製品需要
に拍車をかけると予想される。
【0012】
別段の定めがない限り、本明細書全体で使用される以下の用語は、以下のように定義さ
れる。
【0013】
「効率を増加する」、「増加された効率」などの用語としては、発酵プロセスに関して
使用される場合、発酵を触媒する微生物の増殖速度、上昇した生成物濃度における増殖お
よび/または生成物生成速度うちの1つ以上を増加させること、消費される基質の体積当
たりに生成される所望の生成物の体積を増加させること、所望の生成物の生成速度または
生成レベルを増加させること、発酵の他の副生成物と比較して生成される所望の生成物の
相対的割合を増加させること、本プロセスによって消費される水の量を減少させること、
ならびに本プロセスによって利用されるエネルギーの量を減少させることが挙げられるが
、これらに限定されない。
【0014】
「発酵」という用語は、基質に化学変化をもたらす代謝プロセスとして解釈されるべき
である。例えば、発酵プロセスは、1つ以上の基質を受け取り、1つ以上の微生物の利用
を介して1つ以上の生成物を生成する。「発酵」、「ガス発酵」などの用語は、ガス化に
よって生成された合成ガスなどの1つ以上の基質を受け取り、1つ以上のC1固定微生物
を利用して1つ以上の生成物を生成するプロセスとして解釈されるべきである。好ましく
は、発酵プロセスは、1つ以上のバイオリアクターの使用を含む。発酵プロセスは、「バ
ッチ」または「連続」のいずれかとして説明され得る。「バッチ発酵」は、バイオリアク
ターが微生物とともに原材料、すなわち炭素源で満たされ、発酵が完了するまで生成物が
バイオリアクター内に留まる発酵プロセスを説明するために使用される。「バッチ」プロ
セスでは、発酵が完了した後に、生成物を抽出し、次の「バッチ」が始まる前にバイオリ
アクターを洗浄する。「連続発酵」は、発酵プロセスがより長期間にわたって延長され、
発酵中に生成物および/または代謝物が抽出される発酵プロセスを説明するために使用さ
れる。好ましくは、発酵プロセスは連続的である。
【0015】
微生物に関して使用される場合の「非自然発生型」という用語は、参照種の野生型株を
含む参照種の自然発生型の株には見られない少なくとも1つの遺伝子改変を微生物が有す
ることを意味するように意図される。非自然発生型の微生物は、典型的には、実験室また
は研究施設で開発される。
【0016】
「遺伝子改変」、「遺伝子変化」、または「遺伝子操作」という用語は、広範には、人
間の手による微生物のゲノムまたは核酸の操作を指す。同様に、「遺伝子修飾された」、
「遺伝子改変された」、または「遺伝子操作された」という用語は、そのような遺伝子修
飾、遺伝子変化、または遺伝子操作を含む微生物を指す。これらの用語は、実験室で生成
された微生物と自然発生の微生物を区別するために使用され得る。遺伝子改変の方法は、
例えば、異種遺伝子発現、遺伝子またはプロモータの挿入または欠失、核酸変異、改変遺
伝子発現または不活性化、酵素操作、指向性進化、知識ベース設計、ランダム変異導入法
、遺伝子シャフリング、およびコドン最適化を含む。
【0017】
Clostridiaなどの微生物の代謝工学は、天然代謝物、例えば、エタノール以
外の多くの重要な燃料および化学分子を生成する能力を大幅に拡大することができる。し
かしながら、最近まで、Clostridiaは、遺伝的に扱いにくいと考えられていた
ため、一般的に広範な代謝工学の取り組みは禁止されていた。近年、イントロンベースの
方法(ClosTron)(Kuehne、Strain Eng:Methods a
nd Protocols、389-407、2011)、対立遺伝子交換法(ACE)
(Heap、Nucl Acids Res、40:e59、2012;Ng、PLoS
One、8:e56051、2013)、Triple Cross(Liew、Fr
ontiers Microbiol、7:694、2016)、I-SceIを介して
仲介される方法(Zhang、Journal Microbiol Methods、
108:49-60、2015)、MazF(Al-Hinai、Appl Envir
on Microbiol、78:8112-8121、2012)、またはその他(A
rgyros、Appl Environ Microbiol、77:8288-82
94、2011)、Cre-Lox(Ueki、mBio、5:e01636-0161
4、2014)、およびCRISPR/Cas9(Nagaraju、Biotechn
ol Biofuels、9:219、2016)を含むClostridiaのゲノム
工学のためのいくつかの異なる方法が開発された。しかしながら、遅くて骨の折れるサイ
クリング時間と種間でのこれらの遺伝的手法の移転可能性の制限とのために、いくつかの
遺伝的変化を繰り返し導入することは非常に困難なままである。さらに、Clostri
diaのC1代謝は、C1の取り込み、変換、および生成物合成に向けた炭素/エネルギ
ー/酸化還元の流れを最大化するであろう修飾を確実に予測するには、まだ十分に良く理
解されていない。したがって、Clostridiaへの標的経路の導入は、退屈で時間
のかかるプロセスのままである。
【0018】
「組換え」は、核酸、タンパク質、または微生物が、遺伝子改変、操作、または組換え
の生成物であることを示す。一般に、「組換え」という用語は、微生物の2つ以上の異な
る株または種など、複数の源から誘導される遺伝物質を含有するか、またはそれによって
コードされる核酸、タンパク質、または微生物を指す。
【0019】
「野生型」は、変異体または変異形とは区別されるように天然に存在する、生物、株、
遺伝子、または特性の典型的な形態を指す。
【0020】
「内在性」は、本開示の微生物が由来する野生型または親微生物に存在またはそこで発
現する核酸またはタンパク質を指す。例えば、内在性遺伝子は、本開示の微生物が由来す
る野生型または親微生物に天然に存在する遺伝子である。一実施形態では、内在性遺伝子
の発現は、外因性プロモータ等の外因性調節エレメントによって制御され得る。
【0021】
「外因性」は、本開示の微生物の外側から生じる核酸またはタンパク質を指す。例えば
、外因性遺伝子または酵素は、人工的または組換え的に作成され、本開示の微生物に導入
されるかまたはそこで発現され得る。外因性遺伝子または酵素はまた、異種微生物から単
離され、本開示の微生物に導入されるかまたはそこで発現され得る。外在性核酸は、本開
示の微生物のゲノムに統合されるように、または本開示の微生物、例えばプラスミド中で
染色体外の状態に留まるように適合され得る。
【0022】
「異種」は、本開示の微生物が由来する野生型または親微生物に存在しない核酸または
タンパク質を指す。例えば、異種遺伝子または酵素は、異なる株または種に由来し、本開
示の微生物に導入されるかまたはそこで発現され得る。異種遺伝子または酵素は、それが
異なる株または種で発生する形態で本開示の微生物に導入されるかまたはそこで発現され
得る。代替的に、異種遺伝子または酵素は、何らかの方法、例えば、本開示の微生物にお
ける発現のためにコドン最適化することによって、または酵素活性の方向を逆転させるた
め、もしくは基質特異性を変更するためなど、機能を変更するように操作することによっ
て修飾され得る。
【0023】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、および
「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。それらは、任意の長さのポ
リマー形態のヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいず
れか、またはそれらの類似体を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有するこ
とができ、既知または未知の任意の機能を実行し得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限
定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析か
ら定義される遺伝子座(複数可)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mR
NA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、短干渉RNA(siRNA)、短ヘ
アピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、
組換えポリヌクレオチド、分枝鎖ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列
の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー
。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体などの1つ以上
の修飾されたヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリ
マーの組織化の前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成
成分によって割り込まれ得る。ポリヌクレオチドは、重合の後、例えば標識構成成分との
接合により、さらに修飾され得る。
【0024】
本明細書で使用する場合、「発現」は、ポリヌクレオチドがDNA鋳型から(例えば、
mRNAまたは他のRNA転写物へ)転写される過程、および/または転写されたmRN
Aが、続いて、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質へ翻訳される過程を指す。転
写物およびコードされたポリペプチドは、集合的に「遺伝子産物」と呼ばれ得る。
【0025】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、任意の長さの
アミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、直鎖であ
っても分岐鎖であってもよく、修飾アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって割
り込まれていてもよい。これらの用語は、修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例え
ば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識
構成成分との接合などの任意の他の操作を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸
」という用語は、グリシン、DまたはL光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体およ
びペプチド模倣体を含む天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸を含む。
【0026】
「酵素活性」または単に「活性」は、広範には、酵素の活性、酵素の量、または反応に
触媒作用を及ぼすための酵素の可用性を含むがこれらに限定されない、酵素的活性を指す
。したがって、酵素活性を「増加させること」は、酵素の活性を増大させること、酵素の
量を増加させること、または反応に触媒作用を及ぼすための酵素の可用性を増加させるこ
とを含む。同様に、酵素活性を「減少させること」は、酵素の活性を減少させること、酵
素の量を減少させること、または反応に触媒作用を及ぼすための酵素の可用性を減少させ
ることを含む。
【0027】
「変異した」は、本開示の微生物が由来する野生型または親微生物と比較して、本開示
の微生物において修飾されている核酸またはタンパク質を指す。一実施形態において、変
異は、酵素をコードする遺伝子中の欠失、挿入、または置換であってもよい。別の実施形
態では、変異は、酵素中の1つ以上のアミノ酸の欠失、挿入、または置換であってもよい
【0028】
具体的には、「破壊的変異」は、遺伝子または酵素の発現または活性を低減または排除
(すなわち「破壊する」)する変異である。破壊的変異は、遺伝子または酵素を、部分的
に不活性化し得るか、完全に不活性化し得るか、または欠失し得る。破壊的変異は、酵素
によって生成される生成物の生合成を低減、防止、または阻害する任意の変異であり得る
。破壊的変異は、ノックアウト(KO)変異であり得る。破壊はまた、遺伝子、タンパク
質、または酵素の発現または活性を低減するが、完全に排除しないノックダウン(KD)
変異でもあり得る。KOは、一般に、生成物の収量を増加させるのに効果的であるが、そ
れらは、特に非増殖結合生成物の場合、利点を上回る増殖欠陥または遺伝的不安定性のペ
ナルティが伴う場合がある。破壊的変異は、例えば、酵素をコードする遺伝子における変
異、酵素をコードする遺伝子の発現に関与する遺伝子調節エレメントにおける変異、酵素
の活性を低下または阻害するタンパク質を生成する核酸の導入、または酵素の発現を阻害
する核酸(例えば、アンチセンスRNA、siRNA、CRISPR)もしくはタンパク
質の導入を含み得る。破壊的変異は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して導入さ
れてもよい。
【0029】
破壊的変異の導入は、標的生成物を生成しないかもしくは実質的に標的生成物を生成し
ないか、または本開示の微生物が由来する親微生物と比較して低減された量の標的生成物
を生成する本開示の微生物をもたらす。例えば、本開示の微生物は、標的生成物を生成し
ないか、または親微生物よりも、少なくとも約1%、3%、5%、10%、20%、30
%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%少ない標的生成
物を生成し得る。例えば、本開示の微生物は、約0.001、0.01、0.10、0.
30、0.50、または1.0g/L未満の標的生成物を生成し得る。
【0030】
「コドン最適化」は、特定の株または種における核酸の最適化または改善された翻訳の
ための、遺伝子等の核酸の変異を指す。コドン最適化により、翻訳速度の高速化または翻
訳精度の向上がもたらされ得る。一実施形態では、本開示の遺伝子は、Clostrid
ium、特にClostridium autoethanogenum、Clostr
idium ljungdahlii、またはClostridium ragsdal
eiでの発現のために最適化されたコドンである。別の実施形態では、本開示の遺伝子は
、DSMZ受託番号DSM23693で寄託されているClostridium aut
oethanogenum LZ1561での発現ために最適化されたコドンである。
【0031】
「過剰発現した」は、本開示の微生物が由来する野生型または親微生物と比較して、本
開示の微生物中の核酸またはタンパク質の発現の増加を指す。過剰発現は、遺伝子コピー
数、遺伝子転写速度、遺伝子翻訳速度、または酵素分解速度の変更を含む、当該技術分野
において既知の任意の手段によって達成することができる。
【0032】
「変異体」という用語は、核酸およびタンパク質の配列が、従来技術において開示され
るかまたは本明細書に例示される参照核酸およびタンパク質の配列等の、参照核酸および
タンパク質の配列とは異なる、核酸およびタンパク質を含む。本開示は、参照核酸または
タンパク質と実質的に同じ機能を実行する変異形核酸またはタンパク質を使用して実施さ
れ得る。例えば、変異体タンパク質は、参照タンパク質と実質的に同じ機能を実行するか
、または実質的に同じ反応に触媒作用を及ぼし得る。変異形遺伝子は、参照遺伝子と同じ
、または実質的に同じタンパク質をコードしてもよい。変異体プロモータは、参照プロモ
ータと実質的に同じ、1つ以上の遺伝子の発現を促進するための能力を有し得る。
【0033】
そのような核酸またはタンパク質は、本明細書では「機能的に同等な変異形」と称され
得る。例として、核酸の機能的に同等な変異形としては、対立遺伝子変異形、遺伝子の断
片、変異遺伝子、多型などを挙げることができる。他の微生物からの相同遺伝子も、機能
的に同等な変異形の例である。これらとしては、Clostridium acetob
utylicum、Clostridium beijerinckii、またはClo
stridium ljungdahliiなどの種の相同遺伝子が挙げられ、それらの
詳細は、GenbankまたはNCBIなどのウェブサイトで公開されており入手可能で
ある。機能的に同等な変異形としてはまた、特定の微生物のコドン最適化の結果として配
列が変化している核酸が挙げられる。核酸の機能的に同等な変異体は、好ましくは、参照
核酸と少なくとも約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、また
はそれを超える核酸配列同一性(相同性割合)を有する。タンパク質の機能的に同等な変
異体は、好ましくは、参照タンパク質と少なくとも約70%、約80%、約85%、約9
0%、約95%、約98%、またはそれを超えるアミノ酸同一性(相同性割合)を有する
。変異体核酸またはタンパク質の機能的同等性は、当該技術分野で既知の任意の方法を使
用して評価され得る。
【0034】
「相補性」とは、従来のワトソン-クリック型または他の非従来型のいずれかによって
、核酸が別の核酸配列と水素結合を形成する能力を指す。相補性パーセントは、第2の核
酸配列と水素結合(例えばワトソン-クリック塩基対合)を形成することができる核酸分
子内の残基の割合(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、および100%
の相補性として、10のうちの5、6、7、8、9、10)を示す。「完全な相補性」と
は、核酸配列のすべての隣接する残基が、第2の核酸配列の同数の隣接する残基と水素結
合するであろうことを意味する。本明細書で使用される場合、「実質的な相補性」とは、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、
22、23、24、25、30、35、40、45、50、またはそれ以上のヌクレオチ
ドの領域にわたる、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90
%、95%、97%、98%、99%、または100%の相補性の程度を指すか、あるい
は厳格な条件下では、ハイブリダイズする2つの核酸を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、ハイブリダイゼーションの「厳格な条件」は、標的配列に
対して相補性を有する核酸が標的配列と主にハイブリダイズし、非標的配列と実質的にハ
イブリダイズしない条件を指す。厳格な条件は、一般に、配列に依存し、いくつかの要因
に応じて変化する。一般に、配列が長いほど、その配列がその標的配列に特異的にハイブ
リダイズする温度が高くなる。厳格な条件の非限定的な例は、当該技術分野で周知されて
いる(例えば、Tijssen,Laboratory techniques in
biochemistry and molecular biology-hybri
dization with nucleic acid probes,Second
Chapter“Overview of principles of hybri
dization and the strategy of nucleic aci
d probe assay,”Elsevier,N.Y,1993)。
【0036】
「ハイブリダイゼーション」とは、1つ以上のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオ
チド残基の塩基間の水素結合を介して安定化されている複合体を形成する反応を指す。水
素結合は、ワトソンクリック塩基対合、フーグスティーン結合、または任意の他の配列に
特異的な様式で起こり得る。複合体は、二重構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形
成する3本以上の鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組み合わせを
含んでもよい。ハイブリダイゼーション反応は、PCRの開始、または酵素によるポリヌ
クレオチドの切断など、より広範なプロセスにおけるステップを構成し得る。所与の配列
とハイブリダイズ可能な配列は、所与の配列の「補体」と称される。
【0037】
核酸は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、本開示の微生物に送達され得る
。例えば、核酸は裸の核酸として送達されてもよく、リポソーム等の1つ以上の薬剤とと
もに配合されてもよい。核酸は、必要に応じて、DNA、RNA、cDNA、またはそれ
らの組み合わせであってもよい。ある特定の実施形態では、制限阻害剤を使用してもよい
。追加のベクターには、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、コスミド、および
人工染色体が含まれ得る。一実施形態では、核酸は、プラスミドを使用して本開示の微生
物に送達される。例として、形質転換(形質導入またはトランスフェクションを含む)は
、エレクトロポレーション、超音波処理、ポリエチレングリコール媒介形質転換、化学的
または自然の能力、プロトプラスト形質転換、プロファージ誘発、または接合によって達
成され得る。活性制限酵素系を有するある特定の実施形態では、核酸を微生物に導入する
前に核酸をメチル化する必要があり得る。
【0038】
さらに、特定の核酸の発現を増加または制御するために、プロモータ等の調節エレメン
トを含むように核酸を設計してもよい。プロモータは、構成的プロモータまたは誘導性プ
ロモータであり得る。理想的には、プロモータは、ウッド-ユングダール経路プロモータ
、フェレドキシンプロモータ、ピルビン酸:フェレドキシン酸化還元酵素プロモータ、R
nf複合オペロンプロモータ、ATPシンターゼオペロンプロモータ、またはホスホトラ
ンスアセチラーゼ/酢酸キナーゼオペロンプロモータである。
【0039】
「微生物」は、微小な生物、特に細菌、古細菌、ウイルス、または真菌である。本開示
の微生物は、典型的に細菌である。本明細書で使用される場合、「微生物」の記載は、「
細菌」を包含するものと解釈されるべきである。
【0040】
「親微生物」は、本開示の微生物を生成するために使用される微生物である。親微生物
は、天然に存在する微生物(すなわち、野生型微生物)または以前に修飾されたことのあ
る微生物(すなわち、変異体または組換え微生物)であり得る。本開示の微生物は、親微
生物において発現または過剰発現しなかった1つ以上の酵素を発現または過剰発現するよ
うに修飾され得る。同様に、本開示の微生物は、親微生物が含有しなかった1つ以上の遺
伝子を含有するように修飾され得る。本開示の微生物は、また、親微生物において発現さ
れた1つ以上の酵素を発現しないまたはより少ない量を発現させるように修飾され得る。
一実施形態において、親微生物は、Clostridium autoethanoge
num、Clostridium ljungdahlii、またはClostridi
um ragsdaleiである。一実施形態では、親微生物は、ブダペスト条約の条項
下で2010年6月7日に
【数1】

D-38124 Braunschwieg,Germanyに位置するDeutsch
e Sammlung von Mikroorganismen und Zellk
ulturen GmbH(DSMZ)に寄託され、受託番号DSM23693を付与さ
れたClostridium autoethanogenum LZ1561である。
この株については、国際特許出願第PCT/NZ2011/000144号に記載されて
おり、WO2012/015317として公開される。
【0041】
「から由来する」という用語は、核酸、タンパク質、または微生物が異なる(例えば、
親または野生型)核酸、タンパク質、または微生物から修飾または適合されて、新しい核
酸、タンパク質、または微生物を生成することを示す。そのような修飾または適合は、一
般に、核酸または遺伝子の挿入、欠失、変異、または置換を含む。一般に、本開示の微生
物は、親微生物に由来する。一実施形態では、本開示の微生物は、Clostridiu
m autoethanogenum、Clostridium ljungdahli
i、またはClostridium ragsdaleiに由来する。一実施形態では、
本開示の微生物は、DSMZ受託番号DSM23693の下で寄託される、Clostr
idium autoethanogenum LZ1561に由来する。
【0042】
本開示の微生物は、機能特徴に基づいてさらに分類され得る。例えば、本開示の微生物
は、C1固定微生物、嫌気性菌、アセトゲン、エタノロゲン、カルボキシド栄養生物、お
よび/またはメタン資化性菌であり得るか、またはそれらに由来し得る。表1は、微生物
の代表的なリストを提供し、微生物の機能特徴を特定する。
【表1】
【0043】
「Wood-Ljungdahl」とは、例えば、Ragsdale,Biochim
Biophys Acta,1784:1873-1898,2008に記載されてい
る炭素固定のWood-Ljungdahl経路を指す。「Wood-Ljungdah
l微生物」は、予想通り、Wood-Ljungdahl経路を含む微生物を指す。一般
に、本開示の微生物は天然のWood-Ljungdahl経路を含有する。本明細書で
は、Wood-Ljungdahl経路は、天然の未修飾のWood-Ljungdah
l経路であってもよく、またはCO、CO、および/もしくはHをアセチル-CoA
に変換するように依然として機能する限り、ある程度の遺伝子修飾(例えば、過剰発現、
異種発現、遺伝子欠損など)を有するWood-Ljungdahl経路であってもよい
【0044】
「C1」は、1炭素分子、例えば、CO、CO、CH、またはCHOHを指す。
「C1酸素化物」は、少なくとも1つの酸素原子も含む1炭素分子、例えば、CO、CO
、またはCHOHを指す。「C1炭素源」は、本開示の微生物のための部分的または
唯一の炭素源として機能する1炭素分子を指す。例えば、C1炭素源は、CO、CO2、
CH、CHOH、またはCHのうちの1つ以上を含み得る。好ましくは、C1
炭素源は、COおよびCOのうちの1方または両方を含む。「C1固定微生物」は、C
1炭素源から1つ以上の生成物を生成する能力を有する微生物である。典型的に、本開示
の微生物はC1固定細菌である。一実施形態では、本開示の微生物は、表1で特定される
C1固定微生物に由来する。
【0045】
「嫌気性菌」は、増殖のために酸素を必要としない微生物である。嫌気性菌は、酸素が
特定の閾値を超えて存在する場合、負の反応を起こし得るか、もしくは死滅し得る。しか
しながら、いくつかの嫌気性菌は、低レベルの酸素(例えば、0.000001~5%の
酸素)を許容可能である。典型的に、本開示の微生物は嫌気性菌である。一実施形態では
、本開示の微生物は、表1で特定される嫌気性菌に由来する。
【0046】
「アセトゲン」は、エネルギー節約のため、およびアセテートなどのアセチル-CoA
およびアセチル-CoA由来生成物の合成のためのその主要機構としてWood-Lju
ngdahl経路を使用する、偏性嫌気性細菌である(Ragsdale,Biochi
m Biophys Acta,1784:1873-1898,2008)。特に、ア
セトゲンはWood-Ljungdahl経路を、(1)COからのアセチルCoAの
還元的合成のメカニズム、(2)末端電子受容、エネルギー節約プロセス、(3)セル炭
素の合成におけるCOの固定(同化)のメカニズム(Drake、Acetogeni
c Prokaryotes、In:The Prokaryotes、3rd edi
tion、p.354、New York、NY、2006)として使用する。天然に存
在するすべてのアセトゲンは、C1固定、嫌気性、独立栄養性、および非メタン資化性で
ある。典型的に、本開示の微生物はアセトゲンである。一実施形態では、本開示の微生物
は、表1で特定されるアセトゲンに由来する。
【0047】
「エタノロゲン(ethanologen)」は、エタノールを産生する、または産生
することが可能である微生物である。典型的に、本開示の微生物はエタノロゲンである。
一実施形態では、本開示の微生物は、表1で特定されるエタノロゲンに由来する。
【0048】
「独立栄養生物」は、有機炭素の不在下で増殖することが可能な微生物である。代わり
に、独立栄養生物は、COおよび/またはCOなどの無機炭素源を使用する。典型的に
、本開示の微生物は独立栄養生物である。一実施形態では、本開示の微生物は、表1で特
定される独立栄養生物に由来する。
【0049】
「カルボキシド栄養生物」は、炭素およびエネルギーの唯一の供給源としてCOを利用
することが可能な微生物である。典型的に、本開示の微生物はカルボキシド栄養生物であ
る。一実施形態では、本開示の微生物は、表1で特定されるカルボキシド栄養生物に由来
する。
【0050】
「メタン資化性菌」は、炭素およびエネルギーの唯一の供給源としてメタンを利用する
ことが可能な微生物である。特定の実施形態では、本開示の微生物は、メタン資化性菌で
あるか、またはメタン資化性菌から誘導される。他の実施形態では、本開示の微生物は、
メタン資化性菌ではないか、メタン資化性菌から誘導されない。
【0051】
より広くは、本開示の微生物は、表1で特定される任意の属または種に由来し得る。例
えば、微生物は、Acetobacterium、Alkalibaculum、Bla
utia、Butyribacterium、Clostridium、Eubacte
rium、Moorella、Oxobacter、Sporomusa、およびThe
rmoanaerobacterからなる群から選択される属のメンバーであり得る。具
体的には、微生物は、Acetobacterium woodii、Alkaliba
culum bacchii、Blautia producta、Butyribac
terium methylotrophicum、Clostridium acet
icum、Clostridium autoethanogenum、Clostri
dium carboxidivorans、Clostridium coskati
i、Clostridium drakei、Clostridium formico
aceticum、Clostridium ljungdahlii、Clostri
dium magnum、Clostridium ragsdalei、Clostr
idium scatologenes、Eubacterium limosum、M
oorella thermautotrophica、Moorella therm
oacetica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa o
vata、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sph
aeroides、およびThermoanaerobacter kivuiからなる
群から選択される親細菌に由来し得る。
【0052】
一実施形態では、本開示の微生物は、Clostridium autoethano
genum種、Clostridium ljungdahlii種、およびClost
ridium ragsdalei種を含むClostridiaのクラスターに由来し
得る。これらの種は、Abrini,Arch Microbiol,161:345-
351,1994(Clostridium autoethanogenum)、Ta
nner,Int J System Bacteriol,43:232-236,1
993(Clostridium ljungdahlii)、およびHuhnke,W
O2008/028055(Clostridium ragsdalei)によって初
めて報告され、かつ特徴付けられた。
【0053】
これら3つの種は、多くの類似点を有する。特に、これらの種はすべて、Clostr
idium属のC1固定、嫌気性、アセトゲン系、エタノロゲン系、およびカルボキシド
栄養性のメンバーである。これらの種は、類似の遺伝子型および表現型ならびにエネルギ
ー節約および発酵代謝のモードを有する。さらには、これらの種は、99%超の同一であ
る16S rRNA DNAを有するclostridial rRNAホモロジー群I
内に群生し、約22~30mol%のDNA G+C含有量を有し、グラム陽性であり、
同様の形態およびサイズを有し(0.5~0.7×3~5μmの対数増殖細胞)、中温性
であり(30~37℃で最適に増殖する)、約4~7.5の同様のpH範囲を有し(約5
.5~6の最適pHを有する)、シトクロムを欠いており、Rnf複合体を介してエネル
ギーを節約する。また、カルボン酸のそれらの対応するアルコールへの還元が、これらの
種において示されている(Perez,Biotechnol Bioeng,110:
1066-1077,2012)。重要なことに、これらの種はまた、すべて、CO含有
ガスで強い独立栄養性増殖を示し、主要な発酵生成物としてエタノールおよびアセテート
(または酢酸)を生成し、特定の条件下で少量の2,3-ブタンジオールおよび乳酸を生
成する。
【0054】
しかしながら、これら3つの種は、いくつかの違いも有する。これらの種は、Clos
tridium autoethanogenumはウサギの腸から、Clostrid
ium ljungdahliiは養鶏場の廃棄物から、およびClostridium
ragsdaleiは淡水堆積物からというように、異なる供給源から単離された。こ
れらの種は、様々な糖(例えば、ラムノース、アラビノース)、酸(例えば、グルコン酸
、クエン酸)、アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン)、および他の基質(例えば
、べタイン、ブタノール)の利用において異なる。さらに、これらの種は、特定のビタミ
ン(例えば、チアミン、ビオチン)に対する栄養要求性において異なる。これらの種は、
ウッド・ユングダール経路遺伝子およびタンパク質の核酸およびアミノ酸配列において違
いを有するが、これらの遺伝子およびタンパク質の一般的構成および数は、すべての種に
おいて同じであることが分かっている(Kopke,Curr Opin Biotec
hnol,22:320-325,2011)。
【0055】
したがって、要約すると、Clostridium autoethanogenum
、Clostridium ljungdahlii、またはClostridium
ragsdaleiの特徴の多くは、その種に特異的ではなく、むしろClostrid
ium属の、C1固定、嫌気性、アセトゲン系、エタノロゲン系、およびカルボキシド栄
養性のメンバーのこのクラスターについて一般的な特徴である。しかしながら、これらの
種は、実際は、全く異なるため、これらの種のうちの1つの遺伝子改変または操作は、こ
れらの種のうちの別のものにおいては同一の効果を有しない場合がある。例えば、増殖、
性能、または生成物産生における違いが観察され得る。
【0056】
本開示の微生物は、Clostridium autoethanogenum、Cl
ostridium ljungdahlii、またはClostridium rag
sdaleiの分離株または変異体から得ることもできる。Clostridium a
utoethanogenumの分離株および変異体としては、JA1-1(DSM10
061)(Abrini,Arch Microbiol,161:345-351,1
994)、LZ1560(DSM19630)(WO2009/064200)、および
LZ1561(DSM23693)(WO2012/015317)が挙げられる。Cl
ostridium ljungdahliiの分離株および変異体としては、ATCC
49587(Tanner,Int J Syst Bacteriol,43:232
-236,1993)、PETCT(DSM13528、ATCC55383)、ERI
-2(ATCC55380)(US5,593,886)、C-01(ATCC5598
8)(US6,368,819)、O-52(ATCC55989)(US6,368,
819)、およびOTA-1(Tirado-Acevedo,Production
of bioethanol from synthesis gas using C
lostridium ljungdahlii,PhD thesis,North
Carolina State University,2010)が挙げられる。Cl
ostridium ragsdaleiの分離株および変異体には、PI 1(ATC
C BAA-622、ATCC PTA-7826)(WO2008/028055)が
含まれる。
【0057】
「基質」は、本開示の微生物のための炭素および/またはエネルギー源を指す。一般に
、基質は、ガス状であり、C1炭素源、例えば、CO、CO、および/またはCH
含む。好ましくは、基質は、COまたはCO+COのC1炭素源を含む。基質は、H
、N、または電子などの他の非炭素構成成分をさらに含み得る。
【0058】
基質は、概して、約1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、
90、または100モル%のCOなどの少なくともいくらかの量のCOを含む。基質は、
約20~80、30~70、または40~60モル%のCOなど、ある範囲のCOを含み
得る。好ましくは、基質は、約40~70モル%のCO(例えば、製鋼所または高炉ガス
)、約20~30モル%のCO(例えば、塩基性酸素転炉ガス)、または約15~45モ
ル%のCO(例えば、合成ガス)を含む。いくつかの実施形態では、基質は、約1~10
または1~20モル%のCOなどの比較的低い量のCOを含み得る。本開示の微生物は、
典型的には、基質中のCOの少なくとも一部分を生成物に変換する。いくつかの実施形態
では、基質は、COを含まないか、または実質的に含まない(1モル%未満)。
【0059】
基質は、いくらかの量のHを含み得る。例えば、基質は、約1、2、5、10、15
、20、または30モル%のHを含み得る。いくつかの実施形態では、基質は、約60
、70、80、または90モル%のHなど、比較的多量のHを含み得る。さらなる実
施形態では、基質は、Hを含まないか、または実質的に含まない(1モル%未満)。
【0060】
基質は、いくらかの量のCOを含み得る。例えば、基質は、約1~80または1~3
0モル%のCOを含み得る。いくつかの実施形態において、基質は、約20、15、1
0、または5モル%未満のCOを含み得る。別の実施形態において、基質は、CO
含まないか、または実質的に含まない(1モル%未満)。
【0061】
基質は典型的にはガス状であるが、基質はまた、代替的な形態で提供されてもよい。例
えば、基質は、マイクロバブル分散物発生装置を使用して、CO含有ガスで飽和した液体
中に溶解されてもよい。さらなる例として、基質は、固体支持体上に吸着されてもよい。
【0062】
基質および/またはC1炭素源は、自動車の排出ガスまたはバイオマスガス化からなど
、産業プロセスの副産物として得られる、または何らかの他の源からの廃ガスであっても
よい。特定の実施形態において、産業プロセスは、鉄鋼製造などの鉄金属生成物製造、非
鉄金属生成物製造、石油精製、石炭ガス化、電力生成、カーボンブラック生成、アンモニ
ア生成、メタノール生成、およびコークス製造からなる群から選択される。これらの実施
形態では、基質および/またはC1炭素源は、任意の簡便な方法を使用して、それが大気
中に放出される前に産業プロセスから捕捉されてもよい。
【0063】
基質および/またはC1炭素源は、石炭もしくは精錬残渣のガス化、バイオマスもしく
はリグノセルロース材料のガス化、または天然ガスの改質によって得られる合成ガスなど
、合成ガスであってもよい。別の実施形態では、合成ガスは、都市固形廃棄物または産業
固形廃棄物のガス化から得られてもよい。
【0064】
基質の組成は、反応の効率および/またはコストに著しい影響を及ぼし得る。例えば、
酸素(O)の存在は、嫌気性発酵プロセスの効率を低減させ得る。基質の組成に応じて
、基質を処理、スクラブ、または濾過して、毒素、望ましくない構成成分、またはちり粒
子等のいかなる望ましくない不純物も除去すること、および/または所望の構成成分の濃
度を増加させることが望ましくあり得る。
【0065】
特定の実施形態では、水素の存在は、発酵プロセスの全体的に改善された効率をもたら
す。
【0066】
合成ガスの組成を改善して、所望のまたは最適なH:CO:CO比を提供すること
ができる。合成ガスの組成を、ガス化プロセスに供給される原料を調整することによって
改善してもよい。望ましいH:CO:CO比は、発酵プロセスの所望の発酵生成物に
依存する。エタノールの場合、最適なH:CO:CO比は、
【数2】

のようになり、ここでx>2yであり、エタノール生成の化学量論を満たすために、以下
のようになる。
【数3】
【0067】
水素の存在下で発酵プロセスを操作することには、発酵プロセスによって生成されるC
の量が低減されるというさらなる利点がある。例えば、最小限のHを含むガス状基
質は、一般に、以下の化学量論[6CO+3HO→COH+4CO]に従って
、エタノールおよびCOを生成するであろう。C1固定細菌によって利用される水素の
量が増加すると、生成されるCOの量は減少する[例えば、2CO+4H→C
OH+HO]。
【0068】
COがエタノール生成の唯一の炭素およびエネルギー源である場合、以下のように炭素
の一部がCOに失われる:
6CO+3HO→COH+4CO(ΔG°=-224.90kJ/mo
lエタノール)
【0069】
基質で利用可能なHの量が増加すると、生成されるCOの量は減少する。化学量論
比が2:1(H:CO)の場合、COの生成は完全に回避される。
5CO+1H+2HO→1COH+3CO(ΔG°=-204.80k
J/molエタノール)
4CO+2H+1HO→1COH+2CO(ΔG°=-184.70k
J/molエタノール)
3CO+3H→1COH+1CO(ΔG°=-164.60k
J/molエタノール)
【0070】
「流」とは、例えば、あるプロセスから別のプロセスへ、あるモジュールから別のモジ
ュールへ、および/またはあるプロセスから炭素捕捉手段へ送ることが可能な任意の基質
を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「反応物質」とは、化学反応中の変化に関与し、化学反応
中に変化する物質を指す。特定の実施形態では、反応物質としては、COおよび/または
H2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用される場合、「微生物阻害剤」とは、微生物を含む特定の化学反応また
は別のプロセスを減速または防止する1つ以上の構成要素を指す。特定の実施形態では、
微生物阻害剤としては、酸素(O2)、シアン化水素(HCN)、アセチレン(C
)、およびBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)が挙げられるが
、これらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用される場合、「触媒阻害剤」、「吸着性阻害剤」などは、化学反応の速
度を低下させるか、または化学反応を防止する1つ以上の物質を指す。特定の実施形態で
は、触媒阻害剤および/または吸着阻害剤としては、硫化水素(HS)および硫化カル
ボニル(COS)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0074】
「除去プロセス」、「除去モジュール」、「洗浄モジュール」などとしては、ガス流か
らの微生物阻害剤および/または触媒阻害剤の変換および/または除去のいずれかを行う
ことができる技術が挙げられる。特定の実施形態では、下流の除去モジュールにおける1
つ以上の触媒の阻害を防止するために、触媒阻害剤を上流の除去モジュールによって除去
する必要がある。
【0075】
本明細書で使用される場合、「構成要素」、「汚染物質」などの用語は、ガス流中に見
られ得る微生物阻害剤および/または触媒阻害剤を指す。特定の実施形態では、構成要素
としては、硫黄化合物、芳香族化合物、アルキン、アルケン、アルカン、オレフィン、窒
素化合物、リン含有化合物、微粒子状物質、固形物、酸素、ハロゲン化化合物、ケイ素含
有化合物、カルボニル、金属、アルコール、エステル、ケトン、過酸化物、アルデヒド、
エーテル、およびタールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
「処理済みガス」、「処理済み流」などの用語は、少なくとも1つの除去モジュールを
通過し、かつ1つ以上の構成要素が除去および/または変換されたガス流を指す。
【0077】
「所望の組成」という用語は、例えば、合成ガスを含むがこれに限定されないガス流な
どの物質における構成成分の所望のレベルおよび種類を指すために使用される。より具体
的には、ガスは、これが特定の構成成分(例えば、CO、H、および/またはCO
を含有し、かつ/または特定の構成成分を特定の割合で含有し、かつ/または特定の構成
成分(例えば、微生物に有害な汚染物質)を含有せず、かつ/または特定の構成成分を特
定の割合で含有しない場合、「所望の組成」を有すると考えられる。ガス流が所望の組成
を有しているかどうかを決定する際に、2つ以上の成分が考慮され得る。
【0078】
基質の組成は、反応の効率および/またはコストに著しい影響を及ぼし得る。例えば、
酸素(O)の存在は、嫌気性発酵プロセスの効率を低減させ得る。基質の組成に応じて
、基質を処理、スクラブ、または濾過して、毒素、望ましくない構成成分、またはちり粒
子等のいかなる望ましくない不純物も除去すること、および/または所望の構成成分の濃
度を増加させることが望ましくあり得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「炭素捕捉」という用語は、COおよび/もしくはCO
を含む流からのCOおよび/もしくはCOを含む炭素化合物の隔離、ならびに
COおよび/もしくはCOを生成物に変換すること、または
COおよび/もしくはCOを長期貯蔵に好適な物質に変換すること、または
COおよび/もしくはCOを長期貯蔵に好適な物質中に閉じ込めること、または
これらのプロセスの組み合わせのいずれかを指す。
【0080】
特定の実施形態では、発酵は、糖、デンプン、リグニン、セルロース、またはヘミセル
ロースなどの炭水化物基質の不在下で実施される。
【0081】
本開示の微生物は、1つ以上の生成物を生成するようにガス流とともに培養され得る。
例えば、本開示の微生物は、エタノール(WO2007/117157)、アセテート(
WO2007/117157)、1-ブタノール(WO2008/115080、WO2
012/053905、およびWO2017/066498)、ブチレート(WO200
8/115080)、2,3-ブタンジオール(WO2009/151342およびWO
2016/094334)、ラクテート(WO2011/112103)、ブテン(WO
2012/024522)、ブタジエン(WO2012/024522)、メチルエチル
ケトン(2-ブタノン)(WO2012/024522およびWO2013/18512
3)、エチレン(WO2012/026833)、アセトン(WO2012/11552
7)、イソプロパノール(WO2012/115527)、脂質(WO2013/036
147)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)(WO2013/180581)
、テルペン、例えば、イソプレン(WO2013/180584)、脂肪酸(WO201
3/191567)、2-ブタノール(WO2013/185123)、1,2-プロパ
ンジオール(WO2014/036152)、1-プロパノール(WO2014/036
152およびWO2017/066498)、1-ヘキサノール(WO2017/066
498)、1-オクタノール(WO2017/066498)、コリスメート由来生成物
(WO2016/191625)、3-ヒドロキシブチレート(WO2017/0664
98)、1,3-ブタンジオール(WO2017/066498)、2-ヒドロキシイソ
ブチレートまたは2-ヒドロキシイソ酪酸(WO2017/066498)、イソブチレ
ン(WO2017/066498)、アジピン酸(WO2017/066498)、1,
3-ヘキサンジオール(WO2017/066498)、3-メチル-2-ブタノール(
WO2017/066498)、2-ブテン-1-オール(WO2017/066498
)、イソバレレート(WO2017/066498)、イソアミルアルコール(WO20
17/066498)、およびモノエチレングリコール(WO2019/126400)
を生成し得るか、これらを生成するために操作され得る。特定の実施形態では、微生物バ
イオマス自体が生成物とみなされ得る。これらの生成物はさらに変換されて、ディーゼル
、ジェット燃料、および/またはガソリンのうちの少なくとも1つの構成成分を生成し得
る。加えて、微生物バイオマスはさらに処理されて、単細胞タンパク質(SCP)を生成
し得る。
【0082】
「単細胞タンパク質」(SCP)は、タンパク質が豊富なヒトおよび/または動物用飼
料に使用され得る微生物バイオマスを指し、多くの場合、大豆または魚粉などの従来のタ
ンパク質補給源に取って代わる。単細胞タンパク質または他の生成物を生成するために、
プロセスは、追加の分離、加工、または処理ステップを含み得る。例えば、本方法は、微
生物バイオマスを滅菌すること、微生物バイオマスを遠心分離すること、および/または
微生物バイオマスを乾燥させることを含み得る。特定の実施形態では、微生物バイオマス
は、噴霧乾燥またはパドル乾燥を使用して乾燥される。核酸含有量の高い食事を摂取する
と、核酸分解生成物の蓄積および/または胃腸障害が生じ得るため、本方法は、当技術分
野で既知の任意の方法を使用して、微生物バイオマスの核酸含有量を低減させることも含
み得る。単細胞タンパク質は、家畜やペットなどの動物への給餌に好適であり得る。特に
、動物用飼料は、1頭以上の肉用牛、乳用牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラバ、ロバ、
シカ、バッファロー/バイソン、ラマ、アルパカ、トナカイ、ラクダ、バンテン、ガヤル
、ヤク、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、ホロホロドリ、ひなバ
ト/ハト、サカナ、エビ、甲殻類、ネコ、イヌ、およびげっ歯類に給餌するのに好適であ
り得る。動物用飼料の組成は、異なる動物の栄養要件に合わせて調整され得る。さらに、
プロセスは、微生物バイオマスを1つ以上の賦形剤と混合することまたは組み合わせるこ
とを含み得る。
【0083】
「賦形剤」は、動物用飼料の形態、特性、または栄養含有量を強化または変更するため
に、微生物バイオマスに添加され得る任意の物質を指し得る。例えば、賦形剤は、炭水化
物、繊維、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、水、香料、甘味料、酸化防止剤、酵
素、防腐剤、プロバイオティクス、または抗生物質のうちの1つ以上を含み得る。いくつ
かの実施形態では、賦形剤は、干し草、わら、貯蔵生牧草、穀物、油もしくは脂肪、また
は他の植物材料であってもよい。賦形剤は、Chiba,Section 18:Die
t Formulation and Common Feed Ingredient
s,Animal Nutrition Handbook,3rd revision
,pages 575-633,2014に特定される、任意の飼料成分であり得る。
【0084】
「天然生成物」は、遺伝子組換えされない微生物によって生成された生成物である。例
えば、エタノール、アセテート、および2,3-ブタンジオールは、Clostridi
um autoethanogenum、Clostridium ljungdahl
ii、およびClostridium ragsdaleiの天然生成物である。「非天
然生成物」は、遺伝子組換えされた微生物によって生成されるが、遺伝子組換えされた微
生物が由来する遺伝子組換えされない微生物によって生成されない生成物である。
【0085】
「選択性」は、微生物によって生成される全発酵生成物の生成に対する標的生成物の生
成の比率を指す。本開示の微生物は、ある特定の選択性で、または最小の選択性で生成物
を生成するように操作され得る。一実施形態では、標的生成物は、本開示の微生物によっ
て生成される全発酵生成物の少なくとも約5%、10%、15%、20%、30%、50
%、または75%を占める。一実施形態では、標的生成物は、本開示の微生物が少なくと
も10%の標的生成物に対して選択性を有するように、本開示の微生物によって生成され
る全発酵生成物の少なくとも10%を占める。別の実施形態では、標的生成物は、本開示
の微生物が少なくとも30%の標的生成物に対して選択性を有するように、本開示の微生
物によって生成される全発酵生成物の少なくとも30%を占める。
【0086】
「効率を増大させること」、「増大した効率」などは、増殖速度、生成物生成速度もし
くは体積、消費される基質の体積当たりの生成物体積、または生成物選択性を増大させる
ことを含むが、これらに限定されない。効率は、本開示の微生物が由来する親微生物の性
能に対して測定され得る。
【0087】
典型的には、培養は、バイオリアクター中で実行される。「バイオリアクター」という
用語は、連続撹拌槽反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド
反応器(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサ、またはガス-液体接触に好
適な他の容器もしくは他のデバイスなどの1つ以上の容器、塔、または配管配置からなる
培養/発酵デバイスを含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、第1の増殖
反応器および第2の培養/発酵反応器を含み得る。基質は、これらの反応器のうちの一方
または両方に提供され得る。本明細書で使用する場合、「培養」および「発酵」という用
語は、交換可能に使用される。これらの用語は、培養/発酵プロセスの増殖期および生成
物生合成期の両方を包含する。
【0088】
培養物は概して、微生物の増殖を可能にするのに十分な栄養素、ビタミン、および/ま
たは無機物を含有する水性培地中で維持される。好ましくは、水性培養培地は、最小嫌気
性微生物増殖培地などの嫌気性微生物増殖培地である。好適な培地は、当該技術分野にお
いて周知である。
【0089】
培養/発酵は、望ましくは、標的生成物の生成に適切な条件下で実施されるべきである
。典型的に、培養/発酵は、嫌気性条件下で実施される。考慮すべき反応条件は、圧力(
または分圧)、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連
続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のガスが制限的にならないことを
確実にするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最大生成物濃度
を含む。特に、基質の導入速度は、生成物がガス制限条件下での培養によって消費され得
るため、液相中のガスの濃度が制限的にならないことを確実にするように制御されてもよ
い。
【0090】
上昇した圧力でバイオリアクターを操作することは、気相から液相へのガス物質移動の
増加した速度を可能にする。したがって、概して、大気圧よりも高い圧力で培養/発酵を
実施することが好ましい。また、所与のガス変換速度が部分的に基質保持時間の関数であ
り、かつ保持時間がバイオリアクターの必要な容積を示すため、加圧システムの使用は、
必要なバイオリアクターの容積、およびその結果として培養/発酵装置の資本コストを大
幅に削減することができる。これはさらに、バイオリアクター中の液体体積を入力ガス流
量で除算したものとして定義される保持時間が、バイオリアクターが大気圧よりも上昇し
た圧力に維持されるときに減少され得ることを意味する。最適反応条件は、使用される特
定の微生物に部分的に依存する。しかしながら、一般的には、大気圧より高い圧力で発酵
を行うことが好ましい。また、所与のガス変換速度が部分的に基質保持時間の関数であり
、かつ所望の保持時間を達成することがバイオリアクターの必要な容積をさらに示すため
、加圧システムの使用は、必要なバイオリアクターの容積、およびその結果として発酵装
置の資本コストを大幅に削減することができる。
【0091】
特定の実施形態において、発酵は、光の不在下で、または光合成微生物のエネルギー要
求を満たすには不十分な量の光の存在下で行われる。特定の実施形態では、本開示の微生
物は、非光合成微生物である。
【0092】
本明細書で使用される場合、「発酵ブロス」または「ブロス」という用語は、細胞およ
び栄養培地、ならびに発酵生成物および副産物を含む、バイオリアクター内の構成成分の
混合物を指す。本明細書で使用される場合、「分離器」は、バイオリアクターから発酵ブ
ロスを受け取り、ブロスをフィルターに通して「保持液」および「透過液」を生成するよ
うに適合されたモジュールである。フィルターは、膜、例えば、クロスフロー膜または中
空繊維膜であり得る。「透過液」という用語は、分離器を通過するブロスの実質的に可溶
性の構成成分を指すために使用される。透過液は、典型的には、可溶性発酵生成物、副産
物、および栄養素を含有する。保持液は、典型的には、細胞を含有する。本明細書で使用
される場合、「ブロスブリード」という用語は、バイオリアクターから除去され、分離器
に通されない発酵ブロスの一部分を指すために使用される。
【0093】
標的生成物は、例えば、分留、蒸発、浸透蒸発、ガスストリッピング、相分離、および
、例えば、液-液抽出を含む抽出発酵など、当該技術分野で既知の任意の方法またはその
組み合わせを使用して、発酵ブロスから分離または精製され得る。特定の実施形態におい
て、標的生成物は、ブロスの一部分をバイオリアクターから連続的に取り出し、微生物細
胞をブロスから(濾過により簡便に)分離し、1つ以上の標的生成物をブロスから回収す
ることによって、発酵ブロスから回収される。アルコールおよび/またはアセトンは、例
えば、蒸留によって回収され得る。酸は、例えば、活性炭上での吸着によって回収され得
る。分離された微生物細胞は、好ましくは、バイオリアクターに再循環されて戻される。
標的生成物が取り出された後に残存している無細胞透過液も、好ましくは、バイオリアク
ターに戻される。追加の栄養素を、無細胞透過液に添加して、バイオリアクターに返送す
る前に、培地を補充し得る。
【0094】
一次微生物は、例えば、Acetobacterium、Alkalibaculum
、Blautia、Butyribacterium、Clostridium、Eub
acterium、Moorella、Oxobacter、Sporomusa、およ
びThermoanaerobacterからなる群から選択され得る。具体的には、一
次微生物は、Acetobacterium woodii、Alkalibaculu
m bacchii、Blautia producta、Butyribacteri
um methylotrophicum、Clostridium aceticum
、Clostridium autoethanogenum、Clostridium
carboxidivorans、Clostridium coskatii、Cl
ostridium drakei、Clostridium formicoacet
icum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium
magnum、Clostridium ragsdalei、Clostridiu
m scatologenes、Eubacterium limosum、Moore
lla thermautotrophica、Moorella thermoace
tica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ovata
、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphaero
ides、およびThermoanaerobacter kivuiからなる群から選
択される親細菌に由来し得る。一次微生物はまた、Acetitomaculum ru
minis、Acetoanaerobium noterae、Acetobacte
rium bakii、Acetobacterium carbinolicum、A
cetobacterium dehalogenans、Acetobacteriu
m fimetarium、Acetobacterium malicum、Acet
obacterium paludosum、Acetobacterium tund
rae、Acetobacterium wieringae、Acetobacter
ium woodii、Acetohalobium arabicum、Aceton
ema longum、Blautia coccoides、Blautia hyd
rogenotrophica、Blautia producta、Blautia
schinkii、Butyribacterium methylotrophicu
m、Clostridium aceticum、Clostridium autoe
thanogenum、Clostridium carboxidivorans、C
lostridium drakei、Clostridium formicoace
ticum、Clostridium glycolicum、Clostridium
ljungdahlii、 Clostridium magnum、Clostri
dium mayombei、Clostridium methoxybenzovo
rans、Clostridium ragsdalei、Clostridium s
catologenes、Eubacterium aggregans、Eubact
erium limosum、Morellla mulderi、Morella t
hermoacetica、Morella thermoautotrophica、
Oxobacter pfennigii、Sporomusa acidovoran
s、Sporomusa aerivorans、Sporomusa malonic
a、Sporomusa ovata、Sporomusa paucivorans、
Sporomusa rhizae、Sporomusa silvacetica、S
poromusa spaeroides、Sporomusa termitida、
Thermoacetogenium phaeum、Thermoanaerobac
ter kivui、Acetobacterium、Moorella、Moorel
la sp HUC22-1、Moorella thermoacetica、Clo
stridium、Clostridium carboxidivorans、Clo
stridium drakei、CIostridium acidiurici、P
yrococcus、Pyrococcus furiosus、Eubacteriu
m、Eubacterium limosum、Desulfobacterium、C
abroxydothermus、Acetogenium、Acetoanaerob
ium、Butyribaceterium、Butyribacterium met
hylotrophicum、Peptostreptococcus、Ruminoc
occus、Oxobacter、Oxobacter pfennigii、Meth
anosarcina、Carboxydothermus、Eubacterium
limosum、Desulfotomaculum orientis、Peptoc
occus glycinophilus、Peptococcus magnus、I
gnicoccus hospitalis、Thermoanaerobacter
kivui、およびThermoacetogenium phaeumからなる群から
も選択され得る。微生物はまた、Schiel-Bengelsdorf,FEBS L
etters 586:2191-2198,2012の表1からも選択され得る。一実
施形態では、一次微生物は、Acetobacterium woodiiである。別の
実施形態では、一次微生物は、Wood-Ljungdahl微生物である。「Wood
-Ljungdahl」とは、例えば、Ragsdale,Biochim Bioph
ys Acta,1784:1873-1898,2008に記載されている炭素固定の
Wood-Ljungdahl経路を指す。「Wood-Ljungdahl微生物」は
、予想通り、Wood-Ljungdahl経路を含む微生物を指す。一次微生物は、し
ばしば、Wood-Ljungdahl経路を含有している。
【0095】
別の実施形態では、一次微生物は、アセトゲンである。「アセトゲン」は、エネルギー
節約のため、およびアセテートなどのアセチル-CoAおよびアセチル-CoA由来生成
物の合成のためのその主要機構としてWood-Ljungdahl経路を使用する、偏
性嫌気性細菌である(Ragsdale,Biochim Biophys Acta,
1784:1873-1898,2008)。特に、アセトゲンはWood-Ljung
dahl経路を、(1)CO2からのアセチルCoAの還元的合成のメカニズム、(2)
末端電子受容、エネルギー節約プロセス、(3)セル炭素の合成におけるCO2の固定(
同化)のメカニズム(Drake,Acetogenic Prokaryotes,I
n:The Prokaryotes,3rd edition,p.354,New
York,NY,2006)として使用する。天然に存在するすべてのアセトゲンは、C
1固定、嫌気性、独立栄養性、および非メタン資化性である。
【0096】
一次微生物は、炭素および/またはエネルギーを提供する基質(「一次基質」)を消費
することができる。典型的には、一次基質は、ガス状であり、C1炭素源、例えば、CO
、CO、および/またはCHを含む。好ましくは、一次基質は、COまたはCO+C
のC1炭素源を含む。一次基質は、H、Nまたは電子などの他の非炭素構成成分
をさらに含み得る。
【0097】
実施形態では、一次基質は、COおよびHを含む。実施形態では、Hは、再生可
能なHである。例えば、一次基質は、約1~80または1~30モル%のCOを含み
得る。いくつかの実施形態では、一次基質は、約20、15、10、または5モル%未満
のCOを含み得る。例えば、一次基質は、約1、2、5、10、15、20、または3
0モル%のHを含み得る。いくつかの実施形態では、一次基質は、約60、70、80
、または90モル%のHなど、比較的多量のHを含み得る。一次基質は、いくらかの
量のCOおよび/またはいくらかの量の不活性ガス、例えば、Nも含み得る。
【0098】
一次基質は、産業プロセスの副産物として、または自動車の排気ガスやバイオマスガス
化などのいくつかの他の供給源から、得られる廃ガスであり得る。特定の実施形態では、
産業プロセスは、鉄鋼製造などの鉄金属生成物製造、非鉄金属生成物製造、石油精製、石
炭ガス化、電力生成、カーボンブラック生成、アンモニア生成、メタノール生成、および
コークス製造からなる群から選択される。これらの実施形態では、基質および/またはC
1炭素源は、任意の簡便な方法を使用して、それが大気中に放出される前に産業プロセス
から捕捉されてもよい。
【0099】
一次基質はまた、合成ガス、例えば、石炭または製油所の残留物のガス化、バイオマス
またはリグノセルロース材料のガス化、または天然ガスの改質によって得られる合成ガス
でもあり得る。別の実施形態では、合成ガスは、都市固形廃棄物または産業固形廃棄物の
ガス化から得られてもよい。
【0100】
基質の組成は、反応の効率および/またはコストに著しい影響を及ぼし得る。例えば、
酸素(O)の存在は、嫌気性発酵プロセスの効率を低減させる可能性があり、しばしば
、発酵は嫌気性となる。基質の組成に応じて、基質を処理、スクラブ、または濾過して、
毒素、望ましくない構成成分、またはちり粒子等のいかなる望ましくない不純物も除去す
ること、および/または所望の構成成分の濃度を増加させることが望ましくあり得る。
【0101】
特定の実施形態では、発酵は、糖、デンプン、リグニン、セルロース、またはヘミセル
ロースなどの炭水化物基質の不在下で実施される。
【0102】
発酵によって、少なくとも1つの生成物(「生成物」)が生成される。典型的には、こ
の生成物はアセテートであるが、発酵によって、エタノールおよびラクテートなどの追加
の生成物も生成され得る。微生物バイオマスもまた、動物用飼料および肥料に適用できる
可能性を有するため、生成物とみなすことができる。重要なことに、「アセテート」およ
び「酢酸」という用語は、本明細書では互換的に使用され得、「ラクテート」および「乳
酸」は、本明細書では互換的に使用され得る。次に、生成物を分離し、発酵ブロスから回
収する必要がある。
【0103】
「発酵」という用語は、基質に化学変化をもたらす代謝プロセスとして解釈されるべき
である。例えば、発酵プロセスは、1つ以上の基質を受け取り、1つ以上の微生物の利用
を介して1つ以上の生成物を生成する。「発酵」という用語は、1つ以上の基質を受け取
り、1つ以上の微生物を利用して1つ以上の生成物を生成するプロセスと解釈されるべき
である。しばしば、発酵プロセスは、1つ以上のバイオリアクターの使用を含む。発酵プ
ロセスは、「バッチ」または「連続」のいずれかとして説明され得る。「バッチ発酵」は
、バイオリアクターが微生物とともに原材料、すなわち炭素源で満たされ、発酵が完了す
るまで生成物がバイオリアクター内に留まる発酵プロセスを説明するために使用される。
「バッチ」プロセスでは、発酵が完了した後に、生成物を抽出し、次の「バッチ」が始ま
る前にバイオリアクターを洗浄する。「連続発酵」は、発酵プロセスがより長期間にわた
って延長され、発酵中に生成物および/または代謝物が抽出される発酵プロセスを説明す
るために使用される。好ましくは、発酵プロセスは連続的である。典型的には、培養は、
バイオリアクター中で実行される。「バイオリアクター」という用語は、連続撹拌槽反応
器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド反応器(TBR)、気泡
塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサ、またはガス-液体接触に好適な他の容器もしくは他
のデバイスなどの1つ以上の容器、塔、または配管配置からなる培養/発酵デバイスを含
む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、第1の増殖反応器および第2の培養
/発酵反応器を含み得る。基質は、これらの反応器のうちの一方または両方に提供され得
る。本明細書で使用する場合、「培養」および「発酵」という用語は、交換可能に使用さ
れる。これらの用語は、培養/発酵プロセスの増殖期および生成物生合成期の両方を包含
する。
【0104】
培養物は概して、微生物の増殖を可能にするのに十分な栄養素、ビタミン、および/ま
たは無機物を含有する水性培地中で維持される。一実施形態では、水性培養培地は、最小
嫌気性微生物増殖培地などの嫌気性微生物増殖培地である。好適な培地は、当該技術分野
において周知である。
【0105】
培養/発酵は、望ましくは、標的生成物の生成に適切な条件下で実施されるべきである
。典型的に、培養/発酵は、嫌気性条件下で実施される。考慮すべき反応条件は、圧力(
または分圧)、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連
続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のガスが制限的にならないことを
確実にするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最大生成物濃度
を含む。特に、基質の導入速度は、生成物がガス制限条件下での培養によって消費され得
るため、液相中のガスの濃度が制限的にならないことを確実にするように制御されてもよ
い。
【0106】
標的生成物は、例えば、分留蒸留、蒸発、浸透蒸発、ガスストリッピング、相分離、お
よび例えば、液-液抽出を含む抽出発酵を含む、任意の方法または当該技術分野において
既知の方法の組み合わせを使用して、発酵ブロスから分離または精製することができる。
特定の実施形態において、標的生成物は、ブロスの一部分をバイオリアクターから連続的
に取り出し、微生物細胞をブロスから(濾過により簡便に)分離し、1つ以上の標的生成
物をブロスから回収することによって、発酵ブロスから回収される。アルコールおよび/
またはアセトンは、例えば、蒸留によって回収され得る。分離された微生物細胞は、好ま
しくは、バイオリアクターに再循環されて戻される。標的生成物が取り出された後に残存
している無細胞透過液も、好ましくは、バイオリアクターに戻される。追加の栄養素を、
無細胞透過液に添加して、バイオリアクターに返送する前に、培地を補充し得る。
【0107】
一実施形態では、アセテートおよび/またはラクテートは、イオン交換吸着の分離手法
を使用して発酵ブロスから回収される。本開示に記載されるプロセスは、微生物に影響を
与える可能性があるブロスのpHを実質的にシフトする必要なしに、酸の共役塩基を発酵
ブロスから分離することができるという利点を有する。このようにして、アセテートおよ
び/もしくはラクテート、または低分子量有機酸の別の共役塩基を生きたブロスから分離
することができ、生きた微生物を含有する生きたブロスをバイオリアクターに戻すことが
できる。具体的には、分離は、統合された消費床吸着および疑似移動床技術によって達成
される。
【0108】
吸着技術は、1つ以上の標的化合物を含有する可動液体流を静止相と相互作用させるこ
とによって分離する。吸着メカニズムの1つは、イオン交換樹脂を利用するイオン交換で
ある。イオン交換操作は、連続的に操作することができる。拡張床技術では、樹脂の床は
、上向きの供給の流れによって流動化され、結果として生じる床の空隙を介して、粒子状
バイオマスが床を詰まらせたり、イオン交換樹脂の床に閉じ込められたままになることな
く床を流れることができる。したがって、未清澄化の、または生の生きたブロスは、バイ
オマスが物理的に閉じ込められることなく、拡張床を通過し得る。一部の微生物は特定の
樹脂に親和性を有するため、樹脂の選択も重要である。したがって、樹脂は、分離のため
に標的分子とイオン交換するように選択され得、発酵ブロスの特定の微生物とも適合性で
なければならない。最後に、一実施形態では、拡張床は、疑似移動床モード(SMB)で
操作される。SMBは周知されており、最適な樹脂利用率および優れた分解を得るために
使用される。SMBでは、樹脂の流量は、流体の流れの方向に異なる入口ポートおよび出
口ポートを定期的にシフトすることによって疑似される。疑似移動床技術と統合された拡
張床吸着は、Chem.Eng.Technol.2018,41,No.12,239
3-2401に記載されている。
【0109】
本開示の清澄化または未清澄化発酵ブロスは、部分的または全体的に、イオン交換樹脂
を含む分離ユニットを通過し、疑似移動床モードで拡張吸着床として操作される。イオン
交換樹脂は、発酵ブロス中でアセテートもしくはラクテート、またはそれらの両方とイオ
ン交換するように選択される。イオン交換樹脂は、発酵ブロスの微生物と適合性があるよ
うにさらに選択される。適合性は、少なくとも部分的に、微生物の性質および樹脂に付着
または接着するその自然な傾向に基づく。微生物が樹脂に付着または接着しないイオン交
換樹脂が所望される。樹脂は、ゲルタイプまたはマクロ多孔質ポリスチレン樹脂などの多
孔質樹脂を含む任意の好適なタイプであり得る。イオン交換樹脂は、強陰イオン交換樹脂
タイプであり得る。強陰イオン交換樹脂のクラスの好適な例は、Bio Radから入手
可能なAG 1-X8およびAG 1-X2、Dowから入手可能なAmberlite
HPR9200 Cl、DuPontから入手可能なAmberlite IRA90
0 Cl、およびMitsubishi Chemicalから入手可能なDiaion
PA408Clの商品名で販売されている塩化物形態のものである。
【0110】
具体的な例としては、ガス基質の存在下でClostridium属の微生物の培養か
ら生じる発酵ブロスからのアセテートの分離、疑似移動床モードで操作される拡張吸着床
のイオン交換樹脂を使用する分離が挙げられる。別の具体的な例としては、ガス基質の存
在下でClostridium属の微生物の培養から生じるラクテートの分離、疑似移動
床モードで操作される拡張吸着床のイオン交換樹脂を使用する分離が挙げられる。別の具
体的な例としては、ガス基質の存在下でClostridium属の微生物の培養から生
じる発酵ブロスからのアセテートおよびラクテートの両方の分離、疑似移動床モードで操
作される拡張吸着床のイオン交換樹脂を使用する分離が挙げられる。アセテート、ラクテ
ート、またはそれらの両方は回収され得、イオン交換樹脂は選択されたイオン交換樹脂に
とって通常のように再生される。例えば、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方
は、ニトレートまたは塩化物を含有する溶液を使用して回収され得る。
【0111】
発酵ブロスは水性であるため、酢酸および乳酸は部分的にしか解離しない。したがって
、アセテートおよびラクテートがイオン交換によって除去された後、残りの酢酸およびま
たは乳酸は、発酵ブロスとともに再循環し、さらに解離して、イオン交換分離ステップを
さらに通過する際に分離および回収され得る追加のアセテートおよびラクテートを提供し
得る。用途の詳細に応じて、pH調整が必要になる場合がある。
【0112】
発酵ブロスからのアセテートを分離して回収すると、アセテートは、酢酸に変換され得
る。酢酸は、エチレンおよび酸素と触媒反応して、酢酸ビニルを形成することができる。
触媒は、パラジウム触媒であり得る。
2C2H2 + 2 CH3CO2H + O2 → 2CH3CO2CHCH2 +
2H2O
【0113】
一実施形態では、酢酸ビニルを形成するための反応に使用されるエチレンは、炭素酸化
物含有ガスのガス発酵の結果であるエタノールに少なくとも部分的に由来し得る。炭素酸
化物含有ガスは、上記の通りであり得る。
【0114】
酢酸ビニルは、酢酸ビニルモノマー(VAM)としても知られており、重合してポリ酢
酸ビニル(PVA)を生成するか、または重合および反応してポリビニルアルコールを形
成し得る。酢酸ビニルはまた、他のモノマーと重合して、エチレン-酢酸ビニル、酢酸ビ
ニル-アクリル酸、ポリ塩化酢酸ビニル、およびポリビニルピロリドンを含む様々なコポ
リマーを生成し得る。酢酸ビニルはまた、臭素と反応して二臭化物を形成し、ハロゲン化
水素と反応して1-酢酸ハロエチルを形成し、白金触媒の存在下で酢酸と反応して二酢酸
エチリデンを生成し得る。酢酸ビニルは、エステル交換反応を受けて、ビニルエーテルを
生成し得る。
【0115】
生物学的変換装置も本明細書に開示され、バイオリアクターシステムおよび上記の分離
ゾーンを備える。図1に目を向けると、入口104は、供給ライン106内のガス基質を
バイオリアクター102に導く。バイオリアクター102は、培養培地および微生物を含
有して、基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する。出口108は、培養培地、微生物
、生成物を含むバイオリアクターからの発酵ブロスがバイオリアクターから通過すること
を可能にする。分離ゾーン112の入口110は、出口108と流体連通している。分離
ゾーン112は、疑似移動床構成のイオン交換樹脂の拡張床を含む。分離ゾーン112で
は、生成物は、樹脂とイオン交換され、それによって床に保持される。微生物を含む発酵
ブロスの残りの部分は、イオン交換樹脂を介して出口118を通過し、ライン120を通
ってバイオリアクター102にリサイクルされて、バイオリアクター102の入口122
にリサイクルされ得る。分離ゾーンは、イオン交換樹脂を再生し、生成物を放出するため
に再生源と流体連通している入口114を有する。分離ゾーン112はまた、放出された
生成物を回収するための生成物の出口116を有する。場合によって、イオン交換プロセ
ス中にイオン交換樹脂から放出された対イオンは、バイオリアクターにリサイクルする前
に発酵ブロスから除去され得る。疑似移動床操作の詳細は知られており、本明細書では考
察しない。
【0116】
別の実施形態では、生物学的変換装置は、バイオリアクターシステムおよび上記の分離
ゾーン、ならびにバイオリアクターシステムと分離ゾーンとの間に配置された微生物バイ
オマス分離ゾーンを備える。この実施形態では、バイオリアクターの発酵ブロスの一部分
のみが、イオン交換樹脂を含む分離ゾーンに通される。微生物バイオマス分離ゾーンは、
膜分離などの手法を用いて、発酵ブロスの部分を含む微生物バイオマスを分離し、次に、
これはバイオリアクターにリサイクルされ得る。次に、発酵ブロスの残りは、イオン交換
樹脂を含む分離ゾーンに通され得る。イオン交換樹脂を含む分離ゾーンは、固定床モード
、2つ以上の固定床を使用するスイング床モード、疑似移動床モード、移動床モード、ま
たは他のモードなどの様々な異なる操作モードで操作され得る。
【0117】
イオン交換樹脂を含む分離ゾーンに発酵ブロスを通す前に微生物バイオマスを除去する
1つの利点は、分離ゾーンを介して処理される材料の量が低減するために、分離ゾーンの
サイズが低減され得ることである。別の利点は、イオン交換プロセス中にイオン交換樹脂
から放出される対イオンへの微生物バイオマスの曝露を容易かつ簡単に制御することであ
る。
【0118】
図2に目を向けると、入口204は、供給ライン206内のガス基質をバイオリアクタ
ー202に導く。バイオリアクター202は、培養培地および微生物を含有して、基質中
の炭素源を代謝し、生成物を生成する。出口208は、培養培地、微生物、生成物を含む
バイオリアクターからの発酵ブロスが、バイオリアクター202から導管222を通って
、微生物バイオマス分離ゾーン224を通過することを可能にする。微生物バイオマス分
離ゾーン224は、発酵ブロスの保持部分が微生物バイオマスを含有し、発酵ブロスの透
過部分が分離されるアセテートまたはラクテートなどの標的構成成分を含有する膜分離ゾ
ーンとして図2に示される。微生物バイオマスを含有する発酵ブロスの保持部分は、ライ
ン228でバイオリアクター202にリサイクルされる。アセテートなどの分離される生
成物を含有する発酵ブロスの透過部分は、微生物バイオマス分離ゾーン224からライン
226を介して分離ゾーン230に導かれる。他の微生物バイオマス分離手法を用いるこ
とができ、示された膜分離手法は単に例示的なものである。
【0119】
分離ゾーン230は、イオン交換樹脂の少なくとも1つの固定床を含む。分離ゾーン2
30がイオン交換樹脂の少なくとも2つの固定床を含むことが有利であり得、その結果、
一方の固定床がオンラインであり、他方が再生されている間に操作状態になり得る。生成
物は、樹脂とイオン交換され、それによって床に保持される。ライン226で、導かれた
発酵ブロスの部分は、分離ゾーン230に入り、イオン交換樹脂と接触し、そこで生成物
が樹脂とイオン交換され、それによって床に保持される。発酵ブロスの保持されていない
部分は、ここで樹脂からの対イオンをさらに含有し、イオン交換樹脂床を通過し、流出流
232の分離ゾーン230から除去され、処理のために処理ユニット234に送られて、
イオン交換樹脂の再生剤として使用される。処理は、ライン236を介して溶液を添加す
ることによって特定の対イオンを別の対イオンに有利に反応させて除き、ライン242で
あまり好ましくない対イオンを含有する反応生成物を除去することを含み得る。再生物は
、ライン238の分離ゾーン230に通されて、イオン交換樹脂と接触し、イオン交換樹
脂を再生し、所望の生成物を放出する。ここで分離された所望の生成物は、生成物回収ラ
イン240の分離ゾーン230から除去される。
【0120】
本明細書に列挙される公表文献、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各
参考文献があたかも参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、かつその
全体が本明細書中に記載された場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる
。本明細書中で任意の先行技術を参照することは、その先行技術が、あらゆる国における
努力分野の共通の一般知識の一部を形成していることを認めるものではなく、またそのよ
うに受け取られるべきでもない。
【0121】
本開示を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a
」および「an」および「the」という用語ならびに同様の指示語の使用は、本明細書
中に他に指示がない限り、または文脈と明らかに相反することがない限り、単数および複
数の両方を包含すると解釈されるものとする。用語「含むこと(comprising)
」、「有すること」、「含むこと(including)」、および「含有すること」は
、特に断りのない限り、非限定的な用語(すなわち、「~を含むがこれらに限定されない
こと」を意味する)と解釈されるものとする。「から本質的になる」という用語は、組成
物、プロセス、または方法の範囲を、特定の材料もしくは工程、または組成物、プロセス
、もしくは方法の基本的かつ新規の特性に実質的に影響しないものに限定する。代替語(
例えば、「または」)の使用は、代替語の一方、両方、またはこれらの任意の組み合わせ
を意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、
別段の指示がない限り、指示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。
【0122】
本明細書の値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に入る各それ
ぞれの値を個々に言及する省略法としての機能を果たすことを単に意図し、各それぞれの
値は、あたかも本明細書に個々に記載されたかのように、本明細書中に組み込まれる。例
えば、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、整数範囲、サイズ範囲、または
厚さ範囲は、別段の指示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な
場合、その分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきで
ある。
【0123】
本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈
によって明らかに相反することがない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書
に提供されるありとあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本開
示をより良く解明することを単に意図し、別段、特許請求されない限り、本開示の範囲を
制限しない。本明細書におけるいかなる言葉も、本開示の実施に不可欠ないかなる非特許
請求要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0124】
本開示の異なる実施形態が、本明細書に記載される。それらの実施形態の変化形態は、
上記の説明を読むことによって当業者に明らかとなり得る。本発明者等は、当業者が必要
に応じてそのような変化形を採用することを予想し、本発明者等は、本開示が本明細書に
具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本開示
は、適用法によって許可された通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される
主題のすべての修正物および均等物を含む。さらに、その実施形態のすべての考えられる
変化形における上記の要素のあらゆる組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、
または文脈と明らかに相反することがない限り、本開示によって包含される。
【0125】
第1の実施形態は、
a.ガス基質および微生物を発酵させて、微生物および標的構成成分を含む発酵ブロスを
生成することと、
b.発酵ブロスを、連続イオン交換疑似移動床にイオン交換樹脂を有する分離ユニットに
通すことと、
c.樹脂とのイオン交換を介して標的構成成分を選択的に保持し、微生物を連続イオン交
換疑似移動床に通すことと、
d.イオン交換樹脂を再生し、標的構成成分を回収することと、を含む、発酵ブロスから
標的構成成分を分離するための方法である。
【0126】
標的構成成分が、低分子量有機酸の共役塩基である、第1の実施形態に記載の方法。
【0127】
標的構成成分が、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方である、第1の実施形
態に記載の方法。
【0128】
連続イオン交換疑似移動床が、拡張床である、第1の実施形態に記載の方法。
【0129】
イオン交換樹脂が、強陰イオン交換樹脂である、第1の実施形態に記載の方法。
【0130】
微生物が、Acetobacterium woodii、Alkalibaculu
m bacchii、Blautia producta、Butyribacteri
um methylotrophicum、Clostridium aceticum
、Clostridium autoethanogenum、Clostridium
carboxidivorans、Clostridium coskatii、Cl
ostridium drakei、Clostridium formicoacet
icum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium
magnum、Clostridium ragsdalei、Clostridiu
m scatologenes、Eubacterium limosum、Moore
lla thermautotrophica、Moorella thermoace
tica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ovata
、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphaero
ides、およびThermoanaerobacter kivuiからなる群から選
択される親微生物に由来する、第1の実施形態に記載の方法。
【0131】
微生物が、Clostridium属のメンバーである、第1の実施形態に記載の方法
【0132】
微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostr
idium ljungdahlii、Clostridium ragsdalei、
またはClostridium coskatiiに由来する、第1の実施形態に記載の
方法。
【0133】
ガス基質が、産業廃棄物ガス、産業オフガス、ガス化廃棄物に由来する合成ガス、ガス
化バイオマスに由来する合成ガス、またはこれらの任意の組み合わせである、第1の実施
形態に記載の方法。
【0134】
標的構成成分が、反応して、1つ以上の生成物を形成する、第1の実施形態に記載の方
法。
【0135】
標的化合物がアセテートであり、1つ以上の生成物が酢酸ビニルである、先行実施形態
に記載の方法。
【0136】
酢酸ビニルを反応させて、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを形成すること
をさらに含む、先行実施形態に記載の方法。
【0137】
ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを反応させて、ポリマー、コポリマー、接
着剤、コーティング、塗料、フィルム、布、発泡体、ワイヤー絶縁体、またはケーブル絶
縁体を形成することをさらに含む、先行実施形態に記載の方法。
【0138】
第2の実施形態は、
a.ガス基質および微生物を発酵させて、微生物および標的構成成分を含む発酵ブロスを
生成することと、
b.発酵ブロスを第1の分離ゾーンに通して、微生物を含む発酵ブロスの第1の部分を分
離し、バイオリアクターにリサイクルすることと、
c.発酵ブロスの第2の部分を、イオン交換樹脂を含む第2の分離ゾーンに通すことと、
d.樹脂とのイオン交換を介して標的構成成分を選択的に保持し、残りを第2の分離ゾー
ンに通すことと、
e.再生物によってイオン交換樹脂を再生し、標的構成成分を回収することと、を含む、
発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法である。
【0139】
再生物が、残りの少なくとも一部分を含むか、または残りに由来する、第2の実施形態
に記載の方法。
【0140】
標的構成成分が、低分子量有機酸の共役塩基である、第2の実施形態に記載の方法。
【0141】
標的構成成分が、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方である、第2の実施形
態に記載の方法。
【0142】
イオン交換樹脂が、強陰イオン交換樹脂である、第2の実施形態に記載の方法。
【0143】
ガス基質が、産業廃棄物ガス、産業オフガス、ガス化廃棄物に由来する合成ガス、ガス
化バイオマスに由来する合成ガス、またはこれらの任意の組み合わせである、第2の実施
形態に記載の方法。
【0144】
標的構成成分が、反応して、1つ以上の生成物を形成する、第2の実施形態に記載の方
法。
【0145】
標的化合物がアセテートであり、1つ以上の生成物が酢酸ビニルである、先行実施形態
に記載の方法。
【0146】
酢酸ビニルを反応させて、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを形成すること
をさらに含む、先行実施形態に記載の方法。
【0147】
ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを反応させて、ポリマー、コポリマー、接
着剤、コーティング、塗料、フィルム、布、発泡体、ワイヤー絶縁体、またはケーブル絶
縁体を形成することをさらに含む、先行実施形態に記載の方法。
【0148】
第3の実施形態は、
a.基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する培養培地および微生物を含むバイオリア
クターへの入口と、バイオリアクターからの出口とを備えるバイオリアクターシステムと

b.バイオリアクターの出口と流体連通している第1の入口と、疑似移動床構成のイオン
交換樹脂の床と、再生源と流体連通している第2の入口と、バイオリアクターシステムと
流体連通している出口と、生成物の出口とを備える分離ゾーンと、を備える、生物学的変
換装置である。
【0149】
イオン交換樹脂の床が、イオン交換樹脂の拡張床である、第3の実施形態に記載の生物
学的変換装置。
【0150】
第4の実施形態は、
a.基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する培養培地および微生物を含むバイオリア
クターへの入口と、バイオリアクターからの出口とを備えるバイオリアクターシステムと

b.バイオリアクターの出口と流体連通している入口と、微生物バイオマスを分離するた
めの膜と、バイオリアクターと流体連通している保持液出口と、透過液出口とを備える第
1の分離ゾーンと、
c.第1の分離ゾーンの透過液出口と流体連通している第1の入口と、イオン交換樹脂の
少なくとも1つの床と、再生源と流体連通している第2の入口と、再生源と流体連通して
いる出口と、生成物の出口とを備える第2の分離ゾーンと、を備える、生物学的変換装置
である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法であって、
a.ガス基質および微生物を発酵させて、前記微生物および前記標的構成成分を含む発酵ブロスを生成することと、
b.前記発酵ブロスを、連続イオン交換疑似移動床にイオン交換樹脂を有する分離ユニットに通すことと、
c.前記樹脂とのイオン交換を介して前記標的構成成分を選択的に保持し、前記微生物を前記連続イオン交換疑似移動床に通すことと、
d.前記イオン交換樹脂を再生し、前記標的構成成分を回収することと
を含む、前記方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0150
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0150】
第4の実施形態は、
a.基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する培養培地および微生物を含むバイオリアクターへの入口と、バイオリアクターからの出口とを備えるバイオリアクターシステムと、
b.バイオリアクターの出口と流体連通している入口と、微生物バイオマスを分離するための膜と、バイオリアクターと流体連通している保持液出口と、透過液出口とを備える第1の分離ゾーンと、
c.第1の分離ゾーンの透過液出口と流体連通している第1の入口と、イオン交換樹脂の少なくとも1つの床と、再生源と流体連通している第2の入口と、再生源と流体連通している出口と、生成物の出口とを備える第2の分離ゾーンと、を備える、生物学的変換装置である。

以下に、当初の特許請求の範囲に記載の発明を列挙する。
[発明1]
発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法であって、
a.ガス基質および微生物を発酵させて、前記微生物および前記標的構成成分を含む発酵ブロスを生成することと、
b.前記発酵ブロスを、連続イオン交換疑似移動床にイオン交換樹脂を有する分離ユニットに通すことと、
c.前記樹脂とのイオン交換を介して前記標的構成成分を選択的に保持し、前記微生物を前記連続イオン交換疑似移動床に通すことと、
d.前記イオン交換樹脂を再生し、前記標的構成成分を回収することと
を含む、前記方法。
[発明2]
前記標的構成成分が、低分子量有機酸の共役塩基である、発明1に記載の方法。
[発明3]
前記標的構成成分が、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方である、発明1に記載の方法。
[発明4]
前記連続イオン交換疑似移動床が、拡張床である、発明1に記載の方法。
[発明5]
前記イオン交換樹脂が、強陰イオン交換樹脂である、発明1に記載の方法。
[発明6]
前記微生物が、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Blautia producta、Butyribacterium methylotrophicum、Clostridium aceticum、Clostridium autoethanogenum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium coskatii、Clostridium drakei、Clostridium formicoaceticum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium magnum、Clostridium ragsdalei、Clostridium scatologenes、Eubacterium limosum、Moorella thermautotrophica、Moorella thermoacetica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ovata、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphaeroides、およびThermoanaerobacter kivuiからなる群から選択される親微生物に由来する、発明1に記載の方法。
[発明7]
前記微生物が、Clostridium属のメンバーである、発明1に記載の方法。
[発明8]
前記微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium ragsdalei、またはClostridium coskatiiに由来する、発明1に記載の方法。
[発明9]
前記ガス基質が、産業廃棄物ガス、産業オフガス、ガス化廃棄物に由来する合成ガス、ガス化バイオマスに由来する合成ガス、またはこれらの任意の組み合わせである、発明1に記載の方法。
[発明10]
前記標的構成成分が、反応して、1つ以上の生成物を形成する、発明1に記載の方法。
[発明11]
前記標的化合物がアセテートであり、前記1つ以上の生成物が酢酸ビニルである、発明10に記載の方法。
[発明12]
前記酢酸ビニルを反応させて、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを形成することをさらに含む、発明11に記載の方法。
[発明13]
前記ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを反応させて、ポリマー、コポリマー、接着剤、コーティング、塗料、フィルム、布、発泡体、ワイヤー絶縁体、またはケーブル絶縁体を形成することをさらに含む、発明12に記載の方法。
[発明14]
発酵ブロスから標的構成成分を分離するための方法であって、
a.ガス基質および微生物を発酵させて、前記微生物および前記標的構成成分を含む発酵ブロスを生成することと、
b.前記発酵ブロスを第1の分離ゾーンに通して、前記微生物を含む前記発酵ブロスの第1の部分を分離し、バイオリアクターにリサイクルすることと、
c.前記発酵ブロスの第2の部分を、イオン交換樹脂を含む第2の分離ゾーンに通すことと、
d.前記樹脂とのイオン交換を介して前記標的構成成分を選択的に保持し、残りを前記第2の分離ゾーンに通すことと、
e.再生物によって前記イオン交換樹脂を再生し、前記標的構成成分を回収することと
を含む、前記方法。
[発明15]
前記再生物が、前記残りの少なくとも一部分を含むか、または前記残りに由来する、発明14に記載の方法。
[発明16]
前記標的構成成分が、低分子量有機酸の共役塩基である、発明14に記載の方法。
[発明17]
前記標的構成成分が、アセテート、ラクテート、またはそれらの両方である、発明14に記載の方法。
[発明18]
前記イオン交換樹脂が、強陰イオン交換樹脂である、発明14に記載の方法。
[発明19]
前記ガス基質が、産業廃棄物ガス、産業オフガス、ガス化廃棄物に由来する合成ガス、ガス化バイオマスに由来する合成ガス、またはこれらの任意の組み合わせである、発明14に記載の方法。
[発明20]
前記標的構成成分が、反応して、1つ以上の生成物を形成する、発明14に記載の方法。
[発明21]
前記標的化合物がアセテートであり、前記1つ以上の生成物が酢酸ビニルである、発明20に記載の方法。
[発明22]
前記酢酸ビニルを反応させて、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを形成することをさらに含む、発明21に記載の方法。
[発明23]
前記ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールを反応させて、ポリマー、コポリマー、接着剤、コーティング、塗料、フィルム、布、発泡体、ワイヤー絶縁体、またはケーブル絶縁体を形成することをさらに含む、発明22に記載の方法。
[発明24]
生物学的変換装置であって、
a.基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する培養培地および微生物を含むバイオリアクターへの入口と、前記バイオリアクターからの出口とを備えるバイオリアクターシステムと、
b.前記バイオリアクターの前記出口と流体連通している第1の入口と、疑似移動床構成のイオン交換樹脂の床と、再生源と流体連通している第2の入口と、前記バイオリアクターシステムと流体連通している出口と、生成物の出口とを備える分離ゾーンと
を備える、前記生物学的変換装置。
[発明25]
前記イオン交換樹脂の床が、イオン交換樹脂の拡張床である、発明24に記載の生物学的変換装置。
[発明26]
生物学的変換装置であって、
a.基質中の炭素源を代謝し、生成物を生成する培養培地および微生物を含むバイオリアクターへの入口と、前記バイオリアクターからの出口とを備えるバイオリアクターシステムと、
b.前記バイオリアクターの前記出口と流体連通している入口と、微生物バイオマスを分離するための膜と、前記バイオリアクターと流体連通している保持液出口と、透過液出口とを備える第1の分離ゾーンと、
c.前記第1の分離ゾーンの前記透過液出口と流体連通している第1の入口と、イオン交換樹脂の少なくとも1つの床と、再生源と流体連通している第2の入口と、前記再生源と流体連通している出口と、生成物の出口とを備える第2の分離ゾーンと
を備える、前記生物学的変換装置。
【外国語明細書】