(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069358
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】HCFC-244bbを脱塩化水素化してHFO-1234yfを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 17/25 20060101AFI20240514BHJP
C07C 21/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C07C17/25
C07C21/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024035459
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2020567862の分割
【原出願日】2019-06-05
(31)【優先権主張番号】16/001,728
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】コプカリ、ハルク
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァル、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】チュウ、ユオン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイヨウ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物から2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスを提供する。
【解決手段】約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を供給し、次いで、10秒未満の接触時間で組成物を加熱器表面に接触させて、HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスであって、前記プロセスは、
約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を供給することと、
10秒未満の接触時間で前記組成物を前記加熱器表面に接触させて、前記HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記HCFC-244bbの前記一部の前記脱塩化水素化が塩酸(HCl)を生成し、前記プロセスが、
前記HFO-1234yf、HCl、及び未反応のHCFC-244bbを前記反応器から蒸留カラムに供給することと、
前記蒸留カラム内で前記HFO-1234yf及び前記HClを前記HCFC-244bbの少なくとも一部から分離することと、
前記分離したHCFC-244bbを前記反応器にリサイクルすることと、
前記HFO-1234yf及び前記HClをHCl分離ユニットに供給することと、
前記HClを前記HFO-1234yfから分離して、前記HFO-1234yfを含む生成物流を形成することと、を更に含み、
前記生成物流が、HCFC-244bbを含まずに99.1重量%超の濃度の前記HFO-1234yfと、前記反応器内での低率のカーボン堆積を示すものとして、HCFC-244bbを含まずに0.1重量%未満の濃度の1,1,1,2-テトラフルオロエタンと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスであって、前記プロセスは、
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を気化させることと、
前記組成物を第1の部分及び第2の部分に分割することと、
前記気化した組成物の前記第1の部分を約575°F(302℃)~1,200°F(649℃)の温度に加熱することと、
約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に前記組成物を供給することであって、前記反応器が、第1の段と、前記第1の段の下流の第2の段とを含み、前記第1の部分は前記第1の段に供給され、前記第2の部分は前記第2の段に供給される、ことと、
10秒未満の接触時間で前記組成物を前記加熱器表面に接触させて、前記HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を製造するための方法に関する。具体的には、本開示は、HFO-1234yfの製造における2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)の脱塩化水素化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラフルオロプロペンなどのハイドロフルオロオレフィン(HFO)は、有効な冷媒、消火剤、伝熱媒体、噴霧剤、起泡剤、発泡剤、ガス状誘電体、滅菌剤担体、重合媒体、微粒子除去流体、液体担体、バフ研磨剤、変位乾燥剤及び動力循環作動流体として知られている。それらに関連する比較的高い地球温暖化係数を含む、これらの流体を一部使用することに関連すると疑われる環境問題のため、ゼロオゾン層破壊係数(ODP)も有することに加え、最低限可能な地球温暖化係数(GWP)を有する流体を使用することが望ましい。したがって、前述の用途のため、環境に優しい材料を開発することに関する、相当な関心が存在する。
【0003】
オゾン層破壊がゼロであり、地球温暖化係数が低いHFOは、この必要性を潜在的に満たすものとして確認されている。しかし、このような化学物質の毒性、沸点及びその他の物理的特性は、異性体間で大きく変動する。有用な特性を有する1種のHFOは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf又は1234yf)である。
【0004】
HFO-1234yfは、毒性の低い低地球温暖化化合物であることが示されており、したがって、移動空気調節における冷媒の厳格要件をますます満たすことができる。よって、1234yfを含有する組成物は、多くの用途で使用するために開発されている材料のうちの1つである。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスであって、約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を供給し、次いで、10秒未満の接触時間で組成物を加熱器表面に接触させて、HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することを含む、プロセスを提供する。
【0006】
本開示の一態様では、本開示は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を供給することと、10秒未満の接触時間で組成物を加熱器表面に接触させて、HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することと、を含む。
【0007】
加熱器表面は、約870°F(466℃)~約1,200°F(649℃)の表面温度であり得る。接触時間は、0.1秒~9秒であり得る。いくつかの実施形態では、加熱器表面は触媒表面を含み得る。触媒表面は、無電解ニッケル、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケル-銅合金、ニッケル-クロム-鉄合金、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロ
ム-モリブデン、又はこれらの組み合わせを含み得る。他の実施形態では、加熱器表面は触媒表面でなくてもよい。
【0008】
プロセスは、組成物を気化させることと、次いで、組成物を反応器に供給する前に、気化した組成物を約575°F(302℃)~1,200°F(649℃)の温度に加熱することと、を更に含み得る。プロセスは、HFO-1234yf、HCl、及び未反応のHCFC-244bbを反応器から蒸留カラムに供給することと、蒸留カラム内でHFO-1234yf及びHClをHCFC-244bbの少なくとも一部から分離することと、組成物を気化させる前に、分離したHCFC-244bbを組成物にリサイクルすることと、HFO-1234yf及びHClをHCl分離ユニットに供給することと、HClをHFO-1234yfから分離して、HFO-1234yfを含む生成物流を形成することと、を更に含み得る。生成物流は、HCFC-244bbを含まずに99.1重量%超の濃度のHFO-1234yfを含み得る。生成物流は、反応器内での低率のカーボン堆積を示すものとして、HCFC-244bbを含まずに0.1重量%未満の濃度の1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含み得る。気化した組成物を加熱することは、HFO-1234yf及びHCFC-244bbを蒸留カラムに供給する前に、気化した組成物と反応器からのHFO-1234yf及びHCFC-244bbとの間で熱を交換させることを含み得る。
【0009】
本開示の別の態様では、本開示は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスのためのプロセスを提供し、このプロセスは、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を気化させることと、組成物を第1の部分及び第2の部分に分割することと、気化した組成物の第1の部分を約575°F(302℃)~1,200°F(649℃)の温度に加熱することと、約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に組成物を供給することと、10秒未満の接触時間で組成物を加熱器表面に接触させて、HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することと、を含む。反応器は、第1の段と、第1の段の下流の第2の段とを含むことができる。第1の部分は第1の段に供給することができ、第2の部分は第2の段に供給することができる。
【0010】
プロセスは、HFO-1234yf、HCl、及び未反応のHCFC-244bbを反応器から蒸留カラムに供給することと、蒸留カラム内でHFO-1234yf及びHClをHCFC-244bbの少なくとも一部から分離することと、組成物を気化させる前に、分離したHCFC-244bbを組成物にリサイクルすることと、HFO-1234yf及びHClをHCl分離ユニットに供給することと、HClをHFO-1234yfから分離して、HFO-1234yfを含む生成物流を形成することと、を更に含み得る。生成物流は、HCFC-244bbを含まずに99.1重量%超の濃度のHFO-1234yfを含み得る。生成物流は、反応器内での低率のカーボン堆積を示すものとして、HCFC-244bbを含まずに0.1重量%未満の濃度の1,1,1,2-テトラフルオロエタンを更に含み得る。
【0011】
気化した組成物の第1の部分を加熱することは、HFO-1234yf及びHCFC-244bbを蒸留カラムに供給する前に、気化した組成物の第1の部分と反応器からのHFO-1234yf及びHCFC-244bbとの間で熱を交換させることを含み得る。加熱器表面は、約870°F(466℃)~約1,200°F(649℃)の表面温度であり得る。接触時間は、0.1秒~9秒であり得る。加熱器表面は触媒表面を含み得る。加熱器表面は触媒表面でなくてもよい。
【0012】
添付の図面を考慮して、実施形態についての以下の記載を参照することによって、本
開示の上述及び他の特性、並びにそれらを達成する様式がより明らかになり、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造するためのプロセスの一部を示すプロセスフロー図である。
【0014】
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造するための別のプロセスの一部を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
米国特許第8,058,486号、発明の名称「INTEGRATED PROCESS TO PRODUCE 2,3,3,3-TETRAFLUOROPROPENE」(2011年11月15日発行)、米国特許第8,975,454号、発明の名称「PROCESS FOR PRODUCING 2,3,3,3-TETRAFLUOROPROPENE」(2015年3月10日に発行)、米国特許第8,766,020号、発明の名称「PROCESS FOR PRODUCING 2,3,3,3-TETRAFLUOROPROPENE」(2014年7月1日発行)に記載されているような、HFO-1234yfを生成するための様々な方法が既知であり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
1,1,2,3-テトラクロロプロペン(HCO-1230xa、又は1230xa)及びフッ化水素からのHFO-1234yfの製造は、3工程のプロセスで一般化することができる。工程1は、以下の反応スキームに従って、蒸気相反応器において、1230xaから2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf、又は1233xf)を生成することと理解することができる。
【化1】
【0017】
工程2は、以下の反応スキームに従って、液相反応器などの反応器において、1233xfから2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb又は244bb)を生成することと理解することができる。
【化2】
【0018】
工程3は、以下の反応スキームに従って、蒸気相反応器などの反応器において、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)から2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を生成する脱塩化水素化反応として理解することができる。
【化3】
【0019】
より具体的には、工程3の平衡式は、以下の式とすることができる。
【化4】
【0020】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造するためのプロセスの工程3を示すプロセスフロー図である。
図1は、工程3のプロセスフロー10が、加熱器14に流入する液体244bbを含む組成物12のフローを含み得ることを示す。液体244bbを含む組成物のフロー12は、上記の工程2による任意のプロセスからか、又は液体244bbの任意の他の供給源からのものであり得る。組成物のフロー12はまた、未反応の1233xf、リサイクルされた1234yf、HF、HCl、及び微量の不純物など、残留物も含み得る。
【0021】
加熱器14は、液体244bbをプロセス圧力での少なくともその露点まで加熱することができ、それによって、飽和蒸気又は過熱蒸気であり得る244bbの気化フロー16が作り出される。プロセス圧力は、大気圧より低くても、大気圧を超えていてもよい。プロセス圧力は、-4ポンド/平方インチ(psig)(-28キロパスカル(kPa))、0psig(0kPa)、20psig(138kPa)、30psig(207kPa)、若しくは40psig(276kPa)の低いゲージ圧、又は80psig(552kPa)、110psig(758kPa)、150psig(1,034kPa)、200psig(1,379kPa)、若しくは300psig(2,068kPa)の高いゲージ圧であり得るか、又は、例えば、-4psig(-28kPa)~300psig(2,068kPa)、0psig(0kPa)~200psig(1,379kPa)、20psig(138kPa)~150psig(1,034kPa)、30psig(207kPa)~110psig(758kPa)、40psig(276kPa)~80psig(552kPa)、80psig(552kPa)~150psig(1,034kPa)、若しくは40psig(276kPa)~110psig(758kPa)など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であり得る。
【0022】
加熱器14は、液体244bbを40°F(4℃)、100°F(38℃)、150°F(66℃)、200°F(93℃)、若しくは250°F(121℃)の低い温度、又は300°F(149℃)、350°F(177℃)、400°F(204℃)、450°F(232℃)、若しくは500°F(260℃)の高い温度に加熱し、気化させ、任意追加的に過熱させることができるか、又は、例えば、40°F(40℃)~500°
F(260℃)、100°F(38℃)~450°F(232℃)、150°F(66℃)~400°F(204℃)、200°F(93℃)~350°F(177℃)、250°F(121℃)~300°F(149℃)、若しくは400°F(204℃)~500°F(260℃)など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であり得る。
【0023】
244bbの気化フロー16は、熱交換器18を通過して、気化した244bbの温度を上昇させ、244bbの過熱された気化フロー20を作り出すことができる。熱交換器18は、以下に記載されるように、反応器流出物から熱を回収するためのエコノマイザ又は交換器とすることができる。熱交換器18は、例えば、シェルアンドチューブ熱交換器とすることができる。244bbの過熱された気化フロー20は、過熱器22を通過して、気化した244bbの温度を更に上昇させ、244bbの更に過熱されたフロー24を作り出すことができる。過熱器22は、当該技術分野において既知の電気加熱器とすることができるが、他の種類の加熱器も企図される。244bbの更に過熱されたフロー24の温度は、575°F(302℃)、610°F(321℃)、650°F(343℃)、690°F(366℃)、735°F(392℃)、780°F(416℃)、830°F(443℃)、850°F(454℃)、870°F(466℃)、900°F(482℃)、930°F(499℃)、若しくは960°F(516℃)と同じくらい低く、又は1,040°F(560℃)、1,080°F(582℃)、1,120°F(604℃)、1,160°F(627℃)、若しくは1,200°F(649℃)と同じくらい高くすることができるか、又は、例えば、575°F(302℃)~1,200°F(649℃)、850°F(454℃)~1,200°F(649℃)、870°F(466℃)~1,160°F(627℃)、900°F(482℃)~1,120°F(604℃)、930°F(499℃)~1,080°F(582℃)、960°F(516℃)~1,040°F(560℃)、若しくは870°F(466℃)~930°F(499℃)など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であり得る。
【0024】
244bbの更に過熱されたフロー24は、反応器26に供給することができる。
図1に示すように、反応器26は、反応器フロー30a、30b、及び30cによって互いに流体接続された複数の反応器セクション28a、28b、28c、及び28dを含むことができる。反応器セクション28a、28b、28c、28dのそれぞれは、過熱した244bbと接触するように構成された加熱器表面を含む少なくとも1つの浸漬加熱器を含むことができる。反応器26内において、過熱した244bbは、接触時間にわたって加熱器表面に接触させられ、この接触時間の間、組成物中の244bbの少なくとも一部は、脱塩化水素化されて1234yfを作製し、副生成物としてHClを生成する(式1)。接触時間は、10秒未満とすることができる。接触時間は、0.1秒、0.5秒、1秒、2秒、3秒、若しくは4秒と同じくらい短く、又は5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、若しくは10秒と同じくらい長くすることができるか、又は、例えば、0.1秒~10秒、0.5秒~9秒、1秒~8秒、2秒、~7秒、3秒~6秒、4秒~5秒、0.1秒~9秒、若しくは5秒~9秒など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であり得る。
【0025】
加熱器表面は、850°F(454℃)870°F(466℃)、900°F(482℃)、940°F(504℃)、965°F(518℃)、990°F(532℃)、1,010°F(543℃)、若しくは1030°F(554℃)の低い表面温度、又は1,080°F(585℃)、1,110°F(593℃)、1,140°F(616℃)、1,170°F(632℃)、若しくは1,200°F(649℃)の高い表面温度を有することができるか、又は、例えば、850°F(454℃)~1,200°F(649℃)、870°F(466℃)~1,200°F(649℃)、940°F(504
℃)~1,200°F(649℃)、965°F(512℃)~1,170°F(632℃)、990°F(532℃)~1,140°F(616℃)、1,010°F(543℃)~1,110°F(593℃)、1,030°F(554℃)~1,080°F(585℃)、若しくは965°F(518℃)~1,010°F(543℃)など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、加熱器表面は、工程3を参照して上に示した反応スキームに対して触媒表面とすることができる。いくつかの実施形態では、触媒表面は、無電解ニッケル、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケル-銅合金、ニッケル-クロム-鉄合金、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0027】
いくつかの他の実施形態では、加熱器表面は、工程3を参照して上に示した反応スキームに対して触媒表面ではない。いくつかの実施形態では、加熱器表面は、金、白金、又はこれらの組み合わせを含む。
【0028】
反応器26の加熱器表面上での炭素デポジットの析出(コーキングとも呼ばれる)は、加熱器表面と244bbとの間の熱伝達を低減させ得る。反応器26は、炭素デポジットを除去することができるように、定期的にオフラインにされなければならない。炭素デポジットの減少は、反応器26が洗浄のために稼働停止にされなければならない頻度を低減させ、反応器26の稼働時間及び生産性を増加させることができる。炭素デポジットは、以下の反応スキームに従って生成し得ると考えられる。
【化5】
【0029】
したがって、炭素生成の程度は、反応器26の下流の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a又は134a)の濃度を測定することによって示すことができる。炭素生成の低減は、134aの濃度の低下によって示すことができる。驚くべきことに、約975°F~約1005°Fなどのより高い表面温度は、10秒未満などの短い接触時間と組み合わせると、244bbを脱塩化水素化して1234yfを作製すると同時に、より少ない炭素デポジットを生成し得ることが見出された。当業者であれば、より高い温度でより少ない炭素デポジットを予期することはないので、これは予想外のことである。
【0030】
1234yf、HCl及び未反応の244bbを含むフロー32は、反応器26から流れて、熱交換器18を通過して、上記のように244bbの気化フロー16に追加の熱を供給すること、並びに1234yf、HCl及び未反応の244bbのフロー32を冷却することができる。1234yf、HCl及び未反応の244bbの冷却フロー34は、未反応の244bbの少なくとも一部が、1234yf及びHClから、未反応の244bbのリサイクルフロー38へと分離されることができる、蒸留カラム36に流れることができる。いくつかの実施形態では、未反応の244bbの実質的に全てが、1234yf及びHClからリサイクルフロー38へと分離することができる。未反応の244b
bのリサイクルフロー38は、
図1に示すように、加熱器14内に流入する244bbを含む組成物のフロー12に合流することができる。
【0031】
分離した1234yf及びHClのフロー40は、HCl分離ユニット42を通過してHClを除去することによって1234yfからHClを分離し、1234yfを含む生成物流44を生成するように処理されることができる。
図1に示す実施形態では、HCl分離ユニット42は、生成物流44に加えて、無水HCl流45を生成する蒸留塔である。他の実施形態では、HCl分離ユニット42は、再循環希釈HCl溶液及び新鮮な補給水を使用する流下膜型HCl吸収器であり得る。更に他の実施形態では、HCl分離ユニット42は、当該技術分野において既知であるように、断熱型HCl吸収器であり得る。また他の実施形態では、HCl分離ユニット42は、水性の塩基性溶液を使用するスクラバであり得る。
【0032】
生成物流1234yfは、上記の134aに加えて、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピン(TFPY)などの副生成物、並びにリサイクルフロー38に分離されていない任意の244bbを含む粗生成物流とすることができる。副生成物は、当該技術分野において既知の更なる処理(図示せず)によって、生成物流44内の1234yfから分離することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、生成物流44は、99.10重量パーセント(重量%)、99.20重量%、99.30重量%、99.40重量%、99.50重量%、99.60重量%、99.70重量%、99.80重量%、99.90重量%、99.91重量%、99.92重量%、若しくは99.93重量%を超える、又は前述の値のうちの任意の2つの間の任意の値を超える濃度で1234yfを含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、生成物流44は、0.1重量%、0.05重量%、0.02重量%、0.010重量%、0.009重量%、0.008重量%、0.007重量%、0.006重量%、0.005重量%、0.004重量%、0.003重量%、0.002重量%、若しくは0.001重量%未満の、又は前述の値のうちの任意の2つの間の任意の値未満の濃度で134aを含むことができる。生成物流44中の134aの低い値は、反応器26内での低いカーボン堆積を示す。プロセスフロー10における反応器26のカーボン堆積は、先行技術のプロセスと比較して80%~90%ほど低減され得ることが判明している。カーボン堆積を低減することは、反応器26から炭素を定期的に洗浄することの必要性に関連する反応器の休止時間及びコストを低減し得る。
【0035】
一貫性のために、本明細書に記載される生成物流44の濃度は、244bbを含まないものである。すなわち、生成物流44中の244bbが、生成物流44中の1234yf、134a、又は他の成分濃度の重量パーセントを決定することに関して含められることはない。
【0036】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造するための別のプロセスの工程3を示すプロセスフロー図である。
図1は、反応器26が2段式反応器48によって置き換えられ、244bbの気化フロー16が第1の部分50及び第2の部分52に分割されることを除けば、工程3のプロセスフロー46が、
図1に示すプロセスフロー10と同一であり得ることを示している。第1の部分50は、
図1を参照して244bbの気化フロー16に関して上述したように熱交換器18を通って流れ、244bbの過熱された気化フロー20を作り出すことができる。244bbの過熱された気化フロー20は、過熱器22を通過して、気化した244bbの温度を更に上昇させ、反応器48に供給される244bbの更に過熱されたフロー24を作り出すことができる。第2の部分52は、熱交換器18を通らずに、反応器48に供給されて
いる。
【0037】
図2に示すように、反応器48は、第1の段54及び第2の段56を含むことができる。第1の段54は、反応器フロー60a、60b、及び60cによって互いに流体接続された複数の反応器セクション58a、58b、58c、及び58dを含むことができる。第2の段56は、反応器フロー64a、64b、及び64cによって互いに流体接続された複数の反応器セクション62a、62b、62c、及び62dを含むことができる。反応器セクション58a、58b、58c、58d、62a、62b、62c、及び62dのそれぞれは、過熱した244bbと接触するように構成された加熱器表面を含む少なくとも1つの浸漬加熱器を含むことができる。上述した反応器26の場合と同じように、反応器48内において、過熱した244bbは、接触時間にわたって加熱器表面に接触させられ、この接触時間の間、組成物中の244bbの少なくとも一部は、脱塩化水素化されて1234yfを作製し、副生成物としてHClを生成する(式1)。プロセスフロー46の接触時間及び温度は、プロセスフロー10について上述した通りとすることができる。
【0038】
段間フロー66は第1の段54を第2の段56に流体接続し、第2の段56は、第1の段56の下流にある。第1の部分50からの244bbの更に過熱されたフロー24は、第1の段54に流入する。第2の部分52は、第1の段54からの段間フロー66と共に第2の段56に流入することができ、第2の段56に入る前に段間フロー66を冷却することができる。第2の段56に入るより冷たい段間フロー66により、第2の段の反応器セクション62a、62b、62c、及び62d内の浸漬加熱器は、より高い加熱器表面温度で動作することが可能であり得る。いかなる理論にも束縛されるものではないが、より高い加熱器表面温度で動作することにより、244bbから1234yfへの変換は、より高い温度を、反応器48から流れる1234yf、HCl、及び未反応の244bb32を含むフローに生じさせることなく、最適化され得ると考えられる。
【0039】
熱交換器18を通って流れる第1の部分50は、
図1に記載されるような熱交換器18を通って流れる244bbの気化フロー16よりも少量であり、したがって、244bbの過熱された気化フロー20の温度は、反応器48からの1234yf、HCl及び未反応の244bbを含む所与のフロー32よりも有意に高くなり得る。過熱器22は、244bbの過熱された気化フロー20の温度が高いほど、より少ない加熱を必要とし得るため、サイズを縮小させることができる。より小さい過熱器22は、有意な資本及び動作コストの節約をもたらすことができる。
【0040】
本開示によるいくつかの実施形態では、浸漬加熱器は、電気浸漬加熱器である。いくつかの実施形態では、電気浸漬加熱器は、反応器の異なるセクションにおいて所望の加熱器表面温度を提供するために、それぞれ個別に制御され得る。いくつかの実施形態では、電気浸漬加熱器は、電流がワイヤを通過する際に熱を発生させる電気抵抗ワイヤを包囲する管状体を含み得る。このような電気浸漬加熱器は、ワイヤから包囲管状体に熱を伝導するのと同時にワイヤを互いに電気的に絶縁するために、同一管内のワイヤ間に酸化マグネシウムなどのセラミック絶縁材料を含み得る。管状体の外面は、上述したように、加熱器表面を形成することができる。セラミック絶縁材料はまた、安全機構でもある。セラミック絶縁材料は、上記の供給物、生成物、又は副生成物に対して大部分が非反応性である。管状体において漏れが発生したとしても、セラミック絶縁材料は、漏れが電気浸漬加熱器を越えて更に広がるのを防止し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、反応器セクション28a、28b、28c、28d、58a、58b、58c、58d、62a、62b、62c、及び62dは、244bbがシェルを通って流れるシェルアンドチューブ反応器であり得、管は電気加熱器要素によって
置き換えられる。いくつかの他の実施形態では、反応器セクション28a、28b、28c、28d、58a、58b、58c、58d、62a、62b、62c、及び62dは、電気フランジ浸漬加熱器を有するU字管型反応器であり得る。
【0042】
図1及び
図2に示される実施形態では、4つのセクションを有する反応器又は反応器段が示されている。しかしながら、本開示が4つ未満のセクション又は4つを超えるセクションを有する実施形態を含むことは理解される。また、実施形態が、244bbを脱塩化水素化して1234yfを生成するために2つ以上の反応器を直列構成で及び/又は並列構成で含み得ることも理解される。
【0043】
上記の実施形態では、熱交換器18は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造するプロセスのエネルギー効率を改善するために用いられる。しかしながら、いくつかの実施形態が熱交換器18を含まなくてもよいことは理解される。
【0044】
上記の実施形態では、過熱器22は、反応器への244bbのフローを更に過熱する。しかしながら、いくつかの実施形態が、過熱器22を含まず、反応器によって244bbのフローの更なる過熱を提供し得ることは理解される。
【0045】
本明細書で使用するとき、「前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちの任意の2つから選択され得ることを意味する。例えば、1対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択されてもよい。
【0046】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
【実施例0047】
実施例1
96.0重量%の244bb、3.5重量%の1233xf、及び0.5重量%の他の材料(ガスクロマトグラフにより測定される)を含む組成物を、70psigで少なくともその露点まで気化させた。気化した組成物を熱交換器で過熱し、次いで、過熱器で900°Fまで更に過熱した。更に過熱された気化した組成物を、4つの電気的に加熱されたセクションを含む反応器に導入した。過熱器は、過熱器内のコーキングを最小化するために、ガス速度が、反応器内のガス速度の少なくとも2倍になるように構成した。反応器内の加熱器表面温度は、平均加熱器表面温度995°Fで993°F~997°Fに維持した。過熱された気化した組成物は、反応器への入口条件に基づいて、平均接触時間5.46秒で反応器を通過した。反応器の出力を蒸留カラムに導いて、未反応の244bbを1234yf及びHClから分離した。未反応の244bbを含む蒸留出力の底部流をリサイクルのために回収した。1234yf及びHClを含むオーバーヘッド流を別の蒸留カラムに導いて、HClをオーバーヘッド生成物として分離し、1234yfを含む粗生成物流を生成した。プロセスは、21.3%の204bbから1234yfへの全体的な変換のために80時間維持した。当該技術分野において周知の技術を使用して、生成物流をガスクロマトグラフにより分析した。結果を以下の表に示す。
実施例2
【0048】
96.2重量%の244bb、3.6重量%の1233xf、及び0.2重量%の他の材料(ガスクロマトグラフにより測定される)を含む組成物を、70psigで少なく
ともその露点まで気化させた。気化した組成物を熱交換器で過熱し、次いで、過熱器で900°Fまで更に過熱した。更に過熱された気化した組成物を、4つの電気的に加熱されたセクションを含む反応器に導入した。過熱器は、過熱器内のコーキングを最小化するために、ガス速度が、反応器内のガス速度の少なくとも2倍になるように構成した。反応器内の加熱器表面温度は、平均加熱器表面温度988°Fで980°F~995°Fに維持した。過熱された気化した組成物は、反応器への入口条件に基づいて、平均接触時間5.46秒で反応器を通過した。反応器の出力を蒸留カラムに導いて、未反応の244bbを1234yf及びHClから分離した。未反応の244bbを含む蒸留出力の底部流をリサイクルのために回収した。1234yf及びHClを含むオーバーヘッド流を別の蒸留カラムに導いて、HClをオーバーヘッド生成物として分離し、1234yfを含む粗生成物流を生成した。プロセスは、20.5%の204bbから1234yfへの全体的な変換のために92時間維持した。当該技術分野において周知の技術を使用して、生成物流をガスクロマトグラフにより分析した。結果を以下の表に示す。
実施例3
【0049】
97.6重量%の244bb、2.0重量%の1233xf、及び0.4重量%の他の材料(ガスクロマトグラフにより測定される)を含む組成物を、70psigで少なくともその露点まで気化させた。気化した組成物を熱交換器で過熱し、次いで、過熱器で900°Fまで更に過熱した。更に過熱された気化した組成物を、4つの電気的に加熱されたセクションを含む反応器に導入した。過熱器は、過熱器内のコーキングを最小化するために、ガス速度が、反応器内のガス速度の少なくとも2倍になるように構成した。反応器内の加熱器表面温度は、平均加熱器表面温度993.5°Fで989°F~998°Fに維持した。過熱された気化した組成物は、反応器への入口条件に基づいて、平均接触時間8.4秒で反応器を通過した。反応器の出力を蒸留カラムに導いて、未反応の244bbを1234yf及びHClから分離した。未反応の244bbを含む蒸留出力の底部流をリサイクルのために回収した。1234yf及びHClを含むオーバーヘッド流を別の蒸留カラムに導いて、HClをオーバーヘッド生成物として分離し、1234yfを含む粗生成物流を生成した。プロセスは、30.3%の204bbから1234yfへの全体的な変換のために604時間維持した。当該技術分野において周知の技術を使用して、生成物流をガスクロマトグラフにより分析した。結果を以下の表に示す。
比較実施例
【0050】
97.9重量%の244bb、1.8重量%の1233xf、及び0.2重量%の他の材料(ガスクロマトグラフにより測定される)を含む組成物を、70psigで少なくともその露点まで気化させた。気化した組成物を熱交換器で加熱し、次いで、過熱器で740°F~800°Fの範囲の温度まで過熱した。過熱された気化した組成物を従来のシェルアンドチューブ反応器に導入し、反応器管に組成物を収容した。反応器管は、加熱媒体を収容するシェルによって取り囲まれていた。反応器管の内部の混合平均温度を900°Fに維持し、反応器管の内部の表面温度(組成物と接触している)は約909°Fに維持した。過熱された気化した組成物は、反応器への入口条件に基づいて、平均接触時間58秒で反応器を通過した。反応器の出力を蒸留カラムに導いて、未反応の244bbを1234yf及びHClから分離した。未反応の244bbを含む蒸留出力の底部流をリサイクルのために回収した。1234yf及びHClを含むオーバーヘッド流を別の蒸留カラムに導いて、HClをオーバーヘッド生成物として分離し、1234yfを含む粗生成物流を生成した。プロセスは、29.2%の204bbから1234yfへの全体的な変換のために396時間維持した。当該技術分野において周知の技術を使用して、生成物流をガスクロマトグラフにより分析した。結果を以下の表に示す。
【表1】
【0051】
表に示されるように、より高い加熱器表面温度及びより短い接触時間を有するプロセスによる実施例1~3は、有意により少ない134aを生成しており、これは、反応器内での有意により少ないカーボン堆積(コーキング)と相関する。
前記触媒表面が、無電解ニッケル、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケル-銅合金、ニッケル-クロム-鉄合金、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載のプロセス。
表に示されるように、より高い加熱器表面温度及びより短い接触時間を有するプロセスによる実施例1~3は、有意により少ない134aを生成しており、これは、反応器内での有意により少ないカーボン堆積(コーキング)と相関する。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスであって、前記プロセスは、
約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を供給することと、
10秒未満の接触時間で前記組成物を前記加熱器表面に接触させて、前記HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することと、を含む、プロセス。
[2]
前記HCFC-244bbの前記一部の前記脱塩化水素化が塩酸(HCl)を生成し、前記プロセスが、
前記HFO-1234yf、HCl、及び未反応のHCFC-244bbを前記反応器から蒸留カラムに供給することと、
前記蒸留カラム内で前記HFO-1234yf及び前記HClを前記HCFC-244bbの少なくとも一部から分離することと、
前記分離したHCFC-244bbを前記反応器にリサイクルすることと、
前記HFO-1234yf及び前記HClをHCl分離ユニットに供給することと、
前記HClを前記HFO-1234yfから分離して、前記HFO-1234yfを含む生成物流を形成することと、を更に含み、
前記生成物流が、HCFC-244bbを含まずに99.1重量%超の濃度の前記HFO-1234yfと、前記反応器内での低率のカーボン堆積を示すものとして、HCFC-244bbを含まずに0.1重量%未満の濃度の1,1,1,2-テトラフルオロエタンと、を含む、[1]に記載のプロセス。
[3]
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を作製するためのプロセスであって、前記プロセスは、
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物を気化させることと、
前記組成物を第1の部分及び第2の部分に分割することと、
前記気化した組成物の前記第1の部分を約575°F(302℃)~1,200°F(649℃)の温度に加熱することと、
約850°F(454℃)を超える表面温度の加熱器表面を含む反応器に前記組成物を供給することであって、前記反応器が、第1の段と、前記第1の段の下流の第2の段とを含み、前記第1の部分は前記第1の段に供給され、前記第2の部分は前記第2の段に供給される、ことと、
10秒未満の接触時間で前記組成物を前記加熱器表面に接触させて、前記HCFC-244bbの一部を脱塩化水素化してHFO-1234yfを作製することと、を含む、プロセス。