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特開2024-69357低温熱硬化性樹脂組成物、異方性導電膜及び接続構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069357
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】低温熱硬化性樹脂組成物、異方性導電膜及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20240514BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20240514BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20240514BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240514BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240514BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20240514BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240514BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20240514BHJP
   C08L 71/12 20060101ALI20240514BHJP
   C08G 59/24 20060101ALI20240514BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01B1/22 D
C09J9/02
C09J163/00
C09J11/04
C09J11/06
H01B5/16
C08L63/00 C
C08K9/02
C08L71/12
C08G59/24
H01R11/01 501C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024035450
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】202311633096.0
(32)【優先日】2023-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】324002133
【氏名又は名称】常州徳創高新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changzhou Dechuang High-Tech Material Technology Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】No.8, Qianjia Road, Yaoguan Town, Wujin Economic Development Zone, Changzhou City, Jiangsu Province 213011, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】李 徳
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低温熱硬化性樹脂組成物、異方性導電膜及び接続構造体を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、脂環式エポキシ樹脂と、含有量が、低温熱硬化性樹脂組成物に対して0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~3.0重量%であるクラウンエーテル化合物と、熱カチオン重合開始剤と、膜形成性添加成分と、導電粒子と、を含む低温熱硬化性樹脂組成物であり、異方性導電膜及び接続構造体の作製に適用する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温熱硬化性樹脂組成物であって、
(A)脂環式エポキシ樹脂と、
(B)含有量が前記低温熱硬化性樹脂組成物に対して0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~3.0重量%であるクラウンエーテル化合物と、
(C)熱カチオン重合開始剤と、
(D)膜形成性添加成分と、
(E)導電粒子と、
を含み、
前記低温熱硬化性樹脂組成物は、異方性導電膜を作製するための熱硬化に適用する低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱カチオン重合開始剤は、4級アンモニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成される4級アンモニウム塩、および芳香族スルホニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成されるスルホニウム塩のうちの少なくとも1種を含有し、
前記4級アンモニウム塩は、好ましくは、ジメチルフェニル(4-メトキシベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(4-メチルベンジル)アンモニウムヘキサフルオロテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニルジベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(3,4-ジメチルベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチル-N-ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素を包含し、
前記スルホニウム塩は、好ましくは、p-ヒドロキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-1-ナフチルメチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-(2-メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、7-〔ビス(p-トリル)スルホニル〕-2-イソプロピルチオキサンテニルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ビス(p-トリル)スルホニル-ジフェニルスルフィド-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを包含する、
請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱カチオン重合開始剤の含有量が、前記脂環式エポキシ樹脂に対して0.05重量%~30重量%、好ましくは2重量%~15重量%である請求項1又は2に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記クラウンエーテル化合物は、12-クラウン4-エーテル、15-クラウン5-エーテル、18-クラウン6-エーテル、24-クラウン8-エーテル、ベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ベンゾ-12-クラウン4-エーテル、ジベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジベンゾ-21-クラウン7-エーテル、ジベンゾ-24-クラウン8-エーテル、トリベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4,13-ジアゾ-18-クラウン6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン6-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-アミノベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ニトロベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-ニトロベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-18-クラウン6-エーテル、1-アザ-12-クラウン4-エーテル、4,10-ジアザ-15-クラウン5-エーテル、4,10-ジアザ-12-クラウン4-エーテル、N-フェニルアザ-15-クラウン5-エーテル、N,N’-ジベンジル-4,13-ジアザ-18-クラウン6-エーテル、2-(メチロール)-15-クラウン5-エーテル、2-(メチロール)-12-クラウン4-エーテル、2-(メチロール)-18-クラウン6-エーテル、イコサフルオロ-15-クラウン5-エーテル、ジシクロヘキセニル-18-クラウン-6-エーテル、4’-ホルミルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4,7,13,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8]ヘキサコサン、ビス(1,4-フェニレン)-34-クラウン10-エーテル、18-クラウン-5[4-(2,4-ジニトロフェニルアゾ)フェノール]からなる群より選ばれるいずれか1種であり、
前記脂環式エポキシ樹脂は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,3-ジオキサン、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)からなる群より選ばれる少なくとも1種である
請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記脂環式エポキシ樹脂の含有量が、前記低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~50重量%である請求項1又は4に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記膜形成性添加成分は、常温で固体状のエポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂を含み、
前記エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記フェノキシ樹脂は、好ましくはフルオレン型フェノキシ樹脂、ビスフェノール型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、ナフタレン型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である
請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記膜形成性添加成分の含有量が、前記低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~70重量%、好ましくは20重量%~50重量%である請求項1又は6に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記導電粒子は、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、はんだ、金属メッキ樹脂粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
好ましくは、前記導電粒子の含有量が50~100000個以下/mm導電膜、200~70000個/mm導電膜である請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の低温熱硬化性樹脂組成物を熱硬化してなり、
好ましくは、前記熱硬化の温度が140~150℃であり、硬化時間が5秒以内である異方性導電膜。
【請求項10】
請求項9に記載の異方性導電膜を利用して第1の電子部品と第2の電子部品とを異方性導電接続してなる接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品粘着接続分野に関し、特に低温熱硬化性樹脂組成物、異方性導電膜及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体及びフラットパネルディスプレイ等の分野において、異方性導電膜は、方向性導電性能などの利点を有するので、電子部品の固定又は回路の接続、例えば、ガラス基板にICチップを直接に搭載するチップ実装(COG)、フレキシブル配線基板の実装(FOG)などの分野に広く適用されている。
【0003】
半導体及びディスプレイなどの製品の小型化及び薄型化につれて、電子部品の取付部位がパネル表示部に近接し、ICチップ及びガラス基板も非常に薄くなっている。接続時の熱圧着により、部品の焼き付き、あるいは、対向する回路基板の熱膨張差により実装後に回路配線の位置ずれなどの問題が発生してしまう。特にCOG実装において、異方性導電膜は、硬化収縮又はICチップとガラス基板との熱膨張差が存在するため、基板の反りを引き起こしてディスプレイに表示ムラの問題が発生する。なお、生産コストの観点では、コストを低下させ、生産効率を向上させるために、異方性導電膜を作製する粘着剤層材料の硬化を比較的低い温度(例えば、140~150℃)及び比較的短い時間(例えば、5秒以内)内で完成する必要がある。
【0004】
異方性導電膜の粘着剤層材料の保存安定性及び低温速硬化性を実現するために、低温硬化性のカチオン硬化系が主な開発方向となっている。汎用のグリシジルエーテル系化合物と比べて、よりカチオン重合反応性の高い脂環式エポキシ化合物を用い、かつ、酸素による重合反応阻害がなく、反応性が高いカチオン重合開始剤と組み合わせて使用する場合、比較的低い硬化温度(例えば、100℃程度)を示すことができる。しかし、例えば、40~60℃程度の温度でも重合が開始し、保存過程において粘着剤も硬化してしまい、保存安定性が低いという問題も存在する。
【0005】
以上より、保存安定性及び低温硬化性能を両立した粘着剤材料をさらに提供し、作製した異方性導電膜の接続信頼性を良好にする必要がある。
【発明の概要】
【0006】
これを鑑みて、従来技術に存在する上記のいずれか、及びその他の少なくとも1つの欠点を克服するために、本開示は、膜形成性添加成分に脂環式エポキシ樹脂、クラウンエーテル化合物及び熱カチオン重合開始剤を用い、保存過程においてクラウンエーテルを利用して開始剤カチオンを捕捉し、反応の進行を抑制することにより、低温かつ短時間での硬化を実現しながら、保存安定性を向上させ、接続信頼性が良好な異方性導電膜を作製することができる低温熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0007】
また、本開示は、硬化後の異方性導電膜によって第1の電子部品と第2の電子部品とを異方性導電接続することにより、低応力での安定した接続状態を実現しながら、基板の反りを低減する接続構造体を提供する。
【0008】
上記目的を実現するために、本開示の一態様によれば、低温熱硬化性樹脂組成物であって、
(A)脂環式エポキシ樹脂と、
(B)含有量が前記低温熱硬化性樹脂組成物に対して0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~3.0重量%であるクラウンエーテル化合物と、
(C)熱カチオン重合開始剤と、
(D)膜形成性添加成分と、
(E)導電粒子と、
を含み、
低温熱硬化性樹脂組成物は、異方性導電膜を作製するための熱硬化に適用する低温熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0009】
本開示の実施例によれば、熱カチオン重合開始剤は、4級アンモニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成される4級アンモニウム塩、および芳香族スルホニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成されるスルホニウム塩のうちの少なくとも1種を含有する。
【0010】
本開示の実施例によれば、4級アンモニウム塩は、ジメチルフェニル(4-メトキシベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(4-メチルベンジル)アンモニウムヘキサフルオロテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニルジベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(3,4-ジメチルベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチル-N-ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素を包含し、スルホニウム塩は、p-ヒドロキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-1-ナフチルメチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-(2-メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、7-〔ビス(p-トリル)スルホニル〕-2-イソプロピルチオキサンテニルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ビス(p-トリル)スルホニル-ジフェニルスルフィド-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを包含する。
【0011】
本開示の実施例によれば、熱カチオン重合開始剤の含有量が、脂環式エポキシ樹脂に対して0.05重量%~30重量%、好ましくは2重量%~15重量%である。
【0012】
本開示の実施例によれば、クラウンエーテル化合物は、12-クラウン4-エーテル、15-クラウン5-エーテル、18-クラウン6-エーテル、24-クラウン8-エーテル、ベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ベンゾ-12-クラウン4-エーテル、ジベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジベンゾ-21-クラウン7-エーテル、ジベンゾ-24-クラウン8-エーテル、トリベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4,13-ジアゾ-18-クラウン6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン6-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-アミノベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ニトロベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-ニトロベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-18-クラウン6-エーテル、1-アザ-12-クラウン4-エーテル、4,10-ジアザ-15-クラウン5-エーテル、4,10-ジアザ-12-クラウン4-エーテル、N-フェニルアザ-15-クラウン5-エーテル、N,N’-ジベンジル-4,13-ジアザ-18-クラウン6-エーテル、2-(メチロール)-15-クラウン5-エーテル、2-(メチロール)-12-クラウン4-エーテル、2-(メチロール)-18-クラウン6-エーテル、イコサフルオロ-15-クラウン5-エーテル、ジシクロヘキセニル-18-クラウン-6-エーテル、4’-ホルミルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4,7,13,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8]ヘキサコサン、ビス(1,4-フェニレン)-34-クラウン10-エーテル、18-クラウン-5[4-(2,4-ジニトロフェニルアゾ)フェノール]からなる群より選ばれるいずれか1種である。
【0013】
本開示の実施例によれば、脂環式エポキシ樹脂は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,3-ジオキサン、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0014】
本開示の実施例によれば、脂環式エポキシ樹脂の含有量が、低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~50重量%である。
【0015】
本開示の実施例によれば、膜形成性添加成分は、常温で固体状のエポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂を含み、
前記エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記フェノキシ樹脂は、好ましくはフルオレン型フェノキシ樹脂、ビスフェノール型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、ナフタレン型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0016】
本開示の実施例によれば、膜形成性添加成分の含有量が、低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~70重量%、好ましくは20重量%~50重量%である。
【0017】
本開示の実施例によれば、導電粒子は、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、はんだ、金属メッキ樹脂粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
【0018】
本開示の実施例によれば、前記導電粒子の含有量が50~100000個以下/mm導電膜、200~70000個/mm導電膜である。
【0019】
本開示の別の態様によれば、上述した低温熱硬化性樹脂組成物を熱硬化してなる異方性導電膜を提供する。
【0020】
本開示の実施例によれば、熱硬化の温度が140~150℃であり、硬化時間が5秒以内である。
【0021】
本開示のさらに別の態様によれば、上述した異方性導電膜を利用して第1の電子部品と第2の電子部品とを異方性導電接続してなる接続構造体を提供する。
【0022】
本開示が提供する低温熱硬化性樹脂組成物は、膜形成性添加成分に脂環式エポキシ樹脂、クラウンエーテル化合物及び熱カチオン重合開始剤を添加し、保存過程においてクラウンエーテルを利用して開始剤のカチオンを捕捉し、反応の進行を抑制することにより、低温かつ短時間での硬化を実現しながら、保存安定性を向上させる。従来技術において脂環式エポキシ樹脂を用いるときに40~60℃でも重合が発生して保存安定性が低下してしまうという課題を解決する。
【0023】
本開示が提供する接続構造体は、硬化後の接続状態が低応力で安定し、基板の反りを低減し、接続信頼性を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭、明確にするために、以下、具体的な実施例に結びついて本開示をさらに詳しく説明する。しかし、本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0025】
本明細書において使用される用語は、本開示を制限するためのものではなく、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎない。本明細書において使用される「有する」、「含む」などの用語は、特徴、工程、操作及び/又は部品の存在を意味するが、1つ又は複数のその他の特徴、工程、操作又は部品の追加は除外されない。本明細書において使用される全ての用語(技術及び科学用語を含む)は、別途定義がない限り、当業者が通常で理解する意味を有する。ただし、本明細書で使用される用語は、本明細書の前後文脈に一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想的又は過度に文字的に解釈されるべきではない。
【0026】
本開示を実現する過程において、低温熱硬化性樹脂組成物の膜形成性添加成分に脂環式エポキシ樹脂、クラウンエーテル化合物及び熱カチオン重合開始剤を用いたカチオン硬化型組成物は、クラウンエーテルを利用して開始剤のカチオンを捕捉し、反応の進行を抑制することにより、低温かつ短時間での硬化を実現しながら、保存安定性を向上させたことを見出した。上記異方性導電膜により、比較的低い応力で基板の反りを極力抑制して接続信頼性が高い接続構造体を得ることができる。
【0027】
本開示の一態様によれば、本開示の低温熱硬化性樹脂組成物は、主に脂環式エポキシ樹脂、クラウンエーテル化合物、熱カチオン重合開始剤、膜形成性添加成分及び導電粒子を必須成分として構成される。より具体的に、低温熱硬化性樹脂組成物であって、
(A)脂環式エポキシ樹脂と、
(B)含有量が、低温熱硬化性樹脂組成物に対して0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~3.0重量%であり、例えば、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%、4.0重量%、5.0重量%などであってもよいクラウンエーテル化合物と、
(C)熱カチオン重合開始剤と、
(D)膜形成性添加成分と、
(E)導電粒子と、
を含み、
低温熱硬化性樹脂組成物は、異方性導電膜を作製するための熱硬化に適用する低温熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0028】
本開示の実施例によれば、本開示が提供する低温熱硬化性樹脂組成物は、膜形成性添加成分に脂環式エポキシ樹脂、クラウンエーテル化合物及び熱カチオン重合開始剤を添加することにより、保存過程においてクラウンエーテルを利用して開始剤のカチオンを捕捉し、反応の進行を抑制することにより、低温かつ短時間での硬化を実現しながら、保存安定性を向上させた。関連技術において脂環式エポキシ樹脂を用いた際に40~60℃でも重合して保存安定性が低くなるという問題を解決した。本開示が提供する接続構造体は、硬化後の接続状態が低応力で安定し、基板の反りを低下させ、接続信頼性を大幅に増加させることができる。
【0029】
本開示の実施例によれば、本開示が使用する脂環式エポキシ樹脂は、脂環骨格にエポキシを直接に配置した構造である。脂環式エポキシ樹脂は、常温で液状である。反応性の観点から、エポキシは、2官能以上であることが好ましい。例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,3-ジオキサン、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)等のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0030】
本開示の実施例によれば、脂環式エポキシ樹脂の含有量が、低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~50重量%である。ただし、低温熱硬化性樹脂組成物に対する脂環式エポキシ樹脂の含有量比の値が10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%等であってもよい。低温熱硬化性樹脂組成物に対する脂環式エポキシ樹脂の含有量比の値が10重量%未満であれば、充分な硬化物を得ることができず、安定しない接続特性となる。60重量%超えであれば、膜形成性添加成分が不十分となり、膜形成性が不十分となるか、あるいは、導電粒子の配合量が不十分となって接続不良などが発生する。
【0031】
本開示の実施例によれば、熱カチオン重合開始剤は、4級アンモニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成される4級アンモニウム塩、及び芳香族スルホニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成されるスルホニウム塩のうちの少なくとも1種を含有する。
【0032】
本開示の実施例によれば、ボレート系アニオンは、BF4-又は(BX4)であることが好ましい。ただし、Xは、少なくとも2個以上のフッ素又はトリフルオロメチルで置換されたフェニルを表す。
【0033】
本開示の実施例によれば、4級アンモニウム塩は、ジメチルフェニル(4-メトキシベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(4-メチルベンジル)アンモニウムヘキサフルオロテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニルジベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(3,4-ジメチルベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチル-N-ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素を包含するが、4級アンモニウム塩化合物は、King Industries社製の商品名「CXC-1821」である製品等であってもよい。
【0034】
本開示の実施例によれば、スルホニウム塩は、p-ヒドロキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-1-ナフチルメチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-(2-メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、7-〔ビス(p-トリル)スルホニル〕-2-イソプロピルチオキサンテニルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ビス(p-トリル)スルホニル-ジフェニルスルフィド-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを包含する。
【0035】
本開示の実施例によれば、熱カチオン重合開始剤の含有量が、脂環式エポキシ樹脂に対して0.05重量%~30重量%、好ましくは2重量%~15重量%である。ただし、脂環式エポキシ樹脂に対する熱カチオン重合開始剤の含有量比の値が、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、30重量%等であってもよい。上記熱カチオン重合開始剤の含有量を当該範囲内にすることにより、得られた異方性導電膜は、低温かつ短時間硬化性及び保存安定性に優れる。
【0036】
本開示の実施例によれば、脂環式エポキシ樹脂と熱カチオン重合開始剤は、良好な反応性を有するので、低温硬化性に優れ、高耐熱性かつ、基材への粘着が良好な樹脂である。その反応性に優れるという特徴により、硬化物に残存した未硬化物の量を低減でき、また、高温高湿環境でも収縮応力の増加を抑制できるので、耐高温高湿性を向上させることができる。
【0037】
本開示の実施例によれば、クラウンエーテル化合物は、12-クラウン4-エーテル、15-クラウン5-エーテル、18-クラウン6-エーテル、24-クラウン8-エーテル、ベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ベンゾ-12-クラウン4-エーテル、ジベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジベンゾ-21-クラウン7-エーテル、ジベンゾ-24-クラウン8-エーテル、トリベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4,13-ジアゾ-18-クラウン6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン6-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-アミノベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ニトロベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-ニトロベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-18-クラウン6-エーテル、1-アザ-12-クラウン4-エーテル、4,10-ジアザ-15-クラウン5-エーテル、4,10-ジアザ-12-クラウン4-エーテル、N-フェニルアザ-15-クラウン5-エーテル、N,N’-ジベンジル-4,13-ジアザ-18-クラウン6-エーテル、2-(メチロール)-15-クラウン5-エーテル、2-(メチロール)-12-クラウン4-エーテル、2-(メチロール)-18-クラウン6-エーテル、イコサフルオロ-15-クラウン5-エーテル、ジシクロヘキセニル-18-クラウン-6-エーテル、4’-ホルミルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4,7,13,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8]ヘキサコサン、ビス(1,4-フェニレン)-34-クラウン10-エーテル、18-クラウン-5[4-(2,4-ジニトロフェニルアゾ)フェノール]からなる群より選ばれるいずれか1種である。ただし、好ましくは、18-クラウン6-エーテル、ベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン6-エーテル、トリベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン6-エーテルのいずれか1種である。カチオンの取得容易性及び工業製品の取得容易性の観点から、好ましくは、18-クラウン6-エーテル、ベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン6-エーテル、トリベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン6-エーテルのいずれか1種である。
【0038】
本開示の実施例によれば、本開示は、クラウンエーテルが有する分子空孔で遊離しているアンモニウムカチオン及びスルホニウムカチオンを捕捉することにより反応の進行を抑制し、保存安定性を向上させる。脂環式エポキシ樹脂と熱カチオン重合開始剤は、良好な反応性を有するので、低温硬化性に優れ、この条件でクラウンエーテルを添加することで反応活性を抑制することにより、低温熱硬化効果を優れるものにしながら、低温熱硬化性樹脂組成物の安定性を向上させ、保存時に硬化しやすい可能性を低下させる。
【0039】
本開示の実施例によれば、クラウンエーテルは、比較的少ない添加量で、既存の硬化特性に影響を与えずに保存安定性を向上させることができる。クラウンエーテル化合物の含有量が、低温熱硬化性樹脂組成物に対して0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~3.0重量%である。低温熱硬化性樹脂組成物に対するクラウンエーテル化合物の含有量比の値は、0.05重量%未満であれば、保存安定性を向上させる効果を達成できない。3.0重量%超えであれば、吸水率が増加するか、あるいは、低温熱硬化性樹脂組成物の接続信頼性が劣化してしまう。
【0040】
本開示の実施例によれば、膜形成性添加成分は、低温熱硬化性樹脂組成物を成膜するための成分であり、常温で固体状のエポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂を必須成分として用いる。
【0041】
本開示の実施例によれば、膜形成性添加成分は、常温で固体状のエポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂を含み、エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、フェノキシ樹脂は、好ましくは、フルオレン型フェノキシ樹脂、ビスフェノール型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、ナフタレン型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0042】
本開示の実施例によれば、膜形成性能及び加工性能を考慮すると、エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂である。ここで、エポキシ樹脂は、KUKDO CEMICAL(国都化学社)の商品名「YD-020」の製品等であってもよい。フェノキシ樹脂は、日鉄化学材料(株)の商品名「YP-50」の製品等であってもよい。
【0043】
本開示の実施例によれば、さらに、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂などの成膜補助成分を用いてもよい。
【0044】
本開示の実施例によれば、常温で固体状のエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂は、膜形成性、加工性、接続信頼性に優れ、カチオン重合反応を阻害しないので、脂環式エポキシ樹脂、熱カチオン重合開始剤及びクラウンエーテル化合物が有する低温かつ短時間の条件で共に硬化反応を完成させることができる。また、高温高湿環境での信頼性試験後でも、接続構造体の接続部位からの剥離を抑制することができる。
【0045】
本開示の実施例によれば、膜形成性添加成分の含有量が、低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~70重量%、好ましくは20重量%~50重量%である。例えば、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%等であってもよい。この範囲内の膜形成性添加成分は、充分な成膜能力を発揮することができる。
【0046】
本開示の実施例によれば、導電粒子は、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、はんだ、金属メッキ樹脂粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0047】
本開示の実施例によれば、導電粒子の含有量が50~100000個以下/mm導電膜、200~70000個/mm導電膜である。例えば、50個/mm、80個/mm、100個/mm、1000個/mm、10000個/mm、100000個/mm等であってもよい。この存在量の測定は、光学顕微鏡により観察してカウントすることができる。
【0048】
本開示の実施例によれば、導電粒子の平均粒径は、配線高さの偏差に対応でき、かつ、導通抵抗の上昇を抑制して短絡の発生を抑制することができる。導電粒子の粒径は、一般的な粒度分布測定装置により測定され、その平均粒径も粒度分布測定装置により測定されてもよい。平均粒径は、好ましくは2.5μm以上30μm以下、より好ましくは3μm以上20μm以下である。例えば、2.5μm、3μm、4μm、8μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm等であってもよい。
【0049】
本開示の実施例によれば、導電粒子の低温熱硬化性樹脂組成物における存在量は、導電粒子捕捉効率の低下を抑制するとともに、短絡の発生を抑制することができ、導電粒子は、積水化学工業社の商品名「Mircopearl」の製品及び日本化学工業社の商品名「BRIGHT」の製品等であってもよい。
【0050】
本開示の実施例によれば、接続する回路基板の種類に応じて、低温熱硬化性樹脂組成物の成分には、無機フィラー、有機フィラー、シランカップリング剤、着色剤などを適宜含有させてもよいし、適切な目的に応じて使用してもよい。
【0051】
本開示の実施例によれば、無機フィラーは、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム等であってもよく、シリカは、硬化物の吸湿率及び線膨張係数を低下させ、弾性率を向上させることができるので、接続信頼性を向上させることができる。酸化チタンは、回路接続材料を黒色又は白色などに着色することができ、回路接続材料が回路基板上の適切な位置に貼り付けられているか否かを容易に確認できる。水酸化アルミニウムは、硬化後の樹脂に残存した酸を中和する役割を果たし、回路電極に対して腐食防止効果を発揮する。
【0052】
本開示の実施例によれば、有機フィラーは、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、NBR、SBR等を共重合体成分として構成された微粒子であってもよいし、コア-シェル構造の微粒子であってもよい。単独に使用してもよいし、併用してもよい。このような有機フィラーを含有する回路接続材料は、粘着性及び硬化後の応力緩和、耐衝撃性の向上に対して効果を発揮する。
【0053】
本開示の実施例によれば、ガラス基材への密着性を向上させるために、シランカップリング剤を用いてもよい。シランカップリング剤としては、特に制限されないが、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミド系シランカップリング剤等であってもよい。
【0054】
本開示の別の態様によれば、上述した低温熱硬化性樹脂組成物を熱硬化してなる異方性導電膜を提供する。
【0055】
本開示の実施例によれば、上述した異方性導電膜は、電子部品の導電接続に用いられる場合、異方性導電膜を低温で迅速に硬化させることができ、かつ保存過程において良好な安定性を有させ、40~60℃で保存する時に硬化することを避けることができる。
【0056】
本開示の実施例によれば、好ましくは、熱硬化の温度が140~150℃であり、例えば、140℃、142℃、145℃、148℃、150℃等であってもよく、硬化時間が5秒以内であり、例えば、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒等であってもよい。
【0057】
本開示の実施例によれば、本開示が提供する異方性導電膜の製造方法は、まず、無機埋め込み剤をトルエン等の有機溶媒中に均一に分散させ、そして、分散溶液中に膜形成性添加成分を溶解させ、脂環式エポキシ樹脂、クラウンエーテル化合物、熱カチオン重合開始剤及び導電粒子を混合して塗料に作製し、周知の成膜方法によりこの塗料を成膜し、低温で熱硬化させて異方性導電膜を作製する。
【0058】
本開示の実施例によれば、本開示の異方性導電膜は、単層であってもよいし、導電粒子を含有する層と導電粒子を含有しない層との二層構造であってもよい。二層構造を形成することにより、接続時の粒子捕捉効率を向上させ、高価な導電粒子の使用量を低減し、製造コストを低下させることができる。
【0059】
本開示の実施例によれば、異方性導電膜の膜厚について、回路基板の電極部分を十分に埋め込み可能な厚さに塗布してもよいが、これも電極のサイズ及び個数により決められる。通常、電極の高さよりも3~10μmm厚くすればよい。
【0060】
本開示のさらに別の態様によれば、上述した異方性導電膜を利用して第1の電子部品と第2の電子部品とを異方性導電接続してなる接続構造体を提供する。
【0061】
本開示の実施例によれば、第1の電子部品は、例えば、第1の回路基板の電極部であってもよく、第2の電子部品は、例えば、第2の配線回路基板の接続部であってもよい。
【0062】
本開示の実施例によれば、さらに、異方性導電膜は、好ましくは、ICチップ、COF、FPC等の第1の回路基板をガラス回路基板、プラスチック回路基板、剛性回路基板、セラミックス回路基板、ポリイミド回路基板などの第2の配線回路基板と異方性導電接続するときに適用される。また、異方性導電膜の電子部品の接続方法として、周知の方法を使用してもよい。
【0063】
本開示において、低温熱硬化性樹脂組成物、異方性導電膜及び接続構造体の提案により、異方性導電膜の研究のために保存安定性に優れてコスト収益を有する方法を提供し、電子製品中の粘着材料の発展に対して奥深い意義を有する。
【実施例0064】
本開示の目的、技術的解決手段及び利点をより明確、明瞭にするために、以下、具体的な実施例に結びついて本開示をさらに詳しく説明する。下記の実施例において用いられる試験材料及び試薬等について、特に説明がない限り、いずれも市販品として購入され得る。実施例において具体的な技術又は条件者を明記しなかったものは、いずれも常套の方法であり、本分野の文献に記載されている技術又は条件に従って、あるいは、製品の仕様書に従って行われ得る。
【0065】
比較例1:低温熱硬化性樹脂組成物
(3,4,3’,4’-ジシクロキシル)ビシクロヘキサン(商品名TTA-800,TETRA社製)を成分(A)、4級アンモニウム塩化合物(商品名CXC-1821,King Industries社製)を成分(C)、フェノキシ樹脂(製品名YP-50,日鉄化学&材料社製)を成分(D)として、各成分の混合割合は、表1に示す通りである。また、平均粒径3μmの導電粒子(E)(商品名:Mircopearl,積水化学工業社製,Niメッキ樹脂粒子)で均一に分散させて低温熱硬化性樹脂組成物、つまり、粘着剤組成物を得た。さらに、塗布装置を用い、厚さ50μmの剥離PETフィルムに粘着剤組成物を塗布し、50℃、5分間の熱風乾燥を経て、厚さ18μmの粘着剤層を得た。各成分の混合割合は、表1に示す通りである。
【0066】
比較例2:低温熱硬化性樹脂組成物
比較例1と比べて、成分(C)を芳香族スルホニウム塩(商品名TR-TAG-50108,TRONLY社製)に変更し、比較例1と同様の方法により粘着剤層を得た。各成分の混合割合は、表1に示す通りである。
【0067】
実施例1:低温熱硬化性樹脂組成物
比較例1と比べて、成分(B)として18-クラウン6-エーテル(商品名18Crown-6,Energy社製)を添加した以外は、比較例1と同様の方法により粘着剤層を得た。各成分の混合割合は、表1に示す通りである。
【0068】
実施例2:低温熱硬化性樹脂組成物
比較例2と比べて、成分(B)として18-クラウン6-エーテル(商品名18Crown-6,Energy社製)を添加した以外は、比較例1と同様の方法により粘着剤層を得た。各成分の混合割合は、表1に示す通りである。
【0069】
実施例3:低温熱硬化性樹脂組成物
実施例1と比べて、成分(D)を固体状のエポキシ樹脂(製品名YD-020,KUKDO CHEMICAL社製)に変更して、混合した。各成分の混合割合は、表1に示す通りである。
【0070】
実施例4:低温熱硬化性樹脂組成物
実施例1と比べて、成分(B)をベンゾ-15クラウン-5-エーテル(商品名Benzo-15Crown-5,Energy社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により異方性導電膜を得た。各成分の混合割合は、表1に示す通りである。
【0071】
上記各実施例1~4及び比較例1~2の低温熱硬化性樹脂組成物に対して性能測定を行い、具体的な測定方法は以下の通りである。
一.示差走査熱量測定装置(DSC)による測定
各実施例及び比較例において得られた粘着剤層を、示差走査熱量測定装置(DSC250,TA社製)で測定する。試料量5mg、測定温度範囲50~250℃、昇温速度10℃/minで測定し、発熱開始温度、発熱終了温度、発熱量を測定した。結果を表1に示す。
二.保存安定性の評価
各実施例及び比較例において得られた粘着剤層を40℃の定温装置内に48時間放置した。40℃で放置した後の粘着剤層に対してDSC測定を行い、発熱量減少率に応じて保存安定性の判定を行った。減少率が10%未満であれば○、10%以上であれば×と記して判定する。結果を表1に示す。
発熱量減少率(%)=[(40℃放置前の発熱量-40℃放置後の発熱量)/40℃放置前の発熱量]
【0072】
実施例5:接続構造体の作製
ICチップ(外形:1.6mm×15.1mm,Bump高さ:12μm)、ガラス基板(日本電気硝子社製OA-10G,外形40mm×20mm,厚さ0.5mm,表面ITO(酸化インジウム-錫)配線の間隔(配線幅22μm,線間隔幅8μm))を用い、各実施例及び比較例において得られた粘着剤層を2×20mmのサイズにせん断し、ガラス基板上に貼り合わせ、温度が140℃及び160℃、圧力が60MPa及び時間が5秒であるとの接続条件で、加熱加圧し、硬化後の異方性導電膜によってICチップとガラス基板を接続し、接続構造体を得た。
【0073】
上記実施例5の接続構造体に対して性能測定を行い、具体的な測定方法は以下の通りである。
一.接続抵抗の測定
接続構造体の接続後の接続抵抗を測定し、高温高湿環境で露出した後(85℃/85%RH/500時間)の接続抵抗を測定する。抵抗計測器(型番:RM3545,HIOKI社製)で測定し、4端子法にて1mA電流が流れる時の抵抗値を測定した。高温高湿で露出した後の接続抵抗値が10Ω未満であれば○、10Ω以上であれば×と記して判定した。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
※TTA-800:脂環式エポキシ樹脂(構造名:(3,4,3’,4’-dicycloxyl)bicyclohexane,TETRA社製)
※18 Crown-6:クラウンエーテル化合物(構造名:18 Crown-6-Ether,Energy社製)
※Benzo-15Crown-5:クラウンエーテル化合物(構造名:Benzo-15Crown-5-Ether,Energy社製)
※CXC-1821:4級アンモニウム塩(構造名:ジメチルフェニル(4-メトキシベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)
※TR-TAG-50108:芳香族スルホニウム塩(構造名:p-ヒドロキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート,TRONLY社製)
※YP-50:フェノキシ樹脂(構造名:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂,日鉄化学&材料社製)
※YD-020:エポキシ樹脂(構造名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,KOKUDO社製)
【0076】
上記の表1からわかるように、実施例1~4の低温熱硬化性樹脂組成物は、クラウンエーテルを含み、40℃で48時間放置した後、発熱量の減少率が10%未満であり、保存安定性が良好であることを明らかにした。比較例1、2の組成物は、クラウンエーテルを用いず、40℃で48時間放置した後の発熱量が大幅に減少し、保存安定性が劣化する。
【0077】
実施例5において、実施例1~4の低温熱硬化性樹脂組成物を用いて得られた接続構造体は、接続温度140℃の低温で接続し、高温及び高湿に露出した後の接続抵抗値も10Ω未満であり、低応力での接続状態が安定していることを明らかにした。比較例1及び比較例2の低温熱硬化性樹脂組成物を用いて接続温度140℃で接続構造体を作製する場合、クラウンエーテル化合物を用いなかったので、85℃/85%RH/500時間後の抵抗値が10Ω以上となり、接続状態が不安定となった。
【0078】
以上より、本開示の低温熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性に優れ、比較的低い温度(例えば、140~150℃)かつ短時間(例えば、5秒以内)で硬化できるので、硬化後の異方性導電膜の接続状態は、低応力でも安定している。
【0079】
上述した具体的な実施例は、本開示の目的、技術的解決手段及び有益な効果に対してさらに詳しく説明しており、以上の内容は本開示の具体的な実施例に過ぎず、本開示を制限するためのものではなく、本開示の趣旨及び原則内で行われたいかなる変更、均等置換などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれると理解され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温熱硬化性樹脂組成物であって、
(A)脂環式エポキシ樹脂と、
(B)含有量が前記低温熱硬化性樹脂組成物に対して0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~3.0重量%であるクラウンエーテル化合物と、
(C)熱カチオン重合開始剤と、
(D)膜形成性添加成分と、
(E)導電粒子と、
を含み、
前記低温熱硬化性樹脂組成物は、異方性導電膜を作製するための熱硬化に適用する低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱カチオン重合開始剤は、4級アンモニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成される4級アンモニウム塩、および芳香族スルホニウムカチオンとボレート系アニオンとで構成されるスルホニウム塩のうちの少なくとも1種を含有し、
前記4級アンモニウム塩は、好ましくは、ジメチルフェニル(4-メトキシベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(4-メチルベンジル)アンモニウムヘキサフルオロテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニルジベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(3,4-ジメチルベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチル-N-ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素を包含し、
前記スルホニウム塩は、好ましくは、p-ヒドロキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-1-ナフチルメチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-(2-メチルベンジル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(2-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル-4-ヒドロキシフェニル[(3-チオキサンテニル)メチル]スルホニウム-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、7-〔ビス(p-トリル)スルホニル〕-2-イソプロピルチオキサンテニルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ビス(p-トリル)スルホニル-ジフェニルスルフィド-テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを包含する、
請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱カチオン重合開始剤の含有量が、前記脂環式エポキシ樹脂に対して0.05重量%~30重量%、好ましくは2重量%~15重量%である請求項1又は2に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記クラウンエーテル化合物は、12-クラウン4-エーテル、15-クラウン5-エーテル、18-クラウン6-エーテル、24-クラウン8-エーテル、ベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ベンゾ-12-クラウン4-エーテル、ジベンゾ-15-クラウン5-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン6-エーテル、ジベンゾ-21-クラウン7-エーテル、ジベンゾ-24-クラウン8-エーテル、トリベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4,13-ジアゾ-18-クラウン6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン6-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-カルボキシベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-アミノベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-アセチルベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ニトロベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4’-ニトロベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-18-クラウン6-エーテル、4’-ブロモベンゾ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-15-クラウン5-エーテル、1-アザ-18-クラウン6-エーテル、1-アザ-12-クラウン4-エーテル、4,10-ジアザ-15-クラウン5-エーテル、4,10-ジアザ-12-クラウン4-エーテル、N-フェニルアザ-15-クラウン5-エーテル、N,N’-ジベンジル-4,13-ジアザ-18-クラウン6-エーテル、2-(メチロール)-15-クラウン5-エーテル、2-(メチロール)-12-クラウン4-エーテル、2-(メチロール)-18-クラウン6-エーテル、イコサフルオロ-15-クラウン5-エーテル、ジシクロヘキセニル-18-クラウン-6-エーテル、4’-ホルミルベンゾ-15-クラウン5-エーテル、4,7,13,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8]ヘキサコサン、ビス(1,4-フェニレン)-34-クラウン10-エーテル、18-クラウン-5[4-(2,4-ジニトロフェニルアゾ)フェノール]からなる群より選ばれるいずれか1種であり、
前記脂環式エポキシ樹脂は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-1,3-ジオキサン、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)からなる群より選ばれる少なくとも1種である
請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記脂環式エポキシ樹脂の含有量が、前記低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~50重量%である請求項1又は4に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記膜形成性添加成分は、常温で固体状のエポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂を含み、
前記エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記フェノキシ樹脂は、好ましくはフルオレン型フェノキシ樹脂、ビスフェノール型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、ナフタレン型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である
請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記膜形成性添加成分の含有量が、前記低温熱硬化性樹脂組成物に対して10重量%~70重量%、好ましくは20重量%~50重量%である請求項1又は6に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記導電粒子は、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、はんだ、金属メッキ樹脂粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
好ましくは、前記導電粒子の含有量が50~100000個以下/mm導電膜、200~70000個/mm導電膜である請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の低温熱硬化性樹脂組成物を熱硬化してなり、
好ましくは、前記熱硬化の温度が140~150℃であり、硬化時間が5秒以内である異方性導電膜。
【請求項10】
請求項9に記載の異方性導電膜を利用して第1の電子部品と第2の電子部品とを異方性導電接続してなる接続構造体。
【外国語明細書】