(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069339
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】偏光板、偏光板のセットおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240514BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20240514BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240514BHJP
G02F 1/1335 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
G02B5/30
H10K50/86
G09F9/00 313
G02F1/1335 510
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034618
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2021563746の分割
【原出願日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2019223918
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】品川 玲子
(72)【発明者】
【氏名】森本 剛司
(57)【要約】
【課題】端部近傍に貫通孔が形成されている偏光板であって、貫通孔周辺のクラックが顕著に抑制された偏光板を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態による偏光板は、偏光子と、偏光子の少なくとも一方の側に配置された保護層と、粘着剤層と、を有する。偏光板は、矩形形状を有し、貫通孔が形成されている。偏光子の厚みは10μm未満である。貫通孔の直径は5mm以下であり、貫通孔は、長辺から11mm以内かつ短辺から11mm以内の位置に形成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、該偏光子の少なくとも一方の側に配置された保護層と、粘着剤層と、を有し、貫通孔が形成されている、矩形形状の偏光板であって、
該偏光子の厚みが10μm未満であり、
該貫通孔の直径が5mm以下であり、
該貫通孔が、長辺から11mm以内かつ短辺から11mm以内の位置に形成されている、
偏光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板、偏光板のセットおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノート型パーソナルコンピューター等の画像表示装置には、画像表示を実現し、および/または当該画像表示の性能を高めるために、偏光板が広く使用されている。近年、スマートフォン、タッチパネル式の情報処理装置の急速な普及により、カメラが搭載された画像表示装置が広く利用されるようになっている。これに対応して、カメラ部に対応する位置に貫通孔を有する偏光板もまた広く利用されるようになっている。このような貫通孔を有する偏光板においては、貫通孔またはその近傍において種々の検討事項がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、端部近傍に貫通孔が形成されている偏光板であって、貫通孔周辺のクラックが顕著に抑制された偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態による偏光板は、偏光子と、該偏光子の少なくとも一方の側に配置された保護層と、粘着剤層と、を有する。該偏光板は、矩形形状を有し、貫通孔が形成されている。該偏光子の厚みは10μm未満である。該貫通孔の直径は5mm以下であり、該貫通孔は、長辺から11mm以内かつ短辺から11mm以内の位置に形成されている。
1つの実施形態においては、上記偏光子の厚みは8μm以下である。1つの実施形態においては、上記偏光子の厚みは6μm以下である。
1つの実施形態においては、上記偏光板は、上記粘着剤層を介してガラス板に貼り合わせた状態で、-40℃で30分間保持した後85℃で30分間保持することを100サイクル繰り返すヒートショック試験に供した後の、該貫通孔部分における該偏光板のずれ量が120μm以下である。
1つの実施形態においては、上記貫通孔は2つ形成されており、該貫通孔はいずれも、長辺から11mm以内かつ短辺から11mm以内の位置に形成されている。
1つの実施形態においては、上記偏光子の吸収軸は短辺方向に延びている。別の実施形態においては、上記偏光子の吸収軸は長辺方向に延びている。
本発明の別の局面によれば、偏光板のセットが提供される。この偏光板のセットは、上記偏光子の吸収軸が短辺方向に延びる偏光板と上記偏光子の吸収軸が長辺方向に延びる偏光板とからなり、それぞれの偏光板の貫通孔が、互いの対応する位置に形成されている。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、画像表示セルと上記の偏光板とを含む。
本発明の別の画像表示装置は、画像表示セルと、上記の偏光板のセットと、を含む。該偏光板のセットにおける一方の偏光板は該画像表示セルの視認側に配置され、他方の偏光板は該画像表示セルの背面側に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、端部近傍に貫通孔が形成されている偏光板において、貫通孔の直径と貫通孔の形成位置と偏光子の厚みとを組み合わせて最適化することにより、貫通孔周辺のクラックが顕著に抑制された偏光板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の1つの実施形態による偏光板を説明する概略平面図である。
【
図1B】本発明の実施形態による偏光板における貫通孔の形成位置を説明する概略図である。
【
図1C】本発明の実施形態による偏光板において貫通孔が複数形成されている形態を説明する概略平面図である。
【
図2】
図1の偏光板のII-II線による概略断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による偏光板において貫通孔部分におけるずれを説明する要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、見やすくするために図面は模式的に表されており、さらに、図面における長さ、幅、厚み等の比率、ならびに角度等は、実際とは異なっている。
【0009】
A.偏光板
A-1.偏光板の全体構成
図1Aは、本発明の1つの実施形態による偏光板を説明する概略平面図であり;
図2は、
図1Aの偏光板のII-II線による概略断面図である。図示例の偏光板100は、偏光子11と、偏光子11の一方の側に配置された保護層(以下、外側保護層と称する場合がある)12と、偏光子11のもう一方の側に配置された保護層(以下、内側保護層と称する場合がある)13と、粘着剤層20と、を有する。目的および所望の構成等に応じて、外側保護層12または内側保護層13のいずれか一方は省略されてもよい。
【0010】
本発明の実施形態においては、偏光子11の厚みは10μm未満であり、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは6μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下である。偏光子の厚みは、例えば1μm以上であり、また例えば2μm以上であり得る。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、貫通孔の直径の最適化および貫通孔の形成位置の最適化による効果との相乗的な効果により、貫通孔周辺のクラックを顕著に抑制することができる。偏光子11の吸収軸は、長辺方向に延びていてもよく短辺方向に延びていてもよい。
【0011】
偏光板100は、代表的には、
図1Aに示すような矩形形状を有する。本明細書において「矩形形状」というときは、
図1Aに示すように各頂点が面取りされたR形状のような異形加工部分を含む形状も包含する。
【0012】
本発明の実施形態においては、偏光板100には貫通孔30が形成されている。貫通孔を形成することにより、例えば画像表示装置がカメラを内蔵する場合に当該カメラ性能に対する悪影響を防止することができる。貫通孔30は、代表的には偏光板の端部またはその近傍に形成され、好ましくは図示例のように隅部に形成されている。貫通孔を偏光板の端部またはその近傍に形成することにより、偏光板が画像表示装置に適用された場合に、画像表示に対する影響を最小限とすることができる。貫通孔30の平面視形状は、目的および画像表示装置の所望の構成に応じて任意の適切な形状が採用され得る。代表例としては、図示例のような略円形が挙げられる。貫通孔は、例えばレーザー加工、エンドミルによる切削加工、トムソン刃やピナクル(登録商標)刃による打ち抜き加工等種々の方法で形成され得る。
【0013】
本発明の実施形態においては、貫通孔の直径は、代表的には5mm以下であり、好ましくは1mm~5mmであり、より好ましくは2mm~4mmである。貫通孔の直径がこのような範囲であれば、偏光子の厚みの最適化および貫通孔の形成位置の最適化による効果との相乗的な効果により、貫通孔周辺のクラックを顕著に抑制することができる。
【0014】
本発明の実施形態においては、貫通孔30は、長辺から11mm以内かつ短辺から11mm以内の位置に形成されている。貫通孔は、好ましくは、長辺から11mm以内かつ短辺から3mm以内、長辺から3mm以内かつ短辺から11mm以内、長辺から9mm以内かつ短辺から7mm以内、あるいは、長辺から7mm以内かつ短辺から9mm以内の位置に形成され;より好ましくは、長辺から5mm以内かつ短辺から3mm以内、あるいは、長辺から3mm以内かつ短辺から5mm以内の位置に形成され;さらに好ましくは、長辺から3mm以内かつ短辺から3mm以内の位置に形成されている。本発明の実施形態によれば、端部近傍に貫通孔が形成される場合であっても、貫通孔周辺のクラックを顕著に抑制することができる。その結果、デザイン上の要請により画像表示装置において例えばカメラ部が端部ぎりぎりに設けられるような場合であっても適用可能であり、かつ、耐久性に優れた偏光板を実現することができる。したがって、本発明の実施形態による偏光板は、工業上および商業上の価値が非常に高い。なお、本明細書において長辺から貫通孔までの距離とは、
図1Bに示すように、長辺と直交する方向(すなわち、短辺が伸びる方向)において長辺と貫通孔の中心とを結ぶ直線上で長辺(すなわち、偏光板の外周)から貫通孔の偏光板外周側の端部までの距離をいう。同様に、短辺から貫通孔までの距離とは、
図1Bに示すように、短辺と直交する方向(すなわち、長辺が伸びる方向)において短辺と貫通孔の中心とを結ぶ直線上で短辺(すなわち、偏光板の外周)から貫通孔の偏光板外周側の端部までの距離をいう。
【0015】
貫通孔は、
図1Cに示すように複数形成されてもよい。図示例では2つの貫通孔が形成されているが、貫通孔の個数は3つであってもよく、4つ以上であってもよい。貫通孔が例えば
図1Cのように2つ形成される場合、2つの貫通孔はいずれも、長辺から11mm以内かつ短辺から11mm以内の位置に形成されている。貫通孔は、好ましくは、長辺から11mm以内かつ短辺から3mm以内、長辺から3mm以内かつ短辺から11mm以内、長辺から9mm以内かつ短辺から7mm以内、あるいは、長辺から7mm以内かつ短辺から9mm以内の位置に形成され;より好ましくは、長辺から5mm以内かつ短辺から3mm以内、あるいは、長辺から3mm以内かつ短辺から5mm以内の位置に形成され;さらに好ましくは、長辺から3mm以内かつ短辺から3mm以内の位置に形成されている。なお、貫通孔が例えば
図1Cのように2つ形成される場合、これらは1つの細長楕円形の貫通孔で置き換えられてもよい。
【0016】
1つの実施形態においては、
図3に示すように、偏光板100は、粘着剤層20を介して偏光板100をガラス板(画像表示セルの基板に対応し得る)120に貼り合わせた状態で、-40℃で30分間保持した後85℃で30分間保持することを100サイクル繰り返すヒートショック試験に供した後の、該貫通孔部分における該偏光板のずれ量Dが好ましくは120μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下であり、特に好ましくは60μm以下である。ずれ量Dは小さいほど好ましい。ずれ量Dの下限は、例えば10μmであり得る。ずれ量Dは、断面で見たときに貫通孔部分から遠ざかる偏光板の最大部分をいう。貫通孔部分の基準は、代表的には粘着剤層の下端部であり得る。すなわち、偏光板が主に偏光子11の収縮に起因して(図示例では右側に)ずれる際に粘着剤層20が粘着したガラス板120にとどまることにより、貫通孔部分にずれが認識されることとなる。なお、
図3に示すように、偏光板は、代表的には、貫通孔部分において貫通孔から遠ざかる側にずれるとともに(
図3右側)、その対向する部分は貫通孔にはみ出すようにずれる(
図3左側)。このように、貫通孔部分における偏光板のずれは、実質的には粘着剤層のずれである。ずれ量Dがこのような範囲であれば、貫通孔周辺のクラックを顕著に抑制することができるのみならず、画像表示装置においてずれに起因する光漏れを小さくすることができる。
【0017】
貫通孔の直径Rに対するずれ量Dの割合D/Rは、好ましくは5%~30%であり、より好ましくは10%~30%である。D/Rがこのような範囲であれば、貫通孔周辺のクラックおよび光漏れをいずれも顕著に抑制することができる。
【0018】
本発明の実施形態においては、偏光板の中心における残留応力に対する貫通孔部分の残留応力の比(%)が、好ましくは77%以下である。当該比は、貫通孔の直径に応じて変化し得る。貫通孔の直径が3mm~5mm(例えば、4mm)である場合には、当該比は、より好ましくは70%以下であり、さらに好ましくは68%以下であり、特に好ましくは65%以下である。貫通孔の直径が3mm未満(例えば、2mm)である場合には、当該比は、より好ましくは76%以下であり、さらに好ましくは74%以下であり、特に好ましくは72%以下である。当該比の下限は、貫通孔の直径にかかわらず例えば50%であり得る。残留応力の比がこのような範囲であれば、貫通孔周辺のクラックを顕著に抑制することができる。このような残留応力の比は、貫通孔の形成位置と上記ずれ量Dとを組み合わせて調整することにより実現され得る。なお、本明細書において「貫通孔部分の残留応力」とは、貫通孔外周部で残留応力が最大となる部分の残留応力をいう。
【0019】
本発明の実施形態による偏光板は、目的に応じて任意の適切な光学機能層をさらに有していてもよい。光学機能層としては、例えば、位相差層、タッチパネル用導電層、反射型偏光子が挙げられる。偏光板に組み込まれる光学機能層の種類、数、組み合わせ、配置位置等は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0020】
本発明の実施形態による偏光板は、アスペクト比が好ましくは1.3~2.5である。この場合、偏光板のサイズは、例えば、縦145mm~155mmおよび横65mm~75mm、あるいは、縦230mm~240mmおよび横140mm~150mmである。すなわち、本発明の実施形態による偏光板は、スマートフォンまたはタブレット型PCに好適に用いられ得る。スマートフォンサイズとしては、例えば、縦は120mm~200mmであってもよく、幅は30mm~120mmであってもよい。
【0021】
以下、偏光板を構成する偏光子、保護層および粘着剤層について具体的に説明する。
【0022】
A-2.偏光子
偏光子は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムで構成される。樹脂フィルムとしては、偏光子として用いられ得る任意の適切な樹脂フィルムを採用することができる。樹脂フィルムは、代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)フィルムである。樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0023】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、PVA系樹脂フィルムにヨウ素による染色処理および延伸処理(代表的には、一軸延伸)が施されたものが挙げられる。上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系樹脂フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系樹脂フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系樹脂フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系樹脂フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系樹脂フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
【0024】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
【0025】
偏光子の厚みは、上記A-1項に記載したとおりである。
【0026】
偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、例えば41.5%~46.0%であり、好ましくは43.0%~46.0%であり、より好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0027】
A-3.保護層
保護層は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0028】
外側保護層12(特に、偏光板が視認側偏光板である場合)には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。さらに/あるいは、外側保護層12には、必要に応じて、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善する処理(代表的には、(楕)円偏光機能を付与すること、超高位相差を付与すること)が施されていてもよい。このような処理を施すことにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、偏光板は、屋外で用いられ得る画像表示装置にも好適に適用され得る。
【0029】
内側保護層は、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。ここで、「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。また、「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。なお、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。
【0030】
保護層の厚みは、任意の適切な厚みが採用され得る。保護層の厚みは、例えば10μm~50μmであり、好ましくは20μm~40μmである。なお、表面処理が施されている場合、保護層の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
【0031】
A-4.粘着剤層
粘着剤層20は、代表的には、偏光板を画像表示セルに貼り合わせるために用いられる。粘着剤層は、代表的にはアクリル系粘着剤(アクリル系粘着剤組成物)で構成され得る。アクリル系粘着剤組成物は、代表的には、(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、粘着剤組成物の固形分中、例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上の割合で粘着剤組成物に含有され得る。(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位としてアルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分中、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上の割合で含有され得る。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基としては、例えば、1個~18個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基の平均炭素数は、好ましくは3個~9個であり、より好ましくは3個~6個である。好ましいアルキル(メタ)アクリレートは、ブチルアクリレートである。(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー(共重合モノマー)としては、アルキル(メタ)アクリレート以外に、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、芳香環含有(メタ)アクリレート、複素環含有ビニル系モノマー等が挙げられる。共重合モノマーの代表例としては、アクリル酸、4-ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N-ビニル-2-ピロリドンが挙げられる。アクリル系粘着剤組成物は、好ましくは、シランカップリング剤および/または架橋剤を含有し得る。シランカップリング剤としては、例えばエポキシ基含有シランカップリング剤が挙げられる。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤が挙げられる。さらに、アクリル系粘着剤組成物は、酸化防止剤および/または導電剤を含有してもよい。モノマー単位の種類、数、組み合わせおよび共重合比、シランカップリング剤の種類、数、組み合わせおよび配合比、ならびに、架橋剤の種類、数、組み合わせおよび配合比等を調整することにより、目的に応じた所望の特性を有するアクリル系粘着剤組成物(結果として、粘着剤層)が得られ得る。その結果、本発明の実施形態においては、上記所望のずれ量Dを実現することができる。粘着剤層またはアクリル系粘着剤組成物の詳細は、例えば、特開2006-183022号公報、特開2015-199942号公報、特開2018-053114号公報、特開2016-190996号公報、国際公開第2018/008712号に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0032】
粘着剤層の厚みは、好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは10μm~30μmである。粘着剤層の厚みがこのような範囲であれば、上記所望のずれ量Dを実現することができる。
【0033】
粘着剤層の-40℃における貯蔵弾性率G’は、好ましくは1.0×105(Pa)以上であり、より好ましくは1.0×106(Pa)以上であり、さらに好ましくは1.0×107(Pa)以上であり、特に好ましくは1.0×108(Pa)以上である。貯蔵弾性率G’は、例えば1.0×109(Pa)以下であり得る。粘着剤層の-40℃における貯蔵弾性率がこのような範囲であれば、上記所望のずれ量Dを実現することができる。
【0034】
B.偏光板のセット
上記A項に記載の偏光板は、視認側偏光板として用いてもよく背面側偏光板として用いてもよい。上記A項に記載の偏光板のうち特定の2つの実施形態の偏光板を組み合わせることにより、偏光板のセットが提供され得る。したがって、本発明の実施形態は、そのような偏光板のセットも包含する。偏光板のセットにおいて当該セットを構成する2つの偏光板は、それぞれの貫通孔が互いの対応する位置に形成されている。本明細書において「互いの対応する位置に形成されている」とは、2つの偏光板を重ねたときに貫通孔が重なることを意味する。
【0035】
1つの実施形態においては、偏光板のセットは、偏光子の吸収軸が短辺方向に延びる偏光板と、偏光子の吸収軸が長辺方向に延びる偏光板と、からなる。この場合、2つの偏光板の貫通孔は、代表的には、長辺から11mm以内かつ短辺から11mm以内の位置;好ましくは、長辺から11mm以内かつ短辺から3mm以内、長辺から3mm以内かつ短辺から11mm以内、長辺から9mm以内かつ短辺から7mm以内、あるいは、長辺から7mm以内かつ短辺から9mm以内の位置;より好ましくは、長辺から5mm以内かつ短辺から3mm以内、あるいは、長辺から3mm以内かつ短辺から5mm以内の位置;さらに好ましくは、長辺から3mm以内かつ短辺から3mm以内の位置;であって、かつ、互いの対応する位置に形成されている。
【0036】
C.画像表示装置
本発明の実施形態による偏光板および偏光板のセットは、画像表示装置に適用され得る。したがって、画像表示装置もまた、本発明の実施形態に包含される。1つの実施形態においては、画像表示装置は、画像表示セルと偏光板とを含む。偏光板は、上記A項に記載の本発明の実施形態による偏光板である。偏光板は、粘着剤層を介して画像表示セルに貼り合わせられている。別の実施形態においては、画像表示装置は、画像表示セルと偏光板のセットとを含む。偏光板のセットは、上記B項に記載の本発明の実施形態による偏光板のセットである。この場合、偏光板のセットにおける一方の偏光板は該画像表示セルの視認側に配置され、他方の偏光板は該画像表示セルの背面側に配置されている。画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、量子ドット表示装置が挙げられる。
【実施例0037】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。実施例における評価項目は以下のとおりである。また、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
【0038】
(1)ずれ量
実施例および比較例で得られた偏光板を、粘着剤層を介してガラス板(マツナミガラス社製、縦350mm×横250mm×厚み1.1mm)に貼り付けて試験サンプルとした。この試験サンプルを、-40℃で30分間保持した後85℃で30分間保持することを100サイクル繰り返すヒートショック試験に供した。ヒートショック試験における昇温および降温速度は10℃/分であった。試験後、貫通孔部分の偏光板(実質的には、粘着剤層)のずれ量をOLYMPUS社製の光学顕微鏡(MX61L)で測定した。なお、測定は、3つの試験サンプルについて行い、3つの測定値のうちの最大値をずれ量とした。
(2)クラック
実施例および比較例で得られた偏光板を、上記(1)の「ずれ量」と同様の手順でヒートショック試験に供した。試験後の貫通孔部分のクラックの発生状態を、OLYMPUS社製の光学顕微鏡(MX61L)で観察し、以下の基準で評価した。
AA:クラックは認められなかった
A :長さ300μm未満の小さなクラックのみが認められた
B :長さ300μm~1mmのクラックが認められたが、光漏れは発生しなかった
C :クラックが顕著であり、光漏れが発生した
【0039】
<製造例1>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート80.3部、フェノキシエチルアクリレート16部、N-ビニル-2-ピロリドン3部、アクリル酸0.3部および4-ヒドロキシブチルアクリレート0.4部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100重量部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)150万のアクリル系ポリマーの溶液を調製した。得られたアクリル系ポリマーの溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(商品名:タケネートD160N、トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート、三井化学(株)製)0.1部、ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT 40SV、日本油脂(株)製)0.3部、チオール基含有シランカップリング剤(商品名:X-41-1810、信越化学工業(株)製、アルコキシ基量:30%、チオール当量:450g/mol)0.1部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、ヒンダードフェノール系、BASFジャパン社製)0.2部、および、導電剤(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、第一工業製薬社製のイオン性液体)5部を配合して、粘着剤組成物を得た。
【0040】
<実施例1>
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光子の単体透過率(Ts)が所望の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。
このようにして、樹脂基材上に厚み約5μmの偏光子を形成し、樹脂基材/偏光子の構成を有する積層体を得た。
【0041】
上記積層体の偏光子表面にHC-TACフィルムを貼り合わた。なお、HC-TACフィルムは、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み25μm)にハードコート(HC)層(厚み7μm)が形成されたフィルムであり、TACフィルムが偏光子側となるようにして貼り合わせた。次いで、樹脂基材を剥離し、当該剥離面に製造例1の粘着剤組成物を用いて粘着剤層(厚み20μm)を形成して、HC層/外側保護層/偏光子/粘着剤層の構成を有する長尺状の偏光板を得た。この偏光板を縦142.0mmおよび横66.8mmのサイズで、4つの角部にR7.0mmのR部を設けた形状に打ち抜いた。このとき、偏光子の吸収軸方向が短辺方向となるように打ち抜いた。さらに、長辺から2mmおよび短辺から2mmの位置に直径4mmの貫通孔を形成した。貫通孔は、エンドミル加工により形成した。エンドミルの送り速度は500mm/分、回転数は2500rpm、削り量は0.1mmであった。このようにして、貫通孔を有する偏光板を作製した。得られた偏光板を上記(2)の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。なお、表1において「0°」は長辺方向を、「90°」は短辺方向を意味する。
【0042】
<実施例2>
貫通孔の形成位置を長辺から6mmおよび短辺から4mmの位置としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0043】
<実施例3~6>
貫通孔の形成位置を表1に示す位置としたこと以外は実施例1と同様にしてそれぞれ偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0044】
<実施例7>
実施例1と同様にして長尺状の偏光板を得た。この偏光板を縦142.0mmおよび横66.8mmのサイズで、4つの角部にR7.0mmのR部を設けた形状に打ち抜いた。このとき、偏光子の吸収軸方向が長辺方向となるように打ち抜いた。以下の手順は実施例1と同様にして、長辺から2mmおよび短辺から2mmの位置に直径4mmの貫通孔を有する偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0045】
<実施例8>
貫通孔の形成位置を長辺から6mmおよび短辺から4mmの位置としたこと以外は実施例7と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0046】
<実施例9~12>
貫通孔の形成位置を表1に示す位置としたこと以外は実施例7と同様にしてそれぞれ偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0047】
<実施例13>
直径2mmの貫通孔を形成したこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、当該貫通孔は、CO2レーザーで形成した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0048】
<実施例14>
貫通孔の形成位置を長辺から6mmおよび短辺から4mmの位置としたこと以外は実施例13と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0049】
<実施例15~18>
貫通孔の形成位置を表1に示す位置としたこと以外は実施例13と同様にしてそれぞれ偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0050】
<実施例19>
直径2mmの貫通孔を形成したこと以外は実施例7と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0051】
<実施例20>
貫通孔の形成位置を長辺から6mmおよび短辺から4mmの位置としたこと以外は実施例19と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0052】
<実施例21~24>
貫通孔の形成位置を表1に示す位置としたこと以外は実施例19と同様にしてそれぞれ偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0053】
<比較例1>
偏光子として、長尺状のポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムにヨウ素を含有させ、長手方向(MD方向)に一軸延伸して得られたフィルム(厚み12μm)を用いた。この偏光子の両側に外側保護層となる長尺状のHC-TACフィルムおよび内側保護層となる長尺状のアクリル系樹脂フィルム(厚み20μm)をそれぞれ、互いの長手方向を揃えるようにして貼り合わせた。なお、HC-TACフィルムは、TACフィルムが偏光子側となるようにして貼り合わせた。内側保護層の表面に製造例1の粘着剤組成物を用いて粘着剤層(厚み20μm)を形成し、長尺状の偏光板を得た。この偏光板を縦142.0mmおよび横66.8mmのサイズで、4つの角部にR7.0mmのR部を設けた形状に打ち抜いた。このとき、偏光子の吸収軸方向が短辺方向となるように打ち抜いた。さらに、長辺から8mmおよび短辺から6mmの位置に、実施例1と同様にして直径4mmの貫通孔を形成した。このようにして、貫通孔を有する偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0054】
<比較例2>
貫通孔の形成位置を長辺から10mmおよび短辺から8mmの位置としたこと以外は比較例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0055】
<比較例3>
比較例1と同様にして長尺状の偏光板を得た。この偏光板を縦142.0mmおよび横66.8mmのサイズで、4つの角部にR7.0mmのR部を設けた形状に打ち抜いた。このとき、偏光子の吸収軸方向が長辺方向となるように打ち抜いた。以下の手順は比較例1と同様にして、長辺から8mmおよび短辺から6mmの位置に直径4mmの貫通孔を有する偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0056】
<比較例4>
貫通孔の形成位置を長辺から10mmおよび短辺から8mmの位置としたこと以外は比較例3と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0057】
<比較例5>
貫通孔の形成位置を長辺から6mmおよび短辺から4mmの位置としたこと、および、貫通孔の直径を2mmとしたこと以外は比較例1と同様にして偏光板を作製した。なお、当該貫通孔は、CO2レーザーで形成した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0058】
<比較例6~7>
貫通孔の形成位置を表1に示す位置としたこと以外は比較例5と同様にしてそれぞれ偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0059】
<比較例8>
貫通孔の形成位置を長辺から6mmおよび短辺から4mmの位置としたこと、および、貫通孔の直径を2mmとしたこと以外は比較例3と同様にして偏光板を作製した。なお、当該貫通孔は、CO2レーザーで形成した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0060】
<比較例9~10>
貫通孔の形成位置を表1に示す位置としたこと以外は比較例8と同様にしてそれぞれ偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0061】
<実施例25>
実施例1と同様にして樹脂基材/偏光子の積層体を得た。この積層体の偏光子表面にHC-COPフィルムを貼り合わた。なお、HC-COPフィルムは、シクロオレフィン系樹脂(COP)フィルム(厚み25μm)にHC層(厚み2μm)が形成されたフィルムであり、COPフィルムが偏光子側となるようにして貼り合わせた。次いで、樹脂基材を剥離し、当該剥離面にCOPフィルムを貼り合わせ、COPフィルムの表面に製造例1の粘着剤組成物を用いて粘着剤層(厚み20μm)を形成して、HC層/外側保護層/偏光子/内側保護層/粘着剤層の構成を有する長尺状の偏光板を得た。この偏光板を縦142.0mmおよび横66.8mmのサイズで、4つの角部にR7.0mmのR部を設けた形状に打ち抜いた。このとき、偏光子の吸収軸方向が短辺方向となるように打ち抜いた。さらに、長辺から2.6mmおよび短辺から4.3mmの位置に直径3.9mmの貫通孔を形成した。このようにして、貫通孔を有する偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。
【0062】
<実施例26>
実施例25と同様にして長尺状の偏光板を得た。この偏光板を縦142.0mmおよび横66.8mmのサイズで、4つの角部にR7.0mmのR部を設けた形状に打ち抜いた。このとき、偏光子の吸収軸方向が長辺方向となるように打ち抜いた。以下の手順は実施例25と同様にして、長辺から2.6mmおよび短辺から4.3mmの位置に直径3.9mmの貫通孔を有する偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を、偏光板の詳細な構成とともに表1に示す。
【0063】
【0064】
表1から明らかなように、本発明の実施例の偏光板は、偏光子の厚みを薄くすることにより、ヒートショック試験後の貫通孔部分のクラックの発生が顕著に抑制されている。
本発明の偏光板は、画像表示装置に好適に用いられ、特に、スマートフォン、タブレット型PCまたはスマートウォッチに代表されるカメラ部を有する画像表示装置に好適に用いられ得る。