(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069334
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】エネルギーチェーンを用いた位置決定のためのシステム
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20240514BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034545
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2021556259の分割
【原出願日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】202019101608.6
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト ヘイバリング
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンチン シュメル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動作において強健であり、最小限の労力で使用場所に設置可能なエネルギーガイドチェーンによる位置決定のための改善されたシステムを提案する。
【解決手段】エネルギーチェーンはドライバに端部で固定された可動ラン及び静止ランを有し、ドライバ4はトラックに沿って前後に移動する。システム20は、ドライバ4に取り付けられた位置決定のためのセンサデバイスを有する。システム20は、エネルギーチェーン1の横方向の案内のためにトラックに沿って配置されたガイド構成要素28A、28Bを備え、その構成要素の少なくとも1つは、位置基準として作用する基準構成要素23A、24を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ラインをガイドするためのエネルギーガイドチェーン(1)を用いる位置決定のためのシステム(10;20;30)であって、前記エネルギーガイドチェーンは、接続点に端部で固定された第1のラン(1B)及び移動端(4)に端部で固定された可動の第2のラン(1A)を備え、前記移動端がルートに沿って前後に変位可能であり、前記システムは、
変位中に前記エネルギーガイドチェーンの横方向の案内のために前記ルートに沿って配置されたガイド構成要素(8A、8B;28A、28B;38A、38B)を有するガイド構成(7)と、
前記移動端(4)に搭載された位置決定のためのセンサデバイス(12;22;32)と、
を備え、
少なくとも一部のガイド構成要素(8A、8B;28A、28B;38A、38B)は、位置基準として作用する少なくとも1つの基準構成要素(14;23A、24;33、33A)をそこに有し、前記センサデバイス(12;22;32)は、位置決定のために個々の基準構成要素と相互作用することを特徴とするシステム。
【請求項2】
供給ラインをガイドするためのエネルギーガイドチェーン(1)を用いる位置決定のためのシステム(40)であって、前記エネルギーガイドチェーンはチェーンリンク(2)を備え、前記エネルギーガイドチェーンは、静止接続点(5)に端部で固定された第1のラン(1B)及びルートに沿って前後に変位可能である変位可能な移動端(4)に端部で固定された可動の第2のラン(1A)を備え、その間に偏向アーク(1C)を形成し、前記システムは、
前記移動端に搭載された位置決定のための第1のセンサデバイス(41)を備え、
位置決定のための第2のセンサデバイス(42)が、前記静止接続点(5)に固定的に搭載され、
少なくともn番目毎のチェーンリンク(2)が、そこに搭載された少なくとも1つの基準構成要素(44)を有し、前記ルートに沿う進行位置に応じて、前記第1のセンサデバイス(41)又は前記第2のセンサデバイス(42)は、位置決定のために前記チェーンリンク(2)の個々の基準構成要素(44)と相互作用することを特徴とするシステム。
【請求項3】
各センサデバイス(12;22;32;41、42)は前記個々の基準構成要素(14;24;33、33A;44)と非接触で、特に電磁的に、好ましくは無線、光学的及び/又は音響的に、好ましくは超音波によって相互作用することを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記基準構成要素(14;24;33、33A;44)は、所定の、特に均一な間隔に配置され、かつ/又は
各基準構成要素(14;24;44)は、前記ルートに沿う位置、特に絶対位置に関連付け可能な固有の識別子を有することを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記基準構成要素(14;24;44)は送信能力を有する無線回路の形態をとり、前記センサデバイスは対応する受信機(12A、12B;22A、22B;41、42)を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記基準構成要素は、無線構成要素(14;24;44)、すなわち、受動無線回路、特にRFIDトランスポンダ又は能動無線回路の形態をとり、各センサデバイスは対応するアンテナ構成(12A;22A;41、42)を備えることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの基準構成要素(23A;33A)は、光学的及び/又は電磁的マーキング、特に、前記センサデバイスの光学的及び/又は電磁的センサ(22C;32A)を用いて検出可能なコード化マーキング(33A)の形態をとることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガイド構成はガイドチャネル(7)であり、前記ガイド構成要素は側壁部品(8A、8B;28A、28B;38A、38B)を備え、
-前記側壁部品(8A、8B;28A、28B;38A、38B)は前記ルートに沿って両側の連続的な連なりで長手方向(L)に固定配置され、各部において前記ガイドチャネルの一方の側の少なくともn番目毎の側壁部品(8A、8B;28A、28B;38A、38B)は少なくとも1つの基準構成要素(14;23A、24;33、33A)を備え、かつ/又は、
-前記基準構成要素(14、24)は、好ましくは前記側壁部品に独立した構成要素として締結され、又は前記側壁部品の一体化構成要素(23A、33)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の、特に請求項1及び7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ガイド構成は、そのガイド構成要素として、前記ルートに沿って所定の相互間隔で分散締結されたフロアガイド要素を有し、少なくともn番目毎のフロアガイド要素は基準構成要素、好ましくは無線構成要素を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
各基準構成要素(50)は、チェーンリンクの横材(55)を備え、若しくは横材(55)に搭載され、並びに/又は特に光学的及び/若しくは電磁的に検出可能なマーキング及び/若しくは受動無線構成要素(50)を備えることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記移動端(4)を備える可動機械部品(62、64)の移動を制御するための設備制御システムを備え、該制御システムは、前記可動機械部品(62、64)の位置決定のために前記センサデバイス(12;22;32;41、42)にシグナリングのために接続されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
エネルギーガイドチェーン(1)のためのガイドチャネルの側壁部品(8A、8B;28A、28B;38A、38B)であって、少なくとも1つの静止基準構成要素(14;23A、24;33、33A)、特に無線構成要素(14;24)又は光学的及び/若しくは電磁的に検出可能なマーキング(23A、33)が前記側壁部品(8A、8B;28A、28B;38A、38B)上に設けられ、前記基準構成要素は、位置決定のためにセンサデバイスと位置基準として相互作用するように構成されたことを特徴とする側壁部品。
【請求項13】
クレーン(60)、特にコンテナガントリークレーンなどのガントリークレーン又はブリッジクレーンであって、直線的に変位可能なクレーン高架移動式滑車(62、64)及び請求項1から11のいずれか一項、特に請求項1に記載のシステム(10;20;30;40)を備え、前記クレーン高架移動式滑車(62、64)は前記エネルギーガイドチェーン(1)に前記移動端で接続され、前記クレーンは前記センサデバイスにシグナリングするために接続された制御システムを備える、クレーン。
【請求項14】
変位可能な機械又は設備部品、特に前記エネルギーガイドチェーン(1)によって供給される直線的に変位可能なクレーン高架移動式滑車(62、64)の絶対位置の連続的測定のための請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム(10;20;30;40)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として、ケーブル、ホースなどの供給ラインを動的にガイドするためのエネルギーガイドチェーンを用いた位置決定のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーガイドチェーンは、通常、長手方向において関節状にリンクされたチェーンリンクにより組み立てられ、供給ラインのための受容空間を与える。それらは、変位において、端部で接続点に固定される第1のラン及び端部で移動端に固定される可動の第2のランを形成し、移動端は変位可能又は移動可能であり、特にルートに沿って前後に直線的に変位可能である。エネルギーガイドチェーンは、ラン同士の間に、ともに進行する偏向アークを形成する。
【0003】
特に、本発明は、位置決定に適したセンサデバイスが移動端に搭載された上記一般的エネルギーガイドチェーンを有する位置決定のためのシステムに関する。この点以外、エネルギーガイドチェーン又はチェーンリンクの設計は、原則として本件に無関係である。
【0004】
特許文献1は、駆動デバイスを有する長い変位経路のためのエネルギーガイドチェーンを記載し、駆動デバイスは移動されるランを支持し、特に張力及び剪断力によるエネルギーガイドチェーンのストレスを軽減するために制御ユニットによって制御される。例示的な一実施形態は、駆動デバイスの駆動動作又は制動動作を制御するために変位経路を決定するための制御ユニットに接続された変位センサを提案する。変位センサは、可動接続領域の移動を確認するが、位置決定はここに提案されていない。そのような変位センサは、原則として位置決定に利用可能なはずである。しかし、特許文献1において例示として提示されるように、ローリングロータリトランスデューサを用いると、滑りをなくすことができず、それは信頼性の高い位置決定がほとんど達成可能とならないことを意味する。
【0005】
特許文献2の一態様は、運動学的変数を定量的に検出するために可動ランの端部領域又は移動端に配置されたセンサモジュールを提案する。例えば、3軸加速度センサが、センサとして提案される。そのような加速度センサによって、動作中に移動された移動経路又は距離を決定することが可能となる。またさらに、そのようなセンサモジュールは、例えば、適宜の信号処理によって移動を時間とともに追跡することにより、瞬時位置の決定も可能とし、原理的に故障にあまり影響を受けない。
【0006】
特許文献2の更なる態様(同文献の
図1A及び
図2参照)は、分散光バリア又は近接スイッチを利用するが、エネルギーガイドチェーンの位置又は空間的な場所の漠然とした概略の知識しか与えていない。同じことが、特許文献3又は補完的に公開された特許文献4(同文献の
図5A)における光バリアを有する構成にも当てはまる。
【0007】
動作中の機械又は設備の移動端又は移動接続点の恒久的に信頼性のある位置決定は、両手法では、限られた範囲にしか達成可能でない。とりわけ、例えば、滑りに起因する相対決定位置におけるずれ又は相対測定誤差が時間とともに累積するので、それらは限定的な位置の位置精度しか与えない。さらに、上記の手法は、休止状態又は再初期化における現在の絶対位置に関する情報を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2014/102170号
【特許文献2】国際公開第2018/115528号
【特許文献3】独国実用新案第202018101942号明細書
【特許文献4】国際公開第2019/197284号
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の第1の課題は、動作において強健であり、最小限の労力で使用場所に設置可能なエネルギーガイドチェーンによる位置決定のための改善されたシステムを提案することである。好ましくは、動作において、より信頼性が高くかつ/又はより精度の高い絶対位置決定を与えることを目的とする。ただし、本件における位置決定は、必ずしも計測学の観点における測定を意味するものではなく、移動端の位置の定量的確認又は検出を意味する。
【0010】
提案される解決手段は、多機能で、かつ、特にエネルギーガイドチェーンによって供給される機械又は設備の可動部品(以下、簡略化のために機械部品という)の制御システムに統合可能なものとすることを目的とする。提案されるシステムは、特に、位置決定のための既存又は公知の独立したシステムを代替可能とすることも目的とする。
【0011】
本発明は、特に、直線ルートに沿う、すなわち、概念的なラインに関する移動端又は移動される機械部品の位置の一次元、すなわち、1Dの決定又は検出に関する。
【0012】
本発明の課題を解決することに対する第1の態様又は手法は、変位中にエネルギーガイドチェーンの横方向の案内のためのルートに沿って配置されるガイド構成要素を有するガイド構成が装備されたエネルギーガイドチェーンに関する。対向側壁部品を有するガイドチャネルとして知られるものは、通常はこの目的に用いられるが、他の設計も検討され得る。そのようなガイド構成は、望まれない横移動を防止するために、5m以上であって通常は10m超の長い変位経路に対して使用される。
【0013】
本発明の第1の態様は、ガイド構成のガイド構成要素の少なくとも一部が、センサデバイスのための位置基準として作用する少なくとも1つの基準構成要素を備えることを提案する。したがって、センサデバイスは、比較的信頼性が高くかつ強健な位置決定を達成するために、そのような個々の基準構成要素と相互作用し得る。
【0014】
基準構成要素の使用に起因して、変位経路の個々の長手部分に対する相対差又は相対位置の決定の影響を制限することが可能となる。したがって、ガイド構成における基準構成要素は、ブイ、ビーコン又はマイルストーンと同様に、より良好かつより信頼性の高い現在位置、特に絶対位置の決定に利用され得る。
【0015】
基準構成要素は、独立した構成要素として、任意に保守目的で取外し可能なものとしてそれぞれのガイド構成要素に締結されてもよいし、ガイド構成要素の一体化構成要素として生産されてもよい。いずれの場合においても、基準構成要素は、それぞれのガイド構成要素に固定的に設けられる。
【0016】
例えば、個々の側壁部品又はフロアガイド要素のガイド構成の構成要素の支持構造に関する空間に固定される既知の位置に基づいて、そこに設けられた基準構成要素の場所及び位置も、本来的に固定的に特定され、絶対位置として予め決定され又は決定可能となる。
【0017】
その課題を解決することに対する第2の態様又は第2の手法も、追加のガイド構成のないエネルギーガイドチェーンにおいて使用され得る。
【0018】
本発明の第2の態様は、移動端におけるセンサデバイスに加えて、位置決定のための更なる第2のセンサデバイスが、固定接続点に固定的に搭載されること、及び少なくともn番目毎のチェーンリンクが、チェーンリンクに搭載若しくは締結され又はそれと一体的に生産される少なくとも1つの基準構成要素を有することを提案する。結果として、ルートに沿う移動端又は移動されたランの進行位置に応じて、第1のセンサデバイス又は第2のセンサデバイスのいずれかが、チェーンリンクの個々の基準構成要素と相互作用し、特に、移動端の位置又は任意にエネルギーガイドチェーン全体としての位置についても比較的信頼性の高い又は強健な決定を実現し得る。この場合、エネルギーガイドチェーン自体は、実質的なメジャー又は一種の測定テープとして作用することになり、その位置はエネルギーガイドチェーンの現在の場所に対する位置として検出され得る。
【0019】
いずれの手法とも、エネルギーチェーンによって供給される設備/機械の移動される部品の位置決定若しくは確認又は位置監視のための解決手段として利用可能である。基準構成要素は意図されるエネルギーガイドチェーン又はそのガイド構成とともに設置されるので、特に、明示的に意図された従来の測位システムとの比較において、実質的に追加の設置の労力は、2つの上記コンセプトのいずれにも不要である。
【0020】
運用寿命にわたって、そして非常に長い変位経路にわたっても、第1の手法は、特に直接的に絶対位置も取得するように全体的により高精度な決定を可能とする。
【0021】
第2の手法は、チェーンリンク、すなわち、チェーンの長さに関する相対位置の決定をまず可能とする。一方、既知のチェーン長及び公称のコースによって、現在の相対位置又は更には移動端の絶対位置についての情報を確認することも可能となる。この手法では、チェーンリンクの既存の構成要素、例えば、横材が、任意に追加の設計構成物なしに、基準構成要素として任意に使用されてもよく、これはチェーンリンク上のその位置が構造的に予め決定されているためである。
【0022】
いずれの手法とも、ルートに沿うエネルギーガイドチェーンの停止状態、すなわち、静止状態の及び進行中のセンサデバイスとの基準構成要素の相互作用を可能とする。双方とも、比較的少ない労力で強健なものとなり得る。位置測定のための従来の特殊なシステムとの比較において、システムは、本来的にエネルギーガイドチェーン又はそのガイド構成とともに設置可能であるので、双方とも設置に関して大幅な節約となる。さらに、いずれの手法とも、例えば、10m超の長い変位経路、すなわち、長大なシステムにおいて特に有利となる。
【0023】
好ましくは直線のルートは、水平方向に延在し、少なくとも5m、標準的には10mを大幅に超え、そして100m超までの全長を有し得る。特に、例えばコンテナガントリークレーンで標準的であるような、例えば、クレーン高架移動式滑車(トロリー;trolley)の進行中の絶対位置を取得するためのシステムなどの公知の測位システムとの比較において、移動される機械部品のルートが長いほど、本発明によって与えられる設置の労力の節約が大きくなる。
【0024】
好適な実施形態では、センサデバイスは、通常は摩耗現象が起こらず又は長い運用寿命が実現可能となるように個々の基準構成要素と非接触で相互作用する。これは、特に、好ましくは無線による電磁的センサシステム、又は光学センサシステムによって実現され得る。好ましくは超音波を用いる音響センサシステムも考えられる。原則として、距離決定又は測定を可能とする自由空間における任意の種類の波動伝送が、センサデバイスと個々の基準構成要素との間で使用可能である。
【0025】
基準構成要素は、各基準位置がルートの始点又は終点からの距離についての直接的な表現を与えるように、ルートの長手方向との関係で、所定の、特に均一な間隔でガイド構成又はチェーンリンク上に配置され得る。
【0026】
構成とは関係なく、各基準構成要素に対する絶対位置の信頼性のある決定について、例えば、基準走行の過程において又はシステムの初期化及び学習中に、ルートに沿う位置、特に用途に応じた絶対位置に関連付け可能な固有の識別子を有することが有利である。
【0027】
無線ベースの位置決定は、屋外用途に有利であり、天候の影響を最も受けにくい。基準構成要素は、ここでは、送信能力のある無線回路の形態であってもよく、センサデバイスは対応の受信機を有し得る。逆の構成も、原則として本発明の範囲内のものとなるが、より大きなケーブル引回し又は信号伝送の労力を伴うことになる。
【0028】
無線信号は、距離測定を可能とする3つの基本的特性、すなわち、信号強度、飛行時間及び入射方向を与える。好適な実施形態では、ラテレーション又は一次元決定が好適であるので、使用される距離測定法は、好ましくは、飛行時間(TOF:time of flight)及び/又は受信信号強度(RSS:received signal strength)、すなわち、以下の特性のうちの一方に基づくものである:
i)飛行時間(TOF):送信機と受信機の間の距離は、送信信号の電磁的飛行時間に対応する。距離は、既知の送信時刻(開始時刻)とともに受信機における信号の到達時間(TOA:time of arrival)の測定から、又は様々な位置における受信時刻の差(到達時間差)から決定可能である。受信信号の位相又は到達位相(POA:phase of arrival)は、飛行時間の表現とみなされ得る、及び/又は
ii)受信信号強度(RSS):電磁波のパワー密度は発生源からの距離の二乗に反比例する。送信パワーが既知であり又は特定されていれば、信号強度測定値から距離を推定することができる。
【0029】
一次元距離決定について、単純なラテレーションを実行することができる。先行位置が既知であれば、ルートに沿う位置を決定するために複数の基準構成要素を受け入れる必要はない。
【0030】
実施例又は測定技術の詳細は本発明に重要ではなく、当業者に周知の任意の適宜の技術を用いることができる。無線ベースの距離測定に関して、テキストブック:Bensky、Alan(2016)「Wireless Positioning Technologies and Applications」(第2版;出版社:Artech House Publishers;ISBN-10:1608079511)の教示が参照される。適切な無線ベースの測定技術は、例えば、「RFM1.2」という名前でBTG Positioning Systems(NL-3261 LB、オランダ)によって販売されている。
【0031】
ケーブル引回しの労力をほとんど伴わない省エネソリューションは、無線ベースの基準構成要素、すなわち、受動無線回路、好ましくは受動トランスポンダ、特にRFIDトランスポンダの形態の無線構成要素を用いて取得可能である。そのような無線回路は、特に、センサデバイスのポーリング送信機の無線電力から供給可能であり、この場合、それら自体の電源を必要とせず、すなわち、供給ラインも必要としない。
【0032】
あるいは、基準構成要素は、能動無線回路、特に有線接続された無線回路の形態もとり得る。これは、例えば、センサデバイスにおける飛行時間測定のための時刻スタンプを送信するためにシステム時間に対する全基準構成要素の同期を促進する。
【0033】
センサデバイスは、例えばRFIDリーダと同様の受動無線基準のための送受信機の形態、又は、例えば、能動無線基準がポーリングなしに、例えば、送信タイムスタンプ及び/若しくは基準構成要素の識別子とともに自発的に無線信号を送信する場合には能動無線基準のための簡素な受信機の形態もとり得る。
【0034】
位置基準としての能動又は受動無線構成要素において、各センサデバイスは、使用される無線技術に適したアンテナ構成を有する。当該構成は、好ましくは、ルートに沿う各進行位置におけるアンテナ構成の有効受信範囲に少なくとも1つの無線構成要素が位置するように寸法決定される。
【0035】
使用される無線構成要素は、好ましくはIFM周波数帯で動作する。任意の一般的な無線技術、例えば、到達時間(TOA)測定に特に適したIEEE802.11プロトコルファミリーによるWLAN/WiFi技術又は実際には受信信号強度(RSS)測定に特に適したIEEE802.15プロトコルファミリーによるBluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)が使用され得る。好ましくは、一方で、RFID又はBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)などの省エネソリューションが使用される。追加の測定なしでも、センチメートル範囲での精度は、単なる無線基準構成要素によって実現可能である。
【0036】
無線技術の代わりに又はそれに加えて、基準は、光学的及び/又は電磁的に、例えば、誘導的又は容量的に読取り可能なマーキング、特に、例えばバーコード構造によるコード化又はコードマーキングであってもよい。そのようなマーキングは、好ましくは実質的な測定物として作用し、センサデバイスの光学的及び/又は電磁的センサを用いて、例えば非接触走査によって検出され得る。マーカー、例えば、マーカートラックを読み取り又は走査することに基づく検出は、非常に強健であり、特に、光検出器又は光センサ、光学検出器、光電センサなどによる光電走査の場合に、より高い精度を与えることができる。例えば、検討され得るコード化マーキングは、例えば、Pepper+Fuchs(DE-68307、マンハイム、独国)による「WCS」という名前で入手可能な、光学走査によるコード化レールを有する位置コード化システムである。そのようなコード化レールの原理に基づくコード化トラックは、ここでは、好ましくは、ガイドチャネルの側壁部品における凹部によって、例えば、適宜の後加工によって一体化構成要素として取り込まれてもよい。一方、例えば一定の孔間隔の、コード化なしの単純な有孔ストリップ又はトラックも、比較的高精度な絶対位置決定を可能とし、生産がより容易となる。
【0037】
さらに高精度な位置決定を実現し、参照することによって相対測定誤差を同時に低減するために、インクリメンタル又はアブソリュートエンコーダによる相補的な追加の相対測定が、2つの無線基準構成要素間の距離について提供されてもよい。マーキングは電磁干渉に対して影響されにくく、必要であれば、同様の無線ソリューションが、不利な環境条件において使用されてもよい。
【0038】
ガイド構成を有する第1の態様の好適な実施形態では、ガイド構成は、側壁部品を備えるガイドチャネルの形態をとる。そのような側壁部品は、ルートに沿って両側に連続的な連なりで長手方向に固定的に配置される。2つの対向する側壁部品は、ここでは各部について、ガイドチャネルの一部を形成する。したがって、少なくとも1つの基準構成要素は、好ましくは片側のガイドチャネルの少なくともn番目毎の側壁部品に、特に、各側壁部品に設けられる。したがって、用途に応じた支持構造物に固定設置された側壁部品は、基準構成要素が側壁部品とともに1ステップで内在的に設置されるように、基準構成要素のための支持物として利用され得る。
【0039】
原則として、基準構成要素は、好ましくは、ルートに沿って分散的に、ガイド構成に対して、指定された規則的な間隔で締結される。
【0040】
ガイド構成が、好ましくは長手方向に組み立てられた本質的に同一の構成の側壁部品によってガイドチャネルとして構築される場合、少なくとも1つの基準構成要素は、好ましくは各側壁部品に設けられ、例えば、マーキングは、側壁部品の生産中に、例えば搭載される無線構成要素に取り込まれ又は締結される。
【0041】
一実施形態では、無線構成要素の形態の更なる基準構成要素が、側壁部品上のマーキングに加えて側壁部品に設けられ得る。その後、センサデバイスは、特に、走査、例えば光学走査によってマーキングトラックと相互作用するインクリメンタルトランスデューサ、及び絶対位置情報を取得するために無線構成要素の識別子を読み出すアンテナ構成を備え得る。
【0042】
側壁部品は、好ましくは、同一の基本形状及び締結機能を有する断面プロファイルの金属形材、特にアルミニウム形材又は鋼板形材の形態をとる。プラスチックからなる側壁部品も考えられる。基準構成要素としてのマーキングは、好ましくは、特に、外部から検出可能なマーキングトラックとして、例えば、バーコード構造タイプのコード化トラックとして、側壁部品の上半分に設けられる。そのようなマーキングは、例えば、形材材料の凹部(加工)、塗料塗布、レーザ印刷などによって、側壁部品上に設けられ、又はそれに取り込まれ得る。独立して作製されたコード化トラックの適用も、本発明の範囲内となる。
【0043】
したがって、本発明は、エネルギーガイドチェーンのためのガイドチャネルの側壁部品にも関し、その側壁部品は、少なくとも1つの静止基準構成要素、特に無線構成要素又は光学的及び/若しくは電磁的に検出可能なマーキングが側壁部品上に設けられ、その基準構成要素が位置決定のためのセンサデバイスと位置基準として相互作用するように構成される点で特徴付けられる。
【0044】
側壁部品を有するガイドチャネルに対する代替として、ルートに沿って所定の相互間隔で分散されて、すなわち、両方のランのための連続的側壁なしに締結されたフロアガイド要素をそれらのガイド構成要素として有するガイド構成も実施可能である。そのようなガイドは、商品名「Autoglide」又は「Guidelite」の名前で本出願人(igus GmbH - D-51147、ケルン)によって販売されている。このように分散されたガイド構成であっても、少なくともn番目毎のフロアガイド要素、特に片側の各フロアガイド要素は、基準構成要素、好ましくは無線構成要素を備え得る。
【0045】
ガイド構成がない場合には、第2の態様によると、各基準構成要素はエネルギーチェーンのチェーンリンクに取り付けられ得る。一実施形態では、基準構成要素は、チェーンリンクの横材を備え、又はチェーンリンクの横材に取り付けられ若しくはそこに一体化され得る。この場合も、基準構成要素は、光学的及び/若しくは電磁的に検出可能なマーキング、特にコードマーキングとして、又は無線構成要素、好ましくは受動無線構成要素として具体化され得る。
【0046】
提案される位置決定のためのシステムは、特に、エネルギーチェーンによって供給される機械又は設備の制御システムによって使用され得る。したがって、設備制御システムは、好ましくは、移動端を備える可動機械部品の移動を制御するために設けられ、この制御システムは、可動機械部品の位置決定のためにシステムのセンサデバイスとのシグナリングのために接続される。
【0047】
本発明は、例えば、コンテナガントリークレーンなど、比較的長い直線的な変位経路を有するクレーン高架移動式滑車が用いられるクレーン、特にガントリークレーン又はブリッジクレーンにおける用途にも適する。この場合、クレーン高架移動式滑車は、通常は、例えば、コンテナスプレッダの給電及び駆動制御のためにエネルギーガイドチェーンに移動端で接続され、クレーンはセンサデバイスとシグナリングするために接続された制御システムを有し、制御システムは、本発明による位置決定に基づいてクレーン高架移動式滑車の位置を確定又は監視し、それに基づいてその移動を任意に制御する。
【0048】
提案される位置決定のためのシステムは、特に好ましくは、エネルギーガイドチェーンにおける位置依存の力測定のための力測定システムとの組み合わせで使用され得る。そのような力測定システムは、国際公開第2004/090375号及び国際公開第2013/156607号において本出願人によって説明された。例えば、100m超の非常に長い変位経路では、エネルギーガイドチェーンの瞬時位置の関数として障害の認識又は安全シャットダウンのために規定される剪断力/張力の制限を規定する必要がある。これは、移動される必要がある被支持ラン全体に実質的に起因して、必要な開始力が、他方の端部位置におけるよりも完全に進んだ端部位置において著しく高いためである(国際公開第2004/090375号参照)。したがって、例えば、この点に関してその教示がここに含まれる国際公開第2004/090375号又は国際公開第2013/156607号による、力測定システムと組み合わせて提案される位置決定のためのシステムでは、供給される設備又は機械の制御システムからの位置情報を取得する必要のない強健な一体化システムが提供可能となる。選択的に、位置決定のためのシステムは、移動部品に関する位置情報の発生源として(例えば、クレーンの)設備又は機械制御システムによって使用されてもよい。
【0049】
特に第1の態様による提案されるシステムは、高い位置決定精度を実現することもでき、したがって、変位可能な機械又は設備部品、例えば、エネルギーガイドチェーンによって供給される直線的に変位可能なクレーン高架移動式滑車の連続的な絶対位置測定に使用され得る。
【0050】
本発明の更なる特徴及び有利な効果は、以下の、添付図面に基づいて構成される好適な例示的実施形態のより詳細な説明から、保護範囲の限定なく推認され得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】特に長い変位経路のためのガイドチャネルにおいてガイドされるエネルギーガイドチェーンを有する無線ベースの位置決定のための第1の好適な例示的実施形態の斜視図での模式図を示し、一部分のみを示す。
【
図2】無線ベースの位置決定及び光学的な位置決定を組み合わせた第2の例示的実施形態の斜視図での模式図を示し、一部分のみを示す。
【
図3】光学的位置決定のための第3の例示的実施形態の斜視図での模式図を示し、一部分のみを示す。
【
図4A】ガイドチャネルのない用途にも適したエネルギーガイドチェーンに基づく位置決定のための例示的実施形態の模式側面図を示す。
【
図4B】ガイドチャネルのない用途にも適したエネルギーガイドチェーンに基づく位置決定のための例示的実施形態の模式側面図を示す。
【
図5A】例示的なエネルギーガイドチェーンのチェーンリンクを示す。
【
図5B】チェーンリンクの横材に後付けをするための基準構成要素としての無線モジュールを示す。
【
図6】
図1~3によるシステムの例示的用途としての(コンテナ)ガントリークレーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、変位経路に沿うライン3の動的な保護された案内のための関節的に相互接続されたチェーンリンク2で構成されたエネルギーガイドチェーン1(以下、略して「エネルギーチェーン」という)を示す。エネルギーチェーン1の一端は移動端4に固定され、他端は固定接続点5(
図4A)に固定される。移動端4において、ライン3、例えば、給電及び制御ラインは、エネルギーチェーン1から出て、ここでは、桁要素6の形態で全体的に模式的にのみ示すモバイルコンシューマに向かう。
図1におけるエネルギーチェーン1は、具体的には、下側ラン1B上を摺動又は転動する上側ラン1Aを有する長い変位経路について設計される。動作において、エネルギーチェーン1は、ここでは、直線長手方向Lに沿って、例えば水平に進行する。
【0053】
エネルギーチェーン1は、この目的のため、ガイドチャネル7に横方向にガイドされ、ガイドチャネル7はエネルギーチェーン1の変位経路の全長W(
図4A)にわたって長手方向Lに直線的に延在し、一部のみがここに示される。ガイドチャネル7は、各部において、設置形材9を介して相互に及び負荷支持構造物に締結された対向する個々の側壁部品8A、8Bによって構成される。
図1において検討され得る側壁部品8A、8Bは、特に、従来の設計及び指定長(例えば、2m)のアルミニウム又はスチールの同一に構成された形材部品である。同一に構成された側壁部品8A、8Bは、
図1によるシステム10においてガイドチャネル7の両側において使用され得る。側壁部品8A、8Bは、長手方向に隙間なく連続して相互接続され、又は負荷支持構造物(不図示)に、例えば、設置形材9を用いて固定的に締結される。したがって、個々の側壁部品8A、8Bは、エネルギーチェーン1又は移動端4の進行の直線方向に応じてガイドチャネル7の各側において相互に連接する。個々の側壁部品8A、8Bは、所定の設置位置、すなわち、設備/機械における固定的に指定された位置を有する。
【0054】
図1は、そこに固定接続された設備又は機械の移動端4又は可動部品6の位置決定のための特に好適なシステム10をさらに示す。システム10は、
図1では実質的に無線アンテナを有するアンテナデバイス12A及びコンピュータ補助による評価ユニット12Bから構成されるセンサデバイス12を備える。評価ユニット12Bは、アンテナデバイス12Aにシグナリングのために接続され、とりわけ無線信号を評価するために構成される。アンテナデバイス12Aは、無線信号を受信及び/又は送信するように、
図1では主に無線信号を受信するように設計され得る。システム10は、センサデバイス12と位置決定のために相互作用する複数の個々の無線ベースの基準構成要素14をさらに備える。無線能力のある基準構成要素14は、ここでは、ガイドチャネル7の片側に固定的に指定された間隔dにおいて独立した構成要素として設けられる。
図1では、各部において、複数の基準構成要素14は、割り当てられた側壁部品8Aに独立した構成要素として締結される。ここでは、基準構成要素14は、変位経路W(
図4A)の全長Wにわたって一定間隔dで分散されてガイドチャネル7に設けられる。ガイドチャネル7の設置後に、結果として個々の基準構成要素14の位置が同様に予め決定される。
【0055】
図1では、測位システム10の基準構成要素14は、有線相互接続、すなわち、給電及びデータ交換のための適宜のバスラインを介した有線相互接続を有する。バスライン15によって、特に、個々の基準構成要素14に保持される時間ユニットを、全ての基準構成要素14について、センサデバイス12の現システム時刻と同期させることができる。
図1がさらに示すように、アンテナデバイス12Aは、常に少なくとも1つの基準構成要素14、好ましくは少なくとも2つの基準構成要素14がアンテナデバイス12Aの受信範囲内に位置するように寸法決定される。位置決定のために、各基準構成要素14は、それぞれの基準構成要素14の固有の識別子、例えば、アドレス及び無線信号の送出時刻に対応するタイムスタンプを含む無線信号を送信する。これに基づいて、評価ユニット12Bは、特に、基準構成要素14の送信タイムスタンプを対応する無線信号の受信タイムスタンプと比較することによって、アンテナデバイス12Aによって受信された対応する無線信号を介して飛行時間(TOF)の正確な測定又は計算を実行することができる。対応するTOF測定に基づいて、考慮される基準構成要素14及びその結果として長手方向Lにおける移動端4の既知の位置に関連して、センサデバイス12の一次元位置が、正確に決定可能となる。精度を、アンテナデバイス12Aの受信範囲における複数の基準構成要素14の飛行時間(TOF)を評価することによって演算的に高めることができる。TOF測定値に代えて又はそれに加えて、距離が、RSS測定原理を用いて無線信号強度に基づいて定量的に決定されてもよい。
【0056】
図1では、結果として、基準構成要素14が、能動無線回路、例えば、ZigBee(登録商標)モジュールとして実装され、その予め決定された位置は、例えば、評価ユニット12Bによって初期化の過程において又は基準走行中に固有の識別子を介して学習される。提案される測位システム10は、(測位システムのない)ガイドチャネル7を有する従来のエネルギーチェーン1と比較して、わずかな追加費用のみで操作可能に設置され得る。この目的のため、基準構成要素14は、個々の側壁部品8に、例えば、特に、所望の所定の一定間隔Dを同時に確保する側壁部品8Aの外壁に明示的に事前作製された受容部に、工場渡し時に締結され得る。バスライン15への基準構成要素14の現場配線は、従来の産業用コネクタを用いて容易、迅速かつ確実に実現可能である。センサデバイス12は、同様に、移動端4に固定的にかつ事前作製された態様で締結され、動作状態においてそれを供給され得る(ここでは不図示)。評価ユニット12Bは、さらに、位置依存の力測定を実施するために、エネルギーチェーン1における張力及び剪断力を測定するために移動端4において1以上の力センサに接続されるように構成され得る(国際公開第2013/156607号参照)。評価ユニット12Bは、さらに、従来の独立した測位システムを不要とするように、取得された位置情報を、供給される機械/設備の制御システム(不図示)に連続的に送信し得る。
【0057】
図2は、組み合わせられた光学及び無線ベースの原理による位置決定のための代替のシステム20を示す。
図2では、受動無線回路、すなわち、無線構成要素24が、相互からの指定間隔dにおいて基準構成要素としてガイドチャネル7の片側に設けられる。無線構成要素24は、個々の側壁部品28Aに独立した構成要素として設置される。無線構成要素24は、粗い位置基準として作用し、移動端4に固定的に締結されてそれとともに進行するアンテナデバイス22Aの補助によって無線でポーリングされる。使用され得る無線構成要素24は、例えば、通常は固有の識別子を返すとともに、RFIDリーダとして又は送受信機として構成されたアンテナデバイス22Aの無線場によって給電される受動COTS-RFIDトランスポンダである。アンテナデバイス22Aによって受信される無線信号はまた、評価ユニット22Bによって、ただしこの場合には、長手方向Lに沿う無線構成要素24の個々の識別子の既知の学習した割当てに基づく粗い絶対位置情報を取得するために、システム20において評価される。より正確な位置情報は、電気光学的なインクリメンタルトランスデューサの原理との組合せにより、センサデバイス22によって
図2において確定される。この目的のため、例えば、光源及び光センサを有する光学走査ヘッド22Cが、評価ユニット22Bに接続される。走査ヘッド22Cは、長手方向Lにおける変位中に側壁部品28Aの上端に重なる。そうすることで、走査ヘッド22Cは、有孔トラック23と光学的に相互作用する。有孔トラック23は、片側のガイドチャネル7の各側壁部品28Aの上端に含まれ、すなわち、これらの側壁部品28Aは特注製品である(これに対して、他方の側壁28Bは従来の形材である)。有孔トラック23は、長手方向Lに平行なラインに沿って設けられる側壁部品28Aにおける貫通孔23Aによって形成される。製造の容易化のため、孔23Aは、ここでは、相互から好ましくは一定のピッチで配置されるが、絶対位置情報は間隔又は断面の変化によって割り当てられてもよい。有孔トラック23は、例えば、形材部品の型打ちなどによって各側壁部品28Aに同一に事前作製される。もちろん、孔23Aは、スロット又は他の開口に代替されてもよい。
【0058】
図2では、走査ヘッド22Cは、撮像測定の原理に従って動作することができ、すなわち、長手方向の移動中に有孔トラック23の光電走査を行うことができる。インクリメンタルトランスデューサの原理によると、走査ヘッド22Cは、この目的のため、例えば、光源及び対向する光検出器、好ましくは孔23Aのピッチの半分だけ長手方向Lにオフセットした二対の光源及び光検出器を有する二重構成を有する。側壁部品28A、特に、そこに事前作製された有孔トラック23は、この場合、走査ヘッド22Cについて、長さ及び/又は速度測定の目的でルートW全体に沿って実質的な測定値を形成する。走査ヘッド22Cからのパルスに基づいて、評価ユニット22Bにおける適宜の信号評価は、例えば、長手方向Lにおける移動端4の進行速度の比較的正確な決定を可能とする。演算的な信号処理が、特に、無線構成要素24及びアンテナデバイス22Aに基づいて並行して取得される比較的粗い位置情報との関連において、より正確な絶対位置の決定を実現するのに同様に使用可能である。システム20の組み合わせられたセンサシステムは、電源のない受動無線構成要素24でよくあるように、低いデータ速度によって正確な飛行時間測定が可能とはならず又は実際に同期が可能でない場合に特に有利となる。
【0059】
図3は、単に光学的なモードのアクションで動作するが、それでもなお比較的正確な絶対位置情報をもたらす更なる測位システム30を示す。ここでは、センサデバイス32は、1つのみの光学的又は電気光学的な走査ヘッド32Aを備え、それはシグナリングのために評価ユニット32Bに接続される。システム30には、側壁部品38Aにおける個々のスロット33Aで構成されるコード化トラック33が、各側壁部品38Aにおけるガイドチャネル7の片側における、すなわち、ルートの全長Wに沿う位置決定のために、各部において上端に設けられる。スロット33Aの長手方向Lの寸法は、所定のコード化システムに応じて場合毎に異なる。コード化トラック33は、好ましくは、移動端4の正確な絶対位置が全ルートWにわたって連続的に確定可能となるように、全ての側壁部品38Aにおいて相違してコード化され得る。ここで、位置は、コード化レールを有する位置コード化システムで知られるように、当業者に周知の適宜の技術、特に、コンピュータ実施による又はデジタル的な技術を用いて、走査ヘッド32Aによって評価ユニット32Bに供給される信号を復号することによって、確定される。
【0060】
例えば、学習が、2つの終点Aと終点B(
図4A)の間でのセンサデバイス32による移動端4の初期化基準走行によって進められてもよい。
図3のように、コード化トラックが、好ましくは、ただし必ずしもではなく、ガイドチャネル7の側壁部品38Aの一体化構成要素として実装され、すなわち、独立したコード化レールとしては設けられない。光学走査に加えて、画像認識技術を用いて電磁走査又は視覚的走査が用いられてもよい。
【0061】
図1から
図3によるシステム10、20、30の全ては、破壊的な環境の影響に対して強健であり、例えば、重工業において、すなわちコンテナガントリークレーンなどの大型クレーンシステムでの屋外使用に特に適する。
【0062】
図6は、用途の例示として、ブリッジ又はガントリークレーン、ここではより具体的には、ISO輸送コンテナ65のためのコンテナガントリークレーン60、すなわち、シップトゥショアクレーンを示す。例示のコンテナガントリークレーン60は、第1のクレーン高架移動式滑車62を有する上側クレーンブリッジ61及び第2のクレーン高架移動式滑車64を有する下側クレーンブリッジ63を有し、ここではその各々は、例えば、10m超の距離にわたって直線的に進行する。両クレーン高架移動式滑車62、64は、通常は、例えば、コンテナスプレッダの給電及び駆動制御のために、エネルギーチェーン1によって供給される。
図1~3によるシステム10、20、30、特に好ましくは
図1によるシステム10は、クレーン高架移動式滑車62、64を制御するための位置測定システムとして提供され得る。ここでは、従来においてこれまで行われていたような独立した位置測定システムの設置は不要である。
図1~3によるシステム10、20、30は、ここでは、例えばクレーン桁上にガイドチャネル7及びエネルギーチェーン1とともに設置され、すなわち、追加の設置の労力は必要とならない。さらに、ラインは、通常、いずれの場合でも既にエネルギーチェーンの固定接続点5(
図4A)からクレーン制御システムまで送られる。
図1~3によるシステム10、20、30は、特に、移動端4が締結される供給機械部品の位置監視又は制御のための、他の種類のクレーン、例えば、RMG港湾クレーン、及び重工業における他の用途においても有利に使用可能である。
【0063】
最後に、
図4A~4Bは、ガイドチャネル7なしでも使用可能なエネルギーチェーン1の検出システム40の変形例を模式的に示す。ここでは無線回路の形態の基準構成要素44、例えば、RFIDトランスポンダが、エネルギーチェーン1の、n番目毎のチェーンリンク2、例えば2番目若しくは3番目毎の、又は実際には各チェーンリンク2に設けられる。第1のアンテナ41が移動端4に設けられ、そのアンテナは全ルートWの第1の終点Aから中間Mまでの第1の小部分にわたって、すなわち、エネルギーチェーンの固定接続点5から、長手方向Lにおける変位に有効である。この小部分を進行するにつれて、第1のアンテナ41は、そこからの絶対位置情報を取得するために、停止中の下側ランにあるチェーンリンク2上の基準構成要素44、例えば、RFID識別子を順次検出することができる。固定の第2のアンテナ42は、固定接続点5付近に設けられ、第2のアンテナは、全ルートWの中間Mから第2の終点Bまでの第2の小部分にわたって有効となり、そこから絶対位置情報を取得するために、移動中の上側ラン1Aにおける基準構成要素44を検出する。検出システム40は、代替的に、エネルギーチェーン1が正しく又は意図される通りに移動しているか、例えば、上側ラン1Aが望まれない態様で立ち上がっているかを検出するために、位置を確定するために又はそれに対して相補的に用いられてもよい。好ましくは、基準構成要素44は、この目的のため、偏向アーク1C(
図4A参照)において内部に位置するエネルギーチェーン1の側に、例えば、横材55(
図5A)上に設けられる。あるいは、基準構成要素44は、例えば、選択されるチェーンリンク2のサイドプレート53、54、すなわち、側方部品(
図4B参照)に配置されてもよい。
【0064】
基準構成要素44は、例えば、チェーンリンク52A又は52Bの従来的な横材55に挿入可能な後付け無線基準モジュール50(
図5A~5B参照)の形態で搭載されてもよい。横材55は、チェーンリンク2又は52A、52Bのサイドプレート53又は54を接続するために、チェーンリンク2又は52A、52Bに通常は設けられる。単に例示として、
図5Aは、長い全ルートWのための交互の内部プレート及び外部プレートを有するチェーンリンク52A、52Bを示すが、本発明は任意の所望のエネルギーチェーン1とともに使用可能である。
【0065】
図4~5による無線ベースの原理の代替例として、例えば、光バリアを用いる横材55を計数することによる単なる光学的な識別も可能である。ここでは、追加の第3の固定センサが、終点B付近の端部領域に任意に設けられる。これは、端部位置では、通常、偏向アーク1Cは中間Mから縦方向に持ち上げられ、すなわち、ここでは横材55は光学的に検出するのが難しいためである。
【0066】
クレーン60における本発明によるシステム10、20、30の
図6に示す用途は単なる例示であり、本発明は多数の分野において、特に、例えば、自動化目的のために、エネルギーチェーン1によって供給される設備/機械の移動部品の位置が検出されなければならない長い変位経路を有する用途において有利に使用可能である。
【0067】
したがって、本発明によるシステム10、20、30、40は、長い変位経路に特に適した摺動又は転動エネルギーチェーン1、すなわち、
図1~3において明らかなように、可動の上側ラン1Aが停止中の下側ラン1Bの上を摺動又は転動可能なそれ自体公知の構成のエネルギーチェーン1との関連において、特に有利に使用され得る。
【符号の説明】
【0068】
図1
1 エネルギーガイドチェーン
1A 上側ラン
1B 下側ラン
2 チェーンリンク
3 ライン
4 移動端
6 桁要素(供給される部品)
7 ガイドチャネル
8A、8B 側壁部品(ガイドチャネル)
9 設備形材
10 測位システム
12 センサデバイス
12A アンテナデバイス
12B 評価ユニット
14 基準構成要素(無線)
15 バスライン
L 長手方向
図2
1 エネルギーガイドチェーン
7 ガイドチャネル
20 測位システム
22 センサデバイス
22A アンテナデバイス
22B 評価ユニット
22C 走査ヘッド(光学)
23 有孔トラック(光学)
23A 孔
24 第1の基準構成要素(無線)
28A、28B 側壁部品(ガイドチャネル)
L 長手方向
図3
1 エネルギーガイドチェーン
4 移動端
7 ガイドチャネル
30 測位システム
32 センサデバイス
32A 走査ヘッド(光学)
32B 評価ユニット
33 コード化トラック(光学)
33A スロット
38A、38B 側壁部品(ガイドチャネル)
L 長手方向
図4A~4B
1 エネルギーガイドチェーン
1A 上側ラン
1B 下側ラン
1C 偏向アーク
2 チェーンリンク
4 移動端(可動接続点)
5 固定/静止接続点
40 測位システム
41 第1のアンテナ
42 第2のアンテナ
44 基準構成要素(無線)
A 第1の端部位置
B 第2の端部位置
M 中間
W 全ルート
図5A~5B
50 無線基準モジュール
52A、52B チェーンリンク
53、54 サイドプレート
55 横材
図6
60 (コンテナ)ガントリークレーン
61 上側ブリッジ
62 クレーン高架移動式滑車
63 下側ブリッジ
64 クレーン高架移動式滑車
65 ISO輸送コンテナ